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特許7425284タイヤ種類学習装置、タイヤ種類推定装置、学習済モデルの生成方法、タイヤ種類推定方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-23
(45)【発行日】2024-01-31
(54)【発明の名称】タイヤ種類学習装置、タイヤ種類推定装置、学習済モデルの生成方法、タイヤ種類推定方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06T 7/00 20170101AFI20240124BHJP
   B60C 19/00 20060101ALI20240124BHJP
【FI】
G06T7/00 350B
B60C19/00 J
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2019189664
(22)【出願日】2019-10-16
(65)【公開番号】P2021064282
(43)【公開日】2021-04-22
【審査請求日】2022-09-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000006714
【氏名又は名称】横浜ゴム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000154
【氏名又は名称】弁理士法人はるか国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】多田 拡太郎
【審査官】秦野 孝一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-035626(JP,A)
【文献】特開平09-277806(JP,A)
【文献】特開2000-067245(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 7/00-7/90
B60C 1/00-19/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイヤのトレッド面が写るとともに、前記タイヤが写る部分が前記タイヤの種類に応じた縦横比を有する学習画像を取得する取得手段と、
前記学習画像から前記タイヤが写る部分に外接する領域を抽出する領域抽出手段と、
抽出される前記領域の画像を、該画像の縦の長さと横の長さをそれぞれ拡大又は縮小することにより、所定の縦横画素数である学習変形画像に変形する画像変形手段と、
前記学習変形画像を機械学習モデルに入力した際の出力を用いて、前記機械学習モデルの学習を実行する学習手段と、
を含むことを特徴とするタイヤ種類学習装置。
【請求項2】
前記学習画像には、前記タイヤのトレッドパターンが写っている、
ことを特徴とする請求項1に記載のタイヤ種類学習装置。
【請求項3】
前記学習画像には、前記タイヤの種類を表す文字列の印字が写っている、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のタイヤ種類学習装置。
【請求項4】
前記学習画像には、前記タイヤの識別線が写っている、
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のタイヤ種類学習装置。
【請求項5】
前記学習画像は、カラー画像である、
ことを特徴とする請求項4に記載のタイヤ種類学習装置。
【請求項6】
タイヤのトレッド面が写るとともに、前記タイヤが写る部分が前記タイヤの種類に応じた縦横比を有するターゲット画像を取得する取得手段と、
前記ターゲット画像から前記タイヤが写る部分に外接する領域を抽出する領域抽出手段と、
抽出される前記領域の画像を、該画像の縦の長さと横の長さをそれぞれ拡大又は縮小することにより、所定の縦横画素数であるターゲット変形画像に変形する画像変形手段と、
前記ターゲット変形画像を学習済の機械学習モデルに入力した際の出力に基づいて、前記タイヤの種類を推定する推定手段と、
を含むことを特徴とするタイヤ種類推定装置。
【請求項7】
前記ターゲット画像には、前記タイヤのトレッドパターンが写っている、
ことを特徴とする請求項6に記載のタイヤ種類推定装置。
【請求項8】
前記ターゲット画像には、前記タイヤの種類を表す文字列の印字が写っている、
ことを特徴とする請求項6又は7に記載のタイヤ種類推定装置。
【請求項9】
前記ターゲット画像には、前記タイヤの識別線が写っている、
ことを特徴とする請求項6から8のいずれか一項に記載のタイヤ種類推定装置。
【請求項10】
前記ターゲット画像は、カラー画像である、
ことを特徴とする請求項9に記載のタイヤ種類推定装置。
【請求項11】
タイヤのトレッド面が写るとともに、前記タイヤが写る部分が前記タイヤの種類に応じた縦横比を有する学習画像を取得するステップと、
前記学習画像から前記タイヤが写る部分に外接する領域を抽出するステップと、
抽出される前記領域の画像を、該画像の縦の長さと横の長さをそれぞれ拡大又は縮小することにより、所定の縦横画素数である学習変形画像に変形するステップと、
前記学習変形画像を機械学習モデルに入力した際の出力を用いて、前記機械学習モデルの学習を実行するステップと、
を含むことを特徴とする学習済モデルの生成方法。
【請求項12】
タイヤのトレッド面が写るとともに、前記タイヤが写る部分が前記タイヤの種類に応じた縦横比を有するターゲット画像を取得するステップと、
前記ターゲット画像から前記タイヤが写る部分に外接する領域を抽出するステップと、
抽出される前記領域の画像を、該画像の縦の長さと横の長さをそれぞれ拡大又は縮小することにより、所定の縦横画素数であるターゲット変形画像に変形するステップと、
前記ターゲット変形画像を学習済の機械学習モデルに入力した際の出力に基づいて、前記タイヤの種類を推定するステップと、
を含むことを特徴とするタイヤ種類推定方法。
【請求項13】
タイヤのトレッド面が写るとともに、前記タイヤが写る部分が前記タイヤの種類に応じた縦横比を有する学習画像を取得する手順、
前記学習画像から前記タイヤが写る部分に外接する領域を抽出する手順、
抽出される前記領域の画像を、該画像の縦の長さと横の長さをそれぞれ拡大又は縮小することにより、所定の縦横画素数である学習変形画像に変形する手順、
前記学習変形画像を機械学習モデルに入力した際の出力を用いて、前記機械学習モデルの学習を実行する手順、
をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項14】
タイヤのトレッド面が写るとともに、前記タイヤが写る部分が前記タイヤの種類に応じた縦横比を有するターゲット画像を取得する手順、
前記ターゲット画像から前記タイヤが写る部分に外接する領域を抽出する手順、
抽出される前記領域の画像を、該画像の縦の長さと横の長さをそれぞれ拡大又は縮小することにより、所定の縦横画素数であるターゲット変形画像に変形する手順、
前記ターゲット変形画像を学習済の機械学習モデルに入力した際の出力に基づいて、前記タイヤの種類を推定する手順、
をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤ種類学習装置、タイヤ種類推定装置、学習済モデルの生成方法、タイヤ種類推定方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、タイヤの画像からタイヤ種や摩耗状態などを認識できる認識方法及び認識装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-35626号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
タイヤの種類によっては、サイズやトレッド面を見た際の縦横比がまちまちである。ところが、特許文献1に記載の技術におけるタイヤの種類の推定では、サイズやトレッド面を見た際の縦横比がタイヤの種類によってまちまちであることが考慮されていない。そのため特許文献1に記載の技術では、タイヤの種類の推定において充分な推定精度が得られないことがある。
【0005】
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであって、その目的の一つは、タイヤの画像に基づく当該タイヤの種類の推定精度を向上させることができるタイヤ種類学習装置、タイヤ種類推定装置、学習済モデルの生成方法、タイヤ種類推定方法及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明に係るタイヤ種類学習装置は、タイヤのトレッド面が写る学習画像を取得する取得手段と、前記学習画像から前記タイヤが写る部分に外接する領域を抽出する領域抽出手段と、抽出される前記領域の画像を所定の縦横画素数である学習変形画像に変形する画像変形手段と、前記学習変形画像を機械学習モデルに入力した際の出力を用いて、前記機械学習モデルの学習を実行する学習手段と、を含む。
【0007】
本発明の一態様では、前記学習画像には、前記タイヤのトレッドパターンが写っている。
【0008】
また、本発明の一態様では、前記学習画像には、前記タイヤの種類を表す文字列の印字が写っている。
【0009】
また、本発明の一態様では、前記学習画像には、前記タイヤの識別線が写っている。
【0010】
この態様では、前記学習画像は、カラー画像であってもよい。
【0011】
また、本発明に係るタイヤ種類推定装置は、タイヤのトレッド面が写るターゲット画像を取得する取得手段と、前記ターゲット画像から前記タイヤが写る部分に外接する領域を抽出する領域抽出手段と、抽出される前記領域の画像を所定の縦横画素数であるターゲット変形画像に変形する画像変形手段と、前記ターゲット変形画像を学習済の機械学習モデルに入力した際の出力に基づいて、前記タイヤの種類を推定する推定手段と、を含む。
【0012】
本発明の一態様では、前記ターゲット画像には、前記タイヤのトレッドパターンが写っている。
【0013】
また、本発明の一態様では、前記ターゲット画像には、前記タイヤの種類を表す文字列の印字が写っている。
【0014】
また、本発明の一態様では、前記ターゲット画像には、前記タイヤの識別線が写っている。
【0015】
この態様では、前記ターゲット画像は、カラー画像であってもよい。
【0016】
また、本発明に係る学習済モデルの生成方法は、タイヤのトレッド面が写る学習画像を取得するステップと、前記学習画像から前記タイヤが写る部分に外接する領域を抽出するステップと、抽出される前記領域の画像を所定の縦横画素数である学習変形画像に変形するステップと、前記学習変形画像を機械学習モデルに入力した際の出力を用いて、前記機械学習モデルの学習を実行するステップと、を含む。
【0017】
また、本発明に係るタイヤ種類推定方法は、タイヤのトレッド面が写るターゲット画像を取得するステップと、前記ターゲット画像から前記タイヤが写る部分に外接する領域を抽出するステップと、抽出される前記領域の画像を所定の縦横画素数であるターゲット変形画像に変形するステップと、前記ターゲット変形画像を学習済の機械学習モデルに入力した際の出力に基づいて、前記タイヤの種類を推定するステップと、を含む。
【0018】
また、本発明に係るプログラムは、タイヤのトレッド面が写る学習画像を取得する手順、前記学習画像から前記タイヤが写る部分に外接する領域を抽出する手順、抽出される前記領域の画像を所定の縦横画素数である学習変形画像に変形する手順、前記学習変形画像を機械学習モデルに入力した際の出力を用いて、前記機械学習モデルの学習を実行する手順、をコンピュータに実行させる。
【0019】
また、本発明に係る別のプログラムは、タイヤのトレッド面が写るターゲット画像を取得する手順、前記ターゲット画像から前記タイヤが写る部分に外接する領域を抽出する手順、抽出される前記領域の画像を所定の縦横画素数であるターゲット変形画像に変形する手順、前記ターゲット変形画像を学習済の機械学習モデルに入力した際の出力に基づいて、前記タイヤの種類を推定する手順、をコンピュータに実行させる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の一実施形態に係る情報処理装置の構成の一例を示す図である。
図2】本発明の一実施形態に係る情報処理装置の機能の一例を示す機能ブロック図である。
図3】学習画像の一例を示す図である。
図4】単体学習画像の一例を示す図である。
図5】学習変形画像の一例を示す図である。
図6】ターゲット画像の一例を示す図である。
図7】本発明の一実施形態に係る情報処理装置で行われる学習処理の流れの一例を示すフロー図である。
図8】本発明の一実施形態に係る情報処理装置で行われる推定処理の流れの一例を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0022】
図1は、本発明の一実施形態に係る情報処理装置10の構成の一例を示す図である。本実施形態に係る情報処理装置10は、パーソナルコンピュータなどのコンピュータである。図1に示すように情報処理装置10は、例えば、プロセッサ12、記憶部14、通信部16、表示部18、操作部20、撮影部22、を含んでいる。
【0023】
プロセッサ12は、例えば情報処理装置10にインストールされるプログラムに従って動作するCPU等のプログラム制御デバイスである。
【0024】
記憶部14は、ROMやRAM等の記憶素子やハードディスクドライブなどである。記憶部14には、プロセッサ12によって実行されるプログラムなどが記憶される。
【0025】
通信部16は、例えばネットワークボードなどの通信インタフェースである。
【0026】
表示部18は、液晶ディスプレイ等の表示デバイスであって、プロセッサ12の指示に従って各種の画像を表示する。
【0027】
操作部20は、キーボードやマウスなどといったユーザインタフェースであって、ユーザの操作入力を受け付けて、その内容を示す信号をプロセッサ12に出力する。
【0028】
撮影部22は、デジタルカメラなどの撮影デバイスであり、撮影によって生成される画像をプロセッサ12に出力する。
【0029】
なお、情報処理装置10は、DVD-ROMやBlu-ray(登録商標)ディスクなどの光ディスクを読み取る光ディスクドライブ、USB(Universal Serial Bus)ポートなどを含んでいてもよい。
【0030】
本実施形態では、機械学習モデルを用いて、撮影部22により撮影される画像に写るタイヤの種類(例えば、タイヤの種類に対応付けられる商品コード)が推定される。
【0031】
ここで、本実施形態において推定されるタイヤの種類は商品コードに限定されない。例えば、本実施形態において、撮影部22により撮影される画像に写るタイヤのトレッドパターンが推定されてもよい。また、本実施形態において推定されるタイヤの種類が、商品コード、タイヤサイズ(例:175/65R14)、タイヤ幅、タイヤ断面幅、扁平率、構造記号、タイヤ外径、リム径、リム幅、ロードインデックス、速度記号、製造年週、トレッドパターンなどのうちの少なくとも1つであってもよい。また、本実施形態において、推定されるタイヤの商品コードに基づいて、当該タイヤのタイヤサイズ(例:175/65R14)、タイヤ幅、タイヤ断面幅、扁平率、構造記号、タイヤ外径、リム径、リム幅、ロードインデックス、速度記号、製造年週、トレッドパターンなどが特定されてもよい。
【0032】
以下、情報処理装置10に実装されている機械学習モデルの学習、及び、情報処理装置10によるタイヤの種類の推定についてさらに説明する。
【0033】
図2は、本実施形態に係る情報処理装置10で実装される機能の一例を示す機能ブロック図である。なお、本実施形態に係る情報処理装置10で、図2に示す機能のすべてが実装される必要はなく、また、図2に示す機能以外の機能が実装されていても構わない。
【0034】
図2に示すように、情報処理装置10には、機能的には例えば、機械学習モデル30、学習データ記憶部32、学習データ取得部34、学習領域抽出部36、学習変形画像生成部38、学習部40、ターゲット画像取得部42、ターゲット領域抽出部44、ターゲット変形画像生成部46、推定部48、が含まれる。
【0035】
機械学習モデル30は、プロセッサ12及び記憶部14を主として実装される。学習データ記憶部32は、記憶部14を主として実装される。学習データ取得部34、学習領域抽出部36、学習変形画像生成部38、学習部40、ターゲット領域抽出部44、ターゲット変形画像生成部46、推定部48は、プロセッサ12を主として実装される。ターゲット画像取得部42は、プロセッサ12及び撮影部22を主として実装される。
【0036】
以上の機能は、コンピュータである情報処理装置10にインストールされた、以上の機能に対応する指令を含むプログラムをプロセッサ12で実行することにより実装されてもよい。このプログラムは、例えば、光ディスク、磁気ディスク、磁気テープ、光磁気ディスク、フラッシュメモリ等のコンピュータ読み取り可能な情報記憶媒体を介して、あるいは、インターネットなどを介して情報処理装置10に供給されてもよい。
【0037】
情報処理装置10における、機械学習モデル30、学習データ記憶部32、学習データ取得部34、学習領域抽出部36、学習変形画像生成部38、学習部40の機能は、タイヤの種類の推定に用いられる機械学習モデル30の学習を実行するタイヤ種類学習装置としての機能に相当する。
【0038】
また情報処理装置10における、機械学習モデル30、ターゲット画像取得部42、ターゲット領域抽出部44、ターゲット変形画像生成部46、推定部48の機能は、タイヤの種類を推定するタイヤ種類推定装置としての機能に相当する。
【0039】
機械学習モデル30は、本実施形態では例えば、アダブースト、ランダムフォレスト、ニューラルネットワーク、サポートベクタマシン(SVM)、最近傍識別器、などの機械学習が実装された機械学習モデルである。
【0040】
本実施形態に係る機械学習モデル30は、例えば、タイヤの種類を判定する判定モデルである。当該機械学習モデル30は、入力に応じて、タイヤの種類に対応付けられる数値を出力してもよい。
【0041】
当該数値は、例えば、商品コードに対応付けられる数値である。なお、当該数値が、トレッドパターンに対応付けられる数値であってもよい。また、当該数値が、商品コード、タイヤサイズ(例:175/65R14)、タイヤ幅、タイヤ断面幅、扁平率、構造記号、タイヤ外径、リム径、リム幅、ロードインデックス、速度記号、製造年週、トレッドパターンなどのうちのいずれか、または、これらのうちの複数の組合せに対応付けられる数値であってもよい。
【0042】
学習データ記憶部32は、本実施形態では例えば、機械学習モデル30の学習に用いられる学習データを記憶する。学習データには、例えば、図3に例示する学習画像50と、当該タイヤの種類に対応付けられる所与の教師データと、が含まれている。
【0043】
図3は、学習画像50の一例を示す図である。図3に示すように、学習画像50は、タイヤ52のトレッド面が写る画像である。図3に示すように、学習画像50には、タイヤ52のトレッドパターンが写っていてもよい。例えば、学習画像50にトレッドパターンの周期構造が示されていてもよい。また、学習画像50には、タイヤの種類を表す文字列の印字54が写っていてもよい。また、学習画像50には、タイヤ52の種類に応じた色の線であるタイヤ52の識別線56が写っていてもよい。また、学習画像50は、RGB画像などのカラー画像であってもよい。
【0044】
また、教師データは、例えば、機械学習モデル30の出力に対応付けられる数値を示すデータである。教師データは、例えば、商品コードに対応付けられる数値を示すものである。なお、教師データが、例えば、トレッドパターンに対応付けられる数値を示すものであってもよい。また、教師データが、商品コード、タイヤサイズ(例:175/65R14)、タイヤ幅、タイヤ断面幅、扁平率、構造記号、タイヤ外径、リム径、リム幅、ロードインデックス、速度記号、製造年週、トレッドパターンなどのうちのいずれか、または、これらのうちの複数の組合せに対応付けられる数値を示すものであってもよい。
【0045】
学習データ取得部34は、本実施形態では例えば、学習データ記憶部32に記憶されている学習データを取得する。
【0046】
学習領域抽出部36は、本実施形態では例えば、学習画像50からタイヤ52が写る部分に外接する領域を抽出する。以下、このようにして抽出される領域を学習領域58と呼ぶこととする。図3に示すように、学習領域58は、タイヤ52が写る部分に外接する矩形の領域であってもよい。
【0047】
また、学習領域抽出部36は、抽出された学習領域58の画像である、図4に例示する単体学習画像60を生成してもよい。なお、同じ種類のタイヤ52が写る単体学習画像60であっても、単体学習画像60内における、トレッドパターンの位置、印字54の位置、及び、識別線56の位置はタイヤ52によってまちまちである。
【0048】
学習変形画像生成部38は、本実施形態では例えば、抽出される学習領域58の画像を、所定の縦横画素数である図5に例示する学習変形画像62に変形する。
【0049】
学習変形画像生成部38は、例えば、図4に示す単体学習画像60を変形することで、学習変形画像62を生成してもよい。ここで学習変形画像62の縦画素数と横画素数とは、同じであってもよいし、異なっていてもよい。学習変形画像62の縦画素数と横画素数が同じである場合は、学習変形画像62は、正方形の画像となる。
【0050】
例えば、学習変形画像62の縦画素数が所定数xであり、学習変形画像62の横画素数が所定数yであることとする。そして例えば、単体学習画像60の縦画素数がx1であり、横画素数がy1であるとする。この場合、学習変形画像生成部38は、単体学習画像60の縦の長さをx/x1倍し、横の長さをy/y1倍することで、学習変形画像62を生成する。
【0051】
学習部40は、本実施形態では例えば、学習変形画像62を機械学習モデル30に入力した際の出力を用いて、機械学習モデル30の学習を実行する。ここで例えば、学習データに含まれる学習画像50に基づいて生成される学習変形画像62を機械学習モデル30に入力した際の出力と、当該学習データに含まれる教師データと、の差が特定されてもよい。そして特定される差に基づいて機械学習モデル30のパラメータの値が更新される教師あり学習が実行されてもよい。
【0052】
本実施形態では複数の学習変形画像62による機械学習モデル30の学習が実行される。そして学習済の機械学習モデル30(学習済モデル)を用いて、撮影部22により撮影される画像に写るタイヤの種類が推定される。
【0053】
ターゲット画像取得部42は、本実施形態では例えば、撮影部22により撮影される、図6に例示するターゲット画像64を取得する。図6に示すように、ターゲット画像64は、タイヤのトレッド面が写る画像である。また、図6に示すように、ターゲット画像64は、複数のタイヤが配置されたラックが写る画像であってもよい。
【0054】
図3に示す学習画像50と同様に、ターゲット画像64には、タイヤのトレッドパターンが写っていてもよい。例えば、ターゲット画像64にトレッドパターンの周期構造が示されていてもよい。また、ターゲット画像64には、タイヤの種類を表す文字列の印字が写っていてもよい。また、ターゲット画像64には、タイヤの種類に応じた色の線であるタイヤの識別線が写っていてもよい。また、ターゲット画像64は、RGB画像などのカラー画像であってもよい。なお、図6の例では、タイヤの種類を表す文字列の印字、及び、識別線の記載は省略されている。
【0055】
ターゲット領域抽出部44は、本実施形態では例えば、ターゲット画像64からタイヤが写る部分に外接する領域を抽出する。以下、このようにして抽出される領域をターゲット領域66と呼ぶこととする。
【0056】
図6に示すターゲット画像64には、20本のタイヤが写っている。この場合、ターゲット領域抽出部44が、20個のターゲット領域66(ターゲット領域66a~66t)を抽出してもよい。また、図6に示すように、ターゲット領域66は、タイヤが写る部分に外接する矩形の領域であってもよい。
【0057】
また、ターゲット領域抽出部44は、抽出された20個のターゲット領域66のそれぞれについて、当該ターゲット領域66の画像である単体ターゲット画像を生成してもよい。
【0058】
ターゲット変形画像生成部46は、本実施形態では例えば、抽出されるターゲット領域66の画像を所定の縦横画素数であるターゲット変形画像に変形する。
【0059】
ターゲット変形画像生成部46は、例えば、単体ターゲット画像を変形することで、ターゲット変形画像を生成してもよい。ここでは例えば、ターゲット変形画像の縦横画素数は、上述の学習変形画像62の縦横画素数と同じである。
【0060】
例えば、ターゲット変形画像の縦画素数が学習変形画像62の縦画素数と同じ所定数xであり、ターゲット変形画像の横画素数が学習変形画像62の横画素数と同じ所定数yであることとする。そして例えば、単体ターゲット画像の縦画素数がx2であり、横画素数がy2であるとする。この場合、ターゲット変形画像生成部46は、単体ターゲット画像の縦の長さをx/x2倍し、横の長さをy/y2倍することで、ターゲット変形画像を生成する。
【0061】
推定部48は、本実施形態では例えば、ターゲット変形画像を学習済の機械学習モデル30(学習済モデル)に入力した際の出力に基づいて、ターゲット変形画像に写るタイヤの種類を推定する。ここで機械学習モデル30が、入力に応じて、タイヤの種類に対応付けられる数値を出力してもよい。
【0062】
図6に示すように、ターゲット画像64に複数のタイヤが写っている場合は、上述のようにそれぞれがいずれかのタイヤに対応付けられる複数のターゲット変形画像が生成される。そして推定部48は、当該複数のターゲット変形画像のそれぞれについて、当該ターゲット変形画像を学習済の機械学習モデル30に入力した際の出力に基づいて、当該ターゲット変形画像に写るタイヤの種類を推定する。
【0063】
なお、ターゲット画像64は、図6のような複数のタイヤが写る画像である必要はない。ターゲット画像64が、図3に示す学習画像50のような、1つのタイヤが写る画像であっても構わない。
【0064】
また例えば、撮影部22がターゲット画像64を連続して撮影する場合に、ターゲット領域抽出部44は、撮影されたターゲット画像64と直前に撮影されたターゲット画像64との差分を特定してもよい。そして、ターゲット領域抽出部44は、特定された差分を表す画像から、タイヤが写る部分に外接する領域を抽出してもよい。
【0065】
ここで、本実施形態に係る情報処理装置10で行われる学習処理の流れの一例を、図7に例示するフロー図を参照しながら説明する。ここでは例えば複数の学習データが学習データ記憶部32に記憶されていることとする。
【0066】
まず、学習データ取得部34が、学習データ記憶部32に記憶されている複数の学習データのうち、S102~S104に示す処理が実行されていないものを1つ取得する(S101)。
【0067】
そして、学習領域抽出部36が、S101に示す処理で取得された学習データに含まれる学習画像50から、学習領域58を抽出することで、単体学習画像60を生成する(S102)。
【0068】
そして、学習変形画像生成部38が、S102に示す処理で生成された単体学習画像60を変形することで、所定の縦横画素数の学習変形画像62を生成する(S103)。
【0069】
そして、学習部40が、S103に示す処理で生成された学習変形画像62を機械学習モデル30に入力した際の出力を用いた、機械学習モデル30の学習を実行する(S104)。ここで例えば、当該出力と、S101に示す処理で取得された学習データに含まれる教師データと、の差に基づいて、機械学習モデル30のパラメータの値が更新されてもよい。
【0070】
そして学習部40が、学習データ記憶部32に記憶されている複数の学習データのすべてについてS102~S104に示す処理が実行されたか否かを確認する(S105)。
【0071】
学習データ記憶部32に記憶されている複数の学習データのすべてについてS102~S104に示す処理が実行されていないことが確認された場合は(S105:N)、S101に示す処理に戻る。
【0072】
学習データ記憶部32に記憶されている複数の学習データのすべてについてS102~S104に示す処理が実行されたことが確認された場合は(S105:Y)、本処理例に示す処理は終了される。
【0073】
次に、本実施形態に係る情報処理装置10で行われる推定処理の流れの一例を、図8に例示するフロー図を参照しながら説明する。
【0074】
まず、ターゲット画像取得部42が、ターゲット画像64を取得する(S201)。
【0075】
そして、ターゲット領域抽出部44が、S201に示す処理で取得されたターゲット画像64から、ターゲット領域66を抽出することで、単体ターゲット画像を生成する(S202)。本処理例ではここで、複数の単体ターゲット画像が生成されることとする。
【0076】
そして、ターゲット変形画像生成部46が、S202に示す処理で生成された複数の複単体ターゲット画像のうちから、S203、及び、S204に示す処理が実行されていないものを1つ取得する(S203)。
【0077】
そして、ターゲット変形画像生成部46が、S203に示す処理で取得されたターゲット単体画像を変形することで、所定の縦横画素数のターゲット変形画像を生成する(S204)。
【0078】
そして、推定部48が、S204に示す処理で生成されたターゲット変形画像を学習済の機械学習モデル30(学習済モデル)に入力した際の出力に基づいて、当該ターゲット変形画像に写るタイヤの種類を推定する(S205)。
【0079】
そして、ターゲット変形画像生成部46が、S202に示す処理で生成された複数の単体ターゲット画像のすべてについてS203、及び、S204に示す処理が実行されたか否かを確認する(S206)。
【0080】
S202に示す処理で生成された複数の単体ターゲット画像のすべてについてS203、及び、S204に示す処理が実行されていないことが確認された場合は(S206:N)、S203に示す処理に戻る。
【0081】
S202に示す処理で生成された複数の単体ターゲット画像のすべてについてS203、及び、S204に示す処理が実行されたことが確認された場合は(S206:Y)、本処理例に示す処理は終了される。
【0082】
タイヤの種類によっては、サイズやトレッド面を見た際の縦横比がまちまちである。本実施形態によれば、タイヤや縦横比に関係なく、所定の縦横画素数の学習変形画像62やターゲット変形画像が生成される。
【0083】
また、学習変形画像62の画素数と単体学習画像60の画素数との差が大きいほど、単体学習画像60の拡縮の程度は大きくなる。例えば、学習変形画像62の画素数と単体学習画像60の画素数との差が大きいほど、単体学習画像60に写るトレッドパターンやタイヤの種類を表す文字列の印字の拡縮の程度は大きくなる。ターゲット変形画像、及び、ターゲット変形画像に写るトレッドパターンやタイヤの種類を表す文字列の印字の拡縮の程度についても同様である。
【0084】
また、学習変形画像62の縦横比と単体学習画像60の縦横比との違いが大きいほど、単体学習画像60の変形の程度は大きくなる。例えば、学習変形画像62の縦横比と単体学習画像60の縦横比との違いが大きいほど、単体学習画像60に写るトレッドパターンやタイヤの種類を表す文字列の印字の変形の程度は大きくなる。ターゲット変形画像、及び、ターゲット変形画像に写るトレッドパターンやタイヤの種類を表す文字列の印字の変形の程度についても同様である。
【0085】
そして、本実施形態では、このような拡縮の程度や変形の程度が加味された、機械学習モデル30の学習や、学習済モデルを用いたタイヤの種類の推定が実行される。そのため、本実施形態によれば、タイヤの画像に基づく当該タイヤの種類の推定精度を向上させることができることとなる。
【0086】
また、画像に写るトレッドパターンやタイヤの種類を表す文字列の印字は、タイヤの種類の推定における手掛かりとなる。また、トレッドパターンや印字の、拡縮の程度や変形の程度が、機械学習モデル30の学習に加味される。そのため、学習画像50やターゲット画像64にトレッドパターンやタイヤの種類を表す文字列の印字が写っている場合は、タイヤの画像に基づく当該タイヤの種類の推定精度をさらに向上させることができることとなる。
【0087】
また、学習画像50やターゲット画像64にタイヤの識別線が写っている場合も、当該識別線がタイヤの種類の推定における手掛かりとなるので、タイヤの画像に基づく当該タイヤの種類の推定精度をさらに向上させることができることとなる。また当該識別線はカラーであるため、学習画像50やターゲット画像64がRGB画像などのカラー画像であれば、タイヤの画像に基づく当該タイヤの種類の推定精度をさらに向上させることができることとなる。
【0088】
なお、本実施形態では、トレッドパターンの位置、印字54の位置、及び、識別線56の位置が様々である学習画像50を用いて機械学習モデル30の学習が行われるようにすることが望ましい。
【0089】
また、本実施形態によれば、以上のようにして、機械学習モデル30への入力の要素数を揃えることができる。
【0090】
以上のようにして得られるターゲット画像64に写るタイヤの種類の推定結果は、例えば、ターゲット画像64に写る複数のタイヤに、他のタイヤと異なる種類のタイヤが混入していないかどうかの検査に活用することできる。
【0091】
例えば、複数のタイヤについて、タイヤの種類を推定し、すべてのタイヤについての種類の推定結果が同じでない場合に、情報処理装置10が警告音を出力するようにしてもよい。
【0092】
出荷前のタイヤをラックへ積み込む作業は人が行っているため、異なる種類のタイヤが混入することがある。本実施形態を用いることで、異なる種類のタイヤが混入することによる誤出荷を防ぐことができる。
【0093】
また仕上工程の設備にタイヤを投入する前に、本実施形態を用いることでQRコード(登録商標)などの識別情報がタイヤに貼られていなくても当該タイヤの種類を推定することができる。そして、このような推定の結果を用いて、タイヤの種類に応じた自動段替が可能となる。
【0094】
なお、本発明は上述の実施形態に限定されるものではない。
【0095】
また、上記の具体的な数値や文字列、並びに、図面中の具体的な数値や文字列は例示であり、これらの数値や文字列には限定されない。
【符号の説明】
【0096】
10 情報処理装置、12 プロセッサ、14 記憶部、16 通信部、18 表示部、20 操作部、22 撮影部、30 機械学習モデル、32 学習データ記憶部、34 学習データ取得部、36 学習領域抽出部、38 学習変形画像生成部、40 学習部、42 ターゲット画像取得部、44 ターゲット領域抽出部、46 ターゲット変形画像生成部、48 推定部、50 学習画像、52 タイヤ、54 印字、56 識別線、58 学習領域、60 単体学習画像、62 学習変形画像、64 ターゲット画像、66,66a,66b,66c,66d,66e,66f,66g,66h,66i,66j,66k,66l,66m,66n,66o,66p,66q,66r,66s,66t ターゲット領域。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8