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特許7425428光学測定器用サンプルホルダおよび光学測定器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-23
(45)【発行日】2024-01-31
(54)【発明の名称】光学測定器用サンプルホルダおよび光学測定器
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/01 20060101AFI20240124BHJP
   G01N 21/59 20060101ALI20240124BHJP
【FI】
G01N21/01 B
G01N21/59 Z
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2022108407
(22)【出願日】2022-07-05
(65)【公開番号】P2024007144
(43)【公開日】2024-01-18
【審査請求日】2022-12-28
(73)【特許権者】
【識別番号】504159235
【氏名又は名称】国立大学法人 熊本大学
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【弁理士】
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100181722
【弁理士】
【氏名又は名称】春田 洋孝
(72)【発明者】
【氏名】中島 雄太
(72)【発明者】
【氏名】西川 昌平
【審査官】井上 徹
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-62184(JP,A)
【文献】特開2014-240758(JP,A)
【文献】特開2009-21415(JP,A)
【文献】国際公開第2021/100298(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/163771(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/00-G01N 21/01
G01N 21/17-G01N 21/61
G01N 1/00-G01N 1/44
G01N 21/03-G01N 21/15
G01N 35/00-G01N 37/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
IEEE Xplore
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光部と受光部を有する光学測定器に装着可能な光学測定器用サンプルホルダであって、前記発光部から前記受光部に到る光路内に、サンプルを収容する透明な筒状容器を保持する容器収容部を有するホルダ本体と、前記ホルダ本体の内部に設けられ、前記光路を挟んで互いに間隔を開けて配置された少なくとも一対の遮光壁とを有し、
前記遮光壁の前記容器収容部側の端部には、断面が前記容器収容部へ向けて窄まる尖端部がそれぞれ形成され、
前記尖端部は、前記容器収容部へ前記筒状容器が挿入された場合に、前記筒状容器の外周面に沿って前記筒状容器の軸線方向に延びるように配置され、
前記遮光壁同士の間隙幅は、前記容器本体の内径の5~95%である光学測定器用サンプルホルダ。
【請求項2】
前記ホルダ本体は、前記発光部からの光が入る入口と、前記筒状容器およびサンプルを通過した光が出るための出口を有し、前記筒状容器よりも前記出口側に前記一対の前記遮光壁が設けられていることを特徴とする請求項1記載の光学測定器用サンプルホルダ。
【請求項3】
前記ホルダ本体は、前記発光部からの光が入る入口と、筒状容器およびサンプルを通過した光が出るための出口を有し、筒状容器の入口側および出口側に、それぞれ前記一対の遮光壁が設けられていることを特徴とする請求項1記載の光学測定器用サンプルホルダ。
【請求項4】
前記遮光壁の一端は前記ホルダ本体の内壁面に固定され、前記遮光壁の前記尖端部は、前記容器収容部へ前記筒状容器が挿入された場合に、前記筒状容器の外周面に前記筒状容器の軸線方向に沿って線接触することを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の光学測定器用サンプルホルダ。
【請求項5】
前記ホルダ本体には前記筒状容器の外周面を支える1以上の支持壁が、前記光路から見て前記遮光壁よりも外側に形成されていることを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の光学測定器用サンプルホルダ。
【請求項6】
前記遮光壁の少なくとも前記尖端部には、容器本体との前記尖端部との接触箇所における散乱光の反射を低減する反射防止膜が形成されていることを特徴とする請求項4に記載の光学測定器用サンプルホルダ。
【請求項7】
前記ホルダ本体の内部には、前記発光部として、前記筒状容器に検査光を照射する発光素子が設けられ、前記発光素子に電力を供給するためのコネクタを有することを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の光学測定器用サンプルホルダ。
【請求項8】
請求項1~3のいずれか一項に記載の光学測定器用サンプルホルダと、前記光学測定器用サンプルホルダを所定位置に固定する支持部と、前記光学測定器用サンプルホルダ内の前記筒状容器に検査光を照射する発光部と、前記筒状容器およびサンプルを通過した検査光を受光する受光部と、前記受光部が出力する電気信号を受けて前記サンプルの成分に対応した情報を出力する制御ユニットとを具備する光学測定器。
【請求項9】
請求項7に記載の光学測定器用サンプルホルダと、前記光学測定器用サンプルホルダを所定位置に固定する支持部と、前記筒状容器およびサンプルを通過した検査光を受光する受光部と、前記受光部が出力する電気信号を受けて前記サンプルの成分に対応した情報を出力するとともに、前記光学測定器用サンプルホルダの前記コネクタに接続され前記発光素子に電力を供給する制御ユニットとを具備する光学測定器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸光度測定装置などの光学測定器用サンプルホルダ、およびそれを用いた光学測定器に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、測定試料を入れたPCRチューブ等を測定部の上面から挿入することにより、光源からの検出用光を測定試料に照射し、測定試料を通過した検出用光を導光路形成体を通して受光部で受光することにより、測定試料の吸光度を測定する光学測定器が開示されている。
【0003】
この光学測定器では、前記導光路形成体として、弾性を有する透明なシリコーン樹脂で形成された導光路と、この導光路を取り囲んで形成された黒色の光吸収部とを有するものが使用され、前記光吸収部は黒色顔料を分散した弾性を有するシリコーン樹脂で形成されている。これにより、PCRチューブを導光路形成体で弾性的に保持でき、光学測定器の小型化および持ち運びが容易になるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-62184号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の光学測定器では、前記導光路形成体としてPCRチューブを保護する効果のある弾性のあるシリコーン樹脂を使用しているため、導光路の形状精度を高めにくいだけでなく、シリコーン樹脂を用いた製造工程は複雑であるために生産性を高めにくい問題があった。
【0006】
また、小型のPCRチューブ等を使用しているため、容量が0.2mL程度であり、測定試料を検査用光が通過する光路長が短く、測定感度および測定精度を高めにくい問題があった。さらに、測定試料を入れるにはマイクロピペット等が必要であり、操作に手間がかかった。
【0007】
測定精度を高めるには、据え置き型の高感度分析計を用いることが可能であるが、装置を容易に持ち運ぶことはできず、装置が高価で、取り扱いも難しくなってしまう。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は上記問題を解決することを課題としており、本発明の態様1の光学測定器用サンプルホルダは、発光部と受光部を有する光学測定器に装着可能な光学測定器用サンプルホルダであって、前記発光部から前記受光部に到る光路内に、サンプルを収容する透明な筒状容器を保持する容器収容部を有するホルダ本体と、前記ホルダ本体の内部に設けられ、前記光路を挟んで互いに間隔を開けて配置された少なくとも一対の遮光壁とを有し、前記遮光壁の前記容器収容部側の端部には、断面が前記容器収容部へ向けて窄まる尖端部がそれぞれ形成され、前記尖端部は、前記容器収容部へ前記筒状容器が挿入された場合に、前記筒状容器の外周面に沿って前記筒状容器の軸線方向に延びるように配置され、前記遮光壁同士の間隙幅は、前記容器本体の内径の5~95%である
【0009】
この光学測定器用サンプルホルダによれば、前記一対の遮光壁により、前記光路の光軸から所定の程度以上に偏向した検査光を遮り、前記光軸に沿う検査光のみを通過させるため、前記光路をシリコーン樹脂などで形成することが必要なく、サンプルホルダの構造を単純化でき、製造コストが安くできるうえ、過度に弾性を有する必要がないので成型精度を高めることができる。また、前記遮光壁の端部に断面が前記容器収容部へ向けて窄まる尖端部がそれぞれ形成され、前記容器収容部へ前記筒状容器が挿入された場合に、前記尖端部は前記筒状容器の外周面に沿って前記筒状容器の軸線方向に延びるように配置され、前記遮光壁同士の間隙幅は、前記容器本体の内径の5~95%であるから、前記遮光壁の端部での乱反射によるノイズを減らして測定の精度を上げることが可能である。
【0010】
また、透明筒状容器を保持するための構造に自由度が高いため、一般的な分析に使用されるバイアル瓶やサンプルチューブなど、任意の容量の透明筒状容器を使用できる。よって、サンプルを検査光が通過する光路長を比較的長く確保することが容易で、測定感度および精度を高めることが容易である。
【0011】
前記透明筒状容器は、例えば容量が1mL以上のバイアル瓶またはサンプルチューブであってもよい。前記遮光壁は前記ホルダ本体と一体的に形成されていてもよい。前記遮光壁は樹脂、金属、セラミックスなどで形成されていてもよく、それ自体が検査光に対する吸光度の高い材質であるか、表面に吸光度の高い層が形成されていてもよい。
【0012】
態様2の光学測定器用サンプルホルダは、前記態様1において、前記発光部からの光が入る入口と、筒状容器およびサンプルを通過した光が出るための出口を有し、前記筒状容器よりも出口側に前記一対の遮光壁が設けられていることを特徴とする。
この場合、前記筒状容器よりも出口側に前記一対の遮光壁が設けられているから、筒状容器およびサンプルを通過した検査光のうち、前記光路の光軸から所定の程度以上に偏向した不要な検査光を前記遮光壁が遮り、前記光軸に沿う検査光のみを選択的に通過させ、前記受光部による測定精度を高めることができる。
【0013】
態様3の光学測定器用サンプルホルダは、前記態様1において、前記発光部からの光が入る入口と、筒状容器およびサンプルを通過した光が出るための出口を有し、筒状容器の入口側および出口側に、それぞれ一対の遮光壁が設けられていることを特徴とする。
この場合、前記筒状容器よりも入口側および出口側のそれぞれに各一対の遮光壁が設けられているから、筒状容器に到達する前の検査光、およびサンプルを通過した検査光のうち前記光路の光軸から所定の程度以上に偏向した不要な検査光を前記各遮光壁が遮り、前記光軸に沿う検査光のみを選択的に通過させ、前記受光部による測定精度を高めることができる。
【0014】
態様4の光学測定器用サンプルホルダは、前記態様1~3のいずれかにおいて、前記遮光壁の一端は前記ホルダ本体の内壁面に固定され、前記遮光壁の他端は断面が尖った尖端部として前記筒状容器の外周面に当接可能であることを特徴とする。
この場合、前記遮光壁の尖端部が前記筒状容器の外周面に当接するから、前記遮光壁と前記筒状容器の当接面積を小さくすることができ、前記遮光壁の当接面での検査光の不要な反射を防ぎ、前記受光部による測定精度を高めることができる。
【0015】
態様4において、前記遮光壁の少なくとも前記尖端部には、容器本体との前記尖端部との接触箇所における散乱光の反射を低減する反射防止膜が形成されていてもよい。
この場合には、反射防止膜によって容器本体との前記尖端部との接触箇所における散乱光の反射を低減することができ、散乱光によるノイズをさらに減らすことができる。反射防止膜としては、膜の表面に微細な凹凸が形成される粒子を含む材料や、容器本体の材料よりも低屈折率の材料、およびマイナス電荷を細くする効果が高いカチオン系の帯電防止剤が好適に使用できる。
【0016】
態様5の光学測定器用サンプルホルダは、前記態様1~4のいずれかにおいて、前記ホルダ本体には前記筒状容器の外周面を支える1以上の支持壁が形成されていることを特徴とする。前記支持壁の数は2つであってもよいし、3つまたは4つであってもよい。
この場合、前記ホルダ本体に前記筒状容器を支える支持壁が形成されているから、前記筒状容器の支持箇所を増やして前記筒状容器の支持位置の精度を高めることができるとともに、他の支持構造に比べて前記筒状容器を支持するための立体形状を簡略化することができ、支持壁を遮光壁と同様に形成することも可能となる。したがって、測定精度の向上および光学測定器用サンプルホルダの製造コストを抑えることが可能となる。前記支持壁は、前記光路から見て前記遮光壁よりも外側に形成されていることが好ましい。
【0017】
態様6の光学測定器用サンプルホルダは、前記態様1~5のいずれかにおいて、前記ホルダ本体の内部には、前記発光部として、前記筒状容器に検査光を照射する発光素子が設けられ、前記発光素子に電力を供給するためのコネクタを有することを特徴とする。前記コネクタにより、光学測定器内に設けられた電源へ着脱可能に接続することができる。
この場合、光学測定器用サンプルホルダの内部に発光素子を収容しているから、光学測定器の小型化が容易になる。また、光学測定器用サンプルホルダのコネクタを制御ユニットに着脱可能に接続できるから、光学測定器用サンプルホルダの着脱を容易に行える。光学測定器用サンプルホルダを交換することにより、検査光の波長や光強度の異なる発光素子へ交換することも可能となる。
【0018】
本発明の態様7の光学測定器は、前記態様1~5のいずれかの光学測定器用サンプルホルダと、前記光学測定器用サンプルホルダを所定位置に固定する支持部と、前記光学測定器用サンプルホルダ内の前記筒状容器に検査光を照射する発光部と、前記筒状容器およびサンプルを通過した検査光を受光する受光部と、前記受光部が出力する電気信号を受けて前記サンプルの成分に対応した情報を出力する制御ユニットとを具備する。
この光学測定器によれば、前記光学測定器用サンプルホルダの前記効果を得ることができ、装置全体の小型化を図ることができる。
【0019】
態様8の光学測定器は、前記態様6の光学測定器用サンプルホルダと、前記光学測定器用サンプルホルダを所定位置に固定する支持部と、前記筒状容器およびサンプルを通過した検査光を受光する受光部と、前記受光部が出力する電気信号を受けて前記サンプルの成分に対応した情報を出力するとともに、前記光学測定器用サンプルホルダのコネクタに接続され前記発光素子に電力を供給する制御ユニットとを具備する。
この場合、光学測定器用サンプルホルダの内部に発光素子を収容するから、装置全体の小型化が容易になる。また、光学測定器用サンプルホルダのコネクタを制御ユニットに接続することにより、光学測定器用サンプルホルダの着脱を容易に行える。
【0022】
本発明の他の態様の光学測定器は、複数の前記光学測定器用サンプルホルダを保持する駆動部を有し、前記駆動部を移動させて、選択した光学測定器用サンプルホルダを、前記光路内に挿入できるようにされている。この場合、光学測定器用サンプルホルダの数のサンプルを連続的に測定することができ、測定効率を高めることが可能である。
【発明の効果】
【0023】
本発明の光学測定器用サンプルホルダによれば、前記一対の遮光壁により前記光路の光軸から偏位した検査光を遮り、前記光軸に沿う検査光のみを通過させるため、前記光路をシリコーン樹脂などで形成することが必要なく、サンプルホルダの構造を単純化でき、製造コストが安い上、過度に弾性を有する必要がないので成型精度を高めることができる。
また、本発明の光学測定器によれば、前記光学測定器用サンプルホルダの前記効果を得ることができ、装置全体の小型化を図ることができる。
さらに、前記遮光壁の端部に断面が前記容器収容部へ向けて窄まる尖端部がそれぞれ形成され、前記容器収容部へ前記筒状容器が挿入された場合に、前記尖端部は前記筒状容器の外周面に沿って前記筒状容器の軸線方向に延びるように配置され、前記遮光壁同士の間隙幅は、前記容器本体の内径の5~95%であるから、前記遮光壁の端部での乱反射によるノイズを減らして測定の精度を上げることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の一実施形態に係る光学測定器の上蓋を外した状態の平面図である。
図2】同実施形態の光学測定器の縦断面図である。
図3】同実施形態の光学測定器用サンプルホルダのホルダ上蓋を外した状態の平面図である。
図4】同実施形態の光学測定器用サンプルホルダの正面図である。
図5】同実施形態の光学測定器用サンプルホルダの側面図である。
図6】他の実施形態の光学測定器用サンプルホルダの側面図である。
図7】光学測定器用サンプルホルダの効果を説明するための横断面図である。
図8】他の実施形態の光学測定器用サンプルホルダのホルダ上蓋を外した状態の平面図である。
図9】他の実施形態の光学測定器用サンプルホルダのホルダ上蓋を外した状態の平面図である。
図10】他の実施形態の光学測定器用サンプルホルダのホルダ上蓋を外した状態の平面図である。
図11】他の実施形態の光学測定器用サンプルホルダの正面図である。
図12】他の実施形態の光学測定器用サンプルホルダのホルダ上蓋を外した状態の平面図である。
図13】他の実施形態の光学測定器用サンプルホルダのホルダ上蓋を外した状態の平面図である。
図14】他の実施形態の光学測定器用サンプルホルダの斜視図である。
図15】他の実施形態に係る光学測定器の上蓋を外した状態の平面図である。
図16】同実施形態において光路の周辺に配置されたコイルを示す概略図である。
図17】他の実施形態に係る多連装型の光学測定器の平面図である。
図18】他の実施形態に係る多連装型の光学測定器の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
[第1実施形態]
以下、本発明の実施形態を図面を用いて詳細に説明する。図1は本発明の第1実施形態の光学測定器を示す平面図、図2はその光学測定器の縦断面図である。
光学測定器1は、底板部とその四辺から起立した側板部を有する箱状のケース本体2と、ケース本体2の上端を塞ぐ矩形状の上蓋4を有する。ケース本体2の内部には、直方体状をなすサンプルホルダ6が収容され、四隅の位置決め台8によって定位置に着脱可能に保持されている。サンプルホルダ6は一方の側壁部の略中央から他方の側壁部の略中央へ貫通する光路Lを有し、光路Lの一端には発光部10が配置され、光路Lの他端には導光ユニット12を介して受光センサ18が配置されている。
【0026】
ケース本体2の内部には制御ユニット24が設けられ、発光部10への電源供給と、受光センサ18からの電気信号の処理を行う。制御ユニット24には図示しない操作ユニットおよび表示装置が接続され、ケース本体2の外周面に露出したスイッチ等から使用者が操作でき、表示装置により測定結果が表示される。制御ユニット24にBluetooth(ブルートゥース/登録商標)またはWIFI(ワイファイ)等の規格に基づく無線通信回路を組み込み、外部のコンピューターや記録装置へ測定結果を送る構成としてもよい。
【0027】
サンプルホルダ6の上面の中央部には、筒状容器26を垂直に挿入するための空間である容器収容部25が形成され、上蓋4には対応する位置に円形の開口部が形成されている。容器収容部25に筒状容器26を底から差し込むことにより、サンプルホルダ6が筒状容器26を定位置に保持する。本発明の筒状容器26は限定されないが、この実施形態では筒状容器26として、一般に流通しているバイアル瓶またはサンプルチューブが使用される。筒状容器26は、透明なガラスまたは透明な樹脂で形成された有底円筒形の容器本体30と、この容器本体30の上端に着脱可能に取り付けられて気密的に塞ぐキャップ28とを有している。容器本体30の底部は平坦である。キャップ28は容器本体30に螺合されてもよいし、着脱可能に圧入されていてもよい。キャップ28は注射針(シリンジニードル)を貫通できるゴム栓であってもよい。筒状容器26の容量は本発明では限定されないが、容量が0.2mL程度のPCRチューブとは異なり、1mL以上が好ましく、例えば2mLであってもよい。例えば、バイアル瓶の標準サイズは容器本体30の高さが32mm、内径が11.6mmである。
【0028】
図3図5は、この実施形態のサンプルホルダ6の平面図、正面図、および側面図である。この実施形態のサンプルホルダ6は、箱型のホルダ本体44と、ホルダ本体44の上端を塞ぐ矩形状のホルダ上蓋42を有し、ホルダ上蓋42は四隅のねじ穴40を通じてネジ46によりホルダ本体44に固定される。ホルダ上蓋42およびホルダ本体44は例えば硬質樹脂または金属などで形成されている。ホルダ本体44には、一方の側壁部の下寄りの中央部に円形または矩形状の光入口32が形成され、光入口32と対向する他方の側板部には円形または矩形状の光出口34が形成されている。光路Lは光入口32から光出口34を貫通して形成されている。
【0029】
ホルダ本体44の光入口32および光出口34が形成されている内壁面には、光路Lの両側に沿って光路Lを挟むように、互いに平行な各一対の遮光壁36が形成されている。遮光壁36は矩形状をなし、ホルダ本体44の底面および側壁部に垂直に固定されている。遮光壁36はホルダ本体44と一体的に形成されていてもよいし、ホルダ本体44の内壁面に接合されていてもよい。遮光壁36のホルダ中央側の端部は、ホルダ底面から垂直に上方へ延びてホルダ上蓋42に当接し、容器収容部25の輪郭に沿って配置されている。遮光壁36の先端は、光路Lとは反対側が片刃状に切りかかれて斜面となっており、尖端部36Aが形成されている。尖端部36Aは、容器収容部25へ挿入された筒状容器26の外周面に上下方向に沿って線接触するようになっているか、筒状容器26の外周面との間に僅かな間隙が開けられていてもよい。尖端部36Aの角度は限定されないが、遮光壁36の光路L側の側面に対して10°~80°程度であってもよいし、30°~60°程度であってもよい。
【0030】
互いに平行に位置する遮光壁36同士の間隙幅は、光学測定器としての吸光度等の測定に必要な検査光の直径に応じて決定される。本発明では限定はされないが、容器本体30の内径の5~95%、より好ましくは20~80%程度であってもよい。光入口32および光出口34の開口幅も遮光壁36同士の間隙幅に対応して決定すればよい。
【0031】
この実施形態のホルダ本体44の内壁面には、遮光壁36が形成されていない一対の側板部の内壁面の中央に沿ってそれぞれ支持壁38が形成されている。支持壁38は、光路Lから見て遮光壁36よりも外側に位置する。これにより、検査に必要のない光の遮断に与える影響は小さい。支持壁38は矩形状をなし、ホルダ本体44の底面および側壁部に垂直に固定されている。支持壁38はホルダ本体44と一体的に形成されていてもよいし、ホルダ本体44の内壁面に接合されていてもよい。支持壁38のホルダ中央側の端部は、ホルダ底面から垂直に上方へ延びてホルダ上蓋42に当接し、容器収容部25の輪郭に沿って配置されている。支持壁38の先端は、側面に対し垂直な平坦面となっており、容器収容部25へ挿入された筒状容器26の外周面に上下方向に沿って、線接触または一定の幅で面接触するようになっている。面接触をしていても、支持壁38は遮光壁36よりも光路Lから見て外側に当接しているので、接触面での検査光の反射が測定誤差を生じることは無視できる。筒状容器26の位置を測定に必要な精度で位置決めできれば、筒状容器26の外周面との間に極く僅かな間隙が開けられていてもよい。これにより、この実施形態では、4枚の遮光壁36の尖端部36Aと、2枚の支持壁38の先端面により、容器本体30がサンプルホルダ6内の正確な位置に保持されるようになっている。
【0032】
遮光壁36および支持壁38を含めてホルダ本体44の内面、およびホルダ上蓋42の下面は、検査光に対して光吸収度の高い黒い材質で形成されている。ホルダ本体44およびホルダ上蓋42の全体が黒い材質で形成されていてもよいし、サンプルホルダ6の内面に黒い吸光層を形成してもよい。黒い材質としては各種樹脂に黒い顔料を加えた樹脂で形成してもよい。吸収率が高く反射率が低い黒色顔料としては、カーボンブラック、チタンブラック、複合酸化物ブラックなどを例示できるが、これらに限定されることはない。また、必要な吸収率を満たすことができれば、黒色でなくても使用可能である。顔料は単一種に限らず、複数種を混合して使用することも可能である。顔料の粒径は限定されないが、検査光の波長に対し吸収率が高く反射率は低くなるような粒径を選択することが好ましい。樹脂としてはアクリル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、またはポリスチレンなど硬度が高く寸法精度が高い硬い材質が好ましい。3Dプリント(積層造形)によりホルダ本体44を一体形成してもよい。
【0033】
遮光壁36と支持壁38により、図3に示すように、ホルダ本体44の内部には4つの直方体状の空間37が形成される。これらの空間37は、光路Lからの偏位が大きい光、および容器本体30から反射した迷走光を空間37内に閉じ込めて、受光センサ18へ到達してノイズを発生することを防ぐ効果を有する。また、これらの空間37があることにより、遮光壁36の水平方向への長さを確保でき、光路Lからの偏向角が所定値よりも大きい光を遮光壁36が吸収する効果を高めることができる。
【0034】
再び、図1および図2を用いて光学測定器の他の構成を説明する。
発光部10は発光素子を有し、この発光素子の発する検査光が光路Lに沿って同軸にサンプルホルダ6の光入口32から入射される。発光部10と光入口32の間には光路Lに対する偏向角が大きい検査光および外乱光を遮蔽するための筒状のシールドが設けられている。シールドはホルダ本体44に対して離脱可能であり、ホルダ本体44の取り外しが可能とされている。
【0035】
前記発光素子としては、発光ダイオード(LED)、半導体レーザ(LD)、白熱電球等が一般的であるが、その他の発光素子を用いてもよい。発光素子が発光する波長も、受光センサ18に対応して、赤外線、可視光線、紫外線など必要に応じていずれであってもよい。発光素子は、受光センサ18の受光波長に対応して、複数の波長域の検査光を同時に、もしくは測定対象に応じて切り替えていずれかの波長の検査光を出力するものであってもよい。連続波長の光源であってもよい。
【0036】
発光部10からの検査光は、光入口32から入射し、一対の遮光壁36の間を通り、容器本体30およびサンプルを通過し、さらに一対の遮光壁36の間を通り、光出口34から導出される。光出口34に隣接して配置された導光ユニット12は、検査光を受光センサ18へ導くもので、その過程で光路Lから偏位した検査光を吸収して、ノイズを除去する作用を有する。導光ユニット12は、層状の光遮断部14および導光部16を有する。光遮断部14は光出口34から導出された検査光のうち、光路Lからの偏向角が大きい検査光を遮断するアパーチャの役割を果たす。導光部16は、透明な導光路20と、導光路20を囲む黒色の光吸収部22を有する。
【0037】
この実施形態の導光路20は、光出口34側で直径が大きく、受光センサ18側で直径径が窄まる円錐形状をなし、限定はされないが好ましくは、検出光に対し透明な樹脂やガラス等の材質で形成されている。光吸収部22は、検出光に対し光吸収率の高い黒い材質で形成され、好ましくは樹脂やガラスに黒色顔料を加えた材質で形成されている。導光路20と光吸収部22を同種もしくは同一の樹脂やガラスで形成することにより、導光路20と光吸収部22との境界面での光反射を低減してノイズを低下することが可能である。樹脂としてはアクリル樹脂、シリコーン樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、またはポリスチレンなどが使用できるがこれらに限定されることはない。黒色顔料としては前述したような材質が使用可能である。
【0038】
受光センサ18の受光素子としては、従来用いられているいかなる種類であってもよく、赤色、青色、緑色のそれぞれの受光量を検知することができるRGBカラーセンサ、イメージセンサ、CMOSセンサ、光電効果型センサ、フォトトランジスタ、フォトダイオード、CCD、フォトレジスタ、CdSセル、中赤外領域用のHgCdTeセルなどいかなる光電センサであってもよく、反応する波長も、赤外線、可視光線、紫外線など必要に応じていずれであってもよい。受光素子は、カラーセンサのように複数の波長に反応して複数の信号を同時に出力するものであってもよいし、画像信号出力が可能なものでもよい。
【0039】
上記構成からなる光学測定器用サンプルホルダ6および光学測定器1によれば、図7に示すように、発光部10が発した検査光が、サンプルホルダ6の光入口32から入射し、一対の遮光壁36の間を通り、容器本体30およびサンプルを通過し、さらに一対の遮光壁36の間を通り、光出口34から導出され、導光ユニット12を通って受光センサ18の受光面18Aへ入射する。
【0040】
発光部10が発した検査光のうち、光路Lに対して一定角度以下の中央光A1は、容器本体30のガラスまたは透明樹脂を通過し、サンプルを通過してサンプルによる吸収を受けた後、再び容器本体30のガラスまたは透明樹脂を通過する。この過程で空気-透明材の境界で光路Lに近づく向きに二度屈折した後、出射した検査光A2は、光出口34側の遮光壁36の間を通過し、受光面18Aに入射する。中央光A1が容器本体30の内面で反射しても、反射光A3,A4,A5は何れかの空間37に入って吸収される。一方、発光部10が発した検査光のうち、光路Lに対して一定角度以上偏向した周辺光B1は、光入口32側の遮光壁36を通り抜けて、容器本体30およびサンプルを光B2として通過したとしても、光出口34側の遮光壁36で遮られて殆どが吸収され、一部は反射しても反射光はいずれかの空間37に閉じ込められて減衰する。
【0041】
この実施形態では、遮光壁36の尖端部36Aが光路Lの外側を向く斜面になっているため、吸収しきれなかった残光も斜面で空間37へ向けて反射されるうえ、容器本体30の外周面と尖端部36Aの当接面は線状であり面積が小さいため、当接面で反射されて再び容器本体30内に戻る反射光を減らすことができ、周辺光B1を除去する効果が高い。よって、周辺光B1の乱反射によるノイズを減らして測定の精度を上げることが可能である。
【0042】
また、各一対の遮光壁36をホルダ本体44内に設ける構造であるから、光路Lをシリコーン樹脂などで形成することが必要なく、サンプルホルダ6の構造を単純化でき、製造コストが安い上、過度に弾性を有する必要がないので成型精度、ひいては測定精度を高めることができる。
【0043】
また、筒状容器26を保持する構造の自由度が高いため、一般的な分析に使用されるバイアル瓶やサンプルチューブなど、任意の容量の透明筒状容器を使用できる。よって、サンプルを検査光が通過する光路長を比較的に長く確保することが容易で、測定感度および精度を高めることが容易である。
【0044】
また、ホルダ本体44に筒状容器26を支える支持壁38が形成されているから、筒状容器26の支持箇所を増やして筒状容器26の支持位置の精度を高めることができるとともに、他の支持構造に比べて筒状容器26を支持するための立体構造を簡略化することができ、支持壁38を遮光壁36と同様に形成することも可能となる。したがって、測定精度の向上およびサンプルホルダ6の製造コストを抑えることが可能である。
【0045】
また、この実施形態では、ケース本体2からサンプルホルダ6を取り出して、筒状容器26のサイズに適合する別のサンプルホルダ6を装着することができ、様々なサイズの筒状容器26に合わせた測定が可能である。
【0046】
次に、本発明の他の実施形態を説明する。以下の説明において第1実施形態と略同一の構成には同一符号を付して説明を省略する。
【0047】
[第2実施形態]
図6は、第2実施形態のサンプルホルダ6を示す側面図であり、第2実施形態の特徴は、ホルダ本体44の内側に発光部10を設けたことにある。発光部10は、第1実施形態において光入口32が形成されていた位置において発光側の平行な遮光壁36の間に配置され、一対の遮光壁36の間隙の中央に形成された光路Lに沿って検査光を発する。
発光部10へ電力を供給するためのコネクタ48がホルダ本体44に形成されており、このコネクタ48をケース本体2の内底面に設けられたコネクタと接続することにより、制御ユニット24の電源部から発光部10が電力供給を受けて発光する。
【0048】
第2実施形態によれば、サンプルホルダ6の内部に発光部10を収容しているから、光学測定器全体の小型化が容易になる。また、サンプルホルダ6のコネクタ48を制御ユニット24のコネクタに離脱可能に接続しているから、ケース本体2からのサンプルホルダ6の着脱が容易に行える。
【0049】
[第3実施形態]
図8は、第3実施形態のサンプルホルダ6を示す平面図であり、第3実施形態の特徴は、ホルダ本体44の内部に支持壁38を形成していないことにある。この第3実施形態では、遮光壁36の尖端部36Aが容器本体30の外周面の4箇所に線接触し、容器本体30を支えているから、支持壁38が無くても、容器本体30を高精度に位置決めすることが可能である。また、第1実施形態よりも、ホルダ本体44の構造の単純化が図れる。
【0050】
[第4実施形態]
図9は、第4実施形態のサンプルホルダ6を示す平面図であり、第4実施形態の特徴は、光出口34側の一対の遮光壁36を無くし、支持壁38を容器本体30の中心よりも光出口34側に位置を変更したことにある。この第4実施形態では、一対の遮光壁36の尖端部36Aと、二つの支持壁38が容器本体30の外周面の4箇所に接触し、容器本体30を支えているから、遮光壁36が一対のみになっても、容器本体30を高精度に位置決めすることが可能である。また、第1実施形態よりも、ホルダ本体44の構造の単純化が図れる。
【0051】
[第5実施形態]
図10は、第5実施形態のサンプルホルダ6を示す平面図であり、第5実施形態の特徴は、光出口34側の一対の遮光壁36を無くし、支持壁38をホルダ本体44の光出口34に近い側の一対の隅部に形成し、支持壁38の先端を光入口32側へ向けて傾斜させ、容器本体30の中心よりも光出口34に近い位置に当接させたことにある。この第5実施形態では、一対の遮光壁36の尖端部36Aと、二つの支持壁38の先端が容器本体30の外周面の4箇所に接触し、容器本体30を支えているから、遮光壁36が一対のみになっても、容器本体30を高精度に位置決めすることが可能である。また、第1実施形態よりも、ホルダ本体44の構造の単純化が図れる。
【0052】
[第6実施形態]
図11は、第6実施形態のサンプルホルダ6を示す平面図であり、第6実施形態の特徴は、有底円筒状のバイアル瓶の代わりに、下部が円錐形状に窄まったテーパー部30Aを有する筒状容器26を用いたことにある。この筒状容器26は弾性変形するブリッジで繋がったキャップ28を有する。光入口32および光出口34並びに光路Lの位置は、容器本体30のテーパー部30Aではなく、円筒形部分に対応して設けられている。このように、下端にテーパー部30Aを有する筒状容器26を用いた場合にも、本発明は適用可能である。
【0053】
[第7実施形態]
図12は、第7実施形態のサンプルホルダ6を示す平面図であり、第7実施形態の特徴は、遮光壁36の先端に両刃状(断面V字状)に切りかかれた尖端部36Bを形成したことにある。この場合にも、遮光壁36の尖端部36Bと容器本体30は線接触するので、第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0054】
[第8実施形態]
図13は、第8実施形態のサンプルホルダ6を示す平面図であり、第8実施形態の特徴は、遮光壁36の先端に断面半円状または半楕円状の尖端部36Cを形成したことにある。この場合にも、遮光壁36の尖端部36Cと容器本体30は線接触するので、第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0055】
[第9実施形態]
第9実施形態のサンプルホルダは、前記いずれかの実施形態におけるサンプルホルダ6において、遮光壁36の尖端部36A,36B,または36Cに、容器本体30との接触部における散乱光の反射を低減する反射防止膜を形成したことを特徴とする。反射防止膜は、尖端部を有しない遮光壁36にも適用は可能であるが、尖端部を有する場合に特に反射防止効果を発揮する。反射防止膜としては、(1)膜の表面に微細な凹凸が形成される粒子を含む材料や、(2)容器本体30の材料よりも低屈折率の材料、および(3)マイナス電荷を細くする効果が高いカチオン系の帯電防止剤が挙げられる。具体的に、(1)としては例えばシリカ微粒子を含有するポリシロキサン樹脂などの樹脂膜、(2)としては非晶質フッ素樹脂等の低屈折率樹脂膜、(3)としては陽イオン界面活性剤、第四級アンモニウムカチオンなどを含有する各種塗膜が例示できる。反射防止膜の厚さは、それぞれの機能に応じて適切な厚さを選択すればよい。
【0056】
[第10実施形態]
図14は、第10実施形態のサンプルホルダ6を示す斜視図であり、第10実施形態の特徴は、サンプルホルダ6に発光部10および受光センサ18を一体化したことにある。発光部10は発光基板50に固定され、発光基板50がホルダ本体44の外周面に固定されている。受光センサ18および導光ユニット12もホルダ本体44の光出口34側に固定されている。この実施形態では、ケース本体2からサンプルホルダ6を取り出して交換することにより、発光部10および受光センサ18も一緒に交換することができ、異なる検査光での検査が容易に行える利点を有する。
【0057】
[第11実施形態]
図15は、第11実施形態の光学測定器を示す平面図であり、第11実施形態の特徴は、導光ユニット12がコイル52を有することにある。このコイル52は、銅、銀、アルミニウムなどの電線を巻回するか、基板上に金属箔からなるコイルパターンを形成したものであり、図16に示すように、導光路20および受光センサ18の受光面と同軸に配置されている。コイル52は、制御ユニット24に接続され、制御ユニット24の電源部から直流電流を供給され、磁場を形成する。
【0058】
[第12実施形態]
図17は、第12実施形態の光学測定器60を示す平面図であり、第12実施形態の特徴は、複数のサンプルホルダ6を一定間隔で一列に並べて保持するスライダ62(駆動部)を有し、スライダ62を長手方向であるスライド方向D1に移動させて、選択したサンプルホルダ6を、発光部10と導光ユニット12および受光センサ18との間の光路L内に挿入できるようにしたことにある。制御ユニット24がスライダ62の動作も制御する。第12実施形態によれば、サンプルホルダ6の数のサンプルを連続的に測定することができ、測定効率を高めることが可能である。
【0059】
[第13実施形態]
図18は、第13実施形態の光学測定器66を示す平面図であり、第13実施形態の特徴は、複数のサンプルホルダ6を円環状に一定間隔で一列に並べて保持するターンテーブル64(駆動部)を有し、ターンテーブル64を回転方向D2に中心回りに回動させたうえ、選択したサンプルホルダ6を押出方向D3に移動させることにより、発光部10と導光ユニット12および受光センサ18との間の光路L内に挿入できるようにしたことにある。制御ユニット24がターンテーブル64の動作も制御する。第13実施形態によれば、サンプルホルダ6の数のサンプルを連続的に測定することができ、測定効率を高めることが可能である。
【0060】
以上、本発明の実施形態を挙げて説明したが、本発明は実施形態のみに限定されるものではなく、上記各実施形態を選択して組み合わせることも可能であるし、光学測定器について周知の構成を加えたり、各実施形態の非特徴部分と交換することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明によれば、前記一対の遮光壁により前記光路の光軸から偏位した検査光を遮り、前記光軸に沿う検査光のみを通過させるため、前記光路をシリコーン樹脂などで形成することが必要なく、サンプルホルダの構造を単純化でき、製造コストが安い上、過度に弾性を有する必要がないので成型精度を高めることができるから、産業上の利用が可能である。
【符号の説明】
【0062】
1: 光学測定器 2: ケース本体
4: 上蓋 6: サンプルホルダ
8: 位置決め台 10: 発光部
12: 導光ユニット 14: 光遮断部
16: 導光部 18: 受光センサ
18A: 受光面 20: 導光路
22: 光吸収部 24: 制御ユニット
25: 容器収容部 26: 筒状容器
28: キャップ 30: 容器本体
30A: テーパー部 32: 光入口
34: 光出口 36: 遮光壁
36B: 尖端部 36C: 尖端部
36A: 尖端部 37: 空間
38: 支持壁 40: ねじ穴
42: ホルダ上蓋 44: ホルダ本体
46: ネジ 48: コネクタ
50: 発光基板 52: コイル
60: 光学測定器 62: スライダ
64: ターンテーブル 66: 光学測定器
L: 光路 A1: 中央光
B1: 周辺光 D1: スライド方向
D2: 回転方向 D3: 押出方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図15
図16
図17
図18