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特許7425274改良中間軸構造体、それを用いた金属ディスクのカップリング、それを備えた機械装置
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  • 特許-改良中間軸構造体、それを用いた金属ディスクのカップリング、それを備えた機械装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-23
(45)【発行日】2024-01-31
(54)【発明の名称】改良中間軸構造体、それを用いた金属ディスクのカップリング、それを備えた機械装置
(51)【国際特許分類】
   F16D 3/79 20060101AFI20240124BHJP
   F16D 9/00 20060101ALI20240124BHJP
【FI】
F16D3/79 Z
F16D9/00 100
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021202929
(22)【出願日】2021-11-24
(65)【公開番号】P2023000988
(43)【公開日】2023-01-04
【審査請求日】2022-02-07
(31)【優先権主張番号】P 2021123730
(32)【優先日】2021-06-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】711005709
【氏名又は名称】平山 保男
(72)【発明者】
【氏名】平山 保男
【審査官】倉田 和博
(56)【参考文献】
【文献】実開昭58-162323(JP,U)
【文献】特開2019-163822(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16D 3/79
F16D 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャーピンを含み、シャーピン切断後、駆動側と被駆動側に分断されるシャーピン式中間軸構造体(10)と、前記シャーピン式中間軸構造体(10)を挟んだ両側に、アダプターハブ構造を備えた金属ディスクのカップリングであって、
前記アダプターハブ構造は、前記シャーピン式中間軸構造体(10)と同軸に配置されトルクを伝達する軸嵌合アダプターハブ(10a)と、前記軸嵌合アダプターハブ(10a)と同軸に配置されるフランジ(11e)と、たわみ板(13n)と、分割スペーサー(12a)とを備え、
前記分割スペーサー(12a)と前記シャーピン式中間軸構造体(10)とが結合し、
前記フランジ(11e)は、フランジたわみ板フランジ(11f)と、前記フランジたわみ板フランジ(11f)の径方向外側且つ軸方向外側に軸方向厚さを有するフランジチューブ結合部(11j)と、前記フランジチューブ結合部(11j)の径方向外側且つ軸方向外側のフランジ外フランジ(11k)とを備え、
前記分割スペーサー(12a)は、前記フランジたわみ板フランジ(11f)と軸方向同一位置に周方向互い違いに配置された分割スペーサーたわみ板フランジ(12b)と、前記分割スペーサーたわみ板フランジ(12b)の径方向外側且つ軸方向内側に軸方向厚さを有する分割スペーサーチューブ結合部(12g)とを備え、
前記たわみ板(13n)は、前記フランジたわみ板フランジ(11f)及び前記分割スペーサーたわみ板フランジ(12b)を、前記フランジたわみ板フランジ(11f)及び前記分割スペーサーたわみ板フランジ(12b)の軸方向外側から連結するものであり、
前記たわみ板(13n)を、前記フランジたわみ板フランジ(11f)と前記分割スペーサーたわみ板フランジ(12b)とに締め付ける複数のたわみ板用のボルト(14)及び複数の回り止めナット(17)と、
前記フランジたわみ板フランジ(11f)と前記たわみ板(13n)との間に介在させる複数のフランジ(11e)側クランプワッシャー(16c)と、
前記分割スペーサーたわみ板フランジ(12b)と前記たわみ板(13n)との間に介在させる複数の分割スペーサー(12a)側クランプワッシャー(16d)とを備え、
軸方向内側に周方向互い違いに配置された前記フランジ(11e)側クランプワッシャー(16c)及び前記分割スペーサー(12a)側クランプワッシャー(16d)と、軸方向外側に周方向に配置された前記たわみ板(13n)用のボルト(14)の頭部と一体の複数のクランプワッシャー(16)とで、径方向同一ピッチ円直径上に挟まれるように前記たわみ板(13n)を位置させ、
前記軸嵌合アダプターハブ(10a)は、前記複数のたわみ板用のボルト(14)の頭部を収納する段付穴(11d)を有するアダプターハブ外フランジ(11c)を備え、
前記アダプターハブ外フランジ(11c)は、前記フランジ外フランジ(11k)と、前記フランジ外フランジ(11k)の軸方向外側締結し、
前記シャーピン式中間軸構造体(10)を軸方向より平面視した時シャーピンの設置PCDをDs、シャーピンの径をds、たわみ板用のボルトの径をdbとし、たわみ板のボルト本数をN、シャーピンの設置本数をNsとすると、
Ds/dsは11.25≦Ds/ds≦11.75であり、ds=dbであり、シャーピンの設置PCD=Ds=たわみ板用のボルトの設置PCDであり、シャーピンの設置本数Nsは0.6×Nとなる本数の端数を繰り上げた本数であることを特徴とする金属ディスクのカップリング
【請求項2】
シャーピンを含み、シャーピン切断後、駆動側と被駆動側に分断されるシャーピン式中間軸構造体(20)と、前記シャーピン式中間軸構造体(20)を挟んだ両側に、反転ハブ構造を備えた金属ディスクのカップリングであって、
前記反転ハブ構造は、前記シャーピン式中間軸構造体(20)と同軸に配置されトルクを伝達する軸嵌合反転ハブ(20a)と、前記軸嵌合反転ハブ(20a)と同軸に配置されるたわみ板(23n)と、分割スペーサー(22a)とを備え
前記分割スペーサー(22a)と前記シャーピン式中間軸構造体(20)とが結合し
前記軸嵌合反転ハブ(20a)は、反転ハブたわみ板フランジ(21a)を備え、
前記分割スペーサー(22a)は、前記反転ハブたわみ板フランジ(21a)と軸方向同一位置に方向互い違いに配置された分割スペーサーたわみ板フランジ(22b)と、前記分割スペーサーたわみ板フランジ(22b)の径方向外側且つ軸方向内側に配置される分割スペーサーチューブ(22e)とを備え、
前記たわみ板(23n)は、前記反転ハブたわみ板フランジ(21a)及び前記分割スペーサーたわみ板フランジ(22b)を、前記反転ハブたわみ板フランジ(21a)及び前記分割スペーサーたわみ板フランジ(22b)の軸方向内側から連結するものであり、
前記たわみ板(23n)を、前記反転ハブたわみ板フランジ(21a)と前記分割スペーサーたわみ板フランジ(22b)とに締め付ける複数のたわみ板用のボルト(24)及び複数の座付き回り止めナット(27)と、
前記反転ハブたわみ板フランジ(21a)と前記たわみ板(23n)との間に介在させる複数の反転ハブ(20a)側クランプワッシャー(26c)と、
前記分割スペーサーたわみ板フランジ(22b)と前記たわみ板(23n)との間に介在させる複数の分割スペーサー(22a)側クランプワッシャー(26d)とを備え、
軸方向外側に方向互い違いに配置された前記反転ハブ(20a)側クランプワッシャー(26c)及び前記分割スペーサー(22a)側クランプワッシャー(26d)と、軸方向内側に周方向に配置された前記たわみ板(23n)用のボルト(24)の頭部と一体の複数のクランプワッシャー(26)とで、径方向同一ピッチ円直径上に挟まれるように前記たわみ板(23n)を位置させ
前記シャーピン式中間軸構造体(20)を軸方向より平面視した時シャーピンの設置PCDをDs、シャーピンの径をds、たわみ板用のボルトの径をdbとし、たわみ板のボルト本数をN、シャーピンの設置本数をNsとすると、
Ds/dsは11.25≦Ds/ds≦11.75であり、ds=dbであり、シャーピンの設置PCD=Ds=たわみ板用のボルトの設置PCDであり、シャーピンの設置本数Nsは0.6×N、又は0.6×Nとなる本数の端数を繰り上げた本数であることを特徴とする金属ディスクのカップリング
【請求項3】
シャーピンを含み、シャーピン切断後、駆動側と被駆動側に分断されるシャーピン式中間軸構造体と、
前記シャーピン式中間軸構造体を挟んで一方に、前記シャーピン式中間軸構造体と同軸に配置されトルクを伝達する軸嵌合アダプターハブ(10a)と、前記軸嵌合アダプターハブ(10a)と同軸に配置されるフランジ(11e)と、第一たわみ板(13n)と、第一分割スペーサー(12a)とからなるアダプターハブ構造を備え、
前記第一分割スペーサー(12a)と前記シャーピン式中間軸構造体とが結合し、
他方に、前記シャーピン式中間軸構造体と同軸に配置されトルクを伝達する軸嵌合反転ハブ(20a)と、前記軸嵌合反転ハブ(20a)と同軸に配置される第二たわみ板(23n)と、第二分割スペーサー(22a)とからなる反転ハブ構造を備え
前記第二分割スペーサー(22a)と前記シャーピン式中間軸構造体とが結合した金属ディスクのカップリングであって、
前記アダプターハブ構造における前記フランジ(11e)は、フランジたわみ板フランジ(11f)と、前記フランジたわみ板フランジ(11f)の径方向外側且つ軸方向外側に軸方向厚さを有するフランジチューブ結合部(11j)と、前記フランジチューブ結合部(11j)の径方向外側且つ軸方向外側のフランジ外フランジ(11k)とを備え、
前記第一分割スペーサー(12a)は、前記フランジたわみ板フランジ(11f)と軸方向同一位置に周方向互い違いに配置された第一分割スペーサーたわみ板フランジ(12b)と、前記第一分割スペーサーたわみ板フランジ(12b)の径方向外側且つ軸方向内側に軸方向厚さを有する分割スペーサーチューブ結合部(12g)とを備え、
前記第一たわみ板(13n)は、前記フランジたわみ板フランジ(11f)及び前記第一分割スペーサーたわみ板フランジ(12b)を、前記フランジたわみ板フランジ(11f)及び前記第一分割スペーサーたわみ板フランジ(12b)の軸方向外側から連結するものであり、
前記第一たわみ板(13n)を、前記フランジたわみ板フランジ(11f)と前記第一分割スペーサーたわみ板フランジ(12b)とに締め付ける複数のたわみ板用の第一ボルト(14)及び複数の回り止めナット(17)と、
前記フランジたわみ板フランジ(11f)と前記第一たわみ板(13n)との間に介在させる複数のフランジ(11e)側クランプワッシャー(16c)と
前記第一分割スペーサーたわみ板フランジ(12b)と前記第一たわみ板(13n)との間に介在させる複数の第一分割スペーサー(12a)側クランプワッシャー(16d)とを備え、
軸方向内側に周方向互い違いに配置された前記フランジ(11e)側クランプワッシャー(16c)及び前記第一分割スペーサー(12a)側クランプワッシャー(16d)と、軸方向外側に周方向に配置された前記第一たわみ板(13n)用の第一ボルト(14)の頭部と一体の複数の第一クランプワッシャー(16)とで、径方向同一ピッチ円直径上に
挟まれるように前記第一たわみ板(13n)を位置させ、
前記軸嵌合アダプターハブ(10a)は、前記複数のたわみ板用の第一ボルト(14)
の頭部を収納する段付き穴(11d)を有するアダプターハブ外フランジ(11c)を備え、
前記アダプターハブ外フランジ(11c)は、前記フランジ外フランジ(11k)と、前記フランジ外フランジ(11k)の軸方向外側で締結し、
前記シャーピン式中間軸構造体を軸方向より平面視した時シャーピンの設置PCDをDs、シャーピンの径をds、第一たわみ板用の第一ボルトの径をdbとし、第一たわみ板の第一ボルト本数をN、シャーピンの設置本数をNsとすると、
Ds/dsは11.25≦Ds/ds≦11.75であり、ds=dbであり、シャーピンの設置PCD=Ds=第一たわみ板用の第一ボルトの設置PCDであり、シャーピンの設置本数Nsは0.6×Nとなる本数の端数を繰り上げた本数であり、
前記反転ハブ構造における前記軸嵌合反転ハブ(20a)は、反転ハブたわみ板フランジ(21a)を備え、
前記第二分割スペーサー(22a)は、前記反転ハブたわみ板フランジ(21a)と軸方向同一位置に径方向互い違いに配置された第二分割スペーサーたわみ板フランジ(22b)と、前記第二分割スペーサーたわみ板フランジ(22b)の径方向外側且つ軸方向内側に配置される分割スペーサーチューブ(22e)とを備え、
前記第二たわみ板(23n)は、前記反転ハブたわみ板フランジ(21a)及び前記第二分割スペーサーたわみ板フランジ(22b)を、前記反転ハブたわみ板フランジ(21a)及び前記第二分割スペーサーたわみ板フランジ(22b)の軸方向内側から連結するものであり、
前記第二たわみ板(23n)を、前記反転ハブたわみ板フランジ(21a)と前記第二分割スペーサーたわみ板フランジ(22b)とに締め付ける複数のたわみ板用の第二ボルト(24)及び複数の座付き回り止めナット(27)と、
前記反転ハブたわみ板フランジ(21a)と前記第二たわみ板(23n)との間に介在させる複数の反転ハブ(20a)側クランプワッシャー(26c)と、
前記第二分割スペーサーたわみ板フランジ(22b)と前記第二たわみ板(23n)との間に介在させる複数の第二分割スペーサー(22a)側クランプワッシャー(26d)とを備え、
軸方向外側に径方向互い違いに配置された前記反転ハブ(20a)側クランプワッシャー(26c)及び前記第二分割スペーサー(22a)側クランプワッシャー(26d)と、軸方向内側に周方向に配置された前記第二たわみ板(23n)用の第二ボルト(24)の頭部と一体の複数の第二クランプワッシャー(26)とで、径方向同一ピッチ円直径上に挟まれるように前記第二たわみ板(23n)を位置させ、
前記シャーピン式中間軸構造体を軸方向より平面視した時シャーピンの設置PCDをDs、シャーピンの径をds、第二たわみ板用の第二ボルトの径をdbとし、第二たわみ板の第二ボルト本数をN、シャーピンの設置本数をNsとすると、
Ds/dsは11.25≦Ds/ds≦11.75であり、ds=dbであり、シャーピンの設置PCD=Ds=第二たわみ板用の第二ボルトの設置PCDであり、シャーピンの設置本数Nsは0.6×N、又は0.6×Nとなる本数の端数を繰り上げた本数であることを特徴とする金属ディスクのカップリング
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の金属ディスクのカップリングであって
複数のボルト及び回り止めナットを分割スペーサーとシャーピン式中間軸構造体との結合に用いることを特徴とする金属ディスクのカップリング。
【請求項5】
請求項4に記載の金属ディスクのカップリングを備えたことを特徴とする機械装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、改良中間軸構造体、それを用いた金属ディスクのカップリング、それを備えた機械装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
スプライン滑動部を構成に持つリジットカップリング、フランジ形たわみ軸継手、歯車形軸継手等の構成については、既にある。例えば非特許文献1参照。
歯車式軸継手については、解説を含む規格の規定が既にある。例えば非特許文献2参照。
ギヤカップリングのシャピン式(特殊型)構造の特定については、既にある。例えば非特許文献3参照。
金属ディスクカップリングのアダプターハブ構造の特定については、既にある。例えば特許文献1参照。
金属ディスクカップリングの反転ハブ構造の特定については、既にある。例えば特許文献2参照。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【文献】機械工学便覧改訂第5版、7機械の要素P56・P57とP62・P63とに第106図フランジ形たわみ軸継手、第107図歯車形軸継手、リジットカップリングの駆動側又は被駆動側主軸とハブ穴とに適用できる第106表・第107表インボリュートスプライン等を記載
【文献】JIS B1453(1976年改正)、歯車形軸継手P8に解説表1許容伝達トルク及び許容回転数、P12に解説図3継手外径―許容回転数線図、P13に解説図4最大軸穴直径―許容伝達トルク線図等を記載。
【文献】三菱MTギヤカップリングカタログ カタログNO GC-(8)-84 P18、P19応用型と特殊型の紹介に示す2.特殊型シャピン式に記載。
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第6596762号公報 図1図2に記載。
【文献】特許第6596762号公報 図3図4に記載。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
金属ディスクのカップリングにおけるたわみ板フランジとクランプワッシャーの一体化はたわみ板用のボルトの曲げ強度を1.82倍に高めることができたが、依然としてたわみ板用のボルトの曲げ変形とたわみ板の腕の伸び変形とはごく少ないままで、ねじり方向限度装置(特許第6093960号公報参照)の実用化(平行偏心を含む偏角吸収ができないリジットカップリングが定格トルク×700%に耐えることと同義)には疑問が残っている。
このため電気用途で発生する定格トルク×300%を超える瞬時最大トルクに対し暖簾に腕押しの対処ができる非特許文献3のシャピン式を参考にして、今回新たにシャーピン構造を用いた中間軸構造体として見直しをするものである。見直しは、特許文献1の特許第6596762号公報の図1図2を参考としたアダプターハブ構造(ハブは使っていないが構造はアダプターハブ構造と見なした)の場合から始める。
【0006】
次に特許文献2の特許第6596762号公報の図3図4を参考とした反転ハブ構造(ハブは使っていないが構造は反転ハブ構造と見なした)の場合について見直しをする。
【0007】
アダプターハブ構造のアダプターハブ同士と、反転ハブ構造の反転ハブ同士との組み合わせで、その間に組込まれる2種類となるシャーピン構造を含む中間軸構造体について、見直しする。
【0008】
駆動側にアダプターハブと被駆動側に反転ハブと、駆動側に反転ハブと被駆動側にアダプターハブとの組合せで、その間に組込まれる2種類となるシャーピン構造を含む中間軸構造体について見直しする。
【0009】
金属ディスクのカップリングにシャーピン構造を含む中間軸構造体を組み込むにおいて、アダプターハブ構造用への中間軸構造体と、反転ハブ構造用への中間軸構造体と、共通の締結部品を用い組込みできないか見直しする。
【0010】
特許第6093960号公報に示すねじり方向限度装置は、たわみ板フランジ同士による噛合せトルク伝達に無理があり、現時点での実用化は断念せざるを得ない。シャーピン構造は無理が少なく、金属ディスクカップリングの中間軸構造体への組込みが容易にできるように見直しをするものである。
【0011】
本発明は、この様な従来の問題を解決しようとするものであり、改良中間軸構造体、それを用いた金属ディスクのカップリング、それを備えた機械装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するための本発明請求項1のシャーピン構造を含む中間軸構造体は、
同軸に配置されトルクを伝達する複数の軸嵌合アダプターハブ(10a)に、前記軸嵌合アダプターハブ(10a)に同軸に配置されるフランジ(11e)と、たわみ板(13n)と、分割スペーサー(12a)と、シャーピン構造を含む中間軸構造体(10)とからなるアダプターハブ構造における前記シャーピン構造を含む中間軸構造体(10)であって、
前記フランジ(11e)における、分割スペーサーたわみ板フランジ(12b)と軸方向同一位置に周方向互い違いに配置されたフランジたわみ板フランジ(11f)と、
前記分割スペーサー(12a)における、前記フランジたわみ板フランジ(11f)と軸方向同一位置に周方向互い違いに配置された前記分割スペーサーたわみ板フランジ(12b)と、
前記フランジたわみ板フランジ(11f)における、径方向外側且つ軸方向外側に軸方向厚さを有するフランジチューブ結合部(11j)と、
前記分割スペーサーたわみ板フランジ(12b)における、径方向外側且つ軸方向内側に軸方向厚さを有する分割スペーサーチューブ結合部(12g)と、
前記フランジたわみ板フランジ(11f)及び前記分割スペーサーたわみ板フランジ(12b)を、前記フランジたわみ板フランジ(11f)及び前記分割スペーサーたわみ板フランジ(12b)の軸方向外側から連結する前記たわみ板(13n)及び複数のクランプワッシャー(16)と、
前記たわみ板(13n)を、前記フランジたわみ板フランジ(11f)と前記分割スペーサーたわみ板フランジ(12b)とに締め付ける複数のたわみ板用のボルト(14)及び複数の回り止めナット(17)と、
前記フランジたわみ板フランジ(11f)と前記たわみ板(13n)との間に介在させる複数のクランプワッシャー(16c)と、
前記分割スペーサーたわみ板フランジ(12b)と前記たわみ板(13n)との間に介在させる複数のクランプワッシャー(16d)とを備え、
前記たわみ板(13n)は、軸方向内側に周方向互い違いに配置された前記各複数のクランプワッシャー(16c)及びクランプワッシャー(16d)と、軸方向外側に周方向に配置された前記たわみ板用のボルト(14)の頭部と一体の複数のクランプワッシャー(16)と、径方向同一ピッチ円直径上に挟まれ位置するものであり、
前記クランプワッシャー(16c)は、前記フランジたわみ板フランジ(11f)との間に境界面を設けることなく、前記フランジたわみ板フランジ(11f)と連続して一体に構成され、
前記クランプワッシャー(16d)は、前記分割スペーサーたわみ板フランジ(12b)との間に境界面を設けることなく、前記分割スペーサーたわみ板フランジ(12b)と連続して一体に構成され、
前記軸嵌合アダプターハブ(10a)のアダプターハブ外フランジ(11c)内側は、前記複数のたわみ板用のボルト(14)の頭部を収納するアダプターハブの段付穴(11d)内へ収納でき、前記フランジチューブ結合部(11j)の径方向外側且つ軸方向外側のフランジ外フランジ(11k)を、軸方向外側から締結し、
前記シャーピン構造を含む中間軸構造体(10)において、前記シャーピン構造を含む中間軸構造体(10)を軸方向より平面視した時シャーピンの設置PCDをDs、シャーピンの径をds、たわみ板用のボルトの径をdbとし、たわみ板のボルト本数をN、シャーピンの設置本数をNsとすると、
Ds/dsは11.25≦Ds/ds≦11.75であり、ds=dbであり、シャーピンの設置本数Nsは0.6×N、又は0.6×Nとなる本数の端数を繰り上げた本数、又はバランスが崩れた時0.6×Nとなる本数の端数を繰り上げた本数に1加えた本数であることを特徴とする。係る構成によれば、主軸径をある程度大きく採れるアダプターハブ構造を採用しており、たわみ板フランジ外径より内側の空間を活用したシャーピン構造の設定は容易である。短絡トルク発生時の被駆動側主軸径は、シャーピン切断時の切断トルク(定格トルク×300%)に基づき見直されるべきで、従来の定格トルク×700%に耐える被駆動側主軸径の設定に比べ十分小さくできる。
【0013】
上記課題を解決するための本発明請求項2のシャーピン構造を含む中間軸構造体は、
同軸に配置されトルクを伝達する複数の軸嵌合反転ハブ(20a)に、前記軸嵌合反転ハブ(20a)に同軸に配置されるたわみ板(23n)と、分割スペーサー(22a)と、シャーピン構造を含む中間軸構造体(20)とからなる反転ハブ構造における前記シャーピン構造を含む中間軸構造体(20)であって、
前記軸嵌合反転ハブ(20a)の反転ハブたわみ板フランジ(21a)における、分割スペーサーたわみ板フランジ(22b)と軸方向同一位置に径方向互い違いに配置された前記反転ハブたわみ板フランジ(21a)と、
前記分割スペーサー(22a)における、前記反転ハブたわみ板フランジ(21a)と軸方向同一位置に径方向互い違いに配置された前記分割スペーサーたわみ板フランジ(22b)と、
前記反転ハブたわみ板フランジ(21a)における、径方向内側且つ軸方向拡張位置に配置される前記軸嵌合反転ハブ(20a)と、
前記分割スペーサーたわみ板フランジ(22b)における、径方向外側且つ軸方向内側に配置される分割スペーサーチューブ(22e)と、
前記反転ハブたわみ板フランジ(21a)及び前記分割スペーサーたわみ板フランジ(22b)を、前記反転ハブたわみ板フランジ(21a)及び前記分割スペーサーたわみ板フランジ(22b)の軸方向内側から連結する前記たわみ板(23n)及び複数のクランプワッシャー(26)と、
前記たわみ板(23n)を、前記反転ハブたわみ板フランジ(21a)と前記分割スペーサーたわみ板フランジ(22b)とに締め付ける複数のたわみ板用のボルト(24)及び複数の座付き回り止めナット(27)と、
前記反転ハブたわみ板フランジ(21a)と前記たわみ板(23n)との間に介在させる複数のクランプワッシャー(26c)と、
前記分割スペーサーたわみ板フランジ(22b)と前記たわみ板(23n)との間に介在させる複数のクランプワッシャー(26d)とを備え、
前記たわみ板(23n)は、軸方向外側に径方向互い違いに配置された前記各複数のクランプワッシャー(26c)及びクランプワッシャー(26d)と、軸方向内側に周方向に配置された前記たわみ板用のボルト(24)の頭部と一体の複数のクランプワッシャー(26)と、径方向同一ピッチ円直径上に挟まれ位置するものであり、
前記クランプワッシャー(26c)は、前記反転ハブたわみ板フランジ(21a)との間に境界面を設けることなく、前記反転ハブたわみ板フランジ(21a)と連続して一体に構成され、
前記クランプワッシャー(26d)は、前記分割スペーサーたわみ板フランジ(22b)との間に境界面を設けることなく、前記分割スペーサーたわみ板フランジ(22b)と連続して一体に構成され、
前記反転ハブたわみ板フランジ(21a)は、軸方向内側に前記たわみ板(23n)を連結し、
前記シャーピン構造を含む中間軸構造体(20)において、前記シャーピン構造を含む中間軸構造体(20)を軸方向より平面視した時シャーピンの設置PCDをDs、シャーピンの径をds、たわみ板用のボルトの径をdbとし、たわみ板のボルト本数をN、シャーピンの設置本数をNsとすると、
Ds/dsは11.25≦Ds/ds≦11.75であり、ds=dbであり、シャーピンの設置本数Nsは0.6×N、又は0.6×Nとなる本数の端数を繰り上げた本数、又はバランスが崩れた時0.6×Nとなる本数の端数を繰り上げた本数に1加えた本数であることを特徴とする。係る構成によれば、反転ハブ構造を採用しており、たわみ板フランジ外径より内側の空間を活用したシャーピン構造の設定は容易である。短絡トルク発生時の被駆動側主軸径は、シャーピン切断時の切断トルク(定格トルク×300%)に基づき見直されるべきで、従来の定格トルク×700%に耐える被駆動側主軸径の設定に比べ十分小さくできる。
【0014】
上記課題を解決するための本発明請求項3のシャーピン構造を含む中間軸構造体は、
請求項1のアダプターハブ構造のアダプターハブ同士と、請求項2の反転ハブ構造の反転ハブ同士との間における、前記シャーピン構造を含む中間軸構造体(10)と前記シャーピン構造を含む中間軸構造体(20)との設置の適用において、2通りある各々について前記シャーピン構造を含む中間軸構造体(10)と前記シャーピン構造を含む中間軸構造体(20)との少なくとも一方が設置適用されることを特徴とする。係る構成によれば、駆動側と被駆動側との主軸径の違い及び伝達トルク遮断への対処の他、潤滑条件の適切選定による駆動側主軸の伝達トルク遮断後のクーリング時間短縮等、各装置メーカーからの要求に柔軟に対応可能である。
【0015】
上記課題を解決するための本発明請求項4のシャーピン構造を含む中間軸構造体は、
駆動側に請求項1のアダプターハブ構造のアダプターハブと被駆動側に請求項2の反転ハブ構造の反転ハブと、駆動側に請求項2の反転ハブ構造の反転ハブと被駆動側に請求項1のアダプターハブ構造のアダプターハブとの間における、前記シャーピン構造を含む中間軸構造体(10)と前記シャーピン構造を含む中間軸構造体(20)との設置の適用において、2通りある各々について前記シャーピン構造を含む中間軸構造体(10)と前記シャーピン構造を含む中間軸構造体(20)との少なくとも一方が設置適用されることを特徴とする。係る構成によれば、伝達トルク遮断への対処の他、潤滑条件の適切選定による駆動側主軸の伝達トルク遮断後のクーリング時間短縮等、各装置メーカーからの要求に柔軟に対応可能である。
【0016】
上記課題を解決するためになされた本発明請求項5の金属ディスクのカップリングは、
請求項3と請求項4とに記載のシャーピン構造を含む中間軸構造体において、アダプターハブ構造用の複数のボルト(18)及び回り止めナット(19)と、反転ハブ構造用の複数のボルト(28)及び回り止めナット(29)とを、共通部品としてシャーピン構造を含む中間軸構造体の組込みに用いることを特徴とする。係る構成によれば、アダプターハブ同士と反転ハブ同士と、アダプターハブと反転ハブとの互い違い組合せとに使用される各締結用部品は、金属ディスクのカップリングへの中間軸構造体組込み用の共通部品として適用可能である。
【0017】
上記課題を解決するためになされた本発明の請求項6の機械装置は、
請求項5に記載の金属ディスクのカップリングを備えたことを特徴とする。係る金属ディスクのカップリングを備えることは、短絡トルク対応を含む電気向け用途の分野へより広く対応が可能である。
【発明の効果】
【0018】
本発明請求項1によれば、主軸径をある程度大きく採れるアダプターハブ構造を採用しており、たわみ板フランジ外径より内側の空間を活用したシャーピン構造の設定は容易である。短絡トルク発生時の被駆動側主軸径は、シャーピン切断時の切断トルク(定格トルク×300%)に基づき(ある程度余裕を見る)見直されるべきで、従来の定格トルク×700%に耐える被駆動側主軸径の設定より十分小さくでき、その時の効果は大きい。
【0019】
本発明請求項2によれば、反転ハブ構造を採用しており、たわみ板フランジ外径より内側の空間を活用したシャーピン構造の設定は容易である。短絡トルク発生時の被駆動側主軸径は、シャーピン切断時の切断トルク(定格トルク×300%)に基づき(ある程度余裕を見る)見直されるべきで、従来の定格トルク×700%に耐える被駆動側主軸径の設定より十分小さくでき、その時の効果は大きい。
【0020】
本発明請求項3によれば、駆動側と被駆動側とで各装置メーカーがアダプターハブ同士又は反転ハブ同士で選ぶ場合であり、通常駆動側の装置メーカーに関連する2通りある各々についてグリース潤滑と強制潤滑とで選ぶことができ(どっちでも良い)、柔軟に対応が可能である。
【0021】
本発明請求項4によれば、駆動側と被駆動側とで各装置メーカーがアダプターハブと反転ハブとを互い違いに選ぶ場合であり、通常駆動側装置メーカーに関連する2通りある各々についてグリース潤滑と強制潤滑とで選ぶことができ(どっちでも良い)、柔軟に対応が可能である。
【0022】
本発明請求項5によれば、アダプターハブ同士と反転ハブ同士と、駆動側被駆動側でのアダプターハブと反転ハブとの互い違い組合せとの間に入るシャーピン構造を含む中間軸構造体の組込みは、外フランジ締結用のボルト(18、28)と回り止めナット(19、29)とを共通部品として用い、容易に組込み可能である。
【0023】
本発明請求項6によれば、機械装置は短絡トルク等の過大トルク発生に無理なく対処でき、短期間の運転停止によるシャーピン交換、点検を経て早期の運転再開が実施できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明を適用したシャーピン構造を含む中間軸構造体(アダプターハブ構造)の断面図である。
図2】本発明を適用した図1のA矢視の断面図である。
図3】本発明を適用したシャーピン構造を含む中間軸構造体(反転ハブ構造)の断面図である。
図4】本発明を適用した図3のB矢視の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明図1を適用したアダプターハブ構造におけるシャーピン構造を含む中間軸構造体について説明する。図1で図示されない右被駆動側半分は、左駆動側に同じであり省略する。本発明のシャーピン構造を含む中間軸構造体10は、短絡トルクに対処できるようにシャーピン式を参考に応用し具現化するものであり、図1に示すようにシャーピン切断後線分E-Eで、左側は駆動側、右側は被駆動側に区分される。例えば駆動側タービン、被駆動側発電機とすると、シャーピン切断後被駆動側発電機は通常緩やかに停止され、駆動側タービンは無負荷による増速を抑え定速運転された後停止される。駆動側主軸の空転(アイドリング)は、大型装置で必要な場合クーリングダウンに時間を費やした後停止され、被駆動側発電機は、通常ローター内が気体冷却され主軸熱膨張等による芯違いの発生は少ない。
【0026】
図1シャーピン構造を含む中間軸構造体10の軸受部の潤滑は、グリース潤滑の場合を示している。一般にグリース潤滑が適用されるのは、dn値(d:中間軸構造体の軸受の軸径mm、n:軸回転数rpm)が10の6乗を充分に下回る0.54×10の6乗以下、例えばn=1500rpm又は1800rpmでd=300mm以下、及びn=3000rpm又は3600rpmでd=150mm以下の領域である。dn値が0.54×10の6乗を上回る領域となるシャーピン構造を含む中間軸構造体20については、図3で説明する。シャーピン構造を含む中間軸構造体10とシャーピン構造を含む中間軸構造体20とは、グリース潤滑適用の場合と、オイル潤滑(強制潤滑)適用の場合とに分けて考える必要がある。
【0027】
図2で示されたA矢視の断面図は、上半分にはたわみ板フランジ及びたわみ板用のボルトの断面が示され、下半分にはブッシュ内に取付けされたシャーピンの断面が示されている。図2にたわみ板は図示されていないがたわみ板のボルト本数Nの10本が示されており、上半分のたわみ板用のボルト5本の設定に対し、下半分は共通のPCD上に5ケ所のシャーピン取付け穴の設定に対し3本のシャーピンが適用されている。シャーピンの配置は、下半分の5ケ所の穴のうち上半分とも対面配置する2ケ所を除いた3ケ所が配置され、残りの対称上半分位置の3ケ所配置があり、合計6ケ所がバランス配置される。上半分に示されるたわみ板用のボルトは、下半分に示されるシャーピンとは負荷される力の方向及び相当する各本数が異なり、各々については区別して考える必要がある。通常負荷係数は1.2で選定され、シャーピン切断は定格トルク×300%に設定される。
図2で示されたボルト本数より、使用されるたわみ板は10本ボルトのたわみ板であるが、さらにボルト本数を増やした伝達トルク大たわみ板を用いる場合について述べる。伝達トルクとハブ(又はフランジ)の最大軸穴径とは、例えば非特許文献3カタログP15のフランジ構造相当のCEB-285の場合、伝達トルクは22.4tonf-mであり、最大軸穴径はφ285である。図2のアダプターハブ構造のたわみ板フランジ外径φ500、16本ボルトたわみ板使用の場合、伝達トルクは22.4tonf-mをわずか上回り、最大軸穴径はφ250を充分上回るがφ280は下回る。伝達トルク大への対応としては必要な最小軸径に配慮し、軸と穴との結合にインボリュートスプラインを使用するのが良い。非特許文献1第106表・第107表参照。
【0028】
本発明図3を適用した反転ハブ構造におけるシャーピン構造を含む中間軸構造体について説明する。図3で図示されない右被駆動側半分は、左駆動側に同じであり省略する。本発明のシャーピン構造を含む中間軸構造体20は、短絡トルクに対処できるようにシャーピン式を参考に応用し具現化するものであり、図3では省略したが図1に示されたようにシャーピン切断後線分E-Eで、左側は駆動側、右側は被駆動側に区分されることは同様である。駆動側タービン、被駆動側発電機とすると、シャーピン切断後被駆動側発電機は通常緩やかに停止され、駆動側タービンは無負荷による増速を抑え定速運転された後停止される。駆動側主軸スラスト軸受が反転位置取付され高速で運転される場合、主軸の熱膨張は大きくなる。このタイミングでシャーピンの切断が発生した時は、速やかにクーリングダウンさせ停止させる必要があり、グリース潤滑より冷却効果のある強制潤滑の適用が有効である。
【0029】
図3のシャーピン構造を含む中間軸構造体20は、例えばn=3000rpm又は3600rpmでd=150mm超えへの対応であり、通常強制潤滑が適用される。強制潤滑は、駆動側又は被駆動側主軸端の軸心穴のどちら側からでも給油可能であるが、図3では駆動側(タービン側)主軸端の軸心穴から中間軸構造体20の駆動側軸端の軸心穴へ注ぎ込まれる例である。注ぎ込まれた油は、軸心穴及び径方向の小径の深穴を通り遠心力を用い中間軸構造体20の軸径表面から軸受空間内へ噴出される。構造体20の転がり軸受転動体の油浴面高さは、軸受外輪側に取り付けられたスリンガー(リング状板)の内径で決まる。軸径表面からの油噴出量の設定は、オリフィス穴径及び穴数で決まる。構造体20の転がり軸受内径(軸径d)の上限値は400mm程度までにとどめる。強制潤滑の油の流れは、一例として図3に矢印で示す。
図3の左駆動側半分を図1のアダプターハブ構造の強制潤滑とする場合について説明する。図3図1と比較して考えると分かるように、図1のアダプターハブ主軸1の端面から中間軸構造体10の左端面の間に新たに延長チューブを追加することで給油(油の注ぎ込み)が可能である。アダプターハブ構造は、反転ハブ構造の場合より軸端間寸法大となるが、中間軸構造体20と同様の強制潤滑の他、追加となる軸径大とが共に可能である。主軸1~主軸4は請求項に含まれないが、タービン主軸(主軸1、主軸3)は、縦型旋盤等を用いワーク取付され低速で駆動され、長尺のドリルを用い深穴加工が施される。ドリルの長さが足りない時はワーク主軸を反転取付し、深穴加工を貫通させることができる。この軸心深穴加工するやり方は、既に知られている。
【0030】
図4で示されたB矢視の断面図は、上半分にはたわみ板フランジ及びたわみ板用のボルトの断面が示され、下半分にはブッシュ内に取付けされたシャーピンの断面が示されている。図4にたわみ板は図示されていないがたわみ板のボルト本数Nの10本が示されており、上半分のたわみ板用のボルト5本の設定に対し、下半分は共通のPCD上に5ケ所のシャーピン取付け穴の設定に対し3本のブッシュ取付けされたシャーピンが適用される。シャーピンの配置は、下半分の5ケ所の穴のうち上半分とも対面配置する2ケ所を除いた3ケ所が配置され、残りの対称上半分位置の3ケ所配置があり、合計6ケ所がバランス配置される。通常負荷係数は1.2で選定され、シャーピン切断は定格トルク×300%に設定される。
図4で示されるたわみ板は10本ボルトのたわみ板であるが、さらにシャーピンの設置PCDがより外側の580mm以上となる場合について述べる。シャーピンの設置PCDと回転数3000rpm時の重力加速度とは、図3の反転ハブ構造、たわみ板フランジ外径φ500、シャーピンの設置PCD410mmの場合、シャーピンの設置PCDで発生する重力加速度は2050G程度であり、例えば非特許文献3P19のシャピン式設定を用いP14ハブ構造相当のCCB-285に適用した場合、シャピンの推定設置PCD580mm程度であり、シャピンの設定PCDで発生する重力加速度は2900G程度と大きくなる。シャーピン破損片の軸方向飛び出しは防止できるとしても、その時の径方向飛び出し力(遠心力)は残ったままである。本発明図3のシャーピン設定としては、シャーピンが破損して軸方向飛び出しが防止された場合でも、図3のごとく飛び出しが内部で防止できるのが良い。この考えは図1のアダプターハブ構造の場合についても同様である。
【0031】
次に動作について説明する。図1に示された例えばタービン側主軸1が駆動され、主軸1に嵌合されたアダプターハブ10aのアダプターハブ外フランジ11c及びフランジ外フランジ11kへ複数のボルト18と回り止めナット19とを用い伝達され、次にフランジチューブ11i、フランジチューブ結合部11j、フランジたわみ板フランジ11f(含むクランプワッシャー16c)、フランジたわみ板フランジのボルト穴11hへ伝達され、次に座付き回り止めナット17、たわみ板用のボルト14(含むボルトの頭部と一体のクランプワッシャー16)を介してたわみ板13nの10ケ所の内5ケ所のボルト穴へ伝達される。次に10ケ所の内5ケ所のたわみ板引張り側腕を介して残り10ケ所の内の5ケ所のボルト穴へ伝達され、ボルトの頭部と一体のクランプワッシャー16(含むたわみ板用のボルト14)、座付き回り止めナット17を介して分割スペーサーたわみ板フランジ12b、分割スペーサーチューブ結合部12g、分割スペーサーチューブ12fへ伝達される。次に分割スペーサー外フランジ12hと中間軸構造体外フランジ12j同士とは、複数のボルト18とナット19を介して中間軸構造体たわみ板フランジ12kへ伝達され、中間軸構造体10のたわみ板フランジ外径より内側はトルク伝達上一体と見なせ、残り半分は同様となるので省略する。中間軸構造体10を一体と見なせるシャーピン15は、従来の伝達トルクの遮断ではなく、オーバーロードへの迅速な対処を可能とするものである。被駆動側は、例えば発電機側の主軸2となる。
図3に示された例えばタービン側主軸3が駆動され、主軸3に嵌合された反転ハブ20aの反転ハブたわみ板フランジ21a、たわみ板フランジのボルト穴21c(含むクランプワッシャー26c)へ伝達され、次に座付き回り止めナット27、たわみ板用のボルト24(含むボルトの頭部と一体のクランプワッシャー26)を介してたわみ板23nの10ケ所の内5ケ所のボルト穴へ伝達される。つぎに10ケ所の内5ケ所のたわみ板の引張り側を介して 残り10ケ所の内の5ケ所のボルト穴へ伝達され、ボルトの頭部と一体のクランプワッシャー26(含むたわみ板用のボルト24)、座付き回り止めナット27を介して分割スペーサーたわみ板フランジのボルト穴22c(含むクランプワッシャー26d)へ伝達される。次に分割スペーサーたわみ板フランジ22b、分割スペーサーチューブ22eへ伝達される。次に分割スペーサー外フランジ22fと中間軸構造体外フランジ22j同士とは、複数のボルト28とナット29を介して中間軸構造体たわみ板フランジ22kへ伝達され、中間軸構造体20のたわみ板フランジ外径より内側はトルク伝達上一体と見なせ、残り半分は同様となるので省略する。被駆動側は、例えば発電機側の主軸4となる。
【0032】
図3のたわみ板内径でハブボス径が制限を受ける反転ハブ構造への対処としては、12本ボルト程度までのたわみ板適用にとどめ、16本ボルトのたわみ板適用については、図1のアダプターハブ構造を代わりに用いることで対処できると考えている。
なお、本発明の改良中間軸構造体、それを用いた金属ディスクのカップリング、それを備えた機械装置を板ばね式フレキシブルカップリング以外の分野に用いることを妨げるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0033】
上述の発明は、シャーピン構造を含む中間軸構造体、それを用いた金属ディスクのカップリング、それを備えた機械装置を提供可能である。
【符号の説明】
【0034】
1 主軸(駆動側)
2 主軸(被駆動側)
3 主軸(駆動側)
4 主軸(被駆動側)
10 シャーピン構造を含む中間軸構造体(アダプターハブ構造)
10a アダプターハブ
11b 主軸径
11c アダプターハブ外フランジ
11d アダプターハブの段付穴
11e フランジ
11f フランジたわみ板フランジ
11h フランジたわみ板フランジのボルト穴
11i フランジチューブ
11j フランジチューブ結合部
11k フランジ外フランジ
12a 分割スペーサー
12b 分割スペーサーたわみ板フランジ
12c 分割スペーサーたわみ板フランジのボルト穴
12f 分割スペーサーチューブ
12g 分割スペーサーチューブ結合部
12h 分割スペーサー外フランジ
12j 中間軸構造体外フランジ
12k 中間軸構造体たわみ板フランジ
L たわみ板の腕の長さ
w たわみ板の腕の巾
Ds シャーピンの設置PCD
db たわみ板用のボルトの径
ds シャーピンの径(ブッシュ穴への取付径)
N たわみ板のボルト本数
Ns シャーピンの設置本数
Jn たわみ板を含む連結部金物
Tn たわみ板の厚さ
13n たわみ板
14 たわみ板用のボルト(六角穴付段付ボルト)
15 シャーピン
16 クランプワッシャー(たわみ板用のボルトの頭部と一体)
16c クランプワッシャー(フランジたわみ板フランジと一体)
16d クランプワッシャー(分割スペーサーたわみ板フランジと一体)
17 座付回り止めナット(又は座金+回り止めナット)
18 ボルト(六角穴付ボルト)
19 回り止めナット
20 シャーピン構造を含む中間軸構造体(反転ハブ構造)
20a 反転ハブ
21a 反転ハブたわみ板フランジ
21b 主軸径
21c 反転ハブたわみ板フランジのボルト穴
22a 分割スペーサー
22b 分割スペーサーたわみ板フランジ
22c 分割スペーサーたわみ板フランジのボルト穴
22e 分割スペーサーチューブ
22f 分割スペーサー外フランジ
22j 中間軸構造体外フランジ
22k 中間軸構造体たわみ板フランジ
L たわみ板の腕の長さ
w たわみ板の腕の巾
Ds シャーピンの設置PCD
db たわみ板用のボルトの径
ds シャーピンの径(ブッシュ穴への取付径)
N たわみ板のボルト本数
Ns シャーピンの設置本数
Jn たわみ板を含む連結部金物
Tn たわみ板の厚さ
23n たわみ板
24 たわみ板用のボルト(六角穴付段付ボルト)
25 シャーピン
26 クランプワッシャー(たわみ板用のボルトの頭部と一体)
26c クランプワッシャー(反転ハブたわみ板フランジと一体)
26d クランプワッシャー(分割スペーサーたわみ板フランジと一体)
27 座付回り止めナット(又は座金+回り止めナット)
28 ボルト(六角穴付ボルト)
29 回り止めナット
図1
図2
図3
図4