(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-23
(45)【発行日】2024-01-31
(54)【発明の名称】有機性廃棄物リサイクル処理促進管理システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/26 20240101AFI20240124BHJP
B09B 3/40 20220101ALI20240124BHJP
【FI】
G06Q50/26
B09B3/40
(21)【出願番号】P 2019225778
(22)【出願日】2019-12-13
【審査請求日】2022-10-27
(73)【特許権者】
【識別番号】520463271
【氏名又は名称】株式会社アーバンリグ
(74)【代理人】
【識別番号】100177264
【氏名又は名称】柳野 嘉秀
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 智章
【審査官】佐藤 敬介
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-029944(JP,A)
【文献】特開2002-183376(JP,A)
【文献】特開2008-285635(JP,A)
【文献】特開2008-266394(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
B09B 3/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラスチックを主とする有機性廃棄物を回収搬入する回収搬入事業者を判定し認定する廃棄物回収搬入事業者認定手段と、
当該回収搬入事業者認定手段により認定された事業者
の事業態様に応じて貸し出す廃棄物回収搬入機材の選定をする回収搬入機材選定手段と、
回収搬入された有機性廃棄物をエネルギー変換処理するエネルギー変換処理事業者を選定し認定する
エネルギー変換処理事業者認定手段と、
当該エネルギー変換処理事業者認定手段により認定されたエネルギー変換処理事業者の
事業態様に応じて貸し出す有機性廃棄物を液体(油)、個体(炭)、気体(ガス)の各エネルギー資源へそれぞれ変換処理するエネルギー変換処理装置を選定するエネルギー変換処理装置選定手段と、
当該エネルギー変換処理装置選定手段により選定されたエネルギー変換処理装置により変換処理されたエネルギー資源のエネルギー量を算出するとともに、算出されたエネルギー量が石油精製企業及び石油利用企業において需要される原油量に対する再生油量として捉えた場合の割合を算出する再生油量換算手段と、
石油精製企業及び石油利用企業から需要原油量に応じて拠出された拠出資金に相当するクレジットを算出し、前記再生油量換算手段から算出された原油量に対する再生油量の割合に応じ、前記認定された有機性廃棄物回収搬入事業者及びエネルギー変換処理事業者に分配割り当てられるクレジットを算出するクレジット演算手段とからなることを特徴とする有機性廃棄物リサイクル処理促進管理システム。
【請求項2】
有機性廃棄物を回収搬入する回収搬入事業者及びエネルギー変換処理事業者と、石油精製企業及び石油利用企業とに情報通信手段により接続され、実際の資源の物流と拠出資本とクレジットとの分配データが入出力して情報管理する情報管理手段が設けられた請求項1に記載の有機性廃棄物リサイクル処理促進管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機性廃棄物等のリサイクルを促進し、再資源化によって経済的な貢献性も高め得るようにした有機性廃棄物リサイクル処理促進管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、高度経済成長に伴って地球資源の消耗や環境破壊といった問題が世界的な関心を高めており、今日に至る大量生産及び大量消費に対して省資源化や環境保全を図る施策が、先進国は元より開発途上国も含めて直近の課題となっている。特に、家庭から排出される生ごみ等の一般廃棄物のうち、プラスチック容器ゴミがその割合を高めており、廃棄物の処理としては、圧縮減容後に焼却不適物として特定の最終処分場に埋め立て処理を行ったり、一般ごみとして焼却するという方法が講じられている。
【0003】
また、リサイクル法の施行により、家電メーカー等の製造業から排出される産業廃棄物中のプラスチック廃棄物の割合も高まっている折に、益々リサイクル資源としての有効利用が求められる状況となっている。かかる状況下で廃棄プラスチックを単に焼却処理するのではなく、ガス化炉で熱分解処理して生成された熱分解ガスを原料として化学工業原料や燃料として利用できるリサイクル装置等が各種提案されている(特許文献1)(特許文献2)。また、これらの環境問題に対するアプローチを高めるため二酸化炭素の排出量を計算して排出の規制を図る取り組みも行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2008-285635号
【文献】特開2008-266394号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記した有機性廃棄物の埋め立て処理や自然界への投棄処理では、特に下水や河川を経由して所謂マイクロプラスチックとして海洋に流出していることが判明し、海洋マイクロプラスチックとしての海洋ゴミが環境汚染を益々広げている。また、上記したリサイクルも目的とする各種処理装置が提案されているものの、メーカー等の有機性廃棄物の排出者には、当該処理装置で処理してもらう場合に処理費用を負担する必要が生じている。このため、結局は処理費用の負担が安価な最終処理場への投棄処理が行われることが多いという現況であり、プラスチックを主とする化学工業製品である有機性廃棄物のリサイクル処理が促進されないままという問題があった。また、二酸化炭素の排出量を計算してその低減を図る施策を講じるようにしても、具体的に目に見えるものではないため、対策としての実感を得にくく、また、先進国に有利なため、開発途上国にとって取り組みにくいという問題がある。
【0006】
そこで、本出願人は、有機性廃棄物の処理を環境保全に寄与しながら、処理された処理物をリサイクル資源として再利用できるようにしつつ、かかる廃棄物処理に携わる者への積極的な働きかけと、結果として経済的な効果も生じるようにしてリサイクル処理を促進することができる有機性廃棄物リサイクル処理促進管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明は、次のように構成した。すなわち、本発明に係る請求項1に記載の有機性廃棄物リサイクル処理促進管理システムは、プラスチック等を主とする有機性廃棄物を回収搬入する回収搬入事業者を選定し認定する廃棄物回収搬入事業者認定手段と、当該回収搬入事業者認定手段により認定された事業者に貸し出す廃棄物回収搬入機材の選定をする回収搬入機材選定手段と、回収された有機性廃棄物をエネルギー変換処理するエネルギー変換処理事業者を選定し認定するエネルギー変換処理事業者認定手段と、当該エネルギー変換処理事業者認定手段により認定されたエネルギー変換処理事業者に貸し出す有機性廃棄物を液体(油)、個体(炭)、気体(ガス)の各エネルギー資源へそれぞれ変換処理するエネルギー変換処理装置を選定するエネルギー変換処理装置選定手段と、該エネルギー変換処理装置選定手段により選定されたエネルギー変換処理装置により変換処理されたエネルギー資源のエネルギー量を算出するとともに、算出されたエネルギー量が石油精製企業及び石油利用企業において需要される原油量に対する再生油として捉えた場合の割合を算出する再生油量換算手段と、石油精製企業及び石油利用企業から需要原油量に応じて拠出された拠出資金に相当するクレジットを算出するとともに、前記再生油量換算手段から算出された原油量に対する再生油量の割合に応じ、前記認定された有機性廃棄物回収搬入事業者及びエネルギー変換処理事業者に分配割り当てられるクレジットを算出するクレジット演算手段とからなることを特徴としている。
【0008】
請求項2に記載の有機性廃棄物リサイクル処理促進管理システムは、有機性廃棄物を回収する回収搬入事業者と、エネルギー変換処理事業者と、石油精製企業及び石油利用企業とに情報通信手段により接続され、実際の資源の物流と拠出資本とクレジットとの分配データが入出力して情報管理する情報管理手段が設けられ、客観的に管理体制が監視できるように構成されている。
【0009】
本発明の有機性廃棄物リサイクル処理促進管理システムは、有機性廃棄物等のリサイクルを促進しうる資質を有する事業者が、有機性廃棄物回収搬入事業者認定手段とエネルギー変換処理事業者認定手段とによって認定され、認定された各事業者に対してその事業態様に応じて適切な回収搬入機材とエネルギー変換処理装置が、回収搬入機材選定手段とエネルギー変換処理装置選定手段とにより選定され貸し出される。これら各事業者によって回収搬入された有機性廃棄物がエネルギー変換処理される。
【0010】
再生油量換算手段は、変換処理されたエネルギー資源のエネルギー量を算出するとともに、算出されたエネルギー量が需要される原油量に対する再生油として捉えた場合の再生油量を算出する。クレジット演算手段は、有機性廃棄物等のリサイクルの促進に賛同する石油精製企業及び石油利用企業が両者における需要原油量に応じて拠出した拠出資金に相当するクレジットを算出し、再生油量換算手段によって算出された需要原油量に対する再生油量の割合に応じ、認定された有機性廃棄物回収搬入事業者及びエネルギー変換処理事業者に分配されるクレジットを算出する。
【0011】
さらに、回収搬入事業者と、エネルギー変換処理事業者と、石油精製企業及び石油利用企業とに情報通信手段により接続される情報管理手段が設けられているので、実際のエネルギーリサイクルにおける資源の物流と拠出資本とクレジットとの流れについて透明性の高い管理が行われる。
【0012】
このようにして、有機性廃棄物リサイクル処理の促進を図ることに積極的に参画する回収搬入事業者とエネルギー変換処理事業者とが認定されるとともに、各事業者に必要な機材と変換装置が貸し出され廃棄物処理が行われて再生油が得られると、同じくリサイクル促進に貢献することを企業理念とする石油精製企業及び石油利用企業が拠出した拠出金に対するクレジットに対して、需要原油量に対する再生油の割合に応じたクレジットが回収搬入事業者とエネルギー変換処理事業者とに分配されるという管理が行われることにより、有機性廃棄物の回収と処理に係る業者への参画インセンティブを高めることができるようになり、有機性廃棄物リサイクル処理の促進管理を進展することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明にかかる有機性廃棄物リサイクル処理の促進管理システムによれば、有機性廃棄物の処理を環境保全に寄与しながら、処理された処理物をリサイクル資源として再利用できるようにしつつ、かかる廃棄物処理に携わる者への積極的な働きかけと、結果として経済的な効果も生じるようにしてリサイクル処理を促進することができる。
【0014】
つまり、需要原油量に応じたクレジットの購入者となる石油精製企業及び石油利用企業と、クレジットの創出と販売者となる回収搬入事業者及びエネルギー変換処理事業者との間で、負担する側は本来必要な需要原油量となるように再生油量を加えた需要量の全体(=100%)のままであることに対して、インセンティブを受け取る業者側は、全体に占める再生油割合(数%)で利益を受け取ることができるので、回収搬入機材やエネルギー変換処理装置の貸し出し料を支払っても、重負担なく効果的な対価を得ることができようになる。このため、特に、開発途上国での回収搬入事業者とエネルギー変換処理事業者との参画を促進することができるようになり、有機性廃棄物のリサイクル処理の促進が図られる。この点、従来のような二酸化炭素の排出量を計算してその低減を図る施策を講じる場合に比べ、再生油として具体的に目に見えるものとして取り扱いができるので、環境問題への対策としての実感を得やすく、二酸化炭素排出権に基づく管理のように、先進国に有利にならず、開発途上国にとってさらに取り組みやすくなる。
【0015】
また、本発明のシステムによれば、エネルギーリサイクルと上記したクレジットの流れが透明性をもって管理されるので、当該システムを拡散していく際に、事業に賛同する賛同者の参画も促進でき、かかる事業に対して行われる資金移動も透明性をもって管理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明に係る有機性廃棄物リサイクル処理促進管理システムを中心として構成されるネットワークを示すブロック図である。
【
図2】有機性廃棄物リサイクル処理促進管理システムの構成を説明するためのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について図面に基づき説明する。
【0018】
図1は、本発明に係る有機性廃棄物リサイクル処理促進管理システム10を中心として構成されるリサイクルネットワークを示すブロック図である。
図1において、産油国70から供給される原油は石油精製企業21で精製され、精製された石油は、石油利用企業22によって例えば、主に火力発電施設で電力に変換され、化学工場で;プラスチック製品などの化学製品に加工され、また燃料販売業者によって燃料として販売されるなどして、消費者30のもとに様々な形で供給される。
【0019】
消費者30でその使用目的を果たした後の不要物は、有機性廃棄物40として廃棄されるが、これら廃棄物は後述する認定を受けた廃棄物回収搬入事業者(行政、団体、業者等)51によって回収され、同じく認定を受けたエネルギー変換処理事業者52の下へ搬入される。搬入された廃棄物は所謂一般ごみとして化学処理されたプラスチック製の日用品等が主であるが食物などの残渣も含まれている。搬入された廃棄物は、エネルギー変換処理装置54により、炭化、油化、ガス化といった処理が行われ、エネルギー資源に再生処理される。
【0020】
エネルギー変換処理事業者52によって変換処理された変換エネルギー資源は、再生油として石油精製企業21へ回収運搬60される。同図においては、例えば、本来の需要原油量に対して5%相当の再生油が得られたとして産油国からの原油(需要原油の95%相当)とともに、石油精製企業21で精製されて上記したリサイクルのループに乗って再利用されるように構成されており、このリサイクルループに乗って従来と同じ原油の物流処理を行えば、産油国70はこの例において5%減産することができることになる。
【0021】
図2は、
図1に示した有機性廃棄物リサイクル処理の促進管理システムの構成を示す機能ブロック図である。有機性廃棄物リサイクル処理の促進管理システム10は、産業廃棄物回収搬入事業者認定手段11、廃棄物回収搬入機材選定手段12、エネルギー変換処理事業者認定手段13、エネルギー変換処理装置選定手段14、エネルギー変換処理されたエネルギー量を再生油量に換算する再生油量換算手段15、クレジット演算手段16、情報管理手段17とで構成され、有機性廃棄物を回収する回収搬入事業者51と、エネルギー変換処理事業者52と、石油精製企業21及び石油利用企業22とに情報通信手段19により接続され、実際の資源の物流と拠出資本とクレジットとの分配データが入出力して情報管理する情報管理手段17のコンピュータプログラムによって機能する。
【0022】
廃棄物回収搬入業者認定手段11は、
図1に示すリサイクルネットに参画し、回収搬入事業を行いたいとする者(行政、団体、業者等)を、参画資格を有し実際に実行できる資質がある者かを判定し、適格者と判定できれば、参加業者として認定する。認定された回収搬入事業者51には、廃棄物回収搬入機材選定手段12によって、その事業態様等を分析検討して必要な回収搬入機材53が選定され貸し出される。この際に、回収搬入事業者51は、当該システム運用側に対して認定料と貸出料を支払うことになり、回収搬入機材53は、都市ごみとして集積されたものを回収し、また、河川や浜辺などに投棄されたものを回収するなど、回収場所に応じて適切な機材が選定される。
【0023】
エネルギー変換処理事業者認定手段13は、同じくエネルギー変換処理事業者52として係るリサイクルネットに参画して変換処理事業を行いたいとする者を判定し認定する。認定されたエネルギー変換処理事業者52には、エネルギー変換処理装置選定手段14によって、その事業態様等を分析検討して必要なエネルギー変換処理装置54が選定され貸し出される。この際、エネルギー変換処理事業者52は、当該システム運用側に対して認定料と貸出料を支払うことになり、エネルギー変換処理装置54は、有機性廃棄物を液体(油)、個体(炭)、気体(ガス)の各エネルギー資源へそれぞれ変換処理するのに適切な装置、例えば、無酸素状態で高温の加熱水蒸気によって炭化、油化することができ、炭化油化時に生じる排ガスも燃料ガスとして回収できるようにした装置が使用される。
【0024】
再生油量換算手段15は、エネルギー変換装置54からの変換量データに基づいてエネルギー変換処理されたエネルギー資源のエネルギー量を算出するとともに、算出されたエネルギー量から再生油量を算出換算する。クレジット演算手段16は、有機性廃棄物等のリサイクルの促進に賛同する石油精製企業21及び石油利用企業22が両者における需要原油量に応じて拠出した拠出資金に相当するクレジットを算出するとともに、再生油量換算手段15によって算出された需要原油量に対する再生油量の割合に応じ、認定された有機性廃棄物回収搬入業者51及びエネルギー変換処理業者52に分配されるクレジットを算出する。
【0025】
情報管理手段17は、上記各手段の機能をプログラム基づいて実行処理するとともに、回収搬入事業者51と、エネルギー変換処理事業者52と、石油精製企業21と、石油利用企業22とに情報通信手段19により接続されており、
図1に示すリサイクルネットが構成され、実際の資源物流の把握と拠出資本に応じたクレジットデータに基づくクレジット分配の流れについて情報管理を行う。
【0026】
有機性廃棄物リサイクル処理の促進管理システム1は、上記のように構成されているので、有機性廃棄物リサイクル処理の促進を図ることに積極的に参画する回収搬入事業者51とエネルギー変換処理事業者52とが認定されるとともに、各事業者に必要な回収搬入機材53とエネルギー変換処理装置54が貸し出されて廃棄物処理が行われる。再生油量換算手段15により、エネルギー変換処理装置54からの変換量データに基づいてエネルギー変換処理されたエネルギー資源のエネルギー量を算出するとともに、算出されたエネルギー量から再生油量が換算算出されるが、再生油が得られると、再生油として石油精製企業21へ運搬回収され、産油国70からの原油とともに、石油精製企業21で精製され、上記したリサイクルのループに乗って再利用されることになる。
【0027】
このリサイクルループにのってリサイクル処理が行われる際に、クレジット演算手段16から、有機性廃棄物等のリサイクルの促進に賛同する石油精製企業21及び石油利用企業22が両者における需要原油量に応じて拠出した拠出資金に相当するクレジットが算出されるとともに、再生油量換算手段15によって算出された需要原油量に対する再生油量の割合に応じ、認定された有機性廃棄物回収搬入事業者51及びエネルギー変換処理事業者52へのクレジットが算出され、これらの業者にクレジットが分配されるようになっている。
【0028】
本発明に係るシステムを利用することにより、需要原油量に応じたクレジットの購入者20となる石油精製企業21及び石油利用企業22と、クレジットの創出と販売者50となる回収搬入事業者51及びエネルギー変換処理事業者52との間で、負担する購入者20側は本来必要な需要原油量となるように再生油量を加えた需要量の全体(=100%)のままであるのに対して、インセンティブを受け取る業者50側は、全体に占める再生油割合(数%)で利益を受け取ることができるので、認定料や回収搬入機材53やエネルギー変換処理装置54の貸し出し料を支払っても、重負担なく効果的な対価を得ることができようになる。
【0029】
このように、リサイクル促進に貢献することを企業理念とする石油精製企業21及び石油利用企業22が拠出した拠出金に対するクレジットに対して、需要原油量に対する再生油量の割合に応じたクレジットが回収搬入事業者51とエネルギー変換処理事業者52とに分配されるという管理が行われることにより有機性廃棄物の回収と処理に関わる事業者への参画インセンティブを高めることができるようになる。
【0030】
このような管理に基づくことにより、従来のような二酸化炭素の排出量を計算してその低減を図る施策を講じる場合に比べ、再生油量として具体的に目に見えるものとして取り扱いができるので、環境問題への対策としての実感を得やすく、二酸化炭素排出権に基づく管理のように、先進国に有利にならず、開発途上国にとっても国家ぐるみで取り組みやすくなる。また、石油精製企業や石油利用企業に対して本発明に係る有機性廃棄物リサイクル処理の促進管理システムへの参画を国家的施策としてバックアップ出来るような法整備が図られれば、さらなる環境問題解決に資することになる。
【0031】
また、エネルギーリサイクルと上記したクレジットの流れが透明性をもって管理されるので、当該システムを拡散していく際に、事業に賛同する賛同者の参画も促進でき、かかる事業に対して行われる資金移動も透明性をもって管理することができる。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明に係るシステムに基づいてリサイクルネットワークを構築する際に、システムの管理技術にAIを導入することで、また、クレジットの管理にブロックチェーンの技術を導入することで、当該システムによる成果をリアルタイムで把握することができ、地球規模の環境問題解決へ実効性ある取り組みの実現を図ることが可能になる。
【符号の説明】
【0033】
10 有機性廃棄物リサイクル処理促進管理システム
11 廃棄物回収搬入事業者認定手段
12 廃棄物回収搬入機材選定手段
13 エネルギー変換処理事業者認定手段
14 エネルギー変換処理装置選定手段
15 再生油量換算手段
16 クレジット演算手段
17 情報管理手段
21 石油精製企業
22 石油利用企業
30 消費者
40 有機性廃棄物
51 廃棄物回収搬入事業者
52 エネルギー変換処理事業者