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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-23
(45)【発行日】2024-01-31
(54)【発明の名称】カーテン材の自動開閉装置
(51)【国際特許分類】
   A01G 9/24 20060101AFI20240124BHJP
【FI】
A01G9/24 F
A01G9/24 K
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019222159
(22)【出願日】2019-12-09
(65)【公開番号】P2021090369
(43)【公開日】2021-06-17
【審査請求日】2022-12-07
(73)【特許権者】
【識別番号】319012646
【氏名又は名称】株式会社吉武製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100181928
【弁理士】
【氏名又は名称】日比谷 洋平
(74)【代理人】
【識別番号】100075948
【弁理士】
【氏名又は名称】日比谷 征彦
(72)【発明者】
【氏名】吉武 一男
(72)【発明者】
【氏名】吉武 正人
(72)【発明者】
【氏名】松井 和雄
【審査官】坂田 誠
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-274972(JP,A)
【文献】特開2016-214223(JP,A)
【文献】特開2001-128563(JP,A)
【文献】特開2013-87522(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G 9/24
A01G 9/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カーテン材をモータによって巻き取り及び送り出しする巻取軸に連結する回転伝達部と、該回転伝達部に噛合して前記カーテン材の停止位置を設定する停止位置調整部と、該停止位置調整部により設定された停止位置で前記モータをオフにするスイッチ部とを有するカーテン材の自動開閉装置であって、
前記停止位置調整部は、前記回転伝達部側から順次に配置される第1の歯車、第2の歯車、位置決め部から構成され、
前記第1の歯車は、片面に突出された前記回転伝達部と噛合する円環状歯車と、他面に設けた内歯車とを備え、
前記第2の歯車は略円筒状で、前記第1の歯車と同軸とされ、中心部に孔部を有し、外周面上にスイッチ用突起が設けられ、前記第1の歯車側の面の中心から偏心した位置に突設された副軸と、該副軸に回転自在に軸支されて前記第1の歯車の内歯車と噛合する遊星歯車と、他側の円筒状の内側面に形成された粗面とを備え、
前記位置決め部は、前記第2の歯車の側に設けた外径を拡開可能な拡開板と、該拡開板の中心に設けた前記第2の歯車の孔部内を通り抜ける小歯車と、前記第2の歯車とは反対側に設け円筒部と、該円筒部内への押し込みにより前記拡開板の外径を拡開する押込片とを備え、
前記拡開板は前記第2の歯車の前記円筒状の内側面に回転自在に収容され、外径を拡開すると前記粗面を押圧して回転不能となり、前記小歯車は前記第2の歯車の孔部内を通り抜けて前記遊星歯車と噛合されており、
前記回転伝達部が不動の状態であって、前記押込片が前記円筒部内に押し込まれていない場合に、前記円筒部を回転させることに応じて、前記小歯車及び前記遊星歯車を回転させ、前記第2の歯車の前記スイッチ用突起を回転させることで前記停止位置の調整を行い、前記押込片を前記円筒部内に押し込むことで前記停止位置を設定し、
前記押込片が前記円筒部内に押し込まれている状態で、前記モータの起動によって前記回転伝達部を介して回転する前記第2の歯車のスイッチ用突起が前記スイッチ部を押し込むことで、前記モータがオフの状態となることを特徴とするカーテン材の自動開閉装置。
【請求項2】
前記押込片は先端に突起部を突出し、前記拡開板は中心部から周囲にかけて切欠部が形成されており、
前記押込片が前記円筒部内に押し込まれている場合には、前記押込片の前記突起部が前記拡開板の前記切欠部を押し開き、前記拡開板の外径が拡開することで、前記拡開板は前記第2の歯車の他側の内側面に形成された前記粗面を押圧して回転不能となることで、前記位置決め部及び前記第2の歯車が一体化することを特徴とする請求項に記載のカーテン材の自動開閉装置。
【請求項3】
前記モータを起動して、前記カーテン材を設定すべき開放位置まで巻き取り又は送り出してから前記モータを停止させ、前記押込片を前記円筒部から引き出して前記円筒部内に押し込まれていない状態にして、前記第2の歯車の前記スイッチ用突起が前記スイッチ部を押し込むまで、前記位置決め部を回転させ、前記第2の歯車の前記スイッチ用突起が前記スイッチ部を押し込む位置で、前記押込片を前記円筒部内に押し込むことで前記停止位置を設定することを特徴とする請求項1又は2に記載のカーテン材の自動開閉装置。
【請求項4】
前記停止位置調整部は、前記カーテン材の開放位置を設定する第1の停止位置調整部と、前記カーテン材の閉止位置を設定する第2の停止位置調整部とから成ることを特徴とする請求項1~3の何れか1項に記載のカーテン材の自動開閉装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば温室等に使用されるカーテン材の開閉を制御するカーテン材の自動開閉装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば温室等のカーテン材の開閉を自動で行うために、カーテン材の巻取軸をモータによって回転させて、自動でカーテン材を巻き取り/送り出しする自動開閉装置が使用されている。
【0003】
特許文献1には、温室用シートを巻き取り、巻き戻しをして開閉する巻取軸に連結される連結シャフトと、この連結シャフトを回転させる駆動部と、温室用シートの巻き取り、巻き戻しを制御する制御部とを備える温室用シートの開閉装置が開示されている。
【0004】
制御部が収容される制御部用ケーシングには、開閉される温室用シートの開閉幅を任意に設定したり、温室用シートが巻き取り限度位置又は巻き戻し限度位置に至ると、自動的にモータの回転を停止するように制御するために必要な歯車、リミットスイッチ等や、任意の条件で温室用シートの開閉装置を制御するための電子回路等の制御部が収容されている。
【0005】
巻き取り限度位置で第1のリミットスイッチをスイッチングして、温室用シートの巻き取りを停止し所定量を開放させたり、巻き戻し限度位置で第2のリミットスイッチをスイッチングして、温室用シートの巻き戻しを停止し所定量を閉じたりさせる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2002-305990号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このような従来の温室用シートの開閉装置では、温室用シートが開閉動作後に所定の巻き取り限度位置及び巻き戻し限度位置で停止するように、予めリミットスイッチがオフする位置を設定してから、制御部に歯車、リミットスイッチ、電子回路等を収容する。
【0008】
近年では、例えば温室等のように、カーテン材で仕切られた内部空間の環境を、内外の環境条件の変動に対して所定範囲内に維持するために、カーテン材の開閉量を適宜に変更することが要求されている。しかし、従来の温室用シートの開閉装置では、例えば温室周辺の日々の天候の変化に対応して、温室用シートの開閉量を変更するには、制御部に収容されている歯車、リミットスイッチ、電子回路等を外部へ取り出して、リミットスイッチがスイッチングする位置を設定変更しなければならない。
【0009】
つまり、第1のリミットスイッチが巻き取り限度位置で、第2のリミットスイッチが巻き戻し限度位置で、それぞれスイッチングする現行の設定から、検知された天候変化に対応する他の位置でスイッチングして、温室用シートが停止するように設定変更してから、制御部に歯車、リミットスイッチ、電子回路等を再び収容しなければならない。このように、従来のカーテン材や温室用シートの開閉装置では、開閉位置や開閉量を設定変更するために、多大な作業時間を要し、適宜に設定変更することが困難であるという問題がある。
【0010】
本発明の目的は、上述の課題を解消し、カーテン材の開閉に伴う停止位置を容易に設定可能なカーテン材の自動開閉装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するための本発明に係るカーテン材の自動開閉装置は、カーテン材をモータによって巻き取り及び送り出しする巻取軸に連結する回転伝達部と、該回転伝達部に噛合して前記カーテン材の停止位置を設定する停止位置調整部と、該停止位置調整部により設定された停止位置で前記モータをオフにするスイッチ部とを有するカーテン材の自動開閉装置であって、前記停止位置調整部は、前記回転伝達部側から順次に配置される第1の歯車、第2の歯車、位置決め部から構成され、前記第1の歯車は、片面に突出された前記回転伝達部と噛合する円環状歯車と、他面に設けた内歯車とを備え、前記第2の歯車は略円筒状で、前記第1の歯車と同軸とされ、中心部に孔部を有し、外周面上にスイッチ用突起が設けられ、前記第1の歯車側の面の中心から偏心した位置に突設された副軸と、該副軸に回転自在に軸支されて前記第1の歯車の内歯車と噛合する遊星歯車と、他側の円筒状の内側面に形成された粗面とを備え、前記位置決め部は、前記第2の歯車の側に設けた外径を拡開可能な拡開板と、該拡開板の中心に設けた前記第2の歯車の孔部内を通り抜ける小歯車と、前記第2の歯車とは反対側に設け円筒部と、該円筒部内への押し込みにより前記拡開板の外径を拡開する押込片とを備え、
前記拡開板は前記第2の歯車の前記円筒状の内側面に回転自在に収容され、外径を拡開すると前記粗面を押圧して回転不能となり、前記小歯車は前記第2の歯車の孔部内を通り抜けて前記遊星歯車と噛合されており、前記回転伝達部が不動の状態であって、前記押込片が前記円筒部内に押し込まれていない場合に、前記円筒部を回転させることに応じて、前記小歯車及び前記遊星歯車を回転させ、前記第2の歯車の前記スイッチ用突起を回転させることで前記停止位置の調整を行い、前記押込片を前記円筒部内に押し込むことで前記停止位置を設定し、前記押込片が前記円筒部内に押し込まれている状態で、前記モータの起動によって前記回転伝達部を介して回転する前記第2の歯車のスイッチ用突起が前記スイッチ部を押し込むことで、前記モータがオフの状態となることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係るカーテン材の自動開閉装置によれば、カーテン材の停止位置を容易に設定することができ、例えば温室等のように内部環境の維持を必要とする場合であっても、内外の環境条件の変化に対応して、カーテン材の開閉位置を適宜に変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】正面図である。
図2】底面図である。
図3】側面図である。
図4】停止位置調整部の斜視図である。
図5】停止位置調整部の分解斜視図である。
図6】停止位置調整部の動作説明図である。
図7】温室に設置した自動開閉装置の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明を図示の実施例に基づいて詳細に説明する。
図1は正面図、図2は底面図、図3は側面図である。カーテン材の自動開閉装置は、正逆両方向に回転する図示しないモータによって、カーテン材を巻き取り/送り出しする巻取軸に連結して回転する回転伝達部1と、回転伝達部1に噛合してカーテン材の停止位置を設定する停止位置調整部2と、停止位置調整部2により設定された停止位置でモータをオフするスイッチ部3とを有し、これらの回転伝達部1、停止位置調整部2、スイッチ部3はケーシング4内に収納されている。
【0015】
回転伝達部1は、モータの駆動軸に連結しているカーテン材の巻取軸上のウォーム歯車Wに、又は巻取軸から複数の歯車等で構成される減速機構を介した中継軸上のウォーム歯車Wに、噛合する例えばウォームホイール等の連結歯車11と、この連結歯車11の左右方向に同軸で軸支された一対の第1、第2の伝達歯車12a、12bから成る伝達歯車12とを有する。連結歯車11、伝達歯車12は、耐摩耗性や耐衝撃性に優れ、自己潤滑性を有する樹脂、例えばポリアセタール、好ましくはポリオキシメチレン(別名POM又はジュラコン)から成る。
【0016】
連結歯車11、伝達歯車12の回転軸13は金属製であり、ケーシング4内の側壁面に回転自在に取り付けられている。また、巻取軸又は中継軸のウォーム歯車Wは、ケーシング4に設けられている開口部4aを通してケーシング4内に組み込まれている。
【0017】
停止位置調整部2はカーテン材の開放位置を設定するための第1の停止位置調整部2aと、閉止位置を設定するための第2の停止位置調整部2bとから成り、第1、第2の停止位置調整部2a、2bはそれぞれ回転伝達部1の第1、第2の伝達歯車12a、12bに連結されている。また、カーテン材の開放位置又は閉止位置の何れか一方のみを設定し、他方はカーテン材を完全に巻き取り又は送り出した位置に予め設定しておく場合には、伝達歯車12、停止位置調整部2を、それぞれ1個ずつとする構成も可能である。
【0018】
更に、カーテン材を開放位置、閉止位置に加えて、両者の中間位置で停止するように設定可能とする場合には、停止位置の個数と同数の3個以上の伝達歯車12、停止位置調整部2を有する構成とすることもできる。なお、その際にはスイッチ部3の個数も、伝達歯車12、停止位置調整部2の個数と同数となることは云うまでもない。
【0019】
停止位置調整部2、スイッチ部3は、伝達歯車12と同数が設けられるが、何れもその構成は同様であるので、以降では第1、第2の伝達歯車12a、12bと、第1、第2の停止位置調整部2a、2bと、第1、第2のスイッチ部3a、3bとが、それぞれ左右一対に設けられている構成のみについて説明する。
【0020】
図4は第1の停止位置調整部2aの斜視図、図5は分解斜視図であり、第1の停止位置調整部2aは回転伝達部1側から順次に配置される第1の歯車21、第2の歯車22、位置決め部23から構成されている。
【0021】
第1の歯車21には、回転伝達部1側の片面に第1の伝達歯車12aと噛合する円環状歯車21aの歯が突出され、第2の歯車22側の他面に、円筒状の内面に形成した内歯車21bが設けられている。第1の歯車21に固定された中心軸21cは、ケーシング4の後壁面から内方に突設された係止部4bに回転自在に挿入されている。
【0022】
円環状歯車21aは円環の端面で第1の伝達歯車12aと噛合し、第1の伝達歯車12aが回転すると円環状歯車21aが従回転して、第1の歯車21全体が回転するようにされている。また、第1の歯車21の中心軸21cの中心部には、第2の歯車22、位置決め部23を同軸に取り付けるための軸孔21dが形成されている。
【0023】
略円筒状の第2の歯車22は、第1の歯車21の中心軸21cを後述する位置決め部23の取付軸と同軸として使用するために、中心部に孔部22aを有し、外周面上にスイッチ用突起22bが設けられている。第2の歯車22の第1の歯車21側の面には、中心から偏心した位置に副軸22cが突設されており、副軸22cにより遊星歯車22dが回転自在に軸支されている。この遊星歯車22dは第1の歯車21の内歯車21bと噛合されている。第2の歯車22の他側には、円筒状の内側面に粗面22eが形成されている。
【0024】
位置決め部23は、第2の歯車22の側に設けた外径を拡開可能な拡開板23aと、第2の歯車22とは反対側に設けた円筒部23bと、円筒部23b内に挿入自在とされ、円筒部23b内への押し込みにより拡開板23aの外径を拡開する円柱状の押込片23cとを備えている。拡開板23aの第2の歯車22側の中心には小歯車23dが固定され、中心部から周囲にかけて切欠部23eが形成されており、押込片23cの先端には切欠部23eに嵌め込んで押し開くための突起部23fが突出されている。また、円筒部23bの周囲には操作用の滑り止め23gが形成されている。
【0025】
図5においては、切欠部23e、突起部23fは1個ずつ形成されているが、拡開板23a、押込片23cの周方向に等間隔で複数個ずつ設けてもよい。拡開板23aは外径が拡開されていない状態では、第2の歯車22の粗面22eの円筒内に回転自在に収容されている。押込片23cは円筒部23b内を前後方向に摺動可能で、突起部23fを切欠部23eに押し込むと、拡開板23aの外径が周囲に拡開されて、拡開板23aは第2の歯車22の粗面22eに押圧されて回転不能な状態となる。
【0026】
小歯車23dの中心には、位置決め部23と第2の歯車22とを第1の歯車21に同軸に軸支する金属製の取付軸23hが突出されている。取付軸23h、小歯車23dは順次に第2の歯車22の孔部22aを通り抜け、取付軸23hは第1の歯車21の軸孔21dに回転自在に挿入され、小歯車23dは第2の歯車22の遊星歯車22dと噛合されている。つまり、第1の停止位置調整部2aは、位置決め部23の取付軸23hによって、第1の歯車21、第2の歯車22、位置決め部23を同軸に一体化した構造とされている。
【0027】
なお、第1の歯車21、第2の歯車22、位置決め部23を構成する各部材は、金属製である取付軸23hを除いて、回転伝達部1の各部材と同様に、耐摩耗性や耐衝撃性に優れ自己潤滑性を有する樹脂から成る。
【0028】
第1の停止位置調整部2aの第2の歯車22の近傍の上部には、カーテン材を巻き取り/送り出しするモータをオフする第1のスイッチ部3aが配置されている。この第1のスイッチ部3aは、基台31を介してケーシング4内の後壁面に取り付けられており、リミットスイッチ32を備えている。
【0029】
リミットスイッチ32は、下面に設けられたレバー部32aが上方に押し込まれると、オフされる構造となっている。レバー部32aは、第2の歯車22が1回転する間にスイッチ用突起22bに接触して上方に押し込まれ、リミットスイッチ32がオフされるように配置されている。また、リミットスイッチ32のオフ信号の出力線は、図示しないモータの駆動電源に接続されている。
【0030】
なお、第1のスイッチ部3aはリミットスイッチ32に代えて、近接スイッチ等の既存のスイッチング手段を備えるようにしてもよい。また、第2の停止位置調整部2b、第2のスイッチ部3bについては、それぞれ第1の停止位置調整部2a、第1のスイッチ部3aと同様の構成であるので説明を省略する。
【0031】
このように構成されたカーテン材の自動開閉装置によって、カーテン材の開閉制御を行うに際しては、第1、第2の停止位置調整部2a、2bによってカーテン材の開閉位置の設定を行う。例えば、第1の停止位置調整部2aによってカーテン材の開放位置を設定し、第2の停止位置調整部2bによってカーテン材の閉止位置を設定するものとして、以下に説明する。
【0032】
図6は第1、第2の停止位置調整部2a、2bの動作説明図であり、(a)は正面図、(b)は底面図である。第1の停止位置調整部2aを操作して、カーテン材の開放位置を設定する場合には、図示しないカーテン材を巻き取り/送り出しする巻取軸、又は巻取軸から複数の歯車等で構成される減速機構を介して、中継軸に設けられたウォーム歯車Wを連結歯車11に噛合して、カーテン材を巻き取り/送り出しするモータを駆動する。カーテン材を設定すべき開放位置まで巻き取り又は送り出してモータを停止させ、カーテン材の開放状態を維持する。
【0033】
続いて、第1の停止位置調整部2aの位置決め部23において、押込片23cを円筒部23b内から引き出して、押込片23cの突起部23fを拡開板23aの切欠部23eから引き抜く。拡開板23aは拡開状態から元の外径に戻り、第2の歯車22の粗面22e内を回転自在な状態となり、位置決め部23を手動で回転させることが可能となる。
【0034】
取付軸23hを中心として、位置決め部23を滑り止め23gにより手動で回転させると、小歯車23dが回転し、更に順次に噛合されている第2の歯車22の遊星歯車22d、第1の歯車21の内歯車21bを回転させて、第1の歯車21を回転させようとする。このときに、第1の歯車21の円環状歯車21aは、回転伝達部1の伝達歯車12と噛合しているが、モータが停止状態のため、第1の伝達歯車12aはロックされた不動の状態となっているので、結果的に円環状歯車21a、即ち第1の歯車21は回転せず、第2の歯車22が回転する。
【0035】
このようにして、手動で位置決め部23を回転することにより第2の歯車22を回転させて、スイッチ用突起22bが第1のスイッチ部3aにおけるリミットスイッチ32のレバー部32aを上方に押し上げる位置まで更に回転させる。そして、スイッチ用突起22bがレバー部32aを上方に押し上げたタイミングで、位置決め部23の手動での回転を停止し、押込片23cを円筒部23b内に押し込み、突起部23fを拡開板23aの切欠部23eに押し込んで、拡開板23aの外径を拡開させる。拡開板23aは拡開された状態で、第2の歯車22の粗面22eに押圧されて回転不能となる。
【0036】
つまり、位置決め部23は第1の歯車21、第2の歯車22に一体化されて固定され、手動では回転不能となる。モータの駆動により第1の伝達歯車12aが回転する場合にのみ、第1の停止位置調整部2a全体が一体で回転する状態となり、カーテン材の開放位置の設定が完了する。
【0037】
上述の位置決め部23の設定操作をすることによって、モータを駆動してカーテン材を設定した開放位置まで巻き取ると、第1の伝達歯車12aの回転によって第1の歯車21、第2の歯車22,位置決め部23が一体化して回転し、スイッチ用突起22bがリミットスイッチ32のレバー部32aを上方に押し上げて、オフ信号をモータの駆動電源に出力するようになる。モータの駆動電源は停止して、カーテン材の巻き取りは設定した開放位置で停止する。このカーテン材が設定した開放位置まで巻き取られると、リミットスイッチ32がモータの駆動電源をオフするという連携動作は、上述した位置決め部23の設定操作を新たに行い、別の位置を停止位置に設定しない限りは維持される。
【0038】
第2の停止位置調整部2bを操作して、カーテン材の閉止位置を設定する場合には、カーテン材を巻き取り/送り出しするモータを駆動し、カーテン材を設定すべき閉止位置まで巻き取り又は送り出してからモータを停止させて、カーテン材を所望の閉止状態に維持する。それ以降に行う第2の停止位置調整部2bの操作に関しては、開放位置を設定する場合における第1の停止位置調整部2aの操作と同様であるので説明を省略する。
【0039】
なお、第1、第2の停止位置調整部2a、2bによるカーテン材の停止位置の設定は、カーテン材の開放位置、閉止位置に限定されるものではなく、任意の停止位置に設定可能である。
【0040】
上述のように停止位置調整部2を手動操作することで、カーテン材の開閉位置を容易に設定可能であり、例えば温室内における温湿度等のようにカーテン材で仕切られた空間内の環境を、カーテン材の開閉によって維持するような用途には好適である。
【0041】
図7は上述した本実施例を温室のカーテン材の開閉に適用した場合の斜視図である。温室Gの左右側面のフレーム材Fには、カーテン材Cが張り巡らされている。カーテン材Cの下端には巻取軸Sが取り付けられており、巻取軸Sは一方向に回転させることによって、カーテン材Cを巻き取りながら上昇して、カーテン材Cを開放し、他方向に回転させることによって、カーテン材Cを送り出しながら下降して、カーテン材Cを閉止する。
【0042】
温室Gの左右側面近傍には、柱状の支持部材Pが設置されており、支持部材Pには巻取軸Sの上昇下降と共に、上下方向に移動可能な移動駆動部Dが設けられている。移動駆動部Dは巻取軸Sに減速機構を介して連結されるモータを備え、巻取軸Sを回転させることによって、カーテン材Cの巻き取り/送り出しを行う。なお、図示しないモータの駆動スイッチは、移動駆動部Dがカーテン材Cの巻き取りに伴って高所に移動しても操作し易いように、移動駆動部Dとは別体で設けられていて、例えば温室Gの前後側面の操作し易い位置に設置されている。
【0043】
また、支持部材Pには移動駆動部Dを介して、本実施例のカーテン材の自動開閉装置が取り付けられており、カーテン材Cの巻き取り/送り出しに伴う巻取軸Sの上昇下降に合わせて、移動駆動部Dと共に支持部材Pに沿って上下方向に移動可能となっている。更に、巻取軸S又は巻取軸Sから減速機構を介した中継軸に設けられているウォーム歯車Wは、図1図3に示すようにケーシング4内に開口部4aから組み込まれ、回転伝達部1の連結歯車11に噛合している。
【0044】
温室Gのカーテン材Cの開閉制御を行う場合には、事前に停止位置調整部2によってカーテン材Cの開閉位置を設定する。例えば、温室G内の温度又は湿度が所定値以上になった場合には、カーテン材Cを所定の開放位置まで開放し、所定値以下になった場合には、カーテン材Cを所定の閉止位置まで閉止するように設定する。つまり、上述のように第1の停止位置調整部2aを操作してカーテン材Cの開放位置を設定し、更に第2の停止位置調整部2bを操作してカーテン材Cの閉止位置を設定する。
【0045】
カーテン材Cの開閉制御を開始すると、温室G内の温度又は湿度が所定値以上であれば、図示しない温湿度検出制御手段によって、モータの駆動電源が正方向にオンされる。そして、カーテン材Cが設定された開放位置まで巻き取られた後に、第1の停止位置調整部2aによって第1のスイッチ部3aがオフされてモータの駆動電源が停止し、カーテン材Cの開放された状態が維持される。
【0046】
カーテン材Cが開放されていることによって、温度又は湿度が所定値以下になった場合には、温湿度検出制御手段によってモータの駆動電源が逆方向にオンされる。そして、カーテン材Cが設定された閉止位置まで送り出された後に、第2の停止位置調整部2bによって第2のスイッチ部3bがオフされてモータの駆動電源が停止し、カーテン材Cは閉止状態となる。
【0047】
なお、モータの駆動電源の正方向又は逆方向へのオンは、カーテン材Cの開閉回数が1回/日程度と少ない場合には、温湿度検出制御手段によらずに手動で行うようにしてもよい。
【0048】
上述したように、停止位置調整部2の位置決め部23の押込片23cを円筒部23b内から引き出し、位置決め部23を回転し、再び押込片23cを円筒部23b内へ押し込むという3つの簡単な手動操作のみで、カーテン材Cの開閉位置を容易に設定できる。開閉位置の設定には電気制御回路等の電気系を使用しないので、安価で安定して長期動作をさせることができる。
【符号の説明】
【0049】
1 回転伝達部
2、2a、2b 停止位置調整部
21 第1の歯車
21a 円環状歯車
21b 内歯車
22 第2の歯車
22a 孔部
22b スイッチ用突起
22c 副軸
22d 遊星歯車
23 位置決め部
23a 拡開板
23b 円筒部
23c 押込片
23d 小歯車
23e 切欠部
23f 突起部
3、3a、3b スイッチ部
W ウォーム歯車
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7