(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-22
(45)【発行日】2024-01-30
(54)【発明の名称】放射性同位元素熱電発電機の燃料構造物とシールド構造物
(51)【国際特許分類】
G21H 1/10 20060101AFI20240123BHJP
【FI】
G21H1/10
(21)【出願番号】P 2022562236
(86)(22)【出願日】2020-12-16
(86)【国際出願番号】 US2020065357
(87)【国際公開番号】W WO2021127009
(87)【国際公開日】2021-06-24
【審査請求日】2022-09-15
(32)【優先日】2019-12-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】522237726
【氏名又は名称】ゼノ パワー システムズ, インク.
【氏名又は名称原語表記】ZENO POWER SYSTEMS, INC.
【住所又は居所原語表記】709 G St NW, Suite 300 Washington DC 20001 USA
(74)【代理人】
【識別番号】100126572
【氏名又は名称】村越 智史
(72)【発明者】
【氏名】マシューズ, ジェイコブ
【審査官】藤本 加代子
(56)【参考文献】
【文献】特表2002-511563(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0131886(US,A1)
【文献】特開2020-067445(JP,A)
【文献】特開2014-055938(JP,A)
【文献】米国特許第03663306(US,A)
【文献】米国特許第03697329(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G21H 1/00-7/00
JSTPlus(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱源のための燃料構造物(fuel design)であって、
高エネルギーベータ線放出体を含む放射能源物質を備え、
ベータ崩壊プロセスの結果として前記放射能源物質によって放出される電子が、停止することなく前記燃料構造物を通過することによって、制動放射線が前記燃料構造物内で生成されることを防ぐように、前記放射能源物質によって放出される電子の平均自由行程以下の厚さを有するように構成される、燃料構造物。
【請求項2】
前記放射能源物質はチタン酸ストロンチウムを含む、請求項1に記載の燃料構造物。
【請求項3】
前記高エネルギーベータ線放出体はストロンチウム90を含む、請求項1に記載の燃料構造物。
【請求項4】
前記放射能
源物質によって放出される電子の平均自由行程は2ミリメートル(mm)であり、
前記燃料構造物の厚さは2mm以下である、請求項1に記載の燃料構造物。
【請求項5】
前記ベータ崩壊プロセスの結果として前記放射能源物質によって放出される電子のエネルギーは2MeVである、請求項1に記載の燃料構造物。
【請求項6】
前記放射能源物質は100キュリー(Ci)以上の崩壊放射能を有する、請求項1に記載の燃料構造物。
【請求項7】
前記放射能源物質は前記厚さを有する球状構造体で形成され、当該球状構造体は第1の材料内に分散している、請求項1に記載の燃料構造物。
【請求項8】
前記第1の材料は、低密度、低原子番号、高熱伝導率、高材料分解温度を有し、前記放射能源物質と適合する、請求項7に記載の燃料構造物。
【請求項9】
前記第1の材料はグラファイトを含む、請求項7に記載の燃料構造物。
【請求項10】
前記第1の材料は水素化リチウム、水素系オイルもしくは樹脂、または溶融塩を含む、請求項7に記載の燃料構造物。
【請求項11】
前記放射能源物質で形成された前記球状構造体が分散した前記第1の材料は、さらに第2の材料に包まれている、請求項7に記載の燃料構造物。
【請求項12】
前記第2の材料は、高密度、高有効原子番号、高熱伝導率、高材料分解温度を有し、前記燃料構造物に関連付けられた他の材料と適合する、請求項11に記載の燃料構造物。
【請求項13】
前記第2の材料はタングステンを含む、請求項11に記載の燃料構造物。
【請求項14】
前記第2の材料は鉛または劣化ウランを含む、請求項11に記載の燃料構造物。
【請求項15】
前記放射能源物質は第1の複数のシリンダで形成される、請求項1に記載の燃料構造物。
【請求項16】
第1の材料で形成された第2の複数のシリンダをさらに備え、前記第1の複数のシリンダと前記第2の複数のシリンダとは同心シリンダである、請求項15に記載の燃料構造物。
【請求項17】
前記第1の材料はグラファイト、水素化リチウム、水素系オイルもしくは樹脂、または溶融塩を含む、請求項16に記載の燃料構造物。
【請求項18】
第2の材料で形成され、前記第1の複数のシリンダと前記第2の複数のシリンダとを包むように構成された第3のシリンダをさらに含む、請求項
16に記載の燃料構造物。
【請求項19】
前記第2の材料はタングステン、鉛、または劣化ウランを含む、請求項18に記載の燃料構造物。
【請求項20】
前記第1の複数のシリンダの各々は前記厚さを有し、前記厚さは2mm以下であり、前記第2の複数のシリンダの各々は7mm以下の追加的な厚さを有する、請求項18に記載の燃料構造物。
【請求項21】
放射能源物質を遮蔽するためのシステムであって、
第1の材料で形成された第1シールドであって、前記放射能源物質から放出される電子の平均自由行程を超える厚さを有することによって前記電子が前記第1シールドを通過することを防ぐ、第1シールドと、
第2の材料で形成された第2シールドであって、前記電子によって生成された制動放射線が前記第2シールドを通過することを防ぐように構成された、第2シールドと
を備えたシステム。
【請求項22】
前記第1の材料は、低密度、低原子番号、高熱伝導率、高材料分解温度を有し、前記放射能源物質と適合し、
前記第2の材料は、高密度、高有効原子番号、高熱伝導率、高材料分解温度を有し、前記システムに関連付けられた他の材料と適合する、請求項21に記載のシステム。
【請求項23】
前記第1の材料はグラファイト、水素化リチウム、水素系オイルもしくは樹脂、または溶融塩を含み、
前記第2の材料はタングステン、鉛、または劣化ウランを含む、請求項22に記載のシステム。
【請求項24】
前記放射能源物質から放出される電子の平均自由行程は2ミリメートル(2mm)であり、前記第1の材料の厚さは2mm以下であり、
前記第2の材料の厚さは7mm以下である、請求項21に記載のシステム。
【請求項25】
前記厚さは前記電子が前記第1シールドを通過することを防ぐように選択される、請求項21に記載のシステム。
【請求項26】
前記放射能源物質を含む燃料源と、
前記燃料源を収容するように構成された燃料容器であって、前記第1シールドは前記燃料容器を包むように構成され、前記第2シールドは前記第1シールドを包むように構成される、燃料容器と
をさらに備える、請求項21に記載のシステム。
【請求項27】
前記燃料源はチタン酸ストロンチウムを含み、
前記放射能源物質はストロンチウム90を含む、請求項26に記載のシステム。
【請求項28】
前記放射能源物質は高エネルギーベータ線放出体を含む、請求項26に記載のシステム。
【請求項29】
前記電子によって生成される制動放射線は前記第1シールド内で生成され、前記第1シールド内で生成される制動放射線は前記第1シールドまたは前記第2シールド内で減衰される、請求項21に記載のシステム。
【請求項30】
前記電子によって生成される制動放射線は、前記放射能源物質を含む燃料源を収容するように構成された燃料容器内で生成され、前記燃料容器内で生成される制動放射線は前記第1シールドまたは前記第2シールド内で減衰される、請求項21に記載のシステム。
【請求項31】
高エネルギーベータ線放出体を含む放射能源物質を備えた燃料構造物をさらに備え、
前記燃料構造物は前記平均自由行程以下の厚さを有するように構成され、
ベータ崩壊プロセスの結果として前記放射能源物質によって放出される電子が、停止することなく前記燃料構造物を通過することによって、制動放射線が前記燃料構造物内で生成されることを防ぐことができる、請求項21に記載のシステム。
【請求項32】
前記放射能源物質はチタン酸ストロンチウムを含み、
前記高エネルギーベータ線放出体はストロンチウム90を含み、
前記放射能
源物質によって放出される電子の平均自由行程は2ミリメートル(mm)であり、
前記燃料構造物の厚さは2mm以下であり、
前記第1シールドの厚さは2mmより大きい、請求項31に記載のシステム。
【請求項33】
前記放射能源物質は前記厚さを有する球状構造体で形成され、当該球状構造体は前記第1シールド内に分散しており、前記第2シールドは前記球状構造体が分散した前記第1シールドを包むように構成される、請求項31に記載のシステム。
【請求項34】
前記燃料構造物は第1の複数のシリンダを含み、前記第1シールドは第2の複数のシリンダを含み、前記第1の複数のシリンダと前記第2の複数のシリンダとは同心である、請求項31に記載のシステム。
【請求項35】
前記第2シールドは、前記第1の複数のシリンダと前記第2の複数のシリンダとを包むように構成されたシリンダを含む、請求項34に記載のシステム。
【請求項36】
前記第1の複数のシリンダの各々は前記厚さを有し、前記厚さは2mmであり、前記第2の複数のシリンダの各々は少なくとも7mmの追加的な厚さを有する、請求項34に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年12月16日に出願された米国特許仮出願第62/948,479号明細書からの優先権を主張し、この米国特許仮出願の全内容が引用により本明細書に組み入れられる。
【0002】
本開示は、全般に、燃料構造物およびシールド電源に関し、より具体的には、高エネルギーベータ線源に関するものである。
【背景技術】
【0003】
放射性同位元素熱電発電機(RTG)は、放射性崩壊から発生する熱を電気に変換してエネルギーを生産する装置である。RTGには、放射性崩壊を促進するために、高エネルギーのベータ線源が使用されている。RTGは一般によく知られている装置で、軍事用、宇宙旅行用など、さまざまな産業や用途で使用されている。以前のバージョンのRTGは、メンテナンスがほとんど必要ないシナリオ(例えば、宇宙旅行)で使用されていた。これらのRTGは、一般に、比較的短時間に数百ワット以下の電力を発生させていた。典型的なRTGの設計は、チタン酸ストロンチウム(SrTiO3)の大径ディスクを含む燃料カプセルを、大量の高密度金属(例えば鉛(Pb))またはコンクリートで囲んだものであった。
【0004】
ストロンチウム90(90Sr)は公知の放射性崩壊のプロセスを有する。ストロンチウム90は崩壊するとイットリウム90(90Y)に変化し、それ自体は最大エネルギーレベルが約2.2MeV、半減期が約64時間のベータ線源となる。イットリウム90が崩壊すると、天然に存在するジルコニウムの安定同位体であるジルコニウム90(90Zr)に変化する。ベータ粒子(電子や陽電子など)は減速されると制動放射線(X線)を発生させることがある。これは特に2MeVを超えるエネルギーを持つベータ粒子で顕著である。制動放射線は、電子などの荷電粒子を減速させることにより、電磁波(光子など)を発生させるものである。エネルギー保存則を満たすためには、光子のエネルギーは、減速前の荷電粒子のエネルギーから減速後の荷電粒子のエネルギーを引いたものに等しくなる(例えば、Eγ=E(i)e--E(f)e-)。原子番号の高い材料は、ベータ線がその材料と相互作用する(例えば、入射する)ときに、より多くのX線を生成する可能性がある。このことは、これらの粒子を遮蔽するために密度の低い材料を用いれば、X線の生成が減少するため、より好ましいことを意味する。ベータ粒子と同様、結果的に生じる制動放射X線は、技術的にはベータ粒子の最大エネルギーに等しい最大エネルギーまでのエネルギー範囲を持つ(ベータ粒子が材料中で完全に停止していると仮定した場合)。
【0005】
RTGの過去の設計は、与えられた課題に対して十分な性能を発揮した。しかし、RTGの過去の設計は、その輸送性モジュール性および出力に制限があった。こうした問題および/またはその他の問題が存在する。
【発明の概要】
【0006】
以下は、本技術のいくつかの態様を非網羅的に列挙したものである。これらおよびその他の態様は、以降の開示に記載されている。
【0007】
いくつかの態様において、燃料構造物は高エネルギーベータ線放出体を含む放射能源物質を含み、ベータ崩壊プロセスの結果として放射能源物質から放出される電子が、停止することなく燃料構造物を通過することによって、制動放射線が燃料構造物内で生成されることを防ぐように、放射能源物質から放出される電子の平均自由行程以下の厚さを有するように構成される。
【0008】
他のいくつかの態様において、放射能源物質を遮蔽するためのシステムは、第1の材料で形成された第1シールドであって、放射能源物質から放出される電子の平均自由行程を超える厚さを有することによって電子が第1シールドを通過することを防ぐ、第1シールドと、第2の材料で形成された第2シールドであって、電子によって生成された制動放射線が第2シールドを通過することを防ぐように構成された、第2シールドとを備える。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本技術の上述の態様およびその他の態様は、本願を、以下の図を参照して読めば、よりよく理解されるであろう。これらの図において、同一番号は類似または同一の要素を示す。
【0010】
【
図1】様々な実施形態による、放射性同位元素熱電発電機(RTG)のための過去の燃料構造物形態及びRTGのための最適化された燃料構造物形態の一例を示す図である。
【0011】
【
図2】様々な実施形態による、RTGのための二相シールドの一例を示す図である。
【0012】
【
図3】様々な実施形態による、RTGのための分散燃料構造物の一例を示す図である。
【0013】
【
図4】様々な実施形態による、RTGのための同心燃料構造物の一例を示す図である。
【0014】
【
図5】様々な実施形態による、RTGのための同心燃料構造物の他の例を示す図である。
【0015】
【
図6】様々な実施形態による、RTGのための分散燃料構造物の別の例を示す図である。
【0016】
【
図7】様々な実施形態による、
図6のRTGのための分散燃料構造物の斜視図である。
【0017】
本発明の技術は、様々な変更や代替の形態が可能であるが、その具体的な実施形態が図面に例として示されており、本明細書で詳細に説明される。図面は実際の縮尺通りでない場合もある。ただし、図面およびそれに基づく詳細な説明は、開示された特定の形態に本技術を限定することを意図したものではなく、逆に、添付の請求項によって定義される本技術の趣旨および範囲内に入るすべての修正、均等物、および代替物を網羅することを意図したものであることを理解すべきである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本明細書に記載された問題を軽減するために、本発明者らは解決策を考案すると共に、場合によっては同様に重要なこととして、放射性同位元素熱電発電機(RTG)の分野の当業者が見落としていた(あるいは予見していない)問題を認識する必要があった。実際、本発明者らは、それらの問題を認識することが困難であることを強調したい。さらに、対処する問題が複数あるため、いくつかの実施形態はいずれかの問題に特化しており、すべての実施形態が本明細書に記載されている従来のシステムの問題のすべてに対処しているわけでも、本明細書に記載されているすべての利点を提供しているわけでもないことを理解すべきである。つまり、これらの問題および/または他の問題の1つ以上の順列を解決する改良が以下に記載されている。
【0019】
放射性同位元素熱電発電機(RTG)を設計するために、高エネルギーベータ線放出源を含む電源が使用されてもよい。RTGは熱を電気に変換し、その電気はRTGから出力され、様々な装置に電力を供給することができる。このような装置には、例えば、人工衛星、無人施設、太陽電池パネル、通信装置などが含まれ得る。熱は、放射能源物質の崩壊によって生成され得る。崩壊プロセスは、例えば、放射性元素が1つ以上の粒子を出力しながら、崩壊して別の元素に変化することを含み得る。本明細書において、放射性元素とは、原子核に含まれる陽子の数と中性子の数とが釣り合っていない不安定な原子核を含む元素を指す。放射性崩壊の一種にベータ崩壊があり、最初は不安定な原子が、電子または陽電子を出力しながら崩壊して(安定なまたは不安定な)別の元素に変化する。放射性元素の半減期(τ)は、不安定な原子が初期値の半分まで崩壊する時間を示している。各放射性元素は異なる半減期を有する場合があり、これらの半減期は科学界で一般によく知られている。
【0020】
いくつかの実施形態では、放射性元素としてストロンチウム90を含むRTGが形成されてもよい。ストロンチウム90は、38個の陽子と52個の中性子を含む(例えば、38+52=90)。ストロンチウム90は、ストロンチウム(Sr)の同位元素であり、28.9年の半減期を有する。ストロンチウム90はベータ崩壊によりイットリウム90に変化し、546keVの電子を放出する。イットリウム90は、39個の陽子と51個の中性子を含む(例えば、39+51=90)。イットリウム90はイットリウム(Y)の同位元素であり、半減期は64.1時間である。イットリウム90はベータ崩壊によりジルコニウム90に変化し、2,280.1keVまたは2.2801MeVの電子を放出する。前述の説明は一般的にストロンチウム90を含む放射能源物質に関するものであるが、いくつかの実施形態では、高エネルギーベータ線(例えば、2MeVを超えるベータ線)を生成する他の放射性元素を含むRTGが形成されてもよい。例えば、ストロンチウム90の代わりに、プルトニウム238、ポロニウム210、又はアメリシウム241が代替的に使用されてもよい。
【0021】
RTGは使用する材料が放射性物質であるため、安全のために何らかのシールドが必要である。一般的にシールドの設計の目的は、その用途に関わらず、制動放射線を低減することである。過去のシールドの設計では、ベータ線が燃料(放射性物質など)自体から脱出する前に制動放射線が発生することになった。しかし、燃料自体の内部で発生する制動放射線を低減/除去する燃料構造物は、特に高放射能エネルギー源では、まだ製作されていない。制動放射線を燃料自体の内部で発生させる過去の燃料構造物は、以前は少量のストロンチウム90を必要とする場合にのみ解決されていた。例えば、現在のストロンチウム90放射性電源の設計では、少なくとも1968年以来、事実上すべての制動放射性X線が燃料内部で発生することが知られていたにもかかわらず、大半径の燃料構造物を採用している。高放射能ベータ線源では、すべての制動放射線が燃料内で発生するため、制動放射線の発生を低減するシールド構造物の使用は試みられていない。そのため、高エネルギーベータ線源とそれに伴う制動放射X線の発生を遮蔽するためには、大質量の重金属やコンクリートを使用する必要があった。
【0022】
大質量の重金属やコンクリートをシールドに使用する必要があるため、高エネルギーベータ線源のシールドを軽量化することは不可能であり、運搬可能で地上での使用を想定したシールドの試みはまだなされていない。一般的に、高エネルギーベータ線源は遠隔地でのみ使用されるため、受動的安全設計要素はそれほど重要視されていなかった。遠隔地以外での運搬可能な使用を想定したシールド構造物には、大質量の重金属やコンクリートがもたらす固有の安全機構が必要であり、同時に、通常とは異なる条件下での危険を防止または軽減するために、運搬可能なほど軽量であることも必要である。
【0023】
図1は、様々な実施形態による、放射性同位元素熱電発電機(RTG)のための過去の燃料構造物の形態100、及びRTGのための最適化された燃料構造物の形態150の一例を示す。いくつかの実施形態では、RTGの最適化された燃料構造物のための形態150は、過去の燃料構造物のための形態100と比較して制動放射線の発生が減少し得るように形成され得る。例えば、最適化された燃料構造物の形態150は、高エネルギーベータ線が燃料源から脱出することを可能にすることによって制動放射X線の発生を減少させ得る。最適化された燃料構造物の燃料源は、例えば、ストロンチウム90などの高エネルギーベータ線放出体であり得る。
【0024】
図1に見られるように、過去の燃料構造物の形態100は、燃料源のベータ線の平均自由行程よりも大きい半径を有し得る。この例では、放射能源物質のベータ崩壊を介して生成された電子は、燃料源(例えば、過去の燃料構造物の燃料源)内で制動放射線(例えば、X線)に変換される。しかしながら、いくつかの実施形態では、最適化された燃料構造物の形態150は、ベータ線の平均自由行程よりも小さい半径を有してよく、それによって、ベータ線は、最初に制動放射X線に変換されることなく燃料源(例えば、最適化された燃料構造物の燃料源)から脱出することができる。燃料源(例えば、最適化された燃料構造物の燃料源)から脱出した後、ベータ線は、シールドの一部などの低密度材料内で減速されてもよく、これにより制動放射線の発生が抑制され得る。
【0025】
図2は、様々な実施形態による、RTGのための二相シールド220の一例を示す。いくつかの実施形態において、RTG200は、本明細書において交換可能に燃料源202とも称される燃料202、燃料容器204、及び本明細書において交換可能に二相シールド220、シールド220、および/またはシステム220とも称される二相シールドシステム220を含み得る。二相シールドシステム220は、第1シールド206及び第2シールド208を含んでもよい。いくつかの実施形態では、第1シールド206は、本明細書において交換可能に一次シールド206と称されることがあり、第2シールド208は、本明細書において交換可能に二次シールド208と称されることがある。
【0026】
いくつかの実施形態では、二相シールド220は、制動放射線の発生を低減し、RTG200からの線の漏出を防止し、またRTG200の構造的安定性を提供するように設計されてもよい。いくつかの実施形態では、第1シールド206は、低い有効原子番号を有する材料で形成されてもよい。第1シールド206は、燃料202及び燃料容器204から漏出する制動放射線の少なくとも一部を減衰させるように構成されてもよい(例えば、
図1の形態150に見られるように)。いくつかの実施形態では、第2シールド208は、高い有効原子番号を有する材料で形成されてもよい。第2シールド208は、第1シールド206から漏出するおよび/または第1シールド206内で発生する制動放射線を吸収するように構成されてもよい。第2シールド208はまた、二相シールド220に構造的安定性と堅牢性を提供し、したがってRTG200にも安定性と堅牢性を提供するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、RTG200は約700℃で、またはそれ以上で動作するように構成されてもよい。
【0027】
いくつかの実施形態では、第1シールド206は、燃料202及び燃料容器204から漏出した制動放射線の可能な限り多くを減衰させる役割を果たすことがある。さらに、第1シールド206は、発生する制動放射線が最小量となるように設計されてもよい。いくつかの実施形態では、第1シールド206は、熱源とヒートシンクとの間で熱を伝達するための熱伝達媒体として機能するように構成されてもよい。例えば、RTG200において、燃料粒子(例えば、チタン酸ストロンチウム粒子)、燃料容器204、及び/又は第1シールド206は、燃料粒子が燃料202、燃料容器204、及び/又は第1シールド206内で減速するため、熱源として機能し得る。チタン酸ストロンチウム粒子が媒体中で減速する作用によって熱が発生するため、減速が起こる場所ではその媒体が熱源となり得る。RTG200のヒートシンクは、例えば、第2シールド208の外面であってもよい。第2シールド208の外面は、それに作動的に結合された1つ以上の熱電変換器のホットサイドとして機能することができる。いくつかの実施形態では、第1シールド206及び第2シールド208を形成するために使用される物質は、良好な熱伝導体であり、それによって熱電変換器への熱輸送効率を向上し、熱分解の原因となり得るホットスポットを低減する。第1シールド206は、1つ以上の材料で形成されてもよい。例えば、第1シールド206は、グラファイト、水素化リチウム、水素系オイル又は樹脂、溶融塩などで形成されてもよい。第1シールド206を形成するために使用される1つ以上の材料は、低密度、低原子番号、高熱伝導率、及び/又は高材料分解温度を有する材料を含んでよく、追加的又は代替的に、使用する放射線源(例えば、ストロンチウム90)を含む材料(例えば、チタン酸ストロンチウム)と適合する材料であってよい。
【0028】
いくつかの実施形態では、グラファイトは、良好な熱伝導率及び低い有効原子番号6を有するので、第1シールド206に使用する材料として選択され得る。さらに、グラファイトは他の材料と高い適合性を有し、以前のRTG設計において材料適合性バッファとして使用されてきた。グラファイトの融点は、チタン酸ストロンチウムの融点(例えば、2,080℃)より高く(例えば、3,600℃)、熱的に安定である。グラファイトはまた、毒性がなく、比較的安価であり、多くの既存の原子力用途に使用されている。
【0029】
いくつかの実施形態では、リチウム水素化物または水素系オイルが、それらの低密度、許容可能な熱伝導率、および低い有効原子番号のために、第1シールド206に使用される材料として選択され得る。例えば、水素化リチウムは1.5の有効原子番号を有し、一方、水素系オイルは一般的により高く、使用される特定のオイルに依存することになる。どちらの物質も燃料構造物の他の材料と適合し得るが、水素化リチウムは毒性があるため、製造コストが上昇し、格納容器が失われた場合のリスクも高まる可能性がある。水素系オイルは比較的安価であるが、水素化リチウムは安価ではない。水素化リチウムと水素系オイルの両方が分解または沸騰する前の最高温度により、燃料構造物の動作温度はRTG200の望ましい動作温度である700℃未満に制限される。
【0030】
いくつかの実施形態では、FLiBe(Li2BeF4)などの溶融塩オプションが、第1シールド206に使用される材料として選択され得る。溶融塩オプションの有効原子番号は3.3であり、これは約87%の制動放射強度の減少を表す。溶融塩オプションの密度は、約1.9g/cm3である。溶融塩オプションは許容可能な熱伝導率を有し、比較的安価に製造することができる。さらに、溶融塩オプションと燃料構造物の他の材料との材料適合性は問題ないと考えられ、溶融塩オプションは既に多くの原子力用途で使用されている。
【0031】
いくつかの実施形態では、第2シールド208は、第1シールド206から脱出した残りのベータ線がRTG200から出るのを止める機能を有し得る。第2シールド208は、燃料202、燃料容器204、及び/又は一次シールド206によって生成され、かつ燃料容器204又は第1シールド206によって減衰しなかった任意の少量の制動放射線を遮断又は吸収するように構成されてもよい。第2シールド208は、第1シールド206の1つ又は複数の材料と異なり得る1つ又は複数の材料で形成されてもよい。例えば、第2シールド208を形成するために使用される1つ以上の材料は、高密度、高有効原子番号、高熱伝導率、高材料分解温度を有し、なおかつRTG200内の他の材料と適合する材料を含んでもよい。一例として、第2シールド208は、タングステン、鉛、劣化ウラン、それらの組み合わせ、又は他の材料で形成されてもよい。いくつかの実施形態では、タングステン、鉛、及び/又は劣化ウランの組み合わせは、熱伝達を制御するために使用されてもよい。
【0032】
いくつかの実施形態では、燃料202内の放射性物質(例えば、ストロンチウム90)の放射性崩壊(例えば、ベータ崩壊)の結果として生成された電子210は、燃料202を脱出し、燃料容器204内で減衰され得る。例えば、燃料202の半径は、電子210の平均自由行程よりも小さくてもよく、それによって電子210が制動放射線に変換されることなく燃料202を脱出することが可能になる。いくつかの実施形態では、燃料202内の放射性物質(例えば、ストロンチウム90)の放射性崩壊(例えば、ベータ崩壊)の結果として生成された電子212は、燃料202を脱出し、燃料容器204を通過し、第1シールド206内で減衰され得る。いくつかの実施形態では、燃料202内の放射性物質(例えば、ストロンチウム90)の放射性崩壊(例えば、ベータ崩壊)の結果として生成された電子214は、燃料202を脱出せず、制動放射線(例えば、X線)216に変換され得る。制動放射線216は、燃料202から漏出し、燃料容器204及び第1シールド206を通過して、第2シールド208によって減衰され得る。いくつかの実施形態では、燃料202内の放射性物質(例えば、ストロンチウム90)の放射性崩壊(例えば、ベータ崩壊)の結果として生成される電子218は、燃料202を脱出し、燃料容器204及び第1シールド206を通過し、第2シールド208によって減衰され得る。あるいは、燃料202内の放射性物質(例えば、ストロンチウム90)の放射性崩壊(例えば、ベータ崩壊)の結果として生成された電子は、燃料202を脱出し、燃料容器204、第1シールド206、または第2シールド208内で制動放射線に変換され得る。制動放射線が燃料容器204、第1シールド206、または第2シールド208のいずれで生成されたかに関係なく、制動放射線は、RTG200から漏出しないように、第2シールド208に到達する前に、またはそれによって減衰され得る。
【0033】
ほとんどの核燃料構造物は、固有の安全要素として、複数レベルの格納容器構造に格納され得る。しかし、ストロンチウム90燃料カプセルのためのいくつかの過去の設計は、単層の格納容器を含んでいた。いくつかの実施形態は、シールドに穴を開けられたり、格納容器が何らかの他の方法で失われたりした場合に、放射線被曝及び燃料格納容器の損失を低減することによって、燃料構造物の安全性を高めるための段階的格納容器構造を含む。さらに、段階的格納容器構造は、発生するあらゆる制動放射線に対して軽量な減衰方式を提供することができる。いくつかの実施形態において、段階的シールドは、自己遮蔽を利用する形態上の組み合わせ、燃料を別々の区画に区分けすること、シールドが衝撃を受けた場合に燃料の拡散が制限されるように燃料を収容すること、及び通常外の状況下で放射線曝露を低減する形態的設計を含んでもよい。いくつかの実施形態では、通常外の稼動状況とは、RTGの「通常」運転以外の事象を指し得る。例えば、燃料容器204に穴があるとき、通常外の稼動状況が存在し得る。別の例として、第1シールド206及び/又は第2シールド208に熱分解がある場合に、通常外の稼動状況が存在し得る。
【0034】
いくつかの実施形態では、ストロンチウム90のような高エネルギーベータ線放出体のための燃料構造物が本明細書に記載されている。一例として、チタン酸ストロンチウム(SrTiO3)中の電子の飛程(例えば、平均自由行程)は、約2mmであり得る。したがって、チタン酸ストロンチウム源内で生成された電子は、約2mmのチタン酸ストロンチウム源材料内で停止することになる。
【0035】
図3は、様々な実施形態による、RTGのための分散燃料構造物300の一例を示す。いくつかの実施形態では、燃料構造物300は、高エネルギーベータ線放出体で形成された分散した球状構造体を含んでもよい。球状構造体は、(i)実質的に同じ大きさを有し、(ii)実質的に球状であり得る。例えば、各球体の体積Vは、4/3πr
3に等しくてもよく、ここで、「r」は、所与の球状構造体の半径に対応する。各球状構造体の体積は、所定の公差レベル内であり得る。例えば、各球状構造体は、平均的な球状構造体の体積のN標準偏差σ以内にある体積Vを有していてもよい。V+Nσより大きい、又はV-Nσより小さい体積を有する球状構造体は、燃料構造物300から除外されてもよい。さらに、各球状構造体は、その体積全体にわたって実質的に一定である半径rを有してもよい。
【0036】
いくつかの実施形態では、各球状構造体は、ストロンチウム90のベータ崩壊によって生成される電子の飛程に対応する、2mm以下の半径を有してもよい。いくつかの実施形態では、各球状構造体は、チタン酸ストロンチウムで形成されてもよく、グラファイトで被覆されてもよい。いくつかの実施形態では、球状構造体は、一次シールド(例えば、第1シールド206)中に分散してもよく、また、焼結または加熱プレスされて、二次シールド(例えば、第2シールド208)中に包まれてもよい。
【0037】
図4は、様々な実施形態による、RTGのための同心燃料構造物400の一例を示す。いくつかの実施形態では、同心燃料構造物400は、高エネルギーベータ線放出体の平均自由行程より小さい厚さを有する高エネルギーベータ線放出体の同心シリンダを含んでもよい。例えば、同心燃料構造物400は、2mmの厚さを有するチタン酸ストロンチウムの同心シリンダを含んでもよい。いくつかの実施形態では、同心燃料構造物400は、グラファイトなどの第1のシールド材料の同心シリンダをさらに含んでもよい。例えば、同心燃料構造物400は、2mm以下の半径(例えば、チタン酸ストロンチウムによって放出される電子の平均自由行程)を有するチタン酸ストロンチウムの第1シリンダを含み、これが7mm以下の厚さを有するグラファイトのシリンダによって包まれ、チタン酸ストロンチウムの別のシリンダによって包まれ、別のグラファイトのシリンダによって包まれ、以下同様であり得る。いくつかの実施形態では、チタン酸ストロンチウムの各シリンダの最大径方向厚さは2mmである。放出された放射線は、チタン酸ストロンチウムのエネルギー分布内に含まれるエネルギーを有するため、所与の光子の特定のエネルギーは一定ではなく、代わりに、光子のエネルギーがエネルギー分布から得られる値になる可能性が高い。放射能源物質のシリンダの数および第1のシールド材料のシリンダの数は、変更されてもよく、所与の燃料構造物が生成すべき出力に依存し得る。例えば、シリンダの数は、6以上(例えば、チタン酸ストロンチウムの3つのシリンダとグラファイトの3つのシリンダ)、10以上(例えば、チタン酸ストロンチウムの5つのシリンダとグラファイトの5つのシリンダ)等であってよい。いくつかの実施形態では、高エネルギーベータ線放出体(例えば、チタン酸ストロンチウム)及び第1のシールド材料(例えば、グラファイト)の同心シリンダは、タングステンなどの第2のシールド材料で包まれてもよい。第1のシールド材料の厚さは、0.1~1mm、0.5~1.5mm、1.0~2.0mm、1.5~2.5mm、2.0~3.0mmなどであってよい。第2のシールド材料の厚さは、1~5cm、1~10cm、5~10cm、5~15cmなどであってよい。この厚さは、RTGからの放射線被曝量が放射線被曝量の閾値未満となるように選択される。例えば、第2のシールド材料の厚さは、1mの距離で放射線被曝量が10mrem/hr未満となるように選択されてもよい。
【0038】
図5は、様々な実施形態による、RTGのための同心燃料構造物500の他の例を示す。いくつかの実施形態では、同心燃料構造物500は、
図4の同心燃料構造物400と類似してよく、前述の説明が適用されてもよい。同心燃料構造物500は、ストロンチウム90などの高エネルギーベータ線放出体の第1同心シリンダ502を複数含んでもよい。例えば、第1同心シリンダ502は、チタン酸ストロンチウムで形成されてもよい。第1同心シリンダ502の間には、第2同心シリンダ504を複数介在させてもよい。第2同心シリンダ504は、いくつかの実施形態において、第1シールド、すなわち一次シールドを形成してよい。例えば、第2同心シリンダ504は、
図2の第1シールド206と類似してよい。いくつかの実施形態では、第2同心シリンダ504は、低密度、低原子番号、高熱伝導率、高材料分解温度を有するとともに、使用する放射線源(例えば、ストロンチウム90)に適合する1つ以上の材料で形成されてもよい。例えば、第2同心シリンダ504は、グラファイトで形成されてもよい。
【0039】
いくつかの実施形態において、第1同心シリンダ502のうちの中心シリンダは、第2同心シリンダ504の第1のインスタンスによって囲まれてもよい。第2同心シリンダ504の第1のインスタンスは、第1同心シリンダ502の第1のインスタンスに挟まれてもよい。この第1同心シリンダ502と第2同心シリンダ504の交互のパターンは、RTGの電力要件に応じて何回か繰り返されてもよい。しかしながら、燃料構造物500の外側シリンダは、第2同心シリンダ504で形成されることになる。いくつかの実施形態では、同心シリンダ502及び504の各々の厚さは、実質的に類似してよい。例えば、同心シリンダ502及び504は共に、1mm、1.5mm、2mm、2.5mm、3mmなどに等しいかそれ未満の厚さを有していてもよい。別の例として、同心シリンダ502及び504は、1~10mmの範囲内の同じ厚さを有していてもよい。いくつかの実施形態では、各同心シリンダ502の厚さは互いに実質的に類似してもよく、各同心シリンダ504の厚さは互いに実質的に類似しているが、同心シリンダ502の厚さとは異なっていてもよい。例えば、同心シリンダ502及び504はそれぞれ、1mm、1.5mm、2mm、2.5mm、3mm等のうちの1つに等しいか又はそれ未満の厚さを有していてもよい。別の例として、同心シリンダ502及び504はそれぞれ、1~10mmの範囲内の厚さを有していてもよい。いくつかの実施形態では、各同心シリンダ502及び各同心シリンダ504の半径は、シリンダの数が増加するにつれて増加してもよい(例えば、内側シリンダは外側シリンダよりも小さい半径を有してよい)。例えば、1つ目の同心シリンダ502は第1の半径を有してもよく、1つ目の同心シリンダ502は、第1の半径よりも大きい第2の半径を有する1つ目の同心シリンダ504によって囲まれてもよい。1つ目の同心シリンダ504は、第2の半径よりも大きい第3の半径を有する2つ目の同心シリンダ502によって囲まれてもよい。以下同様である。半径は、例えば、2mmから徐々に大きくなってもよい。第2の半径は、2~4mm、2.5~4.5mm、2~6mm等の範囲で選択されるものであってもよく、第3の半径は、4~6mm、4.5~6.5mm、4~7mm等の範囲で選択されるものであってもよい。
【0040】
いくつかの実施形態では、第3シリンダ506が、同心シリンダ502及び504を取り囲んでいてもよい。第3シリンダ506は、
図2の第2シールド208と実質的に類似していてもよく、前述の説明が適用されてもよい。いくつかの実施形態では、第3シリンダ506は、高密度、高有効原子番号、高熱伝導率、高材料分解温度を有するとともに、RTG内の他の材料と適合性のある1つ以上の材料で形成されてもよい。例えば、第3シリンダ506は、タングステンで形成されてもよい。いくつかの実施形態では、第3シリンダ506の厚さは、RTGの設計要件(例えば、電力要件、第1シールドのインスタンスの数、材料組成など)に依存してもよい。いくつかの実施形態では、第3シリンダ506は、空気の層508によって包含されてもよく、または自然環境にさらされてもよい。
【0041】
図6は、様々な実施形態による、RTGのための分散燃料構造物の他の例を示す図である。RTG600は、高エネルギーベータ線放出体で形成された分散した球状構造体を含んでもよい。球状構造体は、(i)実質的に同じ大きさを有し、(ii)実質的に球状であり得る。例えば、球状構造体は、
図3を参照して上述した球状構造体と同じ又は類似であってよい。いくつかの実施形態では、各球状構造体は、ストロンチウム90のベータ崩壊によって生成される電子の飛程に対応する、2mm以下の半径を有してもよい。いくつかの実施形態では、各球状構造体は、チタン酸ストロンチウムで形成されてもよく、グラファイトで被覆されてもよい。いくつかの実施形態では、球状構造体は、第1シールド604内で分散してもよい。例えば、第1シールド604は、低密度、低原子番号、高熱伝導率、及び/又は高材料分解温度を有する1つ以上の材料で形成されてもよく、追加的又は代替的に、使用する放射線源(例えば、チタン酸ストロンチウム)を含む材料(例えば、ストロンチウム90)と適合する材料であってよい。一例として、第1シールド604は、グラファイトで形成されてもよい。いくつかの実施形態では、第1シールド604は、球状構造体602を含む部分と、第2シールド606及び608との間に緩衝層を含んでもよい。
【0042】
第2シールド606及び608はそれぞれ、高密度、高有効原子番号、高熱伝導率、高材料分解温度を有するとともに、RTG200内の他の材料と適合する材料である1つ以上の材料から形成されてもよい。一例として、第2シールド606及び608は、タングステンで形成されてもよい。いくつかの実施形態において、第2シールド606は第1の厚さを有してよく、第2シールド608は第2の厚さを有してよい。例えば、第2シールド606の厚さは5mmであってもよく、第2シールド608の厚さは10mmであってもよい。第2シールド606及び608の各々は、1~5cm、1~10cm、5~10cm、5~15cmなどを含む厚さの範囲内から選択された厚さを有していてもよい。この厚さは、RTGからの放射線被曝量が放射線被曝量の閾値未満となるように選択される。例えば、第2シールドの厚さは、1mの距離で放射線被曝量が10mrem/hr未満となるように選択されてもよい。いくつかの実施形態では、第2シールド606は、厚さが実質的に一定であってよい。例えば、第2シールド606は、実質的に一定の厚さ(例えば、5~10cmの範囲内の値に選択される)を有するRTG600の側壁であってもよい。いくつかの実施形態では、第2シールド608は、厚さが一定でなくてもよく、それによって、RTG600の周囲に近接する厚さは、RTG600の中心軸に沿った厚さ(例えば、5~10cmの範囲内の値に選択される)よりも小さい。
【0043】
図7は、様々な実施形態による、
図6のRTGのための分散燃料構造物の斜視図である。
図7から分かるように、上記の
図6で詳細に説明したRTG600が示されている。
図7では、RTG600の斜視図が描かれている。
【0044】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載された燃料構造物は、宇宙環境用のヒーターユニット、寒冷環境用のヒーターユニット、エネルギー変換用の熱電源、医療用放射性同位元素貯蔵シールド、使用済み核燃料輸送シールド、医療用放射性同位元素輸送シールド、使用済み核燃料シールド、緊急放射線格納、宇宙環境用の生物放射線防護、および緊急放射線環境用の生物放射線防護を含む多様な用途に使用され得るが、それらに限定されない。
【0045】
読者は、本願がいくつかの個別に有用な技術を説明していることを理解すべきである。出願人はこれらの技術を複数の独立した特許出願に分けるのではなく、1つの文書にまとめているが、これはそれらの技術の主題が関連しているために、出願プロセスの経済性につながるからである。しかし、このような技術の別個の利点や態様を混同してはならない。場合によっては、実施形態は本明細書で指摘した欠陥のすべてに対処しているが、技術は独立して有用であり、いくつかの実施形態はそのような問題の部分集合のみに対処しているか、または本開示を閲覧している当業者には明らかであろう他の言及されていない利点を提供していることを理解すべきである。コストの制約のため、本明細書に開示されているいくつかの技術は、現在は所有権を請求されていない可能性があり、継続出願などの後の出願で、または現在の請求項を補正することで所有権を請求される可能性もある。同様に、紙面の都合上、本願の「要約」や「発明の概要」のセクションは、そのような技術のすべて、またはそのような技術のすべての態様を包括的に記載しているものとみなすべきではない。
【0046】
詳細な説明および図面は、開示された特定の形態に本技術を限定することを意図したものではなく、逆に、添付の請求項によって定義される本技術の趣旨および範囲内に入るすべての修正、均等物、および代替物を網羅することを意図したものであることを理解すべきである。本技術の様々な態様のさらなる修正および代替の実施形態は、この説明を読めば当業者には明らかであろう。したがって、この説明および図面は、例示としてのみ解釈され、本技術を実施する一般的な方法を当業者に教えることを目的としている。ここに図示および説明されている本技術の形態は、実施形態の例として見なすべきものであることを理解されたい。各種要素および材料を、本明細書に図示および説明されているものに代えて使用してもよく、部品およびプロセスは逆にしてもよいし、省略してもよく、本技術の特定の特徴は独立して利用してもよいが、これらはすべて、本技術に関するこの説明の恩恵を受けた後に当業者に明らかになるであろう。以下の特許請求の範囲に記載された本技術の趣旨と範囲から逸脱することなく、本明細書に記載された要素に変更を加えることができる。本明細書で使用されている見出しは、整理を目的としたものであり、説明の範囲を限定するために使用することを意図していない。
【0047】
本特許出願を通して使用されているように、「may」という言葉は、必須の意味(すなわち、必ずしなければならないという意味)ではなく、許容的な意味(すなわち、する可能性があるという意味)で使用されている。「含む(include)」、「含む(including)」、「含む(includes)」などの言葉は、含むがそれに限定されないことを意味する。本願では、単数形の「a」、「an」、「the」は、内容が明示的に別の意味を示していない限り、複数のものを含む。したがって、例えば、「構成要素(an element)」または「構成要素(a element)」への言及は、「一又は複数の(one or more)」のような1つまたは複数の構成要素に対する他の用語およびフレーズの使用にかかわらず、2つ以上の構成要素の組み合わせを含む。「または」という用語は、別の意味が明記されていない限り非排他的であり、すなわち、「および」と「または」の両方を包含する。条件関係を表す用語、例えば、「X,Yに応答して(in response to X, Y)」、「X,Yすると(on X, Y)」、「X,Yならば(if X, Y)」、「X,Yのとき(when X, Y)」などは、先行詞が必要因果条件である場合、先行詞が十分因果条件である場合、先行詞が結果の有力な因果条件である場合などの因果関係を包含する。例えば、「条件Yが得られると状態Xが発生する」は「XはYのときのみ発生する」と「XはYおよびZのときに発生する」に対して包括的である。このような条件関係は、先行条件が得られると即座に結果が出るものに限らず、結果が遅れるものもある。また、条件文では先行条件と結果が結びついており、例えば、先行条件が結果の発生の可能性に関係している。複数の属性または機能が複数のオブジェクト(例えば、ステップA、B、C、Dを実行する1つ以上のプロセッサ)にマッピングされる記述は、別途指示がない限り、それらの属性または機能のすべてがそれらのオブジェクトのすべてにマッピングされることと、それらの属性または機能のサブセットがそれらの属性または機能のサブセットにマッピングされることの両方を包含する(例えば、すべてのプロセッサがそれぞれステップA~Dを実行する場合と、プロセッサ1がステップAを実行し、プロセッサ2がステップBとステップCの一部を実行し、プロセッサ3がステップCの一部とステップDを実行する場合の両方)。さらに、ある値または行為が別の条件または値に「基づく」という記述は、別段の指示がない限り、その条件または値が唯一の要因である場合と、その条件または値が複数の要因の中の1つの要因である場合の両方を包含する。あるコレクションの「各」インスタンスが何らかの特性を持つという記述は、別段の指示がない限り、より大きなコレクションの他の特性において同一または類似のメンバーがその特性を持たない場合を除外するように読まれるべきではない。すなわち、「各」は必ずしもすべてを意味するわけではない。例えば、「Xを実行した後、Yを実行する」のように明示的に指定されていない限り、記載されている工程の順序に関する制限を請求項に読み取るべきではない。これに対して、「アイテムにXを実行し、XされたアイテムにYを実行する」のように順序の制限を暗示していると不適切に主張される可能性がある記述は、順序を指定するのではなく、請求項を読みやすくする目的で使用される。また、「A、B、およびCのうち少なくともZ個」などの記述(「A、B、またはCのうち少なくともZ個」など)は、列挙された各カテゴリー(A、B、およびC)のうち少なくともZ個を指すものであり、各カテゴリーに少なくともZ個の単位を必要とするものではない。議論から明らかなように、本明細書では、「処理」、「コンピューティング」、「計算」、「決定」などの用語を利用した議論は、特に明記しない限り、特別目的のコンピュータまたは同様の特別目的の電子処理/計算装置などの特定の装置の動作またはプロセスに言及していると理解される。「平行」、「垂直/直交」、「正方形」、「円筒形」などの幾何学的構造物に言及して記述された特徴は、その幾何学的構造物の特性を実質的に具現化するアイテムを包含すると解釈されるべきであり、例えば、「平行」な表面に言及すると、実質的に平行な表面が包含されることになる。これらの幾何学的構造物のプラトン的観念からの逸脱の許容範囲は、明細書中の範囲を参照して決定されるべきであり、そのような範囲が記載されていない場合には、使用分野における業界の規範を参照すべきであり、そのような範囲が定義されていない場合には、指定された特徴の製造分野における業界の規範を参照すべきであり、そのような範囲が定義されていない場合には、幾何学的構造物を実質的に具現化する特徴は、その幾何学的構造物の定義属性の15%以内の特徴を含むと解釈されるべきである。特許請求の範囲で使用されている「第1」、「第2」、「第3」、「所定の」などの用語は、区別するため、あるいは識別するために使用されており、連続的または数値的な限定を示すものではない。
【0048】
本発明の技術は、以下に列挙する実施形態を参照することにより、よりよく理解されるであろう。
[実施形態1]
燃料構造物であって、高エネルギーベータ線放出体を含む放射能源物質を備え、ベータ崩壊プロセスの結果として前記放射能源物質によって放出される電子が、停止することなく前記燃料構造物を通過することによって、制動放射線が前記燃料構造物内で生成されることを防ぐように、前記放射能源物質によって放出される電子の平均自由行程以下の厚さを有するように構成される、燃料構造物。
[実施形態2]
前記放射能源物質はチタン酸ストロンチウムを含む、実施形態1に記載の燃料構造物。
[実施形態3]
前記高エネルギーベータ線放出体はストロンチウム90を含む、実施形態1から2のいずれかに記載の燃料構造物。
[実施形態4]
前記放射能エネルギー源によって放出される電子の平均自由行程は2ミリメートル(mm)であり、前記燃料構造物の厚さは2mm以下である、実施形態1から3のいずれかに記載の燃料構造物。
[実施形態5]
前記ベータ崩壊プロセスの結果として前記放射能源物質によって放出される電子のエネルギーは2MeVである、実施形態1から4のいずれかに記載の燃料構造物。
[実施形態6]
前記放射能源物質は100キュリー(Ci)以上の崩壊放射能を有する、実施形態1から5のいずれかに記載の燃料構造物。
[実施形態7]
前記放射能源物質は前記厚さを有する球状構造体で形成され、当該球状構造体は第1の材料内に分散している、実施形態1から6のいずれかに記載の燃料構造物。
[実施形態8]
前記第1の材料は、低密度、低原子番号、高熱伝導率、高材料分解温度を有し、前記放射能源物質と適合する、実施形態7に記載の燃料構造物。
[実施形態9]
前記第1の材料はグラファイトを含む、実施形態7から8のいずれかに記載の燃料構造物。
[実施形態10]
前記第1の材料は水素化リチウム、水素系オイルもしくは樹脂、または溶融塩を含む、実施形態7から9のいずれかに記載の燃料構造物。
[実施形態11]
前記放射能源物質で形成された前記球状構造体が分散した前記第1の材料は、さらに第2の材料に包まれている、実施形態7から10のいずれかに記載の燃料構造物。
[実施形態12]
前記第2の材料は、高密度、高有効原子番号、高熱伝導率、高材料分解温度を有し、前記燃料構造物に関連付けられた他の材料と適合する、実施形態11に記載の燃料構造物。
[実施形態13]
前記第2の材料はタングステンを含む、実施形態11から12のいずれかに記載の燃料構造物。
[実施形態14]
前記第2の材料は鉛または劣化ウランを含む、実施形態11から12のいずれかに記載の燃料構造物。
[実施形態15]
前記放射能源物質は第1の複数のシリンダで形成される、実施形態1から14のいずれかに記載の燃料構造物。
[実施形態16]
第1の材料で形成された第2の複数のシリンダをさらに備え、前記第1の複数のシリンダと前記第2の複数のシリンダとは同心シリンダである、実施形態15に記載の燃料構造物。
[実施形態17]
前記第1の材料はグラファイト、水素化リチウム、水素系オイルもしくは樹脂、または溶融塩を含む、実施形態15から16のいずれかに記載の燃料構造物。
[実施形態18]
第2の材料で形成され、前記第1の複数のシリンダと前記第2の複数のシリンダとを包むように構成された第3のシリンダをさらに含む、実施形態15から17のいずれかに記載の燃料構造物。
[実施形態19]
前記第2の材料はタングステン、鉛、または劣化ウランを含む、実施形態18に記載の燃料構造物。
[実施形態20]
前記第1の複数のシリンダの各々は前記厚さを有し、前記厚さは2mm以下であり、前記第2の複数のシリンダの各々は7mm以下の追加的な厚さを有する、実施形態18から19のいずれかに記載の燃料構造物。
[実施形態21]
前記第1の複数のシリンダの各々は前記厚さを有し、前記厚さは、0.1~1mm、0.5~1.5mm、1.0~2.0mm、1.5~2.5mm、2.0~3.0mm、または2.5~3.5の範囲のうちの1つから選択され、前記第2の複数のシリンダの各々は、4~6mm、4.5~6.5mm、または4~7mmの範囲のうちの1つから選択される追加的な厚さを有する、実施形態18から19のいずれかに記載の燃料構造物。
[実施形態22]
前記第3のシリンダは、1~5cm、1~10cm、5~10cm、または5~15cmの範囲のうちの1つから選択される厚さを有する、実施形態18から21のいずれかに記載の燃料構造物。
[実施形態23]
放射能源物質を遮蔽するためのシステムであって、第1の材料で形成された第1シールドであって、前記放射能源物質から放出される電子の平均自由行程を超える厚さを有することによって前記電子が前記第1シールドを通過することを防ぐ、第1シールドと、第2の材料で形成された第2シールドであって、前記電子によって生成された制動放射線が前記第2シールドを通過することを防ぐように構成された、第2シールドとを備えたシステム。
[実施形態24]
前記第1の材料は、低密度、低原子番号、高熱伝導率、高材料分解温度を有し、前記放射能源物質と適合し、前記第2の材料は、高密度、高有効原子番号、高熱伝導率、高材料分解温度を有し、前記システムに関連付けられた他の材料と適合する、実施形態23に記載のシステム。
[実施形態25]
前記第1の材料はグラファイト、水素化リチウム、水素系オイルもしくは樹脂、または溶融塩を含み、前記第2の材料はタングステン、鉛、または劣化ウランを含む、実施形態23から24のいずれかに記載のシステム。
[実施形態26]
前記放射能源物質から放出される電子の平均自由行程は2ミリメートル(2mm)であり、前記第1の材料の厚さは2mm以下であり、前記第2の材料の厚さは約7mm以下である、実施形態23から24のいずれかに記載のシステム。
[実施形態27]
前記放射能源物質から放出される電子は約2MeVのエネルギーを有し、前記厚さは前記電子が前記第1シールドを通過することを防ぐように選択される、実施形態23から26のいずれかに記載のシステム。
[実施形態28]
前記放射能源物質を含む燃料源と、前記燃料源を収容するように構成された燃料容器であって、前記第1シールドは前記燃料容器を包むように構成され、前記第2シールドは前記第1シールドを包むように構成される、燃料容器とをさらに備える、実施形態23から28のいずれかに記載のシステム。
[実施形態29]
前記燃料源はチタン酸ストロンチウムを含み、前記放射能源物質はストロンチウム90を含む、実施形態28に記載のシステム。
[実施形態30]
前記放射能源物質は高エネルギーベータ線放出体を含む、実施形態28から29のいずれかに記載のシステム。
[実施形態31]
前記電子によって生成される制動放射線は前記第1シールド内で生成され、前記第1シールド内で生成される制動放射線は前記第1シールドまたは前記第2シールド内で減衰される、実施形態23から30のいずれかに記載のシステム。
[実施形態32]
前記電子によって生成される制動放射線は、前記放射能源物質を含む燃料源を収容するように構成された燃料容器内で生成され、前記燃料容器内で生成される制動放射線は前記第1シールドまたは前記第2シールド内で減衰される、実施形態23から31のいずれかに記載のシステム。
[実施形態33]
高エネルギーベータ線放出体を含む放射能源物質を備えた燃料構造物をさらに備え、前記燃料構造物は前記平均自由行程以下の厚さを有するように構成され、ベータ崩壊プロセスの結果として前記放射能源物質によって放出される電子が、停止することなく前記燃料構造物を通過することによって、制動放射線が前記燃料構造物内で生成されることを防ぐことができる、実施形態23から32のいずれかに記載のシステム。
[実施形態34]
前記放射能源物質はチタン酸ストロンチウムを含み、前記高エネルギーベータ線放出体はストロンチウム90を含み、前記放射能エネルギー源によって放出される電子の平均自由行程は2ミリメートル(mm)であり、前記燃料構造物の厚さは2mm以下であり、前記第1シールドの厚さは2mmより大きい、実施形態23から33のいずれかに記載のシステム。
[実施形態35]
前記放射能源物質は前記厚さを有する球状構造体で形成され、当該球状構造体は前記第1シールド内に分散しており、前記第2シールドは前記球状構造体が分散した前記第1シールドを包むように構成される、実施形態23から34のいずれかに記載のシステム。
[実施形態36]
前記燃料構造物は第1の複数のシリンダを含み、前記第1シールドは第2の複数のシリンダを含み、前記第1の複数のシリンダと前記第2の複数のシリンダとは同心である、実施形態23から35のいずれかに記載のシステム。
[実施形態37]
前記第2シールドは、前記第1の複数のシリンダと前記第2の複数のシリンダとを包むように構成されたシリンダを含む、実施形態36に記載のシステム。
[実施形態38]
前記第1の複数のシリンダの各々は前記厚さを有し、前記厚さは2mm以下であり、前記第2の複数のシリンダの各々は7mm以下の追加的な厚さを有する、実施形態36から37のいずれかに記載のシステム。
[実施形態39]
前記第1の複数のシリンダの各々は前記厚さを有し、前記厚さは、0.1~1mm、0.5~1.5mm、1.0~2.0mm、1.5~2.5mm、2.0~3.0mm、または2.5~3.5の範囲のうちの1つから選択され、前記第2の複数のシリンダの各々は、4~6mm、4.5~6.5mm、または4~7mmの範囲のうちの1つから選択される追加的な厚さを有する、実施形態36から37のいずれかに記載のシステム。
[実施形態40]
前記シリンダは、1~5cm、1~10cm、5~10cm、または5~15cmの範囲のうちの1つから選択される厚さを有する、実施形態37から39のいずれかに記載のシステム。
[実施形態41]
実施形態1から22のいずれかに記載の燃料構造物を形成する方法であって、使用する放射能源物質を選択する工程と、所定量のエネルギーを産出するために、所定量の前記放射能源物質を取得する工程と、前記放射能源物質によって放出された電子の平均自由行程の厚さに基づいて前記燃料構造物を形成する工程とを備え、前記ベータ崩壊プロセスによって放出された電子が、停止することなく前記燃料構造物を通過することを可能にすることによって、制動放射線が前記燃料構造物内で生成されることを防ぐように、前記燃料構造物は前記厚さを有する、方法。
[実施形態42]
実施形態23から40のいずれかに記載のシステムを形成する方法であって、使用する放射能源物質を選択する工程と、所定量のエネルギーを産出するために、所定量の前記放射能源物質を取得する工程と、前記放射能源物質を遮蔽するための第1シールドを形成するために使用する第1の材料を選択する工程であって、前記第1の材料の厚さは前記放射能源物質から放出される電子の平均自由行程に基づいて決定され、前記厚さは電子の平均自由行程を超えることによって前記電子が前記第1シールドを通過することを防ぐ、工程と、前記放射能源物質を遮蔽するための第2シールドを形成するために使用する第2の材料を選択する工程であって、前記第2シールドは、前記電子によって生成された制動放射線が前記第2シールドを通過することを防ぐように構成される、工程と、前記第1シールドと前記第2シールドとを含む放射能源に対する2相シールドを形成する工程であって、前記放射能源物質は前記第1シールドの第1の材料内で分散するか、または前記第1シールドと同心のシリンダ内で形成され、前記第2シールドは前記第1シールドを包む、工程とを備える方法。