(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-22
(45)【発行日】2024-01-30
(54)【発明の名称】空調システムの中央管理装置および時刻補正方法
(51)【国際特許分類】
F24F 11/61 20180101AFI20240123BHJP
H04Q 9/00 20060101ALI20240123BHJP
【FI】
F24F11/61
H04Q9/00 301Z
(21)【出願番号】P 2022509876
(86)(22)【出願日】2020-03-25
(86)【国際出願番号】 JP2020013313
(87)【国際公開番号】W WO2021192087
(87)【国際公開日】2021-09-30
【審査請求日】2022-09-02
(73)【特許権者】
【識別番号】505461072
【氏名又は名称】東芝キヤリア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【氏名又は名称】三好 秀和
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 廣一郎
(72)【発明者】
【氏名】駒崎 就哉
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 英昭
(72)【発明者】
【氏名】秋山 和彦
【審査官】石田 佳久
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-337614(JP,A)
【文献】特開2013-238341(JP,A)
【文献】特開2007-046885(JP,A)
【文献】特開2017-078583(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 11/00-11/89
H04Q 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リモコン内蔵時計を有するとともにこのリモコン内蔵時計の計時に基づくタイマー機能を有するリモートコントローラが通信接続され、
前記リモコン内蔵時計よりも高い時刻計時精度を有する中央内蔵時計と、
前記リモコン内蔵時計の時刻補正処理を行うタイミングとして、分単位の一の位の値が「0」または「5」以外の時刻を示す時刻補正タイミング情報が設定された時刻補正タイミング設定部と、
前記中央内蔵時計の時刻が、前記時刻補正タイミング設定部に設定された時刻補正タイミング情報で示される時刻に到達したと判定すると、前記リモートコントローラに対し、前記リモコン内蔵時計の計時時刻を該当する時刻に補正する補正指示を送信する時刻補正処理部と
を備えることを特徴とする空調システムの中央管理装置。
【請求項2】
リモコン内蔵時計を有するとともにこのリモコン内蔵時計の計時に基づくタイマー機能を有するリモートコントローラが通信接続され、
前記リモコン内蔵時計よりも高い時刻計時精度を有する中央内蔵時計と、
前記リモコン内蔵時計の時刻補正処理を行うタイミングとして、秒単位の値が「30」の時刻を示す時刻補正タイミング情報が設定された時刻補正タイミング設定部と、
前記中央内蔵時計の時刻が、前記時刻補正タイミング設定部に設定された時刻補正タイミング情報で示される時刻に到達したと判定すると、前記リモートコントローラに対し、前記リモコン内蔵時計の計時時刻を前記中央内蔵時計の時刻に補正する補正指示を送信する時刻補正処理部と
を備えることを特徴とする空調システムの中央管理装置。
【請求項3】
前記時刻補正タイミング設定部は、前記リモコン内蔵時計の時刻補正処理を行うタイミングとして、分単位の一の位の値が「2」または「7」であり、秒単位の値が「30」の時刻を示す時刻補正タイミング情報が設定される
ことを特徴とする請求項2に記載の空調システムの中央管理装置。
【請求項4】
前記中央内蔵時計は、外部から取得した標準時刻情報に自ら計時する時刻を合わせる
ことを特徴とする請求項1~
3いずれか1項に記載の空調システムの中央管理装置。
【請求項5】
リモコン内蔵時計を有するとともにこのリモコン内蔵時計の計時に基づくタイマー機能を有するリモートコントローラが通信接続され、
前記リモコン内蔵時計よりも高い時刻計時精度を有する中央内蔵時計を備えた中央管理装置が、
前記リモコン内蔵時計の時刻補正処理を行うタイミングとして、分単位の一の位の値が「0」または「5」以外の時刻を示す時刻補正タイミング情報が設定され、
前記中央内蔵時計の時刻が、設定した時刻補正タイミング情報で示される時刻に到達したと判定すると、前記リモートコントローラに対し、前記リモコン内蔵時計の計時時刻を前記中央内蔵時計の時刻に補正する補正指示を送信する
ことを特徴とする空調システムの時刻補正方法。
【請求項6】
リモコン内蔵時計を有するとともにこのリモコン内蔵時計の計時に基づくタイマー機能を有するリモートコントローラが通信接続され、
前記リモコン内蔵時計よりも高い時刻計時精度を有する中央内蔵時計を備えた中央管理装置が、
前記リモコン内蔵時計の時刻補正処理を行うタイミングとして、秒単位の値が「30」の時刻を示す時刻補正タイミング情報が設定され、
前記中央内蔵時計の時刻が、設定した時刻補正タイミング情報で示される時刻に到達したと判定すると、前記リモートコントローラに対し、前記リモコン内蔵時計の計時時刻を前記中央内蔵時計の時刻に補正する補正指示を送信する
ことを特徴とする空調システムの時刻補正方法。
【請求項7】
前記リモコン内蔵時計の時刻補正処理を行うタイミングとして、分単位の一の位の値が「2」または「7」であり、秒単位の値が「30」の時刻を示す時刻補正タイミング情報を設定した
ことを特徴とする請求項
6に記載の空調システムの時刻補正方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、空調システムの中央管理装置および時刻補正方法に関する。
【背景技術】
【0002】
商業施設やオフィスビルなどの大型の建物には、1台の室外機に複数台の室内機が接続された、マルチタイプの空調システムが搭載されている。このような空調システムの室内機にはそれぞれリモートコントローラが接続されており、利用者はこのリモートコントローラを用いて該当する室内機を操作することができる。
【0003】
一般的に、室内機のリモートコントローラには時計が内蔵されるとともにタイマー機能が搭載され、時計の計時時刻に基づいてタイマー機能が実行される。例えば、利用者がリモートコントローラで、所定時刻に該当する室内機の運転が開始されるようにタイマー設定操作を行うと、当該リモートコントローラでは、内蔵時計の計時に基づいて当該時刻が到来したか否かが監視され、到来したと判定したときに、接続された室内機に運転開始指示が送信される。
【0004】
これらの空調システム内の複数台のリモートコントローラの内蔵時計は、各々個別に計時動作しており、時間の経過とともに徐々に正確な時刻からのずれが生じる。これに対応するため、所定期間ごとにこれらの内蔵時計に対し、外部から取得した標準時刻に基づいて時刻補正処理を実行する技術がある。例えば、複数の空調システムの上位に中央管理装置を設け、この中央管理装置の内部時計の時刻を標準時刻として、各空調システムの内蔵時計を補正する。
【0005】
定期的に空調システム内のリモートコントローラで時刻補正処理が行われることで、これらの内蔵時計の計時時刻に大きなずれが生じることが回避され、タイマー機能等が適切に実行される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【0007】
上述したように空調システム内のリモートコントローラ等に時刻補正処理を行う際に、補正対象の内蔵時計で遅れが発生していると、時刻補正処理が実行されることにより計時時刻が所定期間先に移行する。そのため、当該内蔵時計で計時されない空白期間が発生する。
【0008】
ここで、当該リモートコントローラにおいて、この空白期間内の時刻を実行時刻としていずれかの動作に関するタイマーが設定されていると、当該時刻が計時されないため該当する動作が実行されなくなってしまう。
【0009】
例えば、リモートコントローラの内蔵時計が標準時刻よりも10秒遅れて11時59分50秒を計時しているときに、時刻補正処理により12時00分(00秒)への時刻補正指示が取得されると当該内蔵時計の計時時刻がこの時刻に移行し、11時59秒50秒直後から12時00分までの間が空白期間になる。このリモートコントローラにおいて、12時00分に運転が開始するようにタイマーが設定されていた場合、タイマー運転のプログラムの作成方法によっては、当該時刻は当該内蔵時計の空白期間となり計時されず、運転開始動作が実行されない可能性が生じる。
【0010】
また、補正対象の内蔵時計の計時が進んでいると、時刻補正処理が実行されることにより計時時刻が所定期間前に移行する。そのため、当該内蔵時計で2度計時される重複期間が発生する。ここで、当該リモートコントローラにおいて、この重複期間内の時刻を実行時刻としていずれかの動作に関するタイマーが設定されていると、当該時刻が1度目に計時された際にタイマー機能により実行された動作がその直後に利用者の操作等により取り消されても、2度目に計時された際に再度タイマー機能により実行されてしまい、利用者に不都合となる場合があった。
【0011】
例えば、リモートコントローラの内蔵時計が標準時刻よりも20秒進んで12時00分20秒を計時しているときに、時刻補正処理により12時00分(00秒)への時刻補正指示が取得されると当該内蔵時計の計時時刻がこの時刻に移行し、12時00分から12時00分20秒までの間が重複期間になる。このリモートコントローラにおいて、12時00分に運転が開始するようにタイマーが設定されていた場合、12時00分が1度目(時刻補正処理前)に計時された際にタイマー機能により該当する室内機の運転が開始する。その直後に、利用者がリモートコントローラを操作して当該室内機を停止させても、時刻補正処理により計時時刻が12時00分20秒から12時00分に移行してしまう。
【0012】
そのため、12時00分が2度目に計時された際にタイマー機能により再度当該空調機の運転が開始される恐れがあり、その場合、利用者の意図しない運転が行われてしまう。
【0013】
結局、タイマー設定されている時刻と補正する時刻とが重なってしまうと、当該タイマー設定による動作が行われたり、行われなかったりする不具合が生じる。
【0014】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、空調システム内の機器を適切に動作させつつ、当該機器に内蔵する時計の時刻補正処理を実行させる空調システムの中央管理装置および時刻補正方法を提供することを目的とする。
【0015】
上記目的を達成するために、本発明の空調システムの中央管理装置は、リモコン内蔵時計を有するとともにこのリモコン内蔵時計の計時に基づくタイマー機能を有するリモートコントローラが通信接続され、時刻を計時する中央内蔵時計と、前記リモコン内蔵時計の時刻補正処理を行うタイミングとして、分単位の一の位の値が「0」または「5」以外の時刻を示す時刻補正タイミング情報が設定された時刻補正タイミング設定部と、前記中央内蔵時計の時刻が、前記時刻補正タイミング設定部に設定された時刻補正タイミング情報で示される時刻に到達したと判定すると、前記リモートコントローラに対し、前記リモコン内蔵時計の計時時刻を該当する時刻に補正する補正指示を送信する時刻補正処理部とを備えることを特徴とする。
【0016】
また、本発明の空調システムの時刻補正方法は、リモコン内蔵時計を有するとともにこのリモコン内蔵時計の計時に基づくタイマー機能を有するリモートコントローラが通信接続され、時刻を計時する中央内蔵時計を備えた中央管理装置が、前記リモコン内蔵時計の時刻補正処理を行うタイミングとして、分単位の一の位の値が「0」または「5」以外の時刻を示す時刻補正タイミング情報が設定され、前記中央内蔵時計の時刻が、設定した時刻補正タイミング情報で示される時刻に到達したと判定すると、前記リモートコントローラに対し、前記リモコン内蔵時計の計時時刻を前記中央内蔵時計の時刻に補正する補正指示を送信することを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は、本発明の第1~第3実施形態による中央管理装置としてのシステムコントローラを用いた空調システムの構成を示す全体図である。
【
図2】
図2は、本発明の第1~第3実施形態による中央管理装置を用いた空調システム内に設置されたリモートコントローラの正面図である。
【
図3】
図3は、本発明の第1~第3実施形態による中央管理装置としてのシステムコントローラを用いた空調システムの動作を示すシーケンス図である。
【
図4】
図4は、本発明の第1実施形態による中央管理装置としてのシステムコントローラから時刻補正指示が送信され、リモートコントローラで内蔵時計の時刻補正処理が実行されたときの計時時刻の補正状態を示す説明図である。
【
図5】
図5は、本発明の第2実施形態による中央管理装置としてのシステムコントローラから時刻補正指示が送信され、リモートコントローラで内蔵時計の時刻補正処理が実行されたときの計時時刻の補正状態を示す説明図である。
【
図6】
図6は、本発明の第3実施形態による中央管理装置としてのシステムコントローラから時刻補正指示が送信され、リモートコントローラで内蔵時計の時刻補正処理が実行されたときの計時時刻の補正状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
《第1実施形態》
〈第1実施形態による中央管理装置を用いた空調システムの構成〉
本発明の第1実施形態による中央管理装置を用いた空調システムの構成について、
図1を参照して説明する。本実施形態による空調システム1Aは、所定の建物に対して設置された室外機10と、室外機10に冷媒配管および通信線で接続された複数の室内機(第1室内機20a、第2室内機20b、および第3室内機20c)と、これら複数の室内機にそれぞれ通信接続された複数のリモートコントローラ(第1リモートコントローラ30a、第2リモートコントローラ30b、および第3リモートコントローラ30c)と、室外機10に接続された中央管理装置としてのシステムコントローラ40とを備える。
【0019】
本実施形態においては、室外機10に接続された室内機およびリモートコントローラがそれぞれ3台の場合について説明するが、さらに多くの室内機およびリモートコントローラが接続されていてもよい。
【0020】
また、本実施形態において、室内機20a、20b、20cのうちいずれの室内機であるかを特定する必要がない場合には、室内機20と記載する。同様に、リモートコントローラ30a、30b、30cのうちいずれのリモートコントローラであるかを特定する必要がない場合には、リモートコントローラ30と記載する。
【0021】
室外機10は、室外機内蔵時計11と、室外-室内通信部12と、室外-中央通信部13と、室外機動作制御部14とを有する。室外-室内通信部12は、室内機20a、20b、20cそれぞれとの通信を行う。室外-中央通信部13は、システムコントローラ40との通信を行う。室外機動作制御部14は、システムコントローラ40から送信された指示に基づいて、室外機内蔵時計11の時刻補正処理を含む、室外機10内の機器に関する動作を制御する。また室外機動作制御部14は、システムコントローラ40からいずれかの室内機20に対して送信された指示を受信すると、当該指示を該当する室内機20に転送する。
【0022】
第1室内機20aは、室内機内蔵時計21と、室内-リモコン通信部22と、室内-室外通信部23と、室内機動作制御部24とを有する。室内-リモコン通信部22は、対応する第1リモートコントローラ30aとの通信を行う。室内-室外通信部23は、室外機10との通信を行う。
【0023】
室内機動作制御部24は、システムコントローラ40から送信され室外機10で転送された指示、および、接続された第1リモートコントローラ30aから送信された指示に基づいて、室内機20a内の機器に関する動作を制御する。また、室内機動作制御部24は、システムコントローラ40から送信された時刻補正指示を受信すると、当該指示を接続された第1リモートコントローラ30aに転送する。
【0024】
第2室内機20bおよび第3室内機20cは、第1室内機20aと同様の構成を有するため、詳細な説明は省略する。
【0025】
第1リモートコントローラ30aは、リモコン-室内通信部31と、操作入力部32と、リモコン内蔵時計33と、タイマー設定部34と、時刻補正実行部35と、表示部36とを有する。
【0026】
リモコン-室内通信部31は、対応する室内機20aとの通信を行う。操作入力部32は、利用者による操作情報を入力し、適宜室内機20aに送信する。
【0027】
タイマー設定部34は、操作入力部32から、室内機20aに関する所定動作および当該動作の実行時刻を指定する操作情報が入力されると、当該時刻の到来を監視するためのタイマー設定を行う。そして、リモコン内蔵時計の計時に基づいて当該時刻が到来したと判定すると、当該動作の実行時刻の到来を操作入力部32に通知する。タイマー設定内容としては、所定の時刻における室内機20aの運転開始又は停止、及び運転開始と停止との組み合わせがある。さらに、運転開始の設定においては、開始する運転の冷房・暖房・除湿・送風等のモード、設定温度、設定湿度等を指定することができる。図示しないが第1リモートコントローラ30aには、時計表示部が設けられており、使用者が現在の時刻を認識できるようになっている。使用者は、表示された現在時刻を認識したうえで、タイマー時刻を設定する。
【0028】
時刻補正実行部35は、システムコントローラ40から送信された時刻補正指示を受信すると、リモコン内蔵時計33の時刻補正処理を実行する。表示部36は、操作入力部32から入力された操作情報に基づいて生成される情報、リモコン内蔵時計33で計時されている時刻の情報等を表示する。
【0029】
第2リモートコントローラ30bおよび第3リモートコントローラ30cは、第1リモートコントローラ30aと同様の構成を有するため、詳細な説明は省略する。
【0030】
図2に、第1リモートコントローラ30a、第2リモートコントローラ30b、および第3リモートコントローラ30cの正面図を示す。これらのリモートコントローラ30の前面下部には、操作入力部32として、「運転/停止」ボタン321、「メニュー」ボタン322、上矢印ボタン323、下矢印ボタン324、「とりけし」ボタン325が設置され、その上部には、モニタ画面で構成される表示部36が設置されている。
【0031】
システムコントローラ40は、中央内蔵時計としてのコントローラ内蔵時計41と、操作入力部42と、時刻補正タイミング設定部43と、時刻補正処理部44とを有する。
【0032】
操作入力部42は、当該空調システム1Aのグループ運転やスケジュール運転に関する情報を管理者により入力するための操作部である。時刻補正タイミング設定部43には、予め設定された時刻補正処理を行うタイミングを示す時刻の情報が時刻補正タイミング情報として設定されている。
【0033】
コントローラ内蔵時計41は、当該空調システム1A中の他の内蔵時計よりも計時精度が高い時計かまたは、例えばインターネットの標準時計から定期的に標準時刻情報を取得して自ら計時する時刻を当該標準時刻に合わせることで、他の内蔵時計よりも計時精度が高くなるように設計されている時計である。
【0034】
時刻補正処理部44は、コントローラ内蔵時計41の計時する時刻が、時刻補正タイミング設定部43に設定された時刻補正タイミング情報で示される時刻に到達したことを判定すると、空調システム1A内の機器に対し、それぞれの内蔵時計の計時時刻をコントローラ内蔵時計41の計時時刻に補正するための時刻補正指示を送信する。
【0035】
〈第1実施形態による空調システムの動作〉
次に、本実施形態による空調システム1Aの動作について説明する。本実施形態において、利用者は、リモートコントローラ30のタイマー機能を利用して、接続された室内機20を動作させることができる。タイマー機能を用いて室内機20を動作させるために、利用者がリモートコントローラ30で行うタイマー設定操作の手順について、説明する。
【0036】
リモートコントローラ30の表示部36には、通常時は、
図2に示すように、該当する室内機20の設置場所、現在の設定温度等の情報が表示されている。そして、利用者がリモートコントローラ30の「メニュー」ボタン322を操作すると、表示部36の表示内容が、接続された室内機20に関する複数の設定項目を示す操作メニュー画面に切り替えられる。操作メニュー画面で表示される設定項目には、例えば「風向設定」、「フラップ動作設定」、「タイマー設定」等がある。
【0037】
次に、利用者が上矢印ボタン323または下矢印ボタン324を操作して、表示された操作メニュー画面上で設定項目「タイマー設定」を選択する操作を行うと、表示部36の表示内容が、タイマー設定機能により設定可能なタイマー種別を示すタイマー設定画面に切り替えられる。タイマー設定画面で表示される設定タイマー種別には、例えば、指示した時刻に当該室内機20の運転を停止させるための「切タイマー」、指示した時刻に当該室内機20の運転を開始させるための「入タイマー」等がある。
【0038】
次に、利用者が上矢印ボタン323または下矢印ボタン324を操作して、表示されたタイマー設定画面上で「入タイマー」を選択する操作を行うと、表示部36の表示内容が、当該入タイマーの設定に関する情報を入力するための入タイマー設定画面に切り替えられる。入タイマー設定画面には、当該室内機20の運転を開始させる時刻を入力するための情報が含まれる。
【0039】
次に、利用者が上矢印ボタン323または下矢印ボタン324を操作して、表示された入タイマー設定画面上で所望の時刻を入力すると、当該時刻に該当する室内機20の運転を開始させるための入タイマーが、タイマー設定部34に設定される。
【0040】
通常、室内機20のタイマー設定操作において指定する時刻は、分単位の一の位の値が「0」または「5」である場合が多く、本実施形態においては時刻「12時00分」が指定されて入タイマーが設定されたものとする。
【0041】
次に、空調システム1A内の各機器の内蔵時計に対して実行される時刻補正処理について、
図3のシーケンス図を参照して説明する。
【0042】
本実施形態において、時刻補正タイミング設定部43には、予め設定された時刻補正処理を行うタイミングを示す時刻の情報が設定されている(S1)。時刻補正タイミング情報は分単位で設定可能に構成されており、分単位の一の位の値が「0」または「5」以外の時刻が設定される。
【0043】
時刻補正処理部44では、コントローラ内蔵時計41の計時する時刻が標準時刻として入力されており、このコントローラ内蔵時計41の時刻が、時刻補正タイミング設定部43に設定された時刻補正タイミングと一致したか、つまり、時刻補正タイミングが到来したか否かが監視される(S2)。
【0044】
時刻補正タイミングが到来したと判定されると(S2の「YES」)、時刻補正処理部44により、中央-室外通信部45から室外機10に対し、内蔵時計の計時時刻を当該標準時刻に補正するための時刻補正指示が送信される(S3)。
【0045】
システムコントローラ40から送信された時刻補正指示は、室外機10の室外-中央通信部13で受信される。そして、受信された時刻補正指示に基づいて室外機動作制御部14により室外機内蔵時計11が該当する標準時刻で補正されるとともに、室外-室内通信部12から接続された室内機20a~20cに対し、時刻補正指示が転送される(S4)。
【0046】
室外機10から転送された時刻補正指示は、各室内機20a~20cの室内-室外通信部23で受信される。そして、受信された時刻補正指示に基づいて室内機動作制御部24により室内機内蔵時計21が該当する標準時刻で補正されるとともに、室内-リモコン通信部22からそれぞれ接続されたリモートコントローラ30a~30cに対し、時刻補正指示が送信される(S5、S6、およびS7)。
【0047】
室内機20a~20cから送信された時刻補正指示は、リモートコントローラ30a~30cのリモコン-室内通信部31で受信される。そして、受信された時刻補正指示に基づいて時刻補正実行部35により、リモコン内蔵時計33が該当する標準時刻で補正される。
【0048】
このように処理が実行されることにより、リモートコントローラ30のリモコン内蔵時計33のずれが1分未満の場合には、リモコン内蔵時計33で分単位の一の位の値が「0」または「5」の時刻を跨いで時刻補正されることがなくなる。これにより、室内機20の動作に関するタイマー設定で、分単位の一の位の値が「0」または「5」の時刻が設定されたときに、当該時刻が、時刻補正処理により発生する空白期間または重複期間に該当する可能性が低くなる。
【0049】
さらに、
図4を参照して詳細に説明する。例えば、時刻補正タイミングが11時56分に設定されており、リモコン内蔵時計33に1分未満の遅れが生じていた場合には、当該リモートコントローラ30では、時刻補正処理により矢印P1に示すように計時時刻が補正される。同様に内蔵時計に1分未満の遅れが生じている状態で、時刻補正タイミングが11時57分に設定されている場合には矢印P2に示すように計時時刻が補正され、時刻補正タイミングが11時58分に設定されている場合には矢印P3に示すように計時時刻が補正され、時刻補正タイミングが11時59分に設定されている場合には矢印P4に示すように計時時刻が補正され、時刻補正タイミングが12時01分に設定されている場合には矢印P5に示すように計時時刻が補正される。
【0050】
また、時刻補正タイミングが11時56分に設定されており、リモコン内蔵時計33に1分未満の進みが生じていた場合には、当該リモートコントローラ30では、時刻補正処理により矢印Q1に示すように計時時刻が補正される。同様に内蔵時計に1分未満の進みが生じている状態で、時刻補正タイミングが11時57分に設定されている場合には矢印Q2に示すように計時時刻が補正され、時刻補正タイミングが11時58分に設定されている場合には矢印Q3に示すように計時時刻が補正され、時刻補正タイミングが11時59分に設定されている場合には矢印Q4に示すように計時時刻が補正され、時刻補正タイミングが12時01分に設定されている場合には矢印Q5に示すように計時時刻が補正される。
【0051】
上述したように時刻補正が実行されることにより、タイマー設定で指定された動作を、適切且つ確実に実行させることができる。
【0052】
《第2実施形態》
本発明の第2実施形態による中央管理装置を用いた空調システム1Bの構成は、第1実施形態で説明した
図1の空調システム1Aの構成と同様であるため、同一機能を有する部分の詳細な説明は省略する。
【0053】
本実施形態においては、室内機20のタイマー設定操作において指定する時刻が分単位で設定可能であり、その値は「0」~「59」のいずれでも入力可能に構成されている。また、システムコントローラ40においては、時刻補正タイミング情報が秒単位で設定可能に構成されている。そして、時刻補正タイミング設定部43には、時刻補正タイミング情報として、秒単位の値が「30」を示す時刻が設定されている。
【0054】
このように時刻補正タイミング情報が設定された状態で、第1実施形態で説明した処理と同様に、時刻補正処理が実行されると、リモートコントローラ30のリモコン内蔵時計33のずれが30秒未満の場合には、リモコン内蔵時計33で秒単位の値が「0」の時刻を跨いで時刻補正されることがなくなる。
【0055】
これにより、室内機20の動作に関するタイマー設定で、分単位の値が「0」~「59」のいずれの時刻で設定されても、当該時刻が、時刻補正処理により発生する空白期間または重複期間に該当することがない。
【0056】
さらに、
図5を参照して詳細に説明する。例えば、時刻補正タイミングが11時55分30秒に設定されており、リモコン内蔵時計33に30秒未満の遅れが生じていた場合には、当該リモートコントローラ30では、時刻補正処理により矢印P11に示すように計時時刻が補正される。同様に内蔵時計に30秒未満の遅れが生じている状態で、時刻補正タイミングが11時56分30秒に設定されている場合には矢印P12に示すように計時時刻が補正され、時刻補正タイミングが11時57分30秒に設定されている場合には矢印P13に示すように計時時刻が補正され、時刻補正タイミングが11時58分30秒に設定されている場合には矢印P14に示すように計時時刻が補正され、時刻補正タイミングが11時59分30秒に設定されている場合には矢印P15に示すように計時時刻が補正され、時刻補正タイミングが12時00分30秒に設定されている場合には矢印P16に示すように計時時刻が補正される。
【0057】
また、時刻補正タイミングが11時55分30秒に設定されており、リモコン内蔵時計33に30秒未満の進みが生じていた場合には、当該リモートコントローラ30では、時刻補正処理により矢印Q11に示すように計時時刻が補正される。同様に内蔵時計に30秒未満の進みが生じている状態で、時刻補正タイミングが11時56分30秒に設定されている場合には矢印Q12に示すように計時時刻が補正され、時刻補正タイミングが11時57分30秒に設定されている場合には矢印Q13に示すように計時時刻が補正され、時刻補正タイミングが11時58分30秒に設定されている場合には矢印Q14に示すように計時時刻が補正され、時刻補正タイミングが11時59分30秒に設定されている場合には矢印Q15に示すように計時時刻が補正され、時刻補正タイミングが12時00分30秒に設定されている場合には矢印Q16に示すように計時時刻が補正される。
【0058】
上述したように時刻補正が実行されることにより、タイマー設定で、例えば時刻11時58分00秒のように細かな数値で時刻が指定された場合にも、該当する動作を適切且つ確実に実行させることができる。
【0059】
《第3実施形態》
本発明の第3実施形態による中央管理装置を用いた空調システム1Cの構成は、第1実施形態で説明した
図1の空調システム1Aの構成と同様であるため、同一機能を有する部分の詳細な説明は省略する。
【0060】
本実施形態においては、室内機20のタイマー設定操作において指定する時刻が分単位で設定可能であり、第1実施形態と同様に、分単位の一の位の値が「0」または「5」である場合が多いことを想定している。
【0061】
また、システムコントローラ40においては、第2実施形態と同様に時刻補正タイミング情報が秒単位で設定可能に構成されており、時刻補正タイミング設定部43には、時刻補正タイミング情報として、分単位の一の位の値が「2」または「7」であり、秒単位の値が「30」を示す時刻が設定されている。
【0062】
このように時刻補正タイミング情報が設定された状態で、第1実施形態で説明した処理と同様に、時刻補正処理が実行されると、リモートコントローラ30のリモコン内蔵時計33のずれが2分30秒未満の場合には、リモコン内蔵時計33で分単位の一の位の値が「0」または「5」の時刻を跨いで時刻補正されることがなくなる。
【0063】
これにより、室内機20の動作に関するタイマー設定で、分単位の一の位の値が「0」または「5」の時刻が設定されたときに、当該時刻が、時刻補正処理により発生する空白期間または重複期間に該当する可能性がさらに低くなる。
【0064】
さらに、
図6を参照して詳細に説明する。例えば、時刻補正タイミングが11時57分30秒に設定されており、リモコン内蔵時計33に2分30秒未満の遅れが生じていた場合には、当該リモートコントローラ30では、時刻補正処理により矢印P21に示すように計時時刻が補正される。
【0065】
また、時刻補正タイミングが11時57分30秒に設定されており、リモコン内蔵時計33に2分30秒未満の進みが生じていた場合には、当該リモートコントローラ30では、時刻補正処理により矢印Q21に示すように計時時刻が補正される。
【0066】
上述したように時刻補正が実行されることにより、タイマー設定で、該当する動作を高い精度で、適切且つ確実に実行させることができる。
【0067】
上述した第1~第3実施形態によれば、室内機20の動作に関するタイマーが設定される可能性が高い時刻を避けて各リモートコントローラ30のリモコン内蔵時計33の時刻補正処理が実行される。これにより、リモートコントローラ30においてタイマー設定操作が行われたときに、当該タイマー設定により指定された時刻が、時刻補正処理により発生する空白期間または重複期間に該当する可能性が低減され、利用者により指定された操作が適切に実行されなくなる事態をなるべく回避することができる。
【0068】
上述の実施形態では、室外機及び室内機のそれぞれに内蔵時計11,21を設けた例で説明したが、タイマー設定及び運転/停止を指示するタイマー動作をすべてリモートコントローラ30から指示する形態の場合には、これらの内蔵時計11,21をなくし、リモートコントローラ30のリモコン内蔵時計33のみ設けるようにしてもよい。
【0069】
さらに、上述した実施形態では、中央管理装置であるシステムコントローラ40とリモートコントローラ30との間を室外機10、室内機20を経由して通信可能に接続した場合について説明したが、接続形態はこれに限られない。
【0070】
たとえば、システムコントローラ40と、室外機10、室内機20、およびリモートコントローラ30のすべてとを個別に直接接続するようにしてもよいし、1本のバスラインにすべての機器、つまりシステムコントローラ40、リモートコントローラ30、室外機10及び室内機20を通信接続するようにしてもよい。さらには、各機器間を無線で通信接続してもよい。
【0071】
本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。