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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-22
(45)【発行日】2024-01-30
(54)【発明の名称】ヒンジアセンブリ
(51)【国際特許分類】
   E05D 7/12 20060101AFI20240123BHJP
   E05D 7/086 20060101ALI20240123BHJP
   E05D 3/14 20060101ALI20240123BHJP
   E05D 7/04 20060101ALI20240123BHJP
【FI】
E05D7/12 D
E05D7/086
E05D3/14 A
E05D7/04
【請求項の数】 35
(21)【出願番号】P 2022543593
(86)(22)【出願日】2021-01-14
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-14
(86)【国際出願番号】 AT2021060015
(87)【国際公開番号】W WO2021142504
(87)【国際公開日】2021-07-22
【審査請求日】2022-09-02
(31)【優先権主張番号】A50034/2020
(32)【優先日】2020-01-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AT
(73)【特許権者】
【識別番号】597140501
【氏名又は名称】ユリウス ブルーム ゲー・エム・ベー・ハー
【氏名又は名称原語表記】Julius Blum GmbH
【住所又は居所原語表記】Industriestrasse 1, 6973 Hoechst, Austria
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】フローリアン グシュトライン
【審査官】家田 政明
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第00982455(EP,A2)
【文献】実公平08-007000(JP,Y2)
【文献】特許第3405887(JP,B2)
【文献】実公平06-029414(JP,Y2)
【文献】国際公開第2020/005174(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05D 1/00-9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒンジアセンブリであって、
- 家具キャビネット(2)に固定すべき組付け体(7)と、
- 少なくとも1つの枢動軸(14)を介して互いに結合された2つの金具部分(5,6)を有する家具ヒンジ(4)と、
- 前記家具ヒンジ(4)の前記金具部分(5,6)のうちの一方を前記組付け体(7)に解除可能にロックすることができるロック装置(18)と、
を備え、
この場合、前記家具ヒンジ(4)の、前記組付け体(7)にロックすべき前記金具部分(5,6)は、互いに上下に配置された3つのプレート(29a,29b,29c)を有しており、前記プレートは少なくとも、少なくとも1つの共通のピン状の保持部材(19)によって互いに結合されている、ヒンジアセンブリにおいて、
前記少なくとも1つの保持部材(19)は、前記ロック装置(18)の一部を成していて、外側輪郭部(19a)を有しており、前記ロック装置(18)は、前記少なくとも1つの保持部材(19)の前記外側輪郭部(19a)に対応するロック輪郭部(20)を有し、前記ロック輪郭部(20)は、不動に形成された少なくとも1つの第1の部分(20a)と、前記第1の部分(20a)に対して相対的に旋回可能な少なくとも1つの第2の部分(20b)とを有しており、前記少なくとも1つの保持部材(19)は、ロック位置で前記ロック輪郭部(20)の前記第1の部分(20a)および前記第2の部分(20b)の間に収容されていることを特徴とする、ヒンジアセンブリ。
【請求項2】
前記組付け体(7)が、前記家具キャビネット(2)のフレーム(2a)に固定されるように構成されている、請求項1記載のヒンジアセンブリ。
【請求項3】
前記家具ヒンジ(4)は、1つの枢動軸(14)を介して互いに結合された2つの金具部分(5,6)を有する、請求項1または2記載のヒンジアセンブリ。
【請求項4】
前記3つのプレート(29a,29b,29c)のうちの第1のプレートは、ロック位置で、前記組付け体(7)に面しており、前記3つのプレート(29a,29b,29c)のうちの第3のプレートは、外側の位置をとっており、前記3つのプレート(29a,29b,29c)のうちの第2のプレートは、前記3つのプレート(29a,29b,29c)のうちの前記第1のプレートと、前記3つのプレート(29a,29b,29c)のうちの前記第3のプレートとの間の中間位置をとっている、請求項1から3までのいずれか1項記載のヒンジアセンブリ。
【請求項5】
前記3つのプレート(29a,29b,29c)のうちの前記第2のプレートを、前記3つのプレート(29a,29b,29c)のうちの前記第1のプレートに対して相対的に移動させることができる高さ調整用の調整装置(9b)が設けられている、請求項記載のヒンジアセンブリ。
【請求項6】
- 前記3つのプレート(29a,29b,29c)のうちの前記第2のプレートは、前記3つのプレート(29a,29b,29c)のうちの前記第1のプレートに対して相対的に、少なくとも1つの枢動軸(14)に対して平行な方向に移動可能であり、かつ/または
- 前記高さ調整用の調整装置(9b)は、回動可能に支持された調整ホイールを有しており、かつ/または
- 前記3つのプレート(29a,29b,29c)のうちの前記第3のプレートは、前記3つのプレート(29a,29b,29c)のうちの前記第2のプレートと同期して、前記高さ調整用の調整装置(9b)によって、前記3つのプレート(29a,29b,29c)のうちの前記第1のプレートに対して相対的に移動可能である、
請求項記載のヒンジアセンブリ。
【請求項7】
前記調整ホイールは、支持箇所(40b)を介して前記3つのプレート(29a,29b,29c)のうちの前記第1のプレートに回動可能に結合されていて、前記3つのプレート(29a,29b,29c)のうちの前記第2のプレートに支持されている、請求項6記載のヒンジアセンブリ。
【請求項8】
前記3つのプレート(29a,29b,29c)のうちの前記第2のプレートを、前記3つのプレート(29a,29b,29c)のうちの前記第1のプレートに対して相対的に旋回させることができる側方調整用の調整装置(9c)が設けられている、請求項からまでのいずれか1項記載のヒンジアセンブリ。
【請求項9】
- 前記3つのプレート(29a,29b,29c)のうちの前記第2のプレートは、前記3つのプレート(29a,29b,29c)のうちの前記第1のプレートに対して相対的に、前記少なくとも1つの共通のピン状の保持部材(19)を中心として旋回可能であり、かつ/または
- 前記側方調整用の調整装置(9c)は、調整ねじを有しており、前記調整ねじはその下端部で、前記3つのプレート(29a,29b,29c)のうちの前記第1のプレートの支持箇所(40c)に支持されていて、前記調整ねじには、前記3つのプレート(29a,29b,29c)のうちの前記第2のプレートの雌ねじ山(41)と協働する雄ねじ山が設けられており、かつ/または
- 前記3つのプレート(29a,29b,29c)のうちの前記第3のプレートは、前記3つのプレート(29a,29b,29c)のうちの前記第2のプレートと同期して、前記側方調整用の調整装置(9c)によって、前記3つのプレート(29a,29b,29c)のうちの前記第1のプレートに対して相対的に旋回可能である、
請求項記載のヒンジアセンブリ。
【請求項10】
前記3つのプレート(29a,29b,29c)のうちの前記第3のプレートを、前記3つのプレート(29a,29b,29c)のうちの前記第2のプレートに対して相対的に移動させることができる奥行き調整用の調整装置(9a)が設けられている、請求項からまでのいずれか1項記載のヒンジアセンブリ。
【請求項11】
- 前記3つのプレート(29a,29b,29c)のうちの前記第3のプレートは、前記3つのプレート(29a,29b,29c)のうちの前記第2のプレートに対して相対的に、前記少なくとも1つの枢動軸(14)に対して横方向に移動可能であり、かつ/または
- 前記奥行き調整用の調整装置(9a)は、回動可能に支持された調整ホイールを有しており、かつ/または
- 前記3つのプレート(29a,29b,29c)のうちの前記第1のプレートは、前記3つのプレート(29a,29b,29c)のうちの前記第2のプレートと同期して、前記奥行き調整用の調整装置(9a)によって前記3つのプレート(29a,29b,29c)のうちの前記第3のプレートに対して相対的に移動可能であり、かつ/または
- 前記3つのプレート(29a,29b,29c)のうちの前記第3のプレートは、前記3つのプレート(29a,29b,29c)のうちの前記第2のプレートの運動を制限するために、少なくとも1つのストッパ(36)を有している、
請求項10記載のヒンジアセンブリ。
【請求項12】
前記調整ホイールは、支持箇所(40a)を介して前記3つのプレート(29a,29b,29c)のうちの前記第2のプレートに回動可能に結合されていて、前記3つのプレート(29a,29b,29c)のうちの前記第3のプレートに支持されている、請求項11記載のヒンジアセンブリ。
【請求項13】
前記少なくとも1つのストッパ(36)がエンボス加工部の形態である、請求項12記載のヒンジアセンブリ。
【請求項14】
前記3つのプレート(29a,29b,29c)のうちの少なくとも1つのプレートは
- 横断面で見て、少なくとも所定の領域でU字形に形成されており、かつ/または
- 互いに離間させられた少なくとも2つの側方ウェブ(21a,21b)を有している、
請求項から13までのいずれか1項記載のヒンジアセンブリ。
【請求項15】
前記3つのプレート(29a,29b,29c)のうちの3つ全てのプレートは、
- 横断面で見て、少なくとも所定の領域でU字形に形成されており、かつ/または
- 互いに離間させられた少なくとも2つの側方ウェブ(21a,21b)を有している、
請求項14記載のヒンジアセンブリ。
【請求項16】
前記U字形は、前記組付け体(7)の方向に向かって開かれている、請求項14または15記載のヒンジアセンブリ。
【請求項17】
前記少なくとも1つの共通のピン状の保持部材(19)は、
- 前記3つのプレート(29a,29b,29c)のうちの前記第3のプレートにおける、少なくとも1つの長孔(42)において移動可能に支持されていて、かつ/または
- 前記3つのプレート(29a,29b,29c)のうちの前記第2のプレートにおける、少なくとも1つの開口(43)において支持されていて、かつ/または
- 前記3つのプレート(29a,29b,29c)のうちの前記第1のプレートにおける、少なくとも1つの開口(44)において支持されている、
請求項から16までのいずれか1項記載のヒンジアセンブリ。
【請求項18】
前記少なくとも1つの長孔(42)が、側方に向かって開かれている、請求項17記載のヒンジアセンブリ。
【請求項19】
前記少なくとも1つの開口(43)および/または開口(44)が、円形である、請求項17または18記載のヒンジアセンブリ。
【請求項20】
- 前記ロック輪郭部(20)の前記第1の部分(20a)および前記第2の部分(20b)は、前記組付け体(7)に配置されていて、前記少なくとも1つの保持部材(19)は、前記家具ヒンジ(4)の、ロックすべき前記金具部分(5,6)に配置されており、かつ/または
- 前記少なくとも1つの保持部材(19)の前記外側輪郭部(19a)は、少なくとも所定の領域で円筒形に形成されており、かつ/または
- 前記ロック輪郭部(20)の前記少なくとも1つの不動の第1の部分(20a)は、フック要素(22)に形成されており、かつ/または
- 前記ロック輪郭部(20)の前記少なくとも1つの不動の第1の部分(20a)は、横断面で凹状の区分を有し、かつ/または
- 前記ロック輪郭部(20)の前記第1の部分(20a)および前記第2の部分(20b)は、横断面で見て共に3/4円を形成しており、かつ/または前記少なくとも1つの枢動軸(14)に対して平行な方向に互いにずらされて配置されており、かつ/または
- 前記ロック輪郭部(20)は、前記少なくとも1つの枢動軸(14)に対して平行な方向に互いに離間された少なくとも2つの不動の第1の部分(20a)を有しており、前記ロック輪郭部(20)の前記少なくとも1つの第2の部分(20b)は、前記少なくとも2つの不動の第1の部分(20a)の間に配置されている、
請求項1から19までのいずれか1項記載のヒンジアセンブリ。
【請求項21】
前記ロック輪郭部(20)の前記第1の部分(20a)は、前記少なくとも1つの枢動軸(14)を介して前記ロックすべき金具部分(5,6)に結合された前記金具部分(5,6)の方向で開かれている、請求項20記載のヒンジアセンブリ。
【請求項22】
前記横断面で凹状の区分が、半円形の区分である、請求項20または21記載のヒンジアセンブリ。
【請求項23】
前記ロック輪郭部(20)の前記少なくとも1つの第2の部分(20b)は、レバー(23)に形成されている、
請求項1から22までのいずれか1項記載のヒンジアセンブリ。
【請求項24】
- 前記レバー(23)は、一方の端部で回動軸(24)を中心として回動可能に支持されており、かつ/または
- 前記レバー(23)にロック位置の方向で力を加えるばね要素(25)が設けられており、かつ/または
- 前記レバー(23)は、前記ロック輪郭部(20)の前記第2の部分(20b)が配置された自由端部(26)を有し、かつ/または
- 前記レバー(23)は、前記ロック装置(18)を手動でロック解除するための操作要素(26a)が配置された自由端部(26)を有している、
請求項23記載のヒンジアセンブリ。
【請求項25】
前記ばね要素(25)が、ねじりコイルばねまたは板ばねである、請求項24記載のヒンジアセンブリ。
【請求項26】
前記ロック装置(18)は、少なくとも1つの別の保持部材(27)を含んでいて、前記ロック装置(18)の前記保持部材(19)および前記別の保持部材(27)は、前記少なくとも1つの枢動軸(14)に対して横方向に互いに離間させられている、
請求項から25までのいずれか1項記載のヒンジアセンブリ。
【請求項27】
- 前記ロック装置(18)の前記保持部材(19)および前記別の保持部材(27)がそれぞれ1つの長手方向(L1,L2)を有していて、前記保持部材(19)および前記別の保持部材(27)の前記長手方向(L1,L2)が実質的に互いに平行に延在していて、かつ/または
- 前記少なくとも1つの別の保持部材(27)が、円筒形のピンとして形成されている、
請求項26記載のヒンジアセンブリ。
【請求項28】
前記家具ヒンジ(4)の前記ロックすべき金具部分(5,6)は、互いに離間させられた少なくとも2つの側方ウェブ(21a,21b)を有していて、前記側方ウェブの間に前記円筒形のピンが配置されている、
請求項27記載のヒンジアセンブリ。
【請求項29】
前記少なくとも1つの別の保持部材(27)が配置可能な少なくとも1つの収容装置(28)が設けられている、
請求項26から28までのいずれか1項記載のヒンジアセンブリ。
【請求項30】
- 前記少なくとも1つの収容装置(28)は、前記少なくとも1つの枢動軸(14)を介して前記ロックすべき金具部分(5,6)に結合された前記金具部分(5,6)の方向で開かれていて、かつ/または
- 前記ロック装置(18)の前記保持部材(19)および前記別の保持部材(27)は、1回の共通の接合運動(FB)によって、前記ロック輪郭部(20)内にかつ前記少なくとも1つの収容装置(28)内に配置可能となる、
請求項29記載のヒンジアセンブリ。
【請求項31】
前記接合運動(FB)が、並進接合運動である、請求項30記載のヒンジアセンブリ。
【請求項32】
前記少なくとも1つの枢動軸(14)を介して、前記ロックすべき金具部分(5,6)に結合されている金具部分(5,6)は、ヒンジポット(6a)として形成されている、請求項1から31までのいずれか1項記載のヒンジアセンブリ。
【請求項33】
前記ヒンジポット(6a)の中空室(6b)内には、前記家具ヒンジ(4)の両方の前記金具部分(5,6)の相互の相対運動を減衰するための減衰装置(10)が配置されている、請求項32記載のヒンジアセンブリ。
【請求項34】
前記減衰装置(10)の減衰出力は、調整可能である、請求項33記載のヒンジアセンブリ。
【請求項35】
前記減衰装置(10)の減衰出力は、スイッチ(11)によって調整可能である、請求項34記載のヒンジアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒンジアセンブリであって、
- 家具キャビネット、特に該家具キャビネットのフレームに固定すべき組付け体と、
- 少なくとも1つ、特に正確に1つの枢動軸を介して互いに結合された2つの金具部分を有する家具ヒンジと、
- 家具ヒンジの金具部分のうちの一方を組付け体に、特に解除可能にロックすることができるロック装置と
を備える、ヒンジアセンブリに関する。
【0002】
このようなヒンジアセンブリは、先行技術に基づきすでに公知である。また、2つの金具部分の位置が互いに相対的に調整可能であることもすでに公知である。しかしながら、このためには、技術的に複雑な調整装置が使用されており、この調整装置は大きな構成スペースを必要とし、家具ヒンジを不安定にする。
【0003】
本発明の課題は、これらの欠点を少なくとも部分的に解消し、2つの金具部分の位置を互いに相対的に快適に調整するための前提条件を提供し、コンパクトな構造形態と同時に高い安定性の点で優れている、先行技術に比べて改善されたヒンジアセンブリを提供することにある。
【0004】
この課題は、本発明によれば、特許請求項1の特徴により解決される。本発明の有利な別の実施例は、従属請求項に規定されている。
【0005】
本発明によれば、家具ヒンジの、組付け体にロックすべき金具部分は、互いに上下に配置された3つのプレートを有しており、これらのプレートは少なくとも、少なくとも1つの共通のピン状の保持部材によって互いに結合されていることが想定されている。
【0006】
互いに上下に配置された3つのプレートが設けられていることによって、これら3つのプレートのうちのそれぞれ2つのプレートを互いに相対的に調整することで多種多様な調整可能性を実現することができる。
【0007】
3つのプレートが、少なくとも1つの共通のピン状の保持部材によって互いに結合されていることにより、コンパクトかつ極めて安定的な構造形態が可能である。
【0008】
好適な実施形態によれば、3つのプレートのうちの第1のプレートは、ロック位置で、組付け体に面しており、3つのプレートのうちの第3のプレートは、外側の位置をとっており、3つのプレートのうちの第2のプレートは、3つのプレートのうちの第1のプレートと、3つのプレートのうちの第3のプレートとの間の中間位置をとっていることが想定されている。
【0009】
この関連で、3つのプレートのうちの第2のプレートを、3つのプレートのうちの第1のプレートに対して相対的に移動させることができる高さ調整用の調整装置が設けられていることが有利であると判った。
【0010】
この場合、3つのプレートのうちの第2のプレートは、3つのプレートのうちの第1のプレートに対して相対的に、少なくとも1つの枢動軸に対して平行な方向に移動可能であり、かつ/または高さ調整用の調整装置は、回動可能に支持された調整ホイールを有しており、好ましくは、調整ホイールは、支持箇所を介して3つのプレートのうちの第1のプレートに回動可能に結合されていて、3つのプレートのうちの第2のプレートに支持されており、かつ/または3つのプレートのうちの第3のプレートは、3つのプレートのうちの第2のプレートと同期して、高さ調整用の調整装置によって、3つのプレートのうちの第1のプレートに対して相対的に移動可能であることが想定されていてよい。
【0011】
代替的にまたは補足的に、3つのプレートのうちの第2のプレートを、3つのプレートのうちの第1のプレートに対して相対的に旋回させることができる側方調整用の調整装置が設けられていることが想定されていてよい。
【0012】
この関連で、3つのプレートのうちの第2のプレートは、3つのプレートのうちの第1のプレートに対して相対的に、少なくとも1つの共通のピン状の保持部材を中心として旋回可能であり、かつ/または側方調整用の調整装置は、調整ねじを有しており、この調整ねじはその下端部で、3つのプレートのうちの第1のプレートの支持箇所に支持されていて、この調整ねじには、3つのプレートのうちの第2のプレートの雌ねじ山と協働する雄ねじ山が設けられており、かつ/または3つのプレートのうちの第3のプレートは、3つのプレートのうちの第2のプレートと同期して、側方調整用の調整装置によって、3つのプレートのうちの第1のプレートに対して相対的に旋回可能であることが提供される。
【0013】
3つのプレートのうちの第3のプレートを、3つのプレートのうちの第2のプレートに対して相対的に移動させることができる奥行き調整用の調整装置が設けられていることも有利であると判った。
【0014】
この場合、3つのプレートのうちの第3のプレートは、3つのプレートのうちの第2のプレートに対して相対的に、少なくとも1つの枢動軸に対して横方向に移動可能であり、かつ/または奥行き調整用の調整装置は、回動可能に支持された調整ホイールを有しており、好ましくは、調整ホイールは、支持箇所を介して3つのプレートのうちの第2のプレートに回動可能に結合されていて、3つのプレートのうちの第3のプレートに支持されており、かつ/または3つのプレートのうちの第1のプレートは、3つのプレートのうちの第2のプレートと同期して、奥行き調整用の調整装置によって3つのプレートのうちの第3のプレートに対して相対的に移動可能であり、かつ/または3つのプレートのうちの第3のプレートは、3つのプレートのうちの第2のプレートの運動を制限するために、好ましくはエンボス加工部の形態の少なくとも1つのストッパを有していることが想定されていてよい。
【0015】
有利な実施形態は、3つのプレートのうちの少なくとも1つのプレートが、好ましくは、3つのプレートのうちの3つ全てのプレートが、横断面で見て、少なくとも所定の領域でU字形に形成されており、好ましくは、U字形は、組付け体の方向に向かって開かれていて、かつ/または互いに離間させられた少なくとも2つの側方ウェブを有していることにより優れている。
【0016】
少なくとも1つの共通のピン状の保持部材が、3つのプレートのうちの第3のプレートにおける、好ましくは側方に向かって開かれた、少なくとも1つの長孔において移動可能に支持されていて、かつ/または3つのプレートのうちの第2のプレートにおける、好ましくは円形の、少なくとも1つの開口において支持されていて、かつ/または3つのプレートのうちの第1のプレートにおける、好ましくは円形の、少なくとも1つの開口において支持されていることが有利であることが判った。
【0017】
ロック装置に関しては、少なくとも1つの保持部材が、ロック装置の一部を成していて、外側輪郭部を有しており、ロック装置は、少なくとも1つの保持部材の外側輪郭部に対応するロック輪郭部を有し、ロック輪郭部は、不動に形成された少なくとも1つの第1の部分と、第1の部分に対して相対的に可動の、好ましくは旋回可能な少なくとも1つの第2の部分とを有しており、少なくとも1つの保持部材は、ロック位置でロック輪郭部の両方の部分の間に収容されていることが有利であることが判った。
【0018】
言い換えると、ロック輪郭部は、少なくとも2つの部分から形成されていて、不動の第1の部分と、この第1の部分に対して相対的に可動の少なくとも1つの第2の部分とを備え、ロック輪郭部の第1の部分と第2の部分とは、ロック位置において、固定すべき保持部材を取り囲んでいる。つまり、この保持部材は、ロック位置において、ロック輪郭部の第1の部分と第2の部分とによって力接続的にも形状接続的にも保持される。
【0019】
このことは、ロック輪郭部の可動の第2の部分が操作されたときに、保持部材が、ロック輪郭部の不動の第1の部分によって引き続き形状接続的に位置保持され、その際、保持部材が、ロック輪郭部の第1の部分に対して相対運動を実施することはないという特別な利点を有している。意図的に実施された解除運動によって初めて、ロックすべき構成部材同士(つまり、組付け体と金具部分の保持部材と)が互いに分離可能となる。このことは、安全な側面を成している。なぜならば、ロック装置の不本意な解除および家具部分の落下の危険が大幅に減じられるからである。
【0020】
この関連で、ロック輪郭部の両方の部分は、組付け体に配置されていて、少なくとも1つの保持部材は、家具ヒンジの、ロックすべき金具部分に配置されており、かつ/または少なくとも1つの保持部材の外側輪郭部は、少なくとも所定の領域で円筒形に形成されており、かつ/またはロック輪郭部の少なくとも1つの不動の第1の部分は、フック要素に形成されており、好ましくは、ロック輪郭部の第1の部分は、少なくとも1つの枢動軸を介してロックすべき金具部分に結合された金具部分の方向で開かれており、かつ/またはロック輪郭部の少なくとも1つの不動の第1の部分は、横断面で凹状の、好ましくは半円形の区分を有し、かつ/またはロック輪郭部の両方の部分は、横断面で見て共に3/4円を形成しており、かつ/または少なくとも1つの枢動軸に対して平行な方向に互いにずらされて配置されており、かつ/またはロック輪郭部は、少なくとも1つの枢動軸に対して平行な方向に互いに離間された少なくとも2つの不動の第1の部分を有しており、ロック輪郭部の少なくとも1つの第2の部分は、少なくとも2つの不動の第1の部分の間に配置されていることが提供される。
【0021】
ロック輪郭部の両方の部分が、横断面で見て共に3/4円を形成しており、かつ/または少なくとも1つの枢動軸に対して平行な方向に互いにずらされて配置されていることによって、組付け体と保持部材との間に、特に傾倒に対して安全な安定した結合が生じる。
【0022】
ロック輪郭部の少なくとも1つの第2の部分は、レバーに形成されており、好ましくは、レバーは、一方の端部で回動軸を中心として回動可能に支持されており、かつ/またはレバーにロック位置の方向で力を加えるばね要素、好ましくはねじりコイルばねまたは板ばねが設けられており、かつ/またはレバーは、ロック輪郭部の第2の部分が配置された自由端部を有し、かつ/またはレバーは、ロック装置を手動でロック解除するための操作要素が配置された自由端部を有している、ことが有利であることが判った。
【0023】
これに対して代替的にまたは補足的に、有利な実施形態によれば、ロック装置は、少なくとも1つの別の保持部材を含んでいて、ロック装置の両保持部材は、少なくとも1つの枢動軸に対して横方向に互いに離間させられており、好ましくは、ロック装置の両保持部材がそれぞれ1つの長手方向を有していて、両保持部材の長手方向が実質的に互いに平行に延在していて、かつ/または少なくとも1つの別の保持部材が、円筒形のピンとして形成されており、好ましくは、家具ヒンジのロックすべき金具部分は、互いに離間させられた少なくとも2つの側方ウェブを有していて、これらの側方ウェブの間に円筒形のピンが配置されていることが想定されていてよい。
【0024】
この場合、少なくとも1つの別の保持部材が配置可能な少なくとも1つの収容装置が設けられていて、好ましくは、少なくとも1つの収容装置は、少なくとも1つの枢動軸を介してロックすべき金具部分に結合された金具部分の方向で開かれていて、かつ/またはロック装置の両方の保持部材は、1回の共通の接合運動、好ましくは並進接合運動によって、ロック輪郭部内にかつ少なくとも1つの収容装置内に配置可能となることが想定されていてよい。
【0025】
少なくとも1つの枢動軸を介して、ロックすべき金具部分に結合されている金具部分は、ヒンジポットとして形成されており、好ましくはヒンジポットの中空室内には、家具ヒンジの両方の金具部分の相互の相対運動を減衰するための減衰装置が配置されており、特に好ましくは、減衰装置の減衰出力は、好ましくはスイッチによって調整可能であることが特に有利であることが判った。
【0026】
本発明のその他の詳細および利点は、以下の図面の説明により明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】家具キャビネットと、この家具キャビネットに対して相対的に可動に支持された家具部分とを備えた家具の斜視図である。
図2】ヒンジアセンブリの実施例を示す分解図である。
図3a】第1の金具部分を組付け体に組み付ける経過を示す横断面図である。
図3b】第1の金具部分を組付け体に組み付ける経過を示す横断面図である。
図3c】第1の金具部分を組付け体に組み付ける経過を示す横断面図である。
図3d】第1の金具部分を組付け体に組み付ける経過を示す横断面図である。
【0028】
図1には、家具キャビネット2と、この家具キャビネット2に対して相対的に2つまたはそれ以上の家具ヒンジ4によって旋回可能に支持された家具部分3とを備えた家具1の斜視図が示してある。家具ヒンジ4は、互いに枢動自在に結合された2つの金具部分5,6を有している。家具ヒンジ4の第1の金具部分5は、家具キャビネット2に固定することができ、家具ヒンジ4の第2の金具部分6は、可動の家具部分3に固定することができる。
【0029】
図示の実施例では、家具ヒンジ4は、いわゆるフレームヒンジとして形成されている。家具ヒンジ4の第1の金具部分5は、家具キャビネット2のフレーム2aに固定することができるヒンジアーム5aとして形成されてよい。
【0030】
図2には、ヒンジアセンブリの実施例が分解図で示してある。
【0031】
ヒンジアーム5aの形態の第1の金具部分5は、家具キャビネット2に組付け体7を介して固定することができる。この組付け体7は、最初の組付けステップで家具キャビネット2、好ましくはフレーム2aに固定することができる。後続の組付けステップでは、第1の金具部分5が、家具キャビネット2に予め組み付けられた組付け体7に工具なしでロック可能かつ工具なしでロック解除可能となる。
【0032】
少なくとも1つまたはそれ以上の調整装置9a,9b,9cによって、家具キャビネット2への組付け状態で家具部分3の位置が調整可能となる。好ましくは、家具キャビネット2に対して相対的な家具部分3の三次元の調整を実現することができる3つの調整装置9a,9b,9cが設けられていることが特定されている。第1の調整装置9aによって、可動の家具部分3の奥行き調整を実施することができ、第2の調整装置9bによって、高さ調整を実施することができ、第3の調整装置9cによって、側方調整を実施することができる。少なくとも1つ、好ましくは全ての調整装置9a,9b,9cは、回動可能に支持された調整ホイール(例えば偏心体、スパイラルディスクまたは調整ねじ)を有している。
【0033】
家具ヒンジ4の第2の金具部分6は、ヒンジポット6aとして形成されていてよい。このヒンジポット6aは、少なくとも1つの枢動軸14、好ましくは正確に1つの枢動軸14を介して第1の金具部分5に旋回可能に結合されている。ヒンジポット6aは中空室6bを有している。この中空室6b内には、家具ヒンジ4の両方の金具部分5,6相互の相対運動を減衰するための減衰装置10が配置されている。この減衰装置10は、少なくとも1つの、好ましくは液圧式のピストンシリンダユニットを備えていてよい。このピストンシリンダユニットには、金具部分5,6相互の相対位置が予め設定されている場合、家具ヒンジ4の旋回可能な枢動レバー12が作用可能である。少なくとも2つの切換位置を有する可動に支持されたスイッチ11によって、減衰装置10の減衰出力が制限可能または停止可能となる。
【0034】
このヒンジポット6aは、可動の家具部分3の孔内に格納することができる。この場合、ヒンジポット6aは、少なくとも1つの固定手段13(例えば、ねじまたは少なくとも1つの拡開部材)によって、可動の家具部分3に固定することができる。
【0035】
家具ヒンジ4はばね装置15を有している。このばね装置15によって、第2の金具部分6が、第1の金具部分5に対して相対的に、閉鎖された終端位置および/または開放された終端位置に運動可能となる。図示の実施例では、ばね装置15はねじりコイルばねとして形成されている。このねじりコイルばねの両方の端部は、それぞれ1つのプラスチック被覆体16を有している。このプラスチック被覆体16は、家具ヒンジ4の組立て状態でそれぞれ第1の金具部分5の制御カム32a,32bに接触している。これによって、摩擦が減じられ、金具部分5,6が、易動性にかつ実際に騒音発生なしに互いに相対的に運動可能となる。
【0036】
組付け体7は、例えば少なくとも1つのねじ17を介して家具キャビネット2、好ましくはフレーム2aに固定することができる。組付け体7は、少なくとも2つの突出部34a,34bを有している。これらの突出部34a,34bは、組付け体7の事前位置決めを改善するために、フレーム2aの互いに反対側の面に当付け可能である。
【0037】
ロック装置18によって、第1の金具部分5が組付け体7に解除可能にロック可能となる。ロック装置18は、好ましくは円筒形の外側輪郭部19aを有する少なくとも1つの保持部材19と、外側輪郭部19aに対応するロック輪郭部20とを備えている。このロック輪郭部20は、不動に形成された少なくとも1つの第1の部分20aと、この第1の部分20aに対して相対的に可動の、好ましくは旋回可能な少なくとも1つの第2の部分20bとを有している。少なくとも1つの保持部材19は、ロック位置でロック輪郭部20の両方の部分20a,20bの間に収容されている。
【0038】
少なくとも1つの保持部材19は、円筒形のピンとして簡単に形成されていてよい。ロックすべき金具部分5は、互いに離間させられた少なくとも2つの側方ウェブ21a,21bを有していてよく、これらの側方ウェブ21a,21bの間に円筒形のピンが配置されている。
【0039】
ロック輪郭部20の可動の第2の部分20bには、ばね要素25、好ましくはねじりコイルばねまたは板ばねによって予荷重が加えられている。このばね要素25は、ロック輪郭部20の第2の部分20bにロック位置の方向で力を加える。ロック輪郭部20の可動の第2の部分20bは、このロック輪郭部20の可動の第2の部分20b用の回動軸24を成すピン30を中心として回動可能に支持されている。
【0040】
家具ヒンジ4の、組付け体7にロックすべき金具部分5は、互いに上下に配置された少なくとも2つ、好ましくは正確に3つのプレート29a,29b,29cを有していてよい。少なくとも1つの調整装置9a,9b,9cによって、少なくとも2つのプレート29a,29b,29cが互いに相対的に移動可能かつ/または互いに相対的に旋回可能となる。
【0041】
図示の実施例では、調整装置9a,9b,9cは、それぞれ1つの偏心体を有している。第1の調整装置9aの偏心体は、支持箇所40aを介して第2のプレート29bに回動可能に結合(好ましくは揺動加締め)されていて、その偏心的な制御輪郭部によって第3のプレート29cに支持されている。
【0042】
第2の調整装置9bの偏心体は、支持箇所40bを介して第1のプレート29aに回動可能に結合(好ましくは揺動加締め)されていて、その偏心的な制御輪郭部によって第2のプレート29bに支持されている。
【0043】
当然ながら、調整装置9a,9b,9cが、偏心体の代わりに、調整すべき構成部材の互いに離間させられた突出部と協働するウォーム伝動機構または回動可能なスパイラルディスクを有していることも可能である。
【0044】
枢動レバー12は、第1の金具部分5の第3のプレート29cに一体に結合されている。好ましくは実質的に正方形のカバー35によって、調整装置9a,9b,9cの少なくとも1つの調整ホイールを、好ましくは少なくとも2つの調整ホイールをカバーすることができる。
【0045】
ロック装置18は、少なくとも1つの別の保持部材27を含んでいてよく、この場合、ロック装置18の両保持部材19,27は、少なくとも1つの枢動軸14に対して横方向で互いに離間させられており、好ましくは、
- ロック装置18の両保持部材19,27がそれぞれ1つの長手方向L1,L2を有していて、両保持部材19,27の長手方向L1,L2が実質的に互いに平行に延在していて、かつ/または
- 少なくとも1つの別の保持部材27が、円筒形のピンとして形成されており、好ましくは、家具ヒンジ4のロックすべき金具部分5,6は、互いに離間させられた少なくとも2つの側方ウェブ21a,21bを有していて、これらの側方ウェブの間に円筒形のピンが配置されている
ことが想定されている。
【0046】
ロック輪郭部20の少なくとも1つの不動の第1の部分20aは、フック要素22に形成されていてよい。好ましくは、ロック輪郭部20の第1の部分20aは、少なくとも1つの枢動軸14を介して、ロックすべき金具部分5に結合されている金具部分6の方向で開かれている。ロック輪郭部20の少なくとも1つの不動の第1の部分20aは、横断面で凹状の、好ましくはほぼ半円形の区分を有していることが見て取れる。
【0047】
図示した実施例では、ロック輪郭部20は、少なくとも1つの枢動軸14に対して平行な方向で互いに離間されている少なくとも2つの不動の第1の部分20aを有しており、ロック輪郭部20の少なくとも2つの第2の部分20bは、ロック輪郭部20の少なくとも2つの不動の第1の部分20aの間に配置されている。
【0048】
ロック輪郭部20の少なくとも1つの第2の部分20bは、レバー23に形成されていてよい。好ましくは、
- レバー23は一方の端部で、回動軸24を中心として回動可能に支持されていて、かつ/または
- レバー23にロック位置の方向で力を加えるばね要素25、好ましくはねじりコイルばねまたは板ばねが設けられていて、かつ/または
- レバー23は、ロック輪郭部20の第2の部分20bが配置されている自由端部26を有していて、かつ/または
- レバー23は、ロック装置18を手動でロック解除するための操作要素26aが配置されている自由端部26を有している、
ことが想定されている。
【0049】
第2のプレート29bは、後方から、すなわち方向Xで、第3のプレート29cの側方ウェブ21a,21bの間に挿入可能であって、第3のプレート29cは、第2のプレート29bの運動を制限するために、好ましくはエンボス加工部の形態の、内側に向けられたストッパ36を有している。第1の調整装置9aの偏心体は、支持箇所40aを介して第2のプレート29bに回動可能に結合されていて、その偏心的な制御輪郭部によって第3のプレート29cに支持されている。第1の調整装置9aの操作により、第3のプレート29cは、第2のプレート29bに対して相対的に方向Xで調整可能である。
【0050】
第2の調整装置9bの偏心体は、支持箇所40bを介して第1のプレート29aに回動可能に結合されていて、その偏心的な制御輪郭部によって第2のプレート29bに支持されている。第2の調整装置9bの操作により、プレート29b,29cは共に、第1のプレート29aに対して相対的に方向Yで調整可能である。
【0051】
第3の調整装置9cは、図示した実施例では、調整ねじを有しており、この調整ねじはその下端部で、第1のプレート29aの支持箇所40cに支持されている。第3の調整装置9cの調整ねじには、第2のプレート29bの雌ねじ山41と協働する雄ねじ山が設けられている。第3の調整装置9cの操作により、第2のプレート29bは、第1のプレート29aに対して相対的にピン状の保持部材19を中心として方向Zで旋回可能である。
【0052】
ロック輪郭部20の両不動の第1の部分20aは、それぞれフック要素22に形成されており、ロック輪郭部20の可動の第2の部分20bは、ロック輪郭部20の両第1の部分20aの間に配置されている。可動の第2の部分20bは、第2の部分20b用の回動軸24を成すピン30を中心として旋回可能に支持されている。好ましくは、少なくとも1つの枢動軸14の方向と、回動軸24の方向とは互いに平行に延在することが想定されている。
【0053】
組付け体7を家具キャビネット2に取り付けているねじ17は、家具キャビネット2における家具ヒンジ4の組立て状態および組付け状態で、工具、好ましくはドライバによって常に操作可能であることを述べておく。このために、プレート29a,29b,29cには、家具ヒンジ4の全ての作動位置で、工具の導入および工具によるねじ17の回転運動が可能であるように、凹部が配置されている。
【0054】
図3a~図3dには、家具ヒンジ4の第1の金具部分5を組付け体7に組み付ける経過が示してある。組付け体7は、最初の組付けステップでねじ17を介して家具キャビネット2、特に家具キャビネット2のフレーム2aに固定することができる。突出部34a,34bによって、家具キャビネット2のフレーム2aに対して相対的な組付け体7の事前位置決めの改善が可能となる。
【0055】
第1の金具部分5は、互いに離間させられた2つの保持部材19,27を備えている。これら2つの保持部材19,27は、図示の実施例では、円筒形の外側輪郭部を有している。両方の保持部材19,27は、少なくとも1つの枢動軸14に対して横方向に互いに離間させられていて、それぞれ1つの長手方向L1,L2を有している。この長手方向L1,L2は、互いに実質的に平行に延びている。
【0056】
組付け体7はロック輪郭部20を備えている。このロック輪郭部20は、両方の不動の第1の部分20aと、可動の第2の部分20bとを有している。この第2の部分20bは、両方の不動の部分20aの間に可動に支持されている。組付け体7のロック輪郭部20は、金具部分5の保持部材19に解除可能にロック可能である。組付け体7は、さらに、第1の金具部分5の別の保持部材27を収容するための収容装置28を有している。
【0057】
図3aに示した位置から出発して、金具部分5は、組付け体7に載置され、接合運動の方向に運動させられる。接合運動の方向への金具部分5の運動によって、ロック輪郭部20の第2の部分20bが、ばね要素25の力に抗して回動軸24を中心として運動させられる(図3b)。
【0058】
両方の保持部材19,27は、1回の共通の接合運動、好ましくは並進接合運動によって、ロック輪郭部20内にかつ少なくとも1つの収容装置28内に配置可能となる(図3c)。金具部分5を接合運動の方向に引き続き運動させることによって、ロック輪郭部20の第2の部分20bが、ばね要素25の力によってスナップバックし、これによって、保持部材19を力接続的にかつ形状接続的にロックする。ロック輪郭部20の両方の部分20a,20bは、横断面で見て共に3/4円を形成しており、かつ/または少なくとも1つの枢動軸14に対して平行な方向に互いにずらされて配置されている。
【0059】
組付け体7と金具部分5との間のロックは、ばね要素25の力に抗してロック輪郭部20の第2の部分20bに力を加えることによって再び解除可能となる。ロックを解除する目的で第2の部分20bに力を加えることは、例えば手によって、つまり、工具の使用なしに行うことができる。代替的には、組付け体7と金具部分5との間のロックを解除する目的で、第2の部分20bに力を加えるために工具が使用されてもよい。
図1
図2
図3a
図3b
図3c
図3d