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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-23
(45)【発行日】2024-01-31
(54)【発明の名称】検査治具及び検査装置
(51)【国際特許分類】
   G01R 31/26 20200101AFI20240124BHJP
【FI】
G01R31/26 H
G01R31/26 J
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020103194
(22)【出願日】2020-06-15
(65)【公開番号】P2021196276
(43)【公開日】2021-12-27
【審査請求日】2023-03-13
(73)【特許権者】
【識別番号】518232168
【氏名又は名称】ダイトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003395
【氏名又は名称】弁理士法人蔦田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】谷掛 耕治
(72)【発明者】
【氏名】尾上 実
【審査官】田口 孝明
(56)【参考文献】
【文献】特開昭62-267676(JP,A)
【文献】特開2013-145132(JP,A)
【文献】特開2020-094863(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0095211(US,A1)
【文献】特開2007-024702(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
IPC G01R 31/26-31/27、
31/28-31/3193、
H01L 21/64-21/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
デバイスに電気接続される端子が設けられた基板と、デバイスに接触してデバイスを加熱する導電性のヒータブロックとを備え、デバイスを加熱しながら通電するための検査治具において、
前記ヒータブロックと間隔を隔てて配置された導電性の外部ブロックと、前記基板の一方面に設けられた導電部とを備え、前記導電部が前記ヒータブロックと前記外部ブロックとを導通し、
前記ヒータブロック及び前記外部ブロックは、前記基板の一方面に当接して前記基板を支持する、検査治具。
【請求項2】
デバイスに電気接続される端子が設けられた基板と、デバイスに接触してデバイスを加熱する導電性のヒータブロックとを備え、デバイスを加熱しながら通電するための検査治具において、
前記ヒータブロックと間隔を隔てて配置された導電性の外部ブロックと、前記基板の一方面に設けられた導電部とを備え、前記導電部が前記ヒータブロックと前記外部ブロックとを導通し、
前記基板は、貫通孔を備え、
前記ヒータブロック及びデバイスの少なくとも一方が前記貫通孔に挿入されて前記ヒータブロックがデバイスに接触し、
前記貫通孔の周縁部の少なくとも一部に前記導電部が設けられている、検査治具。
【請求項3】
デバイスに電気接続される端子が設けられた基板と、デバイスに接触してデバイスを加熱する導電性のヒータブロックとを備え、デバイスを加熱しながら通電するための検査治具において、
前記ヒータブロックと間隔を隔てて配置された導電性の外部ブロックと、前記基板の一方面に設けられた導電部とを備え、前記導電部が前記ヒータブロックと前記外部ブロックとを導通し、
前記基板は、貫通孔を備え、
前記ヒータブロックは、前記貫通孔に挿通され前記基板の一方面側から他方面側へ突出する突出部を備え、
前記突出部の先端がデバイスに接触する、検査治具。
【請求項4】
デバイスに電気接続される端子が設けられた基板と、デバイスに接触してデバイスを加熱する導電性のヒータブロックとを備え、デバイスを加熱しながら通電するための検査治具において、
前記ヒータブロックと間隔を隔てて配置された導電性の外部ブロックと、前記基板の一方面に設けられた導電部とを備え、前記導電部が前記ヒータブロックと前記外部ブロックとを導通し、
前記基板は、第1スルーホールを備え、
前記ヒータブロックは、前記第1スルーホールに挿入され、前記基板に設けられた前記導電部に電気接続される凸状接点を備える、検査治具。
【請求項5】
デバイスに電気接続される端子が設けられた基板と、デバイスに接触してデバイスを加熱する導電性のヒータブロックとを備え、デバイスを加熱しながら通電するための検査治具において、
前記ヒータブロックと間隔を隔てて配置された導電性の外部ブロックと、前記基板の一方面に設けられた導電部とを備え、前記導電部が前記ヒータブロックと前記外部ブロックとを導通し、
前記ヒータブロックと前記外部ブロックは、前記基板の一方面に対向するように一方面に平行な方向に間隔をあけて配置され、
前記ヒータブロックは、デバイスが接触する部分と前記外部ブロックとの間に前記外部ブロックから離れるように凹んだくびれ部を備える、検査治具。
【請求項6】
前記外部ブロック、前記導電部及び前記ヒータブロックを介して、デバイスに基準電位が入力される請求項1~のいずれか1項に記載の検査治具。
【請求項7】
前記基板と前記ヒータブロックとの間に設けられ、前記凸状接点が挿通される第2スルーホールが形成された断熱シートを備える請求項に記載の検査治具。
【請求項8】
前記ヒータブロックと前記外部ブロックとが対向する方向と直交する方向に、前記基板を前記ヒータブロックに押さえつける押圧部材が設けられている請求項に記載の検査治具。
【請求項9】
検査治具に取り付けられたデバイスを加熱しながら通電する検査装置において、
前記検査治具は、デバイスに電気接続される端子が設けられた基板と、デバイスに接触してデバイスを加熱する導電性のヒータブロックと、前記ヒータブロックと間隔を隔てて配置された導電性の外部ブロックと、前記基板の一方面に設けられた導電部とを備え、前記導電部が前記ヒータブロックと前記外部ブロックとを導通し、
前記ヒータブロック及び前記外部ブロックは、前記基板の一方面に当接して前記基板を支持する検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検査体であるデバイスを加熱しながら通電して検査するために用いられる検査治具及び検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
FET等の半導体素子からなるデバイスでは、検査対象のデバイスを検査治具に取り付け、所定温度に加熱した状態で駆動させて動作不良となる素子を検出するバーンイン検査等の検査が行われている(例えば、下記特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平5-36793号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この種の検査において、検査対象が高周波で動作するデバイスの場合、検査対象の当該デバイスを加熱しながらグランドを安定化する必要がある。
【0005】
そこで、デバイスに電源を供給する回路基板上にデバイスと接触して加熱するヒータブロックを設け、このヒータブロックを基準電位に接続してデバイスのグランドを安定化することが考えられる。しかしながら、ヒータブロックを回路基板上に設けると、検査対象のデバイスだけでなく回路基板に設けられた電子部品もヒータブロックの熱によって加熱されるため、回路基板に実装された電子部品が劣化しやすくなる。
【0006】
回路基板とヒータブロックとを離隔して配置し、回路基板に設けられたグランドラインとヒータブロックとを配線接続することで、回路基板がヒータブロックの熱影響を受けにくくなる。しかしながら、このような場合、回路基板とヒータブロックとを配線接続する必要があり、検査治具の構造が複雑になり組立工数がかかる。加えて、グランドラインが長くなりインピーダンスが高くなるため、検査対象のデバイスが意図しない高周波での動作を引き起こす要因となり得る。
【0007】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、回路基板が受けるヒータブロックの熱影響を抑えつつ、回路基板とヒータブロックとを配線接続することなく、回路基板とヒータブロックを電気接続することができる検査治具及び検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明にかかる検査治具は、デバイスに電気接続される端子が設けられた基板と、デバイスに接触してデバイスを加熱する導電性のヒータブロックとを備え、デバイスを加熱しながら通電するための検査治具において、前記ヒータブロックと間隔を隔てて配置された導電性の外部ブロックと、前記基板の一方面に設けられた導電部とを備え、前記導電部が前記ヒータブロックと前記外部ブロックとを導通し、前記ヒータブロック及び前記外部ブロックは、前記基板の一方面に当接して前記基板を支持するものである。
また、本発明にかかる検査治具は、デバイスに電気接続される端子が設けられた基板と、デバイスに接触してデバイスを加熱する導電性のヒータブロックとを備え、デバイスを加熱しながら通電するための検査治具において、前記ヒータブロックと間隔を隔てて配置された導電性の外部ブロックと、前記基板の一方面に設けられた導電部とを備え、前記導電部が前記ヒータブロックと前記外部ブロックとを導通し、前記基板は、貫通孔を備え、前記ヒータブロック及びデバイスの少なくとも一方が前記貫通孔に挿入されて前記ヒータブロックがデバイスに接触し、前記貫通孔の周縁部の少なくとも一部に前記導電部が設けられているものである。
また、本発明にかかる検査治具は、デバイスに電気接続される端子が設けられた基板と、デバイスに接触してデバイスを加熱する導電性のヒータブロックとを備え、デバイスを加熱しながら通電するための検査治具において、前記ヒータブロックと間隔を隔てて配置された導電性の外部ブロックと、前記基板の一方面に設けられた導電部とを備え、前記導電部が前記ヒータブロックと前記外部ブロックとを導通し、前記基板は、貫通孔を備え、前記ヒータブロックは、前記貫通孔に挿通され前記基板の一方面側から他方面側へ突出する突出部を備え、前記突出部の先端がデバイスに接触するものである。
また、本発明にかかる検査治具は、デバイスに電気接続される端子が設けられた基板と、デバイスに接触してデバイスを加熱する導電性のヒータブロックとを備え、デバイスを加熱しながら通電するための検査治具において、前記ヒータブロックと間隔を隔てて配置された導電性の外部ブロックと、前記基板の一方面に設けられた導電部とを備え、前記導電部が前記ヒータブロックと前記外部ブロックとを導通し、前記基板は、第1スルーホールを備え、前記ヒータブロックは、前記第1スルーホールに挿入され、前記基板に設けられた前記導電部に電気接続される凸状接点を備えるものである。
また、本発明にかかる検査治具は、デバイスに電気接続される端子が設けられた基板と、デバイスに接触してデバイスを加熱する導電性のヒータブロックとを備え、デバイスを加熱しながら通電するための検査治具において、前記ヒータブロックと間隔を隔てて配置された導電性の外部ブロックと、前記基板の一方面に設けられた導電部とを備え、前記導電部が前記ヒータブロックと前記外部ブロックとを導通し、前記ヒータブロックと前記外部ブロックは、前記基板の一方面に対向するように一方面に平行な方向に間隔をあけて配置され、前記ヒータブロックは、デバイスが接触する部分と前記外部ブロックとの間に前記外部ブロックから離れるように凹んだくびれ部を備えるものである。
【0009】
本発明にかかる検査装置は、検査治具に取り付けられたデバイスを加熱しながら通電する検査装置において、前記検査治具は、デバイスに電気接続される端子が設けられた基板と、デバイスに接触してデバイスを加熱する導電性のヒータブロックと、前記ヒータブロックと間隔を隔てて配置された導電性の外部ブロックと、前記基板の一方面に設けられた導電部とを備え、前記導電部が前記ヒータブロックと前記外部ブロックとを導通し、前記ヒータブロック及び前記外部ブロックは、前記基板の一方面に当接して前記基板を支持するものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、回路基板が受けるヒータブロックの熱影響を抑えつつ、回路基板とヒータブロックとを配線接続することなく、回路基板とヒータブロックを安定した低インピーダンス状態において電気接続することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の第1実施形態にかかる検査治具の斜視図
図2図1の検査治具の分解斜視図
図3図1の検査治具の断面斜視図
図4図1の検査治具のソケットを取り外した状態の平面図
図5図1の検査治具の要部拡大断面図
図6】本発明の第1実施形態の変更例に係る検査治具の斜視図
図7図6の検査治具の要部拡大断面図
図8】本発明の第2実施形態に係る検査治具の分解斜視図
図9図8の検査治具の断面図
図10図8の検査治具の平面図
【発明を実施するための形態】
【0012】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態について図1図5を参照して説明する。
【0013】
本実施形態の検査治具10は、バーンイン検査等の信頼性検査を行う検査装置に1又は複数設けられ、検査対象のデバイスDを加熱しながら通電する。
【0014】
この検査治具10は、中央部に開口部11が形成された枠状の支持台12と、開口部11を塞ぐように支持台12の上に取り付けられた外部ブロック20と、外部ブロック20の上面に載置されたソケット基板30と、デバイスDに接触して加熱するヒータブロック40とを備える。
【0015】
図2に示すように、外部ブロック20は、開口部11を覆うように支持台12の上面に設けられた略板状のベースプレート21と、ベースプレート21の上面に取り付けられた一対のグランドプレート22とを備える。外部ブロック20を構成するベースプレート21及びグランドプレート22は、銅やその合金などの導電性を有する金属材からなる。
【0016】
ベースプレート21は、所定の第1方向Xに延びる細長い矩形状のスリット23が設けられている。ベースプレート21は、スリット23が支持台12の開口部11と上下に連通するように支持台12上に重ねて設けられ、ボルトなどによって支持台12に固定される。ベースプレート21は、その上面に載置されたソケット基板30の回路基板31を支持する。
【0017】
ベースプレート21の下面には、開口部11を通って支持台12の下方へ延びる柱状スペーサ25が複数設けられている。柱状スペーサ25の下端には、支持台12の下方にベースプレート21と平行に配置された底板26が取り付けられている。
【0018】
ベースプレート21の上面には、下方に凹んだ取付凹部24が設けられている。取付凹部24は、スリット23を挟んで対向するように第1方向Xに垂直な第2方向Yに間隔をあけて2箇所設けられている。取付凹部24の底面には、グランドプレート22が重ねて設けられている。
【0019】
図2及び図4に示すように、一対のグランドプレート22は、ベースプレート21のスリット23の上方に隙間Sができるように、第2方向Yに間隔をあけて取付凹部24に配置されボルトなどによって固定されている。
【0020】
一対のグランドプレート22において隙間Sを向いた先端部には、対向するグランドプレート22へ(つまり、第2方向Yへ)向けて突出する突起27が第1方向Xに間隔をあけて複数(本実施形態では2箇所)突出している。一方のグランドプレート22の突起27は、隙間Sを挟んで対向する他方のグランドプレート22の突起27と第2方向Yに対向するように設けられている(図4参照)。グランドプレート22の突起27の下面には、前端に行くほど厚みが薄くなるように傾斜する傾斜面27aが設けられている。
【0021】
また、一対のグランドプレート22には、検査装置の制御部など検査治具10の外部から検査信号及び基準電位(グランド電位)が入力されるコネクタ28が設けられている。
【0022】
このようなグランドプレート22の上面には、ソケット基板30が設けられている。ソケット基板30は、グランドプレート22に設けられたコネクタ28と電気接続されており、検査信号と基準電位が外部より伝送されるようになっている。
【0023】
ソケット基板30は、グランドプレート22の上面に載置された回路基板31と、回路基板31の上面に実装されたソケット部32とを備える。
【0024】
回路基板31は、信号パターン31a及びグランドパターン31bが形成されるとともに、コンデンサなどの電子部品31cが実装されたプリント基板である(図5参照)。回路基板31は、一対のグランドプレート22の間に形成された隙間Sの上方位置に基板貫通孔31dが設けられている。
【0025】
信号パターン31aは、グランドプレート22に設けられたコネクタ28の中心導体28aと電気接続され、外部からコネクタ28に入力された検査信号をソケット部32を介して検査対象のデバイスDへ伝送する。
【0026】
グランドパターン31bは、グランドプレート22とともにコネクタ28の外部導体28bと電気接続され、外部からコネクタ28に入力された基準電位をヒータブロック40を介してデバイスDへ伝送する。
【0027】
本実施形態では、グランドプレート22が、コネクタ28の外部導体28bと電気接続されている。また、グランドパターン31bが、グランドプレート22及びヒータブロック40と接触するように回路基板31の下面に設けられており、グランドプレート22に電気接続されたコネクタ28の外部導体28bが、グランドプレート22及びグランドパターン31bを介してヒータブロック40と電気接続されている。
【0028】
なお、コネクタ28は、グランドプレート22の任意の位置に設けることができるが、図4に示すように、平面視においてコネクタ28を結ぶ直線上にデバイスDが位置するようにコネクタ28がグランドプレート22に設けられていることが好ましい。
【0029】
また、グランドパターン31bは、グランドプレート22及びヒータブロック40と面接触するように回路基板31の下面に設けられていることが好ましく、例えば、回路基板31の下面において信号パターン31aや電子部品31c等と干渉しない領域全体に設けられていることが好ましい。
【0030】
ソケット部32は、回路基板31の上面に固定された下ソケット33と、下ソケット33の上側に設けられた上ソケット34と、回路基板31の信号パターン31aとデバイスDの電極とを電気接続する端子35とを備える。
【0031】
下ソケット33は、その上面に下方へ凹んだ凹部33aが形成され、凹部33aの中央部に下ソケット貫通孔33bが形成されている。下ソケット貫通孔33bは、回路基板31の基板貫通孔31dと、一対のグランドプレート22の間に形成された隙間Sと、ベースプレート21のスリット23と、支持台12の開口部11と上下に連通している。
【0032】
凹部33aの底面部には、ソケット貫通孔33bの周囲に複数の端子35が設けられている。端子35の下端部は、下ソケット33を貫通して回路基板31の信号パターン31aに電気接続されている。
【0033】
下ソケット33の凹部33aには、デバイスDを収容可能な形状及び大きさの開口部37aが形成された中板37が設けられている。中板37は、凹部33aに設けられた端子35の上端部が開口部37aの周縁部から内方へ向かって突出するように端子35を上方から覆う。
【0034】
上ソケット34は、凹部33aの上面開口部を開閉するようにヒンジ36を介して下ソケット33に連結されている。上ソケット34は、下ソケット33の上面開口部を閉塞した状態において、下ソケット貫通孔33bと上下に連通する上ソケット貫通孔34aと、上ソケット貫通孔34aの周縁部から下方へ突出する枠状の突条34bが設けられている。
【0035】
このようなソケット部32は、中板37の開口部37aにデバイスDを収容すると、開口部37aの周縁部から突出する端子35の上端部が、デバイスDの下面に設けられた電極に接触する。これにより、デバイスDは、端子35を介して回路基板31の信号パターン31aに電気接続される。そして、下ソケット33の凹部33aの上面開口部を上ソケット34によって閉塞すると、上ソケット34に設けられた突条34bがデバイスDを下方へ押さえつけて端子35や後述するヒータブロック40の第2突出部45に密着させる。
【0036】
図2図3及び図5に示すように、ヒータブロック40は、銅やその合金などの導電性を有する金属材からなるブロック本体41と、ブロック本体41を加熱するヒータ42と、ブロック本体41の温度を検出する熱電対43とを備える。
【0037】
ブロック本体41は、ベースプレート21に設けられたスリット23や一対のグランドプレート22の間に形成された隙間Sに挿入可能なように第2方向Yに狭い細幅で第1方向Xに延びる第1突出部44と、第1突出部44から上方に突出する第2突出部45とを備える。ブロック本体41は、第2突出部45が第1突出部44より第1方向及びY第2方向Yに短く設けられており、第1突出部44と第2突出部45との間に段部46が形成されている。
【0038】
ブロック本体41は、第1突出部44が、ベースプレート21のスリット23及び一対のグランドプレート22の間に形成された隙間Sに下方から挿入され、第2突出部45が、基板貫通孔31d及び下ソケット貫通孔33bに下方から挿入されるように、耐熱性を有するスペーサを介して底板26上面に固定されている。
【0039】
このようにブロック本体41を底板26に固定すると、第1突出部44はベースプレート21やグランドプレート22の突起27と接触することなく所定間隔をあけて配置され、ブロック本体41の段部46は基板貫通孔31dの周縁部において回路基板31の下面に設けられたグランドパターン31bと面接触する。つまり、回路基板31のグランドパターン31bは、グランドプレート22とブロック本体41の段部46に跨がって設けられ、グランドプレート22とブロック本体41とを導通する導電部として機能する。
【0040】
また、第2突出部45は、回路基板31や下ソケット33と接触することなく所定間隔をあけて配置され、第2突出部45の先端が、下ソケット33の凹部33aの底面より上方へ突出し、中板37の開口部37aに収容されたデバイスDの下面に接触する。これにより、段部46に接触するグランドパターン31bと、第2突出部45の先端に接触するデバイスDとがブロック本体41を介して電気接続される。
【0041】
なお、図2に示すように、ブロック本体41の第1突出部44の上面には、第2突出部45の周囲にソケット基板30の回路基板31から下方へ突出する端子35との接触を回避する凹部48が設けられている。
【0042】
本実施形態の検査治具10では、図3に示すように上ソケット34を下ソケット33に対して開き、中板37の開口部37aにデバイスDを収容した後、上ソケット34を閉じて下ソケット33の上面開口部を閉塞することで、検査治具10にデバイスDがセットされる。このように検査治具10にセットされたデバイスDは、上ソケット34に設けられた突条34bに下方へ押さえられ、端子35及びヒータブロック40の第2突出部45の先端に密着する。
【0043】
そして、検査治具10は、不図示の検査装置の制御部よりヒータ42にヒータ電源が供給されるとともに、コネクタ28の中心導体28a及び外部導体28bへ検査信号及び基準電位がそれぞれ入力される。
【0044】
これにより、ヒータブロック40に設けられたヒータ42は、熱電対43によって検出される温度が所定温度になるようにブロック本体41を加熱することで、第2突出部45の先端からデバイスDを加熱しながら通電する。つまり、コネクタ28の中心導体28aに入力された検査信号は、回路基板31の信号パターン31a及びソケット部32の端子35を介してデバイスDの電極に入力され、外部導体28bに入力された基準電位は、外部ブロック20のグランドプレート22、回路基板31のグランドパターン31b及びヒータブロック40のブロック本体41を介してデバイスDの下面に入力されることで、デバイスDが所定条件によって通電される。
【0045】
以上のような構成の検査治具10では、デバイスDに接触して加熱するヒータブロック40が、ベースプレート21やグランドプレート22から所定間隔をあけて配置されているため、ヒータブロック40の熱がグランドプレート22に載置されたソケット基板30へ伝わりにくく、回路基板31に実装された電子部品31cの熱劣化を抑えることができる。
【0046】
また、本実施形態の検査治具10では、所定間隔をあけて配置されたグランドプレート22とヒータブロック40とを、回路基板31に設けたグランドパターン31bによって導通しているため、ヒータブロック40とグランドプレート22との間を配線接続することなく、簡便な構造によってヒータブロック40とグランドプレート22とを電気接続することができる。
【0047】
また、本実施形態の検査治具10では、グランドプレート22及びヒータブロック40が、回路基板31の下面に当接してこれを支持するため、回路基板31を容易かつ強固に固定することができる。
【0048】
しかも、グランドプレート22やヒータブロック40が支持する回路基板31の下面にグランドパターン31bを設けることで、グランドパターン31bとグランドプレート22やヒータブロック40との接触面積を確保しやすくなり、グランドパターン31bのインピーダンスを小さくすることができる。そのため、高周波の検査信号を入力する場合であってもインピーダンスの不整合など抑えて、デバイスDを安定した動作状態で適正に検査することができる。
【0049】
また、本実施形態の検査治具10では、第2突出部45が挿入される基板貫通孔31dの周縁部において回路基板31のグランドパターン31bがブロック本体41と接触しており、デバイスDの近い位置でブロック本体41が回路基板31のグランドパターン31bと電気接続されている。そのため、グランドパターン31bのインピーダンスを小さくすることができ、高周波の検査信号を入力する場合であってもインピーダンスの不整合など抑えて、デバイスDを安定した動作状態で適正に検査することができる。
【0050】
また、本実施形態では、一対のグランドプレート22の先端部に突起27を設け、グランドプレート22と第1突出部44との間隔を部分的に近接させているため、グランドパターン31bの低インピーダンス化を図りつつ、ヒータブロック40からの熱がグランドプレート22を介して回路基板31へ伝わるのを防ぐことができる。
【0051】
(第1実施形態の変更例)
次に、上記した第1実施形態の変更例について図6図7を参照して説明する。
【0052】
本変更例では、ソケット基板30の回路基板31に設けられたスルーホール31eに、ヒータブロック40の第1突出部44の上面から上方へ突出する凸状接点49が挿入されている。凸状接点49は下方からスルーホール31eに挿入されると、回路基板31に設けられたグランドパターン31bに電気接続される。
【0053】
このような変更例では、凸状接点49が回路基板31のスルーホール31eに挿入されるとヒータブロック40に対して回路基板31が位置決めされるため、ヒータブロック40に回路基板31を位置精度よく設けることができ、ソケット基板30に設けられた端子をデバイスDの電極に精度良く接触させつつ、デバイスDの所望位置に第2突出部45を接触させて加熱することができる。
【0054】
なお、本変更例において、凸状接点49は、円錐状や多角錐状のように先端(上端)に行くほど細くなる先細状であると、回路基板31の位置決め精度が高くなることから好ましい。
【0055】
また、本変更例において、図7に示すように、ヒータブロック40の第1突出部44と回路基板31との間にヒータブロック40から回路基板31への熱伝導を抑制する断熱シート39を設けてもよい。つまり、断熱シート39を貫通するスルーホール39aが回路基板31のスルーホール31eと連通するように第1突出部44と回路基板31との間に断熱シート39を設け、断熱シート39のスルーホール39aと回路基板31のスルーホール31eに凸状接点49を下方から挿入することで、回路基板31に設けられたグランドパターン31bに凸状接点49を電気接続する。このような場合、上記した変更例の作用効果に加え、ヒータブロック40から回路基板31への熱伝導が抑制され、回路基板31に実装された電子部品31cの劣化を抑えることができる。
【0056】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について図8図10を参照して説明する。
【0057】
本実施形態の検査治具110では、検査信号や基準電位をデバイスDへ伝送する回路基板131と、デバイスDに接触して加熱するブロック本体141の構成が、上記した第1実施形態の検査治具10と異なっている。なお、第1実施形態と同一又は対応する構成には同一符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0058】
図8に示すように、回路基板131は、信号パターン131a及びグランドパターン131bが形成されるとともに、コンデンサなどの電子部品131cが実装されたプリント基板である。回路基板131は、一対のグランドプレート22の間に形成された隙間Sを跨ぐように一対のグランドプレート22の上面に載置され、隙間Sの上方位置に基板貫通孔131dが設けられている。
【0059】
信号パターン131aは、グランドプレート22に設けられたコネクタ28の中心導体28aと電気接続され、外部からコネクタ28に入力された検査信号を検査対象のデバイスDへ伝送する。本実施形態では、信号パターン131aは、一端がグランドプレート22に設けられたコネクタ28の中心導体28aと電気接続され、他端が基板貫通孔131dの周縁部で終端している。基板貫通孔131dの周縁部に位置する信号パターン131aの他端部は、基板貫通孔131dに収容されたデバイスDの電極と接触して電気接続される端子として機能する。
【0060】
グランドパターン131bは、グランドプレート22とともにコネクタ28の外部導体28bと電気接続されている。また、グランドパターン131bは、グランドプレート22及びヒータブロック140と接触するように回路基板131の下面に設けられている。
【0061】
なお、グランドパターン131bは、グランドプレート22及びヒータブロック140と面接触するように回路基板131の下面に設けられていることが好ましく、例えば、回路基板131の下面において信号パターン131aや電子部品131c等と干渉しない領域全体に設けられていることが好ましい。
【0062】
図8図10に示すように、ヒータブロック140を構成するブロック本体141は、ベースプレート21に設けられたスリット23や一対のグランドプレート22の間に形成された隙間Sに挿入可能なように第2方向Yに狭い細幅で第1方向Xに延びる第1突出部144を備える。
【0063】
第1突出部144は、グランドプレート22と第2方向Yに対向する位置に、グランドプレート22から離れるように第2方向Yに凹んだくびれ部150が設けられている。第1突出部144において、くびれ部150によって第2方向Yに幅狭な部分は、回路基板131に設けられた基板貫通孔131dと上下方向に重なりデバイスDが載置される載置部151となる。
【0064】
第1突出部144は、くびれ部150と回路基板131の基板貫通孔131dとが上下に重なるように、ベースプレート21のスリット23及び一対のグランドプレート22の間に形成された隙間Sに下方から挿入され、第1突出部144の上面が回路基板131の下面に設けられたグランドパターン131bと面接触する。
【0065】
この状態では、第1突出部144がベースプレート21やグランドプレート22と接触することなく所定間隔をあけて配置されている。また、載置部151は回路基板131の基板貫通孔131dを下方から覆い、載置部151から第1方向Xに離れた位置において、つまり、基板貫通孔131dの周縁部において、第1突出部144の上面が回路基板131の下面に設けられたグランドパターン131bと面接触する。
【0066】
そして、ブロック本体141は、このような状態で耐熱性を有するスペーサを介して底板26上面に固定されている。
【0067】
本実施形態では、載置部151から第1方向Xに離れた位置において、ネジなどの固定具152によってブロック本体141の第1突出部144に回路基板131が固定されている。この固定具152は、回路基板131を第1突出部144に固定するとともに、載置部151から第1方向Xに離れた位置において回路基板131の下面に設けられたグランドパターン131bを第1突出部144の上面に押し付ける押圧部材として機能する。
【0068】
このような本実施形態の検査治具110では、図9及び図10に示すように、回路基板131の基板貫通孔131dにデバイスDが収容されると、デバイスDの下面がヒータブロック140の第1突出部144に設けられた載置部151と面接触する。また、デバイスDの電極は、回路基板131の基板貫通孔131dの周縁部に設けられた信号パターン131aの端部に接触する。
【0069】
そして、検査治具110は、不図示の検査装置の制御部よりヒータ42にヒータ電源が供給されるとともに、コネクタ28の中心導体28a及び外部導体28bへ検査信号及び基準電位がそれぞれ入力される。
【0070】
これにより、ヒータブロック140に設けられたヒータ42は、熱電対43によって検出される温度が所定温度になるようにブロック本体141を加熱することで、第1突出部144の載置部151からデバイスDを加熱しながら通電する。つまり、コネクタ28の中心導体28aに入力された検査信号は、回路基板131の信号パターン131aを介してデバイスDの電極に入力され、外部導体28bに入力された基準電位は、外部ブロック20のグランドプレート22、回路基板131のグランドパターン131b及びヒータブロック140のブロック本体141を介してデバイスDの下面に入力されることで、デバイスDが所定条件によって通電される。
【0071】
以上のような構成の検査治具110でも、上記した第1実施形態の検査治具10と同様、ヒータブロック140の熱がグランドプレート22に載置された回路基板131へ伝わりにくく、回路基板131に実装された電子部品131cの熱劣化を抑えることができる。
【0072】
また、ヒータブロック140とグランドプレート22との間を配線接続することなく、接触面積を確保しながらヒータブロック140とグランドプレート22とを電気接続することができ、簡便な構造によってグランドパターン131bのインピーダンスを小さく保ちながらデバイスDに基準電位を入力することができる。
【0073】
また、本実施形態の検査治具110では、回路基板131の下面に設けられたグランドパターン131bが基板貫通孔131dの第1方向X側においてブロック本体141と接触しており、デバイスDに近い位置でブロック本体141が回路基板131のグランドパターン131bと電気接続されている。そのため、グランドパターン131bのインピーダンスを小さくすることができ、高周波の検査信号を入力する場合であってもノイズ発生を抑えてデバイスDを検査することができる。しかも、本実施形態では、固定具152が回路基板131の下面に設けられたグランドパターン131bをブロック本体141に押し付けているため、接触抵抗を低減することができる。
【0074】
また、本実施形態では、ブロック本体141においてデバイスDが載置される載置部151とグランドプレート22との間にくびれ部150が設けられているため、グランドプレート22とブロック本体141との間隔が広がり、ヒータブロック140の熱がグランドプレート22に載置された回路基板131へ伝わりにくくなり、回路基板131に設けられた電子部品131cの劣化を抑えることができる。
【0075】
(その他の実施形態)
以上、本発明の実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することを意図していない。これらの実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の趣旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0076】
10…検査治具、11…開口部、12…支持台、20…外部ブロック、21…ベースプレート、22…グランドベース、23…スリット、24…取付凹部、25…柱状スペーサ、26…底板、27…突起、28…コネクタ、28a…中心導体、28b…外部導体、30…ソケット基板、31…回路基板、31a…信号パターン、31b…グランドパターン、31c…電子部品、31d…基板貫通孔、31e…スルーホール、32…ソケット部、33…下ソケット、33a…凹部、33b…下ソケット貫通孔、34…上ソケット、34a…上ソケット貫通孔、34b…突条、35…端子、36…ヒンジ、37…中板、37a…開口部、40…ヒータブロック、41…ブロック本体、42…ヒータ、43…熱電対、44…第1突出部、45…第2突出部、46…段部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10