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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-23
(45)【発行日】2024-01-31
(54)【発明の名称】知育玩具
(51)【国際特許分類】
   A63H 33/08 20060101AFI20240124BHJP
【FI】
A63H33/08 A
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020066075
(22)【出願日】2020-04-01
(65)【公開番号】P2021159508
(43)【公開日】2021-10-11
【審査請求日】2022-11-09
(73)【特許権者】
【識別番号】516240053
【氏名又は名称】杉野 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100123526
【弁理士】
【氏名又は名称】宮川 壮輔
(74)【代理人】
【識別番号】100125036
【弁理士】
【氏名又は名称】深川 英里
(72)【発明者】
【氏名】杉野 裕子
(72)【発明者】
【氏名】宮▲崎▼ 由衣
【審査官】三田村 陽平
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-113059(JP,A)
【文献】特開2018-007702(JP,A)
【文献】特開2012-153382(JP,A)
【文献】登録実用新案第3138728(JP,U)
【文献】実公昭49-042153(JP,Y1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63H 1/00-37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
凹部が設けられた筒部と、
前記筒部に設けられて前記凹部を覆うシリコンからなる内蓋部と、
前記内蓋部の外方に設けられフェルトからなる外蓋部と、
前記外蓋部及び前記内蓋部を介して前記凹部に抜き差しされるピース部材とを備え、
前記ピース部材は、野菜の先端部の意匠が施された野菜先端部と、野菜の根元部の意匠が施された野菜根元部とを備え、前記ピース部材が前記凹部に差し込まれると、前記野菜根元部が前記凹部に差し込まれて被覆され、前記野菜先端部が前記凹部から突出するようになっており、
前記内蓋部は、十字状の切り込み線によって分けられて前記ピース部材の抜き差しに応じて開閉する内蓋用片部を備え、
前記外蓋部は、十字状の切り込み線状部によって分けられて前記ピース部材の抜き差しに応じて開閉する外蓋用片部を備え、
前記ピース部材の径寸法が、一の前記切り込み線と線上に隣り合う前記切り込み線にわたる長さ寸法に対して、50%超~100%とされており、
一の前記切り込み線と線上に隣り合う前記切り込み線にわたる長さ寸法が、前記凹部の内径寸法に対して、80%未満とされている知育玩具。
【請求項2】
前記切り込み線と前記切り込み線状部との回転位置がずらされている請求項1に記載の知育玩具。
【請求項3】
前記筒部、前記内蓋部及び前記外蓋部を有する本体部材を備え、
前記本体部材は、幅寸法が段階的に大きくなるように設定されて複数種類設けられており、
複数種類の前記本体部材において前記幅寸法が大きくなるごとに前記凹部の設置数が多くなっている請求項1または請求項2に記載の知育玩具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として子どもの教育のための知育玩具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、子どもに対して知脳の発達を促進する知育玩具が利用されている(例えば、特許文献1参照)。
このような知育玩具として、複数の積木が枠などに嵌め込まれるようになっているものが知られている。そして、子どもが複数の積木を所定の枠に嵌め込むことにより、知能の発達を促進させるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2005-27946号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のような知育玩具では、単に積木を所定の枠に嵌め込むだけであって、そもそも遊びたいという気を起こさせることが難しいだけでなく、仮に遊んだとしてもすぐに飽きてしまうという問題がある。
【0005】
以上に鑑みて、本発明は、エンターテインメント性を向上させることができる知育玩具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は以下の手段を提供する。
本発明は、凹部が設けられた本体部材と、前記凹部に抜き差しされるピース部材とを備え、前記凹部を覆う蓋部が設けられており、前記蓋部が、切り込み線によって分けられて前記ピース部材の抜き差しに応じて開閉する片部を備えている。
【発明の効果】
【0007】
本願の一観点によれば、エンターテインメント性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施形態としての知育玩具の全体を上方から見た様子を示す立体図である。
図2】知育玩具の全体を正面上方から見た様子を示す立体図である。
図3】小本体部およびピース部材の1つ目のセットを示すものであり、(A)は1つ目の小本体部およびピース部材の外観を示す立体図であり、(B)は小本体部を正面から示す正面透視図である。
図4】小本体部およびピース部材の2つ目のセットを示すものであり、(A)は2つ目の小本体部およびピース部材の外観を示す立体図であり、(B)は小本体部を正面から示す正面透視図である。
図5】3つ目の小本体部およびピース部材の外観を示す立体図である。
図6】4つ目の小本体部およびピース部材の外観を示す立体図である。
図7】5つ目の小本体部およびピース部材の外観を示す立体図である。
図8】6つ目の小本体部およびピース部材の外観を示す立体図である。
図9】7つ目の小本体部およびピース部材の外観を示す立体図である。
図10】8つ目の小本体部およびピース部材の外観を示す立体図である。
図11】9つ目の小本体部およびピース部材の外観を示す立体図である。
図12】蓋部を示す正面図である。
図13】カブピース部材を示す立体図である。
図14】ピース部材が凹部に抜き差しされる様子を示す図であって、(A)はピース部材が凹部に差し込まれる前の様子を示す説明図、(B)はピース部材が凹部に差し込まれたときの様子を示す説明図、(C)はピース部材が凹部から引き抜かれるときの様子を示す説明図である。
図15】ピース部材が凹部に抜き差しされる様子を示すものであって、(A)はピース部材が凹部に差し込まれたときの片部等の様子を示す説明図、(B)はピース部材が凹部から引き抜かれるときの片部等の様子を示す説明図である。
図16】切り込み線と片部の配置による復元力を示す図であって、(A)は4つの切り込み線と対向する片部とによって加わる復元力を示す説明図、(B)は3つの切り込み線と対向しない片部とによって加わる復元力を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(実施形態)
以下、本発明の実施形態における知育玩具について説明する。
図1は、本発明の実施形態としての知育玩具1の全体を上方から見た様子を示す立体図である。
図2は、知育玩具1の全体を正面上方から見た様子を示す立体図である。
知育玩具1は、本体部材50と、ピース部材10とを備えている。
本体部材50は、サイズが異なる複数の種類からなる小本体部51~59を備えている。なお、ここでは、小本体部51~59は9種類からなっている。
【0010】
小本体部51~59は、幅方向Wにおける幅寸法が段階的に比例して大きくなるように設定されている。すなわち、例えば小本体部51の幅寸法を1とすると、小本体部52の幅寸法が2となり、同様にして、小本体部59の幅寸法が9となっている。そのため、小本体部51~59は、幅方向Wの一端が揃えられて幅寸法の小さい順に手前側から奥側に奥行方向Dに配列されると、手前側から奥側に向かって幅寸法が階段状に大きくなるように設定されている。なお、これら小本体部51~59の構成については、後述するものとする。
【0011】
ピース部材10は、フェルトからなるものであり、野菜の意匠が施されてなるものである。そして、ピース部材10は、それぞれサイズ、数および野菜の意匠が異なる複数の種類からなっている。なお、ここでは、ピース部材10は9種類からなっている。
なお、小本体部51~59およびピース部材10は、それぞれ9種類からなっており、所定の小本体部51~59とピース部材10とがセットになっている。
以下では、小本体部51~59およびピース部材10について、それぞれセットごとに説明する。
【0012】
図3(A)は1つ目のセットの外観を示す立体図であり、図3(B)は小本体部51を正面から示す正面透視図である。
小本体部51は、番号札部51aと、小本体補強部51bと、小本体外装部51cと、筒部50bとを備えている。
番号札部51aは、円板状に形成されフェルトからなっている。番号札部51aの一方の主面には、数字の「1」が示される番号部が設けられており、他方の主面には面ファスナーが設けられている。
小本体補強部51bは、紙製であり直方体形状からなっている。小本体補強部51bの上面部の中央には、不図示の円形の開口部が設けられている。開口部の径は、筒部50bの径と同一に設定されている。小本体補強部51bの外面には、小本体外装部51cが設けられている。
小本体外装部51cは、茶色のフェルトからなっており、直方体形状をなしている。そして、小本体外装部51cは、小本体補強部51bの全外面を覆っている。小本体外装部51cの外面のうち正面部の中央には、面ファスナーが設けられており、この面ファスナーと番号札部51aの面ファスナーを介して、小本体外装部51cの正面部の中央に番号札部51aが着脱可能に取り付けられるようになっている。小本体外装部51cの上面部には切り込み線状部50dが設けられている。なお、この切り込み線状部50dの本数としては、上面部の中心から径方向外方に向かって延ばされたものが1本となる。すなわち、切り込み線状部50dは、4本設けられており、全体で十字状とされている。これら4本の切り込み線状部50dからなる全体が十字状部となっている。そして、4本の切り込み線状部50dによって分けられた4つの片部50fが設けられている。この小本体外装部51cの上面部のうち十字状部が設けられた部分が、外蓋部として機能する。
【0013】
小本体補強部51bの内方のうち下面部の内面中央には、筒部50bが一つ固定されて設けられている。筒部50bの軸線は、小本体補強部51bの上面部と下面部に垂直に向けられている。そして、筒部50bの一方の開口端は、小本体補強部51bの開口部と一致させて対向して配置されている。すなわち、小本体部51には、上面部から下面部に向けて没する凹部50aが一つ設けられている。つまり、筒部50bの筒穴が凹部50aとなる。なお、筒部50bの周囲には、筒部50bを固定するために例えばエアパッキンなどのスペーサ部材(不図示)が設けられている。
筒部50bの一方の開口端には、蓋部50cが設けられている。すなわち、蓋部50cと小本体外装部51cの上面部とで二重の蓋となっており、この蓋部50cは、内蓋部として機能する。蓋部50cは、シリコンなどの弾性部材からなり、円板状に形成されている。蓋部50cには、図12に示すように、切り込み線50eが設けられている。この切り込み線50eの本数としては、蓋部50cの中心から径方向外方に向かって延ばされたものが1本となる。すなわち、切り込み線50eは、4本設けられており、全体で十字状とされている。切り込み線50eの交点は、蓋部50cの円板の中心点に設定されている。これら4本の切り込み線50eからなる全体が十字状部となっている。そして、4本の切り込み線50eによって分けられた4つの片部50gが設けられている。なお、片部50gと片部50fとは、互いに接着されておらず非接着とされている。
【0014】
この切り込み線50eのうち、一の切り込み線50eの一端から直線上に連続して隣り合う切り込み線50eの他端までの全長における長さ寸法A1は、筒部50bの内径寸法A2に対して、80%未満に設定されている。具体的には、長さ寸法A1は内径寸法A2に対して、40%超~80%未満であり、好ましくは50%~80%未満であり、さらに好ましくは50%~70%である。または、50%~60%もしくは60%~70%であってもよい。
【0015】
ピース部材10は、野菜の中で「カブ」の意匠が施された1個のカブピース部材11とされている。カブピース部材11は、カブの先端部の葉の意匠が施された野菜先端部11aと、カブの根元部の本体(実)の意匠が施された野菜根元部11bとを備えている。野菜根元部11bの横断面形状は円形とされている。この野菜根元部11bには綿素材が充填されている。これにより、湿気を含みにくく軽くなるようになっている。
野菜根元部11bの径寸法のうち、最も径の大きい外径寸法L1(図13に示す)は、隣り合う切り込み線50eの長さ寸法A1に対して、50%超に設定されている。具体的には、外径寸法L1は長さ寸法A1に対して、50%超~100%であり、好ましくは60~100%であり、さらに好ましくは70%~100%であり、さらに好ましくは80%~100%であり、さらに好ましくは80%~100%未満である。
【0016】
カブピース部材11は、小本体外装部51cの上面部と蓋部50cとを介して、凹部50aに抜き差しされるようになっている。すなわち、小本体外装部51cの片部50fと蓋部50cの片部50gとが、カブピース部材11の抜き差しに応じて弾性変形して開閉するようになっている。そして、野菜先端部11aが凹部50aに差し込まれると、図1および図2に示すように、野菜根元部11bが小本体部51によって被覆されて外観上見えなくなり、野菜先端部11aが小本体外装部51cの上面部から突出するようになっている。
また、凹部50aに差し込まれたカブピース部材11が引き抜かれようとすると、片部50f,50gが、引き抜き方向に弾性変形して、「ポン」と音が鳴るようになっている。なお、このときの音を「引き上げの音」というものとする。また、凹部50aに差し込まれたカブピース部材11が引き抜かれると、主として片部50gが復元力により元に戻ろうとして、「スポッ」と音が鳴るようになっている。なお、このときの音を「引き抜きの音」というものとする。
【0017】
図4(A)は2つ目のセットの外観を示す立体図であり、図4(B)は小本体部51を正面から示す正面透視図である。
図4において、図3に記載の構成要素と同一部分については同一符号を付し、その説明を省略する。また、2つ目のセットと前述した1つ目のセットとは基本的構成は同一であり、ここでは主として異なる点について説明する。
小本体部52は、番号札部52aと、小本体補強部52bと、小本体外装部52cと、筒部50bとを備えている。
番号札部52aは、円板状に形成されフェルトからなっている。番号札部52aの一方の主面には、数字の「2」が示される番号部が設けられており、他方の主面には面ファスナーが設けられている。
【0018】
小本体部52の幅寸法52Wは、小本体部51の幅寸法51Wの2倍になっている。すなわち、小本体補強部52bおよび小本体外装部52cの幅寸法が、それぞれ小本体補強部51bおよび小本体外装部51cの幅寸法の2倍になっている。
小本体外装部52cは、茶色のフェルトからなっており、直方体形状をなしている。小本体外装部52cの外面の正面部のうち、幅寸法52Wを2等分した一方の側の中央には、面ファスナーが設けられており、この面ファスナーと番号札部52aの面ファスナーを介して、小本体外装部52cの正面部の一方の側に番号札部52aが着脱可能に取り付けられるようになっている。また、小本体外装部52cの上面部のうち、幅寸法52Wを2等分したそれぞれの中央には、4本の切り込み線状部50dが十字状に設けられている。すなわち、小本体外装部52cの上面部には、2つの十字状部が設けられている。
【0019】
小本体補強部52bの上面部のうち、幅寸法52Wを2等分したそれぞれの中央には、円形の開口部(不図示)が設けられている。また、小本体補強部52bの内方のうち、幅寸法52Wを2等分したそれぞれの下面部の内面中央には、筒部50bが一つずつ固定されて設けられている。すなわち、小本体補強部52bの内方には、幅方向Wに2つの筒部50bが配列されている。そのため、小本体部52には、切り込み線50eと片部50gが設けられた蓋部50cおよび凹部50aが均等間隔を空けて2つ設けられている。
なお、2つの蓋部50cの隣り合う切り込み線50eの長さ寸法A1は、筒部50bの内径寸法A2に対して、1つ目のセットと同様にしてそれぞれ設定されている。
ピース部材10は、野菜の中で「タケノコ」の意匠が施された2個のタケノコピース部材12とされている。タケノコピース部材12は、タケノコの先端部の皮の意匠が施された野菜先端部12aと、タケノコの根元部の意匠が施された野菜根元部12bとを備えている。野菜根元部12bの横断面形状は円形とされている。この野菜根元部12bには綿素材が充填されている。これにより、湿気を含みにくく軽くなるようになっている。
野菜根元部12bの外径寸法は、隣り合う切り込み線50eの長さ寸法A1に対して、1つ目のセットと同様にして設定されている。
なお、タケノコピース部材12は、1つ目のセットと同様にして、凹部50aに抜き差しされるようになっている。
【0020】
図5は3つ目のセットの外観を示す立体図である。
なお、小本体部51~59の構成は幅方向Wにおいて規則性を有しているため、図5図11においては、正面透視図による図示を省略している。
図5において、図3および図4に記載の構成要素と同一部分については同一符号を付し、その説明を省略する。また、3つ目のセットと前述した1~2つ目のセットとは基本的構成は同一であり、ここでは主として異なる点について説明する。
小本体部53は、番号札部53aと、不図示の小本体補強部と、小本体外装部53cと、不図示の筒部とを備えている。
番号札部53aは、円板状に形成されフェルトからなっている。番号札部53aの一方の主面には、数字の「3」が示される番号部が設けられており、他方の主面には面ファスナーが設けられている。
【0021】
小本体部53の幅寸法53Wは、小本体部51の幅寸法51Wの3倍になっている。すなわち、不図示の小本体補強部および小本体外装部53cの幅寸法が、それぞれ小本体補強部51bおよび小本体外装部51cの幅寸法の3倍になっている。
小本体外装部53cは、茶色のフェルトからなっており、直方体形状をなしている。小本体外装部53cの外面の正面部のうち、幅寸法53Wを3等分した一方の端部の中央には、面ファスナーが設けられており、この面ファスナーと番号札部53aの面ファスナーを介して、小本体外装部53cの正面部の一方の端部に番号札部53aが着脱可能に取り付けられるようになっている。また、小本体外装部53cの上面部のうち、幅寸法53Wを3等分したそれぞれの中央には、4本の切り込み線状部50dが十字状に設けられている。すなわち、小本体外装部53cの上面部には、3つの十字状部が、均等間隔を空けて小本体部52と同様に配列されている。
【0022】
小本体補強部の上面部のうち、幅寸法53Wを3等分したそれぞれの中央には、円形の開口部(不図示)が設けられている。また、小本体補強部の内方のうち、幅寸法53Wを3等分したそれぞれの下面部の内面中央には、筒部が一つずつ固定されて設けられている。すなわち、小本体補強部の内方には、幅方向Wに3つの筒部が、均等間隔を空けて小本体部52と同様に配列されている。そのため、小本体部53には、切り込み線50eと片部50gが設けられた蓋部50cおよび凹部50aが均等間隔を空けて3つ設けられている。
なお、3つの蓋部50cの隣り合う切り込み線50eの長さ寸法A1は、筒部の内径寸法A2に対して、1~2つ目のセットと同様にしてそれぞれ設定されている。
ピース部材10は、野菜の中で「ホウレン草」の意匠が施された3個のホウレン草ピース部材13とされている。ホウレン草ピース部材13は、ホウレン草の先端部の葉の意匠が施された野菜先端部13aと、ホウレン草の根元部の意匠が施された野菜根元部13bとを備えている。野菜根元部13bの横断面形状は円形とされている。この野菜根元部13bには綿素材が充填されている。これにより、湿気を含みにくく軽くなるようになっている。
野菜根元部13bの外径寸法は、隣り合う切り込み線50eの長さ寸法A1に対して、1~2つ目のセットと同様にして設定されている。
なお、ホウレン草ピース部材13は、1~2つ目のセットと同様にして、凹部50aに抜き差しされるようになっている。
【0023】
図6は4つ目のセットの外観を示す立体図である。
図6において、図3図5に記載の構成要素と同一部分については同一符号を付し、その説明を省略する。また、4つ目のセットと前述した1~3つ目のセットとは基本的構成は同一であり、ここでは主として異なる点について説明する。
小本体部54は、番号札部54aと、不図示の小本体補強部と、小本体外装部54cと、不図示の筒部とを備えている。
番号札部54aは、円板状に形成されフェルトからなっている。番号札部54aの一方の主面には、数字の「4」が示される番号部が設けられており、他方の主面には面ファスナーが設けられている。
【0024】
小本体部54の幅寸法54Wは、小本体部51の幅寸法51Wの4倍になっている。すなわち、不図示の小本体補強部および小本体外装部54cの幅寸法が、それぞれ小本体補強部51bおよび小本体外装部51cの幅寸法の4倍になっている。
小本体外装部54cは、茶色のフェルトからなっており、直方体形状をなしている。小本体外装部54cの外面の正面部のうち、幅寸法54Wを4等分した一方の端部の中央には、面ファスナーが設けられており、この面ファスナーと番号札部54aの面ファスナーを介して、小本体外装部54cの正面部の一方の端部に番号札部54aが着脱可能に取り付けられるようになっている。また、小本体外装部54cの上面部のうち、幅寸法54Wを4等分したそれぞれの中央には、4本の切り込み線状部50dが十字状に設けられている。すなわち、小本体外装部54cの上面部には、4つの十字状部が、均等間隔を空けて小本体部52,53と同様に配列されている。
【0025】
小本体補強部の上面部のうち、幅寸法54Wを4等分したそれぞれの中央には、円形の開口部(不図示)が設けられている。また、小本体補強部の内方のうち、幅寸法54Wを4等分したそれぞれの下面部の内面中央には、筒部が一つずつ固定されて設けられている。すなわち、小本体補強部の内方には、幅方向Wに4つの筒部が、均等間隔を空けて小本体部52,53と同様に配列されている。そのため、小本体部54には、切り込み線50eと片部50gが設けられた蓋部50cおよび凹部50aが均等間隔を空けて4つ設けられている。
なお、4つの蓋部50cの隣り合う切り込み線50eの長さ寸法A1は、筒部の内径寸法A2に対して、1~3つ目のセットと同様にしてそれぞれ設定されている。
ピース部材10は、野菜の中で「サツマイモ」の意匠が施された4個のサツマイモピース部材14とされている。サツマイモピース部材14は、サツマイモの先端部の葉の意匠が施された野菜先端部14aと、サツマイモの根元部の本体の意匠が施された野菜根元部14bとを備えている。野菜根元部14bの横断面形状は円形とされている。この野菜根元部14bには綿素材が充填されている。これにより、湿気を含みにくく軽くなるようになっている。
野菜根元部14bの外径寸法は、隣り合う切り込み線50eの長さ寸法A1に対して、1~3つ目のセットと同様にして設定されている。
なお、サツマイモピース部材14は、1~3つ目のセットと同様にして、凹部50aに抜き差しされるようになっている。
【0026】
図7は5つ目のセットの外観を示す立体図である。
図7において、図3図6に記載の構成要素と同一部分については同一符号を付し、その説明を省略する。また、5つ目のセットと前述した1~4つ目のセットとは基本的構成は同一であり、ここでは主として異なる点について説明する。
小本体部55は、番号札部55aと、不図示の小本体補強部と、小本体外装部55cと、不図示の筒部とを備えている。
番号札部55aは、円板状に形成されフェルトからなっている。番号札部55aの一方の主面には、数字の「5」が示される番号部が設けられており、他方の主面には面ファスナーが設けられている。
【0027】
小本体部55の幅寸法55Wは、小本体部51の幅寸法51Wの5倍になっている。すなわち、不図示の小本体補強部および小本体外装部55cの幅寸法が、それぞれ小本体補強部51bおよび小本体外装部51cの幅寸法の5倍になっている。
小本体外装部55cは、茶色のフェルトからなっており、直方体形状をなしている。小本体外装部55cの外面の正面部のうち、幅寸法55Wを5等分した一方の端部の中央には、面ファスナーが設けられており、この面ファスナーと番号札部55aの面ファスナーを介して、小本体外装部55cの正面部の一方の端部に番号札部55aが着脱可能に取り付けられるようになっている。また、小本体外装部55cの上面部のうち、幅寸法55Wを5等分したそれぞれの中央には、4本の切り込み線状部50dが十字状に設けられている。すなわち、小本体外装部55cの上面部には、5つの十字状部が、均等間隔を空けて小本体部52~54と同様に配列されている。
【0028】
小本体補強部の上面部のうち、幅寸法55Wを5等分したそれぞれの中央には、円形の開口部(不図示)が設けられている。また、小本体補強部の内方のうち、幅寸法55Wを5等分したそれぞれの下面部の内面中央には、筒部が一つずつ固定されて設けられている。すなわち、小本体補強部の内方には、幅方向Wに5つの筒部が、均等間隔を空けて小本体部52~54と同様に配列されている。そのため、小本体部55には、切り込み線50eと片部50gが設けられた蓋部50cおよび凹部50aが均等間隔を空けて5つ設けられている。
なお、5つの蓋部50cの隣り合う切り込み線50eの長さ寸法A1は、筒部の内径寸法A2に対して、1~4つ目のセットと同様にしてそれぞれ設定されている。
ピース部材10は、野菜の中で「アスパラ」の意匠が施された5個のアスパラピース部材15とされている。アスパラピース部材15は、アスパラの先端部の穂先の意匠が施された野菜先端部15aと、アスパラの根元部の意匠が施された野菜根元部15bとを備えている。野菜根元部15bの横断面形状は円形とされている。この野菜根元部15bには綿素材が充填されている。これにより、湿気を含みにくく軽くなるようになっている。
野菜根元部15bの外径寸法は、隣り合う切り込み線50eの長さ寸法A1に対して、1~4つ目のセットと同様にして設定されている。
なお、アスパラピース部材15は、1~4つ目のセットと同様にして、凹部50aに抜き差しされるようになっている。
【0029】
図8は6つ目のセットの外観を示す立体図である。
図8において、図3図7に記載の構成要素と同一部分については同一符号を付し、その説明を省略する。また、6つ目のセットと前述した1~5つ目のセットとは基本的構成は同一であり、ここでは主として異なる点について説明する。
小本体部56は、番号札部56aと、不図示の小本体補強部と、小本体外装部56cと、不図示の筒部とを備えている。
番号札部56aは、円板状に形成されフェルトからなっている。番号札部56aの一方の主面には、数字の「6」が示される番号部が設けられており、他方の主面には面ファスナーが設けられている。
【0030】
小本体部56の幅寸法56Wは、小本体部51の幅寸法51Wの6倍になっている。すなわち、不図示の小本体補強部および小本体外装部56cの幅寸法が、それぞれ小本体補強部51bおよび小本体外装部51cの幅寸法の6倍になっている。
小本体外装部56cは、茶色のフェルトからなっており、直方体形状をなしている。小本体外装部56cの外面の正面部のうち、幅寸法56Wを6等分した一方の端部の中央には、面ファスナーが設けられており、この面ファスナーと番号札部56aの面ファスナーを介して、小本体外装部56cの正面部の一方の端部に番号札部56aが着脱可能に取り付けられるようになっている。また、小本体外装部56cの上面部のうち、幅寸法56Wを6等分したそれぞれの中央には、4本の切り込み線状部50dが十字状に設けられている。すなわち、小本体外装部56cの上面部には、6つの十字状部が、均等間隔を空けて小本体部52~55と同様に配列されている。
【0031】
小本体補強部の上面部のうち、幅寸法56Wを6等分したそれぞれの中央には、円形の開口部(不図示)が設けられている。また、小本体補強部の内方のうち、幅寸法56Wを6等分したそれぞれの下面部の内面中央には、筒部が一つずつ固定されて設けられている。すなわち、小本体補強部の内方には、幅方向Wに6つの筒部が、均等間隔を空けて小本体部52~55と同様に配列されている。そのため、小本体部56には、切り込み線50eと片部50gが設けられた蓋部50cおよび凹部50aが均等間隔を空けて6つ設けられている。
なお、6つの蓋部50cの隣り合う切り込み線50eの長さ寸法A1は、筒部の内径寸法A2に対して、1~5つ目のセットと同様にしてそれぞれ設定されている。
ピース部材10は、野菜の中で「ネギ」の意匠が施された6個のネギピース部材16とされている。ネギピース部材16は、ネギの先端部の葉の意匠が施された野菜先端部16aと、ネギの根元部の葉の意匠が施された野菜根元部16bとを備えている。野菜根元部16bの横断面形状は円形とされている。この野菜根元部16bには綿素材が充填されている。これにより、湿気を含みにくく軽くなるようになっている。
野菜根元部16bの外径寸法は、隣り合う切り込み線50eの長さ寸法A1に対して、1~5つ目のセットと同様にして設定されている。
なお、ネギピース部材16は、1~5つ目のセットと同様にして、凹部50aに抜き差しされるようになっている。
【0032】
図9は7つ目のセットの外観を示す立体図である。
図9において、図3図8に記載の構成要素と同一部分については同一符号を付し、その説明を省略する。また、7つ目のセットと前述した1~6つ目のセットとは基本的構成は同一であり、ここでは主として異なる点について説明する。
小本体部57は、番号札部57aと、不図示の小本体補強部と、小本体外装部57cと、不図示の筒部とを備えている。
番号札部57aは、円板状に形成されフェルトからなっている。番号札部57aの一方の主面には、数字の「7」が示される番号部が設けられており、他方の主面には面ファスナーが設けられている。
【0033】
小本体部57の幅寸法57Wは、小本体部51の幅寸法51Wの7倍になっている。すなわち、不図示の小本体補強部および小本体外装部57cの幅寸法が、それぞれ小本体補強部51bおよび小本体外装部51cの幅寸法の7倍になっている。
小本体外装部57cは、茶色のフェルトからなっており、直方体形状をなしている。小本体外装部57cの外面の正面部のうち、幅寸法57Wを7等分した一方の端部の中央には、面ファスナーが設けられており、この面ファスナーと番号札部57aの面ファスナーを介して、小本体外装部57cの正面部の一方の端部に番号札部57aが着脱可能に取り付けられるようになっている。また、小本体外装部57cの上面部のうち、幅寸法57Wを7等分したそれぞれの中央には、4本の切り込み線状部50dが十字状に設けられている。すなわち、小本体外装部57cの上面部には、7つの十字状部が、均等間隔を空けて小本体部52~56と同様に配列されている。
【0034】
小本体補強部の上面部のうち、幅寸法57Wを7等分したそれぞれの中央には、円形の開口部(不図示)が設けられている。また、小本体補強部の内方のうち、幅寸法57Wを7等分したそれぞれの下面部の内面中央には、筒部が一つずつ固定されて設けられている。すなわち、小本体補強部の内方には、幅方向Wに7つの筒部が、均等間隔を空けて小本体部52~56と同様に配列されている。そのため、小本体部57には、切り込み線50eと片部50gが設けられた蓋部50cおよび凹部50aが均等間隔を空けて7つ設けられている。
なお、7つの蓋部50cの隣り合う切り込み線50eの長さ寸法A1は、筒部の内径寸法A2に対して、1~6つ目のセットと同様にしてそれぞれ設定されている。
ピース部材10は、野菜の中で「ゴボウ」の意匠が施された7個のゴボウピース部材17とされている。ゴボウピース部材17は、ゴボウの先端部の葉の意匠が施された野菜先端部17aと、ゴボウの根元部の意匠が施された野菜根元部17bとを備えている。野菜根元部17bの横断面形状は円形とされている。この野菜根元部17bには綿素材が充填されている。これにより、湿気を含みにくく軽くなるようになっている。
野菜根元部17bの外径寸法は、隣り合う切り込み線50eの長さ寸法A1に対して、1~6つ目のセットと同様にして設定されている。
なお、ゴボウピース部材17は、1~6つ目のセットと同様にして、凹部50aに抜き差しされるようになっている。
【0035】
図10は8つ目のセットの外観を示す立体図である。
図10において、図3図9に記載の構成要素と同一部分については同一符号を付し、その説明を省略する。また、8つ目のセットと前述した1~7つ目のセットとは基本的構成は同一であり、ここでは主として異なる点について説明する。
小本体部58は、番号札部58aと、不図示の小本体補強部と、小本体外装部58cと、不図示の筒部とを備えている。
番号札部58aは、円板状に形成されフェルトからなっている。番号札部58aの一方の主面には、数字の「8」が示される番号部が設けられており、他方の主面には面ファスナーが設けられている。
【0036】
小本体部58の幅寸法58Wは、小本体部51の幅寸法51Wの8倍になっている。すなわち、不図示の小本体補強部および小本体外装部58cの幅寸法が、それぞれ小本体補強部51bおよび小本体外装部51cの幅寸法の8倍になっている。
小本体外装部58cは、茶色のフェルトからなっており、直方体形状をなしている。小本体外装部58cの外面の正面部のうち、幅寸法58Wを8等分した一方の端部の中央には、面ファスナーが設けられており、この面ファスナーと番号札部58aの面ファスナーを介して、小本体外装部58cの正面部の一方の端部に番号札部58aが着脱可能に取り付けられるようになっている。また、小本体外装部58cの上面部のうち、幅寸法58Wを8等分したそれぞれの中央には、4本の切り込み線状部50dが十字状に設けられている。すなわち、小本体外装部58cの上面部には、8つの十字状部が、均等間隔を空けて小本体部52~57と同様に配列されている。
【0037】
小本体補強部の上面部のうち、幅寸法58Wを8等分したそれぞれの中央には、円形の開口部(不図示)が設けられている。また、小本体補強部の内方のうち、幅寸法58Wを8等分したそれぞれの下面部の内面中央には、筒部が一つずつ固定されて設けられている。すなわち、小本体補強部の内方には、幅方向Wに8つの筒部が、均等間隔を空けて小本体部52~57と同様に配列されている。そのため、小本体部58には、切り込み線50eと片部50gが設けられた蓋部50cおよび凹部50aが均等間隔を空けて8つ設けられている。
なお、8つの蓋部50cの隣り合う切り込み線50eの長さ寸法A1は、筒部の内径寸法A2に対して、1~7つ目のセットと同様にしてそれぞれ設定されている。
ピース部材10は、野菜の中で「ニンジン」の意匠が施された8個のニンジンピース部材18とされている。ニンジンピース部材18は、ニンジンの先端部の葉の意匠が施された野菜先端部18aと、ニンジンの根元部の意匠が施された野菜根元部18bとを備えている。野菜根元部18bの横断面形状は円形とされている。この野菜根元部18bには綿素材が充填されている。これにより、湿気を含みにくく軽くなるようになっている。
野菜根元部18bの外径寸法は、隣り合う切り込み線50eの長さ寸法A1に対して、1~7つ目のセットと同様にして設定されている。
なお、ニンジンピース部材18は、1~7つ目のセットと同様にして、凹部50aに抜き差しされるようになっている。
【0038】
図11は9つ目のセットの外観を示す立体図である。
図11において、図3図10に記載の構成要素と同一部分については同一符号を付し、その説明を省略する。また、9つ目のセットと前述した1~8つ目のセットとは基本的構成は同一であり、ここでは主として異なる点について説明する。
小本体部59は、番号札部59aと、不図示の小本体補強部と、小本体外装部59cと、不図示の筒部とを備えている。
番号札部59aは、円板状に形成されフェルトからなっている。番号札部59aの一方の主面には、数字の「9」が示される番号部が設けられており、他方の主面には面ファスナーが設けられている。
【0039】
小本体部59の幅寸法59Wは、小本体部51の幅寸法51Wの9倍になっている。すなわち、不図示の小本体補強部および小本体外装部59cの幅寸法が、それぞれ小本体補強部51bおよび小本体外装部51cの幅寸法の9倍になっている。
小本体外装部59cは、茶色のフェルトからなっており、直方体形状をなしている。小本体外装部59cの外面の正面部のうち、幅寸法59Wを9等分した一方の端部の中央には、面ファスナーが設けられており、この面ファスナーと番号札部59aの面ファスナーを介して、小本体外装部59cの正面部の一方の端部に番号札部59aが着脱可能に取り付けられるようになっている。また、小本体外装部59cの上面部のうち、幅寸法59Wを9等分したそれぞれの中央には、4本の切り込み線状部50dが十字状に設けられている。すなわち、小本体外装部59cの上面部には、9つの十字状部が、均等間隔を空けて小本体部52~58と同様に配列されている。
【0040】
小本体補強部の上面部のうち、幅寸法59Wを9等分したそれぞれの中央には、円形の開口部(不図示)が設けられている。また、小本体補強部の内方のうち、幅寸法59Wを9等分したそれぞれの下面部の内面中央には、筒部が一つずつ固定されて設けられている。すなわち、小本体補強部の内方には、幅方向Wに9つの筒部が、均等間隔を空けて小本体部52~58と同様に配列されている。そのため、小本体部59には、切り込み線50eと片部50gが設けられた蓋部50cおよび凹部50aが均等間隔を空けて9つ設けられている。
なお、9つの蓋部50cの隣り合う切り込み線50eの長さ寸法A1は、筒部の内径寸法A2に対して、1~8つ目のセットと同様にしてそれぞれ設定されている。
ピース部材10は、野菜の中で「ダイコン」の意匠が施された9個のダイコンピース部材19とされている。ダイコンピース部材19は、ダイコンの葉の意匠が施された野菜先端部19aと、ダイコンの根元の意匠が施された野菜根元部19bとを備えている。野菜根元部19bの横断面形状は円形とされている。この野菜根元部19bには綿素材が充填されている。これにより、湿気を含みにくく軽くなるようになっている。
野菜根元部19bの外径寸法は、隣り合う切り込み線50eの長さ寸法A1に対して、1~8つ目のセットと同様にして設定されている。
なお、ダイコンピース部材19は、1~8つ目のセットと同様にして、凹部50aに抜き差しされるようになっている。
【0041】
次に、知育玩具1の使い方について説明する。
知育玩具1は、子どもによって、ピース部材10が凹部50aに抜き差しされたり、ピース部材10の数と対応する番号札部51a~59aが着脱されたり、数の大きさの順に小本体部51~59が配列されたりすることによって、子どもの知能の発達を促進させようとするものである。
この知育玩具1において、ピース部材10が凹部50aに抜き差しされる動作について説明する。
以下のようにして、ピース部材10が凹部50aに差し込まれる。
図14(A)に示すように、子どもが例えばネギピース部材16および小本体部56をそれぞれ手で把持する。そして、その子どもは、野菜根元部16bを下に向けて、野菜根元部16bの先から凹部50aに差し込んでいく。すなわち、野菜根元部16bが小本体外装部56cの片部50fを奥に押し下げて、さらに片部50gの弾性力に抗して片部50gを押し下げていく。そのため、片部50gの復元力が野菜根元部16bに加わり、摩擦によるネギピース部材16の差し込みの手応えが子どもに与えられる。そして、野菜根元部16bは、小本体外装部の内底面まで凹部50a内に差し込まれていく。これによって、図14(B)および図15(A)に示すように、片部50f,50gが野菜根元部16bによって押し下げられた状態になる。このとき、野菜根元部16bは小本体部56によって被覆され外観上見えなくなり、野菜先端部16aは小本体部56の上面部から突出した状態になる。
なお、野菜根元部16bは、小本体外装部の内底面まで差し込まれるとしているが、これに限ることはなく、凹部50aの高さ方向の途中位置まで差し込まれるようにしてもよい。
【0042】
この状態から、以下のようにしてピース部材10が凹部50aから引き抜かれる。
子どもがネギピース部材16および小本体部56をそれぞれ手で把持する。そして、その子どもは、ネギピース部材16を引き抜いていく。すなわち、野菜根元部16bが小本体外装部56cから離れる方向に移動する。すると、図14(C)および図15(B)に示すように、片部50f,50gが弾性力に抗して引き上げられる。このとき、片部50gが瞬間的に引き上げられることにより、蓋部50cおよび筒部50bが「ポン」と引き上げの音を鳴らす。それから、さらに野菜根元部16bが小本体外装部56cから離れる方向に移動していく。このとき、片部50gの復元力が野菜根元部16bに加わり、摩擦によるネギピース部材16の引き抜きの手応えが子どもに与えられる。さらに、野菜根元部16bが同方向に移動していき蓋部50cから抜き取られる。このとき、片部50gが復元力によって元に戻り、蓋部50cおよび筒部50bがさらに「スポッ」と引き抜きの音を鳴らす。このようにして、ピース部材10は、凹部50aから引き抜かれる。
【0043】
また、子どもは、ピース部材10が凹部50aに差し込まれている数を数えると、それらピース部材10の数に応じた番号札部51a~59aを把持し、番号札部51a~59aが小本体外装部51c~59cの正面部に着脱可能に取り付けられる。
また、子どもは、ピース部材10が凹部50aに差し込まれている小本体部51~59を把持して、数の大きさの順に手前側から奥側に配列していくことにより、図1および図2に示すように、小本体部51~59が順番に階段状に配列される。
さらに、子どもは、例えば、5つの凹部50aを有する小本体部55の前面に、2つの凹部50aを有する小本体部52と、3つの凹部50aを有する小本体部53とを幅方向Wに配列すると、小本体部52の幅寸法52Wと小本体部53の幅寸法53Wとが足し合わされた幅寸法は、小本体部55の幅寸法55Wと同一になり、幅方向Wの両端がそれぞれ揃って配列される。これにより、「2+3=5」という数の合成、分解による計数能力を促進させることができる。
【0044】
また、例えば、小本体部55の5つの凹部50aにアスパラピース部材15が3個差し込まれている場合に、子どもは、差し込まれている3個のアスパラピース部材15と、差し込まれていない2個のアスパラピース部材15と、これらアスパラピース部材15が差し込まれていない2つの十字状部(小本体外装部55c)を見る。そして、子どもは、差し込まれていない2個のアスパラピース部材15と、2つの十字状部が1対1に対応する様子を想像して、それぞれの十字状部にアスパラピース部材15を差し込んでいく。これにより、「3+2=5」という数の増加の理解を促進させることができ、またアスパラピース部材15が時間を空けて後から2個差し込まれることにより、時間の経過を経験させることができる。
また、例えば、小本体部55の5つの凹部50aにアスパラピース部材15が5個差し込まれている場合に、アスパラピース部材15が2個抜かれることにより、抜かれた2個のアスパラピース部材15と、2つの十字状部を見ることにより、上記と同様にして、数の減少の理解を促進させることができる。
また、例えば、子どもは、3個のホウレン草ピース部材13が差し込まれた小本体部53と、5個のアスパラピース部材15が差し込まれた小本体部55とを奥行方向に並べて、アスパラピース部材15が幅方向Wに突出している数を2個分数えることにより、アスパラはホウレン草よりも2個多いという数の比較の理解を促進させることができる。
【0045】
次いで、実施例および比較例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに何ら限定されるものではない。
(実施例)
隣り合う切り込み線50eの長さ寸法A1と、ピース部材10の野菜根元部の外径寸法とを変えて、5種類の長さ寸法A1が設定された蓋部50cと、10種類の外径寸法が設定された野菜根元部とを用いて、それぞれ野菜根元部を凹部から引き抜くときの音や手応えについて実験を行った。
【0046】
(筒部)
内径寸法約29mm、外径寸法約34mm、高さ寸法55mmの紙筒を用いた。
(蓋部)
厚さ寸法1mm、底面の直径寸法34mm、周壁部の高さ寸法26mmの6号サイズの5つのシリコンカップを用いた。
周壁部は、底面から拡径するように広がっていることから、周壁部に高さ方向の三角状の切り欠きを設けて縮径させることにより、周壁部が底面から垂直に延びるようにした。そして、このシリコンカップの底面部が筒部の開口端を塞ぐようにシリコンカップと筒部を配置し、シリコンカップの周壁部が筒部の外周面に当接した状態で輪ゴムとガムテープで固定して、筒部の先端にシリコンカップを取り付けた。
5つのシリコンカップの底面には、以下の5種類の切り込み線50eを設けた。
(1)隣り合う切り込み線50eの長さ寸法A1:約12mm
すなわち、長さ寸法A1が筒部の内径寸法約29mmに対して約40%に設定されている。
(2)隣り合う切り込み線50eの長さ寸法A1:約15mm
すなわち、長さ寸法A1が筒部の内径寸法約29mmに対して約50%に設定されている。
(3)隣り合う切り込み線50eの長さ寸法A1:約18mm
すなわち、長さ寸法A1が筒部の内径寸法約29mmに対して約60%に設定されている。
(4)隣り合う切り込み線50eの長さ寸法A1:約20mm
すなわち、長さ寸法A1が筒部の内径寸法約29mmに対して約70%に設定されている。
(5)隣り合う切り込み線50eの長さ寸法A1:約22mm
すなわち、長さ寸法A1が筒部の内径寸法約29mmに対して約80%に設定されている。
【0047】
(ピース部材)
隣り合う切り込み線50eの長さ寸法A1約12mmに対する比率のうち、70%、80%、90%、100%の比率は、それぞれ、約9mm、約10mm、約11mm、約12mmとなる。
また、隣り合う切り込み線50eの長さ寸法A1約15mmに対する比率のうち、60%、70%、80%、90%、100%の比率は、それぞれ、約9mm、約11mm、約12mm、約14mm、約15mmとなる。
また、隣り合う切り込み線50eの長さ寸法A1約18mmに対する比率のうち、50%、60%、70%、80%、90%、100%の比率は、それぞれ、約9mm、約11mm、約12mm、約14mm、約16mm、約18mmとなる。
また、隣り合う切り込み線50eの長さ寸法A1約20mmに対する比率のうち、50%、60%、70%、80%、90%、100%の比率は、それぞれ、約10mm、約12mm、約14mm、約16mm、約18mm、約20mmとなる。
また、隣り合う切り込み線50eの長さ寸法A1約22mmに対する比率のうち、50%、60%、70%、80%、90%、100%の比率は、それぞれ、約11mm、約14mm、約16mm、約18mm、約20mm、約22mmとなる。
そこで、ピース部材として、フェルト製からなり円柱状に形成した部材を用い、外径寸法をそれぞれ、約9mm、約10mm、約11mm、約12mm、約14mm、約15mm、約16mm、約18mm、約20mm、約22mmの10種類のサイズを用いた。
【0048】
それぞれ所定サイズのピース部材を5種類の筒部に抜き差しして、そのときの音や手応えについて、以下の4つの中から評価した。
(5)手応えが良く大変良い音がする
(4)手応えがやや良くやや良い音がする
(3)手応えおよび音ともに頼りない
(2)不可(手応えおよび音がほぼなし、または差し込みにくい)
【0049】
試験の結果を表1に示す。
なお、表の中の括弧の数字は、ピース部材の外径寸法であり、その下の各数字は、(2)~(5)の評価数字である。
【0050】
【表1】
【0051】
長さ寸法A1が約12mm(内径寸法に対して約40%)の場合、ピース部材の外径寸法が約70%、約80%、約90%、約100%のときに、評価数字がすべて「2」となった。
また、長さ寸法A1が約15mm(内径寸法に対して約50%)の場合、ピース部材の外径寸法が約60%、約70%、約80%、約90%、約100%のときに、評価数字がそれぞれ「4」、「5」、「5」、「5」、「5」となった。
また、長さ寸法A1が約18mm(内径寸法に対して約60%)の場合、ピース部材の外径寸法が約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約100%のときに、評価数字がそれぞれ「3」、「4」、「4」、「5」、「5」、「5」となった。
また、長さ寸法A1が約20mm(内径寸法に対して約70%)の場合、ピース部材の外径寸法が約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約100%のときに、評価数字がそれぞれ「3」、「4」、「4」、「5」、「5」、「5」となった。
また、長さ寸法A1が約22mm(内径寸法に対して約80%)の場合、ピース部材の外径寸法が約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約100%のときに、評価数字がそれぞれ「2」、「2」、「3」、「3」、「3」、「3」となった。
【0052】
(考察)
内径寸法に対して長さ寸法A1が40%未満の場合、長さ寸法A1が小さくなりすぎてしまい、ピース部材が差し込みにくくなってしまう。
また、この長さ寸法A1にピース部材の外径寸法を合わせようとすると、ピース部材が細く小さくなりすぎてしまい子どもたちにとっては差し込みにくくなってしまう。
一方、ピース部材の外径寸法に合わせて筒部の内径寸法を大きくしようとすると、筒部の内径寸法が大きくなりすぎてしまう。そのため、子どもの体の幅(腕の肘から手先の長さ)に比べて長くなって、取り回しがしづらくなるとともに、ピース部材の大きさが、子どもの手のひらでつかむのが難しくなってしまうだけでなく、収納スペースが多く必要になってしまう。
したがって、長さ寸法A1は、筒部の内径寸法に対して40%以上が好ましい。
【0053】
実験の結果、長さ寸法A1が内径寸法に対して約40%になると、全てのピース部材で「2」の評価になっている。具体的には、全てのピース部材が筒部に対して差し込みにくくなっていた。これは、長さ寸法A1に対してピース部材が細すぎてしまうため、ピース部材を差し込むときに当該ピース部材が折れ曲がってしまうからである。そのため、子どもにとっては非常に差し込みにくくなるものと思われる。
また、長さ寸法A1が内径寸法に対して80%になると、全てのピース部材で、「2」または「3」の評価になっている。具体的には、全ての部材で、「手応えおよび音がほぼなし」となった。これは、筒部50bの内壁と切り込み線50eの端部との距離が関係しており、その距離が短すぎると、蓋部50cの張りが弱まってしまうことによるものであると考えられる。ここで、ピース部材10が凹部50aから引き抜かれるときに「ポン」と引き上げの音がしたり、引き抜かれたときに「スポッ」と引き抜きの音がしたりするためには、太鼓の音が鳴るように、蓋部50cが適切に振動することが必要であるものと思われる。しかし、長さ寸法A1が内径寸法に対して80%になると、蓋部50cの張りが弱くなりすぎて適切に振動しなくなってしまい、「ポン」という引き上げの音や「スポッ」という引き抜きの音が鳴らなくなるものと思われる。
したがって、ピース部材10が凹部50aから引き抜かれるときに、「ポン」という引き上げの音や「スポッ」という引き抜きの音を鳴らして抜きの手応えを感じさせるためには、長さ寸法A1は、筒部50bの内径寸法に対して80%未満であることが好ましいものと考えられる。さらに、長さ寸法A1は、内径寸法に対して40%超~80%未満であれば、「4」または「5」の評価を得られることが分かる。
【0054】
また、長さ寸法A1が内径寸法に対して約40%および約80%の場合を除くとして、ピース部材の外径寸法L1は、長さ寸法A1に対して約50%に設定されると、評価した全ての外径寸法L1において、それぞれ「3」の評価になっている。そして、同様に、長さ寸法A1に対して約60%、約70%、約80%、約90%、約100%に設定されると、全ての外径寸法において、それぞれ「4」または「5」の評価になっている。したがって、ピース部材の外径寸法は、長さ寸法A1に対して約50%以下であると、手応えや音が相対的に弱くなり、約50%超~約100%であると、手応えや音が相対的に良くなることが分かる。特に、外径寸法が長さ寸法A1に対して約60%~約100%であると、手応えや音が相対的に良くなり、さらに、外径寸法が長さ寸法A1に対して約70%~約100%であっても、手応えや音が相対的に良くなる。さらには、外径寸法が長さ寸法A1に対して約80%~約100%であると、評価数字がすべて「5」になり、手応えや音が大変良くなることが分かる。
これは、ピース部材の外径寸法が長さ寸法A1に近づくほど、切り込み線50eとピース部材との間のすき間が小さくなり、このすき間から空気が逃げることを極力避けて蓋部50cを適切に振動させることができるだけでなく、ピース部材と蓋部50cとの摩擦力が大きくなるため、それに応じて手応えや音が良くなっていくものと考えられる。
それに対して、ピース部材の外径寸法が長さ寸法A1に対して小さくなると、切り込み線50eとピース部材との間のすき間が大きくなり、このすき間から空気が出入りしてしまい蓋部50cの適切な振動が阻害されてしまうだけでなく、ピース部材と蓋部50cとの摩擦力が小さくなるため、手応えや音が弱くなっていくものと考えられる。
また、外径寸法が長さ寸法A1に対して100%超に設定されると、ピース部材が切り込み線50eに対して大きくなりすぎてしまい、4つの片部50gが容易には開かなくなり切り込み線50eの端部が避け易くなってしまうことも考えられる。そのため、外径寸法L1は、長さ寸法A1に対して100%以下であることが好ましい。さらには、蓋部50cの耐久性を上げてピース部材の抜き差しを容易にするために、外径寸法L1が長さ寸法A1に対して100%未満であることが好ましい。
【0055】
次に、知育玩具1を実際に使用させたときの様子について説明する。
対象は、ある保育園での2歳児から5歳児までの8人の子どもとした。
最初に、保育者が、小本体部51~59の順番に、「何の野菜が小本体部51~59に隠れているか」について、クイズを出しながら子どもたちの前に知育玩具1を出した。その後、自由に遊ぶように促した。
その結果、子どもたちは以下のように行動した。
(行動の様子1)
保育者が、1から5までのピース部材10を凹部50aから順に出して紹介していくと、保育者が出すピース部材10に注目し、何が隠れているか興味を示した。さらに、保育者が、7から9までのピース部材10を凹部50aから順に出して紹介すると、子どもたちは、それぞれ自分の気に入ったピース部材10が埋め込まれた小本体部51~59を持ち、好きな場所で触って遊んだ。
徐々に本数が増えていることに子どもたちが気付き、次の数字は何かを予想しているようだった。
【0056】
(行動の様子2)
1人の子どもがピース部材10を声に出しながら数え出すと、近くにいた子どもも真似をして数えだした。どちらのピース部材10が多いのかを保育者が聞くと、2歳児は困った様子だったが、4歳児はすぐに数えだした。
2歳児は、保育者が指を指し示したピース部材10を抜きながら、一緒に数えた。
4歳児は、ピース部材10を1本ずつ抜きながら数えていた。
保育者が、それぞれ何本だったかを2人に聞いた。
2歳児は、1から9まで数えることができたものの、最後の数詞が全体を表すということはまだ理解できない様子だった。
4歳児は、答えてから、2つの小本体部58,59をくっ付けて前後方向に並べ、幅寸法の大きさにより、どちらが多いか視覚的に気付いていた。
【0057】
(行動の様子3)
ピース部材10を使って、ままごとの料理を始めた。ネギピース部材16を引き抜いて「ネギのスープが6個できた(5歳児)」と遊んでいた。他の子どもたちも、それぞれピース部材10を引き抜いてお弁当箱に入れて遊び始めた。
6つの凹部50aを有する小本体部56にネギピース部材16が3本差し込まれた状態を見て、「おかしいな、ネギが3本しかないのに、ここに6って書いてある(5歳児)」と、ピース部材10の数と番号札部56aが示す「6」の数が違うことに気づき、番号札部56aから、「3」を示す番号札部53aに付け替えた。
さらに、他の子どもが、2本のネギピース部材16を差し込んだ。「あ、2本増えた、5のやつどこだ?(5歳児)」と、数え直さなくても、何本増えたかを視覚的に捉え、どの数字の番号札部51a~59aを付けるべきか考えていた。
【0058】
(活動の様子4)
保育者が、どの野菜が一番多いか聞いてみた。
「一番多いのは、この9本のダイコンなんだよね。この畑(小本体部51~59)ではそうなってるんだよね。10がないからね(5歳児)」と、「10」の数がないことに気が付いていた。
誰も使っていない小本体部51~59を集めて数が大きい順に並べていた。「やっぱり、ダイコンが一番多いよ。ほら見て、ダイコンだけ飛び出してる(5歳児)」と、どの野菜が一番多いかを小本体部51~59を並べて幅寸法を比べることによって視覚的に伝えようとしていた。
【0059】
(行動の様子5)
片づける時間になったので、保育者が、片づけるように声をかけた。バラバラのまま片づけようとするので、小本体部51~59にピース部材10を差し込んで片づけるように促した。
「あれ、ゴボウが足りない。ゴボウはどこですか?(5歳児)」とゴボウピース部材17を探していた。保育者が、ゴボウはその小本体部ではないことを促すと、子どもは、一度、ゴボウピース部材17を全部引き抜いて数え直した。「出来た出来た、じゃあこれを並べてみよう(4歳児)」と、ゴボウピース部材17を数え直してから片づけていた。
また、子どもたちは、1から4までの小本体部51~54と、5~9までの小本体部55~59とを分けて、それぞれ多い順に並べた。それから、小本体部51~59を階段状にきれいに並べ、どの数が大きいか伝え合っていた。
【0060】
(考察)
今回、4歳児と5歳児に注目して観察を行った。最初は、1人1つ気に入ったピース部材10と小本体部51~59を持って、思い思いに遊ぶ様子が見られた。小本体部51~59からピース部材10を抜いたり差したりする活動のときには、どの子どもも自然と数を口にして数えていた。次第に他者を意識し、互いに使っている玩具に興味を示すようになっていった。特に、4歳児は、早い段階から他者との数の違いに気付き、数えて比べる活動を行っていた。また、5歳児は、ネギピース部材16を手にした後すぐに「ネギのスープを作る」と言って、ままごと遊びに活用していった。他の子どもは、ままごと遊びになると、あまり数を意識せずに遊んでいたが、5歳児の子は「畑からねぎを6本抜いて作る」など、数を意識して遊ぶ姿が見られた。
また、助数詞に注目すると、4歳児以下の子どもは「何個」や「いくつ」という言葉しか使っていなかったが、5歳児は「何本」という言葉も使って数を数えていた。降園する時間が近づくと、保育室には4歳児と5歳児が残った。すると、子どもたちは自発的に1の畑から9の畑を並べるという活動をしていた。9のダイコンピース部材19が一番多いということは遊びを通して理解していたが、その後に「8」を飛ばして「7」から順に並べてしまうという様子が見られた。しかし、すぐに「8」を抜かしていることに気付いていた。どうして気付いたのか聞くと、小本体部51~59の減り方から気付いたと言っており、視覚的に数を捉えることができていた。
【0061】
以上より、本実施形態における知育玩具1によれば、凹部50aに蓋部50cが設けられ、蓋部50cが切り込み線50eによって分けられた片部50gを備えることから、子どもがピース部材10および本体部材50を把持して、ピース部材10と蓋部50cとの抵抗感を味わいながら、ピース部材10を凹部50aに差し込むことができ、ピース部材10を凹部50aから引き抜くことができる。すなわち、ピース部材10と蓋部50cとの抵抗の感触を与えることにより、ピース部材10の抜き差し自体を楽しませることができる。また、ピース部材10が凹部50aから抜き差しされるときに、片部50gが内方または外方に弾性変形することにより、ピース部材10の抜き差しに応じて片部50gがまとわりつくように開閉することから、視覚的にも子どもに興味を持たせることができる。
そのため、知育玩具1によれば、エンターテイメント性を向上させることができる。
また、複数の切り込み線50eによって片部50gが複数設けられていることから、ピース部材10の抜き差しに応じて片部50gが複数の箇所からまとわりつくように開閉することから、エンターテイメント性を向上させることができる。
【0062】
また、切り込み線50eが偶数本設けられ、片部50gが蓋部50cの径方向に対向していることから、ピース部材10が抜き差しされるときにピース部材10を片部50gが抑える力を強くすることができ、抵抗感を味わいながらピース部材10を抜き差しすることができる。
また、切り込み線50eが4本設けられて十字状とされていることから、ピース部材10が抜き差しされるときに、ピース部材10を片部50gが抑える力を周方向に均等にすることができ、抵抗感を味わいながらピース部材10を抜き差しすることができる。
また、ピース部材10の外径寸法が、隣り合う切り込み線50eにわたる長さ寸法A1に対して、50%超~100%であることから、抵抗感を味わいながらピース部材10を抜き差しすることができるだけでなく、ピース部材10を凹部50aから引き抜いたときに、「スポッ」という引き抜きの音を出すことができ、エンターテイメント性を向上させることができる。また、ピース部材10を凹部50aから引き抜くときにも、片部50fが瞬間的に引き上げられることにより、「ポン」という引き上げの音を出すことができ、エンターテイメント性を向上させることができる。
また、隣り合う切り込み線50eにわたる長さ寸法A1が、凹部50aの内径寸法A2に対して80%未満であることから、抵抗感を味わいながらピース部材10を抜き差しすることができるだけでなく、ピース部材10を凹部50aから引き抜いたときに、「スポッ」という引き抜きの音を出すことができ、エンターテイメント性を向上させることができる。また、ピース部材10を凹部50aから引き抜くときにも、片部50fが瞬間的に引き上げられることにより、「ポン」という引き上げの音を出すことができ、エンターテイメント性を向上させることができる。
【0063】
また、ピース部材10の横断面形状が円形であることから、ピース部材10が抜き差しされるときにピース部材10に片部50gが局所的に引っかかることを防止することができる。
また、本体部材50は、幅寸法が段階的に大きくなるように設定されて複数種類設けられており、複数種類の本体部材50において幅寸法が大きくなるごとに凹部50aの設置数が多くなっていることから、ピース部材10を凹部50aに差し込んで本体部材50を配列することにより、視覚的に計数能力を促進させることができる。
また、ピース部材10が野菜先端部11a~19aと野菜根元部11b~19bとを備えていることから、本体部材50から野菜を抜き差しするように楽しみながらピース部材10を抜き差しすることができる。さらに、ピース部材10の抜き差しのときに弾性変形する片部50gを野菜の周りにまとわりつく土のように視覚的に見せることができ、楽しみながらピース部材10を抜き差しすることができる。
【0064】
また、ピース部材10が凹部50aに差し込まれると、野菜根元部11b~19bが凹部50aに差し込まれて被覆され、野菜先端部11a~19aが凹部50aから突出するようになっていることから、凹部50aに差し込まれたピース部材10を抜きたくなる意欲を促進させることができるだけでなく、把持したピース部材10を凹部50aに差し込みたくなる意欲を促進させることができる。
また、小本体外装部51cの上面部の外蓋と、蓋部50cによる内蓋とで二重蓋となっており、片部50f,50gが互いに非接着となっていることから、ピース部材10の抜き差しに応じて片部50f,50gが内方および外方に弾性変形する。そのため、抵抗感を味わいながらピース部材10を抜き差しすることができ、ピース部材10の抜き差しに応じて片部50f,50gが絡みつくように視覚的に見せることができ、エンターテイメント性を向上させることができる。
また、ピース部材10および小本体外装部51cがフェルトからなっていることから、子どもが口に入れても害を与えないようにすることができる。
【0065】
なお、本発明の技術範囲は上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の変更を加えることが可能である。
例えば、切り込み線50eによって分けられる片部50gが蓋部50cに設けられるとしたが、これに限ることはなく、これら切り込み線50eおよび片部50gは設けられていなくてもよい。この場合、蓋部50cに開口部が空いていてもよい。その開口部の径寸法は、野菜根元部11b~19bの外径寸法より小さくなっているのが好ましい。
また、切り込み線50eが偶数本設けられて片部50gが蓋部50cの径方向に対向しているとしたが、これに限ることはなく、適宜変更可能である。例えば、切り込み線50eが、奇数本設けられていてもよいし、片部50gが径方向に対向していなくてもよい。ただし、図16(B)に示すように、切り込み線50eが奇数本設けられると、片部50gが径方向に対向して配置されなくなるため、片部50gが弾性変形したときの復元力がピース部材10に分散してしまう。それに対して、図16(A)に示すように、切り込み線50eが偶数本設けられて片部50gが径方向に対向配置されていた方が、片部50gが弾性変形したときの復元力が径方向に対向した方向からピース部材10にかかるので、ピース部材10を抑える力が強くなって好ましい。
【0066】
また、切り込み線50eが4本設けられて十字状とされているとしたが、これに限ることはなく、切り込み線50eの設置数は適宜変更可能である。例えば、切り込み線50eが1本~3本でもよいし、5本以上であってもよい。
また、ピース部材10の外径寸法が、隣り合う切り込み線50eの長さ寸法A1に対して、50%超~100%であるとしているが、これに限ることはなく、その数値は適宜変更可能である。例えば、50%以下であってもよいし、100%超であってもよい。
また、長さ寸法A1が、凹部50aの内径寸法A2に対して、80%未満であるとしたが、これに限ることはなく、その数値は適宜変更可能である。例えば、80%以上であってもよいし、40%以下であってもよい。
また、ピース部材10の根元の横断面形状が円形であるとしたが、これに限ることはなく、その形状は適宜変更可能である。例えば、多角形や星形、ハート型などの形状であってもよい。なお、円形には、半円や楕円なども含まれる。
【0067】
また、本体部材50は、その幅寸法が段階的に大きくなるように設定されているとしたが、これに限ることはなく、その幅寸法は適宜変更可能である。また、本体部材50の幅寸法が、比例して大きくなるように設定されているとしたが、適宜変更可能である。例えば、幅寸法が全て同一であってもよいし、段階的に大きくなっていなくてもよい。
また、凹部50aの設置数が、本体部材50の幅寸法が大きくなるごとに多くなっているとしたが、これに限ることはなく、その設置数は適宜変更可能である。例えば、凹部50aの設置数を全て同一にしてもよいし、その設置数を適宜増減させていてもよい。
また、ピース部材10にそれぞれ野菜の意匠が施されているとしたが、これに限ることはなく、野菜の種類や数字による野菜の順番等も適宜変更可能である。
また、ピース部材10が野菜の意匠が施されているとしたが、これに限ることはなく、その構成は適宜変更可能である。例えば、野菜の他にも、果物や米などの植物であってもよいし、人間、動物、魚、昆虫などの生物であってもよいし、さらに、車、船などの製造物であってもよい。
また、ピース部材10が凹部50aに差し込まれると、ピース部材10の根元部が被覆され、先端部が凹部50aから突出するとしているが、これに限ることはなく、その構成は適宜変更可能である。例えば、ピース部材10が凹部50aに差し込まれると、ピース部材10がすべて凹部50aに差し込まれてもよいし、被覆されなくてもよい。
【0068】
また、ピース部材10および小本体外装部51cがフェルトからなるとしたが、これに限ることはなく、その素材は適宜変更可能である。例えば、紙、布、皮、樹脂または金属等であってもよい。
また、小本体補強部51bが紙製であるとしたが、これに限ることはなく、その素材は適宜変更可能である。例えば、布、皮、樹脂や金属であってもよい。
また、小本体外装部51cの上面部と蓋部50cとで二重の蓋としているが、これに限ることはなく、その構成は適宜変更可能である。例えば、小本体外装部51cの上面部が開口されていてもよい。また、切り込み線状部50dが4本設けられて十字状とされているとしたが、これに限ることはなく、切り込み線状部50dの設置数は適宜変更可能である。例えば、切り込み線状部50dが1本~3本でもよいし、5本以上であってもよい。
また、小本体外装部51cの上面部の切り込み線状部50dによる十字状部と、蓋部50cの切り込み線50eによる十字状部との回転位置は、同一であってもよいし、ずらしていてもよい。なお、回転位置とは、筒部50bの軸線方向に延びる回転軸線を中心とした回転方向における位置をいう。小本体外装部51cと蓋部50cとの十字状部の回転位置がずれていることにより、ピース部材10の抜き差しにおける片部50f,50gがピース部材10に他方向からまとわりつくようになり、視覚的に楽しみながらピース部材10を抜き差しすることができる。
また、片部50fと片部50gとは非接着としているが、これに限ることはなく、片部50f,50gを互いに接着してもよい。これにより、ピース部材10を抜き差しする際に片部50f,50gの開閉の見た目をシンプルにすることができる。
【0069】
また、蓋部50cがシリコンからなるとしたが、これに限ることはなく、その素材は適宜変更可能である。例えば、紙、皮、布、樹脂または金属であってもよい。なお、蓋部50cは、例えば、皮、布または樹脂などの弾性部材からなることが好ましい。
また、小本体部51~59およびピース部材10が、9種類からなるとしたが、これに限ることはなく、その種類数は適宜変更可能である。8種類以下であってもよいし、10種類以上であってもよい。それら種類数は、小本体部51~59とピース部材10とで異なっていてもよい。
また、凹部50aが10個設けられて幅寸法が小本体部51の10倍となっている小本体部を設けてもよい。これにより、「10」の数を分解したり合成したりすることができる。
【0070】
既述の実施形態に関し、さらに以下の付記を示す。
(付記1)
凹部が設けられた本体部材と、
前記凹部に抜き差しされるピース部材とを備え、
前記凹部を覆う蓋部が設けられており、
前記蓋部が、切り込み線によって分けられて前記ピース部材の抜き差しに応じて開閉する片部を備えている知育玩具。
【0071】
(付記2)
前記切り込み線が偶数本設けられ、前記片部が前記蓋部の径方向に対向している付記1に記載の知育玩具。
【0072】
(付記3)
前記切り込み線が4本設けられて十字状とされている付記2に記載の知育玩具。
【0073】
(付記4)
前記ピース部材の径寸法が、一の前記切り込み線と線上に隣り合う前記切り込み線にわたる長さ寸法に対して、50%超~100%である付記1から付記3のいずれか一項に記載の知育玩具。
【0074】
(付記5)
一の前記切り込み線と線上に隣り合う前記切り込み線にわたる長さ寸法が、前記凹部の内径寸法に対して、80%未満である付記1から付記4のいずれか一項に記載の知育玩具。
【0075】
(付記6)
前記ピース部材の横断面形状が円形である付記1から付記5のいずれか一項に記載の知育玩具。
【0076】
(付記7)
前記本体部材は、幅寸法が段階的に大きくなるように設定されて複数種類設けられており、
複数種類の前記本体部材において前記幅寸法が大きくなるごとに前記凹部の設置数が多くなっている付記1から付記6のいずれか一項に記載の知育玩具。
【0077】
(付記8)
前記ピース部材は、野菜の先端部の意匠が施された野菜先端部と、野菜の根元部の意匠が施された野菜根元部とを備え、
前記ピース部材が前記凹部に差し込まれると、前記野菜根元部が前記凹部に差し込まれて被覆され、前記野菜先端部が前記凹部から突出するようになっている付記1から付記7のいずれか一項に記載の知育玩具。
【符号の説明】
【0078】
1 知育玩具
10 ピース部材
11a~19a 野菜先端部
11b~19b 野菜根元部
50 本体部材
50a 凹部
50c 蓋部
50e 切り込み線
50g 片部
A1 長さ寸法
L1 外径寸法(径寸法)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16