(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-22
(45)【発行日】2024-01-30
(54)【発明の名称】洗剤組成物
(51)【国際特許分類】
C11D 1/44 20060101AFI20240123BHJP
C11D 3/395 20060101ALI20240123BHJP
C11D 3/386 20060101ALI20240123BHJP
C11D 3/33 20060101ALI20240123BHJP
C11D 3/37 20060101ALI20240123BHJP
C11D 3/10 20060101ALI20240123BHJP
C11D 3/36 20060101ALI20240123BHJP
C11D 17/04 20060101ALI20240123BHJP
【FI】
C11D1/44
C11D3/395
C11D3/386
C11D3/33
C11D3/37
C11D3/10
C11D3/36
C11D17/04
(21)【出願番号】P 2022545981
(86)(22)【出願日】2021-01-29
(86)【国際出願番号】 US2021015598
(87)【国際公開番号】W WO2021158429
(87)【国際公開日】2021-08-12
【審査請求日】2022-07-28
(32)【優先日】2020-02-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】590005058
【氏名又は名称】ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー
【氏名又は名称原語表記】THE PROCTER & GAMBLE COMPANY
【住所又は居所原語表記】One Procter & Gamble Plaza, Cincinnati, OH 45202,United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100122437
【氏名又は名称】大宅 一宏
(74)【代理人】
【識別番号】100209495
【氏名又は名称】佐藤 さおり
(72)【発明者】
【氏名】フラー、リンゼイ・サラ
(72)【発明者】
【氏名】ステリー、ロバート・ウィリアム・ジョン
【審査官】井上 恵理
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2013/0303424(US,A1)
【文献】特表2015-523420(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0030387(US,A1)
【文献】特表2016-536422(JP,A)
【文献】特表平11-508320(JP,A)
【文献】特表2016-534196(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C11D 1/00- 19/00
B08B 3/00- 3/14
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00- 90/00
C08K 3/00- 13/08
C08L 1/00-101/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動食器洗浄洗剤組成物であって、
a)ポリアルキレンイミン骨格、アルコキシ鎖及び四級化基を含み、40%~98%の四級化度を有するアルコキシル化ポリアルキレンイミンであって、
i)前記ポリアルキレンイミン骨格が、前記アルコキシル化ポリアルキレンイミンの1重量%~40重量%を表し、
ii)前記アルコキシ鎖が、前記アルコキシル化ポリアルキレンイミンの60重量%~99重量%を表す、アルコキシル化ポリアルキレンイミンと、
b)過炭酸塩漂白剤と、
c)アミラーゼ及びプロテアーゼと、を含み、
前記組成物が漂白活性剤及び漂白触媒を含まないか、又は前記組成物が漂白活性剤を含まず、マンガン漂白触媒を含む、自動食器洗浄洗剤組成物。
【請求項2】
前記アルコキシ鎖が、平
均1~50のエトキシ単位を有するポリオキシエチレン鎖、平
均0~30のプロポキシ単位を有するポリオキシプロピレン鎖、及びこれらの混合物から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記アルコキシル化ポリアルキレンイミンが
、100
~60,000g/モルの重量平均分子量を有するポリアルキレンイミンのアルコキシル化に続く四級化から得られる、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
前記組成物が、前記組成物の0.5~5重量%のアルコキシル化ポリアルキレンイミンを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記組成物が5重量%~25重量%の過炭酸塩漂白剤を含み、前記過炭酸塩漂白剤が過炭酸ナトリウムである、請求項1~4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
錯化
剤を更に含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記組成物がリン酸塩ビルダーを含まない、請求項1~6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
前記組成物が分散剤ポリマ
ーを含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか一項に記載の組成物であって、
a)前記組成物の0.5~5重量%のアルコキシル化ポリアルキレンイミンと、
b)前記組成物の5~25重量%の過炭酸ナトリウムと、
c)前記組成物の0.5~20重量%の炭酸塩と、
d)前記組成物の0.5~10重量%のHEDPと、
e)前記組成物の5~40重量%の錯化
剤と、
f)前記組成物の1重量%~5重量%の分散
剤と、
g)前記組成物の1~10重量%の非イオン性界面活性剤と、
h)前記組成物の1グラムあた
り0.2
~2mgのプロテアーゼと、
i)前記組成物の1グラムあた
り0.025
~0.3mgのアミラーゼと、
j)任意に、ガラス及び金属ケア剤と、を含む、組成物。
【請求項10】
前記組成物が単位用量形態である、請求項1~9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
自動食器洗浄機における調理器具/食器を洗浄する方法であって、前記調理器具/食器を、請求項1~10のいずれか一項に記載の組成物を含む洗浄液に供する工程を含む、方法。
【請求項12】
自動食器洗浄における酵素的及び漂白可能な汚れの除去のための、請求項1~11のいずれか一項に記載の組成物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗剤の分野に属する。具体的には、本発明は、アルコキシル化ポリアルキレンイミンを含む自動食器洗浄洗剤組成物に関する。本組成物は、酵素的汚れの除去と相まって、漂白可能な汚れの良好な除去を提供する。
【背景技術】
【0002】
自動食器洗浄洗剤の配合者は、洗剤の性能を改善する方法を継続的に模索している。洗浄する食器洗浄機内に置いた品は通常、異なる種類の汚れで汚れている。茶渋やコーヒー渋は、除去するのが特に困難である。洗剤がリン酸塩を含まない場合、問題はより深刻になる。
【0003】
洗浄組成物におけるポリアルキレンイミンの使用は公知である。欧州特許第2662436(A1)号では、特定のポリアルキレンイミンと、漂白剤及び漂白増強剤を含む漂白剤系とを含み、漂白増強剤が漂白触媒及び漂白活性剤を含む、食器洗浄洗剤組成物を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、酵素的汚れの良好な除去と相まって、良好な漂白可能な汚れ除去を提供する自動食器洗浄組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様によると、自動食器洗浄洗剤組成物が提供される。組成物は、アルコキシル化ポリアルキレンイミンと、過炭酸塩漂白剤と、アミラーゼ及びプロテアーゼを含む酵素系とを含む。組成物は、漂白活性剤及び漂白触媒を含まないか、又は組成物は、漂白活性剤を含まず、マンガン漂白触媒を含む。アルコキシル化ポリアルキレンイミンは、ポリアルキレンイミン骨格及びアルコキシ鎖を有する。本発明の組成物のアルコキシル化ポリアルキレンイミンは、本明細書では「ポリアルキレンイミン」と呼ばれることがある。本明細書で使用される「アルコキシル化ポリアルキレンイミン」という用語は、2つ以上のアルキレンイミン繰り返し単位を含む任意のアルコキシル化アルキレンイミンを包含する。好ましくは、ポリアルキレンイミンは、ポリエチレンイミンである。
【0007】
アルコキシル化ポリアルキレンイミンは、ポリアルキレンイミンの少なくとも5%、好ましくは約20重量%~約98重量%、より好ましくは約40重量%~約98重量%、特に約50重量%~約98重量%の四級化度を有する。漂白性能に加えて、四級化度は、本発明の組成物中のポリアルキレンイミンの安定性に役立ち、特に漂白剤などの酸化剤からポリアルキレンイミンを保護し、組成物の貯蔵上の安定性に寄与するように思われる。
【0008】
「四級化度」とは、本明細書では、(プロトン化とは反対に)永久に四級化されているアミノ基の割合を意味する。
【0009】
本発明の組成物のアルコキシル化ポリアルキレンイミンにおいて、
i)ポリアルキレンイミン骨格は、アルコキシル化ポリアルキレンイミンの0.5重量%~40重量%、好ましくは1重量%~30重量%、特に2重量%~20重量%を表し、
ii)アルコキシ鎖は、アルコキシル化ポリアルキレンイミンの60重量%~99重量%、好ましくは50重量%~約95重量%、より好ましくは60重量%~90重量%を表す。
【0010】
ポリアルキレンイミン骨格及びアルコキシ鎖の割合は、四級化アルコキシル化ポリアルキレンイミンに関して、すなわち四級化基を含めて計算される。
【0011】
また、本発明の組成物は、過炭酸塩漂白剤を含み、漂白活性剤及び漂白触媒を含まないか、又は組成物は、漂白活性剤を含まず、マンガン漂白触媒を含む。「漂白活性剤及び漂白触媒を含まない」とは、本明細書では、組成物が、組成物の0.001重量%未満、好ましくは0.0001重量%未満の漂白活性剤及び漂白触媒を含むことが理解される。漂白活性剤及び漂白触媒の非存在下で、本発明のポリアクリレンイミンを漂白剤及び酵素系と組み合わせると、優れた漂白効果と同時に優れた酵素的汚れ除去効果を得ることができる。理論に束縛されるものではないが、ポリアルキレンイミンは、漂白剤から生成される漂白種と錯体を形成することができ、錯体は、汚れのついた表面に駆動される電荷及び立体配置を有し、したがって、漂白種は、通常行われる洗浄液のバルク中ではなくその場で汚れの除去に取り組むことができると考えられている。この機構は、汚れの除去、特に茶渋やコーヒー渋の除去に非常に効果的であるようである。ポリアルキレンイミン骨格の重量とアルコキシル化ポリアルキレンイミンのアルコキシ鎖の重量との関係、及びポリアルキレンイミンの四級化度は、漂白剤系の効果を改善させる漂白可能な汚れに選択的に働くであろう漂白種/ポリアルキレンイミン錯体の形成に重要であるように思われる。
【0012】
好ましくは、アルコキシ鎖は、平均で約1~約50、より好ましくは約1~約10、より好ましくは約2~約40、より好ましくは約3~約30、特に約3~約20、更により特定的には約4~約15のアルコキシ単位、好ましくはエトキシ単位を有する。好ましくは、ポリアルキレンイミンは、ポリエチレンイミンである。平均約1~約50、好ましくは約2~約40、より好ましくは約3~約30、特に約3~約20、更により特定的には約4~約15のエトキシ単位を有するポリエチレンイミンを含む組成物は、優れた漂白効果をもたらすことが判明している。
【0013】
好ましくは、アルコキシ鎖は、平均で約0~30、より好ましくは0~10、より好ましくは約1~約12、特に約1~約10、更により特定的には約1~約8のプロポキシ単位を有する。特に好ましいのは、アルコキシ鎖がエトキシ鎖とプロポキシ鎖との組み合わせを含むアルコキシル化ポリエチレンイミン、特に4~20のエトキシ単位と0~6のプロポキシ単位との鎖を含むポリエチレンイミンである。
【0014】
好ましい実施形態では、アルコキシル化ポリアルキレンイミンは、ポリアルキレンイミンのアルコキシル化に続く四級化から得られ、出発ポリアルキレンイミンは、約100~約60,000、好ましくは約200~約40,000、より好ましくは約300~約10,000g/モルの重量平均分子量を有する。
【0015】
好ましい実施形態では、漂白剤は、無機漂白剤、有機漂白剤、及びこれらの混合物からなる群から選択される。無機漂白剤、特に過炭酸ナトリウムを含む組成物は、良好な漂白性能を発揮することが分かっている。
【0016】
過炭酸塩を含む組成物は、実に良好な漂白を発揮することが分かっている。本発明の組成物は、リン酸塩を含まない場合であっても、優れた漂白可能な汚れ除去効果をもたらす。特に、組成物が錯化剤、特にメチルグリシン-N,N-二酢酸又はその塩、及び/又は分散剤ポリマー、特にスルホン化ポリマーを含む場合、良好な性能が得られる。
【0017】
本発明の組成物は、粉末、液体など、任意の形態であり得る。本明細書では、単位用量形態により、本発明の組成物にとって非常に便利な形態が提供され、組成物が粉末又は場合により液体形態である場合に起こり得る分離を防ぐことが見出された。漂白増強剤などの触媒量の成分を含む組成物では、分離の問題が特に問題となる。
【0018】
本発明の別の態様によれば、汚れのついた、好ましくは茶渋やコーヒー渋のついた調理器具/食器を、本発明の組成物を含む洗浄液に供する工程を含む、自動食器洗浄機における調理器具/食器を洗浄する方法が提供される。
【0019】
本発明の最後の態様によれば、自動食器洗浄における調理器具/食器からの漂白可能な汚れ及び酵素的汚れの除去のための、本発明の組成物の使用が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明は、自動食器洗浄洗剤組成物を想定している。本組成物は、アルコキシル化ポリアルキレンイミン、漂白剤を含み、漂白触媒及び漂白活性剤を含まず、酵素系を含む。本組成物は、漂白可能な汚れ、特に茶渋やコーヒー渋、並びにクリームブリュレ、デンプン、タンパク質、及びデンプンとタンパク質との複雑な混合物を含む酵素的汚れの改善された除去を提供する。また、本発明の組成物を用いた自動食器洗浄方法、並びに調理器具や食器からの漂白可能な汚れ(特に茶やコーヒー)及び酵素的汚れの除去のための組成物の使用も提供される。
【0021】
アルコキシル化ポリアルキレンイミン
アルコキシル化ポリアルキレンイミンは、好ましくはポリエチレンイミンを含み、より好ましくは、ポリエチレンイミンである。好ましくは、本発明の組成物は、組成物の0.1重量%~約5重量%、好ましくは約0.2重量%~約3重量%のポリアルキレンイミンを含む。好ましくは、本発明の方法は、約20~約100ppmのポリアルキレンイミンを送達する。
【0022】
ポリアルキレンイミン骨格のアルコキシル化は、修飾がポリアルキレンイミン骨格の内部窒素原子又は末端窒素原子で起こるかどうかに応じて、窒素原子における1又は2のアルコキシル化修飾を含み、アルコキシル化修飾が、モノアルコキシレン又は好ましくは平均約1~約50のアルコキシ単位を有するポリアルコキシレン鎖による、ポリアルキレンイミン中の水素原子の置換を含み、ポリアルコキシレン鎖の末端アルコキシ単位が、水素、C1~C4アルキル又はこれらの混合物でキャップされている。更に、アルコキシル化ポリアルキレンイミンの各窒素原子は、飽和若しくは不飽和の、直鎖状若しくは分枝鎖状のアルキル、アルキルアリール若しくはアリール置換基、又はこれらの組み合わせ、好ましくはベンジル置換基及び/又はC1~C12、好ましくはC1~C4アルキル、アリール若しくはアルキルアリール置換基を有し得、結果として、その置換基の総数に応じて各窒素原子に中性若しくはカチオン性の電荷がもたらされる。これらの修飾により、ポリアルキレンイミン骨格の窒素原子が永久的に四級化される可能性がある。永久的な四級化度は、ポリアルキレンイミン骨格の窒素原子の少なくとも5%、好ましくは少なくとも20%、より好ましくは少なくとも40%~100%である。
【0023】
好ましくは、全ての窒素原子が、アルコキシル化修飾を含むことになるが、窒素原子の一部のみが、アルコキシル化されたポリアルキレンイミンを有することも可能であり得る。
【0024】
可能な修飾の例を本明細書に示す。修飾は、ポリエチレンイミン骨格中の末端窒素原子に対応する。式中、Rはエチレンスペーサーを表し、EはC1~C12アルキル単位を表し、X-は、好適な水溶性対イオン、例えば塩素、臭素又はヨウ素、硫酸塩(すなわち、-O-SO3H又は-O-SO3-)、メチルスルホネートなどのアルキルスルホネート、トリルスルホネートなどのアリールスルホネート、及びメトサルフェートなどのアルキルサルフェート(すなわち-O-SO2-OMe))を表す。
【0025】
【0026】
可能な修飾の例を示す。修飾は、ポリエチレンイミン骨格の内部窒素原子に対応する。式中、Rはエチレンスペーサーを表し、EはC1~C12アルキル単位を表し、X-は好適な水溶性対イオンを表わす。
【0027】
【0028】
また、例えば、限定されないが、以下に、ポリエチレンイミン骨格の内部窒素原子への可能な修飾を示す。式中、Rはエチレンスペーサーを表し、EはC1~C12アルキル単位を表し、X-は好適な水溶性対イオンを表す。
【0029】
【0030】
ポリアルキレンイミン骨格のアルコキシル化修飾は、平均約1~約50のアルコキシ単位、好ましくは約2~約40のアルコキシ単位、より好ましくは約3~約30単位、特に約3~約20のアルコキシ単位を有するポリアルコキシレン鎖による水素原子の置換を含み得る。アルコキシ単位は、好ましくは、エトキシ(EO)、1,2-プロポキシ(1,2-PO)、ブトキシ(BO)、及びこれらの組み合わせから選択される。好ましくは、ポリアルコキシレン鎖は、エトキシ単位、及びエトキシ単位とプロポキシ単位との組み合わせから選択される。より好ましくは、ポリアルコキシレン鎖は、約1~約50、より好ましくは約2~約40、特に約3~約20の平均度でエトキシ単位を含む。この度合いのエトキシ単位を含むポリアルキレンイミンは、漂白可能な汚れ、特に茶渋やコーヒー渋の除去に最も優れた性能を示すことが判明している。また、漂白可能な汚れ除去の観点から好ましいのは、エトキシ鎖とプロポキシ鎖との混合物を含むポリアルコキシレン鎖であり、好ましくは、ポリアルコキシレン鎖は、平均して約1~約30のエトキシ単位と、より好ましくは平均度が約0~約10のプロポキシ単位とを含み、より好ましくは約2~約20のエトキシ単位と、約1~約10のプロポキシ単位とを含む。
【0031】
好ましいアルコキシル化ポリエチレンイミンの例は、式(I)の一般構造又は四級化型(II)を有する。
【0032】
【0033】
式中、ポリエチレンイミン骨格は、約600~約5000g/モルの重量平均分子量を有し、式(I)又は(II)のnは平均3~20を有し、式(I)のRは水素、C1~C4アルキル又はベンジル、及びこれらの混合物から選択される。式(II)のポリアルキレンイミン骨格の四級化度は、ポリアルキレンイミン骨格の窒素原子の少なくとも5%、より好ましくは少なくとも20%、特に70%以上であり得る。
【0034】
別の好ましいポリエチレンイミンは、式(III)の一般構造を有し、四級化型は、式(IV)として示される。
【0035】
【化5】
式中、ポリエチレンイミン骨格は、約600~約5000g/モルの重量平均分子量を有し、式(III)及び(IV)のnの平均は7であり、式(III)及び(IV)のmの平均は1であり、式(III)及び(IV)のRは水素、C
1~C
4アルキル及びこれらの混合物から選択される。式(IV)の永久四級化度は、ポリエチレンイミン骨格窒素原子の5%~100%、好ましくは少なくとも10%、より好ましくは少なくとも20%であり得る。
【0036】
本発明の組成物に好適なポリアルキレンイミンは、例えば、二酸化炭素、亜硫酸水素ナトリウム、硫酸、過酸化水素、塩酸、酢酸などの触媒の存在下でエチレンイミンを重合させることによって調製することができる。
【0037】
アルコキシル化ポリアルキレンイミンは、ポリアルキレンイミンとアルコキシ単位との反応によって公知の方法で調製することができ、このプロセスは、本明細書ではポリオキシエチレンイミンのエトキシル化について記載される。
【0038】
好ましい手順の1つは、最初に第1のステップでポリアルキレンイミンの初期エトキシル化のみを行うことである。このステップでは、ポリアルキレンイミンは、NH単位1モル当たり約1モルのエチレンオキシドに相当する、使用するエチレンオキシドの総量の一部のみと反応する。この反応は、概して、水溶液中、触媒の非存在下で、約70~約200℃、好ましくは約80~約160℃の反応温度で実施される。この反応は、最大約10バール、特に最大約8バールの圧力で影響を受ける可能性がある。
【0039】
次に、第2の工程では、残りの量のエチレンオキシドとのその後の反応により、更なるエトキシル化が行われる。更なるエトキシル化は、典型的には、塩基性触媒の存在下で行われる。好適な触媒の例は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、及び水酸化カルシウムのようなアルカリ金属及びアルカリ土類金属の水酸化物、アルカリ金属のアルコキシド、特には、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、及びカリウムtert-ブトキシドのようなナトリウム及びカリウムのC1~C4-アルコキシド、水素化ナトリウム及び水素化カルシウムのようなアルカリ金属及びアルカリ土類金属の水素化物、並びに、炭酸ナトリウム及び炭酸カリウムのようなアルカリ金属の炭酸塩である。アルカリ金属水酸化物及びアルカリ金属アルコキシドが優先され、特に水酸化カリウム及び水酸化ナトリウムが優先される。塩基の典型的な使用量は、ポリアルキレンイミンとアルキレンオキシドとの合計量に基づいて、0.05~10重量%、特に0.5~2重量%である。
【0040】
更なるエトキシル化は、材料(変形例a))又は有機溶媒中で(変形例b))で行われてもよい。変形例a)では、第1のステップで得られた初期エトキシル化されたポリアルキレンイミンの水溶液が、触媒の添加後に先ず脱水される。この脱水は、約80~約150℃に加熱し、約0.01~約0.5バールの減圧下で水を留去することによる単純な方法で行うことができる。その後のエチレンオキシドとの反応は、典型的には約70~約200℃、好ましくは約100~約180℃の反応温度で行われる。その後のアルキレンオキシドとの反応は、典型的には最大約10バール、特に最大8バールの圧力で行われる。その後のエチレンオキシドとの反応時間は、概して約0.5~約4時間である。
【0041】
変形例b)に適した有機溶媒は、特に非極性及び極性の非プロトン性有機溶媒である。特に好適な非極性非プロトン性溶媒の例には、ヘキサン、シクロヘキサン、トルエン及びキシレンなどの脂肪族及び芳香族炭化水素が挙げられる。特に好適な極性非プロトン性溶媒の例は、エーテル、特に、テトラヒドロフラン及びジオキサンなどの環状エーテル、ジメチルホルムアミド及びジメチルアセトアミドなどのN,N-ジアルキルアミド、並びにN-メチルピロリドンなどのN-アルキルラクタムである。当然、これらの有機溶媒の混合物を使用することも可能である。好ましい有機溶媒は、キシレン及びトルエンである。
【0042】
変形例b)では、第1のステップで得られる溶液は、触媒及び溶媒の添加後、初めに脱水され、脱水は、約120~約180℃の温度で好ましくは穏やかな窒素気流により助けられ、水を分離することにより有利に行われる。その後のアルキレンオキシドとの反応は、変形例a)と同様に行うことができる。変形例a)では、アルコキシル化ポリアルキレンイミンは、直接材料中で得られ、所望により、水溶液に変換されてもよい。変形例b)では、有機溶媒は典型的には除去されて、水と置き換えられる。当然、生成物は、材料中で単離されてもよい。
【0043】
アルコキシル化ポリエチレンイミンの四級化は、好ましくはC1~C12アルキル、アリール又はアルキルアリール基の導入により達成され、例えば国際公開第2009060059号に記載されているように、対応するアルキル-、アルキルアリール-ハライド及びジアルキルサルフェートとの反応によって通常の方法で行うことができる。
【0044】
エトキシル化ポリエチレンイミンの四級化は、好ましくは、アミンを、式EX[式中、EはC1~C12アルキル、アリール又はアルキルであり、Xは、窒素(及びC2~C6アルキレンオキシド、特にエチレンオキシド又はプロピレンオキシド)によって置換可能である、脱離基である]の化合物から選択される少なくとも1つのアルキル化化合物と反応させることによって達成される。
【0045】
好適な脱離基Xは、ハロゲン、特に塩素、臭素又はヨウ素、硫酸塩(すなわち-O SO3H又は-O SO3-)、メチルスルホネートなどのアルキルスルホネート、トリルスルホネートなどのアリールスルホネート、及びメトサルフェートなどのアルキルサルフェート(すなわち-O SO2 OMe)である。好ましいアルキル化剤EXは、C1~C12アルキルハライド、ビス(C1~C12-アルキル)サルフェート、及びベンジルハライドである。このようなアルキル化剤の例は、塩化エチル、臭化エチル、塩化メチル、臭化メチル、塩化ベンジル、硫酸ジメチル、硫酸ジエチルである。
【0046】
アルキル化剤の量は、ポリマー中のアミノ基の四級化の量を決定する。四級化の量は、非四級化アミンと四級化アミンのアミン価の差から算出することができる。
【0047】
アミン価は、DIN16945に記載の方法に従って決定することができる。反応は無溶媒で行うことができるが、水、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、N-メチルピロリドンなどの溶媒や希釈剤を用いてもよい。反応温度は、通常10℃~150℃の範囲であり、好ましくは50℃~110℃である。
【0048】
本発明の組成物のアルコキシル化ポリアルキレンイミンに関する全ての分子量は、特に指定しない限り、グラム/モルとして表される重量平均分子量である。分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィーを用いて測定することができる。
【0049】
分子量測定:
分子量は、GPCカラムHEMA Bio linear、40・8mm 10μm、HEMA Bio 100、300・8mm、10μm、HEMA Bio 1000、300・8mm、10μm、HEMA Bio 10000、300・8mm、10μm(PSS Polymer Standards Service GmbH,Mainz,Germanyより入手)の連続構成を使用したゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)による重量平均分子量(Mw)として求める。溶離液は1.5%ギ酸水溶液、流量は1mL/分、注入量は20μL、試料濃度は1%である。方法は、Pullulan標準(MW342~1660000g/mol、PSS Polymer Standards Service GmbH(Mainz,Germany)から入手)で校正する。
【0050】
好ましくは、ポリアルキレンイミンは、エトキシ及びプロポキシ以外の他のアルキレンオキシド単位を含まないことが好ましい。
【0051】
合成例
実施例1:PEI5000+7EO/NHの合成、硫酸ジメチルで50%四級化
a)PEI5000+1EO/NH
3.5Lのオートクレーブにおいて、2568.0gのポリエチレンイミン5000(平均分子量Mw 5000、水中50%溶液)を80℃に加熱し、5バールの圧力まで窒素で3回パージした。温度を110℃に上げた後、1314.2gのエチレンオキシドを7バールまで分割して添加した。反応を完了するために、混合物を110℃で2時間、後反応させた。反応混合物を窒素でストリッピングし、揮発性化合物を70℃の真空中で除去した。90~110℃に昇温し、真空中で2時間かけて脱水した。
【0052】
NH1モル当たり1モルのエチレンオキシドを有する2580.0gのポリエチレンイミン5000を、暗褐色の粘性油(アミン価:512mgKOH/g)として得た。
【0053】
b)PEI5000+7EO/NH
5Lのオートクレーブにおいて、実施例1a)で得られた生成物997,6gと、水酸化カリウムの50重量%水溶液29.9gを80℃に加熱し、窒素で3回パージした。混合物を120℃、10ミリバールの真空で2時間かけて脱水した。窒素で真空を除去した後、温度を140℃に上げ、3027.2gのエチレンオキシドを7バールまで分割して加えた。反応を完了するために、混合物を120℃で2時間、後反応させた。反応混合物を窒素でストリッピングし、揮発性化合物を70℃の真空中で除去した。
【0054】
NH結合1モル当たり7モルのエチレンオキシドを有する4040.0gのポリエチレンイミン5000を、褐色の粘性液体(アミン価:137.4mgKOH/g;10重量%水溶液のpH:11.7;粘度(70℃):325mPas)として得た。
【0055】
c)PEI5000+7EO/NH、50%硫酸ジメチルで四級化
2Lの反応容器において、実施例1b)の生成物1500.0gを、窒素の一定流下、70~75℃に加熱した。232.0gの硫酸ジメチルを2時間以内に添加した。反応混合物を75℃で更に2時間撹拌した。
【0056】
淡褐色の固体1720.0g(アミン価:63.3mgKOH/g;10重量%水溶液のpH:7.8;粘度(70℃):838mPas)を得た。
【0057】
実施例2:PEI600+10EO/NHの合成、硫酸ジメチルで75%四級化
a)PEI600+1EO/NH
3,5Lのオートクレーブにおいて、1328.5gのポリエチレンイミン600(平均分子量Mw 600)及び66.4gの水を80℃に加熱し、5バールの圧力まで窒素で3回パージした。温度を120℃に上げた後、1359.4gのエチレンオキシドを7バールまで分割して添加した。反応を完了するために、混合物を120℃で2時間、後反応させた。反応混合物を窒素でストリッピングし、揮発性化合物を70℃において減圧下で除去した。90~110℃に昇温し、混合物を真空中で2時間脱水した。
【0058】
NH1モル当たり1モルのエチレンオキシドを有する2688.0gのポリエチレンイミン600を、黄色の粘性油(アミン価:549mgKOH/g;1重量%水溶液のpH:11.06)として得た。
【0059】
b)PEI600+10EO/NH
5Lのオートクレーブにおいて、実施例1a)で得られた生成物704.5gと、水酸化カリウムの50重量%水溶液21.1gを80℃に加熱し、窒素で3回パージした。混合物を120℃、10ミリバールの真空で2時間かけて脱水した。窒素で真空を除去した後、温度を145℃に上げ、3206,7gのエチレンオキシドを7バールまで分割して加えた。反応を完了するために、混合物を120℃で2時間、後反応させた。反応混合物を窒素でストリッピングし、揮発性化合物を70℃において減圧下で除去した。
【0060】
NH結合1モル当たり10モルのエチレンオキシドを有する3968.0gのポリエチレンイミン600を、黄褐色の粘性液体(アミン価:101.5mgKOH/g;10重量%水溶液のpH:11.6)として得た。
【0061】
c)PEI600+10EO/NH、硫酸ジメチルで75%四級化
0.5Lの反応容器において、実施例1b)の生成物120.0gを、窒素の一定流下、70~75℃に加熱した。20.5gの硫酸ジメチルを15分以内に添加した。反応混合物を75℃で更に2時間撹拌した。pH調整のため、1.0gのNaOH(水中50%)を添加した。淡褐色の固体110.0g(アミン価:23.5mgKOH/g;10重量%水溶液のpH:9.3)を得た。
【0062】
実施例3:PEI600+7EO/NHの合成、硫酸ジメチルで75%四級化
a)PEI600+7EO/NH
2Lのオートクレーブにおいて、実施例1a)で得られた生成物261.0gと、水酸化カリウムの50重量%水溶液7.8gを80℃に加熱し、窒素で3回パージした。混合物を120℃、10ミリバールの真空で2時間かけて脱水した。窒素で真空を除去した後、温度を145℃に上げ、792.0gのエチレンオキシドを7バールまで分割して加えた。反応を完了するために、混合物を120℃で2時間、後反応させた。反応混合物を窒素でストリッピングし、揮発性化合物を70℃において減圧下で除去した。
【0063】
NH結合1モル当たり7モルのエチレンオキシドを有する1056.0gのポリエチレンイミン600を、黄褐色の粘性液体(アミン価:147.8mgKOH/g;10重量%水溶液のpH:11.6)として得た。
【0064】
b)PEI600+7EO/NH、硫酸ジメチルで75%四級化
0.5Lの反応容器において、実施例2a)の生成物250.0gを、窒素の一定流下、70~75℃に加熱した。58.4gの硫酸ジメチルを15分以内に添加した。反応混合物を75℃で更に2時間撹拌した。
【0065】
299.0gの淡褐色の固体(アミン値:35.84mgKOH/g;10重量%水溶液のpH:6.0;ヨウ素の色数(水中10%):4.0)を得た。
【0066】
洗剤組成物
本発明の洗剤組成物は、任意の形態で提供することができる。好ましくは、組成物又はその一部はルースパウダー形態であり、より好ましくは組成物は単位用量形態で提供され、より好ましくは10~20gの重量を有する単位用量形態である。本発明の組成物は、多区画型パックの形態、より具体的には、異なる物理的形態の組成物を有する区画、例えばルースパウダー形態の組成物を含む区画と液体形態の組成物を含む別の区画とを含む多区画型パックでの提供に非常によく適している。組成物は、好ましくは、ポリビニルアルコールなどの水溶性フィルムに封入される。組成物は、任意であるが、好ましくは、錯化剤及び/又は分散剤ポリマーを含む。好ましくは、組成物は、MGDAの三ナトリウム塩、HEDP、分散剤ポリマー、好ましくは2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸モノマーを含むスルホン化ポリマー、炭酸ナトリウム、漂白剤、好ましくは過炭酸ナトリウム、プロテアーゼ及びアミラーゼ酵素、及び非イオン性界面活性剤、並びに任意に結晶性ケイ酸塩を含む。組成物は、好ましくは、クエン酸塩を含まない。組成物は、斑点形成を防止する利益を提供する、カチオン性ポリマーを更に含むことができる。
【0067】
20℃で、1重量/体積%の蒸留水水溶液中で測定した場合に、本発明の組成物は、好ましくは約9~約12のpHを、より好ましくは約10から約11.5未満のpHを、特に好ましくは、約10.5~約11.5のpHを有する。
【0068】
本発明の組成物は、好ましくは、20℃において100mLの製品を含むNaOH中で測定した場合に、pH9.5で、約10~約20、より好ましくは約12~約18の予備アルカリ度を有する。
【0069】
錯化剤
錯化剤は、硬質イオン、特にカルシウム及び/又はマグネシウムを隔離することができる物質である。本発明の組成物は、高濃度の錯化剤を含むが、レベルは高すぎるべきではなく、さもなければ酵素、特にプロテアーゼが悪影響を受けるおそれがある。錯化剤の濃度が高すぎると、ガラスケアにも悪影響を及ぼすおそれがある。
【0070】
本発明の組成物は、好ましくは、組成物の15重量%~40重量%、好ましくは20重量%~40重量%、より好ましくは20重量%~35重量%の、メチルグリシン-N,N-二酢酸(MGDA)、クエン酸、グルタミン酸-N,N-二酢酸(GLDA)、その塩及びこれらの混合物からなる群から選択される錯化剤を含む。本明細書での使用にとりわけ好ましい錯化剤は、MGDAの塩、特にMGDAの三ナトリウム塩である。好ましくは、本発明の組成物は、組成物の10重量%~40重量%のMGDAの三ナトリウム塩を含む。
【0071】
ケイ酸ナトリウム
本発明の組成物は、ケイ酸塩を含み得る。組成物がケイ酸塩を含む場合、好ましくは、組成物の2重量%~8重量%、より好ましくは3重量%~6重量%の結晶性ケイ酸ナトリウムを含む。結晶性ケイ酸ナトリウムは、好ましくは層状ケイ酸塩であり、好ましくは組成NaMSix O2x+1.y H2O[式中、Mはナトリウム又は水素を示し、xは1.9~4、yは0~20を示す]を有する。
【0072】
本発明の組成物において任意に用いることができる結晶性ケイ酸ナトリウムは、走査型電子顕微鏡写真において層状にすることができる。
【0073】
式Na2SixO2x+1.y H2Oの既知の化合物から、対応する化合物NaHSix O2x+1.y H2Oは、酸で処理し、場合によっては水でも処理することで調製することが可能である。数yによって与えられる含水量は、結晶水と付着水を区別しない。Mは、好ましくはナトリウムを表す。xの好ましい値は、1.9~4である。特に、組成NaMSi 2 O5.y H2Oを有する化合物が好ましい。本発明に従って用いられるケイ酸ナトリウムは結晶性化合物であるため、ケイ酸ナトリウムはそのX線回折図によって容易にキャラクタリゼーションできる。
【0074】
好ましい層状結晶性ケイ酸塩は、上記一般式中のxが1.9~3.5の値をとるものである。
【0075】
特に、デルタ-及びベータ-二ケイ酸二ナトリウム(Na2Si2O5.yH2O)が好ましく、ベータ-二ケイ酸二ナトリウムは、例えば、国際公開第91/08171(A1)号に記載されているプロセスによって得ることができる。1.9~3.2のSiO2/Na2Oのモル比を有するベータ-二ケイ酸二ナトリウムは、特開平04/238809A又は特開平04/260610A号に従って調製することができる。ベータ-二ケイ酸二ナトリウムは、非晶質ケイ酸塩、実際には上記一般式(1)の無水結晶性アルカリ金属ケイ酸塩からも調製することができ、式中、xは1.9~2.1の数である。
【0076】
そのような薬剤の更に好ましい実施形態では、SiO2/Na2Oのモル比が1.8~3の結晶性層状ケイ酸ナトリウムが使用される。好ましい形態では、結晶性層状二ケイ酸二ナトリウムビルダーは、様々なパーセンテージの多型相アルファ、ベータ、及びデルタから共に形成される。市販の製品では、非晶質部分も存在し得る。
【0077】
アルファ、ベータ、及びデルタ-二ケイ酸二ナトリウムの定義は既知であり、例えば、以下に記載されるように、欧州特許出願公開第0164514(A1)号に見出すことができる。二ナトリウム状態は、二ケイ酸二ナトリウム及び非層状ケイ酸塩の性質のケイ酸ナトリウムの多形相の少なくとも1つからなる、層状結晶性二ケイ酸二ナトリウムであることが好ましい。80~100重量%のデルタ-二ケイ酸二ナトリウムの含有量を有する結晶性層状ケイ酸ナトリウムを使用することが、特に好ましい。更に好ましい変形では、70~100重量%のベータ-二ケイ酸二ナトリウムの含有量を有する結晶性層状ケイ酸ナトリウムを使用することも可能である。
【0078】
特に好ましく使用される結晶性層状ケイ酸ナトリウムは、1~40重量%のアルファ-二ケイ酸二ナトリウム、0~50重量%、特に0~45重量%のベータ-二ケイ酸二ナトリウム、50~98重量%のデルタ-二ケイ酸二ナトリウム、及び0~40重量%の非ケイ酸塩のケイ酸ナトリウム(非晶質部分)を含有する。
【0079】
非常に特に好ましく使用される結晶性層状ケイ酸ナトリウムは、7~21重量%のアルファ-二ケイ酸二ナトリウム、0~12重量%のベータ-二ケイ酸二ナトリウム、65~95重量%のデルタ-二ケイ酸二ナトリウム、及び0~20重量%の非晶質シェアを含有する。
【0080】
上記のアルファ-二ケイ酸二ナトリウムは、アルファ-Na2Si2O5に帰属されるX線回折データによって再現されるものによってキャラクタリゼーションされる、欧州特許出願公開第0164514(A1)号に記載のNa-SK-S5に対応する。X線回折図はJoint Committee of Powder Diffraction Standardsから入手可能であり、番号18-1241、22-1397、22-1397A、19-1233、19-1234及び19-1237で登録されている。
【0081】
上記のベータ-二ケイ酸二ナトリウムは、ベータ-Na2Si2O5に帰属されるX線回折データによって再現されるものによってキャラクタリゼーションされる、欧州特許出願公開第0614514(A1)号に記載のNa-SKS-7に対応する。X線回折図はJoint Committee of Powder Diffraction Standardsから入手可能であり、番号24-1 123及び29-1261で登録されている。
【0082】
上記デルタ-二ケイ酸二ナトリウムは、デルタ-Na2Si2O5に帰属されるX線回折データによって再現されるものによってキャラクタリゼーションされる、欧州特許出願公開第0164514(A)号に記載のNa-SKS-6に対応する。X線回折図はJoint Committee of Powder Diffraction Standardsによって、番号22-1396で登録されている。
【0083】
本発明による組成物は、例えば国際公開第2007/101622(A1)号に記載されているように、粒状形態の式(1)の結晶性層状ケイ酸ナトリウム、並びに結晶性層状ケイ酸ナトリウム及び難溶性金属炭酸塩を含有する共粒(cogranule)も含有する。
【0084】
本発明の更に好ましい実施形態では、本発明の組成物は、結晶性二ケイ酸ナトリウムNa2Si205.yH20を含有し、y=0~2である。
【0085】
好ましい形態では、結晶性層状ケイ酸ナトリウムは、カチオン性及び/又はアニオン性構成成分を更に含有する。カチオン成分は、好ましくは、アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属カチオン及び/又はFe、W、Mo、Ta、Pb、Al、Zn、Ti、V、Cr、Mn、Co及び/又はNiの組み合わせである。
【0086】
アニオン性成分は、好ましくはアルミネート、硫酸塩、フッ化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物、炭酸塩、重炭酸塩、硝酸塩、酸化物水和物、リン酸塩、及び/又はホウ酸塩である。
【0087】
結晶性層状ケイ酸ナトリウムを含有する代替的な好ましい形態では、SiO2の総含有量に対して、最大10mol%のホウ素である。結晶性層状ケイ酸ナトリウムを含む別の代替的な好ましい形態では、SiO2の総含有量に対して、最大20mol%のリンである。
【0088】
また、特許文献である国際公開第92/09526(A1)号、米国特許第A-5,417,951号、独国特許第41 02 743(A1)号及び国際公開第92/13935(A1)号に記載されているように、式ベータ-Naが2 Si 205である水熱的に調製された二ケイ酸ナトリウムが特に好ましい。
【0089】
層状ケイ酸ナトリウムとして、国際公開第00/09444(A1)号によるものが特に好ましい。更に好ましい層状ケイ酸ナトリウムは、欧州特許出願公開第0 550 048(A1)号及び欧州特許出願公開第0 630 855(A1)号によるものである。
【0090】
本明細書での使用にとりわけ好ましいケイ酸塩は、式Na2Si2O5を有する。
【0091】
炭酸塩
本発明の組成物は、好ましくは、炭酸塩を含む。好ましくは、組成物の10重量%~30重量%、好ましくは5重量%~25重量%の炭酸ナトリウムを含む。
【0092】
ホスホン酸塩
好ましくは、本発明の組成物は、ホスホン酸塩、好ましくはHEDPを含む。好ましくは、本発明の組成物は、組成物の0.5重量%~7重量%、好ましくは1重量%~6重量%のHEDPを含む。
【0093】
組成物は、好ましくはホスホン酸塩を含まない、すなわち、組成物の1重量%未満、より好ましくは0.1重量%未満のホスホン酸塩を含む。
【0094】
漂白剤
無機及び有機漂白剤が、本明細書における使用に好適である。無機漂白剤には、過ホウ酸塩、過炭酸塩、過リン酸塩、過硫酸塩及び過ケイ酸塩などの過水和塩が挙げられる。無機過水和塩は、通常、アルカリ金属塩である。無機過水和塩は、追加の保護なしの結晶性固体として含まれ得る。あるいは、塩はコーティングされていてもよい。
【0095】
アルカリ金属過炭酸塩、特に過炭酸ナトリウムは、本明細書における使用に好ましい漂白剤である。過炭酸塩は、最も好ましくは、製品内安定性を提供するコーティングされた形態で製品に組み込まれる。
【0096】
過酸化モノ過硫酸カリウムは、本明細書で有用な別の無機過水和塩である。
【0097】
典型的な有機漂白剤は、有機ペルオキシ酸、とりわけジペルオキシドデカン二酸、ジペルオキシテトラデカン二酸、及びジペルオキシヘキサデカン二酸である。モノ及びジペルアゼライン酸、モノ及びジペルブラシル酸も、本明細書において好適である。ジアシル及びテトラアシル過酸化物、例えば過酸化ジベンゾイル及び過酸化ジラウロイルは、本発明の関連において使用可能な他の有機過酸化物である。
【0098】
更なる典型的な有機漂白剤としては、ペルオキシ酸が挙げられ、具体例は、アルキルペルオキシ酸及びアリールペルオキシ酸である。好ましい代表例は、(a)ペルオキシ安息香酸及びその環置換の誘導体、例えばアルキルペルオキシ安息香酸の他、ペルオキシ-α-ナフトエ酸及びモノペルフタル酸マグネシウム、(b)脂肪族又は置換脂肪族ペルオキシ酸、例えばペルオキシラウリン酸、ペルオキシステアリン酸、ε-フタルイミドペルオキシカプロン酸[フタロイミノペルオキシヘキサン酸(PAP)]、o-カルボキシベンズアミドペルオキシカプロン酸、N-ノネニルアミドペルアジピン酸及びN-ノネニルアミドペルスクシネート、並びに(c)脂肪族及び芳香脂肪族ペルオキシジカルボン酸、例えば1,12-ジペルオキシカルボン酸、1,9-ジペルオキシアゼライン酸、ジペルオキシセバシン酸、ジペルオキシブラシル酸、ジペルオキシフタル酸、2-デシルジペルオキシブタン-1,4-二酸、N,N-テレフタロイルジ(6-アミノペルカプロン酸)である。
【0099】
好ましくは、本発明の組成物中の漂白剤の濃度は、組成物の約1~約20重量%、より好ましくは約2~約25重量%、更により好ましくは約3~約20重量%である。特に好ましいのは、過炭酸塩を含む組成物である。
【0100】
分散剤ポリマー
分散剤ポリマーは、組成物の約1~約7重量%、好ましくは2重量%~約6重量%の任意の適切な量で使用される。
【0101】
分散剤ポリマーは、自動食器洗浄プロセスにおいてカルシウム又は炭酸カルシウムを懸濁させることができる。好ましくは、分散剤ポリマーは、ポリカルボン酸のスルホン化誘導体であり、2、3、4又はそれ以上の異なるモノマー単位を含むことができる。好ましいコポリマーは、次のものを含む。
【0102】
一般式(III)を有するカルボン酸モノマーに由来する少なくとも1つの構造単位:
【0103】
【化6】
(2~12個の炭素原子を有するアルキル基、2~12個の炭素原子を有する直鎖状又は分枝鎖状のモノ又はポリ不飽和アルケニル基、-NH2若しくは-OH、又は-COOH、又はCOOR4で置換された前述のアルキル又はアルケニル基、R4は、水素、アルカリ金属、又は2~12個の炭素を有する直鎖状若しくは分枝鎖状の飽和若しくは不飽和のアルキル若しくはアルケニル基から選択される)。好ましいカルボン酸モノマーは、アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸、2-フェニルアクリル酸、桂皮酸、クロトン酸、フマル酸、メタクリル酸、2-エチルアクリル酸、メチレンマロン酸、又はソルビン酸のうちの1つ以上を含む。アクリル及びメタクリル酸がより好ましい。
【0104】
任意に、一般式(IV)を有する少なくとも1つの非イオン性モノマーに由来する1つ以上の構造単位:
【0105】
【化7】
(式中、R5~R7は、水素、メチル、フェニル又は1~6個の炭素原子を含むヒドロキシアルキル基から独立して選択され、環状構造の一部であってもよく、Xは、-CH2-、-COO-、-CONH-又は-CONR8-から選択される、任意に存在するスペーサ基であり、R8は、直鎖状若しくは分枝鎖状の、1~22個の炭素原子を有する飽和アルキル基又は6~22個の炭素原子を有する不飽和の好ましくは芳香族の基から選択される)。
【0106】
好ましい非イオン性モノマーは、ブテン、イソブテン、ペンテン、2-メチルペント-1-エン、3-メチルペント-1-エン、2,4,4-トリメチルペント-1-エン、2,4,4-トリメチルペント-2-エン、シクロペンテン、メチルシクロペンテン、2-メチル-3-メチル-シクロペンテン、ヘキセン、2,3-ジメチルヘキサ-1-エン、2,4-ジメチルヘキサ-1-エン、2,5-ジメチルヘキサ-1-エン、3,5-ジメチルヘキサ-1-エン、4,4-ジメチルヘキサ-1-エン、シクロヘキセン、メチルシクロヘキセン、シクロヘプテン、10個以上の炭素原子を有する、デカ-1-エン、ドデカ-1-エン、ヘキサデカ-1-エン、オクタデカ-1-エン及びドコサ-1-エンなどのα-オレフィンのうちの1つ以上を含み、好ましい芳香族モノマーは、スチレン、α-メチルスチレン、3-メチルスチレン、4-ドデシルスチレン、2-エチル-4-ベジルスチレン(bezylstyrene)、4-シクロヘキシルスチレン、4-プロピルスチロール、1-ビニルナフタレン、2-ビニルナフタレンであり、好ましいカルボン酸エステルモノマーは、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート及びベヘニル(メタ)アクリレートであり、好ましいアミドは、N-メチルアクリルアミド、N-エチルアクリルアミド、N-t-ブチルアクリルアミド、N-2-エチルヘキシルアクリルアミド、N-オクチルアクリルアミド、N-ラウリルアクリルアミド、N-ステアリルアクリルアミド、N-ベヘニルアクリルアミドである。並びに一般式(V)及び(VI)を有する少なくとも1つのスルホン酸モノマーに由来する少なくとも1つの構造単位:
【0107】
【化8】
(式中、R7は、少なくとも1つのsp2結合を含む基であり、Aは、O、N、P、S、アミド若しくはエステル結合であり、Bは、単環式又は多環式芳香族基又は脂肪族基であり、各tは独立して0又は1であり、M+はカチオンである)。一態様において、R7は、C2~C6アルケンである。別の態様では、R7は、エテン、ブテン又はプロペンである。
【0108】
好ましいスルホン化モノマーは、1-アクリルアミド-1-プロパンスルホン酸、2-アクリルアミド-2-プロパンスルホン酸、2-アクリルアミド-2-メチル-1-プロパンスルホン酸、2-メタクリルアミド-2-メチル-1-プロパンスルホン酸、3-メタクリルアミド-2-ヒドロキシ-プロパンスルホン酸、アリルスルホン酸、メタリルスルホン酸、アリルオキシベンゼンスルホン酸、メタリルオキシベンゼンスルホン酸、2-ヒドロキシ-3-(2-プロペニルオキシ)プロパンスルホン酸、2-メチル-2-プロペン-1-スルホン酸、スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸、3-スルホプロピル、3-スルホ-プロピルメタクリレート、スルホメタクリルアミド、スルホメチルメタクリルアミド、及び上述の酸又はこれらの水溶性塩の混合物のうちの1つ以上を含む。
【0109】
好ましくは、このポリマーは、以下の濃度の各種モノマー、すなわち、ポリマーの約40~約90重量%、好ましくは約60~約90重量%の1種以上のカルボン酸モノマー、ポリマーの約5~約50重量%、好ましくは約10~約40重量%の1種以上のスルホン酸モノマー、及び任意にポリマーの約1重量%~約30重量%、好ましくは約2~約20重量%の1種以上の非イオン性モノマーを含む。特に好ましいポリマーは、ポリマーの約70重量%~約80重量%の少なくとも1種のカルボン酸モノマー及びポリマーの約20重量%~約30重量%の少なくとも1種のスルホン酸モノマーを含む。
【0110】
ポリマー中、カルボン酸基又はスルホン酸基の全て又はいくつかが中和形態で存在していてよく、すなわちいくつか又は全ての酸性基中のカルボン酸基及び/又はスルホン酸基の酸性水素原子が、金属イオン、好ましくはアルカリ金属イオン、特にナトリウムイオンと置き換えられ得る。
【0111】
カルボン酸は、好ましくは(メタ)アクリル酸である。スルホン酸モノマーは、好ましくは2-アクリルアミド-2-プロパンスルホン酸(AMPS)である。
【0112】
好ましい市販のポリマーとしては、Alco Chemicalによって供給されるAlcosperse240、Aquatreat AR540、及びAquatreat MPS、Dowによって供給されるAcumer 3100、Acumer 2000、Acusol 587G及びAcusol 588G、BF Goodrichによって供給されるGoodrich K-798、K-775及びK-797、並びにISP technologies Inc.によって供給されるACP1042が挙げられる。特に好ましいポリマーは、Rohm&Haasによって供給されるAcusol587G及びAcusol588Gである。
【0113】
適切な分散剤ポリマーには、低分子量のアニオン性カルボン酸ポリマーが含まれる。それらは、約200,000g/モル以下、又は約75,000g/モル以下、又は約50,000g/モル以下、又は約3,000g/モル~約50,000g/モル、好ましくは約5,000g/モル~約45,000g/モルの重量平均分子量を有するホモポリマー又はコポリマーであり得る。分散剤ポリマーは、1,000~20,000、特に2,000~10,000、及び特に好ましくは3,000~5,000の平均分子量を有するポリアクリレートの低分子量ホモポリマーであってもよい。
【0114】
分散剤ポリマーは、70,000未満の分子量を有する、アクリル酸とメタクリル酸のコポリマー、アクリル酸及び/又はメタクリル酸とマレイン酸のコポリマー並びにアクリル酸及び/又はメタクリル酸とフマル酸のコポリマーであってもよい。それらの分子量は、2,000~80,000g/モル、より好ましくは20,000~50,000g/モル、特に30,000~40,000g/モルの範囲であり、(メタ)アクリレートとマレエート又はフマレートセグメントとの比は30:1~1:2である。
【0115】
分散剤ポリマーは、3,000~100,000、あるいは4,000~20,000の分子量を有するアクリルアミドとアクリレートとのコポリマーであってもよく、分散剤ポリマーの50重量%未満、あるいは20重量%未満のアクリルアミド含有量も使用され得る。あるいは、そのような分散剤ポリマーは、4,000~20,000の分子量、及びポリマーの0重量%~15%のアクリルアミド含有量を有してもよい。
【0116】
本明細書で好適な分散剤ポリマーには、イタコン酸ホモポリマー及びコポリマーも含まれる。
【0117】
あるいは、分散剤ポリマーは、アルコキシル化ポリアルキレンイミン、アルコキシル化ポリカルボキシレート、ポリエチレングリコール、スチレンコポリマー、セルロースサルフェートエステル、カルボキシル化多糖、両親媒性グラフトコポリマー及びこれらの混合物からなる群から選択され得る。
【0118】
界面活性剤
本明細書での使用に好適な界面活性剤としては、非イオン性界面活性剤が挙げられ、好ましくは、組成物は、いかなる他の界面活性剤も含まない。従来的には、非イオン性界面活性剤は、表面修飾目的、特に膜形成及び斑点形成を回避し、光沢を改善するためのシート化を目的として、自動食器洗浄において使用されてきた。非イオン性界面活性剤は、汚れの再堆積の防止にも寄与することができることが判明している。
【0119】
好ましくは、本発明の組成物は、非イオン性界面活性剤又は非イオン性界面活性剤系を含み、より好ましくは、非イオン性界面活性剤又は非イオン性界面活性剤系は、蒸留水中、濃度1%で測定した場合に40~70℃、好ましくは45~65℃の転相温度を有する。「非イオン性界面活性剤系」とは、本明細書において、2つ以上の非イオン性界面活性剤の混合物を意味する。非イオン性界面活性剤系が、本明細書での使用に好適である。これらは、単一の非イオン性界面活性剤よりも、製品中で、改善された洗浄及び仕上がり特性並びに良好な安定性を有すると考えられる。
【0120】
転相温度とは、それよりも低い温度では界面活性剤又はその混合物が油膨張ミセルとして水性相中に優先的に分配され、それよりも高い温度では水膨張逆ミセルとして油性相に優先的に分配される温度である。転相温度は、混濁が生じる温度を識別することによって視覚的に判断することができる。
【0121】
非イオン性界面活性剤又は系の転相温度は、以下のように判断することができる。蒸留水中、溶液の1重量%の対応する界面活性剤又は混合物を含有する溶液を調製する。溶液を軽く撹拌した後、転相温度を分析して、プロセスが化学平衡で生じることを確実にする。転相温度は、75mm密封ガラス試験管中に溶液を浸漬することによって熱安定性の浴槽内で測定する。漏れがないことを確実にするために、転相温度の測定の前後に試験管を秤量しておく。温度が事前予測した転相温度より数度下に達するまで、温度を1℃/分未満の速度で徐々に増加させる。転相温度は、濁りの最初の兆候があった時点で視覚的に判断される。
【0122】
好適な非イオン性界面活性剤としては、i)6~20個の炭素原子を有するモノヒドロキシアルカノール又はアルキルフェノール(alkyphenol)と、アルコール又はアルキルフェノール1モル当たり、好ましくは少なくとも12モル、特に好ましくは少なくとも16モル、更により好ましくは少なくとも20モルのエチレンオキシドとの反応によって調製される、エトキシル化非イオン性界面活性剤、ii)6~20個の炭素原子及び少なくとも1つのエトキシ基及びプロポキシ基を有するアルコールアルコキシル化界面活性剤、が挙げられる。界面活性剤i)とii)との混合物が、本明細書での使用に好ましい。
【0123】
別の好適な非イオン性界面活性剤は、次式で表されるエポキシキャップ化ポリ(オキシアルキル化)アルコールであり、
R1O[CH2CH(CH3)O]x[CH2CH2O]y[CH2CH(OH)R2] (I)
式中、R1は、4~18個の炭素原子を有する直鎖状又は分枝鎖状の脂肪族炭化水素基であり、R2は、2~26個の炭素原子を有する直鎖状又は分枝鎖状の脂肪族炭化水素基であり、xは、0.5~1.5、より好ましくは約1の平均値を有する整数であり、yは、少なくとも15、より好ましくは少なくとも20の値を有する整数である。
【0124】
好ましくは、式Iの界面活性剤は、末端エポキシド単位[CH2CH(OH)R2]中に少なくとも約10個の炭素原子を有する。本発明によれば、式Iの好適な界面活性剤は、例えば、Olin Corporationによる1994年10月13日に公開された国際公開第94/22800号に記載の、Olin CorporationのPOLY-TERGENT(登録商標)SLF-18B非イオン性界面活性剤である。
【0125】
本明細書で有用なアミンオキシド界面活性剤としては、以下の式を有する直鎖及び分枝鎖化合物が挙げられる:
【0126】
【化9】
式中、R3は、8~26個の炭素原子、好ましくは8~18個の炭素原子を含有するアルキル、ヒドロキシアルキル、アシルアミドプロピル及びアルキルフェニル基、又はこれらの混合物から選択され、R4は、2~3個の炭素原子、好ましくは2個の炭素原子を含有するアルキレン若しくはヒドロキシアルキレン基、又はこれらの混合物であり、xは0~5、好ましくは0~3であり、各R5は、1~3個、好ましくは1~2個の炭素原子を含有するアルキル基若しくはヒドロキシアルキル基、又は1~3個、好ましくは1個のエチレンオキシド基を含有するポリエチレンオキシド基である。R5基は、例えば、酸素原子又は窒素原子を介して互いに結合して、環構造を形成することができる。
【0127】
これらのアミンオキシド界面活性剤は特に、C10~C18アルキルジメチルアミンオキシド及びC8~C18アルコキシエチルジヒドロキシエチルアミンオキシドを含む。このような物質の例としては、ジメチルオクチルアミンオキシド、ジエチルデシルアミンオキシド、ビス-(2-ヒドロキシエチル)ドデシルアミンオキシド、ジメチルドデシルアミンオキシド、ジプロピルテトラデシルアミンオキシド、メチルエチルヘキサデシルアミンオキシド、ドデシルアミドプロピルジメチルアミンオキシド、セチルジメチルアミンオキシド、ステアリルジメチルアミンオキシド、タロージメチルアミンオキシド及びジメチル-2-ヒドロキシオクタデシルアミンオキシドが挙げられる。C10~C18アルキルジメチルアミンオキシド、及びC10~18アシルアミドアルキルジメチルアミンオキシドが好ましい。
【0128】
界面活性剤は、全組成物の0~15重量%、好ましくは0.1重量%~10重量%、最も好ましくは0.25重量%~8重量%の量で存在し得る。
【0129】
酵素
本明細書の酵素変異体を説明する際、参照しやすいように以下の命名法が用いられる:元のアミノ酸:位置:置換アミノ酸。標準的な酵素IUPACのアミノ酸の1文字コードを使用する。
【0130】
プロテアーゼ
本発明の組成物は、タンパク質性汚れ、特にクリームブリュレなどの糖の焦げた汚れを除去する観点から有益である。
【0131】
本発明の組成物は、プロテアーゼを含み得る。2種以上のプロテアーゼの混合物はまた、特に再付着防止剤及び/又はスルホン化ポリマーとともに使用されるとき、より広い温度、サイクル持続時間、及び/又は基質範囲にわたって洗浄の増強に貢献することができ、優れた光沢効果を提供することができる。
【0132】
好適なプロテアーゼとしては、メタロプロテアーゼ及びセリンプロテアーゼが挙げられ、例えば、サブチリシン(EC 3.4.21.62)などの中性又はアルカリ性微生物セリンプロテアーゼを含む。好適なプロテアーゼとしては、動物、植物又は微生物起源のものが挙げられる。一態様では、このような好適なプロテアーゼは、微生物起源のものであってもよい。好適なプロテアーゼとしては、前述の好適なプロテアーゼの化学的又は遺伝的に修飾された変異体が挙げられる。一態様では、好適なプロテアーゼは、アルカリ性微生物プロテアーゼ又は/及びトリプシン型プロテアーゼなどのセリンプロテアーゼであってよい。好適な中性又はアルカリ性プロテアーゼの例としては、以下のものが挙げられる。(a)サブチリシン(EC 3.4.21.62)、特に国際公開第2004067737号、国際公開第2015091989号、国際公開第2015091990号、国際公開第2015024739号、国際公開第2015143360号、米国特許第6,312,936号、米国特許第5,679,630号、米国特許第4,760,025号、独国特許公開第102006022216(A1)号、独国特許公開第102006022224(A1)号、国際公開第2015089447号、国際公開第2015089441号、国際公開第2016066756号、国際公開第2016066757号、国際公開第2016069557号、国際公開第2016069563号、国際公開第2016069569号に記載されている、バチルス種(Bacillus sp.)、B.レンタス(B. lentus)、B.アルカロフィラス(B. alkalophilus)、B.ズブチリス(B. subtilis)、B.アミロリケファシエンス(B. amyloliquefaciens)、B.プミルス(B. pumilus)、B.ギブソニイ(B. gibsonii)及びB.アキバイ(B. akibaii)などのバチルス由来のもの。
(b)国際公開第89/06270号に記載されているフサリウム属プロテアーゼ、並びに国際公開第05/052161号及び国際公開第05/052146号に記載されているセルロモナス属に由来するキモトリプシンプロテアーゼを含むトリプシン(例えば、ブタ又はウシ起源)などのトリプシン型又はキモトリプシン型プロテアーゼ。
(c)メタロプロテアーゼ、特に国際公開第07/044993(A2)号に記載されているバチルス・アミロリケファシエンス(Bacillus amyloliquefaciens)由来のもの。国際公開第2014194032号、同第2014194054号及び同第2014194117号に記載されるバチルス(Bacillus)、ブレビバチルス(Brevibacillus)、サーモアクチノミセス(Thermoactinomyces)、ゲオバチルス(Geobacillus)、パエニバチルス(Paenibacillus)、リシニバシラス(Lysinibacillus)又はスプレプトミセスspp(Streptomyces spp.)、国際公開第2015193488号に記載されているクリベラ・アルミノサ(Kribella alluminosa)由来のもの、並びに国際公開第2016075078号に記載されているストレプトミセス(Streptomyces)及びリソバクター(Lysobacter)由来のもの。
(d)国際公開第92/17577号(Novozymes A/S)に記載されているバチルス種TY145、NCIMB 40339由来のサブチラーゼに対して少なくとも90%の同一性を有するプロテアーゼ、例えば、国際公開第2015024739号及び同第2016066757号に記載されているこのバチルス種TY145サブチラーゼの変異体を含むプロテアーゼなど。
(e)国際公開第2016/205755号及び同第2018/118950号に見られる変異体を含み、1、4、9、21、24、27、36、37、39、42、43、44、47、54、55、56、74、80、85、87、99、102、114、117、119、121、126、127、128、131、143、144、158、159、160、169、182、188、190、197、198、212、224、231、232、237、242、245、246、254、255、256、及び257からなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸置換(配列番号85の番号付けを使用)を含み、国際公開第2016/205755号からの配列番号85のアミノ酸配列と少なくとも90%、好ましくは少なくとも92%の同一性を有するプロテアーゼ。
【0133】
本発明の洗剤にとりわけ好ましいプロテアーゼは、以下のとおりである。(a)バシラス・レンタス由来の野生型酵素と少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%、より好ましくは少なくとも98%、更により好ましくは少なくとも99%、とりわけ100%の同一性を示すポリペプチドであり、これは、本明細書に参照により援用する国際公開第00/37627号に示されるようなBPN’番号付与システム及びアミノ酸略号を用いた場合に、以下に示す位置の1つ以上、好ましくは2つ以上、より好ましくは3つ以上に突然変異を有する:V68A、N76D、N87S、S99D、S99AD、S99A、S101G、S101M、S103A、V104N/I、G118V、G118R、S128L、P129Q、S130A、Y167A、R170S、A194P、V205I、Q206L/D/E、Y209W及び/又はM222S、並びに/又は、
(b)国際公開第2016/205755号からの配列番号85のアミノ酸配列と少なくとも95%、より好ましくは少なくとも98%、更により好ましくは少なくとも99%、特に100%の同一性を有するプロテアーゼであり、以下を含む群から選択される少なくとも1つのアミノ酸置換(配列番号85の番号付けを用いて)を含む:
P54E/G/I/L/Q/S/T/V;S99A/E/H/I/K/M/N/Q/R/T/V;S126A/D/E/F/G/H/I/L/M/N/Q/R/T/V/Y;D127A/E/F/G/h/I/L/M/N/P/Q/S/T/V/W/Y;F128A/C/D/E/G/H/I/K/L/M/N/P/Q/R/S/T/W、A37T、S39E、A47V、T56Y、I80V、N85S、E87D、T114Q、N242D;
【0134】
最も好ましくは、追加のプロテアーゼは、PB92野生型(国際公開第08/010925号の配列番号2)又はサブチリシン309野生型(N87Sの自然変異を含む以外はPB92主鎖による配列)のいずれかに対して以下の変異(BPN番号方式)を含むプロテアーゼの群から選択される。
(i)G118V+S128L+P129Q+S130A
(ii)S101M+G118V+S128L+P129Q+S130A
(iii)N76D+N87R+G118R+S128L+P129Q+S130A+S188D+N248R
(iv)N76D+N87R+G118R+S128L+P129Q+S130A+S188D+V244R
(v)N76D+N87R+G118R+S128L+P129Q+S130A
(vi)V68A+N87S+S101G+V104N
(vii)S99AD
又は国際公開第2018/118950号の配列番号1に対して、1つ以上、好ましくは2つ以上、好ましくは3つ以上、好ましくは4つ以上の、以下の変異を含むプロテアーゼの群から選択される:
P54T、S99M、S126A/G、D127E、F128C/D/E/G、A37T、S39E、A47V、T56Y、I80V、N85S、E87D、T114Q、及びN242D。
【0135】
好適な市販の追加のプロテアーゼ酵素としては、商品名Alcalase(登録商標)、Savinase(登録商標)、Primase(登録商標)、Durazym(登録商標)、Polarzyme(登録商標)、Kannase(登録商標)、Liquanase(登録商標)、Liquanase Ultra(登録商標)、Savinase Ultra(登録商標)、Savinase Evity(登録商標)、Ovozyme(登録商標)、Neutrase(登録商標)、Everlase(登録商標)、Coronase(登録商標)、Blaze(登録商標)、Blaze Ultra(登録商標)、Blaze Evity(登録商標)及びEsperase(登録商標)としてNovozymes A/S(Denmark)によって販売されているもの;商品名Maxatase(登録商標)、Maxacal(登録商標)、Maxapem(登録商標)、Properase(登録商標)、Purafect(登録商標)、Purafect Prime(登録商標)、Purafect Ox(登録商標)、FN3(登録商標)、FN4(登録商標)、Excellase(登録商標)、Ultimase(登録商標)、Extremase(登録商標)及びPurafect OXP(登録商標)としてDupontによって販売されているもの;商品名Opticlean(登録商標)及びOptimase(登録商標)としてSolvay Enzymesによって販売されているもの;並びにHenkel/Kemiraから入手可能なもの、すなわち、BLAP(配列は米国特許第5,352,604号の
図29に示され、S99D+S101R+S103A+V104I+G159Sの突然変異を有する、本明細書において以降BLAPと称する)、BLAP R(S3T+V4I+V199M+V205I+L217Dを有するBLAP)、BLAP X(S3T+V4I+V205Iを有するBLAP)及びBLAP F49(S3T+V4I+A194P+V199M+V205I+L217Dを有するBLAP);並びに花王製のKAP(変異A230V+S256G+S259Nを有するバチルス・アルカロフィラスのサブチリシン)が挙げられる。
【0136】
本明細書で使用するのに特に好ましいのは、Properase(登録商標)、Blaze(登録商標)、Blaze Evity(登録商標)、Savinase Evity(登録商標)、Extremase(登録商標)、Ultimase(登録商標)、Everlase(登録商標)、Savinase(登録商標)、Excellase(登録商標)、Blaze Ultra(登録商標)、BLAP及びBLAP変異体からなる群から選択される市販のプロテアーゼである。
【0137】
本発明の製品中のプロテアーゼの好ましい濃度としては、組成物1g当たり約0.05~約20mg、より好ましくは約0.5~約10mg、特に約1~約8mgの活性プロテアーゼが挙げられる。
【0138】
アミラーゼ
好ましくは、本発明の組成物は、アミラーゼを含み得る。好適なα-アミラーゼとしては、細菌又は真菌起源のものが挙げられる。化学的又は遺伝的に修飾された変異(変異体)が含まれる。好ましいアルカリ性α-アミラーゼは、Bacillus株、例えば、バチルス-リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)、バチルス・アミロリケファシエンス(Bacillus amyloliquefaciens)、バチルス-ステアロテルモフィルス(Bacillus stearothermophilus)、枯草菌(Bacillus subtilis)、又は他のバチルス種、例えば、バチルス種NCBI 12289、NCBI 12512、NCBI 12513、DSM 9375(米国特許第7,153,818号)、DSM 12368、DSMZ no.12649、KSM AP1378(国際公開第97/00324号)、KSM K36又はKSM K38(欧州特許第1,022,334号)に由来する。好ましいアミラーゼとしては、以下が挙げられる。
(a)国際公開第96/23873号、同第00/60060号、同第06/002643号及び同第2017/192657号に記載されている変異体、特に、国際公開第06/002643号の配列番号12に対して以下の位置に1つ以上の置換を有する変異体:
26、30、33、82、37、106、118、128、133、149、150、160、178、182、186、193、202、214、231、246、256、257、258、269、270、272、283、295、296、298、299、303、304、305、311、314、315、318、319、339、345、361、378、383、419、421、437、441、444、445、446、447、450、461、471、482、484、好ましくは、D183*及びG184*の欠失も含む変異体。
(b)国際公開第06/002643号の配列番号4、バチルス種722由来の野生型酵素と少なくとも90%の同一性を示す変異体、特に183及び184位に欠失を有する変異体、並びに参照により本明細書に組み込まれる国際公開第00/60060号、同第2011/100410号、及び同第2013/003659号に記載されている変異体。
(c)バチルス種707(米国特許第6,093,562号の配列番号7)由来の野生型酵素と少なくとも95%の同一性を示す変異体、特に以下の位置に1つ以上の変異を含むもの:M202、M208、S255、R172及び/又はM261。好ましくは、当該アミラーゼは、M202L、M202V、M202S、M202T、M202I、M202Q、M202W、S255N及び/又はR172Qのうちの1つ以上を含む。M202L又はM202T変異を含むものが、特に好ましい。
(d)国際公開第09/149130号に記載されている変異体、好ましくは同第09/149130号の配列番号1又は配列番号2、ゲオバチルス・ステロファーモフィラス(Geobacillus Stearophermophilus)由来の野生型酵素又はその切断版と少なくとも90%の同一性を示すもの。
(e)国際公開第2016091688号の配列番号1と少なくとも89%の同一性を示す変異体、特にH183+G184位での欠失並びに405、421、422及び/又は428位に1つ以上の突然変異を含むもの。
(f)パエニバチルス・カードラノリティカス(Paenibacillus curdlanolyticus)YK9由来の「PcuAmyl α-アミラーゼ」(国際公開第2014099523号の配列番号3)と少なくとも60%のアミノ酸配列同一性を示す変異体。
(g)サイトファーガ種(Cytophaga sp.)由来の「CspAmy2アミラーゼ」(国際公開第2014164777号の配列番号1)と少なくとも60%のアミノ酸配列同一性を示す変異体。
(h)バチルス・ズブチリス(Bacillus subtilis)由来のAmyE(国際公開第2009149271号の配列番号1)と少なくとも85%の同一性を示す変異体。
(i)受託番号AB051102を有するバチルス種KSM-K38由来の野生型アミラーゼと少なくとも90%の同一性を示す変異体。
(j)バチルス種由来のAAI10の成熟アミノ酸配列(国際公開第2016180748号の配列番号7)と少なくとも80%の同一性を示す変異体、好ましくは、以下の1つ以上の位置に1つ以上の変異を含むもの(mutation in one or more of the following positions modification in one or more positions):1、54、56、72、109、113、116、134、140、159、167、169、172、173、174、181、182、183、184、189、194、195、206、255、260、262、265、284、289、304、305、347、391、395、439、469、444、473、476、又は477。
(k)融合ペプチドの成熟アミノ酸配列(米国特許出願公開第2019/0169546号の配列番号14)と少なくとも80%の同一性を示す変異体であり、好ましくは、変異H1*、N54S+V56T、A60V、G109A、R116Q/H+W167F、L173V、A174S、Q172N、G182*、D183*、N195F、V206L/Y、V208L、K391A、K393A、I405L、A421H、A422P、A428T、G476K及び/又はG478Kのうちの1つ以上を含むもの。好ましいアミラーゼは、欠失G182*及びG183*の両方と、任意に以下の一連の変異のうちの1つ以上を含む:
1.Hl*+G109A+N195F+V206Y+K391A;
2.H1*+N54S+V56T+G109A+A1745+N195F+V206L+K391A+G476K)
3.H1*+N54S+V56T+A60V+G109A+R116Q+W167F+Q172N+L173V+A1745+N195F+V206L+I405L+A421H+A422P+A428T
4.H1*+N545+V56T+G109A+R116Q+A1745+N195F+V206L+I405L+A421H+A422P+A428T;
5.H1*+N545+V56T+G109A+R116H+A1745+N195F+V208L+K393A+G478K;
(l)アリシクロバチルス属(Alicyclobacillus sp.)アミラーゼ(国際公開第2016/180748号の配列番号8)の成熟アミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を示す変異体
アミラーゼは、遺伝子操作を受けた酵素であり得、漂白酸化を起こしやすいアミノ酸のうちの1つ以上が、酸化を起こしにくいアミノ酸で置換されている。特に、メチオニン残基は、任意の他のアミノ酸で置換されることが好ましい。特に、最も酸化しやすいメチオニンが置換されることが好ましい。好ましくは、配列番号2における202に相当する位置のメチオニンが置換される。好ましくは、この位置のメチオニンは、スレオニン又はロイシン、好ましくはロイシンで置換される。
【0139】
好適な市販のα-アミラーゼとしては、DURAMYL(登録商標)、LIQUEZYME(登録商標)、TERMAMYL(登録商標)、TERMAMYL ULTRA(登録商標)、NATALASE(登録商標)、SUPRAMYL(登録商標)、STAINZYME(登録商標)、STAINZYME PLUS(登録商標)、FUNGAMYL(登録商標)、ATLANTIC(登録商標)、INTENSA(登録商標)及びBAN(登録商標)(Novozymes A/S(Bagsvaerd,Denmark))、KEMZYM(登録商標)AT 9000(Biozym Biotech Trading GmbH(Wehlistrasse 27b A-1200 Wien Austria))、RAPIDASE(登録商標)、PURASTAR(登録商標)、ENZYSIZE(登録商標)、OPTISIZE HT PLUS(登録商標)、POWERASE(登録商標)、PREFERENZ S(登録商標)シリーズ(PREFERENZ S1000(登録商標)及びPREFERENZ S2000(登録商標)を含む、並びにPURASTAR OXAM(登録商標)(DuPont.(Palo Alto,California))並びにKAM(登録商標)(花王(14-10 Nihonbashi Kayabacho,1-chome,Chuo-ku Tokyo 103-8210,Japan))が挙げられる。一態様では、好適なアミラーゼとしては、ATLANTIC(登録商標)、STAINZYME(登録商標)、POWERASE(登録商標)、INTENSA(登録商標)及びSTAINZYME PLUS(登録商標)、ACHIEVE ALPHA(登録商標)、並びにこれらの混合物が挙げられる。
【0140】
好ましくは、本発明の製品は、組成物1g当たり少なくとも0.01mg、好ましくは約0.05~約10、より好ましくは約0.1~約6、特に約0.2~約5mgの活性アミラーゼを含む。
【0141】
好ましくは、本発明の組成物のプロテアーゼ及び/又はアミラーゼは、粒状体の形態であり、この粒状体は、粒状体の29重量%超の硫酸ナトリウムを含み、並びに/又は硫酸ナトリウム及び活性酵素(プロテアーゼ及び/ア又はミラーゼ)は、3:1~100:1、又は好ましくは4:1~30:1、又はより好ましくは5:1~20:1の重量比である。
【0142】
金属ケア剤
金属ケア剤は、アルミニウム、ステンレス鋼、並びに銀及び銅などの非鉄金属を含む金属の曇り、腐食又は酸化を、防止又は低減することができる。好ましくは、本発明の組成物は、製品の0.1~5重量%、より好ましくは0.2~4重量%、特に0.3~3重量%の金属ケア剤を含み、好ましくは、金属ケア剤はベンゾトリアゾール(BTA)である。
【0143】
ガラスケア剤
ガラスケア剤は、食器洗浄プロセス中にガラス製品の外観を保護する。好ましくは、本発明の組成物は、組成物の0.1~5重量%、より好ましくは0.2~4重量%、特に0.3~3重量%の金属ケア剤を含み、好ましくは、ガラスケア剤は亜鉛含有材料、特に水亜鉛土である。
【0144】
カチオン性ポリマー
組成物は、好ましくは、組成物の0.5~5重量%、好ましくは0.5~2重量%のカチオン性ポリマーを含む。カチオン性ポリマーは、膜張りの利点を提供する。カチオン性ポリマーは、
i.60重量%~99重量%の、式Iの少なくとも1つのモノエチレン性不飽和ポリアルキレンオキシドモノマー(モノマー(A))のカチオン性ポリマー:
【0145】
【化10】
(式中、変数は以下の意味を有する:
Yが-O-である場合、Xは、-CH2-又は-CO-であり、
Yが-NH-である場合、Xは、-CO-であり、
Yは、-O-又は-NH-であり、
R1は、水素又はメチルであり、
R2は、同じか又は異なるC2~C6-アルキレンラジカルであり、
R3は、H又はC1~C4アルキルであり、
nは、3~100、好ましくは15~60の整数である)と、
ii.1~40重量%の、少なくとも1つの式IIa~IIdのモノマー(モノマー(B))からなる群から選択される少なくとも1つの四級化窒素含有モノマーのカチオン性ポリマー
i.))
【0146】
【化11】
(式中、変数は以下の意味を有する:
Rは、C1~C4アルキル又はベンジルであり、
R’は、水素又はメチルであり、
Yは、-O-又は-NH-であり、
Aは、C1~C6アルキレンであり、
X-は、ハロゲン化物、C1~C4-アルキルサルフェート、C1~C4-アルキルスルホネート及びC1~C4-アルキルカーボネートである)と、
iii.0~15重量%の、少なくとも1つのアニオン性モノエチレン性不飽和モノマー(モノマー(C))のカチオン性ポリマーと、
iv.0~30重量%の、少なくとも1つの他の非イオン性モノエチレン性不飽和モノマー(モノマー(D))のカチオン性ポリマーと、
からの共重合形態を含み、
カチオン性ポリマーは、2,000~500,000、好ましくは25,000g/モル~200,000g/モルの重量平均分子量(Mw)を有する。
【0147】
好ましいカチオン性ポリマーでは、モノマー(A)の変数は、以下の意味を有する:
Xは、-CO-であり、
Yは、-O-であり、
R1は、水素又はメチルであり、
R2はエチレン、直鎖状又は分岐鎖状のプロピレン又はこれらの混合物であり、
R3は、メチルであり、
nは、15~60の整数である。
【0148】
好ましくは、カチオン性ポリマーは、60~98重量%のモノマー(A)と、1~39重量%のモノマーBと、0.5~6重量%のモノマー(C)とを含む。
【0149】
好ましいカチオン性ポリマーにおいて、モノマー(A)は、メチルポリエチレングリコール(メタ)アクリレートであり、モノマー(B)は、3-メチル-1-ビニルイミダゾリウムの塩である。
【0150】
好ましくは、カチオン性ポリマーは、69~89%のモノマー(A)と、9~29%のモノマー(B)とを含む。
【0151】
好ましいカチオン性ポリマーにおいて、モノマー(A)とモノマー(B)との重量比は≧2:1であり、コポリマーがモノマー(C)を含む場合、モノマー(B)とモノマー(C)との重量比も≧2:1、より好ましくは≧2.5:1であり、好ましくは、モノマー(A)はメチルポリエチレングリコール(メタ)アクリレートを含み、モノマー(B)は3-メチル-1-ビニルイミダゾリウムの塩を含む。
【0152】
本発明による好ましい組成物は、
a)組成物の10重量%~40重量%のMGDA、好ましくはメチルグリシン-N,N-二酢酸の三ナトリウム塩と、
b)任意に、組成物の2重量%~6重量%の結晶性ケイ酸ナトリウムであって、結晶性層状構造及び組成NaMSix O2x+1.y H2O(式中、Mはナトリウム又は水素を表し、xは1.9~4の数であり、yは0~20の数である)を有し、好ましくは式Na2Si2O5を有する、結晶性ケイ酸ナトリウムと、
c)組成物の10重量%~30重量%の炭酸塩と、
d)任意に、組成物の1重量%~6重量%のHEDPと、
e)組成物の2重量%~6重量%の分散剤ポリマー、好ましくはスルホネートポリマーと、
f)組成物の8重量%~30重量%の過炭酸ナトリウムと、
g)非イオン性界面活性剤と、
h)アミラーゼと、
i)プロテアーゼと、任意に
j)ガラス及び/又は金属ケア剤とを含む。
【0153】
自動食器洗浄の方法
本発明の方法は、食器を本発明の組成物に供する工程を含む。本方法は、漂白可能な汚れと酵素的汚れを非常に良好に洗浄することができる。
【実施例】
【0154】
(実施例I)
以下に詳述するように、4種類の自動食器洗浄組成物(組成物A~D)を作製し、試験を行った。
【0155】
I.試験用組成物の調製
以下の洗剤組成物を用いて試験を実施した。材料添加については、総原材料レベルで表示している。特に明記しない限り、原材料は100%活性である。
【0156】
【0157】
II.試験項目
以下の試験品を使用した。
【0158】
【0159】
III.試験洗浄の手順
【0160】
【0161】
食器洗浄機に上記の物品をセットし、組成物AからDを1回分使用してそれらを洗浄した。機械と製品のラテン方格回転に続いて、各試験製品に対して4つの外部複製が完了した。汚れたタイルについて、画像解析システムで汚れ除去指数(SRI)を測定して評価した。より高いSRI除去が望ましい。
【0162】
IV.結果
【0163】
【表4】
大文字は、TukeyのHSDを用いたα=0.05での処理間の有意差を示す。小文字は、FisherのLSDを用いたα=0.05での処理間の有意差を示す。
【0164】
上記の結果から分かるように、本発明による組成物は、より高いレベルの汚れ除去を提供する。
【0165】
(実施例II)
2種類の自動食器洗浄組成物(組成物E及びF)を作製し、以下に詳述するように試験した。
【0166】
I.試験組成物の調製
以下の洗剤組成物を用いて試験を実施した。材料添加については、総原材料レベルで表示している。特に明記しない限り、原材料は100%活性である。
【0167】
【0168】
II.試験項目
以下の試験品を使用した:
【0169】
【0170】
III.試験洗浄の手順
【0171】
【0172】
食器洗浄機には、上記のような物品をセットし、組成物E又はFを1回分使用して洗浄した。機械と製品のラテン方格回転に続いて、各試験製品に対して4つの外部複製が完了した。ティーカップは、IKW法(食器洗浄機用洗剤の洗浄性能の品質評価に関する推奨事項(パートB、2015年更新))に基づき、標準スケールを使用して目視で評価した。より高い汚れ除去が望ましい(最大スコアは10)。
【0173】
IV.結果
【0174】
【0175】
上記の結果から分かるように、本発明による組成物は、より高いレベルの汚れ除去を提供する。
【0176】
本明細書に開示される寸法及び値は、列挙された正確な数値に厳密に限定されるものとして理解されるべきではない。その代わりに、特に指示がない限り、そのような寸法は各々、列挙された値とその値を囲む機能的に同等な範囲との両方を意味することが意図される。例えば、「40mm」と開示された寸法は、「約40mm」を意味することが意図される。