(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-22
(45)【発行日】2024-01-30
(54)【発明の名称】球形グリーン体を製造するためのプレスツールおよび方法
(51)【国際特許分類】
B28B 3/02 20060101AFI20240123BHJP
B22F 10/00 20210101ALI20240123BHJP
B22F 10/38 20210101ALI20240123BHJP
B22F 3/035 20060101ALI20240123BHJP
B30B 5/02 20060101ALI20240123BHJP
B33Y 80/00 20150101ALI20240123BHJP
F16C 33/32 20060101ALI20240123BHJP
【FI】
B28B3/02 K
B22F10/00
B22F10/38
B22F3/035 D
B30B5/02 D
B33Y80/00
F16C33/32
(21)【出願番号】P 2022549910
(86)(22)【出願日】2021-02-15
(86)【国際出願番号】 DE2021100148
(87)【国際公開番号】W WO2021164824
(87)【国際公開日】2021-08-26
【審査請求日】2022-08-19
(31)【優先権主張番号】102020104440.2
(32)【優先日】2020-02-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】515009952
【氏名又は名称】シェフラー テクノロジーズ アー・ゲー ウント コー. カー・ゲー
【氏名又は名称原語表記】Schaeffler Technologies AG & Co. KG
【住所又は居所原語表記】Industriestr. 1-3, 91074 Herzogenaurach, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ハイコ バルメス
(72)【発明者】
【氏名】ホアスト アーネト
【審査官】末松 佳記
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-036216(JP,A)
【文献】特開昭63-168306(JP,A)
【文献】特開2011-251336(JP,A)
【文献】特開平02-214606(JP,A)
【文献】中国実用新案第201721056(CN,U)
【文献】特開平01-156008(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B28B 3/00-5/12
F16C 33/32
B22F 10/00-10/85
B30B 5/02
B30B 11/00-11/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前圧縮された球形プレス加工品(2)の更なる加工によって球形グリーン体(1)を製造するためのプレスツール(3)であって、
-前記プレスツール(3)は、少なくとも1つの金属製の第1のプレスツールブロック(31)と、少なくとも1つの金属製の第2のプレスツールブロック(32)と、を有し、前記プレスツールブロック(31、32)はいずれも、成形用凹部を有し、前記凹部は、組み合わせて、前記前圧縮された球形プレス加工品(2)を収容するための球形状キャビティ(30)を形成し、
-前記プレスツールブロック(31、32)はいずれも、前記プレスツールブロック(31、32)の前記凹部の領域の周囲に第1のツール領域(311、321)と、前記第1のツール領域(311、321)の周囲の外側に第2のツール領域(312、322)と、を有し、前記第1のツール領域(311、321)は、前記第1のツール領域(311、321)に配置された、流体を使用して加圧可能な空洞(10)が、前記第1のツール領域(311、321)における前記空洞(10)の断面積の拡大により金属材料の拡張を許容するように、前記第2のツール領域(312、322)と比べてより高い弾性を有するため、前記プレスツール(3)の前記球形状キャビティ(30)は、全方向からの圧力が前記前圧縮された球形プレス加工品(2)に作用可能であるように縮小可能であることを特徴とする、プレスツール(3)。
【請求項2】
前記プレスツール(3)は、全体的に金属から形成されていることを特徴とする、請求項
1に記載のプレスツール(3)。
【請求項3】
前記少なくとも1つのプレスツールブロック(31、32)の前記第1のツール領域(311、321)および前記第2のツール領域(312、322)は、同じ金属材料から形成されていることを特徴とする、請求項1
または2に記載のプレスツール(3)。
【請求項4】
前記少なくとも1つのプレスツールブロック(31、32)の前記第1のツール領域(311、321)および前記第2のツール領域(312、322)は、異なる金属材料から形成されていることを特徴とする、請求項1
または2に記載のプレスツール(3)。
【請求項5】
前記第1のツール領域(311、321)の前記より高い弾性は、前記第1のツール領域(311、321)の前記金属材料
の構造が前記第2のツール領域(312、322)の構造と比較して最小20%から最大50%
部分的に解体されていることにより、達成されることを特徴とする、請求項1から
4のいずれか一項に記載のプレスツール(3)。
【請求項6】
前記第1のプレスツールブロック(31)の前記成形用凹部および前記第2のプレスツールブロック(32)の前記成形用凹部は、半球の形状で形成されていることを特徴とする、請求項1から
5のいずれか一項に記載のプレスツール(3)。
【請求項7】
前記プレスツールブロック(31、32)はいずれも、それぞれ複数の空洞(10)を有し
、前記空洞(10)のうちの少なくとも1つは、環状に前記凹部を囲み、楕円形の断面を有することを特徴とする、請求項1から
6のいずれか一項に記載のプレスツール(3)。
【請求項8】
前記空洞(10)のうちの少なくともいくつかは、それぞれ流体チャネル(11)を介して流体的に相互に作用可能に接続されていることを特徴とする、請求項1から
7のいずれか一項に記載のプレスツール(3)。
【請求項9】
請求項1から
8のいずれか一項に記載のプレスツールを使用して
、セラミック材料またはセラミック材料を含有する調合物から、グリーン体(1)を製造するための方法であって、
-第1の方法工程において、第1の成形は
、前記セラミック材料または前記調合物からなる粉末のプレスにより、前記前圧縮されたプレス加工品(2)を形成することにより行われ、
第2の方法工程において、更なる成形は、ツーピースまたはマルチピースの前記プレスツール(3)を使用して、前記プレスツール(3)の前記キャビティ(30)内に前記前圧縮されたプレス加工品(2)を導入し、前記グリーン体(1)となるように前記前圧縮されたプレス加工品(2)を再圧縮することにより行われ、前記前圧縮されたプレス加工品(2)への加圧は、前記プレスツール(3)における流体内圧を加えることによって行われ、それにより、前記プレスツール(3)の前記キャビティ(30)は、全方向からの圧力が前記前圧縮されたプレス加工品(2)に作用するように縮小される、方法。
【請求項10】
請求項1から
8のいずれか一項に記載のプレスツール(3)の使用であって、
セラミック材料またはセラミック材料を含有する調合物からなる既存の前圧縮されたプレス加工品(2)の更なる加工によって、グリーン体(1)を製造するための、使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、前圧縮された球形プレス加工品の更なる加工によって球形グリーン体を製造するためのプレスツールに関する。更に、本発明は、本発明によるプレスツールを使用して球形グリーン体を製造するための方法に関する。有利には、本発明は、セラミック材料またはセラミック材料を含有する調合物から球形グリーン体を製造するためのツールおよび方法に関する。製造される球形グリーン体は、好ましくは、いわゆるハイブリッド転がり軸受用の転動体グリーン体、特に好ましくは、球形状転動体を製造するための球形グリーン体である。
【背景技術】
【0002】
今後数年間、セラミック転動体または部分的にセラミックから形成された転動体の分野では、最も変化に富む用途に対して明らかに高まっている要求が注目されている。とりわけ、部分的にセラミックで形成された転がり軸受、いわゆるハイブリッド軸受の分野では、転動体のみがセラミックから製造されている実施形態について注目されている。上記種類のセラミック転動体のコストは、実際に、幅広い使用に対して、とりわけ自動車用途においてもまた、制限する要因となっている。このコストは、ブランクを製造するための非常に手間のかかるプロセス工程によって、およびそのブランクの仕上げ加工によって、主に生じる。
【0003】
転動体の最適な仕上げ加工について重要なのは、可能な限り均一なブランクであり、そのブランクは、とりわけ、一様な特性および高い形状精度または真円度を特徴とする。これらの特性は、成形法の選択によって決定的な影響を受ける。この理由から、通常、二段階成形が選択される。
【0004】
第1の工程では、セラミック顆粒は、単軸または二軸のプレス機を使用して前圧縮されたプレス加工品に加工される。ただし、このプレス加工品は、まだ密度の不均一性を有し、この不均一性は、その後の焼成工程において一様ではない収縮特性をもたらすであろう。この理由から、第2の成形工程では、既に前圧縮されたプレス加工品は、冷間等方圧プレスによって全方向から圧縮される。これにより、上述した密度差を均一化することができる。
【0005】
グリーン体を製造するための方法は、数ある中でも既に、中国特許第103951437 A号、同第103387394 A号、同第101613202 A号、および韓国特許第20020032210 A号の公開特許公報から公知である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、球形グリーン体を製造するための製造期間について更に改良されている、特にセラミック材料から、またはセラミック材料を含有する調合物から製造される球形グリーン体を製造するためのプレスツールおよび方法を提供することを課題とする。有利には、製造された球形グリーン体の品質もまた、寸法精度および表面特性の観点から、必要な後処理の度合が低減されるように改良されることとなる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本課題は、請求項1の特徴を有する、前圧縮されたプレス加工品の更なる加工によって球形グリーン体を製造するためのプレスツールによって、および請求項9の特徴を有する、グリーン体を製造するための方法によって解決される。
【0008】
本発明のプレスツールは、少なくとも1つの金属製の第1のプレスツールブロックと、少なくとも1つの金属製の第2のプレスツールブロックと、を含み、プレスツールブロックはいずれも、成形用凹部を有し、凹部組み合わせて、前圧縮された球形プレス加工品を収容するための球形状キャビティを形成する。プレスツールブロックはいずれも、プレスツールブロックの凹部の領域の周囲に第1のツール領域と、第1のツール領域の周囲の外側に第2のツール領域と、を有し、第1のツール領域は、第1のツール領域に配置された、流体を使用して加圧可能な空洞が、第1のツール領域における空洞の断面積の拡大により金属材料の拡張を許容するように、第2のツール領域と比べてより高い弾性を有するため、プレスツールの球形状キャビティは、全方向からの圧力が前圧縮された球形プレス加工品に作用可能であるように、好適には球状に、縮小可能である。前圧縮された球形プレス加工品が第2の方法工程において(例えば、冷間等方圧プレスプロセスを使用して)更に圧縮される前に、前圧縮された球形プレス加工品の前述した手間のかかる封入は、本発明のプレスツールを使用することにより、もはや必要ではない。更に、その表面性状においてほんのわずかな後処理のみ必要な、球形グリーン体が製造可能である。
【0009】
本発明の有利な実施形態によれば、プレスツールが付加製造法によって製造されていることを企図することができる。いわゆる3D印刷で製造されたプレスツールによって、プレスツール内にほぼ任意の自由形状およびチャネル、特に空洞もまた導入することができ、空洞の断面輪郭は、(例えば、ツールまたは被加工物に導入された穿孔または穿孔チャネルによってのように)直線的な広がりとは異なる。いわゆる「付加製造」は、デジタル3D構成データに基づいて素材を堆積させることによって積層して部品を構築するプロセスを指す。ただし、付加製造は、ここでは従来の除去的な切削仕上げ法とは明らかに異なる、専門的な生産方法であることを、3D印刷という名称よりも適切に表す。付加製造は、例えば、微細粉末として提供されている材料または材料混合物から、部品を一層ずつ構築する。素材としては一般的に、金属、プラスチック、セラミック、または結合剤などの多様な素材が使用可能である。製造の過程では、例えば、最初に粉末材料の薄層を構築プラットフォーム上に堆積させてもよい。強力なレーザ光線は、コンピュータで作成した部品構築データによって規定されている箇所で正確に粉末を溶かす。その後、更なる粉末堆積が行われる。材料が新たに溶融され、定義された箇所でその下にある層と結合する。部品は、出発物質および用途に応じて、ステレオリソグラフィ、レーザ焼結、レーザ溶融、熱溶解積層法、またはポリジェット造形を用いて仕上げ加工することができる。付加製造された金属製プレスツールブロックは、本発明のプレスツールに組み立てられる。
【0010】
その際、好ましくは、2つのプレスツールブロックが存在するが、組み合わせて球形状キャビティを形成する3つ以上のプレスツールブロックが存在してもよい。その際、偶数のプレスツールブロックが好ましい。
【0011】
本発明の特に好ましい更なる実施形態によれば、プレスツールが全体的に金属から形成されていることを企図することができ、それにより、ツールに由来するグリーン体の汚染が生じるおそれがほとんどない。その際、プレスツールブロックを付加的に形成するために、様々な鋼鉄を使用することができる。ただし、他の金属の使用および様々な金属の組み合わせもまた、付加製造に基づいて可能である。
【0012】
本発明の同様に好ましい変形形態では、少なくとも1つのプレスツールブロックの第1のツール領域および第2のツール領域は、異なる金属材料から形成されており、それにより、製造されるグリーン体の表面品質を更に最適化することができる。
【0013】
また、少なくとも1つのプレスツールブロックの第1のツール領域および第2のツール領域が同じ金属材料から形成され、それにより、ツールの簡略化された製造が保証されているように、本発明を更に発展させることが有利であり得る。
【0014】
特に、プレスツールブロックはいずれも、鋼鉄および/または硬金属から形成されている。
【0015】
本発明の主題の好ましいとされ得る更なる実施形態によれば、第1のツール領域の金属材料がその構造において部分的に解体されている、特に、第1のツール領域の材料の構造が、第2のツール領域の構造と比較して最小20%から最大50%だけ解体されていることによって、第1のツール領域のより高い弾性が達成されることを、企図することができる。構造的解体とは、本発明の意味では、例えば、スポンジでのように、最小の空洞が細孔の形態で生成されているため、解体された領域がもはや存在していないこと、または、グリッド構造がグリッドの間に挟まれた自由空間を有して作製されていることを意味する。第1のツール領域において定義された多孔度および/または自由空間配置を使用して生成された、プレスツールブロックを形成するために使用された材料の弾性は、流体が当たる空洞の領域に圧力が加えられたときに、凹部の表面が、凹部に取り込まれた球形プレス加工品に向かって全方向から移動することを可能にする。これにより、用途および素材に応じて、または製造される球形グリーン体に応じて、第1のツール領域の最適な弾性または2つのツール領域の最適な剛性を互いに設定することができることを、達成することができる。
【0016】
本発明の同様に好ましい変形形態では、第1のプレスツールブロックの成形用凹部および第2のプレスツールブロックの成形用凹部が半球の形状で形成されており、それにより、製造技術的に簡略化された球形状転動体、特にいわゆるハイブリッド軸受用のセラミック転動体が高い表面品質で製造可能であることもまた、企図することができる。球形状キャビティは、空洞に液圧を印加することによって、好適には球状に圧縮可能であり、特に、利用可能なプレスツールブロック間の接触面の領域において偏差が可能である、すなわち、キャビティの体積圧縮を構成に応じてより少なくすることができる。
【0017】
好適には、プレスツールブロックはいずれも、液圧流体が供給可能な多数の空洞を第1のツール領域に有する。特に、空洞のうちの少なくとも1つ、好ましくは、多数の空洞のうちの複数または全ては、環状に凹部を囲むように、かつ好適には楕円の断面を有するように形成されている。これらの環状の空洞は、有利には、プレスツールブロック内の凹部の周囲に均等に分布するように形成されている。その際、楕円の平たくなった側は、プレスツール内の凹部の隣接する表面に対して平行に配向される。これにより、プレスツールにおける凹部の表面の最適な適合は、その後の球形プレス加工品の所望の最適な輪郭で保証され、したがって、製造される球形グリーン体の形状精度の高い度合が保証される。
【0018】
環状に形成された空洞に追加してまたはその代わりに、流体で圧力を加えることができるレンズ形状に形成された空洞もまた適していることがわかった。その際、レンズ形状の平たくなった側は、プレスツール内の凹部の隣接する表面に対して平行に配向される。
【0019】
本発明の対象の好ましい更なる実施形態によれば、空洞の少なくともいくつかが、それぞれ流体チャネルを介して流体的に相互に作用可能に接続されており、それにより同様に、プレスツールのキャビティの所望の最適な輪郭が、前圧縮されたプレス加工品との接触領域において更に改善されることを企図することができる。
【0020】
更に、本発明の根底にある課題は、球形グリーン体を製造するための方法によって、上記に記載のプレスツールを使用して解決される。特にセラミック材料またはセラミック材料を含有する調合物から、球形グリーン体を製造するための本発明の方法は、第1の成形が、特にセラミック材料またはセラミック材料からなる粉末を前圧縮された球形プレス加工品にプレスすることにより行われる、第1の方法工程を含む。第2の方法工程において、更なる成形は、ツーピースまたはマルチピースのプレスツールを使用して、プレスツールの球形状キャビティ内に前圧縮されたプレス加工品を導入し、球形グリーン体となるように前圧縮された球形プレス加工品を再圧縮することにより行われる。その際、前圧縮された球形プレス加工品への加圧は、プレスツールにおける流体内圧を加えることによって行われ、それにより、プレスツールの球形状キャビティは、全方向からの圧力が前圧縮された球形プレス加工品に作用するように、好適には球状に、縮小される。
【0021】
最終的に、本発明の課題は、球形グリーン体を製造するための本発明のプレスツールの使用によって、セラミック材料またはセラミック材料を含有する調合物からなる既存の前圧縮された球形プレス加工品を更に加工して解決される。
【0022】
以下で、本発明を図面を参照して本発明の趣旨を制限することなく例示的に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】可能な一実施形態における本発明のプレスツールを垂直平面で切断した概略断面図である。
【
図2】球形グリーン体へと更に圧縮されることとなる、封入された前圧縮された球形プレス加工品と共に、閉鎖状態にある
図1のプレスツールの図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1および
図2は、可能な一実施形態における本発明のプレスツール3を、プレスツール3の中央を通る垂直平面で切断した概略断面図で示し、
図2では、プレスツール3は、封入された前圧縮された球形プレス加工品と共に閉鎖状態で図示されている。
【0025】
図1および
図2は、一方では、その基本構成にあるプレスツール3を概略図で示す。前圧縮された球形プレス加工品2の更なる加工によって球形グリーン体1を製造するための図示されたプレスツール3は、ここではツーピースで形成され、第1の上側プレスツールブロック31および第2の下側プレスツールブロック32を含み、プレスツールブロック31、32はいずれも、対向するツール面の領域に成形用凹部を有する。互いに対向して配置された2つの凹部は一緒に、前圧縮された球形プレス加工品2を収容するための球形状キャビティ30を形成する。プレスツールブロック31、32はいずれも、プレスツールブロック31、32の凹部の領域の周囲に第1のツール領域311、321と、第1のツール領域311、321の周囲の外側に第2のツール領域312、322と、を有し、第1のツール領域311、321は、第2のツール領域312、322と比較してより高い弾性を有する。この高い弾性は、有利には、第1のツール領域311、321の金属素材または金属材料がその構造において部分的に解体されていることにより達成される。有利には、構造的解体は、第2のツール領域312、322の構造と比較して最小20%から最大50%である。構造的解体は、例えば、より小さい空洞を形成することによって、例えば、空洞がスポンジの構造で形成されるようにして達成される。両方のツール領域311、321;312、322の異なる弾性に基づいて、第1のツール領域311、321に配置され、流体を使用して加圧可能な空洞10によって、金属材料の拡張は、第1のツール領域311、321における空洞10の断面積を拡大して達成することができるため、プレスツール3の球形状キャビティ30は、全方向からの圧力が前圧縮された球形プレス加工品2に作用可能であるように球状に縮小可能である。
【0026】
プレスツールブロック31、32はいずれも、それぞれ複数の空洞10を有する。空洞10は、ここでは環状に凹部の周りに形成され、断面で見ると、空洞10の周囲線は、楕円に形成されている。楕円の平たくなった面は、凹部に面するように配置されている。したがって、図示した実施例では、空洞10は、断面で見て楕円形状を有する。空洞10のうちのいくつかまたは全ては、流体チャネル11を介して流体的に相互に作用可能に接続されており、示した例では、断面で見て各プレスツールブロック31、32において、より大きい断面積の水平の(供給チャネルとして形成された)流体チャネル11が形成され、水平の流体チャネル11は、中間的断面積の、径方向内側に延びる複数のより小さな(供給チャネルとして形成された)流体チャネル11に供給し、より小さな流体チャネル11は、更にプレスツール3の凹部の周囲に配置された空洞10に流体を供給するため、適合する流体圧力をプレスツール3内に生じさせることができる。その際、個々の空洞10は、必要に応じてより小さい断面積を有する(接続チャネルとして形成された)流体チャネル11を介して流体的に上下に重ねて接続されている。第2のツール領域312、322の剛性と関連する第1のツール領域311、321の流体圧力および弾性によって、このときにはもう、プレスツール3の凹部によって形成されたプレスツール3の球形状キャビティ30を縮小することができ、適合するプレス圧力を球形プレス加工品2に作用させることができる。
【0027】
他方では、
図1および
図2は、グリーン体1を製造するための本発明の方法を二段階製造プロセスで具体的に説明しており、ここでは、第1の成形のための従来技術から公知の第1の方法工程に加えて構築される第2の方法工程のみが具体的に説明されている。第2の方法工程によれば、更なる成形は、第1の工程で前圧縮された球形プレス加工品2をツーピースまたはマルチピースで形成されたプレスツール3を使用して、プレスツール3の球形状キャビティ30内に前圧縮された球形プレス加工品2を導入して、球形グリーン体1へと更に圧縮することによって行われる。その際、前圧縮された球形プレス加工品2への加圧は、プレスツール3における流体内圧を加えることによって生じ、それにより、プレスツール3の球形状キャビティ30は、全方向からの圧力が前圧縮された球形プレス加工品2に作用するように球状に縮小される。図示したプレスツール3は、球形グリーン体1を形成するのに適しており、球形グリーン体1は、脱バインダおよび焼成後、直接またはわずかな硬質機械加工後に転がり軸受玉へと変換される。そのような球形グリーン体1は、焼成工程において焼成されて、硬化される。セラミック製転がり軸受玉は、ハイブリッド転がり軸受用に金属製軸受リングと共に使用可能である。
【0028】
本発明は、図に示された実施形態および用途分野に制限されない。したがって、上記の記載は、制限的ではなく、説明的と見なされるべきである。以下の特許請求の範囲は、言及された特徴が本発明の少なくとも1つの実施形態に存在しているように理解されるべきである。これは、更なる特徴の存在を排除しない。特許請求の範囲および上記の記載が「第1の」特徴および「第2の」特徴を定義しているならば、この表記は、2つの同種の特徴の差異を、序列なしに決定することに役立つ。
【符号の説明】
【0029】
1 グリーン体
2 プレス加工品
3 プレスツール
10 (プレスツールの材料内に形成された)空洞
11 流体チャネル
30 (プレス加工品用に凹部によってプレスツール内に形成されたプレスツールの)キャビティ
31 第1のプレスツールブロック
32 第2のプレスツールブロック
311 (第1のプレスツールブロックの)第1のツール領域
312 (第1のプレスツールブロックの)第2のツール領域
321 (第2のプレスツールブロックの)第1のツール領域
322 (第2のプレスツールブロックの)第2のツール領域