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特許7425407防曇剤組成物、該組成物から形成される防曇膜を有する防曇性物品
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-23
(45)【発行日】2024-01-31
(54)【発明の名称】防曇剤組成物、該組成物から形成される防曇膜を有する防曇性物品
(51)【国際特許分類】
   C09D 133/06 20060101AFI20240124BHJP
   C09K 3/00 20060101ALI20240124BHJP
   C09D 133/26 20060101ALI20240124BHJP
   C09D 133/14 20060101ALI20240124BHJP
   C09D 7/61 20180101ALI20240124BHJP
   C09D 5/02 20060101ALI20240124BHJP
   C08J 7/054 20200101ALI20240124BHJP
【FI】
C09D133/06
C09K3/00 R
C09D133/26
C09D133/14
C09D7/61
C09D5/02
C08J7/054 CER
C08J7/054 CEZ
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020053788
(22)【出願日】2020-03-25
(65)【公開番号】P2020164842
(43)【公開日】2020-10-08
【審査請求日】2023-02-21
(31)【優先権主張番号】P 2019065466
(32)【優先日】2019-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004341
【氏名又は名称】日油株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松谷 浩暉
(72)【発明者】
【氏名】加納 崇光
【審査官】橋本 栄和
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-165886(JP,A)
【文献】特開2018-002865(JP,A)
【文献】特開2006-306995(JP,A)
【文献】特開2019-006881(JP,A)
【文献】国際公開第2009/044912(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/170828(WO,A1)
【文献】特開2015-168692(JP,A)
【文献】特開2004-107573(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0017306(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09D 133/06
C09K 3/00
C09D 133/26
C09D 133/14
C09D 7/61
C09D 5/02
C08J 7/054
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
共重合体(A)とコロイダルシリカ(B)と界面活性剤(C)と水(D)を含有する防曇剤組成物であって、
前記共重合体(A)は、一般式(1):
【化1】
(一般式(1)中、Rは水素原子またはメチル基であり、RはおよびRは、独立して、炭素数1~8の直鎖または分岐鎖のアルキル基である。)で表されるN,N-ジアルキル(メタ)アクリルアミド単量体(A-1)と、
一般式(2):
【化2】
(一般式(2)中、Rは水素原子またはメチル基であり、nは1~10の整数である。)で表されるε-カプロラクトン付加ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート単量体(A-2)と、
一般式(3):
【化3】
(一般式(3)中、Rは水素原子またはメチル基であり、Rはブロック化剤由来の残基である。)で表されるブロックイソシアネ-ト基を有する(メタ)アクリレート単量体(A-3)と、
一般式(4):
【化4】
(一般式(4)中、Rは水素原子またはメチル基であり、Rは炭素数1~22の直鎖、分岐鎖、または環状の炭化水素基である。)で表される炭化水素基を有する(メタ)アクリレート単量体(A-4)を含む単量体混合物から得られる(メタ)アクリレート共重合体であり、
前記共重合体(A)100質量部に対して、前記コロイダルシリカ(B)は60質量部以上150質量部以下であり、前記水(D)は500質量部以上であることを特徴とする防曇剤組成物。
【請求項2】
前記単量体(A-1)、前記単量体(A-2)、前記単量体(A-3)および前記単量体(A-4)の合計100質量部において、前記単量体(A-1)は20~90質量部、前記単量体(A-2)が3~35質量部、単量体(A-3)が0.5~35質量部、および単量体(A-4)が1~50質量部であることを特徴とする請求項1記載の防曇剤組成物。
【請求項3】
前記単量体混合物が、さらに、一般式(5):
【化5】
(一般式(5)中、Rは水素原子またはメチル基であり、R10は炭素数1~8の直鎖または分岐鎖のアルキレン基である。)で表される水酸基を有する(メタ)アクリレート単量体(A-5)、および/または一般式(6):
【化6】
(一般式(6)中、R11は水素原子またはメチル基であり、R12は炭素数1~8の直鎖または分岐鎖のアルキレン基である。)で表される水酸基を有する(メタ)アクリルアミド単量体(A-6)を含むことを特徴とする請求項1または2記載の防曇剤組成物。
【請求項4】
前記単量体(A-5)および/または単量体(A-6)が、前記単量体(A-1)、前記単量体(A-2)、前記単量体(A-3)および前記単量体(A-4)の合計100質量部に対して、30質量部以下であることを特徴とする請求項3記載の防曇剤組成物。
【請求項5】
基材上に、請求項1~4のいずれかに記載の防曇剤組成物から形成されることを特徴とする防曇膜を有する防曇性物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防曇剤組成物、該組成物から形成される防曇膜を有する防曇性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車のヘッドランプなどの車両灯具において、灯室内に高湿度の空気が入り込み、外気や降雨などによってレンズが冷やされ、内面に水分が結露することによって曇りが生じることがある。その結果、車両灯の輝度が低下し、またレンズ面の美観が損なわれることにより、ユ-ザ-の不快感を引き起こす場合がある。このようなレンズの曇りを防ぐために、曇りが発生する部位に防曇剤を塗布する方法が知られている(特許文献1~5)。
【0003】
ここで、特許文献2には、特許文献1に記載の防曇剤組成物は、使用している溶剤の基材侵食性が高いため、基材であるポリカーボネートやポリメチルメタクリレートを侵し、ソルベントクラック(塗工液の塗装及び乾燥を行う際に、溶剤が基材を侵食し、基材に割れ、および、ひびが発生する現象)を発生させるという問題があることが記載されている。そして、特許文献2では、このようなソルベントクラックを抑制することを目的として、主溶剤として特定のアルコールおよびグリコールエーテル系の溶剤を含有する防曇組成物を提供することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2011-140589号公報
【文献】特開2016-27134号公報
【文献】特開2019-6881号公報
【文献】国際公開2009/044912
【文献】特開2008-308661号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献2で開示された防曇剤組成物は、大型の射出成形品や複雑な形状の射出成形品などの内部応力が比較的高い基材に対するソルベントクラックの抑制は不十分であることが判明した。なお、特許文献3で開示された防曇剤組成物も、有機溶剤を多く含むため、ソルベントクラックの抑制についての懸念がある。
【0006】
一方、防曇剤組成物から形成される防曇膜は、特許文献3に開示されているように、防曇性、基材に対する密着性、耐水性が要求される。また、特許文献4や5に開示されている防曇剤は、コロイダルシリカなどの金属酸化物と、アクリルポリマーなどの共重合体の相溶性が不足していることに起因して透明性が不足する問題があった。
【0007】
本発明は、上記の実情に鑑みてなされたものであり、防曇剤組成物の塗装、乾燥および加熱硬化を行う際のソルベントクラックの抑制に優れ、かつ防曇性、密着性、耐水性、および透明性に優れる防曇膜を形成できる防曇剤組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち、本発明は、共重合体(A)とコロイダルシリカ(B)と界面活性剤(C)と水(D)を含有する防曇剤組成物であって、前記共重合体(A)は、一般式(1):
【化1】
(一般式(1)中、Rは水素原子またはメチル基であり、RはおよびRは、独立して、炭素数1~8の直鎖または分岐鎖のアルキル基である。)で表されるN,N-ジアルキル(メタ)アクリルアミド単量体(A-1)と、一般式(2):
【化2】
(一般式(2)中、Rは水素原子またはメチル基であり、nは1~10の整数である。)で表されるε-カプロラクトン付加ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート単量体(A-2)と、一般式(3):
【化3】
(一般式(3)中、Rは水素原子またはメチル基であり、Rはブロック化剤由来の残基である。)で表されるブロックイソシアネート基を有する(メタ)アクリレート単量体(A-3)と、一般式(4):
【化4】
(一般式(4)中、Rは水素原子またはメチル基であり、Rは炭素数1~22の直鎖、分岐鎖、または環状の炭化水素基である。)で表される炭化水素基を有する(メタ)アクリレート単量体(A-4)を含む単量体混合物から得られる(メタ)アクリレート共重合体であり、前記共重合体(A)100質量部に対して、前記コロイダルシリカ(B)は60質量部以上150質量部以下であり、前記水(D)は500質量部以上である防曇剤組成物、に関する。
【0009】
また、本発明は、基材上に、前記防曇剤組成物から形成される防曇膜を有する防曇性物品、に関する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の防曇剤組成物、防曇膜および防曇性物品における効果の作用メカニズムの詳細は不明な部分があるが、以下のように推定される。ただし、本発明は、この作用メカニズムに限定して解釈されなくてもよい。
【0011】
本発明の防曇剤組成物は、共重合体(A)とコロイダルシリカ(B)と界面活性剤(C)と水(D)を含有する。前記共重合体(A)は、前記単量体(A-1)~(A-4)を含むため、主に、単量体(A-1)に基づいて防曇膜の防曇性が高められ、単量体(A-2)に基づいて共重合体(A)とコロイダルシリカ(B)の相溶性が高められることで防曇膜の透明性が高められ、単量体(A-3)および単量体(A-4)に基づいて防曇膜の耐水性が高められることから、防曇性、密着性、耐水性、および透明性に優れる防曇膜を形成できる防曇剤組成物を得ることができる。また、本発明の防曇剤組成物は、特定量のコロイダルシリカ(B)を含むため、防曇膜の耐水性をさらに高めることができる。さらに、本発明の防曇剤組成物は、特定量の水(D)を含むため、有機溶剤の含有量が低減されることから、基材に対するソルベントクラックを抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の防曇剤組成物は、共重合体(A)とコロイダルシリカ(B)と界面活性剤(C)と水(D)を含有する。
【0013】
<共重合体(A)>
本発明の共重合体(A)は、単量体混合物から得られる(メタ)アクリレート共重合体であり、前記単量体混合物は、少なくとも、以下の単量体(A-1)~(A-4)を含む。
【0014】
<単量体(A-1)>
本発明の単量体(A-1)は、一般式(1):
【化5】
(一般式(1)中、Rは水素原子またはメチル基であり、RはおよびRは、独立して、炭素数1~8の直鎖または分岐鎖のアルキル基である。)で表されるN,N-ジアルキル(メタ)アクリルアミド単量体(A-1)である。
【0015】
前記一般式(1)中、前記炭素数1~8の直鎖または分岐鎖のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、i-ブチル基、t-ブチル基、n-アミル基、i-アミル基、t-アミル基、n-ヘキシル基、n-オクチル基、2-エチルヘキシル基などが挙げられる。防曇膜の防曇性能を高めることができる観点から、前記アルキル基は、炭素数1~4の直鎖または分岐鎖のアルキル基であることが好ましく、メチル基またはエチル基であることがより好ましく、メチル基がさらに好ましい。前記単量体(A-1)は、単独で用いてもよく2種類以上を併用してもよい。
【0016】
<単量体(A-2)>
本発明の単量体(A-2)は、一般式(2):
【化6】
(一般式(2)中、Rは水素原子またはメチル基であり、nは1~10の整数である。)で表されるε-カプロラクトン付加ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート単量体(A-2)である。
【0017】
前記一般式(2)中、防曇膜の透明性を高めることができる観点から、nは1~5の整数であることが好ましい。前記単量体(A-2)は、単独で用いてもよく2種類以上を併用してもよい。
【0018】
本発明の単量体(A-3)は、一般式(3):
【化7】
(一般式(3)中、Rは水素原子またはメチル基であり、Rはブロック化剤由来の残基である。)で表されるブロックイソシアネート基を有する(メタ)アクリレート単量体(A-3)である。
【0019】
前記一般式(3)中、前記ブロック化剤由来の残基としては、例えば、メタノール、エタノール、n-プロパノール、i-プロパノール、n-ブタノール、1-メトキシ-2-プロパノールなどのアルコール類;ホルムアミドオキシム、アセタルドオキシム、アセトオキシム、メチルエチルケトオキシム、ジアセチルモノオキシム、ベンゾフェノンオキシム、シクロヘキサノンオキシムなどのオキシム類;ジメチルピラゾ-ル、ジエチルピラゾ-ル、ジイソプロピルピラゾールなどのピラゾール類;マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、マロン酸ジプロピル、マロン酸ジブチルなどのマロン酸ジアルキル類などが挙げられる。前記ブロック化剤由来の残基は、低温かつ短時間で硬化できる観点から、ピラゾ-ル類、オキシム類、マロン酸ジアルキル類が好ましく、ジメチルピラゾール、ジエチルピラゾール、アセトオキシム、メチルエチルケトオキシム、マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチルがより好ましい。前記単量体(A-3)は、単独で用いてもよく2種類以上を併用してもよい。
【0020】
本発明の単量体(A-4)は、一般式(4):
【化8】
(一般式(4)中、Rは水素原子またはメチル基であり、Rは炭素数1~22の直鎖、分岐鎖、または環状の炭化水素基である。)で表される炭化水素基を有する(メタ)アクリレート単量体(A-4)である。
【0021】
一般式(4)中、前記炭素数1~22の直鎖、分岐鎖、または環状の炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、i-ブチル基、t-ブチル基、n-アミル基、i-アミル基、t-アミル基、n-ヘキシル基、シクロヘキシル基、n-オクチル基、2-エチルヘキシル基、n-ノニル基、イソボルニル基、ラウリル基、ミリスチル基、セチル基、ステアリル基、ベヘニル基などのアルキル基;オレイル基などのアルケニル基;フェニル基などのアリール基などが挙げられる。前記炭化水素基は、防曇膜の耐水性を高めることができる観点から、炭素数2~18の直鎖、分岐鎖、または環状の炭化水素基であることが好ましく、炭素数4~16の直鎖、分岐鎖、または環状の炭化水素基であることがより好ましい。前記単量体(A-4)は、単独で用いてもよく2種類以上を併用してもよい。
【0022】
前記単量体(A-1)は、前記単量体(A-1)、前記単量体(A-2)、前記単量体(A-3)、および前記単量体(A-4)の合計100質量部において、20~90質量部であることが好ましい。前記単量体(A-1)は、前記単量体(A-1)、前記単量体(A-2)、前記単量体(A-3)、および前記単量体(A-4)の合計100質量部において、防曇膜の防曇性を向上させる観点から、30質量部以上であることがより好ましく、40質量部以上であることがさらに好ましく、50質量部以上であることがよりさらに好ましく、そして、防曇膜の耐水性を向上させる観点から、80質量部以下であることがより好ましく、70質量部以下であることがさらに好ましい。
【0023】
前記単量体(A-2)は、前記単量体(A-1)、前記単量体(A-2)、前記単量体(A-3)、および前記単量体(A-4)の合計100質量部において、3~35質量部であることが好ましい。前記単量体(A-2)は、前記単量体(A-1)、前記単量体(A-2)、前記単量体(A-3)、および前記単量体(A-4)の合計100質量部において、防曇膜の透明性を向上させる観点から、5質量部以上であることがより好ましく、10質量部以上であることがさらに好ましく、そして、防曇膜の防曇性を向上させる観点から、30質量部以下であることがより好ましく、20質量部以下であることがさらに好ましい。
【0024】
前記単量体(A-3)は、前記単量体(A-1)、前記単量体(A-2)、前記単量体(A-3)、および前記単量体(A-4)の合計100質量部において、0.5~35質量部であることが好ましい。前記単量体(A-3)は、前記単量体(A-1)、前記単量体(A-2)、前記単量体(A-3)、および前記単量体(A-4)の合計100質量部において、防曇膜の耐水性を向上させる観点から、1質量部以上であることがより好ましく、3質量部以上であることがさらに好ましく、そして、防曇膜の防曇性を向上させる観点から、30質量部以下であることがより好ましく、20質量部以下であることがさらに好ましい。
【0025】
前記単量体(A-4)は、前記単量体(A-1)、前記単量体(A-2)、前記単量体(A-3)、および前記単量体(A-4)の合計100質量部において、1~50質量部であることが好ましい。前記単量体(A-4)は、前記単量体(A-1)、前記単量体(A-2)、前記単量体(A-3)、および前記単量体(A-4)の合計100質量部において、防曇膜の耐水性を向上させる観点から、3質量部以上であることがより好ましく、10質量部以上であることがさらに好ましく、そして、防曇膜の防曇性を向上させる観点から、40質量部以下であることがより好ましく、30質量部以下であることがさらに好ましく、20質量部以下であることがよりさらに好ましい。
【0026】
前記単量体混合物中、前記単量体(A-1)、前記単量体(A-2)、前記単量体(A-3)、および前記単量体(A-4)の合計の割合は、70質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることがよりさらに好ましい。
【0027】
前記共重合体(A)において、前記単量体(A-3)と前記単量体(A-2)の使用割合は、前記単量体(A-3)が脱ブロックしたときのイソシアネート基と、前記単量体(A-2)の水酸基の当量比(NCO/OH)が、0.01~5であることが好ましく、0.05~4であることがより好ましい。
【0028】
前記単量体混合物は、防曇膜の耐水性を向上させる観点から、以下の単量体(A-5)および/または単量体(A-6)を含んでいてもよい。
【0029】
本発明の単量体(A-5)は、一般式(5):
【化9】
(一般式(5)中、Rは水素原子またはメチル基であり、R10は炭素数1~8の直鎖または分岐鎖のアルキレン基である。)で表される水酸基を有する(メタ)アクリレート単量体(A-5)である。
【0030】
また、本発明の単量体(A-6)は、一般式(6):
【化10】
(一般式(6)中、R11は水素原子またはメチル基であり、R12は炭素数1~8の直鎖または分岐鎖のアルキレン基である。)で表される水酸基を有する(メタ)アクリルアミド単量体(A-6)である。
【0031】
前記一般式(5)中、前記炭素数1~8の直鎖または分岐鎖のアルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、n-プロピレン基、n-ブチレン基、i-ブチレン基、n-ペンチレン基、n-ヘキシレン基、n-オクチレン基などが挙げられる。防曇膜の防曇性を高めることができる観点から、前記アルキレン基は、炭素数1~4の直鎖のアルキレン基が好ましい。前記単量体(A-5)は、単独で用いてもよく2種類以上を併用してもよい。
【0032】
前記一般式(6)中、前記炭素数1~8の直鎖または分岐鎖のアルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、n-プロピレン基、n-ブチレン基、i-ブチレン基、n-ペンチレン基、n-ヘキシレン基、n-オクチレン基などが挙げられる。防曇膜の防曇性を高めることができる観点から、前記アルキレン基は、炭素数1~4の直鎖のアルキレン基が好ましい。前記単量体(A-6)は、単独で用いてもよく2種類以上を併用してもよい。
【0033】
前記単量体(A-5)および/または単量体(A-6)を使用する場合、前記単量体(A-5)および/または単量体(A-6)は、前記単量体(A-1)、前記単量体(A-2)、前記単量体(A-3)および前記単量体(A-4)の合計100質量部に対して、防曇膜の密着性を向上させる観点から、30質量部以下であることが好ましく、15質量部以下であることがより好ましい。
【0034】
前記単量体(A-5)および/または単量体(A-6)を使用する場合、前記単量体混合物中、前記単量体(A-1)と、前記単量体(A-2)と、前記単量体(A-3)と、前記単量体(A-4)と、前記単量体(A-5)および/または単量体(A-6)の合計の割合は、80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましく、95質量%以上であることがよりさらに好ましい。
【0035】
<共重合体(A)の製造方法>
本発明の共重合体(A)は、前記単量体混合物を共重合することにより得られる。共重合体の構造としては、ランダム共重合体、交互共重合体、ブロック共重合体およびグラフト共重合体のいずれの構造であってもよいが、防曇性をはじめとする防曇剤組成物の効果を向上させることができると共に、防曇剤組成物を容易に調製することができるという観点からランダム共重合体が好ましい。共重合体を得るための重合方法としては、ラジカル重合法、カチオン重合法、アニオンリビング重合法、カチオンリビング重合法、などの公知の各種重合方法が採用されるが、特に工業的な生産性の容易さ、多義にわたる性能面より、ラジカル重合法が好ましい。ラジカル重合法としては、通常の塊状重合法、懸濁重合法、溶液重合法、乳化重合法などが採用されるが、重合後にそのまま防曇剤組成物として使用することができる点で溶液重合法が好ましい。
【0036】
前記溶液重合法に用いる重合溶剤としては、例えば、水、メタノール、エタノール、プロパノール、i-プロパノール、ジアセトンアルコールなどのアルコール系溶剤;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコ-ルモノエチルエーテル、3-メトキシブタノール、3-メトキシ-3-メチルブタノールなどのアルコールエーテル系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶剤;テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル系溶剤;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n-ブチル、酢酸イソブチル、酢酸t-ブチル、乳酸メチル、乳酸エチルなどのエステル系溶剤;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族系溶剤、ホルムアミド、ジメチルホルムアミドなどのアミド系溶剤などが挙げられる。これらの中でも、水、アルコール系溶剤、アルコールエーテル系溶媒が好ましい。前記重合溶剤は、単独で用いてもよく2種類以上を併用してもよい。
【0037】
前記ラジカル重合開始剤は、一般的に使用される有機過酸化物、アゾ化合物などを使用することができる。前記有機過酸化物としては、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、3,5,5-トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、t-ブチルパーオキシ-2-ヘキサノエートレート、t-ブチルパーオキシピバレート、t-ヘキシルパーオキシピバレートなどが挙げられる。前記アゾ化合物としては、例えば、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル、2,2’-アゾビス-2-メチルブチロニトリルなどが挙げられる。前記ラジカル重合開始剤は、単独で用いてもよく2種類以上を併用してもよい。
【0038】
前記ラジカル重合開始剤の添加量は、前記単量体混合物100質量部に対して0.01~5質量部であることが好ましい。前記ラジカル重合開始剤は、反応容器中に滴下しながら重合を行うことが重合発熱を制御しやすくなる点で好ましい。重合反応を行う温度は、使用するラジカル重合開始剤の種類によって適宜変更されるが、工業的に製造を行う上で好ましくは30~150℃、より好ましくは40~100℃である。
【0039】
前記共重合体(A)の数平均分子量(Mn)は、防曇膜に耐水性を付与する観点から、10,000以上であることが好ましく、15,000以上であることがより好ましい。共重合体(A)の数平均分子量(Mn)は、防曇剤組成物の塗装性およびハンドリング性を高める観点から、300,000以下であることが好ましく、200,000以下であることがより好ましい。
【0040】
前記共重合体(A)の数平均分子量(Mn)は、GPC法にて求めることができる。
<数平均分子量(Mn)の測定条件>
分析装置:HLC-8320GPC(東ソ-(株)社製)
ガ-ドカラム:Shodex GPC KD-G 4A(昭和電工(株)社製)
第1カラム:Shodex GPC KD-806M 4A(昭和電工(株)社製)
第2カラム:Shodex GPC KD-803 4A(昭和電工(株)社製)
第3カラム:Shodex GPC KD-802.5 4A(昭和電工(株)社製)
検出器:示唆屈折計
カラムの温度:40℃
展開溶剤:ジメチルスルホキシド
基準物質:ポリスチレン
流速:0.175mL/min
サンプル濃度:0.2質量%
注入量:150μL
【0041】
<コロイダルシリカ(B)>
本発明のコロイダルシリカ(B)は、SiOの化学組成式で示されるシリカ粒子が、媒体に分散してコロイドを形成した状態のものである。媒体としては、例えば、メタノ-ル、エタノ-ル、i-プロピルアルコ-ル、n-ブタノ-ル、キシレン、ジメチルホルムアミド、水などが挙げられる。これらの中でも、メタノ-ル、エタノ-ル、水が好ましく、水がより好ましい。また、前記コロイダルシリカ(B)は、シリカ粒子の表面が、シラン化合物などの表面処理剤で修飾されたものであってもよい。前記コロイダルシリカ(B)は、単独で用いてもよく2種類以上を併用してもよい。
【0042】
前記コロイダルシリカ(B)は、平均粒子径が10~100nmであることが好ましく、10~30nmであることがより好ましい。前記平均粒子径は、平均一次粒子径であり、動的光散乱法によって測定される体積基準粒度分布のメジアン径(D50)で示される。平均粒子径が10nm未満であると得られる防曇膜の基材との密着性が低下する傾向があり、100nmを超えると、得られる防曇膜の透明性が低下する傾向にある。また、前記コロイダルシリカ(B)の形状としては、粒子状、鎖状、パールネックレス状などが挙げられる。これらの中でも、防曇膜の透明性を高めることができる点で、形状は粒子状であることが好ましい。
【0043】
前記コロイダルシリカ(B)の市販品としては、例えば、商品名:「スノーテックス-XS」、「スノーテックス-S」、「スノーテックス-30」、「スノーテックス-50-T」、「スノーテックス-30L」、「スノーテックス-YL」、「スノーテックス-ZL」、「スノーテックスMP-1040」、「スノーテックス-UP」、「スノーテックス-PS-S」、「スノーテックス-PS-M」、「スノーテックス-OXS」、「スノーテックス-OS」、「スノーテックス-O」、「スノーテックス-O-40」、「スノーテックス-OL」、「スノーテックス-OYL」、「スノーテックス-OUP」、「スノーテックス-PS-SO」、「スノーテックス-PS-MO」、「スノーテックス-NXS」、「スノーテックス-NS」、「スノーテックス-N」、「スノーテックス-N-40」、「スノーテックス-CXS」、「スノーテックス-C」、「スノーテックス-CM」、「スノーテックス-AK」、「スノーテックス-AK-L」、「スノーテックス-AK-Y」(以上、日産化学(株)社製)などが挙げられる。これらの中でも、平均粒子径が10~100nmであり、かつ、形状が粒子状である、「スノーテックス-O」、「スノーテックス-O-40」、「スノーテックス-OL」、「スノーテックス-OYL」が好ましく、平均粒子径が10~30nmであり、かつ、形状が粒子状である、「スノーテックス-O」、「スノーテックス-O-40」がより好ましい。
【0044】
前記コロイダルシリカ(B)は、前記共重合体(A)100質量部に対して、60質量部以上150質量部以下である。前記コロイダルシリカ(B)は、防曇膜の耐水性を向上させる観点から、前記共重合体(A)100質量部に対して、65質量部以上であることが好ましく、80質量部以上であることがより好ましく、そして、密着性および透明性を向上させる観点から、140質量部以下であることが好ましく、120質量部以下であることがより好ましい。
【0045】
<界面活性剤(C)>
本発明の界面活性剤(C)は、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、両性界面活性剤からなる群より選ばれる1種以上である。
【0046】
前記アニオン系界面活性剤としては、例えば、オレイン酸ナトリウム、オレイン酸カリウムなどの脂肪酸アルカリ金属塩などの脂肪酸塩;ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウムなどの高級アルコール硫酸エステル類;ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウムなどのアルキルベンゼンスルホン酸塩及びアルキルナフタレンスルホン酸塩;ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ジアルキルスルホコハク酸塩、ジアルキルホスフェート塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸ナトリウムなどのポリオキシエチレンサルフェート塩;パーフルオロアルキルカルボン酸塩、パーフルオロアルキルスルホン酸塩、パーフルオロアルキルリン酸エステルなどのフッ素含有アニオン系界面活性剤が挙げられる。
【0047】
前記カチオン系界面活性剤としては、例えば、エタノールアミン類、ラウリルアミンアセテート、トリエタノールアミンモノ蟻酸塩、ステアラミドエチルジエチルアミン酢酸塩などのアミン塩;ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、ジラウリルジメチルアンモニウムクロライド、ジステアリルジメチルアンモニウムクロライド、ラウリルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、ステアリルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、テトラブチルアンモニウムブロミド、ラウリルトリメチルアンモニウムブロミドなどの第4級アンモニウム塩などが挙げられる。
【0048】
前記ノニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンイソデシルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテルなどのポリオキシエチレン高級アルコールエーテル類;ポリオキシエチレンオクチルフェノール、ポリオキシエチレンノニルフェノールなどのポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル類;ポリオキシエチレンモノラウレート、ポリオキシエチレンモノステアレートなどのポリオキシエチレンアシルエステル類;ポリプロピレングリコールエチレンオキサイド付加物、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレートなどのポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類;アルキルリン酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステルなどのリン酸エステル類;シュガーエステル類、セルロースエーテル類などが挙げられる。
【0049】
前記両性界面活性剤としては、例えば、ジメチルアルキルラウリルベタイン、ジメチルアルキルステアリルベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ラウリン酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタインなどの脂肪酸型両性イオン系界面活性剤;ジメチルアルキルスルホベタインのようなスルホン酸型両性イオン系界面活性剤;アルキルグリシンなどが挙げられる。
【0050】
前記界面活性剤(C)は、比較的少量で良好な防曇性能が得られる観点から、アニオン系面活性剤の単独、アニオン系界面活性剤とカチオン系界面活性剤の併用、またはアニオン系界面活性剤と両性界面活性剤の併用が好ましい。とくに、アニオン系界面活性剤がフッ素含有アニオン系界面活性剤である場合に、防曇膜の水に対する表面張力をより良好に低下させることができるため、より高い防曇性能が得られる。
【0051】
前記界面活性剤(C)は、前記共重合体(A)100質量部に対して、0.5質量部以上20質量部以下であることが好ましい。前記界面活性剤(C)は、防曇膜の防曇性を向上させる観点から、前記共重合体(A)100質量部に対して、1質量部以上であることがより好ましく、2質量部以上であることがさらに好ましく、3質量部以上であることがよりさらに好ましく、そして、透明性を向上させる観点から、15質量部以下であることがより好ましく、10質量部以下であることがさらに好ましい。
【0052】
<水(D)>
本発明の水(D)は、イオン交換水、蒸留水、工業用水などの水を主成分とする媒体である。
【0053】
前記水(D)は、前記共重合体(A)100質量部に対して、500質量部以上である。前記水(D)は、防曇剤組成物の粘度を低下させ、塗装作業性を向上させる観点から、前記共重合体(A)100質量部に対して、750質量部以上であることが好ましく、そして、防曇剤組成物の粘度を適正に保ち、塗装作業性を向上させる観点から、4500質量部以下であることが好ましく、3800質量部以下であることがより好ましい。
【0054】
本発明の防曇剤組成物は、塗装作業性を良好にする観点、あるいは共重合体(A)を合成する際の重合反応溶剤として使用する観点から、防曇剤組成物中に有機溶剤を含有していてもよい。
【0055】
前記有機溶剤としては、上記の重合溶剤と同様のものが挙げられ、これらの中でも、ソルベントクラックが比較的発生しにくい点から、アルコール系溶剤、アルコールエーテル系溶媒が好ましく、プロパノール、イソプロパノール、ジアセトンアルコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、3-メトキシブタノール、3-メトキシ-3-メチルブタノールがより好ましく、プロパノール、イソプロパノール、ジアセトンアルコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、3-メトキシブタノール、3-メトキシ-3-メチルブタノールがさらに好ましい。前記有機溶剤は、単独で用いてもよく2種類以上を併用してもよい。
【0056】
本発明の防曇剤組成物に前記有機溶剤を含む場合、前記有機溶剤と前記水(D)の質量比(有機溶剤/水(D))は、ソルベントクラックの発生を抑制する観点から、0.3以下であることが好ましく、0.2以下であることがより好ましい。
【0057】
また、本発明の防曇剤組成物に前記有機溶剤を含む場合、前記有機溶剤量(VOC量という)は、環境に配慮する観点から、150g/L以下となることが望まれる。なお、当該VOC量は、防曇剤組成物1kgに含まれる有機溶剤の質量に、防曇剤組成物の比重を乗じることにより算出される。
【0058】
本発明の防曇剤組成物は、低温かつ短時間で加熱硬化が可能となる観点から、硬化触媒を添加してもよい。
【0059】
前記硬化触媒としては、例えば、ラウリン酸ナトリウム、ラウリン酸カリウム、ラウリン酸カルシウム、ラウリル酸バリウム、オレイン酸ナトリウム、オレイン酸カリウム、オレイン酸カルシウム、オレイン酸バリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸バリウム、フッ素アルキル脂肪酸ナトリウム塩などの脂肪酸アルカリ金属塩;塩酸、硫酸、硝酸、リン酸などの無機酸;p-トルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸などの芳香族スルホン酸;テトラメチルブタンジアミン、1,4-ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン、1,8-ジアザビシクロ[5,4,0]-7-ウンデセン、1,5-ジアザビシクロ[4,3,0]-5-ノネンなどの3級アミンなどが挙げられる。これらの中でも、低温硬化性を向上させる観点から、脂肪酸アルカリ金属塩が好ましく、ラウリン酸ナトリウム、ラウリン酸カリウム、ラウリン酸カルシウム、ラウリル酸バリウム、オレイン酸ナトリウム、オレイン酸カリウム、オレイン酸カルシウム、オレイン酸バリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸バリウムが好ましく、ラウリン酸ナトリウム、ラウリン酸カリウム、オレイン酸ナトリウム、オレイン酸カリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウムがより好ましい。前記硬化触媒は、単独で用いてもよく2種類以上を併用してもよい。
【0060】
前記硬化触媒を使用する場合、前記硬化触媒は、前記共重合体(A)100質量部に対して、0.01~20質量部であることが好ましく、0.05~10質量部であることがより好ましく、0.1~5質量部であることがさらに好ましい。なお、界面活性剤(B)および硬化触媒として脂肪酸アルカリ金属塩を選択した場合、脂肪酸アルカリ金属塩の使用量は、共重合体(A)100質量部に対して、20質量部以下で使用すればよい。
【0061】
本発明の防曇剤組成物は、防曇膜の表面をより平滑にできるという観点から、レベリング剤を添加してもよい。
【0062】
前記レベリング剤としては、例えば、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン、ポリエーテル変性ポリジメチルポリシロキサン、ポリエーテルマクロマー変性アクリレート、アクリル系ポリマー、アクリルシリコン系ポリマーなどが挙げられる。
【0063】
前記レベリング剤の市販品としては、例えば、商品名:「BYK-300」、「BYK-320」、「BYK-306」、「BYK-307」、「BYK-310」、「BYK-313」、「BYK-315N」、「BYK-320」、「BYK-322」、「BYK-323」、「BYK-325」、「BYK-330」、「BYK-331」、「BYK-333」、「BYK-342」、「BYK-345/346」、「BYK-347」、「BYK-348」、「BYK-349」、「BYK-370」、「BYK-377」、「BYK-378」、「BYK-3455」、「BYK-3560」(以上、ビックケミー(株)社製)、商品名:「KP-323」、「KP-341」、「KP-104」、「KP-110」、「KP-112」、「KF-351A」、「KF-352A」、「KF-353」、「KF-354L」、「KF-355A」、「KF-651A」、「KF-945」、「KF-640」、「KF-642」(以上、信越シリコーン(株)社製)、商品名:「ディスパロン1970」、「ディスパロン230」、「ディスパロン1711EF」、「ディスパロン1761」、「ディスパロンLS-001」、「ディスパロンLS-050」、「ディスパロンLS-460」、「ディスパロンLS-480」(以上、楠本化成(株)社製)などが挙げられる。前記レベリング剤は、単独で用いてもよく2種類以上を併用してもよい。
【0064】
前記レベリング剤を使用する場合、前記レベリング剤は、共重合体(A)100質量部に対して、0.01~5質量部であることが好ましく、0.05~2.5質量部であることがより好ましく、0.1~3質量部であることがより好ましい。
【0065】
本発明の防曇剤組成物には、上記の成分のほか、その他の成分として、必要に応じ、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤などの慣用の各種添加剤を配合することができる。前記その他の成分の添加量は、それぞれの添加剤につき慣用的な添加量で配合することができるが、通常、前記共重合体(A)100質量部に対して、10質量部以下である。
【0066】
<防曇性物品>
本発明の防曇性物品は、前記防曇剤組成物を、通常の塗料において行われる塗装方法により基材(被塗装物)に塗装し、加熱硬化することによって、基材(被塗装物)表面に防曇膜が形成されたものである。なお、塗装直後の防曇膜中に含まれる溶剤を揮発乾燥させることを目的として、加熱硬化の工程の前に乾燥工程を設けることができる。
【0067】
前記基材(被塗装物)としては、その種類は問わず、特に限定されないが、例えば、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリロニトリル・スチレン共重合樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、アセテート樹脂、ABS樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂などの樹脂基材;ガラスなどの無機基材などが挙げられる。また、基材の形状は制限されることなく、例えば、フィルムやシート状、立体形状の成形品が挙げられる。
【0068】
前記基材(被塗装物)への塗装の際には、基材(被塗装物)に対する防曇剤組成物の濡れ性を高め、はじきを防止する目的で、塗装前における基材(被塗装物)表面の付着異物除去を行うことが好ましい。高圧エアやイオン化エアによる除塵、洗剤水溶液またはアルコール溶剤による超音波洗浄、アルコール溶剤などを使用したワイピング、紫外線とオゾンによる洗浄などが挙げられる。塗装方法としては、例えば、浸漬法、フローコート法、ロールコート法、バーコート法、スプレーコート法などが挙げられる。
【0069】
前記乾燥は、通常、20~50℃の温度で0.5~10分間の条件下で行われる。
【0070】
前記加熱は、基材が樹脂部材である場合、加熱温度を樹脂部材の熱変形温度以下に設定することが好ましい。加熱時間は、加熱温度に影響されるため、適宜設定すべきである。一例として、加熱温度が80℃の場合、加熱時間は、10分以上が好ましく、15分以上がより好ましく、加熱温度が130℃の場合、加熱時間は、5分以上が好ましく、10分以上がより好ましい。
【0071】
防曇膜の膜厚は、良好な防曇性と良好な塗膜外観を得る観点から、0.5~20μm程度であることが好ましく、1~10μm程度であることがより好ましい。
【0072】
前記防曇性物品は、結露が生じやすい環境で使用される物品に、より良好に適用可能であり、その用途は何ら限定されるものではない。前記防曇性物品としては、例えば、自動車の車両灯具(前照灯、補助前照灯、車幅灯、番号灯、尾灯、駐車灯、後退灯、方向指示灯、補助方向指示灯、非常点滅表示など)、眼鏡、窓、鏡などが挙げられる。
【実施例
【0073】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0074】
<実施例1>
<共重合体(A)の製造>
温度計、攪拌装置、窒素導入管及び冷却管を備えた反応容器を用い、重合溶剤として3-メトキシ-3-メチルブタノールを120g仕込み、攪拌を開始し、窒素ガスを吹き込みながら70℃に加熱した。次いで、この反応容器中に、以下の単量体溶液及び重合開始剤溶液を2時間かけて滴下した。
・単量体溶液:単量体(A-1)としてN,N-ジメチルアクリルアミドを45g、単量体(A-2)としてヒドロキシエチルメタクリレートのε-カプロラクトン2モル付加物(「プラクセルFM2D」、ダイセル(株)社製、分子量358)を20g、単量体(A-3)としてジメチルピラゾールブロックイソシアネート基含有アクリレート(「カレンズAOI-BP」、昭和電工(株)社製、分子量237)を15g、単量体(A-4)としてシクロヘキシルメタクリレートを20g、重合溶剤として3-メトキシ-3-メチルブタノ-ルを20gとを混合した溶液。
・重合開始剤溶液:重合開始剤としてt-ヘキシルペルオキシピバレート(「パーヘキシルPV」、日油(株)社製、有効成分70質量%)を0.71g、重合溶剤として3-メトキシ-3-メチルブタノールを10gとを混合した溶液。
前記単量体溶液及び重合開始剤溶液の滴下が終了した後、反応容器中の溶液をそのまま3時間攪拌することにより、共重合体(A)の濃度が40質量%の共重合体(A)溶液を製造した。上述した測定条件にて、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにて共重合体(A)の数均分子量を測定したところ、18,000であった。さらに、得られた共重合体(A)のNCO/OH比を以下のようにして算出した。{(A-3)の仕込み量/(A-3)の分子量}/{(A-2)の仕込み量/(A-2)の分子量}=(15/237)/(20/358)=1.13
【0075】
<防曇剤組成物の製造>
上記で得られた共重合体(A)溶液250gに対して、コロイダルシリカ(B)として水分散シリカゾル(「スノ-テックスO-40」日産化学(株)社製、有効成分40重量%)を250g、界面活性剤(C)としてジ-2-エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウム(「ラピゾ-ルA-80」、日油(株)社製、有効成分80質量%)を10g、及び水(D)としてイオン交換水1490gを加えた。さらに、硬化触媒としてオレイン酸カリウムを1g、レベリング剤としてポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン(「KF-351A」、信越シリコーン(株)社製)を1g加え、混合することによって防曇剤組成物を製造した。なお、表1の水(D)の含有量は、イオン交換水と水分散シリカゾル由来の水の合計を示す。さらに、得られた防曇剤組成物の比重をJIS B 7523-3に準拠し、浮ひょう型比重計にて測定した結果、1.04であった。この防曇剤組成物に1kgに含まれる有機溶剤の量は74.9gであることから、そのVOC量は74.9×1.04=78g/Lと算出された。
【0076】
上記で得られた防曇剤組成物を用いて、以下の評価方法で得られた結果を表1に示す。
【0077】
<耐ソルベントクラック性の評価>
25℃に設定した環境下で、オ-トグラフにて厚み3mmのポリカーボネート樹脂板に120N~150Nの応力を与えて曲げ、上記で得られた防曇剤組成物を、ウエット膜厚が3μm程度になるように塗布した。塗布後そのまま2分間同じ環境下に放置した。上記の方法で作製した試験片を目視により観察し、次の4段階で評価した。なお、評価がB-以上であれば実用上問題なく、B+であれば好ましく、Aであればより好ましい。
A:150Nの応力を加えた場合に基材にひび、割れなどが見られない。
B+:140Nの応力を加えた場合に基材にひび、割れなどが見られない。
B-:130Nの応力を加えた場合に基材にひび、割れなどが見られない。
C:120Nの応力を加えた場合に基材にひび、割れなどが見られる。
【0078】
<防曇性物品の作製>
上記で得られた防曇剤組成物を、厚み3mmのポリカーボネート(PC)樹脂板に、硬化後の防曇膜の膜厚が5μm程度になるように、スプレー塗装法にて塗装を行い、130℃で20分間の加熱硬化を行い、防曇膜を有する防曇性物品(試験片)を作製した。
【0079】
上記で得られた試験片を用いて、以下の評価方法で得られた結果を表1に示す。
【0080】
<透明性の評価>
プラスチック材料の全光線透過率の試験方法(JIS-K7361-1)に準じ、ヘイズメーター(「HAZE METER HDN5000」、日本電色工業(株)社製)を用い、試験片のHAZE値を測定(光源:白色LED、光束:14mm、温度:25℃、湿度:50%)し、次の4段階で評価した。なお、評価がB-以上であれば実用上問題なく、B+であれば好ましく、Aであればより好ましい。なお、厚み3mmのPC樹脂板のHAZE値は0.30であった。
A:0.30以上、0.40未満
B+:0.40以上、0.50未満
B-:0.50以上、0.60未満
C:0.60以上
【0081】
<防曇性の評価>
<スチーム試験>
80℃に保った温水浴の水面から5cmの高さの所に、試験片を防曇膜面が下になるように設置し、温水浴からのスチームを防曇膜に連続照射し、照射から10秒後の曇りの有無を目視によって次の4段階で評価した。なお、評価がB-以上であれば実用上問題なく、B+であれば好ましく、Aであればより好ましい。
A:スチーム照射直後に水膜が形成され、曇らない。
B+:スチーム照射直後に一瞬の曇りが認められるが、すぐに水膜が形成され曇りが解消される。
B-:スチーム照射直後に曇りが認められるが、やがて水膜が形成されて曇りが解消される。
C:スチーム照射直後に曇りが認められ、水膜が形成されない。
【0082】
<耐湿試験後スチーム試験>
試験片を50℃、95%RHの条件で240時間静置した後、室温にて1時間静置した。その後、80℃に保った温水浴の水面から5cmの高さの所に、試験片を防曇膜面が下になるように設置し、温水浴からのスチームを防曇膜に連続照射し、照射から10秒後の曇りの有無を目視によって次の4段階で評価した。なお、評価がB-以上であれば実用上問題なく、B+であれば好ましく、Aであればより好ましい。
A:スチーム照射直後に水膜が形成され、曇らない。
B+:スチーム照射直後に一瞬の曇りが認められるが、すぐに水膜が形成され曇りが解消される。
B-:スチーム照射直後に曇りが認められるが、やがて水膜が形成されて曇りが解消される。
C:スチーム照射後にきれいな水膜が形成されない、もしくは水膜が形成されず曇りが認められる。
【0083】
<耐熱試験後スチーム試験>
試験片を120℃の条件で240時間静置した後、室温にて1時間静置した。その後、80℃に保った温水浴の水面から5cmの高さの所に、試験片を防曇膜面が下になるように設置し、温水浴からのスチームを防曇膜に連続照射し、照射から10秒後の曇りの有無を目視によって次の4段階で評価した。なお、評価がB-以上であれば実用上問題なく、B+であれば好ましく、Aであればより好ましい。
A:スチーム照射直後に水膜が形成され、曇らない。
B+:スチーム照射直後に一瞬の曇りが認められるが、すぐに水膜が形成され曇りが解消される。
B-:スチーム照射直後に曇りが認められるが、やがて水膜が形成されて曇りが解消される。
C:スチーム照射後にきれいな水膜が形成されない、もしくは水膜が形成されず曇りが認められる。
【0084】
<密着性の評価>
試験片の防曇膜を縦1cm、横1cmの領域を縦横それぞれ1mm間隔でカッターナイフを用いてカットし、100個のマス目を作った。そのマス目の表面にセロハンテープを圧着させ、急激に剥がした際の外観を目視にて観察し、次の3段階で評価した。なお、評価がB以上であれば実用上問題なく、Aであればより好ましい。
A:全く剥離が認められない。
B:カットの交差点において、わずかに剥離が認められる。
C:一部剥離している、または全て剥離している。
【0085】
<耐水性の評価>
試験片を40℃温水に240時間静置した後、室温にて1時間静置した後の、防曇膜外観を目視によって次の3段階で評価した。なお、評価がB以上であれば実用上問題なく、Aであればより好ましい。
A:試験前と外観に変化がない。
B:わずかに防曇膜表面が荒れている。
C:防曇膜表面が荒れているか、またはわずか白化やシミが認められる。
【0086】
<実施例2~29、比較例1~10>
<共重合体(A)の製造>
各実施例および比較例において、実施例1の単量体を、表1~4に記載の単量体およびその配合量に変更したこと以外は、実施例1と同様な操作にて、実施例2~29および比較例1~10の共重合体(A)の溶液を製造した。
【0087】
<防曇剤組成物の製造および防曇性物品の作製>
実施例1の原料を、表1~4に記載の原料およびその配合量に変更したこと以外は、実施例1と同様な操作にて、実施例2~29および比較例1~10の防曇剤組成物を製造した。さらに、実施例1と同様な操作にて、実施例2~29および比較例1~10の防曇膜を有する防曇性物品(試験片)を作製した。なお、表1~4の水(D)の含有量は、イオン交換水と水分散シリカゾル由来の水の合計を示す。
【0088】
上記で得られた防曇剤組成物および試験片を用いて、上記の評価方法で得られた結果を表1~4に示す。
【0089】
【表1】
【0090】
【表2】
【0091】
【表3】
【0092】
【表4】
【0093】
表1~4中、単量体(A-1)~(A-5)として、
DMAAは、N,N-ジメチルアクリルアミド;
DEAAは、N,N-ジエチルアクリルアミド;
FA1は、ヒドロキシエチルアクリレートのε-カプロラクトン1モル付加物(商品名:「プラクセルFA1」、ダイセル(株)社製、分子量230);
FA2Dは、ヒドロキシエチルアクリレートのε-カプロラクトン2モル付加物(商品名:「プラクセルFA2D」、ダイセル(株)社製、分子量344);
FM2D:ヒドロキシエチルメタクリレートのε-カプロラクトン2モル付加物(商品名:「プラクセルFM2D」、ダイセル(株)社製、分子量358);
FM3:ヒドロキシエチルメタクリレートのε-カプロラクトン3モル付加物(商品名:「プラクセルFM3」、ダイセル(株)社製、分子量473);
FM5:ヒドロキシエチルメタクリレートのε-カプロラクトン5モル付加物(商品名:「プラクセルFM5」、ダイセル(株)社製、分子量701);
FA10Lは、ヒドロキシエチルアクリレートのε-カプロラクトン10モル付加物(商品名:「プラクセルFA10L」、ダイセル(株)社製、有効成分70質量%、分子量1258);
MOI-DEMは、マロン酸ジエチルブロック2-イソシアナトエチルメタクリレート(商品名:「カレンズMOI-DEM」、昭和電工(株)社製、分子量315);
AOI-BP:ジメチルピラゾールブロック2-イソシアナトエチルアクリレート(商品名:「カレンズAOI-BP」、昭和電工(株)社製、分子量237);
MOI-BP:ジメチルピラゾールブロック2-イソシアナトエチルメタクリレート(商品名:「カレンズMOI-BP」、昭和電工(株)社製、分子量251);
AOI-BM:メチルエチルケトンオキシムブロック2-イソシアナトエチルアクリレート(商品名:「カレンズAOI-BM」、昭和電工(株)社製、分子量228);
MOI-BM:メチルエチルケトンオキシムブロック2-イソシアナトエチルメタクリレート(商品名:「カレンズMOI-BM」、昭和電工(株)社製、分子量242);
MMAは、メチルメタクリレート;
EMAは、エチルメタクリレート;
BAは、n-ブチルアクリレート;
CHMAは、シクロヘキシルメタクリレート;
EHAは、2-エチルヘキシルアクリレート;
LAは、ラウリルアクリレート;
CAは、セチルアクリレート;
SAは、ステアリルアクリレート;
HEAは、ヒドロキシエチルアクリレート;
HEAAは、ヒドロキシエチルアクリルアミド;を示す。
【0094】
表1~4中、コロイダルシリカ(B)として、
ST-OXSは、平均粒子径4~6nmの水分散シリカゾル(商品名:「スノーテックスOXS」、日産化学(株)社製、有効成分10質量%);
ST-O:平均粒子径10~15nmの水分散シリカゾル(商品名:「スノーテックスO」、日産化学(株)社製、有効成分20質量%);
ST-O-40は、平均粒子径20~25nmの水分散シリカゾル(商品名:「スノーテックスO-40」、日産化学(株)社製、有効成分40質量%);
ST-OL:平均粒子径40~50nmの水分散シリカゾル(商品名:「スノーテックスOL」、日産化学(株)社製、有効成分20質量%);
ST-MP-1040:平均粒子径70~130nmの水分散シリカゾル(商品名:「スノーテックスMP-1040」、日産化学(株)社製、有効成分40質量%);を示す。
【0095】
表1~4中、界面活性剤(C)として、
ラピゾールA-80:スルホコハク酸ジエステル塩(商品名:「ラピゾールA-80」、日油(株)社製、有効成分80質量%);
FT-100は、フッ素含有アニオン系界面活性剤(スルホン酸Na塩)(商品名:「フタージェント100」、(株)ネオス社製);
FT-150は、フッ素含有アニオン系界面活性剤(スルホン酸Na塩+カルボン酸Na塩)(商品名:「フタージェント150」、(株)ネオス社製);
TBAB:テトラn-ブチルアンモニウムブロミド;
2-DB-500E:ジデシルジメチルアンモニウムクロライド(商品名:「ニッサンカチオン2-DB-500E」、日油(株)社製、有効成分50質量%);
ID-209:ポリオキシエチレンイソデシルエーテル(商品名:「ノニオンID-209」、日油(株)社製);
L-4は、ポリオキシエチレンモノラウレート(商品名:「ノニオンL-4」、日油(株)社製);
BL-SF:ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン(商品名:「ニッサンアノンBL-SF」、日油(株)社製、有効成分36質量%);
BDL-SF:ラウリン酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン(商品名:「ニッサンアノンBDL-SF」、日油(株)社製、有効成分30質量%);を示す。