(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-23
(45)【発行日】2024-01-31
(54)【発明の名称】流体制御装置および半導体製造装置
(51)【国際特許分類】
F16K 27/00 20060101AFI20240124BHJP
【FI】
F16K27/00 B
(21)【出願番号】P 2019198284
(22)【出願日】2019-10-31
【審査請求日】2022-09-21
(73)【特許権者】
【識別番号】390033857
【氏名又は名称】株式会社フジキン
(74)【代理人】
【識別番号】110002893
【氏名又は名称】弁理士法人KEN知財総合事務所
(72)【発明者】
【氏名】相川 献治
(72)【発明者】
【氏名】松田 隆博
(72)【発明者】
【氏名】稲田 敏之
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 一誠
(72)【発明者】
【氏名】茂木 雄太
(72)【発明者】
【氏名】中田 知宏
(72)【発明者】
【氏名】篠原 努
【審査官】橋本 敏行
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/221893(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/033757(WO,A1)
【文献】国際公開第2014/156043(WO,A1)
【文献】特表2006-519339(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0289652(US,A1)
【文献】特開2008-123085(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 27/00-27/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
標準規格サイズの幅を有しかつ第1方向に沿って配置された複数の継手ブロックからなる第1ブロック列および第2ブロック列が、前記第1方向の配列方向に直交する第2方向に所定間隔で配列された流体制御装置であって、
前記第1ブロック列を構成する複数の継手ブロックの各々は、単一ラインを形成するための大径流路を有し、
前記第2ブロック列を構成する複数の継手ブロックの各々は、第1ラインおよび第2ラインを形成するための、前記大径流路よりも小径の小径流路を有
し、
前記第2ブロック列の隣り合う継手ブロックに設置され、かつ、前記第1および第2ラインにそれぞれ接続され、前記標準規格サイズの幅のボディを有する流体機器をさらに有し、
前記流体機器は、2つのバルブ要素が並列された二方弁を含み、
前記二方弁は、前記2つのバルブ要素に対して共通でかつ前記標準規格サイズの幅を有するバルブボディを有する、流体制御装置。
【請求項2】
前記第1ブロック列に設置され、前記単一ラインに接続される前記大径流路を有し、前記標準規格サイズの寸法を有する流体機器と、
前記第2ブロック列に設置され、前記第1ライン又は第2ラインに接続され、前記標準規格サイズの幅の半分以下の幅を有する流体機器をさらに有する請求項1に記載の流体制御装置。
【請求項3】
前記流体機器は、前記第1ラインおよび第2ラインにそれぞれ接続され、共通の継手ブロック内に並列に設置される第1および第2の流体機器を含む、請求項2に記載の流体制御装置。
【請求項4】
前記流体機器は、流量制御装置を含む、請求項2又は3に記載の流体制御装置。
【請求項5】
前記二方弁のボディは、前記隣り合う継手ブロックにそれぞれ2つのボルトで気密又は液密に締結されている、
請求項1に記載の流体制御装置。
【請求項6】
前記第2の方向に延在し、前記単一ラインと前記第1ラインおよび第2ラインとに接続される共通流路を有するマニホールドをさらに有する
請求項1ないし5のいずれかに記載の流体制御装置。
【請求項7】
前記マニホールドは、大径流路用のポートと小径流路用のポートが前記共通流路に連通するように形成されている、
請求項6に記載の流体制御装置。
【請求項8】
前記マニホールドは、前記大径流路用のポートが等間隔に形成されており、前記大径流路用の一のポートが前記第1ブロック列の単一ラインと流体機器を介して接続され、かつ、他のポートが、前記第2ブロック列の第1ラインと第2ラインとにバルブ装置を介して接続されている、
請求項6に記載の流体制御装置。
【請求項9】
前記バルブ装置は、2つのバルブ要素と、当該2つのバルブ要素に対して共通のバルブボディとを有し、
前記バルブボディは、底面に第1~第5のポートを有し、
前記第1ポートは、前記マニホールドの大径流路用のポートと接続され、
前記第2~第5ポートは、前記第2ブロック列の隣り合う継手ブロックの前記小径流路からなる第1ラインまたは第2ラインとそれぞれ接続される、
請求項8に記載の流体制御装置。
【請求項10】
前記バルブ装置のバルブボディは、前記隣り合う継手ブロックとそれぞれ2本のボルトで気密又は液密に締結され、かつ、前記マニホールドと2本のボルトで気密又は液密に締結され、前記隣り合う継手ブロックと前記バルブボディとを締結する4本のボルトの径と、前記マニホールドと前記バルブボディとを締結する2本のボルトの径とが異なる、
請求項9に記載の流体制御装置。
【請求項11】
前記第1ブロック列に含まれる継手ブロックは、表面に形成された各ポートの幅方向の両側に流体機器との締結用のネジ穴がそれぞれ形成され、
前記第2ブロック列に含まれる継手ブロックは、表面に形成された各ポートに隣接して流体機器との締結用の単一のネジ穴が形成されている、
請求項1ないし10に記載の流体制御装置。
【請求項12】
密閉されたチャンバ内においてプロセスガスによる処理工程を要する
半導体の製造プロセスにおいて、前記プロセスガスの制御に
請求項1ないし11のいずれかに記載の流体制御装置を用いる半導体製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体制御装置およびこれを用いた半導体製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造装置等のチャンバ等へ各種のプロセスガスを供給するために使用される流体制御装置としては、上流から下流に向かって複数の流体機器が配列された流体制御装置が広く用いられている(例えば、特許文献1参照)。
上記のような流体制御装置の分野においては、プロセスガスの供給制御により高い応答性が求められている。このため、流体制御装置をできるだけ小型化、集積化して、流体の供給先であるチャンバのより近くに設置する必要がある。このため、現在多く製作されている幅1.125inch(約29mm)の流体制御装置よりもさらに小型化・集積化した幅10mmの流体制御装置の開発も進められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2002-206700号公報
【文献】特開2007-3013号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
幅10mmの流体制御装置は、幅1.125inchの流体制御装置に比べて、小型化、集積化の点で有利である。しかしながら、幅10mmの流体制御装置は、幅1.125inchの流体制御装置に比べて、流路の径が小さくなるため、流体の供給流量を確保するのが難しい。
すなわち、半導体ウエハの大口径化等の処理対象物の大型化が進んでおり、これに合わせて流体制御装置からチャンバ内へ供給する流体の供給流量も増加又は維持させる必要がある。
【0005】
本発明の目的の一つは、小型化、集積化を実現しつつ供給流量も確保できる流体制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の流体制御装置は、標準規格サイズの幅を有しかつ第1方向に沿って配置された複数の継手ブロックからなる第1ブロック列および第2ブロック列が、前記第1方向に直交する第2方向に所定間隔で配列された流体制御装置であって、
前記第1ブロック列を構成する複数の継手ブロックの各々は、単一ラインを形成するための大径流路を有し、
前記第2ブロック列を構成する複数の継手ブロックの各々は、第1ラインおよび第2ラインを形成するための、前記大径流路よりも小径の小径流路を有する。
【0007】
本発明の流体制御装置は、前記第1ブロック列に設置され、前記単一ラインに接続される前記大径流路を有し、前記標準規格サイズの寸法を有する流体機器と、
前記第2ブロック列に設置され、前記第1ライン又は第2ラインに接続され、前記標準規格サイズの幅の半分以下の幅を有する流体機器をさらに有する。
【0008】
好適には、前記流体機器は、共通の継手ブロック内に並列に設置される第1および第2の流体機器を含む。
この場合、前記流体機器は、流量制御装置を含む構成を採用できる。
【0009】
前記第2ブロック列の隣り合う継手ブロックに設置され、かつ、前記第1および第2ラインにそれぞれ接続され、前記標準規格サイズの幅のボディを有する流体機器をさらに有する、構成を採用できる。
【0010】
前記流体機器は、2つのバルブ要素が並列された二方弁を含み、
前記二方弁は、前記2つのバルブ要素に対して共通でかつ前記標準規格サイズの幅を有するバルブボディを有する、構成を採用できる。
好適には、前記二方弁のボディは、前記隣り合う継手ブロックにそれぞれ2つのボルトで気密又は液密に締結されている、構成を採用できる。
【0011】
前記第2の方向に延在し、前記単一ラインと前記第1ラインおよび第2ラインとに接続される共通流路を有するマニホールドをさらに有する。
前記マニホールドは、大径流路用のポートと小径流路用のポートが前記共通流路に連通するように形成されている、構成を採用できる。
【0012】
代替的には、前記マニホールドは、前記大径流路用のポートが等間隔に形成されており、前記大径流路用の一のポートが前記第1ブロック列の単一ラインと流体機器を介して接続され、かつ、他のポートが、前記第2ブロック列の第1ラインと第2ラインとにバルブ装置を介して接続されている、構成を採用できる。
好適には、前記バルブ装置は、2つのバルブ要素と、当該2つのバルブ要素に対して共通のバルブボディとを有し、
前記バルブボディは、底面に第1~第5のポートを有し、
前記第1ポートは、前記マニホールドの大径流路用ポートと接続され、
前記第2~第5ポートは、前記第2ブロック列の隣り合う継手ブロックの前記小径流路からなる第1ラインまたは第2ラインとそれぞれ接続される、構成を採用できる。
さらに好適には、前記バルブ装置のバルブボディは、前記隣り合う継手ブロックとそれぞれ2本のボルトで気密又は液密に締結され、かつ、前記マニホールドと2本のボルトで気密又は液密に締結され、前記隣り合う継手ブロックと前記バルブボディとを締結する4本のボルトの径と、前記マニホールドと前記バルブボディとを締結する2本のボルトの径とが異なる、構成を採用できる。
【0013】
好適には、前記第1ブロック列に含まれる継手ブロックは、表面に形成された各ポートの幅方向の両側に流体機器との締結用のネジ穴がそれぞれ形成され、
前記第2ブロック列に含まれる継手ブロックは、表面に形成された各ポートに隣接して流体機器との締結用の単一のネジ穴が形成されている、構成を採用できる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、小型化、集積化を実現しつつ供給流量も確保できる流体制御装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の一実施形態に係る流体制御装置の外観斜視図。
【
図4】
図2の流体制御装置から流体機器を取り外した状態を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。なお、本明細書および図面においては、機能が実質的に同様の構成要素には、同じ符号を使用することにより重複した説明を省略する。図において、A1、A2は長手方向を示し、A1は上流側、A2は下流側の方向を示し、B1、B2は幅方向を示し、B1は正面側、B2は背面側の方向を示している。
図1~
図3に示す流体制御装置1は、板金プレートBS上に、長手方向A1、A2に沿って配置された複数の流体機器からなる流体機器列10A、10B、30A、30Bを有する。流体機器列10A、10B、30A、30Bは幅方向B1、B2に等間隔に配列されている。
なお、本発明の「流体機器」とは、流体の流れを制御する流体制御装置に使用される機器であって、流体流路を画定するボディを備え、このボディの表面(底面)で開口する少なくとも2つのポートを有する機器である。
【0017】
ここで、
図4に上記の流体機器列10A、10B、30A、30Bが設置される継手ブロック列BA1~BA4を示す。
継手ブロック列BA1は、継手ブロック20、4つの継手ブロック21、継手ブロック22および継手ブロック23からなる。
継手ブロック列BA2は、継手ブロック20、4つの継手ブロック21、2つの継手ブロック24からなる。
継手ブロック列BA1,BA2に含まれる継手ブロックは、SEMI(Semiconductor Equipment and Materials International)のF82-F95において規定された標準規格サイズを有し、幅Wは1.125inchである。
継手ブロック20は、内部に図示しない流路が形成され、この流路の一端は上流側の端面で導入管26と接続され、他端は上面でポートpとして開口している。
継手ブロック21は、内部に図示しないV字状流路が形成され、この流路の端部は上面で2つのポートpとして開口している。
継手ブロック22は、内部に図示しない流路が形成され、この流路の一端は下流側の端面から突出した突出管であり、これが溶接等により管25と接続され、他端は上面でポートpとして開口している。
継手ブロック23は、内部に図示しない流路が形成され、この流路の一端は上流側の端面から突出した突出管であり、これが溶接等により管25と接続され、他端は上面でポートpとして開口している。
継手ブロック24は、内部に図示しないV字状流路が形成され、この流路の端部は上面で2つのポートpとして開口している。
【0018】
上記した各継手ブロック21~24のポートpは、SEMIのF82-F95において規定された寸法を有し、図示しない金属製又は樹脂製のガスケット等からなるシール部材を介して流体機器のボディの底面に形成されたポートと接続される。流体機器のボディの各継手ブロックへの締結は、各継手ブロック21~24に形成されたネジ穴h1にM4のボルトBT1(
図2)を螺合させる。ネジ穴h1は、幅方向B1、B2において、各ポートpの両側に設けられる。
【0019】
継手ブロック列BA1,BA2に流体機器が設置されると、流体が流通する単一のラインLがそれぞれ形成される。
【0020】
継手ブロック列BA3,BA4は、同じ構成であり、継手ブロック41、継手ブロック42および継手ブロック43からなる。
継手ブロック41~43は、第1ラインL1および第2ラインL2を形成するための流路が形成されている。継手ブロック41~43の幅Wは1.125inchである。継手ブロック41~43に形成された流路の径は、2.5~3mm程度であり、継手ブロック列BA1,BA2に含まれる継手ブロック21~24に形成された流路の径は4~5mm程度である。すなわち、継手ブロック21~24には大径流路が形成され、継手ブロック41~43には小径流路が形成されている。
【0021】
継手ブロック41は、2つの導入管45A,45Bとそれぞれ接続される流路が形成され、当該2つの流路の端部がそれぞれ上面でポートp1とポートp2として開口している。
継手ブロック42は、内部に図示しない2本のV字状流路が形成され、一方の流路の両端部は上面で2つのポートp1として開口し、他方の流路の両端部は上面で2つのポートp2として開口している。
継手ブロック43は、それぞれ4つのポートp1とポートp2が形成されている。上流側の2つのポートp1は内部に形成された流路で互いに連通しており、下流側の2つのポートp1が内部に形成された流路で互いに連通している。上流側の2つのポートp2は内部に形成された流路で互いに連通しており、下流側の2つのポートp2が内部に形成された流路で互いに連通している。
なお、上記したポートpは大径流路であるラインL、ポートp1は小径流路である第1ラインL1、ポートp2は小径流路である第2ラインL2にそれぞれ接続されるポートである。
【0022】
各ポートp1,p2に隣接して単一のネジ穴h2が形成されている。ネジ穴h2は、上記したネジ穴h1よりも大径であり、例えば、M5である。
各ポートp1,p2は、図示しない金属製又は樹脂製のガスケット等からなるシール部材を介して流体機器のボディの底面に形成されたポートと接続される。流体機器のボディの各継手ブロックへの締結は、各継手ブロック41~43に形成されたネジ穴h2にM5のボルトBT2(
図2)を螺合させる。
継手ブロック列BA3,BA4に流体機器が設置されると、流体が流通する第1ラインL1および第2ラインL2がそれぞれ形成される。
【0023】
マニホールド50は、
図4に示すように、継手ブロック列BA1~BA4に直交する方向、すなわち、幅方向B1、B2に配置されており、内部に図示しない共通流路が形成され、この共通流路に連通するようにポートpが等間隔に形成されている。各ポートpの両側には、M4のネジ穴h1がそれぞれ形成されている。
マニホールド60は、
図4に示すように、幅方向B1、B2に配置されており、かつ、長手方向A1、A2の最下流側に配置され、内部に図示しない共通流路が形成され、この共通流路に連通するように、ラインLに対応してポートpが形成され、第1ラインL1および第2ラインL2に対応してポートp1およびポートp2が並列して形成されている。各ポートpの両側にはM4のネジ穴h1がそれぞれ形成され、各ポートp1および各ポートp2に隣接して単一のM5のネジ穴h2が形成されている。また、マニホールド60の一端部には、導出管61が接続されている。
なお、本実施形態では、マニホールド50,60は、ブロック状に形成され、一種の継手ブロックである。
【0024】
図1~
図3に示すように、流体機器列10Aは、上流側から下流側に向かって、自動バルブ(二方弁)11、レギュレータ12、圧力計13、自動バルブ(二方弁)11、継手16、自動バルブ(二方弁)11の順に流体機器が並んでいる。継手16は、継手ブロック21とマニホールド50と継手ブロック22のそれぞれのポートpを互いに連通させる役割を果たし、マニホールド50の共通流路が常時ラインLに接続された状態になる。
流体機器列10Bは、上流側から下流側に向かって、自動バルブ(二方弁)11、レギュレータ12、圧力計13、自動バルブ(二方弁)11、自動バルブ(三方弁)14、流量制御装置15、自動バルブ(二方弁)11の順に流体機器が並んでいる。
流体機器列10A、10Bに含まれる流体機器は、SEMIのF82-F95において規定された標準規格サイズを有し、M4のボルトBT1で各継手ブロックに締結されている。また、流体機器列10A、10Bに含まれる流体機器は、ラインLを形成する大径流路を備えている。
【0025】
流体機器列30Aおよび流体機器列30Bは同じ構成である。流体機器列30Aは、上流側から下流側に向かって、自動弁である二方弁31、自動弁であるバルブ装置32、2台の流量制御装置33および自動弁である二方弁31の順に流体機器が並んでいる。流体機器列30Aおよび流体機器列30Bを構成する流体機器は、第1ラインL1または第2ラインL2を構成する小径流路を備えている。
【0026】
二方弁31の一つは、継手ブロック41および継手ブロック42に設置され、他方は継手ブロック43およびマニホールド60に設置されている。二方弁31は、アクチュエータが内蔵された2つのバルブ要素V1、V2が幅方向B1,B2に並列され、これら2つのバルブ要素V1、V2が標準規格サイズの幅Wのバルブボディ31aに設けられている。バルブボディ31aは、図示しないが、底面に2つのポートp1と、バルブ要素V1を介してポートp1間を連通する流路とを有するとともに、2つのポートp2と、バルブ要素V2を介してポートp2間を連通する流路とを有し、2本のM5のボルトBT2で各継手ブロックに気密又は液密に締結されている。バルブ要素V1は第1ラインL1を開閉し、バルブ要素V2は第2ラインL2を開閉する。
【0027】
バルブ装置32は、継手ブロック42、マニホールド50および継手ブロック43に設置されている。バルブ装置32は、マニホールド50を通じて供給されるパージガスを流通させるために設けられている。
図5にバルブ装置32の構成を示す。
バルブ装置32は、2つのバルブ要素V1、V2と、当該2つのバルブ要素V1、V2が共通のバルブボディ32aに設けられている。バルブボディ32aは、底面に5つのポートが形成され、5つのポートのうち、1つがマニホールド50のポートpと接続されるポートpであり、2つが第1ラインL1に接続されるポートp1であり、残りの2つが第2ラインL2に接続されるポートp2である。
バルブボディ32aには、流路C1~C6が形成され、流路C1、C2は一端が共通のポートpに連通し、流路C3、C4は一端が一方のポートp1と他方のポートp1に連通し、流路C5、C6は一端が一方のポートp2と他方のポートp2に連通している。流路C3、C4は他端がバルブ要素V1の弁室内で連通し、流路C5、C6は他端がバルブ要素V2の弁室内で連通している。流路C1は、バルブ要素V1の弁室内においてバルブを介して流路C3、C4と接続されている。流路C2は、バルブ要素V2の弁室内においてバルブを介して流路C5、C6と接続されている。
バルブ要素V1、V2の作動によって、マニホールド50の共通流路と、第1ラインL1および第2ラインL2との連通状態が選択的に変更される。
バルブ装置32のバルブボディ32aは、継手ブロック42および継手ブロック43とそれぞれ2本のM5のボルトBT2で気密又は液密に締結されている。また、バルブボディ32aは、マニホールド50とM4の2本のボルトBT1で気密又は液密に締結されている。
【0028】
流量制御装置33は、幅寸法が10mmであり、2台の流量制御装置33が継手ブロック43の上面内に並列されている。2台の流量制御装置33は、ポートp1およびポートp2を通じてラインL1およびラインL2にそれぞれ接続されている。流量制御装置33のボディは、上流側および下流側で2つのM5のボルトBT2で継手ブロック43に締結されている。流量制御装置33は、図示しないが、流体流路を通過する流体の質量流量を測定する流量センサユニットと、流体流路を通過する流体の流量を調整する調整バルブと、流量センサユニットで測定された流体の質量流量が所定値になるように調整バルブの開度を制御する制御部とを備えている。流量制御装置15も同様である。
【0029】
上記の流体制御装置1では、大径流路で形成される単一ラインLをもつ流体機器列10A、10Bと、小径流路で形成される第1ラインL1および第2ラインL2をもつ流体機器列30A、30Bを備え、単一ラインLと第1ラインL1および第2ラインL2とを、マニホールド50または60により互いに接続している。これにより、流体の供給流量を確保しつつ、流体制御装置1の集積度を高めることが可能となる。すなわち、流体機器列10A、10Bからは大流量の流体が供給でき、流体機器列30A、30Bからは小流量であるがより精密に計量された流量の流体を供給できる。
【0030】
上記実施形態では、流量制御装置33を一つの継手ブロック43に2台設置したが、これに限定されるわけではなく、1台でもよい。また、流量制御装置33を別々の継手ブロックに設置することもできる
上記実施形態では、流量制御装置33を継手ブロック43内に設置したが、これに限定されるわけではなく、2つの継手ブロックに設置してもよい。
【0031】
上記実施形態では、2つのバルブ要素を有する二方弁31のバルブボディ31aを共通化することで、バルブボディをバルブ要素毎に形成する場合と比べて、バルブボディ31aと継手ブロックとの間のシール性能をより安定化させることができる。
【0032】
上記実施形態では、2台の流量制御装置33が継手ブロック43の上面内に並列し、上流側と下流側の2箇所をボルトBT2で継手ブロック43に締結する構成としたので、2つ以上の継手ブロックに設置する場合と比べて、流量制御装置33と継手ブロックとの間のシール性能をより安定化させることができる。
【0033】
上記実施形態では、継手ブロック42、43の間に大径流路用のポートpが形成されたマニホールド50が設置されていることで、例えば、継手ブロック列BA1を継手ブロック列BA3に変更したい場合、マニホールド50や、他の継手ブロック列を取り外すことなく、流体機器等の交換・組立を行うことができるので、施工性が向上できる。
【0034】
なお、本実施形態は、上述した実施例に限定されない。当業者であれば、本開示の範囲内で、種々の追加や変更等を行うことができる。
長手方向A1、A2に沿って配置された複数の流体機器からなる流体機器列10A、10B、30A、30Bの順に配列しているが、これに限定されるわけではなく、例えば、10A、30A、10B、30Bの順でも構わない。その際、マニホールド60のポートp、p1、p2は、適宜対応した箇所に開口すればよい。また、マニホールド50は4つのポートpを等間隔に形成しているが、ポートpは、2以上等間隔に形成していれば、いくつ形成してもよい。
【0035】
次に、本発明の半導体製造装置について説明する。
図10に示す半導体製造装置1000は、ALD法(ALD:Atomic Layer Deposition 法)による半導体製造プロセスを実行するための装置であり、300はプロセスガス供給源、400はガスボックス、500はタンク、600は開閉バルブ、610は制御部、700は処理チャンバ、800は排気ポンプを示している。
【0036】
ALD法による半導体製造プロセスでは、処理ガスの流量を精密に調整する必要があるとともに、基板の大口径化により、処理ガスの流量をある程度確保する必要もある。
ガスボックス400は、正確に計量したプロセスガスを処理チャンバ700に供給するために、本実施形態の流体制御装置1をボックスに収容している。
タンク500は、ガスボックス400から供給される処理ガスを一時的に貯留するバッファとして機能する。
開閉バルブ600は、ガスボックス400で計量されたガスの流量を制御する。
制御部610は、開閉バルブ600を制御して流量制御を実行する。
処理チャンバ700は、ALD法による基板への膜形成のための密閉処理空間を提供する。
排気ポンプ800は、処理チャンバ700内を真空引きする。
【0037】
上記適用例では、本発明の流量制御装置をALD法による半導体製造プロセスに用いる場合について例示したが、これに限定されるわけではなく、本発明は、例えば原子層エッチング法(ALE:Atomic Layer Etching 法)等、精密な流量調整が必要なあらゆる対象に適用可能である。
【符号の説明】
【0038】
1 :流体制御装置
10A、10B :流体機器列
11 :自動バルブ
12 :レギュレータ
13 :圧力計
14 :自動バルブ
15 :流量制御装置
16 :継手
20~24:継手ブロック
25 :管
26 :導入管
30A、30B :流体機器列
31 :二方弁
31a :バルブボディ
32 :バルブ装置
32a :バルブボディ
33 :流量制御装置
41、42、43 :継手ブロック
45A、45B :導入管
50、60:マニホールド
61 :導出管
400 :ガスボックス
500 :タンク
600 :開閉バルブ
610 :制御部
700 :処理チャンバ
800 :排気ポンプ
1000 :半導体製造装置
A1、A2:長手方向
B1、B2:幅方向
BA1~BA4 :継手ブロック列
BS :板金プレート
BT1、BT2 :ボルト
C1~C6:流路
L :単一ライン
L1 :第1ライン
L2 :第2ライン
V1、V2:バルブ要素
h1、h2:ネジ穴
p :ポート
p1 :ポート
p2 :ポート