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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-23
(45)【発行日】2024-01-31
(54)【発明の名称】ラップ工具
(51)【国際特許分類】
   B24B 37/14 20120101AFI20240124BHJP
   C22C 37/04 20060101ALI20240124BHJP
【FI】
B24B37/14
C22C37/04 G
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020106357
(22)【出願日】2020-06-19
(65)【公開番号】P2022001389
(43)【公開日】2022-01-06
【審査請求日】2023-02-22
(73)【特許権者】
【識別番号】508088281
【氏名又は名称】株式会社ダイハツメタル
(73)【特許権者】
【識別番号】598031268
【氏名又は名称】株式会社クリスタル光学
(74)【代理人】
【識別番号】100092864
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 京子
(74)【代理人】
【氏名又は名称】橋本 克彦
(74)【代理人】
【識別番号】100160543
【弁理士】
【氏名又は名称】河野上 正晴
(72)【発明者】
【氏名】大石 尚己
(72)【発明者】
【氏名】石原 忠弥
(72)【発明者】
【氏名】桐野 宙治
(72)【発明者】
【氏名】谷 泰弘
【審査官】城野 祐希
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-212252(JP,A)
【文献】特開昭63-079937(JP,A)
【文献】特開昭60-247037(JP,A)
【文献】特開昭62-192518(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24B 37/14
C22C 37/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
黒鉛を含有する引張強度が300MPa以上のFCV鋳鉄製のラップ工具であって、
前記黒鉛が6~80μmの幅及び20~500μmの長さを有し、80個/mm2以上の密度で含有されることを特徴とするラップ工具。
【請求項2】
前記FCV鋳鉄が、質量%で、3.0%以上4.0%以下のC[炭素]、2.0%以上3.0%以下のSi[ケイ素]、1.0%未満のMn[マンガン]、0.10%以下のP[リン]、0.01%以上0.02%以下のS[硫黄]、1.0%以下のCu[銅]、0.01%以上0.02%以下のMg[マグネシウム]及び0.03%以上0.08%以下のRE[希土類元素]を含有し、残部がFe[鉄]及び不可避不純物からなることを特徴とする請求項1に記載のラップ工具。
【請求項3】
前記FCV鋳鉄が、Cr[クロム]、Ni[ニッケル]、及びMo[モリブデン]からなる群から選択される少なくとも一種を含む金属または合金である耐食性向上添加剤を含有することを特徴とする請求項1または2に記載のラップ工具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、FCV鋳鉄製のラップ工具に関するものである。尚、本明細書において、「FCV鋳鉄」とは、芋虫形状の黒鉛組織を含有する引張強度が300MPa以上のコンパクティッド・バーミキュラ鋳鉄をいう。
【背景技術】
【0002】
近年、電子機器の高機能化と省エネの観点からパワー半導体の普及が期待されており、ラッピング及びポリシングの研磨が行われている。ラッピングは、ポリシングの前加工として、直径が10μm程度の砥粒を用いて行われる。ラッピングには、乾式ラッピングと湿式ラッピングがある。
【0003】
乾式ラッピングは、砥粒を工具上に配置して工具に埋め込んで行われる。湿式ラッピングは、水中に分散させた砥粒を用いて行われるので砥粒の分散性が良く、工業的によく用いられている。
【0004】
そして、ラッピング工具として、従来から鋳鉄製のラップ工具が用いられており、そのうち7割程度が球状の黒鉛を晶出させた黒鉛鋳鉄(以下「FCD鋳鉄」と言う)製のラップ工具であり、その他は線片状の黒鉛組織を有する安価なねずみ鋳鉄(以下「FC鋳鉄」と言う)製のラップ工具である。
【0005】
殊に、FCD鋳鉄製のラップ工具は、引張強度が400MPa以上と高く、FC鋳鉄製のラップ工具よりも耐摩耗性に優れており、被加工材を非常に高精度な加工面に仕上げる場合などに用いられており(特許文献1)、FC鋳鉄製のラップ工具の引張強度は約400MPa未満であるが、反面、成形が容易なことから、レンズの球面の光学部品等のラッピングによく用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開平06-212252号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、湿式ラッピングは工具と被加工材との間で砥粒が転動して研磨を行うものであり、工具にひっかかった砥粒が多ければ多いほど、工具との滑りがなくなるため除去量が増えるという現象が生じる。
【0008】
FC鋳鉄製のラップ工具は、FCD鋳鉄製のラップ工具より研磨能率が高いが耐摩耗性が低く、それに対してFCD鋳鉄製のラップ工具は、耐摩耗性は高いが研磨能率が低い、という特徴がある。
【0009】
そのため、LED基板に使用されるサファイアやパワー半導体に使用されるSiCやGaN等のような難削材をラッピングする場合、上記従来のFC鋳鉄製やFCD鋳鉄製のラップ工具では、ラッピングに時間がかかるか、あるいは耐摩耗性が低いため、コスト高の原因となっていた。
【0010】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、LED基板に使用されるサファイアやパワー半導体に使用されるSiCやGaN等のような難削材をラッピングするのに適する、研磨能率が高く且つ耐摩耗性に優れたラップ工具を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記課題を解決するためになされた本発明のラップ工具は、黒鉛を含有する引張強度が300MPa以上のFCV鋳鉄製のラップ工具であって、前記黒鉛が6~80μmの幅及び20~500μmの長さを有し、80個/mm2以上の密度で含有されることを特徴とする。一般に引張強度と硬度は相対的に正の相関を有するが、硬度が高くなると靭性が減り耐摩耗性が劣化するので、硬度はビッカース硬度で200以下であることが望ましい。
【0012】
また、本発明において、前記FCV鋳鉄は、質量%で、3.0%以上4.0%以下のC[炭素]、2.0%以上3.0%以下のSi[ケイ素]、1.0%未満のMn[マンガン]、0.10%以下のP[リン]、0.01%以上0.02%以下のS[硫黄]、1.0%以下のCu[銅]、0.01%以上0.02%以下のMg[マグネシウム]及び0.03%以上0.08%以下のRE[希土類元素]を含有し、残部がFe[鉄]及び不可避不純物である、と好ましい。
【0013】
更に、本発明において、前記FCV鋳鉄が、Cr[クロム]、Ni[ニッケル]、及びMo[モリブデン]からなる群からなる選択される少なくとも一種を含む金属または合金である耐食性向上添加剤を含有する場合には耐食性の向上を図ることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明により、研磨能率が高く且つ耐摩耗性に優れたラップ工具を提供することが可能となる。殊に、基本的には球状黒鉛がなるべく少なく、芋虫状黒鉛が多いほど研磨特性は向上し、また、FCV鋳鉄はFCD鋳鉄よりも熱伝導率が高いために研磨中に生じる加工熱を早く除去して形状精度の高い研磨が可能になるばかりか、振動減衰性が高いために、研磨中に生じる振動を抑えるので仕上げ面粗さがよくなる傾向にあり、更に、FCV鋳鉄はFC鋳鉄よりも耐摩耗性が良いため、レンズ等の光学部品の研磨に使用した場合、工具の摩耗による形状が劣化した工具の形状修正を行う頻度が下がり、生産性を向上させることも期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明のラップ工具を構成するFCV鋳鉄の表面の金属顕微鏡写真である。
図2】従来のFC鋳鉄の表面の金属顕微鏡写真である。
図3】従来のFCD鋳鉄の表面の金属顕微鏡写真である。
図4】従来の一般的なFCV鋳鉄の表面の金属顕微鏡写真である。
図5】Mg含有量を少なくすることで単に球状化率を小さくしたFCD鋳鉄の表面の金属顕微鏡写真である。
図6】FCV鋳鉄(実施例1)及びFCD鋳鉄(比較例2)のラップ工具を用いてサファイア基板を湿式ラッピングしたときの、用いた砥粒B4Cの番手(粒径)による研磨能率及び仕上げ面粗さを示すグラフである。
図7】♯600のGCを用いてドレッシングを行い、次いでFCV鋳鉄(実施例1)、FCD鋳鉄(比較例2)、及びFC鋳鉄(比較例1)のラップ工具と♯2000のGCとを用いてソーダガラスを湿式ラッピングしたときの、ラッピング(研磨)時間と研磨能率の関係を示すグラフである。
図8】ソーダガラスの湿式ラッピングで用いる♯2000のGCの砥粒濃度を1質量%、3質量%、及び5質量%としたときのFCV鋳鉄(実施例)、FCD鋳鉄(比較例)、及びFC鋳鉄(比較例)のそれぞれのラップ工具の研磨能率及び仕上げ面粗さを示すグラフである。
図9】FCV鋳鉄(実施例1)、FCD鋳鉄(比較例2)、及びFC鋳鉄(比較例1)のそれぞれのラップ工具の、ソーダガラスの湿式ラッピングで用いるGCの番手を、♯600、♯1000、及び♯2000としたときの研磨能率及び仕上げ面粗さを示すグラフである。
図10】黒鉛幅が7.5μm、15μm、及び27.5μmのラップ定盤を用いてサファイア基板を湿式ラッピングしたときの研磨能率を示すグラフである。
図11】黒鉛長さが175μm、125μm、及び27.5μmのラップ定盤を用いてサファイア基板を湿式ラッピングしたときの研磨能率を示すグラフである。
図12】黒鉛密度が110個/mm2、230個/mm2、及び284個/mm2のラップ定盤を用いてサファイア基板を湿式ラッピングしたときの研磨能率を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明は、黒鉛を含有する引張強度が300MPa以上のFCV(コンパクティッド・バーミキュラ)鋳鉄製のラップ工具であって、前記黒鉛は、6~80μmの幅及び20~500μmの長さを有し、前記FCV鋳鉄に80個/mm2以上の密度で含有される、ラップ工具である。FCV鋳鉄は、CV黒鉛鋳鉄ともいう。
【0017】
本発明のラップ工具を構成するFCV鋳鉄は、芋虫状の黒鉛組織を有し、FC鋳鉄(ねずみ鋳鉄)の優れた鋳造性、機械加工性、熱伝導性、及び減衰能と、FCD鋳鉄(球状黒鉛鋳鉄)の高強度及びヤング率とを兼ね備えた材料特性を有する。
【0018】
図1乃至図3にそれぞれ、本発明のラップ工具を構成するFCV鋳鉄、従来のFC鋳鉄、及び従来のFCD鋳鉄の表面の金属顕微鏡写真を示す。
【0019】
黒鉛が抜け落ちた部分に砥粒が保持され、その保持された砥粒がラップ工具上を転動している他の砥粒の動きを妨げることにより、単位時間当たりの除去量である研磨能率が向上する。
【0020】
本発明のラップ工具はFCV鋳鉄製であり、ラッピングに直接寄与するラップ工具の本体が実質的にFCV鋳鉄からなり、好ましくはラップ工具の全体がFCV鋳鉄からなる。
【0021】
本発明のラップ工具を構成するFCV鋳鉄は、芋虫形状の黒鉛組織を含有する引張強度が300MPa以上のコンパクティッド・バーミキュラ鋳鉄である点で従来の一般的なFCV鋳鉄と共通するが、本発明のラップ工具を構成するFCV鋳鉄に含有される黒鉛は、6~80μmの幅及び20~500μmの長さを有する。黒鉛の幅は、好ましくは8~60μm、より好ましくは10~50μm、さらに好ましくは12~40μmである。黒鉛の長さは、好ましくは25~300μm、より好ましくは30~175μm、さらに好ましくは100~150μmである。黒鉛は、好ましくは30~65%の球状化率を有する。球状化率は、JIS G5505によって算出される。
【0022】
黒鉛が上記範囲の幅及び長さを有することにより、ラップ工具上を転動している他の砥粒の動きを妨げやすくなり、砥粒と被加工材との相対速度が大きくすることができ、高い研磨能率が得られる。上記黒鉛の幅はFC鋳鉄の黒鉛の幅よりも広く、本発明のFCV鋳鉄製のラップ工具は、FC鋳鉄製のラップ工具と比べて同等以上の研磨能率を示す。黒鉛が上記好ましい範囲の幅及び長さを有することにより、より高い研磨能率が得られる。尚、研磨能率とは、被加工材をラッピングするときの単位時間あたりの減少する厚みである。
【0023】
黒鉛の幅及び長さは、ラップ工具の表面を金属顕微鏡で50倍の倍率で1.0mm×1.2mmの視野範囲について観察し、金属顕微鏡写真を母相の金属組織と黒鉛とに画像処理(二値化処理)して測定される。芋虫状の黒鉛の長さは、黒鉛の最大径での円の面積と対象となる黒鉛の面積比で求められる。
【0024】
黒鉛の幅は、好ましくは、ラッピングを行う際に使用する砥粒の平均粒径の2~5倍である。黒鉛の長さは、好ましくは、ラッピングを行う際に使用する砥粒の平均粒径の5~20倍である。砥粒の平均粒径に対する黒鉛の幅及び長さが上記範囲にあることにより、研磨能率がより向上する。ラッピングを行う際に使用する砥粒の平均粒径は、好ましくは2~30μm、より好ましくは5~20μmである。砥粒の平均粒径とは、沈降試験法によって測定される累積高さ50%(d-50価)の値であり、粒の大きなものと小さなものを並べていったときに、双方が等量となる境目の径を表すものである。
【0025】
ラッピングを行う際に本発明のラップ工具とともに用いる砥粒は特に限定されないが、GC、B4C、アルミナ等、従来ラッピングで用いられている砥粒を用いることができる。
【0026】
また、黒鉛は、80個/mm2以上、好ましくは110個/mm2以上、より好ましくは150個/mm2以上、さらに好ましくは230個/mm2以上の密度で、FCV鋳鉄に含有されている。黒鉛の密度が高いほど研磨能率の観点で好ましいが、上記幅及び長さを有する黒鉛形状を得る観点で、黒鉛の体積割合は好ましくは9体積%以下であり、黒鉛の密度の上限は好ましくは350個/mm2以下でもよい。
【0027】
更に、黒鉛の密度は、ラップ工具の表面を金属顕微鏡で50倍の倍率で1.0mm×1.2mmの視野範囲について観察し、金属顕微鏡写真を母相の金属組織と黒鉛とに画像処理(二値化処理)して測定される。
【0028】
ラップ工具を構成するFCV鋳鉄の引張強度は、300MPa以上、好ましくは400MPa以上である。
【0029】
300MPa以上400MPa未満の引張強度を有するFCV鋳鉄は、比較的成形し易いため、300MPa以上400MPa未満の引張強度を有するFCV鋳鉄製のラップ工具は、レンズ等の球面の光学部品のラッピングに好適に用いられ、従来のFC鋳鉄製のラップ工具に代えて用いられ得る。
【0030】
400MPa以上の引張強度を有するFCV鋳鉄は、耐摩耗性に優れているので一般用途として用いられる。400MPa以上の引張強度を有するFCV鋳鉄は、研磨時間が長くなっても研磨能率の低下が抑制され、研磨能率を実質的に維持することができる。400MPa以上の引張強度を有するFCV鋳鉄製のラップ工具は、従来の球状黒鉛鋳鉄製のラップ工具に代えて用いられる。FCV鋳鉄の引張強度の上限は特に限定されないが、実質的に600MPa程度である。
【0031】
また、本発明において、前記FCV鋳鉄は、質量%で、3.0%以上4.0%以下のC[炭素]、2.0%以上3.0%以下のSi[ケイ素]、1.0%未満のMn[マンガン]、0.10%以下のP[リン]、0.01%以上0.02%以下のS[硫黄]、1.0%以下のCu[銅]、0.01%以上0.02%以下のMg[マグネシウム]及び0.03%以上0.08%以下のRE[希土類元素]を含有し、残部がFe[鉄]及び不可避不純物である、と好ましい。
【0032】
以下の説明において、各元素の含有量を表す「%」は特に断りがない限り質量%を意味する。
【0033】
(3.0%以上4.0%以下のC[炭素])について
本発明に用いられる前記FCV鋳鉄において、C[炭素]は、適宜な黒鉛形状を保障するために必要である。300MPa以上の引張強度を得て、且つ十分な量の黒鉛を晶出させるために、3.0%以上のCを含有することが好ましい。上記形状の黒鉛をより安定して得る観点から、C含有量の上限は好ましくは4.0%以下である。C[炭素]含有量の下限値は、より好ましくは3.1%以上、さらに好ましくは3.2%以上である。C[炭素]含有量の上限は、より好ましくは3.9%以下、より好ましくは3.8%以下である。尚、C[炭素]、Si[ケイ素]の組成の割合や、Cu[銅]、Sn[錫]などを添加し基地組織をパーライト化させることで引張強度を調整する。
【0034】
(2.0%以上3.0%以下のSi[ケイ素])について
本発明に用いられる前記FCV鋳鉄において、Si[ケイ素]は黒鉛化促進元素である。C[炭素]を黒鉛化させるために、2.0%以上のSiを含有することが好ましい。C[炭素]の黒鉛化量をより増やすために、Si[ケイ素]含有量の下限値は、より好ましくは2.1%以上、さらに好ましくは2.2%以上である。上記形状の黒鉛をより安定して得る観点から 、Si[ケイ素]含有量の上限は好ましくは3.0%以下である。Si[ケイ素]含有量の上限は、より好ましくは2.9%以下、さらに好ましくは2.8%以下である。
【0035】
(1.0%未満のMn[マンガン])について
本発明に用いられる前記FCV鋳鉄において、Mn[マンガン]は、原料の銑鉄等から混入し得る成分で、フェライトの析出を抑制し、パーライト化を促進させる観点で、Mn[マンガン]含有量の上限は好ましくは1.0%未満である。また、Mn[マンガン]含有量の下限値は0.2%以上でもよい。
【0036】
(0.10%以下のP[リン])について
本発明に用いられる前記FCV鋳鉄において、P[リン]は過剰に含有すると靭性及び伸びが低下する。したがって、P含有量の上限を好ましくは0.10%以下とする。また、P[リン]含有量の下限値は0.02%以上でもよい。
【0037】
(0.01%以上0.02%以下のS[硫黄])について
S[硫黄]は上記形状の黒鉛を得る観点からS含有量の上限は0.02%以下であるが、安定して黒鉛を析出する観点から、S[硫黄]含有量の下限値は0.01%以上である。
【0038】
(1.0%以下のCu[銅])について
本発明に用いられる前記FCV鋳鉄において、Cu[銅]は、フェライトの析出を抑制し、パーライト化を促進させる観点で、Cu[銅]含有量の上限は好ましくは1.0%以下である。また、パーライト化を促進させる観点で、Cu[銅]含有量の下限は、0%超(不可避不純物を含む)である。
【0039】
(0.01%以上0.02%以下のMg[マグネシウム])について
本発明に用いられる前記FCV鋳鉄において、Mg[マグネシウム]は黒鉛球状化元素である。上記形状の黒鉛を得る観点からMg含有量の上限は好ましくは0.02%以下である。上記形状の黒鉛をより安定して得る観点から、Mg[マグネシウム]含有量の下限値は好ましくは0.01%以上である。
【0040】
(0.03%以上0.08%以下のRE[希土類元素])について
本発明に用いられる前記FCV鋳鉄において、RE[希土類元素]は、上記形状の黒鉛を維持する効果を有する。上記形状の黒鉛を維持する観点からRE[希土類元素]含有量の下限値は好ましくは0.03%以上である。上記黒鉛を安定して維持する観点から、RE[希土類元素]含有量の上限は好ましくは0.08%以下である。RE[希土類元素]としては、Ce[セリウム]、La[ランタン]などが挙げられる。
【0041】
また、本発明に用いられるラップ工具を構成するFCV鋳鉄は、好ましくはCr、Ni、及びMoからなる群から選択される少なくとも一種を含む金属または合金である耐食性向上添加剤をさらに含有する。
【0042】
一般的に、水を用いてラッピングを行うと、鉄製のラップ工具は表面に錆びが発生する。錆びにより研磨能率が低下するため、錆びを取り除く必要がある。
【0043】
上記耐食性向上添加剤を含有することにより、ラップ工具の耐食性を向上することができる。耐食性を向上することにより錆びの発生を抑制することができるので、研磨能率の向上及び錆を取り除く作業時間を低減または無くすことができる。
【0044】
本発明であるラップ工具は、従来と同様に好ましくはラップ定盤である。ラップ定盤は、好ましくは1~500mm、より好ましくは5~250mm、さらに好ましくは10~100mmの厚みを有する。ラップ定盤は、好ましくは1mm~3m、より好ましくは100mm~2.5m、さらに好ましくは200mm~2mの直径を有する。このような厚み及び/または直径を有するラップ定盤は、光学部品の研磨に特に好適に用いられる。
【0045】
本発明のラップ工具を構成するFCV鋳鉄は、従来のFCV鋳鉄の製造方法に対して、黒鉛生成に影響する元素であるS[硫黄]を0.01~0.02質量%、及びMg[マグネシウム]を0.01~0.02質量%として、より黒鉛が生成しやすい条件下で注湯直前に接種剤を添加することで製造される。これにより、黒鉛粒数を増加させ、組織を均一化させることができ、上記形状の黒鉛を含有する300MPa以上の引張強度を有するFCV鋳鉄を得ることができる。接種剤としては、従来より用いられているものでもできるが、好ましくは黒鉛化をより促進させるCa[カルシウム]、Ba[バリウム]、Zr[ジルコニウム]などを含有する接種剤が挙げられる。
【0046】
従来のFCV鋳鉄は、質量%で3.0%以上4.0%以下のC[炭素]、2.0%以上3.0%以下のSi[ケイ素]、1.0%未満のMn[マンガン]、0.10%以下のP[リン]、0.01%以上0.02%以下のS[硫黄]、1.0%以下のCu[銅]、0.01%以上0.02%以下のMg[マグネシウム]及び0.03%以上0.08%以下のRE[希土類元素]を含有し、残部がFe[鉄]及び不可避不純物からなる。図4に、従来の一般的なFCV鋳鉄の表面の金属顕微鏡写真を示す。
【0047】
Mgは黒鉛の球状化に影響する元素であり、FCV鋳鉄においては、黒鉛形状を芋虫状にするためMg添加量はFCD鋳鉄より少ない。REについては、芋虫状の黒鉛を維持させるため、添加量はFCD鋳鉄より多い。これをCV化剤と呼ぶ。
【0048】
本発明のラップ工具を構成するFCV鋳鉄は、単にFCD鋳鉄の球状化率が低いものとも異なる。Mg含有量を少なくすることでFCD鋳鉄の球状化率の低いものを得ることができるが、この場合、黒鉛形状は、球状のもの、芋虫状のもの、及び片状のものが混在したものとなり、本発明のラップ工具を構成するFCV鋳鉄とは異なる。図5に、Mg含有量を少なくすることで単に球状化率を小さくしたFCD鋳鉄の表面の金属顕微鏡写真を示す。
【0049】
本発明のラップ工具を構成するFCV鋳鉄の製造に用いるCV化剤は、好ましくはC[炭素]、Si[ケイ素]、Mn[マンガン]、P[リン]、S[硫黄]を調整したFCV鋳鉄の元湯を注湯用取鍋に移し替え時に添加する。CV化剤の組成は、好ましくはSi[ケイ素]:45.0質量%、Mg[マグネシウム]:2.0~3.0質量%、RE[希土類元素]:3.0~10.0質量%、残部Fe[鉄]及び不可避不純物である。FCV鋳鉄の製造に用いるCV化剤の添加量は、主原料100に対して、好ましくは0.85~0.95質量%である。上記量のMgを含むCV化剤を主原料に含有させることで、FCV鋳鉄中に上記幅及び長さの芋虫状の黒鉛形状を形成することができる。上記添加量のREは、黒鉛の球状化率を低下させた芋虫状の黒鉛形状を維持させる効果を有する。
【実施例
【0050】
(実施例1)
C[炭素]、Si[ケイ素]、Mn[マンガン]、P[リン]、及びS[硫黄]を調整したFCV鋳鉄の元湯に、CV化剤及び各種接種剤を添加し、鋳型に注湯した。溶湯成分はC[炭素]:3.75%、Si[ケイ素]:2.51%、Mn[マンガン]:0.23%、P[リン]:0.020%、S[硫黄]:0.011%、Cu[銅]:0.26%、Mg[マグネシウム]:0.011%、及びRE[希土類元素]:0.031%であった。
【0051】
初期の溶湯温度は1402℃で注湯し、注湯完了後から24時間後に解枠して、直径が210mm及び厚みが35mmのFCV鋳鉄製のラップ定盤粗材を作製した。
【0052】
作製したラップ定盤には、幅が15μmであり黒鉛長さが40μmの黒鉛が100個/mm2の密度で含有されていた。ラップ定盤の引張強度は400MPaであった。黒鉛の球状化率は50%であった。黒鉛の幅、長さ、及び密度は、ラップ定盤の表面を金属顕微鏡で観察し、観察画像を金属組織と黒鉛とに二値化処理して測定した。引張強度は万能材料試験機で測定した。黒鉛の球状化率はJIS G5505にしたがって測定した。図1に、ラップ工具表面の金属顕微鏡写真を示す。
【0053】
(比較例3)
C[炭素]、Si[ケイ素]、Mn[マンガン]、P[リン]及びS[硫黄]を調整したFC鋳鉄の元湯に、各種接種剤を添加し、鋳型に注湯した。溶湯成分はC[炭素]:3.21%、Si[ケイ素]:1.96%、Mn[マンガン]:0.66%、P[リン]:0.029%、S[硫黄]:0.085%、及びCu[銅]:0.82%であった。初期の溶湯温度は1410℃で注湯した。上記以外は実施例1と同様に、幅が7.5μm、長さが175μm、及び黒鉛が250個/mm2の密度で含有される引張強度が354MPaのFC鋳鉄製のラップ定盤を作製した。
【0054】
(実施例2)
C[炭素]、Si[ケイ素]、Mn[マンガン]、P[リン]及びS[硫黄]を調整したFCV鋳鉄の元湯に、CV化剤及び各種接種剤を添加し、鋳型に注湯した。溶湯成分はC[炭素]:3.65%、Si[ケイ素]:2.51%、Mn[マンガン]:0.23%、P[リン]:0.020%、S[硫黄]:0.011%、Cu[銅]:0.264%、Mg[マグネシウム]:0.011%、及びRE[希土類元素]:0.041%であった。初期の溶湯温度は1402℃で注湯した。上記以外は実施例1と同様に、幅が15μm、長さが125μm、及び球状化率が46%の黒鉛が103個/mm2の密度で含有される引張強度が432MPaのFCV鋳鉄製のラップ定盤を作製した。
【0055】
(比較例4)
C[炭素]、Si[ケイ素]、Mn[マンガン]、P[リン]及びS[硫黄]を調整したFCD鋳鉄の元湯に、球状化剤及び各種接種剤を添加し、鋳型に注湯した。溶湯成分はC[炭素]:3.55%、Si[ケイ素]:2.47%、Mn[マンガン]:0.26%、P[リン]:0.018%、S[硫黄]:0.010%、Cu[銅]:0.024%、Mg[マグネシウム]:0.036%、及びRE[希土類元素]:0.010%であった。初期の溶湯温度は1396℃で注湯した。上記以外は実施例1と同様に、幅が27.5μm、長さが27.5μm、及び球状化率が88%の黒鉛が150個/mm2の密度で含有される引張強度が491MPaのFCD鋳鉄製のラップ定盤を作製した。
【0056】
(実施例3)
C[炭素]、Si[ケイ素]、Mn[マンガン]、P[リン]及びS[硫黄]を調整したFCV鋳鉄の元湯に、CV化剤及び各種接種剤を添加し、鋳型に注湯した。溶湯成分はC[炭素]:3.37%、Si[ケイ素]:2.66%、Mn[マンガン]:0.30%、P[リン]:0.030%、S[硫黄]:0.013%、Cu[銅]:0.292%、Mg[マグネシウム]:0.011%、及びRE[希土類元素]:0.053%であった。初期の溶湯温度は1340℃で注湯した。上記以外は実施例1と同様に、幅が14μm、長さが37μm、及び球状化率が52%の黒鉛が110個/mm2の密度で含有される引張強度が431MPaのFCV鋳鉄製のラップ定盤を作製した。
【0057】
(実施例4)
C[炭素]、Si[ケイ素]、Mn[マンガン]、P[リン]及びS[硫黄]を調整したFCV鋳鉄の元湯に、CV化剤及び各種接種剤を添加し、鋳型に注湯した。溶湯成分はC[炭素]:3.61%、Si[ケイ素]:2.61%、Mn[マンガン]:0.27%、P[リン]:0.023%、S[硫黄]:0.012%、Cu[銅]:0.022%、Mg[マグネシウム]:0.008%、及びRE[希土類元素]:0.024%であった。初期の溶湯温度は1357℃で注湯した。上記以外は実施例1と同様に、幅が13μm、長さが34μm、及び球状化率が56%の黒鉛が230個/mm2の密度で含有される引張強度が389MPaのFCV鋳鉄製のラップ定盤を作製した。
【0058】
(実施例5)
C[炭素]、Si[ケイ素]、Mn[マンガン]、P[リン]及びS[硫黄]を調整したFCV鋳鉄の元湯に、CV化剤及び各種接種剤を添加し、鋳型に注湯した。溶湯成分はC[炭素]:3.53%、Si[ケイ素]:2.67%、Mn[マンガン]:0.32%、P[リン]:0.026%、S[硫黄]:0.012%、Cu[銅]:0.400%、Mg[マグネシウム]:0.008%、及びRE[希土類元素]:0.025%であった。初期の溶湯温度は1367℃で注湯した。上記以外は実施例1と同様に、幅が12μm、長さが35μm、及び球状化率が57%の黒鉛が284個/mm2の密度で含有される引張強度が473MPaのFCV鋳鉄製のラップ定盤を作製した。
【0059】
(比較例1)
黒鉛の長さが100~200μm及び幅が10~15μmのFC鋳鉄製のラップ定盤(洲崎鋳工(株)社製、FC350、直径200mm、厚み30mm)を用意した。図2に、ラップ定盤表面の金属顕微鏡写真を示す。
【0060】
(比較例2)
黒鉛の平均粒径が28μmのFCD製のラップ定盤(日立造船株式会社社製、FCD450、直径200mm、厚み30mm)を用意した。図3に、ラップ定盤表面の金属顕微鏡写真を示す。
【0061】
(本発明のFCV鋳鉄及び従来のFCD鋳鉄と砥粒径との関係評価)
図6に、本発明のFCV鋳鉄(実施例1)及び従来のFCD鋳鉄(比較例2)のラップ工具を用いて、サファイア基板を湿式ラッピングしたときの研磨能率及び仕上げ面粗さを示す。仕上げ面粗さは算術平均粗さ(Ra)である。湿式ラッピングに用いた砥粒は、B4Cであり、平均粒径が17.3μmの番手F500、平均粒径が6.5μmの番手F800、及び平均粒径が3.0μmの番手F1200である。
【0062】
ラッピングの結果、いずれの砥粒番手においても、本発明のFCV鋳鉄製のラップ工具は従来のFCD鋳鉄製のラップ工具よりも優れた研磨能率を示した。仕上げ面粗さについては、いずれの砥粒番手においても、本発明のFCV鋳鉄製のラップ工具は従来のFCD鋳鉄製のラップ工具と同等以上であった。
【0063】
(本発明のFCV鋳鉄、従来のFC鋳鉄、及び従来のFCD鋳鉄による研磨時間と研磨能率評価)
図7に、♯600のGCを用いてドレッシングを行い、次いで本発明のFCV鋳鉄(実施例1)、従来のFCD鋳鉄(比較例2)、及び従来のFC鋳鉄(比較例1)のラップ工具と♯2000のGCとを用いて湿式ラッピングを行ったときの、ラッピング(研磨)時間と研磨能率の関係を示す。
【0064】
従来のFC鋳鉄(比較例1)は、研磨初期における研磨能率は比較的高いが研磨時間に応じて大幅に研磨能率が低下した。従来のFCD鋳鉄(比較例2)は、研磨時間によらず研磨能率はあまり変わらないが、研磨初期から研磨能率は低かった。本発明のFCV鋳鉄(実施例1)は、研磨初期から研磨能率が高く、研磨時間によらず研磨能率がほぼ一定であることが確認された。
【0065】
(本発明のFCV鋳鉄、従来のFC鋳鉄、及び従来のFCD鋳鉄と砥粒濃度との関係評価)
図8に、湿式ラッピングで用いる♯2000のGCの砥粒濃度を1質量%、3質量%、及び5質量%としたときの本発明のFCV鋳鉄(実施例1)、従来のFC鋳鉄(比較例2)、及び従来のFCD鋳鉄(比較例1)のそれぞれのラップ工具の研磨能率及び仕上げ面粗さを示す。棒グラフが研磨能率を示し、丸印のプロットが仕上げ面粗さを示す。
【0066】
図8によると、いずれの砥粒濃度においても、本発明のFCV鋳鉄を用いたラップ工具(実施例1)は、従来の従来のFC鋳鉄(比較例2)、及び従来のFCD鋳鉄(比較例1)を用いたラップ工具よりも研磨能率が優れていた。特に低砥粒濃度で、本発明のFCV鋳鉄を用いたラップ工具と従来のFCD鋳鉄及びFC鋳鉄を用いたラップ工具との研磨能率の差が顕著であった。本発明のFCV鋳鉄を用いたラップ工具の場合、砥粒濃度が3質量%の場合が最も高い研磨能率を示した。仕上げ面粗さは研磨能率が高いほど大きくなる傾向はあるが、研磨能率が大きくても仕上げ面粗さの劣化は同等またはわずかであった。
【0067】
(本発明のFCV鋳鉄、従来のFC鋳鉄、及び従来のFCD鋳鉄と砥粒径との関係評価)
図9に、本発明のFCV鋳鉄を用いたラップ工具(実施例1)、従来の従来のFC鋳鉄(比較例2)、及び従来のFCD鋳鉄(比較例1)を用いたラップ工具の、湿式ラッピングで用いるGCの番手を、♯600、♯1000、及び♯2000としたときの研磨能率及び仕上げ面粗さの結果を示す。砥粒濃度は3質量%であった。棒グラフが研磨能率を示し、丸印のプロットが仕上げ面粗さを示す。
【0068】
図9によると、いずれの番手においても、本発明のFCV鋳鉄を用いたラップ工具は、従来のFCD鋳鉄及びFC鋳鉄を用いたラップ工具よりも研磨能率が優れており、仕上げ面粗さは同等であることが確認できる。
【0069】
(黒鉛幅と研磨能率の関係評価)
図10に、黒鉛幅が7.5μm、15μm、及び27.5μmの比較例3、実施例2、及び比較例4で作製したラップ定盤を用いてサファイア基板を湿式ラッピングしたときの研磨能率を示す。湿式ラッピングに用いた砥粒は、GC♯1000であり、砥粒濃度は3質量%であった。黒鉛幅が7.5~27.5μmの範囲で黒鉛幅が15μmのラップ定盤が最も高い研磨能率を示した。
【0070】
(黒鉛長さと研磨能率の関係評価)
図11に、黒鉛長さが175μm、125μm、及び27.5μmの比較例3、実施例2、及び比較例4で作製したラップ定盤を用いてサファイア基板を湿式ラッピングしたときの研磨能率を示す。湿式ラッピングに用いた砥粒はGC♯1000であり、砥粒濃度は3質量%であった。黒鉛長さが27.5~175μmの範囲で黒鉛長さが125μmのラップ定盤が最も高い研磨能率を示した。
【0071】
(黒鉛密度と研磨能率の関係評価)
図12に、黒鉛密度が110個/mm2、230個/mm2、及び284個/mm2の実施例3~5で作製したラップ定盤を用いてサファイア基板を湿式ラッピングしたときの研磨能率を示す。湿式ラッピングに用いた砥粒はGC♯1000であり、砥粒濃度は3質量%であった。黒鉛密度が大きいほど高い研磨能率を示した。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12