IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニーの特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-22
(45)【発行日】2024-01-30
(54)【発明の名称】布地を洗濯する方法
(51)【国際特許分類】
   D06F 35/00 20060101AFI20240123BHJP
   D06B 19/00 20060101ALI20240123BHJP
   C11D 3/395 20060101ALI20240123BHJP
   C11D 3/42 20060101ALI20240123BHJP
   C11D 3/50 20060101ALI20240123BHJP
   C11D 3/386 20060101ALI20240123BHJP
   C11D 11/00 20060101ALI20240123BHJP
【FI】
D06F35/00 Z
D06B19/00 Z
C11D3/395
C11D3/42
C11D3/50
C11D3/386
C11D11/00
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2022520716
(86)(22)【出願日】2020-10-07
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-05
(86)【国際出願番号】 US2020070624
(87)【国際公開番号】W WO2021072427
(87)【国際公開日】2021-04-15
【審査請求日】2022-04-04
(31)【優先権主張番号】19202072.5
(32)【優先日】2019-10-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】590005058
【氏名又は名称】ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー
【氏名又は名称原語表記】THE PROCTER & GAMBLE COMPANY
【住所又は居所原語表記】One Procter & Gamble Plaza, Cincinnati, OH 45202,United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100122437
【弁理士】
【氏名又は名称】大宅 一宏
(74)【代理人】
【識別番号】100209495
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 さおり
(72)【発明者】
【氏名】チーフィ、アンドレ
(72)【発明者】
【氏名】ブルーカー、アンジュ・ディーパリ・マッセイ
(72)【発明者】
【氏名】アマドール・ザマレノ、カルロス
(72)【発明者】
【氏名】ブエノ・ロモ、ローラ
(72)【発明者】
【氏名】ムーン、アンドルー・フィリップ
【審査官】渡邉 洋
(56)【参考文献】
【文献】特公昭52-018724(JP,B2)
【文献】国際公開第2006/002363(WO,A1)
【文献】特開昭61-016999(JP,A)
【文献】特表2017-526826(JP,A)
【文献】米国特許第06583105(US,B1)
【文献】国際公開第2008/128817(WO,A1)
【文献】英国特許出願公告第01372035(GB,A)
【文献】特開平11-172575(JP,A)
【文献】特開昭57-092095(JP,A)
【文献】特開昭51-004205(JP,A)
【文献】国際公開第2016/028599(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F35/00
D06B19/00
C11D 3/00- 3/60
C11D11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
布地を洗濯する方法であって、
(a)主洗浄工程において、洗浄性界面活性剤及び光漂白剤を含む水性洗浄浴で汚れた布地を洗浄する工程であって、前記光漂白剤が、チオキサントン、リボフラビン、フロキシンB、エリスロシン、これらの光漂白剤のうちのいずれかの塩、これらの光漂白剤のうちのいずれかの誘導体、及びそれらの任意の組み合わせから選択される、工程と
(b)すすぎ工程において、前記汚れた布地を、以下の成分:香料、増白剤、色相染料、酵素、及びそれらの任意の組み合わせのうちの1つ以上を含む水性すすぎ溶液ですすぐ工程と、
を含み、
人工光源が存在し、前記主洗浄工程(a)の少なくとも一部の期間、オンにされ、洗浄液中に存在する前記光漂白剤を活性化するような様式で前記洗浄液に光を提供し、
前記すすぎ工程(b)の少なくとも一部の期間、前記人工光源がオフにされ、前記水性すすぎ溶液にいかなる光も提供しない、方法。
【請求項2】
前記方法が自動洗濯機で実行され、前記人工光源が、前記自動洗濯機の洗浄ドラム内に存在する電球である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法であって、前記光漂白剤が、チオキサントンである、方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法であって、
(a)前記光漂白剤がチオキサントンであり、前記人工光源が、300nm~400nmの波長を有する光を提供する、
(b)前記光漂白剤がリボフラビンであり、前記人工光源が、400nm~480nmの波長を有する光を提供する、
(c)前記光漂白剤がフロキシンBであり、前記人工光源が、460nm~570nmの波長を有する光を提供する、及び/又は
(d)前記光漂白剤がエリスロシンであり、前記人工光源が、460nm~550nmの波長を有する光を提供する、方法。
【請求項5】
前記すすぎ溶液が、色相染料を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記すすぎ溶液が、増白剤を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記すすぎ溶液が、布地柔軟剤を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記人工光源が、2つ以上の電球を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記人工光源が、拡散光を発する、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、布地を洗濯する方法に関する。この方法は、特に悪臭を引き起こす汚れについて、良好な洗浄性能を提供する洗濯プロセスである。
【背景技術】
【0002】
洗濯処理組成物内で光活性成分を使用することの利点は、先行技術、例えば、染みの除去又は細菌及び胞子などの微生物の排除の改善に記載されている。
【0003】
先行技術における課題は、洗浄溶媒(例えば、水)内の光活性成分の有効かつ均一な活性化である。活性化光源が洗濯機内に固定配置として提供される場合、それは、固定された光源の近傍の光活性成分のみを活性化し、これは、光源からの均一な曝露を確保するために、洗濯物及び洗浄溶媒(例えば、水)を十分に撹拌する必要があることを意味する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
当該技術分野の更なる課題は、光活性化された光触媒による酸化的分解から、香料、色相染料、増白剤、及び酵素などの洗剤成分を保護することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、布地を洗濯する方法であって、
(a)主洗浄工程において、洗浄性界面活性剤及び光漂白剤を含む水性洗浄浴で汚れた布地を洗浄する工程と、
(b)すすぎ工程において、当該汚れた布地を、以下の成分:香料、増白剤、色相染料、酵素、及びそれらの任意の組み合わせのうちの1つ以上を含む水性すすぎ溶液ですすぐ工程と、
を含み、
人工光源が存在し、当該主洗浄工程(a)の少なくとも一部の期間、オンにされ、洗浄液中に存在する当該光漂白剤を活性化するような様式で当該洗浄液に光を提供し、当該すすぎ工程(b)の少なくとも一部の期間、当該人工光源がオフにされ、当該水性すすぎ溶液にいかなる光も提供しない、方法を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0006】
布地を洗濯する方法
布地を洗濯する方法は、
(a)主洗浄工程において、洗浄性界面活性剤及び光漂白剤を含む水性洗浄浴で汚れた布地を洗浄する工程と、
(b)すすぎ工程において、当該汚れた布地を、以下の成分:香料、増白剤、色相染料、酵素、及びそれらの任意の組み合わせのうちの1つ以上を含む水性すすぎ溶液ですすぐ工程と、
を含み、
人工光源が存在し、当該主洗浄工程(a)の少なくとも一部の期間、オンにされ、洗浄液中に存在する当該光漂白剤を活性化するような様式で当該洗浄液に光を提供し、
当該すすぎ工程(b)の少なくとも一部の期間、当該人工光源がオフにされ、当該水性すすぎ溶液にいかなる光も提供しない。
【0007】
典型的には、この方法は、自動洗濯機で実行される。典型的には、人工光源は、自動洗濯機の洗浄ドラムに存在する光源である。
【0008】
この方法を使用して、洗濯される布に白さ及び清潔感の利点を提供することができる。
【0009】
工程(a)、主洗浄工程
主洗浄工程である工程(a)では、洗浄性界面活性剤及び光漂白剤を含む水性洗浄浴で汚れた布地を洗浄する。
【0010】
人工光源が存在し、当該主洗浄工程(a)の少なくとも一部の期間、オンにされ、洗浄液中に存在する当該光漂白剤を活性化するような様式で当該洗浄液に光を提供する。主洗浄工程(a)の大部分にわたって、人工光源はオンにされることが好ましい場合がある。主洗浄工程(a)全体にわたって、人工光源はオンにされることが更に好ましい場合がある。
【0011】
工程(b)、すすぎ工程
すすぎ工程である工程(b)では、汚れた布地を、以下の成分:香料、増白剤、色相染料、酵素、及びそれらの任意の組み合わせのうちの1つ以上を含む水性すすぎ溶液ですすぐ。
【0012】
すすぎ工程(b)の少なくとも一部の期間、当該人工光源はオフにされ、当該水性すすぎ溶液にいかなる光も提供しない。好ましくは、すすぎ工程(b)の大部分にわたって、人工光源はオフにされる。すすぎ工程(b)全体にわたって、人工光源はオフにされることが更に好ましい場合がある。
【0013】
光漂白剤
光漂白剤は、典型的には、キサントン、キサンテン、チオキサントン、チオキサンテン、フェノチアジン、フルオレセイン、ベンゾフェノン、アロキサジン、イソアロキサジン、フラビン、フタロシアニン、それらの誘導体、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される光活性部分を含む。好ましくは、光漂白剤は、リボフラビン、フロキシンB、エリスロシン、これらの光漂白剤のうちのいずれかの塩、これらの光漂白剤のうちのいずれかの誘導体、及びそれらの任意の組み合わせから選択される。
【0014】
以下が好ましい場合がある:
(a)光漂白剤がチオキサントンであり、人工光源が、300nm~400nmの波長を有する光を提供する、
(b)光漂白剤がリボフラビンであり、人工光源が、400nm~480nmの波長を有する光を提供する、
(c)光漂白剤がフロキシンBであり、人工光源が、460nm~570nmの波長を有する光を提供する、
(d)光漂白剤がエリスロシンであり、人工光源が、460nm~550nmの波長を有する光を提供する、及び/又は
(e)光漂白剤がフタロシアニン誘導体であり、人工光源が、550nm~750nmの波長を有する光を提供する。
【0015】
水性洗浄浴
水性洗浄浴は、典型的には、洗濯洗剤を水に接触させることによって形成される。洗濯洗剤は、典型的には、洗浄性界面活性剤及び光漂白剤を含む。
【0016】
すすぎ溶液
すすぎ溶液は、香料を含み得る。すすぎ溶液は、光漂白剤と適合性ではない他の化学物質、例えば光漂白剤の存在下で安定ではない場合がある化学物質を含むことが好ましい場合がある。そのような化学物質は、酵素、色相染料、及び/又は増白剤を含み得る。
【0017】
加えて、すすぎ溶液は、すすぎ工程中に布地に利点を提供する化学物質を含んでいてもよい。そのような化学物質としては、布地柔軟剤を挙げ得る。
【0018】
すすぎ溶液は、色相染料を含み得る。すすぎ溶液は、増白剤を含む。すすぎ溶液は、布地柔軟剤を含む。
【0019】
すすぎ溶液は、典型的には、布地強化剤を水に接触させることによって形成される。布地強化剤は、典型的には、香料を含む。
【0020】
人工光源
典型的には、人工光源は、自動洗濯機の洗浄ドラムに存在する。好ましくは、人工光源は、1つ以上のLED、又は2つ以上のLED、又は3つ以上のLED、又は更には4つ以上のLEDによって提供される。好ましくは、人工光源は、1つ以上の電球、又は2つ以上の電球、又は3つ以上の電球、又は更には4つ以上の電球によって提供される。
【0021】
典型的には、人工光源が存在し、主洗浄工程(a)の少なくとも一部の期間、オンにされ、洗浄液中に存在する光漂白剤を活性化するような様式で当該洗浄液に光を提供する。人工光は、好ましくは、主洗浄工程(a)の期間の大部分にわたってオンにされ、人工光は、主洗浄工程(a)の全体にわたってオンにされてもよい。
【0022】
すすぎ工程(b)の少なくとも一部の期間、人工光源はオフにされ、この時間中、水性すすぎ溶液にいかなる光も提供しない。人工光源は、すすぎ工程(b)の期間の大部分にわたってオフにされてもよく、人工光源は、すすぎ工程(b)の全体にわたってオフにされてもよく、この時間中、水性すすぎ溶液にいかなる光も提供しない。
【0023】
時間の大部分とは、工程の時間の50%超、又は更には60%超、又は更には70%超、又は更には80%超、又は更に90%超を意味する。
【0024】
人工光源は、2つ以上、又は3つ以上、又は更には4つ以上のLEDを含み得る。
【0025】
人工光源は、拡散光を発することが好ましい場合がある。
【0026】
拡散光は、46°~130°又はそれ以上のビーム拡がりを有する光として定義され、これは、NEMA(米国電機製造業者協会、National Electrical Manufacturers Association)ビーム拡がり分類(表4を参照)に従って4~7のビームタイプに相当する。
【0027】
【表1】
【0028】
洗濯洗剤
本発明で使用する水性洗浄液は、典型的には、アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、双性イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、及びこれらの組み合わせが挙げられるがこれらに限定されない、1つ以上の洗浄性界面活性剤を含有していてよい。
【0029】
本発明を実施するための有用なアニオン性界面活性剤は、それ自体いくつかの異なる種類のものであり得る。例えば、高級脂肪酸類の水溶性塩、すなわち「石鹸」は、本明細書における水性洗浄液で有用なアニオン性界面活性剤である。これには、約8~約24個の炭素原子、好ましくは約12~約18個の炭素原子を含有する高級脂肪酸のナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、及びアルキルアンモニウム塩などの、アルカリ金属石鹸が挙げられる。石鹸は、油脂の直接鹸化によって、又は遊離脂肪酸の中和によって作製することができる。特に有用なものは、ココナッツ油及び獣脂から誘導される脂肪酸の混合物のナトリウム塩及びカリウム塩、すなわち、ナトリウム又はカリウムタロー及びココナッツ石鹸である。本明細書で使用するのに好適な更なる非石鹸アニオン性界面活性剤としては、その分子構造内に約10~約20個の炭素原子を含有するアルキル基(「アルキル」という用語にはアシル基のアルキル部分も含まれる)とスルホン酸又は硫酸エステル基とを有する有機イオウ反応生成物の、水溶性塩、好ましくはアルカリ金属塩及びアンモニウム塩が挙げられる。この群の合成アニオン性界面活性剤の例としては、これらに限定されるものではないが、a)獣脂又はココナッツ油のグリセリドを還元することにより製造されるものなど、直鎖状又は分枝状の炭素鎖のいずれかを有するナトリウム、カリウム、及びアンモニウムアルキルサルフェート、特に高級アルコ-ル(C10~C20炭素原子)をサルフェート化することによって得られるもの、b)特にアルキル基が約10~約20個、好ましくは約12~約18個の炭素原子を含有し、エトキシル化された鎖が平均して約0.1~約5、好ましくは約0.3~約4、より好ましくは約0.5~約3の範囲のエトキシル化度を有する、直鎖状又は分枝状の炭素鎖のいずれかを有するナトリウム、カリウム及びアンモニウムアルキルエトキシサルフェート、c)アルキル基が、直鎖状又は分枝状の炭素鎖のいずれかの構造、好ましくは直鎖状の炭素鎖の構造で約10~約20個の炭素原子を含有する、ナトリウム及びカリウムアルキルベンゼンスルホネート、d)アルキル基が、直鎖状又は分枝状のいずれかの構造で約10~約20個の炭素原子を含有する、ナトリウム、カリウム、及びアンモニウムアルキルスルホネート、e)アルキル基が、直鎖状又は分枝状のいずれかの構造で約10~約20個の炭素原子を含有する、ナトリウム、カリウム、及びアンモニウムアルキルホスフェート又はホスホネート、並びにf)アルキル基が、直鎖状又は分枝状のいずれかの構造で約10~約20個の炭素原子を含有する、ナトリウム、カリウム、及びアンモニウムアルキルカルボキシレート、並びにこれらの組み合わせが挙げられる。本発明の実施に特に好ましいものは、C10~C20直鎖状アルキルベンゼンスルホネート(LAS)及びC10~C20直鎖状又は分枝状非アルコキシル化アルキルサルフェート(AS)を含有する界面活性剤系である。本発明の実施に好ましいものは、上記のように、LAS界面活性剤である。LASは、約100ppm~約2000ppm、好ましくは約200ppm~約1500ppm、より好ましくは約300ppm~約1000ppmのLASを含有する水性洗浄液を形成するのに十分な量で、前処理組成物又は後で添加される布地処理組成物のいずれに存在してもよい。
【0030】
水性洗浄液は、上記のとおり、1つ以上のAS界面活性剤を(LASの代替として、又はLASと組み合わせてのいずれかで)含んでいてもよい。AS界面活性剤は、約100ppm~約2000ppm、好ましくは約200ppm~約1500ppm、より好ましくは約300ppm~約1000ppmの範囲の量で、水性洗浄液中に存在し得る。
【0031】
水性洗浄液は、約0.1~約5、好ましくは約0.3~約4、より好ましくは約0.5~約3の範囲の平均エトキシル化度を有する1つ以上のC10~C20直鎖状又は分枝状アルキルアルコキシル化サルフェート(AAS)を更に含んでいてもよい。このようなAES界面活性剤は、約0ppm~約1000ppm、好ましくは約0ppm~約500ppm、より好ましくは約0ppm~約300ppmの範囲の量で水性洗浄液中に存在し得る。
【0032】
更に、水性洗浄液は、約0ppm~約1000ppm、好ましくは約0ppm~約500ppm、より好ましくは約0ppm~約200ppmの非イオン性界面活性剤を含有していてもよい。好ましい非イオン性界面活性剤は、式R(OCOH(式中、RはC10~C20アルキル基又はアルキルフェニル基であり、nは約1~約80である)のものである。特に好ましいものは、1~20の平均アルコキシル化度を有するC10~C20アルキルアルコキシル化アルコール(AA)である。
【0033】
本明細書において有用なその他の界面活性剤としては、両性界面活性剤及びカチオン性界面活性剤が挙げられる。このような界面活性剤は、洗濯洗剤における使用が周知であり、典型的には約10ppm~約300ppm、好ましくは約15ppm~約200ppm、より好ましくは約20ppm~約100ppmの濃度で存在する。
【0034】
本発明の水性洗浄液はまた、ビルダー、充填剤、担体、構造化剤又は増粘剤、泥汚れ除去/再付着防止剤、ポリマー汚れ放出剤、ポリマー分散剤、ポリマー脂汚れ洗浄剤、酵素、酵素安定化系、アミン、漂白化合物、漂白剤、漂白活性化剤、漂白触媒、増白剤、染料、色相剤、移染防止剤、キレート剤、柔軟剤又はコンディショナー(例えば、カチオン性ポリマー又はシリコーン)、香料(香料封入体を含む)、衛生及び悪臭処理剤などの洗濯洗剤組成物の処方に一般的に用いられる1つ以上の補助成分を含有していてもよい。好ましくは、本発明の水性洗浄液は、いかなる布地柔軟剤も実質的に含まない。
【0035】
水性すすぎ溶液
水性すすぎ溶液は、以下の成分のうちの1つ以上を含む:香料、増白剤、色相染料、酵素、及びそれらの任意の組み合わせ。
【0036】
本発明のすすぎ溶液は、脱イオン水又は水道水のいずれかの水から本質的になっていてよい。すすぎ溶液は、布地柔軟剤、表面改質剤、しわ防止剤、香料などからなる群から選択される1つ以上の布地ケア剤を含んでいてよい。例えば、本発明の水性すすぎ溶液は、約10ppm~約2000ppm、好ましくは約20ppm~約1500ppm、より好ましくは約50ppm~約1000ppmの範囲の量の布地柔軟剤を含んでいてよい。好ましくは、布地柔軟剤は、四級アンモニウム化合物、カチオン性シリコーン、カチオン性デンプン、スメクタイト粘土、及びこれらの組み合わせ又は誘導体などのカチオン性化合物である。これは、より好ましくは、式
(I):
{R4-m-N+-[(CH2)n-Y-R5]m}A-(I)
(式中、各Rは、独立して、水素、短鎖C1~C6、ポリ(C2~C3アルコキシ)、ベンジル、及びこれらの混合物からなる群から選択され、mは、2又は3であり、各nは、独立して、1~4であり、各Yは、独立して、-O-(O)C-又は-C(O)-O-であり、各R5における炭素の合計は、C11~C21であり、各R5は、独立して、ヒドロカルビル基又は置換ヒドロカルビル基であり、A-は、
柔軟剤適合性アニオンである)
のジエステル四級アンモニウム化合物である。
【0037】
好ましくは、式(I)中、各Rは、独立して、C1~C3アルキルから選択され、mは2であり、各nは、独立して、1~2であり、各々は、独立して、-O-(O)C-又は-C(O)-O-であり、各R5における炭素の合計はC12~C20であり、各R5は、独立して、ヒドロカルビル基又は置換ヒドロカルビル基であり、A-は、クロリド、ブロミド、メチルサルフェート、エチルサルフェート、サルフェート、又はニトレートから選択される。より好ましくは、布地柔軟剤は、好ましくは、16~20個の炭素原子、好ましくは16~18個の炭素原子の脂肪酸部分の平均鎖長を有するビス-(2-ヒドロキシエチル)-ジメチルアンモニウムクロリド脂肪酸エステルである。あるいは、布地柔軟剤は、少なくとも1つの四級化窒素原子を含むポリジメチルシロキサンポリマーなどのカチオン性シリコーンであってもよい。
【0038】
本明細書における水性すすぎ溶液は、他の材料を含んでいてもよく、その非限定的な例としては、界面活性剤、溶媒、塩(例えば、CaCl2)、酸(例えば、HCl及びギ酸)、防腐剤、及び水が挙げられる。好ましくは、本発明の水性すすぎ液は、水性洗浄液について上述したアニオン性及び非イオン性界面活性剤を実質的に含まず、より好ましくは、いかなる界面活性剤も実質的に含まない。
【実施例
【0039】
全ての実験は、5cm×5cmのニット綿スワッチ(Warwick Equest, Ltd.)を使用して行った。洗浄実験を行う前に、各ニット綿スワッチをスカトールで前処理した。その目的のために、0.0025g/mLの濃度を達成するのに必要な量のスカトールをイソプロパノールに添加することによって、溶液を調製した。次に、この溶液の10mLアリコートを各ニット綿スワッチに添加した(スカトール添加から10分以内にスワッチを使用した)。
【0040】
全ての洗浄実験は、50mLの洗浄液を入れたガラスジャーに、スカトールで前処理された6つのニット綿スワッチを導入することによって行った。洗浄液は、3gの必要な液体洗剤処方物(表1に記載の処方物A又はB)を1.5Lの水道水に溶解させることによって調製しておいた。
【0041】
比較洗浄プロセス(表2の実験1及び2)では、ジャーを、光をオフにしたライトボックス内に40分間入れ、2分ごとに手で撹拌した。その後、10mLのアリコートをジャーから採取し、洗浄液の残りを廃棄した一方、ニット綿スワッチはジャー内に残した。次に、洗浄サイクルのすすぎ段階を再現するために、40mLの水道水、予め採取しておいた10mLのアリコート、及び12.5ppmの濃度を達成するために必要な体積の香料溶液を、ニット綿スワッチを入れたジャーに添加した。10mLのアリコートをジャーに戻し入れて、洗濯機で行う主洗浄からすすぎ段階に持ち越される洗剤を再現した。次に、ジャーを、光をオフにしたライトボックスに30分間もう1回導入し、2分ごとに手で(フラスコを時計方向回転で5回穏やかに振盪することによって)撹拌した。最後に、4mLの洗浄液をGCMS(ガスクロマトグラフィー質量分析)バイアルに移して、ヘッドスペースを評価した。2つの比較洗浄プロセスを、それぞれ表1に記載の洗剤処方物の組成A及び組成Bを使用し、前述した実験手順を使用して実施した。
【0042】
【表2】
【0043】
洗浄プロセスについては、比較洗浄プロセスについて前述したのと同じ実験手順に従った(表2の実験3~6)が、この場合、表2に記載されるように、主洗浄及び/又はすすぎ段階中に光はオンにされた。表1に記載の組成A又は組成Bを有する洗剤処方物を用いて、洗浄プロセスの各々を実施した。
【0044】
【表3】
【0045】
表3は、洗浄サイクル後に残っているヘッドスペースの百分率として表される、香料及び悪臭の両方のヘッドスペース濃度を示す。比較洗浄プロセス(実験1及び2)では、使用した洗剤組成物に関係なく、線維製品を洗浄した後に悪臭が減少しないことが観察され得る。
【0046】
実験4及び6が最良の悪臭低減効果(洗浄後に微量)を示すが、すすぎ中に光をオフにすることはまた、最良の香料性能も提供する(実験6)ことが観察され得る。
【0047】
【表4】
【0048】
本明細書に開示される寸法及び値は、列挙された正確な数値に厳密に限定されるものとして理解されるべきではない。その代わりに、特に指示がない限り、そのような寸法は各々、列挙された値とその値を囲む機能的に同等な範囲との両方を意味することが意図される。例えば、「40mm」として開示される寸法は、「約40mm」を意味することが意図される。