(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-22
(45)【発行日】2024-01-30
(54)【発明の名称】媒体搬送装置
(51)【国際特許分類】
B65H 5/06 20060101AFI20240123BHJP
B65H 3/06 20060101ALI20240123BHJP
B65H 3/68 20060101ALI20240123BHJP
H04N 1/00 20060101ALI20240123BHJP
【FI】
B65H5/06 P
B65H3/06 340D
B65H3/68
H04N1/00 567Q
H04N1/00 L
H04N1/00 E
(21)【出願番号】P 2023548039
(86)(22)【出願日】2021-09-16
(86)【国際出願番号】 JP2021034163
(87)【国際公開番号】W WO2023042350
(87)【国際公開日】2023-03-23
【審査請求日】2023-08-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000136136
【氏名又は名称】株式会社PFU
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100180806
【氏名又は名称】三浦 剛
(72)【発明者】
【氏名】下坂 喜一郎
(72)【発明者】
【氏名】森川 修一
【審査官】久慈 純平
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-108888(JP,A)
【文献】登録実用新案第3060449(JP,U)
【文献】特開平7-112853(JP,A)
【文献】特開2013-147335(JP,A)
【文献】特許第6756970(JP,B2)
【文献】特開2006-315832(JP,A)
【文献】特開2018-100135(JP,A)
【文献】特開2008-189400(JP,A)
【文献】特開2017-77950(JP,A)
【文献】特開2009-269696(JP,A)
【文献】特開2008-247521(JP,A)
【文献】特開2010-228862(JP,A)
【文献】特許第4012857(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 5/06
B65H 3/06
B65H 3/68
H04N 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
前記筐体に対して着脱可能
であり、且つ、第1位置と
第2位置との間で移動可能に設けられた載置台と、
媒体を分離するためのローラと、
前記筐体に対して開閉可能に、前記ローラを覆い且つ媒体のガイド面の一部を形成する閉位置と、前記ローラを着脱するための開位置との間で揺動可能に設けられたカバーと、を有し、
前記載置台は、前記カバーが前記開位置に配置された状態で、前記
第2位置に配置された場合に、又は、前記
第2位置から前記
第1位置に移動する際に、前記カバーと当接して前記カバーを前記閉位置に
向けて押し込む当接部を有する、
ことを特徴とする媒体搬送装置。
【請求項2】
前記第1位置は、前記筐体に固定されて媒体を載置可能な位置であり、
前記第2位置は、前記筐体に取り付けるために前記第1位置に対して傾斜した位置である、請求項1に記載の媒体搬送装置。
【請求項3】
前記カバーは、前記筐体に対して、媒体搬送方向の下流側の端部に設けられた軸部を中心として揺動可能に設けられる、請求項1
または2に記載の媒体搬送装置。
【請求項4】
前記載置台は、媒体の載置面を有し、
前記載置台が前記
第2位置に配置された場合に前記ガイド面と前記載置面とがなす角度は、前記載置台が前記
第1位置に配置された場合に前記ガイド面と前記載置面とがなす角度より小さい、請求項1
~3の何れか一項に記載の媒体搬送装置。
【請求項5】
前記カバーは、前記ローラの上方を覆い、
前記当接部は、前記開位置に配置された前記カバーを下方に押し下げるように設けられる、請求項1~
4の何れか一項に記載の媒体搬送装置。
【請求項6】
前記当接部は、前記カバーの媒体搬送方向の上流側の端部と当接するように、前記載置台の媒体搬送方向の下流側の端部に設けられる、請求項
5に記載の媒体搬送装置。
【請求項7】
前記カバーは、前記ローラの下方を覆い、
前記当接部は、前記開位置に配置された前記カバーを上方に押し上げるように設けられる、請求項1~
4の何れか一項に記載の媒体搬送装置。
【請求項8】
前記当接部は、媒体の幅方向を規制するサイドガイドである、請求項
7に記載の媒体搬送装置。
【請求項9】
前記ローラは、前記筐体に着脱可能に設けられ、
前記筐体には、前記ローラの回転軸を支持する支持部が設けられ、
前記回転軸及び前記支持部のうちの少なくとも一方は、前記カバー内部に前記ローラが配置された状態で前記カバーが閉じられた場合に、前記回転軸が前記支持部に係合するように設けられる、請求項1~
8の何れか一項に記載の媒体搬送装置。
【請求項10】
前記回転軸の端部及び前記支持部のうちの少なくとも一方は、C面カット又はR面カットされている、請求項
9に記載の媒体搬送装置。
【請求項11】
前記支持部の周辺に、穴が形成されている、請求項
9または
10に記載の媒体搬送装置。
【請求項12】
前記回転軸の端部は、前記回転軸の延伸方向に移動可能に設けられている、請求項
9~
11の何れか一項に記載の媒体搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、媒体搬送装置に関し、特に、載置台を有する媒体搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、媒体を搬送しながら撮像するスキャナ等の媒体搬送装置では、ローラの摩耗、ローラへの紙粉の付着、媒体詰まり等が発生した時に、ローラの交換、ローラの清掃又は詰まった媒体の除去等を行えるように、ローラのカバーが開閉可能に設けられている。このような媒体搬送装置において、利用者によりローラの交換、ローラの清掃又は詰まった媒体の除去等が行われた後にローラのカバーが正しく閉じられないと、媒体が適切に搬送されず、媒体のジャム又はスキュー等が発生する可能性がある。
【0003】
搬送ガイド部材を被覆する状態で装置本体に設けられると共に、装置本体に対して開閉可能に軸支された外装カバーと、搬送ガイド部材を閉塞位置にロックするロック部材を備える用紙搬送装置が開示されている(特許文献1を参照)。この用紙搬送装置は、外装カバーと搬送ガイド部材間に突設され、外装カバーが閉塞位置へ移動するときに搬送ガイド部材を押圧して搬送ガイド部材を閉塞位置に変移させる押圧部材を備える。
【0004】
下部ユニットの上面の一部を構成するカバー面を有し、送りローラの一部を搬送経路に露呈させつつ送りローラの保持部を覆うカバー部材を備える媒体給送装置が開示されている(特許文献2を参照)。この媒体給送装置において、カバー部材は、下部ユニットに対して搬送方向の上流側に向かう成分を含む方向に取り外し可能に構成され、カバー部材の下流側端部に設けられたスライド部がスライド面に案内されて着脱される。スライド部は、搬送方向と交差する方向で且つスライド面によって定められた方向に案内される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第4012857号
【文献】特許第6756970号
【発明の概要】
【0006】
媒体搬送装置では、ローラのカバーが開いたまま使用されることを抑制することが求められている。
【0007】
媒体搬送装置の目的は、ローラのカバーが開いたまま使用されることを抑制することにある。
【0008】
実施形態の一側面に係る媒体搬送装置は、筐体と、筐体に対して着脱可能に、筐体に固定されて媒体を載置する固定位置と、筐体に取り付けるために固定位置に対して傾斜した傾斜位置との間で移動可能に設けられた載置台と、媒体を分離するためのローラと、筐体に対して開閉可能に、ローラを覆い且つ媒体のガイド面の一部を形成する閉位置と、ローラを着脱するための開位置との間で揺動可能に設けられたカバーと、を有し、載置台は、カバーが開位置に配置された状態で、傾斜位置に配置された場合に、又は、傾斜位置から固定位置に移動する際に、カバーと当接してカバーを閉位置に押し込む当接部を有する。
【0009】
本実施形態によれば、媒体搬送装置は、ローラのカバーが開いたまま使用されることを抑制することを可能とする。
【0010】
本発明の目的及び効果は、特に請求項において指摘される構成要素及び組み合わせを用いることによって認識され且つ得られるだろう。前述の一般的な説明及び後述の詳細な説明の両方は、例示的及び説明的なものであり、特許請求の範囲に記載されている本発明を制限するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施形態に係る媒体搬送装置100を示す斜視図である。
【
図2】媒体搬送装置100内部の搬送経路を説明するための図である。
【
図3】(A)、(B)は、載置台103について説明するための模式図である。
【
図4】下側筐体101及び上側筐体102について説明するための模式図である。
【
図5】係合部103cと被係合部101cについて説明するための模式図である。
【
図6】係合部103cと被係合部101cについて説明するための模式図である。
【
図7】給送ローラカバー121について説明するための模式図である。
【
図8】(A)、(B)は、給送ローラカバー121について説明するための模式図である。
【
図9】(A)、(B)は、給送ローラカバー121の動作について説明するための模式図である。
【
図10】(A)、(B)は、給送ローラカバー121の動作について説明するための模式図である。
【
図11】分離ローラ113について説明するための模式図である。
【
図12】(A)、(B)は、分離ローラカバー122について説明するための模式図である。
【
図13】分離ローラカバー122について説明するための模式図である。
【
図14】(A)、(B)は、分離ローラカバー122について説明するための模式図である
【
図15】(A)、(B)は、分離ローラカバー122の動作について説明するための模式図である。
【
図16】(A)、(B)は、分離ローラフレーム123について説明するための模式図である。
【
図17】分離ローラフレーム123について説明するための模式図である。
【
図18】(A)、(B)は、分離ローラ113の動作について説明するための模式図である。
【
図19】媒体搬送装置100の概略構成を示すブロック図である。
【
図20】記憶装置140及び処理回路150の概略構成を示す図である。
【
図21】媒体読取処理の動作の例を示すフローチャートである。
【
図22】(A)、(B)は、他のサイドガイド204について説明するための模式図である
【
図23】他のシャフト313aについて説明するための模式図である。
【
図24】他のシャフト413aについて説明するための模式図である。
【
図25】他の処理回路550の概略構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本開示の一側面に係る媒体搬送装置、制御方法及び制御プログラムについて図を参照しつつ説明する。但し、本発明の技術的範囲はそれらの実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物に及ぶ点に留意されたい。
【0013】
図1は、イメージスキャナとして構成された媒体搬送装置100を示す斜視図である。媒体搬送装置100は、原稿である媒体を搬送し、撮像する。媒体は、用紙、薄紙、厚紙、カード、複写紙、冊子又は封筒等である。媒体搬送装置100は、ファクシミリ、複写機、プリンタ複合機(MFP、Multifunction Peripheral)等でもよい。なお、搬送される媒体は、原稿でなく印刷対象物等でもよく、媒体搬送装置100はプリンタ等でもよい。
図1において矢印A1は媒体搬送方向を示し、矢印A2は媒体搬送方向と直交する幅方向を示し、矢印A3は、媒体搬送方向A1及び幅方向A2と直交する高さ方向を示す。以下では、上流とは媒体搬送方向A1の上流のことをいい、下流とは媒体搬送方向A1の下流のことをいう。
【0014】
媒体搬送装置100は、下側筐体101、上側筐体102、載置台103、サイドガイド104、排出台105、操作装置106及び表示装置107等を備える。
【0015】
下側筐体101及び上側筐体102は、筐体の一例である。下側筐体101及び上側筐体102は、PS(ポリスチレン)又はABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン)等の樹脂部材で形成される。上側筐体102は、媒体搬送装置100の上面を覆う位置に配置され、媒体つまり時、ローラの交換又は清掃時等に開閉可能なようにヒンジにより下側筐体101に係合している。
【0016】
載置台103は、水平方向に対して傾斜するように、下側筐体101に係合している。なお、載置台103は、水平方向に対して略平行に配置されてもよい。載置台103は、PS又はABS等の樹脂部材で形成される。載置台103は、媒体の載置面103aを有し、給送及び搬送される媒体を載置する。載置台103は、下側筐体101に着脱可能に設けられる。
【0017】
サイドガイド104は、載置台103の載置面103a上に、媒体搬送方向と直交する幅方向A2に移動可能に設けられる。サイドガイド104は、載置台103に載置された媒体の幅に合わせて位置決めされ、媒体の幅方向を規制する。
図1に示す例では、二つのサイドガイド104が、幅方向A2に間隔を空けて並べて配置されている。サイドガイド104の数は一つでもよい。サイドガイド104は、当接部の一例である。
【0018】
排出台105は、上側筐体102に係合し、排出された媒体を載置する。なお、排出台105は、下側筐体101に係合してもよい。
【0019】
操作装置106は、ボタン等の入力デバイス及び入力デバイスから信号を取得するインタフェース回路を有し、利用者による入力操作を受け付け、利用者の入力操作に応じた操作信号を出力する。表示装置107は、液晶、有機EL(Electro-Luminescence)等を含むディスプレイ及びディスプレイに画像データを出力するインタフェース回路を有し、画像データをディスプレイに表示する。
【0020】
図2は、媒体搬送装置100内部の搬送経路を説明するための図である。
【0021】
媒体搬送装置100内部の搬送経路は、媒体センサ111、給送ローラ112、分離ローラ113、第1搬送ローラ114、第2搬送ローラ115、撮像装置116、第1排出ローラ117及び第2排出ローラ118等を有している。
【0022】
なお、給送ローラ112、分離ローラ113、第1搬送ローラ114、第2搬送ローラ115、第1排出ローラ117及び/又は第2排出ローラ118のそれぞれの数は一つに限定されず、複数でもよい。その場合、複数の給送ローラ112、分離ローラ113、第1搬送ローラ114、第2搬送ローラ115、第1排出ローラ117及び/又は第2排出ローラ118は、それぞれ幅方向A2に間隔を空けて並べて配置される。
【0023】
下側筐体101の上面は、媒体の搬送路の下側ガイド面101aを形成し、上側筐体102の下面は、媒体の搬送路の上側ガイド面102aを形成する。下側ガイド面101a及び上側ガイド面102aは、媒体のガイド面の一例である。
【0024】
媒体センサ111は、給送ローラ112及び分離ローラ113より上流側に配置される。媒体センサ111は、接触検出センサを有し、載置台103に媒体が載置されているか否かを検出する。媒体センサ111は、載置台103に媒体が載置されている状態と載置されていない状態とで信号値が変化する媒体信号を生成して出力する。なお、媒体センサ111は接触検知センサに限定されず、媒体センサ111として、光検知センサ等の、媒体の有無を検出可能な他の任意のセンサが使用されてもよい。
【0025】
給送ローラ112及び分離ローラ113は、媒体を分離するためのローラの一例である。給送ローラ112は、下側筐体101に設けられ、載置台103に載置された媒体を下側から順に分離して給送する。分離ローラ113は、いわゆるブレーキローラ又はリタードローラであり、上側筐体102に設けられ、給送ローラ112と対向して配置され、媒体給送方向の反対方向に回転して媒体を分離する。なお、給送ローラ112が上側筐体102に設けられ、分離ローラ113が下側筐体101に設けられてもよい。
【0026】
第1搬送ローラ114及び第2搬送ローラ115は、給送ローラ112より下流側に、相互に対向して配置され、給送ローラ112及び分離ローラ113によって給送された媒体を撮像装置116に搬送する。
【0027】
撮像装置116は、第1搬送ローラ114より下流側に配置され、第1搬送ローラ114によって搬送された媒体を撮像する。撮像装置116は、媒体搬送路を挟んで相互に対向して配置された第1撮像装置116a及び第2撮像装置116bを含む。第1撮像装置116aは、主走査方向に直線状に配列されたCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)による撮像素子を有する等倍光学系タイプのCIS(Contact Image Sensor)によるラインセンサを有する。また、第1撮像装置116aは、撮像素子上に像を結ぶレンズと、撮像素子から出力された電気信号を増幅し、アナログ/デジタル(A/D)変換するA/D変換器とを有する。第1撮像装置116aは、後述する処理回路からの制御に従って、搬送される媒体の表面を撮像して入力画像を生成し、出力する。
【0028】
同様に、第2撮像装置116bは、主走査方向に直線状に配列されたCMOSによる撮像素子を有する等倍光学系タイプのCISによるラインセンサを有する。また、第2撮像装置116bは、撮像素子上に像を結ぶレンズと、撮像素子から出力された電気信号を増幅し、アナログ/デジタル(A/D)変換するA/D変換器とを有する。第2撮像装置116bは、後述する処理回路からの制御に従って、搬送される媒体の裏面を撮像して入力画像を生成し、出力する。
【0029】
なお、媒体搬送装置100は、第1撮像装置116a及び第2撮像装置116bを一方だけ配置し、媒体の片面だけを読み取ってもよい。また、CMOSによる撮像素子を備える等倍光学系タイプのCISによるラインセンサの代わりに、CCD(Charge Coupled Device)による撮像素子を備える等倍光学系タイプのCISによるラインセンサが利用されてもよい。また、CMOS又はCCDによる撮像素子を備える縮小光学系タイプのラインセンサが利用されてもよい。
【0030】
第1排出ローラ117及び第2排出ローラ118は、撮像装置116より下流側に、相互に対向して配置され、第1搬送ローラ114及び第2搬送ローラ115によって搬送され、撮像装置116によって撮像された媒体を排出台105に排出する。
【0031】
載置台103に載置された媒体は、給送ローラ112が
図2の矢印A4の方向、即ち媒体給送方向に回転することによって、下側ガイド面101aと上側ガイド面102aの間を媒体搬送方向A1に向かって搬送される。分離ローラ113は、媒体給送時、矢印A5の方向、即ち媒体給送方向の反対方向に回転する。給送ローラ112及び分離ローラ113の働きにより、載置台103に複数の媒体が載置されている場合、載置台103に載置されている媒体のうち給送ローラ112と接触している媒体のみが分離される。これにより、分離された媒体以外の媒体の搬送が制限される(重送の防止)。
【0032】
媒体は、下側ガイド面101aと上側ガイド面102aによりガイドされながら、第1搬送ローラ114と第2搬送ローラ115の間に送り込まれる。媒体は、第1搬送ローラ114及び第2搬送ローラ115がそれぞれ矢印A6及び矢印A7の方向に回転することによって、第1撮像装置116aと第2撮像装置116bの間に送り込まれる。撮像装置116により読み取られた媒体は、第1排出ローラ117及び第2排出ローラ118がそれぞれ矢印A8及び矢印A9の方向に回転することによって排出台105上に排出される。
【0033】
図3(A)、(B)は、載置台103について説明するための模式図である。
図3(A)は、下側筐体101から取り外された載置台103を上方から見た斜視図であり、
図3(B)は、下側筐体101から取り外された載置台103を側方から見た側面図である。
【0034】
図3(A)、(B)に示すように、載置台103において下側筐体101と対向する下流側の側面103bには、下側筐体101に設けられた後述する被係合部に係合可能な係合部103cが設けられる。
図3(A)に示す例では、二つの係合部103cが、幅方向A2に間隔を空けて並べて配置されている。係合部103cの数は一つでもよく、三つ以上でもよい。また、載置台103は、下側筐体101と対向する下流側の側面103bに凹部103dを有する。凹部103dは、当接部の一例である。
図3(A)に示す例では、幅方向A2において、二つの係合部103cの間、即ち中央部に凹部103dが設けられている。
【0035】
サイドガイド104は、載置台103より媒体搬送方向A1の下流側に突出するように設けられる。サイドガイド104が下流側に突出することにより、媒体搬送装置100は、搬送中の媒体が傾くことを抑制でき、媒体のスキューの発生を抑制できる。サイドガイド104の上面部104aは、下流側において、下端ほど、下方に位置するように、即ち載置面103aに近付くように傾斜している。
【0036】
図4は、下側筐体101及び上側筐体102について説明するための模式図である。
図4は、載置台103が取り外され且つ開いた状態の下側筐体101及び上側筐体102を上方から見た斜視図である。
【0037】
図4に示すように、下側筐体101において載置台103と対向する上流側の側面101bには、載置台103に設けられた係合部103cに係合可能な被係合部101cが設けられる。被係合部101cの数は、係合部の数と同じであり、
図4に示す例では、二つの係合部103cに係合する二つの被係合部101cが、幅方向A2に間隔を空けて並べて配置されている。
【0038】
下側筐体101には、給送ローラカバー121が設けられる。給送ローラカバー121は、給送ローラ112の上方を覆うためのカバーであり、下側筐体101に対して開閉可能に設けられる。給送ローラカバー121は、
図4に示すように下側筐体101に係止され且つ下側筐体101に対して閉じた状態の閉位置と、下側筐体101に係止されずに且つ下側筐体101に対して開いた状態の開位置との間で揺動可能に設けられる。給送ローラカバー121は、閉位置において、給送ローラ112を覆い且つ下側ガイド面101aの一部を形成する。一方、給送ローラカバー121は、開位置において、給送ローラ112を着脱することを許容する。
【0039】
上側筐体102には、分離ローラカバー122が設けられる。分離ローラカバー122は、分離ローラ113の下方を覆うためのカバーであり、上側筐体102に対して開閉可能に設けられる。分離ローラカバー122は、
図4に示すように上側筐体102に係止され且つ上側筐体102に対して閉じた状態の閉位置と、上側筐体102に係止されずに且つ上側筐体102に対して開いた状態の開位置との間で揺動可能に設けられる。分離ローラカバー122は、閉位置において、分離ローラ113を覆い且つ上側ガイド面102aの一部を形成する。一方、分離ローラカバー122は、開位置において、分離ローラ113を着脱することを許容する。
【0040】
図5及び
図6は、係合部103cと被係合部101cの関係について説明するための模式図である。
図5及び
図6は、係合部103c及び被係合部101cの周辺を側方から見た断面図である。
【0041】
図5は、給送ローラカバー121及び分離ローラカバー122がそれぞれ閉位置に配置され、且つ、下側筐体101に載置台103が取り付けられて固定された状態を示している。以下では、
図5に示すように、載置台103が下側筐体101に固定されて媒体を載置する位置を固定位置と称する場合がある。
【0042】
図5に示すように、給送ローラカバー121の側面には、係止部121aが設けられる。一方、下側筐体101において、閉位置に配置された給送ローラカバー121の係止部121aと対向する位置には、被係止部101dが設けられる。係止部121aは突起部を有し、被係止部101dは凹部を有する。なお、被係止部101dが突起部を有し、係止部121aが凹部を有してもよい。係止部121aが被係止部101dに嵌合されることにより、給送ローラカバー121は、下側筐体101に係止されて、閉位置に固定される。
【0043】
また、分離ローラカバー122の側面には、係止部122aが設けられる。一方、上側筐体102において、閉位置に配置された分離ローラカバー122の係止部122aと対向する位置には、被係止部102bが設けられる。係止部122aは突起部を有し、被係止部102bは凹部を有する。なお、被係止部102bが突起部を有し、係止部122aが凹部を有してもよい。係止部122aが被係止部102bに嵌合されることにより、分離ローラカバー122は、上側筐体102に係止されて、閉位置に固定される。
【0044】
下側筐体101に設けられた被係合部101cは、上流側且つ上方に向かって開口するように形成された進入口を有する。一方、載置台103に設けられた係合部103cは、下流側且つ下方に向かって突出するように設けられる。係合部103cが進入口から被係合部101cに挿入されて被係合部101cに嵌合されることにより、載置台103は下側筐体101に支持されて固定される。
【0045】
載置台103の載置面103aは、載置台103が固定位置に配置され、下側筐体101に固定されたときに、下側筐体101の下側ガイド面101aと第1角度θ1をなすように配置される。即ち、第1角度θ1は、載置台103が固定位置に配置された場合に下側ガイド面101aと載置面103aとがなす角度である。第1角度θ1は例えば180°である。即ち、載置面103a及び下側ガイド面101aは、載置台103が下側筐体101に固定されたときに、面一となるように設けられる。これにより、媒体搬送装置100は、媒体を載置面103a及び下側ガイド面101aに沿ってスムーズに搬送することが可能となり、媒体の搬送性を向上させることが可能となる。
【0046】
なお、第1角度θ1は、180°に限定されず、媒体を搬送可能な範囲の角度(例えば150°以上且つ180°以下の範囲)に設定される。
【0047】
載置面103aと下側ガイド面101aが第1角度θ1をなす状態における係合部103cの延伸方向と直交する厚さ方向A11において、被係合部101cへの進入口の大きさH1は、係合部103cの厚さTより小さい。そのため、係合部103cは、被係合部101cへの進入口に引っ掛かって、被係合部101c内へ進入することができない。このように、被係合部101cは、載置台103を下側筐体101に取り付ける際に、載置面103aが下側ガイド面101aと第1角度θ1をなす場合に、即ち固定位置と同じ傾きを有する場合に、係合部103cの進入を制限するように構成される。
【0048】
図6は、下側筐体101に載置台103を取り付ける途中の状態を示している。
図6に示す状態では、載置台103は、固定位置に対して傾けられている。以下では、
図6に示すように、載置台103が、下側筐体101に取り付けるために固定位置に対して傾斜した位置を傾斜位置と称する場合がある。このように、載置台103は、下側筐体101に対して着脱可能に、固定位置と傾斜位置との間で移動可能に設けられている。載置台103が傾斜位置に配置された場合、載置面103aと下側ガイド面101aは、載置台103が下側筐体101に固定されたときに載置面103aと下側ガイド面101aがなす第1角度θ1と異なる第2角度θ2をなすように配置されている。即ち、第2角度θ2は、載置台103が傾斜位置に配置された場合に下側ガイド面101aと載置面103aとがなす角度である。第2角度θ2は、第1角度θ1より小さく、例えば120°~150°の範囲に設定される。
【0049】
第2角度θ2が第1角度θ1より小さくなるように設定されるため、載置台103が傾斜位置から固定位置に移動(揺動)したときに、載置面103aの角度は水平に近付き、載置台103の下流側の側面103bは下側筐体101の上流側の側面101bに近付く。そして、載置台103が固定位置に配置されたときに、載置台103の下流側の側面103bが下側筐体101の上流側の側面101bと当接して、載置台103は下側筐体101に安定して支持される。
【0050】
上記したように、被係合部101cの進入口は、上流側且つ上方に向かって開口するように形成され、一方、係合部103cは、下流側且つ下方に向かって突出するように設けられる。そのため、進入口の両端の間のユークリッド距離は、進入口の両端の間の高さ方向A3における距離より十分に大きい。特に、
図6に示すように、載置面103aと下側ガイド面101aが第2角度θ2をなす状態における係合部103cの延伸方向と直交する厚さ方向A12において、下側筐体101の被係合部101cへの進入口の大きさH2は係合部103cの厚さT以上である。そのため、載置面103aが下側ガイド面101aと第2角度θ2をなす場合、係合部103cは、被係合部101cへの進入口を通って、被係合部101c内へ進入することが可能となる。
【0051】
このように、被係合部101cは、載置台103を下側筐体101に取り付ける際に、載置面103aが下側ガイド面101aと第1角度θ1と異なる第2角度θ2をなす場合に、即ち傾斜位置に配置された場合に係合部103cの進入を許容するように構成される。
【0052】
即ち、下側筐体101の被係合部101cへの進入口は、載置面103aと下側ガイド面101aが第2角度θ2をなす状態で係合部103cが進入可能な形状を有する。一方、
図5に示したように、下側筐体101の被係合部101cへの進入口は、載置面103aと下側ガイド面101aが第2角度θ2に対して所定範囲外の角度(第1角度θ1を含む)をなす状態で係合部103cが進入できない形状を有する。これにより、媒体搬送装置100は、シンプルな構造で、係合部103cの被係合部101cへの進入を許容又は制限することが可能となり、媒体搬送装置100の設計工数及び製造工数の増大を抑制しつつ、載置台103を良好にセットさせることが可能となる。
【0053】
図7は、給送ローラカバー121について説明するための模式図である。
図7は、下側筐体101から取り外された給送ローラカバー121を上方から見た斜視図である。
【0054】
図7に示すように、給送ローラカバー121は、係止部121aに加えて、軸部121b、開口部121c及び突起部121dを有する。
【0055】
軸部121bは、給送ローラカバー121の媒体搬送方向A1の下流側の端部に設けられ、下側筐体101に回転(揺動)可能に取り付けられる。即ち、給送ローラカバー121は、下側筐体101に対して、媒体搬送方向A1の下流側の端部に設けられた軸部121bを中心として揺動可能に設けられる。
【0056】
開口部121cは、給送ローラカバー121の幅方向A2の中央部に設けられ、開口部121c内に、給送ローラ112が配置される。
【0057】
突起部121dは、給送ローラカバー121の上流側の端部に、上流側に向けて突出するように設けられる。
【0058】
図8(A)、(B)は、下側筐体101に取り付けられた給送ローラカバー121について説明するための模式図である。
図8(A)、(B)は、下側筐体101に取り付けられた給送ローラカバー121の周辺を上方から見た斜視図である。
図8(A)は、開状態にある給送ローラカバー121を示し、
図8(B)は、閉状態にある給送ローラカバー121を示す。
図8(A)、(B)では、視認性を高めるために、給送ローラ112の表示は省略されている。
【0059】
図8(A)に示すように、軸部121bが下側筐体101に取り付けられることにより、給送ローラカバー121は下側筐体101に取り付けられる。
図8(A)に示す状態では、係止部121aは被係止部101dに嵌合されておらず、給送ローラカバー121は下側筐体101に対して浮いている。このように、開位置には、給送ローラカバー121の上流部分が下側筐体101に当接していない状態における位置だけでなく、給送ローラカバー121の上流部分が下側筐体101に当接しつつ係止されていない、いわゆる半ロック状態における位置も含まれる。
【0060】
図8(A)に示す状態から利用者によって給送ローラカバー121が押し下げられることにより、
図8(B)に示すように、係止部121aが被係止部101dに嵌合し、給送ローラカバー121は下側筐体101に係止される。
【0061】
図9(A)、(B)及び
図10(A)、(B)は、給送ローラカバー121が開位置に配置された状態で、載置台103が下側筐体101へ取り付けられる場合の給送ローラカバー121の動作について説明するための模式図である。
図9(A)は、給送ローラカバー121が開位置に配置された状態で、載置台103が下側筐体101へ取り付けられている様子を斜め上方から見た模式図である。
図9(B)は、
図9(A)のA-A’線断面を斜め上方から見た模式図である。
図10(A)は、
図9(A)のA-A’線断面を側方から見た模式図である。
【0062】
図9(A)、(B)、
図10(A)に示すように、給送ローラカバー121が開位置に配置された状態では、係止部121aが被係止部101dに嵌合されておらず、給送ローラカバー121は下側筐体101に対して浮いている。上記したように、載置台103は、下側筐体101へ取り付けられる場合、傾斜位置に配置される。載置台103が下側筐体101へ取り付けられる場合、傾斜位置に配置された載置台103の下流側の側面103bに設けられた凹部103dの上端103eは、給送ローラカバー121の突起部121dに当接する。
【0063】
図10(B)は、載置台103が
図10(A)に示す傾斜位置から固定位置に移動した様子を示す模式図である。
【0064】
図10(B)に示すように、載置台103が傾斜位置から固定位置に向かって倒されることにより、載置台103の凹部103dの上端103eは、給送ローラカバー121の突起部121dを押し下げる。これにより、係止部121aが被係止部101dに嵌合され、給送ローラカバー121は、下側筐体101に係止されて、閉位置に固定される。このように、載置台103の凹部103dは、給送ローラカバー121が開位置に配置された状態で、載置台103が傾斜位置から固定位置に移動する際に給送ローラカバー121と当接して給送ローラカバー121を閉位置に押し込む。
【0065】
通常、ユーザは、給送ローラ112を清掃もしくは交換する場合、又は、給送ローラカバー121に挟まった媒体を取り除く場合、載置台103が邪魔にならないように、下側筐体101から載置台103を取り外してから、給送ローラカバー121を開く。そして、ユーザは、給送ローラ112を清掃もしくは交換した後に、又は、給送ローラカバー121に挟まった媒体を取り除いた後に、給送ローラカバー121を閉じる。媒体搬送装置100では、給送ローラカバー121が開位置に配置された状態で載置台103が取り付けられる際に、給送ローラカバー121は載置台103によって閉位置に押し込まれる。そのため、媒体搬送装置100では、ユーザが、給送ローラカバー121を閉じ忘れた場合、又は、給送ローラカバー121を閉じ損ねた場合でも、給送ローラカバー121は、下側筐体101に取り付けられる載置台103によって確実に閉じられる。したがって、媒体搬送装置100は、給送ローラカバー121が開いた状態のまま媒体が搬送されてしまい、媒体のジャム又はスキュー等の搬送異常が発生することを抑制できる。
【0066】
また、媒体搬送装置100において、載置台103の凹部103dは、給送ローラカバー121の媒体搬送方向A1の上流側の端部に設けられた突起部121dと当接するように、載置台103の媒体搬送方向A1の下流側の端部に設けられる。これにより、媒体搬送装置100は、下側筐体101の上流端に設けられる給送ローラカバー121を、下側筐体101の上流端に取り付けられる載置台103を用いて閉じることが可能となる。媒体搬送装置100は、閉じ損ねられた給送ローラカバー121を、特別な部品を用いることなく、載置台103を用いて閉じることが可能となる。したがって、媒体搬送装置100は、装置コスト及び装置サイズの増大を抑制しつつ、給送ローラカバー121を適切にセットすることが可能となる。
【0067】
また、媒体搬送装置100において、載置台103の凹部103dは、開位置に配置された給送ローラカバー121を下方に押し下げるように設けられる。これにより、媒体搬送装置100は、給送ローラ112の上方を覆う給送ローラカバー121を、傾斜位置から固定位置に倒されることにより下側筐体101に取り付けられる載置台103を用いて閉じることが可能となる。そのため、媒体搬送装置100は、閉じ損ねられた給送ローラカバー121を、特別な部品を用いることなく、載置台103を用いて閉じることが可能となる。したがって、媒体搬送装置100は、装置コスト及び装置サイズの増大を抑制しつつ、給送ローラカバー121を適切にセットすることが可能となる。
【0068】
図11は、分離ローラ113について説明するための模式図である。
図11は、上側筐体102から取り外された分離ローラ113を示す模式図である。
【0069】
図11に示すように、分離ローラ113は、回転軸であるシャフト113a上に設けられる。シャフト113aの延伸方向の所定位置には、円周方向に沿って延伸する突起部113bが設けられる。また、シャフト113aの一方の端部である第1端部113c、及び、他方の端部である第2端部113dは、それぞれC面カットされている。第2端部113dは、端部の一例である。第1端部113c及び第2端部113dが上側筐体102に支持されることにより、分離ローラ113は上側筐体102に回転可能に支持される。分離ローラ113は、上側筐体102に着脱可能に設けられる。
【0070】
図12(A)、(B)は、分離ローラカバー122について説明するための模式図である。
図12(A)は、上側筐体102から取り外された分離ローラカバー122を内側から見た(上側筐体102側から見た)模式図である。
【0071】
図12(A)に示すように、分離ローラカバー122は、係止部122aに加えて、軸部122b、開口部122c及び下面部122dを有する。
【0072】
軸部122bは、分離ローラカバー122の媒体搬送方向A1の下流側の端部に設けられ、上側筐体102に回転(揺動)可能に取り付けられる。即ち、分離ローラカバー122は、上側筐体102に対して、媒体搬送方向A1の下流側の端部に設けられた軸部122bを中心として揺動可能に設けられる。
【0073】
開口部122cは、分離ローラカバー122の幅方向A2の中央部に設けられ、開口部122c内に、分離ローラ113が配置される。幅方向A2において開口部122cの外側には、凹部122eが設けられる。
【0074】
下面部122dは、媒体搬送路と対向する面であり、上側ガイド面102aの一部を形成する面である。
【0075】
図12(B)は、凹部122eの周辺を拡大して表示した斜視図である。
【0076】
図12(B)に示すように、分離ローラカバー122には、分離ローラ113のシャフト113aを配置するための湾曲面122fが形成され、湾曲面122fの一部に凹部122eが形成される。
【0077】
図13は、分離ローラ113が配置された分離ローラカバー122について説明するための模式図である。
図13は、分離ローラ113が配置された分離ローラカバー122を内側から見た(上側筐体102側から見た)模式図である。
【0078】
図13に示すように、分離ローラ113のシャフト113aの突起部113bが凹部122eと係合するように配置されることにより、分離ローラ113は、開口部122cと対向するように配置され、分離ローラカバー122に対して位置決めされる。
【0079】
図14(A)、(B)は、上側筐体102に取り付けられた分離ローラカバー122について説明するための模式図である。
図14(A)、(B)は、上側筐体102に取り付けられた分離ローラカバー122の周辺を側方から見た模式図である。
図14(A)は、開状態にある分離ローラカバー122を示し、
図14(B)は、閉状態にある分離ローラカバー122を示す。
図14(A)、(B)では、視認性を高めるために、分離ローラ113の表示は省略されている。
【0080】
図14(A)に示すように、軸部122bが上側筐体102に取り付けられることにより、分離ローラカバー122は上側筐体102に取り付けられる。
図14(A)に示す状態では、係止部122aは被係止部102bに嵌合されておらず、分離ローラカバー122は上側筐体102に対して浮いている。このように、開位置には、分離ローラカバー122の上流部分が上側筐体102に当接していない状態における位置だけでなく、分離ローラカバー122の上流部分が上側筐体102に当接しつつ係止されていない、いわゆる半ロック状態における位置も含まれる。
【0081】
図14(A)に示す状態から利用者によって分離ローラカバー122が押し上げられることにより、
図14(B)に示すように、係止部122aが被係止部102bに嵌合し、分離ローラカバー122は上側筐体102に係止される。
【0082】
図15(A)、(B)は、分離ローラカバー122が開位置に配置された状態で、載置台103が下側筐体101へ取り付けられた場合の分離ローラカバー122の動作について説明するための模式図である。
図15(A)は、分離ローラカバー122が開位置に配置された状態で、載置台103が下側筐体101へ取り付けられている様子を側方から見た模式図である。
【0083】
図15(A)に示すように、分離ローラカバー122が開位置に配置された状態では、係止部122aが被係止部102bに嵌合されておらず、分離ローラカバー122は上側筐体102に対して浮いている。上記したように、載置台103は、下側筐体101へ取り付けられる場合、傾斜位置に配置される。載置台103が下側筐体101へ取り付けられる場合、傾斜位置に配置された載置台103に設けられたサイドガイド104の上面部104aは、分離ローラカバー122の下面部122dに当接する。
【0084】
図15(B)は、載置台103が
図10(A)に示す位置から下流側に押し込まれた様子を示す模式図である。
【0085】
図15(B)に示すように、係合部103cが被係合部101cに進入するように、傾斜位置に配置された載置台103が下流側に押し込まれることにより、サイドガイド104の上面部104aは、分離ローラカバー122の下面部122dを押し上げる。これにより、係止部122aが被係止部102bに嵌合され、分離ローラカバー122は、上側筐体102に係止されて、閉位置に固定される。このように、サイドガイド104は、分離ローラカバー122が開位置に配置された状態で、載置台103が傾斜位置に配置された場合に分離ローラカバー122と当接して分離ローラカバー122を閉位置に押し込む。
【0086】
通常、ユーザは、分離ローラ113を清掃もしくは交換する場合、又は、分離ローラカバー122に挟まった媒体を取り除く場合、載置台103が邪魔にならないように、下側筐体101から載置台103を取り外してから、分離ローラカバー122を開く。そして、ユーザは、分離ローラ113を清掃もしくは交換した後に、又は、分離ローラカバー122に挟まった媒体を取り除いた後に、分離ローラカバー122を閉じる。媒体搬送装置100では、分離ローラカバー122が開位置に配置された状態で載置台103が取り付けられる際に、分離ローラカバー122はサイドガイド104によって閉位置に押し込まれる。そのため、媒体搬送装置100では、ユーザが、分離ローラカバー122を閉じ忘れた場合、又は、分離ローラカバー122を閉じ損ねた場合でも、分離ローラカバー122は、下側筐体101に取り付けられる載置台103によって確実に閉じられる。したがって、媒体搬送装置100は、分離ローラカバー122が開いた状態のまま媒体が搬送されてしまい、媒体のジャム又はスキュー等の搬送異常が発生することを抑制できる。
【0087】
また、媒体搬送装置100は、閉じ損ねられた分離ローラカバー122を、特別な部品を用いることなく、媒体の幅方向を規制するために使用されるサイドガイド104を用いて閉じることが可能となる。したがって、媒体搬送装置100は、装置コスト及び装置サイズの増大を抑制しつつ、分離ローラカバー122を適切にセットすることが可能となる。
【0088】
また、媒体搬送装置100において、サイドガイド104は、開位置に配置された給送ローラカバー121を上方に押し上げるように設けられる。これにより、媒体搬送装置100は、分離ローラ113の下方を覆う分離ローラカバー122を、下側筐体101に取り付けられる載置台103上に設けられたサイドガイド104を用いて閉じることが可能となる。そのため、媒体搬送装置100は、閉じ損ねられた分離ローラカバー122を、特別な部品を用いることなく、サイドガイド104を用いて閉じることが可能となる。したがって、媒体搬送装置100は、装置コスト及び装置サイズの増大を抑制しつつ、分離ローラカバー122を適切にセットすることが可能となる。
【0089】
図16(A)、(B)は、分離ローラフレーム123について説明するための模式図である。
図16(A)は、上側筐体102から取り外された分離ローラフレーム123を内側から見た(媒体搬送路側から見た)模式図である。
【0090】
分離ローラフレーム123は、分離ローラ113を回転可能に支持するフレームであり、上側筐体102に設けられる。分離ローラフレーム123は、PS又はABS等の樹脂部材、特に可撓性部材で形成される。分離ローラフレーム123は、分離ローラ113を収納するフレームであり、上側筐体102に取り付けられた状態で、媒体搬送路側に向けて開口するように設けられている。分離ローラフレーム123が上側筐体102に取り付けられた状態で、分離ローラカバー122は、分離ローラ113を挟んで分離ローラフレーム123の反対側に配置され、分離ローラフレーム123とともに、分離ローラ113を覆う。以下では、分離ローラフレーム123が上側筐体102に取り付けられた状態で、分離ローラフレーム123から媒体搬送路に向かう側を搬送路側と称する場合がある。即ち、搬送路側は、分離ローラフレーム123に分離ローラカバー122が取り付けられた状態で分離ローラフレーム123から分離ローラカバー122に向かう側である。
【0091】
図16(A)に示すように、分離ローラフレーム123は、カバー部123a、第1支持部123b及び第2支持部123cを有する。
【0092】
カバー部123aは、搬送路側の反対側に配置され、分離ローラ113を収納可能に湾曲するように形成される。第1支持部123bは、シャフト113aの第1端部113cが配置されるように、搬送路側に向かって開かれた開口123dを有する。第2支持部123cは、支持部の一例であり、シャフト113aの第2端部113dが配置されるように、幅方向A2に延伸する第1穴123eを有する。これにより、第1支持部123b及び第2支持部123cは、シャフト113aを支持する。
【0093】
図16(B)は、第2支持部123cの周辺を拡大して表示した斜視図である。
【0094】
図16(B)に示すように、第2支持部123cにおいて第1穴123eに対して搬送路側に形成された側面123fは、搬送路側に向けてC面カットされている。即ち、側面123fは、搬送路側ほど幅方向A2の外側に位置するように傾斜している。また、第2支持部123cの周辺には第2穴123gが形成されている。第2穴123gは、穴の一例である。
図16(B)に示す例では、第2支持部123cの左右に二つの第2穴123gが形成されている。第2穴123gの数は、二つに限定されず、一つ又は三つ以上でもよい。
【0095】
図17は、分離ローラ113が配置された分離ローラフレーム123について説明するための模式図である。
図17は、分離ローラ113が配置された分離ローラフレーム123を搬送路側から見た模式図である。
【0096】
図17に示すように、シャフト113aの第1端部113cが第1支持部123bの開口123dに配置され、第2端部113dが第2支持部123cの第1穴123eに配置される。これにより、分離ローラ113は、カバー部123aと対向するように配置され、分離ローラフレーム123は、分離ローラ113を回転可能に支持する。
【0097】
図18(A)、(B)は、分離ローラ113が分離ローラカバー122内に配置された状態で、分離ローラカバー122が閉位置に移動された場合の分離ローラ113の動作について説明するための模式図である。
図18(A)は、取り付けられている途中の分離ローラ113を示す斜視図であり、
図18(B)は、第2支持部123cの周辺を拡大して表示した斜視図である。
図18(A)、(B)に示す例では、視認性を高めるために、上側筐体102及び分離ローラカバー122の表示は省略されている。
【0098】
図13に示したように、分離ローラ113が分離ローラカバー122に配置される際、突起部113bが凹部122eと係合するように配置されることにより、分離ローラ113は、分離ローラカバー122対して位置決めされる。この状態で、分離ローラカバー122が閉位置に移動された場合、分離ローラカバー122は、内部に配置された分離ローラ113とともに移動(揺動)し、分離ローラフレーム123に結合される。
【0099】
この時、
図18(A)に示すように、まず、分離ローラカバー122内部に配置された分離ローラ113の第1端部113cが、分離ローラフレーム123の第1支持部123bの開口123dに配置される。次に、
図18(A)、(B)に示すように、分離ローラ113の第2端部113dが、分離ローラフレーム123の側面123f上を第1穴123e側に向かって移動し、第1穴123eに進入する。
【0100】
上記したように、第2端部113d及び側面123fは、それぞれC面カットされていることにより、第2端部113dが第1穴123eに係合しやすくなる。したがって、媒体搬送装置100では、分離ローラカバー122内部に分離ローラ113が配置された状態で分離ローラカバー122が閉じられた場合に、第2端部113dが第1穴123eに良好に係合することが可能となる。
【0101】
また、上記したように、第2支持部123cの周辺には第2穴123gが形成されている。これにより、第2端部113dが第1穴123eに進入してきた場合に、第2支持部123cにおいて第1穴123eと第2穴123gの間の部分が第2穴123g側に撓み、第1穴123eは第2穴123g側に拡大する。したがって、媒体搬送装置100では、分離ローラカバー122内部に分離ローラ113が配置された状態で分離ローラカバー122が閉じられた場合に、第2端部113dが第1穴123eに良好に係合することが可能となる。
【0102】
なお、第2端部113d及び/又は側面123fは、C面カットされていなくてもよい。または、第2支持部123cの周辺に第2穴123gが形成されていなくてもよい。即ち、シャフト113a及び第2支持部123cのうちの少なくとも一方が、分離ローラカバー122内部に分離ローラ113が配置された状態で分離ローラカバー122が閉じられた場合に、第2端部113dが第1穴123eに係合するように設けられる。
【0103】
このように、媒体搬送装置100では、分離ローラカバー122を閉じる動作と連動して、分離ローラ113が分離ローラフレーム123(上側筐体102)に係合する。利用者は、分離ローラ113を分離ローラフレーム123に直接係合させるのではなく、開いた状態の分離ローラカバー122に分離ローラ113を置いてから分離ローラカバー122を閉じる。これにより、利用者は、分離ローラ113を容易にセットすることが可能となり、媒体搬送装置100は、利用者の利便性を向上させることが可能となる。
【0104】
図19は、媒体搬送装置100の概略構成を示すブロック図である。
【0105】
媒体搬送装置100は、前述した構成に加えて、モータ131、インタフェース装置132、記憶装置140及び処理回路150等をさらに有する。
【0106】
モータ131は、一又は複数のモータを有し、処理回路150からの制御信号によって、給送ローラ112、分離ローラ113、第1搬送ローラ114、第2搬送ローラ115、第1排出ローラ117及び第2排出ローラ118を回転させて媒体を搬送させる。なお、第1搬送ローラ114及び第2搬送ローラ115のうちの一方のローラは他方のローラに従動回転する従動ローラでもよい。また、第1排出ローラ117及び第2排出ローラ118のうちの一方のローラは、他方のローラに従動回転する従動ローラでもよい。
【0107】
インタフェース装置132は、例えばUSB等のシリアルバスに準じるインタフェース回路を有し、不図示の情報処理装置(例えば、パーソナルコンピュータ、携帯情報端末等)と電気的に接続して入力画像及び各種の情報を送受信する。また、インタフェース装置132の代わりに、無線信号を送受信するアンテナと、所定の通信プロトコルに従って、無線通信回線を通じて信号の送受信を行うための無線通信インタフェース装置とを有する通信部が用いられてもよい。所定の通信プロトコルは、例えば無線LAN(Local Area Network)である。通信部は、有線LAN等の通信プロトコルに従って、有線通信回線を通じて信号の送受信を行うための有線通信インタフェース装置を有してもよい。
【0108】
記憶装置140は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等のメモリ装置、ハードディスク等の固定ディスク装置、又はフレキシブルディスク、光ディスク等の可搬用の記憶装置等を有する。また、記憶装置140には、媒体搬送装置100の各種処理に用いられるコンピュータプログラム、データベース、テーブル等が格納される。コンピュータプログラムは、コンピュータ読み取り可能な可搬型記録媒体から、公知のセットアッププログラム等を用いて記憶装置140にインストールされてもよい。可搬型記録媒体は、例えばCD-ROM(compact disc read only memory)、DVD-ROM(digital versatile disc read only memory)等である。
【0109】
処理回路150は、予め記憶装置140に記憶されているプログラムに基づいて動作する。処理回路は、例えばCPU(Central Processing Unit)である。処理回路150として、DSP(digital signal processor)、LSI(large scale integration)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等が用いられてもよい。
【0110】
処理回路150は、操作装置106、表示装置107、媒体センサ111、撮像装置116、モータ131、インタフェース装置132及び記憶装置140等と接続され、これらの各部を制御する。処理回路150は、媒体センサ111から受信した媒体信号に基づいて、モータ131の駆動制御、撮像装置116の撮像制御等を行い、撮像装置116から入力画像を取得し、インタフェース装置132を介して情報処理装置に送信する。
【0111】
図20は、記憶装置140及び処理回路150の概略構成を示す図である。
【0112】
図20に示すように、記憶装置140には、制御プログラム141及び画像取得プログラム142等が記憶される。これらの各プログラムは、プロセッサ上で動作するソフトウェアにより実装される機能モジュールである。処理回路150は、記憶装置140に記憶された各プログラムを読み取り、読み取った各プログラムに従って動作する。これにより、処理回路150は、制御部151及び画像取得部152として機能する。
【0113】
図21は、媒体搬送装置100の媒体読取処理の動作の例を示すフローチャートである。
【0114】
以下、
図21に示したフローチャートを参照しつつ、媒体搬送装置100の媒体読取処理の動作の例を説明する。なお、以下に説明する動作のフローは、予め記憶装置140に記憶されているプログラムに基づき主に処理回路150により媒体搬送装置100の各要素と協働して実行される。
【0115】
最初に、制御部151は、利用者により操作装置106又は情報処理装置を用いて媒体の読み取りの指示が入力されて、媒体の読み取りを指示する操作信号を操作装置106又はインタフェース装置132から受信するまで待機する(ステップS101)。
【0116】
次に、制御部151は、媒体センサ111から媒体信号を取得し、取得した媒体信号に基づいて、載置台103に媒体が載置されているか否かを判定する(ステップS102)。載置台103に媒体が載置されていない場合、制御部151は、一連のステップを終了する。
【0117】
一方、載置台103に媒体が載置されている場合、制御部151は、給送ローラ112、分離ローラ113、第1搬送ローラ114、第2搬送ローラ115、第1排出ローラ117及び/又は第2排出ローラ118を回転させる(ステップS103)。制御部151は、モータ131を駆動して、各ローラを回転させ、媒体を搬送させる。
【0118】
次に、制御部151は、撮像装置116に媒体を撮像させて、撮像装置116から入力画像を取得し、取得した入力画像を、インタフェース装置132を介して情報処理装置に送信することにより出力する(ステップS104)。
【0119】
次に、制御部151は、媒体センサ111から受信する媒体信号に基づいて載置台103に媒体が残っているか否かを判定する(ステップS105)。載置台103に媒体が残っている場合、制御部151は、処理をステップS104へ戻し、ステップS104~S105の処理を繰り返す。
【0120】
一方、載置台103に媒体が残っていない場合、制御部151は、給送ローラ112、分離ローラ113、第1搬送ローラ114、第2搬送ローラ115、第1排出ローラ117及び/又は第2排出ローラ118を停止させる(ステップS106)。制御部151は、各ローラを停止させるように、モータ131を制御し、一連のステップを終了する。
【0121】
以上詳述したように、媒体搬送装置100では、給送ローラカバー121又は分離ローラカバー122が開いている状態で載置台103が取り付けられた場合に、載置台103の取り付け動作と連動して、載置台103が各カバーと当接して各カバーを閉じる。したがって、媒体搬送装置100は、給送ローラカバー121又は分離ローラカバー122が開いたまま使用されることを抑制することが可能となった。
【0122】
これにより、媒体搬送装置100は、媒体のジャム又はスキュー等の搬送異常が発生することを抑制することが可能となった。また、利用者は、給送ローラカバー121又は分離ローラカバー122を開いた後に、各カバーを筐体に係止させたか確認する必要がなくなり、媒体搬送装置100は、利用者によるスキャン業務の生産性を向上させることが可能となった。
【0123】
また、媒体搬送装置100では、載置台103が着脱可能に設けられている。そのため、利用者は、装置未使用時に、容易に載置台103を取り外してコンパクトに収納できるようになった。また、利用者は、媒体のジャム発生時に、容易に載置台103を取り外して媒体を取り除くことができるようになった。また、媒体搬送装置100では、給送ローラカバー121又は分離ローラカバー122が開閉可能に設けられている。そのため、利用者は、ローラの摩耗、ローラへの紙粉の付着、媒体詰まり等が発生した時に、ローラの交換、ローラの清掃又は詰まった媒体の除去等を容易に実施できるようになった。
【0124】
図22(A)、(B)は、他の実施形態に係る媒体搬送装置におけるサイドガイド204について説明するための模式図である。
図22(A)は、分離ローラカバー122が開位置に配置された状態で、載置台103が下側筐体101へ取り付けられる様子を側方から見た模式図である。
図22(B)は、載置台103が
図22(A)に示す傾斜位置から固定位置に移動した様子を示す模式図である。
【0125】
図22(A)、(B)に示すように、本実施形態に係る媒体搬送装置では、載置台103の載置面103a上には、サイドガイド104の代わりに、サイドガイド204が設けられる。サイドガイド204は、サイドガイド104と同様の構造を有する。但し、サイドガイド204の上面部204aは、分離ローラカバー122が開位置に配置された状態で、載置台103が傾斜位置から固定位置に移動する際に、分離ローラカバー122と当接して分離ローラカバー122を閉位置に押し込むように設けられる。
【0126】
上記したように、載置台103は、下側筐体101へ取り付けられる場合、傾斜位置に配置される。
図22(A)に示すように、本実施形態に係る媒体搬送装置では、分離ローラカバー122が開位置に配置された状態で、載置台103が傾斜位置に配置されている場合、係止部122aは、被係止部102bに嵌合しない。分離ローラカバー122は、閉位置に押し込まれずに、上側筐体102に対して浮いている。
【0127】
一方、
図22(B)に示すように、傾斜位置に配置された載置台103が固定位置に移動される(倒される)ことにより、サイドガイド204の上面部204aは、分離ローラカバー122の下面部122dと当接して下面部122dを押し上げる。これにより、係止部122aが被係止部102bに嵌合され、分離ローラカバー122は、上側筐体102に係止されて、閉位置に固定される。このように、サイドガイド204は、分離ローラカバー122が開位置に配置された状態で、載置台103が傾斜位置から固定位置に移動する際に分離ローラカバー122と当接して分離ローラカバー122を閉位置に押し込む。
【0128】
以上詳述したように、媒体搬送装置は、載置台103が傾斜位置から固定位置に移動する際にサイドガイド204が分離ローラカバー122を閉位置に押し込む場合も、分離ローラカバー122が開いたまま使用されることを抑制することが可能となった。
【0129】
図23は、さらに他の実施形態に係る媒体搬送装置における分離ローラ113のシャフト313aについて説明するための模式図である。
図23は、分離ローラ113のシャフト313aが配置された分離ローラフレーム123を下流側から見た断面図である。
【0130】
図23に示すように、本実施形態に係る媒体搬送装置では、分離ローラ113は、シャフト113aの代わりに、シャフト313a上に設けられる。シャフト313aは、シャフト113aと同様の構造を有する。但し、シャフト313a内部には、弾性部材323hが設けられる。弾性部材323hは、ねじリコイルばね等のばね部材である。なお、弾性部材323hは、板ばね等の他のばね部材、又は、ゴム部材等でもよい。弾性部材323hは、第2端部113dと分離ローラ113の間の任意の位置に配置され、第2端部113dに対して、シャフト313aの延伸方向(幅方向A2)に沿って外側に向かう押圧力を加える。これにより、シャフト313aの第2端部113dは、シャフト313aの延伸方向に移動可能に設けられる。
【0131】
シャフト313aの第2端部113dが側面123f上を第2支持部123cの第1穴123e側に向かって移動した場合、第2端部113dは、弾性部材323hを押し戻して、第1支持部123b側に移動する。したがって、媒体搬送装置では、分離ローラカバー122内部に分離ローラ113が配置された状態で分離ローラカバー122が閉じられた場合に、第2端部113dが、第1穴123eに、より確実に係合することが可能となる。
【0132】
これにより、利用者は、分離ローラ113を分離ローラフレーム123に、より確実にセットすることが可能となり、媒体搬送装置は、利用者の利便性を向上させることが可能となる。
【0133】
以上詳述したように、媒体搬送装置は、シャフト313aが弾性部材323hを有する場合も、給送ローラカバー121又は分離ローラカバー122が開いたまま使用されることを抑制することが可能となった。
【0134】
図24は、さらに他の実施形態に係る媒体搬送装置における分離ローラ113のシャフト413a及び分離ローラフレーム423の第2支持部423cについて説明するための模式図である。
図24は、分離ローラ113のシャフト413aが配置された分離ローラフレーム423を下流側から見た断面図である。
【0135】
図24に示すように、本実施形態に係る媒体搬送装置では、分離ローラ113は、シャフト113a又は313aの代わりに、シャフト413a上に設けられる。シャフト413aは、シャフト113a又は313aと同様の構造を有する。但し、シャフト413aの第2端部413dは、R面カットされている。
【0136】
また、本実施形態に係る媒体搬送装置は、分離ローラフレーム123の代わりに、分離ローラフレーム423を有する。分離ローラフレーム423は、第2支持部123cの代わりに、第2支持部423cを有する。第2支持部423cにおいて第1穴123eに対して搬送路側に形成された側面423fは、搬送路側に向けてR面カットされている。即ち、側面423fは、搬送路側ほど幅方向A2の外側に位置するように傾斜している。
【0137】
第2端部413d及び側面423fが、それぞれR面カットされていることにより、分離ローラカバー122が閉位置に移動される際、第2端部413dは、側面423fに沿って幅方向A2の内側に移動していく。これにより、第2端部413dが第1穴123eに近付くほど、分離ローラ113のシャフト413aは、第1支持部123b側に移動していく。したがって、媒体搬送装置では、分離ローラカバー122内部に分離ローラ113が配置された状態で分離ローラカバー122が閉じられた場合に、第2端部413dが第1穴123eに良好に係合することが可能となる。
【0138】
なお、第2端部413d及び側面423fのうちの何れか一方は、R面カットされていなくてもよい。
【0139】
以上詳述したように、媒体搬送装置は、第2端部413d又は側面423fがR面カットされている場合も、給送ローラカバー121又は分離ローラカバー122が開いたまま使用されることを抑制することが可能となった。
【0140】
図25は、さらに他の実施形態に係る媒体搬送装置における処理回路550の概略構成を示す図である。処理回路550は、媒体搬送装置100の処理回路150の代わりに使用され、処理回路150の代わりに、媒体読取処理等を実行する。処理回路550は、制御回路551及び画像取得回路552等を有する。なお、これらの各部は、それぞれ独立した集積回路、マイクロプロセッサ、ファームウェア等で構成されてもよい。
【0141】
制御回路551は、制御部の一例であり、制御部151と同様の機能を有する。制御回路551は、操作装置106又はインタフェース装置132から操作信号を、媒体センサ111から媒体信号を受信する。制御回路551は、受信した各情報に基づいてモータ131を制御する。
【0142】
画像取得回路552は、画像取得部の一例であり、画像取得部152と同様の機能を有する。画像取得回路552は、撮像装置116から入力画像を取得し、インタフェース装置132に出力する。
【0143】
以上詳述したように、媒体搬送装置では、処理回路550が用いられる場合も、給送ローラカバー121又は分離ローラカバー122が開いたまま使用されることを抑制することが可能となった。
【0144】
以上、好適な実施形態について説明してきたが、実施形態はこれらに限定されない。例えば、載置台103の凹部103dは、給送ローラカバー121が開位置に配置された状態で、載置台103が傾斜位置に配置された場合に、給送ローラカバー121と当接して給送ローラカバー121を閉位置に押し込むように形成されてもよい。その場合、載置台103の下流側の側面103bに設けられた凹部103dの上端は、上流側ほど下方に位置するように傾斜するように形成される。これにより、載置台103の凹部103dは、載置台103が傾斜位置に配置された状態で下流側にスライド移動した場合に、給送ローラカバー121を下方に押し下げていき、閉位置に押し込むことができる。
【0145】
また、給送ローラ112及び給送ローラカバー121は、分離ローラ113及び分離ローラカバー122と同様の構造を有し、給送ローラカバー121を閉じる動作と連動して、給送ローラ112が下側筐体101に係合するように設けられてもよい。その場合、給送ローラ112は、下側筐体101に着脱可能に設けられる。下側筐体101には、給送ローラ112の回転軸であるシャフトを回転可能に支持する支持部が設けられる。給送ローラ112のシャフト及び下側筐体101の支持部は、それぞれ分離ローラ113のシャフト113a及び分離ローラフレーム123の第2支持部123cと同様の構造を有する。シャフト及び支持部のうちの少なくとも一方は、給送ローラカバー121内部に給送ローラ112が配置された状態で給送ローラカバー121が閉じられた場合に、シャフトが支持部に係合するように設けられる。
【0146】
また、載置台103の係合部103c及び下側筐体101の被係合部101cは、給送ローラカバー121及び/又は分離ローラカバー122が閉位置に配置されている場合に限り、相互に係合(嵌合)するように設けられてもよい。即ち、係合部103c及び被係合部101cは、給送ローラカバー121及び/又は分離ローラカバー122が開位置に配置されている場合、相互に係合(嵌合)しないように設けられてもよい。これにより、給送ローラカバー121又は分離ローラカバー122がロックされていない場合、載置台103は下側筐体101に取り付けられないため、利用者は、各カバーが正しくセットされていないことを確実に認識できる。
【0147】
同様に、係合部103c及び被係合部101cは、給送ローラ112が下側筐体101に係合している場合に限り、且つ/又は、分離ローラ113が上側筐体102に係合している場合に限り、相互に係合(嵌合)するように設けられてもよい。即ち、係合部103c及び被係合部101cは、給送ローラ112が下側筐体101に係合していない場合、又は、分離ローラ113上側筐体102に係合していない場合、相互に係合(嵌合)しないように設けられてもよい。これにより、給送ローラ112又は分離ローラ113が正しくセットされていない場合、載置台103は下側筐体101に取り付けられないため、利用者は、各ローラが正しくセットされていないことを確実に認識できる。
【0148】
また、載置台103側に突起部が設けられ、給送ローラカバー121側に凹部が設けられてもよい。その場合、載置台103の下流側の端部に下流側に向けて突出する突起部が設けられ、給送ローラカバー121の上流側の端部に凹部が設けられる。載置台103に設けられた突起部は、給送ローラカバー121に設けられた凹部の下端に当接して給送ローラカバーを押し下げる。
【0149】
また、給送ローラカバー121及び分離ローラカバー122のうちの一方のみが、開位置に配置された状態で載置台が取り付けられた場合に、載置台103の取り付け動作と連動して閉位置に移動するように設けられてもよい。
【符号の説明】
【0150】
100 媒体搬送装置、101 下側筐体、101a 下側ガイド面、102 上側筐体、102a 上側ガイド面、103 載置台、103a 載置面、103d 凹部、104 サイドガイド、112 給送ローラ、113 分離ローラ、113a、313a、413a シャフト、113d、413d 第2端部、121 給送ローラカバー、121b 軸部、122 分離ローラカバー、122b 軸部、123c 第2支持部、123g 第2穴