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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-23
(45)【発行日】2024-01-31
(54)【発明の名称】導電性ボール搭載装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/60 20060101AFI20240124BHJP
   H05K 3/34 20060101ALI20240124BHJP
   B23K 3/06 20060101ALI20240124BHJP
   B23K 3/00 20060101ALI20240124BHJP
【FI】
H01L21/92 604H
H01L21/92 604Z
H05K3/34 505D
B23K3/06 H
B23K3/00 R
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020027487
(22)【出願日】2020-02-20
(65)【公開番号】P2021132163
(43)【公開日】2021-09-09
【審査請求日】2023-01-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000253019
【氏名又は名称】澁谷工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100156199
【弁理士】
【氏名又は名称】神崎 真
(72)【発明者】
【氏名】英 貴善
【審査官】堀江 義隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-145707(JP,A)
【文献】特開2007-088344(JP,A)
【文献】特開2008-282872(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/60
H05K 3/34
B23K 3/06
B23K 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
環状のテープフレームに張設された伸縮可能なテープに貼り付けられた物品が載置されるステージと、上記物品の上面における導電性ボールの搭載箇所に対応する貫通孔が設けられたボールマスクと、上記ステージの周囲に配置されるとともに該ステージに対して相対的に昇降可能で、かつ上記ボールマスクの下面を吸着するマスク吸着機構と、上記ボールマスクの貫通孔を介して上記ステージに載置された物品に導電性ボールを搭載するボール搭載機構とを備え、
上記ステージの物品支持面に物品を載置するとともに、該ステージの物品支持面よりも外方で、かつ、そこよりも高さが低い位置に設けられたフレーム支持面に上記テープフレームを載置した状態で、物品に導電性ボールを搭載する導電性ボール搭載装置において、
上記ステージは、上記物品が載置される物品支持面と、該物品支持面を囲繞し、かつ該物品支持面より下方に位置して上記テープフレームが載置されるフレーム支持面とを有し、
上記ステージに対して上記マスク吸着機構を相対的に昇降させる昇降機構を設け、上記マスク吸着機構がボールマスクの下面を吸着した状態で、当該マスク吸着機構および上記ステージのうちの少なくともいずれか一方を昇降させることを特徴とする導電性ボール搭載装置。
【請求項2】
上記ステージの上方に昇降可能に設けられて、上記テープフレームを下方に向けて押圧するテープフレーム抑え機構を備え、
上記ステージの物品支持面及びフレーム支持面には、それらよりも突出した上方位置と退没した下方位置とに出没可能な複数の昇降ピンが設けられており当該昇降ピンを退没させることにより、ステージの物品支持面に物品を載置させるとともに、テープフレーム抑え機構によってステージのフレーム支持面にテープフレームを載置させて押圧し、
その状態のテープフレームをテープフレーム保持機構によってフレーム支持面に固定することを特徴とする請求項1に記載の導電性ボール搭載装置。
【請求項3】
上記テープフレーム保持機構は、上記フレーム支持面に載置されたテープフレームを上方から押圧して、上記フレーム支持面との間でテープフレームを挟持するクランプから構成されることを特徴とする請求項2に記載の導電性ボール搭載装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は導電性ボール搭載装置に関し、より詳しくは、環状のテープフレームに張設したテープの表面にウエハを貼り付けた状態で、該ウエハに導電性ボールを搭載するようにした導電性ボール搭載装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、環状のテープフレームに張設された伸縮可能なテープにウエハを貼り付けて、フレームとテープを介してウエハを水平に支持した状態において、該ウエハに導電性ボールを搭載する装置は公知である(例えば特許文献1)。
この特許文献1の装置においては、クランプリング50に設けた真空吸着溝57により、導電性ボールを振込む際にボール振込用マスク26の下面を吸着することで、該ボール振込用マスク26をクランプリング50に密着させるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-145707号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1の装置において、導電性ボールの搭載精度を向上させるためにボール振込用マスク26をクランプリング50に対して強く密着させようとする場合には、クランプリング50を下方に移動させることになる。しかしながら、クランプリング50は、搬送用リング8もクランプしているので、クランプリング50を下方に移動させることで、テープ9に対して不要なテンションをかけることになり、テープ9やウェハ10が破損する恐れがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した事情に鑑み、本発明は、環状のテープフレームに張設された伸縮可能なテープに貼り付けられた物品が載置されるステージと、上記物品の上面における導電性ボールの搭載箇所に対応する貫通孔が設けられたボールマスクと、上記ステージの周囲に配置されるとともに該ステージに対して相対的に昇降可能で、かつ上記ボールマスクの下面を吸着するマスク吸着機構と、上記ボールマスクの貫通孔を介して上記ステージに載置された物品に導電性ボールを搭載するボール搭載機構とを備え、
上記ステージの物品支持面に物品を載置するとともに、該ステージの物品支持面よりも外方で、かつ、そこよりも高さが低い位置に設けられたフレーム支持面に上記テープフレームを載置した状態で、物品に導電性ボールを搭載する導電性ボール搭載装置において、
上記ステージは、上記物品が載置される物品支持面と、該物品支持面を囲繞し、かつ該物品支持面より下方に位置して上記テープフレームが載置されるフレーム支持面とを有し、
上記ステージに対して上記マスク吸着機構を相対的に昇降させる昇降機構を設け、上記マスク吸着機構がボールマスクの下面を吸着した状態で、当該マスク吸着機構および上記ステージのうちの少なくともいずれか一方を昇降させることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0006】
このような構成によれば、物品にテープマスクを被せてから導電性ボールを搭載する際に、マスク吸着ステージの昇降量を調整することで、ボールマスクのテンションを調整することができる。そのため、導電性ボールの搭載時に、テープマスクや物品に不必要な荷重が作用することを防止して、それらが破損するのを良好に防止することができる。
また、物品とテープマスクの密着性を高めることにより、テープマスクの撓みを無くすことができ、その結果、搭載精度を向上させることができるとともに、所定の搭載箇所以外に余分な導電性ボールが搭載される余剰ボールの発生を減少させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の第1実施例を示す導電性ボール搭載装置の正面図。
図2図1の要部の平面図。
図3図1の要部の平面図。
図4図1の要部の作動工程を示す図であり、図4(a)はワークの供給時を示し、図4(b)は可動ステージから突出させた昇降ピンでワークを支持した状態を示し、図4(c)は昇降ピンを退没させてワークを可動ステージに載置した状態を示している。
図5図1の要部における作動工程を示し、図5(a)はボール搭載位置においてマスク吸着ステージを上昇させてボールマスクを吸着した状態を示し、図5(b)は可動ステージを上昇させてワークにボールマスクを密着させた状態を示している。
図6】本発明の第2実施例とそれによる作動工程を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図示実施例について本発明を説明すると、図1ないし図3において、1は導電性ボール搭載装置であり、この導電性ボール搭載装置1は、厚さが薄い円板状のウエハ2(物品)を水平に支持した状態において、該ウエハ2の上面に多数の微小な導電性ボール(図示せず)を搭載するようになっている。
本実施例においては、環状をしたテープフレーム3に伸縮可能なテープ4を張設し、そのテープ4の上面にウエハ2を貼り付けてあり、その状態のウエハ2に微小な多数の導電性ボールを搭載するようになっている。ウエハ2の直径は最大で300mm程度を想定しており、導電性ボールの球径は50μm程度を想定している。また、テープフレーム3はステンレス等の金属からなり、テープフレーム3の直径は、最大で400mm程度になっている。そのため、テープ4に貼り付けられた状態のウエハ2の外周縁とテープフレーム3の内周部との間には、テープ4が環状に露出した状態となっている。また、テープフレーム3の肉厚(上下方向の寸法)は、ウエハ2の肉厚(上下方向の寸法)の約2倍になっている。なお、以下の実施例の記載においては、テープフレーム3、テープ4及びウエハ2からなる全体を指してワークWと総称する。
【0009】
導電性ボール搭載装置1は、水平な床面上において水平面のXY方向に移動されるスライダー5と、このスライダー5に設けられた第1昇降機構6と、この第1昇降機構6上に水平に配置されて、該第1昇降機構6によって昇降可能な可動ステージ7と、可動ステージ7上に載置されたワークWを固定するクランプ8と、クランプ8を駆動させる駆動機構9と、可動ステージ7とクランプ8を囲繞してスライダー5上に配置されたマスク吸着ステージ11と、スライダー5に設けられてマスク吸着ステージ11を昇降させる第2昇降機構12と、上記スライダー5等の作動を制御する図示しない制御装置を備えている。
可動ステージ7の移動領域の上方側には、所定高さで支持フレーム13が水平に設けられており、この支持フレーム13の下面の中央の領域がワークWの供給・排出位置Aとなっており、そこを挟んだ一側と他側がフラックス転写位置Bとボール搭載位置Cになっている。
供給・排出位置Aの支持フレーム13の下面には、テープフレーム抑え機構14が昇降可能に設けられており、フラックス転写位置Bの支持フレーム13の下面には、フラックス供給機構15が設けられるとともにフラックス印刷マスク16が設けられている。さらに、ボール搭載位置Cとなる支持フレーム13の下面にはボール搭載機構17が設けられるとともにボールマスク18が設けられている。
後に詳述するが、本実施例においては、供給・排出位置AにおいてワークWを可動ステージ7上に供給してクランプ8で固定し、その後、可動ステージ7をフラックス転写位置Bまで移動させて、そこでウエハ2にフラックス供給機構15によってフラックス(接着剤)を転写し、その後、可動ステージ7をボール搭載位置Cまで移動させて、そこでウエハ2にボール搭載機構17から導電性ボールを搭載するようになっている。
【0010】
スライダー5は、X方向レール21に沿って水平面のX方向に移動されるとともに、X方向と直交する図示しないY方向レールに沿ってY方向に移動するようになっている。制御装置は、スライダー5の作動を制御して、可動ステージ7を水平面における所要位置に移動させるようになっている。
スライダー5の上面には第1昇降機構6が設けられており、第1昇降機構6によって概略円板状の可動ステージ7が水平な状態で支持されている。第1昇降機構6は制御装置によって作動を制御され、制御装置が第1昇降機構6を作動させることで、可動ステージ7が下降端と上昇端とに昇降されるようになっている。
可動ステージ7は、中央側に位置する円形の平坦面からなるウエハ支持面7Aと、このウエハ支持面7Aの隣接外周側に位置してウエハ支持面7Aよりも高さが低くなった環状のフレーム支持面7Bとを備えている(図4も参照)。
ウエハ支持面7Aは、ウエハ2を余裕をもって支持可能な大きさに設定されるとともに、環状のフレーム支持面7Bよりも所定寸法だけ上方側に突出した状態となっている。ウエハ支持面7Aを囲繞したフレーム支持面7Bは、環状をした上記テープフレーム3を下方側から余裕をもって支持できる大きさに設定されている。
図3においては表示を省略しているが、図4(a)~図4(c)に示すように、可動ステージ7における両支持面7A、7Bの所定位置には複数の昇降ピン22が上方に向けて出没可能に設けられている。これらの昇降ピン22は、可動ステージ7の内部に配置された図示しない第3昇降機構23によって同期して上昇端と下降端とに昇降可能となっている。第3昇降機構23の作動は制御装置によって制御されるようになっており、制御装置が第3昇降機構23を作動させると、全ての昇降ピン22がウエハ支持面7A、フレーム支持面7Bから上方へ突出するようになっている。このように上昇端に位置した昇降ピン22の上端は、同一水平面上に位置しており、この状態の昇降ピン22上に図示しないロボットによってワークWが供給されるようになっている。
このように、可動ステージ7にワークWが供給されると、ウエハ支持面7Aに突出した複数の昇降ピン22でウエハ2とその下面のテープ4が支持されるとともに、フレーム支持面7Bに突出した昇降ピン22によってテープフレーム3が支持されるようになっている(図4(a)の状態)。
この後、全ての昇降ピン22をウエハ支持面7A及びフレーム支持面7Bより下方へ退没させることにともなってワークWは自重によって下降し、テープフレーム3がフレーム支持面7Bに載置されるとともにウエハ2がウエハ支持面7Aに載置される(図4(b)、図4(c)参照)。
この状態からテープフレーム抑え機構14を下降端まで下降させることで、ワークWにおけるテープフレーム3に上方から抑え板14Bが当接して押圧する(図4(c)に点線で示した状態)。これにより、テープフレーム3を可動ステージ7のフレーム支持面7Bに支持させると同時に、ワークWにおけるウエハ2及びそれを貼り付けたテープ4の領域をウエハ支持面7Aで支持するようになっている。そして、この状態のテープフレーム3を4箇所のクランプ8でフレーム支持面7Bに固定するようになっている(図4(c))。
なお、第1昇降機構6により可動ステージ7を昇降させてテープフレーム抑え機構14をワークWにおけるテープフレーム3に当接させるように構成しても良い。その場合、エアシリンダ14Aは省略することができる。
また、図3に示すように、可動ステージ7のウエハ支持面7Aには、同心円状となる位置に複数の吸着溝7Cが形成されており、これらの吸着溝7Cには可動ステージ7内の図示しない負圧通路を介して負圧供給機構24から負圧を作用させるようになっている。負圧供給機構24の作動は制御装置によって制御されるようになっており、図4(c)について前述したように、可動ステージ7にワークWが載置された際に制御装置が負圧供給機構24を作動させることで、吸着溝7Cに負圧を作用させるようになっている。その際には、吸着溝7Cに導入された負圧によってウエハ2が位置ずれしないようにウエハ支持面7Aに吸着・保持されるようになっている。
【0011】
クランプ8は、可動ステージ7の外周部を囲繞した円周方向4箇所に配置されており、スライダー5上で昇降可能、かつ可動ステージ7の半径方向に移動可能となっている。これらのクランプ8は鉤状になっており、かつ、駆動機構9によって昇降および可動ステージ7の半径方向に移動されるようになっている。駆動機構9の作動は制御装置によって制御されるようになっている。
ワークWが可動ステージ7に載置される前の非作動状態において、クランプ8は、可動ステージ7のフレーム支持面7Bよりも半径方向外方側で、そこよりも下方側となる退避位置に位置している(図4(a)参照)。そして、可動ステージ7にワークWが載置されてからワークWのテープフレーム3が、フレーム支持面7Bに支持されてフレーム抑え機構14によって押圧された状態となると、制御装置によって駆動機構9が作動される。すると、駆動機構9によって4つのクランプ8が上昇端まで上昇されてから半径方向内方へ移動された後に所要量下降される把持位置まで移動されるので、テープフレーム3の4箇所がクランプ8とフレーム支持面7Bとで挟持されて、フレーム支持面7Bに固定されるようになっている(図3図5参照)。
なお、クランプ8による把持状態の解除は、駆動機構9によって上記退避位置から把持位置への作動時とは逆の順序で行われる。つまり、駆動機構9によって、クランプ8が上昇されることで、テープフレーム3から離隔し、その後、クランプ8はフレーム支持面7Bから外れた半径方向外方側まで移動してから所定量、下降されて、元の退避位置(下降端)に復帰するようになっている。このように、クランプ8が退避位置に位置することで、可動ステージ7上からワークWを排出可能となる。
【0012】
次に、テープフレーム抑え機構14について説明すると、テープフレーム抑え機構14は、支持フレーム13に鉛直下方に向けて取り付けられたエアシリンダ14Aと、このエアシリンダ14Aのロッドの下端に取り付けた円板状の抑え板14Bとを備えている。
抑え板14Bの下面の外周部は、下方に向けて突出した環状膨出部14Baとなっており、この環状膨出部14Baの下面でワークWにおけるテープフレーム3を上方から抑えるようになっている。環状膨出部14Baの外周面の4箇所には、4つのクランプ8の位置に合わせて切欠き部14Bbが形成されている(図4(b)、図4(c)参照)。
エアシリンダ14Aの作動は制御装置によって制御されるようになっており、エアシリンダ14Aが非作動状態では、抑え板14Bは図1に示す上昇端に停止している。これに対して、ワークWを支持した全ての昇降ピン22が可動ステージ7内に退没されてから、エアシリンダ14Aが作動されてロッドを介して抑え板14Bが下降されると、下降端まで下降された抑え板14BによってワークWのテープフレーム3が押圧される。それにより抑え板14Bとフレーム支持面7Bとによってテープフレーム3が挟持されるようになっている(図4(b)、図4(c)参照)。
この後、駆動機構9によってクランプ8が下方側の退避位置から上昇して半径方向内方となる把持位置まで移動されて下降されることによって、4つのクランプ8によってテープフレーム3がフレーム支持面7Bとの間に挟持されるようになっている。なお、その際に、クランプ8は、抑え板14Bの4箇所の切欠き部14Bb内に入り込んでテープフレーム3を固定するので、クランプ8が環状膨出部14Baに干渉することはない。
さらに、本実施例では、可動ステージ7を囲繞してスライダー5上に正方形の枠状をしたマスク吸着ステージ11が昇降可能に設けられている。マスク吸着ステージ11は、第2昇降機構12によって昇降可能となっている。マスク吸着ステージ11の上面には負圧導入用のマスク吸着溝11Cが形成されており、所要時に負圧供給機構24からマスク吸着溝11Cに負圧を供給することでマスク吸着ステージ11の上面に負圧を導入できるようになっている。
マスク吸着ステージ11は、ボール搭載位置C以外の領域では下降端に位置しており、この下降端にある状態では、マスク吸着ステージ11の上面(吸着面)は、可動ステージ7のフレーム支持面7Bと同じ高さに位置している。これに対して、マスク吸着ステージ11は、ボール搭載位置Cにおいては第2昇降機構12によって上昇端の位置まで上昇されて停止するとともに負圧供給機構24により負圧が導入されるようになっている。その際には、ボールマスク18がマスク吸着ステージ11の上面に吸着・保持されるようになっている(図5(a)参照)。
この状態から第1昇降機構6によって可動ステージ7が所要量、上昇されるので、可動ステージ7に固定された状態のワークWのウエハ2がボールマスク18の下面に密着する。つまり、ボールマスク18がウエハ2に上方から被せられてそれに密着するようになっている(図5(b)参照)。本実施例では、このように、可動ステージ7を所要量、上昇させてウエハ2にボールマスク18を密着させることにより、ボールマスク18のテンションを調整可能となっている。
なお、この実施例とは逆に、マスク吸着ステージ11を下降させるようにして、その下降量を調整することで、ボールマスク18のテンションを調整するようにしても良い。
【0013】
次に、フラックス転写位置Bのフラックス印刷マスク16及びフラックス供給機構15について説明する。フラックス印刷マスク16は、フラックス供給機構15の下方側に水平に配置されており、枠状のマスクフレーム16Aに張設されている。フラックス印刷マスク16には所定のパターンで多数の貫通孔(開口部)が形成されている。
可動ステージ7がフラックス転写位置Bに停止してから第1昇降機構6によって上昇端まで上昇されると、可動ステージ7に支持されたワークWのウエハ2がフラックス印刷マスク16の下方において、フラックス印刷マスク16の下面と僅かに隙間をあけた状態で位置される。そのようにフラックス印刷マスク16の下方にウエハ2が位置した状態において、フラックス供給機構15からフラックスがフラックス印刷マスク16上に供給され、スキージによってフラックス印刷マスク16をウェハ2に押し付けながら貫通孔を介してフラックスを塗布することで、フラックス印刷マスク16の多数の貫通孔のパターンのとおりにウエハ2の上面にフラックスが転写されるようになっている。
この後に第1昇降機構6により可動ステージ7が下降されて元の下降端の位置に復帰し、これに伴い、ウエハ2はフラックス印刷マスク16から離隔するようになっている。
次に、ボール搭載位置Cのボール搭載機構17、ボールマスク18について説明すると、ボールマスク18は、ボール搭載機構17の下方側に水平な状態で支持されており、ボールマスク18には、上記フラックス印刷マスク16と同様のパターンからなる多数の貫通孔(開口部)が形成されている。
ボールマスク18は伸縮可能な素材からなり、マスク吸着ステージ11よりも大きな正方形のマスクフレーム18Aに張設されている。前述したように、下方側からマスク吸着ステージ11によってボールマスク18が吸着保持された状態において、上昇されてきたウエハ2がボールマスク18に下方側から密着した際は、ボールマスク18の外周側の箇所が伸長することでボールマスク18の中央側の領域がウエハ2に重合されて密着するようになっている(図5(a)、図5(b)参照)。
なお、フラックス供給機構15、フラックス印刷マスク16については上記特許文献1により公知であり、ボール搭載機構17及びボールマスク18の構成は特許第5141952号公報により公知であるので、これ以上の詳細な構成の説明は省略する。
【0014】
以上の構成において、スライダー5を介して可動ステージ7が供給・排出位置に停止するとともにクランプ8が退避位置にある状態において、図示しないロボットによってワークWが可動ステージ7に供給される。
その際には、可動ステージ7内の第3昇降機構23によって全ての昇降ピン22がウエハ支持面7A、フレーム支持面7Bから上方へ突出させてあるので、ワークWはこれら突出した複数の昇降ピン22によって水平に支持される(図1図4(a)参照)。
この後、第3昇降機構23によって全ての昇降ピン22が下降されて可動ステージ7のウエハ支持面7A、フレーム支持面7B内へ退没するので、ワークWのテープフレーム3がフレーム支持面7Bに載置されるとともに、ウエハ2はウエハ支持面7Aに載置される。
この後、テープフレーム抑え機構14のエアシリンダ14Aが図1に示す上昇端から下降端まで下降されるので、抑え板14Bの環状膨出部14Baによってテープフレーム3がフレーム支持面7Bに押圧されて、環状膨出部14Baとフレーム支持面7Bとでテープフレーム3が挟持される(図4(b)、図4(c)参照)。つまり、テープフレーム3がフレーム支持面7Bに支持されてそれに押圧された状態となる。
この後、クランプ8が駆動機構9によって退避位置から上方側の把持位置まで移動される。つまり、クランプ8が上昇されてから半径方向内方へ移動され、さらに所要量下降される。それにより、4箇所のクランプ8によってフレーム支持面7B上にワークWのテープフレーム3が挟持されて固定される(図3参照)。なお、抑え板の環状膨出部14Baには切欠き部14Bbが形成されているので、各クランプ8の把持位置への移動が阻害されることはない(図4(b)、図4(c)参照)。
この後、負圧供給機構24によってウエハ支持面7Aの吸着溝7Cに負圧が導入されるので、ウエハ2は負圧によってウエハ支持面7Aに吸着・保持される(図3図4(c)参照)。
なお、吸着溝7Cに負圧を導入してウエハ2を吸着・保持するタイミングは、昇降ピン22が下降されてウエハ2がウエハ支持面7Aに載置された時点であっても良い。
その後、テープフレーム抑え機構14のエアシリンダ14Aが上昇されて元の上昇位置に復帰することで、環状膨出部はワークWのテープフレーム3から離隔する(図1の状態)。
これにより、供給・排出位置Aの可動ステージ7にワークWがクランプ8及び負圧によって保持されたことになり、この状態においては、ワークWにおけるウエハ2の上面はテープフレーム3よりも上方側に位置した状態となっている。
このようにして、可動ステージ7にワークWが載置されて固定されると、スライダー5によって可動ステージ7はフラックス転写位置Bへ移動されて停止される。すると、第1昇降機構6によって可動ステージ7が所定量上昇されるので、上昇されたウエハ2に上方側からフラックス印刷マスク16が被せられる。その状態において、フラックス印刷マスク16上にフラックス供給機構15からフラックスが供給されると、フラックス印刷マスク16に形成された貫通孔のパターンでウエハ2の上面にフラックスが転写される。
このようにして、フラックス転写位置Bにおいて、ウエハ2の上面にフラックスが転写されると、第1昇降機構6によって可動ステージ7が元の高さ位置まで下降され、その後、スライダー5によって可動ステージ7はボール搭載位置Cまで移動されて、そこに停止される。
すると、第2昇降機構12によりマスク吸着ステージ11が所要量上昇されるとともに吸着溝11Cに負圧が導入されるので、マスク吸着ステージ11によってボールマスク18の外周側の下面が吸着保持される(図5(a)参照)。
この後、第1昇降機構6によって可動ステージ7が所要量上昇されるので、ボールマスク18の外周部分にテンションが掛かった状態において、ボールマスク18の中央側の部分が、ウエハ2に被さって密着した状態となる(図5(b)参照)。
この状態においてボール搭載機構17がウエハ上を横方向に移動しながら多数の図示しない導電性ボールをボールマスク18に供給するので、該ボールマスク18に形成された貫通孔を介してウエハ2の所定位置に導電性ボールが搭載され、フラックスによって接着されるようになっている(図5(b)参照)。
この後、マスク吸着ステージ11への負圧の導入を停止するので、マスク吸着ステージ11によるボールマスク18の保持状態が解除される。この後、第2昇降機構12によってマスク吸着ステージ11を下降端まで下降させるとともに、可動ステージ7も第1昇降機構6によって元の下降端の位置まで下降される。
このようにしてボール搭載位置Cにおいて、ウエハ2の上面に多数の導電性ボールの搭載が終了したら、スライダー5によって可動ステージ7を供給・排出位置Aまで移動させてそこに停止させる。
この後、上述した供給時の作動とは逆の作動工程によりワークWが排出される。つまり、駆動機構9によりクランプ8を把持位置から退避位置へ移動させるとともに、負圧供給機構24による吸着溝7Cへの負圧の導入を停止した後に、図示しないロボットによって可動ステージ7上からワークWが排出される。
【0015】
以上のように、本実施例においては、ボール搭載位置Cにおいて、ボールマスク18をマスク吸着ステージ11で吸着した状態でウエハ2に被せて密着させる際に、マスク吸着ステージ11でボールマスク18の下面を吸着することで、ボールマスク18のテンションをテープ4にかかるテンションと独立して調整することができる。そのため、テープ4にかかるテンションまたはボールマスク18のテンションが不必要に大きくなることを防止することができ、したがって、ボールマスク18及びそれに密着したウエハ2、テープ4が破損することを防止することができる。
また、本実施例によれば、ウエハ2とテープマスク18の密着性を高めることにより、テープマスク18の撓みを無くすことができ、その結果、搭載精度を向上させることができるとともに、所定の搭載箇所以外に余分な導電性ボールが搭載される余剰ボールの発生を減少させることができる。
【0016】
次に、図6は本発明の第2実施例を示したものであり、この第2実施例においては、上記第1の実施例で示したクランプ8と駆動機構9を省略してあり、その代わりに、可動ステージ7のフレーム支持面7Bに環状の吸着溝7Dを形成している。この吸着7D溝には、負圧供給機構24から所要時に負圧を導入できるようになっている(図6(a)参照)。
この第2実施例においては、吸着溝7Dと負圧供給機構24とによりワークWのテープフレーム3をフレーム支持面7Bに固定するための保持機構としての機能が得られる構成となっている。その他の構成は、前述した第1の実施例と同じであり、それと対応する各部材には同一の部材番号を付している。
この第2実施例においては、ワークWを支持した昇降ピン22が下降されて可動ステージ7内に退没すると、テープフレーム抑え機構14の抑え板14Bが下降されてテープフレーム3を押圧し(図6(c)に点線で示した状態)、その状態において、ウエハ支持面7Aの吸着溝7C及びフレーム支持面7Bの吸着溝7Dに負圧が供給される(図6(b)、図6(c)参照)。それにより、ウエハ2は負圧によってウエハ支持面7Aに吸着・保持されるとともに、テープフレーム3も負圧によってフレーム支持面7Bに吸着・保持されるようになっている。
このような構成の第2実施例であっても、上述した第1の実施例と同様の作用・効果を得ることができる。
【0017】
なお、本発明は、上記特許文献1や例えば特許第5141952公報に開示された方式のボール搭載装置にも適用可能であり、また、特許第6069723号に開示された方式のボール搭載装置にも本発明を適用することができる。
また、ボール搭載位置Cにおいて、マスク吸着ステージ11を下降させることで、ボールマスク18を下降させてウエハ2に被せて密着させるようにしても良い。その場合にはマスク吸着ステージ11の下降量を調整することにより、ボールマスク18にテンションがかかった状態でボールマスク18を可動ステージ7に密着させることになるので、テープ4にかかるテンションとは関係なくボールマスク18にかかるテンションを調整できる。
また、上記図3図4に示した第1の実施例のクランプ8と図6に示した第2実施例の吸着溝7Dを併用した構成を採用しても良い。
【符号の説明】
【0018】
1‥導電性ボール搭載装置 2‥ウエハ(物品)
3‥テーブルフレーム 4‥テープ
7‥可動ステージ 7A‥ウエハ支持面
7B‥フレーム支持面 8‥クランプ
9‥駆動機構 14‥テープフレーム抑え機構
A‥供給・排出位置 C‥ボール搭載位置
W‥ワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6