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特許7425192ディスクスタック、ロータユニット、遠心分離機、ディスクスタックを提供する方法、およびロータユニットを提供する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-22
(45)【発行日】2024-01-30
(54)【発明の名称】ディスクスタック、ロータユニット、遠心分離機、ディスクスタックを提供する方法、およびロータユニットを提供する方法
(51)【国際特許分類】
   B01D 45/14 20060101AFI20240123BHJP
   B04B 5/12 20060101ALI20240123BHJP
   B04B 7/14 20060101ALI20240123BHJP
   F01M 13/00 20060101ALI20240123BHJP
【FI】
B01D45/14
B04B5/12
B04B7/14
F01M13/00 E
【請求項の数】 25
(21)【出願番号】P 2022528111
(86)(22)【出願日】2020-11-06
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-18
(86)【国際出願番号】 EP2020081286
(87)【国際公開番号】W WO2021094217
(87)【国際公開日】2021-05-20
【審査請求日】2022-07-12
(31)【優先権主張番号】19209240.1
(32)【優先日】2019-11-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】517431148
【氏名又は名称】アルフデックス・アーベー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】パトリック・ヨンソン
【審査官】塩谷 領大
(56)【参考文献】
【文献】特表2005-515065(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0178014(US,A1)
【文献】特表2009-532204(JP,A)
【文献】特表2012-532743(JP,A)
【文献】特表2012-504051(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 45/00-45/18
B04B 1/00-15/12
F01M 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遠心分離機(50)の分離チャンバ(48)内に取り付けられるように構成された円錐台状の分離ディスク(3)のディスクスタック(1)であって、
前記ディスク(3)は、隣接するディスク(3)の間に狭い分離空間(4)を形成するように、互いに積み重ねられ、
前記ディスク(3)は、前記ディスク(3)の半径方向外側部分(5)において、互いに溶接される、ディスクスタック(1)。
【請求項2】
前記遠心分離機(50)はクランクケースガス分離機である、請求項1に記載のディスクスタック(1)。
【請求項3】
前記ディスク(3)は、非金属材料から作られる、請求項1または2に記載のディスクスタック(1)。
【請求項4】
前記非金属材料はポリマー材料である、請求項3に記載のディスクスタック(1)。
【請求項5】
前記ディスク(3)は、前記ディスク(3)の半径方向外側部分(5)に溶接セクション(6)を備え、前記ディスク(3)は、前記溶接セクション(6)を介して互いに溶接される、請求項1から4のいずれか一項に記載のディスクスタック(1)。
【請求項6】
前記溶接セクション(6)は、それぞれの前記ディスク(3)の円錐台状の表面(7)から突き出ている、請求項に記載のディスクスタック(1)。
【請求項7】
前記溶接セクション(6)は、隣接するディスク(3)の間に狭い分離空間(4)の少なくとも部分を形成するように前記ディスク(3)を分離する、請求項またはに記載のディスクスタック(1)。
【請求項8】
各ディスク(3)は、少なくとも3つの溶接セクション(6)を備える、請求項からのいずれか一項に記載のディスクスタック(1)。
【請求項9】
前記ディスク(3)は、位置合せされた溶接セクション(6)に沿って互いに溶接される、請求項からのいずれか一項に記載のディスクスタック(1)。
【請求項10】
遠心分離機(50)のためのロータユニット(10)であって、前記ロータユニット(10)は、請求項1からのいずれか一項に記載のディスクスタック(1)と、前記ディスクスタック(1)の第1の軸方向端部(21)における第1の端部ディスク(11)と、前記ディスクスタック(1)の第2の軸方向端部(22)における第2の端部ディスク(12)とを備える、ロータユニット(10)。
【請求項11】
前記遠心分離機(50)はクランクケースガス分離機である、請求項10に記載のロータユニット(10)。
【請求項12】
前記第1および第2の端部ディスク(11、12)のそれぞれが、前記端部ディスク(11、12)の半径方向外側部分(25、25´)において前記ディスクスタック(1)に溶接され、前記ディスクスタック(1)のディスク(3)の半径方向外側部分(5)は、前記端部ディスク(11、12)に隣接する、請求項10または11に記載のロータユニット(10)。
【請求項13】
前記ロータユニット(10)は、駆動シャフトを前記第1および第2の端部ディスクの少なくとも一方(11)に接続するための駆動シャフトインターフェース(34)を備えるか、または、前記ロータユニットは、前記第1および第2の端部ディスクの少なくとも一方(11)に接続される駆動シャフト(31)、もしくは前記第1および第2の端部ディスクの少なくとも一方(11)と一体化される駆動シャフト(31)を備える、請求項10から12のいずれか一項に記載のロータユニット(10)。
【請求項14】
前記ディスク(3)の少なくとも一部分は、前記ディスク(3)の半径方向外側部分(5)における溶接部だけにより、前記駆動シャフト(31)に対して回転方向にロックされる、請求項13に記載のロータユニット(10)。
【請求項15】
ガス分離のための遠心分離機(50)であって、請求項10から14のいずれか一項に記載のロータユニット(10)を備える、遠心分離機(50)。
【請求項16】
前記遠心分離機(50)はクランクケースガス分離機である、請求項15に記載の遠心分離機(50)。
【請求項17】
遠心分離機(50)の分離チャンバ(48)内に取り付けられるように構成された円錐台状の分離ディスク(3)のディスクスタック(1)を提供する方法(100)であって、
- 隣接するディスク(3)の間に狭い分離空間(4)を形成するように、前記ディスク(3)を互いに積み重ねるステップ(110)と、
- 前記ディスク(3)の半径方向外側部分(5)において、前記ディスク(3)を互いに溶接するステップ(120)と、
を含む、方法(100)。
【請求項18】
前記遠心分離機(50)はクランクケースガス分離機である、請求項17に記載の方法(100)。
【請求項19】
各ディスク(3)は、少なくとも1つの溶接セクション(6)を備え、また前記ディスク(3)を互いに溶接するステップ(120)は、
- 隣接するディスク(3)の前記溶接セクション(6)を互いに溶接することにより、前記ディスク(3)を互いに溶接するステップ(122)
を含む、請求項17または18に記載の方法(100)。
【請求項20】
前記方法(100)は、
- 前記ディスク(3)を互いに溶接する前記ステップ(122)の前に、前記ディスク(3)の前記溶接セクション(6)を位置合せするステップ(112)
を含む、請求項19に記載の方法(100)。
【請求項21】
前記方法(100)は、
- 前記ディスク(3)を互いに溶接する前記ステップ(122)の前に、前記ディスク(3)の前記溶接セクション(6)を、前記溶接セクション(6)の連続的な溶接を可能にする位置へと位置合せするステップ(114)
を含む、請求項19または20に記載の方法(100)。
【請求項22】
前記ディスク(3)は、隣接するディスク(3)の間に前記狭い分離空間(4)を形成するスペーサ(8、6)を備え、前記方法(100)は、
- 前記ディスク(3)を互いに溶接する前記ステップ(120、122)の前に、かつ/または前記ディスク(3)を互いに溶接する前記ステップ(120、122)の間に、前記ディスクスタック(1)をその軸方向(ad)に圧縮するステップ(119)
を含む、請求項17から21のいずれか一項に記載の方法(100)。
【請求項23】
遠心分離機(50)のためのロータユニット(10)を提供する方法(200)であって、前記ロータユニット(10)は、円錐台状の分離ディスク(3)、ならびに第1および第2の端部ディスク(11、12)を備え、前記方法(200)は、
- 前記端部ディスク(11)に面する第1の軸方向端部(21)と、隣接するディスク(3、11)間に狭い分離空間(4)とを有する分離ディスク(3)のディスクスタック(1)を形成するように、前記第1および第2の端部ディスクの一方(11)の上に、前記分離ディスク(3)を互いに積み重ねるステップ(210)と、
- 前記ディスクスタック(1)の第2の軸方向端部(22)に、前記第1および第2の端部ディスク(11、12)の他方の端部ディスク(12)を配置するステップ(212)と、
- 前記ディスク(3、11、12)の半径方向外側部分(5、25、25´)において、前記ディスク(3、11、12)を互いに溶接するステップ(220)と、
を含む、方法(200)。
【請求項24】
前記遠心分離機(50)はクランクケースガス分離機である、請求項23に記載の方法(200)。
【請求項25】
前記ディスク(3、11、12)は、隣接するディスク(3、11、12)間に前記狭い分離空間(4)を形成するスペーサ(8、6)を備え、前記方法(200)は、
- 前記ディスク(3、11、12)を互いに溶接するステップ(220)の前に、かつ/または前記ディスク(3、11、12)を互いに溶接するステップ(220)の間に、前記ロータユニット(10)をその軸方向(ad)に圧縮するステップ(218)
を含む、請求項23または24に記載の方法(200)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、クランクケースガス分離機などの遠心分離機の分離チャンバ内に取り付けられるように構成された円錐台状の分離ディスクのディスクスタックに関する。本開示は、遠心分離機のためのロータユニットと、ロータユニットを備える遠心分離機と、遠心分離機の分離チャンバに取り付けられるように構成された円錐台状の分離ディスクのディスクスタックを提供する方法と、遠心分離機のためのロータユニットを提供する方法とにさらに関する。
【背景技術】
【0002】
異なる密度を有する流体の混合物は、遠心分離機を使用することにより、相互に分離することができる。遠心分離機は、異なる密度を有する流体を分離する遠心力を生成するために、高い回転速度で回転するロータユニットを備える。ロータユニットは、隣接するディスクの間で狭い分離空間を有する、互いに隣接して配置された円錐台状の分離ディスクのディスクスタックを備えることができる。
【0003】
遠心分離機は様々な目的に使用される。遠心分離機の1つの具体的な用途は、内燃機関のクランクケースガスから液相を分離することである。内燃機関のクランクケースガスは、内燃機関の燃焼室からピストンリングを通って、エンジンのクランクケースへと漏れるガスに由来する。クランクケースの中へのこの連続的なガス漏れは、クランクケース内に望ましくない圧力増加を生じて、その結果、ケーシングからガスを放出する必要性を生ずる可能性がある。クランクケースガスは、通常、小滴または細かい霧として一定量のエンジンオイル、ならびに他の液体炭化水素、すす、および他の固体の燃焼残渣を含む。これらの物質は、環境的に有害な物質であり得る。したがって、いくつかのタイプの燃焼エンジンに対して、法律は、クランクケースガスを、環境に配慮した方法で処分するように求めている。
【0004】
いくつかの内燃機関においては、クランクケースガスは、燃焼エンジンの入口へと導かれる。この方法では、クランクケースガスは、直接的に、周囲の空気へと放出されることはない。しかし、内燃機関の機能は、入口空気内にオイルが存在することにより悪影響を受けることがあり、特に、ターボ過給システムを備えるエンジンの場合はそうであり、その場合、ターボ過給システムの圧縮機の効率、ならびにその耐久性に悪影響を与える可能性がある。したがって、ガスが入口システムの中に導かれる前に、ガスにより運ばれたオイル粒子を除去するように、クランクケースガスが浄化されると有利である。この浄化プロセスは、遠心分離機で行うことができ、それは、クランクケース上に、またはそれに隣接して取り付けられ、浄化されたガスを入口システムに向けて送り、また分離されたオイルをクランクケースへと戻す。このような分離機の例は、例えば、文献米国特許第8,657,908号で開示される。
【0005】
遠心分離機のロータは、例えば、油圧式駆動機構、または電気的な駆動機構により駆動することができる。いくつかの油圧式駆動機構は、例えば、液体ジェットがタービンホイールに当たり回転力を生成するなど、衝撃力を利用する。しかし、特に反作用駆動など、他の駆動機構も企図されるが、その場合、液体ジェットは、ロータの回転軸からオフセットされた位置で、接線方向にロータから放出され、それにより、ロータの回転力が提供される。このような駆動機構の例は、文献米国特許出願公開第2005/0198932A1号において見出すことができる。
【0006】
多くの場合、遠心分離機は、遠心分離機がかなりの量の振動を受ける厳しい環境において動作する。さらにロータユニットの高い回転速度は、遠心分離機に負担をかける。まれなケースであるが、ロータユニットのディスクスタックのディスクに変位が生ずる可能性があり、それは、遠心分離機の機能に対して有害であり得る。したがって、遠心分離機用の構成要素を作るとき、その構成要素が、確実にエンジンの寿命まで続く十分な耐久性があると有利である。
【0007】
さらに、概して今日の消費者市場において、遠心分離機および関連する構成要素などの製品が費用効率の高い方法で製作され、かつ組み立てられるのに適した条件および/または特性を有すると有利である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】米国特許第8,657,908号
【文献】米国特許出願公開第2005/0198932A1号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
前述の問題および欠点の少なくともいくつかを克服する、または少なくとも軽減することが本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1の態様によれば、本目的は、好ましくはクランクケースガス分離機である、遠心分離機の分離チャンバ内に取り付けられるように構成された円錐台状の分離ディスクのディスクスタックにより達成される。ディスクは、隣接するディスクの間に狭い分離空間を形成するように互いに積み重ねられ、またディスクは、ディスクの半径方向外側部分において互いに溶接される。
【0011】
ディスクは、ディスクの半径方向外側部分において、互いに溶接されるので、剛性があり、かつ耐久性のあるディスクスタックが提供される。さらにディスクスタックのディスクに生ずるその後の変位を回避することができる。さらにディスクは、ディスクの半径方向外側部分において互いに溶接されるので、迅速かつ費用効率の高い方法で製作し、組み立てるのに適した条件および特性を有するディスクスタックが提供される。これは、ディスクを互いに溶接するプロセスが、ディスクスタックの製作および組立を大幅に容易にするためである。
【0012】
したがって、前述の問題および欠点の少なくともいくつかを克服する、または少なくとも軽減するディスクスタックが提供される。その結果、前述の目的が達成される。
【0013】
任意選択で、ディスクは、好ましくはポリマー材料である非金属材料から作られる。それにより、軽量なディスクスタックを提供することができ、またそのさらに容易な製作を行うための条件を有するディスクスタックが提供される。これは、ディスクを互いに溶接するプロセスが、大幅に容易になり得るためである。
【0014】
任意選択で、ディスクは、ディスクの半径方向外側部分に溶接セクションを備え、またディスクは、溶接セクションを介して互いに溶接される。それにより、さらに剛性があり、耐久性のあるディスクスタックが提供される。さらに、ディスクは、溶接セクションを介して互いに溶接されるので、さらに迅速かつより費用効率の高い方法で製作し、組み立てるのに適した条件および特性を有するディスクスタックが提供される。これは、ディスクを互いに溶接するプロセスが大幅に容易になるためである。
【0015】
任意選択で、溶接セクションは、各ディスクの円錐台状の表面から突き出ている。溶接セクションが、各ディスクの円錐台状の表面から突き出ているので、溶接セクションの連続的かつ一貫した溶接を得るための条件が提供される。それにより、さらに剛性があり、耐久性のあるディスクスタックが提供され得る。さらに迅速かつより費用効率の高い方法で製作し、かつ組み立てるのに適した条件および特性を有するディスクスタックが提供される。これは、ディスクを互いに溶接するプロセスが、大幅に容易になり得るためである。
【0016】
任意選択で、溶接セクションは、隣接するディスクの間で狭い分離空間の少なくとも部分を形成するようにディスクを分離する。それにより、溶接セクションが、溶接プロセスを容易にし、かつ隣接するディスク間に狭い分離空間の少なくとも部分を形成するように、ディスクを分離するためのスペーサとして働くディスクスタックが提供される。その結果、さらに迅速に、かつより費用効率の高い方法で製作し、組み立てるのに適した条件および特性を有するディスクスタックが提供される。これは、溶接セクションを溶接する前、かつ/またはその間に、ディスクスタックを、その軸方向に圧縮できるためである。この方法では、隣接するディスク間で一様な狭い分離空間を、迅速に、簡単に、かつ信頼性のある方法で設けることができ、また圧縮力は、剛性があり、耐久性のあるディスクスタックを保証することができる。さらに、組立中に、ディスクスタックを軸方向に圧縮する圧縮ばねに対する必要性、およびその使用が回避される。これは、溶接されるとき、溶接セクションが、ディスクスタックのディスク間で圧縮力が確実に得られるようにできるためである。したがって、これらの特徴により、軽量で、より剛性があり、かつより耐久性のあるディスクスタックが、費用効率の高い方法で提供され得る。
【0017】
任意選択で、溶接セクションは、ディスクから半径方向に突き出ている。それにより、ディスクを互いに溶接するプロセスが大幅に容易になる。さらに溶接セクションは、ディスクを互いに溶接する前に、互いに対して簡単な方法で位置合せすることができる。したがって、これらの特徴により、さらに迅速かつより費用効率の高い方法で製作し、組み立てるのに適した条件および特性を有するディスクスタックが提供される。
【0018】
任意選択で、各ディスクは、好ましくは円周方向に配分された少なくとも3つの溶接セクションを備える。それにより、剛性があり、かつ耐久性のあるディスクスタックが提供され得る。
【0019】
任意選択で、ディスクは、位置合せされた溶接セクションに沿って互いに溶接される。それにより、ディスクを互いに溶接するプロセスが、大幅に容易になる。さらに、より剛性があり、耐久性のあるディスクスタックが提供される。したがって、これらの特徴により、さらに迅速かつより費用効率の高い方法で製作し、組み立てるのに適した条件および特性を有するディスクスタックが提供される。
【0020】
本発明の第2の態様によれば、目的は、好ましくはクランクケースガス分離機である、遠心分離機のためのロータユニットにより達成され、ロータユニットは、本開示のいくつかの実施形態によるディスクスタックと、ディスクスタックの第1の軸方向端部における第1の端部ディスクと、ディスクスタックの第2の軸方向端部における第2の端部ディスクとを備える。
【0021】
ディスクスタックのディスクは、ディスクの半径方向外側部分において互いに溶接されるので、剛性があり、耐久性のあるロータユニットが提供される。さらに、ディスクスタックのディスクのその後に生ずる変位を回避することができる。さらに、ディスクスタックのディスクは、ディスクの半径方向外側部分で互いに溶接されるので、迅速かつ費用効率の高い方法で製作し、組み立てるのに適した条件および特性を有するロータユニットが提供される。これは、ディスクスタックのディスクを互いに溶接するプロセスが、ディスクスタックの製作および組立を大幅に容易にするためである。
【0022】
したがって、前述の問題および欠点の少なくともいくつかを克服する、または少なくとも軽減するロータユニットが提供される。その結果、前述の目的は達成される。
【0023】
任意選択で、第1および第2の端部ディスクのそれぞれが、端部ディスクの半径方向外側部分において、ディスクスタックに溶接され、またディスクスタックのディスクの半径方向外側部分は、端部ディスクに隣接する。それにより、さらに迅速かつより費用効率の高い方法で製作し、組み立てるのに適した条件および特性を有するロータユニットが提供される。これは、第1および第2の端部ディスクが、ディスクスタックのディスクと同じ製作方法を用いて、ディスクスタックに取り付けられるためである。これらの特徴のさらなる結果として、第1よび第2の端部ディスク、ならびにディスクスタックのディスクは、1つの溶接ステップを用いて互いに取り付けることができ、それは、ロータユニットの組立および製作をさらに容易にする。
【0024】
任意選択で、ロータユニットは、駆動シャフトを、第1および第2の端部ディスクの少なくとも一方に接続するための駆動シャフトインターフェースを備える、またはロータユニットは、第1および第2の端部ディスクの少なくとも一方に接続される、もしくは一体化される駆動シャフトを備える。それにより、簡単であり、効率的、かつ信頼性のある方法で、遠心分離機の分離チャンバ内で、ロータユニットを回転させることができる。
【0025】
任意選択で、ディスクの少なくとも一部分は、ディスクの半径方向外側部分における溶接だけにより、駆動シャフトに対して回転方向にロックされる。それにより、軽量なロータユニットを提供することができる。さらに、向上させた流体流れ特性に対する条件を有するロータユニットが提供される。これは、ディスクスタックのディスクの半径方向内側のより多くの空間に対する条件が提供され、かつディスクを駆動シャフトに対して回転方向にロックするための別の保持構造に対する必要性が回避されるためである。
【0026】
任意選択で、ロータユニットは、好ましくはクランクケースガス分離機である、遠心分離機の分離チャンバ内で、動作中に回転軸回りで回転するように構成され、ここで、ロータユニットは、ディスクスタックのディスクの半径方向内側に中空の空間を備え、また中空の空間は、回転軸を通って延びる。それにより、軽量なロータユニットが提供され得る。さらに向上させた流体流れ特性に対する条件を有するロータユニットが提供される。これは、中空空間が、ディスクスタックのディスクの半径方向内側で利用可能な大きな空間を有するための条件を提供するからである。
【0027】
本発明の第3の態様によれば、本目的は、好ましくはクランクケースガス分離機である、ガス分離のための遠心分離機により達成され、ここで、遠心分離機は、本開示のいくつかの実施形態によるロータユニットを備える。
【0028】
遠心分離機は、いくつかの実施形態によるロータユニットを備えるので、迅速かつ費用効率の高い方法で製作し、組み立てるのに適した条件および特性を有する遠心分離機が提供される。さらに、ロバストであり、耐久性のあるロータユニットを有する遠心分離機が提供される。
【0029】
したがって、前述の問題および欠点の少なくともいくつかを克服する、または少なくとも軽減する遠心分離機が提供される。その結果、前述の目的が達成される。
【0030】
本発明の第4の態様によれば、目的は、好ましくはクランクケースガス分離機である、遠心分離機の分離チャンバに取り付けられるように構成された円錐台状の分離ディスクのディスクスタックを提供する方法により達成され、方法は、
- 隣接するディスクの間に狭い分離空間を形成するように、ディスクを互いに積み重ねるステップと、
- ディスクの半径方向外側部分において、ディスクを互いに溶接するステップと
を含む。
【0031】
方法は、ディスクの半径方向外側部分において、ディスクを互いに溶接するステップを含むので、剛性があり、耐久性のあるディスクスタックを製作するための迅速かつ費用効率の高い方法が提供される。
【0032】
したがって、前述の問題および欠点の少なくともいくつかを克服する、または少なくとも軽減する方法が提供される。その結果、前述の目的が達成される。
【0033】
任意選択で、各ディスクは、少なくとも1つの溶接セクションを備え、ディスクを互いに溶接するステップは、
- 隣接するディスクの溶接セクションを互いに溶接することにより、ディスクを互いに溶接するステップ
を含む。
【0034】
それにより、より迅速であり、さらに費用効率の高い方法が、ディスクスタックを製作するために提供される。さらに本方法を使用すると、さらに剛性があり、かつ耐久性のあるディスクスタックを提供することができる。
【0035】
任意選択で、方法は、
- ディスクを互いに溶接するステップの前に、ディスクの溶接セクションを位置合せするステップ
を含む。
【0036】
それにより、より迅速な、さらに費用効率の高い方法が、ディスクスタックを製作するために提供される。これは、ディスクを互いに溶接する後続するステップが、大幅に容易になるためである。さらに本方法を用いると、より剛性があり、耐久性のあるディスクスタックを提供することができる。
【0037】
任意選択で、ディスクの溶接セクションを位置合せするステップは、
- ディスクを互いに溶接するステップの前に、ディスクの溶接セクションを、溶接セクションの連続的な溶接を可能にする位置へと位置合せするステップ
を含む。
【0038】
それにより、より迅速な、さらに費用効率の高い方法が、ディスクスタックを製作するために提供される。これは、ディスクを互いに溶接する後続するステップが、大幅に容易になるためである。さらに、本方法を用いると、さらに剛性があり、耐久性のあるディスクスタックを提供することができる。
【0039】
任意選択で、ディスクは、隣接するディスクの間に狭い分離空間を形成するスペーサを備え、方法は、
- ディスクを互いに溶接するステップの前に、かつ/またはその間に、ディスクスタックをその軸方向に圧縮するステップ
を含む。
【0040】
それにより、本方法を使用するとき、より剛性があり、耐久性のあるディスクスタックが提供される。これは、ディスクスタックをその軸方向に圧縮することは、隣接するディスク間に一様な狭い分離空間を保証するからであり、それは、本方法が使用されると、迅速であり、簡単かつ信頼性のある方法で提供され得る。さらに圧縮力は、迅速に、剛性があり、耐久性のあるディスクスタックを保証することができる。さらに、ディスクスタックをその軸方向に圧縮する圧縮ばねに対する必要性が回避される。これは、ディスクの溶接部分により、圧縮力がディスクスタックのディスク間で確実に得られるようにするからである。したがって、これらの特徴により、本方法を用いると、軽量であり、より剛性、および耐久性のあるディスクスタックを、費用効率の高い方法で提供することができる。
【0041】
本発明の第5の態様によれば、本目的は、好ましくはクランクケースガス分離機である、遠心分離機のためのロータユニットを提供する方法により達成され、ここで、ロータユニットは、円錐台状の分離ディスク、ならびに第1および第2の端部ディスクを備え、方法は、
- 端部ディスクに面する第1の軸方向端部と、隣接するディスク間に狭い分離空間とを有する分離ディスクのディスクスタックを形成するように、第1および第2の端部ディスクの一方の上に分離ディスクを互いに積み重ねるステップと、
- ディスクスタックの第2の軸方向端部において、第1および第2の端部ディスクの他方の端部ディスクを配置するステップと、
- ディスクの半径方向外側部分において、ディスクを互いに溶接するステップと
を含む。
【0042】
本方法は、ディスクの半径方向外側部分において、ディスクを互いに溶接するステップを含むので、迅速かつ費用効率の高い方法が、遠心分離機用の剛性および耐久性のあるロータユニットを製作するために提供される。
【0043】
したがって、前述の問題および欠点の少なくともいくつかを克服する、または少なくとも軽減する方法が提供される。その結果、前述の目的が達成される。
【0044】
任意選択で、ディスクは、隣接するディスク間に狭い分離空間を形成するスペーサを備え、方法は、
- ディスクを互いに溶接するステップの前、かつ/またはその間に、ロータユニットをその軸方向に圧縮するステップ
を含む。
【0045】
それにより、本方法を用いると、より剛性があり、耐久性のあるロータユニットが提供される。これは、ロータユニットのその軸方向への圧縮が、隣接するディスク間に一様な狭い分離空間を確実にするためであり、それは、本方法を用いると、迅速であり、簡単かつ信頼性のある方法で提供され得る。さらに、圧縮力は、迅速な方法で、剛性および耐久性のあるロータユニットを保証することができる。さらにディスクスタックをその軸方向に圧縮する圧縮ばねの必要性が回避される。これは、ディスクの溶接された部分が、圧縮力を、ロータユニットのディスク間で確実に得られるようにするからである。したがって、これらの特徴により、本方法を用いたとき、軽量で、より剛性があり、耐久性のあるロータユニットが、費用効率の高い方法で提供され得る。
【0046】
添付の特許請求の範囲、および以下の詳細な説明を検討すれば、本発明のさらなる特徴、およびその利点が明らかになろう。
【0047】
本発明の様々な態様は、その特定の特徴および利点を含めて、以下の詳細な説明で論じられる例示的な実施形態、および添付図面から容易に理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0048】
図1】いくつかの実施形態による、組み立てた状態のロータユニットの斜視図である。
図2図1で示されたロータユニットのディスクスタックを示す図である。
図3図1で示された実施形態による、分解された状態のロータユニットの斜視図である。
図4図1から図3で示されたディスクスタックの分離ディスクの一部を示す図である。
図5図1および図3で示された実施形態による、部分的に組み立てられた状態のロータユニットの斜視図である。
図6図1図3、および図5で示された実施形態によるロータユニットの横断面を示す図である。
図7】いくつかのさらなる実施形態によるロータユニットを示す図である。
図8】いくつかの実施形態による遠心分離機を通る横断面を概略的に示す図である。
図9】遠心分離機の分離チャンバ内に取り付けられるように構成された円錐台状の分離ディスクのディスクスタックを提供する方法を示す図である。
図10】遠心分離機のためのロータユニットを提供する方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0049】
本発明の諸態様を次に、より完全に述べるものとする。同様の数字は、全体を通して同様の要素を指す。よく知られた機能または構成は、簡単化のため、かつ/または明確化のために、必ずしも詳細に説明しないものとする。
【0050】
図1は、いくつかの実施形態による、組み立てた状態のロータユニット10の斜視図を示す。ロータユニット10は、クランクケースガス分離機の分離チャンバなど、遠心分離機の分離チャンバ内に取り付けられるように構成され、それを本明細書でさらに説明する。ロータユニット10は、異なる密度を有する物質を分離するために、遠心分離機で動作中に、回転軸axの回りで回転するように構成される。示された実施形態によれば、ロータユニット10は、駆動機構に接続するための駆動シャフト31と、軸受などの支持機構に接続するための支持シャフト32とを備え、本明細書でさらに説明される。
【0051】
ロータユニット10は、円錐台状の分離ディスク3のディスクスタック1を備える。簡単化および明確化のために、分離ディスク3は、本明細書のいくつかの場所において、「ディスク3」と称する。図1で見られるように、ディスク3は、隣接するディスク3の間に狭い分離空間4を形成するように互いに積み重ねられる。さらにディスクスタック1のディスク3は、ディスク3の半径方向外側部分5において互いに溶接され、本明細書でさらに説明されるように、いくつかの利点を提供する。
【0052】
示された実施形態によれば、ロータユニット10は、ディスクスタック1の第1の軸方向端部21に第1の端部ディスク11と、ディスクスタック1の第2の軸方向端部22に第2の端部ディスク12とを備える。ディスクスタック1のディスク3は、ポリマー材料から、すなわち、非金属材料から作ることができる。同様に、第1および第2の端部ディスク11、12もまた、ポリマー材料から作ることができる。単なる例としてであるが、ディスク3、11、12は、ガラス繊維など、繊維強化ポリマーから作ることができる。さらにディスク3、11、12は、ガラス繊維などの繊維強化ポリマーを含む、または含まない、PA66などのポリアミド、またはナイロンから作ることができる。いくつかの実施形態によれば、ディスクスタック1のディスク3、ならびに第1および第2の端部ディスク11、12は、同じ材料から作られる。この方法では、ディスク3、11、12を相互に溶接することが容易になり、また本明細書でさらに説明するように、連続的で一貫性があり、かつ強度を有する溶接を提供することができる。第1および第2の端部ディスク11、12は、ディスクスタック1のディスク3よりもさらに構造的に剛性がある。
【0053】
さらに示された実施形態によれば、第1および第2の端部ディスク11、12のそれぞれは、端部ディスク11、12の半径方向外側部分25、25'においてディスクスタック1に、かつディスクスタック1の隣接するディスク3の半径方向外側部分5に溶接され、本明細書でさらに説明されるように、それはいくつかの利点を提供する。
【0054】
図2は、図1で示されたロータユニット10のディスクスタック1を示す。前述のように、ディスクスタック1は、円錐台状の分離ディスク3を備える。ディスク3は、隣接するディスク3の間に狭い分離空間4を形成するように互いに積み重ねられる。さらに図2で分かるように、ディスクスタック1のディスク3は、ディスク3の半径方向外側部分5において互いに溶接される。
【0055】
図3は、図1で示された実施形態による、分解された状態のロータユニット10の斜視図を示す。図3で分かるように、ディスク3は、ディスク3の半径方向外側部分5において、溶接セクション6を備える。本明細書でさらに説明されるように、示された実施形態に従ってディスクスタック1を組み立てるとき、ディスク3は、溶接セクション6を介して互いに溶接される。
【0056】
示された実施形態によれば、各ディスク3は、各ディスク3の円周回りに、互いに等しい距離に配置された12個の溶接セクション6を備える。さらなる実施形態によれば、各ディスク3は、少なくとも3個の溶接セクション6、または少なくとも6個の溶接セクション6を備えることができ、それは、各ディスク3の円周回りで互いに等しい距離に位置することができる。
【0057】
ディスクスタック1のディスク3は、各ディスク3の円錐台状の表面7から突き出たスペーサ8を備える。ディスク3の1つの円錐台状の表面7から突き出たスペーサ8は図2でも見えており、かつ示されている。スペーサ8は、図1および図2で示されている、隣接するディスク3の間に狭い分離空間4を形成する。
【0058】
図4は、図1から図3で示されたディスクスタック1の分離ディスク3の一部を示す。図4で示されるように、スペーサ8は、円錐台状の表面7の面法線Nの方向に、各ディスク3の円錐台状の表面7から突き出ている。面法線Nの方向に測定されたスペーサ8の高さHは、図1から図3で示された、隣接するディスク3の間の狭い分離空間4の幅に相当する。面法線Nの方向に測定されたスペーサ8の高さHは、例えば、0.15mmから1mm、より好ましくは0.20mmから0.60mmの範囲に含まれ得る。さらに面法線Nの方向に、各ディスク3の円錐台状の表面7から突き出たスペーサ8があるため、ディスクスタックをその軸方向に圧縮することにより、隣接するディスク間に一様な狭い分離空間を、迅速で、簡単、かつ効率的に設けることができ、それは本明細書でさらに説明される。
【0059】
さらに、図3および図4で分かるように、溶接セクション6はまた、各ディスク3の円錐台状の表面7から突き出ている。図4で示されるように、示された実施形態によれば、円錐台状の表面7の面法線Nの方向に測定して、溶接セクション6の高さHは、面法線Nの方向に測定されたスペーサ8の高さHに相当する。したがって、示された実施形態によれば、円錐台状の表面7の面法線Nの方向に測定された、溶接セクション6の高さHはまた、図1から図3で示された隣接するディスク3の間の狭い分離空間4の幅に相当する。この方法では、溶接セクション6は、図1から図3で示された、隣接するディスク3の間の狭い分離空間4の少なくとも部分を形成するように、ディスク3を分離する。さらにこれらの特徴により、溶接セクション6の連続的かつ一貫性のある溶接が、迅速であり、簡単かつ効率的に提供され得る。
【0060】
さらに図3および図4で分かるように、示された実施形態によれば、溶接セクション6は、各ディスク3から半径方向に突き出ている。ディスク3の半径方向rdが図4で示されている。溶接セクション6が、各ディスク3から半径方向に突き出ているので、溶接セクション6を介してディスク3を互いに溶接する前、または溶接中に溶接セクション6の位置合せプロセスが容易になり、それを本明細書でさらに説明する。さらに、溶接セクション6は各ディスクから半径方向に突き出ているので、ディスク3を互いに溶接するプロセスが容易になる。溶接セクション6が、各ディスク3から半径方向に突き出さない実施形態もまた企図されることに留意されたい。
【0061】
半径方向に突き出た溶接セクション6は、溶接後、すなわち、溶接セクション6が互いに溶接されたときの組立状態において、ディスク3の半径を越えて半径方向に突き出ないように構成できることにも留意されたい。
【0062】
実施形態によれば、溶接セクション6は、取付け具または同様のものを用いて、ディスク3を互いに溶接する前に位置合せすることができる。
【0063】
図5は、図1および図3で示された実施形態による、部分的に組み立てられた状態のロータユニット10の斜視図を示す。図5では、分離ディスク3は、第1の端部ディスク11の上に相互に積み重ねられて、第1の端部ディスク11に面する第1の軸方向端部21と、隣接するディスク3、11の間に狭い分離空間4とを有する分離ディスク3のディスクスタック1を形成する。さらに第2の端部ディスク12が、ディスクスタック1の第2の軸方向端部22に配置される。
【0064】
図5では、ロータユニット10は、ディスク3、11、12が互いに溶接される前の状態で示されている。示された実施形態によれば、第1および第2の端部ディスク11、12のそれぞれは、溶接セクション6'、6"を備える。簡単化および明確化のために、第1および第2の端部ディスク11、12は、本明細書のいくつかの場所において「ディスク11、12」と称される。図5で分かるように、ディスク3、11、12の溶接セクション6、6'、6"は、溶接セクション6、6'、6"の連続的かつ一貫性のある溶接を可能にする位置に位置合せされる。図5では、ディスク3、11、12の溶接セクション6、6'、6"は、溶接セクション6、6'、6"が線9に沿って延び、かつ溶接セクション6、6'、6"の列35を形成する位置に位置合せされる。さらに図5では、ディスク3、11、12の溶接セクション6、6'、6"は、溶接セクション6、6'、6"が、ディスクスタック1の回転軸axに対して実質的に平行である各直線9に沿って延びる位置に位置合せされる。この方法では、ディスク3の溶接セクション6、6'、6"は、互いに溶接されて、連続的かつ一貫性のある溶接を、迅速であり簡単かつ効率的に線9に沿って提供することができる。
【0065】
さらなる実施形態によれば、ディスク3、11、12の溶接セクション6、6'、6"は、溶接セクション6、6'、6"が湾曲した線に沿って延びる位置に位置合せすることもできる。例として、ディスク3、11、12の溶接セクション6、6'、6"は、溶接セクション6、6'、6"が、溶接セクション6、6'、6"の部分的にらせん形状のパターンを形成する位置へと位置合せすることができる。
【0066】
以下では、ロータユニット10の組立プロセスが説明される。組立プロセスは、組立者または組立機械により実施することができる。組立プロセスにおいては、分離ディスク3は、第1の端部ディスク11の上に相互に積み重ねられ、すなわち、置かれて、第1の端部ディスク11に面する第1の軸方向端部21と、隣接するディスク3、11の間に狭い分離空間4とを有する分離ディスク3のディスクスタック1を形成し得る。さらに第2の端部ディスク12が、ディスクスタック1の第2の軸方向端部22に配置され得る。
【0067】
ディスク3、11、12を互いに溶接する前に、ディスク3、11、12の溶接セクション6、6'、6"が、溶接セクション6、6'、6"の連続的かつ一貫性のある溶接を可能にする位置へと位置合せされ得る。溶接セクション6、6'、6"を位置合せするプロセスは、ディスク3、11、12を互いに積み重ねるプロセス中に、またはその後に実施することができる。ディスク3、11、12を積み重ねて、溶接セクション6、6'、6"を位置合せした後、ロータユニット10が、図5で示されるように提供される。
【0068】
溶接セクション6、6'、6"を溶接する前、かつ/またはその間に、ロータユニット10は、その軸方向adに圧縮され得る。ロータユニット10の圧縮は、ロータユニット10の軸方向adに第1および第2の端部ディスク11、12に対して対向する力を加えることによって得ることができる。いくつかの実施形態によれば、ロータユニット10は、隣接するディスク3、11、12の溶接セクション6を互いに溶接することにより、ディスク3、11、12を互いに溶接する間に、その軸方向adに圧縮される。この方法では、隣接するディスク3、11、12の間に一様な狭い分離空間4が、迅速であり、簡単かつ信頼性のある方法で提供され得る。さらに圧縮力は、剛性があり耐久性のあるロータユニット10を保証することができる。さらにロータユニット10をその軸方向adに圧縮する圧縮ばねに対する必要性が回避される。これは、溶接セクション6、6'、6"は、溶接されたとき、圧縮力が確実にロータユニット10のディスク3、11、12の間で得られるようにできるからである。
【0069】
溶接中に、溶接セクション6、6'、6"の少なくとも部分が溶けて、冷却したとき共に接合され、それは、溶接セクション6、6'、6"の間の融合を生ずる。溶接されたとき、ロータユニット10は、図1で示されるように提供される。ロータユニット10のディスク3、11、12は、超音波溶接、熱ジグ溶接または同様のものを用いて、互いに溶接することができる。
【0070】
図6は、図1図3、および図5で示された実施形態によるロータユニット10の横断面を示す。図6の横断面は、ロータユニット10の回転軸axを含む平面内にある。
【0071】
示された実施形態によれば、ロータユニット10の駆動シャフト31は、第1の端部ディスク11に接続される。代替として、または加えて、ロータユニット10の駆動シャフト31は、第2の端部ディスク12に接続され得る。さらに、いくつかの実施形態によれば、駆動シャフト31は、第1および第2の端部ディスク11、12の一方または両方と一体にすることもできる。示された実施形態によれば、ディスクスタック1のディスク3は、ディスク3の半径方向外側部分5における溶接部によってのみ、駆動シャフト31に回転的にロックされる。この方法では、向上させた流体流れ特性に対する条件を有するロータユニット10が提供され、それはさらに本明細書で説明される。さらに、低重量を有するための条件を有するロータユニット10が提供される。
【0072】
示された実施形態によれば、ロータユニット10は、ディスクスタック1のディスク3の半径方向内側に中空の空間33を備える。中空の空間33は、回転軸axを通って延びる。すなわち、示された実施形態によれば、ロータユニットのシャフト31、32、すなわち、駆動シャフト31および支持シャフト32は、ディスクスタック1のディスク3の半径方向内側の中空の空間33の中へと延びない。したがって、シャフトのない中空の空間33が、ディスクスタック1のディスク3の半径方向内側に提供される。この方法では、ロータユニット10の動作中に、ロータユニット10を通って流れる流体の、すなわち、第2の端部ディスク12における入口開口部37から、隣接するディスク3、11、12の間の狭い分離空間4へと中空の空間33を通って流れる流体の向上した流れ特性が提供される。第2の端部ディスク12における入口開口部37は、図1にも示されている。
【0073】
図7は、いくつかのさらなる実施形態によるロータユニット10を示す。図7で示されたロータユニット10は、図1図3図5、および図6で示されたロータユニット10と同じ特徴、機能、および利点を備えるが、いくつかの例外が以下で説明される。図7で示された実施形態によれば、ロータユニット10は、ロータユニット10に駆動シャフトを接続するための駆動シャフトインターフェース34を備える。示された実施形態によれば、駆動シャフトインターフェース34は、第2の端部ディスク12に接続される。したがって、示された実施形態によれば、駆動シャフトインターフェース34は、駆動シャフトを第2の端部ディスク12に接続するように構成される。代替として、または加えて、駆動シャフトインターフェース34は、駆動シャフトを第1の端部ディスク11に接続するように構成することができる。
【0074】
図8は、いくつかの実施形態による、遠心分離機50を通る横断面を概略的に示す。遠心分離機50は、図1図3図5、および図6で示された実施形態によるロータユニット10を備える。示された実施形態によれば、遠心分離機50は、ロータユニット10を用いて、内燃機関のクランクケースガスから、液相ならびに粒子および/または物質を分離するように構成されたクランクケースガス分離機である。さらなる実施形態によれば、遠心分離機50は、排気ガス以外の他のタイプの流体から、液相、粒子、および/または物質を分離するように構成された別のタイプのロータ分離機とすることができる。遠心分離機50は、分離チャンバ48を形成するハウジング44を備える。ハウジング44は、静的なハウジング44であり、それは、動作中に内燃機関に対して静的であるように構成されることを意味する。遠心分離機50は、分離チャンバ48の中にガスを流入させるための入口56を備える。さらに遠心分離機50は、支持シャフト32を保持し、かつ支持する軸受51と、駆動シャフト31にトルクを加えることにより回転軸axの回りでロータユニット10を回転させるように構成された駆動機構52、54とを備える。
【0075】
図8で示された遠心分離機50は、油圧式ノズル52およびタービンホイール54を有する油圧式駆動機構52、54を備える。油圧式ノズル52は、内燃機関のエンジンオイル回路に接続することができる。このような実施形態によれば、内燃機関の動作中に、オイルが油圧式ノズル52を通って駆動シャフト31に接続されたタービンホイール54へとポンプ送りされて、それにより、駆動シャフト31およびロータユニット10を回転させることができる。代替的に、遠心分離機50は、反作用駆動などの別タイプの油圧式駆動機構を備えることができ、その場合、液体ジェットが、ロータから接線方向に、ロータの回転軸からオフセットされた位置で放出され、それにより、ロータの回転力が提供される。さらなる代替として、遠心分離機50は、駆動シャフト31およびロータユニット10を回転するように構成された電気モータなどの電気的な駆動機構を備えることができる。さらに他の代替形態として、遠心分離機50は、駆動シャフト31に接続されたタービンホイールを備えることができ、その場合、タービンホイールは、内燃機関からの排気ガスにより駆動されて、駆動シャフト31およびロータユニット10を回転するように構成される。さらに、他のさらなる代替形態として、遠心分離機50は、駆動シャフト31およびロータユニット10を回転するように、すなわち、発電機駆動シャフトまたは同様のものに駆動ベルトを介して接続することにより回転するように構成された機械的な駆動機構を備えることができる。
【0076】
図8で示された遠心分離機50は、支持シャフト32の周りにクランクケースガスのための入口56を備える。しかし、遠心分離機50は、ハウジング44の上側領域にクランクケースガスのための別の入口を備えることもできる。入口56から、クランクケースガスは、ロータユニット10の中へと導かれる。明確化および簡単化のために、分離ディスクは、図8に示されていない。ロータユニット10の回転中に、クランクケースガスからのオイル粒子、ならびに他の粒子および/または物質は、ガスから分離される。分離されたオイル粒子、ならびに他の粒子および/または物質は、遠心分離機50のオイル出口58へと導かれ、それは、ホイール54を駆動するために使用される油圧式ノズル52からのオイルと共に、内燃機関のエンジンオイル回路へと導かれて戻る。遠心分離機50は、浄化されたクランクケースガス出口60をさらに備え、浄化されたクランクケースガスは、内燃機関の入口へと導かれる、または周囲の空気の中に導かれる。
【0077】
入口および出口、ならびに円錐形のディスクの方向は、本発明の範囲を逸脱することなく変えることができることに留意されたい。浄化されるガスは、ディスクスタックおよびロータの中心の中へと導かれ、ディスクスタック内で半径方向外側に移動し、かつ分離されたガスおよび粒子として、ディスクスタックからその周辺において離れる。これは、上からまたは下からのガス入口により達成することができ、浄化されたガス用の出口はディスクスタックの上または下に配置され、ディスクの内面は上方または下方に向いている。
【0078】
図9は、遠心分離機の分離チャンバに取り付けられるように構成された円錐台状の分離ディスクのディスクスタックを提供する方法100を示す。方法は、図8で示された実施形態による遠心分離機50の分離チャンバ48内に取り付けられるように構成された、図1から図3、および図5から図7で示された実施形態によるディスクスタック1を提供することを含むことができる。さらにいくつかの特徴は、図4を参照して説明されている。したがって、以下では、図1から図9への同時参照が行われる。図9で示された方法100は、遠心分離機50の分離チャンバ48内に取り付けられるように構成された円錐台状の分離ディスク3のディスクスタック1を提供する方法100である。方法100は、
- 隣接するディスク3の間に狭い分離空間4を形成するように、ディスク3を互いに積み重ねるステップ110と、
- ディスク3の半径方向外側部分5において、ディスク3を互いに溶接するステップ120と
を含む。
【0079】
いくつかの実施形態によれば、各ディスク3は、少なくとも1つの溶接セクション6を備え、またディスク3を互いに溶接するステップ120は、
- 隣接するディスク3の溶接セクション6を互いに溶接することにより、ディスク3を互いに溶接するステップ122
を含む。
【0080】
図9で示されるように、方法100は、
- ディスク3を互いに溶接するステップ122の前に、ディスク3の溶接セクション6を位置合せするステップ112
を含むことができる。
【0081】
さらに図9で示されるように、方法100は、
- ディスク3を互いに溶接するステップ122の前に、溶接セクション6の連続的かつ一貫性のある溶接を可能にする位置に、ディスク3の溶接セクション6を位置合せするステップ114
を含むことができる。
【0082】
図9で示されるように、方法100は、
- ディスク3を互いに溶接するステップ122の前に、線9に沿って延びるように、ディスク3の溶接セクション6を位置合せするステップ116
を含むことができる。
【0083】
さらに図9で示されるように、方法100は、
- ディスクを互いに溶接するステップ122の前に、ディスクスタック1の回転軸axに対して実質的に平行な線9に沿って延びるように、ディスク3の溶接セクション6を位置合せするステップ118
を含むことができる。
【0084】
いくつかの実施形態によれば、ディスク3は、隣接するディスク3の間に狭い分離空間4を形成するスペーサ8、6を備え、また方法100は、
- ディスク3を互いに溶接するステップ120、122の前に、かつ/またはその間に、ディスクスタック1を、その軸方向adに圧縮するステップ119
を含む。
【0085】
図10は、遠心分離機のためのロータユニットを提供する方法200を示す。ロータユニットは、図8で示された実施形態による遠心分離機50の分離チャンバ48内に取り付けるように構成された図1図3、および図5から図7で示された実施形態によるロータユニット10とすることができる。さらにいくつかの特徴が、図2および図4を参照して説明される。したがって、以下では、図1から図8、および図10への同時参照が行われる。
【0086】
図10で示される方法200は、遠心分離機50のためのロータユニット10を提供する方法200であり、ロータユニット10は、円錐台状の分離ディスク3と、第1および第2の端部ディスク11、12とを備える。方法200は、
- 端部ディスク11に面する第1の軸方向端部21と、隣接するディスク3、11の間に狭い分離空間4とを有する分離ディスク3のディスクスタック1を形成するように、第1および第2の端部ディスクの一方11の上に、分離ディスク3を互いに積み重ねるステップ210と、
- ディスクスタック1の第2の軸方向端部22に、第1および第2の端部ディスク11、12の他方の端部ディスク12を配置するステップ212と、
- ディスク3、11、12の半径方向外側部分5、25、25'において、ディスク3、11、12を互いに溶接するステップ220と
を含む。
【0087】
いくつかの実施形態によれば、各ディスク3、11、12は、少なくとも1つの溶接セクション6、6'、6"を備え、またディスク3、11、12を互いに溶接するステップ220は、
- 隣接するディスク3、11、12の溶接セクション6、6'、6"を互いに溶接することによりディスク3、11、12を互いに溶接するステップ222
を含む。
【0088】
図10で示されるように、方法200は、
- ディスク3、11、12を互いに溶接するステップ222の前に、ディスク3、11、12の溶接セクション6、6'、6"を位置合せするステップ213
を含むことができる。
【0089】
さらに図10で示されるように、ディスク3、11、12の溶接セクション6、6'、6"を位置合せするステップ213は、
- ディスク3、11、12を互いに溶接するステップ222の前に、ディスク3、11、12の溶接セクション6、6'、6"を、溶接セクション6、6'、6"の連続的かつ一貫性のある溶接を可能にする位置へと位置合せするステップ214
を含むことができる。
【0090】
いくつかの実施形態によれば、ディスク3、11、12は、隣接するディスク3、11、12の間に狭い分離空間4を形成するスペーサ8、6を備え、方法200は、
- ディスク3、11、12を互いに溶接するステップ220、222の前に、かつ/またはその間に、ロータユニット10を、その軸方向adに圧縮するステップ218
を含む。
【0091】
前述のものは、様々な例示的な実施形態を示しており、本発明は、添付の特許請求の範囲によってのみ定義されることを理解されたい。当業者であれば、例示的な実施形態を変更できること、また例示的な実施形態の様々な特徴を組み合わせて、添付の特許請求の範囲で定義される本発明の範囲から逸脱することなく本明細書に述べられたもの以外の実施形態を作成できることが理解されよう。
【0092】
本明細書で使用される場合、「含んでいる/備えている(comprising)」または「含む/備える(comprises)」という用語は、非限定的なものであり、1つまたは複数の述べられた特徴、要素、ステップ、構成要素、または機能を含むが、1つまたは複数の他の特徴、要素、ステップ、構成要素、機能、またはそれらのグループの存在もしくは追加を排除するものではない。
【符号の説明】
【0093】
1 ディスクスタック
3 円錐台状の分離ディスク
4 狭い分離空間
5 半径方向外側部分
6 溶接セクション、スペーサ
6' 溶接セクション
6" 溶接セクション
7 円錐台状の表面
8 スペーサ
9 線
10 ロータユニット
11 第1の端部ディスク
12 第2の端部ディスク
21 第1の軸方向端部
22 第2の軸方向端部
25 半径方向外側部分
25' 半径方向外側部分
31 駆動シャフト
32 支持シャフト
33 中空の空間
34 駆動シャフトインターフェース
35 列
37 入口開口部
44 ハウジング
48 分離チャンバ
50 遠心分離機
51 軸受
52 油圧式ノズル、
54 タービンホイール
56 入口
58 オイル出口
60 クランクケースガス出口
ad 軸方向
ax 回転軸
H 高さ
N 面法線
rd 半径方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10