(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-23
(45)【発行日】2024-01-31
(54)【発明の名称】消防車用の樹脂製タンク
(51)【国際特許分類】
B65D 88/10 20060101AFI20240124BHJP
A62C 27/00 20060101ALI20240124BHJP
B65D 90/22 20060101ALI20240124BHJP
【FI】
B65D88/10 Z
A62C27/00 501
B65D90/22 C
(21)【出願番号】P 2020069748
(22)【出願日】2020-04-08
【審査請求日】2023-03-17
(73)【特許権者】
【識別番号】520125128
【氏名又は名称】株式会社テクト
(74)【代理人】
【識別番号】100157428
【氏名又は名称】大池 聞平
(74)【代理人】
【識別番号】110003155
【氏名又は名称】弁理士法人バリュープラス
(72)【発明者】
【氏名】西川 和人
【審査官】宮崎 基樹
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第04662287(US,A)
【文献】特開平10-324394(JP,A)
【文献】特開2014-024256(JP,A)
【文献】特開2000-128281(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 88/00-90/66
A62C 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器部と、前記容器部に接合される天板とを有し、消防車の液体貯留タンクとして用いられる、消防車用の樹脂製タンクであって、
前記容器部の内部空間を第1方向に仕切る第1仕切板と、
前記容器部の内部空間を第1方向とは直交する第2方向に仕切る第2仕切板と、
前記天板の内面において外周より内側の領域から突出する第1接合用突出板及び第2接合用突出板とを備え、
前記第1接合用突出板と前記第1仕切板は、一方が他方を挟み込む状態ではなく、1枚の前記第1接合用突出板と1枚の前記第1仕切板とが重ね合わされて締結材により接合され、
前記第2接合用突出板と前記第2仕切板は、一方が他方を挟み込む状態ではなく、1枚の前記第2接合用突出板と1枚の前記第2仕切板とが重ね合わされて締結材により接合されている、消防車用の樹脂製タンク。
【請求項2】
容器部と、前記容器部に接合される天板とを有し、消防車の液体貯留タンクとして用いられる、消防車用の樹脂製タンクであって、
前記容器部の内部空間を仕切る仕切板と、
前記天板又は側壁の内面において外周より内側の領域から突出する接合用突出板とを備え、
前記接合用突出板は、前記仕切板に対し重ね合わされて締結材により接合され、
前記容器部には、前記仕切板に比べて高さが低く前記容器部の上部だけに掛け渡された接合用横長板が一体化され、
前記天板の下面からは、前記接合用突出板として、前記仕切板に重ね合わされて締結材により接合される主突出板に加え、前記接合用横長板に重ね合わされて締結材により接合される副突出板が突出している、消防車用の樹脂製タンク。
【請求項3】
前記接合用突出板は、前記天板の下面から突出し、
前記仕切板は、前記容器部に一体化されている、請求項2に記載の消防車用の樹脂製タンク。
【請求項4】
当該樹脂製タンクの外側からの溶接により、前記天板の外周部が前記
容器部の側壁の上端部に接合されている、請求項1又は2に記載の消防車用の樹脂製タンク。
【請求項5】
前記側壁の上端の高さは、前記天板の上面の高さ以下である、請求項4に記載の消防車用の樹脂製タンク。
【請求項6】
前記容器部には、上下に延びる接合用縦長板が一体化され、
前記天板の下面からは、前記接合用突出板に比べて横方向の寸法が小さい小型突出板が突出し、
前記小型突出板は、前記接合用縦長板に対し重ね合わされて締結材により接合されている、請求
項2に記載の消防車用の樹脂製タンク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、消防車の液体貯留タンクとして用いられる樹脂製タンク等に関する。
【背景技術】
【0002】
消防車の液体貯留タンクは、大きな流量で液体が導入又は放出される場合があり、そのような場合に天板や側壁に大きな内圧が作用する。そのため、天板など内圧が作用する部材を強固に接合して一体化することが必要がある。
【0003】
また、従来から、消防車の液体貯留タンクとして樹脂製タンクが用いられている。特許文献1には、消防車の液体貯留タンクとして樹脂製タンクが記載されている。特許文献1の
図2に記載の液体貯留タンクでは、溶接により底板と側壁が接合され、溶接により側壁と天板も接合されている。溶接としては、三重溶接などが利用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1に記載の液体貯留タンクは、天板の面積が比較的大きいにも拘わらず、天板の外周部だけが側壁により支持されているため、天板が下方に撓みやすい。この場合、下方への撓みを抑制するために、天板の厚みを大きくする必要があり、その分だけタンクの重量が増加する。
【0006】
他方、樹脂製タンクの容器部に設けた仕切板により、天板のうち外周より内側の領域を支持することで、天板の厚みを抑制することができ、タンクの重量も軽減できる。この場合に、容器部に対する天板の接合強度を確保するために、側壁と天板の接合と同じように、溶接により天板と仕切板を接合することが考えられる。しかし、消防車の液体貯留タンクの内部には、仕切板や配管など比較的多くの部材が設けられている。そのため、タンクの内部で溶接作業のスペースを確保することは容易ではない。また、天板に設けたスリットに仕切板を通して、タンクの外側から、天板に対し仕切板の溶接作業を行うことも考えられるが、この場合は構成が複雑になる。
【0007】
また、側壁に対する仕切板の接合について、天板の面積が比較的大きいタンクの場合、天板の接合前であれば、タンクの内部で溶接作業を行うことが可能である。しかし、天板の面積が比較的小さいタンクの場合、天板の接合前であっても、溶接作業のスペースを確保することは容易ではない。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、消防車用の樹脂製タンクにおいて、天板又は側壁に対する仕切板の接合強度を確保しつつ、タンク内での接合作業について作業性に優れた樹脂製タンクを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述の課題を解決するべく、第1の発明は、容器部と、容器部に接合される天板とを有し、消防車の液体貯留タンクとして用いられる、消防車用の樹脂製タンクであって、容器部の内部空間を仕切る仕切板と、天板又は側壁の内面において外周より内側の領域から突出する接合用突出板とを備え、接合用突出板は、仕切板に対し重ね合わされて締結材により接合されている。
【0010】
第2の発明は、第1の発明において、接合用突出板は、天板の下面から突出し、仕切板は、容器部に一体化されて、接合用突出板が仕切板に対し重ね合わされて締結材により接合されることにより、天板が容器部に接合される。
【0011】
第3の発明は、第2の発明において、樹脂製タンクの外側からの溶接により、天板の外周部が側壁の上端部に接合されている。
【0012】
第4の発明は、第2又は第3の発明において、側壁の上端の高さは、天板の上面の高さ以下である。
【0013】
第5の発明は、第2乃至第4の何れか1つの発明において、容器部には、仕切板に比べて高さが低く容器部の上部に掛け渡された接合用横長板が一体化され、天板の下面からは、接合用突出板として、仕切板に重ね合わされて締結材により接合される主突出板に加え、接合用横長板に重ね合わされて締結材により接合される副突出板が突出している。
【0014】
第6の発明は、第2乃至第5の何れか1つの発明において、容器部には、上下に延びる接合用縦長板が一体化され、天板の下面からは、接合用突出板に比べて横方向の寸法が小さい小型突出板が突出し、小型突出板は、接合用縦長板に対し重ね合わされて締結材により接合されている。
【0015】
第7の発明は、第6の発明において、接合用突出板は、側壁の内面から突出し、接合用突出板が仕切板に対し重ね合わされて締結材により接合されることにより、仕切板が容器部に接合される。
【発明の効果】
【0016】
本発明では、天板又は側壁に対し接合用突出板を設けて、その接合用突出板が締結材により仕切板と接合されるようにしている。締結材は、例えばボルトのように頭部及び軸部がある部材であり、ボルト以外にピン、リベットなどである。そのため、溶接に比べてコンパクトな作業道具で接合作業を行うことができる。本発明によれば、消防車用の樹脂製タンクにおいて、天板又は側壁に対する仕切板の接合強度を確保しつつ、タンク内での接合作業について作業性に優れた樹脂製タンクを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は、実施形態に係る樹脂製タンクの斜視図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る樹脂製タンクの容器部を斜め上方から見た斜視図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る樹脂製タンクの天板を斜め下方から見た斜視図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る樹脂製タンクについて、側壁の上端部に天板を載置した状態を説明するための図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係る樹脂製タンクについて、容器部に対し天板を接合する前の内部の斜視図である。
【
図6】
図6は、実施形態に係る樹脂製タンクについて、容器部に対し天板を接合した状態の内部の斜視図である。
【
図7】
図7は、その他の実施形態に係る樹脂製タンクであって、その内部構造を説明するための斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、以下の実施形態は、本発明の一例であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【0019】
[樹脂製タンクの概略構成]
本実施形態に係る消防車用の樹脂製タンク10は、消防ポンプ自動車、水槽付消防車又は化学消防車などの消防車に搭載される液体貯留タンクである。樹脂製タンク10には、消防車のノズルから放出される液体が貯留される。樹脂製タンク10の容量は例えば500リットル以上であり、樹脂を材料に用いるタンクの中で樹脂製タンク10は大型である。樹脂製タンク10の材料には、耐衝撃性が高く耐薬品性に優れた樹脂(ポリプロピレンなど)を用いることができる。
【0020】
樹脂製タンク10は、
図1に示すように、略直方体状(又は略立方体状)に形成されている。樹脂製タンク10は、上方が開放された容器部15と、容器部15の上側開口を塞ぐように容器部15に接合される天板20とを備えている。なお、樹脂製タンク10の形状は、略直方体状に限定されない。
【0021】
以下では、樹脂製タンク10の天板20の長辺の延伸方向を「第1方向」、その第1方向に直交する方向を「第2方向」と言う(
図2参照)。消防車に樹脂製タンク10を搭載した状態では、第1方向が消防車の前後方向となる。
【0022】
[容器部の構成]
容器部15は、
図2に示すように、底板11と、底板11の外周から上方に立ち上がる4枚の側壁12とにより構成されている。また、容器部15内には、容器部15に一体化されて、容器部15の内部空間を仕切る複数の仕切板14a~14dが設けられている。各仕切板14a~14dは、消防車の走行中などに樹脂製タンク10が揺れた場合に貯留している液体が大きく波打つことを抑制する防波板として機能する。
【0023】
各仕切板14a~14dは、平面視において第1方向又は第2方向に沿って樹脂製タンク10の内部空間を区画している。樹脂製タンク10は、複数の仕切板14a~14dにより複数の部屋に区画されている。各部屋のスペースは、作業者が溶接作業を行うには狭い。
【0024】
各仕切板14a~14dは、容器部15に対し、横方向の端部と下端部とが接合されている。具体的に、各仕切板14a~14dは、下端部が底板11に、横方向の端部の一方が側壁12に、端部の他方が側壁12又は他の仕切板14a~14dに接合されている。なお、仕切板14a~14dは、底板11に接合されているものに限定されず、例えば底板11に対し距離を空けて設けてもよい。
【0025】
各仕切板14a~14dの上部には、複数のボルト穴30が形成されている。全てのボルト穴30は、略同じ高さに形成されている。各仕切板14a~14dでは、平面視における延伸方向(仕切り方向)に沿って、複数のボルト穴30が間隔を隔てて配置されている。
【0026】
各仕切板14a~14dでは、ボルト穴30の形成高さより下方に大型窓部16が形成され、ボルト穴30の形成高さより上方に大型窓部16に比べて面積が小さい小型窓部17が形成されている。大型窓部16は、例えば円形の貫通孔である。容器部15では、複数の大型窓部16により、複数の仕切板14a~14dにより区画された複数の部屋が互いに繋がっている。また、小型窓部17は、長方形の下辺を下側に少し膨らませた外周形状の貫通孔である。
【0027】
容器部15には、仕切板14a~14dに比べて高さが低く容器部15の上部に掛け渡された複数の接合用横長板18が一体化されている。各接合用横長板18は、略長方形状に形成されている。各接合用横長板18の横方向の端部は、一方が仕切板14の上部(上端部)に接合され、他方が側壁12の上部(上端部)に接合されている。各接合用横長板18では、仕切板14のボルト穴30と略同じ高さに複数のボルト穴30が形成され、仕切板14の小型窓部17と略同じ高さに複数の小型窓部17が形成されている。
【0028】
容器部15には、上下に延びる複数の接合用縦長板19が一体化されされている(
図2及び
図5参照)。また、容器部15には、4枚の側壁12が外側へ撓むことを抑制するために、4枚の側壁12の内面に対し枠状部材23が接合されている。本実施形態では、底板11と天板20との間における互いに異なる高さに、2つの枠状部材23が設けられている。なお、枠状部材23の枚数は、樹脂製タンク10の高さなどに応じて適宜設計される。
【0029】
各接合用縦長板19は、横方向の外側端部が側壁12の内面に接合されている(
図2参照)。また、各接合用縦長板19は、枠状部材23に一体化されている。各接合用縦長板19の上部には、仕切板14a~14dのボルト穴30と略同じ高さに、複数のボルト穴30が形成されている。
【0030】
[天板の構成]
天板20は、略長方形状に形成されている。天板20の外側には、蓋体が取り付けられた点検口21が設けられている。また、天板20の内面(下面)からは、
図3に示すように、横長の略長方形状に形成された複数の上側突出板24,28と、上側突出板24,28に比べて横方向の寸法が小さい複数の小型突出板29とが突出している。
【0031】
各上側突出板24,28は、接合用突出板に相当する。各小型突出板29は、略正方形状又は略長方形状に形成され、上側突出板24,28とは高さが略同じである。各上側突出板24,28及び各小型突出板29は、天板20の下面において外周より内側の領域から下方に突出し、天板20に対し略垂直に突き合わされて溶接により接合されている。
【0032】
複数の上側突出板24,28は、仕切板14a~14dに重ね合わされてボルト41により接合される複数の主突出板24と、接合用横長板18に重ね合わされてボルト41により接合される複数の副突出板28を含む。
【0033】
複数の主突出板24は、平面視において複数の仕切板14a~14dに対応する位置に配置されている。各主突出板24の下部には、その主突出板24に比べて高さが低い調整板24aが重ね合わされている。また、各主突出板24には、対応する仕切板14a~14dと同数のボルト穴35が、仕切板14a~14dのボルト穴30に対応する位置に形成されている。また、各主突出板24には、対応する仕切板14a~14dと同数の小型窓部27が、仕切板14a~14dの小型窓部17に対応する位置に形成されている。
【0034】
複数の副突出板28は、平面視において複数の接合用横長板18に対応する位置に配置されている。各副突出板28の下部には、その副突出板28に比べて高さが低い調整板28aが重ね合わされている。また、各副突出板28には、対応する接合用横長板18と同数のボルト穴35が、接合用横長板18のボルト穴30に対応する位置に形成されている。また、各副突出板28には、対応する接合用横長板18と同数の小型窓部27が、接合用横長板18の小型窓部17に対応する位置に形成されている。
【0035】
複数の小型突出板29は、平面視において複数の接合用縦長板19に対応する位置に配置されている。各小型突出板29の下部には、その小型突出板29に比べて高さが低い調整板29aが重ね合わされている。また、各小型突出板29には、対応する接合用縦長板19と同数のボルト穴35が、接合用縦長板19のボルト穴30に対応する位置に形成されている。
【0036】
[容器部に対する天板の接合]
樹脂製タンク10の製造工程において、容器部15に対し天板20を接合する接合工程について説明を行う。
【0037】
接合工程では、まず、容器部15の各側壁12と各仕切板14a~14dとに、天板20が載置される。各側壁12の上端部は、
図4に示すように、上端部の厚みをその下側より厚みを薄くすることで、天板20を載せる段部12aが形成されている。段部12aに天板12を載置した状態では、側壁12の上端が天板20の上面以下となる。
【0038】
この天板20の載置状態では、
図5に示すように、各主突出板24が、対応する仕切板14a~14dに対し重なる。また、各主突出板24のボルト穴35は仕切板14a~14dのボルト穴30に重なり、各主突出板24の小型窓部27は仕切板14a~14dの小型窓部17に重なる。そして、作業者によって、
図6に示すように、一組のボルト穴30及びボルト穴35に対しボルト41がねじ込まれ、ボルト41の先端側にナットが締め付けられる。これにより、各主突出板24が、対応する仕切板14a~14dに接合される。
【0039】
また、天板20の載置状態では、各副突出板28が、対応する接合用横長板18に対し重なる。また、各副突出板28のボルト穴35は接合用横長板18のボルト穴30に重なり、各副突出板28の小型窓部27は接合用横長板18の小型窓部17に重なる。そして、作業者によって、一組のボルト穴30及びボルト穴35に対しボルト41がねじ込まれ、ボルト41の先端側にナットが締め付けられる。これにより、各副突出板28が、対応する接合用横長板18に接合される。
【0040】
また、天板20の載置状態では、各小型突出板29が、対応する接合用縦長板19に対し重なる。また、各小型突出板29のボルト穴35は接合用縦長板19のボルト穴30に重なる。そして、作業者によって、一組のボルト穴30及びボルト穴35に対しボルト41がねじ込まれ、ボルト41の先端側にナットが締め付けられる。これにより、各小型突出板29が、対応する接合用縦長板19に接合される。
【0041】
さらに、容器部15に対する天板20の接合では、溶接により、天板20の外周が4枚の側壁12の上端部に接合される。そして、溶接直後は、
図4において点線で示すように、溶接箇所が少し突出した状態になるが、研磨により突出部分が除去される。以上により、天板20の接合工程は完了する。
【0042】
[実施形態の効果等]
本実施形態では、天板20に上側突出板24を設けて、その上側突出板24がボルト41により仕切板14a~14dに接合されるようにしている。そのため、溶接に比べてコンパクトな作業道具で、接合作業を行うことができる。本実施形態によれば、天板20に対する仕切板14の接合強度を確保しつつ、タンク内での接合作業について作業性に優れた消防車用の樹脂製タンク10を提供することができる。
【0043】
また、本実施形態では、仕切板14a~14dに比べて高さが低い接合用横長板18を設けて、接合用横長板18に対しボルト41により上側突出板28を接合している。そのため、樹脂製タンク10の重量の増加を抑制しつつ、容器部15に対する天板20の接合強度を高めることができる。
【0044】
また、本実施形態では、天板20の下面に、上側突出板24,28に比べて横方向の寸法が小さい小型突出板29を設けて、容器部15に一体化された接合用縦長板19に対しボルト41により小型突出板29を接合している。そのため、容器部15に対する天板20の接合強度をさらに高めることができる。
【0045】
ここで、消防車用の樹脂製タンク10は、特許文献1に記載の樹脂製タンクは、三重溶接を利用して、側壁12に対し天板20を強固に接合している。しかし、側壁の上端が天板の上面より突出しており、使用時に天板20の上側に水が溜まり、水の除去作業が必要となる。
【0046】
他方、
図4に示す状態で側壁12に対し天板20を接合する場合、三重溶接に比べて接合強度が低いため、設計内圧に対し接合強度が不足する虞がある。この場合に、天板に設けたスリットに仕切板を通して、タンクの外側から天板に対し仕切板を溶接する方法が考えられるが、この方法の場合、タンク内での溶接作業は発生しないが、構成が複雑になる上、接合強度を十分に補うことは容易ではない。
【0047】
それに対し、本実施形態では、設計内圧に対し十分な接合強度を確保できるように、天板20に比較的多くの突出板24,28,29を設けて、各突出板24,28,29をボルト41により仕切板14a~14d等に接合している。そのため、
図4に示すように、各側壁12の上端の高さを天板20の上面以下にすることができ、上側に水が溜まりにくい樹脂製タンク10を提供することができる。特に、本実施形態では、容器部15側のボルト穴30と天板20側のボルト穴35とを略同じ寸法(直径)にし、さらにボルト穴30,35の直径がボルト41の軸部の外径と略同じである。つまり、ボルト穴30,35とボルト41との間に遊びが設けられていない。そのため、天板20の設置高さの誤差が小さく、各側壁12の上端の高さが天板20の上面以下の樹脂製タンク10を確実に製造することができる。
【0048】
[その他の実施形態]
上記実施形態において、
図7に示すように、側壁12の内面から突出する接合用突出板34を設け、接合用突出板34を仕切板14に対し重ね合わせて、ボルトなどの締結材41により接合することで、仕切板14を容器部15に接合してもよい。この場合に、
図7に示すように天板20の面積が比較的小さい消防車用の樹脂製タンク10であれば、天板20と仕切板14のボルト接合は行わずに、天板20の外周のみを側壁12に接合してもよいし、上述の実施形態と同様に、天板20と仕切板14のボルト接合を行ってもよい。なお、
図7では、手前側の2枚の側壁12について記載を省略している。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明は、消防車の液体貯留タンクとして用いられる樹脂製タンク等に適用可能である。
【符号の説明】
【0050】
10 消防車用の樹脂製タンク
11 底板
12 側壁
14 仕切板
15 容器部
20 天板
24 上側突出板、主突出板(接合用突出板)
41 締結材(ボルト)