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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-23
(45)【発行日】2024-01-31
(54)【発明の名称】送風ユニット
(51)【国際特許分類】
   F24F 1/04 20110101AFI20240124BHJP
   F24F 1/0097 20190101ALI20240124BHJP
   F24F 1/0375 20190101ALI20240124BHJP
   A41D 13/005 20060101ALI20240124BHJP
【FI】
F24F1/04
F24F1/0097
F24F1/0375
A41D13/005
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021209097
(22)【出願日】2021-12-23
(65)【公開番号】P2023093944
(43)【公開日】2023-07-05
【審査請求日】2022-10-18
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000280
【氏名又は名称】弁理士法人サンクレスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】福嶋 健太
(72)【発明者】
【氏名】原 宗一郎
(72)【発明者】
【氏名】中川 諒一
(72)【発明者】
【氏名】魏 亜光
【審査官】奈須 リサ
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-070215(JP,A)
【文献】特表2005-537458(JP,A)
【文献】特開2012-237531(JP,A)
【文献】実開昭63-083559(JP,U)
【文献】登録実用新案第3076808(JP,U)
【文献】特開2015-102289(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 1/00-13/32
A41D 13/005
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者(M)の身体に装着して用いる送風ユニットであって、
ファン(22)と、
前記ファン(22)から送られた空気の温度を調節する温度調節器(24)と、
前記温度調節器(24)に電力を供給するバッテリ(25)と、
前記ファン(22)、前記温度調節器(24)、及び前記バッテリ(25)を収容し、温度調節された空気を使用者へ吹き出すための給気口(27)と温度調節に伴う排気を外部へ排出するための排気口(28)とが形成されたケーシング(21)と、を備え、
前記ケーシング(21)が、上下方向よりも水平方向に長手に形成され、
前記ファン(22)と前記温度調節器(24)と前記バッテリ(25)とが前記ケーシング(21)の長手方向に並べて配置され、
前記ファン(22)及び前記バッテリ(25)が前記ケーシング(21)の長手方向の両側に配置され、前記温度調節器(24)が前記ケーシング(21)の長手方向の中間に配置され、
前記給気口(27)が上方に向けて形成され、前記排気口(28)が下方に向けて形成されている、送風ユニット。
【請求項2】
使用者(M)の身体に装着されるとともに使用者(M)の臀部(M1)の近傍で前記ケーシング(21)を保持する保持部材(12)を備える、請求項に記載の送風ユニット。
【請求項3】
前記保持部材(12)が、使用者(M)の腰に装着されるベルト(42)に取り付けられかつ前記ケーシング(21)よりも上方に配置された取付部(41b)を含む、請求項に記載の送風ユニット。
【請求項4】
前記ファン(22)と前記温度調節器(24)とが、前記ケーシング(21)の長手方向に並べて配置されている、請求項1~のいずれか1項に記載の送風ユニット。
【請求項5】
前記ファン(22)から前記温度調節器(24)へ向けて前記ケーシング(21)の長手方向に空気を流し、かつ前記給気口(27)と前記排気口(28)とに向けて空気の流れを分岐させる流路を有する導管部(23)が、前記ケーシング(21)内に設けられている、請求項に記載の送風ユニット。
【請求項6】
前記導管部(23)において、前記給気口(27)への空気の流路と前記排気口(28)への空気の流路とが前記温度調節器(24)によって分岐されている、請求項に記載の送風ユニット。
【請求項7】
前記温度調節器(24)を制御する制御部(35)を備え、
前記制御部(35)が、前記温度調節器(24)へ流す電流の方向を切換可能である、請求項1~のいずれか1項に記載の送風ユニット。
【請求項8】
前記ケーシング(21)が、使用者の身体に沿って湾曲している、請求項1~のいずれか1項に記載の送風ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、送風ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、使用者の上体に着用する上着と、使用者に冷風又は温風を送出する送出装置とを備えた機能服が開示されている。送出装置は、送風機と、送風機から送られた空気の温度を調節するペルチェ素子と、ペルチェ素子によって温度調節された空気を上着内に導入するマニホールドとを有している。マニホールドは、上着に設けられた流路に接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-70215号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1記載の送風ユニットでは、マニホールドと、ペルチェ素子と、送風機とがこの順で上から下に配置され、マニホールドの上端が上着の背面に形成された流路の吸入口に接続されている。そのため、送出装置の全体が上着の背面から下方へ長くぶら下がった状態となり、使用者の動作の邪魔になることがある。この種の機能服は、電気製品や食品などの製造工場において、快適な環境で作業するために作業者が着用することが想定され、送出装置が動作の邪魔になることによって作業効率が低下する虞がある。
【0005】
本開示は、装着した使用者の動作の邪魔になりにくい送風ユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本開示は、使用者の身体に装着して用いる送風ユニットであって、
ファンと、
前記ファンから送られた空気の温度を調節する温度調節器と、
前記ファン及び前記温度調節器を収容し、温度調節された空気を使用者へ吹き出すための給気口と温度調節に伴う排気を外部へ排出するための排気口とが形成されたケーシングと、を備え、
前記ケーシングが、上下方向よりも水平方向に長手に形成されている。
【0007】
上記の構成によれば、送風ユニットのケーシングを上下方向に関してコンパクトに構成することができる。そのため、送風ユニットを使用者の身体に装着したときに、送風ユニットが使用者の動作の邪魔になり難くなる。
【0008】
(2)好ましくは、前記給気口が上方に向けて形成され、前記排気口が上方以外の方向に向けて形成されている。
この構成によれば、送風ユニットのケーシングを使用者の腰付近に位置づけたときにケーシングの給気口から吹き出した空気を上着の裾から内部へ導入しやすくすることができる。また、排気口を上方以外の方向に向けることで、排気が使用者の上体に当たるのを抑制することができる。
【0009】
(3)好ましくは、送風ユニットが、使用者の身体に装着されるとともに使用者の臀部の近傍で前記ケーシングを保持する保持部材を備える。
この構成によれば、保持部材を使用者の身体に装着することでケーシングが臀部の近傍で保持されるので、ケーシングの給気口から吹き出した空気を、より上着の裾から内部へ導入しやすくなる。
【0010】
(4)好ましくは、前記保持部材は、使用者の腰に装着されるベルトに取り付けられ、かつ前記ケーシングよりも上方に配置された取付部を含む。
このような構成によって、送風ユニットのケーシングを臀部の近傍に配置し易くすることができる。
【0011】
(5)好ましくは、前記ファンと前記温度調節器とが、前記ケーシングの長手方向に並べて配置されている。
この構成によれば、ケーシングの形状に合わせてバランスよくファンと温度調節器とを配置することができる。
【0012】
(6)好ましくは、前記ファンから前記温度調節器へ向けて前記ケーシングの長手方向に空気を流し、かつ前記給気口と前記排気口とに向けて空気の流れを分岐させる流路を有する導管部が前記ケーシング内に設けられている。
この構成によれば、ケーシング内で排気口と給気口とに空気を分岐させて流すことができる。
【0013】
(7)好ましくは、前記導管部において、前記給気口への空気の流路と前記排気口への空気の流路とが前記温度調節器によって分岐されている。
この構成によれば、温度調節器を利用してケーシング内で空気を分岐させることができる。
【0014】
(8)好ましくは、送風ユニットが、前記ケーシングに収容され、前記温度調節器に電力を供給するバッテリをさらに備えており、
前記バッテリと、前記ファン又は前記温度調節器とが前記ケーシングの長手方向に並べて配置されている。
この構成によれば、ケーシングの形状に合わせてバランスよくバッテリとファン又は温度調節器とを配置することができる。
【0015】
(9)好ましくは、前記バッテリと前記ファンとが、前記温度調節器を間に挟んで前記ケーシングの長手方向の両側に配置されている。
この構成によれば、ファンとバッテリとをケーシングの長手方向の両側にバランスよく配置することができる。
【0016】
(10)好ましくは、前記温度調節器を制御する制御部を備え、
前記制御部が、前記温度調節器へ流す電流の方向を切換可能である。
例えばペルチェ素子のように、電流の方向を切り換えることで空気の冷却と加熱とを変更することができる温度調節器の場合、上記の構成を採用することで使用者に冷風と温風とを切り換えて供給することができる。
【0017】
(11)好ましくは、前記ケーシングが、使用者の身体に沿って湾曲している。
この構成によれば、使用者の身体にケーシングをフィットさせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本開示の一実施形態に係る送風ユニットを装着した使用者を横から見た図である。
図2】送風ユニットを装着した使用者を後ろから見た図である。
図3】送風ユニットの斜視図である。
図4】送風ユニットの内部を示す斜視図である。
図5】送風ユニットの内部を示す背面図である。
図6図5のVI-VI線における断面図である。
図7】使用者に装着した送風ユニットの、図5のVII-VII線における断面図である。
図8】送風ユニットを装着し椅子に座った使用者を横から見た図である。
図9】送風ユニットの制御ブロック図である。
図10】変形例に係る送風ユニットの、図7に相当する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付図面を参照しつつ、送風ユニットの実施形態を詳細に説明する。
図1は、本開示の一実施形態に係る送風ユニットを装着した使用者を横から見た図である。図2は、送風ユニットを装着した使用者を後ろから見た図である。
本実施形態の送風ユニット10は、使用者Mに装着して用いる携帯型であり、装着した使用者Mに温度調節された空気(冷風又は温風)を当てることによって快適性を向上させる。
【0020】
送風ユニット10は、使用者Mの身体の背面に装着される。具体的に、送風ユニット10は、腰よりも低い位置、例えば臀部M1付近に位置づけられる。送風ユニット10は、使用者Mが着用している上着100の裾(下端)から上着100の内側に温度調節された空気を吹き込む。
【0021】
以下においては、第1方向Xと、第1方向Xに直交する第2方向Yと、第1、第2方向に直交する第3方向Zを基準として送風ユニット10の構造を説明する。図1及び図2では、送風ユニット10を装着した使用者Mが、第2方向Yの一方側を正面として起立し、身体の左右方向を第1方向Xに、上下方向を第3方向Zに向けているものとする。そのため、以下の説明では、第1方向Xを左右方向に、第2方向Yを前後方向に、第3方向Zを上下方向に置き換えて記載することがある。
【0022】
図3は、送風ユニットの斜視図である。図4は、送風ユニットの内部を示す斜視図である。図5は、送風ユニットの内部を示す背面図である。
送風ユニット10は、ユニット本体11と、保持部材12と、給気ノズル13と、を備えている。ユニット本体11は、ケーシング21と、ケーシング21内に収容されたファン22、導管部23、温度調節器24、バッテリ25等を備える。ケーシング21は、略直方体形状に形成されている。ケーシング21は、底板21aと、天板21bと、4つの側板21c~21fとを有する。底板21a及び天板21bは、略長方形状に形成され、互いに上下に対向して配置されている。底板21a及び天板21bの長辺は、左右方向Xに略沿って配置され、短辺は前後方向Yに略沿って配置されている。
【0023】
ケーシング21の4つの側板21c~21fは、前側(使用者Mの身体に近い側)に配置された第1側板21cと、第1側板21cに対向し、後側(使用者Mの身体から遠い側)に配置された第2側板21dとを含む。第1側板21cと第2側板21dとは、いずれも略長方形状に形成されている。第1側板21c及び第2側板21dの長辺は左右方向Xに略沿って配置され、短辺は上下方向Zに略沿って配置されている。第1側板21c及び第2側板21dの長辺は、底板21a及び天板21bの長辺に接続されている。
【0024】
ケーシング21の4つの側板は、左端部に配置された第3側板21eと、右端部に配置された第4側板21fとを含む。第3側板21e及び第4側板21fは、いずれも略長方形状に形成されている。第3側板21e及び第4側板21fの長辺は上下方向Zに略沿って配置され、短辺は前後方向Yに略沿って配置されている。第3側板21e及び第4側板21fの長辺は、第1側板21c及び第2側板21dの短辺に接続され、第3側板21e及び第4側板21fの短辺は、底板21a及び天板21bの短辺に接続されている。
【0025】
以上より、ケーシング21は、上下方向Zの長さよりも大きい左右方向(水平方向)Xの長さを有している。言い換えると、ケーシング21は、上下方向Zよりも左右方向(水平方向)Xに長手に形成されている。
【0026】
図3に示すように、ケーシング21の天板21bには、給気口27が形成されている。ケーシング21の底板21aには、排気口28が形成されている。ケーシング21の第2側板21dには、空気の吸込口29が形成されている。吸込口29は、左右方向Xの一方側(左側)に偏って配置されている。
【0027】
図4及び図5に示すように、ケーシング21内には、ファン22と、温度調節器24と、バッテリ25とが左右方向Xに並べて配置されている。具体的に、ケーシング21内の左端にはファン22が配置され、右端にはバッテリ25が配置され、左右方向Xの中央には温度調節器24が配置されている。
【0028】
本実施形態のファン22は、シロッコファン等の遠心ファンである。ファン22は、ファンケース22aと、ファンケース22aに収容された羽根車22bとを有する。ファン22は、ケーシング21の第2側板21dに形成された吸込口29(図3参照)から空気を吸い込む。ファン22は、吸込んだ空気をその右側に配置された導管部23に送る。
【0029】
図6は、図5のVI-VI線における断面図である。図7は、使用者に装着した送風ユニットの、図5のVII-VII線における断面図である。
図4図6に示すように、導管部23は、第1通路部材31と、第2通路部材32と、第3通路部材33とを有する。第1通路部材31は、ファン22に隣接して配置されている。第1通路部材31は、略左右方向Xに沿って直線状に延びる筒形状に形成されている。第1通路部材31の内部は、空気の流路を形成する。第1通路部材31の一端(左端)は、ファン22の吐出口22cに接続されている。第1通路部材31の内部は前後に区画されている。前側(使用者Mに近い側)の流路は使用者Mへの給気を流すための給気用流路31aである。後側(使用者Mから遠い側)の流路は、外部への排気を流すための排気用流路31bである。
【0030】
第2通路部材32は、筒形状に形成されている。第2通路部材32は、左右方向Xから上向きに約90度曲げられている。第2通路部材32の一端は、第1通路部材31の給気用流路31aに接続されている。したがって、第2通路部材32の内部も、給気用流路32aを構成している。第2通路部材32の他端は、ケーシング21の上面の給気口27に接続されている。したがって、ファン22から吹き出される空気は、第1通路部材31の給気用流路31aと第2通路部材32内の給気用流路32aを通って給気口27から吹き出される。
【0031】
第3通路部材33は、筒形状に形成されている。第3通路部材33は、左右方向Xから下向きに約90度曲げられている。第3通路部材33の一端は、第1通路部材31の排気用流路31bに接続されている。したがって、第3通路部材33の内部も排気用流路33bを構成している。第3通路部材33の他端は、ケーシング21の下面の排気口28に接続されている。したがって、ファン22から吹き出される空気は、第1通路部材31の排気用流路31bと第3通路部材33の排気用流路33bとを通って排気口28から吹き出される。
【0032】
温度調節器24は、導管部23を流れる空気の温度を調節する。本実施形態の温度調節器24には、ペルチェ素子が用いられている。ペルチェ素子は、板状に形成され、一方の板面が吸熱面とされ、他方の板面が放熱面とされる。温度調節器24は、第1通路部材31内に配置され、給気用流路31aと排気用流路31bとを区画する仕切板として機能している。温度調節器24は、放熱面及び吸熱面の一方が給気用流路31aに面し、他方が排気用流路31bに面している。吸熱面が給気用流路31aに面している場合、給気用流路31aを流れる空気は吸熱面で熱を奪われて冷却される。放熱面が給気用流路31aに面している場合、給気用流路31aを流れる空気は放熱面から放出された熱で温められる。温度調節器24は、バッテリ25から電力が供給される。
【0033】
図9は、送風ユニットの制御ブロック図である。
図6及び図9に示すように、ケーシング21内には、温度調節器24及びファン22を制御する制御基板(制御部)35が設けられる。制御基板35は、バッテリ25からファン22及び温度調節器24への電力供給をオンオフするための電源スイッチ36、温度調節器24へ流す電流の方向を切り換える切換スイッチ37aを含む切換回路37等を有している。各スイッチ36,37aは使用者Mによる操作で切り換えることができる。温度調節器24であるペルチェ素子は、電流が流れる方向を順方向と逆方向とのいずれかに切り換えることで、放熱面と吸熱面とを入れ換えることができる。そのため、送風ユニット10から冷風と温風とを切り換えて吹き出すことができる。
【0034】
図3に示すように、保持部材12は、ユニット本体11のケーシング21の第1側板21cに設けられている。保持部材12は、ユニット本体11に固定される取付具41と、取付具41に取り付けられるベルト42とを有する。取付具41は、合成樹脂材、金属等により形成されている。取付具41は、正面視で略T字状に形成され、下部側の固定部41aがケーシング21の第1側板21c(前面)に固定され、上部側の取付部41bにベルト42が取り付けられる。
【0035】
ベルト42は、布地、合成樹脂、ゴム等によって帯状に形成され、両端部が取付具41に取り付けられている。ベルト42には、図示しないバックル等が設けられ、使用者Mへの着脱を容易に行えるようになっている。ベルト42は、使用者Mが着用しているズボンに取り付けられたベルトが代用されてもよい。この場合、取付具41にはベルトに引っ掛けるフックが設けられる。
【0036】
図6に示すように、送風ユニット10のケーシング21は、厳密な直方体形状ではなく、上面視において使用者Mの身体(臀部M1)の形状に沿うように若干湾曲している。そのため、ケーシング21を使用者Mの身体にフィットさせることができる。ケーシング21は、少なくとも使用者Mの身体に近い第1側板21cが、身体の形状に沿うように湾曲していればよい。
【0037】
図3図5、及び図7に示すように、給気ノズル13は、筒形状に形成されている。給気ノズル13は、ケーシング21の上面に形成された給気口27に取り付けられている。給気ノズル13は、ケーシング21から上方へ向けて延びている。給気ノズル13は、使用者Mが着用している上着100の裾から内部に挿入される。
【0038】
給気ノズル13は、前後方向Yの長さよりも左右方向Xの長さが大きい扁平形状に形成されている。これにより、使用者Mの上着100の裾から内側に給気ノズル13を挿入しやすくすることができる。給気ノズル13の左右方向Xの長さは、下部側よりも上部側の方がやや大きい。給気ノズル13は、ケーシング21の給気口27に着脱可能に構成されていてもよい。給気ノズル13は、形状が異なる他の給気ノズルに交換可能であってもよい。
【0039】
図7に示すように、保持部材12の取付具41は、上下方向の途中で略Z字状に折り曲げられており、ケーシング21に固定される固定部41aよりもベルト42が取り付けられる取付部41bの方がやや前側(使用者Mの身体に近い側)に位置している。これにより、使用者Mの腰にベルト42を装着し、臀部M1の近傍にケーシング21を位置づけたとき、ケーシング21が臀部M1に沿って前後方向Yに傾きにくくなっている。より詳しく説明すると、変形例に係る送風ユニットを示す図10のように、取付具41が直線状に形成されていると、ケーシング21が臀部M1に沿って前傾姿勢となる。そのため、給気ノズル13の上端が使用者Mの背中に向けられ、背中に風を直接的に吹き付ける可能性が高くなり、身体を冷やしすぎたり温めすぎたりする虞がある。本実施形態の保持部材12の取付具41は、上下方向の途中で折り曲げられているので、このような不都合を解消することができる。
【0040】
図7に示すように、給気ノズル13は、上下方向Zの途中で略Z字状に曲げられている。これにより、給気ノズル13は、ケーシング21に取り付けられる下部よりも上着100内に挿入される上部の方がやや前側に位置している。上述のように取付具41は、上部(取付部)41bよりも下部(固定部)41aの方が身体から離れるため、仮に給気ノズル13が上下方向に直線状に形成されていたとすると、給気ノズル13を上着100の内側に挿入し難くなる。本実施形態では、給気ノズル13の上部が下部よりも前側に位置していることで、上着100の内側に挿入しやすくなっている。
【0041】
図8は、送風ユニットを装着し椅子に座った使用者を横から見た図である。
送風ユニット10のユニット本体11は、使用者Mの臀部M1の近傍に配置されているので、使用者Mが椅子101に座ったとき、送風ユニット10は椅子101の座面102上に載置されるか又は座面102よりも若干浮き上がった状態となる。そのため、使用者は、送風ユニット10がほとんど邪魔になることなく椅子101に座ることができる。
【0042】
[他の実施形態]
上記実施形態では、左右方向Xにおけるケーシング21の一端側(左側)にファン22が配置され、他端側(右側)にバッテリ25が配置されていたが、これらを逆に配置してもよい。ファン22、温度調節器24、及びバッテリ25のケーシング21の長手方向における配置は適宜変更することができる。ファン22、温度調節器24、及びバッテリ25のうち、2つがケーシング21の長手方向に並べられ、他の1つが、その上下方向Zの一方側又は前後方向の一方側に配置されていてもよい。
【0043】
送風ユニット10のユニット本体11は、使用者Mの身体の正面に位置づけられてもよいし、側面に位置づけられてもよい。温度調節器24は、空気の冷却及び加熱の一方のみを行うものであってもよい。導管部23において、第1通路部材31は前後に流路が区画されていたが、上下に流路が区画されていてもよい。この場合、給気口27と排気口28との関係から、上側に給気用流路31a、下側に排気用流路31bが形成されることが好ましい。
【0044】
[実施形態の作用効果]
上記実施形態の送風ユニット10は、ファン22と、ファン22から送られた空気の温度を調節する温度調節器24と、ファン22及び温度調節器24を収容し、温度調節された空気を使用者Mへ吹き出すための給気口27と温度調節に伴う排気を外部へ排出するための排気口28とが形成されたケーシング21と、を備え、ケーシング21が、上下方向Zよりも左右方向(水平方向)Xに長手に形成されている。これにより、送風ユニット10のケーシング21を上下方向Zに関してコンパクトに構成することができる。そのため、送風ユニット10を使用者Mの身体に装着したときに、送風ユニット10が使用者Mの動作の邪魔になりにくくなる。
【0045】
上記実施形態では、給気口27が上方に向けて形成され、排気口28が上方以外の方向に向けて形成されている。そのため、送風ユニット10のケーシング21を使用者Mの腰付近に位置づけたときに、ケーシング21の給気口27から吹き出した空気を上着100の裾から内部に導入しやすくすることができる。また、排気口28を上方以外の方向に向けることで、排気が使用者Mの上体に当たるのを抑制することができる。上記実施形態では、排気口28が下方に向けられているので、排気が吸込口29から吸い込まれるのを抑制することができる。なお、排気口28は、下方に代えて又は加えて、後方へ向けて形成されていてもよい。
【0046】
上記実施形態の送風ユニット10は、使用者Mの身体に装着されるとともに使用者Mの臀部M1の近傍でケーシング21を保持する保持部材12を備える。これにより、保持部材12を使用者Mの身体に装着することでケーシング21が臀部M1の近傍で保持されるので、ケーシング21の給気口27から吹き出した空気を上着100の裾から内部により導入しやすくなる。
【0047】
上記実施形態では、保持部材12が、使用者Mの腰に装着されるベルト42に取り付けられ、かつケーシング21よりも上方に配置された取付部41bを含む。これにより、送風ユニット10のケーシング21を臀部M1の近傍に配置し易くすることができる。
【0048】
上記実施形態では、ファン22と温度調節器24とが、ケーシング21の長手方向に並べて配置されている。これにより、ケーシング21の形状に合わせてバランスよくファン22と温度調節器24とを配置することができる。
【0049】
上記実施形態では、ファン22から温度調節器24へ向けてケーシング21の長手方向に空気を流し、かつ給気口27と排気口28とに向けて空気の流れを分岐させる流路を有する導管部23がケーシング21内に設けられている。これにより、ケーシング21内で排気口28と給気口27とに空気を分岐させ、給気と排気とを適切に行うことができる。
【0050】
上記実施形態では、導管部23において、給気口27への空気の流路と排気口28への空気の流路とが温度調節器24によって分岐されている。これにより、温度調節器24を利用してケーシング21内で空気を分岐させることができる。
【0051】
上記実施形態の送風ユニット10は、ケーシング21に収容され、温度調節器24に電力を供給するバッテリ25をさらに備えており、バッテリ25と、ファン22又は温度調節器24とがケーシング21の長手方向に並べて配置されている。これにより、ケーシング21の形状に合わせてバランスよくバッテリ25とファン22又は温度調節器24とを配置することができる。したがって、使用者Mの身体に装着したときに送風ユニット10を安定させることができる。
【0052】
上記実施形態では、バッテリ25とファン22とが、温度調節器24を間に挟んでケーシング21の長手方向の両側に配置されている。これにより、ファン22とバッテリ25とをケーシング21の長手方向の両側にバランスよく配置することができる。したがって、使用者Mの身体に装着したときに送風ユニット10を安定させることができる。
【0053】
上記実施形態の送風ユニット10は、温度調節器24を制御する制御基板(制御部)35を備え、制御基板35が、温度調節器24へ流す電流の方向を切換可能である。例えばペルチェ素子のように、電流の方向を切り換えることで空気の冷却と加熱とを変更することができる温度調節器24の場合、上記の構成を採用することで使用者Mに冷風と温風とを切り換えて供給することができる。
【0054】
上記実施形態では、ケーシング21が、使用者Mの身体に沿って湾曲している。これにより、使用者Mの身体にケーシング21をフィットさせることができる。
【0055】
なお、本開示は、以上の例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0056】
10 :送風ユニット
12 :保持部材
21 :ケーシング
22 :ファン
23 :導管部
24 :温度調節器
25 :バッテリ
27 :給気口
28 :排気口
35 :制御基板(制御部)
41b :取付部
42 :ベルト
M :使用者
M1 :臀部
図1
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