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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-22
(45)【発行日】2024-01-30
(54)【発明の名称】食器手洗い用液体洗剤組成物
(51)【国際特許分類】
   C11D 17/08 20060101AFI20240123BHJP
   C11D 1/14 20060101ALI20240123BHJP
   C11D 1/28 20060101ALI20240123BHJP
   C11D 3/30 20060101ALI20240123BHJP
   C11D 1/90 20060101ALI20240123BHJP
   C11D 1/72 20060101ALI20240123BHJP
   C11D 1/68 20060101ALI20240123BHJP
【FI】
C11D17/08
C11D1/14
C11D1/28
C11D3/30
C11D1/90
C11D1/72
C11D1/68
【請求項の数】 15
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023012863
(22)【出願日】2023-01-31
(65)【公開番号】P2023118074
(43)【公開日】2023-08-24
【審査請求日】2023-02-06
(31)【優先権主張番号】22156234.1
(32)【優先日】2022-02-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】590005058
【氏名又は名称】ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー
【氏名又は名称原語表記】THE PROCTER & GAMBLE COMPANY
【住所又は居所原語表記】One Procter & Gamble Plaza, Cincinnati, OH 45202,United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100122437
【弁理士】
【氏名又は名称】大宅 一宏
(74)【代理人】
【識別番号】100209495
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 さおり
(72)【発明者】
【氏名】ピーター・ヤン・マリア・サヴェイン
(72)【発明者】
【氏名】エヴェリン・ヨハンナ・ルートガルデ・ヴァン・ヘッケ
【審査官】黒川 美陶
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-511415(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0119055(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C11D
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
食器手洗い用液体洗剤組成物であって、
a)前記食器手洗い用液体洗剤組成物の5.0重量%~50重量%の界面活性剤系であって、
i.アルキルサルフェート界面活性剤、アルキルアルコキシサルフェート界面活性剤、アルキルスルホネート界面活性剤、アルキルスルホコハク酸塩及びジアルキルスルホサクシネートエステル界面活性剤、並びにこれらの混合物からなる群から選択されるアニオン性界面活性剤と、
ii.両性補助界面活性剤、双性イオン補助界面活性剤、及びこれらの混合物からなる群から選択される補助界面活性剤と、を含む、界面活性剤系と、
b)カチオン変性イヌリン化合物、好ましくはカチオン変性が、置換アンモニウム基、好ましくは置換第四級アンモニウム基、より好ましくは少なくとも1つのC1~C18アルキル基で置換された置換第四級アンモニウム基、更により好ましくは少なくとも1つのC1~C4アルキル基で置換された第四級アンモニウム基、更により好ましくは少なくとも2つのC1~C4アルキル基で置換された第四級アンモニウム基、更により好ましくはトリメチルアンモニウム基を含む、カチオン変性イヌリン化合物と、を含む、食器手洗い用液体洗剤組成物。
【請求項2】
前記カチオン変性イヌリン化合物が、以下の
i.少なくとも5、好ましくは5~200、より好ましくは10~100、更により好ましくは15~50の重量平均重合度、
ii.500~25,000ダルトン、好ましくは800~10,000ダルトン、より好ましくは1,000~7,500ダルトンの重量平均分子量、
iii.少なくとも1つの正に帯電した有機基での置換前に決定された、500~25,000ダルトン、好ましくは800~10,000ダルトン、より好ましくは1,000~5,000ダルトンの重量平均分子量を有するイヌリン骨格から誘導され、
iv.0.01~3.0、好ましくは0.1~3.0、より好ましくは0.5~3.0、最も好ましくは1.0~3.0の置換度、
v.0.05~12meq/g、好ましくは0.1~9meq/g、より好ましくは0.5~6meq/g、更により好ましくは1.0~4meq/gのカチオン電荷密度(又は「CCD」)のうちの1つ以上によって特徴付けられる、請求項1に記載の食器手洗い用液体洗剤組成物。
【請求項3】
前記カチオン変性が、置換第四級アンモニウムヒドロキシアルキル基、好ましくは第四級アンモニウムヒドロキシメチル基、第四級アンモニウムヒドロキシエチル基、第四級アンモニウムヒドロキシプロピル基、又はこれらの混合を含む、請求項1に記載の食器手洗い用液体洗剤組成物。
【請求項4】
前記カチオン変性が、トリメチルアンモニウムヒドロキシアルキル基、好ましくはトリメチルアンモニウムヒドロキシプロピル基を含む、請求項1に記載の食器手洗い用液体洗剤組成物。
【請求項5】
前記洗剤組成物が、前記洗剤組成物の0.01重量%~5重量%、好ましくは0.05重量%~3重量%、より好ましくは0.1重量%~2重量%、更により好ましくは0.25重量%~1.0重量%の前記カチオン変性イヌリン化合物を含む、請求項1に記載の食器手洗い用液体洗剤組成物。
【請求項6】
前記組成物が、前記洗剤組成物の6.0重量%~40重量%、好ましくは15重量%~35重量%の前記界面活性剤系を含む、請求項1に記載の食器手洗い用液体洗剤組成物。
【請求項7】
前記界面活性剤系が、前記界面活性剤系の少なくとも40%、好ましくは50重量%~90重量%、より好ましくは65重量%~85重量%の前記アニオン性界面活性剤を含む、請求項1に記載の食器手洗い用液体洗剤組成物。
【請求項8】
前記アニオン性界面活性剤が、前記アニオン性界面活性剤の少なくとも70重量%、好ましくは少なくとも85重量%、より好ましくは100重量%のアルキルサルフェートアニオン性界面活性剤を含み、好ましくは、前記アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤が、8~18個の炭素原子、好ましくは10~14個の炭素原子、より好ましくは12~14個の炭素原子、更により好ましくは12~13個の炭素原子の数平均アルキル鎖長を有する、請求項1に記載の食器手洗い用液体洗剤組成物。
【請求項9】
前記アニオン性界面活性剤が、前記アニオン性界面活性剤の少なくとも70重量%、好ましくは少なくとも85重量%、より好ましくは100重量%のアルキルアルコキシサルフェートアニオン性界面活性剤、好ましくはアルキルエトキシサルフェート界面活性剤を含み、好ましくは、前記アルキルアルコキシサルフェートアニオン性界面活性剤が、3.5未満、より好ましくは0.3~2.0、更により好ましくは0.5~0.9の平均アルコキシル化度を有する、請求項1に記載の食器手洗い用液体洗剤組成物。
【請求項10】
前記アニオン性界面活性剤が、少なくとも10%、好ましくは20%~60%、より好ましくは30%~50%の重量平均分岐度を有するアルキルサルフェートアニオン性界面活性剤又はアルキルアルコキシサルフェートアニオン性界面活性剤を含む、請求項1に記載の食器手洗い用液体洗剤組成物。
【請求項11】
前記アニオン性界面活性剤及び前記補助界面活性剤が、1:1~8:1、好ましくは2:1~5:1、より好ましくは2.5:1~4:1の重量比で存在する、請求項1に記載の食器手洗い用液体洗剤組成物。
【請求項12】
前記補助界面活性剤が、両性界面活性剤、好ましくはアミンオキシド界面活性剤であり、より好ましくは、前記アミンオキシド界面活性剤が、アルキルジメチルアミンオキシド、アルキルアミドプロピルジメチルアミンオキシド、及びこれらの混合物からなる群から選択され、最も好ましくはアルキルジメチルアミンオキシドである、請求項1に記載の食器手洗い用液体組成物。
【請求項13】
前記補助界面活性剤が、双性イオン界面活性剤、好ましくはベタイン界面活性剤、より好ましくは、アルキルベタイン、アルキルアミドアルキルベタイン、アミダゾリニウムべタイン、スルホベタイン(INCIスルタイン)、ホスホベタイン、及びこれらの混合物からなる群から選択されるベタイン界面活性剤、最も好ましくはココアミドプロピルベタインである、請求項1に記載の食器手洗い用液体組成物。
【請求項14】
前記界面活性剤系が、非イオン性界面活性剤を更に含み、好ましくは、前記非イオン性界面活性剤が、アルコキシル化アルコール非イオン性界面活性剤、アルキルポリグルコシド非イオン性界面活性剤、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の食器手洗い用液体組成物。
【請求項15】
前記食器手洗い用液体組成物が、20℃の脱塩水中の10%水溶液として測定して、6.0超、好ましくは6.0~12.0、より好ましくは7.0~11.0、更により好ましくは8.0~10.0のpHを有する、請求項1から14のいずれか一項に記載の食器手洗い用液体組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、改善されたすすぎ、溶液触感、及び最終生成物の粘度制御を提供する、カチオン変性イヌリン化合物を含有する食器手洗い用液体洗剤組成物、本食器手洗い用液体洗剤組成物を作製する方法、並びに当該食器手洗い用液体洗剤組成物を使用する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
手動食器洗浄中、泡の効率的な発泡及びすすぎは、消費者にとって重要である。長持ちする泡は、消費者に生成物の有効性を示唆する一方、泡のすすぎが容易であることで、消費者は、洗浄サイクル中にすすぎをより速く行い、水の使用をより少なくすることができる。消費者はまた、いずれの残留物も残すことなく食器を効果的に洗浄する食器洗浄洗剤組成物を望む。これらの発泡及び洗浄の利点を提供するために、食器手洗い用洗剤組成物の配合者は、従来、アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤を含むアニオン性界面活性剤を用いて配合してきた。しかしながら、アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤を含むこれらのアニオン性界面活性剤の欠点は、泡すすぎ特性を犠牲にすることである。配合者はまた、カチオン変性ヒドロキシエチルセルロース(cationically modified hydroxyethyl cellulose、catHEC)を用いて食器手洗い用液体洗剤組成物を配合することで、スキンケアの利点を提供してきた。カチオン変性ヒドロキシエチルセルロースはまた、現在、効率的な泡すすぎを提供することが見出されている。しかしながら、カチオン変性ヒドロキシエチルセルロースはまた、最終生成物粘度の増加、及び溶液触感の難点、例えば、洗浄溶液に滑り感を与えることを含む、いくつかの欠点を有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、最終生成物の粘度制御及び溶液触感などの他の利点に悪影響を及ぼすことなく(又は更にはそれらを改善すると同時に)、すすぎの利点を提供する液体洗剤組成物の必要性が存在する。より生分解性、再生可能、バイオベース、又は天然である洗浄製品の消費者需要も増加している。
【0004】
驚くべきことに、カチオン変性イヌリン化合物を含有する食器手洗い用液体洗剤組成物を配合することで、効率的なすすぎ及び許容可能な溶液触感に対する要求と許容可能な最終生成物の粘度制御に対する要求とのバランスがとれることが見出された。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、食器手洗い用液体洗剤組成物であって、a.食器手洗い用液体組成物の約5.0重量%~約50重量%の界面活性剤系であって、i.アルキルサルフェート界面活性剤、アルキルアルコキシサルフェート界面活性剤、アルキルスルホネート界面活性剤、アルキルスルホサクシネート及びジアルキルスルホサクシネートエステル界面活性剤、及びこれらの混合物からなる群から選択されるアニオン性界面活性剤と、ii.両性補助界面活性剤、双性イオン補助界面活性剤、及びこれらの混合物からなる群から選択される補助界面活性剤と、を含む、界面活性剤系と、b.カチオン変性イヌリン化合物と、を含む、食器手洗い用液体洗剤組成物に関する。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本明細書に記載されるように、液体洗浄組成物を界面活性剤系及びカチオン変性イヌリン化合物を用いて配合することにより、例えば、カチオン性セルロースとは反対に、すすぎを改善しながら、改善された溶液触感及び最終生成物の粘度制御を改善することが見出されている。
【0007】
本明細書で使用するとき、特許請求の範囲において使用される「a」及び「an」などの冠詞は、特許請求又は記述されるもののうちの1つ以上を意味すると理解される。
【0008】
本明細書で使用するとき、「含む」という用語は、特に言及したもの以外の工程及び成分を付加できることを意味する。この用語は、「からなる」及び「から本質的になる」という用語を包含する。本発明の組成物は、本明細書に記載される本発明の必須要素及び制限事項、並びに本明細書に記載されるあらゆる追加若しくは任意の成分、構成要素、工程、又は制限事項を含み、これらからなり、あるいは、これらから本質的になることができる。
【0009】
本明細書で使用するとき、「食器」という用語には、非限定的な例として、セラミック、陶磁器、金属、ガラス、プラスチック(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレンなど)、及び木材で製造された調理器具及び食卓用食器類が含まれる。
【0010】
本明細書で使用する場合、「油脂」又は「油脂性の」という用語は、物質が、少なくとも部分的に(すなわち、物質中の油脂の少なくとも0.5重量%)、飽和及び不飽和の脂肪及び油、好ましくは、牛肉、豚肉、及び/又は鶏肉などの動物性原料に由来する油及び脂肪を含んでいることを意味する。
【0011】
「含む(include)」、「含む(includes)」及び「含むこと(including)」という用語は、非限定的であることを意味する。
【0012】
本明細書で使用する場合、「粒子状汚れ」という用語は、無機及びとりわけ有機の固体汚れ粒子、とりわけ食物粒子、非限定的な例としては、超微粒子状元素状炭素、焼成された油脂粒子、及び肉粒子を意味する。
【0013】
本明細書で使用するとき、「多糖」という用語は、グリコシド結合によってともに結合した単糖単位の長鎖からなるポリマー炭水化物分子を意味し、加水分解により、構成単糖又はオリゴ糖が得られる。
【0014】
「多糖のカチオン性誘導体」は、カチオン性基を含む多糖又は多糖の誘導体であると理解される。カチオン性基は、アンモニウム基、第四級アンモニウム基、スルホニウム基、ホスホニウム基、遷移金属又は任意の他の正に荷電した官能基を含み得る。好ましいカチオン性基は、第四級アンモニウム基である。
【0015】
本明細書で使用する場合、「起泡プロファイル」という用語は、食器洗いプロセスの間の起泡の性質に関する洗浄組成物の特性を指す。洗浄組成物の「起泡プロファイル」という用語は、水性洗浄溶液中の洗浄組成物の溶解及び撹拌、典型的には手動撹拌の際に生成した初期起泡体積、並びに食器洗いプロセス中の起泡の保持を含む。好ましくは、「良好な起泡プロファイル」を有することを特徴とする食器手洗い用洗浄組成物は、特に食器手洗いプロセスのかなりの部分又は全体にわたって、大きな初期起泡体積及び/又は持続性の起泡体積を有する傾向がある。これは、十分な洗浄組成物が投入されたことの指標として消費者が起泡の大きさを使用するので、重要である。更に、消費者はまた、食器洗いプロセスの終盤に向かっていても、起泡体積が持続していることを、十分な活性洗浄成分(例えば、界面活性剤)が存在していることの指標として使用する。消費者は、通常、起泡が少なくなったときに洗浄溶液を新しくする。したがって、低起泡洗浄組成物は、起泡レベルが低いことから、消費者によって必要以上に頻繁に補給される傾向がある。
【0016】
「容易なすすぎ」又は「容易なすすぎプロファイル」とは、主洗浄サイクル中に発生した泡をより速くすすぐことができ、主洗浄サイクルからの泡を崩壊させるために使用する水を少なくできることを意味する。泡をより速く崩壊させることは、すすぎに費やした時間及び全体的な洗浄時間の量を低減するために好ましい。泡を崩壊させるために使用する水の量を低減することは、水保存を助けるため、好ましい。
【0017】
本明細書に記載され、特許請求される、出願人らによる発明のパラメータのそれぞれの値を決定するには、本出願の試験方法の項に開示される試験方法が使用されなければならない点は理解されよう。
【0018】
特にそうでない旨が具体的に述べられない限り、文脈より明らかであるように、全ての割合は、組成物全体の重量に基づくものである。特にそうでない旨が具体的に述べられない限り、全ての比は重量比であり、全ての測定は、特に指定しない限り25℃で行われる。
【0019】
液体洗浄組成物
洗浄組成物は、液体洗浄組成物、好ましくは液体食器手洗い用洗浄組成物であり、したがって液体形態にある。本液体洗浄組成物は、好ましくは、水性洗浄組成物である。したがって、本組成物は、本組成物全体の50重量%~85重量%、好ましくは50重量%~75重量%の水を含むことができる。
【0020】
液体洗浄組成物は、20℃の脱塩水中の10%水溶液として測定して、6.0超のpH、又は6.0~12.0、好ましくは7.0~11.0、より好ましくは8.0~10.0のpHを有し得る。
【0021】
本発明の液体洗浄組成物は、ニュートン流体であっても非ニュートン流体であってもよいが、好ましくはニュートン流体である。好ましくは、本組成物は、10mPa・s~10,000mPa・s、好ましくは100mPa・s~5,000mPa・s、より好ましくは300mPa・s~2,000mPa・s、又は最も好ましくは500mPa・s~1,500mPa・s、あるいはこれらの組み合わせの粘度を有する。
【0022】
界面活性剤系
液体洗浄組成物は、組成物全体の重量に基づいて、5.0重量%~50重量%、好ましくは6.0重量%~40重量%、最も好ましくは15重量%~35重量%の界面活性剤系を含む。
【0023】
アニオン性界面活性剤
界面活性剤系は、アニオン性界面活性剤を含む。上記の界面活性剤系は、その界面活性剤系の重量に基づいて、少なくとも50重量%、好ましくは60重量%~90重量%、より好ましくは65重量%~85重量%のアニオン性界面活性剤を含み得る。このような脂肪酸は起泡の生成を妨げるため、界面活性剤系は、好ましくは脂肪酸又はその塩を含まない。
【0024】
好適なアニオン性界面活性剤は、アルキルサルフェート界面活性剤、アルキルアルコキシサルフェート界面活性剤、アルキルスルホネート界面活性剤、アルキルスルホサクシネート及びジアルキルスルホサクシネートエステル界面活性剤、並びにこれらの混合物からなる群から選択することができる。
【0025】
アニオン性界面活性剤は、アニオン性界面活性剤の少なくとも70重量%、好ましくは少なくとも85重量%、より好ましくは100重量%のアルキルサルフェートアニオン性界面活性剤、アルキルアルコキシサルフェートアニオン性界面活性剤、又はそれらの混合物を含むことができる。
【0026】
改善された油脂除去と向上された洗浄速度との組み合わせを提供するために、アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤又はアルキルアルコキシサルフェートアニオン性界面活性剤のモル平均アルキル鎖長は、8~18個、好ましくは10~14個、より好ましくは12~14個、最も好ましくは12~13個の炭素原子であり得る。
【0027】
アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤又はアルキルアルコキシサルフェートアニオン性界面活性剤のアルキル鎖のC12及びC13鎖のモル分率は、少なくとも50%、好ましくは少なくとも65%、より好ましくは少なくとも80%、最も好ましくは少なくとも90%を有することができる。アルキル鎖のC13/C12モル比が少なくとも57/43、好ましくは60/40~90/10、より好ましくは60/40~80/20、最も好ましくは60/40~70/30であるとき、特に油脂汚れの存在下において、起泡持続性が特に改善されると同時に、粒子状汚れの存在における起泡持続性が損なわれることはない。
【0028】
アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤又はアルキルアルコキシサルフェートアニオン性界面活性剤中のC13及びC12アルキル鎖の相対モル量は、界面活性剤の炭素鎖長分布から導き出すことができる。アルキルサルフェート及びアルキルアルコキシサルフェート界面活性剤のアルキル鎖の炭素鎖長分布は、界面活性剤又はそれを構成するアルキルアルコールの供給元の技術データシートから入手することができる。代替的に、アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤又はアルキルアルコキシサルフェートアニオン性界面活性剤を作製するために使用される脂肪族アルコールの鎖長分布及び平均分子量は、当該技術分野において既知の方法によって決定することもできる。このような方法としては、溶媒としてヘキサンを使用する、中極性キャピラリカラムにおける炎イオン化検出を伴うキャピラリガスクロマトグラフィが挙げられる。鎖長分布は、出発アルコール及びアルコキシル化アルコールに基づく。したがって、アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤は、例えば塩酸を使用して、分析する前に加水分解して対応するアルキルアルコール及びアルキルアルコキシル化アルコールに戻さなければならない。
【0029】
アルキルアルコキシサルフェート界面活性剤は、本発明の組成物の、低温下での物理的安定性を改善し、起泡持続性を改善するために、3.5未満、好ましくは0.3~2.0、より好ましくは0.5~0.9の平均アルコキシル化度を有することができる。アルコキシル化された場合、エトキシル化が好ましい。
【0030】
平均アルコキシル化度は、全てのアルキルサルフェートアニオン性界面活性剤のアルコキシル化度のモル平均(すなわち、モル平均アルコキシル化度)である。したがって、モル平均アルコキシル化度を計算するとき、非アルコキシル化サルフェートアニオン性界面活性剤のモルが含まれる。
モル平均アルコキシル化度=(x1界面活性剤1のアルコキシル化度+x2界面活性剤2のアルコキシル化度+....)/(x1+x2+....)
(式中、x1、x2、...は、混合物の各アルキル(又はアルコキシ)サルフェートアニオン性界面活性剤のモル数であり、アルコキシル化度は、各アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤中のアルコキシ基の数である)。
【0031】
好ましいアルキルアルコキシサルフェートは、アルキルエトキシサルフェートである。
【0032】
アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤及びアルキルアルコキシサルフェートアニオン性界面活性剤は、少なくとも10%、好ましくは20%~60%、より好ましくは30%~50%の重量平均分岐度を有することができる。代替的に、アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤及びアルキルアルコキシサルフェートアニオン性界面活性剤は、10%未満の重量平均分岐度を有することができ、好ましくは、アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤及びアルキルアルコキシサルフェートアニオン性界面活性剤は分岐を含まない。
【0033】
アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤及びアルキルアルコキシサルフェートアニオン性界面活性剤は、界面活性剤の少なくとも5重量%、好ましくは少なくとも10重量%、最も好ましくは少なくとも25重量%のC2位における分枝を含むことができる(非アルコキシル化アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤のサルフェート基から炭素原子をカウントし、アルコキシル化アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤のサルフェート基から最も遠いアルコキシ基からカウントして測定したとき)。より好ましくは、分岐鎖アルキル全量の75重量%超、更により好ましくは90重量%超が、C1~C5アルキル部分、好ましくはC1~C2アルキル部分からなる。前述の分岐度を有するアルキルサルフェート界面活性剤又はアルキルアルコキシサルフェートを使用して本発明の組成物を配合した結果、低温安定性が改善されることが判明している。このような組成物は、低温における良好な物理的安定性を達成するために必要な溶媒がより少ない。したがって、組成物は、依然として改善された低温安定性を有しながら、液体洗浄組成物の重量に基づいて、5.0重量%未満などの、低濃度の有機溶媒を含むことができる。界面活性剤の分岐がより多いことによっても、初期起泡生成がより速くなるが、典型的には、起泡持続性が低くなる。本明細書に記載される重量平均分岐は、改善された低温安定性、初期泡生成、及び起泡寿命を提供することが判明している。
【0034】
アニオン性界面活性剤混合物の重量平均分枝度は、以下の式を使用して計算することができる:
重量平均分岐度(%)=[(x1アルコール1中の分岐鎖アルコール1の重量%+x2アルコール2中の分岐鎖アルコール2の重量%+....)/(x1+x2+....)]100
(式中、x1、x2、...は、アルキル(アルコキシ)サルフェートアニオン性界面活性剤を生成するために(アルコキシル化及び)硫酸化の前に出発物質として用いたアルコールの全アルコール混合物中の各アルコールの重量(グラム)である)。重量平均分枝度の計算では、分枝していないアルキルサルフェートアニオン性界面活性剤を形成するために使用されたアルキルアルコールの重量が含まれる。
【0035】
重量平均分岐度及び分岐分布は、通常、界面活性剤又はそれを構成するアルキルアルコールの技術データシートから得ることができる。代替的に、分岐は、溶媒としてヘキサンを使用する、中極性キャピラリカラムにおける炎イオン化検出を伴うキャピラリガスクロマトグラフィを含む、当該技術分野において既知の分析方法を通して決定することもできる。重量平均分枝度及び分枝分布は、アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤を生成するために使用した出発アルコールに基づく。
【0036】
好適な対イオンとしては、アルカリ金属カチオン、アルカリ土類金属カチオン、アルカノールアンモニウム、又はアンモニウム若しくは置換アンモニウムが挙げられるが、好ましくはナトリウムである。
【0037】
市販のアルキルサルフェートアニオン性界面活性剤の好適な例としては、Shellによってブランド名Neodol(登録商標)で、若しくはSasolによってブランド名Lial(登録商標)、Isalchem(登録商標)、及びSafol(登録商標)で販売されているアルコールに由来するもの、又はProcter&Gamble Chemicals社によって生産された天然アルコールのうちのいくつかが挙げられる。供給元からの技術データシートから又は当該技術分野において既知の方法を使用した分析から得られた、出発アルコール内のC13及びC12の相対分率に基づいて、C12及びC13鎖の所望のモル分率及び所望のC13/C12比を実現するためにアルコールをブレンドすることができる。
【0038】
最終製品の油脂洗浄、起泡、低温安定性、及び粘度を含む性能は、アルコキシル化アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤のアルコキシル化分布の幅によって影響され得る。アルコキシル化アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤を作製するときの触媒及びプロセス条件の選択を通して、アルコキシル化分布を、その幅の広さを含めて変化させることができる。
【0039】
理論によって拘束されることを望まないが、エトキシル化アルキルサルフェートが存在する場合、アルコキシル化、とりわけエトキシル化工程及び硫酸化工程の両方の間に、処理条件及び原料物質の組成を厳密に管理することにより、アルコキシル化、とりわけエトキシル化アルキルサルフェート内の1,4-ジオキサン副生物の量を低減させることができる。近年の技術進歩に基づいて、1,4-ジオキサン副生物の更なる低減は、その後のストリッピング、蒸留、溶媒蒸発、遠心分離、マイクロ波照射、分子ふるいがけ、又は接触分解工程若しくは酵素分解酵素工程により実現することができる。アルコキシル化/エトキシル化アルキルサルフェート内の1,4-ジオキサン含量を管理するプロセスは、当該技術分野において広く記載されている。代替として、5,6-ジヒドロ-3-(4-モルホリニル)-1-[4-(2-オキソ-1-ピペリジニル)-フェニル]-2-(1-H)-ピリドン、コラン酸の3-アルファ-ヒドロキシ-7-オキソ立体異性体混合物、3-(N-メチルアミノ)-L-アラニン及びこれらの混合物等の1,4-ジオキサン阻害剤を、1,4-ジオキサンを含む配合物に添加することによる、洗剤配合物内の1,4-ジオキサンレベルの管理もまた、当該技術分野において記載されている。
【0040】
本明細書での使用に好適なアニオン性アルキルスルホネート又はスルホン酸界面活性剤としては、酸及び塩形態の、アルキルベンゼンスルホネート、アルキルエステルスルホネート、一級及び二級アルカンスルホネート(パラフィンスルホネートなど)、アルファ又は内部オレフィンスルホネート、アルキルスルホン化(ポリ)カルボン酸、並びにこれらの混合物が挙げられる。好適なアニオン性スルホネート又はスルホン酸界面活性剤としては、C5~C20アルキルベンゼンスルホネート、より好ましくはC10~C16アルキルベンゼンスルホネート、より好ましくはC11~C13アルキルベンゼンスルホネート、C5~C20アルキルエステルスルホネート、特にC5~C20メチルエステルスルホネート、C6~C22一級若しくは二級アルカンスルホネート、C5~C20スルホン化(ポリ)カルボン酸、及びこれらの任意の混合物を含むが、好ましくはC11~C13アルキルベンゼンスルホネートが挙げられる。上記界面活性剤は、その2-フェニル異性体含有率が幅広く異なり得る。アルファオレフィンのスルホン化と比較して、内部オレフィンのスルホン化は、二重結合がランダムに位置付けられるためいずれの位置でも起こることができ、これにより、IOSの親水性スルホネート及びヒドロキシル基の位置がアルキル鎖の中央になることで、様々なツインテイル分岐構造が得られる。アルカンスルホネートとしては、パラフィンスルホネート及び他の二級アルカンスルホネート(ClariantからのHostapur SAS60など)が挙げられる。
【0041】
アルキルスルホサクシネート及びジアルキルスルホサクシネートエステルは、式MO3SCH(CO2R’)CH2CO2Rを有する有機化合物であり、R及びR’は、H又はアルキル基であり得、Mは、ナトリウム(Na)などの対イオンである。アルキルスルホサクシネート及びジアルキルスルホサクシネートエステル界面活性剤は、アルコキシル化又は非アルコキシル化、好ましくは非アルコキシル化であり得る。この界面活性剤系は、更なるアニオン性界面活性剤を含み得る。しかしながら、本組成物は、好ましくは、界面活性剤系の30重量%未満、好ましくは15重量%未満、より好ましくは10重量%未満の更なるアニオン性界面活性剤を含む。最も好ましくは、界面活性剤系は、更なるアニオン性界面活性剤、好ましくはアルキルサルフェートアニオン性界面活性剤以外のアニオン性界面活性剤を含まない。
【0042】
補助界面活性剤
希釈後の界面活性剤の充填を改善し、ひいては起泡持続性を改善するために、界面活性剤系は、補助界面活性剤を含み得る。補助界面活性剤は、両性界面活性剤、双性イオン性界面活性剤、及びこれらの混合物からなる群から選択することができる。
【0043】
アニオン性界面活性剤対補助界面活性剤の重量比は、1:1~8:1、好ましくは2:1~5:1、より好ましくは2.5:1~4:1であり得る。
【0044】
組成物は、好ましくは、洗浄組成物の0.1重量%~20重量%、より好ましくは0.5重量%~15重量%、特に2重量%~10重量%の補助界面活性剤を含む。
【0045】
本発明の洗浄組成物の界面活性剤系は、好ましくは、界面活性剤系の最大50重量%、好ましくは10重量%~40重量%、より好ましくは15重量%~35重量%の補助界面活性剤を含む。
【0046】
補助界面活性剤は、好ましくは両性界面活性剤、より好ましくはアミンオキシド界面活性剤である。
【0047】
アミンオキシド界面活性剤は、直鎖であっても分岐鎖であってもよいが、直鎖が好ましい。好適な直鎖アミンオキシドは、典型的には、水溶性であり、式R1-N(R2)(R3)O(式中、R1は、C8~18アルキルであり、R2及びR3部分は、C1~3アルキル基、C1~3ヒドロキシアルキル基、及びこれらの混合物からなる群から選択される)を特徴とする。例えば、R2及びR3は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、2-ヒドロキシエチル、2-ヒドロキシプロピル、及び3-ヒドロキシプロピル、並びにこれらの混合物からなる群から選択することができるが、R2及びR3の一方又は両方がメチルであることが好ましい。直鎖アミンオキシド界面活性剤としては、特に、直鎖C10~C18アルキルジメチルアミンオキシド及び直鎖C8~C12アルコキシエチルジヒドロキシエチルアミンオキシドを挙げることができる。
【0048】
好ましくは、アミンオキシド界面活性剤は、アルキルジメチルアミンオキシド、アルキルアミドプロピルジメチルアミンオキシド、及びこれらの混合物からなる群から選択される。C8~18アルキルジメチルアミンオキシド、又はC10~16アルキルジメチルアミンオキシド(ココジメチルアミンオキシドなど)などのアルキルジメチルアミンオキシドが特に好ましい。好適なアルキルジメチルアミンオキシドとしては、C10アルキルジメチルアミンオキシド界面活性剤、C10~12アルキルジメチルアミンオキシド界面活性剤、C12~C14アルキルジメチルアミンオキシド界面活性剤、又はこれらの混合物が挙げられる。C12~C14アルキルジメチルアミンオキシドが特に好ましい。
【0049】
代替的な好適なアミンオキシド界面活性剤としては、中分岐鎖アミンオキシド界面活性剤が挙げられる。本明細書で使用する場合、「中分枝鎖」とは、アミンオキシドが、n1個の炭素原子を有する1つのアルキル部分を有し、アルキル部分における1つのアルキル分枝は、n2個の炭素原子を有することを意味する。アルキル分岐は、アルキル部分上の窒素からアルファ炭素上に位置する。アミンオキシドのこの種の分岐は、当該技術分野において、内部アミンオキシドとしても既知である。n1とn2との合計は、10~24個、好ましくは12~20個、より好ましくは10~16個の炭素原子であってもよい。1つのアルキル部分の炭素原子数(n1)は、好ましくは、1つのアルキル分岐(n2)と炭素原子数が同じか又は類似しており、それによりその1つのアルキル部分とその1つのアルキル分岐とが対称となるようになっている。本明細書で使用する場合、「対称」とは、本明細書で使用される中分枝鎖アミンオキシドの少なくとも50重量%、より好ましくは少なくとも75重量%~100重量%において、|n1-n2|が5個以下、好ましくは4個、最も好ましくは0~4個の炭素原子であることを意味する。アミンオキシドは、C1~3アルキル、C1~3ヒドロキシアルキル基、又は平均約1~約3個のエチレンオキシド基を含有するポリエチレンオキシド基から独立して選択される2つの部分を更に含む。好ましくは、それらの2つの部分は、C1~3アルキルから選択され、より好ましくは、いずれもがC1アルキルとして選択される。
【0050】
代替的に、アミンオキシド界面活性剤は、ローカットアミンオキシド及びミッドカットアミンオキシドの混合物を含む、アミンオキシドの混合物であってもよい。それゆえ、本発明の組成物のアミンオキシドは、
a)アミンオキシドの重量に基づいて、約10重量%~約45重量%の式R1R2R3AO(式中、R1及びR2は、独立して、水素、C1~C4アルキル、又はこれらの混合物から選択され、R3は、C10アルキル及びこれらの混合物から選択される)のローカットアミンオキシドと、
b)アミンオキシドの55重量%~90重量%の式R4R5R6AO(式中、R4及びR5は、独立して、水素、C1~C4のアルキル、又はこれらの混合物から選択され、R6は、C12~C16のアルキル又はこれらの混合物から選択される)であるミッドカットアミンオキシドと、を含むことができる。
【0051】
本明細書での使用に好ましいローカットアミンオキシドでは、R3はn-デシルであり、好ましくはR1及びR2の両方がメチルである。式R4R5R6AOのミッドカットアミンオキシドでは、好ましくはR4及びR5の両方がメチルである。
【0052】
好ましくは、アミンオキシドは、アミンオキシドの重量に基づいて、約5重量%未満、より好ましくは3重量%未満の式R7R8R9AO(式中、R7及びR8は水素、C1~C4のアルキル及びこれらの混合物から選択され、R9はC8のアルキル及びこれらの混合物から選択される)のアミンオキシドを含む。式R7R8R9AOのアミンオキシドの量を制限することにより、物理的安定性及び起泡持続性の両方が改善される。
【0053】
好適な双性イオン性界面活性剤としては、ベタイン界面活性剤が挙げられる。このようなベタイン界面活性剤としては、アルキルベタイン、アルキルアミドベタイン、アミドアゾリニウムベタイン、スルホベタイン(INCIスルタイン)、並びにホスホベタインが挙げられ、好ましくは式(I)を満たす。
R1-[CO-X(CH2)-N(R2)(R3)-(CH-[CH(OH)-CH-Y-
式(I)中、
R1は、飽和又は不飽和のC6~22アルキル残基、好ましくは、C8~18アルキル残基、より好ましくは、飽和C10~16アルキル残基、最も好ましくは、飽和C12~14アルキル残基からなる群から選択され、
Xは、NH、NR4(式中、R4は、C1~4アルキル残基である)、O、及びSからなる群から選択され、
nは、1~10、好ましくは2~5、より好ましくは3の整数であり、
xは、0又は1、好ましくは1であり、
R2及びR3は、独立して、C1~4アルキル残基、ヒドロキシエチルなどの置換されているヒドロキシ、及びこれらの混合物からなる群から選択され、好ましくは、R2及びR3の両方がメチルであり、
mは、1~4の整数、好ましくは1、2、又は3の整数であり、
yは、0又は1であり、
Yは、COO、SO、OPO(OR5)O、又はP(O)(OR5)O(式中、R5は、H又はC1~4アルキル残基である)からなる群から選択される。
【0054】
好ましいベタインは、式(Ia)のアルキルベタイン、式(Ib)のアルキルアミドプロピルベタイン、式(Ic)のスルホベタイン、及び式(Id)のアミドスルホベタインであり、
【0055】
【化1】
式中、R1は、式(I)中と同じ意味を有する。特に好ましいのは、式(Ia)及び(Ib)のカルボベタイン[すなわち、式(I)中、Y=COOである]であり、より好ましいのは、式(Ib)のアルキルアミドベタインである。
【0056】
好適なベタインは、カプリル/カプラミドプロピルベタイン、セチルベタイン、セチルアミドプロピルベタイン、コカミドエチルベタイン、コカミドプロピルベタイン、ココベタイン、デシルベタイン、デシルアミドプロピルベタイン、水素添加タローベタイン/アミドプロピルベタイン、イソステアルアミドプロピルベタイン、ラウラミドプロピルベタイン、ラウリルベタイン、ミリスチルアミドプロピルベタイン、ミリスチルベタイン、オレアドプロピルベタイン、オレイルベタイン、パームアミドプロピルベタイン、パルミトアミドプロピルベタイン、パーム核アミドプロピルベタイン、ステアルアミドプロピルベタイン、ステアリルベタイン、タローアミドプロピルベタイン、タローベタイン、ウンデシレンアミドプロピルベタイン、ウンデシルベタイン、及びこれらの混合物からなる群から選択することができるか、又は[INCIに従って命名される]。好ましいベタインは、コカミドプロピルベタイン、ココベタイン、ラウラミドプロピルベタイン、ラウリルベタイン、ミリスチルアミドプロピルベタイン、ミリスチルベタイン、及びこれらの混合物からなる群から選択される。コカミドプロピルベタインが特に好ましい。
【0057】
非イオン性界面活性剤
この界面活性剤系は、非イオン性界面活性剤を更に含み得る。好適な非イオン性界面活性剤としては、アルコキシル化アルコール非イオン性界面活性剤、アルキルポリグルコシド非イオン性界面活性剤、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0058】
アルコキシル化アルコール非イオン性界面活性剤
好ましくは、本発明の組成物の界面活性剤系は、界面活性剤系の1重量%~25重量%、好ましくは1.25重量%~20重量%、より好ましくは1.5重量%~15重量%、最も好ましくは1.5重量%~5重量%のアルコキシル化非イオン性界面活性剤を更に含む。
【0059】
好ましくは、アルコキシル化アルコール非イオン性界面活性剤は、好ましくは、そのアルキル鎖において平均で9~15個、好ましくは10~14個の炭素原子、及びアルコール1モル当たり平均で5~12、好ましくは6~10、最も好ましくは7~8単位のエチレンオキシドを含む、直鎖又は分岐状の一級又は二級のアルキルアルコキシル化非イオン性界面活性剤、好ましくはアルキルエトキシル化非イオン性界面活性剤である。
【0060】
アルキルポリグルコシド非イオン性界面活性剤:
存在する場合、アルキルポリグルコシドは、界面活性剤組成物の0.5重量%~20重量%、好ましくは0.75重量%~15重量%、より好ましくは1重量%~10重量%、最も好ましくは1重量%~5重量%の濃度で界面活性剤系中に存在し得る。アルキルポリグルコシド非イオン性界面活性剤は、典型的には、アルキルエトキシル化アルコールなどの他の非イオン性界面活性剤よりも起泡性が高い。
【0061】
アルキルポリグルコシドと、アニオン性界面活性剤、特にアルキルサルフェートアニオン性界面活性剤との組み合わせは、重合油脂除去、起泡持続性能、界面活性剤及び/又は系の変化による粘度変化の低減、並びにより持続的なニュートンレオロジーを改善することが見出されている。
【0062】
アルキルポリグルコシド界面活性剤は、C6~C18アルキルポリグルコシド界面活性剤から選択することができる。アルキルポリグルコシド界面活性剤は、0.1~3.0、好ましくは1.0~2.0、より好ましくは1.2~1.6の数平均重合度を有することができる。アルキルポリグルコシド界面活性剤は、10個以下の炭素原子を含むアルキル鎖を有する短鎖アルキルポリグルコシド界面活性剤と、10個超の炭素原子~18個の炭素原子、好ましくは12~14個の炭素原子を含むアルキル鎖を有する中鎖から長鎖のアルキルポリグルコシド界面活性剤とのブレンドを含むことができる。
【0063】
短鎖アルキルポリグルコシド界面活性剤は、C8~C10の単モーダル鎖長分布を有し、中鎖から長鎖のアルキルポリグルコシド界面活性剤は、C10~C18の単モーダル鎖長分布を有する一方、中鎖アルキルポリグルコシド界面活性剤は、C12~C14の単モーダル鎖長分布を有する。対照的に、C8~C18アルキルポリグルコシド界面活性剤は、通常、C8~C16などのような、C8~C18のアルキル鎖の単モーダル分布を有する。したがって、短鎖アルキルポリグルコシド界面活性剤と中鎖から長鎖又は中鎖アルキルポリグルコシド界面活性剤との組み合わせは、ブレンドされていないC8~C18アルキルポリグルコシド界面活性剤よりも、幅広い鎖長分布を有するか、又は更にはバイモーダル分布を有する。好ましくは、短鎖アルキルポリグルコシド界面活性剤と長鎖アルキルポリグルコシド界面活性剤との重量比は、1:1~10:1、好ましくは1.5:1~5:1、より好ましくは2:1~4:1である。このような短鎖アルキルポリグルコシド界面活性剤と長鎖アルキルポリグルコシド界面活性剤とのブレンドは、起泡安定性の改善と組み合わされた、水中での洗剤溶液の一層迅速な溶解及び初期起泡の改善をもたらす。
【0064】
C8~C16アルキルポリグリコシドは、いくつかの供給元から市販されている(例えば、Seppic Corporation製のSimusol(登録商標)界面活性剤;並びにBASF Corporation製のGlucopon(登録商標)600 CSUP、Glucopon(登録商標)650 EC、Glucopon(登録商標)600 CSUP/MB、及びGlucopon(登録商標)650 EC/MB)。Glucopon(登録商標)215UPは、好ましい短鎖APG界面活性剤である。Glucopon(登録商標)600CSUPは、好ましい中鎖から長鎖のAPG界面活性剤である。
【0065】
好ましい組成物では、界面活性剤系は、10%未満の平均分岐度を有するアルキルサルフェートアニオン性界面活性剤と、アルキルポリグルコシド非イオン性界面活性剤と、を含むことができる。
【0066】
カチオン変性イヌリン化合物
食器手洗い用液体洗剤組成物は、カチオン変性イヌリン化合物(本明細書ではカチオン性イヌリンとも呼ばれる)を含む。本開示による食器手洗い用液体洗剤組成物は、組成物の約0.01重量%~約5重量%、又は約0.05重量%~約3重量%、又は約0.1重量%~約2重量%、又は約0.25重量%~約1.0重量%のカチオン性イヌリンを含み得る。
【0067】
炭水化物及び多糖類は、種々の洗剤製品に長く使用されてきた。しかしながら、食器手洗い用液体配合物内では、すすぎ感触特性及び/又は最終製品粘度を損なうことなく(又は更には改善する)改善されたすすぎ性能を提供するなど、改善された特性を有する炭水化物系化合物を特定する必要性が引き続き存在する。イヌリンは、D-フルクタンとして知られるクラスに属する天然に存在する多糖炭水化物の群である。
【0068】
イヌリンは、細菌起源、植物起源(例えば、イヌリンは、チコリ、ダリア、及び/又はキクイモから得られてもよい)、又はスクロースから出発する酵素合成によってインビトロで作製することができる。細菌によって産生されるイヌリンは、植物起源のイヌリンよりも分岐している傾向があり、典型的にはより高い分子量(約2,000ダルトン~約20,000,000ダルトンの範囲)を有する。植物起源のイヌリンは、一般に、2~約100の範囲の重合度(DP)を有する直鎖及びわずかに分岐した多糖鎖の多分散混合物であり、一般に約600ダルトン~約20,000ダルトンの範囲の分子量を有する。産業規模では、イヌリンは一般にチコリ又はキクイモの塊茎から調製され、イヌリンは新鮮な植物性材料の約10%~約20重量%の濃度で存在してもよい。公知の技術に従って、イヌリンは、植物から容易に抽出、精製、そして必要に応じて、単糖及び二糖並びに望ましくないオリゴ糖不純物を除去するために分画することができる。
【0069】
イヌリンは、鎖末端グルコシル部分及び反復フルクトシル部分を含み、これらはβ(2,1)結合によって連結されている。イヌリンの一般構造を以下に示す。
【0070】
【化2】
【0071】
イヌリンは、式GFn又はFnによって表すことができ、式中、Gはグルコシル単位を表し、Fはフルクトシル単位を表し、nは糖鎖中で互いに連結しているフルクトシル単位の数を表す整数である。イヌリン分子中のフルクトシル単位(Fnの場合、n)又はフルクトシル及びグルコシル単位(GFnの場合、n+1)の総数は、重合度(DP)と称され得る。イヌリンは、約2~約60の範囲の重合度を有し得る(10未満の重合度を有するイヌリン画分は、短鎖フルクト-オリゴ糖とみなされ得る)。イヌリンは、泡及びエマルジョンの安定性を改善することが見出されている。
【0072】
イヌリンは、1つ以上の利用可能なヒドロキシル基において、例えば、アルキル、アルコキシ、カルボキシ、カルボキシアルキル、又は第四級基で修飾されてもよく、それによって、修飾基の電荷に応じて、アニオン、非イオン、又はカチオン変性イヌリンを生成する。カチオン変性イヌリンを食器手洗い用液体洗剤組成物に組み込むことにより、組成物のすすぎやすさ及び改善された溶液感触に寄与することが判明した。カチオン性又はカチオン変性イヌリンは、カチオン性基を含むイヌリンの誘導体である。「正に帯電した有機基」、「正に帯電したイオン性基」、及び「カチオン性基」という用語は、本明細書では互換的に使用される。正に帯電した有機基は、それ自体が1つ以上の置換基を有してもよく、例えば、1つ以上のヒドロキシル基、酸素原子(ケトン基を形成する)、アルキル基、及び/又は少なくとも1つの追加の正に帯電した基で置換されていてもよい。カチオン性基の例には、置換アンモニウム基、カルボカチオン基、及びアシルカチオン基が含まれる。
【0073】
置換アンモニウム基は、以下に示す構造によって表すことができる。
【0074】
【化3】
式中、R、R、及びRは、各々独立して、水素原子、アルキル基、又はC~C24のアリール基を表し得る。炭素原子(C)は、正に帯電した有機基の炭素鎖の一部である。炭素原子はフルクトースモノマーに直接エーテル結合していてもよく、又は炭素原子はフルクトースモノマーにエーテル結合している2個以上の炭素原子の鎖の一部であってもよい。炭素原子(C)は、非置換(-CH-)又は置換(-CHR-又は(-CHR-)であってもよく、式中、R及び/又はRはそれぞれヒドロキシル基を表し得る。R、R、及び/又はRがアルキル基を表す場合、アルキル基は、C~C30アルキル基、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル、イコシル、ヘンイコシル、デコシル、トリコシル、テトラコシル、C25、C26、C27、C28、C29、又はC30基であり得る。アルキル基は、C~C24アルキル基、又はC~C18、又はC~C20アルキル基、又はC10~C16アルキル基、又はC~Cアルキル基であり得る。正に帯電した有機基が、2つ以上のアルキル基を有する置換アンモニウム基を含む場合、各アルキル基は、他と同じであってもよく、又は異なっていてもよい。R、R、及び/又はRがアリール基を表す場合、アリール基は、任意選択的にアルキル置換基で置換されているC~C24アリール基であり得る。アリール基は、任意選択的にアルキル置換基で置換されているC12~C24アリール基、又は任意選択的にアルキル置換基で置換されているC~C18アリール基であり得る。置換アンモニウム基は、「第一級アンモニウム基」、「第二級アンモニウム基」、「第三級アンモニウム基」、又は「第四級アンモニウム」基であり得る。第一級アンモニウム基において、R、R及びRの各々は水素原子である。第二級アンモニウム基において、R及びRの各々は水素原子であり、RはC~C30アルキル基又はC~C24アリール基であり得る。第三級アンモニウム基において、Rは水素原子であり、R及びRの各々は独立して、C~C24アルキル基又はC~C24アリール基から選択されてもよい。第四級アンモニウム基において、R、R及びRの各々は、独立して、C~C30アルキル基又はC~C24アリール基(R、R及びRのいずれも水素原子ではない)から選択される。好適な第四級アンモニウム基としては、トリアルキルアンモニウム基が挙げられ、R、R及びRの各々は、独立して、C~C30アルキル基(アルキル基は同じであっても異なっていてもよい)から選択される。
【0075】
カチオン変性イヌリンは、置換アンモニウム基、好ましくは置換第四級アンモニウム基、より好ましくは少なくとも1つのC1~C18アルキル基で置換された置換第四級アンモニウム基、更により好ましくは少なくとも1つのC1~C4アルキル基で置換された第四級アンモニウム基、更により好ましくは少なくとも2つのC1~C4アルキル基で置換された第四級アンモニウム基で置換されていてもよい。
【0076】
カチオン変性イヌリンは、カチオン性基でランダムに置換されていてもよく、これは、イヌリン化合物のフルクトース環上の置換基又は修飾が、パターンとは対照的に、非反復又はランダム様式で生じることを意味する。例えば、第1のフルクトース環上の置換又は修飾は、多糖鎖中の第2のフルクトース環上の置換又は修飾と同じであっても異なっていてもよい(例えば、置換基は同じであっても異なっていてもよく、及び/又はフルクトース環中の異なる原子上に存在してもよい)。更に、置換又は修飾は、鎖がランダムな順序で非置換及び置換フルクトース環を含むように、イヌリン多糖鎖に沿ってランダムに起こり得る。置換度も変化し得る。
【0077】
本明細書で使用するとき、「置換度」(degree of substitution、DoS)という用語は、修飾又は置換イヌリン化合物の各フルクトースモノマー単位(ルクトシル部分)において置換されたヒドロキシル基の数を指す。平均置換度は、修飾又は置換イヌリン化合物の各フルクトースモノマー単位(フルクトシル部分)において置換されたヒドロキシル基の平均数を指す。2つ以上の異なる置換基によって修飾されたイヌリン化合物については、置換度は、置換基によって特定されてもよく、又は異なる置換基の置換度の合計-全体の置換度であってもよい。本明細書で使用される場合、置換度が置換基によって特定されない場合、変性イヌリン化合物の全体的な置換度を意味する。また、イヌリン骨格の各フルクトシル部分に3個のヒドロキシル基が存在するので、置換度は3より大きくなり得ない。変性イヌリン化合物は、約0.01~約3.0の範囲の置換度を有し得る。置換度はまた、カチオン性置換度(例えば、カチオン性置換基の置換度の合計)又は正味のカチオン性置換度(例えば、カチオン性置換基並びに中性及び/又はアニオン性置換基によって修飾されたイヌリン化合物について)として記載され得る。置換度は、組成物中の変性イヌリン化合物の所望の溶解度を提供するように、及び/又は変性イヌリン化合物を含む組成物に所望の性能利益を提供するように選択され得る。
【0078】
カチオン性イヌリン(及び/又は未変性イヌリン骨格)は、少なくとも5の数平均重合度(DPn)又は重量平均重合度(DPw)を有し得る。DPn又はDPwは、約5~約200、又は約10~約100、又は約15~約50の範囲であってよい。数平均重合度は、イヌリン組成物中に存在するイヌリン分子の総数で割ったイヌリン組成物中の糖単位(フルクトシル単位又はフルクトシル及びグルコシル単位)の総数に対応する値である(一般に、グルコース、フルクトース、又はスクロースなどの不純物の存在の可能性は考慮しない)。
【0079】
カチオン変性イヌリンは、約500~約25,000ダルトン、又は約800~約10,000ダルトン、又は約1,000~約7,500ダルトンの重量平均分子量を有してもよい。カチオン性イヌリンの重量平均分子量は、用途及び/又は意図される利益に基づいて選択され得る。
【0080】
カチオン変性イヌリンは、カチオン基による変性の前に決定される、約500~約25,000ダルトン、又は約800~約10,000ダルトン、又は約1,000~約5,000ダルトンの重量平均分子量を有するイヌリン主鎖から誘導され得る。イヌリン骨格の重量平均分子量は、用途及び/又は意図される利益に基づいて選択され得る。
【0081】
カチオン変性イヌリンは、約0.001~約3、好ましくは約0.01~約3.0、より好ましくは約0.1~約3.0、最も好ましくは約0.5~約3.0又は約1.0~約3.0の置換度を有し得る。
【0082】
カチオン変性イヌリンは、カチオン電荷密度によって特徴付けられ得る。カチオン電荷密度は、化合物1グラム当たりの電荷のミリ当量(meq/mol)として表すことができる。本開示のカチオン変性イヌリン化合物は、約0.05~約12meq/g、又は約0.1~約9meq/g、又は約0.5~約6meq/g、又は約1.0~約4meq/gのカチオン電荷密度(又はcationic charge density、「CCD」)を特徴とし得る。
【0083】
カチオン変性イヌリンは、以下の特徴のうちの1つ以上によって特徴付けられ得る:(a)約5~約200の数平均重合度、(b)約5~約200の重量平均重合度、(c)約500~約25,000ダルトンの重量平均分子量、(d)(カチオン変性の前に決定される)約500~約25,000ダルトンの重量平均分子量を有するイヌリン骨格から誘導され、(e)約0.01~約3.0の置換度、及び/又は約0.05~約12meq/gのカチオン電荷密度。
【0084】
重合度(数平均(DPn)及び重量平均(DPw))、置換度、及びカチオン電荷密度を決定する方法は公知である。
【0085】
好適なカチオン変性イヌリン化合物は、Cosun Beet社からQuatin(登録商標)の商品名で入手可能である。
【0086】
更なる成分
本組成物は、両親媒性アルコキシル化ポリアルキレンイミン、環状ポリアミン、トリブロックコポリマー、ヒドロトロープ、有機溶媒、本明細書に記載されているものなどの他の補助成分、及びこれらの混合物から選択されるものなどの更なる成分を含むことができる。
【0087】
両親媒性アルコキシル化ポリアルキレンイミン
本発明の組成物は、組成物全体の0.05重量%~2重量%、好ましくは0.07重量%~1重量%の両親媒性ポリマーを更に含むことができる。好適な両親媒性ポリマーは、両親媒性アルコキシル化ポリアルキレンイミン及びこれらの混合物からなる群から選択され得る。両親媒性アルコキシル化ポリアルキレンイミンポリマーは、その液体組成物を洗浄前に洗浄用具(スポンジなど)に直接添加し、その後、ひどく油脂で汚れた表面と接触するとき、とりわけ、洗浄用具が少量~ゼロの水を含むとき、例えば、予め軽く湿らせたスポンジを使用するときに、洗浄される硬質表面上におけるゲル形成を低減することが判明している。
【0088】
好ましい両親媒性アルコキシル化ポリエチレンイミンポリマーは、式(I)の一般構造を有する:
【0089】
【化4】
(式中、ポリエチレンイミン骨格は、重量平均分子量600を有しており、式(I)のnは平均10であり、式(I)のmは平均7であり、式(I)のRは、水素、C~Cアルキル、及びこれらの混合物、好ましくは水素から選択される)。式(I)の永久的な四級化度は、ポリエチレンイミン骨格の窒素原子の0%~22%であってもよい。この両親媒性アルコキシル化ポリエチレンイミンポリマーの分子量は、好ましくは、10,000~15,000Daである。
【0090】
より好ましくは、両親媒性アルコキシル化ポリエチレンイミンポリマーは、式(I)の一般構造を有しているが、ポリエチレンイミン骨格は、重量平均分子量600Daを有しており、式(I)のnは平均24であり、式(I)のmは平均16であり、式(I)のRは、水素、C~Cアルキル、及びこれらの混合物、好ましくは水素から選択される。式(I)の永久的な四級化度は、ポリエチレンイミン骨格の窒素原子の0%~22%であってもよく、好ましくは0%である。この両親媒性アルコキシル化ポリエチレンイミンポリマーの分子量は、好ましくは25,000~30,000、最も好ましくは28,000Daである。
【0091】
両親媒性アルコキシル化ポリエチレンイミンポリマーは、国際公開第2007/135645号により詳細に記載されている方法によって作製することができる。
【0092】
代替的に、組成物は、両親媒性ポリマーを含まなくてもよい。
【0093】
環状ポリアミン
本組成物は、洗浄の一助となるアミン官能基を有する環状ポリアミンを含むことができる。本発明の組成物は、好ましくは、当該組成物の0.1重量%~3重量%、より好ましくは0.2重量%~2重量%、とりわけ0.5重量%~1重量%の環状ポリアミンを含む。
【0094】
環状ポリアミンは、少なくとも2つの一級アミン官能基を有する。一級アミンは、環状アミン内の任意の位置に存在してもよいが、油脂洗浄の観点から、一級アミンが1、3位に存在するときにより良好な性能が得られることが分かっている。置換基のうちの1個が-CH3であり、残りがHである環状アミンが、改善された油脂洗浄性能を提供することも判明している。
【0095】
したがって、本発明の洗浄組成物で使用するのに最も好ましい環状ポリアミンは、2-メチルシクロヘキサン-1,3-ジアミン、4-メチルシクロヘキサン-1,3-ジアミン、及びこれらの混合物からなる群から選択される環状ポリアミンである。これら特定の環状ポリアミンは、本発明の組成物の界面活性剤系と共に配合されたとき、食器洗いプロセス全体を通して起泡及び油脂洗浄プロファイルを改善する機能を有する。
【0096】
好適な環状ポリアミンは、Baxxodurという商標名で、BASFにより供給され得、Baxxodur ECX-210が特に好ましい。
【0097】
環状ポリアミン及び硫酸マグネシウムの組み合わせが特に好ましい。したがって、本組成物は、当該組成物の0.001重量%~2.0重量%、好ましくは0.005重量%~1.0重量%、より好ましくは0.01重量%~0.5重量%のレベルの硫酸マグネシウムを更に含むことができる。
【0098】
トリブロックコポリマー
本発明の組成物は、トリブロックコポリマーを含むことができる。トリブロックコポリマーは、組成物全体の1重量%~20重量%、好ましくは3重量%~15重量%、より好ましくは5重量%~12重量%のレベルで存在することができる。好適なトリブロックコポリマーは、式(I):(EO)(PO)(EO)によるアルキレンオキシド部分を有するトリブロックコポリマーとして定義される、アルキレンオキシドトリブロックコポリマーを含み、EOは、エチレンオキシドを表し、xはそれぞれ、EOブロック内のEO単位の数を表す。xはそれぞれ、独立して、平均で5~50、好ましくは10~40、より好ましくは10~30とすることができる。好ましくは、xは、両EOブロックについて同じであり、「同じ」とは、2つのEOブロック間でxの差が最大2単位以内、好ましくは最大1単位以内であり、より好ましくは、両xが同じ単位数であることを意味する。POは、プロピレンオキシドを表し、yは、POブロック中のPO単位の数を表す。yはそれぞれ、平均で28~60、好ましくは30~55、より好ましくは30~48とすることができる。
【0099】
好ましくは、トリブロックコポリマーの、yの各xに対する比は、3:1~2:1である。トリブロックコポリマーの、yの2つのEOブロックの平均xに対する比は、好ましくは3:1~2:1である。好ましくは、トリブロックコポリマーは、トリブロックコポリマーの30重量%~50重量%となる全E-Oの平均重量割合を有する。好ましくは、トリブロックコポリマーは、トリブロックコポリマーの50重量%~70重量%となる全POの平均重量割合を有する。トリブロックコポリマーの場合のEO及びPOの平均総重量%は合計100%になることが理解される。トリブロックコポリマーは、2060~7880、好ましくは2620~6710、より好ましくは2620~5430、最も好ましくは2800~4700の平均分子量を有することができる。平均分子量は、1H NMR分光法(Thermo scientific application note No.AN52907を参照)を用いて求められる。
【0100】
トリブロックコポリマーは、基本構造ABAを有し、A及びBは異なるホモポリマー及び/又はモノマーの単位である。この場合、Aはエチレンオキシド(EO)であり、Bはプロピレンオキシド(PO)である。当業者は、語句「ブロックコポリマー」が「ブロックポリマー」のこの定義と同義であることを認識するであろう。
【0101】
特定のEO/PO/EO配置及びそれぞれのホモポリマーの長さを有する式(I)によるトリブロックコポリマーは、脂性汚れの存在下における液体食器手洗い用洗剤組成物の起泡持続性能及び/又は洗浄プロセスにおける希釈全体にわたる起泡の稠度を増強することが見出されている。
【0102】
好適なEO-PO-EOトリブロックコポリマーは、例えばPluronic(登録商標)PEシリーズとしてBASFから、また、例えばTergitol(商標)LシリーズとしてDow Chemical Companyから市販されている。BASF製の特に好ましいトリブロックコポリマーは、商標名Pluronic(登録商標)PE6400(MW約2900、約40重量%EO)及びPluronic(登録商標)PE 9400(MW約4600、40重量%EO)で販売されている。Dow Chemical Company製の特に好ましいトリブロックコポリマーは、商標名Tergitol(商標)L64(MW約2700、約40重量%EO)で販売されている。
【0103】
好ましいトリブロックコポリマーは、好気条件下で容易に生分解する。
【0104】
塩、ヒドロトロープ、有機溶媒
本発明の組成物は、i)塩、ii)ヒドロトロープ、iii)有機溶媒、及びこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの活性物質を更に含み得る。
【0105】

本発明の組成物は、組成物全体の約0.05重量%~約2重量%、好ましくは約0.1重量%~約1.5重量%、又はより好ましくは約0.5重量%~約1重量%の塩、好ましくは一価若しくは二価の無機塩、又はこれらの混合物、より好ましくは、塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム、及びこれらの混合物から選択される塩を含み得る。塩化ナトリウムが最も好ましい。
【0106】
ヒドロトロープ
本発明の組成物は、組成物全体の約0.1重量%~約10重量%、又は好ましくは約0.5重量%~約10重量%、又はより好ましくは約1重量%~約10重量%のヒドロトロープ又はその混合物、好ましくはクメンスルホン酸ナトリウムを含み得る。
【0107】
有機溶媒
組成物は、組成物全体の重量に基づいて、約0.1重量%~約10重量%、又は好ましくは約0.5重量%~約10重量%、又はより好ましくは約1重量%~約10重量%の有機溶媒を含み得る。好適な有機溶媒としては、アルコール、グリコール、グリコールエーテル、及びこれらの混合物、好ましくはアルコール、グリコール、及びこれらの混合物からなる群から選択される有機溶媒が挙げられる。エタノールが好ましいアルコールである。ポリアルキレングリコール、特にポリプロピレングリコールは、好ましいグリコールであり、750Da~1,400Daの重量平均分子量を有するポリプロピレングリコールが特に好ましい。
【0108】
補助成分
本洗浄組成物は、場合により、ビルダー(好ましくはシトレート)、キレート剤、コンディショニングポリマー、他の洗浄ポリマー、表面改質ポリマー、構造化剤、皮膚軟化剤、湿潤剤、皮膚若返り活性物質、酵素、カルボン酸、スクラブ粒子、香料、悪臭抑制剤、顔料、染料、乳白剤、真珠光沢粒子、Ca/Mgイオンなどのアルカリ土類金属などの無機カチオン、抗菌剤、防腐剤、粘度調整剤(例えば、NaCl、並びに他の一価、二価、及び三価の塩などの塩)、並びにpH調整剤及び緩衝手段(例えば、クエン酸などのカルボン酸、HCl、NaOH、KOH、アルカノールアミン、炭酸ナトリウム、重炭酸塩、セスキ炭酸塩などの炭酸塩など)などの多くの他の補助成分を含み得る。
【0109】
パッケージ製品
食器手洗い用洗剤組成物は、容器、典型的には、プラスチック容器に包装することができる。好適な容器は、オリフィスを含む。好適な容器としては、オリフィスが容器の上部にある従来の直立型投与容器、及びオリフィスが容器の底部にある倒立型/底部投与容器が挙げられる。倒立/底部投与容器の場合、オリフィスはキャップされてもよく、及び/又はオリフィスは、米国特許第10,611,531号に記載されているようなスリットバルブを備えてもよい。典型的には、容器は、キャップを備え、オリフィスは、典型的には、キャップ上に備えられる。キャップは、注入口を備えることができ、オリフィスは、注入口の出口にある。注入口は、0.5mm~10mmの長さを有することができる。
【0110】
オリフィスは、出口で3mm2~20mm2、好ましくは3.8mm2~12mm2、より好ましくは5mm2~10mm2の開放断面積を有することができ、容器は、本発明による組成物を更に含む。断面積は、容器からの液体出口に垂直(すなわち、分配中に液体流に垂直)に測定される。
【0111】
容器は、典型的には、200mL~5,000mL、好ましくは350mL~2000mL、より好ましくは400mL~1,000mLの液体食器手洗い用洗剤組成物を含むことができる。
【0112】
洗浄方法
本発明は、更に、本発明の組成物で食器類を手作業で洗う方法を対象とする。本方法は、本発明の組成物を所定の体積の水に供給して洗浄溶液を形成する工程と、溶液中に食器類を浸漬する工程と、を含む。食器類は、水の存在下において組成物で洗浄される。
【0113】
食器類をすすいでもよい。本明細書では、「すすぐ」とは、本発明によるプロセスで洗浄された食器類を、かなりの量の適切な溶媒、典型的には水と接触させることを意味する。「かなりの量」とは、通常、約1~約20L又は流水下を意味する。
【0114】
本明細書の組成物は、その希釈形態で塗布され得る。汚れた食器類を、有効量、典型的には(処理される食器約25個当たり)約0.5mL~約20mL、好ましくは約3mL~約10mLの、水で希釈した本発明の洗剤組成物と、好ましくは液体形態で接触させる。使用される洗浄組成物の実際の量はユーザの判断に基づき、典型的には、洗浄組成物中の有効成分の濃度などを含む洗浄組成物の特定の製品配合、洗浄される汚れた食器の数、食器の汚れの度合などの要因に依存する。一般に、約0.01mL~約150mL、好ましくは約3mL~約40mLの本発明の洗浄組成物を、シンク内の約2,000mL~約20,000mL、より典型的には約5,000mL~約15,000mLの水と組み合わせる。このように得られた希釈された洗浄組成物の入ったシンク内に汚れた食器類を浸漬した後、食器類の汚れた表面を、布、スポンジ、又は類似の洗浄用具と接触させる。布、スポンジ、又は類似の洗浄用具を、食器類と接触させる前に洗浄組成物と水との混合物に浸漬してもよく、典型的には、約1~約10秒間の範囲の時間にわたって食器類と接触させるが、実際の時間は各用途及びユーザによって異なる。布、スポンジ、又は類似の洗浄用具を食器類と接触させることは、同時に食器類をこすることを伴う。
【0115】
代替的に、処理される食器に、その未希釈形態の本明細書における組成物を施用することができる。本明細書では、「その未希釈の形態」とは、当該組成物が、施用前(直前)にユーザによる何ら有意な希釈を受けることなく、処理される表面に直接、あるいはブラシ、スポンジ、不織材料若しくは織布材料などの洗浄装置又は用具に施用されることを意味する。「その未希釈形態で」はまた、例えば、洗浄用装置表面の水の存在に起因するわずかな希釈、又は瓶から組成物の残存量を除去するための消費者による水の添加を含む。したがって、未希釈形態の組成物は、ユーザの習慣及び洗浄作業に応じて、50:50~100:0、好ましくは70:30~100:0、より好ましくは80:20~100:0、更により好ましくは90:10~100:0の範囲の比で、組成物と水とを有する混合物を含む。
【0116】
試験方法
A)泡すすぎ試験方法:
一致する露光条件を用いた平行測定を可能にするために、円錐遠心管(50ml、Falcon(商標)の商品名でCorningによって供給される)を、プレースホルダラックに一緒に取り付ける。
1.室温(20℃)で目標水硬度の水中でそれぞれの洗剤組成物の1.0重量%溶液からなる、各脚に対する10gの試験溶液を各管内に添加する。
2.起泡を生成するために、液体が各ストローク運動工程の間にスクリューキャップと一度接触するように、全ての管を1秒当たり2ストロークの速度で垂直上下方向に10回同時に振盪する(1ストロークは25cmの垂直上下運動を反映する)。
3.振盪後30秒以内に、初期起泡体積(ml単位)が決定される。
4.次いで、液体は、起泡のみが残るようにデカントされる。
5.次いで、起泡を含有する遠心管を、20℃で目標水硬度の10mLの水すすぎ溶液を用いて管壁を介して、較正されたボトルディスペンサ(Sigma AldrichからのDispensette(登録商標)ボトルディスペンサなど)を介して穏やかに充填する。
6.全てのチューブをまた同時に2回振盪する。
7.振盪後30秒以内に、起泡体積を再測定し、液体を再度デカントする。このようにして、工程5~7は、すすぎサイクルを表す。
8.すすぎサイクルを、起泡体積が0mlに達するまで繰り返す。
9.以下のデータをボルツマンフィッティングによって取得し、3回の複製の平均を報告した:出発起泡体積-v50(出発起泡体積の半分に達するサイクルの量)。曲線のボルツマンフィッティングは、非線形回帰によって行われる:Start/(1+exp(-(v50-cycle)/slope))。
【0117】
B)溶液触感方法:
0.5重量%の各それぞれの洗剤組成物を、室温(20℃)℃で2dH水中で調製する。カチオン変性イヌリン化合物溶液を含有しない参照洗剤組成物、及び洗剤組成物の0.5重量%のカチオン変性イヌリン化合物溶液を含有する洗剤組成物を、一対の比較のために調製する。洗剤組成物の0.5重量%のカチオン変性ヒドロキシエチルセルロースを含有する第2の参照洗剤組成物も調製する。この評価は、感覚専門家パネルによって行われる。試験員は、それらの感覚の鋭敏さ、生成物を説明する能力、及び感覚におけるそれらの個人的関心に基づいて選択される。試験員は、記述的分析から顕著な異なる組成物まで及ぶ感覚評価を行うように訓練される。評価は、制御された温度及び湿度の研究室:21℃(±1.7℃)及び45%RH(±5%RH)で行われる。各試験員は、最初に、室温(20℃)で軟水(2dH)で手を洗浄し、次いで、自分の手を乾燥させる。次いで、各試験員は、試験溶液(試験溶液1中の左手、試験溶液2中の右手)に手を導入し、少なくとも10秒間試験溶液中で自分の指をゆっくりとこする。試験員は、2つの試料のどちらがより滑り感を有するかを決定する。次いで、試験員は、次の生成物対を評価する前に、室温(20℃)℃で軟水(2dH)で再び手を洗浄し、自分の手を乾燥させる。この評価は、8~10人の試験員によって行われ、それらのスコアは合計される(スコアは低ければ低いほど、より良好である)。
【0118】
C)粘度試験方法:
粘度は、20℃で60mmの1°コーン及び52マイクロメートルのギャップサイズを使用して、制御された応力レオメーター(Thermo ScientificのHAAKE MARS又は等価物など)を使用して測定される。2分間温度平衡化した後、試料を10秒-1の剪断速度で30秒間剪断する。食器手洗い用液体洗剤組成物の報告された粘度は、15秒~30秒の剪断の平均剪断応力を、20℃で10秒-1の加えられた剪断速度で割ったものとして定義される。
【実施例
【0119】
以下に提供される実施例は、事実上例示を意図するものであり、限定することを意図するものではない。
【0120】
実施例1.泡すすぎ試験
以下の比較試験は、本開示に記載されるように、カチオン変性イヌリン化合物を用いて洗剤組成物を配合することによって達成されるすすぎの改善を実証する。
【0121】
以下の表1及び2に記載される洗剤組成物1~4及びA~Hは、バッチタイプ製造プロセスにおいて列挙された材料を混合することによって調製される。表1の洗剤組成物は、アルキルエトキシサルフェートアニオン性界面活性剤及びアミンオキシド補助界面活性剤を含有する。表2の洗剤組成物は、アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤及びベタイン界面活性剤を含有する。
【0122】
洗剤組成物1~4は、0.5%の本開示によるカチオン変性イヌリン化合物を含む。比較洗剤組成物A及びEは、イヌリン化合物を含まない。比較洗剤組成物B~D及びF~Hは、0.5%の未変性イヌリン化合物(B、F)又はアニオン変性イヌリン化合物(C、D、G、H)を含む。
【0123】
表1及び2は、上記の試験方法を使用して、初期起泡体積、並びに得られたv50起泡体積を示す。
【0124】
【表1】
BASFによって供給されるBaxxodur(登録商標)EC210の商品名で供給された、4-メチルシクロヘキサン-1,3-ジアミンと2-メチルシクロヘキサン-1,3-ジアミンとの環状ジアミン混合物。
Dow companyによって供給された、EO-PO-EOトリブロックコポリマー。
Cosun Beet Companyによって供給された、未変性イヌリン。
Cosun Beet Companyによって供給された、カルボキシメチルイヌリン(置換度1.5%)。
Cosun Beet Companyによって供給された、カルボキシメチルイヌリン(置換度2.5%)。
Cosun Beet Companyによって供給された、カチオン変性イヌリン(MWイヌリン主鎖=3000g/mol、カチオン電荷密度=1.5meq/g)。
Cosun Beet Companyによって供給された、カチオン変性イヌリン(MWイヌリン主鎖=4000g/mol、カチオン電荷密度=2.92meq/g)。
【0125】
【表2】
【0126】
実施例1~4対比較例A~Hの泡すすぎデータを比較することによって分かるように、様々なカチオン変性イヌリン化合物の組み込みは、様々な洗剤配合物において、改善されたすすぎ性プロファイルを提供する。また、改善されたすすぎ性は、カチオン変性イヌリン化合物を含有する配合物について観察されるが、未変性(B、F)又はアニオン変性イヌリン化合物(C、D、G、H)を含有する配合物については観察されない。
【0127】
実施例2.溶液触感試験
以下の比較試験は、既知のカチオン変性セルロースエーテル化合物を用いた洗剤組成物、並びにカチオンイヌリン変性化合物を含まない洗剤組成物を配合することと比較して、本開示に従って、カチオン変性イヌリン化合物を用いて洗剤組成物を配合することによって達成される溶液感触への影響を実証する。
【0128】
以下の表3に記載される洗剤組成物5、I、及びJは、バッチタイプ製造プロセスにおいて列挙された材料を混合することによって調製される。洗剤組成物5は、0.5%の本開示によるカチオン変性イヌリン化合物を含む。比較用洗剤組成物Iは、カチオン変性イヌリン化合物又はカチオン変性セルロースエーテル化合物を含まないが、比較用組成物Jは、カチオン変性セルロースエーテル化合物を含む。表3はまた、上記の方法を使用して測定された溶液感触データを含む。
【0129】
【表3】
Dow companyによって供給された、カチオン変性セルロースエーテル化合物、%N 1.5-2.2。
【0130】
実施例2対比較例I及びJについての溶液感触データを比較することから分かるように、カチオン変性イヌリン化合物の組み込みは改善された溶液感触を提供するが、既知のカチオン変性セルロースエーテル化合物の組み込みは劣った溶液感触を提供する。
【0131】
実施例3.粘度
以下の比較試験は、公知のカチオン変性セルロースエーテル化合物を用いて洗剤組成物を配合することと比較して、本開示に記載されるカチオン変性イヌリン化合物を用いて洗剤組成物を配合することの最終製品粘度に対する効果を実証する。
【0132】
表4の洗剤組成物A、J~N、1、及び2は、バッチタイプ製造プロセスにおいて列挙された材料を混合することによって調製される。洗剤組成物Aは、イヌリン化合物又はカチオン変性セルロースエーテル化合物を含まない。洗剤組成物J~Nは、様々な既知のカチオン変性セルロースエーテル化合物を含む。洗剤組成物1及び2は、0.5%の本開示によるカチオン変性イヌリン化合物を含む。表4はまた、上記の方法を使用して測定された、それぞれの洗剤配合物の最終製品粘度を示す。
【0133】
【表4】
Dow companyによって供給された、カチオン変性セルロースエーテル化合物。
10Nouryonによって供給された、カチオン変性セルロースエーテル化合物。
11Dow companyによって供給された、カチオン変性セルロースエーテル化合物。
12Dow companyによって供給された、カチオン変性セルロースエーテル化合物。
【0134】
実施例1~2対比較例A及びJ~Nの最終製品粘度を比較することによって分かるように、様々なカチオン変性イヌリン化合物の組み込みは、最終製品粘度にほとんど影響を及ぼさないが、既知のカチオン変性セルロースエーテル化合物の組み込みは、最終製品粘度を有意に増加させる。
【0135】
要約すると、本開示に記載されるカチオン変性イヌリン化合物の組み込みは、最終製品粘度への影響を最小限に抑えながら、改善された泡すすぎ及び改善された溶液感触プロファイルをもたらす。対照的に、既知のカチオン変性セルロースエーテル化合物の組み込みは、劣った溶液感触プロファイルをもたらし、最終製品粘度に著しく影響を及ぼす。
【0136】
本明細書に開示される寸法及び値は、列挙された正確な数値に厳密に限定されるものとして理解されるべきではない。その代わりに、特に指示がない限り、そのような寸法は各々、列挙された値とその値を囲む機能的に同等な範囲との両方を意味することが意図される。例えば、「40mm」と開示された寸法は、「約40mm」を意味することが意図される。
本明細書では以下の発明を開示する。
[A]食器手洗い用液体洗剤組成物であって、
a)前記食器手洗い用液体洗剤組成物の5.0重量%~50重量%の界面活性剤系であって、
i.アルキルサルフェート界面活性剤、アルキルアルコキシサルフェート界面活性剤、アルキルスルホネート界面活性剤、アルキルスルホコハク酸塩及びジアルキルスルホサクシネートエステル界面活性剤、並びにこれらの混合物からなる群から選択されるアニオン性界面活性剤と、
ii.両性補助界面活性剤、双性イオン補助界面活性剤、及びこれらの混合物からなる群から選択される補助界面活性剤と、を含む、界面活性剤系と、
b)カチオン変性イヌリン化合物、好ましくはカチオン変性が、置換アンモニウム基、好ましくは置換第四級アンモニウム基、より好ましくは少なくとも1つのC1~C18アルキル基で置換された置換第四級アンモニウム基、更により好ましくは少なくとも1つのC1~C4アルキル基で置換された第四級アンモニウム基、更により好ましくは少なくとも2つのC1~C4アルキル基で置換された第四級アンモニウム基、更により好ましくはトリメチルアンモニウム基を含む、カチオン変性イヌリン化合物と、を含む、食器手洗い用液体洗剤組成物。
[B]前記カチオン変性イヌリン化合物が、以下の
i.少なくとも5、好ましくは5~200、より好ましくは10~100、更により好ましくは15~50の重量平均重合度、
ii.500~25,000ダルトン、好ましくは800~10,000ダルトン、より好ましくは1,000~7,500ダルトンの重量平均分子量、
iii.少なくとも1つの正に帯電した有機基での置換前に決定された、500~25,000ダルトン、好ましくは800~10,000ダルトン、より好ましくは1,000~5,000ダルトンの重量平均分子量を有するイヌリン骨格から誘導され、
iv.0.01~3.0、好ましくは0.1~3.0、より好ましくは0.5~3.0、最も好ましくは1.0~3.0の置換度、
v.0.05~12meq/g、好ましくは0.1~9meq/g、より好ましくは0.5~6meq/g、更により好ましくは1.0~4meq/gのカチオン電荷密度(又は「CCD」)のうちの1つ以上によって特徴付けられる、[A]に記載の食器手洗い用液体洗剤組成物。
[C]前記カチオン変性が、置換第四級アンモニウムヒドロキシアルキル基、好ましくは第四級アンモニウムヒドロキシメチル基、第四級アンモニウムヒドロキシエチル基、第四級アンモニウムヒドロキシプロピル基、又はこれらの混合を含む、[A]又は[B]に記載の食器手洗い用液体洗剤組成物。
[D]前記カチオン変性が、トリメチルアンモニウムヒドロキシアルキル基、好ましくはトリメチルアンモニウムヒドロキシプロピル基を含む、[A]~[C]のいずれかに記載の食器手洗い用液体洗剤組成物。
[E]前記洗剤組成物が、前記洗剤組成物の0.01重量%~5重量%、好ましくは0.05重量%~3重量%、より好ましくは0.1重量%~2重量%、更により好ましくは0.25重量%~1.0重量%の前記カチオン変性イヌリン化合物を含む、[A]~[D]のいずれかに記載の食器手洗い用液体洗剤組成物。
[F]前記組成物が、前記洗剤組成物の6.0重量%~40重量%、好ましくは15重量%~35重量%の前記界面活性剤系を含む、[A]~[E]のいずれかに記載の食器手洗い用液体洗剤組成物。
[G]前記界面活性剤系が、前記界面活性剤系の少なくとも40%、好ましくは50重量%~90重量%、より好ましくは65重量%~85重量%の前記アニオン性界面活性剤を含む、[A]~[F]のいずれかに記載の食器手洗い用液体洗剤組成物。
[H]前記アニオン性界面活性剤が、前記アニオン性界面活性剤の少なくとも70重量%、好ましくは少なくとも85重量%、より好ましくは100重量%のアルキルサルフェートアニオン性界面活性剤を含み、好ましくは、前記アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤が、8~18個の炭素原子、好ましくは10~14個の炭素原子、より好ましくは12~14個の炭素原子、更により好ましくは12~13個の炭素原子の数平均アルキル鎖長を有する、[A]~[G]のいずれかに記載の食器手洗い用液体洗剤組成物。
[I]前記アニオン性界面活性剤が、前記アニオン性界面活性剤の少なくとも70重量%、好ましくは少なくとも85重量%、より好ましくは100重量%のアルキルアルコキシサルフェートアニオン性界面活性剤、好ましくはアルキルエトキシサルフェート界面活性剤を含み、好ましくは、前記アルキルアルコキシサルフェートアニオン性界面活性剤が、3.5未満、より好ましくは0.3~2.0、更により好ましくは0.5~0.9の平均アルコキシル化度を有する、[A]~[I]のいずれかに記載の食器手洗い用液体洗剤組成物。
[J]前記アニオン性界面活性剤が、少なくとも10%、好ましくは20%~60%、より好ましくは30%~50%の重量平均分岐度を有するアルキルサルフェートアニオン性界面活性剤又はアルキルアルコキシサルフェートアニオン性界面活性剤を含む、[A]~[I]のいずれかに記載の食器手洗い用液体洗剤組成物。
[K]前記アニオン性界面活性剤及び前記補助界面活性剤が、1:1~8:1、好ましくは2:1~5:1、より好ましくは2.5:1~4:1の重量比で存在する、[A]~[J]のいずれかに記載の食器手洗い用液体洗剤組成物。
[L]前記補助界面活性剤が、両性界面活性剤、好ましくはアミンオキシド界面活性剤であり、より好ましくは、前記アミンオキシド界面活性剤が、アルキルジメチルアミンオキシド、アルキルアミドプロピルジメチルアミンオキシド、及びこれらの混合物からなる群から選択され、最も好ましくはアルキルジメチルアミンオキシドである、[A]~[K]のいずれか一項に記載の食器手洗い用液体組成物。
[M]前記補助界面活性剤が、双性イオン界面活性剤、好ましくはベタイン界面活性剤、より好ましくは、アルキルベタイン、アルキルアミドアルキルベタイン、アミダゾリニウムべタイン、スルホベタイン(INCIスルタイン)、ホスホベタイン、及びこれらの混合物からなる群から選択されるベタイン界面活性剤、最も好ましくはココアミドプロピルベタインである、[A]~[L]のいずれかに記載の食器手洗い用液体組成物。
[N]前記界面活性剤系が、非イオン性界面活性剤を更に含み、好ましくは、前記非イオン性界面活性剤が、アルコキシル化アルコール非イオン性界面活性剤、アルキルポリグルコシド非イオン性界面活性剤、及びこれらの混合物からなる群から選択される、[A]~[M]のいずれかに記載の食器手洗い用液体組成物。
[O]前記食器手洗い用液体組成物が、20℃の脱塩水中の10%水溶液として測定して、6.0超、好ましくは6.0~12.0、より好ましくは7.0~11.0、更により好ましくは8.0~10.0のpHを有する、[A]~[N]のいずれかに記載の食器手洗い用液体組成物。