(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-23
(45)【発行日】2024-01-31
(54)【発明の名称】調湿装置
(51)【国際特許分類】
F24F 3/14 20060101AFI20240124BHJP
F24F 11/70 20180101ALI20240124BHJP
B01D 53/26 20060101ALI20240124BHJP
F24F 110/10 20180101ALN20240124BHJP
F24F 110/20 20180101ALN20240124BHJP
【FI】
F24F3/14
F24F11/70
B01D53/26 220
B01D53/26 230
F24F110:10
F24F110:20
(21)【出願番号】P 2022179994
(22)【出願日】2022-11-10
【審査請求日】2022-11-10
(31)【優先権主張番号】P 2021201940
(32)【優先日】2021-12-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】安藤 達弥
(72)【発明者】
【氏名】池上 周司
【審査官】安島 智也
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-001106(JP,A)
【文献】特開2014-178091(JP,A)
【文献】特表2019-504271(JP,A)
【文献】国際公開第2019/187893(WO,A1)
【文献】国際公開第2021/200072(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0133684(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 3/14
F24F 11/00 - 11/89
B01D 53/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気中の水分を吸着する吸着材を用いた調湿装置(10,110)であって、
前記吸着材の温度、又は前記吸着材に供給される空気の相対湿度を制御する制御部(95,140)を備え、
前記吸着材の吸着等温線において、第1相対湿度値未満を第1範囲とし、前記第1相対湿度値以上第2相対湿度値(>前記第1相対湿度値)以下を第2範囲とし、前記第2相対湿度値超を第3範囲として、前記第2範囲における相対湿度の変化に対する前記吸着材の含水率の変化は、前記第1範囲及び前記第3範囲における相対湿度の変化に対する前記吸着材の含水率の変化よりも大きく、
前記吸着材は、S字型の吸着特性を持ち、前記吸着等温線は、前記第2範囲で略S字状に湾曲し、前記第1範囲及び前記第3範囲で略直線状に延びており、
前記第2範囲における前記吸着材の前記吸着等温線の傾きは、前記第1範囲及び前記第3範囲における前記吸着材の前記吸着等温線の傾きの5倍以上であり、
前記第2範囲における前記吸着材の含水率の変化量は、前記吸着材の最大含水率の50%以上であり、
前記第2相対湿度値と前記第1相対湿度値との差分は、40%以下であり、
前記制御部(95,140)は、前記第1相対湿度値の近傍で前記吸着材から水分を脱離させると共に、前記第2相対湿度値の近傍で前記吸着材に水分を吸着さ
せ、
前記第1相対湿度値の近傍は、前記第1相対湿度値から-10%までの範囲であり、
前記第2相対湿度値の近傍は、前記第2相対湿度値から+10%までの範囲である、
調湿装置。
【請求項2】
請求項1の調湿装置において、
前記吸着材は、金属有機構造体で構成される、
調湿装置。
【請求項3】
請求項1
又は2の調湿装置において、
前記吸着材を含み、処理空気中の水分を吸着すると共に吸着した水分を脱離させる吸着脱離部(81,82,115A,115B)と、
前記吸着脱離部(81,82,115A,115B)が水分の吸着及び脱離を行う相対湿度を調節する熱源(51,52,123,133)と、
前記処理空気の気流を制御するファン(25,26,124,134)と、
前記処理空気の温湿度データを取得する取得部(91,92,93,94,121,131)と
をさらに備え、
前記制御部(95,140)は、前記取得部(91,92,93,94,121,131)が取得した温湿度データに基づいて前記熱源(51,52,123,133)の温度を制御する、
調湿装置。
【請求項4】
請求項
3の調湿装置において、
前記吸着材の前記吸着等温線は、水分を吸着する際の吸着線と、吸着した水分を脱離させる際の脱離線とを含み、
前記吸着脱離部(81,82,115A,115B)は、前記処理空気中の水分を吸着する吸着部(81,82,115A,115B)と、吸着した水分を脱離させる脱離部(81,82,115A,115B)とを含み、
前記熱源(51,52,123,133)は、前記吸着部(81,82,115A,115B)が水分の吸着を行う相対湿度を調節する第1熱源(51,52,123,133)と、前記脱離部(81,82,115A,115B)が水分の脱離を行う相対湿度を調節する第2熱源(51,52,123,133)とを含み、
前記制御部(95,140)は、前記脱離線における前記第1相対湿度値の近傍で、前記脱離部(81,82,115A,115B)から水分が脱離するように前記第2熱源(51,52,123,133)の温度を制御すると共に、前記吸着線における前記第2相対湿度値の近傍で、前記吸着部(81,82,115A,115B)が水分を吸着するように前記第1熱源(51,52,123,133)の温度を制御する、
調湿装置。
【請求項5】
請求項
4の調湿装置において、
前記制御部(95,140)は、室内の除湿を行う際に、室外から室内に給気する第1処理空気及び室内から室外へ排気する第2処理空気の温湿度データに基づいて、前記吸着部(81,82,115A,115B)に到達する前記第1処理空気の相対湿度が、前記吸着線における前記第2相対湿度値の近傍の値を持つように前記第1熱源(51,52,123,133)の温度を下げると共に、前記脱離部(81,82,115A,115B)に到達する前記第2処理空気の相対湿度が、前記脱離線における前記第1相対湿度値の近傍の値を持つように前記第2熱源(51,52,123,133)の温度を上げるように制御することによって、前記第1処理空気を除湿空気として室内に給気し、前記第2処理空気を高湿度空気にして室外に排気する、
調湿装置。
【請求項6】
請求項
4の調湿装置において、
前記制御部(95,140)は、室内の加湿を行う際に、室内から室外へ排気する第1処理空気及び室外から室内に給気する第2処理空気の温湿度データに基づいて、前記脱離部(81,82,115A,115B)に到達する前記第2処理空気の相対湿度が、前記脱離線における前記第1相対湿度値の近傍の値を持つように前記第2熱源(51,52,123,133)の温度を上げると共に、前記吸着部(81,82,115A,115B)に到達する前記第1処理空気の相対湿度が、前記吸着線における前記第2相対湿度値の近傍の値を持つように前記第1熱源(51,52,123,133)の温度を下げることによって、前記第2処理空気を加湿空気として室内に給気し、前記第1処理空気を低湿度空気にして室外に排気する、
調湿装置。
【請求項7】
請求項
4の調湿装置において、
前記第1熱源(51,52)及び前記第2熱源(51,52)はヒートポンプを構成し、
前記制御部(95)は、前記第1熱源(51,52)の温度及び前記第2熱源(51,52)の温度を連動して制御する、
調湿装置。
【請求項8】
請求項
4の調湿装置において、
前記第1熱源(123,133)及び前記第2熱源(123,133)は、ヒートポンプを構成せず、
前記制御部(140)は、前記第1熱源(123,133)の温度及び前記第2熱源(123,133)の温度を独立して制御する、
調湿装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、調湿装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、空気中の水分を吸着する吸着材を用いた調湿装置が知られている。調湿装置により除湿を行う場合、空気に含まれる水分を吸着材に吸着させて空気を除湿する。水分を吸着した吸着材は、加熱により再生されて再び除湿に利用される。一方、調湿装置により加湿を行う場合、水分を含む空気から吸着材に水分を吸着させた後、吸着材を加熱することによって吸着材から水分を脱離させて加湿対象の空気に供給する。
【0003】
特許文献1に開示された調湿装置では、熱交換器の表面に吸着材を担持させ、当該吸着材において必要な吸着量が得られる相対湿度範囲になるように、熱交換器の温度を制御している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、吸着材は、その材料によって吸着特性(吸着等温線)が異なるところ、従来の調湿装置では、吸着材毎の吸着特性を考慮した熱源制御が行われていないため、エネルギー効率の観点で改善の余地がある。
【0006】
本開示の目的は、空気中の水分を吸着する吸着材を用いた調湿装置のエネルギー効率を向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の第1の態様は、空気中の水分を吸着する吸着材を用いた調湿装置(10,110)であって、前記吸着材の温度、又は前記吸着材に供給される空気の相対湿度を制御する制御部(95,140)を備える。前記吸着材の吸着等温線において、第1相対湿度値未満を第1範囲とし、前記第1相対湿度値以上第2相対湿度値(>前記第1相対湿度値)以下を第2範囲とし、前記第2相対湿度値超を第3範囲として、前記第2範囲における相対湿度の変化に対する前記吸着材の含水率の変化は、前記第1範囲及び前記第3範囲における相対湿度の変化に対する前記吸着材の含水率の変化よりも大きい。前記制御部(95,140)は、前記第1相対湿度値の近傍で前記吸着材から水分を脱離させると共に、前記第2相対湿度値の近傍で前記吸着材に水分を吸着させる。
【0008】
第1の態様では、吸着材の吸着特性を考慮して、制御部(95,140)が、吸着材の温度、又は吸着材に供給される空気の相対湿度を制御する。このため、吸着材において必要な吸着量が得られる相対湿度範囲を実現するための熱源の温度変化幅を抑制できるので、エネルギー効率を向上させることができる。
【0009】
本開示の第2の態様は、第1の態様において、前記第2範囲における前記吸着材の前記吸着等温線の傾きは、前記第1範囲及び前記第3範囲における前記吸着材の前記吸着等温線の傾きの5倍以上である。
【0010】
第2の態様では、エネルギー効率をさらに向上させることができる。
【0011】
本開示の第3の態様は、前記第1又は第2の態様において、前記第2範囲における前記吸着材の含水率の変化量は、前記吸着材の最大含水率の50%以上である。
【0012】
第3の態様では、エネルギー効率をさらに向上させることができる。
【0013】
本開示の第4の態様は、前記第1~第3の態様のいずれか1つにおいて、前記第2相対湿度値と前記第1相対湿度値との差分は、40%以下である。
【0014】
第4の態様では、エネルギー効率をさらに向上させることができる。
【0015】
本開示の第5の態様は、前記第1~第4の態様のいずれか1つにおいて、前記第1相対湿度値の近傍は、前記第1相対湿度値から-10%までの範囲であり、前記第2相対湿度値の近傍は、前記第2相対湿度値から+10%までの範囲である。
【0016】
第5の態様では、吸着材の吸着特性を考慮した熱源制御が可能となるため、エネルギー効率の低下を抑制することができる。
【0017】
本開示の第6の態様は、前記第1~第5の態様のいずれか1つにおいて、前記吸着材は、金属有機構造体で構成される。
【0018】
第6の態様では、所望の吸着特性を持つ吸着材を得ることができる。
【0019】
本開示の第7の態様は、前記第1~第6の態様のいずれか1つにおいて、前記吸着材を含み、処理空気中の水分を吸着すると共に吸着した水分を脱離させる吸着脱離部(81,82,115A,115B)と、前記吸着脱離部(81,82,115A,115B)が水分の吸着及び脱離を行う相対湿度を調節する熱源(51,52,123,133)と、前記処理空気の気流を制御するファン(25,26,124,134)と、前記処理空気の温湿度データを取得する取得部(91,92,93,94,121,131)とをさらに備え、前記制御部(95,140)は、前記取得部(91,92,93,94,121,131)が取得した温湿度データに基づいて前記熱源(51,52,123,133)の温度を制御する。
【0020】
第7の態様では、吸着材において必要な吸着量が得られる相対湿度範囲を実現するための熱源の温度制御が可能となる。
【0021】
本開示の第8の態様は、前記第7の態様において、前記吸着材の前記吸着等温線は、水分を吸着する際の吸着線と、吸着した水分を脱離させる際の脱離線とを含み、前記吸着脱離部(81,82,115A,115B)は、前記処理空気中の水分を吸着する吸着部(81,82,115A,115B)と、吸着した水分を脱離させる脱離部(81,82,115A,115B)とを含み、前記熱源(51,52,123,133)は、前記吸着部(81,82,115A,115B)が水分の吸着を行う相対湿度を調節する第1熱源(51,52,123,133)と、前記脱離部(81,82,115A,115B)が水分の脱離を行う相対湿度を調節する第2熱源(51,52,123,133)とを含み、前記制御部(95,140)は、前記脱離線における前記第1相対湿度値の近傍で、前記脱離部(81,82,115A,115B)から水分が脱離するように前記第2熱源(51,52,123,133)の温度を制御すると共に、前記吸着線における前記第2相対湿度値の近傍で、前記吸着部(81,82,115A,115B)が水分を吸着するように前記第1熱源(51,52,123,133)の温度を制御する。
【0022】
第8の態様では、第1相対湿度値の近傍で脱離部(81,82,115A,115B)の吸着材から水分を脱離させることができると共に、第2相対湿度値の近傍で吸着部(81,82,115A,115B)の吸着材に水分を吸着させることができる。
【0023】
本開示の第9の態様は、前記第8の態様において、前記制御部(95,140)は、室内の除湿を行う際に、室外から室内に給気する第1処理空気及び室内から室外へ排気する第2処理空気の温湿度データに基づいて、前記吸着部(81,82,115A,115B)に到達する前記第1処理空気の相対湿度が、前記吸着線における前記第2相対湿度値の近傍の値を持つように前記第1熱源(51,52,123,133)の温度を下げると共に、前記脱離部(81,82,115A,115B)に到達する前記第2処理空気の相対湿度が、前記脱離線における前記第1相対湿度値の近傍の値を持つように前記第2熱源(51,52,123,133)の温度を上げるように制御することによって、前記第1処理空気を除湿空気として室内に給気し、前記第2処理空気を高湿度空気にして室外に排気する。
【0024】
第9の態様では、室内の除湿を行う際のエネルギー効率が向上する。
【0025】
本開示の第10の態様は、前記第8又は第9の態様において、前記制御部(95,140)は、室内の加湿を行う際に、室内から室外へ排気する第1処理空気及び室外から室内に給気する第2処理空気の温湿度データに基づいて、前記脱離部(81,82,115A,115B)に到達する前記第2処理空気の相対湿度が、前記脱離線における前記第1相対湿度値の近傍の値を持つように前記第2熱源(51,52,123,133)の温度を上げると共に、前記吸着部(81,82,115A,115B)に到達する前記第1処理空気の相対湿度が、前記吸着線における前記第2相対湿度値の近傍の値を持つように前記第1熱源(51,52,123,133)の温度を下げることによって、前記第2処理空気を加湿空気として室内に給気し、前記第1処理空気を低湿度空気にして室外に排気する。
【0026】
第10の態様では、室内の加湿を行う際のエネルギー効率が向上する。
【0027】
本開示の第11の態様は、前記第8~第10の態様のいずれか1つにおいて、前記第1熱源(51,52)及び前記第2熱源(51,52)はヒートポンプを構成し、前記制御部(95)は、前記第1熱源(51,52)の温度及び前記第2熱源(51,52)の温度を連動して制御する。
【0028】
第11の態様では、エネルギー効率をより一層向上させることができる。
【0029】
本開示の第12の態様は、前記第8~第10の態様のいずれか1つにおいて、前記第1熱源(123,133)及び前記第2熱源(123,133)は、ヒートポンプを構成せず、前記制御部(140)は、前記第1熱源(123,133)の温度及び前記第2熱源(123,133)の温度を独立して制御する。
【0030】
第12の態様では、調湿装置(110)の構成を簡単にできる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】
図1は、実施形態に係る調湿装置において用いる吸着材の吸着特性を例示する図である。
【
図2】
図2は、比較例の吸着材の吸着特性を示す図である。
【
図3】
図3は、実施形態1に係る調湿装置の設置状態を示す建物の概略断面図である。
【
図4】
図4は、実施形態1に係る調湿装置の概略構造を示す平面図、右側面図、及び左側面図である。
【
図5】
図5は、実施形態1に係る調湿装置における冷媒回路の構成を示す配管系統図であって、(A)は第1動作中の冷媒の流れを示し、(B)は第2動作中の冷媒の流れを示す。
【
図6】
図6は、実施形態1に係る調湿装置の制御部の構成を示すブロック図である。
【
図7】
図7は、実施形態1に係る調湿装置における除湿運転の第1動作中の空気の流れを示す概略の平面図、右側面図、及び左側面図である。
【
図8】
図8は、実施形態1に係る調湿装置における除湿運転の第2動作中の空気の流れを示す概略の平面図、右側面図、及び左側面図である。
【
図9】
図9は、実施形態1に係る調湿装置における加湿運転の第1動作中の空気の流れを示す概略の平面図、右側面図、及び左側面図である。
【
図10】
図10は、実施形態1に係る調湿装置における加湿運転の第2動作中の空気の流れを示す概略の平面図、右側面図、及び左側面図である。
【
図11】
図11は、実施形態1に係る調湿装置における換気運転の第1動作中の空気の流れを示す概略の平面図、右側面図、及び左側面図である。
【
図12】
図12は、実施形態1に係る調湿装置における換気運転の第2動作中の空気の流れを示す概略の平面図、右側面図、及び左側面図である。
【
図13】
図13は、実施形態1に係る調湿装置の制御処理を示すフロー図である。
【
図14】
図14は、実施形態2に係る調湿装置の概略構成図である。
【
図15】
図15は、実施形態2に係る調湿装置の制御処理を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本開示の実施形態について、添付図面を参照しながら説明する。尚、以下の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、或いはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【0033】
(実施形態1)
実施形態1に係る調湿装置(10)は、空気中の水分を吸着する吸着材を用いて、対象空間の除湿又は加湿を行う。調湿装置(10)は、吸着材の吸着特性を考慮して、吸着材の温度、又は吸着材に供給される空気の相対湿度を制御する。
【0034】
<吸着材>
本実施形態の調湿装置(10)で用いる吸着材は、例えば
図1に示すような、いわゆるS字型の吸着特性(吸着等温線)を持つ。
図1に示す吸着等温線は、水分を吸着する際の吸着線と、吸着した水分を脱離させる際の脱離線とを含む。
【0035】
図1に示す吸着等温線において、第1相対湿度値(RH1)未満を第1範囲(I)とし、第1相対湿度値(RH1)以上第2相対湿度値(RH2)(RH2>RH1)以下を第2範囲(II)とし、第2相対湿度値(RH2)超を第3範囲(III)とすると、第2範囲(II)における相対湿度の変化に対する吸着材の含水率の変化は、第1範囲(I)及び第3範囲(III)における相対湿度の変化に対する吸着材の含水率の変化よりも大きい。尚、「含水率」とは、吸着材1gが含有可能な水の質量(単位:g/g)を意味する。
【0036】
本実施形態の調湿装置(10)は、第1相対湿度値(RH1)の近傍、例えば(RH1-10%)~(RH1)の範囲、好ましくは(RH1-5%)~(RH1)の範囲、より好ましくは(RH1-3%)~(RH1)の範囲で吸着材から水分を脱離させる。
【0037】
本実施形態の調湿装置(10)は、第2相対湿度値(RH2)の近傍、例えば(RH2)~(RH2+10%)の範囲、好ましくは(RH2)~(RH2+5%)の範囲、より好ましくは(RH2)~(RH2+3%)の範囲で吸着材に水分を吸着させる。
【0038】
本実施形態の調湿装置(10)で用いる吸着材において、第2範囲(II)における吸着等温線の傾きは、第1範囲(I)及び第3範囲(III)における吸着等温線の傾きの5倍以上であることが好ましい。
【0039】
本実施形態の調湿装置(10)で用いる吸着材において、第2範囲(II)における含水率の変化量ΔWは、吸着材の最大含水率の50%以上であることが好ましい。また、第2範囲(II)における含水率の変化量ΔWは、0.3g以上であることが好ましい。
【0040】
本実施形態の調湿装置(10)で用いる吸着材において、第2相対湿度値(RH2)と第1相対湿度値(RH1)との差分は、40%以下であることが好ましい。
【0041】
以上に説明したような、S字型の吸着特性を持つ吸着材を用いることにより、吸着材における水分の吸着及び脱離(再生)が行われる相対湿度の範囲が狭くなる。これにより、当該相対湿度の範囲を実現するのに必要な熱源の温度変化幅を小さくすることができるので、エネルギー効率が向上する。
【0042】
それに対して、例えば
図2に示すような、直線的な吸着特性を持つ比較例の吸着材を用いた場合、必要な含水率の変化量ΔWが得られる相対湿度の範囲ΔRH(下限RH1’~上限RH2’)が広いため、必要な熱源の温度変化幅が大きくなるので、エネルギー効率が悪くなる。
【0043】
尚、本実施形態の調湿装置(10)で用いる吸着材は、
図1に示すようなS字型の吸着特性を材料であれば特に限定されないが、例えば金属有機構造体(MOF)、又は金属ナノ粒子を担持したメソポーラスシリカなどで吸着材を構成することにより、所望の吸着特性を実現しやすくなる。
【0044】
<調湿装置の構成>
本実施形態の調湿装置(10)は、
図3に示すように、室内空間(200)の湿度調節と共に室内空間(200)の換気を行う。調湿装置(10)は、吸い込んだ室外空気(OA)を湿度調節して室内空間(200)へ供給すると同時に、吸い込んだ室内空気(RA)を室外空間(201)へ排出する。
【0045】
調湿装置(10)は、
図3に示すように、空気調和機(150)と共に建物に設置されてもよい。空気調和機(150)は、室外ユニット(152)と室内ユニット(151)とを備え、冷房運転と暖房運転を選択的に行う。調湿装置(10)は、空気調和機(150)の室内ユニット(151)が空気を吹き出す室内空間(200)に、ダクト(102,103)を介して接続される。具体的には、調湿装置(10)は、給気ダクト(102)及び内気吸込ダクト(103)を介して室内空間(200)に接続され、排気ダクト(101)及び外気吸込ダクト(104)を介して室外空間(201)に接続される。
【0046】
調湿装置(10)について、
図4を参照しながら詳細に説明する。尚、以下の説明で用いる「上」「下」「左」「右」「前」「後」「手前」「奥」は、特にことわらない限り、調湿装置(10)を前面側から見た場合の方向を意味している。
【0047】
調湿装置(10)は、ケーシング(11)を備える。ケーシング(11)内には、後述する冷媒回路(50)が収容される。冷媒回路(50)には、第1吸着熱交換器(51)、第2吸着熱交換器(52)、圧縮機(53)、四方切換弁(54)、及び電動膨張弁(55)が接続される。冷媒回路(50)は、ヒートポンプを構成する。
【0048】
ケーシング(11)は、やや扁平で高さが比較的低い直方体状に形成される。ケーシング(11)には、外気吸込口(24)と、内気吸込口(23)と、給気口(22)と、排気口(21)とが形成されている。外気吸込口(24)には外気吸込ダクト(104)が、内気吸込口(23)には内気吸込ダクト(103)が、給気口(22)には給気ダクト(102)が、排気口(21)には排気ダクト(101)が、それぞれ接続される。
【0049】
外気吸込口(24)及び内気吸込口(23)は、ケーシング(11)の背面パネル部(13)に設けられる。外気吸込口(24)は、背面パネル部(13)の下側部分に設けられる。内気吸込口(23)は、背面パネル部(13)の上側部分に設けられる。給気口(22)は、ケーシング(11)の第1側面パネル部(14)に設けられる。第1側面パネル部(14)において、給気口(22)は、ケーシング(11)の前面パネル部(12)側の端部付近に配置される。排気口(21)は、ケーシング(11)の第2側面パネル部(15)に設けられる。第2側面パネル部(15)において、排気口(21)は、前面パネル部(12)側の端部付近に配置される。
【0050】
ケーシング(11)の内部空間には、上流側仕切板(71)と、下流側仕切板(72)と、中央仕切板(73)とが設けられる。これらの仕切板(71~73)は、ケーシング(11)の底板に起立した状態で設置され、ケーシング(11)の内部空間をケーシング(11)の底板から天板に亘って区画する。
【0051】
上流側仕切板(71)及び下流側仕切板(72)は、前面パネル部(12)及び背面パネル部(13)と平行な姿勢で、ケーシング(11)の前後方向に所定の間隔をおいて配置される。上流側仕切板(71)は、背面パネル部(13)寄りに配置される。下流側仕切板(72)は、前面パネル部(12)寄りに配置される。中央仕切板(73)の配置については、後述する。
【0052】
ケーシング(11)内において、上流側仕切板(71)と背面パネル部(13)の間の空間は、上下二つの空間に仕切られており、上側の空間が内気側通路(32)を構成し、下側の空間が外気側通路(34)を構成する。内気側通路(32)は、内気吸込口(23)に接続するダクトを介して室内空間(200)と連通する。外気側通路(34)は、外気吸込口(24)に接続するダクトを介して室外空間(201)と連通する。
【0053】
内気側通路(32)には、内気側フィルタ(27)と、内気温度センサ(91)と、内気湿度センサ(92)とが設置される。内気側フィルタ(27)は、通過する空気から粉塵等を除去する。内気温度センサ(91)は、内気側通路(32)を流れる室内空気の温度を計測する。内気湿度センサ(92)は、内気側通路(32)を流れる室内空気の相対湿度を計測する。
【0054】
外気側通路(34)には、外気側フィルタ(28)と、外気温度センサ(93)と、外気湿度センサ(94)とが設置される。外気側フィルタ(28)は、通過する空気から粉塵等を除去する。外気温度センサ(93)は、外気側通路(34)を流れる室外空気の温度を計測する。外気湿度センサ(94)は、外気側通路(34)を流れる室外空気の相対湿度を計測する。
【0055】
内気温度センサ(91)、内気湿度センサ(92)、外気温度センサ(93)、及び外気湿度センサ(94)は、処理空気の温湿度データを取得する取得部を構成する。尚、後述の
図7~
図12では、内気温度センサ(91)、内気湿度センサ(92)、外気温度センサ(93)、及び外気湿度センサ(94)の図示を省略する。
【0056】
ケーシング(11)内における上流側仕切板(71)と下流側仕切板(72)との間の空間は、中央仕切板(73)によって左右に区画され、中央仕切板(73)の右側の空間が第1熱交換器室(37)を構成し、中央仕切板(73)の左側の空間が第2熱交換器室(38)を構成する。第1熱交換器室(37)には、吸着脱離部(吸着部又は脱離部)(81)となる第1吸着熱交換器(51)が収容される。第2熱交換器室(38)には、吸着脱離部(吸着部又は脱離部)(82)となる第2吸着熱交換器(52)が収容される。第1熱交換器室(37)には、冷媒回路(50)の電動膨張弁(55)(
図5参照)が収容される。
【0057】
各吸着脱離部(81,82)は、いわゆるクロスフィン型のフィン・アンド・チューブ熱交換器の表面に、前述の吸着材を担持させたものであってもよい。各吸着脱離部(81,82)は、処理空気中の水分を吸着すると共に吸着した水分を脱離させる。各吸着熱交換器(51,52)は、各吸着脱離部(81,82)が水分の吸着及び脱離を行う相対湿度を調節する熱源(第1熱源又は第2熱源)として機能する。
【0058】
各吸着熱交換器(51,52)は、全体として長方形の厚板状又は扁平な直方体状に形成されてもよい。各吸着熱交換器(51,52)は、その前面及び背面が上流側仕切板(71)及び下流側仕切板(72)と平行になる姿勢で、熱交換器室(37,38)内に起立した状態で設置されてもよい。
【0059】
ケーシング(11)の内部空間において、下流側仕切板(72)の前面に沿った空間は、上下に仕切られており、この上下に仕切られた空間のうち、上側の部分が給気側通路(31)を構成し、下側の部分が排気側通路(33)を構成する。
【0060】
上流側仕切板(71)には、開閉式の4つのダンパ(41)~(44)が設けられる。各ダンパ(41)~(44)は、概ね横長の長方形状に形成される。具体的には、上流側仕切板(71)のうち内気側通路(32)に面する部分(上側部分)では、中央仕切板(73)よりも右側に第1内気側ダンパ(41)が取り付けられ、中央仕切板(73)よりも左側に第2内気側ダンパ(42)が取り付けられる。また、上流側仕切板(71)のうち外気側通路(34)に面する部分(下側部分)では、中央仕切板(73)よりも右側に第1外気側ダンパ(43)が取り付けられ、中央仕切板(73)よりも左側に第2外気側ダンパ(44)が取り付けられる。上流側仕切板(71)に設けられた4つのダンパ(41)~(44)は、空気の流通経路を切り換える切換機構(40)を構成する。
【0061】
下流側仕切板(72)には、開閉式の4つのダンパ(45)~(48)が設けられる。各ダンパ(45)~(48)は、概ね横長の長方形状に形成される。具体的には、下流側仕切板(72)のうち給気側通路(31)に面する部分(上側部分)では、中央仕切板(73)よりも右側に第1給気側ダンパ(45)が取り付けられ、中央仕切板(73)よりも左側に第2給気側ダンパ(46)が取り付けられる。また、下流側仕切板(72)のうち排気側通路(33)に面する部分(下側部分)では、中央仕切板(73)よりも右側に第1排気側ダンパ(47)が取り付けられ、中央仕切板(73)よりも左側に第2排気側ダンパ(48)が取り付けられる。下流側仕切板(72)に設けられた4つのダンパ(45)~(48)は、空気の流通経路を切り換える切換機構(40)を構成する。
【0062】
ケーシング(11)内において、給気側通路(31)及び排気側通路(33)と前面パネル部(12)との間の空間は、仕切板(77)によって左右に仕切られており、仕切板(77)の右側の空間が給気ファン室(36)を構成し、仕切板(77)の左側の空間が排気ファン室(35)を構成する。
【0063】
給気ファン室(36)には、給気ファン(26)が収容される。また、排気ファン室(35)には排気ファン(25)が収容される。給気ファン(26)及び排気ファン(25)は、遠心型の多翼ファン(いわゆるシロッコファン)である。給気ファン(26)は、下流側仕切板(72)側から吸い込んだ空気を給気口(22)へ吹き出す。排気ファン(25)は、下流側仕切板(72)側から吸い込んだ空気を排気口(21)へ吹き出す。
【0064】
給気ファン室(36)には、冷媒回路(50)の圧縮機(53)と四方切換弁(54)(
図5参照)とが収容される。圧縮機(53)及び四方切換弁(54)は、給気ファン室(36)における給気ファン(26)と仕切板(77)との間に配置される。
【0065】
その他、本実施形態の調湿装置(10)においては、外気側通路(34)と給気ファン室(36)とを接続する換気通路(85)が設けられる。換気通路(85)は、外気吸込口(24)側の第1換気用ダンパ(86)と、給気口(22)側の第2換気用ダンパ(87)とによって、開閉される。ケーシング(11)の前面パネル部(12)側には、後述するコントローラ(制御部)(95)が実装される制御用基板や電源基板等を備える電装品箱(88)が設けられる。尚、
図4、及び後述の
図7~
図12では、簡単のため、換気通路(85)、ダンパ(86)、(87)、及び電装品箱(88)は、(平面図)のみに示している。
【0066】
<冷媒回路の構成>
図5に示すように、冷媒回路(50)は、第1吸着熱交換器(51)、第2吸着熱交換器(52)、圧縮機(53)、四方切換弁(54)、及び電動膨張弁(55)が設けられた閉回路である。冷媒回路(50)は、充填された冷媒を循環させることによって、蒸気圧縮冷凍サイクルを行う。図示は省略しているが、冷媒回路(50)には、複数の温度センサ及び圧力センサが取り付けられる。
【0067】
冷媒回路(50)において、圧縮機(53)の吐出管が四方切換弁(54)の第1のポートに接続され、圧縮機(53)の吸入管が四方切換弁(54)の第2のポートに接続される。冷媒回路(50)では、四方切換弁(54)の第3のポートから第4のポートへ向かって順に、第1吸着熱交換器(51)、電動膨張弁(55)、及び第2吸着熱交換器(52)が配置される。
【0068】
四方切換弁(54)は、第1のポートと第3のポートとが連通し且つ第2のポートと第4のポートが連通する第1状態(
図5の(A)に示す状態)と、第1のポートと第4のポートが連通し且つ第2のポートと第3のポートが連通する第2状態(
図12の(B)に示す状態)とに切り換え可能に構成される。
【0069】
圧縮機(53)は、圧縮機構とそれを駆動する電動機とが同じケーシングに収容された全密閉型の圧縮機である。この圧縮機(53)の電動機には、インバータを介して交流が供給される。インバータの出力周波数(つまり圧縮機(53)の運転周波数)を変更すると、電動機とそれによって駆動される圧縮機構の回転速度が変化し、圧縮機(53)の運転容量が変化する。圧縮機構の回転速度を上昇させると、圧縮機(53)の運転容量が増加し、圧縮機構の回転速度を低下させると、圧縮機(53)の運転容量が減少する。
【0070】
<コントローラの構成>
調湿装置(10)には、
図6に示すコントローラ(制御部)(95)が設けられる。コントローラ(95)は、例えば、マイクロコンピュータと、当該マイクロコンピュータを動作させるためのソフトウエアを格納するメモリデバイスとを用いて構成してもよい。コントローラ(95)には、内気湿度センサ(92)、内気温度センサ(91)、外気湿度センサ(94)、及び外気温度センサ(93)の計測値が入力される。コントローラ(95)には、冷媒回路(50)に設けられた温度センサや圧力センサの計測値が入力される。コントローラ(95)には、空気調和機(150)の運転状態を示す信号、例えば、空気調和機(150)が運転中か否かを示す信号や、空気調和機(150)の運転が冷房運転か暖房運転かを示す信号が入力される。コントローラ(95)は、入力されたこれらの計測値や信号に基づいて、調湿装置(10)の運転制御を行う。すなわち、コントローラ(95)は、各ダンパ(41)~(48)、(86)、(87)、各ファン(25)、(26)、圧縮機(53)、電動膨張弁(55)、及び四方切換弁(54)の動作を制御する。
【0071】
また、
図6に示すように、コントローラ(95)は、圧縮機制御部(96)と、運転モード決定部(97)とを備える。圧縮機制御部(96)は、前述のセンサ(91)~(94)の計測値等に基づいて、圧縮機(53)の運転周波数の目標値を設定する。運転モード決定部(97)は、前述のセンサ(91)~(94)の計測値や、空気調和機(150)の運転状態を示す信号などに基づいて、調湿装置(10)が実行すべき運転を決定する。
【0072】
さらに、コントローラ(95)は、各吸着脱離部(81,82)に担持された吸着材の温度、又は当該吸着材に供給される空気の相対湿度を制御する。具体的には、コントローラ(95)は、内気湿度センサ(92)、内気温度センサ(91)、外気湿度センサ(94)、及び外気温度センサ(93)が取得した温湿度データに基づいて、各吸着脱離部(81,82)つまり各吸着熱交換器(51,52)の温度を制御し、第1相対湿度値(RH1)の近傍で吸着材から水分を脱離させると共に、第2相対湿度値(RH2)の近傍で吸着材に水分を吸着させる。
【0073】
尚、第1吸着熱交換器(51)及び第2吸着熱交換器(52)によりヒートポンプを構成する場合、コントローラ(95)は、第1吸着熱交換器(51)の温度及び第2吸着熱交換器(52)の温度を連動して制御する。
【0074】
<運転動作>
本実施形態の調湿装置(10)は、除湿運転と、加湿運転と、冷却運転と、加熱運転と、換気運転とを選択的に行う。除湿運転及び加湿運転は、室内空間(200)へ供給される室外空気の絶対湿度の調節を目的とした調湿運転である。言い換えると、除湿運転及び加湿運転は、主に室内空間(200)の潜熱負荷(除湿負荷又は加湿負荷)を処理するための運転である。冷却運転及び加熱運転は、室内空間(200)へ供給される室外空気の温度の調節を目的とした顕熱処理運転である。言い換えると、冷却運転及び加熱運転は、主に室内空間(200)の顕熱負荷(冷房負荷又は暖房負荷)を処理するための運転である。換気運転は、室内空間(200)の換気だけを行うための運転である。
【0075】
除湿運転、加湿運転、冷却運転、加熱運転、及び換気運転のそれぞれでは、給気ファン(26)及び排気ファン(25)が作動すると共に、四方切換弁(54)と、各ダンパ(41)~(48)、(86)、(87)とに対して、一定時間毎にタイミングを合わせて動作切り替えが行われる。調湿装置(10)は、吸い込んだ室外空気(OA)を供給空気(SA)として室内空間(200)へ供給し、吸い込んだ室内空気(RA)を排出空気(EA)として室外空間(201)へ排出する。
【0076】
調湿装置(10)で用いる吸着材の吸着等温線が、
図1に示すように、水分を吸着する際の吸着線と、吸着した水分を脱離させる際の脱離線とを含む場合、コントローラ(95)は、脱離線における第1相対湿度値(RH1)の近傍で脱離部(81,82)から水分が脱離するように吸着熱交換器(51,52)の温度を制御すると共に、吸着線における第2相対湿度値(RH2)の近傍で吸着部(81,82)が水分を吸着するように吸着熱交換器(51,52)の温度を制御してもよい。
【0077】
以下、調湿装置(10)が行う除湿運転、加湿運転、及び換気運転について、詳細に説明する。
【0078】
[除湿運転]
除湿運転中の調湿装置(10)では、室外空気が外気吸込口(24)からケーシング(11)内へ第1処理空気として吸い込まれ、室内空気が内気吸込口(23)からケーシング(11)内へ第2処理空気として吸い込まれる。冷媒回路(50)では、圧縮機(53)が作動し、電動膨張弁(55)の開度が調節される。除湿運転中の調湿装置(10)は、後述する第1動作と第2動作とを例えば3分間ずつ交互に繰り返し行う。言い換えると、除湿運転では、第1動作及び第2動作の継続時間である第1所定時間が3分に設定される。
【0079】
図7に示す除湿運転の第1動作では、第2吸着熱交換器(52)が蒸発器として動作し、吸着脱離部(吸着部)(82)が第1処理空気(OA)中の水分を吸着して除湿空気を室内に給気(SA)する。また、第1吸着熱交換器(51)は凝縮器として動作し、吸着脱離部(脱離部)(81)が第2処理空気(RA)に水分を脱離させて高湿度空気を室外に排気(EA)する。
【0080】
図8に示す除湿運転の第2動作では、四方切換弁(54)及び各ダンパ(41~48)によって空気の流通経路が切り替えられ、第1吸着熱交換器(51)が蒸発器として動作し、吸着脱離部(脱離部)(81)が第1処理空気(OA)中の水分を吸着して除湿空気を室内に給気(SA)する。また、第2吸着熱交換器(52)は凝縮器として動作し、吸着脱離部(吸着部)(82)が第2処理空気(RA)に水分を脱離させて高湿度空気を室外に排気(EA)する。
【0081】
詳細には、
図7に示すように、除湿運転の第1動作では、切換機構(40)が空気の流通経路を第2経路に設定する。具体的には、第1内気側ダンパ(41)、第2外気側ダンパ(44)、第2給気側ダンパ(46)、及び第1排気側ダンパ(47)が開状態となり、第2内気側ダンパ(42)、第1外気側ダンパ(43)、第1給気側ダンパ(45)、及び第2排気側ダンパ(48)が閉状態となる。この第1動作中には、四方切換弁(54)が第1状態(
図5の(A)に示す状態)に設定される。冷媒回路(50)では冷凍サイクルが行われ、第1吸着熱交換器(51)が凝縮器(放熱器)として機能し、第2吸着熱交換器(52)が蒸発器として機能する。
【0082】
外気側通路(34)へ流入した第1処理空気(OA)は、第2外気側ダンパ(44)を通って第2熱交換器室(38)へ流入し、その後に第2吸着熱交換器(52)を通過する。第2吸着熱交換器(第1熱源)(52)つまり吸着脱離部(吸着部)(82)では、第1処理空気中の水分が吸着材に吸着され、その際に生じた吸着熱が冷媒に吸熱される。また、第2吸着熱交換器(52)では、第1処理空気の温度が幾分低下する。吸着部(82)において除湿された第1処理空気は、第2給気側ダンパ(46)を通って給気側通路(31)へ流入し、給気ファン室(36)を通過後に給気口(22)を通って室内空間(200)へ供給(SA)される。
【0083】
一方、内気側通路(32)へ流入した第2処理空気(RA)は、第1内気側ダンパ(41)を通って第1熱交換器室(37)へ流入し、その後に第1吸着熱交換器(51)を通過する。第1吸着熱交換器(第2熱源)(51)つまり吸着脱離部(脱離部)(81)では、冷媒によって加熱された吸着材から水分が脱離し、この脱離した水分が第2処理空気に付与される。脱離部(81)において水分を付与された第2処理空気は、第1排気側ダンパ(47)を通って排気側通路(33)へ流入し、排気ファン室(35)を通過後に排気口(21)を通って室外空間(201)へ排出(EA)される。
【0084】
また、
図8に示すように、除湿運転の第2動作では、切換機構(40)が空気の流通経路を第1経路に設定する。具体的には、第2内気側ダンパ(42)、第1外気側ダンパ(43)、第1給気側ダンパ(45)及び第2排気側ダンパ(48)が開状態となり、第1内気側ダンパ(41)、第2外気側ダンパ(44)、第2給気側ダンパ(46)、及び第1排気側ダンパ(47)が閉状態となる。この第2動作中には、四方切換弁(54)が第2状態(
図5の(B)に示す状態)に設定される。冷媒回路(50)では冷凍サイクルが行われ、第2吸着熱交換器(52)が凝縮器(放熱器)として機能し、第1吸着熱交換器(51)が蒸発器として機能する。
【0085】
外気側通路(34)へ流入した第1処理空気(OA)は、第1外気側ダンパ(43)を通って第1熱交換器室(37)へ流入し、その後に第1吸着熱交換器(51)を通過する。第1吸着熱交換器(第1熱源)(51)つまり吸着脱離部(吸着部)(81)では、第1処理空気中の水分が吸着材に吸着され、その際に生じた吸着熱が冷媒に吸熱される。第1吸着熱交換器(51)では、第1処理空気の温度が幾分低下する。吸着部(81)において除湿された第1処理空気は、第1給気側ダンパ(45)を通って給気側通路(31)へ流入し、給気ファン室(36)を通過後に給気口(22)を通って室内空間(200)へ供給(SA)される。
【0086】
一方、内気側通路(32)へ流入した第2処理空気(RA)は、第2内気側ダンパ(42)を通って第2熱交換器室(38)へ流入し、その後に第2吸着熱交換器(52)を通過する。第2吸着熱交換器(第2熱源)(52)つまり吸着脱離部(脱離部)(82)では、冷媒によって加熱された吸着材から水分が脱離し、この脱離した水分が第2処理空気に付与される。脱離部(82)において水分を付与された第2処理空気は、第2排気側ダンパ(48)を通って排気側通路(33)へ流入し、排気ファン室(35)を通過後に排気口(21)を通って室外空間(201)へ排出(EA)される。
【0087】
以上に説明した除湿運転において、コントローラ(95)は、室外から室内に給気する第1処理空気及び室内から室外へ排気する第2処理空気の温湿度データ(各センサ(91~94)の計測値)に基づいて、吸着部(81,82)に到達する第1処理空気の相対湿度が、吸着線における第2相対湿度値(RH2)の近傍の値を持つように吸着熱交換器(51,52)の温度を下げると共に、脱離部(81,82)に到達する第2処理空気の相対湿度が、脱離線における第1相対湿度値(RH1)の近傍の値を持つように吸着熱交換器(51,52)の温度を上げてもよい。これによって、エネルギー効率を向上させながら、第1処理空気(OA)を除湿空気として室内に給気(SA)し、第2処理空気(RA)を高湿度空気にして室外に排気(EA)することができる。
【0088】
[加湿運転]
加湿運転中の調湿装置(10)では、室外空気が外気吸込口(24)からケーシング(11)内へ第2処理空気として吸い込まれ、室内空気が内気吸込口(23)からケーシング(11)内へ第1処理空気として吸い込まれる。冷媒回路(50)では、圧縮機(53)が作動し、電動膨張弁(55)の開度が調節される。加湿運転中の調湿装置(10)は、後述する第1動作と第2動作とを例えば3分30秒ずつ交互に繰り返し行う。言い換えると、加湿運転では、第1動作及び第2動作の継続時間である第1所定時間が3分30秒に設定される。
【0089】
図9に示す加湿運転の第1動作では、第1吸着熱交換器(51)が凝縮器として動作し、吸着脱離部(脱離部)(81)が第2処理空気(OA)に水分を脱離させて加湿空気を室内に給気(SA)する。また、第2吸着熱交換器(52)は蒸発器として動作し、吸着脱離部(吸着部)(82)が第1処理空気(RA)中の水分を吸着して除湿空気を室外に排気(EA)する。
【0090】
図10に示す加湿運転の第2動作では、四方切換弁(54)及び各ダンパ(41~48)によって空気の流通経路が切り替えられ、第2吸着熱交換器(52)が凝縮器として動作し、吸着脱離部(脱離部)(82)が第2処理空気(OA)に水分を脱離させて加湿空気を室内に給気(SA)する。また、第1吸着熱交換器(51)は蒸発器として動作し、吸着脱離部(吸着部)(81)が第1処理空気(RA)中の水分を吸着して除湿空気を室外に排気(EA)する。
【0091】
詳細には、
図9に示すように、加湿運転の第1動作では、切換機構(40)が空気の流通経路を第1経路に設定する。具体的には、第2内気側ダンパ(42)、第1外気側ダンパ(43)、第1給気側ダンパ(45)、及び第2排気側ダンパ(48)が開状態となり、第1内気側ダンパ(41)、第2外気側ダンパ(44)、第2給気側ダンパ(46)、及び第1排気側ダンパ(47)が閉状態となる。この第1動作では、四方切換弁(54)が第1状態(
図5の(A)に示す状態)に設定される。冷媒回路(50)では冷凍サイクルが行われ、第1吸着熱交換器(51)が凝縮器(放熱器)として機能し、第2吸着熱交換器(52)が蒸発器として機能する。
【0092】
内気側通路(32)へ流入した第1処理空気(RA)は、第2内気側ダンパ(42)を通って第2熱交換器室(38)へ流入し、その後に第2吸着熱交換器(52)を通過する。第2吸着熱交換器(52)(第1熱源)つまり吸着脱離部(吸着部)(82)では、第1処理空気中の水分が吸着材に吸着され、その際に生じた吸着熱が冷媒に吸熱される。吸着部(82)において水分を奪われた第1空気は、第2排気側ダンパ(48)を通って排気側通路(33)へ流入し、排気ファン室(35)を通過後に排気口(21)を通って室外空間(201)へ排出(EA)される。
【0093】
一方、外気側通路(34)へ流入した第2処理空気(OA)は、第1外気側ダンパ(43)を通って第1熱交換器室(37)へ流入し、その後に第1吸着熱交換器(51)を通過する。第1吸着熱交換器(第2熱源)(51)つまり吸着脱離部(脱離部)(81)では、冷媒によって加熱された吸着材から水分が脱離し、この脱離した水分が第2処理空気に付与される。第1吸着熱交換器(51)では、第2処理空気の温度が幾分上昇する。脱離部(81)において加湿された第2処理空気は、第1給気側ダンパ(45)を通って給気側通路(31)へ流入し、給気ファン室(36)を通過後に給気口(22)を通って室内空間(200)へ供給(SA)される。
【0094】
また、
図10に示すように、加湿運転の第2動作では、切換機構(40)が空気の流通経路を第2経路に設定する。具体的には、第1内気側ダンパ(41)、第2外気側ダンパ(44)、第2給気側ダンパ(46)、及び第1排気側ダンパ(47)が開状態となり、第2内気側ダンパ(42)、第1外気側ダンパ(43)、第1給気側ダンパ(45)、及び第2排気側ダンパ(48)が閉状態となる。この第2動作では、四方切換弁(54)が第2状態(
図5の(B)に示す状態)に設定される。冷媒回路(50)では冷凍サイクルが行われ、第2吸着熱交換器(52)が凝縮器(放熱器)として機能し、第1吸着熱交換器(51)が蒸発器として機能する。
【0095】
内気側通路(32)へ流入した第1処理空気(RA)は、第1内気側ダンパ(41)を通って第1熱交換器室(37)へ流入し、その後に第1吸着熱交換器(51)を通過する。第1吸着熱交換器(第1熱源)(51)つまり吸着脱離部(吸着部)(81)では、第1処理空気中の水分が吸着材に吸着され、その際に生じた吸着熱が冷媒に吸熱される。吸着部(81)において水分を奪われた第1処理空気は、第1排気側ダンパ(47)を通って排気側通路(33)へ流入し、排気ファン室(35)を通過後に排気口(21)を通って室外空間(201)へ排出(EA)される。
【0096】
一方、外気側通路(34)へ流入した第2処理空気(OA)は、第2外気側ダンパ(44)を通って第2熱交換器室(38)へ流入し、その後に第2吸着熱交換器(52)を通過する。第2吸着熱交換器(第2熱源)(52)つまり吸着脱離部(脱離部)(82)では、冷媒によって加熱された吸着材から水分が脱離し、この脱離した水分が第2処理空気に付与される。第2吸着熱交換器(52)では、第2処理空気の温度が幾分上昇する。脱離部(82)において加湿された第2処理空気は、第2給気側ダンパ(46)を通って給気側通路(31)へ流入し、給気ファン室(36)を通過後に給気口(22)を通って室内空間(200)へ供給(SA)される。
【0097】
以上に説明した加湿運転において、コントローラ(95)は、室内から室外へ排気する第1処理空気及び室外から室内に給気する第2処理空気の温湿度データ(各センサ(91~94)の計測値)に基づいて、脱離部(81,82)に到達する第2処理空気の相対湿度が、脱離線における第1相対湿度値(RH1)の近傍の値を持つように吸着熱交換器(51,52)の温度を上げると共に、吸着部(81,82)に到達する第1処理空気の相対湿度が、吸着線における第2相対湿度値(RH2)の近傍の値を持つように吸着熱交換器(51,52)の温度を下げてもよい。これによって、エネルギー効率を向上させながら、第2処理空気(OA)を加湿空気として室内に給気(SA)し、第1処理空気(RA)を低湿度空気にして室外に排気(EA)することができる。
【0098】
[換気運転]
換気運転中の調湿装置(10)では、室外空気が外気吸込口(24)からケーシング(11)内へ第1処理空気として吸い込まれ、室内空気が内気吸込口(23)からケーシング(11)内へ第2処理空気として吸い込まれる。冷媒回路(50)では、圧縮機(53)の作動つまり冷凍サイクルが停止する。換気運転中の調湿装置(10)は、後述する第1動作と第2動作とを例えば3分間ずつ交互に繰り返し行う。言い換えると、換気運転では、第1動作及び第2動作の継続時間である第1所定時間が3分に設定される。
【0099】
図11に示す換気運転の第1動作では、外気吸込口(24)から外気側通路(34)へ吸い込まれた第1処理空気(OA)は、換気通路(85)を経由して給気ファン室(36)に流入し、給気ファン室(36)を通過後に給気口(22)を通って室内空間(200)へ供給(SA)される。一方、内気吸込口(23)から内気側通路(32)へ吸い込まれた第2処理空気(RA)は、第1内気側ダンパ(41)を通って第1熱交換器室(37)へ流入した後、第1排気側ダンパ(47)を通って排気側通路(33)へ流入し、排気ファン室(35)を通過後に排気口(21)を通って室外空間(201)へ排出(EA)される。すなわち、換気運転の第1動作では、第1内気側ダンパ(41)、第1排気側ダンパ(47)、第1換気用ダンパ(86)、及び第2換気用ダンパ(87)が開状態となり、第2内気側ダンパ(42)、第1外気側ダンパ(43)、第2外気側ダンパ(44)、第1給気側ダンパ(45)、第2給気側ダンパ(46)、及び第2排気側ダンパ(48)が閉状態となる。
【0100】
図12に示す換気運転の第2動作では、外気吸込口(24)から外気側通路(34)へ吸い込まれた第1処理空気(OA)は、換気通路(85)を経由して給気ファン室(36)に流入し、給気ファン室(36)を通過後に給気口(22)を通って室内空間(200)へ供給(SA)される。一方、内気吸込口(23)から内気側通路(32)へ吸い込まれた第2処理空気(RA)は、第2内気側ダンパ(42)を通って第2熱交換器室(38)へ流入した後、第2排気側ダンパ(48)を通って排気側通路(33)へ流入し、排気ファン室(35)を通過後に排気口(21)を通って室外空間(201)へ排出(EA)される。すなわち、換気運転の第2動作では、第2内気側ダンパ(42)、第2排気側ダンパ(48)、第1換気用ダンパ(86)、及び第2換気用ダンパ(87)が開状態となり、第1内気側ダンパ(41)、第1外気側ダンパ(43)、第2外気側ダンパ(44)、第1給気側ダンパ(45)、第2給気側ダンパ(46)、及び第1排気側ダンパ(47)が閉状態となる。
【0101】
<調湿制御>
以下、
図13を参照しながら、本実施形態の調湿装置(10)のコントローラ(95)による調湿制御の処理フローについて説明する。
【0102】
まず、ステップS101において、調湿装置(10)が起動されると、コントローラ(95)は、各ファン(25)、(26)、及び各ダンパ(41)~(48)、(86)、(87)を作動させる。
【0103】
次に、ステップS102において、コントローラ(95)は、外気吸込口(24)及び内気吸込口(23)から吸い込まれた空気(OA、RA:以下、合わせて入口空気ということもある)の温度及び相対湿度(センサ(91~94)により計測された温湿度データ)を取得する。
【0104】
次に、ステップS103において、コントローラ(95)は、選択されている運転モードを判定し、運転モードに応じて、各ダンパ(41)~(48)、(86)、(87)、及び四方切換弁(54)の制御を行う。
【0105】
具体的には、「除湿運転」が選択されている場合、ステップS104において、コントローラ(95)は、外気吸込口(24)から吸い込まれた空気(OA)が蒸発器となる吸着熱交換器(51,52)を通り、且つ内気吸込口(23)から吸い込まれた空気(RA)が凝縮器となる吸着熱交換器(51,52)を通るように、各ダンパ(41)~(48)、及び四方切換弁(54)を操作して、第1動作及び第2動作のバッチ切替制御を行う。
【0106】
また、「加湿運転」が選択されている場合、ステップS105において、コントローラ(95)は、外気吸込口(24)から吸い込まれた空気(OA)が凝縮器となる吸着熱交換器(51,52)を通り、且つ内気吸込口(23)から吸い込まれた空気(RA)が蒸発器となる吸着熱交換器(51,52)を通るように、各ダンパ(41)~(48)、及び四方切換弁(54)を操作して、第1動作及び第2動作のバッチ切替制御を行う。
【0107】
次に、運転モードが「除湿運転」又は「加湿運転」である場合は、ステップS104又はS105に続いて、ステップ106において、コントローラ(95)は、ステップS102で取得した入口空気の温湿度データと、予め記憶された吸着材の吸着特性(吸着等温線(吸着線及び脱離線)、第1相対湿度値(RH1)、第2相対湿度値(RH2))とに基づいて、凝縮器となる吸着熱交換器(51,52)の目標温度Tc、及び蒸発器となる吸着熱交換器(51,52)の目標温度Teを算出する。目標温度Tcは、脱離線における第1相対湿度値(RH1)の近傍で、脱離部(81,82)から水分が脱離するように設定される。目標温度Teは、吸着線における第2相対湿度値(RH2)の近傍で、吸着部(81,82)が水分を吸着するように設定される。
【0108】
尚、吸着材の吸着特性が温度依存性を有する場合、吸着熱交換器(熱源)(51,52)の制御によって吸着材の温度が変われば、目標温度Tc、Teの算出に使用する吸着等温線(吸着線、脱離線)が計算式やテーブル等によって更新されるように、コントローラ(95)を構成してもよい。
【0109】
次に、運転モードが「除湿運転」又は「加湿運転」である場合は、ステップS106に続いて、ステップ107において、コントローラ(95)は、ステップS106で算出された目標温度Tc、Teに基づいて、第1吸着熱交換器(51)及び第2吸着熱交換器(52)に対して、ヒートポンプ(HP)運転制御を開始する。
【0110】
一方、ステップS103で「換気運転」が選択されていると判定された場合、ステップS108において、コントローラ(95)は、外気吸込口(24)から吸い込まれた空気(OA)が換気通路(85)を通るように、各ダンパ(86)、(87)の制御を行う。
【0111】
尚、運転モードが「換気運転」である場合は、ステップS106の目標温度Tc、Teの算出、及びステップS107のヒートポンプ運転制御は行わない。
【0112】
次に、ステップ107又はS108に続いて、ステップS109において、コントローラ(95)は、入口空気の温湿度に変化が有るかどうか、或いは、運転モードの変更や装置の稼働停止の指示が有るかどうかを判定する。
【0113】
ステップS109で入口空気の温湿度が変化したと判定された場合、運転モードが「除湿運転」又は「加湿運転」であれば、ステップS106に戻り、コントローラ(95)は、目標温度Tc、Teを再算出する。
【0114】
ステップS109で入口空気の温湿度に変化が無いと判定された場合、運転モードが「除湿運転」又は「加湿運転」であれば、コントローラ(95)は、ステップS107での目標温度Tc、Teに基づくヒートポンプ運転を維持する。
【0115】
尚、ステップS107では、凝縮器及び蒸発器のそれぞれの目標温度Tc、Teについて両方の目標温度Tc、Teがバランスして達成されることが望ましいが、凝縮器又は蒸発器となる吸着熱交換器(51,52)の温度が目標温度Tc、Teを外れて成り行き温度になる可能性がある。この場合、コントローラ(95)は、消費電力の無駄が少ないように第1吸着熱交換器(51)及び第2吸着熱交換器(52)の温度制御を行ってもよい。
【0116】
ステップS109で運転モード変更の指示が有ったと判定された場合は、ステップS103に戻り、コントローラ(95)は、変更後の運転モードに応じた制御を行う。
【0117】
ステップS109で装置の稼働停止の指示が有ったと判定された場合は、ステップS110において、コントローラ(95)は、各ファン(25)、(26)、及び各ダンパ(41)~(48)、(86)、(87)の作動を停止すると共にヒートポンプ(HP)運転を停止し、調湿装置(10)の稼働を停止させる。
【0118】
<実施形態1の特徴>
本実施形態の調湿装置(10)は、空気中の水分を吸着する吸着材を用いて、対象空間の除湿又は加湿を行う。調湿装置(10)は、吸着材の温度、又は吸着材に供給される空気の相対湿度を制御するコントローラ(95)を備える。調湿装置(10)で用いる吸着材の吸着等温線において、第1相対湿度値(RH1)未満を第1範囲(I)とし、第1相対湿度値(RH1)以上第2相対湿度値(RH2)(RH2>RH1)以下を第2範囲(II)とし、第2相対湿度値(RH2)超を第3範囲(III)とすると、第2範囲(II)における相対湿度の変化に対する吸着材の含水率の変化は、第1範囲(I)及び第3範囲(III)における相対湿度の変化に対する吸着材の含水率の変化よりも大きい。コントローラ(95)は、第1相対湿度値(RH1)の近傍、例えば(RH1-10%)~(RH1)の範囲、好ましくは(RH1-5%)~(RH1)の範囲、より好ましくは(RH1-3%)~(RH1)の範囲で吸着材から水分を脱離させる。コントローラ(95)は、第2相対湿度値(RH2)の近傍、例えば(RH2)~(RH2+10%)の範囲、好ましくは(RH2)~(RH2+5%)の範囲、より好ましくは(RH2)~(RH2+3%)の範囲で吸着材に水分を吸着させる。
【0119】
本実施形態の調湿装置(10)によると、吸着材の吸着特性を考慮して、コントローラ(95)が、吸着材の温度、又は吸着材に供給される空気の相対湿度を制御する。このため、吸着材において必要な吸着量が得られる相対湿度範囲を実現するための熱源(吸着熱交換器(51,52))の温度変化幅を抑制できるので、エネルギー効率が向上する。
【0120】
また、本実施形態の調湿装置(10)によると、いわゆるS字型の吸着特性を持つ吸着材を用いるため、吸着材において必要な吸着量が得られる相対湿度範囲を実現するための熱源(吸着熱交換器(51,52))の温度変化幅をより一層抑制できるので、エネルギー効率をより一層向上させることができる。
【0121】
また、本実施形態の調湿装置(10)によると、吸着材を担持する吸着熱交換器(51,52)、つまり吸着脱離部(81,82)に対する加熱や冷却の際の温度変化幅が小さくなる。このため、温度変化や吸着材の膨潤収縮に起因する吸着脱離部(81,82)の応力変動等を低減できるので、吸着脱離部(81,82)の劣化を抑制して吸着脱離部(81,82)の寿命を延ばすことができる。
【0122】
また、本実施形態の調湿装置(10)によると、吸着材の吸着特性に応じて、除湿運転や加湿運転に必要な凝縮器温度(目標Tc)と蒸発器温度(目標Te)との温度差を小さくできる。従って、従来技術と比較して、圧縮機(53)の回転数を下げることができるので、調湿装置(10)の省エネ性が向上する。
【0123】
本実施形態の調湿装置(10)で用いる吸着材において、第2範囲(II)における吸着等温線の傾きは、第1範囲(I)及び第3範囲(III)における吸着等温線の傾きの5倍以上であってもよい。このようにすると、エネルギー効率をさらに向上させることができる。
【0124】
本実施形態の調湿装置(10)で用いる吸着材において、第2範囲(II)における含水率の変化量ΔWは、吸着材の最大含水率の50%以上であってもよい。このようにすると、エネルギー効率をさらに向上させることができる。
【0125】
本実施形態の調湿装置(10)で用いる吸着材において、第2相対湿度値(RH2)と第1相対湿度値(RH1)との差分は、40%以下であってもよい。このようにすると、エネルギー効率をさらに向上させることができる。
【0126】
本実施形態の調湿装置(10)で用いる吸着材は、金属有機構造体(MOF)であってもよい。このようにすると、所望の吸着特性を持つ吸着材を得ることができる。
【0127】
本実施形態の調湿装置(10)において、吸着材が担持され且つ処理空気中の水分を吸着すると共に吸着した水分を脱離させる吸着脱離部(81,82)と、吸着脱離部(81,82)が水分の吸着及び脱離を行う相対湿度を調節する熱源(吸着熱交換器(51,52))と、処理空気の気流を制御するファン(25,26)と、処理空気の温湿度データを取得する取得部(センサ(91~94))とを備え、コントローラ(95)は、センサ(91~94)が取得した温湿度データに基づいて吸着熱交換器(51,52)の温度を制御してもよい。このようにすると、吸着材において必要な吸着量が得られる相対湿度範囲を実現するための吸着熱交換器(51,52)の温度制御が可能となる。
【0128】
本実施形態の調湿装置(10)で用いる吸着材において、吸着等温線は、水分を吸着する際の吸着線と、吸着した水分を脱離させる際の脱離線とを含んでもよい。この場合、吸着脱離部(81,82)の一方は、処理空気中の水分を吸着する吸着部(81,82)であり、吸着脱離部(81,82)の他方は、吸着した水分を脱離させる脱離部(81,82)であり、吸着熱交換器(51,52)の一方は、吸着部(81,82)が水分の吸着を行う相対湿度を調節する第1熱源であり、吸着熱交換器(51,52)の他方は、脱離部(81,82)が水分の脱離を行う相対湿度を調節する第2熱源であってもよい。また、コントローラ(95)は、脱離線における第1相対湿度値(RH1)の近傍で脱離部(81,82)から水分が脱離するように吸着熱交換器(51,52)の一方の温度を制御すると共に、吸着線における第2相対湿度値(RH2)の近傍で吸着部(81,82)が水分を吸着するように吸着熱交換器(51,52)の他方の温度を制御してもよい。このようにすると、第1相対湿度値(RH1)の近傍で脱離部(81,82)の吸着材から水分を脱離させることができると共に、第2相対湿度値(RH2)の近傍で吸着部(81,82)の吸着材に水分を吸着させることができる。
【0129】
本実施形態の調湿装置(10)が除湿運転を行う場合、コントローラ(95)は、室外から室内に給気する第1処理空気及び室内から室外へ排気する第2処理空気の温湿度データ(各センサ(91~94)の計測値)に基づいて、吸着部(81,82)に到達する第1処理空気の相対湿度が、吸着線における第2相対湿度値(RH2)の近傍の値を持つように第1熱源となる吸着熱交換器(51,52)の温度を下げると共に、脱離部(81,82)に到達する第2処理空気の相対湿度が、脱離線における第1相対湿度値(RH1)の近傍の値を持つように第2熱源となる吸着熱交換器(51,52)の温度を上げてもよい。このようにすると、エネルギー効率を向上させながら、第1処理空気を除湿空気として室内に給気し、第2処理空気を高湿度空気にして室外に排気することができる。
【0130】
本実施形態の調湿装置(10)が加湿運転を行う場合、コントローラ(95)は、室内から室外へ排気する第1処理空気及び室外から室内に給気する第2処理空気の温湿度データ(各センサ(91~94)の計測値)に基づいて、脱離部(81,82)に到達する第2処理空気の相対湿度が、脱離線における第1相対湿度値(RH1)の近傍の値を持つように第2熱源となる吸着熱交換器(51,52)の温度を上げると共に、吸着部(81,82)に到達する第1処理空気の相対湿度が、吸着線における第2相対湿度値(RH2)の近傍の値を持つように第1熱源となる吸着熱交換器(51,52)の温度を下げてもよい。このようにすると、エネルギー効率を向上させながら、第2処理空気を加湿空気として室内に給気し、第1処理空気を低湿度空気にして室外に排気することができる。
【0131】
本実施形態の調湿装置(10)において、第1吸着熱交換器(51)及び第2吸着熱交換器(52)は、ヒートポンプを構成し、コントローラ(95)は、第1吸着熱交換器(51)の温度及び第2吸着熱交換器(52)の温度を連動して制御してもよい。このようにすると、調湿装置(10)のエネルギー効率をより一層向上させることができる。
【0132】
(実施形態2)
実施形態2に係る調湿装置(110)は、空気中の水分を吸着する吸着材を用いて、対象空間の除湿又は加湿を行う。調湿装置(110)は、吸着材の吸着特性を考慮して、吸着材の温度、又は吸着材に供給される空気の相対湿度を制御する。
【0133】
本実施形態の調湿装置(110)で用いる吸着材は、実施形態1と同様であり、例えば
図1に示すようなS字型の吸着特性(吸着等温線)を持つ。
【0134】
本実施形態の調湿装置(110)は、第1相対湿度値(RH1)の近傍、例えば(RH1-10%)~(RH1)の範囲、好ましくは(RH1-5%)~(RH1)の範囲、より好ましくは(RH1-3%)~(RH1)の範囲で吸着材から水分を脱離させる。
【0135】
本実施形態の調湿装置(110)は、第2相対湿度値(RH2)の近傍、例えば(RH2)~(RH2+10%)の範囲、好ましくは(RH2)~(RH2+5%)の範囲、より好ましくは(RH2)~(RH2+3%)の範囲で吸着材に水分を吸着させる。
【0136】
<調湿装置の構成>
本実施形態の調湿装置(110)は、室内空間の湿度調節と共に室内空間の換気を行う。調湿装置(110)は、吸い込んだ室外空気(OA)を湿度調節して室内空間へ供給(SA)すると同時に、吸い込んだ室内空気(RA)を室外空間へ排出(EA)する。調湿装置(110)は、空気調和機と共に設置されてもよい。調湿装置(110)は、空気調和機、具体的には、室外機と一体に構成されてもよい。
【0137】
調湿装置(110)について、
図14を参照しながら詳細に説明する。
【0138】
調湿装置(110)は、ケーシング(111)を備える。ケーシング(111)は、やや扁平で高さが比較的低い直方体状に形成される。ケーシング(111)の内部空間は、仕切板(112)によって、第1空気通路(113)と第2空気通路(114)とに区画される。第1空気通路(113)と第2空気通路(114)とは、仕切板(112)を挟んで対向する。第1空気通路(113)の室外側端部には外気吸込口(111a)が形成され、室内側端部には給気口(111b)が形成される。第2空気通路(114)の室内側端部には内気吸込口(111c)が形成され、室外側端部には排気口(111d)が形成される。図示は省略しているが、外気吸込口(111a)には外気吸込ダクトが、給気口(111b)には給気ダクトが、内気吸込口(111c)には内気吸込ダクトが、排気口(111d)には排気ダクトが、それぞれ接続されてもよい。
【0139】
調湿装置(110)には、第1空気通路(113)及び第2空気通路(114)の両方を横断する姿勢で調湿ロータ(115)が設置される。調湿ロータ(115)は、例えば円板状に形成されている。調湿ロータ(115)は、例えばハニカム状に形成された基材の表面に吸着材を担持させて構成される。調湿ロータ(115)は、その厚さ方向に空気を通過させることができ、通過する空気と吸着材とを接触させるように構成される。調湿ロータ(115)の基材としては、セラミック紙、ガラス繊維、セルロースを主成分とした有機化合物(例えば紙)、金属、樹脂等の材料が利用可能である。調湿ロータ(115)を円板状に形成する代わりに、多角形の板状に形成してもよい。調湿ロータ(115)の基材をハニカム状に形成する代わりに、メッシュ状やフィルタ状に形成してもよい。
【0140】
調湿ロータ(115)は、図外のモータによって駆動されて中心軸周りに所定の速度で回転し、第1空気通路(113)と第2空気通路(114)との間を移動する。すなわち、調湿ロータ(115)において、第1空気通路(113)を流れる空気と接触した部分は、回転に伴って第2空気通路(114)に移動し、第2空気通路(114)を流れる空気と接触した部分は、回転に伴って第1空気通路(113)に再び移動する。調湿ロータ(115)のうち第1空気通路(113)及び第2空気通路(114)に位置する部分はそれぞれ、吸着脱離部(吸着部又は脱離部)(115A,115B)として機能する。
【0141】
第1空気通路(113)における外気吸込口(111a)の近傍には、外気温湿度センサ(121)及び外気側フィルタ(122)が設置される。外気温湿度センサ(121)は、第1空気通路(113)を流れる室外空気(OA)の温度及び相対湿度を計測する。外気側フィルタ(122)は、通過する空気から粉塵等を除去する。第1空気通路(113)における調湿ロータ(115)の上流には、調湿ロータ(115)(吸着脱離部(115A))に供給する空気の相対湿度を調節する外気側熱源(第1熱源又は第2熱源)(123)が設置される。外気側熱源(123)は、ヒータ及び/又はクーラであってもよい。第1空気通路(113)における調湿ロータ(115)の下流には、給気ファン(124)が設置される。給気ファン(124)を運転すると、第1空気通路(113)に室外空気が取り込まれ、取り込まれた室外空気は、調湿ロータ(115)を通過した後に室内へ給気(SA)される。
【0142】
第2空気通路(114)における内気吸込口(111c)の近傍には、内気温湿度センサ(131)及び内気側フィルタ(132)が設置される。内気温湿度センサ(131)は、第2空気通路(114)を流れる室内空気(RA)の温度及び相対湿度を計測する。内気側フィルタ(132)は、通過する空気から粉塵等を除去する。第2空気通路(114)における調湿ロータ(115)の上流には、調湿ロータ(115)(吸着脱離部(115B))に供給する空気の相対湿度を調節する内気側熱源(第1熱源又は第2熱源)(133)が設置される。内気側熱源(133)は、ヒータ及び/又はクーラであってもよい。第2空気通路(114)における調湿ロータ(115)の下流には、排気ファン(134)が設置される。排気ファン(134)を運転すると、第2空気通路(114)に室内空気が取り込まれ、取り込まれた室内空気は、調湿ロータ(115)を通過した後に室外へ排気(EA)される。
【0143】
図示は省略しているが、調湿装置(110)には、後述する制御部(140)が実装される制御用基板や電源基板等を備える電装品箱が設けられる。
【0144】
<制御部>
制御部(140)は、例えば、マイクロコンピュータと、当該マイクロコンピュータを動作させるためのソフトウエアを格納するメモリデバイスとを用いて構成してもよい。制御部(140)には、外気温湿度センサ(121)及び内気温湿度センサ(131)の計測値が入力される。制御部(140)は、入力されたこれらの計測値に基づいて、調湿装置(110)の運転制御を行う。すなわち、制御部(140)は、調湿ロータ(115)、各熱源(123)、(133)、各ファン(124)、(134)の動作を制御する。
【0145】
制御部(140)は、各吸着脱離部(115A,115B)に担持された吸着材の温度、又は当該吸着材に供給される空気の相対湿度を制御する。具体的には、制御部(140)は、外気温湿度センサ(121)及び内気温湿度センサ(131)が取得した温湿度データに基づいて、各熱源(123)、(133)の温度を制御し、第1相対湿度値(RH1)の近傍で吸着材(脱離部(115A,115B))から水分を脱離させると共に、第2相対湿度値(RH2)の近傍で吸着材(吸着部(115A,115B))に水分を吸着させる。
【0146】
尚、制御部(140)は、外気側熱源(123)の温度及び内気側熱源(133)の温度を独立して制御してもよい。
【0147】
<運転動作>
本実施形態の調湿装置(110)は、除湿運転と、加湿運転と、換気運転とを選択的に行う。除湿運転及び加湿運転は、室内へ供給される室外空気の絶対湿度の調節を目的とした調湿運転である。換気運転は、室内の換気だけを行うための運転である。
【0148】
除湿運転及び加湿運転では、調湿ロータ(115)、各熱源(123)、(133)、及び各ファン(124)、(134)が作動する。換気運転では、調湿ロータ(115)及び各ファン(124)、(134)のみが作動する。調湿装置(110)は、吸い込んだ室外空気(OA)を供給空気(SA)として室内へ供給し、吸い込んだ室内空気(RA)を排出空気(EA)として室外へ排出する。
【0149】
調湿装置(110)で用いる吸着材の吸着等温線が、
図1に示すように、水分を吸着する際の吸着線と、吸着した水分を脱離させる際の脱離線とを含む場合、制御部(140)は、脱離線における第1相対湿度値(RH1)の近傍で脱離部(115A,115B)から水分が脱離するように熱源(123,124)の温度を制御すると共に、吸着線における第2相対湿度値(RH2)の近傍で吸着部(115A,115B)が水分を吸着するように熱源(123,124)の温度を制御してもよい。
【0150】
以下、調湿装置(110)が行う除湿運転、加湿運転、及び換気運転について、詳細に説明する。
【0151】
[除湿運転]
調湿装置(110)では、給気ファン(124)及び排気ファン(134)が運転され、外気側熱源(123)及び内気側熱源(133)に通電される。また、調湿ロータ(115)が、図外のモータによって所定の回転数で回転駆動される。
【0152】
第1空気通路(113)には、室外空気(OA)が取り込まれる。第1空気通路(113)に取り込まれた室外空気は、外気側熱源(第1熱源)(123)によって冷却された後に、調湿ロータ(115)の吸着脱離部(吸着部)(115A)に送られて吸着材と接触する。この冷却された室外空気との接触によって、吸着部(115A)の吸着材が冷却され、当該吸着材には、室外空気に含まれる水分が吸着される。吸着部(115A)を通過して水分を奪われた低湿度空気は室内に給気(SA)される。
【0153】
調湿ロータ(115)は、所定の回転数で回転している。従って、吸着部(115A)つまり第1空気通路(113)において室外空気から水分を吸着した吸着材は、調湿ロータ(115)の回転に伴って、第2空気通路(114)に移動する。
【0154】
第2空気通路(114)には、室内空気(RA)が取り込まれる。第2空気通路(114)に取り込まれた室内空気は、内気側熱源(第2熱源)(133)によって加熱される。加熱された室内空気は、調湿ロータ(115)の吸着脱離部(脱離部)(115B)に送られて吸着材と接触する。この加熱された室内空気との接触によって、脱離部(115B)の吸着材が加熱され、当該吸着材から水分が脱離する。吸着材から脱離した水分は、調湿ロータ(115)を通過した室内空気と共に室外へ排気(EA)される。
【0155】
脱離部(115B)において水分が脱離して再生された吸着材は、調湿ロータ(115)の回転に伴って、再び第1空気通路(113)に移動する。以上のように、吸着材は、調湿ロータ(115)の回転に伴って移動し、吸着部(115A)における水分の吸着と、脱離部(115B)における水分の脱離とを交互に繰り返す。
【0156】
以上に説明した除湿運転において、制御部(140)は、室外から室内に給気する第1処理空気及び室内から室外へ排気する第2処理空気の温湿度データ(各センサ(121,131)の計測値)に基づいて、吸着部(115A)に到達する第1処理空気の相対湿度が、吸着線における第2相対湿度値(RH2)の近傍の値を持つように外気側熱源(第1熱源)(123)の温度を下げると共に、脱離部(115B)に到達する第2処理空気の相対湿度が、脱離線における第1相対湿度値(RH1)の近傍の値を持つように内気側熱源(第2熱源)(133)の温度を上げてもよい。これによって、エネルギー効率を向上させながら、第1処理空気(OA)を除湿空気として室内に給気(SA)し、第2処理空気(RA)を高湿度空気にして室外に排気(EA)することができる。
【0157】
[加湿運転]
調湿装置(110)では、給気ファン(124)及び排気ファン(134)が運転され、外気側熱源(123)及び内気側熱源(133)に通電される。また、調湿ロータ(115)が、図外のモータによって所定の回転数で回転駆動される。
【0158】
第1空気通路(113)には、室外空気(OA)が取り込まれる。第1空気通路(113)に取り込まれた室外空気は、外気側熱源(第2熱源)(123)によって加熱される。加熱された室外空気は、調湿ロータ(115)の吸着脱離部(脱離部)(115A)に送られて吸着材と接触する。この加熱された室内空気との接触によって、脱離部(115A)の吸着材が加熱され、当該吸着材から水分が脱離する。吸着材から脱離した水分は、調湿ロータ(115)を通過した室外空気に添加されて加湿空気を生成し、当該加湿空気は室内に給気(SA)される。
【0159】
調湿ロータ(115)は、所定の回転数で回転している。従って、脱離部(115A)つまり第1空気通路(113)において室外空気に水分を脱離させた吸着材は、調湿ロータ(115)の回転に伴って、第2空気通路(114)に移動する。
【0160】
第2空気通路(114)には、室内空気(RA)が取り込まれる。第2空気通路(114)に取り込まれた室内空気は、内気側熱源(第1熱源)(133)によって冷却された後に、調湿ロータ(115)の吸着脱離部(吸着部)(115B)に送られて吸着材と接触する。この冷却された室内空気との接触によって、吸着部(115B)の吸着材が冷却され、当該吸着材には、室内空気に含まれる水分が吸着される。吸着部(115B)を通過して水分を奪われた室内空気は室外へ排気(EA)される。
【0161】
吸着部(115B)において水分を吸着した吸着材は、調湿ロータ(115)の回転に伴って、再び第1空気通路(113)に移動する。以上のように、吸着材は、調湿ロータ(115)の回転に伴って移動し、吸着部(115B)における水分の吸着と、脱離部(115A)における水分の脱離とを交互に繰り返す。
【0162】
以上に説明した加湿運転において、制御部(140)は、室内から室外へ排気する第1処理空気及び室外から室内に給気する第2処理空気の温湿度データ(各センサ(121,131)の計測値)に基づいて、脱離部(115A)に到達する第2処理空気の相対湿度が、脱離線における第1相対湿度値(RH1)の近傍の値を持つように外気側熱源(第2熱源)(123)の温度を上げると共に、吸着部(115B)に到達する第1処理空気の相対湿度が、吸着線における第2相対湿度値(RH2)の近傍の値を持つように内気側熱源(第1熱源)(133)の温度を下げてもよい。これによって、エネルギー効率を向上させながら、第2処理空気(OA)を加湿空気として室内に給気(SA)し、第1処理空気(RA)を低湿度空気にして室外に排気(EA)することができる。
【0163】
[換気運転]
換気運転中の調湿装置(110)では、給気ファン(124)、排気ファン(134)、及び調湿ロータ(115)が運転され、室外空気(OA)が外気吸込口(111a)から第1空気通路(113)に吸い込まれ、室内空気(RA)が内気吸込口(111c)から第2空気通路(114)に吸い込まれる。外気側熱源(123)及び内気側熱源(133)の動作は停止させる。
【0164】
外気吸込口(111a)から第1空気通路(113)へ吸い込まれた室外空気は、調湿ロータ(115)を通過して給気口(111b)から室内へ供給(SA)される。一方、内気吸込口(111c)から第2空気通路(114)へ吸い込まれた室内空気(RA)は、調湿ロータ(115)を通過して排気口(111d)から室外へ排出(EA)される。
【0165】
<調湿制御>
以下、
図15を参照しながら、本実施形態の調湿装置(110)の制御部(140)による調湿制御の処理フローについて説明する。
【0166】
まず、ステップS201において、調湿装置(110)が起動されると、制御部(140)は、給気ファン(124)、排気ファン(134)、及び調湿ロータ(115)を作動させる。
【0167】
次に、ステップS202において、制御部(140)は、外気吸込口(111a)及び内気吸込口(111c)及びから吸い込まれた空気(OA,RA:以下、合わせて入口空気ということもある)の温度及び相対湿度(センサ(121,131)により計測された温湿度データ)を取得する。
【0168】
次に、ステップS203において、制御部(140)は、選択されている運転モードを判定し、運転モードに応じて、各熱源(123)、(133)の制御を行う。
【0169】
具体的には、「除湿運転」又は「加湿運転」が選択されている場合、ステップ204において、制御部(140)は、ステップS202で取得した入口空気の温湿度データと、予め記憶された吸着材の吸着特性(吸着等温線(吸着線及び脱離線)、第1相対湿度値(RH1)、第2相対湿度値(RH2))とに基づき、各熱源(123)、(133)の目標温度を算出する。各熱源(123)、(133)の目標温度は、脱離線における第1相対湿度値(RH1)の近傍で脱離部(115A,115B)から水分が脱離すると共に、吸着線における第2相対湿度値(RH2)の近傍で吸着部(115A,115B)が水分を吸着するように設定される。
【0170】
尚、吸着材の吸着特性が温度依存性を有する場合、各熱源(123)、(133)の制御によって吸着材の温度が変われば、目標温度の算出に使用する吸着等温線(吸着線、脱離線)が計算式やテーブル等によって更新されるように、制御部(140)を構成してもよい。
【0171】
次に、運転モードが「除湿運転」又は「加湿運転」である場合は、ステップS204に続いて、ステップ205において、制御部(140)は、ステップS204で算出された目標温度に基づいて、各熱源(123)、(133)の温度制御を開始する。
【0172】
ステップ205では、各熱源(123)、(133)から調湿ロータ(115)までの距離に起因する温度低下によって、吸着脱離部(115A,115B)の相対湿度が目標値から外れる場合を考慮して、この温度低下を補正して各熱源(123)、(133)の温度制御を行ってもよい。
【0173】
尚、運転モードが「換気運転」である場合は、ステップS204の目標温度算出、及びステップS205の熱源制御は行わずに、次のステップS206に進む。
【0174】
次に、ステップS206において、制御部(140)は、入口空気の温湿度に変化が有るかどうか、また、運転モードの変更や装置の稼働停止の指示が有るかどうかを判定する。
【0175】
ステップS206で入口空気の温湿度が変化したと判定された場合、運転モードが「除湿運転」又は「加湿運転」であれば、ステップS204に戻り、制御部(140)は、各熱源(123)、(133)の目標温度を再算出する。
【0176】
ステップS206で入口空気の温湿度に変化が無いと判定された場合、運転モードが「除湿運転」又は「加湿運転」であれば、制御部(140)は、ステップS205での各熱源(123)、(133)の温度制御を維持する。
【0177】
ステップS206で運転モード変更の指示が有ったと判定された場合は、ステップS203に戻り、制御部(140)は、変更後の運転モードに応じた制御を行う。
【0178】
ステップS206で装置の稼働停止の指示が有ったと判定された場合は、ステップS207において、制御部(140)は、各ファン(124)、(134)、及び調湿ロータ(115)の作動を停止すると共に各熱源(123)、(133)の運転を停止し、調湿装置(110)の稼働を停止させる。
【0179】
<実施形態2の特徴>
本実施形態の調湿装置(110)は、空気中の水分を吸着する吸着材を用いて、対象空間の除湿又は加湿を行う。調湿装置(110)は、吸着材の温度、又は吸着材に供給される空気の相対湿度を制御する制御部(140)を備える。調湿装置(110)で用いる吸着材の吸着等温線において、第1相対湿度値(RH1)未満を第1範囲(I)とし、第1相対湿度値(RH1)以上第2相対湿度値(RH2)(RH2>RH1)以下を第2範囲(II)とし、第2相対湿度値(RH2)超を第3範囲(III)とすると、第2範囲(II)における相対湿度の変化に対する吸着材の含水率の変化は、第1範囲(I)及び第3範囲(III)における相対湿度の変化に対する吸着材の含水率の変化よりも大きい。制御部(140)は、第1相対湿度値(RH1)の近傍、例えば(RH1-10%)~(RH1)の範囲、好ましくは(RH1-5%)~(RH1)の範囲、より好ましくは(RH1-3%)~(RH1)の範囲で吸着材から水分を脱離させる。制御部(140)は、第2相対湿度値(RH2)の近傍、例えば(RH2)~(RH2+10%)の範囲、好ましくは(RH2)~(RH2+5%)の範囲、より好ましくは(RH2)~(RH2+3%)の範囲で吸着材に水分を吸着させる。
【0180】
本実施形態の調湿装置(110)によると、吸着材の吸着特性を考慮して、制御部(140)が、吸着材の温度、又は吸着材に供給される空気の相対湿度を制御する。このため、吸着材において必要な吸着量が得られる相対湿度範囲を実現するための熱源(123,133)の温度変化幅を抑制できるので、エネルギー効率が向上する。
【0181】
また、本実施形態の調湿装置(110)によると、いわゆるS字型の吸着特性を持つ吸着材を用いるため、吸着材において必要な吸着量が得られる相対湿度範囲を実現するための熱源(123,133)の温度変化幅をより一層抑制できるので、エネルギー効率をより一層向上させることができる。
【0182】
また、本実施形態の調湿装置(110)によると、吸着材を担持する調湿ロータ(115)、つまり吸着脱離部(115A,115B)に対する加熱や冷却の際の温度変化幅が小さくなる。このため、温度変化や吸着材の膨潤収縮に起因する吸着脱離部(115A,115B)の応力変動等を低減できるので、吸着脱離部(115A,115B)の劣化を抑制して吸着脱離部(115A,115B)の寿命を延ばすことができる。
【0183】
本実施形態の調湿装置(110)で用いる吸着材において、第2範囲(II)における吸着等温線の傾きは、第1範囲(I)及び第3範囲(III)における吸着等温線の傾きの5倍以上であってもよい。これにより、エネルギー効率をさらに向上させることができる。
【0184】
本実施形態の調湿装置(110)で用いる吸着材において、第2範囲(II)における含水率の変化量ΔWは、吸着材の最大含水率の50%以上であってもよい。このようにすると、エネルギー効率をさらに向上させることができる。
【0185】
本実施形態の調湿装置(110)で用いる吸着材において、第2相対湿度値(RH2)と第1相対湿度値(RH1)との差分は、40%以下であってもよい。このようにすると、エネルギー効率をさらに向上させることができる。
【0186】
本実施形態の調湿装置(110)で用いる吸着材は、金属有機構造体(MOF)であってもよい。このようにすると、所望の吸着特性を持つ吸着材を得ることができる。
【0187】
本実施形態の調湿装置(110)において、吸着材が担持され且つ処理空気中の水分を吸着すると共に吸着した水分を脱離させる吸着脱離部(115A,115B)と、吸着脱離部(115A,115B)が水分の吸着及び脱離を行う相対湿度を調節する熱源(123,133)と、処理空気の気流を制御するファン(124,134)と、処理空気の温湿度データを取得する取得部(センサ(121,131))とを備え、制御部(140)は、センサ(121,131)が取得した温湿度データに基づいて熱源(123,133)の温度を制御してもよい。このようにすると、吸着材において必要な吸着量が得られる相対湿度範囲を実現するための熱源(123,133)の温度制御が可能となる。
【0188】
本実施形態の調湿装置(110)で用いる吸着材において、吸着等温線は、水分を吸着する際の吸着線と、吸着した水分を脱離させる際の脱離線とを含んでもよい。この場合、吸着脱離部(115A,115B)の一方は、処理空気中の水分を吸着する吸着部(115A,115B)であり、吸着脱離部(115A,115B)の他方は、吸着した水分を脱離させる脱離部(115A,115B)であり、熱源(123,133)の一方は、吸着部(115A,115B)が水分の吸着を行う相対湿度を調節する第1熱源であり、熱源(123,133)の他方は、脱離部(115A,115B)が水分の脱離を行う相対湿度を調節する第2熱源であってもよい。また、制御部(140)は、脱離線における第1相対湿度値(RH1)の近傍で脱離部(115A,115B)から水分が脱離するように熱源(123,133)の一方の温度を制御すると共に、吸着線における第2相対湿度値(RH2)の近傍で吸着部(115A,115B)が水分を吸着するように熱源(123,133)の他方の温度を制御してもよい。このようにすると、第1相対湿度値(RH1)の近傍で脱離部(115A,115B)の吸着材から水分を脱離させることができると共に、第2相対湿度値(RH2)の近傍で吸着部(115A,115B)の吸着材に水分を吸着させることができる。
【0189】
本実施形態の調湿装置(110)が除湿運転を行う場合、制御部(140)は、室外から室内に給気する第1処理空気及び室内から室外へ排気する第2処理空気の温湿度データ(各センサ(121,131の計測値)に基づいて、吸着部(115A)に到達する第1処理空気の相対湿度が、吸着線における第2相対湿度値(RH2)の近傍の値を持つように外気側熱源(第1熱源)(123)の温度を下げると共に、脱離部(115B)に到達する第2処理空気の相対湿度が、脱離線における第1相対湿度値(RH1)の近傍の値を持つように内気側熱源(第2熱源)(133)の温度を上げてもよい。このようにすると、エネルギー効率を向上させながら、第1処理空気を除湿空気として室内に給気し、第2処理空気を高湿度空気にして室外に排気することができる。
【0190】
本実施形態の調湿装置(110)が加湿運転を行う場合、制御部(140)は、室内から室外へ排気する第1処理空気及び室外から室内に給気する第2処理空気の温湿度データ(各センサ(121,131)の計測値)に基づいて、脱離部(115A)に到達する第2処理空気の相対湿度が、脱離線における第1相対湿度値(RH1)の近傍の値を持つように外気側熱源(第2熱源)(123)の温度を上げると共に、吸着部(115B)に到達する第1処理空気の相対湿度が、吸着線における第2相対湿度値(RH2)の近傍の値を持つように内気側熱源(第1熱源)(133)の温度を下げてもよい。このようにすると、エネルギー効率を向上させながら、第2処理空気を加湿空気として室内に給気し、第1処理空気を低湿度空気にして室外に排気することができる。
【0191】
本実施形態の調湿装置(110)において、外気側熱源(123)及び内気側熱源(133)は、ヒートポンプを構成しなくてもよい。また、制御部(140)は、外気側熱源(123)の温度及び内気側熱源133)の温度を独立して制御してもよい。このようにすると、調湿装置(110)の構成を簡単にできる。
【0192】
(その他の実施形態)
前記実施形態では、調湿装置(10,110)を除湿及び加湿並びに換気が可能な調湿換気ユニットとして構成したが、本開示の調湿装置は、少なくとも除湿又は加湿を行えれば、その構成や配置等は特に制限されるものではない。例えば、本開示の調湿装置は、換気機能を備えなくてもよい。また、本開示の調湿装置は、室内に空調室内機と一体化して若しくは別体で設置してもよいし、又は室外に空調室外機と一体化して若しくは別体で設置してもよい。
【0193】
また、前記実施形態では、調湿装置(10,110)に用いる熱源(51,52,123,133)として、ヒートポンプ(熱交換器)やヒータを用いたが、熱源(51,52,123,133)の種類は特に限定されるものではなく、例えば、冷温水や排水などを熱源に用いてもよい。
【0194】
以上、実施形態を説明したが、特許請求の範囲の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。また、以上の実施形態は、適宜組み合わせたり、置換したりしてもよい。さらに、以上に述べた「第1」、「第2」、・・・という記載は、これらの記載が付与された語句を区別するために用いられており、その語句の数や順序までも限定するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0195】
以上説明したように、本開示は、調湿装置について有用である。
【符号の説明】
【0196】
10 調湿装置
25 排気ファン(ファン)
26 給気ファン(ファン)
51 第1吸着熱交換器(熱源(第1熱源又は第2熱源))
52 第2吸着熱交換器(熱源(第1熱源又は第2熱源))
81、82 吸着脱離部(吸着部又は脱離部)
91 内気温度センサ(取得部)
92 内気湿度センサ(取得部)
93 外気温度センサ(取得部)
94 外気湿度センサ(取得部)
95 コントローラ(制御部)
110 調湿装置
115 調湿ロータ
115A、115B 吸着脱離部(吸着部又は脱離部)
121 外気温湿度センサ(取得部)
123 外気側熱源(第1熱源又は第2熱源)
124 給気ファン(ファン)
131 内気温湿度センサ(取得部)
133 内気側熱源(第1熱源又は第2熱源)
134 排気ファン(ファン)
140 制御部