(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-23
(45)【発行日】2024-01-31
(54)【発明の名称】オンラインイベントシステム、装置、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20240124BHJP
H04N 7/15 20060101ALI20240124BHJP
H04N 21/258 20110101ALI20240124BHJP
H04L 67/131 20220101ALI20240124BHJP
H04L 65/403 20220101ALI20240124BHJP
【FI】
G06Q50/10
H04N7/15
H04N21/258
H04L67/131
H04L65/403
(21)【出願番号】P 2021151265
(22)【出願日】2021-09-16
【審査請求日】2022-07-26
(73)【特許権者】
【識別番号】516055402
【氏名又は名称】ナーブ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100142734
【氏名又は名称】安 裕 希
(72)【発明者】
【氏名】多田 英起
【審査官】牧 裕子
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-121812(JP,A)
【文献】特表2014-504384(JP,A)
【文献】特表2021-513305(JP,A)
【文献】特開2001-352534(JP,A)
【文献】特開2011-107837(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0104452(US,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2009-0052247(KR,A)
【文献】中国特許出願公開第112734937(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
H04N 7/15
H04N 21/258
H04L 67/131
H04L 65/403
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
イベントのスタッフが使用する端末装置であるスタッフ端末と、前記イベントに参加する複数の顧客がそれぞれ使用する端末装置である複数の顧客端末と、前記スタッフ端末及び前記複数の顧客端末と通信ネットワークを介して接続されるサーバと、を備えるオンラインイベントシステムであって、
前記スタッフ端末及び前記複数の顧客端末の各々は、動画の再生機能及び音声による通話機能を有し、
前記サーバは、
前記スタッフ端末及び前記複数の顧客端末との間で情報を送受信する通信部と、
当該サーバに接続された端末装置の間において映像及び音声による通信をさせる場であるイベントルームを生成し、前記スタッフ端末及び前記複数の顧客端末の前記イベントルームへの接続を管理するイベントルーム管理部と、
前記複数の顧客端末に関する情報を、1人以上の顧客が属するグループと関連付けて格納するデータベースと、
前記イベントルームに接続されたスタッフ端末に対してなされた操作に応じて、前記イベントに関する動画の画像データを、前記イベントルームに接続された前記複数の顧客端末に配信して動画を再生させる動画配信部と、
前記イベントルームに接続された前記スタッフ端末及び前記複数の顧客端末の間における通信を制御する通信制御部と、
を有し、
前記通信制御部は、
少なくとも、前記イベントルームに接続された前記複数の顧客端末において前記イベントに関する動画が再生されている間、
前記スタッフ端末に入力された音声が、前記複数の顧客端末において出力され、
前記複数の顧客端末のうちいずれかの顧客端末に入力された音声が、該いずれかの顧客端末と同一のグループに関連付けられた顧客端末において出力され、該いずれかの顧客端末と異なるグループに関連付けられた顧客端末において出力されない、
ように制御する、オンラインイベントシステム。
【請求項2】
前記サーバは、前記スタッフに対し、端末装置を前記イベントルームに接続させるためのURLであるスタッフ用URLを発行すると共に、前記複数の顧客に対し、端末装置を前記イベントルームに接続させるための複数の顧客用URLをそれぞれ発行するURL発行部をさらに有し、
前記顧客用URLは、当該顧客が属するグループに関する情報を含み、
前記イベントルーム管理部は、
前記スタッフ用URLにより接続要求してきた端末装置を前記スタッフ端末として前記イベントルームに接続し、
前記顧客用URLにより接続要求してきた端末装置を、予め設定されたグループに関連付けられた顧客端末として前記イベントルームに接続する、
請求項1に記載のオンラインイベントシステム。
【請求項3】
前記通信制御部は、
前記スタッフ端末に入力された音声の音声データを、前記複数の顧客端末に送信し、
前記複数の顧客端末のうちいずれかの顧客端末に入力された音声の音声データを、該いずれかの顧客端末と同一のグループに関連付けられた顧客端末に送信し、該顧客端末と異なるグループに関連付けられた顧客端末には送信しない、
ように制御する、請求項1又は2に記載のオンラインイベントシステム。
【請求項4】
前記スタッフ端末は、特定のグループに対するミュート解除の操作を受け付けたとき、該特定のグループに対するミュート解除情報を前記サーバに送信し、
前記通信制御部は、前記ミュート解除情報に基づき、前記特定のグループに関連付けられた顧客端末のうちのいずれかの顧客端末に入力された音声が、該特定のグループに関連付けられた顧客端末及び前記スタッフ端末において出力されるように制御する、
請求項1~3のいずれか1項に記載のオンラインイベントシステム。
【請求項5】
前記スタッフ端末は、前記複数の顧客端末のうちの特定の顧客端末に対する発言許可の操作を受け付けたとき、該特定の顧客端末に対する発言許可を前記サーバに送信し、
前記通信制御部は、前記発言許可に基づき、前記特定の顧客端末に入力された音声が、前記スタッフ端末及び前記複数の顧客端末において出力されるように制御する、請求項1~4のいずれか1項に記載のオンラインイベントシステム。
【請求項6】
前記スタッフ端末は、リアルタイムに撮影された動画の画像データを前記サーバに配信し、
前記動画配信部は、前記スタッフ端末から配信された画像データを前記複数の顧客端末に配信して動画を再生させる、
請求項1~5のいずれか1項に記載のオンラインイベントシステム。
【請求項7】
前記スタッフ端末は、予め記録された動画の画像データを前記サーバに配信し、
前記動画配信部は、前記スタッフ端末から配信された画像データを前記複数の顧客端末に配信して動画を再生させる、
請求項1~5のいずれか1項に記載のオンラインイベントシステム。
【請求項8】
前記画像データは、パノラマ画像、全天球画像、又はVR画像として撮影された動画の画像データであり、
前記スタッフ端末は、前記パノラマ画像、全天球画像、又はVR画像のうちの一部の領域を表示範囲として画面に表示すると共に、当該スタッフ端末になされた操作に応じて該表示範囲を変更する機能を有し、前記表示範囲を変更する操作を受け付けたとき、該変更する操作の操作情報を前記サーバに送信し、
前記サーバは、前記操作情報を前記複数の顧客端末に送信し、該操作情報に基づき、前記複数の顧客端末の各々において再生されている動画における表示範囲を変更させる、
請求項6又は7に記載のオンラインイベントシステム。
【請求項9】
前記複数の顧客端末の各々は、当該顧客端末になされた操作に応じて、当該顧客端末において再生されている動画の表示範囲を変更する機能を有し、ただし、前記操作情報を受信したときには、当該顧客端末になされた操作に優先して、前記操作情報に従って該動画の表示範囲が変更される、請求項8に記載のオンラインイベントシステム。
【請求項10】
前記複数の顧客端末の各々の画面に、当該イベントへの参加者を表示する領域が設けられ、該領域には、前記複数の顧客端末のうち当該顧客端末と同一のグループに関連付けられた顧客端末を使用する顧客及び前記スタッフをそれぞれ表すアイコンが表示される、請求項1~9のいずれかに記載のオンラインイベントシステム。
【請求項11】
前記複数の顧客端末の各々は、撮影機能及び撮影により生成された映像のデータを送信する機能を有し、
前記通信制御部は、前記複数の顧客端末のうちのいずれかの顧客端末から受信した映像のデータを、該いずれかの顧客端末と同一のグループに関連付けられた顧客端末及び前記スタッフ端末に送信する、
請求項1~10のいずれか1項に記載のオンラインイベントシステム。
【請求項12】
イベントのスタッフが使用する端末装置であるスタッフ端末と、前記イベントに参加する複数の顧客がそれぞれ使用する端末装置である複数の顧客端末と、を備えるオンラインイベントシステムにおいて、前記スタッフ端末及び前記複数の顧客端末と通信ネットワークを介して接続されるオンラインイベント装置であって、
前記スタッフ端末及び前記複数の顧客端末の各々は、動画の再生機能及び音声による通話機能を有し、
前記スタッフ端末及び前記複数の顧客端末との間で情報を送受信する通信部と、
当該オンラインイベント装置に接続された端末装置の間において映像及び音声による通信をさせる場であるイベントルームを生成し、前記スタッフ端末及び前記複数の顧客端末の前記イベントルームへの接続を管理するイベントルーム管理部と、
前記複数の顧客端末に関する情報を、1人以上の顧客が属するグループと関連付けて格納するデータベースと、
前記イベントルームに接続されたスタッフ端末に対してなされた操作に応じて、前記イベントに関する動画の画像データを前記イベントルームに接続された前記複数の顧客端末に配信して動画を再生させる動画配信部と、
前記イベントルームに接続された前記スタッフ端末及び前記複数の顧客端末の間における通信を制御する通信制御部と、
を有し、
前記通信制御部は、
少なくとも、前記イベントルームに接続された前記複数の顧客端末において前記イベントに関する動画が再生されている間、
前記スタッフ端末に入力された音声が、前記複数の顧客端末において出力され、
前記複数の顧客端末のうちいずれかの顧客端末に入力された音声が、該いずれかの顧客端末と同一のグループに関連付けられた顧客端末において出力され、該いずれかの顧客端末と異なるグループに関連付けられた顧客端末において出力されない、
ように制御する、オンラインイベント装置。
【請求項13】
イベントのスタッフが使用する端末装置であるスタッフ端末と、前記イベントに参加する複数の顧客がそれぞれ使用する端末装置である複数の顧客端末と、を備えるオンラインイベントシステムにおいて、前記スタッフ端末及び前記複数の顧客端末と通信ネットワークを介して接続されるコンピュータに実行させるプログラムであって、
前記スタッフ端末及び前記複数の顧客端末の各々は、動画の再生機能及び音声による通話機能を有し、
前記コンピュータは、
前記スタッフ端末及び前記複数の顧客端末との間で情報を送受信する通信部と、
前記複数の顧客端末に関する情報を、1人以上の顧客が属するグループと関連付けて格納するデータベースと、を有し、
当該コンピュータに接続された端末装置の間において映像及び音声による通信をさせる場であるイベントルームを生成し、前記スタッフ端末及び前記複数の顧客端末の前記イベントルームへの接続を管理するステップと、
前記イベントルームに接続されたスタッフ端末に対してなされた操作に応じて、前記イベントに関する動画の画像データを前記イベントルームに接続された前記複数の顧客端末に配信して動画を再生させるステップと、
前記イベントルームに接続された前記スタッフ端末及び前記複数の顧客端末の間における音声による通信を制御するステップと、
を前記コンピュータに実行させ、
前記通信を制御するステップは、
少なくとも、前記イベントルームに接続された前記複数の顧客端末において前記イベントに関する動画が再生されている間、
前記スタッフ端末に入力された音声が、前記複数の顧客端末において出力され、
前記複数の顧客端末のうちいずれかの顧客端末に入力された音声が、該いずれかの顧客端末と同一のグループに関連付けられた顧客端末において出力され、該いずれかの顧客端末と異なるグループに関連付けられた顧客端末において出力されない、
ように制御する、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信ネットワークに接続された複数の端末を介してイベントを開催するオンラインイベントシステム、装置、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、通信ネットワークに接続されたパーソナルコンピュータ、スマートフォン、タブレット端末等の端末装置を介して、自宅等に居ながらにして顧客をイベントに参加させるサービスが提供されている。例えば、特許文献1には、撮影スタッフが実際のツアー現場にて撮影した撮影内容を、仮想体験ツアー用の放映情報として、そのツアーの登録参加者のユーザ端末に配信する技術が提案されている。また、最近では、例えばZOOM(登録商標)と呼ばれるオンライン会議システムを利用したオンラインツアーのサービス提供も開始されている(例えば非特許文献1参照)。
【0003】
例えばオンラインツアーにおいては、ツアーガイドが使用する端末と顧客が使用する端末とをオンライン会議システムにより接続し、ツアーガイドが現地で撮影した動画を顧客の端末に配信しながら音声で観光地等を案内する。或いは、予め現地で撮影されたVR(Virtual Reality)動画やパノラマ動画を顧客の端末に配信することもある。顧客は、ガイドの案内を聞きながら、配信される動画を自身の端末で鑑賞することにより、旅行に参加している気分を味わうことができる。
【0004】
また、オンライン会議システムとしては、例えば特許文献2に示すものが挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2001-352534号公報
【文献】特開2019-121812号公報
【非特許文献】
【0006】
【文献】株式会社JTB,「JTBオンラインツアー・セミナー おうちで旅体験」,[令和3年7月20日検索],インターネット<URL:https://www.jtb.co.jp/theme/onlinetour/>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
家族や友人などのグループでオンラインツアーに参加する場合、グループのメンバーが1か所に集合し、1つの端末からツアーに参加するケースと、グループのメンバーが各自の端末からツアーに参加するケースとが考えられる。前者の場合、メンバーが一緒に動画を鑑賞しながら会話できるので、場の雰囲気(例えば旅行に参加している気分)を共有することができる。しかしながら、この場合、全メンバーが1か所に集合しなければならないため、遠隔地に住む友人などと一緒にツアーに参加することが困難である。
【0008】
他方、後者の場合、各メンバーはそれぞれの場所でオンラインツアーに参加することはできるが、グループのメンバーと自由に会話することはできない。なぜなら、オンライン会議システムでは、参加者が各自の端末のマイクをオンにして発言すると、その発言は他の参加者全員に聞こえてしまうからである。つまり、1つのツアーに複数のグループが参加している場合、自分のグループの会話が他のグループに聞かれてしまったり、他のグループの会話が耳に入ってしまうなど、異なるグループの間で会話が混在してしまう。なお、このような状況を防ぐため、オンラインツアーの参加者には端末のマイクをミュートすることが求められることが多い。このような事情から、同じグループのメンバー間で場の雰囲気を共有することが困難になる。
【0009】
本発明は上記に鑑みてなされたものであり、複数の顧客が各自の端末からオンラインイベントにグループで参加する場合であっても、グループのメンバー同士で場の雰囲気を共有することができるオンラインイベントシステム、装置、及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明の一態様であるオンラインイベントシステムは、イベントのスタッフが使用する端末装置であるスタッフ端末と、前記イベントに参加する複数の顧客がそれぞれ使用する端末装置である複数の顧客端末と、前記スタッフ端末及び前記複数の顧客端末と通信ネットワークを介して接続されるサーバと、を備えるオンラインイベントシステムであって、前記スタッフ端末及び前記複数の顧客端末の各々は、動画の再生機能及び音声による通話機能を有し、前記サーバは、前記スタッフ端末及び前記複数の顧客端末との間で情報を送受信する通信部と、当該サーバに接続された端末装置の間において映像及び音声による通信をさせる場であるイベントルームを生成し、前記スタッフ端末及び前記複数の顧客端末の前記イベントルームへの接続を管理するイベントルーム管理部と、前記複数の顧客端末に関する情報を、1人以上の顧客が属するグループと関連付けて格納するデータベースと、前記イベントルームに接続されたスタッフ端末に対してなされた操作に応じて、前記イベントに関する動画の画像データを、前記イベントルームに接続された前記複数の顧客端末に配信して動画を再生させる動画配信部と、前記イベントルームに接続された前記スタッフ端末及び前記複数の顧客端末の間における通信を制御する通信制御部と、を有し、前記通信制御部は、前記スタッフ端末に入力された音声が、前記複数の顧客端末において出力され、前記複数の顧客端末のうちいずれかの顧客端末に入力された音声が、該いずれかの顧客端末と同一のグループに関連付けられた顧客端末において出力され、該いずれかの顧客端末と異なるグループに関連付けられた顧客端末において出力されない、ように制御するものである。
【0011】
上記オンラインイベントシステムにおいて、前記サーバは、前記スタッフに対し、端末装置を前記イベントルームに接続させるためのURLであるスタッフ用URLを発行すると共に、前記複数の顧客に対し、端末装置を前記イベントルームに接続させるための複数の顧客用URLをそれぞれ発行するURL発行部をさらに有し、前記顧客用URLは、当該顧客が属するグループに関する情報を含み、前記イベントルーム管理部は、前記スタッフ用URLにより接続要求してきた端末装置を前記スタッフ端末として前記イベントルームに接続し、前記顧客用URLにより接続要求してきた端末装置を、予め設定されたグループに関連付けられた顧客端末として前記イベントルームに接続しても良い。
【0012】
上記オンラインイベントシステムにおいて、前記通信制御部は、前記スタッフ端末に入力された音声の音声データを、前記複数の顧客端末に送信し、前記複数の顧客端末のうちいずれかの顧客端末に入力された音声の音声データを、該いずれかの顧客端末と同一のグループに関連付けられた顧客端末に送信し、該顧客端末と異なるグループに関連付けられた顧客端末には送信しない、ように制御しても良い。
【0013】
上記オンラインイベントシステムにおいて、前記スタッフ端末は、特定のグループに対するミュート解除の操作を受け付けたとき、該特定のグループに対するミュート解除情報を前記サーバに送信し、前記通信制御部は、前記ミュート解除情報に基づき、前記特定のグループに関連付けられた顧客端末のうちのいずれかの顧客端末に入力された音声が、該特定のグループに関連付けられた顧客端末及び前記スタッフ端末において出力されるように制御しても良い。
【0014】
上記オンラインイベントシステムにおいて、前記スタッフ端末は、前記複数の顧客端末のうちの特定の顧客端末に対する発言許可の操作を受け付けたとき、該特定の顧客端末に対する発言許可を前記サーバに送信し、前記通信制御部は、前記発言許可に基づき、前記特定の顧客端末に入力された音声が、前記スタッフ端末及び前記複数の顧客端末において出力されるように制御しても良い。
【0015】
上記オンラインイベントシステムにおいて、前記スタッフ端末は、リアルタイムに撮影された動画の画像データを前記サーバに配信し、前記動画配信部は、前記スタッフ端末から配信された画像データを前記複数の顧客端末に配信して動画を再生させても良い。
【0016】
上記オンラインイベントシステムにおいて、前記スタッフ端末は、予め記録された動画の画像データを前記サーバに配信し、前記動画配信部は、前記スタッフ端末から配信された画像データを前記複数の顧客端末に配信して動画を再生させても良い。
【0017】
上記オンラインイベントシステムにおいて、前記画像データは、パノラマ画像、全天球画像、又はVR画像として撮影された動画の画像データであり、前記スタッフ端末は、前記パノラマ画像、全天球画像、又はVR画像のうちの一部の領域を表示範囲として画面に表示すると共に、当該スタッフ端末になされた操作に応じて該表示範囲を変更する機能を有し、前記表示範囲を変更する操作を受け付けたとき、該変更する操作の操作情報を前記サーバに送信し、前記サーバは、前記操作情報を前記複数の顧客端末に送信し、該操作情報に基づき、前記複数の顧客端末の各々において再生されている動画における表示範囲を変更させても良い。
【0018】
上記オンラインイベントシステムにおいて、前記複数の顧客端末の各々は、当該顧客端末になされた操作に応じて、当該顧客端末において再生されている動画の表示範囲を変更する機能を有し、ただし、前記操作情報を受信したときには、当該顧客端末になされた操作に優先して、前記操作情報に従って該動画の表示範囲が変更されても良い。
【0019】
上記オンラインイベントシステムにおいて、前記複数の顧客端末の各々の画面に、当該イベントへの参加者を表示する領域が設けられ、該領域には、前記複数の顧客端末のうち当該顧客端末と同一のグループに関連付けられた顧客端末を使用する顧客及び前記スタッフをそれぞれ表すアイコンが表示されても良い。
【0020】
上記オンラインイベントシステムにおいて、前記複数の顧客端末の各々は、撮影機能及び撮影により生成された映像のデータを送信する機能を有し、前記通信制御部は、前記複数の顧客端末のうちのいずれかの顧客端末から受信した映像のデータを、該いずれかの顧客端末と同一のグループに関連付けられた顧客端末及び前記スタッフ端末に送信しても良い。
【0021】
本発明の別の態様であるオンラインイベント装置は、イベントのスタッフが使用する端末装置であるスタッフ端末と、前記イベントに参加する複数の顧客がそれぞれ使用する端末装置である複数の顧客端末と、を備えるオンラインイベントシステムにおいて、前記スタッフ端末及び前記複数の顧客端末と通信ネットワークを介して接続されるオンラインイベント装置であって、前記スタッフ端末及び前記複数の顧客端末の各々は、動画の再生機能及び音声による通話機能を有し、前記スタッフ端末及び前記複数の顧客端末との間で情報を送受信する通信部と、当該オンラインイベント装置に接続された端末装置の間において映像及び音声による通信をさせる場であるイベントルームを生成し、前記スタッフ端末及び前記複数の顧客端末の前記イベントルームへの接続を管理するイベントルーム管理部と、前記複数の顧客端末に関する情報を、1人以上の顧客が属するグループと関連付けて格納するデータベースと、前記イベントルームに接続されたスタッフ端末に対してなされた操作に応じて、前記イベントに関する動画の画像データを前記イベントルームに接続された前記複数の顧客端末に配信して動画を再生させる動画配信部と、前記イベントルームに接続された前記スタッフ端末及び前記複数の顧客端末の間における通信を制御する通信制御部と、を有し、前記通信制御部は、前記スタッフ端末に入力された音声が、前記複数の顧客端末において出力され、前記複数の顧客端末のうちいずれかの顧客端末に入力された音声が、該いずれかの顧客端末と同一のグループに関連付けられた顧客端末において出力され、該いずれかの顧客端末と異なるグループに関連付けられた顧客端末において出力されない、ように制御するものである。
【0022】
本発明のさらに別の態様であるプログラムは、イベントのスタッフが使用する端末装置であるスタッフ端末と、前記イベントに参加する複数の顧客がそれぞれ使用する端末装置である複数の顧客端末と、を備えるオンラインイベントシステムにおいて、前記スタッフ端末及び前記複数の顧客端末と通信ネットワークを介して接続されるコンピュータに実行させるプログラムであって、前記スタッフ端末及び前記複数の顧客端末の各々は、動画の再生機能及び音声による通話機能を有し、前記コンピュータは、前記スタッフ端末及び前記複数の顧客端末との間で情報を送受信する通信部と、前記複数の顧客端末に関する情報を、1人以上の顧客が属するグループと関連付けて格納するデータベースと、を有し、当該コンピュータに接続された端末装置の間において映像及び音声による通信をさせる場であるイベントルームを生成し、前記スタッフ端末及び前記複数の顧客端末の前記イベントルームへの接続を管理するステップと、前記イベントルームに接続されたスタッフ端末に対してなされた操作に応じて、前記イベントに関する動画の画像データを前記イベントルームに接続された前記複数の顧客端末に配信して動画を再生させるステップと、前記イベントルームに接続された前記スタッフ端末及び前記複数の顧客端末の間における音声による通信を制御するステップと、を前記コンピュータに実行させ、前記通信を制御するステップは、前記スタッフ端末に入力された音声が、前記複数の顧客端末において出力され、前記複数の顧客端末のうちいずれかの顧客端末に入力された音声が、該いずれかの顧客端末と同一のグループに関連付けられた顧客端末において出力され、該いずれかの顧客端末と異なるグループに関連付けられた顧客端末において出力されない、ように制御するものである。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、同一のグループに関連付けられた顧客端末の間では音声が送受信される一方、互いに異なるグループに関連付けられた顧客端末の間では音声の送受信がされないので、グループで参加した顧客同士は、他のグループの顧客に会話を聞かれたり、他のグループの会話に邪魔されたりすることなく、配信される動画を見ながら会話することができる。従って、複数の顧客が各自の端末からオンラインイベントにグループで参加する場合であっても、グループのメンバー同士で場の雰囲気を共有することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の実施形態に係るオンラインイベントシステムの概略構成を示す図である。
【
図2】
図1に示すサーバの概略構成を示すブロック図である。
【
図3】
図2に示すイベント情報データベースに格納される情報を説明するための図である。
【
図4】
図2に示す参加者情報データベースに格納される情報を説明するための図である。
【
図5】
図2に示す設定情報データベースに格納される情報を説明するための図である。
【
図6】
図1に示すスタッフ端末の概略構成を示すブロック図である。
【
図7】
図1に示す顧客端末の概略構成を示すブロック図である。
【
図8】オンラインツアーへの申込み処理を示すシーケンス図である。
【
図9】オンラインツアーへの申込み画面を例示する模式図である。
【
図10】オンラインツアーへの申込み受付画面を例示する模式図である。
【
図11】オンラインツアーの開始処理を示すシーケンス図である。
【
図12】スタッフ端末に表示されるツアー画面を例示する模式図である。
【
図13】顧客端末に表示されるツアー画面を例示する模式図である。
【
図14】顧客端末に表示されるツアー画面を例示する模式図である。
【
図15】動画コンテンツの配信処理を示すシーケンス図である。
【
図16】全グループの顧客端末がミュートされている状態における音声処理を示すシーケンス図である。
【
図17】一部のグループにおいて顧客端末のミュートが解除されている状態における音声処理を示すシーケンス図である。
【
図18】スタッフが顧客に発言許可する場合における音声処理を示すシーケンス図である。
【
図19】スタッフ端末に表示されるツアー画面の別の例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態に係るオンラインイベントシステム、装置、及びプログラムについて、図面を参照しながら説明する。なお、これらの実施形態によって本発明が限定されるものではない。また、各図面の記載において、同一部分には同一の符号を付して示している。
【0026】
以下においては、オンラインイベントの例として、オンラインツアーを挙げて説明するが、本発明を適用可能なオンラインイベントはこれに限定されない。例えば、オンライン料理教室、オンライン体験セミナー、オンライン結婚式など、通信ネットワークを介して映像及び音声を送受信することにより開催可能な様々なイベントに、本発明に係るオンラインイベントシステムを適用することができる。
【0027】
(実施形態)
図1は、本発明の実施形態に係るオンラインイベントシステムの概略構成を示す図である。
図1に示すように、本実施形態に係るオンラインイベントシステム1は、サーバ10と、オンラインツアーなどのイベントのスタッフ(例えばツアーガイド)が使用する端末装置であるスタッフ端末20と、イベントに参加する複数の顧客がそれぞれ使用する端末装置である複数の顧客端末30とを備える。
【0028】
オンラインイベントシステム1は、通信ネットワークNを介してサーバ10と接続された端末装置の間で映像及び音声による通信をさせる場であるイベントルームを開設して、このイベントルームにスタッフ端末20及び顧客端末30を接続し、イベントに関する動画を顧客端末30に配信しながら、スタッフと顧客との間での双方向のコミュニケーションを取ることを可能とするシステムである。顧客端末30に配信される動画は、スタッフ端末20によりリアルタイムに撮影される動画であっても良いし、予め記録された動画コンテンツであっても良いが、本実施形態においては、予め記録された動画コンテンツを配信する場合を説明する。
【0029】
ここで、
図1においては、サーバ10を1つのみ図示しているが、後述するサーバ10の各機能を、通信ネットワークNに接続された複数のハードウェアによって実行することとしても良い。
【0030】
また、
図1においては、5つの顧客端末30を例示しているが、顧客端末30の数はこれに限定されず、複数であれば良い。オンラインイベントシステム1において実行されるオンラインイベントにおいて、顧客はグループ単位で参加申込みをすることができる。
図1においては、Aグループの顧客が使用する3つの顧客端末30と、Bグループの顧客が使用する2つの顧客端末30を例示している。本実施形態においては、グループ単位で参加申込みをした場合であっても、顧客は各自の顧客端末30から当該オンラインイベントに参加する。
【0031】
サーバ10、スタッフ端末20、及び複数の顧客端末30は、通信ネットワークNを介して接続されている。通信ネットワークNは、例えば、インターネット回線、電話回線、LAN、専用線、移動体通信網、WiFi(Wireless Fidelity)、ブルートゥース(登録商標)等の通信回線、又はこれらの組み合わせによって構成され、有線、無線、又はこれらの組み合わせのいずれであっても良い。
【0032】
図2は、サーバ10の概略構成を示すブロック図である。サーバ10は、例えば、演算処理能力の高いホストコンピュータによって構成され、通信部11と、記憶部12と、プロセッサ13とを有する。
【0033】
通信部11は、サーバ10を通信ネットワークNに接続し、通信ネットワークNに接続された他の機器(例えば、スタッフ端末20及び顧客端末30)との間で通信を行い、情報を送受信する通信インタフェースである。通信部11は、例えばソフトモデム、ケーブルモデム、無線モデム、ADSLモデム等を用いて構成される。
【0034】
記憶部12は、例えばROMやRAMといった半導体メモリやハードディスク等のコンピュータ読取可能な記憶媒体を用いて構成される。記憶部12は、オペレーティングシステムプログラム及びドライバプログラムに加えて、各種機能を実行するアプリケーションプログラムや、これらのプログラムの実行中に使用される各種パラメータ等を記憶する。詳細には、記憶部12は、各種プログラム及びパラメータを記憶するプログラム記憶部121と、ウェブデータ記憶部122と、イベント情報データベース(DB)123と、参加者情報データベース(DB)124と、端末情報データベース(DB)125と、コンテンツ記憶部126とを含む。
【0035】
プログラム記憶部121は、スタッフ端末20と複数の顧客端末30とを接続し、オンラインによるイベントを開催するための各種処理をプロセッサ13に実行させるプログラムを記憶する。
【0036】
ウェブデータ記憶部122は、イベント主催者(例えば旅行代理店)のウェブサイトを構成するための各種データを格納する。例えば、ウェブデータ記憶部122は、各種オンラインツアーを紹介するサイトや、オンラインツアーの申込みサイトを構成するためのデータを格納する。また、ウェブデータ記憶部122は、オンラインイベントが開催されている間、イベントルームに接続されたスタッフ端末20及び顧客端末30に表示させるツアー画面を構成するデータを格納する。
【0037】
イベント情報データベース123は、オンラインイベントに関する情報を格納する。
図3は、イベント情報データベース123に格納される情報を説明するための図である。
図3に示すように、オンラインイベントに関する情報は、例えばオンラインツアーの場合、ツアーコード、ツアー名称、開催日時、所要時間、料金、申込み人数、当該オンラインツアーを担当するスタッフのID、当該スタッフのメールアドレス、端末装置をイベントルームに接続するための接続用URL、当該オンラインツアーにおいて配信される動画コンテンツのID(以下、コンテンツIDともいう)、該動画コンテンツの画像データ(以下、コンテンツデータともいう)が記憶されている記憶領域のアドレス等の情報を含む。なお、スタッフID及びスタッフのメールアドレスは、スタッフ個人に付与されているものであっても良いし、担当部署や担当チーム等に付与されているものであっても良い。
【0038】
参加者情報データベース124は、オンラインイベントへの参加者に関する情報を格納する。
図4は、参加者情報データベース124に格納される情報を説明するための図である。
図4に示すように、参加者に関する情報は、例えばオンラインツアーの場合、ツアーコード、ツアー名称、開催日時、当該ツアーにおける参加権限、グループID、参加者ID、氏名、メールアドレス、端末装置をイベントルームに接続するための接続用URL等の情報を含む。
【0039】
このうち、参加権限は、スタッフとして参加、又は、顧客として参加という情報が格納される。この参加権限に応じて、イベントルームに接続した端末装置に対して種々の操作権限が設定される。具体例として、スタッフの権限でイベントルームに接続した端末装置(即ち、スタッフ端末20)には、イベントの開始及び終了、顧客端末30に対するミュート及びその解除、顧客端末30に対する発言許可、配信中の動画に対する画面操作、配信する動画の切替等の操作権限が与えられる。他方、顧客の権限でイベントルームに接続した端末装置(即ち、顧客端末30)においては、各自のマイクのオン/オフ、カメラのオン/オフ、各自の端末における画面操作など、自身の顧客端末30に対するローカルな操作のみが可能となる。
【0040】
グループIDは、イベントルームに接続した顧客端末30を、1人以上のメンバーが属するグループごとに管理するために使用され、1つの申込みに含まれる顧客に対して同一のグループIDが付与される。なお、イベントは単独参加も可能としても良く、その場合、単独参加の各顧客に1つのグループIDが付与される。或いは、顧客の了承を得た上で、単独参加する複数の顧客に同一のグループIDが付与されても良い。
【0041】
参加者IDには、スタッフID、又は、参加申込みをした各顧客に付与される顧客IDが格納される。
【0042】
端末情報データベース125は、オンラインイベントにおいてイベントルームに接続されている端末装置に関する情報を格納する。端末情報データベース125においては、顧客端末30に関する情報が、1人以上の顧客が属するグループと関連づけられて格納されている。
【0043】
図5は、端末情報データベース125に格納される情報を説明するための図である。
図5に示すように、端末情報データベース125には、例えばオンラインツアーの場合、ツアーコード、ツアー名称、日時等のイベントに関する情報に加え、接続用URL、IPアドレス等の端末識別情報、参加権限、グループID、参加者ID、画面における参加者の表示名、イベントルームへの当該端末の接続状態(接続又は切断)、音声設定情報等の情報が格納される。
【0044】
このうち、音声設定情報とは、ある端末装置において音声入力があった場合に、この音声の音声データを送信する端末装置の範囲(即ち、音声を出力させる端末装置の範囲)を設定した情報である。音声設定が「発言」に設定されている場合、当該端末装置に入力された音声は、イベントルームに接続されている全ての端末装置(スタッフ端末20及び顧客端末30)において出力される。また、音声設定が「ミュート」に設定されている場合、顧客端末30に入力された音声は、当該顧客端末30と同一のグループIDに関連付けられた顧客端末30においてのみ出力され、異なるグループIDに関連付けられた顧客端末30及びスタッフ端末20においては出力されない。音声設定が「ミュート解除」に設定されている場合、顧客端末30に入力された音声は、当該顧客端末30と同一のグループIDに関連付けられた顧客端末30に加え、スタッフ端末20においても出力されるが、異なるグループIDに関連付けられた顧客端末30には出力されない。
【0045】
音声設定の初期設定は、スタッフ端末20については「発言」、顧客端末30は「ミュート」に設定されている。また、音声設定は、スタッフ端末20における操作により切り替えることができる。
【0046】
コンテンツ記憶部126は、オンラインイベント中に顧客端末30に配信される動画コンテンツの画像データを格納する。1つのイベントにおいては、1本の動画コンテンツを通して配信しても良いし、複数の動画コンテンツを切り替えて配信しても良い。各動画コンテンツは、コンテンツIDにより管理される。
【0047】
動画コンテンツは、一般的な2次元画像によって構成されていても良いし、パノラマ画像、全天球画像、又はVR(Virtual Reality)画像によって構成されていても良い。ここで、動画がパノラマ画像、全天球画像、又はVR画像である場合、画像のうちの一部の領域が端末装置の画面に表示される。以下、パノラマ画像、全天球画像、又はVR画像のうち画面に表示される範囲を表示範囲ともいう。表示範囲は、動画の閲覧者の視野に対応し、端末装置に対する操作により表示範囲(即ち、閲覧者の視野)を変更することができる。
【0048】
プロセッサ13は、例えばCPU(Central Processing Unit)を用いて構成され、プログラム記憶部121に記憶されたプログラムを読み込むことにより、サーバ10の各部を統括的に制御すると共に、スタッフ端末20及び顧客端末30との間で情報を送受信することにより、オンラインイベントを開催するための各種機能を実現する。プロセッサ13がプログラム記憶部121に記憶されたプログラムを読み込むことにより実現される機能部には、各種情報を管理する情報管理部14と、オンラインイベント時における通信制御を管理する通信制御管理部15とが含まれる。
【0049】
情報管理部14は、URL生成部141と、ウェブ管理部142と、データベース(DB)管理部143とを含む。
URL生成部141は、端末装置をイベントルームに接続させるための接続用URLを発行する。接続用URLは、イベントごとに生成されるイベントルームのアドレスに加え、イベントに関する情報(例えばオンラインツアーの場合、ツアーコード、ツアー名称、開催日時等)、参加権限(スタッフとしての参加、又は、顧客としての参加)、グループID、参加者ID等の情報を含んでいる。以下、スタッフに対して発行される接続用URLのことをスタッフ用URLともいい、顧客に対して発行される接続用URLのことを顧客用URLともいう。
【0050】
ウェブ管理部142は、ウェブデータ記憶部122に格納された情報を用いて、イベント主催者のウェブサイトを管理する。
【0051】
データベース管理部143は、通信ネットワークNを介して入力された情報に基づいて、イベント情報データベース123、参加者情報データベース124、及び端末情報データベース125を管理する。
【0052】
通信制御管理部15は、URL解析部151と、イベントルーム管理部152と、動画配信部153と、通信制御部154とを含む。
URL解析部151は、接続用URLにより端末装置がアクセスしてきた際に、接続用URLを解析し、当該接続用URLに含まれる情報を抽出する。
【0053】
イベントルーム管理部152は、通信ネットワークNを介してサーバ10と接続された端末装置の間で映像及び音声による通信をさせる場であるイベントルームを生成し、これらの端末装置間の接続管理を行う。詳細には、イベントルーム管理部152は、スタッフ用URLによりアクセスしてきた端末装置をスタッフ端末20としてイベントルームに接続して所定の操作権限を与える。また、イベントルーム管理部152は、顧客用URLによりアクセスしてきた端末装置を顧客端末30としてイベントルームに接続し、顧客用URLに含まれるグループIDに基づいて、予め設定されたグループに当該顧客端末30を関連づける。以下、同一のグループに関連付けられた(即ち、グループIDが共通の)顧客端末30同士を、同一グループの顧客端末30ともいい、互いに異なるグループに関連付けられた(即ち、グループIDが異なる)顧客端末30同士を、異なるグループの顧客端末30ともいう。
【0054】
動画配信部153は、スタッフ端末20に対してなされた操作に応じて、イベントに関する動画の画像データを、イベントルームに接続された複数の顧客端末30に配信して動画を再生させる。
【0055】
通信制御部154は、イベントルームに接続されたスタッフ端末20及び複数の顧客端末30の間における通信を制御する。詳細には、通信制御部154は、端末情報データベース125における音声設定情報に従い、スタッフ端末20や顧客端末30において入力された音声の音声データの送信制御を行う。具体的には、初期設定の場合、通信制御部154は、スタッフ端末20に入力された音声については、複数の顧客端末30において出力され、顧客端末30に入力された音声については、同一のグループに関連付けられた顧客端末30においてのみ出力され、異なるグループに関連付けられた顧客端末30においては出力されないように、音声データの送信制御を行う。
【0056】
また、通信制御部154は、スタッフ端末20及び複数の顧客端末30の間において、各端末装置において撮影された映像のデータの送信制御を行っても良い。詳細には、通信制御部154は、スタッフ端末20において撮影された映像のデータは、複数の顧客端末30に送信され、顧客端末30において撮影された映像のデータは、同一のグループに関連付けられた顧客端末30及びスタッフ端末20にのみ送信され、異なるグループに関連付けられた顧客端末30には送信しない。なお、各端末装置においては、受信したデータに基づく映像の表示又は非表示を設定することができる。
【0057】
図6は、スタッフ端末20の概略構成を示すブロック図である。スタッフ端末20は、通信機能、撮影機能、動画の表示機能、及び音声による通話機能を有する端末装置であり、例えば、汎用のデスクトップ型、ノート型のパーソナルコンピュータ、タブレット端末、スマートフォン等を用いて構成することができる。なお、撮影機能及び音声による通話機能については、端末装置に内蔵されているものであっても良いし、外部機器を外付けすることにより実現されるものであっても良い。例えば、スタッフ端末20に対し、オプションとしてさらにカメラ29を外付けすることも可能である。
【0058】
図6に示すように、スタッフ端末20は、通信部21と、操作入力部22と、表示部23と、音声出入力部24と、撮像部25と、記憶部27と、プロセッサ28とを備える。また、スタッフ端末20は、センサ部26をさらに備えても良い。
【0059】
通信部21は、当該スタッフ端末20を通信インターネットNに接続し、通信ネットワークNに接続された他の機器との間で通信を行う通信インタフェースである。通信部21は、例えばソフトモデム、ケーブルモデム、無線モデム、ADSLモデム等を用いて構成される。
【0060】
操作入力部22は、例えば、マウスやスタイラスペン等のポインティングデバイス、表示部23上に設けられたタッチパネル、操作ボタン、キーボードといった入力デバイスであり、外部からなされる操作を受け付け、操作に応じた信号をプロセッサ28に入力する。
【0061】
表示部23は、例えば液晶又は有機EL(エレクトロルミネッセンス)によって形成された表示パネル及び駆動部を含むディスプレイである。
音声出入力部24は、例えば一般的なマイクロフォン及びサウンドプレイヤである。
【0062】
撮像部25は、例えばコンピュータに外付けされたウェブカメラ又はコンピュータに内蔵されたカメラである。
センサ部26は、ジャイロセンサ及び加速度センサ等の各種センサを含み、スタッフ端末20の向き又は傾きの変化や移動方向を表す検出信号を出力する。
【0063】
記憶部27は、例えばROMやRAMといった半導体メモリ等のコンピュータ読取可能な記憶媒体を用いて構成される。記憶部27は、オペレーティングシステムプログラム、ドライバプログラム、各種機能を実行するアプリケーションプログラム、及び、これらのプログラムの実行中に使用される各種パラメータ等を記憶する。
【0064】
詳細には、記憶部27は、プログラム記憶部271及びコンテンツ記憶部272を含む。プログラム記憶部271は、スタッフ端末20をサーバ10に接続することにより、顧客端末30との間で通信状態を確立し、顧客端末30に動画を配信しながらスタッフの音声によりガイドするオンラインイベントを行うための各種処理をプロセッサ28に実行させるプログラムを記憶する。コンテンツ記憶部272は、顧客端末30に配信される動画コンテンツのコンテンツデータを記憶する。コンテンツデータは、予めコンテンツ記憶部272に記憶されているものであっても良いし、イベントの都度、サーバ10からダウンロードしてコンテンツ記憶部272に記憶させるものであっても良い。
【0065】
プロセッサ28は、例えばCPUを用いて構成され、記憶部27に記憶された各種プログラムを読み込むことにより、スタッフ端末20の各部を統括的に制御すると共に、オンラインイベントを行うための各種処理を実行する。プロセッサ28が記憶部27に記憶されたプログラムを実行することにより実現される機能部には、通信制御部281と、表示制御部282と、演算部283とが含まれる。
【0066】
通信制御部281は、通信部21におけるデータの送受信動作を制御する。例えば、通信制御部281は、表示部23に表示されている動画の画像データや音声出入力部24に入力された音声のデータを、サーバ10を介して各顧客端末30に送信するといった制御を行う。
【0067】
表示制御部282は、表示部23における画像や各種情報の表示を制御する。例えば、表示制御部282は、予めプログラム記憶部271に記憶されているデータやサーバ10から受信したウェブデータに基づいて、オンラインイベント用の所定の画面を表示部23に表示させる。また、表示制御部282は、操作入力部22から入力された操作に従って、オンラインイベント中に表示部23に表示される動画コンテンツの開始及び終了や動画コンテンツの切替えを行う。
【0068】
さらに、表示制御部282は、表示部23に表示中の動画がパノラマ画像、全天球画像、又はVR画像である場合に、パノラマ画像、全天球画像、又はVR画像のうちの一部の領域を表示範囲として画面に表示すると共に、操作入力部22から入力された操作やセンサ部26によって検出された操作に応じて表示範囲を変化させる制御を行う。なお、センサ部26によって検出された操作には、スタッフ端末20の向きを変更する操作や、スタッフ端末20を移動させる操作等が挙げられる。
【0069】
演算部283は、画像処理や音声データの処理、その他の演算処理を実行する。また、演算部283は、センサ部26から出力された検出信号に基づいて、スタッフ端末20の向きや移動方向等を検知しても良い。
【0070】
図7は、顧客端末30の概略構成を示すブロック図である。顧客端末30は、通信機能、撮影機能、動画の表示機能、及び音声による通話機能を有する端末装置であり、例えば、汎用のデスクトップ型、ノート型のパーソナルコンピュータ、タブレット端末、スマートフォン等を用いて構成することができる。
【0071】
図7に示すように、顧客端末30は、通信部31と、操作入力部32と、表示部33と、音声出入力部34と、撮像部35と、記憶部37と、プロセッサ38とを備える。また、顧客端末30は、センサ部36をさらに備えても良い。これらの各部のハードウェアの機能及び構成は、基本的に、スタッフ端末20におけるものと同様である。
【0072】
記憶部37は、顧客端末30をサーバ10に接続することにより、スタッフ端末20及び他の顧客端末30との間で通信状態を確立し、スタッフ端末20から配信される動画を鑑賞しながらスタッフの音声によりガイドを受けるオンラインイベントに参加するための各種処理をプロセッサ28に実行させるプログラムを記憶する。
【0073】
プロセッサ38は、例えばCPUを用いて構成され、記憶部37に記憶された各種プログラムを読み込むことにより、顧客端末30の各部を統括的に制御すると共に、オンラインイベントに参加するための各種処理を実行する。プロセッサ38が記憶部37に記憶されたプログラムを実行することにより実現される機能部には、通信制御部381と、表示制御部382と、演算部383とが含まれる。
【0074】
通信制御部381は、通信部31におけるデータの送受信動作を制御する。例えば、通信制御部381は、スタッフ端末20からサーバ10を介して配信される動画の画像データや音声のデータを受信する、音声出入力部35に入力された音声のデータを、サーバ10を介して他の端末装置に送信するといった制御を行う。
【0075】
表示制御部382は、表示部33における画像や各種情報の表示を制御する。例えば、表示制御部382は、サーバ10から受信したウェブデータに基づいて、所定の画面を表示部33に表示させる。また、表示制御部382は、スタッフ端末20から配信され、サーバ10を介して受信した画像データに基づいて、動画を表示部33に表示させる。さらに、表示制御部382は、表示部33に表示中の動画がパノラマ画像、全天球画像、又はVR画像である場合に、パノラマ画像、全天球画像、又はVR画像のうちの一部の領域を表示範囲として画面に表示すると共に、操作入力部32から入力された操作やセンサ部36によって検出された操作、或いは、スタッフ端末20から送信された操作情報に応じて、表示範囲を変化させる制御を行う。
【0076】
演算部383は、画像処理や音声データの処理、その他の演算処理を実行する。また、演算部383は、センサ部36から出力された検出信号に基づいて、顧客端末30の向きや移動方向等を検知しても良い。
【0077】
次に、オンラインイベントシステム1の動作について説明する。以下においては、オンラインイベントとしてオンラインツアーを行うこととし、動画コンテンツとしてパノラマ画像の動画を配信するものとする。
【0078】
図8は、オンラインツアーへの申込み処理を示すシーケンス図である。
図9は、オンラインツアーへの申込み画面を例示する模式図である。
図10は、申込み受付画面を例示する模式図である。
【0079】
まず、顧客端末30は、操作入力部32に対する操作に従ってサーバ10にアクセスし、イベントの申込み画面を要求する(ステップS101)。これに応じて、サーバ10は、
図9に例示する申込み画面M1を顧客端末30に送信し(ステップS102)、顧客端末30は申込み画面M1を表示する(ステップS103)。
【0080】
図9に示すように、申込み画面M1には、代表者名の入力欄m11、メールアドレスの入力欄m12、一緒に参加する顧客名の入力欄m13、参加人数の入力欄m14、及び申込みボタンm15が設けられている。このオンラインツアーにおいては、複数の顧客がグループ参加することが可能であり、グループ参加する場合には、1人の顧客が代表して申込みを行えば良い。
【0081】
入力欄m11~m14に所定の申込み情報が入力され(ステップS104)、申込みボタンm15に所定の操作(例えば、タップ操作やマウスによるクリック操作)がなされると、顧客端末30は、入力された申込み情報をサーバ10に送信する(ステップS105)。
【0082】
サーバ10は、申込み情報を受信すると(ステップS106)、
図10に例示する申込み受付画面M2を顧客端末30に送信する(ステップS107)。顧客端末30は、受信した申込み受付画面M2を表示する(ステップS108)。
【0083】
サーバ10は、新規のグループIDを発行すると共に、受信した申込み情報に基づいて、顧客の人数分の顧客用URLを生成する(ステップS109)。そして、生成した顧客用URLを、代表者のメールアドレスにまとめて送信する(ステップS110)。或いは、サーバ10は、ショートメッセージサービス(SMS)を利用して顧客用URLを送信しても良い。さらに、サーバ10は、申込み情報及び顧客用URLを参加者情報データベース124に格納する(ステップS111)。
【0084】
一方、顧客端末30は、顧客用URLを受信する(ステップS112)。その後、代表者は、受信した顧客用URLを一緒に参加する顧客にメール又はSMS等により送信する。なお、サーバ10は、参加する全顧客のメールアドレスを申込み画面に入力させ、サーバ10から各顧客に直接、顧客用URLを送信することとしても良い。
【0085】
図11は、オンラインツアーの開始処理を示すシーケンス図である。
以下においては、Aグループとして3人の顧客がオンラインツアーに参加し、Bグループとして2人の顧客がオンラインツアーに参加するものとする。従って、サーバ10には、Aグループに関連付けられた3つの顧客端末30と、Bグループに関連付けられた2つの顧客端末30とが接続される(
図1参照)。ただし、
図11においては、Aグループに関連付けられた顧客端末30のうちの1つの動作と、Bグループに関連付けられた顧客端末30のうちの1つの動作とを、代表として示している。
【0086】
また、オンラインツアー開催の所定時間前(例えば1日前)に至ると、スタッフ用URLが生成され、当該オンラインツアーの担当者に送信されると共に、イベント情報データベース123及び参加者情報データベース124に基づいて、端末情報データベース125が生成される。
【0087】
スタッフ端末20は、スタッフ用URLにアクセスする操作を検知すると(ステップS201)、サーバ10に対して接続要求を送信する(ステップS202)。サーバ10は、スタッフ用URLを解析し(ステップS203)、当該スタッフ用URLに含まれる情報に基づき、ツアー及びその開始時刻を抽出する。そして、開始時刻の所定時間前(例えば30分前)に至ると、当該ツアーのために設定されたイベントルームへの入室を許可、即ち、スタッフ端末20をイベントルームに接続する(ステップS204)。
【0088】
また、サーバ10は、スタッフ用のツアー画面をスタッフ端末20に送信する(ステップS205)。スタッフ端末20は、受信したツアー画面を表示する(ステップS206)。ツアー画面は、サーバ10から送信されるデータに基づき、WEBブラウザを利用してスタッフ端末20に表示させることができる。
【0089】
図12は、スタッフ端末20に表示されるツアー画面を例示する模式図である。
図12に示すように、ツアー画面M3には、ツアーコンテンツリストの表示欄m31と、ツアーの動画が表示されるメインコンテンツ表示欄m32と、ツアーの参加者を示すアイコンが表示される参加者表示欄m33と、当該ツアーにおいて配信される動画コンテンツを切り替えるためのアイコンが表示されるコンテンツ表示欄m34と、操作バーm35と、グループ表示のアイコンm36とが設けられている。
【0090】
参加者表示欄m33には、スタッフ本人を示すアイコンm37及び顧客を示すアイコンm38が表示されている。このうち、顧客を示すアイコンm38は、グループごとに表示されている。
図12に示すように、アイコンm37,m38は、名前を表示するものであっても良いし、名前に加え、各参加者が使用する端末装置において撮影された映像(参加者の顔など)を表示するものであっても良い。
【0091】
スタッフ本人及び顧客のアイコンm38の近傍には、音声のミュート状態を示すアイコンm39が表示されている。初期設定として、スタッフ端末20においてはミュートが解除され、全ての顧客端末30においてはミュートがされている。また、参加者表示欄m33には、グループごとにミュート設定するためのアイコンm40が設けられている。このアイコンm40に対して所定の操作(タップ操作、マウスによるクリック操作など)を行うことにより、グループごとにミュートとミュート解除とを切り替えることができる。
【0092】
操作バーm35には、スタッフ端末20自体のミュート設定、カメラのオン/オフ設定、メインコンテンツ表示欄m32の全画面表示、音量設定、チャット欄の表示、ツアーの終了(イベントルームの閉鎖)等の操作を行うためのアイコンが設けられている。
【0093】
グループ表示のアイコンm36は、スタッフ端末20及び顧客端末30において撮影された映像(参加者の顔など)を表示する際に使用されるアイコンである。このアイコンm36に対して所定の操作を行うことにより、グループごとに、顧客の映像をメインコンテンツ表示欄m32に表示させることができる。このようなグループ表示は、ツアー開始前に挨拶する際などに利用することができる。
【0094】
サーバ10は、スタッフ用URLに含まれる情報に基づき、当該オンラインツアーにおいて配信される動画コンテンツのIDを抽出し、コンテンツデータをダウンロードさせる(ステップS207)。
【0095】
また、グループAの顧客端末30及びグループBの顧客端末30の各々は、顧客用URLにアクセスする操作を検知すると(ステップS208,S209)、サーバ10に対して接続要求を送信する(ステップS210,S211)。サーバ10は、接続要求を受信すると、顧客用URLを解析し(ステップS213)、顧客用URLに含まれる情報に基づいてツアー及び開始時刻を抽出する。そして、当該ツアーの開始時刻の所定時間前(例えば10分前)に至ると、当該ツアーのために設定されたイベントルームへの入室を許可、即ち、顧客端末30をイベントルームに接続する(ステップS213)。
【0096】
続いてサーバ10は、顧客用のツアー画面を各顧客端末30に送信する(ステップS214,S215)。各顧客端末30は、受信したツアー画面を表示する(ステップS216,S217)。
【0097】
図13及び
図14は、顧客端末30に表示されるツアー画面を例示する模式図である。このうち、
図13は、グループAに関連付けられた顧客端末30に表示されるツアー画面M5を示し、
図14は、グループBに関連付けられた顧客端末30に表示されるツアー画面M6を示す。これらのツアー画面M5,M6は、サーバ10から送信されるデータに基づき、WEBブラウザを利用して顧客端末30に表示させることができる。
【0098】
各ツアー画面M5,M6には、ツアーの動画が表示されるメインコンテンツ表示欄m51,m61と、ツアーの参加者が表示される参加者表示欄m52,62と、操作バーm53,m63と、グループ表示のアイコンm54,m64とが設けられている。
【0099】
参加者表示欄m52,m62には、顧客本人及び同じグループの顧客を示すアイコンm55,m65と、スタッフを示すアイコンm56,m66とが表示されている。例えば、グループAの参加者が「山田さん」「鈴木さん」「佐藤さん」、グループBの参加者が「斎藤さん」「田中さん」であるとした場合(
図12参照)、グループAの鈴木さんが使用する顧客端末30の参加者表示欄m52(
図13参照)には、本人(あなた)の他、同じグループAの「山田さん」「佐藤さん」及びスタッフ(ガイドの佐々木さん)のアイコンが表示される。また、グループBの斎藤さんが使用する顧客端末30の参加者表示欄m62(
図14参照)には、本人(あなた)の他、同じグループBの「田中さん」及びスタッフ(同上)のアイコンが表示される。なお、アイコンm55,m65は、各顧客端末30において撮影された顧客の映像を表示するものであっても良いし、顧客の名前を表示するものであっても良いし(
図12のアイコンm38参照)、映像及び名前の両方を表示するものであっても良い(
図13,
図14参照)。
【0100】
操作バーm53,m63には、顧客端末30自体のミュート設定、カメラのオン/オフ設定、メインコンテンツ表示欄m51,m61の全画面表示、音量設定、チャット欄の表示、挙手、退出等の操作を行うためのアイコンが設けられている。このうち、挙手のアイコンm57,m67は、顧客がスタッフに発言許可を求める際に使用される。また、退出アイコンm58,m68は、イベントルームから退出(顧客端末30の接続の解除)する際に使用される。なお、イベントルームから一旦退出した場合であっても、ツアーの開催時間内であれば、顧客用URLにアクセスすることにより、再入室することができる。
【0101】
グループ表示のアイコンm54,64は、スタッフ端末20及び同一のグループの顧客端末30において撮影された映像をメインコンテンツ表示欄m51,m61に表示する際に使用されるアイコンである。
【0102】
サーバ10は、ツアーの開始時間に至ると、イベントルームに接続されたスタッフ端末20と顧客端末30との間で映像及び音声による通信を開始させる。これにより、オンラインによるツアーが開始される(ステップS218,S219,S220)。
【0103】
スタッフ端末20は、音声出入力部24における音声の入力を受け付けると(ステップS221)、音声データをサーバ10に送信する(ステップS222)。サーバ10は、スタッフ端末20から受信した音声データを、全てのグループの各顧客端末30に送信する(ステップS223,S224)。各顧客端末30は、受信した音声データに基づいて音声を出力する(ステップS225,S226)。つまり、全ての顧客がスタッフの発言を聞くことができる。
【0104】
図15は、動画コンテンツの配信処理を示すシーケンス図である。
スタッフ端末20において動画コンテンツが再生されると(ステップS231)、スタッフ端末20は、再生中の動画コンテンツのコンテンツデータをストリーミング形式でサーバ10に配信する(ステップS232)。これに応じて、サーバ10は、受信したコンテンツデータを各顧客端末30にストリーミング形式で配信する(ステップS233,S234)。各顧客端末30は、受信したコンテンツデータに基づき、メインコンテンツ表示欄m51,m61において動画コンテンツを再生する(ステップS235,S236)。
【0105】
各顧客端末30は、メインコンテンツ表示欄m51,m61に表示中の動画(パノラマ画像)に対して視野を変更する操作を検知すると(ステップS237,S238)、メインコンテンツ表示欄m51,m61における動画の表示範囲を変更する(ステップS239,S240)。視野を変更する操作としては、例えば、画像内の所望の箇所に対するポインティング操作(クリック操作、タップ操作)、画像をスワイプする操作、顧客端末30自体を傾斜させたり移動させたりする操作等が挙げられる。つまり、各顧客は、自身の顧客端末30を操作することで、パノラマ画像に対する視野(画面における表示範囲)をローカルに変更することができる。
【0106】
スタッフ端末20は、メインコンテンツ表示欄m32に表示中の動画に対して視野を変更する操作を検知すると(ステップS241)、メインコンテンツ表示欄m32における動画の表示範囲を変更する(ステップS242)。また、スタッフ端末20は、当該視野を変更する操作の操作情報をサーバ10に送信する(ステップS243)。サーバ10は、スタッフ端末20から受信した操作情報を各顧客端末30に送信する(ステップS244,S245)。各顧客端末30は、受信した操作情報に基づいて、メインコンテンツ表示欄m51,m61における画像の表示範囲を変更する(ステップS246,S247)。つまり、スタッフ端末20において動画の視野を変更する操作が行われると、全ての顧客端末30において、各々におけるローカルな操作よりも優先して、スタッフ端末20における視野の変更が反映される。これにより、スタッフは、案内したいポイントに顧客の注意を引き付けることができる。
【0107】
スタッフ端末20は、動画コンテンツの切替え操作を検知すると(ステップS248)、次の動画コンテンツの再生を開始する(ステップS249)。動画コンテンツの切替え操作としては、例えば、コンテンツ表示欄m34に表示されたアイコンm41をタップ又はクリックする操作が挙げられる。また、スタッフ端末20は、次の(切替え後の)コンテンツデータをストリーミング形式でサーバ10に送信する(ステップS250)。これに応じて、サーバ10は、受信したコンテンツデータを各顧客端末30にストリーミング形式で配信する(ステップS251,S252)。各顧客端末30は、受信したコンテンツデータに基づき、動画コンテンツを切り替えて再生する(ステップS253,S254)。つまり、スタッフ端末20において動画コンテンツを変更する操作が行われると、全ての顧客端末30において動画コンテンツの変更が反映される。
【0108】
図16は、全グループの顧客端末30がミュートされている状態における音声処理を示すシーケンス図である。
顧客端末30がミュートされている状態(初期設定)において、Aグループに関連付けられた顧客端末30のいずれかにおいて音声の入力がなされると(ステップS261)、当該顧客端末30は音声データをサーバ10に送信する(ステップS262)。サーバ10は、端末情報データベース125に基づき、受信した音声データを、同じグループAに関連付けられた顧客端末30のみに送信する(ステップS263)。グループAに関連付けられた顧客端末30は、受信した音声データに基づいて音声を出力する(ステップS264)。
【0109】
また、Bグループに関連付けられた顧客端末30のいずれかにおいて音声の入力がなされると(ステップS265)、当該顧客端末30は音声データをサーバ10に送信する(ステップS266)。サーバ10は、端末情報データベース125に基づき、受信した音声データを、同じグループBに関連付けられた顧客端末30のみに送信する(ステップS267)。グループBに関連付けられた顧客端末30は、受信した音声データに基づいて音声を出力する(ステップS268)。
【0110】
つまり、同一のグループの顧客端末30の間では音声による通信が行われ、異なるグループの顧客端末30の間では音声による通信が遮断される。これにより、グループで一緒に参加した顧客同士は、他のグループの顧客やスタッフに会話を聞かれたり、他のグループの会話に邪魔されたりすることなく、会話をすることができる。なお、同一のグループに関連付けられた顧客端末30の間で音声による通信が行われている間であっても、スタッフ端末20から送信された音声データは各顧客端末30に送信されるため(
図11のステップS221~S226参照)、顧客は、会話をしながらもスタッフの音声を聞くことはできる。
【0111】
図17は、一部のグループにおいて顧客端末30のミュートが解除されている状態における音声処理を示すシーケンス図である。
スタッフ端末20は、Aグループのミュートを解除する操作を検知すると(ステップS271)、Aグループに関するミュート解除情報をサーバ10に送信する(ステップS272)。ミュートを解除する操作としては、例えば、参加者表示欄m33(
図12参照)に表示されたミュート設定用のアイコンm40をタップ又はクリックする操作が挙げられる。サーバ10は、受信したミュート解除情報に基づいて、Aグループのミュート解除の設定を行う(ステップS273)。詳細には、サーバ10は、端末情報データベース125において、Aグループに関連付けられた顧客端末30の音声設定情報を「ミュート解除」に切り替える。
【0112】
この状態で、Aグループに関連付けられた顧客端末30において音声の入力がなされると(ステップS274)、当該顧客端末30は音声データをサーバ10に送信する(ステップS275)。サーバ10は、端末情報データベース125における音声設定情報に従い、受信した音声データをスタッフ端末20に送信すると共に(ステップS276)、グループAに関連付けられた顧客端末30に送信する(ステップS277)。スタッフ端末20及びグループAに関連付けられた顧客端末30は、受信した音声データに基づいて音声を出力する(ステップS278,S279)。
【0113】
つまり、スタッフ端末20において特定のグループのミュート解除が行われると、そのグループの顧客の会話をスタッフ端末20において聞くことができるようになる。それにより、スタッフもそのグループの会話に加わることができる。
【0114】
図18は、スタッフが顧客に発言許可する場合における音声処理を示すシーケンス図である。
図18においては、顧客の1人(以下においては「山田さん」)が使用する顧客端末30の動作を示すと共に、その他(以下においては「山田さん」以外)の顧客が使用する顧客端末30のうちの1つの動作を代表として示している。
【0115】
また、
図19は、スタッフ端末20に表示されるツアー画面の別の例を示す模式図である。なお、
図19に示すツアー画面M3の参加者表示欄m33には、Aグループの顧客である「佐藤さん」が発言中であることを示すアイコンm42が表示されている。
【0116】
山田さんの顧客端末30は、発言要求の操作を検知すると(ステップS281)、発言要求をサーバ10に送信する(ステップS282)。発言要求の操作としては、例えば、操作バーm53,m63(
図13、
図14参照)に設けられた挙手のアイコンm57,67に対するタップ又はクリック操作が挙げられる。
【0117】
サーバ10は、発言要求を受信すると、山田さんの顧客端末30の端末識別情報と共に発言要求をスタッフ端末20に送信する(ステップS283)。これに応じて、スタッフ端末20は、ツアー画面に発言要求を表示する(ステップS284)。
図19に示すツアー画面M3において、参加者表示欄m33の「山田さん」のアイコンの近傍には、発言要求を表す挙手アイコンm43が表示されている。これにより、スタッフは、山田さんが発言を希望していることを知ることができる。なお、この際、サーバ10は、山田さんの発言要求を、山田さんと同じグループAに関連付けられた他の顧客端末30にも送信し、アイコンを表示させても良い。
【0118】
スタッフ端末20は、発言許可の操作を検知すると(ステップS285)、山田さんに対する発言許可をサーバ10に送信する(ステップS286)。発言許可の操作としては、例えば、アイコンm43に対するタップ又はクリック操作が挙げられる。それにより、アイコンm43の表示が「発言中」に変化することとしても良い。
【0119】
サーバ10は、山田さんへの発言許可をスタッフ端末20から受信すると、山田さんの顧客端末30に対する発言許可の設定を行う(ステップS287)。詳細には、サーバ10は、端末情報データベース125において、山田さんの顧客端末の音声設定情報を「発言」に切り替える。
【0120】
さらに、サーバ10は、発言許可の通知を山田さんの顧客端末30に送信する(ステップS288)。これに応じて、山田さんの顧客端末30は、発言許可を画面に表示する(ステップS289)。発言許可の表示としては、例えば、顧客端末30のツアー画面M5において、参加者表示欄m52に「発言許可中」等と示されたアイコンを表示することが挙げられる。なお、この際、サーバ10は、発言許可の通知を、山田さんと同じグループAに関連付けられた他の顧客端末30にも送信し、山田さんに発言が許可されている旨を表示させても良い。
【0121】
山田さんの顧客端末30において音声の入力がなされると(ステップS290)、当該顧客端末30は音声データをサーバ10に送信する(ステップS291)。サーバ10は、端末情報データベース125における音声設定情報に従い、受信した音声データを、スタッフ端末20に配信すると共に(ステップS292)、山田さん以外の顧客の顧客端末30に配信する(ステップS293)。スタッフ端末20及び他の顧客端末30は、受信した音声データに基づいて音声を出力する(ステップS294,S295)。
【0122】
つまり、スタッフ端末20において特定の顧客に対する発言が許可されると、その顧客の発言を、スタッフ及び全ての顧客が聞くことができるようになる。このような発言許可の機能は、ツアーに関する質問など、参加している顧客全員で情報共有することが望ましい発言をしたい場合に、利用することができる。
【0123】
スタッフは、予定されていた動画コンテンツの配信が終了し、ツアーの終了時刻に至ると、終了アイコンm44(
図19参照)を操作する。スタッフ端末20は、終了アイコンm44に対する操作を検知すると、サーバ10にツアー終了を通知する。これに応じて、サーバ10は、スタッフ端末20及び全ての顧客端末30のイベントルームへの接続を切断する。これにより、オンラインイベントシステム1の動作は終了する。
【0124】
以上説明したように、本実施形態によれば、同一のグループに関連付けられた顧客端末30の間では音声が送受信される一方、互いに異なるグループに関連付けられた顧客端末30の間では音声の送受信が遮断される。そのため、グループで参加した顧客同士は、他のグループの顧客に会話を聞かれたり、他のグループの会話に邪魔されたりすることなく、配信される動画を見ながら会話することができる。従って、複数の顧客が各自の端末からオンラインイベントにグループで参加する場合であっても、グループのメンバー同士で場の雰囲気を共有することが可能となる。
【0125】
また、本実施形態によれば、スタッフ端末20に対する操作により、顧客端末30に入力された音声を出力させる範囲を設定することができる。従って、スタッフがグループの会話に参加したり、顧客がスタッフに質問したりするなど、よりリアルに近い雰囲気でイベントを運営することができる。
【0126】
(変形例)
上記実施形態においては、予め記録された動画コンテンツを顧客端末30に配信することとしたが、リアルタイムに撮影された動画を顧客端末30に配信することとしても良い。例えば、スタッフがスタッフ端末20をもって街歩きをしながら撮像部25により周囲の風景をリアルタイムに撮影し、撮影された動画の画像データを、スタッフ端末20からサーバ10を介して各顧客端末30にストリーミング方式で配信しても良い。
【0127】
また、スタッフ端末20に外付けのカメラ29を有線又は無線により接続しても良い。カメラ29としては、例えば周囲360°を撮影可能な全天球カメラ(360度カメラとも呼ばれる)を用いることもできる。この場合、パノラマ画像、全天球画像、又はVR画像による動画を撮影しながら顧客端末30に配信することも可能となる。また、外付けのカメラ29を設けることにより、撮像部25でスタッフの顔を撮影しながら、カメラ29で観光案内の動画を撮影するといったことも可能となる。
【0128】
また、上記実施形態に係るオンラインイベントシステム1は、オンラインツアー以外にも様々なイベントに適用することができる。具体的には、オンライン料理教室や、オンラインヨガ教室、オンラインによる各種体験型セミナー、不動産のオンライン見学会など、家族や友人と一緒に会話をしながら参加することができる類のイベントが挙げられる。オンラインイベントシステム1をこれらのイベントに適用する場合には、イベントへの申込みの際にグループIDを発行し、グループIDが埋め込まれた接続用URLを発行して申込者に送信すれば良い。
【0129】
また、上記実施形態に係るオンラインイベントシステム1を結婚式などのイベントに適用することも可能である。この場合、結婚式の主催者が決定した招待客のグループ(親族、新郎友人、新婦友人など)ごとにグループIDを発行し、グループIDが埋め込まれた接続用URLを表すQR(登録商標)コードを招待状に印刷するなどして発送すれば良い。
【0130】
本発明は、上記実施形態及び変形例に限定されるものではなく、上記実施形態及び変形例に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることによって、種々の発明を形成することができる。例えば、上記実施形態及び変形例に示した全構成要素からいくつかの構成要素を除外しても良いし、上記実施形態及び変形例に示した構成要素に対して別の構成要素を組み合わせても良い。
【符号の説明】
【0131】
1…オンラインイベントシステム、10…サーバ、11・21・31…通信部、12・27・37…記憶部、13・28・38…プロセッサ、14…情報管理部、15…通信制御管理部、20…スタッフ端末、20…顧客端末、22・32…操作入力部、23・33…表示部、24・34…音声出入力部、25・35…撮像部、26・36…センサ部、29…カメラ、30…顧客端末、121・271…プログラム記憶部、122…ウェブデータ記憶部、123…イベント情報データベース(DB)、124…参加者情報データベース(DB)、125…端末情報データベース(DB)、126…コンテンツ記憶部、141…URL生成部、142…ウェブ管理部、143…データベース(DB)管理部、151…URL解析部、152…イベントルーム管理部、153…動画配信部、154…通信制御部、272…コンテンツ記憶部、281・381…通信制御部、282・382…表示制御部、283・383…演算部