(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-23
(45)【発行日】2024-01-31
(54)【発明の名称】呼吸器疾患の予防、改善又は治療用組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 31/223 20060101AFI20240124BHJP
A61P 11/06 20060101ALI20240124BHJP
A61P 11/00 20060101ALI20240124BHJP
A61P 11/10 20060101ALI20240124BHJP
A61P 31/16 20060101ALI20240124BHJP
A23L 33/10 20160101ALI20240124BHJP
【FI】
A61K31/223
A61P11/06
A61P11/00
A61P11/10
A61P31/16
A23L33/10
(21)【出願番号】P 2022530206
(86)(22)【出願日】2020-11-24
(86)【国際出願番号】 KR2020016654
(87)【国際公開番号】W WO2021107547
(87)【国際公開日】2021-06-03
【審査請求日】2022-05-23
(31)【優先権主張番号】10-2019-0154651
(32)【優先日】2019-11-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】522203282
【氏名又は名称】マイクロエックス カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】MICROX CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】イ、ホン グ
(72)【発明者】
【氏名】ハン、ミョン グァン
(72)【発明者】
【氏名】ホン、キ ボム
(72)【発明者】
【氏名】イ、ジ フン
(72)【発明者】
【氏名】ユ、ジ フン
(72)【発明者】
【氏名】イ、チュソク
(72)【発明者】
【氏名】イム、ソニョン
(72)【発明者】
【氏名】ソン、ファ リョン
【審査官】長部 喜幸
(56)【参考文献】
【文献】特表2006-515832(JP,A)
【文献】国際公開第2008/038771(WO,A1)
【文献】特開平10-101576(JP,A)
【文献】特開2000-247877(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第101120959(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第106970163(CN,A)
【文献】Nutrients,2019年04月,Vol.11,831 (page 1-18)
【文献】J. Agric. Food Chem.,2019年04月,Vol.67,pp.4915-4922
【文献】Amino Acids,2018年,Vol.51,pp.451-462
【文献】The Journal of Immunology,2012年,Vol.189, No.11,pp.5139-5146
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/00-31/80
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式
2で表示される化合物、その薬学的に許容可能な塩、水和物及び溶媒和物から選択される化合物を有効成分として含むことを特徴とする、呼吸器疾患の予防又は治療用薬学的組成物
であって:
【化1】
R
a
及びR
g
が、それぞれ独立的に、Hであり;
R
b
及びR
h
が、それぞれ独立的に、-C(=O)-R
j
であり;
R
i
が、H、メチル基、エチル基又はベンジル基であり;
R
j
がメチル基であり;
前記呼吸器疾患が、喘息、慢性閉塞性肺疾患、膿胸及び肺膿瘍からなる群より選択された一つ以上である、薬学的組成物。
【請求項2】
前記化合物は、下記化合物で構成された群から選択された一つ以上であることを特徴とする、請求項1に記載の薬学的組成物:
【化2】
【請求項3】
前記慢性閉塞性肺疾患は、慢性気管支炎又は肺気腫のうち一つ以上の症状を示すことを特徴とする、請求項
1に記載の薬学的組成物。
【請求項4】
下記化学式
2で表示される化合物又はその薬学的に許容可能な塩を有効成分として含むことを特徴とする、呼吸器疾患の予防又は改善用食品組成物
であって:
【化3】
R
a
及びR
g
が、それぞれ独立的に、Hであり;
R
b
及びR
h
が、それぞれ独立的に、-C(=O)-R
j
であり;
R
i
が、H、メチル基、エチル基又はベンジル基であり;
R
j
がメチル基であり;
前記呼吸器疾患が、喘息、慢性閉塞性肺疾患、膿胸及び肺膿瘍からなる群より選択された一つ以上である、食品組成物。
【請求項5】
前記化合物は、下記化合物で構成された群から選択された一つ以上であることを特徴とする、請求項
4に記載の食品組成物。
【化4】
【請求項6】
下記化学式
2で表示される化合物、その薬学的に許容可能な塩、水和物及び溶媒和物から選択される化合物の呼吸器疾患治療用薬剤を生産するための使用
であって:
【化5】
R
a
及びR
g
が、それぞれ独立的に、Hであり;
R
b
及びR
h
が、それぞれ独立的に、-C(=O)-R
j
であり;
R
i
が、H、メチル基、エチル基又はベンジル基であり;
R
j
がメチル基であり;
前記呼吸器疾患が、喘息、慢性閉塞性肺疾患、膿胸及び肺膿瘍からなる群より選択された一つ以上である、使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な化合物を有効成分として含む呼吸器疾患の予防、改善又は治療用組成物に関する。
【0002】
本出願は、2019年11月27日に出願された大韓民国特許出願第10-2019-0154651に基づく優先権の利益を主張し、当該出願の明細書及び図面に開示されたすべての内容は本出願に援用される。
【背景技術】
【0003】
喘息は、慢性疾患のうち一つであって、気道のアレルギー炎症による気道過敏性と気道平滑筋の収縮による咳を伴う呼吸困難が主な症状として現われる。疾患は、しばしば気管支の平滑筋系の痙攣を起こし、上気道及び下気道の両方に影響を及ぼす。喘息は、その症状の重症度によって多様な類型が存在する。例えば、軽症喘息は、呼吸困難又は咳があるか又はないなどの症状で定義され、中等度の喘息は、喘鳴及び呼吸困難で定義され、咳及び喀痰排出があるか又はないことがあるが、一般的に、日常活動や睡眠を妨害する。最後に、重症喘息は、呼吸困難による無能力を特徴とし、苦しむ患者は通常、正常的に飲食物を摂取したり眠ったりすることができず、不安感に苛まれ脱力の症状を示す。このように症状を示す喘息は、全世界的に3億人の患者が存在し、喘息による死亡者数は、毎年25,000人に至る。
【0004】
一方、慢性閉塞性肺疾患(Chronic Obstructive Pulmonary Disease、COPD)は、気道が狭くなる肺疾患の一群であって、肺に流入及び排出される空気の流れが制限されて呼吸困難を引き起こす。呼吸器疾患の一環である喘息とは異なり、気流の制限は可塑性が不良であり、一般的に時間の経過によって漸進的に悪化する。前記COPDは、肺気腫及び慢性閉塞性気管支炎のような主な症状を示す。
【0005】
前記肺気腫では、多数の気嚢の間の壁が損傷しその形態の変形が起きて垂れることになり、このような損傷により連続的な気嚢の間の損傷が誘導されることになる。また、前記慢性閉塞性気管支炎では、気道の内層が持続的な刺激により炎症が誘発され、内層が厚くなり、これによって厚い粘液が気道に形成されて呼吸困難に至るようになる。
【0006】
前記慢性気管支炎及び肺気腫は、最も一般的には、喫煙により引き起こされ、COPDを有する患者の約90%が現在喫煙をしているか、又は過去に喫煙経歴がある者であった。喫煙者の約50%が慢性気管支炎を発生させるが、喫煙者の15%のみに無能力気流閉鎖が発生する。しかし、COPDは、人間にのみ限って発病するのではなく、その他の哺乳動物、例えば、ウマも同様にCOPDを病むことが知られている。
【0007】
前記COPDは、死亡及び障害の重要な原因であって、アメリカ及びヨーロッパで4番目の主要死亡原因であるだけでなく、アジアでも発病率が非常に高いのが実情である。治療指針は、疾患による罹患率及び死亡率を減少させることを助けるために早期発見及び禁煙プログラムの実施を勧奨するが、前記COPDは早期発見が難しく、疾病がかなり進行した段階において完治を誘導し得る薬物がいまだ存在しないという限界点が存在する。
【0008】
前記喘息の場合、その症状の程度によって吸入型ステロイド及びβ2刺激薬(β2-agnoists)が広く用いられているが、約20%の患者では調節が効かず、3~5%の患者では、高濃度のステロイド及びβ2刺激薬により全く治療できない。特に、このような吸入型治療剤は、高濃度でステロイドを長期間投与する方法であるので、変声、口腔カビ感染及びホルモンの不均衡などのような副作用が存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記した問題を解決するために、本発明の目的は、本発明による新規な化合物を有効成分として含む呼吸器疾患の予防、改善又は治療用組成物を提供することである。
【0010】
しかし、本発明が達成しようとする技術的課題は、上記で言及した課題に制限されず、言及しなかったまた他の課題は、以下の記載から本発明が属する技術分野において通常の知識を有した者に明確に理解されるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
したがって、本発明は、下記化学式1で表示される化合物、その薬学的に許容可能な塩、水和物及び溶媒和物から選択される化合物を有効成分として含む、呼吸器疾患の予防又は治療用薬学的組成物を提供する。
【0012】
【化1】
R
a及びR
bは、それぞれ独立的に、H又は-C(=O)-R
jであり;
R
c~R
fは、それぞれ独立的に、H又はC1―C6アルキル基であり;
R
g及びR
hは、それぞれ独立的に、H、C1―C6アルキル基、-C(=O)-R
k又は-C(=O)-O-L
2-R
lであり;
R
iは、H又はC1-C6アルキル基であり;
R
j及びR
kは、それぞれ独立的に、C1-C6アルキル基であり;
R
lは、C1-C6アルキル基、C6-C12アリール基又は核原子数5~20個の非芳香族縮合多環基であり;
L
2は、直接結合又はC1-C6アルキレン基であり;
前記R
iのアルキル基は、1種以上のC6-C12アリール基で置換されるか非置換され、複数個の置換基で置換される場合、これらは互いに同一であるか異なり;
*は、キラル中心である。
【0013】
本発明の一具体例において、前記化合物は、*で表示されるキラル中心を基準として、L体(L form)であってもよいが、これに制限されるものではない。
【0014】
本発明の他の具現例において、前記化学式1で表示される化合物は、下記化学式2で表示され得るが、これに制限されるものではない。
【0015】
【化2】
R
a及びR
bは、それぞれ独立的に、H又は-C(=O)-R
jであり;
R
g及びR
hは、それぞれ独立的に、H、C1―C6アルキル基、-C(=O)-R
k又は-C(=O)-O-L
2-R
lであり;
R
iは、H又はC1-C6アルキル基であり;
R
j及びR
kは、それぞれ独立的に、C1-C6アルキル基であり;
R
lは、C1-C6アルキル基、C6-C12アリール基又は核原子数5~20個の非芳香族縮合多環基であり;
L
2は、直接結合又はC1-C6アルキレン基であり;
前記R
iのアルキル基は、1種以上のC6-C12アリール基で置換されるか非置換され、複数個の置換基で置換される場合、これらは互いに同一であるか異なり;
*は、キラル中心である。
【0016】
本発明のまた他の具現例において、前記化合物は、下記化合物で構成された群から選択された一つ以上であってもよいが、これに制限されるものではない。
【0017】
【0018】
本発明のまた他の具現例において、前記呼吸器疾患は、咳又は痰を伴う風邪、インフルエンザ、喘息、慢性閉塞性肺疾患、気管支腺腫、孤立性肺結節、肺結核、膿胸、肺膿瘍及び肺の組織球増殖症からなる群より選択された一つ以上であってもよいが、これに制限されるものではない。
【0019】
本発明のまた他の具現例において、前記慢性閉塞性肺疾患は、慢性気管支炎又は肺気腫のうち一つ以上の症状を示すものであってもよいが、これに制限されるものではない。
【0020】
また、本発明は、前記化学式1で表示される化合物又はその薬学的に許容可能な塩を有効成分として含む、呼吸器疾患の予防又は改善用食品組成物を提供する。
【0021】
また、本発明は、前記化学式1で表示される化合物、その薬学的に許容可能な塩、水和物及び溶媒和物から選択される化合物の呼吸器疾患治療用薬剤を生産するための用途を提供する。
【0022】
また、本発明は、前記化学式1で表示される化合物、その薬学的に許容可能な塩、水和物及び溶媒和物から選択される化合物を含む薬学的組成物を個体に投与する段階を含む呼吸器疾患の予防又は治療方法を提供する。
【0023】
また、本発明は、前記化学式1で表示される化合物、その薬学的に許容可能な塩、水和物及び溶媒和物から選択される化合物を含む薬学的組成物の呼吸器疾患の予防又は治療用途を提供する。
【発明の効果】
【0024】
本発明による新規な化合物は、MKP-1タンパク質の活性化を誘導することによって、p38/CK2α/NF-kB順序で行われる細胞シグナル伝達を遮断して呼吸器疾患から発生する炎症反応を非常に効果的に抑制する効果を有する。したがって、本発明による前記新規な化合物を経口投与する方式で呼吸器疾患の予防、改善又は治療が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】
図1は、本発明の一実施例による喘息誘発動物モデルを製作するための実験プロトコル模式図を示す。
【
図2】
図2は、本発明の一実施例による慢性閉塞性肺疾患誘発動物モデルを製作するための実験プロトコル模式図を示す。
【
図3】
図3の(A)及び(B)は、本発明の一実施例による気管支内に存在する免疫細胞の数をディフ-クイック(Diff-Quik)染色によって顕微鏡で観察して測定した結果を示す。
【
図4】
図4の(A)及び(B)は、本発明の一実施例による気管支内に存在するサイトカイン(IL-4、IL-5及びIL-13)の発現レベルをELISAによって測定した結果を示す。
【
図5】
図5の(A)及び(B)は、本発明の一実施例による気管支の過敏反応有無をRrs数値で示し得る方法によって測定した結果を示す。
【
図6】
図6の(A)及び(B)は、本発明の一実施例による肺組織で確認される炎症程度を肺組織染色によって確認した結果を示す。
【
図7】
図7は、本発明の一実施例によるMKP-1タンパク質、p38タンパク質及びcPLA2タンパク質の発現及び活性化レベルをウエスタンブロット分析によって確認した結果を示す。
【
図8】
図8は、本発明の一実施例によるMKP-1タンパク質に特異的なsiRNAを処理したとき、MKP-1タンパク質、p38タンパク質及びcPLA2タンパク質の発現及び活性化レベルをウエスタンブロット分析によって確認した結果を示す。
【
図9】
図9の(A)及び(B)は、本発明の一実施例によるMKP-1タンパク質に依存的なCK2/NF-kB活性化抑制有無をウエスタンブロット分析及びELISA分析によって確認した結果を示す。
【
図10】
図10は、本発明の一実施例によるCK2αタンパク質とp38の上下位関係をウエスタンブロット分析によって確認した結果を示す。
【
図11】
図11の(A)及び(B)は、本発明の一実施例によるCK2αタンパク質の抑制によるNF-kB活性化抑制効果をウエスタンブロット分析及びELISA分析によって確認した結果を示す。
【
図12】
図12は、本発明の一実施例によるMKP-1タンパク質に特異的なsiRNAを処理したとき、気管支内に存在する免疫細胞数をディフ-クイック(Diff-Quik)染色によって顕微鏡で観察して測定した結果を示す。
【
図13】
図13は、本発明の一実施例によるMKP-1タンパク質に特異的なsiRNAを処理したとき、気管支内に存在するサイトカイン(IL-4、IL-5及びIL-13)の発現レベルをELISAによって測定した結果を示す。
【
図14】
図14は、本発明の一実施例によるMKP-1タンパク質に特異的なsiRNAを処理したとき、気管支の過敏反応有無をRrs数値で示し得る方法によって測定した結果を示す。
【
図15】
図15の(A)及び(B)は、本発明の一実施例によるMKP-1タンパク質に特異的なsiRNAを処理したとき、肺組織で確認される炎症程度を肺組織染色によって確認した結果を示す。
【
図16】
図16は、本発明の一実施例による新規な化合物の炎症抑制と関連された細胞シグナル伝達過程の模式図を示す。
【
図17】は、本発明の一実施例による慢性閉塞性肺疾患マウスでエラスチンの発現レベルをウエスタンブロット分析によって確認した結果を示す。
【
図18】
図18は、本発明の一実施例による慢性閉塞性肺疾患マウスでカスパーゼ-3及びコラーゲンタンパク質の発現レベルをウエスタンブロット分析によって確認した結果を示す。
【
図19】
図19は、本発明の一実施例による多様な新規な化合物を処理したとき、気管支内に存在する免疫細胞の数をディフ-クイック(Diff-Quik)染色によって顕微鏡で観察して測定した結果を示す。
【
図20】
図20は、本発明の一実施例による多様な新規な化合物を処理したとき、気管支内に存在するサイトカイン(IL-5)の発現レベルをELISAによって測定した結果を示す。
【
図21】
図21は、本発明の一実施例による多様な新規な化合物を処理したとき、気管支の過敏反応有無をRrs数値で示し得る方法によって測定した結果を示す。
【
図22】
図22は、本発明の一実施例による既存の喘息治療剤と本発明による新規な化合物間の炎症細胞抑制程度を比較した結果を示す。
【
図23】
図23は、本発明の一実施例による既存の喘息治療剤と本発明による新規な化合物間のサイトカイン(IL-5)発現レベル抑制程度を比較した結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
[発明を実施するための最良の形態]
本発明の一具現例では、呼吸器疾患の予防、改善又は治療用組成物を提供する。
【0027】
本発明の前記組成物は、下記化学式1で表示される化合物、その薬学的に許容可能な塩、水和物及び溶媒和物から選択される化合物を有効成分として含む:
【0028】
【0029】
本発明の前記化学式1で、
Ra及びRbは、それぞれ独立的に、H又は-C(=O)-Rjであり;
Rc~Rfは、それぞれ独立的に 、H又はC1―C6アルキル基であり;
Rg及びRhは、それぞれ独立的に、H、C1―C6アルキル基、-C(=O)-Rk又は-C(=O)-O-L2-Rlであり;
Riは、H又はC1-C6アルキル基であり;
Rj及びRkは、それぞれ独立的に、C1-C6アルキル基であり;
Rlは、C1-C6アルキル基、C6-C12アリール基又は核原子数5~20個の非芳香族縮合多環基であり;
L2は、直接結合又はC1-C6アルキレン基であり;
前記Riのアルキル基は、1種以上のC6-C12アリール基で置換されるか非置換され、複数個の置換基で置換される場合、これらは互いに同一であるか異なり;
*は、キラル中心である。
【0030】
本発明の前記「アルキル基」は、直鎖又は分枝鎖であってもよく、飽和1価炭化水素ラジカルを意味し、前記アルキルは、本発明に記載する一つ以上の置換体で任意に置換されるか、置換されなくてもよい。本発明の前記アルキル基は、炭素数は1~6であるものであって、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、t-ブチル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基又はヘキシル基などであってもよいが、これに制限されるものではない。
【0031】
本発明の前記「アルキレン基」は、-CnH2n-アルケインの両端の炭素原子から水素原子が一つずつ抜けた形態であって、直鎖又は分枝鎖であってもよいが、前記アルキレン基は、本発明に記載する一つ以上の置換体で任意に置換されるか、置換されなくてもよい。本発明の前記アルキレン基は、炭素数は1~6であるものであって、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基、ブチレン基、t-ブチレン基、n-ブチレン基、イソブチレン基、sec-ブチレン基又はヘキシレン基などであってもよいが、これに制限されるものではない。
【0032】
本発明の前記「アリール基」は、別に言及しない限り、融合又は非融合された一つ以上の芳香族環を有する、炭素数6~12個の単環又は多環式の環状炭素システムを指称し、アリール基の例としては、フェニル基、ハロフェニル基、テトラヒドロナフチル、インデニル、アンドラセニル、ベンジル基、ハロベンジル基、ナフチル基又はビアリール基などであってもよいが、これに制限されるものではない。
【0033】
本発明の前記「非芳香族縮合多環基」は、2以上の環が互いに縮合されており、環形成原子として炭素数5個~20個の炭素を含み、分子全体が非芳香族性(non-aromaticity)を有するグループを意味する。前記非芳香族縮合多環基の例としては、フルオレニルなどであってもよいが、これに制限されるものではない。
【0034】
本発明の前記「置換されるか」とは、前記アルキル基に存在する1個以上の水素がC1-C12アリール基で置換されることであってもよいが、これに制限されるものではない。
【0035】
本発明の前記「キラル中心」とは、4個の異なる置換基が付いている炭素原子を意味するものであって、キラル中心を基準として分子が鏡相と同じではないため重ならない場合、キラル性がある化合物であると判別できる。このようなキラル性は、CORN規則によってキラル中心の炭素周辺にカルボキシル基、置換基、アミノ基の順序が時計方向である場合、D型で示し得、反時計方向である場合、L型で示し得る。
【0036】
本発明の好ましい一実施例で、前記Ra及びRbは、それぞれ独立的に、H又は-C(=O)-Rjであってもよい。
【0037】
本発明の好ましい一実施例で、前記Rc~Rfは、それぞれ独立的に、H又はC1-C6アルキル基であってもよいが、より好ましくは、前記Rc~Rfは、全てHであってもよい。
【0038】
本発明の好ましい一実施例で、前記Rg及びRhのうちいずれか一つは、Hであり、残りの一つは、-C(=O)-Rk又は-C(=O)-O-L2-Rlであってもよい。
【0039】
本発明の好ましい一実施例で、前記Riは、C1-C3アルキル基であってもよく、最も好ましくは、メチル基又はエチル基であってもよい。前記Riのアルキル基は、1種以上のC6-C12アリール基で置換され得、より好ましくは、前記Riのアルキル基のいずれか一つの水素がフェニル基で置換されたものであってもよい。
【0040】
本発明の好ましい一実施例で、前記Rj及びRkは、それぞれ独立的に、C1-C3アルキル基であり、より好ましくは、メチル基又はエチル基であってもよい。
【0041】
本発明の好ましい一実施例で、前記Rlは、C1-C6アルキル基、C6-C12アリール基又は核原子数5~20個の非芳香族縮合多環基であってもよく、より好ましくは、フェニル基又はフルオレン基であってもよい。
【0042】
本発明の好ましい一実施例で、前記L2は、C1-C6アルキレン基であり、より好ましくは、C1-C3アルキレン基であってもよく、最も好ましくは、メチレン基又はエチレン基であってもよい。
【0043】
本発明の好ましい一実施例で、前記*は、キラル中心であって、前記化合物は、*で表示されるキラル中心を基準として、L体(L form)であってもよい。
【0044】
本発明の前記化合物は、下記化学式2で表示される化合物であってもよい:
【0045】
【化5】
前記化学式2で、
前記R
a、R
b及びR
g~R
l、L
2及び*それぞれの定義は、前記化学式1での定義と同一である。
【0046】
本発明の前記化合物は、下記化合物で構成された群から選択される少なくとも一つであってもよい:
【化6】
【0047】
本発明の前記呼吸器疾患は、咳又は痰を伴う風邪、インフルエンザ、喘息、慢性閉塞性肺疾患、気管支腺腫、孤立性肺結節、肺結核、膿胸、肺膿瘍及び肺の組織球増殖症からなる群より選択された一つ以上であってもよいが、これに制限されるものではない。
【0048】
本発明の前記慢性閉塞性肺疾患は、慢性気管支炎又は肺気腫のうち少なくともいずれか一つの症状を示すものであってもよいが、これに制限されるものではない。
【0049】
本発明の前記組成物は、呼吸器疾患が発生した目的とする個体に経口投与する場合にも毒性が存在しないので、ステロイド薬物の噴霧による声の変調のような副作用なしに呼吸器疾患を非常に効果的に治療することができる。
【0050】
本発明の前記組成物は、薬学的組成物又は食品組成物として用いられ得る。
【0051】
また、本発明は、前記化学式1又は化学式2で表示される化合物の薬学的に許容可能な塩を提供する。薬学的に許容可能な塩は、人体への毒性が低く、母化合物の生物学的活性と物理化学的性質に悪影響を与えてはならない。薬学的に許容可能な塩は、薬学的に許容可能な遊離酸と化学式1又は化学式2の塩基化合物の酸付加塩などが可能であるが、これに制限されない。
【0052】
適合する酸の例としては、塩酸、臭素酸、硫酸、硝酸、過塩素酸、フマル酸、マレイン酸、リン酸、グリコール酸、乳酸、サリチル酸、コハク酸、トルエン-p-スルホン酸、酒石酸、酢酸、クエン酸、メタンスルホン酸、ギ酸、安息香酸、マロン酸、グルコン酸、ナフタレン-2-スルホン酸、ベンゼンスルホン酸などが挙げられる。酸付加塩は、通常の方法、例えば、化合物を過量の酸水溶液に溶解させ、その塩をメタノール、エタノール、アセトン又はアセトニトリルのような水混和性有機溶媒を用いて沈澱させて製造することができる。また、同モル量の化合物及び水中の酸又はアルコールを加熱した後、前記混合物を蒸発させて乾燥させるか、又は析出された塩を吸引濾過させて製造することができる。
【0053】
適合する塩基から誘導された塩は、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属、マグネシウムなどのアルカリ土類金属及びアンモニウムなどを含むことができるが、これに制限されるものではない。アルカリ金属又はアルカリ土類金属塩は、例えば、化合物を過量のアルカリ金属水酸化物又はアルカリ土類金属水酸化物溶液中に溶解し、非溶解化合物塩を濾過した後に濾液を蒸発、乾燥させて得ることができる。このとき、金属塩としては、特に、ナトリウム、カリウム又はカルシウム塩を製造することが製薬上適合し、また、これに対応する銀塩は、アルカリ金属又はアルカリ土類金属塩を適当な銀塩(例えば、硝酸銀)と反応させて得ることができる。
【0054】
本発明の前記塩は、通常的な方法で製造され得る。例えば、上記した化学式1又は化学式2の化合物をメタノール、エタノール、アセトン、1,4-ジオキサンのような水と混ざる溶媒に溶かした後、遊離酸又は遊離塩基を加えた後に結晶化させて製造することができる。
【0055】
本発明の前記化合物には、それ以外にも、化学式1又は化学式2の化合物の水和物又は溶媒和物形態も本発明の範囲に含まれ得る。
【0056】
本発明の組成物内の前記化合物の含量は、疾患の症状、症状の進行程度、患者の状態などによって適切に調節可能であり、例えば、全体組成物重量を基準として0.0001~99.9重量%又は0.001~50重量%であってもよいが、これに限定されるものではない。前記含量比は、溶媒を除去した乾燥量を基準とした値である。
【0057】
本発明による薬学的組成物は、薬学的組成物の製造に通常的に用いる適切な担体、賦形剤及び希釈剤をさらに含むことができる。前記賦形剤は、例えば、希釈剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、吸着剤、保湿剤、フィルム-コーティング物質及び制御放出添加剤からなる群より選択された一つ以上であってもよい。
【0058】
本発明による薬学的組成物は、それぞれ通常の方法によって散剤、顆粒剤、徐放性顆粒剤、腸溶性顆粒剤、液剤、点眼剤、エリキシル剤、乳剤、懸濁液剤、酒精剤、トローチ剤、芳香水剤、リモナーデ剤、錠剤、徐放性錠剤、腸溶性錠剤、舌下錠、硬カプセル剤、軟カプセル剤、徐放性カプセル剤、腸溶性カプセル剤、丸剤、チンキ剤、軟調エキス剤、乾燥エキス剤、流エキス剤、注射剤、カプセル剤、灌流液、硬膏剤、ローション剤、パスタ剤、噴霧剤、吸入剤、パッチ剤、滅菌注射溶液又はエアロゾールなどの外用剤などの形態で剤形化して用いられ得、前記外用剤は、クリーム、ゲル、パッチ、噴霧剤、軟膏剤、硬膏剤、ローション剤、リニメント剤、パスタ剤又はカタプラスマ剤などの剤形を有することができる。本発明の目的上、線維症が肺のような呼吸器に発生した場合には、有効成分がターゲット器官に予防又は治療に適合する収率で到達し得るように吸入投与用で剤形化されることが好ましい。
【0059】
本発明による薬学的組成物に含まれ得る担体、賦形剤及び希釈剤としては、ラクトース、デキストロース、スクロース、オリゴ糖、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、エリスリトール、マルチトール、澱粉、アカシアゴム、アルジネート、ゼラチン、カルシウムホスフェート、カルシウムシリケート、セルロース、メチルセルロース、非晶質セルロース、ポリビニルピロリドン、水、メチルヒドロキシベンゾエート、プロピルヒドロキシベンゾエート、タルク、ステアリン酸マグネシウム及び鉱物油が挙げられる。
【0060】
製剤化する場合には、一般的に用いる充填剤、増量剤、結合剤、湿潤剤、崩壊剤、界面活性剤などの希釈剤又は賦形剤を用いて調剤される。
【0061】
本発明による錠剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤、丸剤、トローチ剤の添加剤として、トウモロコシ澱粉、ジャガイモ澱粉、コムギ澱粉、乳糖、白糖、ブドウ糖、果糖、ジマンニトール、沈降炭酸カルシウム、合成ケイ酸アルミニウム、リン酸一水素カルシウム、硫酸カルシウム、塩化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、精製ラノリン、微結晶セルロース、デキストリン、アルギン酸ナトリウム、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カオリン、尿膜、コロイド性シリカゲル、ヒドロキシプロピルスターチ、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、HPMC 1928、HPMC 2208、HPMC 2906、HPMC 2910、プロピレングリコール、カゼイン、乳酸カルシウム、プリモゲルなど賦形剤;ゼラチン、アラビアガム、エタノール、寒天パウダー、酢酸フタル酸セルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、ブドウ糖、精製水、カゼインナトリウム、グリセリン、ステアリン酸、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、微結晶セルロース、デキストリン、ヒドロキシセルロース、ヒドロキシプロピルスターチ、ヒドロキシメチルセルロース、精製セラック、澱粉糊、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンなどの結合剤が用いられ得、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、トウモロコシ澱粉、寒天パウダー、メチルセルロース、ベントナイト、ヒドロキシプロピルスターチ、カルボキシメチルセルロースナトリウム、アルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、クエン酸カルシウム、ラウリル硫酸ナトリウム、無水ケイ酸、1-ヒドロキシプロピルセルロース、デキストラン、イオン交換樹脂、酢酸ポリビニル、ホルムアルデヒド処理カゼイン及びゼラチン、アルギン酸、アミロース、グアーガム(Guar gum)、重曹、ポリビニルピロリドン、リン酸カルシウム、ゲル化澱粉、アラビアガム、アミロペクチン、ペクチン、ポリリン酸ナトリウム、エチルセルロース、白糖、ケイ酸マグネシウムアルミニウム、ジソルビトール液、軽質無水ケイ酸などの崩壊剤;ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、水素添加植物油(Hydrogenated vegetable oil)、タルク、石松子、カオリン、ワセリン、ステアリン酸ナトリウム、カカオ油、サリチル酸ナトリウム、サリチル酸マグネシウム、ポリエチレングリコール 4000、6000、流動パラフィン、水素添加大豆油(Lubri wax)、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸亜鉛、ラウリル硫酸ナトリウム、酸化マグネシウム、マクロゴ-ル(Macrogol)、合成ケイ酸アルミニウム、無水ケイ酸、高級脂肪酸、高級アルコール、シリコーンオイル、パラフィンオイル、ポリエチレングリコール脂肪酸エーテル、澱粉、塩化ナトリウム、酢酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、dl-ロイシン、軽質無水ケイ酸などの滑沢剤;が用いられ得る。
【0062】
本発明による液剤の添加剤としては、水、希塩酸、希硫酸、クエン酸ナトリウム、モノステアリン酸スクロース類、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル類(ツイーンエステル)、ポリオキシエチレンモノアルキルエーテル類、ラノリンエーテル類、ラノリンエステル類、酢酸、塩酸、アンモニア水、炭酸アンモニウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、プロラミン、ポリビニルピロリドン、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムなどが用いられ得る。
【0063】
本発明によるシロップ剤には、白糖の溶液、他の糖類あるいは甘味剤などが用いられ得、必要に応じて、芳香剤、着色剤、保存剤、安定剤、懸濁化剤、乳化剤、粘稠剤などが用いられ得る。
【0064】
本発明による乳剤には、精製水が用いられ得、必要に応じて、乳化剤、保存剤、安定剤、芳香剤などが用いられ得る。
【0065】
本発明による懸濁剤には、アカシア、トラガカント、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、微結晶セルロース、アルギン酸ナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、HPMC 1828、HPMC 2906、HPMC 2910など懸濁化剤が用いられ得るが、必要に応じて、界面活性剤、保存剤、安定剤、着色剤、芳香剤が用いられ得る。
【0066】
本発明による注射剤には、注射用蒸溜水、0.9%塩化ナトリウム注射液、リンゲル注射液、デキストロース注射液、デキストロース+塩化ナトリウムの注射液、ポリエチレングリコール(PEG)、乳酸加リンゲル液、エタノール、プロピレングリコール、非揮発性油-ゴマ油、綿実油、落花生油、大豆油、トウモロコシ油、オレイン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、安息香酸ベンゼンのような溶剤;安息香酸ナトリウム、サリチル酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、尿膜、ウレタン、モノエチル酢酸アミド、ブタゾリジン、プロピレングリコール、ツイン類、ニジョンチン酸アミド、ヘキサミン、ジメチル酢酸アミドのような溶解補助剤;弱酸及びその塩(酢酸と酢酸ナトリウム)、弱塩基及びその塩(アンモニア及び酢酸アンモニウム)、有機化合物、タンパク質、アルブミン、ペプトン、ガム類のような緩衝剤;塩化ナトリウムのような等張化剤;重亜硫酸ナトリウム(NaHSO3)、二酸化炭素ガス、メタ重亜硫酸ナトリウム(Na2S2O5)、亜硫酸ナトリウム(Na2SO3)、窒素ガス(N2)、エチレンジアミンテトラ酢酸のような安定剤;亜硫酸水素ナトリウム0.1%、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート、チオウレア、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム、アセトン重亜硫酸ナトリウムのような硫酸化剤;ベンジルアルコール、クロロブタノール、塩酸プロカイン、ブドウ糖、グルコン酸カルシウムのような無痛化剤;カルボキシメチルセルロースナトリウム、アルギン酸ナトリウム、ツイン80、モノステアリン酸アルミニウムのような懸濁化剤を含むことができる。
【0067】
本発明による坐剤には、カカオ脂、ラノリン、ウイテプソル、ポリエチレングリコール、グリセロゼラチン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ステアリン酸とオレイン酸の混合物、スバナル(Subanal)、綿実油、落花生油、ヤシ油、カカオバター+コレステロール、レシチン、ラネットワックス、モノステアリン酸グリセロール、ツイン又はスパン、イムハウゼン(Imhausen)、モノレン(モノステアリン酸プロピレングリコール)、グリセリン、アデプスソリダス(Adeps solidus)、ブチラムテゴ-G(Buytyrum Tego-G)、セベスファーマ16(Cebes Pharma 16)、ヘキサライドベース95、コトマ(Cotomar)、ヒドロコート SP、S-70-XXA、S-70-XX75(S-70-XX95)、ヒドロコート(Hydrokote)25、ヒドロコート711、イドロポスタル(Idropostal)、マサエストラリウム(Massa estrarium、A、AS、B、C、D、E、I、T)、マサ-MF、マスポール、マスポール-15、ネオスポスタル-エン、パラマウント-B、スポシロ(OSI、OSIX、A、B、C、D、H、L)、坐剤基剤IVタイプ(AB、B、A、BC、BBG、E、BGF、C、D、299)、スポスタル(N、Es)、ウェコビ(W、R、S、M、Fs)、テスタートリグリセリド基剤(TG-95、MA、57)のような基剤が用いられ得る。
【0068】
経口投与のための固形製剤には、錠剤、丸剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤などが含まれ、このような固形製剤は、前記抽出物に少なくとも一つ以上の賦形剤、例えば、澱粉、炭酸カルシウム(calcium carbonate)、スクロース(sucrose)又はラクトース(lactose)、ゼラチンなどを混ぜて調剤される。また、単純な賦形剤以外にステアリン酸マグネシウム、タルクのような潤滑剤も用いられる。
【0069】
経口投与のための液状製剤としては、懸濁剤、内用液剤、乳剤、シロップ剤などが該当するが、よく用いられる単純希釈剤である水、リキッドパラフィン以外に多様な賦形剤、例えば、湿潤剤、甘味剤、芳香剤、保存剤などが含まれ得る。非経口投与のための製剤には、滅菌された水溶液、非水性溶剤、懸濁剤、乳剤、凍結乾燥製剤、坐剤が含まれる。非水性溶剤、懸濁剤としては、プロピレングリコール(propylene glycol)、ポリエチレングリコール、オリーブオイルのような植物性油、エチルオレートのような注射可能なエステルなどが用いられ得る。
【0070】
本発明による薬学的組成物は、薬学的に有効な量で投与する。本発明において「薬学的に有効な量」は、医学的治療に適用可能な合理的なベネフィット/リスクの割合で疾患を治療するのに十分な量を意味し、有効用量レベルは、患者疾患の種類、重症度、薬物の活性、薬物に対する敏感度、投与時間、投与経路及び排出比率、治療期間、同時使用される薬物を含む要素及びその他医学分野でよく知られた要素によって決定され得る。
【0071】
本発明による薬学的組成物は、個別治療剤で投与するか他の治療剤と併用して投与され得、従来の治療剤とは順次又は同時に投与され得、単一又は多重投与され得る。上述した要素を全て考慮して副作用なしに最小限の量で最大効果が得られる量を投与することが重要であり、これは、本発明が属する技術分野において通常の技術者により容易に決定され得る。
【0072】
本発明の薬学的組成物は、個体に多様な経路で投与され得る。投与のすべての方式は、予想され得るが、例えば、経口服用、皮下注射、腹腔投与、静脈注射、筋肉注射、脊髓周囲空間(硬膜内)注射、舌下投与、頬粘膜投与、直腸内挿入、膣内挿入、眼球投与、耳投与、鼻腔投与、吸入、口又は鼻を通じた噴霧、皮膚投与、経皮投与などによって投与され得る。
【0073】
本発明の薬学的組成物は、治療する疾患、投与経路、患者の年齢、性別、体重及び疾患の重症度などの多くの関連因子とともに活性成分である薬物の種類によって決定される。
【0074】
本発明で「個体」とは、疾病の治療を必要とする対象を意味し、より具体的には、ヒト又は非ヒトである霊長類、マウス(mouse)、ラット(rat)、イヌ、ネコ、ウマ及びウシなどの哺乳類であってもよいが、これに制限されるものではない。
【0075】
本発明で「投与」とは、任意の適切な方法で個体に所定の本発明の組成物を提供することを意味する。
【0076】
本発明で「予防」とは、目的とする疾患の発病を抑制するか遅延させる全ての行為を意味し、「治療」とは、本発明による薬学的組成物の投与により目的とする疾患とそれによる代謝異常症が好転するかよく変更される全ての行為を意味し、「改善」とは、本発明による組成物の投与により目的とする疾患と関連されたパラメータ、例えば、症状の程度を減少させる全ての行為を意味する。
【0077】
また、本発明は、前記化合物を含む食品組成物を提供することができる。
【0078】
本発明の前記化合物を食品添加物で用いる場合、前記化合物をそのまま添加するか他の食品又は食品成分とともに用いることができ、通常的な方法によって適切に用いることができる。有効成分の混合量は、使用目的(予防、健康又は治療的処置)によって適切に決定され得る。一般的に、食品又は飲料の製造時、本発明の前記化合物は、原料に対して15重量%以下又は10重量%以下の量で添加され得る。しかし、健康及び衛生を目的とするか又は健康調節を目的とする長期間の摂取の場合、前記量は前記範囲以下であり得、安全性の面で何らの問題がないので、有効成分は前記範囲以上の量でも用いることができる。
【0079】
前記食品の種類には、特別な制限はない。前記物質を添加し得る食品の例としては、肉類、ソーセージ、パン、チョコレート、キャンデー類、スナック類、菓子類、ピザ、ラーメン、その他麺類、ガム類、アイスクリーム類を含む酪農製品、各種スープ、飲料、茶、ドリンク剤、アルコール飲料及びビタミン複合剤などがあり、通常的な意味での健康機能食品を全て含む。
【0080】
本発明による健康飲料組成物は、通常の飲料のように様々な香味剤又は天然炭水化物などを追加成分として含有することができる。上述した天然炭水化物は、ブドウ糖及び果糖のようなモノサッカライド、マルトース及びスクロースのようなジサッカライド、デキストリン及びシクロデキストリンのようなポリサッカライド、及びキシリトール、ソルビトール及びエリスリトールなどの糖アルコールである。甘味剤としては、ソーマチン、ステビア抽出物のような天然甘味剤や、サッカリン、アスパルテームのような合成甘味剤などを用いることができる。前記天然炭水化物の割合は、本発明の組成物100mL当たり一般的に約0.01~0.20g又は約0.04~0.10gである。
【0081】
前記の外に本発明の組成物は、様々な営養剤、ビタミン、電解質、風味剤、着色剤、ペクチン酸及びその塩、アルギン酸及びその塩、有機酸、保護性コロイド増粘剤、pH調節剤、安定化剤、防腐剤、グリセリン、アルコール、炭酸飲料に用いられる炭酸化剤などを含有することができる。その他に本発明の組成物は、天然果物ジュース、果物ジュース飲料及び野菜飲料の製造のための果肉を含有することができる。このような成分は、独立的に又は組み合わせて用いることができる。このような添加剤の割合は、あまり重要ではないが、本発明の組成物100重量部当たり0.01~0.20重量部の範囲で選択することが一般的である。
【0082】
また、本発明の組成物は、化粧料組成物の形態で提供され得る。
【0083】
前記化粧料組成物は、化粧水、栄養ローション、栄養エッセンス、マッサージクリーム、美容入浴添加剤、ボディローション、ボディミルク、バスオイル、ベビーオイル、ベビーパウダー、シャワーゲル、シャワークリーム、サンスクリーンローション、サンスクリーンクリーム、サンタンクリーム、スキンローション、スキンクリーム、紫外線遮断用化粧品、クレンジングミルク、脱毛剤化粧用、フェイス及びボディローション、フェイス及びボディクリーム、皮膚美白クリーム、ハンドローション、ヘアローション、化粧用クリーム、ジャスミンオイル、浴用石鹸、液体ソープ、美容石鹸、シャンプー、手洗浄剤(ハンドクリーナー)、薬用石鹸非医療用、クリーム石鹸、フェイシャルウォッシュ、全身洗浄剤、頭皮洗浄剤、ヘアリンス、化粧石鹸、歯牙美白用ゲル、歯磨き剤などの形態で製造され得る。本発明の組成物は、化粧料組成物の製造に通常的に用いる溶媒や、適切な担体、賦形剤又は希釈剤をさらに含むことができる。
【0084】
本発明の前記化粧料組成物内にさらに追加され得る溶媒の種類は特に限定しないが、例えば、水、食塩水、DMSO又はこれらの組み合わせを用いることができる。また、担体、賦形剤又は希釈剤としては、精製水、オイル、ワックス、脂肪酸、脂肪酸アルコール、脂肪酸エステル、界面活性剤、保湿剤(humectant)、増粘剤、抗酸化剤、粘度安定化剤、キレート剤、緩衝剤、低級アルコールなどが含まれるが、これに制限されるものではない。また、必要に応じて、美白剤、保湿剤、ビタミン、紫外線遮断剤、香水、染料、抗生剤、抗バクテリア剤、抗真菌剤を含むことができる。
【0085】
本発明の前記オイルとしては、水素化植物性油、ヒマシ油、綿実油、オリーブ油、ヤシ油、ホホバ油、アボカド油が用いられ得、ワックスとしては、密蝋、鯨蝋、カルナバ、カンデリラ、モンタン、セレシン、液体パラフィン、ラノリンが用いられ得る。
【0086】
本発明の前記脂肪酸としては、ステアリン酸、リノール酸、リノレン酸、オレイン酸が用いられ得、脂肪酸アルコールとしては、セチルアルコール、オクチルドデカノール、オレイルアルコール、パンテノール、ラノリンアルコール、ステアリルアルコール、ヘキサデカノールが用いられ得、脂肪酸エステルとしては、イソプロピルミリステート、イソプロピルパルミテート、ブチルステアレートが用いられ得る。界面活性剤としては、当業界で知られている陽イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤及び非イオン性界面活性剤が使用可能であり、できるだけ天産物由来の界面活性剤が好ましい。その外にも化粧品分野で広く知られている保湿剤、増粘剤、抗酸化剤などを含むことができ、これらの種類と量は当業界で公知の内容による。
【0087】
本願の明細書全体において、ある部分がある構成要素を「含む」との用語は、特に反対となる記載がない限り、他の構成要素を除外することではなく他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。本願の明細書全体で用いられる程度の用語「約」、「実質的に」などは、言及された意味に固有の製造及び物質許容誤差が提示されるとき、その数値で又はその数値に近接した意味で用いられ、本発明の理解を助けるために正確であるか絶対的な数値が言及された開示内容を非良心的な侵害者が不当に用いることを防止するために用いられる。本願の明細書全体で用いられる程度の用語「~(する)段階」又は「~の段階」は、「~のための段階」を意味しない。
【0088】
本願の明細書全体において、マーカッシュ形式の表現に含まれた「これらの組み合わせ」の用語は、マーカッシュ形式の表現に記載した構成要素からなる群より選択される一つ以上の混合又は組み合わせを意味するものであって、前記構成要素からなる群より選択される一つ以上を含むことを意味する。
【0089】
本願の明細書全体において、「A及び/又はB」の記載は、「A又はB、又はA及びB」を意味する。
【0090】
以下、実施例を通じて本発明をより詳しく説明する。ただし、これら実施例は、本発明をより具体的に説明するためのものに過ぎず、本発明の要旨によって本発明の範囲がこれら実施例によって制限されないということは、当業界において通常の知識を有した者において自明である。
【実施例】
【0091】
<製造例1~16>新規な化合物の合成
【0092】
下記製造工程1~8に記載された工程によって、下記表1に列挙された製造例1~16を合成した。
【0093】
【0094】
【0095】
【0096】
【0097】
【0098】
【0099】
【0100】
【0101】
【0102】
【0103】
【0104】
<製造例1>ベンジル2-アセトアミド-5-アミノ-5-オキソペンタノエート(Benzyl 2-acetamido-5-amino-5-oxopentanoate)
【0105】
100mlのジメチルホルムアミド(Dimethylformamide;DMF)に2-アセトアミド-5-アミノ-5-オキソペンタン酸(2-acetamido-5-amino-5-oxopentanoic acid(26.6mmol))とベンジルブロミド(1.5eq)を入れて常温で撹拌させた。その後、1,8-ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデカ-7-エン(1,8-Diazabicyclo[5.4.0]undec-7-ene;DBU(1.2eq))を入れた後に、滴下完了後に室温(Room Temperature)で24時間の間撹拌させた。反応が終結すると、水を用いて反応を終了させ、ジクロロメタンを追加で付加して有機層を抽出した。前記有機層を塩水で洗浄した後に亜硫酸ナトリウムで水分を除去し、溶媒を減圧蒸溜して得た残渣をヘキサンと酢酸エチルを用いて再結晶して、目的化合物である製造例1を収得した(製造工程1参照)。
【0106】
1H NMR(400MHz、MeOD)δ7.43-7.27(m、5H)、5.19(s、2H)、4.46(dd、J=9.1、5.1Hz、1H)、2.36-2.24(m、2H)、2.26-2.12(m、1H)、2.00(s、3H)、1.99-1.85(m、1H)
【0107】
<製造例2>ベンジル2,5-ジアセトアミド-5-オキソペンタノエート(benzyl 2,5-diacetamido-5-oxopentanoat)
【0108】
マイクロウエーブチューブに前記有機製造例1(23.0mmol)、アセトアルデヒド(3.0eq)及び塩酸(0.001eq)を入れ、50W、120℃条件で30分間撹拌させた。その後、酢酸エチルと水を用いて有機層を抽出した後、塩水で前記有機層を洗浄して亜硫酸ナトリウムを用いて水分を除去した。その後、残っている溶媒を減圧蒸溜して最終的に得られた残渣をMPLCを用いて分離及び精製する過程を通じて製造例2を収得した(製造工程1参照)。
【0109】
1H NMR(400MHz、DMSO-d6)δ10.63(s、1H)、8.30(d、J=7.5Hz、1H)、7.47-7.23(m、5H)、5.17-5.06(m、2H)、4.27(ddd、J=9.3、7.5、5.4Hz、1H)、2.70-2.38(m、2H)、2.12(s、3H)、2.07-1.91(m、1H)、1.85(s、3H)、1.83-1.73(m、1H)
【0110】
<製造例3>2,5-ジアセトアミド-5-オキソペンタン酸(2,5-diacetamido-5-oxopentanoic acid)
【0111】
5mlのメタノールに前記製造例2(4.06mmol)を溶かした後、Pd/C(活性化炭素に吸着させたパラジウム)0.2gを追加で入れ、前記混合物を水素下で24時間の間撹拌させた。反応が終結した後、セライト(Celite)で前記反応液を濾過した後に減圧蒸溜する過程を通じて製造例3(DN204360)を収得した(製造工程1参照)。
【0112】
1H NMR(400MHz、DMSO-d6)δ10.64(s、1H)、8.13(d、J=7.8Hz、1H)、4.15(td、J=8.9、5.1Hz、1H)、2.56-2.46(m、2H)、2.13(s、3H)、2.06-1.89(m、1H)、1.84(s、3H)、1.80-1.64(m、1H)
【0113】
<製造例4>エチル2,5-ジアセトアミド-5-オキソペンタノエート(ethyl 2,5-diacetamido-5-oxopentanoate)
【0114】
2,5-ジアセトアミド-5-オキソペンタン酸(0.2mmol)をエタノールに十分に溶かした後、0℃で10分間撹拌させ、1.2eqの塩化チオニル(SOCl2)を追加で入れた。その後、前記反応物を20分間常温で撹拌させた後、2時間の間60℃で撹拌させた。反応が終結したら、水を添加した後、ジクロロメタンを追加で入れて有機層を抽出した。前記有機層を塩水で洗浄した後に亜硫酸ナトリウムを用いて水分を除去し、溶媒を減圧蒸溜して得た残渣をPrep HPLCで分離及び精製して製造例4を得た(製造工程2参照)。
【0115】
1H NMR(400MHz、DMSO-d6)δ8.30(d、J=7.4Hz、1H)、7.41(s、1H)、6.71(s、1H)、4.26-4.11(m、1H)、4.14-3.94(m、2H)、2.34-2.27(m、2H)、1.98-1.88(m、1H)、1.85(s、3H)、1.82-1.70(m、4H)、1.22-1.12(m、3H)
【0116】
<製造例5>メチル2-アセトアミド-5-アミノ-5-オキソペンタノエート(methyl 2-acetamido-5-amino-5-oxopentanoate)
【0117】
25mlのメタノールに2-アセトアミド-5-アミノ-5-オキソペンタン酸(5.31mmol)を溶かした後、1.05eqの塩化アセチルをゆっくり滴下し、24時間の間常温で撹拌させた。反応が終結したら、炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)溶液を入れ、溶媒を減圧蒸溜して得た残渣をMPLCで分離及び精製して製造例5を収得した(製造工程3参照)。
【0118】
1H NMR(400MHz、CDCl3)δ6.49(s、1H)、6.15(s、1H)、5.36(s、1H)、4.60(td、J=8.7、4.4Hz、1H)、2.49-2.26(m、2H)、2.26-2.11(m、1H)、2.13-1.83(m、4H)
【0119】
<製造例6>メチル2,5-ジアセトアミド-5-アミノ-5-オキソペンタノエート(methyl 2,5-diacetamido-5-amino-5-oxopentanoate)
【0120】
6mlのアセトニトリルとメチルクロリドが1:5割合で混合された溶液にアセトアルデヒド(0.3mmol)、前記製造例5(1.2eq)及びCuBr(0.05eq)を入れ、常温で15分間撹拌させた。その後に、1.5eqのN-ブロモスクシンイミド(N-Bromosuccinimide)を入れ、24時間の間常温で撹拌させた。反応が終決すると、酢酸エチルと水を用いて有機層を抽出し、前記有機層を塩水で洗浄した後、亜硫酸ナトリウムを用いて水分を除去した。その後、溶媒を減圧蒸溜して得た残渣をMPLCで分離及び精製して製造例6(DN205890)を収得した(製造工程3参照)。
【0121】
1H NMR(400MHz、MeOD)δ4.58-4.32(m、1H)、3.72(s、3H)、2.75-2.42(m、2H)、2.29-2.07(m、4H)、2.07-1.80(m、4H)
【0122】
<製造例7>ベンジル2-((((9H-フルオレン-9-イル)メトキシ)カルボニル)アミノ)-5-アミノ-5-オキソペンタノエート(benzyl 2-((((9H-fluoren-9-yl)methoxy)carbonyl)amino)-5-amino-5-oxopentanoate)
【0123】
2-((((9H-フルオレン-9-イル)メトキシ)カルボニル)アミノ)-5-アミノ-5-オキソペンタン酸(2-((((9H-fluoren-9-yl)methoxy)carbonyl)amino)-5-amino-5-oxopentanoic acid)を開始物質として、前記製造例1と同一の方法で合成して製造例7を収得した(製造工程4参照)。
【0124】
1H NMR(400MHz、CDCl3)δ7.77(d、J=7.5Hz、2H)、7.57(t、J=16.0Hz、2H)、7.43-7.14(m、9H)、5.77(s、1H)、5.64(d、J=7.6Hz、1H)、5.31(s、1H)、5.19(q、J=12.2Hz、2H)、4.41(d、J=7.0Hz、3H)、4.21(t、J=6.8Hz、1H)、2.24(t、J=7.2Hz、3H)、1.99(d、J=8.0Hz、1H)
【0125】
<製造例8>ベンジル2-((((9H-フルオレン-9-イル)メトキシ)カルボニル)アミノ)-5-アセトアミド-5-オキソペンタノエート(benzyl 2-((((9H-fluoren-9-yl)methoxy)carbonyl)amino)-5-acetamido-5-oxopentanoate)
【0126】
前記製造例7を用い、前記製造例6と同一の方法で合成して製造例8(DN205701)を収得した(製造工程4参照)。
【0127】
1H NMR(400MHz、CDCl3)δ7.99(s、1H)、7.77(d、J=7.5Hz、2H)、7.57(t、J=16.4Hz、2H)、7.49-7.19(m、9H)、5.50(d、J=8.1Hz、1H)、5.19(q、J=12.5Hz、2H)、4.42(d、J=6.8Hz、3H)、4.21(d、J=6.0Hz、1H)、2.54-2.48(m、1H)、2.35-2.27(m、4H)、2.05-1.91(m、1H)
【0128】
<製造例9>メチル2-((((9H-フルオレン-9-イル)メトキシ)カルボニル)アミノ)-5-アミノ-5-オキソペンタノエート(methyl 2-((((9H-fluoren-9-yl)methoxy)carbonyl)amino)-5-amino-5-oxopentanoate)
【0129】
2-((((9H-フルオレン-9-イル)メトキシ)カルボニル)アミノ)-5-アミノ-5-オキソペンタン酸を開始物質として、前記製造例5と同一の方法で合成して製造例9を収得した(製造工程5参照)。
【0130】
1H NMR(400MHz、MeOD)δ7.82-7.75(m、2H)、7.72-7.54(m、2H)、7.42-7.24(m、4H)、4.45-4.31(m、2H)、4.29-4.21(m、2H)、3.81-3.58(m、4H)、2.36-2.29(m、2H)、2.22-2.12(m、1H)、1.99-1.84(m、1H)
【0131】
<製造例10>メチル2-((((9H-フルオレン-9-イル)メトキシ)カルボニル)アミノ)-5-アセトアミド-5-オキソペンタノエート(methyl 2-((((9H-fluoren-9-yl)methoxy)carbonyl)amino)-5-acetamido-5-oxopentanoate)
【0132】
前記製造例9を用い、前記製造例6と同一の方法で合成して製造例10(DN205807)を収得した(製造工程5参照)。
【0133】
1H NMR(400MHz、CDCl3)δ8.73(s、1H)、7.76(d、J=7.5Hz、2H)、7.58(t、J=9.6Hz、2H)、7.40(t、J=7.4Hz、2H)、7.30(dd、J=17.3、9.9Hz、2H)、5.62(d、J=8.1Hz、1H)、4.42(t、J=10.3Hz、3H)、4.21(t、J=6.8Hz、1H)、3.76(s、3H)、2.61(d、J=5.5Hz、2H)、2.37-2.16(m、4H)、1.98(dd、J=14.3、7.4Hz、1H)
【0134】
<製造例11>エチル2-((((9H-フルオレン-9-イル)メトキシ)カルボニル)アミノ)-5-アミノ-5-オキソペンタノエート(ethyl 2-((((9H-fluoren-9-yl)methoxy)carbonyl)amino)-5-amino-5-oxopentanoate)
【0135】
25mlのエタノールに2-((((9H-フルオレン-9-イル)メトキシ)カルボニル)アミノ)-5-アミノ-5-オキソペンタン酸(2.71mmol)を溶かした後、1.05eqの塩化アセチルをゆっくり滴下し、24時間の間常温で撹拌させた。反応が終決すると、炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)溶液を入れ、溶媒を減圧蒸溜して得た残渣をMPLCで分離及び精製して製造例11を収得した(製造工程6参照)。
【0136】
1H NMR(400MHz、MeOD)δ7.70(d、J=7.5Hz、2H)、7.63-7.45(m、2H)、7.29(t、J=7.4Hz、2H)、7.22(t、J=7.4Hz、2H)、4.37-4.18(m、2H)、4.18-3.95(m、4H)、2.30(t、J=7.4Hz、2H)、2.05(dt、J=13.3、7.6Hz、1H)、1.81(dd、J=14.0、8.7Hz、1H)、1.28-1.01(m、3H)
【0137】
<製造例12>エチル2-((((9H-フルオレン-9-イル)メトキシ)カルボニル)アミノ)-5-アセトアミド-5-オキソペンタノエート(ethyl 2-((((9H-fluoren-9-yl)methoxy)carbonyl)amino)-5-acetamido-5-oxopentanoate)
【0138】
前記製造例11を用い、前記製造例6と同一の方法で合成して製造例12を収得した(製造工程6参照)。
【0139】
1H NMR(400MHz、MeOD)δ7.82(d、J=7.5Hz、2H)、7.71(dd、J=15.2、8.7Hz、2H)、7.61(s、1H)、7.41(t、J=7.4Hz、2H)、7.33(t、J=7.4Hz、2H)、4.50-4.30(m、2H)、4.30-4.06(m、4H)、2.63(t、J=7.2Hz、2H)、2.28-2.12(m、4H)、1.95(dt、J=16.0、7.2Hz、1H)、1.40-1.15(m、2H)
【0140】
<製造例13>ベンジル5-アミノ-2-(((ベンジルオキシ)カルボニル)アミノ)-5-オキソペンタノエート(benzyl 5-amino-2-(((benzyloxy)carbonyl)amino)-5-oxopentanoate)
【0141】
5-アミノ-2-(((ベンジルオキシ)カルボニル)アミノ)-5-オキソペンタン酸(5-amino-2-(((benzyloxy)carbonyl)amino)-5-oxopentanoic acid)を開始物質として、前記製造例1と同一の方法で合成して製造例13を収得した(製造工程7参照)。
【0142】
1H NMR(400MHz、CDCl3)δ7.57-7.06(m、10H)、5.95-5.53(m、2H)、5.41(s、1H)、5.23-4.99(m、4H)、4.41(d、J=7.2Hz、1H)、2.25(t、J=16.1Hz、2H)、2.10-1.91(m、1H)、1.86-1.79(m、1H)
【0143】
<製造例14>ベンジル5-アセトアミド-2-(((ベンジルオキシ)カルボニル)アミノ)-5-オキソペンタノエート(benzyl 5-acetamido-2-(((benzyloxy)carbonyl)amino)-5-oxopentanoate)
【0144】
前記製造例13を用い、前記製造例6と同一の方法で合成して製造例14(DN205891)を収得した(製造工程7参照)。
【0145】
1H NMR(400MHz、CDCl3)δ8.39(s、1H)、7.68-6.90(m、10H)、5.56(d、J=7.9Hz、1H)、5.27-4.96(m、4H)、4.46(d、J=4.6Hz、1H)、2.73-2.40(m、2H)、2.35-2.11(m、4H)、2.07-1.83(m、1H)
【0146】
<製造例15>メチル5-アミノ-2-(((ベンジルオキシ)カルボニル)アミノ)-5-オキソペンタノエート(methyl 5-amino-2-(((benzyloxy)carbonyl)amino)-5-oxopentanoate)
【0147】
5-アミノ-2-(((ベンジルオキシ)カルボニル)アミノ)-5-オキソペンタン酸(5-amino-2-(((benzyloxy)carbonyl)amino)-5-oxopentanoic acid)を開始物質として、前記製造例5と同一の方法で合成して製造例15を収得した(製造工程8参照)。
【0148】
1H NMR(400MHz、MeOD)δ7.58-6.99(m、5H)、5.20-5.00(m、2H)、4.22(dd、J=9.1、5.0Hz、1H)、3.74(s、3H)、2.33(t、J=7.5Hz、2H)、2.16(dt、J=13.0、7.6Hz、1H)、1.93(dt、J=22.1、7.8Hz、1H)
【0149】
<製造例16>メチル5-アセトアミド-2-(((ベンジルオキシ)カルボニル)アミノ)-5-オキソペンタノエート(methyl 5-acetamido-2-(((benzyloxy)carbonyl)amino)-5-oxopentanoate)
【0150】
前記製造例15を用い、前記製造例6と同一の方法で合成して製造例16を収得した(製造工程8参照)。
【0151】
1H NMR(400MHz、MeOD)δ7.65-7.16(m、5H)、5.20-4.98(m、2H)、4.26(dd、J=9.3、5.1Hz、1H)、3.74(s、3H)、2.63(t、J=7.2Hz、2H)、2.29-2.07(m、4H)、1.94(dd、J=15.1、8.1Hz、1H)
【0152】
<準備例1>実験動物の飼育
特定の病原体がない8週齢の雌C56BL/6マウス(Orient Bio Korea Inc.、大韓民国)を気流式無菌実験台に収容し、標準固形飼料を所望するままに(ad libitum)供給する条件で飼育した。下の実験が行われるとき、前記マウスは7-8週齢に該当するようにし、すべての実験動物は全北大学校医科大学の実験動物の管理及び利用委員会(Institutional Animal Care and Use Committee of the Chonbuk National University Medical School)により承認されたプロトコルによって管理されるようにした。
【0153】
<実験方法1>喘息及び慢性閉塞性肺疾患誘発動物モデルの製作
喘息誘発動物モデルの製作:図1に示したように、20μgの卵黄(ovalbumin;OVA、grade V、シグマアルドリッチ、アメリカ)を1.0mgの水酸化アルミニウムアジュバント(aluminum hydroxide adjuvant、Imject Alum;Pierceアメリカ)と混合して、実験開始日(0日)と、実験開始日から14日目(14日)に腹腔内に注射する過程を通じて1次チャレンジを行った。また、実験開始日から21日及び28日に、マウスをプラスチック箱(Plexiglas(Rohm&Haas、Philadelphia、Pa)exposure chamber;24.5cm×40.5cm×15.0cm)に入れ、超音波ネブライザー(ultrasonic nebulizer、NE-U12;output 0.8mL/min;Omron、日本)を用いて1.5%の卵黄を気化させて30分間前記箱に注入する過程を通じてマウスが気化された卵黄を吸入し得るようにした(2次チャレンジ)。
【0154】
慢性閉塞性肺疾患誘発動物モデルの製作:図2に示したように、10%DMSO溶液50μlに5μgのタバコ抽出物(全羅北道井邑市呼吸器毒性試験センター)及び0.25μgのLPSを混合した混合液を製造した。その後、前記混合液を実験開始日から30日又は60日の間一日に1回ずつ前記準備例1のマウスに鼻腔投与した。ここで、対照群は、生理食塩水のみを鼻腔内投与した群と、10%のDMSO溶液50μlに0.25μgのLPSのみを混合した溶液を投与した群に設定した。
【0155】
<実験方法2>気管支洗浄液の収集
マウスを麻酔させた後、気道に細い管を挿入し、0.2mlの生理食塩水が満たされた注射器を用いてピストン過程を繰り返して気管支洗浄液を収得した。実験にすぐ使用しない場合には、-70℃で前記過程を通じて収得した気管支洗浄液を保管した。
【0156】
<実験方法3>気管支洗浄液内に存在する炎症細胞の観察
前記実験方法2で収得した気管支洗浄液50μlをサイトスピン(cytospin)に用いられるスライドに入れ、30分間遠心分離した。その後、ディフ-クイック(Diff-Quik)染色を行い、顕微鏡を用いて炎症細胞(好中球(neutrophils)及び好酸球(eosinophils))を観察した。
【0157】
<実験方法4>気管支洗浄液内に存在するサイトカイン(cytokine)の測定
前記実験方法2で収得した気管支洗浄液内のサイトカインが存在するレベルは、ELISAキットを用いて測定した。ここで、TNF-α、IL-4、IL-5及びIL-13それぞれに特異的に製作されたELISAキットを用いた。
【0158】
<実験方法5>気管支の過敏反応の確認方法
前記実験方法1で製作されたマウスに45mg/kgのペントバルビタールナトリウム(sodium pentobarbital)を腹腔に注射して麻酔させた後、気道を切開して18ゲージの針を挿入した。その後、前記針をコンピュータと連結された小さなサイズの動物用呼吸器に連結した後、分当たり150回の呼吸数でコンピュータシステムを調節した。その後、エアロゾール形態のメタコリン(methacholine)を5.0~50mg/mlの濃度で徐々に増加させながらマウスが吸入し得るようにしながら気道反応を測定してRrs数値で示した。
【0159】
<実験方法6>肺組織の染色
前記実験方法1で製作されたマウスの組織を摘出して10%のホルマリン溶液に入れ、24時間の間反応させてパラフィンブロックを製造した。その後、前記パラフィンブロックを3μmのサイズに切片化し、スライドに付着させた後、ヘマトキシリン-エオジンIHE(heamatoxylin-eosin IHE)染色を行い、顕微鏡を通じて観察した。ここで、炎症の程度は、気道及び血管周囲の炎症程度を0~3の点数で示した。
0:炎症細胞がない場合
1:気道及び血管周囲に炎症細胞がたまに観察される場合
2:大部分の気道及び血管周囲が薄い1~5個程度の炎症細胞帯により取り囲まれている場合
3:大部分の気道及び血管周囲が厚い炎症細胞(5個以上)帯により取り囲まれている場合
【0160】
<実験方法7>タンパク質の発現レベルの測定方法
前記実験方法1で製作されたマウスの組織を摘出した後、細胞レベルに細かく砕いた。その後、前記細胞からタンパク質分解抑制剤が含まれた細胞溶解バッファーによって細胞溶解物を収得した。前記細胞溶解物を遠心分離してタンパク質を収得した後、前記細胞から得られた同等の量のタンパク質をSDS-PAGEにそれぞれローディングして電気泳動した。電気泳動が完了した前記ゲルに存在するタンパク質をPVDF膜に移した。前記PVDF膜を洗浄した後、TBS-T緩衝液に5%の脱脂粉乳が含まれたブロッキング緩衝液に入れて常温で培養した。その後、3%のBSAが含まれたTBS-T緩衝液に1:1,000希釈された抗体と前記PVDF膜を室温で培養した。その後、PVDF膜をTBS-T緩衝液で洗浄し、HRPが結合したIgGが含まれた希釈液とともに常温で1時間培養した。TBS-T緩衝液を用いて前記PVDF膜を3回洗浄し、ECLウエスタンブロット検出試薬を用いて視覚化及び定量化した。
【0161】
ここで、前記ウエスタンブロットでは、エラスチン(elastin)、カスパーゼ-3(caspase-3)、コラーゲン(collagen)、MKP-1、p-cPLA、p-p38、NF-κB(p65)、CK2α、GAPDH又はβ-アクチンに特異的な抗体を用いた。
【0162】
<実験方法8>RNA干渉(interference)の実施
MKP-1タンパク質を暗号化するRNAに対するsiRNA(small interfering RNA)(以下、「MKP-1 siRNA」という)及び対照siRNAストランド(strands)をサンタクルーズ(アメリカ)から購入した。製造社で提供する指針に従いin vivo-ジェットポリエチレンイミン(in vivo-jet polyethylene imine;PEI、Polyplus-transfection)を用いてマウスにsiRNAを伝逹(delivery)した。具体的に、5%グルコース溶液にMKP―1 siRNAを添加させた200μlの混合溶液を室温で20分間反応させた。その後、マウスを犠牲にする24時間前に尾静脈に注射した。MKP―1 siRNAの干渉に対する効果は、肺組織でMKP―1タンパク質の発現レベルをウエスタンブロット分析によって確認した。
【0163】
<実験方法9>統計処理
前記記載した実験方法の全ての実験は、最小3回実施し、一グループ当たりマウスは3~5匹を用いた。統計的分析資料は平均標準偏差で表現し、統計的比較はone-way ANOVAとフィッシャーテスト(Fisher test)を用いて行った。各群の間の有意な差は、unpaired Student's t-テストを用いて決定し、P値の有意レベルは、0.05未満とした。
【0164】
<実験結果1>喘息で気道に流入された炎症細胞抑制効果の確認
前記実験方法1で喘息が誘発されたマウスに、製造例3(α、δ-NA-L-G)又はα、δN-アセチル-D-グルタミン(α、δ-NA-D-G)を実験開始日から毎日50、100又は200μg/kg/日の濃度で経口投与した後、前記実験方法3の方法によって気道に流入された好中球(neutrophils)及び好酸球(eosinophils)細胞数を測定し、その結果を
図3の(A)及び(B)に示した。このとき、好中球及び好酸球は、それぞれ2次チャレンジ後10時間(好中球)又は48時間(好酸球)で測定した。
【0165】
ここで、前記α、δN-アセチル-D-グルタミンは、下記化学式3で表示された通りである:
【0166】
【0167】
図3の(A)に示したように、50~200μg/kg/日の濃度で製造例3を前記マウスに注入したとき、好中球及び好酸球が気道内に流入されることを非常に効果的に抑制した。特に、製造例3は、好酸球と比較して好中球を50μg/kg/日の濃度から非常に効果的に抑制した。
【0168】
しかし、
図3の(B)に示したように、α、δN-アセチル-D-グルタミンを投与した場合には、濃度と関係なく気道に好中球及び好酸球が流入されることを抑制しなかった。
【0169】
前記結果を通じて、本発明による製造例の化合物は、好中球及び好酸球が気道内に流入されることを非常に効果的に抑制して喘息を治療し得ることが分かる。また、製造例の化合物が「D」体(D form)である場合には、好中球及び好酸球の気道内流入を抑制し得ないことが分かる。
【0170】
<実験結果2>喘息で気道に存在するサイトカインの発現レベル抑制効果の確認
前記実験方法1で喘息が誘発されたマウスに、製造例3(α、δ-NA-L-G)又はα、δN-アセチル-D-グルタミンを2次エアウエイチャレンジ30分以前に100、200、400又は800μg/kg/日の濃度で経口投与し、2次チャレンジ24時間以後に、前記実験方法4に記載した方法によってIL-4、IL-5及びIL-13が存在するレベルを測定し、その結果を
図4の(A)及び(B)に示した。
【0171】
図4の(A)に示したように、200μg/kg/日の濃度で製造例3を投与した時から製造例3の投与によってIL-4、IL-5及びIL-13が存在するレベルが著しく抑制された。
【0172】
しかし、
図4の(B)に示したように、α、δN-アセチル-D-グルタミンを投与した場合には、濃度に関係なくサイトカインが存在するレベルを抑制しなかった。
【0173】
前記結果を通じて、本発明による製造例の化合物を経口投与する場合、Th2サイトカインに該当するIL-4、IL-5及びIL-13が存在するレベルを著しく抑制することによって、好酸球を通じた気道炎症、気管支過敏反応及びIgE抗体の生産を非常に効果的に抑制し得ることが分かる。また、製造例の化合物が「D」体である場合には、炎症性サイトカインを抑制し得ないことが分かる。
【0174】
<実験結果3>喘息で気管支過敏反応の抑制効果の確認
前記実験方法1で喘息が誘発されたマウスに、製造例3(α、δ-NA-L-G)又はα、δN-アセチル-D-グルタミンを2次エアウエイチャレンジ30分以前に200又は400μg/kg/日の濃度で経口投与し、2次チャレンジ48時間以後に、前記実験方法5に記載した方法で気管支過敏反応を測定し、その結果を
図5の(A)及び(B)に示した。
【0175】
図5の(A)に示したように、製造例3を200又は400μg/kg/日の濃度で経口投与したとき、メタコリンの濃度が増加するにもかかわらずRrs値が著しく抑制されることが分かる。
【0176】
しかし、
図5の(B)に示したように、α、δN-アセチル-D-グルタミンを投与した場合には、製造例3で現われたRrsが抑制される効果が現われないことを確認した。
【0177】
前記結果を通じて、本発明による製造例の化合物を経口投与する場合、喘息による気管支過敏反応を非常に効果的に抑制し得ることが分かる。また、製造例の化合物が「D」体である場合には、気管支過敏反応を抑制し得ないことが分かる。
【0178】
<実験結果4>喘息で肺組織炎症抑制効果の確認
前記実験方法1で喘息が誘発されたマウスに、製造例3(α、δ-NA-L-G)を2次チャレンジ30分以前に200又は400μg/kg/日の濃度で経口投与し、2次チャレンジ48時間以後に、前記実験方法6に記載した方法で肺組織を染色した後、その炎症程度点数を測定し、その結果を
図6の(A)及び(B)に示した。
【0179】
図6の(A)及び(B)に示したように、2次チャレンジで卵黄を投与した群(OVA)では、気道周囲に多くの炎症細胞が集まっており、気管支も狭くなって気管支周囲に血管が形成されて炎症点数(inflammation score)が3であった。しかし、200μg/kg/日の製造例3を投与した群(OVA+α、δ-NA-L-G(200μg/kg/日))及び400μg/kg/日の製造例3を投与した群(OVA+α、δ-NA-L-G(400μg/kg/日))では、炎症程度が著しく抑制されて点数がそれぞれ2点又は1点まで低くなった。
【0180】
前記結果を通じて、本発明による製造例の化合物を経口投与する場合、喘息による肺組織に発生する炎症を非常に効果的に抑制し得ることが分かる。
【0181】
<実験結果5>喘息反応抑制と関連された細胞シグナル伝達の確認
<5-1>MKP-1タンパク質、p38タンパク質及びcPLA2タンパク質の発現及び活性化レベルの確認
【0182】
前記実験方法1で記載した方法によって2次チャレンジ(卵黄注射)後、10分及び30分にMKP-1、p-cPLA、p-p38及びGAPDHタンパク質が存在するレベルを前記実験方法7に記載した方法によって測定し、その結果を
図7に示した。ここで、200、500又は1000μg/kg/日の濃度で製造例3を毎日経口投与した。
【0183】
図7に示したように、喘息が誘導されたマウスの肺組織で2次チャレンジを行った後、10分後からMKP-1タンパク質が存在するレベルが増加した。このようなMKP-1タンパク質の増加は、製造例3の濃度に依存的に一層著しく増加した。一方、p-cPLA及びp-p38タンパク質が存在するレベルは、製造例3の濃度に依存的に減少した。
【0184】
前記結果を通じて、本発明による新規な化合物は、MKP-1タンパク質が存在するレベルを増加させ、cPLA及びp38タンパク質のリン酸化を抑制することが分かる。
【0185】
<5-2>MKP-1抑制によるリン酸化抑制効果の確認
前記<5-1>で確認された製造例3のcPLA及びp38のリン酸化抑制効果がMKP―1に依存的であるか否かを確認するために、前記実施例<5-1>と同一の条件で、前記実験方法8に記載したようにMKP-1 siRNAを処理し、前記実験方法7に記載した方法によってタンパク質が存在するレベルを測定し、その結果を
図8に示した。ここで、対照群として前記実験方法8に記載したように、MKP-1 siRNAの代わりに対照siRNAストランドを処理した。
【0186】
図8に示したように、MKP-1タンパク質は、siRNAを処理したとき、製造例3を投与したにもかかわらず、MKP-1タンパク質が存在するレベルが増加せず、cPLA2及びp38のリン酸化レベルが増加された。
【0187】
前記結果を通じて、本発明による新規な化合物は、MKP-1タンパク質の発現レベルを増加させ、また、p38及びcPLA2のリン酸化を非常に効果的に抑制することが分かる。
【0188】
<5-3>MKP-1タンパク質に依存的なCK2/NF-kB活性化抑制有無の確認
本発明の新規化合物がMKP-1タンパク質がp38のリン酸化を抑制することによって、CK2αタンパク質がNK-κBタンパク質をリン酸化して活性化させる機序によって気管支内に炎症が誘発される現象を抑制し得るか否かに対して確認した。
【0189】
具体的に、前記実験方法1に記載した方法によって2次チャレンジ(卵黄注射)し、1時間が経った後に肺を摘出して、前記実験方法7に記載した方法によって測定し、その結果を
図9の(A)に示した。また、NK-κBに依存的なサイトカインに該当するTNF-αが存在するレベルを前記実験方法4に記載した方法によってELISAを行い、その結果を
図9の(B)に示した。ここで、400μg/kg/日の濃度で製造例3を毎日経口投与した。
【0190】
図9の(A)及び(B)に示したように、卵黄注射によってCK2αタンパク質が存在するレベルが増加した。これによって、NF-kBタンパク質とTNF-αが存在するレベルも著しく増加した(
図9の(A)及び(B)の左側で二番目コラム)。しかし、製造例3を投与した場合、CK2αタンパク質が存在するレベルが減少した。これによって、NF-kB及びTNF-αが存在するレベルが減少した(
図9の(A)及び(B)の左側で5番目コラム)。このように、CK2α、NF-κB及びTNF-αが存在するレベルを減少させる製造例3の効果は、MKP-1に特異的なsiRNAを処理したときには現れなかった。
【0191】
前記結果を通じて、本発明による新規化合物は、MKP-1タンパク質によってCK2αタンパク質の発現レベルを抑制し、これによって、NF-κB及びTNF-αが存在するレベルを非常に効果的に抑制することによって、呼吸器疾患を非常に効果的に治療し得ることが分かる。
【0192】
<5-4>CK2αタンパク質とp38nの上下位関係の確認
前記実験方法1に記載した方法によって2次チャレンジ(卵黄注射)し、1時間又は2時間が経った後に肺を摘出して、前記実験方法7に記載した方法によって測定し、その結果を
図10に示した。ここで、p38抑制剤であるSB202190を毎日投与した。
【0193】
図10に示したように、p38抑制剤であるSB202190を投与した場合に、2次チャレンジを行って1時間及び2時間が経った後に全てCK2αタンパク質が存在するレベルが減少した。
【0194】
前記結果を通じて、CK2αタンパク質は、p38の上位に存在するタンパク質であることが分かる。
【0195】
<5-5>CK2αタンパク質の抑制によるNF-κB活性化抑制効果の確認
前記実験方法1に記載した方法によって2次チャレンジ(卵黄注射)し、30分又は60分が経った後に肺を摘出して、前記実験方法7に記載した方法によって測定し、その結果を
図11の(A)及び(B)に示した。また、NK-κBに依存的なサイトカインに該当するTNF-αが存在するレベルを前記実験方法4に記載した方法によってELISAを行い、その結果を
図11の(B)に示した。ここで、CK2αタンパク質の抑制剤であるTBBtを毎日投与した。
【0196】
図11の(A)及び(B)に示したように、CK2αタンパク質の抑制剤を投与する場合、NF-κBタンパク質が存在するレベルが30分及び60分で減少した。また、NF-κBにより調節されるTNF-αタンパク質が存在するレベルも減少した。
【0197】
前記結果を通じて、本発明による新規な化合物は、MKP-1タンパク質の活性化を誘導することによって、p38/CK2α/NF-κB順序からなる細胞シグナル伝達を遮断して呼吸器疾患で発生する炎症反応を非常に効果的に抑制し得ることが分かる。
【0198】
<5-6>MKP-1タンパク質の抑制による喘息抑制効果消滅の確認
前記<5-2>に記載した方法によってMKP-1に特異的なsiRNAを処理し、前記実験結果1~3に記載した方法と同一に炎症細胞数、サイトカイン発現レベル、気管支内過敏反応程度及び肺組織の炎症程度を確認し、その結果を
図12~15に示した。
【0199】
図12~15に示したように、製造例3を投与した場合には、好中球及び好酸球の細胞数が減少し、サイトカイン(IL-4、IL-5及びIL-13)の発現レベルが減少し、肺組織の炎症程度が抑制された。しかし、製造例3に追加でMKP-1に特異的なsiRNAを処理した場合には、減少した好中球及び好酸球の細胞数が増加し、サイトカインの発現レベルも増加し、肺組織の炎症緩和効果も消えた。
【0200】
前記結果を通じて、本発明による新規な化合物の喘息抑制効果は、MKP-1タンパク質の発現レベルを増加させることによって誘導されることが分かる。
【0201】
整理すると、
図16に示したように、本発明による新規な化合物は、MKP-1タンパク質の発現レベルを増加させることによって、p38タンパク質の活性と、PLA2タンパク質の活性を抑制し、p38/CK2α/NF-κB順序によって進行される細胞シグナル伝達を通じて発現されるサイトカイン(TNF-α、IL-4、IL-5及びIL-13)の発現レベルを抑制し、エイコサノイドによって誘導される炎症反応を抑制することによって、気管支内に発生する炎症反応を非常に効果的に抑制し得る。
【0202】
<実験結果6>慢性閉塞性肺疾患で増加するタンパク質の発現レベル抑制効果の確認
前記実験方法1に記載した方法によってマウスで慢性閉塞性肺疾患(ChronicObstructive Pulmonary Disease;COPD)を30日間誘導しながら、250μg/kg/日の製造例3(α、δ-NA-L-G)を後半15日間経口投与した群(30);又はCOPDを60日間誘導しながら250μg/kg/日の製造例3を後半30日間経口投与した群(60)で、前記実験方法7に記載した方法によってウエスタンブロット分析を行い、エラスチン、コラーゲン及びカスパーゼ-3タンパク質が存在するレベルを測定して、その結果を
図17及び
図18に示した。
【0203】
図17及び
図18に示したように、COPDを30日及び60日誘導したとき、エラスチン、コラーゲン及びカスパーゼ-3タンパク質が存在するレベルが増加したが(COPD)、これは製造例3を投与したとき(COPD+α、δ-NA-L-G)、そのタンパク質が存在するレベルが陰性対照群(saline)レベルに減少した。
【0204】
前記結果を通じて、本発明による新規な化合物は、経口投与したときにCOPDで増加するエラスチン、コラーゲン及びカスパーゼ-3タンパク質の発現レベルを著しく抑制するので、喘息だけでなく、COPDを非常に効果的に治療し得ることが分かる。
【0205】
<実験結果7>新規化合物の呼吸器内炎症反応抑制効果の確認
前記実験結果1~3に記載した方法と同一に炎症細胞数、サイトカイン発現レベル及び気管支内過敏反応程度を確認し、その結果を
図19~21に示した。ここで、本発明で製造された他の化合物の同等の効果を確認するために、製造例3の代わり製造例2(α、δ-NA-L-G-Bn)、製造例4(α、δ-NA-L-G-Et)又は製造例6(α、δ-NA-L-G-Me)を毎日経口投与した。
【0206】
図19~21に示したように、製造例2、製造例4及び製造例6も製造例3と同様に、好中球及び好酸球の細胞数が減少し、サイトカイン(IL-4、IL-5及びIL-13)の発現レベルが減少し、肺組織で発生する気管支内過敏反応も抑制された。
【0207】
前記結果を通じて、同一の骨格をコアで共有している製造例は、製造例3と同一に呼吸器内炎症反応を非常に効果的に抑制し得ることが分かる。
【0208】
以上、本発明の内容の特定の部分を詳しく説明したが、当業界の通常の知識を有した者において、このような具体的技術は、好ましい実施様態に過ぎず、これによって本発明の範囲が制限されない点は明白である。したがって、本発明の実質的な範囲は、添付された請求項とそれらの等価物によって定義される。
【産業上の利用可能性】
【0209】
本発明による新規な化合物は、MKP-1タンパク質の活性化を誘導することによって、p38/CK2α/NF-κB順序からなる細胞シグナル伝達を遮断して呼吸器疾患で発生する炎症反応を非常に効果的に抑制する効果を有する。したがって、本発明による前記新規な化合物を経口投与する方式で呼吸器疾患の予防、改善又は治療が可能なので、産業上利用可能性がある。