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特許7425201クロトン酸コポリマー及び脂肪アミンをベースとする染毛用エアゾール装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-22
(45)【発行日】2024-01-30
(54)【発明の名称】クロトン酸コポリマー及び脂肪アミンをベースとする染毛用エアゾール装置
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/42 20060101AFI20240123BHJP
   A61K 8/02 20060101ALI20240123BHJP
   A61K 8/81 20060101ALI20240123BHJP
   A61K 8/891 20060101ALI20240123BHJP
   A61K 8/898 20060101ALI20240123BHJP
   A61Q 5/10 20060101ALI20240123BHJP
【FI】
A61K8/42
A61K8/02
A61K8/81
A61K8/891
A61K8/898
A61Q5/10
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2022535182
(86)(22)【出願日】2020-12-08
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-14
(86)【国際出願番号】 EP2020085104
(87)【国際公開番号】W WO2021116114
(87)【国際公開日】2021-06-17
【審査請求日】2022-06-09
(31)【優先権主張番号】1914368
(32)【優先日】2019-12-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】391023932
【氏名又は名称】ロレアル
【氏名又は名称原語表記】L’OREAL
【住所又は居所原語表記】14 Rue Royale,75008 PARIS,France
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133086
【弁理士】
【氏名又は名称】堀江 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】マライフォーネ・サナニコーン
(72)【発明者】
【氏名】ダヴィド・セネカ
【審査官】池田 周士郎
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/206453(WO,A1)
【文献】特開2004-196802(JP,A)
【文献】特表2006-500330(JP,A)
【文献】Instant Root Retouch Spray, Baston do Brasil Produtos Quimicos, 2017年7月, Mintel GNPD [online],[検索日 2023.05.01], インターネット<URL:https://www.gnpd.com>, ID#:4963365
【文献】Hair Spray, Casa Adelino Prods. Anaconda, 2017年11月, Mintel GNPD [online],[検索日 2023.05.01], インターネット<URL:https://www.gnpd.com>, ID#:5238685
【文献】Cover Hair Root Retouch Concealer Spray, CCD Cosmetica Cientifica Dermatologica, 2016年12月, Mintel GNPD [online],[検索日 2023.05.01], インターネット<URL:https://www.gnpd.com>, ID#:4468859
【文献】Color Make-Up for Hair, Aspa Cosmeticos, 2011年10月, Mintel GNPD [online],[検索日 2023.05.01], インターネット<URL:https://www.gnpd.com>, ID#:1637770
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアゾール装置であって、
- 少なくとも1つの加圧容器であって、
a)少なくとも1つの組成物であって、
i)少なくとも1つのクロトン酸モノマー又はクロトン酸誘導体と、少なくとも1つのビニルエステルモノマーとの重合から得られる少なくとも1つのコポリマーであって、クロトン酸誘導体はクロトン酸エステル又はアミドから選択される、コポリマー
ii)少なくとも1つの脂肪アミンであって以下の式(L):
RCON(H)R’’N(R’) (L)
(式中、
Rは、5~29個の炭素原子を含有する1価の炭化水素系基を表し;
R’’は、同一であるか又は異なり得、6つ未満の炭素原子を含有する2価の炭化水素系基を表し;及び
R’は、同一であるか又は異なり得、6つ未満の炭素原子を含有する直鎖又は分岐の飽和又は不飽和の置換又は無置換の1価の炭化水素系基を表す)
を有する脂肪アミドアミンから選択される、脂肪アミン、及び
iii)少なくとも1つの顔料
を含む少なくとも1つの組成物と、
b)少なくとも1つの噴射剤と
を含む加圧容器と、
- 前記組成物を送達することを可能にする、前記容器の上に載置された少なくとも1つの吐出弁を含む手段と
を含むエアゾール装置。
【請求項2】
前記コポリマーは、少なくとも1つのクロトン酸モノマーと、少なくとも1つのビニルエステルモノマーとの重合から得られることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記少なくとも1つのクロトン酸誘導体は、式CHCH=CHCOOR’(ここで、R’は、1~30個の炭素原子を含有し、-OH、-OR’(ここで、R’は、C~Cアルキルである)、-CN、-Xから選択される1つ又は複数の官能基を任意選択で含む、直鎖、分岐又は環状の、飽和又は不飽和の、任意選択で芳香族である炭素系鎖を表す)のクロトン酸エステルから選択されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記少なくとも1つのクロトン酸誘導体は、式CHCH=CHCONR’R’’(ここで、R’及びR’’は、同一であるか又は異なり得、水素を表すか、又は1~30個の炭素原子を含有し、-OH、-OR’(ここで、R’は、C~Cアルキルである)、-CN、-Xから選択される1つ若しくは複数の官能基を任意選択で含む、直鎖、分岐若しくは環状の、飽和若しくは不飽和の、任意選択で芳香族である炭素系鎖を表す)のクロトン酸アミドから選択されることを特徴とする、請求項1~のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記コポリマーは、少なくとも1つのクロトン酸モノマー又はクロトン酸誘導体と、少なくとも2つの異なるビニルエステルモノマーとの重合から得られることを特徴とする、請求項1~のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記ビニルエステルモノマーは、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸(又はブタン酸)ビニル、エチルヘキサン酸ビニル、ネオノナン酸ビニル及びネオドデカン酸ビニル、ネオデカン酸ビニル、ピバル酸ビニル、シクロヘキサン酸ビニル、安息香酸ビニル、4-tert-ブチル安息香酸ビニル並びにトリフルオロ酢酸ビニルから選択されることを特徴とする、請求項1~のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記コポリマーは、クロトン酸、酢酸ビニル及びプロピオン酸ビニルの重合から得られるコポリマー、クロトン酸、酢酸ビニル及びネオデカン酸ビニルの重合から得られるコポリマー並びにこれらの混合物から選択されることを特徴とする、請求項1~のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記コポリマーは、クロトン酸酢酸ビニル、及びネオデカン酸ビニルの重合から得られるコポリマーから選択されることを特徴とする、請求項1~のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記コポリマーは、他のモノマーも含むことを特徴とする、請求項1~のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
少なくとも1つのクロトン酸モノマー又はクロトン酸誘導体と、少なくとも1つのビニルエステルモノマーとの重合から得られる前記クロトン酸コポリマーは、前記組成物の質量に対して0.05質量%~15質量%の範囲の量で存在することを特徴とする、請求項1~のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記脂肪アミンは、ステアラミドプロピルジメチルアミンであることを特徴とする、請求項1~10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
前記脂肪アミンは、前記組成物の総質量に対して0.001質量%~10質量%の範囲の総量で存在することを特徴とする、請求項1~11のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
前記組成物は、少なくとも1つのシリコーンを含むことを特徴とする、請求項1~12のいずれか一項に記載の装置。
【請求項14】
前記組成物は、少なくとも1つの非アミノシリコーン及び/又は少なくとも1つのアミノシリコーンを含むことを特徴とする、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記組成物は、INCI名ジメチコンを有する前記非アミノシリコーンから選択される少なくとも1つの非アミノシリコーン及び/又はINCI名アモジメチコンを有する少なくとも1つのアミノシリコーンを含むことを特徴とする、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記シリコーンは、前記組成物の総質量に対して0.01質量%~10質量%の範囲の総量で存在することを特徴とする、請求項13~15のいずれか一項に記載の装置。
【請求項17】
前記容器は、剛性壁部を有し、且つ前記組成物を直接収容する、請求項1~16のいずれか一項に記載の装置。
【請求項18】
前記噴射剤は、2~6つの炭素原子を含有する炭化水素系ガスから選択される、請求項1~17のいずれか一項に記載の装置。
【請求項19】
ラチン繊維を染色するための方法であって、前記ケラチン繊維に、請求項1~18のいずれか一項に記載の装置から送達される組成物を適用し、任意選択で、次いで乾燥させることを含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の主題は、毛髪などのケラチン繊維を染色するための組成物であって、少なくとも1つのクロトン酸モノマー又はクロトン酸誘導体と、少なくとも1つのビニルエステルモノマーとの重合から得られる少なくとも1つのコポリマー、少なくとも1つの脂肪アミン及び少なくとも1つの顔料を含む組成物を含むエアゾール装置並びにまた前記組成物を使用する染色方法である。
【背景技術】
【0002】
ケラチン繊維、特にヒトのケラチン繊維の染色分野において、非永久的な染色を行うために直接染料若しくは顔料を用いるか、又は永久的な染色を行うために染料プレカーサーを用いる様々な技法によってケラチン繊維を染色することは、既に知られている手法である。
【0003】
毛髪を染色する方法は、基本的に、3種類ある:
a)「永久」染毛:その作用は、本来の色を大幅に修正することが可能であり、毛髪繊維に浸透し、酸化縮合過程を介して色素を生成する酸化染料を使用する;
b)非永久的、半永久的又は直接染毛:酸化縮合過程を用いず、4~5回のシャンプー洗浄に耐える。これは、直接染料を含有する染料組成物でケラチン繊維を染色することを含む。これらの染料は、ケラチン繊維と親和性を有する有色の着色性分子である;
c)一時染毛:毛髪本来の色を修正し、1回目のシャンプー洗浄から次のシャンプー洗浄まで残存し、既に得られている色合いを増強又は補正する役割を果たす。これは、「メーキャップ」方法にも関連付けられ得る。
【0004】
最後に挙げた種類の染色に関して、アゾ、トリフェニルメタン、アジン、インドアミン又はアントラキノンの性質を有する1つ又は複数の染料を高分子鎖にグラフトさせることにより生成する有色ポリマーを使用する手法が知られている。このような有色ポリマーは、特に、着色された色の均一性及びその耐性に関して完全に満足できるものではなく、その製造、特に再現性に関連する問題に関しては、言うまでもない。
【0005】
他の染色方法は、顔料を使用することを含む。具体的には、ケラチン繊維の表面で顔料を使用すると、一般に、表面の顔料が繊維本来の色を覆い隠すため、暗色の毛髪上に視認できる着色を施すことが可能である。ケラチン繊維を染色するための顔料の使用は、例えば、特許出願(特許文献1)に記載されている。
【0006】
しかしながら、毛髪を一時的に染色及び/又はメーキャップするための組成物を用いると、毛髪に不自然及び/又は美的に劣る触感が付与される場合があり、こうして染色された毛髪は、特に柔軟性、及び/又はまとまりやすさ、及び/又はほどけやすさに欠けるものになる可能性もある。
更に、毛髪を一時的に染色するため及び/又はメーキャップするための組成物は、適用しにくいことがあり、その結果として、染料組成物がケラチン繊維上に均一に分布せず、したがってケラチン繊維の色にムラが生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】仏国特許第2741530号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、本発明の目的は、毛髪などのケラチン繊維を染色するための装置であって、染料組成物をケラチン繊維に速やか且つ容易に適用することができ、その結果として、処理した頭髪全体を均一に着色し、毛髪の柔軟性又はまとまりやすさの観点で良好な美容特性を付与し、毛髪を完全にほどけたままにする装置を開発することである。更に、本発明による装置を用いて着色された色は、乾燥させた後、皮膚又は布地に全く又は殆ど色移りしない。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的は、本発明により達成され、その主題は、エアゾール装置であって、
- 少なくとも1つの加圧容器であって、
a)少なくとも1つの組成物であって、i)少なくとも1つのクロトン酸モノマー又はクロトン酸誘導体と、少なくとも1つのビニルエステルモノマーとの重合から得られる少なくとも1つのコポリマー、
ii)少なくとも1つの脂肪アミン、及び
iii)少なくとも1つの顔料
を含む少なくとも1つの組成物と、
b)少なくとも1つの噴射剤と
を含む加圧容器と、
- 組成物を送達することを可能にする手段と
を含むエアゾール装置である。
【0010】
本発明の他の主題は、毛髪などのケラチン繊維を染色するための方法であって、前記繊維に、上記で定義された装置から送達される組成物を適用し、任意選択で、次いで乾燥させることを含む方法である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明によるエアゾール装置を使用することにより、毛髪などのケラチン繊維上において、頭髪全体にわたり均一な有色の着色が速やか且つ容易に得られる。加えて、染色された毛髪は、手触りがより柔らかく、よりまとまりやすく、毛髪のほどけやすさも改善されている。
【0012】
更に、この組成物は、良好な耐移行性を有し、組成物が接触した皮膚及び/又は衣服などの支持体への付着が少ない。
【0013】
「ほどけた毛髪」という用語は、組成物を適用して乾燥させた後、互いに固着しておらず(即ち全ての毛束が互いに分離している)、したがって毛髪の固まりを形成していない毛髪を意味すると理解される。
【0014】
本発明は、例示する実施例に限定されない。様々な実施例の特徴は、特に、例示していない変形形態内で組み合わせることができる。
【0015】
「少なくとも1つの」という用語は、「1つ又は複数の」を意味する。
【0016】
エアゾール装置は、
a)少なくとも1つの組成物であって、
i)少なくとも1つのクロトン酸モノマー又はクロトン酸誘導体と、少なくとも1つのビニルエステルモノマーとの重合から得られる少なくとも1つのコポリマー、
ii)少なくとも1つの脂肪アミン、及び
iii)少なくとも1つの顔料
を含む少なくとも1つの組成物
を含む少なくとも1つの加圧容器を含む。
【0017】
本発明による組成物a)は、好ましくは、毛髪などのケラチン繊維を染色するための組成物である。
【0018】
クロトン酸コポリマー
本発明による組成物は、少なくとも1つのクロトン酸モノマー又はクロトン酸誘導体と、少なくとも1つのビニルエステルモノマー、好ましくは少なくとも2つの異なるビニルエステルモノマーとの重合から得られる少なくとも1つのコポリマーを含む。
【0019】
好ましくは、本発明によるコポリマーは、少なくとも1つのクロトン酸モノマーと、少なくとも1つのビニルエステルモノマー、好ましくは少なくとも2つの異なるビニルエステルモノマーとの重合から得られるコポリマーから選択される。
【0020】
「クロトン酸誘導体」という語は、好ましくは、クロトン酸エステル又はクロトン酸アミドを意味すると理解される。
【0021】
「クロトン酸誘導体」という用語は、好ましくは、クロトン酸エステル又はアミド、特に、
- (i)式CHCH=CHCOOR’(ここで、R’は、1~30個の炭素原子を含有し、-OH、アルコキシなどの-OR’(ここで、R’は、C~Cアルキルである)、-CN、-X、例えばハロゲン、特にCl、F、Br又はIから選択される1つ又は複数の官能基を任意選択で含む、直鎖、分岐又は環状の、飽和又は不飽和の、炭素系鎖、特にアルキルなどの炭化水素系鎖を表す)のクロトン酸エステル;例えば、クロトン酸メチル及びクロトン酸エチルを挙げることができ;
- (ii)式CHCH=CHCONR’R’’(ここで、R’及びR’’は、同一であるか又は異なり得、水素を表すか、又は1~30個の炭素原子を含有し、OH、アルコキシなどの-OR’(ここで、R’は、C~Cアルキルである)、-CN、-X、例えばハロゲン、特にCl、F、Br若しくはIから選択される1つ若しくは複数の官能基を任意選択で含む、直鎖、分岐若しくは環状の、飽和若しくは不飽和の、任意選択で芳香族である炭素系鎖、特にアルキルなどの炭化水素系鎖を表す)のクロトン酸アミド
を意味すると理解される。
【0022】
ビニルエステルモノマーは、式CH=C(H)-O-CO-R’(ここで、R’は、1~30個の炭素原子を含有し、-OH、-OR’(ここで、R’は、C~Cアルキルである)(アルコキシ)、-CN、-X、例えばハロゲン、特にCl、F、Br又はIから選択される1つ又は複数の官能基を任意選択で含む、直鎖、分岐又は環状の、飽和又は不飽和の、任意選択で芳香族である炭素系鎖、特に炭化水素系鎖を表す)の化合物から選択することができる。
【0023】
特に、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸(又はブタン酸)ビニル、エチルヘキサン酸ビニル、ネオノナン酸ビニル及びネオドデカン酸ビニル、ネオデカン酸ビニル、ピバル酸ビニル、シクロヘキサン酸ビニル、安息香酸ビニル、4-tert-ブチル安息香酸ビニル並びにトリフルオロ酢酸ビニルを挙げることができる。
【0024】
好ましくは、本発明によるコポリマーは、少なくとも1つのクロトン酸モノマーと、少なくとも2つの異なるビニルエステルモノマーとの重合から得られるコポリマーから選択され、前記ビニルエステルモノマーは、好ましくは、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸(又はブタン酸)ビニル、エチルヘキサン酸ビニル、ネオノナン酸ビニル及びネオドデカン酸ビニル、ネオデカン酸ビニル、ピバル酸ビニル、シクロヘキサン酸ビニル、安息香酸ビニル、4-tert-ブチル安息香酸ビニル並びにトリフルオロ酢酸ビニルから、好ましくは酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル及びネオデカン酸ビニルから、更により良好には酢酸ビニル及びネオデカン酸ビニルから選択される。
【0025】
より詳細には、本発明によるコポリマーは、クロトン酸、酢酸ビニル及びプロピオン酸ビニルの重合から得られるコポリマー、クロトン酸、酢酸ビニル及びネオデカン酸ビニルの重合から得られるコポリマー並びにこれらの混合物から選択される。
【0026】
特定の実施形態によれば、本発明による組成物のコポリマーは、クロトン酸/酢酸ビニル/ネオデカン酸ビニルターポリマーである。
【0027】
本発明によるコポリマーは、任意選択で、他のモノマー、例えばアリル若しくはメタアリルエステル又はビニルエーテルを含むことができる。これらのポリマーは、任意選択でグラフト化又は架橋することができる。
【0028】
この種のポリマーは、仏国特許、特に仏国特許第1222944号明細書、仏国特許第1580545号明細書、仏国特許第2265782号明細書、仏国特許第2265781号明細書、仏国特許第1564110号明細書及び仏国特許第2439798号明細書に記載されている。この分類に含まれる市販品は、AkzoNobel社から販売されている製品であるResyn(登録商標)28-2930及び28-1310(それぞれのINCI名:(VA/クロトネート/ビニルデカノエート)コポリマー及び(VA/クロトネート)コポリマー)である。BASF社から販売されている製品であるLuviset(登録商標)CA66、Clariant社から販売されている製品であるAristoflex(登録商標)A60(INCI名:(VA/クロトネート)コポリマー)及びChimex社から販売されている製品であるMexomere(登録商標)PW又はPAM(INCI名:(VA/ビニルブチルベンゾエート/クロトネート)コポリマー)も挙げることができる。
【0029】
本発明による、少なくとも1つのクロトン酸モノマー又はクロトン酸誘導体と、少なくとも1つのビニルエステルモノマーとの重合から得られるクロトン酸コポリマーの総量は、組成物の質量に対して0.05質量%~15質量%、好ましくは組成物の質量に対して0.1質量%~10質量%、好ましくは組成物の質量に対して0.1質量%~7質量%の範囲であり得る。
【0030】
脂肪アミン:
本発明による組成物は、少なくとも1つの脂肪アミンを含む。
【0031】
「脂肪アミン」という用語は、任意選択で(ポリ)オキシアルキレン化されている第1級、第2級若しくは第3級脂肪アミン又はその塩を意味すると理解される。脂肪アミンは、一般に、少なくとも1つのC~C30炭化水素系鎖を含む。好ましくは、本発明による脂肪アミンは、4級化されていない。好ましくは、本発明による脂肪アミンは、(ポリ)オキシアルキレン化されていない。
【0032】
好ましくは、本発明による組成物は、少なくとも1つのC~C30炭化水素系鎖を含む少なくとも1つの脂肪アミンを含む。
【0033】
好ましくは、本発明による組成物は、第3級脂肪アミンから選択される少なくとも1つの脂肪アミンを含む。
【0034】
より優先的には、本発明による組成物は、脂肪アミドアミンから選択される1つ又は複数の第3級脂肪アミンを含む。
【0035】
本発明に関連して使用することができる脂肪アミンは、以下の式(K):
[化学式1]
RN(R’) (K)
(式中、
- Rは、6~30個の炭素原子、好ましくは8~24個の炭素原子を含有する1価の炭化水素系基、特に直鎖又は分岐の飽和又は不飽和の置換又は無置換のC~C30、好ましくはC~C24アルキル基、好ましくは直鎖若しくは分岐のC~C30、より良好にはC~C24アルキル基又は直鎖若しくは分岐のC~C30、好ましくはC~C24アルケニル基を表し;及び
- R’は、同一であるか又は異なり得、6つ未満の炭素原子、好ましくは1~4つの炭素原子を含有する直鎖又は分岐の飽和又は不飽和の置換又は無置換の1価の炭化水素系基、好ましくはメチル基を表す)
を有する脂肪アミンから選択することができる。
【0036】
式(K)に対応する脂肪アミンは、例えば、ジメチルラウラミン、ジメチルベヘンアミン、ジメチルヤシ油アルキルアミン、ジメチルミリスチルアミン、ジメチルパルミタミン、ジメチルステアラミン、ジメチル牛脂アルキルアミン、ジメチルソイアミン及びこれらの混合物から選択される。
【0037】
本発明に関連して使用することができる脂肪アミンは、脂肪アミドアミン、好ましくは以下の式(L):
[化学式2]
R-CO-N(H)-R’’-N(R’) (L)
(式中、
- Rは、5~29個の炭素原子、好ましくは7~23個の炭素原子を含有する1価の炭化水素系基、特に直鎖又は分岐の飽和又は不飽和の置換又は無置換のC~C29、好ましくはC~C23アルキル基、好ましくは直鎖若しくは分岐のC~C29、より良好にはC~C23アルキル基又は直鎖若しくは分岐のC~C29、好ましくはC~C23アルケニル基を表し;
- R’’は、同一であるか又は異なり得、6つ未満の炭素原子、好ましくは2又は3つの炭素原子を含有する2価の炭化水素系基を表し;及び
- R’は、同一であるか又は異なり得、6つ未満の炭素原子、好ましくは1~4つの炭素原子を含有する直鎖又は分岐の飽和又は不飽和の置換又は無置換の1価の炭化水素系基、好ましくはメチル基を表す)
を有する脂肪アミドアミンから選択することもできる。
【0038】
式(L)に対応する脂肪アミンは、例えば、オレアミドプロピルジメチルアミン、Inolex Chemical Company社からLexamine S13の名称で販売されているステアラミドプロピルジメチルアミン、イソステアラミドプロピルジメチルアミン、ステアラミドエチルジメチルアミン、ラウラミドプロピルジメチルアミン、ミリスタミドプロピルジメチルアミン、ベヘナミドプロピルジメチルアミン、ジリノールアミドプロピルジメチルアミン、パルミタミドプロピルジメチルアミン、リシノールアミドプロピルジメチルアミン、ソイアミドプロピルジメチルアミン、アボカドアミドプロピルジメチルアミン、コカミドプロピルジメチルアミン、ミンクアミドプロピルジメチルアミン、オートアミドプロピルジメチルアミン、セサミドプロピルジメチルアミン、牛脂脂肪酸アミドプロピルジメチルアミン、オリーブアミドプロピルジメチルアミン、パルミタミドプロピルジメチルアミン、ステアラミドエチルジエチルアミン、ブラシカアミドプロピルジメチルアミン及びこれらの混合物から選択される。
【0039】
好ましくは、脂肪アミンは、ステアラミドプロピルジメチルアミンである。
【0040】
好ましくは、本発明による脂肪アミンは、脂肪アミドアミンから、優先的には式(L)の脂肪アミドアミンから選択される。
【0041】
好ましくは、本発明による組成物は、ステアラミドプロピルジメチルアミンを含む。
【0042】
好ましくは、脂肪アミンは、組成物の総質量に対して0.001質量%~10質量%、好ましくは0.005質量%~5質量%、より好ましくは0.01質量%~3質量%の範囲の総量で存在する。
【0043】
好ましくは、本発明によるクロトン酸又はクロトン酸誘導体のコポリマーの総量対脂肪アミンの総量の質量比は、0.1~10、より優先的には0.5~8、より良好には1~5の範囲である。
【0044】
シリコーン
組成物は、少なくとも1つのシリコーンを含むことができる。好ましくは、組成物は、少なくとも2つの異なるシリコーンを含む。
【0045】
好ましくは、組成物は、少なくとも1つの非アミノシリコーン及び少なくとも1つのアミノシリコーンを含む。
【0046】
シリコーンは、25℃の大気圧(1.013×10Pa)下において固体又は液体であり得、揮発性又は不揮発性であり得る。
【0047】
使用可能なシリコーンは、本発明による組成物中に可溶又は不溶であり得、これらは、油、ワックス、樹脂又はガムの形態であり得、シリコーン油が好ましい。
【0048】
シリコーンは、特に、Walter Noll’s Chemistry and Technology of Silicones(1968),Academic Pressに詳述されている。
【0049】
好ましくは、組成物は、25℃の大気圧(1.013×10Pa)下において液体である1つ又は複数のシリコーンを含有する。
【0050】
揮発性シリコーンは、沸点が60℃~260℃(大気圧下)であるもの、より詳細には以下から選択することができる:
i)3~7つ、好ましくは4~5つのケイ素原子を含む環状ポリジアルキルシロキサン、例えば、
- オクタメチルシクロテトラシロキサン及びデカメチルシクロペンタシロキサン(Union CarbideからVolatile Silicone 7207の名称又はRhodiaからSilbione 70045 V2の名称でUnion CarbidからVolatile Silicone 7158の名称又はRhodiaからSilbione 70045 V 5の名称で販売されている製品を挙げることができる);
- 化学構造:
[化学式3]
【化1】
を有するジメチルシロキサン/メチルアルキルシロキサン型の環状コポリマー、好ましくはシクロメチルシロキサン(Union Carbide社から販売されているVolatile Silicone FZ3109を挙げることができる);
- 環状シリコーンとケイ素系有機化合物との混合物、例えばオクタメチルシクロテトラシロキサンとテトラトリメチルシリルペンタエリスリトールとの混合物(50/50)及びオクタメチルシクロテトラシロキサンと1,1’-オキシ(2,2,2’,2’,3,3’-ヘキサトリメチルシリルオキシ)ビスネオペンタンとの混合物;
ii)一般に、25℃における粘度が5×10-6/s以下である、2~9つのケイ素原子を含有する直鎖ポリジアルキルシロキサン、例えばデカメチルテトラシロキサン(この分類に属する他のシリコーンは、Cosmetics and Toiletries,Vol.91,Jan.76,pp.27~32,Todd&Byers,“Volatile Silicone Fluids for Cosmetics”に公開されている記事に記載されており、Toray Silicone社からSH 200の名称で販売されている製品を挙げることができる)。
【0051】
不揮発性シリコーンの中でも、単独で又は混合物としての、ポリジアルキルシロキサン、特にポリジメチルシロキサン(PDMS)、ポリジアリールシロキサン、ポリアルキルアリールシロキサン、シリコーンガム及び樹脂並びにその構造内において、一般に炭化水素系基を介して結合している、好ましくはアリール基、アミン基、アルコキシ基及びポリオキシエチレン若しくはポリオキシプロピレン基から選択される1つ若しくは複数の有機官能基を含むオルガノポリシロキサン(又は有機変性ポリシロキサン若しくは代わりに有機変性シリコーン)を挙げることができる。好ましくは、不揮発性シリコーンは、任意選択でオキシエチレン化及びオキシプロピレン化されたポリジメチル/メチルシロキサンから選択される。
【0052】
有機変性シリコーンは、ポリジアリールシロキサン、特に上に述べた有機官能基で修飾されたポリジフェニルシロキサン及びポリアルキルアリールシロキサンであり得る。ポリアルキルアリールシロキサンは、特に、直鎖及び/又は分岐のポリジメチル/メチルフェニルシロキサン及びポリジメチル/ジフェニルシロキサンから選択される。
【0053】
有機変性シリコーンの中でも、以下を含むオルガノポリシロキサンを挙げることができる:
- 任意選択でC6~C24アルキル基を含むポリオキシエチレン基及び/又はポリオキシプロピレン基;例えばジメチコンコポリオール、特にDow Corning社からDC 1248の名称で販売されているもの若しくはUnion Carbide社からの油であるSilwet(登録商標)L722、L7500、L77及びL711;又は代わりに(C12)アルキルメチコンコポリオール、特にDow Corning社からQ2-5200の名称で販売されているもの;
- 置換又は無置換のアミン基、特にC1~C4アミノアルキル基;Genesee社からGP4 Silicone Fluid及びGP7100の名称で販売されている製品又はDow Corning社からQ2-8220及びDC929若しくはDC939の名称で販売されている製品を挙げることができる;
- チオール基;例えば、GeneseeからGP72A及びGP71の名称で販売されている製品;
- アルコキシル化された基;例えば、SWS SiliconesからSilicone Copolymer F-755の名称で並びにGoldschmidt社からAbil Wax(登録商標)2428、2434及び2440の名称で販売されている製品;
- ヒドロキシル化された基;例えば、ヒドロキシアルキル基を有するポリオルガノシロキサン;
- アシルオキシアルキル基、例えば米国特許第4957732A号明細書に記載されているポリオルガノシロキサン;
- カルボン酸型のアニオン性基;例えば、欧州特許出願公開第186507号明細書に記載されているもの;又はアルキルカルボン酸型のアニオン性基;例えば、信越化学工業株式会社(Shin-Etsu)からの製品であるX-22-3701E;又は代わりに2-ヒドロキシアルキルスルホネート型若しくは2-ヒドロキシアルキルチオスルフェート型のアニオン性基、例えばGoldschmidt社からAbil(登録商標)S201及びAbil(登録商標)S255の名称で販売されている製品;
- ヒドロキシアシルアミノ基、例えば欧州特許出願公開第342834号明細書に記載されているポリオルガノシロキサン;例えば、Dow Corning社からの製品であるQ2-8413を挙げることができる。
【0054】
シリコーンは、ポリジアルキルシロキサンから選択することもでき、その中でも、主として、トリメチルシリル末端基を有するポリジメチルシロキサンを挙げることができる。こうしたポリジアルキルシロキサンの中でも、以下の市販品を挙げることができる:
- Rhodiaから販売されている、47及び70047シリーズのSilbione(登録商標)油又はMirasil(登録商標)油、例えば70047 V 500000油;
- Rhodia社から販売されているMirasil(登録商標)シリーズの油;
- Dow Corning社からの200シリーズの油、例えば粘度が60000mm/sであるDC200;
- General ElectricからのViscasil(登録商標)油及びGeneral ElectricからのSFシリーズの特定の油(SF96、SF18)。
【0055】
ジメチコノール(CTFA)の名称で知られる、ジメチルシラノール末端基を有するポリジメチルシロキサン、例えばRhodia社からの48シリーズの油も挙げることができる。
【0056】
この分類に含まれるポリジアルキルシロキサンとしては、ポリ(C1~C20)ジアルキルシロキサンである、Goldschmidt社からAbil Wax(登録商標)9800及び9801の名称で販売されている製品も挙げることができる。
【0057】
より詳細には、本発明に従い使用することができる製品は、混合物、例えば、
- ヒドロキシを鎖末端に有するポリジメチルシロキサン、即ちジメチコノール(CTFA)から及びシクロメチコン(CTFA)としても知られる環状ポリジメチルシロキサンから生成する混合物、例えばDow Corning社から販売されている製品であるQ2-1401、
- ヒドロキシを鎖末端に有するポリジメチルシロキサン、即ちジメチコノール(CTFA)から及びジメチコン(CTFA)としても知られる環状ポリジメチルシロキサンから生成する混合物、例えばDow Corning社から販売されている製品であるXiameter(登録商標)PMX-1503 Fluid
である。
【0058】
ポリアルキルアリールシロキサンは、特に、25℃において1×10-5~5×10-2/sの粘度を有する直鎖及び/又は分枝のポリジメチル/メチルフェニルシロキサン及びポリジメチル/ジフェニルシロキサンから選択される。
【0059】
これらのポリアルキルアリールシロキサンの中でも、以下の名称で販売されている製品を挙げることができる:
- Rhodiaからの70641シリーズのSilbione(登録商標)油;
- RhodiaからのRhodorsil(登録商標)70633及び763シリーズの油;
- Dow CorningからのDow Corning 556 Cosmetic Grade Fluid油;
- BayerからのPKシリーズのシリコーン、例えば製品PK20;
- BayerからのPN及びPHシリーズのシリコーン、例えば製品PN1000及びPH1000;
- General ElectricからのSFシリーズの特定の油、例えばSF 1023、SF 1154、SF 1250及びSF 1265。
【0060】
好ましくは、本発明による組成物は、少なくとも1つの非アミノシリコーンを含み、より優先的にはジメチコンのINCI名を有する少なくとも1つの非アミノシリコーンを含む。
【0061】
本発明による組成物は、好ましくは、1つ又は複数のアミノシリコーンを含む。「アミノシリコーン」という用語は、少なくとも1つの第1級、第2級若しくは第3級アミン又は第4級アンモニウム基を含む任意のシリコーンを指す。
【0062】
好ましくは、組成物は、少なくとも1つのアミノシリコーンを含む。
【0063】
これらのアミノシリコーンの質量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により、周囲温度(25℃)で、ポリスチレン換算分子量として測定することができる。使用するカラムは、μ styragelカラムである。溶出液はTHFであり、流速は1ml/分である。THF中の0.5質量%シリコーン溶液200μlを注入する。検出は屈折率測定及びUV測定により行う。
【0064】
好ましくは、本発明に関連して使用することができるアミノシリコーンは、以下から選択される。
【0065】
a)式(A)に対応するポリシロキサン:
[化学式4]
【化2】
(式中、x’及びy’は、質量平均分子量(Mw)が約5000~500000となる整数である)。
【0066】
b)式(B)に対応するアミノシリコーン:
R’3-a-Si(OSiG-(OSiGR’2-b-O-SiG3-a-R’(B)
(式中、
- Gは、同一であるか又は異なり得、水素原子を表すか、又はフェニル、OH、C~Cアルキル基、例えばメチル若しくはC~Cアルコキシ、例えばメトキシを表し、
- aは、同一であるか又は異なり得、0又は1~3の整数、特に0を表し、
- bは、0又は1、特に1を表し、
- m及びnは、総和(n+m)が1~2000、特に50~150の範囲となる数であり、nは、0~1999、特に49~149の数を表すことができ、mは、1~2000、特に1~10の数を表すことができ;
- R’は、同一であるか又は異なり得、式-C2qL(ここで、qは、2~8の範囲の数であり、Lは、以下の基:
-N(R’’);-N+(R’’)A-;-NR’’-Q-N(R’’);及び-NR’’-Q-N+(R’’)A-
(式中、R’’は、同一であるか又は異なり得、水素、フェニル、ベンジル又は飽和1価炭化水素系基、例えばC~C20アルキル基を表し;Qは、式C2r(ここで、rは、2~6、好ましくは2~4の範囲の整数である)
の直鎖又は分岐基を表し;A-は、化粧的に許容される陰イオン、特にハライド陰イオン、例えばフルオリド、クロリド、ブロミド又はヨージド陰イオンを表す)から選択される、任意選択で4級化されているアミノ基である)の1価の基を表す)。
【0067】
好ましくは、アミノシリコーンは、式(B)のアミノシリコーンから選択される。好ましくは、式(B)のアミノシリコーンは、以下の式(C)、(D)、(E)、(F)及び/又は(G)に対応するアミノシリコーンから選択される。好ましくは、式(B)のアミノシリコーンは、式(E)に対応するアミノシリコーンから選択される。
【0068】
第1の実施形態によれば、式(B)に対応するアミノシリコーンは、式(C):
[化学式5]
【化3】
(式中、m及びnは、総和(n+m)が1~2000、特に50~150の様々な数となるような数であり、nは、0~1999、特に49~149の数を表すことができ、mは、1~2000、特に1~10の数を表すことができる)
に対応する「トリメチルシリルアモジメチコン」として知られるシリコーンから選択される。
【0069】
第2の実施形態によれば、式(B)に対応するアミノシリコーンは、以下の式(D):
[化学式6]
【化4】
(式中、
- m及びnは、総和(n+m)が1~1000、特に50~250、より詳細には100~200の様々な数となるような数であり;nは、0~999、特に49~249、より詳細には125~175の数を表すことができ、mは、1~1000、特に1~10、より詳細には1~5の数を表すことができ;
- R、R及びRは、同一であるか又は異なり得、ヒドロキシル又はC~Cアルコキシ基を表し、R~R基の少なくとも1つはアルコキシ基を表す)
のシリコーンから選択される。
【0070】
好ましくは、アルコキシ基は、メトキシ基である。
【0071】
ヒドロキシ/アルコキシのモル比は、好ましくは、0.2:1~0.4:1、好ましくは0.25:1~0.35:1の範囲であり、より詳細には0.3:1である。
【0072】
これらのシリコーンの質量平均分子量(Mw)は、好ましくは、2000~1000000、より詳細には3500~200000の範囲である。
【0073】
第3の実施形態によれば、式(B)に対応するアミノシリコーンは、以下の式(E):
[化学式7]
【化5】
(式中、
- p及びqは、総和(p+q)が、1~1000、特に50~350、より詳細には150~250の様々な数となるようなであり;pは、0~999、特に49~349、より詳細には159~239の数を表すことができ、qは、1~1000、特に1~10、より詳細には1~5の数を表すことができ;
- R及びRは、異なっており、ヒドロキシル基又はC~Cアルコキシ基を表し、R基又はR基の少なくとも1つはアルコキシ基を表す)
のシリコーンから選択される。
【0074】
好ましくは、アルコキシ基は、メトキシ基である。
【0075】
ヒドロキシ/アルコキシのモル比は、一般には、1:0.8~1:1.1、好ましくは1:0.9~1:1の範囲であり、より詳細には1:0.95である。
【0076】
シリコーンの質量平均分子量(Mw)は、好ましくは、2000~200000、一層詳細には5000~100000、より詳細には10000~50000の範囲である。
【0077】
構造(D)又は(E)のシリコーンを含む市販品は、その組成中に、式(D)又は(E)と異なる構造を有する1つ又は複数の他のアミノシリコーンを含むことができる。
【0078】
構造(D)のアミノシリコーンを含有する製品は、Wacker社からBelsil(登録商標)ADM 652の名称で入手可能である。
【0079】
構造(E)のアミノシリコーンを含有する製品は、WackerからFluid WR 1300(登録商標)の名称で入手可能である。
【0080】
これらのアミノシリコーンが使用される場合、特に有利な一実施形態は、これらを水中油型エマルジョン形態で使用することを含む。水中油型エマルジョンは、1つ又は複数の界面活性剤を含み得る。界面活性剤は、任意の性質のものであり得るが、好ましくはカチオン性及び/又は非イオン性である。エマルジョン中のシリコーン粒子の数平均粒子径は、通常、3nm~500ナノメートルの範囲である。好ましくは、特に式(E)のアミノシリコーンとして、平均粒子径が5nm~60nmの範囲(境界値を含む)、より詳細には10nm~50nmの範囲(境界値を含む)にあるマイクロエマルジョンが利用される。したがって、本発明に従い、Wacker社からFinish CT 96E(登録商標)の名称で又はSLM 28020(登録商標)の名称で入手可能な式(E)のアミノシリコーンマイクロエマルジョンを利用することができる。
【0081】
第4の実施形態によれば、式(B)に対応するアミノシリコーンは、以下の式(F):
[化学式8]
【化6】
(式中、
- m及びnは、総和(n+m)が、1~2000、特に50~150の範囲となる数であり、nは、0~1999、特に49~149の数を表すことができ、mは、1~2000、特に1~10の数を表すことができ;
- Aは、4~8つの炭素原子、好ましくは4つの炭素原子を含有する直鎖又は分岐アルキレン基を表す)
のシリコーンから選択される。この基は、好ましくは、直鎖である。
【0082】
これらのアミノシリコーンの質量平均分子量(Mw)は、好ましくは、2000~1000000、一層詳細には3500~200000の範囲である。
【0083】
この式に対応するシリコーンは、例えば、Dow CorningからのXiameter MEM 8299 Emulsion(INCI名:アモジメチコン及びトリデセス-6及びセトリモニウムクロリド)である。
【0084】
第5の実施形態によれば、式(B)に対応するアミノシリコーンは、以下の式(G):
[化学式9]
【化7】
(式中、
- m及びnは、総和(n+m)が、1~2000、特に50~150の様々な数となるような数であり、nは、0~1999、特に49~149を表すことができ、mは、1~2000、特に1~10を表すことができ;
- Aは、4~8つの炭素原子、好ましくは4つの炭素原子を含有する直鎖又は分岐のアルキレン基である)
のシリコーンから選択される。この基は、好ましくは、分岐である。
【0085】
これらのアミノシリコーンの質量平均分子量(Mw)は、好ましくは、500~1000000、一層詳細には1000~200000の範囲である。
【0086】
この式に対応するシリコーンは、例えば、Dow CorningからのDC2-8566 Amino Fluidである。
【0087】
c)式(H):
[化学式10]
【化8】
(式中、
- Rは、1~18個の炭素原子を含有する1価の炭化水素系基、特にC~C18アルキル又はC~C18アルケニル、例えばメチル基を表し;
- Rは、SiC結合を介してSiに結合している2価の炭化水素系基、特にC~C18アルキレン基又は2価のC~C18、例えばC~Cアルキレンオキシ基を表し;
- Qは、ハロゲン化物イオンなどの陰イオン、特に塩化物イオン又は有機酸塩、特にアセテートであり;
- rは、2~20、特に2~8の範囲である統計的平均値を表し;
- sは、20~200、特に20~50の範囲である統計的平均値を表す)
に対応するアミノシリコーン。
【0088】
この種のアミノシリコーンは、特に、米国特許第4185087号明細書に記載されている。
【0089】
d)式(I):
[化学式11]
【化9】
(式中、
- Rは、同一であるか又は異なり得、1~18個の炭素原子を含有する1価の炭化水素系基、特にC~C18アルキル基、C~C18アルケニル基又は5若しくは6つの炭素原子を含有する環、例えばメチルを表し;
- Rは、SiC結合を介してSiに結合している2価の炭化水素系基、特にC~C18アルキレン基又は2価のC~C18、例えばC~Cアルキレンオキシ基を表し;
- R8は、同一であるか又は異なり得、水素原子、1~18個の炭素原子を含有する1価の炭化水素系基、特にC~C18アルキル基、C~C18アルケニル基又は-R-NHCOR基を表し;
- Xは、ハロゲン化物イオンなどの陰イオン、特に塩化物イオン又は有機酸塩、特にアセテートであり;
- rは、2~200、特に5~100の範囲である統計的平均値を表す)
の第4級アンモニウムシリコーン。
【0090】
これらのシリコーンは、例えば、特許出願欧州特許出願公開第0530974A号明細書に記載されている。
【0091】
e)式(J):
[化学式12]
【化10】
(式中、
- R、R、R及びRは、同一であるか又は異なり得、C~Cアルキル基又はフェニル基を表し、
- Rは、C~Cアルキル基又はヒドロキシル基を表し、
- nは、1~5の範囲の整数であり、
- mは、1~5の範囲の整数であり、
- xは、アミン価が0.01~1meq/gの範囲となるように選択される)
のアミノシリコーン。
【0092】
f)(AB)n型のマルチブロックポリオキシアルキレン化アミノシリコーン(Aは、ポリシロキサンブロックであり、Bは、少なくとも1つのアミン基を含むポリオキシアルキレン化ブロックである)。
【0093】
前記シリコーンは、好ましくは、以下の一般式:
[-(SiMeO)SiMe-R-N(R’’)-R’-O(CO)(CO)-R’-N(H)-R-]
又は代わりに、
[-(SiMeO)xSiMe-R-N(R’’)-R’-O(CO)(CO)-]
(式中、
- aは、1以上、好ましくは5~200、より詳細には10~100の範囲の整数であり;
- bは、0~200の整数、好ましくは4~100、より詳細には5~30の範囲の整数であり;
- xは、1~10000、より詳細には10~5000の範囲の整数であり;
- R’’は、水素原子又はメチルであり;
- Rは、同一であるか又は異なり得、任意選択で1つ又は複数の酸素等のヘテロ原子を含む2価の直鎖又は分岐のC~C12炭化水素系基を表し;好ましくは、Rは、エチレン基、直鎖若しくは分岐プロピレン基、直鎖若しくは分岐ブチレン基又は-CHCHCHOCHCH(OH)CH-基を表し;優先的には、Rは、-CHCHCHOCHCH(OH)CH-基を表し;
- R’は、同一であるか又は異なり得、任意選択で1つ又は複数の酸素等のヘテロ原子を含む直鎖又は分岐の2価のC~C12炭化水素系基を表し;好ましくは、R’は、エチレン基、直鎖若しくは分岐プロピレン基、直鎖若しくは分岐ブチレン基又は-CHCHCHOCHCH(OH)CH-基を表し;優先的には、R’は、-CH(CH)-CH-を表す)
を有する繰り返し単位から構成される。
【0094】
シロキサンブロックは、好ましくは、シリコーンの総質量の50mol%~95mol%を占め、より詳細には70mol%~85mol%を占める。
【0095】
アミン含有量は、ジプロピレングリコール中にコポリマー30%を含む溶液において好ましくは0.02~0.5meq/g、より詳細には0.05~0.2である。
【0096】
シリコーンの質量平均分子量(Mw)は、好ましくは、5000~1000000、より詳細には10000~200000である。
【0097】
とりわけ、MomentiveからSilsoft A-843又はSilsoft A+の名称で販売されているシリコーンを挙げることができる。
【0098】
g)及びこれらの混合物。
【0099】
好ましくは、本発明による組成物は、INCI名アモジメチコンを有する少なくとも1つのアミノシリコーンを好ましくは水中油型エマルジョンとして界面活性剤と一緒に含む。
【0100】
好ましくは、本発明による組成物は、INCI名アモジメチコンを有する少なくとも1つのアミノシリコーンを、水中油型エマルジョンとして、INCI名トリデセス-10を有する界面活性剤と一緒に含む。
【0101】
好ましくは、組成物は、少なくとも1つの非アミノシリコーン及び少なくとも1つのアミノシリコーンを含む。
【0102】
好ましくは、組成物は、ジメチコンのINCI名を有する非アミノシリコーンから選択される少なくとも1つの非アミノシリコーン及び/又はアモジメチコンのINCI名を有する少なくとも1つのアミノシリコーンを含む。
【0103】
更に優先的には、組成物は、ジメチコンのINCI名を有する少なくとも1つの非アミノシリコーン及びアモジメチコンのINCI名を有する少なくとも1つのアミノシリコーンを含む。
【0104】
シリコーンは、組成物の総質量に対して少なくとも0.01質量%、好ましくは少なくとも0.05質量%の総量、より優先的には組成物の総質量に対して少なくとも0.1質量%の総量で存在することができる。
【0105】
シリコーンは、組成物の総質量に対して0.01質量%~10質量%、好ましくは0.05質量%~8質量%、より優先的には組成物の総質量に対して0.1質量%~5%の範囲であり得る総量で存在することができる。
【0106】
本発明による組成物が1つ又は複数のアミノシリコーンを含む場合、アミノシリコーンの総量は、組成物の総質量に対して0.001質量%~5質量%、好ましくは0.005%~4質量%、より良好には0.01質量%~3質量%の範囲であり得る。
【0107】
本発明による組成物が1つ又は複数の非アミノシリコーンを含む場合、非アミノシリコーンの総量は、組成物の総質量に対して0.001質量%~5質量%、好ましくは0.005%~4質量%、より良好には0.01質量%~3質量%の範囲であり得る。
【0108】
好ましくは、本発明によるクロトン酸又はクロトン酸誘導体のコポリマーの総量対シリコーンの総量の質量比は、0.1~10、より優先的には0.5~8、より良好には1~5の範囲である。
【0109】
本発明による組成物が1つ又は複数のアミノシリコーンを含む場合、本発明によるクロトン酸又はクロトン酸誘導体のコポリマーの総量対アミノシリコーンの総量の質量比は、0.1~10、より優先的には0.5~8、より良好には1~5の範囲である。
【0110】
顔料:
本発明による組成物は、少なくとも1つの顔料を含む。
【0111】
「顔料」という用語は、ケラチン繊維に色を付与する任意の顔料を意味すると理解される。25℃の大気圧(760mmHg)下におけるこれらの水への溶解度は、0.05質量%未満、好ましくは0.01%未満である。
【0112】
使用可能な顔料は、特に当技術分野において知られている有機及び/又は鉱物顔料、特にKirk-Othmer’s Encyclopedia of Chemical Technology and in Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistryに記載されているものから選択される。
【0113】
これらは、天然起源の天然物又は非天然物であり得る。
【0114】
これらの顔料は、顔料粉末形態又は顔料ペースト形態であり得る。これらは、被覆されていても又はされていなくてもよい。
【0115】
顔料は、例えば、鉱物顔料、有機顔料、レーキ、真珠光沢剤又は光輝フレークなどの特殊効果を有する顔料及びこれらの混合物から選択され得る。
【0116】
顔料は、鉱物顔料であり得る。「無機顔料」という用語は、Ullmann’s encyclopaediaの無機顔料に関する章の定義を満たす任意の顔料を意味すると理解される。本発明に有用な鉱物顔料の中でも、酸化鉄、酸化クロム、マンガンバイオレット、ウルトラマリンブルー、クロム水和物、フェリックブルー及び酸化チタンを挙げることができる。
【0117】
顔料は、有機顔料であり得る。「有機顔料」という用語は、Ullmann’s encyclopediaの有機顔料に関する章の定義を満たす任意の顔料を意味すると理解される。
【0118】
有機顔料は、特に、ニトロソ、ニトロ、アゾ、キサンテン、ピレン、キノリン、アントラキノン、トリフェニルメタン、フルオラン、フタロシアニン、金属錯体、イソインドリノン、イソインドリン、キナクリドン、ペリノン、ペリレン、ジケトピロロピロール、インジゴ、チオインジゴ、ジオキサジン、トリフェニルメタン及びキノフタロン化合物から選択することができる。
【0119】
特に、白色又は有色有機顔料は、カーマイン、カーボンブラック、アニリンブラック、アゾイエロー、キナクリドン、フタロシアニンブルー、カラーインデックスにおいてCI 42090、69800、69825、74100、74160の参照番号で分類される青色顔料、カラーインデックスにおいてCI 11680、11710、19140、20040、21100、21108、47000、47005の参照番号で分類される黄色顔料、カラーインデックスにおいてCI 61565、61570、74260の参照番号で分類される緑色顔料、カラーインデックスにおいてCI 11725、45370、71105の参照番号で分類される橙色顔料、カラーインデックスにおいてCI 12085、12120、12370、12420、12490、14700、15525、15580、15620、15630、15800、15850、15865、15880、26100、45380、45410、58000、73360、73915、75470の参照番号で分類される赤色顔料、仏国特許第2679771号明細書に記載されているインドール又はフェノール誘導体の酸化重合によって得られる顔料から選択することができる。
【0120】
有機顔料の顔料ペーストの例として、Hoechst社から以下の名称で販売されている製品なども挙げられ得る:
- Cosmenyl Yellow IOG:ピグメントイエロー3(CI 11710);
- Cosmenyl Yellow G:ピグメントイエロー1(CI 11680);
- Cosmenyl Orange GR:ピグメントオレンジ43(CI 71105);
- Cosmenyl Red R:ピグメントレッド4(CI 12085);
- Cosmenyl Carmine FB:ピグメントレッド5(CI 12490);
- Cosmenyl Violet RL:ピグメントバイオレット23(CI 51319);
- Cosmenyl Blue A2R:ピグメントブルー15.1(CI 74160);
- Cosmenyl Green GG:ピグメントグリーン7(CI 74260);
- Cosmenyl Black R:ピグメントブラック7(CI 77266)。
【0121】
本発明による顔料は、欧州特許第1184426号明細書に記載されているような複合顔料の形態であり得る。これらの複合顔料は、特に、無機物質の芯物質と、有機顔料を芯物質に結合させる少なくとも1つの結合剤と、芯物質の少なくとも一部を覆う少なくとも1つの有機顔料とを含む粒子から構成されるものであり得る。
【0122】
有機顔料は、レーキであり得る。「レーキ」という用語は、不溶性粒子に染料を吸着させて不溶性にしたものを意味すると理解され、こうして得られた集合体は、使用中に不溶性を維持する。
【0123】
染料を吸着させる無機基材は、例えば、アルミナ、シリカ、ホウケイ酸カルシウムナトリウム、ホウケイ酸カルシウムアルミニウム及びアルミニウムである。
【0124】
染料の中でも、カルミン酸を挙げることができる。以下の名称で知られる染料も挙げることができる:D&C Red 21(CI 45380)、D&C Orange 5(CI 45370)、D&C Red 27(CI 45410)、D&C Orange 10(CI 45425)、D&C Red 3(CI 45430)、D&C Red 4(CI 15510)、D&C Red 33(CI 17200)、D&C Yellow 5(CI 19140)、D&C Yellow 6(CI 15985)、D&C Green(CI 61570)、D&C Yellow 10(CI 77002)、D&C Green 3(CI 42053)、D&C Blue 1(CI 42090)。
【0125】
レーキの例として、以下の名称で知られる製品を挙げることができる:D&C Red 7(CI 15850:1)。
【0126】
顔料は、特殊効果を有する顔料とすることもできる。「特殊効果を有する顔料」という語は、一般に、均一でなく、観測条件(光、温度、観測角等)に応じて変化する有色の外観(特定の色合い、特定の精彩及び特定の輝度を特徴とする)を生み出す顔料を意味すると理解される。したがって、これらは、不透明、半透明又は透明の均一な色合いを呈する標準的な有色顔料と異なる。
【0127】
特殊効果を有する顔料には、幾つかの種類がある:蛍光又はフォトクロミック顔料などの低屈折率を有するもの及び真珠光沢剤、干渉顔料又は光輝フレークなどの高屈折率を有するもの。
【0128】
特殊効果を有する顔料の例として、真珠光沢顔料、例えばチタン又はオキシ塩化ビスマスで被覆された雲母、有色真珠光沢顔料、例えばチタン及び酸化鉄で被覆された雲母、酸化鉄で被覆された雲母、チタン及び特にフェリックブルー又は酸化クロムで被覆された雲母、チタン及び上に述べた種類の有機顔料で被覆された雲母に加えて、オキシ塩化ビスマスをベースとする真珠光沢顔料も挙げることができる。真珠光沢顔料として、BASFから販売されているCellini真珠光沢剤(雲母-TiO2-レーキ)、Eckartから販売されているPrestige(雲母-TiO2)、Eckartから販売されているPrestige Bronze(雲母-Fe2O3)及びMerckから販売されているColorona(雲母-TiO2-Fe2O3)を挙げることができる。
【0129】
金色真珠光沢剤、特にBASF社からBrilliant Gold 212G(Timica)、Gold 222C(Cloisonne)、Sparkle Gold(Timica)、Gold 4504(Chromalite)及びMonarch Gold 233X(Cloisonne)の名称で販売されているもの;青銅色真珠光沢剤、特にMerck社からBronze Fine(17384)(Colorona)及びBronze(17353)(Colorona)の名称で並びにBASF社からSuper Bronze(Cloisonne)の名称で販売されているもの;橙色真珠光沢剤、特にBASF社からOrange 363C(Cloisonne)及びOrange MCR 101(Cosmica)の名称並びにMerck社からPassion Orange(Colorona)及びMatte Orange(17449)(Microna)の名称で販売されているもの;褐色真珠光沢剤、特にBASF社からNu-Antique Copper 340XB(Cloisonne)及びBrown CL4509(Chromalite)の名称で販売されているもの;銅色味を帯びた真珠光沢剤、特にBASF社からCopper 340A(Timica)の名称で販売されているもの;赤色味を帯びた真珠光沢剤、特にMerck社からSienna fine(17386)(Colorona)の名称で販売されているもの;黄色味を帯びた真珠光沢剤、特にBASF社からYellow(4502)(Chromalite)の名称で販売されているもの;金色味を帯びた赤色真珠光沢剤、特にBASF社からSunstone G012(Gemtone)の名称で販売されているもの;桃色真珠光沢剤、特にBASF社からTan opal G005(Gemtone)の名称で販売されているもの;金色味を帯びた黒色真珠光沢剤、特にBASF社からNu-Antique Bronze 240 AB(Timica)の名称で販売されているもの;青色真珠光沢剤、特にMerck社からMatte Blue(17433)(Microna)の名称で販売されているもの;銀色味を帯びた白色真珠光沢剤、特にMerck社からXirona Silverの名称で販売されているもの;並びに金緑色~桃色~橙色に変化する真珠光沢剤、特にMerck社からIndian Summer(Xirona)の名称で販売されているもの;並びにこれらの混合物も挙げることができる。
【0130】
真珠光沢剤の更なる例として、酸化チタンで被覆されたボロシリケート基材を含む粒子も挙げられ得る。
【0131】
酸化チタンで被覆されたガラス基材を含む粒子は、特に、Toyal社からMetashine MC1080RYの名称で販売されている。
【0132】
最後に、真珠光沢剤の例として、ポリエチレンテレフタレートフレーク、特にMeadowbrook Inventions社からSilver 1P 0.004X0.004(銀色フレーク)の名称で販売されているものも挙げることができる。アルミナ、シリカ、ホウケイ酸カルシウムナトリウム又はホウケイ酸カルシウムアルミニウム、アルミニウムなどの合成基材をベースとする多層顔料も想定され得る。
【0133】
特殊効果を有する顔料は、反射性粒子、即ちそのサイズ、構造、特にそれを構成している層の厚み、並びに物理的及び化学的性質、並びに表面状態に起因して入射光を反射することが可能な粒子から選択することもできる。この反射は、適切であれば、メーキャップすべき支持体にそれを適用した場合、組成物又は混合物の表面に肉眼で視認することができる光輝点、即ち輝いて見えることにより周囲よりも目立つ、より輝度の高い点を生じさせるのに十分な強度を有することができる。
【0134】
反射性粒子は、それと組み合わせて用いられる着色剤が生み出す呈色効果を大幅に変更しないように、より具体的には、演色性の観点でこの効果を最適化するように、選択することができる。これらは、より具体的には、黄色、桃色、赤色、青銅色、橙色、褐色、金色及び/又は銅色の色又は色調を有し得る。
【0135】
これらの粒子は、様々な形態を有し得、特に小板又は小球形態、特に球形態であり得る。
【0136】
反射性粒子は、その形態に関わらず、多層構造を有していても又は有していなくてもよく、多層構造の場合、例えば均一な厚みを有する、特に反射性材料の少なくとも1つの層を有し得る。
【0137】
反射性粒子が多層構造を有しない場合、これらは、金属酸化物、特に合成によって得られた酸化チタン又は酸化鉄で構成され得る。
【0138】
反射性粒子が多層構造を有する場合、これらは、例えば、反射性材料、特に少なくとも1つの金属又は金属性材料の少なくとも1つの層で少なくとも部分的に被覆された、天然又は合成基材、特に合成基材を含み得る。基材は、1つ又は複数の有機材料及び/又は鉱物材料から作製可能である。
【0139】
より詳細には、これは、ガラス、セラミック、グラファイト、金属酸化物、アルミナ、シリカ、シリケート、特にアルミノシリケート及びボロシリケート、合成雲母並びにこれらの混合物から選択することができるが、この一覧に限定されるものではない。
【0140】
反射性材料は、金属又は金属性材料の層を含み得る。
【0141】
反射性粒子は、特に、特開平09-188830A号明細書、特開平10-158450A号明細書、特開平10-158541A号明細書、特開平07-258460A号明細書及び特開平05-017710A号明細書に記載されている。
【0142】
金属層で被覆された無機基材を含む反射性粒子の更なる例として、銀で被覆されたボロシリケート基材を含む粒子も挙げられ得る。
【0143】
小板形態の銀被覆ガラス基材の粒子は、Toyal社からMicroglass Metashine REFSX 2025 PSの名称で販売されている。ニッケル/クロム/モリブデン合金で被覆されたガラス基材の粒子は、同社からCrystal Star GF550及びGF2525の名称で販売されている。
【0144】
銀、アルミニウム、鉄、クロム、ニッケル、モリブデン、金、銅、亜鉛、スズ、マンガン、鋼、青銅又はチタンなどの金属基材を含む粒子も利用することができ、前記基材は、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化鉄、酸化セリウム、酸化クロム、酸化ケイ素及びこれらの混合物などの少なくとも1つの金属酸化物の少なくとも1つの層で被覆されている。
【0145】
その例として、Eckart社からVisionaireの名称で販売されている、SiOで被覆されたアルミニウム粉末、青銅粉末又は銅粉末が挙げられ得る。
【0146】
基材に結合していない、液晶(WackerからのHelicones HC)又は干渉ホログラム光輝フレーク(SpectratekからのGeometric Pigments又はSpectra f/x)などの干渉効果を示す顔料も挙げられ得る。特殊効果を有する顔料には、蛍光顔料(これらは、昼光下で蛍光を発する物質又は紫外蛍光を発する物質のいずれでもあり得る)、燐光顔料、フォトクロミック顔料、サーモクロミック顔料及び量子ドット、例えばQuantum Dots Corporation社から販売されているものも含まれる。
【0147】
本発明に使用することができる多様な顔料により、幅広い色に加えて、金属光沢効果又は干渉効果などの特殊な光学効果を得ることも可能になる。
【0148】
本発明による組成物に使用される顔料のサイズは、概して、10nm~200μm、好ましくは20nm~80μm、より優先的には30nm~50μmである。
【0149】
顔料は、組成物中に分散剤により分散させることができる。
【0150】
分散剤は、分散している粒子の凝集又は軟凝集を防ぐ役割を果たす。この分散剤は、分散すべき粒子の表面に対して強力な親和性を有する1つ又は複数の官能基を有する、界面活性剤、オリゴマー、ポリマー又はこれらの幾つかの混合物であり得る。特にこれらは、顔料表面に物理的又は化学的に結合することができる。この分散剤は、連続媒体と混和性を有するか又は連続媒体に可溶な少なくとも1つの官能基も含有する。具体的には、特に12-ヒドロキシステアリン酸エステル及びグリセロール又はジグリセロールなどのポリオールのC~C20脂肪酸エステル、例えば分子量が約750g/molのポリ(12-ヒドロキシステアリン酸)ステアレート、例えばAvecia社によりSolsperse 21000の名称で販売されているもの、Henkel社によりDehymyls PGPHの商品記号で販売されているポリグリセリル-2ジポリヒドロキシステアレート(CTFA名)又はポリヒドロキシステアリン酸、例えばUniqema社によりArlacel P100の商品記号で販売されているもの及びこれらの混合物が使用される。
【0151】
本発明の組成物中に使用することができる他の分散剤として、重縮合した脂肪酸の第4級アンモニウム誘導体、例えばAvecia社により販売されているSolsperse 17000並びにポリジメチルシロキサン/オキシプロピレン混合物、例えばDow Corning社によりDC2-5185及びDC2-5225 Cの商品記号で販売されているものを挙げることができる。
【0152】
組成物中に使用することができる顔料は、有機剤で表面処理されたものであり得る。
【0153】
即ち、本発明に関連して有用な予め表面処理された顔料は、本発明による組成物中に分散させる前に、特にCosmetics and Toiletries,February 1990,Vol.105,pages 53-64に記載されているものなどの有機剤を用いて、化学的、電気的、電気化学的、機械化学的又は機械的な表面処理を全体的又は部分的に施した顔料である。これらの有機剤は、例えば、ロウ、例えばカルナウバロウ及びミツロウ;脂肪酸、脂肪アルコール及びこれらの誘導体、例えばステアリン酸、ヒドロキシステアリン酸、ステアリルアルコール、ヒドロキシステアリルアルコール、ラウリン酸及びこれらの誘導体;アニオン性界面活性剤;レシチン;脂肪酸のナトリウム、カリウム、マグネシウム、鉄、チタン、亜鉛又はアルミニウム塩、例えばステアリン酸又はラウリン酸アルミニウム;金属アルコキシド;ポリエチレン;(メタ)アクリル系ポリマー、例えばポリメチルメタクリレート;アクリレート単位を含有するポリマー及びコポリマー;アルカノールアミン;シリコーン化合物、例えばシリコーン、特にポリジメチルシロキサン;有機フッ素化合物、例えばパーフルオロアルキルエーテル;フルオロシリコーン化合物から選択することができる。
【0154】
本組成物に有用な表面処理された顔料は、これらの化合物の混合物で処理されたものであり得、且つ/又は数回の表面処理を施されたものであり得る。
【0155】
本発明に関連して有用な表面処理された顔料は、当業者によく知られている表面処理技法に従って調製され得るか、又はそのまま商業的に入手可能なものであり得る。
【0156】
好ましくは、表面処理された顔料は、有機層で被覆されている。
【0157】
顔料を処理する有機剤は、溶媒の蒸発、表面処理剤の分子との化学反応又は表面処理剤と顔料との間の共有結合の形成により、顔料上に堆積させることが可能である。
【0158】
したがって、表面処理は、例えば、表面処理剤と顔料表面とを化学反応させ、表面処理剤と顔料又は充填剤との間に共有結合を生成することにより実施することができる。この方法は、特に、米国特許第4578266号明細書に記載されている。
【0159】
顔料と共有結合する有機剤が好ましく使用されるであろう。
【0160】
表面処理に用いる剤は、表面処理される顔料の総質量に対して0.1質量%~50質量%、好ましくは0.5質量%~30質量%、一層優先的には表面処理される顔料の総質量に対して1質量%~20質量%を占めることができる。
【0161】
好ましくは、顔料の表面処理は、以下の処理から選択される:
- PEG-シリコーン処理、例えばLCWから販売されているAQ表面処理;
- メチコン処理、例えばLCWから販売されているSI表面処理;
- ジメチコン処理、例えばLCWから販売されているCovasil 3.05表面処理;
- ジメチコン/トリメチルシロキシケイ酸処理、例えばLCWから販売されているCovasil 4.05表面処理;
- ミリスチン酸マグネシウム処理、例えばLCWから販売されているMM表面処理;
- ジミリスチン酸アルミニウム処理、例えば三好化成株式会社(Miyoshi)から販売されているMI表面処理;
- パーフルオロポリメチルイソプロピルエーテル処理、例えばLCWから販売されているFHC表面処理;
- セバシン酸イソステアリル処理、例えば三好化成株式会社(Miyoshi)から販売されているHS表面処理;
- パーフルオロアルキルホスフェート処理、例えば大東化成工業株式会社(Daito)から販売されているPF表面処理;
- (アクリレーツ/ジメチコン)コポリマー及びパーフルオロアルキルホスフェート処理、例えば大東化成工業株式会社(Daito)から販売されているFSA表面処理;
- ポリメチルハイドロジェンシロキサン(polymethylhydrogen siloxane)/パーフルオロアルキルリンホスフェート処理、例えば大東化成工業株式会社(Daito)から販売されているFS01表面処理;
- (アクリレーツ/ジメチコン)コポリマー処理、例えば大東化成工業株式会社(Daito)から販売されているASC表面処理;
- トリイソステアリン酸イソプロピルチタン処理、例えば大東化成工業株式会社(Daito)から販売されているITT表面処理;
- アクリレートコポリマー処理、例えば大東化成工業株式会社(Daito)から販売されているAPD表面処理;
-パーフルオロアルキルホスフェート/トリイソステアリン酸イソプロピルチタン処理、例えば大東化成工業株式会社(Daito)から販売されているPF+ITT表面処理。
【0162】
本発明の特定の実施形態によれば、分散剤は、染料組成物中において、サブミクロンサイズの粒子状形態の有機又は鉱物顔料と共に存在する。
【0163】
「サブミクロン」又は「サブミクロンの」という用語は、微粉化方法により微粉化された粒子径を有し、平均粒子径が1マイクロメートル(μm)未満、特に0.1~0.9μm、好ましくは0.2~0.6μmである顔料を意味すると理解される。
【0164】
一実施形態によれば、分散剤及び顔料は、1:4~4:1、特に1.5:3.5~3.5:1、より良好には1.75:3~3:1の量(分散剤:顔料)で存在する。
【0165】
したがって、分散剤は、シリコーンポリエーテルなどのシリコーン骨格を有する、上に述べたアルコキシシラン以外のアミノシリコーン型の分散剤であり得る。好適な分散剤の中でも、以下に示すものを挙げることができる:- アミノシリコーン、即ち1つ又は複数のアミノ基を含むシリコーン、例えば、BYKからBYK LPX 21879の名称及び商品記号で販売されているもの、Genesee Polymersから販売されているGP-4、GP-6、GP-344、GP-851、GP-965、GP-967及びGP-988-1、- シリコーンアクリレート、例えばEvonikにより販売されているTego(登録商標)RC 902、Tego(登録商標)RC 922、Tego(登録商標)RC 1041及びTego(登録商標)RC 1043、- カルボキシル基を有するポリジメチルシロキサン(PDMS)シリコーン、例えば信越化学工業株式会社(Shin-Etsu)からのX-22162及びX-22370、エポキシシリコーン、例えばGenesee PolymersからのGP-29、GP-32、GP-502、GP-504、GP-514、GP-607、GP-682及びGP-695又はEvonikからのTego(登録商標)RC 1401、Tego(登録商標)RC1403、Tego(登録商標)RC 1412。
【0166】
特定の実施形態によれば、分散剤は、上に述べたシリコーン以外のアミノシリコーン型のものであり、且つカチオン性のものである。
【0167】
好ましくは、顔料は、鉱物顔料、鉱物-有機混合顔料又は有機顔料から選択される。
【0168】
本発明の一変形形態において、本発明による顔料は、有機顔料、優先的にはシリコーン化合物から選択される有機剤で表面処理された有機顔料である。本発明の他の変形形態において、本発明による顔料は、鉱物顔料である。
【0169】
顔料の総量は、組成物の総質量に対して0.01質量%~50質量%、より詳細には0.05質量%~40質量%、好ましくは0.1質量%~35質量%、好ましくは1質量%~30質量%の範囲であり得る。
【0170】
本発明の組成物は、本発明による顔料と異なる、直接染料又は染料プレカーサー等の他の有色又は着色性化学種を含有することができる。
【0171】
本発明による組成物は、水を含み得、これは、好ましくは、組成物の質量に対して10質量%未満、より優先的には5質量%未満の含有量で存在することができる。
【0172】
より優先的には、組成物は、組成物の調製時に添加される水を含まない。存在する可能性のある水は、混合された成分によって持ち込まれた残留水分に対応するものであり得る。
【0173】
脂肪性物質
本発明による組成物は、25℃の大気圧下で液体である非シリコーン脂肪性物質又は25℃の大気圧下で固体である非シリコーン脂肪性物質から選択される、上に記載した脂肪アミン以外の1つ又は複数の非シリコーン脂肪性物質も含み得る。
【0174】
25℃の大気圧下で液体である非シリコーン脂肪性物質は、C~C16炭化水素又は16個を超える炭素原子を含有する炭化水素、特にアルカン、動物由来の油、植物由来の油、合成由来のグリセリド又はフッ素系油、脂肪アルコール、脂肪酸及び/又は脂肪アルコールのエステル、非シリコーンワックス並びにシリコーンから選択することができる。
【0175】
本発明の化粧用組成物に使用することができる脂肪アルコールは、飽和又は不飽和及び直鎖又は分岐であり得、6~30個の炭素原子、より詳細には8~30個の炭素原子を含む。その例として、セチルアルコール、セテアリルアルコール、ステアリルアルコール及びその混合物(セチルステアリルアルコール)、オクチルドデカノール、2-ブチルオクタノール、2-ヘキシルデカノール、2-ウンデシルペンタデカノール、オレイルアルコール並びにリノレイルアルコールを挙げることができる。
【0176】
脂肪酸及び/又は脂肪アルコールのエステルに関して、特に、飽和又は不飽和の、直鎖又は分枝のC~C26脂肪族一塩基酸又は多塩基酸と、飽和又は不飽和の直鎖又は分岐のC~C26脂肪族1価又は多価アルコールとのエステルを挙げることができ、より詳細には、エステルの総炭素数は、10以上である。
【0177】
モノエステルの中でも、以下を挙げることができる:ベヘン酸ジヒドロアビエチル;ベヘン酸オクチルドデシル;ベヘン酸イソセチル;乳酸セチル;C12~C15乳酸アルキル;乳酸イソステアリル;乳酸ラウリル;乳酸リノレイル;乳酸オレイル;オクタン酸(イソ)ステアリル;オクタン酸イソセチル;オクタン酸オクチル;オクタン酸セチル;オレイン酸デシル;イソステアリン酸イソセチル;ラウリン酸イソセチル;ステアリン酸イソセチル;オクタン酸イソデシル;オレイン酸イソデシル;イソノナン酸イソノニル;パルミチン酸イソステアリル;アセチルリシノール酸メチル;ステアリン酸ミリスチル;イソノナン酸オクチル;イソノナン酸セテアリル;イソノナン酸2-エチルヘキシル;パルミチン酸オクチル;ペラルゴン酸オクチル;ステアリン酸オクチル;エルカ酸オクチルドデシル;エルカ酸オレイル;パルミチン酸エチル及びイソプロピル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、パルミチン酸2-オクチルデシル、ミリスチン酸アルキル、例えばミリスチン酸イソプロピル、ブチル、セチル、2-オクチルドデシル、ミリスチル又はステアリル、ステアリン酸ヘキシル、ステアリン酸ブチル、ステアリン酸イソブチル;リンゴ酸ジオクチル、ラウリン酸ヘキシル、ラウリン酸2-ヘキシルデシル。
【0178】
本発明による固体非シリコーン脂肪性物質は、脂肪アルコール、脂肪酸及び/又は脂肪アルコールのエステル、非シリコーンワックス、セラミド並びにこれらの混合物から選択することができる。
【0179】
「固体脂肪性物質」という語は、常温の大気圧(25℃、1atm)下に固体である脂肪性物質を意味すると理解され、これらは、好ましくは、25℃、剪断速度1s-1で測定した粘度が2Pa・sを超える。
【0180】
使用可能な脂肪酸及び/又は脂肪アルコールの固体エステルは、好ましくは、C~C30脂肪酸(カルボン酸)から及び/又はC~C30脂肪アルコールから生成するエステルから選択される。
【0181】
好ましくは、脂肪酸の及び/又は脂肪アルコールの固体エステルは、少なくとも10個の炭素原子、好ましくは10~30個の炭素原子、より詳細には12~24個の炭素原子を含む直鎖又は分岐の飽和カルボン酸のエステル並びに少なくとも10個の炭素原子、好ましくは10~30個の炭素原子、より詳細には12~24個の炭素原子を含む直鎖又は分岐の飽和1価アルコールのエステルである。飽和カルボン酸は、任意選択で、ヒドロキシル化され得、好ましくはモノカルボン酸である。
【0182】
~C22ジカルボン酸又はトリカルボン酸とC~C22アルコールとのエステル及びモノ、ジ-又はトリ-カルボン酸とC~C26ジ-、トリ-、テトラ-又はペンタ-ヒドロキシル化アルコールとのエステルも使用することができる。
【0183】
特に、ベヘン酸オクチルドデシル、ベヘン酸イソセチル、乳酸セチル、オクタン酸ステアリル、オクタン酸オクチル、オクタン酸セチル、オレイン酸デシル、ステアリン酸ヘキシル、ステアリン酸オクチル、ステアリン酸ミリスチル、ステアリン酸セチル、ステアリン酸ステアリル、ペラルゴン酸オクチル、ミリスチン酸セチル、ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸ステアリル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジn-プロピル、アジピン酸ジオクチル、マレイン酸ジオクチル、パルミチン酸オクチル、パルミチン酸ミリスチル、パルミチン酸セチル、パルミチン酸ステアリル及びこれらの混合物を挙げることができる。
【0184】
好ましくは、脂肪酸の及び/又は脂肪アルコールの固体エステルは、パルミチン酸C~C26アルキル、特にパルミチン酸ミリスチル、セチル又はステアリル;ミリスチン酸C~C26アルキル、例えばミリスチン酸セチル、ミリスチン酸ステアリル及びミリスチン酸ミリスチル;ステアリン酸C~C26アルキル、特にステアリン酸ミリスチル、ステアリン酸セチル及びステアリン酸ステアリル;並びにこれらの混合物から選択され、一層優先的にはパルミチン酸セチルである。
【0185】
組成物が1つ又は複数の非シリコーン脂肪性物質を含む場合、脂肪性物質の総含有量は、組成物の総質量に対して0.01質量%~20質量%、好ましくは0.05質量%~15質量%、更により良好には0.05質量%~10質量%の範囲であり得る。
【0186】
添加剤:
組成物は、例えば、還元剤、有機溶媒、軟化剤、消泡剤、保湿剤、紫外線遮蔽剤、解膠剤、可溶化剤、香料、アニオン性、カチオン性、非イオン性又は両性界面活性剤、タンパク質、ビタミン及びこれらの混合物から選択される、化粧品に慣用されている少なくとも1つの剤も含有し得る。
【0187】
界面活性剤:
組成物は、1つ又は複数の非イオン性界面活性剤を含むことができる。
【0188】
これらは、アルコール、α-ジオール及び(C~C20)アルキルフェノールから選択することができ、これらの化合物は、ポリエトキシル化及び/又はポリプロポキシル化及び/又はポリグリセロール化されており、酸化エチレン及び/又は酸化プロピレン基の数は、1~100の範囲であり得、グリセロール基の数は、2~30の範囲であり得るか;又は代わりに、これらの化合物は、8~30個の炭素原子、特に16~30個の炭素原子を含む少なくとも1つの脂肪鎖を含む。
【0189】
エチレンオキシド及びプロピレンオキシドと脂肪アルコールとの縮合物;好ましくは2~30個のエチレンオキシド単位を含有するポリエトキシル化脂肪アミド、平均1~5つ、特に1.5~4つのグリセロール基を含むポリグリセロール化脂肪アミド;好ましくは2~40個のエチレンオキシド単位を含有するエトキシル化されたソルビタンの脂肪酸エステル、スクロースの脂肪酸エステル、2~150モルのエチレンオキシドを含有するポリオキシアルキレン化、好ましくはポリオキシエチレン化された脂肪酸エステル(オキシエチレン化植物油を含む)、N-(C6~24アルキル)グルカミン誘導体、(C10~14アルキル)アミンオキシド又はN-(C10~14アシル)アミノプロピルモルホリンオキシドなどのアミンオキシドも挙げることができる。
【0190】
アルキル(ポリ)グリコシド型の非イオン性界面活性剤、特に以下の一般式:
[化学式13]
O-(RO)-(G)
(式中、
- Rは、6~24個の炭素原子、特に8~18個の炭素原子を含む直鎖若しくは分岐のアルキル若しくはアルケニル基又はその直鎖若しくは分岐のアルキル基が6~24個の炭素原子、特に8~18個の炭素原子を含むアルキルフェニル基を表し、
- Rは、2~4つの炭素原子を含むアルキレン基を表し、
- Gは、5~6つの炭素原子を含む糖単位を表し、
- tは、0~10、好ましくは0~4の値を表し、
- vは、重合度であり、1~15、好ましくは1~4の範囲の値を表す)
によって表されるものも挙げることができる。
【0191】
好ましくは、アルキル(ポリ)グリコシド界面活性剤は、上記式(式中、
- Rが、8~18個の炭素原子を含む直鎖又は分岐の飽和又は不飽和のアルキル基を表し、
- Rが、2~4つの炭素原子を含むアルキレン基を表し、
- tが、0~3の範囲の値、好ましくは0を表し、
- Gが、グルコース、フルクトース又はガラクトース、好ましくはグルコースを表し;
- vが、重合度であって、1~15、好ましくは1~4の範囲の値を表し;より詳細には平均重合度が1~2である)
の化合物である。
【0192】
糖単位間のグルコシド結合は、通常、1-6型又は1-4型、好ましくは1-4型のグルコシド結合である。好ましくは、アルキル(ポリ)グリコシド界面活性剤は、アルキル(ポリ)グルコシド界面活性剤である。その中でも、1,4型のC/C16アルキル(ポリ)グルコシド、特にデシルグルコシド及び(カプリリル/カプリル)グルコシドが最も好ましい。
【0193】
市販の製品の中では、Cognis社からPlantaren(登録商標)(600 CS/U、1200及び2000)又はPlantacare(登録商標)(818、1200及び2000)の名称で販売されている製品;SEPPIC社からOramix CG 110及びOramix(登録商標)NS 10の名称で販売されている製品;BASF社からLutensol GD 70の名称で販売されている製品又はChem Y社からAG10 LKの名称で販売されている製品を挙げることができる。
【0194】
好ましくは、53%水溶液としての1,4型C/C16アルキル(ポリ)グリコシド、特にCognis社からPlantacare(登録商標)818 UPの商品記号で販売されているものなどが利用される。
【0195】
モノ又はポリグリセロール化された界面活性剤は、好ましくは、平均して1~30個、特に1~10個、更により良好には1.5~5個の範囲のグリセロール基を含む。好ましくは、これらは、以下の式:
[化学式14]
RO[CHCH(CHOH)O]mH、
[化学式15]
RO[CHCH(OH)CHO]mH、又は
[化学式16]
RO[CH(CHOH)CHO]mH
(式中、
- Rは、8~40個の炭素原子、特に10~30個の炭素原子を含み、任意選択で1つ又は複数のO及びNなどのヘテロ原子を含む、飽和又は不飽和の直鎖又は分岐の炭化水素系(特にアルキル又はアルケニル)基を表し;
- mは、1~30、好ましくは1~10、更により良好には1.5~6の範囲の整数である)
の1つに対応する。
【0196】
特にRは、1つ又は複数のヒドロキシル基及び/又はエーテル基及び/又はアミド基を含むことができる。好ましくは、Rは、モノ-又はポリヒドロキシル化されたC10~C20アルキル又はアルケニル基である。
【0197】
例えば、Gattefosse社からGeleol(登録商標)の名称で販売されているステアリン酸グリセリルを挙げることができる。
【0198】
Chimexからの製品であるChimexane(登録商標)NFなどの、ポリグリセロール化された(3.5モル)ヒドロキシラウリルエーテルを挙げることができる。
【0199】
(ポリ)エトキシル化された脂肪アルコール、好ましくは8~30個の炭素原子、好ましくは12~22個の炭素原子を含み、任意選択で1つ又は複数のヒドロキシル(OH)基、特に1~4つのヒドロキシル基で置換された、1つ又は複数の飽和又は不飽和の直鎖又は分枝の炭化水素系鎖を含む、(ポリ)エトキシル化された脂肪アルコールも挙げることができる。
【0200】
鎖が不飽和である場合、この鎖は、1~3つの共役又は非共役炭素-炭素二重結合を含むことができる。
【0201】
(ポリ)エトキシル化された脂肪アルコールは、好ましくは、式(I):
[化学式17]
-(OCHCH)cOH (I)
(式中、
- Rは、8~40個の炭素原子、特に8~30個の炭素原子を含み、任意選択で1つ又は複数、特に1~4つのヒドロキシル基で置換された、直鎖又は分岐のアルキル又はアルケニル基を表し;
- cは、1~200、特に2~150、更には4~50、一層より良好には8~30の範囲の整数である)
に対応する。
【0202】
(ポリ)エトキシル化された脂肪アルコールは、より具体的には、1~30モルの酸化エチレン(1~30EO)でオキシエチレン化された、8~22個の炭素原子を含む脂肪アルコールであり;特にラウリルアルコール(2EO);ラウリルアルコール(3EO);デシルアルコール(3EO);デシルアルコール(5EO)及びオレイルアルコール(20EO)を挙げることができる。
【0203】
INCI名がPEG-40水添ヒマシ油、PEG-60水添ヒマシ油である化合物などの(ポリ)エトキシル化された植物油も挙げることができる。
【0204】
有利には、非イオン性界面活性剤は、
(i)上に示したモノグリセロール化又はポリグリセロール化された界面活性剤、
(ii)(ポリ)オキシアルキレン化、特に(ポリ)エトキシル化された脂肪アルコール、特に式(I)において、
- Rが、8~40個の炭素原子、特に8~30個の炭素原子を含み、任意選択で1つ又は複数、特に1~4つのヒドロキシル基で置換された、直鎖又は分岐のアルキル又はアルケニル基を表し;
- cが、1~200、特に2~150、更には4~50、一層より良好には8~30の範囲の整数であるもの;
(iii)(ポリ)オキシアルキレン化された(C~C32)アルキルフェニルエーテル、特に1~200mol、更により良好には1~30molのエチレンオキシドを有するもの;
(iv)好ましくは2~40個のエチレンオキシド単位、更により良好には2~20個のエチレンオキシド(EO)単位を含有する、ポリオキシアルキレン化されたC~C32脂肪酸とソルビタンとのエステル、特にポリオキシエチレン化されたC~C32脂肪酸とソルビタンとのエステル;特に好ましくは2~40個のエチレンオキシド単位、更により良好には2~20個のエチレンオキシド(EO)単位を含有する、ポリオキシエチレン化されたC10~C24脂肪酸とソルビタンとのエステル;
(v)ポリオキシエチレン化された、好ましくは2~150個のエチレンオキシド単位を含有する、C~C32脂肪酸のエステル;特にポリオキシエチレン化された、特に2~150個のエチレンオキシド(EO)単位を含む、C10~C24脂肪酸のエステル、
(vi)(ポリ)エトキシル化された植物油
から選択することができる。
【0205】
より優先的には、非イオン性界面活性剤は、
(i)モノグリセロール化又はポリグリセロール化された界面活性剤、
(ii)(ポリ)オキシアルキレン化された、特に(ポリ)エトキシル化された脂肪アルコール、及び
(iii)(ポリ)エトキシル化された植物油
から選択することができる。
【0206】
特に、以下に示すものを挙げることができる:
- ステアリン酸グリセリル;
- (ポリ)エトキシル化ラウリルアルコール、例えばINCI名ラウレス-2、ラウレス-3、ラウレス-4、ラウレス-10、ラウレス-12、ラウレス-23である化合物、(ポリ)エトキシル化セチルアルコール、例えばINCI名セテス-2、セテス-10である化合物、(ポリ)エトキシル化ステアリルアルコール、例えばINCI名ステアレス-2、ステアレス-10、ステアレス-20である化合物、(ポリ)エトキシル化セテアリルアルコール、例えばINCI名セテアレス-12、セテアレス-20、セテアレス-30、セテアレス-33である化合物、(ポリ)エトキシル化トリデシルアルコール、例えばINCI名トリデセス-6である化合物、最も詳細にはセテアレス-20及びセテアレス-12;
- INCI名PEG-40水添ヒマシ油、PEG-60水添ヒマシ油である化合物。
【0207】
好ましくは、非イオン性界面活性剤は、ステアリン酸グリセリル、セテアレス-20、セテアレス-12、PEG-40水添ヒマシ油及びこれらの混合物から選択される。
【0208】
好ましくは、非イオン性界面活性剤が存在する場合、本発明による組成物は、前記非イオン性界面活性剤を、組成物の総質量に対して0.01質量%~10質量%、一層より良好には0.05質量%~5質量%の範囲の量で含む。
【0209】
言うまでもなく、当業者は、本発明による被覆の形成に本来付随する有利な特性が悪影響を受けないか又は実質的に悪影響を受けないように、これらの任意選択の添加剤を慎重に選択するであろう。
【0210】
有機溶媒:
本発明による組成物は、1つ又は複数の有機溶媒を含むことができる。
【0211】
有機溶媒の例として、低級C~Cアルカノール、例えばエタノール及びイソプロパノール;ポリオール及びポリオールエーテル、例えば2-ブトキシエタノール、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル並びにジエチレングリコールモノエチルエーテル及びモノメチルエーテルに加えて、芳香族アルコール、例えばベンジルアルコール又はフェノキシエタノール並びにこれらの混合物も挙げることができる。
【0212】
好ましくは、本発明による組成物は、C~C低級アルカノールから選択される1つ又は複数の有機溶媒、より優先的にはエタノールを含む。
【0213】
有機溶媒が存在する場合、これらは、好ましくは、組成物a)の総質量に対して約0.1質量%~80質量%(境界値を含む)の総含有量、より優先的には約1質量%~70質量%、一層詳細には組成物a)の総質量に対して2質量%~60質量%(境界値を含む)の総含有量で存在する。
【0214】
装置
エアゾール装置は、少なくとも1つの噴射剤b)を含む少なくとも1つの加圧容器を含む。
【0215】
噴射剤b)は、上に述べた組成物a)中に存在しても又は存在しなくてもよい。
【0216】
本発明による装置の容器は、剛性壁部を有することができ、且つ組成物a)を直接収容することができる。
【0217】
一変形形態として、容器は、剛性壁部を有することができ、且つ組成物a)を収容する可撓性壁部を有する袋体を収容することができる。
【0218】
この構成によれば、袋体内の組成物a)は、噴射剤b)を含まなくてもよく、後者は、容器の剛性壁部及び袋体間で定められる隙間に存在する。
【0219】
好ましくは、袋体内に収容された組成物a)自体も少なくとも1つの噴射剤b)を含む。
【0220】
装置は、組成物の送達を可能にする手段を含み、この手段は、容器の上に載置された少なくとも1つの吐出弁を含む。
【0221】
この弁は、弁の吸入用開口を介して容器内部と選択的に流体連通しており、この連通は、押ボタン等の作動手段の作動に応答して確立される。
【0222】
装置が、可撓性の袋体を収容する、剛性壁部を有する容器である場合、弁は、2つの吸入用開口を備え、この開口の一方は、袋体内部と連通可能であり、他方は、袋体及び容器の剛性壁部間に定められる隙間と連通可能である。
【0223】
容器が袋体を収容しない場合、容器は、組成物を吐出弁の吸入用開口に送り込むことができるディップチューブを備える。
【0224】
容器が袋体を収容する場合、弁の吸入用開口は袋体の内部に通じている。
【0225】
装置は弁を覆う少なくとも1つのデフューザを含み得る。押ボタンはデフューザの一部とすることもできる。
【0226】
デフューザは、組成物を1つ又は複数の吐出用開口に送り込むために設けられた1つ又は複数の吐出配管を備えることができる。
【0227】
文献米国特許第3917121号明細書、米国特許第4720046号明細書及び国際公開第00/76880号パンフレットに装置の例が開示されている。
【0228】
デフューザは、単一の吐出用開口と、前記開口から放射状に広がる拡散用分岐を含むことができる。変形形態として、デフューザは、複数の吐出用開口を含む。有利には、吐出用開口を、拡散格子となるように配置することができる。
【0229】
好ましくは、本発明による装置の容器は、剛性壁部を含み、且つ組成物a)を直接収容する。
【0230】
好ましくは、組成物a)は、1つ又は複数の噴射剤b)を含む。
【0231】
本発明に関連する噴射剤は、組成物の排出を可能にするために使用することができることに留意すべきである。
【0232】
好ましくは、噴射剤は、本発明による加圧容器内において、(エアゾール装置内に包装されている)組成物の総質量に対して1質量%~99質量%、より優先的には10質量%~98質量%、更により良好には40質量%~97質量%、一層より良好には70質量%~96質量%の範囲の総含有量で存在する。噴射剤が組成物a)中に存在する場合、組成物の総質量は組成物a)の総質量に対応する。噴射剤が組成物a)中に存在しない場合、組成物の総質量は組成物a)の質量+噴射剤の質量に対応する。
【0233】
好ましくは、噴射剤は、本発明による加圧容器内において、組成物a)の総質量に対して1質量%~99質量%、より優先的には10質量%~98質量%、更により良好には40質量%~97質量%、一層より良好には70質量%~96質量%の範囲の総量で存在する。
【0234】
噴射剤は、特に、空気、炭化水素系ガス、不活性ガス及びこれらの混合物から選択される。特に、炭化水素系ガス、例えばプロパン、n-ブタン、イソブタン及びこれらの混合物;フッ素系ガス、例えばクロロジフルオロメタン、ジクロロジフルオロメタン、ジフルオロエタン、クロロジフルオロエタン、ジクロロテトラフルオロエタンなど、及びこれらの混合物;ハイドロフルオロカーボン系ガス;ジメチルエーテル及びジメチルエーテルと1つ又は複数の炭化水素系ガスとの混合物を挙げることができ;窒素、空気及び二酸化炭素並びにこれらの混合物も本発明の不活性噴射剤として使用することができる。
【0235】
好ましくは、噴射剤は、2~6つの炭素原子を含有する炭化水素系ガス、より優先的にはイソブタン、プロパン、n-ブタン、ジメチルエーテル及びこれらの混合物、より優先的にはジメチルエーテルから選択される。
【0236】
より優先的には、本発明による装置は、ジメチルエーテルを含む。
【0237】
他の好ましい実施形態によれば、噴射剤は、ジメチルエーテル及びハイドロフルオロカーボン系ガスの混合物である。
【0238】
噴射剤が組成物a)中に存在する場合、クロトン酸又はクロトン酸誘導体のコポリマーの総量は、組成物の質量に対して0.05質量%~5質量%、好ましくは組成物の質量に対して0.1質量%~2質量%、好ましくは組成物a)の総質量に対して0.1質量%~1質量%の範囲であり得る。
【0239】
噴射剤が組成物a)中に存在する場合、脂肪アミンは、組成物a)の総質量に対して0.001質量%~2質量%、好ましくは0.005質量%~1質量%、更により良好には0.01質量%~0.5質量%の範囲の総量で存在することができる。
【0240】
噴射剤が組成物a)中に存在する場合、シリコーンは、組成物の総質量に対して0.01質量%~3質量%、好ましくは組成物a)の総質量に対して0.05%~1%、より優先的には0.05%~0.5%の範囲であり得る総量で存在することができる。
【0241】
噴射剤が組成物a)中に存在する場合、顔料の総量は、組成物a)の総質量に対して0.01質量%~10質量%、より詳細には0.05質量%~5質量%、好ましくは0.1質量%~3質量%、好ましくは0.5質量%~2質量%の範囲であり得る。
【0242】
ガスは、加圧されており、より詳細には少なくとも一部が加圧されて液体形態である。
【0243】
有利には、加圧容器から送達される染料組成物は、液体形態である。
【0244】
方法
本発明の他の主題は、毛髪などのケラチン繊維を染色するための方法であって、前記繊維に、上記で定義された装置から送達される組成物を適用し、任意選択で、次いで乾燥させることを含む方法である。
【0245】
上述のエアゾール装置により送達される組成物は、湿った又は乾いたケラチン繊維上で使用することができ、また明色又は暗色の繊維、未処理の又は染色された繊維、パーマネントウェーブ処理、脱色又は縮毛矯正された繊維といったどの種類の繊維上でも使用することができる。
【0246】
本発明の方法の特定の実施形態によれば、繊維は、上に記載した組成物を適用する前に洗浄される。
【0247】
本発明による装置により、適用が頭髪全体に均一に行われる。
【0248】
染色方法は、通常、常温(15℃~25℃)で実施される。
【0249】
組成物を適用した後の繊維は、自然乾燥され得るか、又は例えば30℃以上の温度で乾燥され得る。特定の実施形態によれば、この温度は、40℃を超える。特定の実施形態によれば、この温度は、45℃を超え、且つ220℃未満である。
【0250】
乾燥を行う場合、これは、適用直後又は1分間~30分間の範囲であり得る放置時間が経過した後に実施することができる。
【0251】
繊維を乾燥させる場合、熱の供給に加えて、空気流を用いて乾燥させることが好ましい。こうして乾燥時に空気流を用いることにより、毛束の被覆の分離を改善することが可能になる。
【0252】
乾燥中、毛束に対してコーミング、ブラッシング又は手櫛などの機械的な作用を与えることができる。この操作は、繊維を自然乾燥又は他の方法で乾燥させた後、同様に実施することもできる。
【0253】
本発明の方法の乾燥ステップは、フード式ドライヤー、ヘアドライヤー、ストレートアイロン、クリマゾンなどを用いて実施することができる。
【0254】
乾燥ステップをフード式ドライヤー又はヘアドライヤーを用いて実施する場合、乾燥温度は40~110℃、好ましくは50~90℃である。
【0255】
乾燥ステップを、ストレートアイロンを用いて実施する場合、乾燥温度は110~220℃、好ましくは140~200℃である。
【0256】
ここで、実施例を用いて本発明をより詳細に説明するが、これらは、決して本発明の範囲を限定するものではない。しかしながら、実施例は、本発明の特定の特徴、変形形態及び好ましい実施形態を支持することを可能にする。
【実施例
【0257】
組成(g/100g)AM:活性物質
【0258】
【表1】
【0259】
組成物Aをケラチン繊維に、3つの異なる方法において、
- 本発明によるエアゾール装置を用いて、
- ポンプ式ボトル型の比較用装置を用いて、及び
- 指で(装置を用いずに)
適用する。
【0260】
本発明によるエアゾール装置を用いる場合:
エアゾール装置に、組成物Aをジメチルエーテルと一緒に、噴射剤/流体の比率を95/5として包装する。
【0261】
本発明によるエアゾール装置は、Cosmos MinijetブランドのDMPR154デフューザ、Ogivalブランドの40×100、12barの容器及びS90 Precision Europeブランドの押し込み式弁(push-in valve)を含み、ノズル径4.0mm、ノズルの開口0.41mm、PGAの開口0.33mm、弁本体の開口0.46mmである。
【0262】
本発明によるエアゾール装置を作動させると、混合物は液体形態で送達される。3gの混合物(即ち0.15gの組成物A)を、90%の白髪を含む天然の毛髪の毛束1gに適用する。
【0263】
ポンプ式ボトル型の比較用装置を用いる場合:
ポンプ式ボトル型の比較用装置に組成物Aのみを包装する。比較用装置は、透明な100mlのPETボトル(Boston RounブランドのGL20/410 Tall及びAptarブランドのPZ1/HV/150ポンプ及びAptarブランドのDV3020ノズル)を含む。
【0264】
比較用装置を作動させると、組成物Aは液体形態で送達される。0.15gの組成物Aを、90%の白髪を含む天然の毛髪の毛束1gに適用する。
【0265】
指を用いる場合:
0.15gの組成物Aを、90%の白髪含む天然の毛髪の毛束1gに指で適用する。
【0266】
本発明によるエアゾール装置、比較用装置及び指を用いて毛束を染色した後、櫛で梳き、ヘアドライヤーで乾燥させ、その後、再び櫛で梳く。
【0267】
結果:
結果を、5人の専門家によるブラインドテストにより、乾燥させた毛束の美的触感、毛束の長手方向に沿った製品の分布及び色の均一性の観点で評価した。
【0268】
【表2】
【0269】
このように、比較用装置による適用又は指による適用と異なり、本発明によるエアゾール装置を用いると、組成物の毛束への適用は、速やかであり、容易であり且つ均一である。
【0270】
更に、本発明によるエアゾール装置を用いると、毛髪のほどけやすさが良好となり、特に柔軟性、まとやりやすさ及びべたつきのなさが良好である、触り心地のよい美的触感を有する毛束を得ることが可能になる。更に、得られた毛束の色は均一である。