(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-23
(45)【発行日】2024-01-31
(54)【発明の名称】空調機制御システム、情報処理装置及び空調機制御方法
(51)【国際特許分類】
F24F 11/36 20180101AFI20240124BHJP
F24F 11/58 20180101ALI20240124BHJP
F25B 49/02 20060101ALI20240124BHJP
【FI】
F24F11/36
F24F11/58
F25B49/02 520B
(21)【出願番号】P 2022158318
(22)【出願日】2022-09-30
【審査請求日】2023-06-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】北出 幸生
(72)【発明者】
【氏名】八下田 政則
(72)【発明者】
【氏名】仙波 和人
【審査官】奈須 リサ
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-023885(JP,A)
【文献】特開2017-015324(JP,A)
【文献】国際公開第2016/158847(WO,A1)
【文献】特開2015-206509(JP,A)
【文献】特開2020-094763(JP,A)
【文献】特開2009-079842(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 11/36
F24F 11/58
F25B 49/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空調機を制御する制御部を有する空調機制御システムであって、
前記制御部は、
前記空調機が運転中の冷媒の状態又は前記空調機が運転停止中の冷媒圧力から前記空調機の冷媒漏洩検知を第1所定期間ごとに行う第1冷媒検知制御を実行し、
前記空調機が最後に運転されてから第2所定期間が経過した場合に、前記空調機の冷媒漏洩検知用の運転を行いつつ前記空調機の冷媒漏洩検知を行う第2冷媒検知制御を実行する
空調機制御システム。
【請求項2】
前記制御部は、
前記第1所定期間の間、前記空調機が運転中の冷媒の状態から前記空調機の冷媒漏洩検知を行わなかった場合に、前記空調機が運転停止中の冷媒圧力から前記空調機の冷媒漏洩検知を行う
請求項1記載の空調機制御システム。
【請求項3】
前記制御部は、前記第2冷媒検知制御の結果が冷媒漏洩有りであった場合、通知先に冷媒の漏洩有りの通知または前記空調機の点検の提案を行うための制御を行う
請求項1又は2記載の空調機制御システム。
【請求項4】
前記第2冷媒検知制御は、空調機の容量の7割以上の負荷をかける運転を行いつつ前記空調機の冷媒の状態から前記空調機の冷媒漏洩検知を行う制御である
請求項1又は2記載の空調機制御システム。
【請求項5】
前記第2冷媒検知制御は、前記負荷をかける運転を第3所定時間以上行った後の前記空調機の冷媒の状態から、前記空調機の冷媒漏洩検知を行う制御である
請求項4記載の空調機制御システム。
【請求項6】
前記第2所定期間は、3ヶ月未満である
請求項1又は2記載の空調機制御システム。
【請求項7】
前記制御部は、前記第
1冷媒検知制御を実行したことを示す情報を記録する
請求項1又は2記載の空調機制御システム。
【請求項8】
空調機を制御する制御部を有する情報処理装置であって、
前記制御部は、
前記空調機が運転中の冷媒の状態又は前記空調機が運転停止中の冷媒圧力から前記空調機の冷媒漏洩検知を第1所定期間ごとに行う第1冷媒検知制御を実行し、
前記空調機が最後に運転されてから第2所定期間が経過した場合に、前記空調機の冷媒漏洩検知用の運転を行いつつ前記空調機の冷媒漏洩検知を行う第2冷媒検知制御を実行する
情報処理装置。
【請求項9】
空調機を制御する制御部を有する空調機制御システムの前記制御部が実行する空調機制御方法であって、
前記空調機が運転中の冷媒の状態又は前記空調機が運転停止中の冷媒圧力から前記空調機の冷媒漏洩検知を第1所定期間ごとに行う第1冷媒検知制御を実行し、
前記空調機が最後に運転されてから第2所定期間が経過した場合に、前記空調機の冷媒漏洩検知用の運転を行いつつ前記空調機の冷媒漏洩検知を行う第2冷媒検知制御を実行する
空調機制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、空調機制御システム、情報処理装置及び空調機制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
冷房運転や暖房運転が一定期間経過した場合に、自動又は手動で冷凍サイクル装置の運転モードを通常運転モードから冷媒量判定運転モードに切り替えて、冷媒回路から冷媒が外部に漏洩していないかどうかを遠隔監視できる冷媒量判定システムは、従来から知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1は、休日や深夜等で空調を行う必要がない時間帯等に、冷凍サイクル装置の運転モードを通常運転モードから冷媒量判定運転モードに切り替えて冷媒漏洩を検知するものである。しかしながら、特許文献1には、冷媒漏洩の検知を簡易的に行うことについての記載がない。
【0005】
本開示は、簡易性を有した冷媒漏洩検知を行う空調機制御システム、情報処理装置及び空調機制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第1の態様は、空調機を制御する制御部を有する空調機制御システムであって、前記制御部は、前記空調機が運転中の冷媒の状態又は前記空調機が運転停止中の冷媒圧力から前記空調機の冷媒漏洩検知を第1所定期間ごとに行う第1冷媒検知制御を実行し、前記空調機が最後に運転されてから第2所定期間が経過した場合に、前記空調機の冷媒漏洩検知用の運転を行いつつ前記空調機の冷媒漏洩検知を行う第2冷媒検知制御を実行する。
【0007】
本開示の第1の態様によれば、簡易性を有した冷媒漏洩検知を行う空調機制御システムを提供することができる。
【0008】
本開示の第2の態様は、第1の態様の空調機制御システムであって、前記制御部は、前記第1所定期間の間、前記空調機が運転中の冷媒の状態から前記空調機の冷媒漏洩検知を行わなかった場合に、前記空調機が運転停止中の冷媒圧力から前記空調機の冷媒漏洩検知を行う。
【0009】
本開示の第3の態様は、第1の態様又は第2の態様の空調機制御システムであって、前記制御部は、前記第2冷媒検知制御の結果が冷媒漏洩有りであった場合、通知先に冷媒の漏洩有りの通知または前記空調機の点検の提案を行うための制御を行う。
【0010】
本開示の第4の態様は、第1の態様から第3の態様の何れか1つに記載の空調機制御システムであって、前記第2冷媒検知制御は、空調機の容量の7割以上の負荷をかける運転を行いつつ前記空調機の冷媒の状態から前記空調機の冷媒漏洩検知を行う制御である。
【0011】
本開示の第5の態様は、第4の態様の空調機制御システムであって、前記第2冷媒検知制御は、前記負荷をかける運転を第3所定時間以上行った後の前記空調機の冷媒の状態から、前記空調機の冷媒漏洩検知を行う制御である。
【0012】
本開示の第6の態様は、第1の態様から第5の態様の何れか1つに記載の空調機制御システムであって、前記第2所定期間は、3ヶ月未満である。
【0013】
本開示の第7の態様は、第1の態様から第6の態様の何れか1つに記載の空調機制御システムであって、前記制御部は、前記第2冷媒検知制御を実行したことを示す情報を記録する。
【0014】
本開示の第8の態様は、空調機を制御する制御部を有する情報処理装置であって、前記制御部は、前記空調機が運転中の冷媒の状態又は前記空調機が運転停止中の冷媒圧力から前記空調機の冷媒漏洩検知を第1所定期間ごとに行う第1冷媒検知制御を実行し、前記空調機が最後に運転されてから第2所定期間が経過した場合に、前記空調機の冷媒漏洩検知用の運転を行いつつ前記空調機の冷媒漏洩検知を行う第2冷媒検知制御を実行する。
【0015】
本開示の第8の態様によれば、簡易性を有した冷媒漏洩検知を行う情報処理装置を提供することができる。
【0016】
本開示の第9の態様は、空調機を制御する制御部を有する空調機制御システムの前記制御部が実行する空調機制御方法であって、前記空調機が運転中の冷媒の状態又は前記空調機が運転停止中の冷媒圧力から前記空調機の冷媒漏洩検知を第1所定期間ごとに行う第1冷媒検知制御を実行し、前記空調機が最後に運転されてから第2所定期間が経過した場合に、前記空調機の冷媒漏洩検知用の運転を行いつつ前記空調機の冷媒漏洩検知を行う第2冷媒検知制御を実行する。
【0017】
本開示の第9の態様によれば、簡易性を有した冷媒漏洩検知を行う空調機制御方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本実施形態に係る空調機制御システムの一例の構成図である。
【
図2】本実施形態に係るコンピュータの一例のハードウェア構成図である。
【
図3】本実施形態に係る空調機制御システムが行う空調機制御処理の一例のフローチャートである。
【
図4】本実施形態に係る空調機制御システムが行う空調機制御処理の一例のシーケンス図である。
【
図5】本実施形態に係る空調機制御システムが行う空調機制御処理の一例のシーケンス図である。
【
図6】本実施形態に係る空調機制御システムが行う空調機制御処理の一例のシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
次に、本発明の実施形態について詳細に説明する。
【0020】
[第1の実施形態]
<システム構成>
図1は、本実施形態に係る空調機制御システムの一例の構成図である。空調機制御システム1は、空調機10、エッジ装置20、サーバ装置30、及び管理者端末40を有している。空調機10とエッジ装置20とは、専用の通信回線等を介して通信可能に接続される。エッジ装置20、サーバ装置30、及び管理者端末40は、例えばインターネット等のネットワーク50を介して通信可能に接続される。
【0021】
空調機10は、1台以上の室内機12、及び1台以上の室外機14を有している。
図1の空調機10が有する室内機12及び室外機14の台数は一例である。空調機10が有している室内機12及び室外機14は、通信可能に接続されている。空調機10はフロンなどの冷媒を循環させて冷凍サイクルを行う機器の一例である。
【0022】
冷媒漏洩の発生を早期に発見するため、フロンを冷媒として使用している機器はフロン排出抑制法により、簡易点検及び定期点検が義務付けられている。簡易点検の手法としては、IoT(Internet of Things)システムを活用することが許容されている。IoTシステムを利用する場合は「管理第一種特定製品の種類に応じ、冷媒系統ごとの圧力、温度その他の漏えいを検知するために必要な状態値を計測すること。なお、計測の頻度は1日に1回以上とする。」とされている。
【0023】
空調機10の運転が行われれば、冷媒漏洩の点検は運転中の冷媒の状態から行うことができる。また、1日に1回の冷媒漏洩の点検は、空調機10の運転が行われなくても冷媒圧力の変化から行うことができる。しかし、空調機10を3ヶ月以上、運転しなかった場合は、空調機10が設置されている現地に行って空調機10の点検を行うことが、フロン排出抑制法により求められている。
【0024】
空調機10が運転停止中の冷媒圧力から行う空調機10の冷媒漏洩検知は、空調機10が運転中の冷媒の状態から行う空調機10の冷媒漏洩検知よりも精度が低い。また、空調機10が運転中の冷媒の状態から行う空調機10の冷媒漏洩検知を3ヶ月以上行っていない場合には、空調機10が設置されている現地にサービスマン等を派遣し、空調機10の点検を行う必要がある。
【0025】
そこで、本実施形態に係る空調機制御システム1は、空調機10の運転が行われなくても空調機10が運転停止中の冷媒圧力の変化から冷媒漏洩の簡易点検を行うことで第1所定期間の一例である1日に1回の冷媒漏洩の点検を確保する。また、本実施形態に係る空調機制御システム1は、空調機10が運転中の冷媒の状態から行う空調機10の冷媒漏洩検知の間隔が、第2所定期間の一例である3ヶ月を超えないように、制御を行う。
【0026】
したがって、本実施形態に係る空調機制御システム1は、空調機10が運転中の冷媒の状態から行う空調機10の冷媒漏洩検知が3ヶ月以上行われないことがなく、空調機10が設置されている現地にサービスマン等を派遣する必要がない。
【0027】
また、本実施形態に係る空調機制御システム1は、少なくとも1日に1回の冷媒漏洩の点検を運転停止中の冷媒圧力から簡易に行うと共に、運転中の冷媒の状態から正確性を保つように精度良く行う冷媒漏洩検知の間隔が第2所定期間を超えないようにする。したがって、本実施形態に係る空調機制御システム1は、簡易な点検結果に誤検知があったとしても、第2所定期間を超える前に、運転中の冷媒の状態から精度良く冷媒漏洩を検知できるので、冷媒漏洩量を抑制できる。
【0028】
エッジ装置20は、空調機10が出力するデータを、ネットワーク50を介してサーバ装置30に送信する。また、エッジ装置20は、ネットワーク50を介してサーバ装置30が出力したデータを、空調機10に送信する。
【0029】
サーバ装置30は、空調機10が出力したデータを、ネットワーク50を介してエッジ装置20から受信する。また、サーバ装置30は空調機10に出力するデータを、エッジ装置20に送信する。
【0030】
管理者端末40は、空調機10を管理するユーザ(例えば、空調機10が取り付けられているビルを管理する管理者、又は空調機10を担当するサービスマンなど)が操作する情報処理端末である。管理者端末40は、空調機10、エッジ装置20、又はサーバ装置30から受信したデータを表示し、ユーザに通知する。例えば管理者端末40は冷媒の漏洩有りの通知又は空調機10の点検の提案を表示する。管理者端末40はPC、スマートフォン、タブレット端末などの情報処理端末である。
【0031】
空調機制御システム1は、空調機10、エッジ装置20、及びサーバ装置30の少なくとも一つに制御プログラムがインストールされている。空調機10は制御プログラムが実行されることで、制御部16として機能できる。エッジ装置20は制御プログラムが実行されることで、制御部22として機能できる。また、サーバ装置30は制御プログラムが実行されることで、制御部32として機能できる。
【0032】
なお、
図1では空調機10、エッジ装置20、及びサーバ装置30が、制御部16、22、又は32を有している例を示したが、
図1の構成に限定するものではない。空調機制御システム1は、制御部16、22、及び32の少なくとも一つを有している構成であればよい。
【0033】
制御部16、22、及び32は、空調機10を制御する。制御部16、22、及び32は後述するように、空調機10の第1冷媒検知制御による冷媒漏洩検知、及び空調機10の第2冷媒検知制御による冷媒漏洩検知を実行する。空調機10の第1冷媒検知制御による冷媒漏洩検知は、空調機10が運転中の冷媒の状態又は空調機10が運転停止中の冷媒圧力から空調機10の冷媒漏洩検知を第1所定期間ごとに行う。空調機10の第2冷媒検知制御による冷媒漏洩検知は、空調機10が最後に運転されてから第2所定期間が経過した場合に、空調機10の冷媒漏洩検知用の運転を行いつつ、空調機10の冷媒漏洩検知を行う。例えばサーバ装置30の制御部32はネットワーク50を介して遠隔から空調機10を制御できる。
【0034】
図1の空調機制御システム1の構成は一例であって、例えばサーバ装置30は1台以上の情報処理装置により実現されてもよい。サーバ装置30はクラウドコンピューティングのサービスとして実現するようにしてもよい。
図1の空調機制御システム1の構成は用途や目的に応じて様々なシステム構成例があることは言うまでもない。
【0035】
<ハードウェア構成>
図1のエッジ装置20、サーバ装置30、及び管理者端末40は、例えば
図2に示したハードウェア構成のコンピュータ500により実現する。また、空調機10は制御プログラムを実行できるコンピュータ500と同様なコントローラを有している。
【0036】
図2は、本実施形態に係るコンピュータの一例のハードウェア構成図である。
図2のコンピュータ500は、入力装置501、表示装置502、外部I/F503、RAM504、ROM505、CPU506、通信I/F507、及びHDD508などを備えており、それぞれがバスBで相互に接続されている。なお、入力装置501及び表示装置502は必要なときに接続して利用する形態であってもよい。
【0037】
入力装置501は、ユーザが各種信号を入力するのに用いるタッチパネル、操作キーやボタン、キーボードやマウスなどである。表示装置502は、画面を表示する液晶や有機ELなどのディスプレイ、音声や音楽などの音データを出力するスピーカ等で構成されている。通信I/F507は、コンピュータ500がネットワークを介してデータ通信を行うためのインターフェースである。
【0038】
また、HDD508は、プログラムやデータを格納している不揮発性の記憶装置の一例である。格納されるプログラムやデータには、コンピュータ500全体を制御する基本ソフトウェアであるOS、及びOS上において各種機能を提供するアプリケーションなどがある。なお、コンピュータ500はHDD508に替えて、記憶媒体としてフラッシュメモリを用いるドライブ装置(例えばソリッドステートドライブ:SSDなど)を利用するものであってもよい。
【0039】
外部I/F503は、外部装置とのインターフェースである。外部装置には、記録媒体503aなどがある。これにより、コンピュータ500は外部I/F503を介して記録媒体503aの読み取り及び書き込みを行うことができる。記録媒体503aにはフレキシブルディスク、CD、DVD、SDメモリカード、USBメモリなどがある。
【0040】
ROM505は、電源を切ってもプログラムやデータを保持することができる不揮発性の半導体メモリ(記憶装置)の一例である。ROM505にはコンピュータ500の起動時に実行されるBIOS、OS設定、及びネットワーク設定などのプログラムやデータが格納されている。RAM504はプログラムやデータを一時保持する揮発性の半導体メモリ(記憶装置)の一例である。
【0041】
CPU506は、ROM505やHDD508などの記憶装置からプログラムやデータをRAM504上に読み出し、処理を実行することで、コンピュータ500全体の制御や機能を実現する演算装置であり、制御部16、22、又は32の一例である。
【0042】
<処理>
図1の空調機制御システム1は、例えば
図3に示すように空調機制御処理を行う。
図3は本実施形態に係る空調機制御システムが行う空調機制御処理の一例のフローチャートである。ここではサーバ装置30の制御部32がネットワーク50を介して空調機10を遠隔制御する例を説明する。
【0043】
ステップS10において、制御部32は空調機10が運転中であるか判定する。空調機10が運転中であれば、制御部32はステップS12の処理に進み、空調機10の第1冷媒検知制御による冷媒漏洩検知処理のうち、運転中の冷媒の状態から冷媒漏洩を検知する冷媒漏洩検知処理を行う。制御部32は、冷媒漏洩検知処理の結果が冷媒の漏洩有りを示していれば、通知先の一例である管理者端末40に、冷媒の漏洩有りの通知又は空調機10の点検の提案を表示する。このように、空調機10の運転が行われた場合は、空調機10が運転中の冷媒の状態から冷媒漏洩の有無を判定する。
【0044】
空調機10が運転中でなければ、制御部32はステップS12をスキップし、ステップS14の処理に進む。ステップS14において、制御部32は第1所定期間の一例である1日が経過したか否かを判定する。1日が経過していなければ、制御部32はステップS10の処理に戻る。
【0045】
1日が経過していれば、制御部32はステップS16の処理に進む。ステップS16において、制御部32は1日の間に冷媒漏洩検知処理を行ったか否かを判定する。1日の間に冷媒漏洩検知処理を行っていれば、1日に1回の冷媒漏洩の点検が行われていると判定し、制御部32はステップS10の処理に戻る。
【0046】
1日の間に冷媒漏洩検知処理を行っていなければ、1日に1回の冷媒漏洩の点検が行われていないと判定し、制御部32はステップS18の処理に進む。ステップS18において制御部32は、空調機10の第1冷媒検知制御による冷媒漏洩検知処理のうち、空調機10が運転停止中の冷媒圧力から冷媒漏洩を検知する冷媒漏洩検知処理を行う。
【0047】
空調機10が運転停止中の冷媒圧力から冷媒漏洩を検知する冷媒漏洩検知処理は、簡易的な(簡易性を有した)冷媒漏洩検知を行う制御例であり、空調機10の冷媒漏洩検知用の運転が不要である。空調機10が運転停止中の冷媒圧力から冷媒漏洩を検知する冷媒漏洩検知処理は冷媒圧力を圧力センサで検知することで、冷媒漏洩を判定する。制御部32は、冷媒漏洩検知処理の結果が冷媒の漏洩有りを示していれば、通知先の一例である管理者端末40に冷媒の漏洩有りの通知又は空調機10の点検の提案を表示する。
【0048】
ステップS20において、制御部32は空調機10が最後に運転されてから第2所定期間が経過したか否かを判定する。第2所定期間は、例えば3ヶ月未満である。第2所定期間は、例えばフロン排出抑制法を考慮し、空調機10が設置されている現地にサービスマン等を派遣する必要が発生する期間より短い期間である。
【0049】
空調機10が最後に運転されてから第2所定期間が経過していなければ、制御部32はステップS10の処理に戻る。空調機10が最後に運転されてから第2所定期間が経過していれば、制御部32はステップS22の処理に進む。
【0050】
ステップS22において、制御部32は空調機10の第2冷媒検知制御による冷媒漏洩検知処理を行う。空調機10の第2冷媒検知制御による冷媒漏洩検知処理は、空調機10の冷媒漏洩検知用の運転を行いつつ、空調機10の冷媒漏洩を検知する冷媒漏洩検知処理を行う。第2冷媒検知制御による冷媒漏洩検知処理は、所定以上(例えば7割以上)の負荷をかける運転を行いつつ空調機10の冷媒の状態から冷媒漏洩検知を行ってもよい。例えば空調機10の第2冷媒検知制御による冷媒漏洩検知処理は、室内機12の所定以上(例えば7割以上)の台数に負荷をかける運転を所定時間以上(例えば1時間程度)行って、空調機10の冷媒が安定した後の空調機10による温度及び冷媒圧力から、空調機10の冷媒漏洩検知を行ってもよい。例えば7割以上の負荷をかける運転は、室外機14の定格能力の7割以上の負荷をかける運転(運転している室内機12の能力が室外機14の定格能力の7割以上となる運転)である。その他の例として、7割以上の負荷をかける運転は、接続されている室内機12の台数の7割以上の運転であってもよいし、同一系統に接続されている室内機12の総容量の7割以上の負荷の運転であってもよい。
【0051】
制御部32は、冷媒漏洩検知処理の結果が冷媒の漏洩有りを示していれば、通知先の一例である管理者端末40に、冷媒の漏洩有りの通知、又は空調機10の点検の提案を表示する。
【0052】
このように、本実施形態に係る空調機制御システム1は、第1所定期間ごとに運転停止中の冷媒圧力から冷媒漏洩を検知する簡易的な冷媒漏洩検知処理を含む第1冷媒検知制御による冷媒漏洩検知処理を行うことで、1日に1回の冷媒漏洩の点検を確保できる。
【0053】
また、本実施形態に係る空調機制御システム1は、空調機10が最後に運転されてから3ヶ月を超える前に、運転中の冷媒の状態から正確性を有する冷媒漏洩検知を行うことができる。本実施形態に係る空調機制御システム1は、簡易性及び正確性を有した冷媒漏洩検知を行うことができる。
【0054】
図4は本実施形態に係る空調機制御システムが行う空調機制御処理の一例のシーケンス図である。ここではサーバ装置30の制御部32がネットワーク50を介して空調機10を遠隔制御する例を説明する。
【0055】
ステップS30において、空調機10は運転開始をエッジ装置20に通知する。エッジ装置20は運転開始をサーバ装置30の制御部32に通知する。制御部32はステップS34において、空調機10の運転中の第1冷媒検知制御による冷媒漏洩検知処理をエッジ装置20に要求する。ステップS36において、エッジ装置20は運転中の第1冷媒検知制御による冷媒漏洩検知処理を空調機10に要求する。
【0056】
ステップS38において、空調機10はエッジ装置20から受け付けた要求に従って運転中の第1冷媒検知制御による冷媒漏洩検知処理を行う。ここでは、ステップS38の運転中の第1冷媒検知制御の結果が、冷媒の漏洩を示していなかったものとして説明を続ける。
【0057】
ステップS40において、空調機10は結果として冷媒の漏洩が無いことをエッジ装置20に通知する。ステップS42において、エッジ装置20は結果として冷媒の漏洩が無いことをサーバ装置30の制御部32に通知する。制御部32は通知された冷媒漏洩検知処理の結果を記録する。
【0058】
ステップS44において、制御部32は第1所定期間の一例である1日の間に冷媒漏洩検知処理が空調機10で行われたか否かを判定する。ここでは、ステップS38で運転中の第1冷媒検知制御による冷媒漏洩検知処理が行われているため、1日に1回の冷媒漏洩検知処理が行われたと判定される。制御部32は1日に1回の冷媒漏洩検知処理が行われたと判定した為、運転停止中の冷媒圧力から冷媒漏洩を検知する冷媒漏洩検知処理の要求を空調機10に行わない。
【0059】
ステップS46において、制御部32は1日の間に冷媒漏洩検知処理が空調機10で行われたか否かを判定する。ここでは、1日に1回の冷媒漏洩検知処理が行われていないと判定されたものとする。制御部32は1日に1回の冷媒漏洩検知処理が行われていないと判定した為、ステップS48の処理に進む。
【0060】
ステップS48において、制御部32は運転停止中の第1冷媒検知制御による冷媒漏洩検知処理をエッジ装置20に要求する。ステップS50において、エッジ装置20は運転停止中の第1冷媒検知制御による冷媒漏洩検知処理を空調機10に要求する。
【0061】
ステップS52において、空調機10はエッジ装置20から受け付けた要求に従って運転停止中の第1冷媒検知制御による冷媒漏洩検知処理を行う。ここでは、ステップS52の運転停止中の第1冷媒検知制御の結果が、冷媒の漏洩を示していなかったものとして説明を続ける。
【0062】
ステップS54において、空調機10は結果として冷媒の漏洩が無いことをエッジ装置20に通知する。ステップS56において、エッジ装置20は結果として冷媒の漏洩が無いことをサーバ装置30の制御部32に通知する。制御部32は通知された冷媒漏洩検知の結果を記録する。
【0063】
ステップS58において、制御部32は空調機10が最後に運転されてから第2所定期間が経過したか否かを判定する。ここでは、空調機10が最後に運転されてから第2所定期間が経過していたものとする。
【0064】
ステップS60において、制御部32は第2冷媒検知制御による冷媒漏洩検知処理をエッジ装置20に要求する。ステップS62において、エッジ装置20は第2冷媒検知制御による冷媒漏洩検知処理を空調機10に要求する。
【0065】
ステップS64において、空調機10はエッジ装置20から受け付けた要求に従って第2冷媒検知制御による冷媒漏洩検知処理を行う。ここでは、ステップS64の第2冷媒検知制御の結果が、冷媒の漏洩を示していたものとして説明を続ける。
【0066】
ステップS66において、空調機10は結果として冷媒の漏洩ありをエッジ装置20に通知する。また、ステップS68において、エッジ装置20は結果として冷媒の漏洩ありをサーバ装置30の制御部32に通知する。
【0067】
制御部32は、ステップS64の第2冷媒検知制御の結果が、冷媒の漏洩ありを示していた為、ステップS70において、通知先の一例である管理者端末40に冷媒の漏洩ありを通知する処理を行う。なお、ステップS70の通知は、空調機10の点検の提案を行う処理であってもよい。ステップS72において、管理者端末40は冷媒の漏洩ありの通知又は空調機10の点検の提案を表示する。また、ステップS70の通知は、空調機10で第2冷媒検知制御による冷媒漏洩検知を実行したことの通知であってもよい。
【0068】
なお、制御部32はステップS60において空調機10の第2冷媒検知制御による冷媒漏洩検知処理をエッジ装置20に要求する前に、空調機10の第2冷媒検知制御による冷媒漏洩検知処理の実行の可否を、管理者端末40のユーザに問い合わせてもよい。例えば制御部32は空調機10の第2冷媒検知制御による冷媒漏洩検知処理の実行の可否を問い合わせる画面を管理者端末40に表示させ、ユーザに実行の可否を選択させてもよい。
【0069】
図4のシーケンス図は、サーバ装置30の制御部32が空調機10の第1冷媒検知制御による冷媒漏洩検知処理及び第2冷媒検知制御による冷媒漏洩検知処理の実行の要否を判定する例である。空調機10の第1冷媒検知制御による冷媒漏洩検知処理及び第2冷媒検知制御による冷媒漏洩検知処理の実行の要否は、例えば
図5のシーケンス図に示すように空調機10で判定してもよい。
【0070】
図5は本実施形態に係る空調機制御システムが行う空調機制御処理の一例のシーケンス図である。ここでは空調機10の制御部16が第1冷媒検知制御による冷媒漏洩検知処理及び第2冷媒検知制御による冷媒漏洩検知処理の実行の可否を判定する例を説明する。
【0071】
ステップS90において、空調機10の制御部16は運転を開始すると、運転中の第1冷媒検知制御による冷媒漏洩検知処理を行う。ここでは、ステップS90の運転中の第1冷媒検知制御の結果が、冷媒の漏洩を示していなかったものとして説明を続ける。
【0072】
ステップS92において、空調機10は結果として冷媒の漏洩が無いことをエッジ装置20に通知する。ステップS94において、エッジ装置20は結果として冷媒の漏洩が無いことをサーバ装置30の制御部32に通知する。制御部32は通知された冷媒漏洩検知の結果を記録する。
【0073】
ステップS96において、制御部16は第1所定期間の一例である1日の間に冷媒漏洩検知処理を行ったか否かを判定する。ここでは、ステップS90で運転中の第1冷媒検知制御による冷媒漏洩検知処理が行われているため、1日に1回の冷媒漏洩検知処理が行われたと判定される。
図5の例では、1日に1回の冷媒漏洩検知処理が行われたと判定されるため、運転停止中の冷媒圧力から冷媒漏洩を検知する冷媒漏洩検知処理を行わない。
【0074】
ステップS98において、制御部16は1日の間に冷媒漏洩検知処理を行ったか否かを判定する。ここでは、1日に1回の冷媒漏洩検知処理を行っていないと判定されたものとする。制御部16は1日に1回の冷媒漏洩検知処理を行っていないと判定し、ステップS100の処理に進む。
【0075】
ステップS100において、制御部16は運転停止中の第1冷媒検知制御による冷媒漏洩検知処理を行う。ここでは、ステップS100の運転停止中の第1冷媒検知制御の結果が、冷媒の漏洩を示していなかったものとして説明を続ける。
【0076】
ステップS102において、空調機10は結果として冷媒の漏洩が無いことをエッジ装置20に通知する。ステップS104において、エッジ装置20は結果として冷媒の漏洩が無いことをサーバ装置30の制御部32に通知する。制御部32は通知された冷媒漏洩検知の結果を記録する。
【0077】
ステップS106において、制御部16は空調機10を最後に運転してから第2所定期間が経過したか否かを判定する。ここでは、空調機10を最後に運転してから第2所定期間が経過していたものとする。
【0078】
ステップS108において、制御部16は第2冷媒検知制御による冷媒漏洩検知処理を行う。ここでは、ステップS108の第2冷媒検知制御の結果が、冷媒の漏洩を示していたものとして説明を続ける。
【0079】
ステップS110において、制御部16は結果として冷媒の漏洩ありをエッジ装置20に通知する。また、ステップS112において、エッジ装置20は結果として冷媒の漏洩ありをサーバ装置30の制御部32に通知する。
【0080】
制御部32は、ステップS108の第2冷媒検知制御の結果が、冷媒の漏洩ありを示していた為、ステップS114において、通知先の一例である管理者端末40に冷媒の漏洩ありを通知する処理を行う。なお、ステップS114の通知は、空調機10の点検の提案を行う処理であってもよい。ステップS116において、管理者端末40は冷媒の漏洩ありの通知又は空調機10の点検の提案を表示する。
【0081】
サーバ装置30の制御部32は、第1冷媒検知制御による冷媒漏洩検知及び第1冷媒検知制御の結果を管理する。なお、空調機10からサーバ装置30への結果通知は、日々のレポートとしてサーバ装置30にまとめて送信してもよい。
【0082】
空調機10の第1冷媒検知制御による冷媒漏洩検知処理及び第2冷媒検知制御による冷媒漏洩検知処理の実行の要否は、
図6に示すように、空調機10の制御部16及びサーバ装置30の制御部32で分散して行ってもよい。
図6は本実施形態に係る空調機制御システムが行う空調機制御処理の一例のシーケンス図である。
【0083】
なお、ステップS130~S144の処理は
図5のステップS90~S104と同様であるため、説明を省略する。
【0084】
ステップS146において、制御部32は空調機10が最後に運転されてから第2所定期間が経過したか否かを判定する。ここでは、空調機10が最後に運転されてから第2所定期間が経過していたものとする。
【0085】
ステップS148において、制御部32は第2冷媒検知制御による冷媒漏洩検知処理をエッジ装置20に要求する。ステップS150において、エッジ装置20は第2冷媒検知制御による冷媒漏洩検知処理を空調機10に要求する。
【0086】
ステップS152において、空調機10はエッジ装置20から受け付けた要求に従って第2冷媒検知制御による冷媒漏洩検知処理を行う。ここでは、ステップS152の第2冷媒検知制御の結果が、冷媒の漏洩を示していたものとして説明を続ける。
【0087】
ステップS154において、空調機10は結果として冷媒の漏洩ありをエッジ装置20に通知する。また、ステップS156において、エッジ装置20は結果として冷媒の漏洩ありをサーバ装置30の制御部32に通知する。
【0088】
制御部32は、ステップS152の第2冷媒検知制御の結果が、冷媒の漏洩ありを示していた為、ステップS158において、通知先の一例である管理者端末40に冷媒の漏洩ありを通知する処理を行う。なお、ステップS158の通知は、空調機10の点検の提案を行う処理であってもよい。ステップS160において、管理者端末40は冷媒の漏洩ありの通知又は空調機10の点検の提案を表示する。
【0089】
図4~
図6のシーケンス図では、サーバ装置30の制御部32、又は空調機10の制御部16が、空調機10の第1冷媒検知制御による冷媒漏洩検知処理及び第2冷媒検知制御による冷媒漏洩検知処理の実行の要否を判定する例を示したが、エッジ装置20の制御部22が行うようにしてもよい。
【0090】
本実施形態の空調機制御システム1によれば、例えば空調機10の運転が行われた日は運転中の冷媒の状態から冷媒漏洩検知を行う。また、本実施形態の空調機制御システム1によれば、例えば空調機10の運転が行われない日は運転停止中の冷媒圧力から冷媒漏洩検知を行う。
【0091】
空調機10の運転が行われない日が続いた場合は、運転停止中の冷媒圧力から冷媒漏洩検知した日が第2所定期間を超えないように、冷媒漏洩検知用の運転を行って冷媒漏洩検知を行う第2冷媒検知制御を実行できる。
【0092】
以上、本実施形態について説明したが、特許請求の範囲の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。
【符号の説明】
【0093】
1 空調機制御システム
10 空調機
12 室内機
14 室外機
16、22、32 制御部
20 エッジ装置
30 サーバ装置
40 管理者端末
50 ネットワーク
【要約】
【課題】簡易性を有した冷媒漏洩検知を行う空調機制御システム、情報処理装置及び空調機制御方法を提供すること。
【解決手段】空調機を制御する制御部を有する空調機制御システムであって、前記制御部は、前記空調機が運転中の冷媒の状態又は前記空調機が運転停止中の冷媒圧力から前記空調機の冷媒漏洩検知を第1所定期間ごとに行う第1冷媒検知制御を実行し、前記空調機が最後に運転されてから第2所定期間が経過した場合に、前記空調機の冷媒漏洩検知用の運転を行いつつ前記空調機の冷媒漏洩検知を行う第2冷媒検知制御を実行することにより上記課題を解決する。
【選択図】
図3