(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-23
(45)【発行日】2024-01-31
(54)【発明の名称】コンクリートの表面処理用の処理装置およびコンクリートの表面処理の方法
(51)【国際特許分類】
E04G 21/10 20060101AFI20240124BHJP
E04F 21/24 20060101ALI20240124BHJP
【FI】
E04G21/10 Z
E04F21/24 B
(21)【出願番号】P 2023076369
(22)【出願日】2023-05-02
【審査請求日】2023-08-29
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】521538745
【氏名又は名称】株式会社F-tec
(74)【代理人】
【識別番号】100167276
【氏名又は名称】渡邉 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】藤井 啓栄
【審査官】櫻井 茂樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-026776(JP,A)
【文献】特開2020-165288(JP,A)
【文献】特開平05-079187(JP,A)
【文献】特開2001-115648(JP,A)
【文献】実公昭49-042358(JP,Y1)
【文献】特開平03-047369(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04G 21/10
E04F 21/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
乾燥前のコンクリートの表面処理に用いられる処理装置であって、
側面が前記乾燥前のコンクリート
に接するように配置される
円筒状のローラーと、
前記ローラーが
1本のみ底部に取り付けられており、
前記乾燥前のコンクリートの上において1本の前記ローラーによって支持され、前記ローラーを回転駆動させる
モーターを備える駆動部を搭載している本体部と、
前記ローラーの前方
において、前記本体部に取り付けられている
前方コテ部と、
前記ローラーの後方において、前記本体部に取り付けられている後方コテ部と、
前記本体部から後方に向かって斜め上方に延び出ており、上端に、作業者が把持する把持部が設けられているハンドル部と、
を備え
、
前記把持部を上方向へ持ち上げる操作によって、前記ローラーを支点として前記本体部の前側が下方に傾き、前記前方コテ部の縁部が前記乾燥前のコンクリートの表面に接触し、前記把持部を下方向へ下げる操作によって、前記ローラーを支点として前記本体部の後側が下方に傾き、前記後方コテ部の縁部が前記乾燥前のコンクリートの表面に接触するように構成され、
前記駆動部は、前記ローラーの回転方向を前進方向と後退方向とに切替可能であり、
前記把持部には、前記作業者が、前記ローラーの回転方向の切替操作が可能な操作部が設けられており、
前記ローラーは、自走、および、空転によって前記乾燥前のコンクリートの表面の平滑化が可能なように、前記側面が平滑に構成されている、処理装置。
【請求項2】
請求項1記載の処理装置であって、
前記駆動部は、前記本体部において前記ローラーの上に配置されている、処理装置。
【請求項3】
請求項2記載の処理装置であって、
前記本体部の上面には、前記モーターに電力を供給するバッテリが着脱可能に設置されている、処理装置。
【請求項4】
請求項1記載の処理装置であって、
前記操作部は、前記作業者が押すことができる前進スイッチと後退スイッチとを有し、
前記駆動部は、前記前進スイッチが押し続けられているときに前記ローラーを前進方向に回転させ続け、前記後退スイッチが押し続けられているときに前記ローラーを後退方向に回転させ続け、前記前進スイッチと前記後退スイッチとが押されていないときには前記モーターを停止状態とするように構成されている、処理装置。
【請求項5】
請求項1記載の処理装置であって、
前記
前方コテ部、および、前記後方コテ部は、前記本体部に対する高さと傾斜角度とを調整可能な状態で前記本体部に連結されている、処理装置。
【請求項6】
請求項1から請求項
5のいずれか一項に記載の処理装置を用いてコンクリートの表面処理の方法であって、
前記ローラーを、側面が前記乾燥前のコンクリートに接するように配置し、前記ローラーを支点として前記本体部を傾けて前記前方コテ部と前記後方コテ部のいずれか一方の縁部が前記乾燥前のコンクリートに接している状態にする工程と、
前記ローラーを、前記モーターの回転駆動力を推進力として自走させながら、前記ローラーによる押圧と、前記前方コテ部、または、前記後方コテ部の縁部の摺動によって、前記乾燥前のコンクリートの表面を平滑化する工程と、
前記ローラーを、前記モーターの回転駆動力によって空転させながら、前記ローラーによる押圧と、前記前方コテ部、または、前記後方コテ部の縁部の摺動によって、前記乾燥前のコンクリートの表面を平滑化する工程と、
を備える、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の技術は、コンクリートの表面処理用の処理装置およびコンクリートの表面処理の方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、土間やカーポート等のコンクリートの床面を施工する際には、通常、打設された乾燥前のコンクリートの表面を平滑に均しつつ、当該表面に形成されるレイタンスを除去するための表面処理が行われる。一般に、この表面処理は、作業者による木鏝や金鏝を用いた手作業によって行われたり、例えば、下記の特許文献1に開示されているような「トロウェル」と呼ばれる装置を用いることによって行われたりしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述したような表面処理を手作業でおこなう方法では、作業者の肉体に大きな負担がかかるという問題や、仕上がりの品質を担保できる技術を有する作業者を確保することが容易ではないという問題があった。また、トロウェルのような機械装置を用いる方法では、例えば、一般住宅の土間やカーポートの床面や犬走りのように、施工面積が小さい場合、そうした機械装置の施工場所への搬入や施工場所内での機械装置の取り回しが困難になってしまう場合があった。また、トロウェルは、処理対象であるコンクリートの表面に沿って金鏝に相当する部材を旋回させる構成であるため、その部材の旋回によってレイタンスが広がってしまい、十分に除去できない場合があった。そのため、トロウェルによる作業の後には、金鏝を用いて手作業でレイタンスの除去が行われる場合もあった。
【0005】
本願は、コンクリート床面の打設において乾燥前のコンクリートの表面処理を容易化できる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の技術は、以下の形態として実現することが可能である。
【0007】
[第1形態]第1形態は、乾燥前のコンクリートの表面処理に用いられる処理装置として提供される。第1形態の処理装置は、前記乾燥前のコンクリートの上に配置されるローラーと、前記ローラーが底部に取り付けられ、前記ローラーを回転駆動させる駆動部を搭載している本体部と、前記ローラーの前方と後方のうちの少なくとも一方において、縁部が前記乾燥前のコンクリートの表面に接触可能なように前記本体部に取り付けられているコテ部と、前記本体部から後方に向かって斜め上方に延び出ており、上端に、作業者が把持する把持部が設けられているハンドル部と、を備える。
第1形態の処理装置によれば、ローラーによる押圧や摩擦、コテ部の縁部の摺動によって、乾燥前のコンクリートの表面の平滑化や、レイタンスの除去が容易にできる。また、第1形態の処理装置によれば、作業者は、立った姿勢のまま、ハンドル部を介してローラーとコテ部とを一体的に操作することが可能であり、施工場所が狭い場合でも、その取り回しを容易に行うことができる。よって、第1形態の処理装置を用いることにより、乾燥前のコンクリートの表面処理を効率よく進めることができ、作業者の負担の低減も可能である。
【0008】
[第2形態]上記第1形態に記載の処理装置において、前記コテ部は、前記ローラーの前方と後方の両方に設けられていてよい。
第2形態の処理装置によれば、ローラーの前側と後側の両方にコテ部が設けられているため、ローラーを前進させるときにも後退させるときにも、ローラーの移動に、コテ部による摺動を後続させることができる。よって、乾燥前のコンクリートの表面の平滑化をより効率よく行うことが可能である。
【0009】
[第3形態]上記第2形態に記載の処理装置は、前記把持部を上方向へ持ち上げる操作によって、前記ローラーを支点として前記本体部の前側が下方に傾き、前方の前記コテ部の前記縁部が前記乾燥前のコンクリートの表面に接触し、前記把持部を下方向へ下げる操作によって、前記ローラーを支点として前記本体部の後側が下方に傾き、後方の前記コテ部の前記縁部が前記乾燥前のコンクリートの表面に接触するように構成されていてよい。
第3形態の処理装置によれば、作業者は、前方のコテ部と後方のコテ部のコンクリート表面への接触状態を、把持部を介してローラーを支点として本体部を揺動させる操作によって容易に調整することができる。よって、処理装置による乾燥前のコンクリートの表面処理を、より一層、容易化することができる。
【0010】
[第4形態]上記第1形態、第2形態、および、第3形態のうちのいずれかに記載の処理装置において、前記コテ部は、前記本体部に対する高さと傾斜角度とを調整可能な状態で前記本体部に連結されてよい。
第4形態の処理装置によれば、作業者は、コンクリートの表面に対するコテ部の縁部の接触状態を、コンクリートの状態に応じて調整することが、より容易にできる。
【0011】
[第5形態]上記第1形態、第2形態、第3形態、および、第4形態のうちのいずれかに記載の処理装置において、前記駆動部は、前記ローラーの回転方向を前進方向と後退方向とに切替可能であり、前記把持部には、前記作業者が、前記ローラーの回転方向を操作可能な操作部が設けられていてよい。
第5形態の処理装置によれば、作業者は、手元にある操作部によって、ローラーの回転方向を切替可能であるため、処理装置の操作性や取り回し性を高めることができる。よって、乾燥前のコンクリートの表面処理を、より一層、効率よく行うことが可能になる。
【0012】
[第6形態]第6形態は、乾燥前のコンクリートの表面処理に用いられる処理装置として提供される。第6形態の処理装置は、前記乾燥前のコンクリートの上に配置されるローラーと、前記ローラーが底部に取り付けられ、前記ローラーを回転駆動させる駆動部を搭載している本体部と、前記ローラーの前方と後方のうちの少なくとも一方において、縁部が前記乾燥前のコンクリートの表面に接触可能なように前記本体部に取り付けられているコテ部と、を備えてよい。
第6形態の処理装置によれば、ローラーによる押圧や摩擦、コテ部の縁部の摺動によって、乾燥前のコンクリートの表面の平滑化や、レイタンスの除去が容易にできる。
【0013】
[第7形態]第7形態は、乾燥前のコンクリートの表面処理の方法として提供される。第7形態の方法は、駆動部から伝達される回転駆動力によって回転しているローラーを、(a)前記回転駆動力を推進力として、または、(b)前記回転駆動力によって空転させながら、側面が前記乾燥前のコンクリートの表面に接触している状態で移動させる工程と、板状のコテ部を、縁部が前記乾燥前のコンクリートの表面に接触する状態で、前記ローラーに追従させて移動させる工程と、を備える。
第7形態の方法によれば、ローラーによる押圧や摩擦、コテ部の縁部の摺動によって、乾燥前のコンクリートの表面の平滑化を容易に行うことができ、レイタンスの除去も容易にできる。
【0014】
本開示の技術は、上記した形態の処理装置や方法の構成に限定されることはなく、様々な形態で実現することが可能である。本開示の技術は、例えば、ハンドル部等の一部の構成が省略された形態や、一部の構成が同等の機能を発揮する構成によって置換された形態によって実現されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】第1実施形態の処理装置を作業者が操作している様子を示す概略斜視図。
【
図2】処理装置の本体部を上方から見たときの概略斜視図。
【
図3】処理装置の本体部を下方から見たときの概略斜視図。
【
図4】処理装置の本体部を側方から見たときの概略側面図。
【
図6】コンクリートの打設工程のフローを示す説明図。
【
図7】コンクリート層が形成された後の施工場所の概略断面図。
【
図8】表面処理の方法を説明するための第1の概略図。
【
図9】表面処理の方法を説明するための第2の概略図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
1.第1実施形態:
図1は、第1実施形態の処理装置10を作業者OPが操作している様子を模式的に示す概略斜視図である。
【0017】
図1には、処理装置10を基準とする方向であり、互いに直交するX方向、Y方向、および、Z方向を示す矢印が図示されている。X方向は、処理装置10の幅方向、つまり、左右方向に相当する。Y方向は、処理装置10の前後方向に相当する。Z方向は、処理装置10の高さ方向、つまり、上下方向に相当する。以下、本明細書において、処理装置10に関して、「右」、「左」、「前」、「後」と言うときは、基本的には、処理装置10を使用している作業者OPから見た方向を意味する。また、「上」、「下」と言うときは、重力方向を基準とした方向を意味する。X方向、Y方向、および、Z方向を示す矢印は、後に参照する各図においても、適宜、
図1に対応するように図示されている。
【0018】
処理装置10は、コンクリートの床面を打設する打設工程において、乾燥前のコンクリートの表面を平滑に均し、レイタンスを除去するための表面処理に用いられる。コンクリートの打設工程の手順やレイタンスについては後述する。
【0019】
処理装置10は、底部に、コンクリートの表面処理を行うためのローラー12とコテ部13とが設けられている本体部15と、作業者OPが本体部15を取り回すためのハンドル部16と、を有する。本体部15の構成の詳細については後述する。
【0020】
ハンドル部16は、本体部15から後方に向かって斜め上方に延び出ている連結軸部17と、連結軸部17の上端部に設けられた把持部18と、を有する。連結軸部17は、例えば、直棒状の金属製の部材によって構成される。連結軸部17は、後で参照する
図3に示されているように、本体部15に対する角度が固定された状態で本体部15の背面側の下側部位に連結されている。
【0021】
把持部18は、連結軸部17の上端部から左右に延び出ている棒状の部位によって構成されている。作業者OPは、左右のそれぞれの手で把持部18を把持可能である。本実施形態では、把持部18に、作業者OPが、本体部15のローラー12の駆動を操作するための操作部40が設けられている。操作部40の詳細については後述する。
【0022】
処理装置10を用いた乾燥前のコンクリートの表面処理は、作業者OPが本体部15の後方に立ち、その立ったままの姿勢でハンドル部16の把持部18を把持し、本体部15を操作することによって行われる。乾燥前のコンクリートの表面処理のための処理装置10の具体的な操作方法については後述する。
【0023】
図2、
図3、および、
図4を参照して、処理装置10の構成の詳細を説明する。
図2は、処理装置10の本体部15を斜め上方から見たときの概略斜視図であり、
図3は、本体部15を斜め下方から見たときの概略斜視図である。
図4は、本体部15の右側側面を示す概略側面図である。
【0024】
本体部15は、左右方向を長辺とする略直方体形状を有し、下方が開口している中空の筐体部20を備える。筐体部20は、その骨格を構成する複数のフレーム部材21と、各フレーム部材21間に張り渡されている複数のカバー部材22とによって構成されている。
【0025】
フレーム部材21およびカバー部材22は、例えば、アルミニウムやステンレス等の金属によって構成される。フレーム部材21およびカバー部材22は、金属以外の材料によって構成されてもよく、例えば、プラスチック等の樹脂部材や、CFRP等によって構成されてもよい。カバー部材22は省略されてもよい。
【0026】
本体部15の底部には、円筒状のローラー12が取り付けられている。ローラー12は、筐体部20の下側の開口部の中に設置されている。ローラー12は、その中心軸を回転軸として回転可能な状態で本体部15に保持されている。処理装置10の使用時には、ローラー12は、乾燥前のコンクリートの上に配置され、本体部15を支持する。
【0027】
ローラー12は、本体部15の底部のY方向における中央に配置されている。ローラー12の中心軸方向は、X方向と一致する。ローラー12のX方向の長さは、本体部15の幅よりもわずかに短く、例えば、20~80cm程度でよい。ローラー12の直径は、例えば、3~30cm程度でよい。また、ローラー12の長さは、例えば、30~80cm程度でよい。
【0028】
本実施形態では、ローラー12は金属製の円筒状部材によって構成されている。ローラー12は金属以外の部材によって構成されてもよく、例えば、樹脂製の部材によって構成されてもよい。コンクリートの表面に接するローラー12の側面は平滑に構成されている。ローラー12の側面端部は丸められていることが好ましい。これにより、乾燥前のコンクリートの表面に、ローラー12が移動した後に筋状の痕跡が残ることを抑制できる。
【0029】
本実施形態では、ローラー12は、本体部15に対して着脱可能に構成されている。これによって、ローラー12の交換が容易化されている。また、処理装置10の使用後に、本体部15からローラー12を取り外すことにより、ローラー12の洗浄を容易に行うことができる。
【0030】
図4を参照する。本体部15には、ローラー12を回転駆動させる駆動部25が搭載されている。駆動部25は、回転駆動力を発生するモーター26と、モーター26からローラー12に回転駆動力を伝達する伝達機構27と、を有する。
【0031】
モーター26は、筐体部20内におけるローラー12の上の領域に配置されている。モーター26は、例えば、DCブラシレスモーターによって構成される。モーター26の定格出力は、例えば、30~100W程度としてもよい。本実施形態では、モーター26は、少なくとも0~100rpmの範囲の回転速度で駆動可能である。
【0032】
伝達機構27は、モーター26とローラー12の側方の部位に設けられている。伝達機構27は、モーター26で発生した回転速度を減速し、ローラー12に減速比に応じたトルクを出力する減速機としての機能を有する。伝達機構27は、モーター26からローラー12に回転駆動力を伝達するためのタイミングベルト27bを有する。本実施形態では、タイミングベルト27bは、筐体部20の側面に設けられたケース内に収められている。他の実施形態では、タイミングベルト27bの代わりに、例えば、チェーンが用いられてもよい。
【0033】
本体部15は、さらに、制御ユニット28と、電源部29と、を搭載している。制御ユニット28は、筐体部20内に収容されており、図示しない配線によって、モーター26と、電源部29と、に接続されている。また、制御ユニット28は、後述する操作部40と、例えば、Bluetooth(登録商標)等の無線通信によって接続可能である。制御ユニット28は、操作部40と有線接続されてもよい。
【0034】
制御ユニット28は、電源部29からモーター26に供給される電力を制御する制御回路と、モーター26の回転駆動を制御する制御回路と、操作部40との通信を制御する制御回路と、を含む。制御ユニット28は、作業者OPによる操作部40の操作に応じてモーター26の回転駆動を制御することにより、ローラー12の回転駆動を制御する。
【0035】
本実施形態では、制御ユニット28は、操作部40を介して受け付けた作業者OPの操作に従って、駆動部25を制御して、モーター26の回転駆動力によるローラー12の回転方向を、
図4において矢印Fで示す前進方向と、矢印Rで示す後退方向とに切り替える。また、制御ユニット28は、操作部40を介して受け付けた作業者OPの操作に従って、モーター26の回転を制御してローラー12の回転速度を制御する。
【0036】
電源部29は、筐体部20の上面に設けられている。電源部29は、例えば、リチウムイオンバッテリー等、充電と放電とが繰り返し可能な蓄電池によって構成される。本実施形態では、電源部29は、2つの蓄電池によって構成されている。電源部29を蓄電池で構成すれば、外部電源と接続する電源コードを省略できるため、処理装置10の取り回し性を向上させることができる。
【0037】
電源部29は、本体部15に対して着脱可能に構成されている。電源部29は、前述したように、筐体部20の上面に設けられているため、作業者OPがアクセスしやすく、その着脱が容易である。
【0038】
上述したように、本体部15の底部には、コテ部13が設けられている。詳細は後述するが、処理装置10を用いたコンクリートの表面処理では、ローラー12の移動に追従させてコテ部13の縁部13eによって乾燥前のコンクリートの表面を擦ることによって、コンクリートの表面を平滑化する。
【0039】
本実施形態では、コテ部13は、ローラー12の前方と後方の両方において、ローラー12に対して間隔を空けて設置されている。以下では、ローラー12の前方側に設けられたコテ部13を「前方コテ部13f」とも呼び、ローラー12の後方側に設けられたコテ部13を「後方コテ部13r」とも呼ぶ。また、以下では、前方コテ部13fと後方コテ部13rとを特に区別する必要がない場合には、「コテ部13」と総称する。
【0040】
本実施形態では、コテ部13は、略長方形の板面を有する平板な板状部材によって構成されている。コテ部13は、弾性変形によって撓むように構成されていることが好ましい。コテ部13は、例えば、防錆効果が高く、強度が高いステンレス鋼(登録商標)の薄板によって構成されることが好ましい。
【0041】
コテ部13の長さは、ローラー12の長さより大きいことが好ましい。コテ部13のY方向に長さは、例えば、1~15cm程度としてよい。コテ部13の厚みは、例えば、0.1~3.0mm程度としてよい。本実施形態では、前方コテ部13fと後方コテ部13rとはほぼ同じ形状で、ほぼ同じ寸法を有している。他の実施形態では、前方コテ部13fと後方コテ部13rとは異なる形状を有していてもよいし、異なる寸法を有していてもよい。
【0042】
コテ部13は、その板面が上下方向に向き、その長辺を構成する縁部13eがローラー12に沿って配置される状態で本体部15に取り付けられている。前方コテ部13fは、その上面に設けられた固定部31に、本体部15の前面に設けられた連結部32が連結されることにより、本体部15に保持されている。後方コテ部13rは、その上面に設けられた固定部31に、本体部15の背面に設けられた連結部32が連結されることによって、本体部15に保持されている。
【0043】
前方コテ部13fは、ローラー12を支点として本体部15を、その前方が下がるよう傾斜させたときに、前側の長辺を構成する縁部13eが、乾燥前のコンクリートの表面に接触可能である。後方コテ部13rは、本体部15を、ローラー12を支点として、その後側が下がるよう傾斜させたときに、後側の長辺を構成する縁部13eが、乾燥前のコンクリートの表面に接触可能である。
【0044】
前述したコテ部13を本体部15に保持させる連結部32は、本体部15におけるコテ部13の高さ位置と傾斜角度とを調整可能に構成されている。連結部32は、一対のスライド部材33と、一対の保持部34と、一対の揺動部35と、を備える。
【0045】
一対のスライド部材33は、直線状の細長い板状の部材によって構成され、互いに幅方向に並列に配列された状態で、上下方向に沿って配置されている。一対のスライド部材33のそれぞれの上端部は、X方向に架設された連結バー33bによって連結されている。
【0046】
一対のスライド部材33は、筐体部20の外側に設けられた一対の保持部34によって保持されている。一対の保持部34は、矩形枠状の部材によって構成されている。一対のスライド部材33は、本体部15に固定された一対の保持部34の枠内に挿入されて保持される。
【0047】
一対のスライド部材33の下端には、一対の揺動部35が、Y方向に揺動可能に連結されている。コテ部13は、その上面に設けられた固定部31を介して、一対の揺動部35の下端に連結されている。
【0048】
保持部34には、第1締結部材36が設けられている。第1締結部材36は、保持部34とスライド部材33とを締め付け可能に取り付けられている。第1締結部材36の締め付けによって、保持部34に対してスライド部材33が固定される。第1締結部材36を緩めると、保持部34に対するスライド部材33の直線移動が許容される。作業者OPは、第1締結部材36を緩めて、スライド部材33を上下方向に移動させることによって、
図4に矢印Hで示すように、本体部15におけるコテ部13の高さ位置を調整することが可能である。
【0049】
揺動部35には第2締結部材37が設けられている。第2締結部材37の締め付けよって、スライド部材33に対する揺動部35の揺動を規制することができる。作業者OPは、第2締結部材37を緩めて、揺動部35をスライド部材33に対して揺動させることによって、
図4の矢印Sで示すように、本体部15に対するコテ部13の傾斜角度を調整することが可能である。
図4では、傾斜角度を変更したコテ部13を破線で図示してある。
【0050】
このように、本実施形態の処理装置10によれば、作業者OPは、第1締結部材36や第2締結部材37を緩めることにより、本体部15におけるコテ部13の高さ位置と傾斜角度とを任意に調整することができる。これにより、作業者OPは、例えば、硬さや水分量等のコンクリートの状態に応じて、コテ部13の縁部13eのコンクリートの表面に対する接触状態を、自身の意図した通りに容易に調整することができる。よって、コンクリートの表面処理の仕上がりの品質を容易に高めることができる。
【0051】
固定部31は、第3締結部材38による締結によって、揺動部35の下端に連結されている。第3締結部材38を緩めることにより、コテ部13は揺動部35から容易に取り外すことができる。これにより、処理装置10では、コテ部13の交換が容易にできる。また、処理装置10の使用後にコテ部13を取り外して洗浄することが容易にできる。
【0052】
図5は、処理装置10の操作部40の一例を示す概略図である。操作部40は、作業者OPによる操作を受け付け、その操作内容を表す信号を制御ユニット28に送信する。操作部40は、把持部18の中央に設けられた操作パネル41と、把持部18に取り付けられている駆動スイッチ部45と、を有する。
【0053】
操作パネル41には、主電源ボタン42と、複数の速度調整ボタン43と、が設けられている。作業者OPは、主電源ボタン42を押すことにより、処理装置10の電源のオン/オフを操作することができる。複数の速度調整ボタン43は、一列に配列されている。作業者OPは、複数の速度調整ボタン43のうちから所望の回転速度に対応するものを選択して押すことにより、ローラー12の回転速度を変更することができる。本実施形態では、ローラー12の回転速度を、高速と、中速と、低速とに切り替えることが可能である。
【0054】
駆動スイッチ部45は、作業者OPが把持部18を把持している手の親指で操作可能な位置に設けられている。駆動スイッチ部45は、前進スイッチ46と、後退スイッチ47と、を有する。作業者OPが前進スイッチ46を押し続けている間、モーター26は、ローラー12を前進方向に回転させる回転駆動力を発生させ続ける。逆に、作業者OPが後退スイッチ47を押し続けている間、モーター26は、ローラー12を後退方向に回転させる回転駆動力を発生させ続ける。作業者OPが、駆動スイッチ部45を操作していないときには、モーター26は回転駆動が停止した待機状態となる。
【0055】
図2を参照する。本実施形態では、操作部40の主電源ボタン42に加え、本体部15の上面の電源部29の横に、緊急駆動停止ボタン49が設けられている。作業者OPは、操作部40による操作によって、処理装置10の駆動を停止させることができない状況になったときに、緊急駆動停止ボタン49を押すことにより、処理装置10の駆動を強制的に停止させることができる。
【0056】
図6および
図7を参照して、コンクリートの打設工程を説明する。
図6は、コンクリートの打設工程の工程フロー図である。
図7は、コンクリート層CLが形成された後の施工場所の概略断面図である。
図7では、コンクリート層CLの上に処理装置10が配置された状態が例示されている。
【0057】
ステップS10では、作業者OPは、施工場所表層の土壌層である基盤層BLの上に砕石を敷き詰めることにより、施工場所全体を覆う砕石層SLを形成する。砕石層SLは、例えば、5~15cm程度の厚みで形成される。
【0058】
ステップS20では、作業者OPは、コンクリートが不要な場所に流動することを抑制するために、コンクリートを流し込む領域を囲んで区画する型枠を設置する。ステップS30では、作業者OPは、型枠内の砕石層SLの上に鉄筋部材RFを設置する。鉄筋部材RFは、例えば、ワイヤーを格子状に組み付けたワイヤーメッシュによって構成される。鉄筋部材RFは、コンクリート層CLの内部骨格を構成し、固化後のコンクリートのひび割れ等を抑制する。
【0059】
ステップS40では、作業者OPは、型枠内に生コンクリートを流し込み、内部に鉄筋部材RFを内包するコンクリート層CLを形成する。コンクリート層CLは、例えば、5~15cm程度の厚みで形成される。
【0060】
ここで、乾燥前のコンクリートの表面には、通常、打設後の時間の経過とともに、コンクリート内部の水が浮き上がってくる。この現象、あるいは、この現象によって浮き上がってくる水は「ブリーディング水」とも呼ばれる。乾燥前のコンクリートの表面には、このブリーディング水とともに浮き上がってきたコンクリート中のセメントや骨材の微粒子の薄層である「レイタンス」が形成される場合がある。
【0061】
レイタンスが十分に除去されないままコンクリートが固化すると、コンクリートの表層に亀裂が生じたり、コンクリートの見栄えが損なわれたりする可能性がある。また、レイタンスが十分に除去されないまま固化したコンクリートの上に新しいコンクリートが打ち継がれる場合には、下層の旧いコンクリートの表面に形成されているレイタンスが、上層の新しいコンクリートとの接合性を阻害する原因となる可能性がある。そこで、続くステップS50では、処理装置10を用いて、乾燥前のコンクリート層CLの表面を平滑化しながらレイタンスを除去する表面処理を行う。
【0062】
ステップS50では、作業者OPは、処理装置10の本体部15を乾燥前のコンクリート層CLの上に配置し、ハンドル部16を介して本体部15を操作することにより、乾燥前のコンクリート層CLの表面処理を行う。ステップS50での処理装置10の操作方法については、次のステップS60の説明の後に説明する。
【0063】
ステップS60では、作業者OPは、コンクリート層CLの上から処理装置10をどけて、コンクリートが乾燥するまで待機する。コンクリートが乾燥した後には、作業者OPは、型枠を取り除いたり、コンクリートに対する造作を行ったりするなどの仕上げの作業を行う。以上の工程により、コンクリートの打設工程が完了する。
【0064】
図8および
図9を参照して、ステップS50での処理装置10の操作方法を説明する。上述したように、処理装置10は、ローラー12を支点として本体部15を傾けることにより、前方コテ部13fの縁部13eと後方コテ部13rの縁部13eのいずれか一方を乾燥前のコンクリートの表面に接触させることができる。以下では、前方コテ部13fを用いて表面処理を行う操作方法と、後方コテ部13rを用いて表面処理を行う操作方法の例を順に説明する。
【0065】
図8は、前方コテ部13fを用いる第1と第2の操作方法を説明するための概略図である。作業者OPは、ハンドル部16を上に持ち上げることによって、ローラー12を支点として本体部15の前側を下方に傾け、前方コテ部13fの縁部13eをコンクリートの表面に接触させることができる。
【0066】
第1の操作方法では、前方コテ部13fの縁部13eをコンクリートの表面に接触させた状態で、モーター26によってローラー12を実線矢印Rで示す後退方向に回転させ、モーター26の回転駆動力を推進力として本体部15を後方に移動させる。これによって、ローラー12で乾燥前のコンクリートの表面を押圧し、さらに、そのローラー12に追従して移動する前方コテ部13fの縁部13eによってコンクリートの表面を摺ることができる。よって、コンクリートの表面を容易に平滑化できるとともに、レイタンスを効果的に除去することができる。
【0067】
第2の操作方法では、前方コテ部13fの縁部13eをコンクリートの表面に接触させた状態で、モーター26によって回転駆動しているローラー12をコンクリートの表面に接触させたまま空転させながら、本体部15を後方に移動させる。ここで、「ローラー12を空転させる」とは、モーター26によって回転駆動しているローラー12を、その回転駆動の周速度とは異なる移動速度で移動させて、コンクリートの表面上を滑らせる状態を意味する。
【0068】
ローラー12を空転させるには、モーター26によって、ローラー12を破線矢印Fで示す前進方向に回転させた状態で、ハンドル部16を介して本体部15を引っ張って後方に移動させればよい。あるいは、モーター26によってローラー12を実線矢印Rで示す後退方向に回転させた状態で、ハンドル部16を介して本体部15を引っ張って、モーター26の回転駆動力によるローラー12の周速度よりも速い速度で、本体部15を後方に移動させてもよい。
【0069】
第2の操作方法によれば、ローラー12の摩擦によってコンクリートの表面を粗しながら、後続する前方コテ部13fの縁部13eの摺動によって、コンクリートの表面を平滑化するとともに、レイタンスを除去することができる。よって、コンクリートが固い場合などに、コンクリートの表面を効果的に平滑化することができる。また、コンクリートの表面に固着し始めたレイタンスを効果的に除去することもできる。
【0070】
図9は、後方コテ部13rを用いる第3と第4の操作方法を説明するための概略図である。作業者OPは、ハンドル部16を下方に下げることによって、ローラー12を支点として本体部15の後側を下方に傾けることができ、後方コテ部13rの縁部13eをコンクリートの表面に接触させることができる。
【0071】
第3の操作方法では、後方コテ部13rの縁部13eがコンクリートの表面に接触した状態で、モーター26によってローラー12を実線矢印Fで示す前進方向に回転させ、モーター26の回転駆動力を推進力として本体部15を前方に移動させる。これによって、ローラー12で乾燥前のコンクリートの表面を押圧した後、そのローラー12に追従して移動する後方コテ部13rの縁部13eによってコンクリートの表面を摺ることができる。よって、上記の第1の操作方法と同様に、コンクリートの表面を容易に平滑化できるとともに、レイタンスを効果的に除去することもできる。
【0072】
第4の操作方法では、後方コテ部13rの縁部13eをコンクリートの表面に接触させた状態で、ローラー12をコンクリートの表面に接触させたまま、モーター26の回転駆動力で空転させながら、本体部15を前方に移動させる。ローラー12を空転させるには、モーター26によって、ローラー12を破線矢印Rで示す後退方向に回転させた状態で、ハンドル部16を介して本体部15を押して前方に移動させればよい。あるいは、モーター26によってローラー12を実線矢印Fで示す前進方向に回転させた状態で、ハンドル部16を介して本体部15を押して、モーター26の回転駆動によるローラー12の周速度よりも速い速い速度で、本体部15を前方に移動させてもよい。第4の操作方法によれば、ローラー12の摩擦と後方コテ部13rの縁部13eの摺動によって、第2の操作方法と同様に、コンクリートの表面の平滑化と、レイタンスの除去とを効果的に実行することができる。
【0073】
なお、後方コテ部13rの方が、前方コテ部13fよりも、作業者OPがコンクリートの表面に対する接触状態を視認し易い。そのため、第3の操作方法と第4の操作方法とはいずれも、表面処理の仕上がりを視認しながらの作業が、第1の操作方法や第2の操作方法よりも容易である。
【0074】
作業者OPは、上述したような処理装置10の操作を適宜、組み合わせながら、
図5のステップS50の表面処理を行うことができる。これにより、作業者OPは、処理装置10の簡易な操作によって、乾燥前のコンクリートの表面を容易に平滑化できる。また、レイタンスを効果的に除去することもでき、レイタンスに起因する亀裂の発生や見栄えの劣化、新旧のコンクリート同士の接合性の低下などの問題が発生することを抑制できる。
【0075】
処理装置10は、上記のような簡素な構成を有しており、小型化や軽量化が容易である。また、処理装置10は、上記のように、ハンドル部16を介した作業者OPによる取り回しが容易であり、小回りが利く。よって、処理装置10は、例えば、一般住宅の土間やカーポートの床面、犬走りなど等の施工面積が比較的小さい作業場において好適に用いることができる。処理装置10は、例えば、面積が15m2以下の施工場所や、幅が1m以下の施工場所などでも好適に用いることが可能である。
【0076】
処理装置10によれば、作業者OPは、ローラー12の回転制御とハンドル部16を介した本体部15の操作という、立ったままの姿勢で行う簡易な作業によって、乾燥前のコンクリートの表面処理が可能である。よって、木鏝や金鏝を用いた手作業による表面処理よりも作業者OPの肉体にかかる負担は著しく軽減される。また、作業者OPの技術力の差による表面処理の品質のばらつきの発生も抑制される。
【0077】
処理装置10によれば、操作部40が作業者OPの手元の近くの把持部18に設けられており、作業者OPは、コンクリートの表面状態を確認しながらローラー12の回転制御やコテ部13による仕上げ作業を容易にできる。よって、コンクリートの表面の仕上がりの品質を容易に高めることができる。
【0078】
以上のように、第1実施形態の処理装置10、および、乾燥前のコンクリートの表面処理の方法によれば、コンクリートの仕上がりの品質の低下を抑制しながら、作業者の負担を大きく軽減することができる。また、コンクリートの打設にかかる作業時間やコストを大幅に低減することができる。
【0079】
2.第2実施形態:
図10は、第2実施形態の処理装置10Aを側方から見たときの概略側面図である。
図10には、コンクリートの打設工程においてコンクリート層CLが形成された後の施工場所の概略断面図が図示されている。
【0080】
第2実施形態の処理装置10Aは、ハンドル部16が省略され、自走可能に構成されている点以外は、第1実施形態の処理装置10の構成とほぼ同じである。第2実施形態の処理装置10Aは、前方コテ部13fの縁部13e、または、後方コテ部13rの縁部13eがコンクリートの表面に接するように、本体部15が傾いた姿勢で、乾燥前のコンクリートの表面上に安定して配置できるように重心が調整されている。作業者OPは、図示しない操作部40を介したリモート操作により、ローラー12を、第1実施形態で説明したように、前進方向、または、後退方向に回転駆動させることができる。
【0081】
第2実施形態のコンクリートの表面処理では、作業者OPは、例えば、以下のように、処理装置10Aを操作する。作業者OPは、本体部15を、乾燥前のコンクリート層CLの上に、前方コテ部13fの縁部13eがコンクリートに接する姿勢で設置し、モーター26によってローラー12を後退方向に回転させて、本体部15を後方に自走させる。あるいは、作業者OPは、本体部15を、コンクリート層CLの上に、後方コテ部13rの縁部13eがコンクリートに接する姿勢で設置し、ローラー12を前進方向に回転させて、そのローラー12の回転駆動によって、本体部15を前方に自走させる。このような操作により、乾燥前のコンクリートの表面を、ローラー12によって押圧しながら、ローラー12に追従して移動するコテ部13の縁部13eによって摺することができ、コンクリートの表面の平滑化やレイタンスの除去が可能である。
【0082】
第2実施形態の処理装置10Aによれば、処理装置10Aをリモート操作によって自走させることによって、コンクリートの表面処理を行うことができる。よって、コンクリートの表面処理がより容易化され、作業者OPの作業負担をさらに低減することができる。その他に、第2実施形態の処理装置10Aおよびそれを用いたコンクリートの表面処理の方法によれば、上記の第1実施形態で説明したのと同様な種々の作用効果を奏することができる。
【0083】
3.他の実施形態:
本開示の技術は、上述の実施形態の構成に限定されることはなく、例えば、以下のように改変することが可能である。以下に説明する他の実施形態はいずれも、上記の各実施形態と同様に、本開示の技術を実施するための形態の一例として位置づけられる。
【0084】
3-1.他の実施形態1:
上記の各実施形態において、処理装置10,10Aは、前方コテ部13fと後方コテ部13rのうちいずれか一方のみを有する構成としてもよい。つまり、コテ部13は、ローラー12の前方と後方のうちの少なくとも一方に設けられていればよい。このような構成であっても、乾燥前のコンクリートの表面上で、ローラー12に追従させてコテ部13を移動させることにより、コンクリートの表面の平滑化やレイタンスの除去が可能である。
【0085】
3-2.他の実施形態2:
上記の各実施形態において、コテ部13は本体部15に対して、高さ位置や傾斜角度が固定された状態で連結されていてもよい。また、上記の各実施形態において、前方コテ部13fと後方コテ部13rのいずれか一方は、本体部15を、ローラー12を支点として傾けていない状態でも、その縁部13eがコンクリートの表面に接触するように設置されていてもよい。
【0086】
3-3.他の実施形態3:
上記の各実施形態の処理装置10,10Aにおいて、ローラー12は、前進方向または後退方向のいずれか一方の方向にのみ回転可能に構成されていてもよい。上記の第1実施形態において、操作部40は、ハンドル部16の把持部18以外の部位に設けられていてもよい。
【0087】
3-4.他の実施形態4:
上記の各実施形態の処理装置10,10Aにおいて、本体部15の底部には、複数のローラー12が設けられていても良い。複数のローラー12は、本体部15の底部において前後方向に配列されていてもよいし、幅方向に一列に配列されていてもよい。複数のローラー12はそれぞれ、個別の駆動部25によって駆動され、それぞれ別個に回転方向や回転数を制御できるように構成されていてもよい。つまり、第1のローラーと第2のローラーとをそれぞれ互いに反対方向に回転させることができるように構成されていてもよい。
【符号の説明】
【0088】
10,10A…処理装置、12…ローラー、13…コテ部、13e…縁部、13f…前方コテ部、13r…後方コテ部、15…本体部、16…ハンドル部、17…連結軸部、18…把持部、20…筐体部、21…フレーム部材、22…カバー部材、25…駆動部、26…モーター、27…伝達機構、27b…タイミングベルト、28…制御ユニット、29…電源部、31…固定部、32…連結部、33…スライド部材、33b…連結バー、34…保持部、35…揺動部、36…第1締結部材、37…第2締結部材、38…第3締結部材、40…操作部、41…操作パネル、42…主電源ボタン、43…速度調整ボタン、45…駆動スイッチ部、46…前進スイッチ、47…後退スイッチ、49…緊急駆動停止ボタン、BL…基盤層、CL…コンクリート層、OP…作業者、RF…鉄筋部材、SL…砕石層
【要約】
【課題】乾燥前のコンクリートの表面処理を容易化できる技術を提供する。
【解決手段】 処理装置は、乾燥前のコンクリートの表面処理に用いられる。処理装置は、前記乾燥前のコンクリートの上に配置されるローラーと、前記ローラーが底部に取り付けられ、前記ローラーを回転駆動させる駆動部を搭載している本体部と、前記ローラーの前方と後方のうちの少なくとも一方において、縁部が前記乾燥前のコンクリートの表面に接触可能なように前記本体部に取り付けられているコテ部と、前記本体部から後方に向かって斜め上方に延び出ており、上端に、作業者が把持する把持部が設けられているハンドル部と、を備える。
【選択図】
図1