(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-23
(45)【発行日】2024-01-31
(54)【発明の名称】ワークの半導体層の一面をエッチングするための装置及び方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/3063 20060101AFI20240124BHJP
H01L 21/683 20060101ALI20240124BHJP
H01L 21/677 20060101ALI20240124BHJP
【FI】
H01L21/306 L
H01L21/68 N
H01L21/68 B
(21)【出願番号】P 2020564481
(86)(22)【出願日】2019-05-06
(86)【国際出願番号】 EP2019061548
(87)【国際公開番号】W WO2019219430
(87)【国際公開日】2019-11-21
【審査請求日】2022-04-05
(31)【優先権主張番号】102018111858.9
(32)【優先日】2018-05-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】518140298
【氏名又は名称】ネックスヴァーフェ・ゲー・エム・ベー・ハー
【氏名又は名称原語表記】NEXWAFE GMBH
【住所又は居所原語表記】HANS‐BUNTE‐STRASSE 19, 79108 FREIBURG, BUNDESREPUBLIK DEUTSCHLAND
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】レーバー,シュテファン
(72)【発明者】
【氏名】シリンガー,カイ
(72)【発明者】
【氏名】ライヒハルト,ベンヤミン
(72)【発明者】
【氏名】ミレンコヴィッチ,ネーナ
【審査官】山口 祐一郎
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第05911864(US,A)
【文献】特表2005-528794(JP,A)
【文献】実開平03-067069(JP,U)
【文献】特開平06-310488(JP,A)
【文献】特表2016-540369(JP,A)
【文献】特開2001-015476(JP,A)
【文献】特開2011-082430(JP,A)
【文献】特開平08-037173(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/3063
H01L 21/683
H01L 21/677
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークの半導体層の一面を
エッチング工程によりエッチングするための装置であって、
電解質を収容するための少なくとも一つのエッチングタン
クと、
使用時に当該エッチングタン
ク内に位置する当該電解質の電気接触のために配置される第一の電極と、
当該半導体層の直接又は間接的な電気接触のために配置される、少なくとも一つの第二の電極と、
エッチング電流を生成するために当該第一の電極と当該第二の電極とに対して導電性を有するように連結されている、少なくとも一つの電源と、さらには
当該半導体層のエッチングされるエッチング面が使用時に当該エッチングタン
ク内に位置する当該電解質によって湿潤可能であるように
前記ワークを当該エッチングタン
クに対して搬送するための少なくとも一つの搬送装置と、を有する装置において、
前記搬送装置は前記ワーク
の吸着工程のための陰圧保持要
素を有し、前記陰圧保持要
素は、前記ワークの前記エッチング面と反対側の保持面において前記ワークを配置するために陰圧が形成されており、
前記第二の電
極は、前記ワー
クが前記陰圧保持要
素に配置された
とき前記第二の電極によって前記ワークの前記保持面の接触が生じるように
、前記陰圧保持要
素に配置されて
おり、
前記吸着工程及び/又は前記エッチング工程の前及び/又はその間に前記ワークと前記第二の電極との間の接触面をフラッシングするためのフラッシングガス装置を有することを特徴とする装置。
【請求項2】
前記装置は
前記エッチング工程中に前記ワー
クを前記陰圧保持要素によってのみ保持するように形成されていることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記装置は少なくとも一つの回収要素を備える安全搬送システムを有
する、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記安全搬送システムは、前記回収要素を前記エッチング工程中に前記電解質内において前記陰圧保持要素と同期して移動するように形成されている、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記
搬送装置を用いた搬送システ
ム及び前記安全搬送システムは、前記エッチング工程中
に前記ワー
クと前記回収要素との間に接触が生じないように形成されていることを特徴とする、請求項3
または4に記載の装置。
【請求項6】
前記装置は陰圧手
段を有し、前記陰圧手段は、10Paから500mBarの範
囲において前記ワークの前記第二の電
極に対する押圧圧力を生成するように、前記陰圧保持要
素と協働するように形成されていることを特徴とする、請求項1から
5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記第二の電
極は平面電極として形成されており
、前記第二の電
極は前記ワークの前記保持面の少なくとも100cm
2
の面を覆うように形成されていることを特徴とする、請求項1から
6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記第二の電
極は金属製の電源供給要
素、無金属製の配電要
素及び接点形成構
造を有し、前記各要素/構造は
、前記ワー
クが前記陰圧保持要
素に配置されている
とき前記ワークの前記保持面が前記接点形成構造に密接し、前記接点形成構
造が前記無金属
製の
配電要
素を介して前記金属製の電源供給要
素と導電性を有するように連結されていることを特徴とする、請求項1から
7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記無金属製の配電要
素は、前記配電要
素に対して割り当てられた前記接点形成構造の面のうち少なくとも80
%を導電性を有するように覆うことを特徴とする、請求項
8に記載の装置。
【請求項10】
前記接点形成構
造は、剛体プレート、軟質組織、ピンクッション、前記陰圧保持要
素にバネ支持された要素及び/又は構造的な接触面として形成されていることを特徴とする、請求項
8又は
9に記載の装置。
【請求項11】
少なくとも前記配電要
素と前記接点形成構
造とは
、一体的
にモノリシック構造とし
て形成されることを特徴とする、請求項
8から
10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
前記陰圧保持要素は、前記ワークが前記陰圧保持要素に配置された
ときに前記電解質が前記第二の電極と前記ワークとの間の前記接触面内に侵入する虞を低減するため
、少なくとも一つのシール材を有することを特徴とする、請求項1から
11のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
前記シール材はシーリングガス装
置を有し、前記シーリングガス装置はシーリングガス流によって前記電解質が前記第二の電
極と前記ワー
クとの間の前記接触面に侵入する虞を低減するように形成されていることを特徴とする、請求項
12に記載の装置。
【請求項14】
ワークの半導体層の一面を
エッチング工程によりエッチングするための方法であって、
当該半導体層はエッチングされるエッチング面において電解質によって湿潤され、
当該電解
質は第一の電極と、また前記ワー
クは当該電解
質とは反対側の面において第二の電極と電気接触され、
当該各電極の間にエッチング電流が形成される方法において、
前記エッチング工程中に、前記ワー
クは前記エッチング面の反対側の保持面においてのみ陰圧によって保持されて前記第二の電
極に対して押圧され
る吸着工程を有し、
前記吸着工程及び/又は前記エッチング工程の前及び/又はその間に前記ワークと前記第二の電極との間の接触面をフラッシングすることを特徴とする方法。
【請求項15】
前記ワー
クは、10Paから50000Paの範
囲における圧力を有する陰圧によって前記第二の電
極に対して押圧されることを特徴とする、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記エッチング工程中に前記第二の電
極は、前記ワークの前記保持面に対して乾式接触することを特徴とする、請求項14又は15に記載の方法。
【請求項17】
前記エッチング工程中に前記第二
の電
極は、前記ワークの前記保持面において少なくとも80
%の面に接触することを特徴とする、請求項14から16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記第二の電
極は、前記ワークの縁に対して5mmから20mmの範囲における縁端距離をおいて前記ワークの前記保持面に接触することを特徴とする、請求項14から17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記縁端距離は周りを囲む距離であることを特徴とする、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記エッチング工程によって前記エッチング面において多孔層が形成さ
れることを特徴とする、請求項14から
19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記ワー
クを陰圧により吸着することと並行して前記第二の電極が接触する面における前記ワー
クの縁に加えられるシーリングガスによってエッチング媒体が接点を形成する電極から距離をおいて保持されることを特徴とする、請求項14から
20のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワークの半導体層の一面をエッチングするための装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体層を加工する場合、特に例えば光起電太陽電池などの大面積の半導体備品の製造の場合、多くは半導体層の一面をエッチングにより加工することが好ましい。このためにはエッチングしない面にエッチング保護層を設け、その後のエッチング工程中に当該保護層によって覆われていない面のみが加工されるようにすることが可能である。しかしながらこの種の方法は、当該保護層を設けて再び除去する必要があるため、その手順が手間である。
【0003】
よって基本的に半導体層のエッチングされる一面のみが電解質を用いて湿潤される各方法が公知である。一般的には定電流源である電源によって当該電解質と当該半導体層の間にエッチング電流が生成されることで一面のエッチングが実施される。
【0004】
このような各方法及び装置は、独国特許出願公開第102013219886号明細書及び独国特許出願公開第102015121636号明細書より公知である。ここでは基本的に当該電解質に対向する当該半導体層の面のみが当該電解質によって湿潤されるように搬送装置によってエッチングされる一面を含む半導体層を有するワークがエッチング室内において電解質の上を移動される。独国特許出願公開第102013219886号明細書よりワークがエッチングされない表面において接点ユニットを介してアノードによって電気的に接触される方法が公知である。
【0005】
前述の各方法は、既にインライン工程において使用可能である。しかしながら工業生産での利用に関しては当該エッチング工程の質を改良する必要性がある。特に後に実施される半導体ウェーハ製造において当該半導体層をシードキャリアとして用いるために前述の一面のエッチング工程を用いて半導体層の表面を多孔化する場合、インライン方式においても高い品質、特に当該エッチング工程の均質性が必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】独国特許出願公開第102013219886号明細書
【文献】独国特許出願公開第102015121636号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
よって本発明は、公知である電気化学的エッチングによる一面のエッチング方法の品質を改良するという課題に基づいている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
当該課題は、請求項1による装置及び請求項14による方法によって解消される。有利な改良は、各従属項に見受けられる。
【0009】
本発明に係る装置は、本発明に係る方法、特に当該方法の好ましい実施形態を実施するために形成されていることが好ましい。本発明に係る方法は、本発明に係る装置、特に当該装置の好ましい実施形態を用いて実施されるように構成されていることが好ましい。
【0010】
ワークの半導体層の一面をエッチングするための本発明に係る装置は、エッチング槽を形成するために電解質を収容するための少なくとも一つのエッチングタンクと、使用時に当該エッチングタンク内に位置する当該電解質の電気接触のために配置されている第一の電極と、当該半導体層の直接又は間接的な電気接触のために配置される、少なくとも一つの第二の電極と、エッチング電流を生成するために当該第一の電極と当該第二の電極とに対して導電性を有するように連結される、少なくとも一つの電源と、さらには当該半導体層のエッチングされるエッチング面のみが使用時に当該エッチングタンク内に位置する当該電解質によって湿潤可能であるように当該ワークを当該エッチングタンクに対して搬送するための少なくとも一つの搬送装置を有する。
【0011】
本発明は、公知である各装置の場合、当該ワークの当該電解質とは反対側の当該面において一方では湿式化学的接触が使用されており、当該接触は当該半導体層に対する低い接触抵抗での均質な接触を可能にするものの、通り抜け型装置内に組み込むのは大いなる手間が必要であるという出願人の知見に基づいている。特に出願人の調査の結果、当該第二の電極による湿式接触を用いた通り抜け型装置において使用した場合、駆動時にしばしば当該ワークの縁において不均質なエッチング工程につながる漏れ電流が生じることを示している。通り抜け型装置において回転接点又はすべり接点によって非液体式である当該第二の電極の接触を実現することが独国特許出願公開第102013219886号明細書より公知である。出願人の調査は、この種の接触の場合、使用される搬送ベルトとの相互作用により同様に不均質なエッチング工程が生じ得ることを示している。
【0012】
したがって本発明に係る装置においては、当該搬送装置が当該ワークのための陰圧保持要素を有し、当該陰圧保持要素は当該ワークの当該エッチング面と反対側の保持面において当該ワークを配置するために陰圧が形成されていることが重要である。さらに当該第二の電極は、当該ワークが当該陰圧保持要素に配置された場合、当該第二の電極によって当該ワークの当該保持面の接触が生じるように当該陰圧保持要素に配置されている。
【0013】
出願人による従来の各装置における前述のエラー分析は、当該陰圧保持要素によって二つの重要なエラー源が排除あるいは少なくともその影響を低減することが可能である本発明の装置の開発につながった:当該保持要素を当該陰圧保持要素として形成することにより当該ワークの保持が少なくとも基本的に、好ましくは排他的に当該陰圧保持要素によって、またこれにより当該ワークの当該エッチング面と反対側の当該保持面において実施される。したがって当該電解質に当該保持要素が接触することなく確実な保持を実現することができる。さらに当該保持要素を当該陰圧保持要素として構成することにより同時に当該陰圧によって当該ワークの当該第二の電極に対する押圧を実現することで均質な接触を容易にする可能性が与えられる。加えて本発明に係る装置では電解質内の当該ワークのための例えば搬送ベルトなどの接地要素が不要であるため、このような搬送ベルト上の接地点によるエッチングする面における不均質性を回避することが可能となる。
【0014】
したがって本発明に係る装置は、インライン操作であっても高品質、特に当該エッチング面における当該エッチング工程の良好な均質性を有するワークの半導体層の一面の電気化学エッチングを可能にする。
【0015】
本発明に係る方法及び本発明に係る装置を用いた一面側のエッチングは、基本的に当該半導体層の当該エッチングされる面のみが当該電解質によって湿潤されることで実施されることが好ましい。当該ワークの縁領域と当該電解質とは反対側の面の部分も少なくとも一時的に当該電解質を用いて浸すことは本発明の範囲内にある。しかしながら当該第二の電極と当該ワークとの間で乾式接触が行われることが好ましい。よって本発明の装置は、少なくとも当該ワークと当該第二の電極との間の接触領域において当該電解質と当該ワークとの接触を防止するために少なくとも一つの分離手段を有することが好ましい。
【0016】
当該保持要素は、担持要素を有し得て、当該担持要素の上に当該半導体層が配置される。特に当該担持要素は導電性を有することによって当該担持要素が当該第二の電極によって電気的に接触され得る。また追加の伝導性を有する各要素を設けることで当該伝導性を有する各要素と連結された当該第二の電極と当該半導体層との間の導電連結を保証することが可能である。一般的な適用ケースにおいて当該ワークは一体的な半導体層、例えば半導体ウェーハ、特にシリコンウェーハとして形成されている。
【0017】
また冒頭で述べた課題は、ワークの半導体層の一面をエッチングするための本発明に係る方法によっても解消され、ここでは当該半導体層がエッチングされるエッチング面において電解質によって湿潤される。当該電解質は第一の電極と、また当該ワークは当該電解質とは反対側の面において第二の電極と電気的に接触される。各電極の間にはエッチング電流が形成される。当該エッチング工程中に当該ワークが当該エッチング面と反対側の保持面においてのみ陰圧によって保持されて当該第二の電極に対して押圧されることが重要である。
【0018】
これにより本発明に係る方法に関して述べた利点が生じる。
【0019】
当該エッチング面における当該保持要素との接地点による不均質性を回避するために当該装置は当該エッチング工程中に当該ワークを当該陰圧保持要素によってのみ保持するように形成されていることが好ましい。
【0020】
当該ワークは当該第二の電極に対して10Paから50000Paの範囲、好ましくは200Paから2000Paの範囲における圧力を有する陰圧によって押圧されることが好ましい。
【0021】
本発明に係る装置は、前述の利点を得るために特に好ましくは10Paから50000Paの範囲、好ましくは200Paから2000Paの範囲における当該ワークの当該第二の電極に対する押圧圧力を生成するために当該陰圧保持要素と協働するように形成されている陰圧手段を有することが好ましい。
【0022】
これにより確実な保持並びに良好な電気接触が容易となる。したがって本発明において当該陰圧保持要素によって当該ワークが当該保持面において当該第二の電極に対して密接することが保証される。よって当該第二の電極に関して手順が手間である湿式化学式接触方法を用いずに済ますことが可能である。よって当該エッチング工程中に当該第二の電極が当該ワークの当該保持面に対して乾式接触することが有利である。
【0023】
均質なエッチング工程を容易にするために当該ワークは当該保持面において好ましくは広範囲に亘って当該第二の電極によって導電性を有するように接触される。よって有利には当該エッチング工程中に当該第二の電極が一般的なワーク寸法が15.7cm×15.7cmである場合、100cm2から2m2、好ましくは150cm2から1600cm2の範囲における当該ワークの当該保持面の面に接触する。
【0024】
よって本発明に係る装置は、平面電極として形成された第二の電極を有することが好ましい。特に当該第二の電極が当該ワークの当該保持面の少なくとも100cm2、特に少なくとも150cm2、さらに好ましくは少なくとも200cm2の面を覆うように形成されていることが有利である。これにより前述の各利点が得られる。
【0025】
前述のとおり、本発明においては当該エッチング面において搬送システムを設ける必要がない。特に最新技術より公知である、電解質内において当該電解質の表面付近に位置されるベルトコンベアシステムが不要である。
【0026】
しかしながら当該ワークが誤って当該陰圧保持要素から外れ、特に当該ワークが破損するような事故の際に当該ワーク又は当該ワークの一部の搬出を保証するために安全搬送システムを電解質内に設けることが有利である。
【0027】
よって当該装置は、安全搬送システムを有することが有利であり、当該安全搬送システムは特に好ましくは少なくとも一つの回収要素を備える。ここで当該安全搬送システムは、当該回収要素が当該エッチング工程中に当該電解内において当該陰圧保持要素と同期して移動させるように形成されていることが有利である。したがってこの有利である実施形態では分離するワーク又はその一部が事故の場合に当該電解質内に留まるのではなく搬出され、当該安全搬送システムによって例えば廃棄容器内に排出され得ることが保証される。
【0028】
当該安全搬送システムは、それ自体公知である方法でベルトコンベアとして形成され得る。当該安全搬送システムは、当該エッチング工程中に、特にワークが破損していない場合には当該ワークと当該回収要素の間に接触が生じないように形成されることが好ましい。
【0029】
したがってこれにより通常時において当該電解質内の当該エッチング面における接地点による当該エッチング工程の不均質性が排除される。しかしながらこれに加えて事故が発生した場合には当該ワークあるいはその破片が当該安全搬送システムと接触し、前述のとおり搬出されることが保証される。
【0030】
したがって当該安全搬送システムは、当該陰圧保持要素から落下するワーク又はその一部を当該電解質から搬出するように形成されることが好ましい。
【0031】
有利である実施形態において当該安全搬送システムは、落下するワーク又はその破片を当該陰圧保持要素の動作に同期して搬送するように形成される。これにより落下するワーク又はその破片と先行又は後続する陰圧保持要素との相互作用の虞が低減されるという利点が得られる。
【0032】
同様に当該安全搬送システムは、当該ワークの搬送方向とは正反対あるいはこれに対して斜め又は垂直方向への当該リフト要素による搬送を実施するよう形成されていることも本発明の範囲内にある。
【0033】
当該安全搬送システムは、少なくとも一つのチェーンと、ころ及び/又はネットを備えることが好ましい。
【0034】
好ましい実施形態において当該安全搬送システムは、少なくとも一つの回収要素、特に回収かご又は回収ネットを有し、当該回収要素は少なくとも当該ワークの当該面を覆うことが好ましい。これにより当該ワークが破損した場合であっても当該破片が当該安全搬送システムによって搬出されることが保証される。当該安全搬送システムは、当該ワーク及び/又は当該ワークの破片のための回収要素を有することが好ましい。
【0035】
当該安全搬送システムは、少なくとも当該ワーク又はその破片を搬送する各要素が当該電解質の表面の下方に配置されていることが好ましく、当該電解質の表面に対する距離は少なくとも3mm、特に少なくとも5mm、好ましくは少なくとも1cmであることが好ましい。
【0036】
当該各回収要素は、当該電解質内において当該電解質の表面より下方において移動することが好ましく、当該電解質の表面に対する距離は少なくとも3mm、特に少なくとも5mm、好ましくは少なくとも1cmであることが好ましい。
【0037】
出願人の調査は、当該半導体層の当該エッチング面における当該湿式化学的接点と当該ワークの当該保持面における当該第二の電極による当該乾式接点との間における当該ワークの当該縁における不均質な流れが不均質なエッチング結果をもたらす別の原因であることを示した。よって当該エッチングされる面積、すなわち当該半導体層の当該エッチング面の面積よりも当該第二の電極によって覆われる面積の方が小さいように選択されることが有利である。特に当該第二の電極が縁端距離、特に周りを囲む縁端距離をおいて当該ワークの当該保持面に配置されていることが有利である。よって当該第二の電極は、当該ワークの当該縁、特に当該保持面の当該縁に対して5mmから20mmの範囲における縁端距離、特に好ましくは周りを囲む好ましくは前述の範囲における縁端距離をおいて当該ワークの当該保持面に接触することが好ましい。
【0038】
出願人の調査は、当該第二の電極の後述される構造が特に有利であることを示している:
当該第二の電極は、金属製又はグラファイト製の電源供給要素、無金属の配電要素又は配電構造及び接点形成構造を有し、当該各要素/構造は当該ワークが当該陰圧保持要素に配置された場合に当該ワークの当該保持面が当該接点形成構造に密接しており、当該接点形成構造が当該無金属の配電要素を介して当該金属製の電源供給要素と導電性を有するように連結されるように配置されることが好ましい。
【0039】
当該電源供給要素と当該接点形成構造との間に中間配置された、無金属の配電要素を用いることで行程に害を与える金属による汚染の進入を明らかに低減することが可能であるという利点を有する。一般的な実施形態において使用される当該電解質は腐食媒体、特に酸、一般的には金属構造を腐食させるフッ化水素酸、特に当該エッチング槽上方の当該酸の蒸気からなる。これにより生じる腐食は当該エッチング槽の汚染につながり、当該汚染は前述の構造によって回避することが可能である。
【0040】
よって当該無金属の配電要素は、当該無金属の配電要素が当該接点形成構造の当該配電要素に対して割り当てられた面の少なくとも80%、特に少なくとも95%を導電性を有するように覆うように構成されることが好ましい。特に当該配電要素と当該接点形成構造との間における電気接点を形成する面が少なくとも100cm2、特に少なくとも200cm2、好ましくは少なくとも250cm2の寸法を有する。
【0041】
一方、当該接点形成構造は、当該ワークの当該保持面において均質で広範囲に亘る導電性を有する接点を形成することに最適化されていることが可能である。特に当該接点形成構造が以下に述べる有利な実施形態のいずれか一つによって形成されていることが好ましい:剛体プレートとして、柔らかい伝導性を有する組織として、好ましくは規則正しく配置された局部接触する接触要素の配列として、当該陰圧保持要素にバネ支持された要素として及び/又は当該ワークの当該保持面に密接するための構造的な接触面を有する。
【0042】
特に当該接点形成構造の当該ワークに対向する、好ましくはピン構造、ピラミッド頂点、半球充填、ざらざらにした例えばサンドブラスト表面など、構造的に形成された面を有する好ましい実施形態が有利であると判明した。この構造は、例えば粒子によって生じた当該ワークの背面において凹凸がある場合に電気接点を改善する上で特に適している。
【0043】
少なくとも当該接点形成構造と当該配電要素とが一体的に、好ましくはモノリシック構造として形成されている有利な形態によって頑丈な構造が生じる。特に当該接点形成構造と当該配電要素としてプレート、好ましくはグラファイト製のプレートを使用することは有利である。
【0044】
当該接点形成構造は、陰圧分散路を有し、当該陰圧分散路は一方では当該陰圧手段と連結可能であり他方では当該ワークに対向する面において少なくとも一つの開口部、好ましくは複数の開口部を有することが有利である。
【0045】
前述のとおり、本発明に係る方法及び本発明に係る装置を用いた一面のエッチングは、基本的に当該半導体層のエッチングされる面のみが当該電解質によって湿潤されることによって実施されることが好ましい。特に当該第二の電極による当該ワークの接触が当該第二の電極と当該ワークとの間の当該接触面に当該電解質が侵入しないように実施されることが好ましい。したがって当該第二の電極によって当該ワークの乾式接触が実施されることが好ましい。
【0046】
よって当該陰圧保持要素は、当該陰圧保持要素に当該ワークが配置された場合に当該第二の電極と当該ワークの間の当該接触面に当該電解質が侵入することを防止するために少なくとも一つのシール材を有することが好ましい。よって当該シール材は、当該陰圧保持要素に当該ワークが配置された場合に当該シール材が当該ワークに密接して当該接触面を包囲、好ましくは完全に包囲するように形成されることが好ましい。当該シール材は、山部を接触するために当該第二の電極の当該接触面の周りを囲むように形成されていることが好ましい。
【0047】
当該シール材は、それ自体公知であるシール、特にシールリングとして形成され得る。しかしながらこのようなシールリングは、材料に対する要求が高いため、当該シールリングが摩耗に晒され及び/又は高価な材料費をもたらすという短所を有する。
【0048】
好ましい実施形態において当該陰圧保持要素は、シーリングガス装置を有する。当該シーリングガス装置は、シーリングガスによって当該電解質が当該第二の電極と当該ワークの間の当該接触面に侵入することを防止するか少なくともこのような侵入の虞を低減するように形成される。したがって当該有利な実施形態において当該シーリングガス装置は、シール材を構成する。
【0049】
したがって本発明に係る方法において当該電解質が当該第二の電極と接触することを回避するか少なくともその虞を低減するために少なくとも当該エッチング工程中に、当該第二の電極の当該ワークに対向する面の縁領域、特に好ましくは周りを囲む縁領域を当該シーリングガスを用いてフラッシングすることが実施されることが好ましい。当該シーリングガスとしては周囲空気を用いることが可能である。同様に不活性ガス及び/又は貴ガス、特に窒素及び/又はアルゴンの使用も本発明の範囲内にある。
【0050】
当該シーリングガス装置は、シーリングガス供給ポートから出発して複数のシーリングガス出力開口部へと当該シーリングガスを分散するためのシーリングガス分散路を有することが好ましい。当該各シーリングガス出力開口部は、当該ワークに対向する面における当該第二の電極の当該縁の周りに分散されていることが好ましい。同様に当該シーリング装置が当該シーリングガス用の分散路を有することも本発明の範囲内にある。
【0051】
当該第二の電極と当該ワークとの間の電気的に高品質で均質な接触は、均質なエッチング結果と高い関連性がある。よって本発明に係る装置は、吸着工程及び/又は当該エッチング工程の前及び/又はその間に当該ワークと当該第二の電極との間の当該接触面をフラッシングするためのフラッシングガス装置を有することが有利である。したがって当該フラッシングガス装置は当該ワークを吸着する前に当該第二の電極の当該接触面をブローイングすることを可能にする。同様に当該ワークを吸着した後、特に当該エッチング工程中に、好ましくはフラッシングガス波によって少なくとも当該ワークと当該第二の電極との間の各部分領域内に当該フラッシングガスを短時間吹き込むことによって場合によっては不利である接触を修正することが可能である。当該保持要素を陰圧保持要素として形成していることで当該フラッシングガスが当該陰圧を生成するための当該各手段によって再び吸い取られる。当該陰圧保持要素は、当該ワークに対向する面において少なくとも一つの、好ましくは複数のフラッシングガス流出開口部を有し、当該フラッシングガス流出開口部は、フラッシングガス供給口を介して当該ワークと当該第二の電極との間にフラッシュガスを供給するために当該フラッシングガス供給口と流体導通連結されていることが好ましい。
【0052】
したがってフラッシングは、特に当該各フラッシングガス流出開口部を介して当該フラッシングガス装置を用いて当該フラッシングガスを供給することによって実施されることが好ましい。本発明に係る方法の好ましい形態においてフラッシングのために当該フラッシングガスが当該フラッシングガス流出開口部のみならず前述のシーリングガス装置をも介して供給される。
【0053】
当該フラッシングガスとしては周囲空気を用いることが可能である。同様に不活性ガス及び/又は貴ガス、特に窒素及び/又はアルゴンの使用も本発明の範囲内にある。
【0054】
本発明に係る方法及び本発明に係る装置によって特に有利な形で特に独国特許出願公開第102013219886号明細書に記載されるように当該エッチング面における当該半導体層の多孔化を実施することが可能である。
【0055】
本発明に係る装置は、複数の陰圧保持要素を有し、当該各陰圧保持要素が処理能力を向上するために同時に、好ましくは予め与えられた均一な距離を置いて搬送方向に沿って移動されることが好ましい。
【0056】
さらなる有利な各特徴及び各実施形態は、以下において各実施例及び各図面に基づいて詳述される。図面において以下のものが示されている:
【図面の簡単な説明】
【0057】
【
図1】本発明に係る装置の第一の実施例の説明図である。
【
図2】当該装置の陰圧保持要素を下から見た平面図である。
【
図4】シーリングガス装置の周りにおける横拡張部を有する当該陰圧保持要素の第二の実施例の説明図である。
【
図5】
図4による当該陰圧保持要素を通る横断面図である。
【
図6】陰圧保持要素の実施例であって、当該接点形成要素、当該配電要素、当該電源供給要素の各部分と当該陰圧保持要素の各機能がモノリシック構造において組み合わされている実施例の説明図である。
【
図7】フラッシングガス流出開口部、各陰圧分散路及びシーリングガス装置を有する陰圧保持要素の実施例を下から見た平面図である。
【
図8】シールリングを有する陰圧保持要素の別途実施例を下から見た平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0058】
各図面において概略的で縮尺に合致しない各図が示されている。
【0059】
図1においてワークの半導体層の一面をエッチングするための装置の実施例が示されている。当該装置は、エッチングタンク1を有し、シリコンウェーハとして形成されたワーク2の一面をエッチングする上で機能する。当該エッチングタンク1には電解質3が充填されている。当該エッチングタンクにはカソードとして第一の電極4が配置されている。当該エッチングタンク1の上方には搬送システム5が位置している。当該搬送システムは、一体化されたベルトコンベアを有する搬送レール5aと当該ベルトコンベアによって当該搬送レール5aに沿って搬送方向Tに線状に摺動可能な陰圧保持要素6を備える。
【0060】
さらに当該装置は定電流源7を有し、当該定電流源は一方では当該第一の電極4上、他方では当該搬送システムの当該ガイドレール5a内に一体化されている接触レールと導電性を有するように連結されている。
【0061】
当該陰圧保持要素6はすべり接点を有し、当該すべり接点は当該陰圧保持要素6が当該搬送方向Tに移動される間においても当該すべり接点の当該搬送レール5aの接触レールに対する電気接点が存在するように配置されている。
【0062】
さらに当該陰圧保持要素6は、アノードとして形成された第二の電極を有する。当該第二の電極は、当該陰圧保持要素6のハウジング内に当該ワーク2が当該陰圧保持要素6に対して配置された状態において当該ワークが(図面において上方にある)当該ワーク2の保持面と面状に導電性を有するように接触するように配置されている。
【0063】
したがって当該ワーク2を下方の、当該電解質3に対向する面においてエッチングして、ここでは当該エッチング面の多孔化を得るために当該定電流源7によって当該第一の電極4と第二の電極8との間にエッチング電流を形成することが可能である。
【0064】
したがって当該搬送システム5として形成される搬送装置は、ここでは当該半導体層と等しい当該ワークのエッチングされる(図面では下方の)当該エッチング面のみが当該電解質3によって湿潤可能であるように当該ワーク2を当該エッチングタンク1に対して搬送するよう形成されている。
【0065】
ここで当該装置は、当該エッチング工程中に当該ワーク2が当該陰圧保持要素2によってのみ保持されるように形成される。このため真空ポンプとして形成された陰圧手段9を用いて1000Paの陰圧が生成される。当該陰圧手段9は、柔軟なホースを介して当該陰圧保持要素6と連結されているため、当該陰圧によって当該ワーク2が当該陰圧保持要素6によって保持されて当該第二の電極8に対して押圧される。さらに当該装置は、安全搬送システム10を有し、当該安全搬送システムはここでは複数の同期回転するローラによって形成されている。見やすさのため二つのローラのみが図示されている。別途実施形態において当該安全搬送システムは、落下するワーク又はその破片を搬送するための各チェーンを有する。
【0066】
当該各ローラは、当該電解質3の表面より下方にわずかな間隔(ここでは5mm)をおいて配置されているため、当該エッチング工程中に当該ワーク2と当該安全搬送システム10の当該ローラとの間に接触が生じない。当該ワーク2がエラーの結果、当該陰圧保持要素6から離れる、特に破損するようなことがあれば当該ワーク2又はその破片が、これらが十分な寸法及び形状を有する限り、当該各ローラ6によって搬送方向に当該エッチングタンク1の当該縁へと案内されてそこで当該縁を越えてスライドされることで外に出される。
【0067】
図2において当該陰圧保持要素6を下から見た平面図が図示されている。当該陰圧保持要素6は、下に向かって開口する一種の真空ベルを有する。よって
図2の下からみた平面図では当該陰圧保持要素6の外側の周りを囲む縁が見受けられる。当該縁は、当該ワーク2の当該保持面の縁によって支持されている。当該陰圧保持要素の真空ベルのように形成された当該要素は、導電性を有しない材料、ここでは例えばPE、PP、PEEK、PTFE又はPFAなどのプラスチックから形成されており、当該ワーク2に対向する面においてここではテフロン(登録商標)製あるいはカルレッツ(登録商標)製の周りを囲む縁シーリングを有する。これにより当該陰圧保持要素6と当該保持面における当該ワーク2の当該縁との間の気密封止を形成することが可能である。真空ベルのように形成された当該陰圧保持要素の当該要素内に当該第二の電極8が配置されており、当該第二の電極の構造は
図3において詳述される。下から見た平面図の場合、ここではグラファイト製の厚みが10mmである平面状のプレートとして形成される接点形成要素8aが見受けられる。
【0068】
ここでは当該接点形成要素8aは13×13cm2の面を有する。当該ワークは、当該エッチングされる面のみならず当該保持面においても15.7×15.7cm2の面を有する。したがって当該ワーク2を当該陰圧保持要素6の中心に配置すると当該接点形成要素8aの縁と当該ワーク2の当該保持面の当該縁との間に1.35cmの周りを囲む縁が生じる。これにより特に効率的な形で不均質なエッチング工程につながり得るリーク電流が回避される。
【0069】
図3において当該陰圧保持要素6を通る横断面が図示されている。当該横断は、
図1における作図面に対して平行に実施される。当該陰圧保持要素6は、外側ハウジングを有し、当該外側ハウジングは(前述のとおり)真空ベル6aのように形成されている。当該真空ベル6aは、上面において当該陰圧手段9との連結のための開口部を有する。当該真空ベル6a内には当該第二の電極8が当該真空ベル6aに対して固定的に配置される。当該第二の電極8は、ここでは前述の当該接点形成要素を当該接点形成構造8aとして、配電要素8b及び電源供給要素8cを有する。当該電源供給要素は、銅製であり、当該すべり接点と連結するためのケーブルを有し、当該すべり接点は当該搬送レール5aにおける当該電源レールに接触している。これに代えて該電源供給要素はプラチナ又はグラファイトより形成される。さらに当該電源供給要素8cは銅プレートを有し、当該銅プレートは前述の当該接点形成構造8aの面を有する。当該接点形成構造8aと当該電源供給要素8cの当該銅プレートとの間に10mmの厚さを有するグラファイトプレートとして構成された当該配電要素8bが配置されており、当該配電要素も同様に前述の当該接点形成構造8aの面を有する。したがって当該三層構造によって当該接点形成構造8aに対する均質な電源供給が保証される。加えて無金属製の配電要素8bによって当該配電要素8bが当該エッチング領域から放出される腐食性の蒸気から保護されることが保証される。
【0070】
図4及び
図5において本発明に係る装置の第二の実施例が図示されており、当該装置は当該陰圧保持要素においてシーリングガス装置の周りにおける横拡張部を有する。当該装置は、基本的に当該第一の実施例に類似して構成される。よって以下においては繰り返しを避けるために重要な差異についてのみ述べる:
当該陰圧保持要素8は、さらにシーリングガス装置11を有し、当該シーリングガス装置は当該陰圧保持要素6の当該縁に周りを囲むように形成されている。特に当該シーリングガス装置11内にシーリングガス分散路12が形成されており、当該シーリングガス分散路は当該陰圧保持要素6の当該ワーク2に接触する縁の周りを囲む。当該周りを囲む構造は、
図4の当該陰圧保持要素6を下から見た平面図において図示されている。したがって
図4は
図2に対応する図を図示している。
【0071】
対応するように
図5は、当該第二の実施例による当該陰圧保持要素6を通る横断面を図示している。したがって
図5による図は、
図3による図に対応する。
【0072】
当該ワーク6は、外縁において当該シーリングガス分散路12を有する当該シーリングガス装置11を有する。当該周りを囲むシーリングガス分散路12内において陰圧を形成するために当該陰圧保持要素6は当該ワーク2と接触している。したがって当該シーリングガス分散路12は、当該陰圧保持要素6の当該真空ベル6aの周りを囲むように形成されている。
図5において見受けられるように当該シーリングガス装置11は当該ワーク2に接触しておらず、シーリングガス流出路を形成するために当該ワークに対して距離を置いている。シーリングガス、ここでは周囲空気(同様に窒素又はアルゴンなどの不活性ガスの使用が可能である)が当該シーリングガス分散路内に案内されると当該シーリングガスが側方に外へと逃げる。これによって当該電解質が侵入することが防止又は少なくとも著しく低減され、これに伴って当該電解質が当該接点形成構造8aと当該ワーク2の間の当該接触面内に侵入する虞も著しく低減される。
【0073】
よって当該陰圧保持要素6は、上縁において当該シーリングガスを供給するための別途ポートを有し、当該ポートは当該シーリングガス分散路12と流体導通連結されている。当該装置は、シーリングガス源、特にファンを有し、当該シーリングガス源は当該シーリングガス供給ポートと流体導通連結されている。
【0074】
当該シーリングガスのガス流は少なくとも1cm3/分であることが好ましい。特に当該ガス流は、1cm3/分から100l/分の範囲にあることが好ましい。
【0075】
当該シーリングガス分散路において当該シーリングガスによって1Paから5000Paの範囲における陽圧が生成されることが好ましい。
【0076】
図6において当該陰圧保持要素6の別の実施例が図示されている。
【0077】
当該実施例において当該接点形成構造、当該配電要素並びに当該電源供給要素と当該陰圧保持要素との一部の機能がモノリシック構造において一体化されている:
1cmの厚みを有するグラファイトプレートによって当該接点形成構造8aと当該配電要素8bとが形成されている:当該グラファイトプレートは、陰圧ポート13aを有し、当該陰圧ポートは当該陰圧保持要素6の当該ワーク2に対向する面において各陰圧分散路13bと流体導通するように形成されている。当該陰圧ポート13aは、当該陰圧手段9と流体導通連結されている。
【0078】
当該グラファイトプレートの当該ワーク2と反対側の面において当該電源供給要素8cが配置されている。当該電源供給要素は、当該配電要素8bよりも小さい面を有する。このように選択できるのは、均質なエッチング電流を得るのに当該グラファイトプレートが十分な厚みとこれに伴い十分な電気横導通特性を有するためである。
【0079】
当該各陰圧分散路13bは、当該グラファイトプレートの当該ワーク2に対向する面における小さな部分のみ形成するものである:当該接触面のおおよそ10%は当該各陰圧分散路によって構造化形成されている。残りの接触面は、当該ワーク2の面状接触のために機能する。
【0080】
当該グラファイトプレートの縁においてシーリングガス分散路12を有するシーリングガス装置11が形成されており、当該シーリングガス装置は当該第二の実施例に類似して形成されて接続されている。
【0081】
図6による当該陰圧保持要素6も同様に
図1及び当該第一の実施例に関連して詳述したような装置において用いられる。当該第二の実施例と同様、当該装置はシーリングガスを供給するための別途ファンを有する。
【0082】
当該陰圧保持要素6は、さらにフラッシングガス装置14を有する。当該フラッシングガス装置は、当該陰圧ポート13a、特に当該各陰圧分散路13bと流体導通連結されている。
【0083】
図7において陰圧保持要素の別の実施例が下から見た平面図として図示されている:この構造は、
図4の構造に相当するものの、当該接点形成構造8aの当該接触面は複数のフラッシングガス流出開口部17を有し、当該各フラッシングガス流出開口部はフラッシングガス供給口と流体導通連結されている。さらに当該接点形成構造は、各陰圧分散路13bを有し、当該各陰圧分散路は、当該ワーク2を陰圧によって当該陰圧保持要素6に対して押圧して保持するために当該陰圧手段9と流体導通連結されている。当該シーリングガスは、ガス流方向18に応じて当該シーリングガス装置11と当該ワーク2の間の隙間を通って外に且つ各当該陰圧分散路13b内へと分散される。
【0084】
別の好ましい実施例において
図6による当該陰圧保持要素は、
図7の図及び説明に類似して構成されており、当該フラッシングガス装置14は当該各フラッシングガス流出開口部17と流体導通連結されている:既に当該ワーク2が当該陰圧保持要素6に配置されている場合、当該接触面のクリーニングが以下のとおり実施される:吸引時にフラッシングガス(ここでは空気、同様に例えば窒素又はアルゴンなどの不活性ガスが本発明の範囲内にある)は、当該フラッシングガス装置14を介して当該各フラッシングガス流出開口部17並びに好ましくはシーリングガス入口17を通って当該8aと当該ワーク2の間の当該接触面へと供給される。当該供給は、当該フラッシングガスが当該陰圧手段9によって当該各陰圧分散路13bを介して吸引されて、それでもなお当該ワーク2が当該陰圧保持要素6に配置された状態を維持するような陰圧が保持されるような量である。ここで当該フラッシングガスは各矢印(18)によって定義された各方向へ吸引面に沿って流れる。これにより当該陰圧ポート13aを介して異物を吸引することが可能となる。
【0085】
図8において当該陰圧保持要素の別の実施例が図示されており、当該陰圧保持要素はシール材としてシールリングを有する:
図8において
図4及び
図5において図示される当該陰圧保持要素6の変形例が図示されている。当該陰圧保持要素は、
図4及び
図5において図示されるようにシール材としてシーリングガス装置を有するのではなく、シールリング15を有し、当該シールリングは、当該ワーク2に接触する当該陰圧保持要素6の領域の周りを囲むように形成されており、当該シールリングのための取付枠16によって保持されている。
【符号の説明】
【0086】
1 エッチングタンク
2 ワーク
3 電解質
4 第一の電極
5 搬送システム
5a 搬送レール
6 陰圧保持要素
6a 真空ベル
7 定電流源
8 第二の電極
8a 接点形成構造
8b 配電要素
8c 電源供給要素
9 陰圧手段
10 安全搬送システム
11 シーリングガス装置
12 シーリングガス分散路
13a 陰圧ポート
13b 陰圧分散路
14 フラッシングガス装置
15 シール要素
16 シール要素用取付枠
17 フラッシングガス流出開口部
18 シーリングガスのガス流方向