(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-23
(45)【発行日】2024-01-31
(54)【発明の名称】情報コード読取装置
(51)【国際特許分類】
G06K 7/12 20060101AFI20240124BHJP
G06K 7/10 20060101ALI20240124BHJP
G06K 7/14 20060101ALI20240124BHJP
【FI】
G06K7/12
G06K7/10 376
G06K7/10 416
G06K7/10 380
G06K7/10 464
G06K7/14 017
(21)【出願番号】P 2019164650
(22)【出願日】2019-09-10
【審査請求日】2022-01-21
(31)【優先権主張番号】P 2018198918
(32)【優先日】2018-10-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2019050634
(32)【優先日】2019-03-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】501428545
【氏名又は名称】株式会社デンソーウェーブ
(74)【代理人】
【識別番号】100095795
【氏名又は名称】田下 明人
(74)【代理人】
【識別番号】100143454
【氏名又は名称】立石 克彦
(72)【発明者】
【氏名】山本 賢了
(72)【発明者】
【氏名】鴻巣 光司
(72)【発明者】
【氏名】神戸 和美
(72)【発明者】
【氏名】丸山 健太郎
【審査官】田名網 忠雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-114869(JP,A)
【文献】実開平06-086038(JP,U)
【文献】特開2017-194788(JP,A)
【文献】特開2015-172930(JP,A)
【文献】特開2008-090733(JP,A)
【文献】特開平09-245115(JP,A)
【文献】特開平08-329172(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06K 7/12
G06K 7/10
G06K 7/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
可視光を照射可能な第1照明部と、
可視光の波長帯とは異なる所定の第2波長帯の光を照射可能な第2照明部と、
前記第1照明部により前記可視光が照射された状態で情報コードを撮像する第1撮像部と、
前記第2照明部により前記第2波長帯の光が照射された状態で情報コードを撮像する第2撮像部と、
前記第2撮像部の撮像範囲に応じて配置されて、可視光を透過させずに前記第2波長帯の光を透過させるフィルタと、
前記第1撮像部により撮像された第1の撮像画像及び前記第2撮像部により撮像された第2の撮像画像の少なくともいずれか一方に基づいて情報コードを解読する処理を行う処理部と、
読取面が設けられるケースと、
を備え、
前記第1撮像部及び前記第2撮像部は、撮像視野が同じ方向に向か
い前記読取面での撮像範囲が異なるように前記ケース内に並んで配置されることを特徴とする情報コード読取装置。
【請求項2】
可視光を照射可能な第1照明部と、
可視光の波長帯とは異なる所定の第2波長帯の光を照射可能な第2照明部と、
前記第1照明部により前記可視光が照射された状態で情報コードを撮像する第1撮像部と、
前記第2照明部により前記第2波長帯の光が照射された状態で情報コードを撮像する第2撮像部と、
前記第2撮像部の撮像範囲に応じて配置されて、可視光を透過させずに前記第2波長帯の光を透過させるフィルタと、
前記第1撮像部により撮像された第1の撮像画像及び前記第2撮像部により撮像された第2の撮像画像の少なくともいずれか一方に基づいて情報コードを解読する処理を行う処理部と、
前記第1の撮像画像及び前記第2の撮像画像について少なくとも一部に対する解析処理による結果に基づいて、前記第1の撮像画像と前記第2の撮像画像とのいずれか一方を、前記処理部による解読対象に設定する設定部と、
を備え、
前記処理部は、前記設定部により前記解読対象として設定された撮像画像に基づいて情報コードを解読する処理を行い、
前記情報コードは、所定数の特定パターンがコード領域内に配置されるように形成され、
前記設定部は、前記解析処理として、前記第1の撮像画像及び前記第2の撮像画像のそれぞれから前記特定パターンを抽出するための処理を行い、前記特定パターンが抽出された数の多い撮像画像を、前記処理部による解読対象に設定することを特徴とする情報コード読取装置。
【請求項3】
前記設定部は、前記解析処理として、前記第1の撮像画像及び前記第2の撮像画像のそれぞれでの特定エリアに関して二値化して、当該特定エリア内において1又は2以上の走査線に沿って白黒が変化する変化数を計数するための処理を行い、前記変化数が多い撮像画像を、前記処理部による解読対象に設定することを特徴とする請求項2に記載の情報コード読取装置。
【請求項4】
可視光を照射可能な第1照明部と、
可視光の波長帯とは異なる所定の第2波長帯の光を照射可能な第2照明部と、
前記第1照明部により前記可視光が照射された状態で情報コードを撮像する第1撮像部と、
前記第2照明部により前記第2波長帯の光が照射された状態で情報コードを撮像する第2撮像部と、
前記第2撮像部の撮像範囲に応じて配置されて、可視光を透過させずに前記第2波長帯の光を透過させるフィルタと、
前記第1撮像部により撮像された第1の撮像画像及び前記第2撮像部により撮像された第2の撮像画像の少なくともいずれか一方に基づいて情報コードを解読する処理を行う処理部と、
少なくとも前記第1照明部、前記第2照明部、前記第1撮像部、前記第2撮像部及び前
記フィルタが収容され、前記情報コードがかざされる読取面が設けられるケースと、
前記ケース内に収容されて、前記第1照明部から照射される前記可視光及び前記第2照明部から照射される前記第2波長帯の光を前記読取面に向けて反射する反射部材と、
を備え、
前記第1撮像部の撮像範囲のうち、当該第1撮像部に設けられる第1結像部と前記読取面との間にて構成される範囲を第1反射前撮像範囲、前記読取面にて前記ケース内側に反射した場合に前記第1反射前撮像範囲に続くように前記読取面と前記反射部材との間にて構成される範囲を第1反射後撮像範囲とし、前記第2撮像部の撮像範囲のうち、当該第2撮像部に設けられる第2結像部と前記読取面との間にて構成される範囲を第2反射前撮像範囲、前記読取面にて前記ケース内側に反射した場合に前記第2反射前撮像範囲に続くように前記読取面と前記反射部材との間にて構成される範囲を第2反射後撮像範囲とするとき、
前記反射部材は、前記第1反射前撮像範囲外であって前記第2反射前撮像範囲外となる位置に配置され、
前記第1照明部、前記第2照明部、前記第1撮像部、前記第2撮像部及び前記フィルタは、前記第1反射後撮像範囲外であって前記第2反射後撮像範囲外となる位置に配置され、
前記第1照明部は、前記反射部材のうち前記第1反射後撮像範囲となる第1反射面に向けて前記可視光を照射し、
前記第2照明部は、前記反射部材のうち前記第2反射後撮像範囲となる第2反射面に向けて前記第2波長帯の光を照射することを特徴とする情報コード読取装置。
【請求項5】
前記第1照明部は、前記第1反射面での照度分布のばらつきを抑制するように前記可視光を照射し、
前記第2照明部は、前記第2反射面での照度分布のばらつきを抑制するように前記第2波長帯の光を照射することを特徴とする請求項4に記載の情報コード読取装置。
【請求項6】
前記第1照明部及び前記第2照明部は、面光源であることを特徴とする請求項4又は5に記載の情報コード読取装置。
【請求項7】
前記第1照明部及び前記第2照明部は、面光源であって、
前記面光源は、第1の発光部及び第2の発光部と、前記第1の発光部と前記第2の発光部と間に配置されて、第1の側面にて前記第1の発光部からの光が入射し前記第1の側面に対向する第2の側面にて前記第2の発光部からの光が入射する導光板とを備え、
前記導光板は、前記第1の側面及び前記第2の側面から入射した光が出射面に向けて反射される複数の溝を内部に有し、
前記複数の溝は、前記第1の側面側となる面の形状と前記第2の側面側となる面の形状とが異なるように非対称に形成されることを特徴とする請求項4に記載の情報コード読取装置。
【請求項8】
前記第1照明部及び前記第2照明部は、面光源であって、
前記面光源は、発光部と、一側面にて前記発光部からの光が入射する導光板とを備え、
前記導光板は、前記一側面から入射した光が出射面に向けて反射される複数の溝を内部に有し、
前記複数の溝は、前記導光板の各側面のうち前記一側面に対向する面を他側面とするとき、前記一側面側となる面の形状と前記他側面側となる面の形状とが異なるように非対称に形成されることを特徴とする請求項4に記載の情報コード読取装置。
【請求項9】
前記第1照明部及び前記第2照明部の照射側には、各羽板を前記読取面に平行な平面に対して沿うように配置したルーバーが設けられることを特徴とする請求項4~8のいずれか一項に記載の情報コード読取装置。
【請求項10】
前記読取面側から見て前記反射部材に設けられる開口を介して露出部が露出し、前記開口を形成する縁の少なくとも一部は、内側から外側にかけて反射状態が徐々に明るく変化するように形成されることを特徴とする請求項4~9のいずれか一項に記載の情報コード読取装置。
【請求項11】
前記露出部は、前記第1撮像部及び前記第2撮像部の少なくとも一部であることを特徴とする請求項10に記載の情報コード読取装置。
【請求項12】
前記開口を形成する縁の少なくとも一部が被覆部材によって覆われ、前記被覆部材が、内側から外側にかけて反射状態が徐々に明るく変化するように形成されることを特徴とする請求項10又は11に記載の情報コード読取装置。
【請求項13】
前記読取面側から見て前記反射部材に設けられる開口を介して露出部が露出し、前記露出部は、前記読取面側から見て外側環状の縁となる周縁部が、内側から外側にかけて反射状態が徐々に明るく変化するように形成されることを特徴とする請求項4~9のいずれか一項に記載の情報コード読取装置。
【請求項14】
前記第1照明部及び前記第2照明部を制御する照明制御部を備え、
前記照明制御部は、前記第1撮像部による撮像時に前記可視光を照射するように前記第1照明部を制御し、前記第2撮像部による撮像時に前記第2波長帯の光を照射するように前記第2照明部を制御することを特徴とする請求項1~13のいずれか一項に記載の情報コード読取装置。
【請求項15】
前記第1撮像部の撮像範囲に応じて配置されて、前記第2波長帯の光を透過させずに可視光を透過させる他のフィルタを備えることを特徴とする請求項1~14のいずれか一項に記載の情報コード読取装置。
【請求項16】
可視光を照射可能な第1照明部と、
可視光の波長帯とは異なる所定の第2波長帯の光を照射可能な第2照明部と、
前記第1照明部により前記可視光が照射された状態で情報コードを撮像する第1撮像部と、
前記第2照明部により前記第2波長帯の光が照射された状態で情報コードを撮像する第2撮像部と、
前記第2撮像部の撮像範囲に応じて配置されて、可視光を透過させずに前記第2波長帯の光を透過させるフィルタと、
前記第1撮像部により撮像された第1の撮像画像及び前記第2撮像部により撮像された第2の撮像画像の少なくともいずれか一方に基づいて情報コードを解読する処理を行う処理部と、
読取面が設けられるケース
と、
を備え、
前記第1撮像部及び前記第2撮像部は、前記読取面にかざされた前記情報コードを撮像可能に、前記第1撮像部の視野中心と前記第2撮像部の視野中心とが前記読取面の中央にて交差するように前記ケース内に配置されることを特徴とす
る情報コード読取装置。
【請求項17】
前記第1撮像部は、2以上の受光センサを備え、一方の受光センサを有する一方の受光光学系が他方の受光センサを有する他方の受光光学系に対して撮像に関する機能が異なるように構成されることを特徴とする請求項1~16のいずれか一項に記載の情報コード読取装置。
【請求項18】
前記第2撮像部は、2以上の受光センサを備え、一方の受光センサを有する一方の受光光学系が他方の受光センサを有する他方の受光光学系に対して撮像に関する機能が異なるように構成されることを特徴とする請求項1~17のいずれか一項に記載の情報コード読取装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報コード読取装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、情報コードに関してセキュリティ性が求められており、このようなセキュリティ性を高めた情報コードを光学的に読み取る読取装置に関する技術として、例えば、下記特許文献1に開示される情報コード読取装置が知られている。この情報コード読取装置の読取対象となる情報コードは、コード領域内に配列される各モジュールのうち、可視光(第1波長帯の光)又は赤外光(第2波長帯の光)が照射されたときに暗色の反射特性を示すように暗色系モジュールが印刷される一方で、可視光が照射されたときに暗色の反射特性を示し赤外光が照射されたときに明色の反射特性を示すように明色系モジュールが印刷されている。このため、情報コード読取装置は、可視光を照射する第1照明光源及び赤外光を照射する第2照明光源と、いずれかの光が照射された状態で情報コードを撮像する撮像部とを備え、撮像部によって撮像された情報コードの撮像画像から情報コードを抽出して解読するように構成されている。すなわち、読取対象となる情報コードに対して赤外光を照射した状態で撮像した撮像画像に基づいてその情報コードを解読することができる。その一方で、可視光が照射される通常の環境ではコード領域が全て暗色となり、情報コードが撮像できなくなるだけでなくその情報コード自体が視認できなくなることを利用して、情報コードのセキュリティ性を高めている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、可視光を透過させずに赤外光等の第2波長帯の光を透過させる被覆部にてコード領域の少なくとも一部を覆うことで情報コードのセキュリティ性を高めることができ、このような情報コードを撮像して解読する場合、周囲の環境等の影響のために、撮像した情報コードの解読に失敗する場合がある。すなわち、読取装置から照射される第2波長帯の光に対して周囲の可視光が明るすぎる環境、例えば、太陽光が照射される屋外環境等では、第2波長帯の光を照射していても可視光が過剰に照射されたために被覆部からの反射光が撮像されてしまい、被覆部に覆われたコード領域を解読可能に撮像できないからである。
【0005】
この問題を解決するため、撮像部に対して可視光を透過させずに第2波長帯の光を透過させるフィルタを設ける構成が考えられる。このフィルタにより被覆部にて反射された可視光が取り除かれるため、コード領域に応じて反射された第2波長帯の光を撮像することができる。
【0006】
しかしながら、このようなフィルタを採用した撮像部では、液晶画面等に表示した通常の情報コードを撮像できないという別の問題が生じてしまう。液晶画面は、可視光を利用して情報コードを表示するため、上記フィルタを採用した撮像部では、情報コード等を表示した液晶画面であってもその画面部分が真っ暗な状態で撮像されてしまうからである。
【0007】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、可視光が透過不能な被覆部で覆われた情報コードだけでなく画面表示された情報コードを読み取り可能に撮像し得る情報コード読取装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、特許請求の範囲の請求項1に記載の情報コード読取装置(1)は、
可視光(Lfa)を照射可能な第1照明部(21a~24a)と、
可視光の波長帯とは異なる所定の第2波長帯の光(Lfb)を照射可能な第2照明部(21b~24b)と、
前記第1照明部により前記可視光が照射された状態で情報コードを撮像する第1撮像部(25a)と、
前記第2照明部により前記第2波長帯の光が照射された状態で情報コードを撮像する第2撮像部(25b)と、
前記第2撮像部の撮像範囲に応じて配置されて、可視光を透過させずに前記第2波長帯の光を透過させるフィルタ(29)と、
前記第1撮像部により撮像された第1の撮像画像及び前記第2撮像部により撮像された第2の撮像画像の少なくともいずれか一方に基づいて情報コードを解読する処理を行う処理部(31)と、
読取面が設けられるケースと、
を備え、
前記第1撮像部及び前記第2撮像部は、撮像視野が同じ方向に向かい前記読取面での撮像範囲が異なるように前記ケース内に並んで配置されることを特徴とする。
なお、上記各括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【発明の効果】
【0009】
請求項1の発明では、第1照明部により可視光が照射された状態で情報コードが第1撮像部により撮像され、第2照明部により第2波長帯の光が照射された状態で情報コードが第2撮像部により撮像される。また、可視光を透過させずに第2波長帯の光を透過させるフィルタが第2撮像部の撮像範囲に応じて配置される。
【0010】
これにより、読取対象が、可視光を透過させずに赤外光等の第2波長帯の光を透過させる被覆部によりコード領域が覆われた情報コードであれば、第2波長帯の光が照射されたことによるコード領域からの反射光が上記被覆部を透過するため、第2撮像部により撮像された第2の撮像画像に基づいて情報コードを解読することができる。特に、第2撮像部の撮像範囲には、可視光を透過させずに第2波長帯の光を透過させるフィルタが配置されるため、周囲の可視光が明るすぎる屋外環境等であっても被覆部からの反射光が撮像されることもない。一方、読取対象が、液晶画面等に表示した通常の情報コードであれば、第1撮像部により撮像された第1の撮像画像に基づいて情報コードを解読することができる。したがって、可視光が透過不能な被覆部で覆われた情報コードだけでなく画面表示された情報コードを読み取り可能に撮像することができる。
【0011】
請求項14の発明では、照明制御部により、第1撮像部による撮像時に可視光を照射するように第1照明部が制御され、第2撮像部による撮像時に第2波長帯の光を照射するように第2照明部が制御される。
【0012】
これにより、第1撮像部及び第2撮像部において、同じタイミングで撮像する場合には、可視光及び第2波長帯の光を同時に照射でき、異なるタイミングで撮像する場合には、そのタイミングに合わせて可視光と第2波長帯の光との照射タイミングをずらすことができる。
【0013】
請求項2の発明では、第1の撮像画像及び第2の撮像画像について少なくとも一部に対する解析処理による結果に基づいて、第1の撮像画像と第2の撮像画像とのいずれか一方が、処理部による解読対象として設定部により設定される。そして、処理部により、設定部により解読対象として設定された撮像画像に基づいて情報コードを解読する処理が行われる。
【0014】
これにより、第1の撮像画像及び第2の撮像画像のうち解読容易な撮像画像を処理部による解読対象として設定できるので、2つの撮像画像のそれぞれについて解読処理を行う場合と比較して、解読処理に関する処理負荷を軽減することができる。
【0015】
請求項2の発明では、第1の撮像画像及び第2の撮像画像のそれぞれからコード領域内の特定パターンを抽出するための処理がなされ、特定パターンが抽出された数の多い撮像画像が、処理部による解読対象として設定される。
【0016】
解読可能な撮像画像であれば全ての特定パターンが含まれるように撮像されており、解読不能又は解読困難な撮像画像であれば全ての特定パターンが含まれないように撮像されている可能性がある。そこで、特定パターンが抽出された数に応じて解読対象を設定することで、容易に解読対象を設定できるため、解読処理に関する処理負荷をより一層軽減することができる。
【0017】
請求項3の発明では、第1の撮像画像及び第2の撮像画像のそれぞれでの特定エリアに関して二値化されて、当該特定エリア内において1又は2以上の走査線に沿って白黒が変化する変化数を計数するための処理がなされ、変化数が多い撮像画像が、処理部による解読対象として設定される。
【0018】
撮像画像において情報コードが撮像されやすい範囲の一部等を上記特定エリアとすることで、解読可能に情報コードが撮像されている撮像画像であれば、複数配列された明色系セル及び暗色系セルが特定エリアに含まれているため、当該特定エリアにおいて各走査線に沿う白黒の変化数が多くなる。一方、上記特定エリアにおいて各走査線に沿う白黒の変化数が少ない場合には、解読可能に情報コードが撮像されておらず、解読不能又は解読困難に情報コードが撮像されている可能性がある。そこで、特定エリア内における白黒の変化数に応じて解読対象を設定することで、容易に解読対象を設定できるため、解読処理に関する処理負荷をより一層軽減することができる。
【0019】
請求項15の発明では、第2波長帯の光を透過させずに可視光を透過させる他のフィルタが第1撮像部の撮像範囲に応じて配置される。これにより、可視光が照射された状態で情報コードが第1撮像部により撮像される際、第2照明部により第2波長帯の光が照射されていても、第2波長帯の光の照射に起因する反射光が第1撮像部にて撮像されることもないので、第2波長帯の光の照射による影響をなくして、情報コードをより鮮明に撮像することができる。
【0020】
請求項16の発明では、読取面が設けられるケースを備え、第1撮像部及び第2撮像部は、読取面にかざされた情報コードを撮像可能に、第1撮像部の視野中心と第2撮像部の視野中心とが読取面の中央にて交差するようにケース内に配置される。
【0021】
第1撮像部及び第2撮像部を単に並べてケース内に配置することで、それぞれの視野中心が読取面に対して直交していると、読取面での撮像範囲が第1撮像部と第2撮像部とで異なるため、上記被覆部で覆われた情報コードをかざす際に適した読取面の位置と、画面表示された情報コードをかざす際に適した読取面の位置とが異なってしまう。そこで、第1撮像部及び第2撮像部を、情報コードがかざされやすい読取面の中央にてそれぞれの視野中心が交差するように配置することで、上記被覆部で覆われた情報コードをかざす際に適した読取面の位置と、画面表示された情報コードをかざす際に適した読取面の位置とを読取面の中央にて一致させることができる。
【0022】
請求項4の発明では、第1照明部から照射される可視光及び第2照明部から照射される第2波長帯の光を読取面に向けて反射する反射部材が設けられている。そして、第1撮像部の撮像範囲のうち、当該第1撮像部に設けられる第1結像部と読取面との間にて構成される範囲を第1反射前撮像範囲、読取面にてケース内側に反射した場合に第1反射前撮像範囲に続くように読取面と反射部材との間にて構成される範囲を第1反射後撮像範囲とし、第2撮像部の撮像範囲のうち、当該第2撮像部に設けられる第2結像部と読取面との間にて構成される範囲を第2反射前撮像範囲、読取面にてケース内側に反射した場合に第2反射前撮像範囲に続くように読取面と反射部材との間にて構成される範囲を第2反射後撮像範囲とするとき、反射部材は、第1反射前撮像範囲外であって第2反射前撮像範囲外となる位置に配置され、第1照明部、第2照明部、第1撮像部、第2撮像部及びフィルタは、第1反射後撮像範囲外であって第2反射後撮像範囲外となる位置に配置される。そして、第1照明部により、反射部材のうち第1反射後撮像範囲となる第1反射面に向けて可視光が照射され、第2照明部により、反射部材のうち第2反射後撮像範囲となる第2反射面に向けて第2波長帯の光が照射される。
【0023】
これにより、読取面にかざされた情報コードを撮像する際、その撮像画像に、情報コードが表示される表示面等による反射のために読取面よりもケース内側が写り込むとしても、可視光が照射されている反射部材の第1反射面の全体や第2波長帯の光が照射されている反射部材の第2反射面の全体が撮像されやすくなる。このため、第1照明部や第2照明部が直接撮像される場合等と比較して、撮像画像において必要な照度を確保しつつ照明光(可視光や第2波長帯の光)が目立たなくなり照明光に起因するノイズ光の発生を抑制することができる。したがって、ケース内に第1照明部や第2照明部を収容する場合でも、撮像画像に関して照明光の反射に起因するノイズ光の影響を抑制することができる。
【0024】
請求項5の発明では、第1照明部により、第1反射面での照度分布のばらつきを抑制するように可視光が照射され、第2照明部により、第2反射面での照度分布のばらつきを抑制するように第2波長帯の光が照射される。このため、第1反射面や第2反射面での照度分布が均一になりやすくなる結果、撮像画像において照明光がより目立たなくなる。したがって、撮像画像に関して照明光の反射に起因するノイズ光の影響を確実に抑制することができる。
【0025】
請求項6の発明では、第1照明部及び第2照明部は、面光源であるため、第1反射面や第2反射面に対してほぼ均一な照度で照明光を照射することができるので、当該第1反射面及び第2反射面を利用したノイズ光抑制効果を向上させることができる。
【0026】
請求項7の発明では、第1照明部及び第2照明部は、面光源であって、面光源は、第1の発光部及び第2の発光部と、第1の発光部と第2の発光部と間に配置されて、第1の側面にて第1の発光部からの光が入射し第2の側面にて第2の発光部からの光が入射する導光板とを備えている。そして、導光板は、第1の側面及び第2の側面から入射した光が出射面に向けて反射される複数の溝を内部に有し、複数の溝は、第1の側面側となる面の形状と第2の側面側となる面の形状とが異なるように非対称に形成される。
【0027】
これにより、複数の溝の第1の側面側となる面の形状と第2の側面側となる面の形状とがそれぞれ対称となるように形成される場合と比較して、出射面から出射される照明光の照度分布がばらつきやすくなる。すなわち、所望する照明光の照度分布に応じて複数の溝の形状を変えることで、出射面を介して照明光を複数方向に照射できるだけでなく、例えば、照明光の一部を所定の反射面に向けて照射し照明光の他の一部を結像部の周辺光量低下が生じるような読取面の端側に向けて照射する等、その照射方向を制御することができる。
【0028】
請求項8の発明では、第1照明部及び第2照明部は、面光源であって、面光源は、発光部と、一側面にて発光部からの光が入射する導光板とを備えている。そして、導光板は、一側面から入射した光が出射面に向けて反射される複数の溝を内部に有し、複数の溝は、一側面側となる面の形状と一側面に対向する他側面側となる面の形状とが異なるように非対称に形成される。
【0029】
一側面から入射した光が他側面にて一側面側に内部反射することで、請求項7の発明と同様に、出射面から出射される照明光の照度分布がばらつきやすくなる。これにより、所望する照明光の照度分布に応じて複数の溝の形状を変えることで、請求項7の発明と同様に、出射面を介して照明光を複数方向に照射できるだけでなく、その照射方向を制御することができる。特に、一側面側に発光部を配置すればよいので、他の側面側に発光部を配置する必要も無く、面光源の省スペース化及び部品点数削減を図ることができる。
【0030】
請求項9の発明では、第1照明部及び第2照明部の照射側には、各羽板を読取面に平行な平面に対して沿うように配置したルーバーが設けられる。これにより、ルーバーを介して照射された光が直接読取面を介して外部に放出され難くなるので、読取面に対して傾斜するようにかざされた表示面等であっても鏡面反射が抑制されやすくなり、ラフな表示面等のかざし方を許容し得る構成を実現することができる。
【0031】
請求項10の発明では、読取面側から見て反射部材に設けられる開口を介して露出部が露出し、開口を形成する縁の少なくとも一部は、内側から外側にかけて反射状態が徐々に明るく変化するように形成される。
【0032】
例えば、読取面にかざされた表示画面の情報コードを撮像する際、その撮像画像に、読取面を介したケース内部の反射部材等が鏡面反射によって映り込んでしまう場合がある。このような場合、その映り込みの状態によっては撮像した情報コードの解読に失敗してしまう可能性がある。例えば、照明光を読取面に向けて反射する反射部材の反射面内にて結像レンズ等が露出していると、その露出部分が反射特性を有しない場合には、露出部分とその周囲の反射部分との境界部分が、映りこんだ撮像画像においてコントラストの急変する範囲となる。このようにコントラストの急変する範囲が、情報コードの明色系セル及び暗色系を配列してなるコード領域の一部に重なると、その重なる範囲においてセルの明暗判定の精度が低下してしまうために、情報コードの解読成功率が低くなる。
【0033】
このため、露出部が露出する反射部材の開口を形成する縁の少なくとも一部(以下、単に、開口縁部ともいう)を、内側から外側にかけて反射状態(例えば、反射部材自体の色や表面加工等によって調整される反射率など)が徐々に明るく変化するように形成することで、上記開口縁部に対応する反射部分が、上述のように映りこんだ撮像画像においてコントラストが徐々に変化する範囲(以下、徐変範囲ともいう)となる。これにより、撮像画像において上記徐変範囲が情報コードの明色系セル及び暗色系を配列してなるコード領域の一部に重なる場合であっても、セルの明暗判定の精度が低下し難くなるので、鏡面反射に起因する情報コードの解読成功率の低下を抑制することができる。
【0034】
請求項11の発明では、露出部が第1撮像部及び第2撮像部の少なくとも一部であるため、反射部材に設けられる開口を介して第1撮像部及び第2撮像部の少なくとも一部が露出する構成となる。このような構成であっても、上述のように映りこんだ撮像画像において、上記開口縁部に対応する反射部分が上述のように徐変範囲となることで、鏡面反射に起因する情報コードの解読成功率の低下を抑制することができる。
【0035】
請求項12の発明では、開口を形成する縁の少なくとも一部(開口縁部)を覆う被覆部材が、内側から外側にかけて反射状態が徐々に明るく変化するように形成される。これにより、上述のように映りこんだ撮像画像において、露出部の周囲に位置する被覆部材が上述のように徐変範囲となることで、鏡面反射に起因する情報コードの解読成功率の低下を抑制することができる。特に、被覆部材を付け替えることで、撮像画像における徐変範囲のコントラストを容易に調整することができる。
【0036】
請求項13の発明では、読取面側から見て反射部材に設けられる開口を介して露出部が露出し、当該露出部は、読取面側から見て外側環状の縁となる周縁部が、内側から外側にかけて反射状態が徐々に明るく変化するように形成される。
【0037】
これにより、周縁部が、上述のように映りこんだ撮像画像においてコントラストが徐々に明るく変化する徐変範囲となる。このため、当該徐変範囲が情報コードの明色系セル及び暗色系を配列してなるコード領域の一部に重なる場合であっても、セルの明暗判定の精度が低下し難くなるので、鏡面反射に起因する情報コードの解読成功率の低下を抑制することができる。
【0038】
請求項17の発明では、第1撮像部は、2以上の受光センサを備え、一方の受光センサを有する一方の受光光学系が他方の受光センサを有する他方の受光光学系に対して撮像に関する機能が異なるように構成される。これにより、液晶画面等に表示した通常の情報コードなどであっても、上記異なる機能に応じて、一方の受光光学系による撮像画像と他方の受光光学系による撮像画像とで2種類の撮像画像を撮像することができる。例えば、一方の受光光学系のフォーカス位置を読取面近傍に設定して他方の受光光学系のフォーカス位置を読取面よりも遠方の位置に設定するようにして撮像に関する機能を異ならせることで、読取面近傍にフォーカスが合った撮像画像と読取面よりも遠方の位置にフォーカスが合った撮像画像とを撮像することができる。このため、一方の受光光学系にて上記情報コードを解読可能に撮像できない場合であっても他方の受光光学系にて上記情報コードを解読可能に撮像できる場合や、逆に、他方の受光光学系にて上記情報コードを解読可能に撮像できない場合であっても一方の受光光学系にて上記情報コードを解読可能に撮像できる場合があるので、情報コードの解読成功率を高めることができる。
【0039】
請求項18の発明では、第2撮像部は、2以上の受光センサを備え、一方の受光センサを有する一方の受光光学系が他方の受光センサを有する他方の受光光学系に対して撮像に関する機能が異なるように構成される。これにより、可視光を透過させずに赤外光等の第2波長帯の光を透過させる被覆部によりコード領域が覆われた情報コードなどであっても、上記異なる機能に応じて、一方の受光光学系による撮像画像と他方の受光光学系による撮像画像とで2種類の撮像画像を撮像することができる。このため、一方の受光光学系にて上記情報コードを解読可能に撮像できない場合であっても他方の受光光学系にて上記情報コードを解読可能に撮像できる場合や、逆に、他方の受光光学系にて上記情報コードを解読可能に撮像できない場合であっても一方の受光光学系にて上記情報コードを解読可能に撮像できる場合があるので、情報コードの解読成功率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【
図1】第1実施形態に係る情報コード読取装置の平面図である。
【
図2】
図1のX1-X1断面を概略的に示す断面概略図である。
【
図3】
図1のX2-X2断面を概略的に示す断面概略図である。
【
図4】
図1の情報コード読取装置の電気的構成を例示するブロック図である。
【
図5】導光部材を利用した第1照明部及び第2照明部による照射状態を説明する説明図である。
【
図6】
図6(A)は、情報コードCaを撮像した第1の撮像画像を説明する説明図であり、
図6(B)は、情報コードCaを撮像した第2の撮像画像を説明する説明図である。
【
図7】
図7(A)は、画面表示された情報コードCbを撮像した第1の撮像画像を説明する説明図であり、
図7(B)は、画面表示された情報コードCbを撮像した第2の撮像画像を説明する説明図である。
【
図8】第1実施形態において制御部にて行われる読取処理の流れを例示するフローチャートである。
【
図9】第2実施形態において制御部にて行われる読取処理の流れを例示するフローチャートである。
【
図10】
図10(A)は、情報コードCaを撮像した第1の撮像画像の特定エリアを説明する説明図であり、
図10(B)は、情報コードCaを撮像した第2の撮像画像の特定エリアを説明する説明図である。
【
図11】
図11(A)は、画面表示された情報コードCbを撮像した第1の撮像画像の特定エリアを説明する説明図であり、
図7(B)は、画面表示された情報コードCbを撮像した第2の撮像画像の特定エリアを説明する説明図である。
【
図12】第3実施形態に係る情報コード読取装置の要部を示す断面概略図である。
【
図13】第4実施形態に係る情報コード読取装置の要部を示す断面概略図である。
【
図14】第4実施形態の変形例に係る情報コード読取装置の要部を示す断面概略図である。
【
図15】第5実施形態に係る情報コード読取装置を示す斜視図である。
【
図17】
図16のX3-X3断面を概略的に示す断面概略図である。
【
図18】
図16のX4-X4断面を概略的に示す断面概略図である。
【
図19】
図16のX5-X5断面を概略的に示す断面概略図である。
【
図20】第6実施形態に係る情報コード読取装置の要部を説明する説明図である。
【
図21】
図21(A)は、第1の側面側からの光が照明光として出射される照射方向を説明する説明図であり、
図21(B)は、第2の側面側からの光が照明光として出射される照射方向を説明する説明図である。
【
図22】第6実施形態の第1変形例に係る情報コード読取装置の要部を説明する説明図である。
【
図23】第6実施形態の第2変形例に係る情報コード読取装置の要部を説明する説明図である。
【
図24】第7実施形態に係る情報コード読取装置の要部を示す断面概略図である。
【
図26】第7実施形態の変形例に係る情報コード読取装置の要部を拡大して示す拡大図である。
【
図27】第8実施形態に係る情報コード読取装置の平面図である。
【
図28】第8実施形態の第1変形例に係る情報コード読取装置の平面図である。
【
図29】第8実施形態の第2変形例に係る情報コード読取装置の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
[第1実施形態]
以下、本発明の情報コード読取装置を具現化した第1実施形態について、図面を参照して説明する。
(情報コード読取装置の全体構成)
図1~
図3等に示す情報コード読取装置1は、机や棚などの上面を載置面(
図2、
図3の載置面Fを参照)としてこの載置面上に載置される据置型の読取装置として構成されており、バーコード等の一次元コードやQRコード(登録商標)等の二次元コードなど情報コードを読み取る情報コードリーダとしての機能を有している。
【0042】
情報コード読取装置1は、例えばABS樹脂等の樹脂材料によって構成されるケース3を備えている。このケース3は、
図2及び
図3に示すように、上ケース4aと下ケース4bと備えており、全体として箱状に構成されている。そして、ケース3の内部には、後述する結像部や撮像部、導光部材などの各部品が収容されている。また、ケース3において、所定の上下方向の一方側に設けられた上面部(読取側壁部3a)には光の出入口となる読取口5が形成されており、読取口5を介してケース3の外部からの光がケース3の内部に入り込み、ケース3の内部からの光がケース3の外部に放出されるようになっている。そして、結像部及び撮像部によって構成される光学系は、この読取口5を介してケース3の外部に配置された情報コード等を撮像するように機能している。
【0043】
箱状に構成されるケース3には、情報コード読取装置1を載置するときの載置面側に設けられる底壁部3bと、読取口5が形成された読取側壁部3aとが対向して設けられている。そして、底壁部3bは、載置面F側に面すると共に、載置面Fと対向して配置され、更には、載置面Fによって支持されるように配置される。そして、この底壁部3bと対向する読取側壁部3aが、情報コード等を翳す側の露出壁部として構成されている。なお、本構成では、底壁部3bと読取側壁部3aとの対向方向(即ち、ケース3の厚さ方向であり、
図2に示す載置面Fと直交する方向)を上下方向とし、読取口5が形成された側(読取側壁部3a側)を上方側、それとは反対側(底壁部3b側)を下方側としている。また、この上下方向と直交する平面方向を水平方向としている。
【0044】
図2及び
図3等に示すように、ケース3の上面側には、上ケース4aの上端部に形成された開口部4cを閉じる構成でケース3を閉塞するように配置され、少なくとも一部が撮像範囲に配置されるプレート7が配置されている。このプレート7は、所定の厚さの平坦な板として構成され、ケース3の外部からの光が透過可能となる光透過性の部材(例えば、透明なアクリル樹脂や透明ガラス等)によって構成されている。このプレート7は、防塵プレートとして機能しており、このようなプレート7が上ケース4aに形成された開口部4cを閉塞することで、ケース3の内部にケース外からの異物(塵や埃など)が入り込みにくくなっている。また、プレート7の上面部を部分的に覆う構成で光遮光性の塗料などからなる被覆層8が形成されている。この被覆層8は、プレート7の周縁部に沿って環状に形成されており、被覆層8の内縁部によって構成される開口部が読取口5となっている。
【0045】
次に、情報コード読取装置1の電気的構成について説明する。
図4に示すように、情報コード読取装置1のケース3内には、情報コード読取装置1全体を制御する制御部31が設けられている。この制御部31は、マイコンを主体として構成されるものであり、CPU、システムバス、入出力インタフェース等を有し、メモリ32とともに情報処理装置を構成している。制御部31は、後述する光学系によって撮像された情報コードの撮像画像を利用して行う読取処理により、情報コードに記録されたデータを所定の解読方法で解読するように構成されている。メモリ32には、読取処理等を実行するための所定のプログラム等が制御部31により実行可能に予め格納されている。なお、制御部31にてなされる読取処理については後述する。
【0046】
また、情報コード読取装置1は、情報コードを光学的に読み取るため、制御部31により制御される照明部及び撮像部等の光学系を備えている。光学系は、投光光学系と、受光光学系とに分かれている。投光光学系を構成する照明部は、LED等により可視光を照射可能な光源として機能する第1照明部21a~24aと、可視光の波長帯とは異なる所定の第2波長帯の光、具体的には、赤外光を照射可能な光源として機能する第2照明部21b~24bと、を備えている。第1照明部21a~24a及び第2照明部21b~24bは、照明制御部として機能する制御部31によりその照射状態が制御可能に構成されている。
【0047】
図1及び
図2に示すように、対となる第1照明部21a及び第2照明部21bと、対となる第1照明部22a及び第2照明部22bとは、ケース3の長手方向一方側に設けられている。また、対となる第1照明部23a及び第2照明部23bと、対となる第1照明部24a及び第2照明部24bとは、ケース3の長手方向他方側に設けられている。各第1照明部21a~24a及び各第2照明部21b~24bは、それぞれケース3の中央側に向けて水平方向に照明光を照射するように配置されている。
【0048】
図1~
図3等に示すように、投光光学系は、各第1照明部21a~24a及び各第2照明部21b~24bからの照明光を導く導光部材50を備えている。この導光部材50は、ケース3の内部において各第1照明部21a~24a及び各第2照明部21b~24bからの照明光が照射される位置に配置され、これらの照明光が読取口5の開口領域を通ってケース3の外部に照射されるように導く構成となっている。
【0049】
導光部材50は、各第1照明部21a~24a及び各第2照明部21b~24bからの照明光を反射する反射面として4つの反射部51~54を備えている。反射部51,52は、前後方向において互いに対向するように設けられ、反射部53,54は、前後方向と直交する方向(幅方向)において互いに対向するように設けられ、それぞれ他方の反射部に近づくにつれて下位置となる傾斜面として構成されている。そして、導光部材50全体が、撮像部の撮像範囲の外側において、下方位置となるにつれて孔の大きさ(開口領域)が狭くなるすり鉢状の構造となっている。なお、反射部51~54は、例えば、遮光性の部材によって構成されており、照明光を反射する反射面が所定色(例えば、白色等の明色)であり、いずれも外面に入射する光を拡散反射させる構成となっている。
【0050】
そして、第1照明部21a及び第2照明部21bと第1照明部22a及び第2照明部22bとは、導光部材50の反射部53の上端位置付近から反射部54や反射部51,52に向けて照明光が照射されるように配置される。また、第1照明部23a及び第2照明部23bと第1照明部24a及び第2照明部24bとは、導光部材50の反射部54の上端位置付近から反射部53や反射部51,52に向けて照明光が照射されるように配置される。
【0051】
このような構成によって、
図5に示すように、各第1照明部21a~24a及び各第2照明部21b~24bから照射された照明光がすり鉢状に構成された導光部材50の反射面に照射されるため、反射部51~54が全体的に明るく光ることになる。なお、
図4では、便宜上、導光部材50の図示を省略し、読取対象物Rに表示された情報コードCに向けて、第1照明部21a~24aから照射される可視光を照明光Lfa、第2照明部21b~24bから照射される赤外光を照明光Lfbとして図示している。
【0052】
図4に示すように、受光光学系は、2つの撮像部(以下、第1撮像部25a及び第2撮像部25bともいう)や、2つの結像部(以下、第1結像部27a及び第2結像部27bともいう)などによって構成されている。
【0053】
第1撮像部25a及び第2撮像部25bは、例えばCCD素子やCMOS素子などの固体撮像素子(受光素子)が二次元的に配列された受光センサ(エリアセンサ)などによってそれぞれ構成されており、結像部側にケース外からの光を受光し得る受光面が配置されている。
図3等に示すように、読取口5を構成するプレート7の外面を読取面7aとするとき、第1撮像部25aは、第1結像部27aを通過して受光面に入り込もうとする入射光を受光し得るように、その視野中心Laが読取面7aに対してほぼ直交する状態にて、基板に実装されている。同様に、第2撮像部25bは、第2結像部27bを通過して受光面に入り込もうとする入射光を受光し得るように、その視野中心Lbが読取面7aに対してほぼ直交する状態にて、第1撮像部25aと並んで同じ基板に実装されている。
【0054】
第1結像部27aは、公知の結像レンズによって構成される結像光学系であって、第1撮像部25aで撮像可能となる撮像範囲(視野範囲)を定めると共に、ケース3の外部から読取口5を通過して入り込んだ光を第1撮像部25aに導く構成をなし、ケース3の外部において撮像範囲に情報コード等が配置されたときに当該情報コード等の像を第1撮像部25aに結像させるように機能する。第2結像部27bは、第1結像部27aと同様に構成される結像光学系であって、第2撮像部25bで撮像可能となる撮像範囲を定めると共に、ケース3の外部から読取口5を通過して入り込んだ光を第2撮像部25bに導く構成をなし、ケース3の外部において撮像範囲に情報コード等が配置されたときに当該情報コード等の像を第2撮像部25bに結像させるように機能する。なお、第1結像部27a及び第2結像部27bとしては、例えば、焦点距離が短く画角の広い広角レンズを好適に用いることができる。
【0055】
図3に示すように、第2撮像部25bの受光面と第2結像部27bとの間には、可視光を透過させずに赤外光を透過させるフィルタ(以下、可視光カットフィルタ29ともいう)が第2撮像部25bの撮像範囲に応じて配置されている。このため、第2撮像部25bは、周囲の可視光が明るすぎる屋外環境等であっても、周囲の可視光に影響されることなく、赤外光が照射されたことによる撮像対象からの反射光に基づいてその撮像対象を撮像することができる。
【0056】
また、情報コード読取装置1は、操作部33、スピーカ34、発光部35、通信インタフェース36等を備えている。操作部33は、ケース3の外面等に設けられる1または複数のキーを備えており、使用者のキー操作に応じて制御部31に対して操作信号を与える構成をなしており、制御部31は、操作部33から操作信号を受けたとき、その操作信号に応じた動作を行うように構成されている。スピーカ34は、公知のスピーカ等によって発音部として構成されており、制御部31からの動作信号に応じて、予め設定された音声やアラーム音等の各種音声を発する構成をなしている。発光部35は、例えばLEDであって、制御部31からの信号に応じて点灯するように構成されている。通信インタフェース36は、上位機器などの外部機器との間でのデータ通信を行うためのインタフェースとして構成されており、制御部31と協働して通信処理を行う構成をなしている。
【0057】
次に、上述のように構成される情報コード読取装置1の読取対象となる情報コードCと、この情報コードCを読み取る際に制御部31にてなされる読取処理とについて説明する。
本実施形態において読取対象となる情報コードCには、紙媒体等に印字される通常のバーコードやQRコード等だけでなく、セキュリティ性を高めた情報コード(以下、単に情報コードCaともいう)や携帯端末の表示画面等に表示される情報コード(以下、単に情報コードCbともいう)が含まれる。
【0058】
まず、セキュリティ性を高めた情報コードCaについて、
図6を参照して説明する。
本実施形態に係る情報コードCaは、可視光を透過させずに赤外光を透過させる被覆部にてそのコード領域の少なくとも一部が覆われることで、セキュリティ性を高めて、真贋判定用途等にも利用できるように構成されている。
図6(A)は、可視光が照射される通常の環境で情報コードCaを撮像した撮像画像(後述する第1の撮像画像)であり、この
図6(A)からわかるように、情報コードCaは、コード領域Ca1と、このコード領域Ca1の全体を被覆する被覆部Ca2とを備えるように紙媒体等に印字されている。
【0059】
図6(B)は、
図6(A)から被覆部Ca2を取り除くように撮像された撮像画像(後述する第2の撮像画像)であり、この
図6(B)からわかるように、コード領域Ca1は、QRコードと同様に、正方形領域として構成される複数の明色系モジュール(明色系セル)および暗色系モジュール(暗色系セル)がマトリックス状に配置されることで、当該コード領域Ca1の全体が矩形領域として構成されている。また、コード領域Ca1の三隅には、所定数の特定パターンとして3つの位置検出パターンFPaが配置されている。
【0060】
このように構成されるコード領域Ca1を構成する各モジュールのうち各明色系モジュールは、可視光または赤外光(第2波長帯の光)が照射されたときに、明色の反射特性を示すように構成されている。また、各暗色系モジュールは、可視光または赤外光が照射されたときに、暗色の反射特性を示すように構成されている。具体的には、コード領域Ca1を構成する各モジュールは、一般的に使用される通常のインクを塗布して構成されている。
【0061】
また、被覆部Ca2は、赤外光(第2波長帯の光)が照射されたときにコード領域Ca1を構成する各モジュールからの反射光を透過させ、可視光の透過を妨げるようなインク、例えば、赤外線透過インク等を塗布して構成されている。このため、可視光が支配的である通常状態では、
図6(A)からわかるように、コード領域Ca1の全体が被覆部Ca2により隠されるように視認される。
【0062】
このように構成される情報コードCaを、可視光が照射された状態にて撮像する場合、
図6(A)に示すように、被覆部Ca2からの反射光に基づいてその被覆部Ca2が撮像されてしまい、コード領域Ca1を撮像することができない。その一方で、情報コードCaを、赤外光が照射された状態にて撮像する場合、赤外光が照射されたことによるコード領域Ca1からの反射光が被覆部Ca2を透過するため、
図6(B)に示すように、コード領域Ca1を撮像することができる。すなわち、赤外光を照射できない通常の読取装置では情報コードCaを撮像できないだけでなく、コード領域Ca1を視認することさえできないので、情報コードCaのセキュリティ性を高めることができる。特に、可視光カットフィルタ29を採用することで、周囲の可視光が明るすぎる屋外環境等であっても、被覆部Ca2からの反射光が受光されないため、コード領域Ca1を鮮明に撮像することができる。
【0063】
次に、携帯端末の表示画面等に表示される情報コードCbについて、
図7を参照して説明する。
本実施形態に係る情報コードCbは、画面表示されるQRコードとして構成され、そのコード領域の三隅には、所定数の特定パターンとして3つの位置検出パターンFPbが配置されている。このように構成される情報コードCbは、可視光を利用して画面表示されているため、可視光カットフィルタ29を採用していない第1撮像部25aでは、
図7(A)に示す撮像画像(後述する第1の撮像画像)のように撮像することができる。その一方で、可視光カットフィルタ29を採用した第2撮像部25bでは、
図7(B)に示す撮像画像(後述する第2の撮像画像)のように、表示画面が黒く撮像されて、情報コードCbを撮像することができない。
【0064】
そこで、本実施形態において制御部31にてなされる読取処理では、第1撮像部25aの撮像画像(以下、第1の撮像画像ともいう)に基づいて情報コードCbを解読し、第2撮像部25bの撮像画像(以下、第2の撮像画像ともいう)に基づいて情報コードCaを解読する。情報コードCaが撮像対象である場合には、
図6(A)に示すように第1の撮像画像が撮像されるとともに
図6(B)に示すように第2の撮像画像が撮像され、情報コードCbが撮像対象である場合には、
図7(A)に示すように第1の撮像画像が撮像されるとともに
図7(B)に示すように第2の撮像画像が撮像されるからである。
【0065】
以下、制御部31にてなされる読取処理について、
図8に示すフローチャートを用いて具体的に詳述する。
操作部33に対する所定の操作等に応じて制御部31により読取処理が開始されると、
図8のステップS101に示す照射処理がなされ、第1照明部21a~24aから可視光が照射されるとともに、第2照明部21b~24bから赤外光が照射される。すなわち、可視光と赤外光とが同時に照射される。これにより、
図5に示すように、各第1照明部21a~24a及び各第2照明部21b~24bから照射された照明光がすり鉢状に構成された導光部材50の反射面に照射されて、反射部51~54が全体的に明るく光る状態となる。
【0066】
次に、ステップS103に示す撮像処理がなされ、第1撮像部25aから第1の撮像画像を取り込むための処理がなされるとともに、第2撮像部25bから第2の撮像画像を取り込むための処理がなされる。
【0067】
続いて、ステップS105に示す抽出処理がなされる。この処理では、第1の撮像画像から情報コードの特定パターンとして位置検出パターンを抽出するための画像解析処理がなされるとともに、第2の撮像画像から情報コードの特定パターンとして位置検出パターンを抽出するための画像解析処理がなされる。
【0068】
そして、ステップS107の判定処理にて、上記抽出処理の結果に基づいて、撮像対象が撮像されているか否かについて判定される。ここで、3つの位置検出パターンが第1の撮像画像及び第2の撮像画像のいずれからも抽出されない場合には、撮像対象が撮像されていないと判定されて(S107でNo)、上記ステップS101からの処理がなされる。
【0069】
一方、3つの位置検出パターンが第1の撮像画像及び第2の撮像画像のいずれかから抽出されている場合には、撮像対象が撮像されているとして、ステップS107にてYesと判定される。この場合には、ステップS109の判定処理にて、第1の撮像画像から抽出された位置検出パターンの抽出数Na1が、第2の撮像画像から抽出された位置検出パターンの抽出数Na2以上であるか否かについて判定される。
【0070】
ここで、画面表示された情報コードCbを撮像している場合には、
図7(A)に示すように第1撮像部25aにて第1の撮像画像が撮像されるとともに
図7(B)に示すように第2撮像部25bにて第2の撮像画像が撮像される。このため、抽出数Na1が抽出数Na2以上となり、ステップS109にてYesと判定されて、第1の撮像画像が解読対象に設定される。そして、ステップS111の第1解読処理がなされ、解読対象に設定された第1の撮像画像(
図7(A))に基づいて情報コードCbが解読(デコード)される。そして、この解読が成功すると(S115でYes)、ステップS117に示す通知処理がなされ、解読結果等が通信インタフェース36を介して上位機器等に送信されて通知される。
【0071】
なお、紙媒体等に印字された通常のQRコードを撮像している場合には、第1の撮像画像と第2の撮像画像とのそれぞれにて3つの位置検出パターンが抽出されることから、抽出数Na1と抽出数Na2とが等しくなる。この場合にも、ステップS109にてYesと判定されて、第1の撮像画像が解読対象に設定され、上記ステップS111以降の処理がなされる。
【0072】
また、情報コードCaを撮像している場合には、
図6(A)に示すように第1撮像部25aにて第1の撮像画像が撮像されるとともに
図6(B)に示すように第2撮像部25bにて第2の撮像画像が撮像される。このため、抽出数Na1が抽出数Na2未満となり、ステップS109にてNoと判定されて、第2の撮像画像が解読対象に設定される。そして、ステップS113の第2解読処理がなされ、解読対象に設定された第2の撮像画像(
図6(B))に基づいて情報コードCaが解読(デコード)される。そして、この解読が成功すると(S115でYes)、ステップS117に示す通知処理がなされ、解読結果等が通信インタフェース36を介して上位機器等に送信されて通知される。なお、上記ステップS109の判定処理のように、第1の撮像画像及び第2の撮像画像に対する解析処理による結果に基づいて、第1の撮像画像と第2の撮像画像とのいずれか一方を解読対象に設定する処理を行う制御部31は、「設定部」の一例に相当し得る。また、第1解読処理及び第2解読処理を行う制御部31は、「処理部」の一例に相当し得る。
【0073】
以上説明したように、本実施形態に係る情報コード読取装置1では、第1照明部21a~24aにより可視光が照射された状態で情報コードが第1撮像部25aにより撮像され、第2照明部21b~24bにより赤外光(第2波長帯の光)が照射された状態で情報コードが第2撮像部25bにより撮像される。また、可視光を透過させずに赤外光を透過させる可視光カットフィルタ29が第2撮像部25bの撮像範囲に応じて配置される。
【0074】
これにより、読取対象が、被覆部Ca2によりコード領域Ca1が覆われた情報コードCaであれば、赤外光が照射されたことによるコード領域Ca1からの反射光が被覆部Ca2を透過するため、第2撮像部25bにより撮像された第2の撮像画像に基づいて情報コードCaを解読することができる。特に、第2撮像部25bの撮像範囲には、可視光を透過させずに赤外光を透過させる可視光カットフィルタ29が配置されるため、周囲の可視光が明るすぎる屋外環境等であっても被覆部Ca2からの反射光が撮像されることもない。一方、読取対象が、液晶画面等に表示した情報コードCbであれば、第1撮像部25aにより撮像された第1の撮像画像に基づいて情報コードCbを解読することができる。したがって、可視光が透過不能な被覆部Ca2で覆われた情報コードCaだけでなく画面表示された情報コードCbを読み取り可能に撮像することができる。
【0075】
また、本実施形態では、照明制御部として機能する制御部31により、第1撮像部25aによる撮像時に可視光を照射するように各第1照明部21a~24aが制御され、第2撮像部25bによる撮像時に赤外光を照射するように各第2照明部21b~24bが制御される。
【0076】
これにより、第1撮像部25a及び第2撮像部25bにおいて、本実施形態のように同じタイミングで撮像する場合には、可視光及び赤外光を同時に照射することができる。また、本実施形態と異なり、第1撮像部25a及び第2撮像部25bにおいて、異なるタイミングで撮像する場合には、そのタイミングに合わせて可視光と赤外光との照射タイミングをずらすことができる。例えば、各第1照明部21a~24aにより可視光が照射され各第2照明部21b~24bにより赤外光が照射されない状態で第1撮像部25aにて第1の撮像画像を撮像した後、各第2照明部21b~24bにより赤外光が照射され各第1照明部21a~24aにより可視光が照射されない状態で第2撮像部25bにて第2の撮像画像を撮像することもできる。
【0077】
特に、読取処理では、第1の撮像画像及び第2の撮像画像のそれぞれからコード領域内の位置検出パターン(特定パターン)を抽出するための処理がなされ、位置検出パターンが抽出された数の多い撮像画像が、解読対象として設定される。
【0078】
解読可能な撮像画像であれば全ての位置検出パターンが含まれるように撮像されており、解読不能又は解読困難な撮像画像であれば全ての位置検出パターンが含まれないように撮像されている可能性がある。そこで、特定パターンとして位置検出パターンが抽出された数に応じて解読対象を設定することで、容易に解読対象を設定できるため、解読処理に関する処理負荷をより一層軽減することができる。なお、位置検出パターンと異なる他の特定パターンの抽出数に応じて解読対象を設定してもよい。
【0079】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態に係る情報コード読取装置について、図面を参照して説明する。
本第2実施形態では、読取処理において第1の撮像画像及び第2の撮像画像のそれぞれの特定エリアの白黒変化数に基づいて両撮像画像のいずれかを解読対象として設定する点が主に上記第1実施形態と異なる。このため、第1実施形態と実質的に同様の構成部分には同一符号を付して説明を省略する。
【0080】
撮像画像において情報コードが撮像されやすい範囲の一部等を上記特定エリアとすることで、解読可能に情報コードが撮像されている撮像画像であれば、複数配列された明色系セル及び暗色系セルが特定エリアに含まれる可能性が高い。このため、その撮像画像の特定エリア内を二値化した際の白黒変化数が、情報コードを撮像していない撮像画像の特定エリア内よりも多くなる。ここで、白黒変化数は、その撮像画像の特定エリア内に対して1又は2以上の走査線をひいたときにその走査線にそって白黒が変化する箇所の数である。一方、上記特定エリア内において各走査線に沿う白黒の変化数が少ない場合には、解読可能に情報コードが撮像されておらず、解読不能又は解読困難に情報コードが撮像されている可能性がある。
【0081】
そこで、本実施形態では、第1の撮像画像及び第2の撮像画像のそれぞれ同じ位置のエリアを特定エリアSとして抽出し、この抽出された特定エリアSに関して二値化して、当該特定エリアS内の白黒変化数を計数するための処理を行い、変化数が多い撮像画像を、解読対象として設定する。
【0082】
以下、本実施形態において制御部31にてなされる読取処理について、
図9に示すフローチャートを用いて具体的に詳述する。
上記第1実施形態と同様に、第1照明部21a~24aから可視光が照射されるとともに、第2照明部21b~24bから赤外光が照射された状態で(
図9のS101)、第1撮像部25aから第1の撮像画像を取り込むための処理がなされるとともに、第2撮像部25bから第2の撮像画像を取り込むための処理がなされる(S103)。
【0083】
続いて、ステップS105aに示す白黒変化数計数処理がなされる。この処理では、第1の撮像画像及び第2の撮像画像のそれぞれから特定エリアSが抽出されて、第1の撮像画像における特定エリアS内の白黒の変化数が白黒変化数Nb1として計数されるとともに、第2の撮像画像における特定エリアS内の白黒の変化数が白黒変化数Nb2として計数される。なお、本実施形態では、白黒変化数の計数処理に関する負荷を軽減するため、撮像画像の中央部分を特定エリアSとして抽出する。情報コードが撮像されている場合には、撮像画像の中央部分に情報コードが位置しやすいためである。
【0084】
そして、ステップS107aの判定処理にて、上述のように計数された白黒変化数に基づいて、撮像対象が撮像されているか否かについて判定される。ここで、第1の撮像画像の白黒変化数Nb1と第2の撮像画像の白黒変化数Nb2とがそれぞれ所定数以下である場合には、撮像対象が撮像されていないと判定されて(S107aでNo)、上記ステップS101からの処理がなされる。
【0085】
一方、第1の撮像画像の白黒変化数Nb1と第2の撮像画像の白黒変化数Nb2の少なくともいずれかが上記所定数以上である場合には、撮像対象が撮像されているとして、ステップS107aにてYesと判定される。この場合には、ステップS109aの判定処理にて、第1の撮像画像の白黒変化数Nb1が、第2の撮像画像の白黒変化数Nb2以上であるか否かについて判定される。
【0086】
ここで、画面表示された情報コードCbを撮像している場合には、
図11(A)に示すように第1撮像部25aにて撮像された第1の撮像画像の特定エリアS内の白黒変化数Nb1が計数されるとともに、
図11(B)に示すように第2撮像部25bにて撮像された第2の撮像画像の特定エリアS内の白黒変化数Nb2が計数される。このため、白黒変化数Nb1が白黒変化数Nb2以上となり、ステップS109aにてYesと判定されて、第1の撮像画像が解読対象に設定され、上記ステップS111以降の処理がなされる。
【0087】
また、情報コードCaを撮像している場合には、
図10(A)に示すように第1撮像部25aにて撮像された第1の撮像画像の特定エリアS内の白黒変化数Nb1が計数されるとともに、
図10(B)に示すように第2撮像部25bにて撮像された第2の撮像画像の特定エリアS内の白黒変化数Nb2が計数される。このため、白黒変化数Nb1が白黒変化数Nb2未満となり、ステップS109aにてNoと判定されて、第2の撮像画像が解読対象に設定され、上記ステップS113以降の処理がなされる。
【0088】
以上説明したように、本実施形態に係る情報コード読取装置1では、第1の撮像画像及び第2の撮像画像のそれぞれでの特定エリアSに関して二値化されて、当該特定エリアS内において1又は2以上の走査線に沿って白黒が変化する白黒変化数Nb1,Nb2を計数するための処理がなされ、変化数が多い撮像画像が、解読対象として設定される。
【0089】
このように、特定エリアS内における白黒の変化数に応じて解読対象を設定することで、容易に解読対象を設定できるため、解読処理に関する処理負荷をより一層軽減することができる。
【0090】
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態に係る情報コード読取装置について、
図12を参照して説明する。
本第3実施形態では、赤外光カットフィルタを新たに採用する点が主に上記第1実施形態と異なる。このため、第1実施形態と実質的に同様の構成部分には同一符号を付して説明を省略する。
【0091】
赤外光は可視光よりも波長が長いため、赤外光及び可視光がともに照射された状態で第1撮像部25aにて第1の撮像画像を撮像する際、赤外光による反射光の影響が大きい場合には、赤外光の影響に起因するぼけ等のために情報コードを鮮明に撮像できない可能性がある。
【0092】
そこで、本実施形態では、
図12に示すように、第1撮像部25aの受光面と第1結像部27aとの間に、赤外光(第2の波長帯の光)を透過させずに可視光を透過させる他のフィルタ(以下、赤外光カットフィルタ29aともいう)が第1撮像部25aの撮像範囲に応じて配置される。
【0093】
これにより、可視光が照射された状態で情報コードが第1撮像部25aにより撮像される際、各第2照明部21b~24bにより赤外光が照射されていても、赤外光の照射に起因する反射光が第1撮像部25aにて撮像されることもないので、赤外光の照射による影響をなくして、情報コードをより鮮明に撮像することができる。
【0094】
なお、赤外光カットフィルタ29aは、第1撮像部25aの受光面と第1結像部27aとの間に配置されることに限らず、第1結像部27aの読取面側に配置されてもよい。同様に、可視光カットフィルタ29は、第2撮像部25bの受光面と第2結像部27bとの間に配置されることに限らず、第2結像部27bの読取面側に配置されてもよい。また、赤外光カットフィルタ29aを新たに採用する本実施形態の特徴的構成は、他の実施形態にも適用することができる。
【0095】
[第4実施形態]
次に、本発明の第4実施形態に係る情報コード読取装置について、
図13を参照して説明する。
本第4実施形態では、視野中心が読取面7aにて交差するように第1撮像部25a及び第2撮像部25bが配置される点が主に上記第1実施形態と異なる。このため、第1実施形態と実質的に同様の構成部分には同一符号を付して説明を省略する。
【0096】
上記第1実施形態のように、第1撮像部25a及び第2撮像部25bを単に並べてケース3内に配置することで、それぞれの視野中心La,Lbが読取面7aに対して直交していると(
図3参照)、読取面7aでの撮像範囲が第1撮像部25aと第2撮像部25bとで異なる。このため、情報コードCaをかざす際に適した読取面7aの位置と、画面表示された情報コードCbをかざす際に適した読取面7aの位置とが異なってしまう。
【0097】
そこで、本実施形態では、
図13に示すように、第1撮像部25a及び第2撮像部25bと第1結像部27a及び第2結像部27bとを、読取面7aが設けられるケース3内であって、読取面7aにかざされた情報コードを撮像可能に、第1撮像部25aの視野中心Laと第2撮像部25bの視野中心Lbとが読取面7aの中央にて交差するように配置する。このため、本実施形態では、
図13に示すように、第1撮像部25aが実装される基板と第2撮像部25bが実装される基板とは、視野中心Laと視野中心Lbとの角度に応じて傾いた状態に配置される。
【0098】
このように、第1撮像部25a及び第2撮像部25b等を、情報コードがかざされやすい読取面7aの中央にてそれぞれの視野中心La,Lbが交差するように配置することで、情報コードCaをかざす際に適した読取面7aの位置と、情報コードCbをかざす際に適した読取面7aの位置とを読取面7aの中央にて一致させることができる。
【0099】
なお、
図14に示す変形例のように、同じ基板に実装された第1撮像部25a及び第2撮像部25bに対して、第1結像部27a及び第2結像部27bを偏心させるように配置することで、第1撮像部25aの視野中心Laと第2撮像部25bの視野中心Lbとを読取面7aの中央にて交差させてもよい。このように、視野中心が読取面7aにて交差するように第1撮像部25a及び第2撮像部25b等を配置する本実施形態及び変形例の特徴的構成は、他の実施形態にも適用することができる。
【0100】
[第5実施形態]
次に、本発明の第5実施形態に係る情報コード読取装置について、図面を参照して説明する。
本第5実施形態では、上記第1実施形態と同様に、可視光を照射する第1照明部と、第2波長帯の光を照射する第2照明部と、第1撮像部と、可視光カットフィルタが撮像範囲に配置される第2撮像部とを備える一方で、光学的な配置構成等が異なるように構成される点が主に上記第1実施形態と異なる。
【0101】
具体的には、本実施形態に係る情報コード読取装置100は、
図15に示すように、机や棚などの上面を載置面としてこの載置面上に載置される据置型の読取装置であって、撮像した撮像対象に表示される情報コードや文字情報等の表示情報(光学的情報)を光学的に読み取るだけでなく当該撮像対象の撮像画像を保存可能な撮像画像保存装置として構成されるものである。本実施形態では、情報コードに加えてパスポートなどの特定の文字フォーマットを利用した所定の文字情報等が表示面に表示される表示媒体を撮像対象としている。このため、情報コード読取装置100は、情報コードを読み取る情報コードリーダとしての機能に加えて、撮像した文字情報等を認識する公知の記号認識処理機能(OCR)を兼備するように構成されている。
【0102】
情報コード読取装置100は、例えばABS樹脂等の樹脂材料によって当該情報コード読取装置100の外郭を構成する略箱状のケース103を備えている。また、情報コード読取装置100は、主な基本的電気構成が上記情報コード読取装置1と同等となっており、制御部31、メモリ32、操作部33、スピーカ34、発光部35、通信インタフェース36等を備えるように構成されている。
【0103】
図15及び
図16等に示すように、ケース103の上面103aには光の出入口となる読取面114が読取口として矩形状に開口するように形成されており、読取面114を介してケース外からの光がケース内に入り込み、ケース内からの光がケース外に放出されるようになっている。そして、第1撮像部及び第2撮像部等によって構成される受光光学系は、この読取面114にかざされる表示媒体を撮像するように機能する。
【0104】
ケース103の上面103aは、読取面114と当該読取面114の辺114aに連なる帯状の一端部115とにより構成されて、保護プレート116により読取口が閉塞されるようにして保護されている。この保護プレート116は、所定の厚さの平坦な板として構成され、ケース外からの光やケース内からの光が透過可能となる透光性(光透過性)のプレート(例えば、透明なアクリル樹脂や透明ガラス等)によって構成されている。
【0105】
読取面114の四辺のうち辺114aに対向する辺114bは、ケース103の上面103aの一縁に相当し、読取面114の四辺のうち他の2辺114c,114dもケース103の上面103aの他の一縁にそれぞれ相当する。
【0106】
次に、情報コード読取装置100の投光光学系及び受光光学系について説明する。
本実施形態における投光光学系は、
図17~
図19等に示すように、均一な照明光を照射可能な面光源として機能する第1照明部121a及び第2照明部121b、ルーバー140、反射部材150等を備えている。第1照明部121aは、面光源として、均一な可視光を照射するように構成されている。また、第2照明部121bは、面光源として、均一な第2波長帯の光、具体的には、赤外光を照射するように構成されている。第1照明部121a及び第2照明部121bは、照明制御部として機能する制御部31によりその照射状態が制御可能に構成されている。第1照明部121a及び第2照明部121bは、一端部115の下方に配置されて、ルーバー140を介して、反射部材150に向けて可視光及び赤外光を照射するように構成されている。このように、第1照明部121a及び第2照明部121bとして面光源が採用されるため、ルーバー140を介す場合でも、照明光(可視光及び赤外光)が照射される反射部材150での照度分布のばらつきを抑制することができる。なお、
図17では、第1照明部121aから照射される可視光を照明光Lfa、第2照明部121bから照射される赤外光を照明光Lfbとして図示している。
【0107】
ルーバー140は、
図17及び
図18に示すように、第1照明部121a及び第2照明部121bの照射側であって、各羽板141が読取面114に平行な平面に対して沿うように配置されている。具体的には、各羽板141は、読取面114に対して平行となるように配置されている。このルーバー140は、各羽板141によって、第1照明部121aからの可視光の照射方向と、第2照明部121bからの赤外光の照射方向とを、読取面114に対して略平行とするように機能する。
【0108】
反射部材150は、ケース103の内部においてルーバー140を介した照明光(可視光及び赤外光)が照射される位置であって後述する第1反射前撮像範囲AR1a及び第2反射前撮像範囲AR2a外となる位置に配置され、上記照明光が読取面114を通ってケース103の外部に照射されるように導く構成となっている。反射部材150は、反射部151、反射部152及び反射部153を備えている。反射部151は、
図17及び
図18に示すように、上端が読取面114の辺114bに向かい、外側に凹となるように湾曲して形成されている。また、
図19に示すように、反射部152は、上端が読取面114の辺114cに向かい、外側に凹となるように湾曲して形成されている。また、反射部153は、上端が読取面114の辺114dに向かい、外側に凹となるように湾曲して形成されている。また、反射部151等の下端には、結像部等を露出させる開口154が形成されている。
【0109】
本実施形態における受光光学系は、上記第1実施形態における受光光学系と同等の機能を有するもので、2つの撮像部(以下、第1撮像部125a及び第2撮像部125bともいう)や、2つの結像部(以下、第1結像部127a及び第2結像部127bともいう)、可視光カットフィルタ129などによって構成されている。
図17に示すように、第1撮像部125aは、読取面114を介して入射した光が第1結像部127aを通過してその受光面に入り込もうとする入射光を受光し得るように基板に実装されている。また、
図18に示すように、第2撮像部125bは、読取面114を介して入射した光が第2結像部127b及び可視光カットフィルタ129を通過してその受光面に入り込もうとする入射光を受光し得るように基板に実装されている。
【0110】
第1結像部127aは、第1撮像部125aで撮像可能となる第1撮像範囲を定めると共に、ケース103の外部から読取面114を通過して入り込んだ光を第1撮像部125aに導く構成をなし、ケース103の外部において第1撮像範囲に情報コード等が配置されたときに当該情報コード等の像を第1撮像部125aに結像させるように機能する。第2結像部127bは、第2撮像部125bで撮像可能となる第2撮像範囲を定めると共に、ケース103の外部から読取面114を通過して入り込んだ光を第2撮像部125bに導く構成をなし、ケース103の外部において第2撮像範囲に情報コード等が配置されたときに当該情報コード等の像を第2撮像部125bに結像させるように機能する。なお、第1結像部127a及び第2結像部127bとしては、例えば、焦点距離が短く画角の広い広角レンズを好適に用いることができる。
【0111】
図18及び
図19に示すように、第2撮像部125bの受光面と第2結像部127bとの間には、可視光を透過させずに赤外光を透過させる可視光カットフィルタ129が第2撮像部125bの撮像範囲に応じて配置されている。このため、第2撮像部125bは、周囲の可視光が明るすぎる屋外環境等であっても、周囲の可視光に影響されることなく、赤外光が照射されたことによる撮像対象からの反射光に基づいてその撮像対象を撮像することができる。
【0112】
特に、本実施形態では、
図17に示すように、上記第1撮像範囲のうち、第1結像部127aと読取面114との間にて構成される範囲を第1反射前撮像範囲AR1a、読取面114にて保護プレート116等によりケース内側に反射した場合に第1反射前撮像範囲AR1aに続くように読取面114と反射部材150との間にて構成される範囲を第1反射後撮像範囲AR1bとするとき、第1結像部127aは、各反射部151~153が第1反射前撮像範囲AR1a外となるように配置される。また、
図18に示すように、上記第2撮像範囲のうち、第2結像部127bと読取面114との間にて構成される範囲を第2反射前撮像範囲AR2a、読取面114にて保護プレート116等によりケース内側に反射した場合に第2反射前撮像範囲AR2aに続くように読取面114と反射部材150との間にて構成される範囲を第2反射後撮像範囲AR2bとするとき、第2結像部127bは、各反射部151~153が第2反射前撮像範囲AR2a外となるように配置される。すなわち、反射部材150は、第1反射前撮像範囲AR1a外であって第2反射前撮像範囲AR2a外となる位置に配置されている。また、撮像画像への写り込みを抑制するため、第1照明部121a及び第2照明部121b、ルーバー140、第1撮像部125a及び第2撮像部125b、第1結像部127a及び第2結像部127bは、第1反射後撮像範囲AR1bであって第2反射後撮像範囲AR2b外となる位置に配置される。
【0113】
そして、第1照明部121aは、可視光の撮像画像への写り込みの影響を抑制するため、各反射部151~153のうち第1反射後撮像範囲AR1bとなる第1反射面155aに向け、この第1反射面155aでの照度分布がほぼ均一となるように可視光を照射するように配置される(
図17参照)。同様に、第2照明部121bは、赤外光の撮像画像への写り込みの影響を抑制するため、各反射部151~153のうち第2反射後撮像範囲AR2bとなる第2反射面155bに向け、この第2反射面155bでの照度分布がほぼ均一となるように赤外光を照射するように配置される(
図18参照)。
【0114】
このように構成される情報コード読取装置100では、例えば、携帯端末の表示画面に表示される情報コードCbを読み取る場合には、反射部材150にて反射された可視光及び赤外光が照射された状態で上記表示画面等が第1撮像部125a及び第2撮像部125bにより撮像される。この場合には、上記ステップS109の判定処理にてYesと判定されて、第1撮像部125aにて撮像された第1の撮像画像に基づいて情報コードCbが解読される。
【0115】
その際、第1撮像範囲には、保護プレート116による反射のために読取面114(保護プレート116)よりもケース内側となる第1反射後撮像範囲AR1bが含まれる結果、第1撮像画像に携帯端末の表示画面だけでなく反射部材150の第1反射面155a及び第2反射面155bがかすかに写り込む。これら第1反射面155a及び第2反射面155bには、照度分布がほぼ均一となるように照明光(可視光及び赤外光)が照射されているため、例えば、第1反射面155a及び第2反射面155bのうち照度が高い範囲が存在するように照度分布がばらつく場合と比較して、撮像画像において必要な照度を確保しつつ照明光を目立たなくすることができる。
【0116】
また、例えば、紙媒体等に印字される情報コードCaを読み取る場合には、反射部材150にて反射された可視光及び赤外光が照射された状態で上記紙媒体等が第1撮像部125a及び第2撮像部125bにより撮像される。この場合には、上記ステップS109の判定処理にてNoと判定されて、第2撮像部125bにて撮像された第2の撮像画像に基づいて情報コードCaが解読される。
【0117】
その際、第2撮像範囲には、保護プレート116による反射のために読取面114よりもケース内側となる第2反射後撮像範囲AR2bが含まれる結果、第2撮像画像に紙媒体等だけでなく反射部材150の第1反射面155a及び第2反射面155bがかすかに写り込む。この場合でも、第1反射面155a及び第2反射面155bには、照度分布がほぼ均一となるように照明光(可視光及び赤外光)が照射されているため、撮像画像において必要な照度を確保しつつ照明光を目立たなくすることができる。
【0118】
以上説明したように、本実施形態に係る情報コード読取装置100では、第1照明部121aから照射される可視光及び第2照明部121bから照射される第2波長帯の光を読取面114に向けて反射する反射部材150が設けられている。そして、反射部材150は、第1反射前撮像範囲AR1a外であって第2反射前撮像範囲AR2a外となる位置に配置され、第1照明部121a、第2照明部121b、第1撮像部125a、第2撮像部125b及び可視光カットフィルタ129は、第1反射後撮像範囲AR1b外であって第2反射後撮像範囲AR2b外となる位置に配置される。そして、第1照明部121aにより、反射部材150のうち第1反射後撮像範囲AR1bとなる第1反射面155aに向けて可視光が照射され、第2照明部121bにより、反射部材150のうち第2反射後撮像範囲AR2bとなる第2反射面155bに向けて第2波長帯の光が照射される。
【0119】
これにより、読取面114にかざされた情報コードを撮像する際、その撮像画像に、情報コードが表示される表示面等による反射のために読取面114よりもケース内側が写り込むとしても、可視光が照射されている反射部材150の第1反射面155aの全体や第2波長帯の光が照射されている反射部材150の第2反射面155bの全体が撮像されやすくなる。このため、第1照明部121aや第2照明部121bが直接撮像される場合等と比較して、撮像画像において必要な照度を確保しつつ照明光(可視光や第2波長帯の光)が目立たなくなり照明光に起因するノイズ光の発生を抑制することができる。したがって、ケース内に第1照明部121aや第2照明部121bを収容する場合でも、撮像画像に関して照明光の反射に起因するノイズ光の影響を抑制することができる。
【0120】
特に、第1照明部121aにより、第1反射面155aでの照度分布のばらつきを抑制するように可視光が照射され、第2照明部121bにより、第2反射面155bでの照度分布のばらつきを抑制するように第2波長帯の光が照射される。このため、第1反射面155aや第2反射面155bでの照度分布が均一になりやすくなる結果、撮像画像において照明光がより目立たなくなる。したがって、撮像画像に関して照明光の反射に起因するノイズ光の影響を確実に抑制することができる。
【0121】
また、第1照明部121a及び第2照明部121bは、面光源であるため、第1反射面155aや第2反射面155bに対してほぼ均一な照度で照明光を照射することができるので、第1反射面155a及び第2反射面155bを利用したノイズ光抑制効果を向上させることができる。
【0122】
特に、第1照明部121a及び第2照明部121bの照射側には、各羽板141を読取面114に対して平行に配置したルーバー140が設けられる。これにより、ルーバー140を介して照射された光が直接読取面114を介して外部に放出され難くなるので、読取面114に対して傾斜するようにかざされた表示面等であっても鏡面反射が抑制されやすくなり、ラフな表示面等のかざし方を許容し得る構成を実現することができる。なお、ルーバー140は、各羽板141が読取面114に対して平行となるように配置されることに限らず、各羽板141が読取面114に対して略平行、すなわち、各羽板141が読取面114に平行な平面に対して沿うように配置されてもよい。
【0123】
なお、第1反射面155aや第2反射面155bを利用したノイズ光抑制効果をさらに向上させるためにルーバー140を廃止してもよい。また、本実施形態の特徴的構成は、他の実施形態等にも適用することができる。
【0124】
[第6実施形態]
次に、本第6実施形態に係る情報コード読取装置について、図面を参照して説明する。
本第6実施形態では、ルーバー140を廃止して、面光源が有する導光板の形状に応じて照明光を複数方向に照射する点が、上記第5実施形態と主に異なる。
【0125】
本実施形態では、
図20に示すように、面光源として機能する第1照明部121aは、照明光として可視光を発光する第1の発光部201及び第2の発光部202と、第1の発光部201と第2の発光部202と間に配置されて、第1の側面204aにて第1の発光部201からの光が入射し第2の側面204bにて第2の発光部202からの光が入射する導光板203とを備えている。そして、導光板203は、第1の側面204a及び第2の側面204bから入射した光が出射面205に向けて反射される複数の溝206を内部に有し、複数の溝206は、第1の側面204a側となる第1側面206aの形状と第2の側面204b側となる第2側面206bの形状とが異なるように非対称に形成される。
【0126】
具体的には、溝206は、第1側面206aが曲率の大きな曲面部を有するように形成されるため、
図21(A)に例示するように、第1の側面204a側からの光が第1側面206a及び第2側面206bを透過するような方向に応じて出射面205から照射される。また、第2側面206bが平面部又は平面に近い曲率の小さな曲面部を有するように形成されるため、
図21(B)に例示するように、第2の側面204b側からの光が第2側面206bにて反射するような方向に応じて出射面205から照射される。
【0127】
すなわち、照射面から照射される可視光(照明光)の照射方向を、少なくとも、第1側面206aの形状に起因する照射方向と第2側面206bの形状に起因する照射方向との2方向に分けることができる。これにより、一方の照射方向が第1反射面55a及び第2反射面55bに向かい、他方の照射方向が読取面114において照度不足が生じている等の所定の範囲に向かうように、各溝206の第1側面206a及び第2側面206bを形成することで、第1照明部121aに近い読取面114の辺114a側での照度を高めることができ、第1結像部127aの周辺光量低下を補うことができる。
【0128】
このように、複数の溝206の第1の側面204a側となる面の形状と第2の側面204b側となる面の形状とがそれぞれ対称となるように形成される場合と比較して、出射面から出射される可視光(照明光)の照度分布がばらつきやすくなる。すなわち、所望する可視光の照度分布に応じて複数の溝206の形状を変えることで、出射面を介して可視光を複数方向に照射できるだけでなく、例えば、可視光の一部を第1反射面55a及び第2反射面55bに向けて照射し可視光の他の一部を第1結像部127aの周辺光量低下が生じるような読取面114の端側に向けて照射する等、その照射方向を制御することができる。
【0129】
本実施形態の第1変形例として、
図22に例示するように、第2の発光部202を廃止してもよい。すなわち、本実施形態の変形例では、第1照明部121aは、第1の発光部201と、第1の側面204aにて第1の発光部201からの光が入射する導光板203とを備えるように構成される。
【0130】
このようにしても、第1の側面204aから入射した光が第2の側面204bにて第1の側面204a側に内部反射することで、出射面から出射される可視光(照明光)の照度分布がばらつきやすくなる。これにより、所望する可視光の照度分布に応じて複数の溝206の形状を変えることで、出射面を介して可視光を複数方向に照射できるだけでなく、その照射方向を制御することができる。特に、第1の側面204a側に第1の発光部201を配置すればよいので、第2の側面204b側に第2の発光部202を配置する必要も無く、第1照明部121aの省スペース化及び部品点数削減を図ることができる。
【0131】
さらに、本実施形態の第2変形例として、
図23に例示するように、第2の発光部202を廃止した第2の側面204bには、反射材207が設けられてもよい。これにより、第1の側面204aから入射した光が第2の側面204bにて第1の側面204a側に内部反射しやすくなるために反射効率が高まるので、反射材207が設けられないために第1の側面204aから入射した光の一部が第2の側面204bを透過することを抑制できる結果、出射面を介し複数方向に照射される可視光(照明光)の照度を高めることができる。
【0132】
なお、上記第1変形例では、第2の発光部202に代えて第1の発光部201を廃止してもよい。また、上記第2変形例では、第2の発光部202に代えて第1の発光部201を廃止して、第1の側面204aに反射材207を設けるようにしてもよい。すなわち、第1照明部121aは、発光部と、一側面にて発光部からの光が入射する導光板203とを備え、この導光板203は、一側面から入射した光が出射面205に向けて反射される複数の溝206を内部に有し、これら複数の溝206は、導光板203の各側面のうち上記一側面に対向する面を他側面とするとき、一側面側となる面の形状と他側面側となる面の形状とが異なるように非対称に形成されてもよい。
【0133】
面光源が有する導光板の形状に応じて照明光を複数方向に照射する本実施形態及び変形例等の特徴的構成は、面光源として機能する第2照明部121bに適用することができる。
【0134】
[第7実施形態]
次に、本第7実施形態に係る情報コード読取装置について、図面を参照して説明する。
本第7実施形態では、鏡面反射の影響を軽減するために反射部材の一部の反射状態を変更している点が、上記第5実施形態と主に異なる。
【0135】
本実施形態に係る情報コード読取装置100aは、上述した情報コード読取装置100に対して、反射部材150に代えて反射部材150aが採用される点が大きく異なる。反射部材150aは、反射部材150とほぼ同じ曲面形状であり、
図24及び
図25に示すように、読取面114側(上側)から見てほぼ中央となる位置に開口154aが設けられている。この開口154aを介して第1結像部127a及び第2結像部127bが露出部として露出するように受光光学系が配置されている。
【0136】
特に、本実施形態では、
図25からわかるように、開口154aを形成する環状の縁(以下、単に、開口縁部ともいう)は、内側から外側にかけて反射状態が徐々に明るく変化するように形成されている。
【0137】
このように開口154aの開口縁部を形成する理由について、以下に説明する。
例えば、読取面114にかざされた表示画面の情報コードを撮像する際、その撮像画像に、透明な保護プレート116(読取面114)を介してケース103内部の反射部材150a等が鏡面反射によって映り込んでしまう場合がある。このような場合、その映り込みの状態によっては撮像した情報コードの解読に失敗してしまう可能性がある。上述のように照明光を読取面114に向けて反射する反射部材150aの反射面内にて第1結像部127a及び第2結像部127bが露出していると、その露出部分が反射特性を有しないために、露出部分とその周囲の反射部分との境界部分が、映りこんだ撮像画像においてコントラストの急変する範囲となる。具体的には、露出部分が黒く撮像されてその周囲の反射部分が白く撮像されるため、両者の境界部分が黒と白とでコントラストの急変する範囲となる。解読対象となる撮像画像において、上述のようにコントラストの急変する範囲が、情報コードの明色系セル及び暗色系を配列してなるコード領域の一部に重なると、その重なる範囲においてセルの明暗判定の精度が低下してしまうために、情報コードの解読成功率が低くなるからである。
【0138】
そこで、本実施形態では、鏡面反射に起因する情報コードの解読成功率の低下を抑制するため、開口154aの開口縁部を、内側から外側にかけて反射状態が徐々に明るく変化するように形成している。ここで、上述した反射状態の変化を実現するための構成としては、例えば、反射部材150aの開口縁部自体の色を、内側から外側にかけて黒色が徐々に明るい白色に変化する配色構成を採用することができる。
【0139】
このように構成することで、上記開口縁部に対応する反射部分が、上述のように映りこんだ撮像画像においてコントラストが徐々に変化する範囲(以下、徐変範囲ともいう)となる。これにより、撮像画像において上記徐変範囲が情報コードの明色系セル及び暗色系を配列してなるコード領域の一部に重なる場合であっても、セルの明暗判定の精度が低下し難くなるので、鏡面反射に起因する情報コードの解読成功率の低下を抑制することができる。
【0140】
なお、上述した反射状態の変化を実現するための構成として、反射部材150aの開口縁部自体の色を変化させる構成を採用することに限らず、例えば、反射部材150aの開口縁部に対する表面加工等によって調整される反射率を利用した構成を採用してもよい。また、上記開口縁部を覆うための被覆部材(例えば、シール部材)を別途用意して、この被覆部材が、内側から外側にかけてその反射状態が徐々に明るく変化するように形成されてもよい。このようにしても、上述のように映りこんだ撮像画像において、露出部(第1結像部127a及び第2結像部127b)の周囲に位置する被覆部材が上述のように徐変範囲となることで、鏡面反射に起因する情報コードの解読成功率の低下を抑制することができる。特に、被覆部材を付け替えることで、撮像画像における徐変範囲のコントラストを容易に調整することができる。
【0141】
また、上記徐変範囲は、第1結像部127a及び第2結像部127bが露出部として露出する開口154aの開口縁部に設けられることに限らず、反射部材150aの反射面内に設けられるねじ等の他の露出部を露出させる開口の開口縁部に設けられてもよい。また、上記徐変範囲は、2つの撮像部ではなく1つの撮像部が採用される構成であっても、結像部などその撮像部の一部を露出部として露出させる開口の開口縁部に設けられてもよい。このようにしても、上記他の露出部等に関して上述した効果を奏する。また、上記徐変範囲は、反射部材に対して複数の露出部が設けられる場合には、それぞれの露出部に対して設けられてもよい。
【0142】
また、上記徐変範囲は、開口154aを形成する開口縁部に対して環状に設けられることに限らず、開口縁部の少なくとも一部に設けられてもよい。
【0143】
また、露出部を露出させる開口は、読取面側からみて反射部材のほぼ中央に設けられることに限らず、反射面の外縁に対して切り欠き状に設けられてもよい。
【0144】
本実施形態の変形例として、読取面側から見て外側環状の縁となる露出部の周縁部を、内側から外側にかけて反射状態が徐々に明るく変化するように形成してもよい。上述のように2つの第1結像部127a及び第2結像部127bが露出する構成であれば、読取面側から見た第1結像部127a及び第2結像部127bのそれぞれの外側環状の縁となる周縁部を、内側から外側にかけて反射状態が徐々に明るく変化するように形成する。また、例えば、
図26に例示するように、1つの結像部127cが露出部として開口154cから露出する構成であれば、結像部127cの外側環状の縁となる周縁部(
図26のクロスハッチング領域参照)を、内側から外側にかけて反射状態が徐々に明るく変化するように形成する。これにより、上記徐変範囲が、反射部材150aに設けられる開口154cの開口縁部だけでなく露出部の周縁部を含めるように広くなるため、当該徐変範囲における明るさの変化度合を小さくできるので、鏡面反射に起因する情報コードの解読成功率の低下をより一層抑制することができる。
【0145】
なお、上記徐変範囲を、反射部材における開口の開口縁部と露出部の周縁部との双方に設けることに限らず、露出部の周縁部のみに設けてもよい。すなわち、読取面側から見て反射部材に設けられる開口を介して露出部が露出し、当該露出部は、読取面側から見て外側環状の縁となる周縁部が、内側から外側にかけて反射状態が徐々に明るく変化するように形成される。
【0146】
このようにしても、周縁部が、上述のように映りこんだ撮像画像においてコントラストが徐々に明るく変化する徐変範囲となることで、当該徐変範囲が情報コードの明色系セル及び暗色系を配列してなるコード領域の一部に重なる場合であっても、セルの明暗判定の精度が低下し難くなるので、鏡面反射に起因する情報コードの解読成功率の低下を抑制することができる。
【0147】
[第8実施形態]
次に、本第8実施形態に係る情報コード読取装置について、図面を参照して説明する。
本第8実施形態では、第1撮像部及び第2撮像部を構成する受光センサ等の個数が、上記第1実施形態と主に異なる。このため、第1実施形態と実質的に同様の構成部分には同一符号を付して説明を省略する。
【0148】
本実施形態に係る情報コード読取装置1aは、上述した情報コード読取装置1に対して、主に、第1撮像部及び第2撮像部を構成する受光センサ等の個数が異なるように構成されている。具体的には、
図27に示すように、第1撮像部25aは、受光センサ61aと受光センサ61bとを備えるように構成され、第1結像部27aは、情報コード等の像を受光センサ61aに結像させる結像レンズ62aと情報コード等の像を受光センサ61bに結像させる結像レンズ62bとを備えるように構成される。受光センサ61aの受光面と結像レンズ62aとの間及び受光センサ61bの受光面と結像レンズ62bとの間には、上述した可視光カットフィルタ29が配置されていない。
【0149】
特に、結像レンズ62aは、フォーカス位置が読取面7a近傍に設定されるように構成され、結像レンズ62bは、結像レンズ62aと異なり、フォーカス位置が読取面7aよりも遠い位置(例えば、読取面7aまでの距離の2倍程度に相当する位置)に設定されるように構成される。
【0150】
このため、画面表示された情報コードCb等の撮像に関して、受光センサ61a及び結像レンズ62aを備える可視光用の受光光学系60aと受光センサ61b及び結像レンズ62bを備える可視光用の受光光学系60bとにより、2種類の第1の撮像画像を撮像することができる。すなわち、画面表示された情報コードCb等を撮像するための可視光用の受光光学系60aと受光光学系60bとで撮像に関する機能を上述のように異ならせることで、読取面7a近傍にフォーカスが合った撮像画像と読取面7aよりも遠方の位置にフォーカスが合った撮像画像とを撮像することができる。なお、受光センサ61aは「一方の受光センサ」の一例に相当し、受光光学系60aは、「一方の受光光学系」の一例に相当し得る。また、受光センサ61bは「他方の受光センサ」の一例に相当し、受光光学系60bは、「他方の受光光学系」の一例に相当し得る。
【0151】
また、第2撮像部25bは、受光センサ61cと受光センサ61dとを備えるように構成され、第2結像部27bは、情報コード等の像を受光センサ61cに結像させる結像レンズ62cと情報コード等の像を受光センサ61dに結像させる結像レンズ62dとを備えるように構成される。受光センサ61cの受光面と結像レンズ62cとの間及び受光センサ61dの受光面と結像レンズ62dとの間には、上述した可視光カットフィルタ29が配置される。
【0152】
特に、結像レンズ62cは、フォーカス位置が読取面7a近傍に設定されるように構成され、結像レンズ62dは、結像レンズ62cと異なり、フォーカス位置が読取面7aよりも遠い位置(例えば、読取面7aまでの距離の2倍程度に相当する位置)に設定されるように構成される。
【0153】
このため、被覆部Ca2によりセキュリティ性を高めた情報コードCa等の撮像に関して、受光センサ61c及び結像レンズ62cを備える赤外光用の受光光学系60cと受光センサ61d及び結像レンズ62dを備える赤外光用の受光光学系60dとにより、2種類の第2の撮像画像を撮像することができる。すなわち、被覆部Ca2によりセキュリティ性を高めた情報コードCa等を撮像するための赤外光用の受光光学系60cと受光光学系60dとで撮像に関する機能が異なる。なお、受光センサ61cは「一方の受光センサ」の一例に相当し、受光光学系60cは、「一方の受光光学系」の一例に相当し得る。また、受光センサ61dは「他方の受光センサ」の一例に相当し、受光光学系60dは、「他方の受光光学系」の一例に相当し得る。
【0154】
このように構成される情報コード読取装置1aにおいて制御部31にてなされる読取処理では、第1照明部21a~24aから可視光が照射されるとともに、第2照明部21b~24bから赤外光が照射された状態で(S101)、受光センサ61a及び受光センサ61bのそれぞれから第1の撮像画像を取り込むための処理がなされるとともに、受光センサ61c及び受光センサ61dのそれぞれから第2の撮像画像を取り込むための処理がなされる(S103)。
【0155】
その際、画面表示された情報コードCbを撮像している場合には、受光センサ61a及び受光センサ61bにて
図7(A)に示すように第1の撮像画像が撮像される。特に、受光センサ61aを有する受光光学系60aでは、読取面7a近傍にかざされた情報コードCbに対してフォーカスを合わせることができ、受光センサ61bを有する受光光学系60bでは、読取面7aからある程度離された情報コードCbに対してフォーカスを合わせることができる。このようにフォーカスが異なるように2種類の第1の撮像画像を撮像できるため、画面表示された情報コードCb等の読取成功率を高めることができる。
【0156】
一方、上述した情報コードCaを撮像している場合には、受光センサ61c及び受光センサ61dにて
図6(B)に示すように第2の撮像画像が撮像される。特に、受光センサ61cを有する受光光学系60cでは、読取面7a近傍にかざされた情報コードCaに対してフォーカスを合わせることができ、受光センサ61dを有する受光光学系60dでは、読取面7aからある程度離された画面表示される情報コードCaに対してフォーカスを合わせることができる。このようにフォーカスが異なるように2種類の第2の撮像画像を撮像できるため、被覆部Ca2によりセキュリティ性を高めた情報コードCa等の読取成功率を高めることができる。
【0157】
以上説明したように、本実施形態に係る情報コード読取装置1aでは、第1撮像部25aは、受光センサ61a及び受光センサ61bを備え、受光センサ61aを有する受光光学系60aが受光センサ61bを有する他方の受光光学系60bに対して撮像に関する機能が異なるように構成される。これにより、液晶画面等に表示した通常の情報コードなどであっても、上記異なる機能に応じて、受光光学系60aによる撮像画像と受光光学系60bによる撮像画像とで2種類の撮像画像を撮像することができる。このため、受光光学系60aにて上記情報コードを解読可能に撮像できない場合であっても受光光学系60bにて上記情報コードを解読可能に撮像できる場合や、逆に、受光光学系60bにて上記情報コードを解読可能に撮像できない場合であっても受光光学系60aにて上記情報コードを解読可能に撮像できる場合があるので、情報コードの解読成功率を高めることができる。
【0158】
さらに、第2撮像部25bは、受光センサ61c及び受光センサ61dを備え、受光センサ61cを有する受光光学系60cが受光センサ61dを有する受光光学系60dに対して撮像に関する機能が異なるように構成される。これにより、可視光を透過させずに赤外光等の第2波長帯の光を透過させる被覆部Caによりコード領域C1aが覆われた情報コードCaなどであっても、上記異なる機能に応じて、受光光学系60cによる撮像画像と受光光学系60dによる撮像画像とで2種類の撮像画像を撮像することができる。このため、受光光学系60cにて上記情報コードCaを解読可能に撮像できない場合であっても受光光学系60dにて上記情報コードCaを解読可能に撮像できる場合や、逆に、受光光学系60dにて上記情報コードCaを解読可能に撮像できない場合であっても受光光学系60cにて上記情報コードCaを解読可能に撮像できる場合があるので、情報コードの解読成功率を高めることができる。
【0159】
なお、可視光用の受光光学系は、受光光学系60a及び受光光学系60bの2つ用意されることに限らず、3つ以上用意されてもよい。例えば、本実施形態の第1変形例として、
図28に示す情報コード読取装置1bのように、上記情報コード読取装置1aに対して、受光光学系60a及び受光光学系60bに加えて、可視光用の受光光学系60eを加えた3つが用意されてもよい。同様に、赤外光用の受光光学系は、受光光学系60c及び受光光学系60dの2つ用意されることに限らず、3つ以上用意されてもよい。
【0160】
また、可視光用の受光光学系を2つ以上用意する一方で、赤外光用の受光光学系を1つ用意するようにしてもよい。例えば、本実施形態の第2変形例として、
図29に示す情報コード読取装置1cのように、上記情報コード読取装置1aに対して、受光光学系60a及び受光光学系60bと受光光学系60cとを用意するようにしてもよい。同様に、赤外光用の受光光学系を2つ以上用意する一方で、可視光用の受光光学系を1つ用意するようにしてもよい。
【0161】
また、複数の可視光用の受光光学系において、一方の受光光学系が他方の受光光学系に対して異なる撮像に関する機能は、上述したフォーカス位置の調整に応じた機能に限らず、例えば、視野角の調整に応じた機能であってもよい。
【0162】
例えば、受光光学系60aの視野角を受光光学系60bの視野角よりも小さくするようにして撮像に関する機能を異ならせることで、受光光学系60bでは読取面7aの全面を情報コードを撮像可能な領域とし、受光光学系60aでは撮像視野が狭くなるがセルの小さな情報コードであっても解読可能に撮像することができる。
【0163】
また、例えば、一方の受光光学系における一方の受光センサの画素数を他方の受光光学系における他方の受光センサの画素数よりも多くするようにして撮像に関する機能を異ならせてもよい。この場合には、視野角を広くした一方の受光光学系であっても、セルの小さな情報コードを解読可能に撮像することができる。また、画素数の少ない他方の受光光学系では、画像処理に関する負荷等が軽減されるので、画素数の少ない他方の受光光学系にて解読可能に情報コードを撮像できた場合には、その読取速度を向上させることができる。
【0164】
また、複数の赤外光用の受光光学系において、一方の受光光学系が他方の受光光学系に対して異なる撮像に関する機能は、上述したように、視野角の調整に応じた機能や画素数に応じた機能であってもよい。
【0165】
また、複数の可視光用の受光光学系において、少なくとも1つの受光センサとしてカラーセンサを採用することで、色の情報を利用して記録量を増やした情報コード(カラーコード)を読み取り可能に構成されてもよい。同様に、複数の赤外光用の受光光学系において、少なくとも1つの受光センサとしてカラーセンサを採用することで、カラーコードを読み取り可能に構成されてもよい。また、本実施形態及び変形例等の特徴的構成は、他の実施形態等にも適用することができる。
【0166】
なお、本発明は上記各実施形態等に限定されるものではなく、例えば、以下のように具体化してもよい。
(1)制御部31にてなされる読取処理では、位置検出パターンの抽出数や特定エリア内の白黒変化数に応じて解読対象の撮像画像が設定されることに限らず、第1の撮像画像及び第2の撮像画像について少なくとも一部に対する解析処理による結果に基づいて、第1の撮像画像と第2の撮像画像とのいずれか一方が解読容易な解読対象として設定されてもよい。このようにしても、解読処理に関する処理負荷を軽減することができる。また、制御部31にてなされる読取処理では、第1の撮像画像及び第2の撮像画像のいずれか一方を解読対象の撮像画像として設定することなく、第1の撮像画像に基づく情報コードの解読処理と第2の撮像画像に基づく情報コードの解読処理とをそれぞれ行ってもよい。
【0167】
(2)制御部31は、CPUに対して別途設けたFPGA(Field Programmable Gate Array)によって、位置検出パターンの抽出数や特定エリア内の白黒変化数等に応じて第1の撮像画像及び第2の撮像画像から解読対象の撮像画像を設定し、CPUによって、その解読対象の撮像画像に基づく情報コードの解読処理を行うように構成されてもよい。
【0168】
(3)被覆部Ca2を利用することでセキュリティ性を高めた情報コードCaは、コード領域Ca1の全体が被覆部Ca2により被覆されるように構成されることに限らず、コード領域Ca1の一部が被覆部Ca2により被覆されるように構成されてもよい。
【0169】
(4)第2照明部21b~24b,121bにより照射される照明光は、赤外光に限らず、可視光の波長帯とは異なる所定の第2波長帯の光であればよい。この構成では、可視光カットフィルタ29は、可視光を透過させずに上記所定の第2波長帯の光を透過させるように構成される。また、上記第3実施形態であれば、赤外光カットフィルタ29aに代えて、上記所定の第2波長帯の光を透過させずに可視光を透過させるように構成される他のフィルタが採用される。
【0170】
(5)本発明は、据置型の情報コード読取装置に適用されることに限らず、携帯型の情報コード読取装置に適用されてもよい。
【符号の説明】
【0171】
1,1a~1c,100,100a…情報コード読取装置
3,103…ケース
5…読取口
21a~24a,121a…第1照明部
21b~24b,121b…第2照明部
25a,125a…第1撮像部
25b,125b…第2撮像部
27a,127a…第1結像部(露出部)
27b,127b…第2結像部(露出部)
127c…結像部(露出部)
29,129…可視光カットフィルタ(フィルタ)
29a…赤外光カットフィルタ(他のフィルタ)
31…制御部(処理部,照明制御部,設定部)
60a~60e…受光光学系
61a~61e…受光センサ
62a~62e…結像レンズ
150,150a…反射部材
154,154a,154c…開口
AR1a…第1反射前撮像範囲
AR1b…第1反射後撮像範囲
AR2a…第2反射前撮像範囲
AR2b…第2反射後撮像範囲
Ca,Cb…情報コード
Ca1…コード領域
Ca2…被覆部
FPa,FPb…位置検出パターン(特定パターン)
Lfa…可視光
Lfb…赤外光(所定の第2波長帯の光)
S…特定エリア