(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-23
(45)【発行日】2024-01-31
(54)【発明の名称】水処理装置、水処理システム、水処理方法、コンピュータ装置
(51)【国際特許分類】
C02F 1/00 20230101AFI20240124BHJP
G06Q 50/06 20240101ALI20240124BHJP
【FI】
C02F1/00 A
C02F1/00 V
C02F1/00 D
G06Q50/06
(21)【出願番号】P 2019205984
(22)【出願日】2019-11-14
【審査請求日】2022-10-13
(73)【特許権者】
【識別番号】517039483
【氏名又は名称】WOTA株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002815
【氏名又は名称】IPTech弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】奥寺 昇平
(72)【発明者】
【氏名】山田 諒
(72)【発明者】
【氏名】前田 瑶介
(72)【発明者】
【氏名】西尾 学
【審査官】石岡 隆
(56)【参考文献】
【文献】特表2007-515005(JP,A)
【文献】国際公開第2019/059309(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2002/0189173(US,A1)
【文献】特開2013-059743(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0162761(US,A1)
【文献】特開2021-079304(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0009104(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D53/22、61/00-71/82
C02F1/00-1/78
G06Q50/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動させるための移動機構と、
水の入力を受け付ける受付部と、
水処理用のモジュール
であって、前記モジュールの機能に応じて、複数の種類の水処理用のモジュールが選択可能に用意されているモジュールを設置可能な、1または複数の設置機構と
、
ユーザから指定される、水の用途を示す情報を取得する手段と、
ユーザが指定可能な水の用途と、複数の種類の水処理用のモジュールとを対応付けて記憶しており、前記水の用途を示す情報を取得すると、前記対応関係に基づき、複数の種類の水処理用の前記モジュールから必要な複数のモジュールの組み合わせを特定する手段とを備え、
特定した前記複数のモジュールの組み合わせを、前記1または複数の設置機構の少なくとも一部に設置することにより、前記受付部で受け付けた前記水に対し、設置した複数の前記モジュールの機能に応じた水処理機能を提供する
、水処理装置。
【請求項2】
移動させるための移動機構と、
水の入力を受け付ける受付部と、
水処理用のモジュールであって、前記モジュールの機能に応じて、複数の種類の水処理用のモジュールが選択可能に用意されているモジュールを設置可能な、1または複数の設置機構と、
ユーザから指定される、水処理装置が設置される位置を示す情報を取得する手段と、
設置される位置が前記ユーザから指定されると、指定された位置における環境の情報に基づいて水の需要を予測する手段と、
水の需要の予測結果に基づき、複数の種類の水処理用の前記モジュールから必要な複数のモジュールを特定する手段と
を備え、
特定した前記複数のモジュールの組み合わせを、前記1または複数の設置機構の少なくとも一部に設置することにより、前記受付部で受け付けた前記水に対し、設置した複数の前記モジュールの機能に応じた水処理機能を提供する水処理装置。
【請求項3】
前記複数の種類のモジュールは、少なくとも、フィルターにより水の浄化を行う機能を有するモジュールと、電力を供給する機能を有するモジュールと、水を空気中から生成する機能を有するモジュールと、水を加温または冷却する機能を有するモジュールとのいずれかを含む、請求項1
または請求項2に記載の水処理装置。
【請求項4】
前記受付部で受け付ける前記水、または、前記設置機構に設置される前記モジュールで行われる水処理状況を測定するセンシング部と、
前記センシング部のセンシング結果を外部のコンピュータ装置へ送信する送信部と
を備える、請求項
1から請求項3のいずれかに記載の水処理装置。
【請求項5】
前記設置機構に設置された前記モジュールにより水処理された処理水を排出する排出部を備え、
前記受付部は、当該排出された処理水がユーザによって使用された後の排水を、前記入力として受け付ける、請求項1から
請求項4のいずれかに記載の水処理装置。
【請求項6】
各地に設置されるセンサによるセンシング結果に基づいて予測した前記各地の水の需要を満たすように移動先を決定する手段を備える請求項1から請求項5のいずれかに記載の水処理装置。
【請求項7】
前記組み合わせは、前記水の用途に適合する態様で、前記受付部で受け付けた前記水を、水の浄化を行う機能を有するモジュールで処理することを含む請求項1記載の水処理装置。
【請求項8】
制御部と、記憶部とを備えるコンピュータ装置であって、
ユーザが使用する水処理装置は、
移動させるための移動機構と、
水の入力を受け付ける受付部と、
水処理用のモジュールを設置可能な、1または複数の設置機構と
を備え、
前記モジュールは、前記モジュールの機能に応じて、複数の種類の水処理用のモジュールが選択可能に用意されており、
前記水処理装置は、前記1または複数の設置機構の少なくとも一部に複数の前記モジュールを設置することにより、前記受付部で受け付けた前記水に対し、複数の前記モジュールの機能に応じた水処理機能を提供し、
前記コンピュータ装置の制御部は、
ユーザから指定される、水の用途を示す情報を取得するステップと、
ユーザが指定可能な水の用途と、複数の種類の水処理用のモジュールとを対応付けて記憶しており、前記水の用途を示す情報を取得すると、前記対応関係に基づき、複数の種類の水処理用の前記モジュールから必要な複数のモジュールの組み合わせを特定するステップと
を実行する、コンピュータ装置。
【請求項9】
制御部と、記憶部とを備えるコンピュータ装置であって、
ユーザが使用する水処理装置は、
移動させるための移動機構と、
水の入力を受け付ける受付部と、
水処理用のモジュールを設置可能な、1または複数の設置機構と
を備え、
前記モジュールは、前記モジュールの機能に応じて、複数の種類の水処理用のモジュールが選択可能に用意されており、
前記水処理装置は、前記1または複数の設置機構の少なくとも一部に複数の前記モジュールを設置することにより、前記受付部で受け付けた前記水に対し、複数の前記モジュールの機能に応じた水処理機能を提供し、
前記コンピュータ装置の前記制御部は、
ユーザから指定される、水処理装置が設置される位置を示す情報を取得するステップと、
前記位置を示す情報を取得すると、当該位置における環境の情報に基づいて水の需要を予測するステップと、
水の需要の予測結果に基づき、複数の種類の水処理用の前記モジュールから必要な複数のモジュールの組み合わせを特定するステップと
を実行する、コンピュータ装置。
【請求項10】
前記制御部は、各地に設置されるセンサによるセンシング結果に基づいて予測した前記各地の水の需要を満たすように前記水処理装置の移動先を決定するステップを実行する請求項8または請求項9に記載のコンピュータ装置。
【請求項11】
前記制御部は、決定した前記移動先へ前記水処理装置を移動させるための信号を前記水処理装置へ送信するステップを実行する請求項10記載のコンピュータ装置。
【請求項12】
前記組み合わせは、前記水の用途に適合する態様で、前記受付部で受け付けた前記水を、水の浄化を行う機能を有するモジュールで処理することを含む請求項8記載のコンピュータ装置。
【請求項13】
制御部と、記憶部とを備えるコンピュータ装置に実行される方法であって、前記制御部が、請求項8から請求項12のいずれかに係る発明において実行されるすべてのステップを実行する方法。
【請求項14】
水処理装置と、
請求項8から請求項12のいずれかに係る発明において実行されるすべてのステップを実行する手段と
を備えるシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、水処理装置、水処理システム、水処理方法およびコンピュータ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
各地での水の需要に応えるため、大規模な水処理設備が運用されている。例えば、上水処理のための設備として、各地での水の需要(世帯数など)に応えられるよう、ろ過装置、除塵装置、沈殿池、オゾン接触層、活性炭吸着池など予め定められた装置を用意することにより、取水から浄化までを行っている。また、例えば、下水処理のための設備として、汚泥処理など様々な技術が用いられている。例えば、特開2001-353497号公報(特許文献1)には、汚水処理のための技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような水処理システムは、公共サービスとして、自治体などの地方公共団体等によって、地域の居住者に提供されてきている。しかしながら、大規模な水処理設備による水処理システムを運用するには、インフラを設置するコストが大きくなる傾向にある。
【0005】
また、水の用途は、多種多様である。例えば、飲料用に用いられる水もあれば、食事後の食器を洗浄するための水もあり、トイレを流水させるための水もある。
【0006】
そのため、大規模な水処理設備を運用する場合、様々な用途に応えられるよう、水処理用の装置を組み合わせた大掛かりなものとなる傾向にある。
【0007】
また、大規模な水処理設備を設置したとしても、多種多様な水の需要に応えられないおそれもある。
【0008】
一方、仮に、各地で一定量の水処理が可能な、比較的小規模な水処理設備を導入したとしても、瞬間的に発生する水の需要の増加に対応できないおそれもある。例えば、気象条件によっても、水の需要量が異なり得る。また、災害発生により、飲料用途、シャワー用途など特定の用途での水処理の需要が発生することを事前に予測することが困難な場合もあり得る。しかしながら、各地で発生し得る水の需要に応えて水そのものを運搬しようとすると、水の重量が大きいために運搬も容易ではないことがあり得る。そこで、本開示は、各地での多種多様な水の需要の変動に対応できる水処理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一実施形態によると、水処理装置が提供される。水処理装置は、水処理装置を移動させるための移動機構と、水の入力を受け付ける受付部と、水処理用のモジュールを設置可能な、1または複数の設置機構とを備え、モジュールは、モジュールの機能に応じて、複数の種類のモジュールが選択可能に用意されており、1または複数の設置機構の少なくとも一部にモジュールを設置することにより、受付部で受け付けた水に対し、モジュールの機能に応じた水処理機能を提供するように構成されている。
【0010】
一実施形態によると、制御部と、記憶部とを備えるコンピュータ装置が提供される。ユーザが使用する水処理装置は、水の入力を受け付ける受付部と、水に対する水処理を行う処理部と、水処理の状況の測定結果をコンピュータ装置へ送信する送信部とを備え、コンピュータ装置の制御部は、水処理装置から受信する情報に基づいて、水処理装置が配置される位置における水処理の需要を予測する、コンピュータ装置。
【0011】
一実施形態によると、制御部と、記憶部とを備えるコンピュータ装置を動作させる方法が提供される。ユーザが使用する水処理装置は、水の入力を受け付ける受付部と、水に対する水処理を行う処理部と、水処理の状況の測定結果をコンピュータ装置へ送信する送信部とを備える。方法は、コンピュータ装置の制御部が、水処理装置から情報を受信するステップと、水処理装置から受信する情報に基づいて、水処理装置が配置される位置における水処理の需要を予測するステップとを行う。
【0012】
一実施形態によると、水処理システムが提供される。水処理装置と、コンピュータ装置とを含む。水処理装置であって、水処理装置を移動させるための移動機構と、水の入力を受け付ける受付部と、水処理用のモジュールを設置可能な、1または複数の設置機構とを備え、モジュールは、モジュールの機能に応じて、複数の種類のモジュールが選択可能に用意されており、1または複数の設置機構の少なくとも一部にモジュールを設置することにより、受付部で受け付けた水に対し、モジュールの機能に応じた水処理機能を提供するように構成されている。コンピュータ装置の制御部は、水処理装置から受信する情報に基づいて、水処理装置が配置される位置における水処理の需要を予測する。
【発明の効果】
【0013】
本開示によれば、大規模な水処理設備のようなインフラコストを要することなく、各地での多種多様な水の需要の変動に対応できる水処理システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図2】水処理システム1の全体の構成を示す図である。
【
図3】水処理装置30の構成を示すブロック図である。
【
図4】水処理装置30において水処理モジュール40の設置を受け付けるための複数の設置機構の外観の例を示す図である。
【
図6】端末装置10の構成を示すブロック図である。
【
図7】サーバ20が記憶する水処理モジュールデータベース281、水処理装置データベース282、ユーザ情報データベース283のデータ構造を示す図である。
【
図8】水処理装置30において水処理モジュール40によって水処理を行った実績をサーバ20に蓄積させる処理のフローを示す図である。
【
図9】ユーザが指定する水処理装置30の用途に応じて、サーバ20が水処理モジュール40の組み合わせをユーザに提示する処理のフローを示す図である。
【
図10】サーバ20が、水処理装置30が設置される位置における水処理の需要を予測して水処理モジュール40の組み合わせをユーザに提示する処理のフローを示す図である。
【
図11】サーバ20が、水処理装置30の水処理の実績に応じて水処理モジュール40の組み合わせをユーザに提示する処理のフローを示す図である。
【
図12】各地の水処理の需要に応じて水処理装置30を移動させることをユーザに促す処理のフローを示す図である。
【
図13】端末装置10における画面例を示す図である。
【
図14】第2の実施形態にかかる水処理システム2の概要を示す図である。
【
図15】実施の形態2における外部環境情報284のデータ構造を示す図である。
【
図16】実施の形態2の水処理システム2を構成する各装置の動作を示す図である。
【
図17】水処理装置30の構成の他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0016】
<概要>
以下の実施形態では、水源を提供するための水処理システム1について説明する。
【0017】
ユーザは、日常生活において、様々な用途で水を使用する。例えば、ユーザは、水分を補給するために、飲料水を摂取する。水の用途としては、この他に、物品に付着した汚物を洗浄するために用いられることがあり、例えばユーザは食事後に食器を洗浄する際に水を使用する。その他、ユーザは、シャワー、風呂、洗濯、トイレ、ドリンクサーバー、部屋の加湿などの用途で水を使用する。
【0018】
<実施の形態1>
実施形態では、水処理機能を有することにより、水源を提供することが可能な水処理装置30について説明するとともに、各地に水処理装置30を設置することで実現される水処理システム1について説明する。
【0019】
図1は、水処理システム1の概要を示す図である。水処理システム1は、各地に設置される水処理装置30(
図1の例では、水処理装置30A、30B、30Cを示している)と、これら水処理装置30と通信可能なサーバ(
図1では図示しない)とから構成されている。図示する例では、水処理装置30Aと水処理装置30Cは、移動機構370を有している。移動機構370は、例えば車輪などを有しており、車輪を駆動する等により水処理装置30を走行可能にする。なお、水処理装置30Bは、移動機構370を有しておらず、自走する機能は有していない。
【0020】
水処理装置30は、各地に設置されている。例えば、水処理装置30Aは、屋外の土地5に設置される。屋外の土地5に水処理装置30Aを設置することにより、屋外において、飲用用途、シャワー用途、トイレ用途など様々な用途で水を利用できるようにする。例えば、水処理装置30Aが浄水機能を提供することにより、ユーザが飲用できるよう水を浄化することができる。
【0021】
例えば、水処理装置30Bは、建物6に対して水処理機能を提供するために設置される。水処理装置30Bは、建物6の内部または外部に設置される。
【0022】
例えば、水処理装置30Cは、自動車などの移動体7において水処理機能を提供するために設置される。水処理装置30Bは、移動体7の内部または外部に搭載される。例えば、移動体7として、キャンピングカーなど、料理のためのキッチン、トイレ等の、水を使用する様々な設備が搭載されるものがある。水処理装置30Cは、移動体7で使用される様々な水の用途に応じて、水処理機能を提供する。
【0023】
なお、
図1の例では、水処理装置30が、1つの独立した装置として使用される例を示しているが、建物等の設備に水処理装置30の機能を組み込むことにより、水処理の機能を提供することとしてもよい。例えば、建物等にある洗濯機、シンク、浄水器、シャワールーム、バスルーム、トイレ、湯船、加湿器、除湿器、エアーコンディショナー等に、水処理装置30を組み込むこととしてもよい。後述するように、水処理装置30は、水処理モジュール40を備えることで水処理の機能を提供している。建物等の設備に水処理モジュール30の組み合わせを組み込むことにより、水処理の機能をユーザに提供することとしてもよい。
【0024】
各水処理装置30は、提供している水処理機能と、水処理を行った履歴とを、サーバへ送信する。これにより、サーバは、各水処理装置30が設置される環境における水処理の需要についての情報を蓄積することができる。
【0025】
<システム全体の構成図>
図2は、水処理システム1の全体の構成を示す図である。
【0026】
図2に示すように、水処理システム1は、端末装置10(図示する例では、端末装置10Aおよび端末装置10Bを示している)と、サーバ20と、水処理装置30(図示する例では、水処理装置30Aと水処理装置30Bを示している)とを含む。端末装置10、サーバ20、水処理装置30は、ネットワーク80を介して通信接続する。図示するように、水処理装置30(水処理装置30B)は、端末装置10(端末装置10B)を介してサーバ20と通信することもある。
【0027】
端末装置10は、各ユーザが操作する装置である。端末装置10は、移動体通信システムに対応したスマートフォン、タブレット等の携帯端末などにより実現される。この他に、端末装置10は、例えば据え置き型のPC(Personal Computer)、ラップトップPCであるとしてもよい。
図2に端末装置10Bとして示すように、端末装置10は、通信IF(Interface)12と、入出力IF13と、メモリ15と、記憶部16と、プロセッサ19とを備える。サーバ20は、通信IF22と、入出力IF23と、メモリ25と、ストレージ26と、プロセッサ29とを備える。
【0028】
端末装置10は、ネットワーク80を介してサーバ20と通信可能に接続される。端末装置10は、5G、LTE(Long Term Evolution)などの通信規格に対応した無線基地局81、IEEE802.11などの無線LAN(Local Area Network)規格に対応した無線LANルータ82等の通信機器と通信することによりネットワーク80に接続される。
【0029】
通信IF12は、端末装置10が外部の装置と通信するため、信号を入出力するためのインタフェースである。
【0030】
入力装置13は、ユーザからの入力操作を受け付けるための入力装置(例えば、タッチパネル、タッチパッド、マウス等のポインティングデバイス、キーボード等)である。
【0031】
出力装置14は、ユーザに対し情報を提示するための出力装置(ディスプレイ、スピーカ、バイブレータ等)である。
【0032】
メモリ15は、プログラム、および、プログラム等で処理されるデータ等を一時的に記憶するためのものであり、例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory)等の揮発性のメモリである。
【0033】
記憶部16は、データを保存するための記憶装置であり、例えばフラッシュメモリ、HDD(Hard Disc Drive)である。
【0034】
プロセッサ19は、プログラムに記述された命令セットを実行するためのハードウェアであり、演算装置、レジスタ、周辺回路などにより構成される。
【0035】
サーバ20は、各水処理装置30における水処理の履歴を取得して、データベースとして保持する。サーバ20は、データベースに蓄積されるデータに基づいて、水処理の需要を予測する。
【0036】
通信IF22は、サーバ20が外部の装置と通信するため、信号を入出力するためのインタフェースである。
【0037】
入出力IF23は、ユーザからの入力操作を受け付けるための入力装置、および、ユーザに対し情報を提示するための出力装置とのインタフェースとして機能する。
【0038】
メモリ25は、プログラム、および、プログラム等で処理されるデータ等を一時的に記憶するためのものであり、例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory)等の揮発性のメモリである。
【0039】
ストレージ26は、データを保存するための記憶装置であり、例えばフラッシュメモリ、HDD(Hard Disc Drive)である。
【0040】
プロセッサ29は、プログラムに記述された命令セットを実行するためのハードウェアであり、演算装置、レジスタ、周辺回路などにより構成される。
【0041】
次に、水処理システム1を構成する各装置について説明する。
【0042】
<水処理装置30の構成>
まず、水処理システム1を構成する水処理装置30について説明する。
【0043】
図3は、水処理装置30の構成を示すブロック図である。
図3に示すように、水処理装置30は、水処理モジュール設置機構32を有する。水処理モジュール設置機構32は、複数の設置機構(設置機構32A、32B、33C、・・・)を有している。
【0044】
当該複数の設置機構は、水処理モジュール40の設置を受け付けるための機構である。図示する例では、水処理モジュール40として、水処理モジュール40A、40Bを示している。水処理装置30は、水処理モジュール設置機構32に対し、処理対象の水を供給する水受付部36と、水処理モジュール設置機構32に設置される各水処理モジュール40で処理された水を外部へ出力する処理水出力部37とを有する。水受付部36は、例えば、水処理装置30の外部から、ポンプ等により水の供給を受け付ける。処理水出力部37は、水処理装置30の外部へ、水処理モジュール40で処理した水を出力する。なお、出力した水をユーザが使用した後の排水を、水受付部36への入力とすることもできる。
【0045】
図4は、水処理装置30において水処理モジュール40の設置を受け付けるための複数の設置機構の外観の例を示す図である。
図4(A)は、水処理装置30において水処理モジュール40の設置を受け付けるための挿入面31の正面を示す図である。
図4(B)は、挿入面31の外観を斜め方向から見た場合を示す図である。
図4(C)は、複数の設置機構に水処理モジュール40を設置するための別の例を示す図である。
【0046】
図4(A)に示すように、水処理装置30は、挿入面31において、複数の設置機構(設置機構32A、32B、32C、・・・)を有する。図示する例では、設置機構それぞれは、いずれも、水処理モジュール40を接続できるよう、同等の構造を有している。水処理モジュール40は、機能に応じて用意されるが、設置機構の構造に対応した大きさを有している。
【0047】
各設置機構は、一定の体積を有する水処理モジュール40を設置することで、水処理モジュール40の機能をユーザに提供する。例えば、各設置機構は、水処理モジュール40と接続するための接続部を有している。当該接続部は、例えば、水処理モジュール40に、処理対象の水を供給するためのポンプ機構、水処理モジュール40で処理された処理水を排出するための排出機構を有する。水処理モジュール40は、端部に、設置機構と接続するための接続部を有する。これにより、接続部で設置機構と水処理モジュール40とを接続することができ、水処理装置30に、各水処理モジュール40が有する機能を提供する。
【0048】
図4(B)に示すように、水処理装置30は、挿入面31を覆うための扉33を有している。水処理装置30は、水処理モジュール40Aの設置を、設置機構により受け付けようとしている。水処理モジュール40Aを、挿入面31に対して挿入することで、設置機構に水処理モジュール40を設置することができる。
【0049】
なお、図示する例では、水処理装置30は、挿入面31において、所定の大きさを有する水処理モジュール40を設置することができるよう、16個の設置機構(設置機構32A、32B、・・・32P)を有している。
図4(B)に示すように、水処理モジュール40は、機能、性能に応じて、ユーザが識別可能な外観(例えば、水処理モジュール40の色)を有することとしてもよい。
【0050】
図4(B)の例では、水処理モジュール40の大きさが所定の単位と等しくなっているが、水処理モジュール40に要求される水処理の機能によっては、水処理モジュール40を、所定の単位よりも大きくすることが必要になり得る。
【0051】
図4(C)は、
図4(B)の例よりも大きな水処理モジュール40を水処理装置30に設置可能としている。
図4(C)に示すように、挿入面31に対し、単位を基準とした大きさが2倍の水処理モジュール40Bを示している。また、挿入面31に対し、単位を基準とした大きさが4倍の水処理システム40Cについても水処理装置30に設置可能としてもよい。
【0052】
各水処理モジュール40には、例えばフィルタなど、水処理用の機能を有するものが含まれる。また、各水処理モジュール40には、水処理用の機能の他に、電力を供給する機能など、水処理装置30を動作させるためのエネルギーを供給するものが含まれる。以上のように、水処理装置30は、各水処理モジュール40を搭載することにより、これら搭載される水処理モジュール40が有する機能を水処理装置30のユーザに提供する。
【0053】
以上のように、水処理装置30は、水処理モジュール40を設置可能な構成を有しているため、水処理モジュール40を収容可能なポッドと見立てることもできる。
【0054】
図3に戻り、水処理装置30の構成について説明を続ける。
【0055】
水処理装置30は、外部の装置と通信するための構成と、データ処理を行うための構成とを有している。水処理装置30は、複数のアンテナ(アンテナ311、アンテナ312)と、各アンテナに対応する無線通信部(第1無線通信部321、第2無線通信部322)と、操作受付部330(タッチセンシティブデバイス331およびディスプレイ332を含む)と、音声処理部340と、マイク341と、スピーカ342と、位置情報センサ350と、カメラ360と、移動機構370と、記憶部380と、制御部390と、を含む。
【0056】
水処理装置30は、
図3では特に図示していない機能及び構成(例えば、電源と接続して電力の供給を受けるための回路、電力を保持するためのバッテリ、バッテリから各回路への電力の供給を制御する電力供給回路など)も有している。
図3に示すように、水処理装置30に含まれる各ブロックは、バス等により電気的に接続される。
【0057】
なお、水処理装置30は、
図3に示す全ての構成を有する必要はなく、一部の構成を有することとしてもよい。例えば、水処理装置30は、水処理装置30と通信可能な端末装置10が有する構成の一部については有さないこととしてもよい。例えば、水処理装置30は、音声処理部340、マイク341、スピーカ342などのように、ユーザに通知をするための構成を有さないこととしてもよい。また、水処理装置30は、位置情報センサ350、カメラ360など、端末装置10においてもセンシング可能な構成については有さないこととしてもよい。また、水処理装置30が、移動体通信システムまたは近距離無線通信のいずれかに対応すればよい等、複数の通信規格に応じてアンテナおよび無線通信部を有する必要がない場合もあり得る。
【0058】
アンテナ311は、水処理装置30が発する信号を電波として放射する。また、アンテナ311は、空間から電波を受信して受信信号を第1無線通信部321へ与える。
【0059】
アンテナ312は、水処理装置30が発する信号を電波として放射する。また、アンテナ312は、空間から電波を受信して受信信号を第2無線通信部322へ与える。
【0060】
第1無線通信部321は、水処理装置30が他の無線機器と通信するため、アンテナ311を介して信号を送受信するための変復調処理などを行う。第2無線通信部322は、水処理装置30が他の無線機器と通信するため、アンテナ312を介して信号を送受信するための変復調処理などを行う。第1無線通信部321と第2無線通信部322とは、チューナー、RSSI(Received Signal Strength Indicator)算出回路、CRC(Cyclic Redundancy Check)算出回路、高周波回路などを含む通信モジュールである。第1無線通信部321と第2無線通信部322とは、水処理装置30が送受信する無線信号の変復調や周波数変換を行い、受信信号を制御部390へ与える。
【0061】
操作受付部330は、ユーザの入力操作を受け付けるための機構を有する。具体的には、操作受付部330は、タッチスクリーンとして構成され、タッチセンシティブデバイス331と、ディスプレイ332とを含む。タッチセンシティブデバイス331は、水処理装置30のユーザの入力操作を受け付ける。タッチセンシティブデバイス331は、例えば静電容量方式のタッチパネルを用いることによって、タッチパネルに対するユーザの接触位置を検出する。タッチセンシティブデバイス331は、タッチパネルにより検出したユーザの接触位置を示す信号を入力操作として制御部390へ出力する。なお、操作受付部330は、ボタンなど物理的に変形する機構により入力操作を受け付けることとしてもよい。
【0062】
ディスプレイ332は、制御部390の制御に応じて、画像、動画、テキストなどのデータを表示する。ディスプレイ332は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)や有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ、電子ペーパー等によって実現される。
【0063】
音声処理部340は、音声信号の変復調を行う。音声処理部340は、マイク341から与えられる信号を変調して、変調後の信号を制御部390へ与える。また、音声処理部340は、音声信号をスピーカ342へ与える。音声処理部340は、例えば音声処理用のプロセッサによって実現される。マイク341は、音声入力を受け付けて、当該音声入力に対応する音声信号を音声処理部340へ与える。スピーカ342は、音声処理部340から与えられる音声信号を音声に変換して当該音声を水処理装置30の外部へ出力する。
【0064】
位置情報センサ350は、水処理装置30の位置を検出するセンサであり、例えばGPS(Global Positioning System)モジュールである。GPSモジュールは、衛星測位システムで用いられる受信装置である。衛星測位システムでは、少なくとも3個または4個の衛星からの信号を受信し、受信した信号に基づいて、GPSモジュールが搭載される水処理装置30の現在位置を検出する。このGPSモジュールが検出する位置は、例えば、水処理装置30の位置情報をサーバ20に通知する際、等に利用され得る。
【0065】
カメラ360は、受光素子により光を受光して、撮影画像として出力するためのデバイスである。カメラ360は、例えば、カメラ360から撮影対象までの距離を検出できる深度カメラである。
【0066】
記憶部380は、例えばフラッシュメモリ等により構成され、水処理装置30が使用するデータおよびプログラムを記憶する。ある局面において、記憶部380は、ユーザ情報381と、水処理履歴情報382とを記憶する。
【0067】
ユーザ情報381は、水処理装置30により水処理の機能の提供を受けるユーザの情報である。ユーザの情報としては、ユーザを識別する情報、ユーザが使用している水処理モジュール40の情報、ユーザが保有している水処理モジュール40の情報等が含まれる。
【0068】
水処理履歴情報382は、水処理装置30が備える各種センサによりセンシングされた結果を示す情報である。例えば、水処理履歴情報382は、水処理モジュール設置機構32に設置される各水処理モジュール40において、水処理を行った履歴を保持する。
【0069】
制御部390は、記憶部380に記憶されるプログラムを読み込んで、プログラムに含まれる命令を実行することにより、水処理装置30の動作を制御する。制御部390は、例えばアプリケーションプロセッサである。制御部390は、プログラムに従って動作することにより、入力操作受付部391と、送受信部392と、データ処理部393と、通知制御部394としての機能を発揮する。
【0070】
入力操作受付部391は、タッチセンシティブデバイス331等の入力装置に対するユーザの入力操作を受け付ける処理を行う。入力操作受付部391は、タッチセンシティブデバイス331に対してユーザが指などを接触させた座標の情報に基づき、ユーザの操作がフリック操作であるか、タップ操作であるか、ドラッグ(スワイプ)操作であるか等の操作の種別を判別する。また、入力操作受付部391は、ディスプレイ332に対してユーザがポインティングデバイス等により指定した位置等の情報を取得する。
【0071】
送受信部392は、水処理装置30が、サーバ20等の外部の装置と、通信プロトコルに従ってデータを送受信するための処理を行う。
【0072】
データ処理部393は、水処理装置30が入力を受け付けたデータに対し、プログラムに従って演算を行い、演算結果をメモリ等に出力する処理を行う。例えば、データ処理部393は、水処理装置30において、水処理モジュール40により水処理が行われた履歴を水処理履歴情報382に保持させる処理、水処理履歴情報382に保持される情報をサーバ20へ送信する処理等を行う。
【0073】
通知制御部394は、ユーザに情報を通知する処理を行う。通知制御部394は、例えば、表示画像をディスプレイ332に表示させる処理、音声をスピーカ342に出力させる処理、振動をカメラ360に発生させる処理を行う。
【0074】
<サーバ20の機能的な構成>
次に、サーバ20の構成について説明する。
【0075】
図5は、サーバ20の機能的な構成を示す図である。
図5に示すように、サーバ20は、通信部201と、記憶部202と、制御部203としての機能を発揮する。
【0076】
通信部201は、サーバ20が外部の装置(例えば、端末装置10、水処理装置30)と通信するための処理を行う。
【0077】
記憶部202は、サーバ20が使用するデータ及びプログラムを記憶する。記憶部202は、水処理モジュールデータベース281と、水処理装置データベース282と、ユーザ情報データベース283と、外部環境情報284とを記憶する。
【0078】
水処理モジュールデータベース281は、水処理モジュール40の仕様についてのデータベースである。詳細は後述する。
【0079】
水処理装置データベース282は、水処理装置30の設定およびユーザが水処理装置30を仕様した履歴についてのデータベース。詳細は後述する。
【0080】
ユーザ情報データベース283は、水処理装置30を利用する各ユーザの情報を保持するためのデータベースである。詳細は後述する。
【0081】
外部環境情報284は、水処理装置30が設置される環境に関する情報である。例えば、サーバ20は、水処理装置30が設置される場所についての水の需要に影響するパラメータを取得して外部環境情報284に蓄積させる。例えば、水の需要に影響するパラメータとして、水処理装置30が設置される場所の周囲の気候条件に関するデータ(天候、気温、湿度、風速など)、水を利用する利用者に関するデータ(人の流入、流出など)、地域の水源に関するデータ(河川の流量、地下水の量など)、その他の情報の時系列データを含む。
【0082】
制御部203は、サーバ20のプロセッサがプログラムに従って処理を行うことにより、各種モジュールとして示す機能を発揮する。
【0083】
操作内容取得モジュール2041は、サーバ20が、端末装置10等のユーザから情報の入力を受け付ける場合に、ユーザの操作内容を取得する。例えば、サーバ20が、端末装置10のブラウザにより画面を提示してユーザの操作を受け付ける場合に、操作内容取得モジュール2041は、ユーザの操作内容を取得する。
【0084】
受信制御モジュール2042は、サーバ20が外部の装置から通信プロトコルに従って信号を受信する処理を制御する。
【0085】
送信制御モジュール2043は、サーバ20が外部の装置に対し通信プロトコルに従って信号を送信する処理を制御する。
【0086】
水需要予測モジュール2044は、各地における水の需要を予測する。水需要予測モジュールは、水処理装置30が設置される位置において必要となる水の用途と、水の需要量とを、記憶部202に記憶される各データベースの記憶内容に基づいて予測する。
【0087】
例えば、水需要予測モジュール2044は、水処理装置データベース282に基づいて、各地に設置される水処理装置30において水処理が行われた実績に基づいて、各地における水の用途および需要量を予測する。例えば、水処理装置データベース282に蓄積される、水処理装置30の水処理の実績の時系列データに基づいて学習済みモデルを作成しておくことにより、水需要予測モジュール2044が当該学習済みモデルに基づき水の需要を予測することができる。
【0088】
例えば、水需要予測モジュール2044は、外部環境情報284に示される各地の環境の情報に基づいて、各地の水の需要を予測することとしてもよい。各地の環境の情報の時系列データと、各地に設置される水処理装置30において水処理が行われた実績に基づいて、学習済みモデルを作成しておくことにより、水需要予測モジュール2044が各地の環境の情報の予測結果と学習済みモデルとに基づき水の需要を予測することができる。
【0089】
組み合わせ特定モジュール2045は、水処理装置30に設置する水処理モジュール40の組み合わせを特定する。組み合わせ特定モジュール2045は、ユーザが指定した用途に応じて、用途に適合するよう水処理モジュール40の組み合わせを特定する。また、組み合わせ特定モジュール2045は、ユーザの指定によらず、水需要予測モジュール2044による水の需要の予測結果に応じて、当該需要に適合するよう水処理モジュール40の組み合わせを特定する。
【0090】
<端末装置10の構成>
続いて、端末装置10の構成について説明する。
【0091】
図6は、端末装置10の構成を示すブロック図である。
図6に示すように、端末装置10は、複数のアンテナ(アンテナ111、アンテナ112)と、各アンテナに対応する無線通信部(第1無線通信部121、第2無線通信部122)と、操作受付部130(タッチセンシティブデバイス131およびディスプレイ132を含む)と、音声処理部140と、マイク141と、スピーカ142と、位置情報センサ150と、カメラ160と、記憶部180と、制御部190と、を含む。
【0092】
端末装置10の構成のうち、水処理装置30と同等の構成については、水処理装置30の各構成と同様であるため説明を繰り返さない、つまり、端末装置10のアンテナ(111,112)、無線通信部(第1無線通信部121、第2無線通信部122)、操作受付部130、タッチセンシティブデバイス131、ディスプレイ132、音声処理部140、マイク141と、スピーカ142と、位置情報センサ150と、カメラ160とは、水処理装置30のアンテナ(311,312)、無線通信部(第1無線通信部321、第2無線通信部322)、操作受付部330、タッチセンシティブデバイス331、ディスプレイ332、音声処理部340、マイク341と、スピーカ342と、位置情報センサ350と、カメラ360とについて、機能の説明を繰り返さない。なお、位置情報センサ150は、端末装置10の位置を検出するセンサである。
【0093】
モーションセンサ170は、加速度センサ、角速度センサにより構成され、端末装置10の動きに関するセンシングデータを出力する。端末装置10は、これらセンシングデータに基づいて、端末装置10の傾き、端末装置10が振られていること等を検出する。
【0094】
記憶部180は、例えばフラッシュメモリ等により構成され、端末装置10が使用するデータおよびプログラムを記憶する。ある局面において、記憶部180は、ユーザ情報181と、水処理履歴情報182とを記憶する。
【0095】
ユーザ情報181は、水処理装置30を使用するユーザの情報である。ユーザの情報としては、ユーザを識別する情報、ユーザが使用している水処理モジュール40の情報、ユーザが保有している水処理モジュール40の情報等が含まれる。
【0096】
水処理履歴情報182は、水処理装置30が備える各種センサによりセンシングされた結果を示す情報である。水処理履歴情報182は、水処理装置30が、水処理モジュール設置機構32に設置される各水処理モジュール40において、水処理を行った履歴を保持する。
【0097】
制御部190は、記憶部180に記憶されるプログラムを読み込んで、プログラムに含まれる命令を実行することにより、端末装置10の動作を制御する。制御部190は、例えばアプリケーションプロセッサである。制御部190は、プログラムに従って動作することにより、入力操作受付部191と、送受信部192と、データ処理部193と、表示制御部194としての機能を発揮する。
【0098】
入力操作受付部191は、タッチセンシティブデバイス131等の入力装置に対するユーザの入力操作を受け付ける処理を行う。入力操作受付部191は、タッチセンシティブデバイス131に対してユーザが指などを接触させた座標の情報に基づき、ユーザの操作がフリック操作であるか、タップ操作であるか、ドラッグ(スワイプ)操作であるか等の操作の種別を判定する。
【0099】
送受信部192は、端末装置10が、サーバ20等の外部の装置と、通信プロトコルに従ってデータを送受信するための処理を行う。
【0100】
データ処理部193は、端末装置10が入力を受け付けたデータに対し、プログラムに従って演算を行い、演算結果をメモリ等に出力する処理を行う。例えば、データ処理部193は、水処理装置30において水処理が行われた実績(水処理装置30におけるセンシング結果)を水処理装置30から取得してサーバ20へ送信する処理、端末装置10のユーザに対し、水処理装置30に設置する水処理モジュール40の組み合わせをディスプレイ132等により提示する処理などを行う。
【0101】
通知制御部194は、表示画像をディスプレイ132に表示させる処理、音声をスピーカ142に出力させる処理、振動をカメラ160に発生させる処理を行う。
【0102】
<データ構造>
図7は、サーバ20が記憶する水処理モジュールデータベース281、水処理装置データベース282、ユーザ情報データベース283のデータ構造を示す図である。
【0103】
図7に示すように、水処理モジュールデータベース281のレコードのそれぞれは、項目「モジュール識別情報(ID)」と、項目「種類・機能」と、項目「大きさ・サイズ」と、項目「センシング可能なデータ」とを含む。
【0104】
項目「モジュール識別情報(ID)」は、複数種類ある水処理モジュール40それぞれを識別するための情報である。
【0105】
項目「種類・機能」は、水処理モジュール40が分類される種類と、水処理モジュール40が発揮する機能とを示す。
【0106】
(i)水処理モジュール40の種類として、流入する水に対して水処理を行う機能を有するものがある。例えば、水処理モジュール40として、フィルタにより所定サイズより大きい物質を除去する機能を提供するもの、光学的な手法(紫外線の照射等)または化学的な手法により微生物(バクテリア)を除去する機能を提供するもの等がある。
【0107】
(ii)水処理モジュール40の種類として、水処理装置30を動作させるためのエネルギー源を提供する機能を有するものも含まれる。例えば、水処理モジュール40が太陽電池等を備えることにより、水処理装置30を動作させるための電源機能を提供するものも含まれる。つまり、このような水処理モジュール40は、水処理装置30に電力を供給することで、水処理装置30に水処理機能を発揮させる。
【0108】
(iii)水処理モジュール40の種類として、ユーザが必要な性質の水を提供するものが含まれる。例えば、ユーザがシャワー用途、飲料用途に温水または冷水を使用する需要がある場合に給湯機能または冷却機能を提供するもの、空気中から水分を生成する機能を提供するものが水処理モジュール40に含まれる。
【0109】
項目「大きさ・サイズ」は、水処理モジュール40を水処理装置30に設置した際に占有する大きさを示す。本実施形態では、
図4等で説明したように、水処理装置30が複数の設置機構を有している。
図4の例のように、これら設置機構それぞれをスロットとして、項目「大きさ・サイズ」において、水処理モジュール40それぞれの大きさを規定してもよい。
【0110】
例えば、項目「モジュール識別情報(ID)」が「FL01」の水処理モジュールは、水処理装置30に設置する際に、水処理装置30が有するスロットのうち1スロットを占有する(
図4の例における水処理モジュール40A)。
【0111】
また、例えば、項目「モジュール識別情報(ID)」が「FL02」の水処理モジュールは2スロットを占有する(
図4の例における水処理モジュール40B)。
【0112】
項目「センシング可能なデータ」は、水処理モジュール40でセンシングできる対象を示す。
【0113】
(i)センシングの対象としては、水処理の前後で変化する項目が含まれる。例えば、水処理により浄化する性能を評価するためにセンシングする項目が含まれることとしてもよい。より具体的には、水処理モジュール40が、浄水を得る機能を提供するためにフィルタ等を有する場合、フィルタ等で処理する前の水における除去対象の物質または微生物の濃度またはフィルタにより処理した後の水における当該濃度をセンシング対象としてもよい。
【0114】
(ii)センシングの対象としては、水処理を行った量に関する項目が含まれる。例えば、水処理モジュール40に流入させる水の量をセンシングの対象としてもよい。
【0115】
(iii)センシングの対象としては、水処理モジュール40の機能を評価する項目が含まれる。例えば、水処理モジュール40が電源を提供する場合に、発電量をセンシングの対象としてもよい。また、水処理モジュール40が空気中から水分を生成する場合に、水を生成する量をセンシングの対象としてもよい。
【0116】
水処理装置データベース282のレコードのそれぞれは、項目「ポッド識別情報(ID)」と、項目「ユーザ識別情報(ID)」と、項目「ポッドの位置情報」と、項目「スロット使用状況」と、項目「指定された用途」と、項目「運用開始日」と、項目「センシングデータ」とを含む。
【0117】
項目「ポッド識別情報(ID)」は、水処理装置30それぞれを識別するための情報である。
【0118】
項目「ユーザ識別情報(ID)」は、水処理装置30を利用するユーザそれぞれを識別するための情報である。
【0119】
項目「ポッドの位置情報」は、水処理装置30を設置する位置(例えば、緯度及び経度により特定される情報、または住所により特定される情報)を示す。例えば、水処理装置30の位置情報センサ350が取得した情報、または、ユーザが端末装置10により取得した位置情報を、水処理装置30を設置する位置としてもよい。
【0120】
項目「スロット使用状況」は、
図4に示すように、水処理装置30が有する複数の設置機構(複数のスロット)が、水処理モジュール40により使用されている状況を示す。項目「スロット使用状況」は、複数の設置機構それぞれの使用状況(各スロットの使用状況)の情報を含むこととしてもよい。項目「スロット使用状況」は、例えば、複数の設置機構それぞれを特定する情報と、当該設置機構に設置されている水処理モジュール40の種類を識別する情報(モジュールID)と、水処理装置30に備わる設置機構の数の情報とを保持することとしてもよい。項目「スロット使用状況」は、使用していない設置機構(空きスロット)の情報を含むこととしてもよい。
【0121】
項目「指定された用途」は、水処理装置30において、ユーザが指定した用途と、当該用途を実現するための各スロットの使用状況とを示す。例えば、図示する例では、水処理装置30が有する複数の設置機構(各スロット)のうち、用途「食洗」(つまり、用途として、水を、食事後の洗浄に使用する)の機能を発揮させるために、4つの設置機構(スロット「SL01」、「SL02」、「SL03」、「SL04」)を使用していることを示す。
【0122】
項目「運用開始日」は、水処理装置30による水処理機能の提供を開始したタイミングを示す。項目「運用開始日」は、水処理装置30において、項目「スロット使用状況」に示される水処理モジュール40の組み合わせによる水処理機能の提供を開始したタイミング(日付、日時など)の情報を含むこととしてもよい。
【0123】
項目「センシングデータ」は、水処理装置30に設置される各水処理モジュール40がセンシングしたセンシング結果を示す。項目「センシングデータ」において、各スロットでセンシングされたタイミングを示す情報と、センシング結果のデータとを対応付けて蓄積させることとしてもよい。
【0124】
ユーザ情報データベース283のレコードのそれぞれは、項目「ユーザ識別情報(ID)」と、項目「使用しているポッド識別情報(ID)」と、項目「保持しているモジュール」と、項目「利用中のモジュール」と、項目「スケジュール」とを含む。
【0125】
項目「ユーザ識別情報(ID)」は、水処理装置30を利用するユーザそれぞれを識別するための情報である。
【0126】
項目「使用しているポッド識別情報(ID)」は、ユーザが使用している水処理装置30を識別する情報(ポッドID)を示す。
【0127】
項目「保持しているモジュール」は、水処理装置30に設置することができる水処理モジュール40のうち、ユーザが保持しているモジュールを識別する情報(モジュールID)を示す。つまり、ユーザが水処理装置30に設置可能な水処理モジュール40の候補を示す。例えば、ユーザが水処理モジュール40を入手するための操作(水処理モジュール40を購入する操作等)を行うことにより、サーバ20において、ユーザが保持している水処理モジュール40の情報を更新する。
【0128】
項目「利用中のモジュール」は、ユーザが水処理装置30に設置することで利用している水処理モジュール40を示す。項目「利用中のモジュール」は、サーバ20が、水処理装置30に設置される水処理モジュール40を識別する情報を取得することにより更新することとしてもよい。例えば、ユーザが端末装置10を操作して、水処理装置30に設置される水処理モジュール40を指定することとしてもよい。また、水処理装置30において、水処理モジュール設置機構32に水処理モジュール40を設置することにより、水処理モジュール40に保持される識別情報を水処理装置30が取得できることとしてもよい。
【0129】
項目「スケジュール」は、ユーザのスケジュールの情報を含む。例えば、サーバ20は、カレンダーアプリケーションを提供するサーバ装置から、ユーザのスケジュールの情報を取得する。スケジュールの情報は、例えば、件名と、場所と、日時と、スケジュールの内容の情報等を含む。
【0130】
例えば、サーバ20は、ユーザのスケジュールの情報に基づいて、水処理装置30における水処理の需要を予測することとしてもよい。例えば、スケジュールの情報の件名、場所等の情報に基づいて、ある日時において、水の需要があるか否か、水の需要の量を推測し得る。例えば、スケジュールの情報に、「調理」などの情報が件名、スケジュールの内容等に含まれる場合に、用途「食洗」での水の需要があると推測し得る。
【0131】
また、サーバ20は、ユーザのスケジュールの情報と、水処理装置30におけるセンシング結果(水処理装置データベース282における項目「センシングデータ」)の実績値とを比較して、スケジュールの情報に基づいて水処理の需要の予測結果を出力するための学習済みモデルを作成することができる。サーバ20は、当該学習済みモデルと、項目「スケジュール」に示されるユーザのスケジュールに基づいて、当該スケジュールに示される日時の前後における水処理の需要を推測することができる。
【0132】
<動作>
以下、水処理システム1の各装置の動作を説明する。
【0133】
具体的には、(i)水処理装置30において水処理モジュール40によって水処理を行った実績をサーバ20に蓄積させる処理を説明する。また、水処理装置30に設置する水処理モジュール40の組み合わせをユーザに提示する処理として、(ii)ユーザが指定する用途に応じて水処理モジュール40の組み合わせを提示する処理、(iii)水処理装置30が設置される位置における水処理の需要を予測して水処理モジュール40の組み合わせをユーザに提示する処理、(iv)水処理装置30の水処理の実績に応じて水処理モジュール40の組み合わせをユーザに提示する処理を説明する。また、水処理装置30を移動させることができる場合に、(v)各地の水処理の需要に応じて水処理装置30を移動させることをユーザに促す処理について説明する。
【0134】
図8は、水処理装置30において水処理モジュール40によって水処理を行った実績をサーバ20に蓄積させる処理のフローを示す図である。
【0135】
ステップS801において、水処理装置30(制御部390)は、水処理モジュール設置機構32の各スロットに設置されている水処理モジュール40それぞれを識別することにより、水処理モジュール設置機構32に設置されている水処理モジュール40の組み合わせを特定する。水処理装置30は、特定した水処理モジュール40の組み合わせをサーバ20へ送信する。
【0136】
ステップS853において、サーバ20(制御部203)は、水処理装置30または水処理装置30のユーザの端末装置10から、水処理装置30を識別する情報、ユーザを識別する情報、水処理装置30の位置を示す情報、水処理装置30の各スロットに設置される水処理モジュール40の組み合わせ、水処理モジュール40の用途、当該水処理モジュール40の組み合わせにより水処理装置30が水処理を行うことを開始する運用開始日等の情報を、水処理装置データベース282に記録する。水処理モジュール40の用途について、例えば、ユーザが端末装置10または水処理装置30において水処理装置30の用途を指定する操作を行い、当該指定された用途を、端末装置10または水処理装置30がサーバ20へ送信することとしてもよい。また、運用開始日は、ユーザが指定することとしてもよいし、端末装置10または水処理装置30がサーバ20へ水処理モジュール40の組み合わせを送信したタイミング、または、サーバ20が当該水処理モジュール40の組み合わせを受信したタイミングによりサーバ20が特定することとしてもよい。
【0137】
ステップS805において、水処理装置30は、各種センサ装置により水処理モジュール40の処理についてのセンシング結果を取得して、逐次、サーバ20へセンシング結果を送信する。
【0138】
ステップS855において、サーバ20は、水処理装置30におけるセンシング結果を水処理装置30または端末装置10から受信して、水処理装置データベース282に蓄積させる。
【0139】
図9は、ユーザが指定する水処理装置30の用途に応じて、サーバ20が水処理モジュール40の組み合わせをユーザに提示する処理のフローを示す図である。
【0140】
ステップS931において、端末装置10(制御部190)は、ユーザから、水処理装置30の用途について、1または複数の用途の指定を受け付ける。端末装置10は、指定された用途をサーバ20へ送信する。
【0141】
ステップS953において、サーバ20は、水処理装置30についてユーザから指定された用途に応じて、水処理モジュールデータベース281を参照することにより、必要な水処理モジュール40を特定する。例えば、サーバ20は、ユーザが指定することができる用途と、水処理モジュール40の識別情報とを対応付けた情報を保持することにより、用途に応じた水処理モジュール40を特定する。サーバ20は、端末装置10に対し、水処理モジュール40の組み合わせを応答する。また、サーバ20は、ユーザ情報データベース283を参照することにより、ユーザの用途に応じた水処理モジュール40の組み合わせのうち、ユーザが保持していない水処理モジュール40の情報を応答する。また、サーバ20は、特定した水処理モジュール40の組み合わせに必要なスロットの数を端末装置10へ応答する。
【0142】
ステップS935において、端末装置10は、サーバ20から受信した水処理モジュール40の組み合わせを示す情報を、ディスプレイ132に表示すること等によりユーザに提示する。端末装置10は、水処理モジュール40の組み合わせにおいて、ユーザが保持していない水処理モジュール40がある場合に、ユーザが指定した用途に必要な水処理モジュール40としてユーザに提示する。端末装置10は、水処理モジュール40の組み合わせに必要なスロットの数と、水処理モジュール40のスロットの空き状況とを判定する。例えば、ユーザが指定した用途を実現するうえで必要なスロット数の空きが水処理装置30にない場合、端末装置10は、ユーザにその旨を通知する。
【0143】
図10は、サーバ20が、水処理装置30が設置される位置における水処理の需要を予測して水処理モジュール40の組み合わせをユーザに提示する処理のフローを示す図である。
【0144】
ステップS1053において、サーバ20は、外部環境情報284を参照することにより、水処理装置30が設置される位置における環境の情報(地域の気候条件の情報、地域の水源の情報等)を取得する。サーバ20は、環境の情報に基づいて、30が設置される位置における水処理の需要を予測する。
【0145】
ステップS1055において、サーバ20は、水需要の予測結果に基づいて、当該予測結果に応える水処理モジュール40の組み合わせの候補を特定し、特定した候補をユーザの端末装置10へ送信する。
【0146】
ステップS1035において、端末装置10は、サーバ20から、水処理モジュール40の組み合わせの候補の情報を受信し、受信した水処理モジュール40の組み合わせの候補をユーザに提示する。
【0147】
これにより、ユーザに対し、水需要の予測に応じて、水処理モジュール40の組み合わせを変更するよう促すことができる。
【0148】
図11は、サーバ20が、水処理装置30の水処理の実績に応じて水処理モジュール40の組み合わせをユーザに提示する処理のフローを示す図である。
【0149】
ステップS1153において、サーバ20は、水処理装置データベース282を参照することにより、水処理装置30のセンシング結果に基づいて、ユーザの水処理の用途を判定する。例えば、用途ごとに、想定される水処理の量(水処理モジュール40に流入させる水の量)を規定した情報をサーバ20が保持しており、水処理装置30のセンシング結果と、想定される水処理の量とを比較することで、当該用途の使用頻度を判定する。特定の用途について水処理の使用頻度が規定値よりも低い場合に、ユーザが当該用途で水処理装置30を使用していないと判定することができる。
【0150】
また、特定の用途についての水処理装置30の使用頻度が規定値よりも大きい場合に、ユーザが当該用途で水処理装置30を使用する機会が比較的多いと判定することができる。
【0151】
また、ユーザが指定した用途のうち、使用頻度が比較的多い用途がある場合に、当該用途に関連する用途についてもユーザが使用していると推定することもできる。例えば、用途「食洗」について使用するとユーザが指定して、水処理モジュール40がフィルタ等により水の浄化を行う場合に、用途「食洗」として想定される水処理の量よりも、実際に水処理モジュール40で水処理を行った量が大きい場合があるとする。この場合に、サーバ20は、用途「食洗」以外の用途についても水処理モジュール40が利用されていると推定し得る。
【0152】
ステップS1155において、サーバ20は、水処理モジュール40のセンシング結果に基づいて用途を判定した結果に基づいて、ユーザに提示する水処理モジュール40の組み合わせを特定し、特定した水処理モジュール40の組み合わせを端末装置10へ送信する。
【0153】
ステップS1135において、端末装置10は、サーバ20から受信した水処理モジュール40の組み合わせの候補をユーザに提示する。
【0154】
以上により、水処理装置30における水処理の実績に基づいて、ユーザに対し、水処理モジュール40の組み合わせを変更するよう促すことができる。
【0155】
図12は、各地の水処理の需要に応じて水処理装置30を移動させることをユーザに促す処理のフローを示す図である。
【0156】
ステップS1353において、サーバ20は、水処理装置データベース282、外部環境情報284を参照することにより、各地に設置される水処理装置30のセンシング結果、各地の環境の情報に基づいて、各地における水処理の需要を予測する。例えば、サーバ20は、ステップS1053、S1153において説明した処理を行うことにより、各地の水処理の需要、および、当該需要に応じるために必要な水処理装置30の需要(水処理装置30の数など)を予測する。
【0157】
ステップS1355において、サーバ20は、水処理装置データベース282を参照することにより、各地に水処理装置30が配置されている状況を取得する。サーバ20は、ステップS1353で予測した各地の水処理の需要の予測を満たすことができるよう、各地の水処理装置30の移動先を決定する。例えば、各地の水処理の需要の予測に対して、水処理装置30の数が少ない第1のエリアがある場合に、予測に対して水処理装置30の数に余剰がある複数のエリアのうち、第1のエリアまでの距離、移動時間、水処理装置30の移動に必要なエネルギー量に基づいて第2のエリアを特定する。
【0158】
例えば、当該複数のエリアのうち、第1のエリアまでの経路(距離、道路の混雑状況など)に基づいて、水処理装置30を移動させる移動時間が短い第2のエリアを特定する。例えば、災害発生時など、水需要に対して水道水等からの供給量の低下が想定される場合、いち早く水需要に応じて水処理装置30による水処理機能を提供する(排水を再利用できるようにする)ため、移動時間が短いエリアから水処理装置30を移動させることとしてもよい。
【0159】
また、季節の変化などにより各地の水処理の需要が変動すると想定される場合に、水処理装置30を移動させるのに必要なエネルギー量が小さくなるよう(輸送に必要なエネルギー量が小さくなるよう)、移動させる対象の水処理装置30を特定することとしてもよい。
【0160】
ステップS1357において、サーバ20は、各水処理装置30のユーザへ、水処理装置30の移動先の情報を通知する。
【0161】
ステップS1335において、端末装置10は、水処理装置30の移動先をユーザに提示する。
【0162】
なお、水処理装置30は、必ずしも利用者となるユーザの情報と関連付ける必要はない。例えば、公共の設備、公共性の高い場所(公園など)などに水処理装置30を設置して、ユーザの情報を関連付けないこととしてもよいし、管理者の情報を関連付けることとしてもよい。水処理装置30が、通信による遠隔制御により、または、水処理装置30が地図情報等に基づいて自動走行することにより、第1のエリアから第2のエリアへと自走させることとしてもよい。
【0163】
<画面例>
ユーザに情報を通知する局面等における画面例を説明する。上記のように、ユーザに対し端末装置10または水処理装置30が情報を提示するが、以下の画面例の説明では、ユーザの端末装置10により情報を提示する例を説明する。
【0164】
図13は、端末装置10における画面例を示す図である。
【0165】
図13(A)、
図13(B)、
図13(C)は、ユーザに対し、水処理装置30の用途に応じた水処理モジュール40の組み合わせを提示する局面の画面例である。
【0166】
図13(A)は、ステップS931、S935の処理に対応する。
図13(A)に示すように、端末装置10は、ディスプレイ132に、位置表示部132Aと、用途表示部132Bと、モジュール情報表示部132Gと、操作ボタン132Cとを表示する。サーバ20は、水処理装置データベース282を参照することにより、端末装置10に表示させる情報を端末装置10へ送信する。
【0167】
位置表示部132Aは、水処理装置30が設置される位置をユーザに提示するための領域である。
【0168】
用途表示部132Bは、水処理装置30に設定される用途(例えば、ユーザが指定した用途)をユーザに提示するための領域である。
【0169】
モジュール情報表示部132Gは、水処理装置30に設置する水処理モジュール40の組み合わせをユーザに提示するための領域である。モジュール情報表示部132Gに示すように、端末装置10は、用途「シャワー」の機能を水処理装置30に発揮させるために必要なモジュールの組み合わせ、および、ユーザが所有していない水処理モジュール40(ユーザが用途に応じた機能の提供を水処理装置30から受けるために必要な水処理モジュール40)を表示する。
【0170】
操作ボタン132Cは、ユーザに、水処理モジュール40を水処理装置30に設置する方法を案内するための情報を表示するための領域である。例えば、端末装置10は、操作ボタン132Cを指定するユーザの操作に応答して、モジュール情報表示部132Gに表示される各水処理モジュール40を水処理装置30に設置するスロットの位置等を表示する。
【0171】
図13(B)は、ステップS1035の処理に対応する。
図13(B)に示すように、端末装置10は、モジュール情報表示部132Gに示すように、各地の水需要の予測結果に応じて、水処理装置30が設置される位置における水需要の予測結果と、当該予測結果により水需要に適合し得る水処理モジュール40の組み合わせとを表示する。例えば、サーバ20は、水の需要に対して供給量の不足が予測される場合に、当該不足を解消できるよう水処理モジュール40の組み合わせを端末装置10に表示させる。
【0172】
図13(C)は、ステップS1135の処理に対応する。
図13(C)に示すように、端末装置10は、モジュール情報表示部132Gに示すように、ユーザが水処理装置30を利用した履歴に基づいて、ユーザの用途を推定した結果を表示する。モジュール情報表示部132Gにおいて、端末装置10は、推定したユーザの用途に対応する水処理モジュール40の組み合わせを表示する。
【0173】
端末装置10は、当該画面(ユーザが所有していない水処理モジュール40を表示する画面)において、当該ユーザが所有していない水処理モジュール40を、ユーザが購入する等により利用できるようにするための画面(または当該画面に遷移するボタン)を表示してもよい。
【0174】
図13(D)は、各地の水の需要に応じて水処理装置30を移動させる案内をユーザに提示する局面を示す。
【0175】
図13(D)は、ステップS1335の処理に対応する。
図13(D)に示すように、端末装置10は、ディスプレイ132に、案内表示部132Jと、ルート表示部132Kとを表示する。
【0176】
なお、水処理装置30をユーザの所有物とせず、各地に設置する水処理装置30を、水処理の需要の予測結果に応じて、自動走行または輸送により移動させることとしてもよい。
【0177】
または、
図13(D)は、水処理装置30を管理する管理者に提示する画面であるとしてもよい。
【0178】
案内表示部132Jは、各地の水処理の需要の予測結果に応じて、水処理装置30を移動させる場合に、移動先を表示するための領域である。案内表示部132Jにおいて、水処理装置30を移動させるのに要する時間、水処理装置30を移動させるべき時期についての情報を表示してもよい。
【0179】
ルート表示部132Kは、水処理装置30を現在値から移動先へと移動させる方法、移動ルートをユーザに閲覧させるための領域である。例えば、ルート表示部132Kへのユーザの操作に応答して、移動させる方法等を表示させる画面に遷移してもよいし、ルート表示部132Kに、移動ルート等の情報を表示させることとしてもよい。
【0180】
以上のように、水処理システム1は、各地に設置した水処理装置30において、用途に応じて水処理モジュール40を組み替えられるよう構成されており、大規模な水処理設備のようなインフラコストを要することなく、多種多様な水の需要に応えることができる。
【0181】
<実施の形態2>
別の実施形態にかかる水処理システムについて説明する。なお、実施の形態2の説明において「水処理装置」という記載は、実施の形態1で説明した「水処理装置30」を含み、環境に対して供給される水、または、使用された水に対してフィルタにより異物を除去する等の水処理を行う装置をいう。つまり、「水処理装置」には、水処理装置30以外の、水処理を行う装置が含まれる。また、実施の形態2の説明において「水利用設備」とは、利用者が水を利用する局面に対応して設置される設備をいう。
【0182】
実施の形態2の説明では、家屋、集合住宅、移動体(キャンピングカー、飛行体など)など、各環境で様々な水利用設備および水処理装置(実施の形態1で説明した水処理装置30を含む。つまり、水処理装置30以外の水処理装置も、家屋などに設置される)を利用可能とする場合に、各環境での水の需要、水の利用状況を予測するための学習済みモデルを作成する方法を説明する。水が使用される環境としては、実施の形態1で説明したように、屋外の土地5、屋内を有する建物6、移動体7などがある。
【0183】
また、実施の形態2では、作成された学習済みモデルを水処理装置またはユーザの端末(実施の形態1で説明した端末装置10を含む)へ配布することにより、ユーザへの情報の通知、水処理装置の保守管理など様々な処理を可能にすることについて説明する。
【0184】
図14は、第2の実施形態にかかる水処理システム2の概要を示す図である。水処理システム2として示すように、サーバ20は、各環境に配置される水処理装置(水処理装置30を含む)、水利用設備、端末装置10等の様々な機器から、水処理に伴い出力されるデータ群である水処理データセットを受信して蓄積する。例えば、サーバ20は、水処理装置(水処理装置30以外の水処理装置も含む)が稼働する環境(60A、60B)に設置される水利用設備(61A、61B、・・・)でセンシングされるセンシングデータ、また、水処理装置(例えば、水処理装置30A、30B)の稼働に伴いセンシングされる各種データなどを、水処理データセットとして受信する。水利用設備とは、利用者が水を利用するための設備であり、例えば、シャワールーム、キッチン、洗濯など、利用者が水を利用する局面に応じて様々な水利用設備が用意されている。例えば、水処理装置30に設置される各種水処理モジュールに、各種センサが備え付けられることとしてもよい。
【0185】
ここで、水処理データセットとしては、例えば、以下を含む。
【0186】
(ア)水処理システム2を構成する各種ハードウェアを駆動させるためのパラメータ
・水利用設備、水処理装置のポンプの駆動に関するパラメータ
(1)ポンプの駆動値(電圧、電流)、積算駆動時間、ポンプのメンテナンス記録
(2)ポンプの耐用年数
【0187】
・タンクの動作制御に関するパラメータ
(1)タンクの容量、材質、耐用年数
(2)タンクの容量の変動
(3)タンクの積算駆動時間、メンテナンス記録
【0188】
・バルブの動作制御に関するパラメータ
(1)バルブの駆動値(電圧、電流)、積算駆動時間、動作時間/タイミング
(2)バルブの耐用年数
【0189】
(イ)センシング結果
・水中をセンシング可能な各種センサのセンシング結果(例えば、以下の各項目がセンサによりセンシング可能)
(1)流量、圧力、水位、温度
(2)pH、電気伝導度、酸化還元電位、アルカリ度、イオン濃度
(3)濁度、色度、粘度、溶存酸素
(4)臭気、アンモニア態窒素・硝酸態窒素・亜硝酸態窒素・全窒素・残留塩素・全リン・全有機炭素・全無機炭素・全トリハロメタン
(5)微生物センサの検知結果、化学的酸素要求量、生物学的酸素要求量、
(6)シアン、水銀、油分、界面活性剤
(7)光学センサの検知結果、TDS(Total Dissolved Solids)センサの検知結果
(8)質量分析結果、微粒子、ゼータ電位、表面電位
【0190】
・ガスセンサのセンシング結果(例えば、以下の各項目がセンサによりセンシング可能)
(1)一酸化炭素、二酸化炭素、アンモニア、メタン、プロパン、プロパンアルコール、VOC(Volatile Organic Compounds)、有機溶剤、トリメチルアミン、メチルメルカプタン、硫化水素、硫化メチル、二硫化メチル、酸素、窒素、塩素、可燃性ガス
【0191】
・画像データ
(1)生物処理槽の監視画像データ
(2)タンクの監視画像データ
(3)フィルタの監視画像データ
(4)配管の監視画像データ
【0192】
・水質データ
(1)水道水質基準の水質基準項目(51項目、厚生労働省)のデータ
(2)下水処理のデータ
【0193】
(ウ)その他の情報
・環境の情報
(1)大気圧、温度、湿度
(2)環境の位置を示す情報
【0194】
・利用者のデータ
(1)利用者の属性(性別、国籍、居住地)
(2)利用者の利用態様(洗浄用途、飲料用途)
【0195】
サーバ20は、水処理装置が稼働する環境(60A、60B)から収集した水処理データセットに基づいて、学習済みモデルを生成する。例えば、サーバ20は、水処理装置が稼働する環境(60A、60B)のそれぞれでセンシングされることにより蓄積される水処理データセットに基づいて機械学習を行うことにより、学習済みモデルを生成する。サーバ20は、水処理装置が稼働する環境(60A、60B)のそれぞれを特定する情報と関連付けて、学習済みモデルを記憶することとしてもよい。
【0196】
サーバ20は、生成した学習済みモデルを、水処理装置30、端末装置10等のコンピュータへ送信する。サーバ20は、水処理装置が稼働する環境を特定する情報に基づいて、当該環境でセンシングすることにより得られた水処理データセットに基づく学習済みモデルを、当該環境を特定する情報に関連付けられる水処理装置30またはユーザの端末装置10へ送信する。これにより、サーバ20は、水処理装置が稼働する環境(60A、60B)のそれぞれについて、学習済みモデルを、水処理装置30または端末装置10へ配布することができる。
【0197】
ここで、水利用設備、水処理装置は、設置の態様として、一軒家に1または複数設置されることもあれば、集合住宅に設置されることもある。また、キャンプ場、旅先、一時的に滞在する場所等に、水利用設備、水処理装置が設置されることもある。この他に、レストラン等の商業設備において、水利用設備、水処理装置が設置されることもある。水利用設備は、利用者が水を利用する局面に対応して設置されており、例えば以下のような局面があり得る。
【0198】
利用者が水を利用する局面として、(ア)利用者が体洗浄用機器を使用することがある。体洗浄用機器が配置される場所としては、シャワールーム、バスルーム、手洗い場、足洗い場、動物の体の洗浄場などがある。
【0199】
利用者が水を利用する局面として、(イ)利用者が衣服洗浄用器具を使用することがある。衣服洗浄用器具としては、洗濯機等がある。
【0200】
利用者が水を利用する局面として、(ウ)利用者が食材および食器の洗浄機器を使用することがあり、例えばキッチンで当該洗浄機器を使用する。
【0201】
利用者が水を利用する局面として、(エ)利用者が給水機器を使用することがある。例えば、利用者は、飲料水または料理用水を得るための浄水器を使用する。
【0202】
これら水利用設備は、水を供給および排水するための配管、蛇口などを有しており、水の使用量などが記録される。また、水利用設備は、自然で採取される採取水(川、沼、湖、海水、井戸水、雨水)を使用するものであるとしてもよく、水処理装置で処理された処理水を利用するものであるとしてもよい。
【0203】
水処理装置は、フィルタを備えることにより、所定の大きさ以上の異物、所定の長さ以上の異物を除去することができる。例えば、水処理装置は、ゴミ、石、土、砂、髪の毛、垢、排泄物、食物等を、フィルタにより除去する。
【0204】
水処理装置は、逆浸透膜を備えることにより、金属分子、農薬分子を除去することができる。
【0205】
これら水処理装置(水処理装置30を含む)は、コンピュータ制御により動作することで、水処理装置で処理させる水の流量と、水に対して処理する内容(どのフィルタを通過させるか)とを制御することができる。
【0206】
例えば、水処理装置のバルブの動作をコンピュータにより制御することにより、処理対象の水に対し、水処理装置が備えるどのフィルタを通すかを制御することができる。例えば、バルブの制御により、処理対象の水を、1つのフィルタを通過させるようにすることもでき、複数のフィルタを通過させるようにすることもでき、いずれのフィルタも通過させないようにすることもできる。
【0207】
例えば、水処理装置のポンプの動作をコンピュータにより制御することにより、ポンプにより送り出される水の量、水の圧力を制御することができる。
【0208】
また、水処理設備、水処理装置は、各種センサを有することにより、水の圧力変化、水量をセンシングすることができる。例えば、センサとして、圧力センサ、流量センサ、電気伝導度センサ、臭いセンサ等がある。水処理設備または水処理装置に用いられる配管に圧力センサを設けることにより、配管中の水の圧力をセンシングすることができる。また、水処理装置によって処理された後の処理後水を流す配管等において、流量センサ、臭いセンサを設けることにより、水処理装置で処理された水量、および、臭いの強度をセンシングすることができる。例えば、電気伝導度センサにより、水処理装置で処理される前の処理前水の電気伝導度をセンシングすることができる。
【0209】
このようなセンサは、例えば、配管、蛇口等に設置される。
【0210】
<データ構造>
図15は、実施の形態2における外部環境情報284のデータ構造を示す図である。
【0211】
図15に示すように、外部環境情報284のレコードのそれぞれは、項目「環境識別情報(ID)」と、項目「環境における水の需要に影響するパラメータ」と、項目「水処理設備のセンシングデータ」等の各項目の情報を含む。
【0212】
項目「環境識別情報(ID)」は、水処理装置が稼働する環境それぞれを識別するための情報である。水処理装置が稼働する環境とは、例えば、1または複数の世帯が入居する住宅、事業所として使用される建物、複数の住居または事業所が集積する施設等をいう。項目「環境識別情報(ID)」は、水処理装置が稼働する環境の位置の情報を含むこととしてもよい。
【0213】
項目「環境における水の需要に影響するパラメータ」は、環境における水の供給量、水の需要量にかかわるパラメータである。
【0214】
例えば、水の供給量、水の需要量にかかわるパラメータについて、環境に基づく要因としては、水を使用する場所、位置、水を使用する状況、温度、湿度、振動、気圧等の要因がある。また、当該パラメータについて、使用態様に基づく要因としては、水を使用する方法、用途等がある。また、当該パラメータについて、時間的な要因としては、利用者が水を使用する頻度、1回の利用について水を使用する時間等がある。具体的には、以下を含むこととしてもよい。
【0215】
(i)需要者が水を使用する動機付けに影響を及ぼすパラメータとして、例えば、気候条件のパラメータを含む。気候条件のパラメータには、水処理装置が設置される環境(位置)における天候、気温、湿度、風速等が含まれる。
【0216】
(ii)水の需要量に影響を及ぼすパラメータとして、例えば、環境で水を利用する利用者の情報を含む。例えば、水の需要量に影響を与えるパラメータとして、環境において水を利用する利用者の数の情報を含み、人が単位時間に流入する人数、流出する人数の情報を含む。また、水の需要量に影響を及ぼすパラメータとして、住宅などにおいて、人が滞在する時間帯の情報を含むこととしてもよい。
【0217】
(iii)環境に水が供給される供給量に関するパラメータとして、例えば、環境で利用できる水源の情報を含む。例えば、水源の情報として、河川の流量、地下水の量、水質等の情報を含むこととしてもよい。
【0218】
項目「水利用設備のセンシングデータ」は、水処理装置が稼働する環境(60A、60B)においてセンシング可能なデータを含む。例えば、環境において各種センサ(ガスセンサ等)が設置される場合、当該センサのセンシング結果を含む。また、環境(60A、60B)に設置される水利用設備(タンクなど)のコンピュータ制御による動作状況の情報を含む。また、水利用設備、水処理装置が有する各種センサによりセンシングされる水質の情報を含む。
【0219】
以上、説明したように、サーバ20は、水処理装置が稼働する環境(60A、60B)で取得される水処理データセットを外部環境情報284等において蓄積し、水処理データセットに基づき機械学習を行うことにより、学習済みモデルを生成することができる。なお、機械学習の方法については、深層学習など様々な手法を用いることができる。
【0220】
図16は、実施の形態2の水処理システム2を構成する各装置の動作を示す図である。なお、水処理装置の例として、実施の形態1で説明した水処理装置30を例示しているが、これに限られない。
【0221】
ステップS1601において、水処理装置30は、水処理装置30の動作を制御するパラメータ(水処理装置30のバルブ制御の駆動値、ポンプ制御の駆動値など)、水処理装置30の各種センサ(水中センサなど)のセンシングデータを、水処理データセットとしてサーバ20へ送信する。
【0222】
ステップS1653において、サーバ20は、各環境における水処理装置30について、水処理装置30から、水処理データセットを受信する。サーバ20は、受信した水処理データセットを、各水処理装置30を特定する情報と関連付けて水処理装置データベース282に蓄積する。
【0223】
ステップS1611において、端末装置10は、各環境において取得されるデータを、水処理データセットとしてサーバ20へ送信する。端末装置10は、例えば、各環境における水の需要に影響するパラメータ、水利用設備のセンシングデータ等をサーバ20へ送信する。
【0224】
ステップS1655において、サーバ20は、各環境において取得されるデータを、端末装置10(または環境にある端末装置10以外のコンピュータ)から取得して、水処理データセットとしてデータベース(外部環境情報284等)に蓄積させる。サーバ20は、水処理装置が稼働する環境を特定する情報(例えば、環境を利用するユーザを識別する情報、水処理装置30の識別情報、水処理装置30が配置される位置情報など)と関連付けて、水処理データセットをデータベースとして蓄積する。
【0225】
ステップS1657において、サーバ20は、各環境で取得される水処理データセットに基づいて、環境それぞれについて学習済みモデルを生成する。サーバ20は、水処理装置30が稼働する環境を特定する情報と関連付けて、各種水処理データセットに基づいて学習済みモデルを生成する。
【0226】
ステップS1659において、サーバ20は、各環境のコンピュータに、学習済みモデルを送信する。サーバ20は、各環境を特定する情報に基づいて、各環境の端末装置10または水処理装置30に、環境それぞれについて生成された学習済みモデルを配布する。
【0227】
ステップS1603において、水処理装置30は、サーバ20から、学習済みモデルを受信する。
【0228】
ステップS1605において、水処理装置30は、学習済みモデルを利用した処理結果をユーザに提示する。
【0229】
ステップS1613において、端末装置10は、学習済みモデルを受信する。
【0230】
ステップS1615において、端末装置10は、学習済みモデルを利用した処理結果をユーザに提示する。
【0231】
上記の実施の形態2の説明では、サーバ20が生成した学習済みモデルを、端末装置10または水処理装置30へ配布し、端末装置10または水処理装置30が、学習済みモデルを受信して、学習済みモデルに基づく処理結果をユーザに提示する(S1605、S1615)例を説明した。
【0232】
この他に、サーバ20において、各環境について生成した学習済みモデルを保持しておき、各環境の端末装置10または水処理装置30からのアクセスに応答して、学習済みモデルに基づく処理を行い、処理結果を端末装置10または水処理装置30へ送信することとしてもよい。つまり、ステップS1605、S1615の処理を、サーバ20が担うこととし、サーバ20が、水処理装置30または端末装置10のアクセスに応答して、学習済みモデルに基づく処理結果を、水処理装置30または端末装置10へ送信することとしてもよい。
【0233】
以上のように水処理システム2の各装置が処理を行うことにより、例えば、各家庭を単位として、学習済みモデルを配布することができる。これにより、水の需要予測に基づく処理を行って、処理結果をユーザに提示することができる。
【0234】
例えば、学習済みモデルを利用した処理結果をユーザに提示することとして(S1605、S1615)、以下を含む。
【0235】
(1)水の供給に関する処理
例えば、環境に対して供給される水の量が変動し得る場合に、各環境における水の使用量、および、水処理装置で水処理を行う方法を調整することを促すことができる。水源の水を複数人で共有する場合に、各環境(例えば、各家庭)で水を使用する時間、水を使用する量が異なることがあり得る。気象条件の変動、人の流入および流出量(観光地の場合に、空港を利用する利用者数、ホテルの予約数などに基づき推定される)に応じて水の需要を予測しつつ、各環境について生成された学習済みモデルに基づいて、水源からの水の供給量では不足しないように、各環境の水処理装置において処理した水を再利用する等の制御を行うことができる。
【0236】
(2)水処理に必要な機能を推定
例えば、端末装置10は、学習済みモデルを利用して、ポンプ駆動値の情報と、他の情報(例えば、気象情報など)とに基づいて、当該他の情報が変動した際の水処理装置のポンプの動作状況を予測する。例えば、端末装置10は、学習済みモデルを利用することにより、温度、湿度、風速等の気象情報の予報を取得して、予報に示される気象情報の場合の水の需要を、ポンプの動作状況の予測に基づき推定する。端末装置10は、学習済みモデルを利用することにより、水の需要を推定して、水の需要に応じて、水処理装置30に要求される機能(例えば、水処理装置30に搭載すべき水処理モジュール40の組み合わせ。予測される水処理の量に対応できるフィルタ、ポンプ性能、配管の仕様など)を推定することができる。
【0237】
また、ポンプにより、水処理装置に備わるフィルタを通過させる水処理の流量、水圧が制御されるため、端末装置10は、学習済みモデルを利用することにより、電気料金の予測結果をユーザに提示すること、フィルタの交換時期を提示すること、フィルタを交換するためにフィルタの在庫状況に基づいて発注する処理を行うこと等ができる。
【0238】
(3)処理後の水の取り扱い方法
端末装置10は、学習済みモデルを利用することにより、水処理装置により処理された処理後の水の性質を予測し、予測結果に応じてユーザに通知する内容を決定する。例えば、端末装置10は、水処理装置に流入させる処理前水についてのセンシング結果が変動した際の、水処理装置により処理された処理後水の各種センサのセンシング結果を予測することにより、水処理装置で処理した後の水の性質を予測する。例えば、処理後の水を、そのまま河川や土壌などに流入させてよいかどうかを、水の性質(汚染物質の除去の程度など)に基づいて、端末装置10等が判定することができる。
【0239】
<水処理装置30の構成の他の例>
以上の実施の形態1と実施の形態2で説明した水処理装置30は、
図4で説明したように、所定の形状を有する水処理モジュール40を、水処理モジュール設置機構32(設置機構32A、32B、・・・)に挿入する(はめこむ)ものとして説明した。
【0240】
この他に、複数の水処理モジュール40を互いに接続する方法、また、水処理モジュール40に対して処理対象の水を供給するための機構と接続する方法、および、処理後の水を排出するための排出機構と水処理モジュール40とを接続する方法としては、例えば以下のようにしてもよい。
【0241】
図17は、水処理装置30の構成の他の例を示す図である。図示するように、複数の水処理モジュール40を並べて、配管42により接続してもよい。また、水処理モジュール40の外観の所定箇所に他の水処理モジュール40と接続するための接続機構43を有することにより、複数の水処理モジュール40を並べる、積み上げる等により互いに接続できることとしてもよい。
【0242】
図17(A)は、複数の水処理モジュール40を水平に並べて、配管42により接続する例を示す。例えば、床面に水処理モジュール40を並べて、水処理モジュール40に配管42を接続する。図示するように、水処理モジュール40A-01と、水処理モジュール40A-02とが配管42により接続されている。また、水処理モジュール40A-02と水処理モジュール40A-03とが配管42により接続されている。
【0243】
なお、配管42は、処理対象の水を分岐させて流す構造を有してバルブにより分岐方向を制御することとしてもよい。
【0244】
図17(B)は、水処理モジュール40に備わる機構により、水処理モジュール40同士を接続する例を示す。例えば、水処理モジュール40の側面など任意の面に、他の水処理モジュール40と接続するための機構を有している。例えば、水処理モジュール40は、任意の箇所に凹部と凸部とを有しており、凹凸をはめこむことにより水処理モジュール40同士を組み合わせることができることとしてもよい。
【0245】
図17(B)の例では、複数の水処理モジュール40を積み上げることにより、各水処理モジュール40を接続している。
図17(B)の例では、水処理モジュール40A-01と水処理モジュール40A-02とを、接続機構43(点線で示す)により互いに接続している。同様に、水処理モジュール40A-02と水処理モジュール40A-03、また、水処理モジュール40A-03と水処理モジュール40A-04とを、接続機構43により接続している。
【0246】
以上のように、
図4に示す水処理モジュール設置機構32に水処理モジュール40を挿入する場合も、
図17に示すように複数の水処理モジュール40同士をつなげる場合も、水処理モジュール設置機構32、配管42、接続機構43、水処理モジュール40に備わるフィルタ等を通過する水に対し、各種センサ装置によりセンシングすることができる。サーバ20は、水処理装置30のセンシング結果に基づいて、水処理装置データベース282を更新する。
【0247】
<付記>
以上の各実施形態で説明した事項を以下に付記する。
【0248】
(付記1) 水処理装置(30)であって、水処理装置を移動させるための移動機構(370)と、水の入力を受け付ける受付部(36)と、水処理用のモジュールを設置可能な、1または複数の設置機構(32)とを備え、モジュールは、モジュールの機能に応じて、複数の種類のモジュールが選択可能に用意されており(281)、1または複数の設置機構の少なくとも一部にモジュールを設置することにより、受付部で受け付けた水に対し、モジュールの機能に応じた水処理機能を提供するように構成されている。
【0249】
(付記2) 複数の種類のモジュールは、少なくとも、フィルターにより水の浄化を行う機能を有するモジュールと、電力を供給する機能を有するモジュールと、水を空気中から生成する機能を有するモジュールと、水を加温または冷却する機能を有するモジュールとのいずれかを含む(281)、(付記1)に記載の水処理装置。
【0250】
(付記3) 水処理装置は、さらに、受付部で受け付ける水、または、設置機構に設置されるモジュールで行われる水処理状況を測定するセンシング部(32)と、センシング部のセンシング結果を外部のコンピュータ装置へ送信する送信部(390、311、321、312、322)とを備える、(付記2)に記載の水処理装置。
【0251】
(付記4) 水処理装置は、設置機構に設置されたモジュールにより水処理された処理水を排出する排出部(37)を備え、受付部は、当該排出された処理水がユーザによって使用された後の排水を、入力として受け付ける、(付記1)または(付記3)に記載の水処理装置。
【0252】
(付記5) 制御部(203、29)と、記憶部(202、25、26)とを備えるコンピュータ装置(20)であって、ユーザが使用する水処理装置(30)は、水の入力を受け付ける受付部(36)と、水に対する水処理を行う処理部(32)と、水処理の状況の測定結果をコンピュータ装置へ送信する送信部(392、311、321、312、322)とを備え、コンピュータ装置の制御部は、水処理装置から受信する情報に基づいて、水処理装置が配置される位置における水処理の需要を予測する(2044、S1353)、コンピュータ装置。
【0253】
(付記6) 各位置における水処理の需要の予測結果に基づいて、各位置にある水処理装置の移動先を決定する(S1355)、(付記5)に記載のコンピュータ装置。
【0254】
(付記7) 各位置にある水処理装置の移動先の決定結果に基づいて、各位置にある水処理装置を、決定された各移動先へと移動させるための信号を送信する(S1357)、(付記6)に記載のコンピュータ装置。
【0255】
(付記8) 水処理装置は、処理部として、水処理用のモジュールを設置可能な、1または複数の設置機構(32A、32B、・・・)とを備え、モジュールは、モジュールの機能に応じて、複数の種類のモジュールが選択可能に用意されており(281、40A、40B、・・・)、1または複数の設置機構の少なくとも一部にモジュールを設置することにより、受付部で受け付けた水に対し、モジュールの機能に応じた水処理機能を提供するように構成されており、受付部で受け付ける水、または、設置機構に設置されるモジュールで行われる水処理状況を測定するセンシング部(32)と、センシング部のセンシング結果をコンピュータ装置へ送信する送信部(392)とを備え、コンピュータ装置の制御部は、各位置における水処理装置のセンシング結果に基づいて(282)、各位置における水処理の需要を予測する、(付記5)から(付記7)のいずれかに記載のコンピュータ装置。
【符号の説明】
【0256】
1 水処理システム、10 端末装置、20 サーバ、30 水処理装置、32 水処理モジュール設置機構、40 水処理モジュール。