(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-23
(45)【発行日】2024-01-31
(54)【発明の名称】飛翔体のキャビン内圧力を調整するための調整装置、システム、及び、キャビン内圧力を調整する機能を備えた飛翔体
(51)【国際特許分類】
B64D 13/04 20060101AFI20240124BHJP
B64B 1/40 20060101ALI20240124BHJP
B64D 13/06 20060101ALI20240124BHJP
【FI】
B64D13/04
B64B1/40
B64D13/06
(21)【出願番号】P 2023108616
(22)【出願日】2023-06-30
【審査請求日】2023-07-03
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】520365229
【氏名又は名称】株式会社岩谷技研
(74)【代理人】
【識別番号】110000752
【氏名又は名称】弁理士法人朝日特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岩谷 圭介
(72)【発明者】
【氏名】棧敷 和弥
【審査官】志水 裕司
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0321744(US,A1)
【文献】特許第7201284(JP,B1)
【文献】特許第7071771(JP,B2)
【文献】米国特許出願公開第2019/0118926(US,A1)
【文献】特表2013-543812(JP,A)
【文献】特開2013-103715(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64B 1/00 - B64U 101/75
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
飛翔体の輸送対象物を収容する気密なキャビンの内部空間の気体の圧力を調整する調整装置であって、
容器と、
前記容器の内部空間を、前記キャビンの内部空間に対し開放された第1空間と、
前記キャビンの内部空間及び前記キャビンの外部空間のいずれに対しても閉鎖された第2空間とに気密に仕切る仕切部材であって、前記第1空間の気体の圧力と前記第2空間の気体の圧力の差により生じる力を受けて
前記第1空間と前記第2空間を気密に仕切った状態を維持しつつ前記容器内を移動する仕切部材と
を備え、
前記仕切部材の
前記移動に伴い前記キャビンの内部空間と前記キャビンの外部空間との間の気体の移動経路を開閉する
調整装置。
【請求項2】
前記容器は、前記第1空間と前記キャビンの外部空間との間の気体の移動経路上に設けられた開口部を有し、
前記仕切部材が
前記移動に伴い前記開口部を開閉することにより、前記キャビンの内部空間と前記キャビンの外部空間との間の気体の移動経路を開閉する
請求項1に記載の調整装置。
【請求項3】
前記仕切部材の
前記移動に伴い前記仕切部材が受ける力を伝達する動力伝達機構と、
前記キャビンの内部空間と前記キャビンの外部空間との間の気体の移動経路上に設けられ、前記動力伝達機構により伝達される力により、前記キャビンの内部空間と前記キャビンの外部空間との間の気体の移動経路の開閉を行う開閉部材と
を備える請求項1に記載の調整装置。
【請求項4】
前記仕切部材が前記キャビンの内部空間と前記キャビンの外部空間との間の気体の移動経路を開いている状態において、当該移動経路を閉じる状態に向かう方向に前記仕切部材が付勢されている
請求項1に記載の調整装置。
【請求項5】
飛翔体の輸送対象物を収容する気密なキャビンの内部空間の気体の圧力を調整する調整装置と、
酸素を含む気体を大気圧よりも高圧に収容する耐圧容器と、
前記耐圧容器から前記キャビンの内部空間へと供給される気体の移動経路上に取り付けられた定流量弁と
を備え、
前記調整装置は、
容器と、
前記容器の内部空間を、前記キャビンの内部空間に対し開放された第1空間と、閉鎖された第2空間とに気密に仕切る仕切部材であって、前記第1空間の気体の圧力と前記第2空間の気体の圧力の差により生じる力を受けて前記容器内を移動する仕切部材と
を備え、
前記仕切部材の移動に伴い前記キャビンの内部空間と前記キャビンの外部空間との間の気体の移動経路を開閉する
システム。
【請求項6】
前記キャビンの内部空間の圧力を測定する圧力計と、
前記キャビンの内部空間と前記キャビンの外部空間との間の気体の移動経路上に設けられ、前記圧力計により測定された圧力に基づき、前記キャビンの内部空間と前記キャビンの外部空間との間の気体の移動経路を開閉する電磁弁と
を備える請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記キャビンの内部空間と前記キャビンの外部空間との間の気体の移動経路上に設けられ、前記キャビンの内部空間の気体の圧力と前記キャビンの外部空間の気体の圧力の差に基づき開閉する差圧制御弁
を備える請求項5に記載のシステム。
【請求項8】
前記キャビンの内部空間に配置された二酸化炭素吸収体
を備える請求項5に記載のシステム。
【請求項9】
前記キャビンの壁部の少なくとも一部は、内側壁体と、前記内側壁体の外側に配置された外側壁体で構成され、
前記耐圧容器は、前記内側壁体と前記外側壁体で構成され、前記内側壁体と前記外側壁体の間に形成される空間に、大気圧よりも高圧な酸素を含む気体を収容する
請求項5に記載のシステム。
【請求項10】
輸送対象物を収容する気密なキャビンと、
前記キャビンの内部空間の気体の圧力を調整する調整装置と、
酸素を含む気体を大気圧よりも高圧に収容する耐圧容器と、
前記耐圧容器から前記キャビンの内部空間へと供給される気体の移動経路上に取り付けられた定流量弁と
を備え、
前記調整装置は、
容器と、
前記容器の内部空間を、前記キャビンの内部空間に対し開放された第1空間と、閉鎖された第2空間とに気密に仕切る仕切部材であって、前記第1空間の気体の圧力と前記第2空間の気体の圧力の差により生じる力を受けて前記容器内を移動する仕切部材と
を備え、
前記仕切部材の移動に伴い前記キャビンの内部空間と前記キャビンの外部空間との間の気体の移動経路を開閉する
飛翔体。
【請求項11】
飛翔体の輸送対象物を収容する気密なキャビンの内部空間の気体の圧力を調整するシステムであって、
前記キャビンの内部空間の圧力を測定する圧力計と、
前記キャビンの内部空間と前記キャビンの外部空間との間の気体の移動経路上に設けられ、前記圧力計により測定された圧力に基づき、前記キャビンの内部空間と前記キャビンの外部空間との間の気体の移動経路を開閉する電磁弁と
を備えるシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、飛翔体の輸送対象物を収容するキャビン内の圧力を調整する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
航空機等の飛翔体が人や動物を輸送する場合、それらの輸送対象物の生命を維持するために、それらの輸送対象物を収容する容器(以下、「キャビン」という)の内部空間の空気は、十分な酸素を含み、かつ、所定範囲内の圧力でなければならない。
【0003】
そこで、キャビン内の空気が輸送対象物の生命を維持する条件を満たすように調整する様々な機構(空調システム)が提案されている。例えば、特許文献1には、航空機用の空調システムが記載されている。特許文献1に記載の空調システムは、圧縮機により外気を所定範囲内の圧力となるように圧縮し、圧縮した空気を循環させるように航空機のキャビンに送る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
飛翔体が、例えば地上から10,000メートルを超えるような高高度に達する場合、飛翔体の周囲の空気は人や動物が生命を維持できない程、低圧かつ低温となる。従って、そのような飛翔体により上空へと輸送される人や動物を収容するキャビンは、外部空間に対し気密な構造を備える必要がある。
【0006】
外部空間に対し気密なキャビン内においては、人や動物の呼吸に伴い消費される酸素を酸素ボンベ等から供給する必要がある。気密なキャビン内に酸素が供給されると、キャビン内の空気の圧力が上昇する。
【0007】
キャビン内の空気の圧力が大気圧から大きく乖離すると、キャビン内の人や動物が、例えば自律神経の乱れによる頭痛等の体調不良を訴える場合がある。従って、キャビン内の気体の圧力は大気圧近くの所定範囲(以下、「適正範囲」という)内に維持されることが望ましい。
【0008】
例えば、キャビン内に圧力計を配置し、キャビン内の乗員がその圧力計の測定値を監視して、圧力が適正範囲から外れたら、キャビンに設けられている排気口を手動で開閉して、キャビン内の気体をキャビン外へと排気することにより、キャビン内の気体の圧力を適正範囲内に維持することが考えられる。
【0009】
しかしながら、上記のような方法による場合、乗員の手間を要するとともに、ヒューマンエラーにより事故が発生する危険性がある。
【0010】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、気密なキャビン内の気体の圧力が適正範囲内に維持されるようにその圧力を調整する手段を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、飛翔体の輸送対象物を収容する気密なキャビンの内部空間の気体の圧力を調整する調整装置であって、容器と、前記容器の内部空間を、前記キャビンの内部空間に対し開放された第1空間と、前記キャビンの内部空間及び前記キャビンの外部空間のいずれに対しても閉鎖された第2空間とに気密に仕切る仕切部材であって、前記第1空間の気体の圧力と前記第2空間の気体の圧力の差により生じる力を受けて前記第1空間と前記第2空間を気密に仕切った状態を維持しつつ前記容器内を移動する仕切部材とを備え、前記仕切部材の前記移動に伴い前記キャビンの内部空間と前記キャビンの外部空間との間の気体の移動経路を開閉する調整装置を提供する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、キャビン内の気体の圧力が適正範囲内に維持される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図2】一実施形態に係るキャビンの内部空間に収容されている構成部を示した図。
【
図3】一実施形態に係る調整装置の外観を示した図。
【
図4】一実施形態に係る調整装置の構成を示した図。
【
図10】一変形例に係る調整装置が取り付けられたキャビンを示した図。
【
図11】一変形例に係る調整装置の構成を示した図。
【
図12】一変形例に係るキャビンの構成を示した図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[実施形態]
以下に、本発明の一実施形態に係る飛翔体1を説明する。
図1は、飛翔体1の外観を示した図である。飛翔体1は、外から見える主立った構成として、気嚢11、吊り索12、キャビン13を備える。
【0015】
気嚢11は、空気よりも軽量な気体(例えば、ヘリウムガス)を収容し、浮力を生じて、飛翔体1を上昇させる。吊り索12は、気嚢11とキャビン13を連結する索体である。キャビン13は、気密に保たれた状態で内部空間に輸送対象物を収容する容器である。輸送対象物には、例えば、乗員(人)や動物が含まれてもよい。
【0016】
図2は、飛翔体1が備える、キャビン13の内部空間S1に収容されている構成部(キャビン13の壁部を貫通し外部空間S2に露出している部分を有する構成部を含む)を示した図である。キャビン13それらの構成部には、気体ボンベ14、定流量弁15、調整装置16、排気管17、手動開閉弁18、圧力計19、電磁弁20、警報装置21、差圧制御弁22、手動開閉弁23、二酸化炭素吸収体24が配置されている。なお、
図2に示すように、内部空間S1には、輸送対象物の一例である乗員Aも収容される。
【0017】
気体ボンベ14は、大気圧よりも高圧(例えば、定流量弁15が開放される前の状態において、5~8気圧)の気体を収容している耐圧容器である。気体ボンベ14に収容される気体には、通常の空気に含まれる濃度以上の酸素が含まれている。例えば、気体ボンベ14が収容する気体は、通常の空気、通常の空気に酸素を加えて酸素濃度を高めた高酸素濃度空気、酸素等である。
【0018】
定流量弁15は、気体ボンベ14から内部空間S1へと供給される気体の供給路上に取り付けられた弁であり、気体ボンベ14の内外圧力差が所定の閾値以上である間、開き、気体ボンベ14から内部空間S1へと流れる酸素の流量を、実質的に一定に保つ。なお、流量が実質的に一定、とは、流量が厳密に一定でなくてもよく、流量が所定範囲内で変動することが許容されることを意味する。定流量弁15の方式は、ゴムオリフィス方式、ニードルオリフィス方式等のいずれの方式であってもよい。
【0019】
調整装置16は、内部空間S1の気体の絶対圧力が閾値PT3未満である(又は、閾値PT3以下である)間は、内部空間S1とキャビン13の外部空間S2との間の気体の流路を閉鎖することによって、内部空間S1を外部空間S2に対し気密に保ち、内部空間S1の絶対圧力が閾値PT3以上である(又は、閾値PT3を超過している)間は、内部空間S1と外部空間S2との間の気体の流路を開放することによって、気体が内部空間S1から外部空間S2へと移動可能とする装置である。調整装置16の構成は後述する。
【0020】
排気管17は、調整装置16を介して内部空間S1から外部空間S2へと向かう気体の流路を形成する管である。すなわち、排気管17の一方の端部(以下、「内側端部」という)は調整装置16に連結されており、他方の端部(以下、「外側端部」という)はキャビン13の壁部を貫通して外部空間S2に露出されている。
【0021】
手動開閉弁18は、例えば乗員Aの手動操作に応じて、排気管17により形成される気体の流路を開放又は閉鎖する弁である。手動開閉弁18は、調整装置16に何らかの不具合が生じ、内部空間S1の気体の絶対圧力が閾値PT3未満である(又は、閾値PT3以下である)にもかかわらず、調整装置16及び排気管17を通って内部空間S1から外部空間S2へと気体の流出が生じている場合に、その気体の流出を停止するために用いられる。例えば乗員Aは、後述の警報装置21が異常な圧力の低下を通知した場合、その通知に応じて、手動開閉弁18を閉じる。
【0022】
圧力計19は、絶対圧計又はゲージ圧計であり、内部空間S1の気体の圧力を測定する。電磁弁20は、キャビン13の壁部を貫通するように配置(又は、キャビン13の壁部を貫通する管を塞ぐように配置)されており、圧力計19により継続的に測定される圧力が上昇し上側の閾値PT5に達すると開き、圧力計19により継続的に測定される圧力が下降し下側の閾値PT4に達すると閉じる。
【0023】
電磁弁20は、調整装置16に何らかの不具合が生じ、内部空間S1の気体の絶対圧力が閾値PT3以上である(又は、閾値PT3を超過している)にもかかわらず、調整装置16及び排気管17を通って内部空間S1から外部空間S2への気体の流出が生じず、内部空間S1が外部空間S2に対し気密に保たれ、内部空間S1の気体の圧力が閾値PT5に達した場合に、内部空間S1から外部空間S2へ気体を流出させて、内部空間S1の気体の圧力を閾値PT4まで低下させる役割を果たす。
【0024】
警報装置21は、圧力計19により継続的に測定される圧力が上昇し上側の閾値PT7に達すると警告音の発音や警告灯の点灯等の警報動作を開始し、圧力計19により継続的に測定される圧力が下降し下側の閾値PT6に達するとその警報動作を停止することで、キャビン13内の乗員に内部空間S1における気体の圧力の異常な上昇を通知する。
【0025】
また、警報装置21は、圧力計19により継続的に測定される圧力が下降し下側の閾値PT1に達すると警告音の発音や警告灯の点灯等の警報動作を開始し、圧力計19により継続的に測定される圧力が上昇し上側の閾値PT2に達するとその警報動作を停止することで、キャビン13内の乗員に内部空間S1における気体の圧力の異常な低下を通知する。
【0026】
本実施形態において、上述した閾値PT1~PT7と大気圧APの大小関係は、PT1<PT2<AP<PT3<PT4<PT5<PT6<PT7である。
【0027】
差圧制御弁22は、キャビン13の壁部を貫通するように配置されており、内部空間S1と外部空間S2の気体の圧力差が所定の閾値QT未満(又は、閾値QT以下)である間は閉じ、内部空間S1を外部空間S2に対し気密に保ち、内部空間S1と外部空間S2の気体の圧力差が閾値QT以上である(又は、閾値QTを超過している)間は開き、気体が内部空間S1から外部空間S2へと移動可能とする弁である。
【0028】
差圧制御弁22が開閉する圧力である閾値QTは、飛翔体1の飛翔における想定されている最大高度における外部空間S2の気体の圧力と、内部空間S1の気体の想定されている最大の圧力(例えば、大気圧の1.5倍)との差である。
【0029】
差圧制御弁22は、調整装置16と圧力計19に不具合が生じたり、調整装置16、電磁弁20、警報装置21の全てに不具合が生じたりして、内部空間S1の気圧が異常に上昇した場合に開き、内部空間S1から外部空間S2へ気体を流出させて、内部空間S1の気体の圧力を低下させる役割を果たす。
【0030】
手動開閉弁23は、キャビン13の壁部を貫通するように配置(又は、キャビン13の壁部を貫通する管を塞ぐように配置)されており、例えば乗員Aの手動操作に応じて、内部空間S1と外部空間S2の間の気体の流路を開放又は閉鎖する弁である。例えば乗員Aは、警報装置21が異常な圧力の上昇を通知した場合、その通知に応じて、手動開閉弁18を開く。
【0031】
二酸化炭素吸収体24は、触れる気体に含まれる二酸化炭素と常温で化学反応を起こすことで、その気体から二酸化炭素を吸収する液体又は固体の物質である。二酸化炭素吸収体24の例としては、水酸化カルシウム、二酸化ナトリウム等が挙げられるが、これらに限られない。なお、二酸化炭素吸収体24は、乗員A等が意図せず触れないように、周囲の気体が出入り可能な通気口を有する容器に収容されている。また、二酸化炭素吸収体24は、飛翔体1が飛翔を開始するまでの間、すなわち、未使用時には、外気と触れないように、袋等の収容体に収容されたり、容器の通気口がシートで塞がれていたりする。そして、飛翔体1の飛翔の開始直前、または、飛翔の開始後に、収容体が開封されたり、通気口を塞いでいたシートが剥がされたりすることで、二酸化炭素の吸収を開始する。
【0032】
二酸化炭素吸収体24は、外部空間S2に対し気密な内部空間S1において乗員A等により行われる呼吸により増加する二酸化炭素を吸収することで、内部空間S1の気体に含まれる二酸化炭素濃度を通常の空気の二酸化炭素濃度に近付ける役割を果たす。
【0033】
続いて、調整装置16の構成を説明する。
【0034】
図3は、調整装置16の外観を示した図であり、
図4は調整装置16の構成を示した図である。調整装置16は、容器161、仕切部材162、逃し弁163、キャップ164、ストッパ165を備える。
【0035】
容器161は、全体として筒形状の容器であり、開口部O1、開口部O2、開口部O3を有している。
【0036】
容器161の内部空間は、仕切部材162により、
図4の左側の空間である開放空間S3(第1空間の一例)と、
図4の右側の空間である閉鎖空間S4(第2空間の一例)に区分される。
【0037】
開口部O1は、開放空間S3側に設けられた開口部であり、キャビン13の内部空間S1と容器161の容器161の開放空間S3との間の気体の移動を可能とするために設けられている。
【0038】
開口部O2は、排気管17を介して、容器161の開放空間S3とキャビン13の外部空間S2との間の気体の移動を可能とするために設けられている。容器161は、開口部O2の周りを取り囲み、外側に突起するように形成されたプラグ1611を備える。プラグ1611は、排気管17の内側端部に設けられたソケット171と気密に連結される。
【0039】
開口部O2は、仕切部材162の移動により、
図4(A)に示されるように、仕切部材162により塞がれている場合と、
図4(B)に示されるように、仕切部材162により塞がれていない場合がある。以下、開口部O2が仕切部材162により塞がれている状態を「閉鎖状態」と呼び、開口部O2が仕切部材162により塞がれていない状態を「開放状態」と呼ぶ。
【0040】
開口部O3は、閉鎖空間S4側に設けられた開口部であり、容器161の閉鎖空間S4に対する気体の自由な出入りを可能とするために設けられている。容器161は、開口部O3の周りを取り囲み、外側に突起するように形成されたプラグ1612を備える。プラグ1612は、調整装置16の準備段階において、図示せぬ吸排気装置の吸排気管の端部に設けられたソケットと連結される。吸排気装置による閉鎖空間S4に対する気体の吸気又は排気によって、仕切部材162が
図4(A)に示す位置(以下、「基準位置」という)にある状態において、閉鎖空間S4の気体の圧力が既定の圧力(絶対圧力)である圧力PS4(0)となるように調整される。この既定の圧力PS4(0)については後述する。
【0041】
吸排気装置による閉鎖空間S4の気体の圧力の調整が完了すると、吸排気装置のソケットはプラグ1612から取り外される。その際、閉鎖空間S4の気体が開口部O3を通って外部へ漏れ出ないように、開口部O3を塞ぐように逃し弁163が配置されている。逃し弁163は、閉鎖空間S4の内側から外側に向かう空気の圧力、又は、閉鎖空間S4の外側から内側に向かう空気の圧力が圧力PS4(0)より十分に大きな閾値に達すると開き、その閾値未満になると閉じる。
【0042】
吸排気装置のソケットが取り外された後のプラグ1612には、キャップ164が取り付けられる。キャップ164は、気体の圧力の調整が完了した閉鎖空間S4から開口部O3を通って気体が外部に漏れ出ることを防止するために、開口部O3を塞ぐ役割を果たす。なお、逃し弁163により気体の漏出が確実に防止される場合、キャップ164はなくてもよい。
【0043】
仕切部材162は、容器161の内部空間を、キャビン13の内部空間S1に対し開放された開放空間S3と、閉鎖された閉鎖空間S4とに気密に仕切る部材である。仕切部材162は、開放空間S3の気体の圧力と、閉鎖空間S4の気体の圧力の差(内外圧力差)により生じる力を受けて、容器161内をX方向(
図4の左右方向)に移動する。
【0044】
図3及び
図4に例示の仕切部材162は、円板部材1621と、円板部材1621の外縁の全周を覆うように設けられた円筒部材1622と、円筒部材1622の外側面に設けられた溝に嵌め込まれた1本又は複数本のOリング1623を備える。円筒部材1622の外径は、容器161のうち円筒部材1622が内側に接する部分の内径より遊び分だけ小さく、Oリング1623が容器161の内面上に接した状態でX方向に移動可能である。なお、Oリング1623と、容器161の内面のうちOリング1623が接する領域には、Oリング1623が開放空間S3と閉鎖空間S4を気密に仕切った状態を維持しつつ、容器161に対する仕切部材162(Oリング1623)のスムーズな摺動を可能とするために、潤滑油が塗られてもよい。
【0045】
ストッパ165は、容器161の開放空間S3側の内面上に内側に突起するように取り付けられた部材である。ストッパ165は、仕切部材162が
図4(A)に示す基準位置を超えて開放空間S3側(-X方向、すなわち、
図4の左方向)へ移動しないように、仕切部材162の移動を規制する。なお、
図3及び
図4の例では、ストッパ165は複数個の柱形状の突起物であるが、仕切部材162の移動が規制される限り、その形状、個数、配置等は任意に変更されてよい。
【0046】
なお、通常、仕切部材162が基準位置から大きく-X方向(
図4の左方向)へと移動することはない。従って、ストッパ165は必須ではない。しかしながら、例えば、キャビン13に孔があく等の事故が発生して内部空間S1の空気の圧力が一時的に大きく低下した場合に、仕切部材162が基準位置から大きく-X方向へと移動し、仕切部材162が容器161の外へと押し出されて外れる危険性がある。そのように仕切部材162が容器161から外れると、開口部O2が開放され、排気管17を介してキャビン13の内部空間S1と外部空間S2が通じてしまい、内部空間S1内の気体が外部空間S2へと漏れ出てしまう。ストッパ165は、そのような不都合の発生を防止する役割を果たす。
【0047】
以上が、調整装置16の構成の説明である。続いて、以下に調整装置16の動作を説明する。なお、以下の説明において、内部空間S1の気体の圧力を「圧力PS1」と呼び、外部空間S2の気体の圧力を「圧力PS2」と呼ぶ。
【0048】
既述のように、仕切部材162は、内外圧力差によってX方向に移動する。そして、仕切部材162が基準位置にある状態における閉鎖空間S4の気体の圧力が圧力PS4(0)となるように調整されている。以下、仕切部材162が基準位置から+X方向に距離dだけ移動した状態における閉鎖空間S4の気体の圧力を圧力PS4(d)と記載する。
【0049】
圧力PS4(0)は、仕切部材162が基準位置から距離Dだけ移動し、
図4(B)の状態となった状態における閉鎖空間S4の気体の圧力、すなわち、圧力PS4(D)が、所定の値(例えば、1.5気圧等の、大気圧より大きく、キャビン13内の乗員等が快適に過ごせる範囲内の圧力)となるように定められた圧力(例えば、0.5気圧等)である。なお、圧力PS4(0)は、容器161の容量、仕切部材162の円筒部材1622のX方向における長さ等により変化する。
【0050】
まず、地上において、キャビン13に乗員A等が乗り込み、ハッチ(図示略)が閉じられる等によって、キャビン13の内部空間S1が外部空間S2に対し気密に保たれた状態となる。その状態において、仕切部材162は基準位置(
図4(A))にある。
【0051】
その状態において、例えば乗員Aが定流量弁15を開放すると、気体ボンベ14から内部空間S1に対する継続的な酸素供給が開始される。酸素の供給に伴い、内部空間S1の気体の圧力、すなわち圧力PS1が上昇する。そして、圧力PS1が閉鎖空間S4の気体の圧力、すなわち圧力PS4(0)を超えると、仕切部材162が+X方向に移動を開始する。
【0052】
その後、圧力PS1が圧力PS4(D)に達して、仕切部材162が基準位置から+X方向に距離Dだけ移動すると、仕切部材162に塞がれていた開口部O2の一部が開放される。その結果、排気管17を通じて、内部空間S1が外部空間S2と通じる。外部空間S2の気体(空気)の圧力は、地上においては概ね大気圧(1気圧)であり、飛翔体1が地上から上昇すると低下する。すなわち、外部空間S2の気体の圧力は大気圧以下である。一方、調整装置16が
図4(B)の状態にある場合、内部空間S1の気体の圧力PS1は圧力PS4(D)と等しい。従って、圧力の高い内部空間S1から圧力の低い外部空間S2へと気体が流出する。
【0053】
上記のように、内部空間S1から外部空間S2へと気体が流出すると、内部空間S1の気体の圧力PS1が低下し、仕切部材162が-X方向へと移動し、開口部O2が塞がれ、内部空間S1から外部空間S2への気体の流出が停止する。
【0054】
上述のように、内部空間S1の気体の圧力PS1の変化に伴い、仕切部材162がX方向に移動し開口部O2を開閉することによって、内部空間S1の気体の圧力PS1が、圧力PS4(D)以下(又は、圧力PS4(D)未満)に維持される。
【0055】
[変形例]
上述した飛翔体1及び調整装置16は本発明の技術的思想の範囲内において様々に変形され得る。以下にそれらの変形の例を示す。なお、以下に示す変形例の2以上が適宜組み合わされてもよい。
【0056】
(1)
図3及び
図4に示した調整装置16を構成する部材の形状、数、配置等は一例であって、様々に変更されてよい。例えば、上述の実施形態においては、容器161は全体として円筒形状であるものとしたが、角筒形状であってもよい。
【0057】
(2)上述した実施形態において、調整装置16は内部空間S1内に配置されるものとしたが、開放空間S3と内部空間S1の間に気体が自由に移動できる流路があり、開口部O2と外部空間S2の間に気体が自由に移動できる流路がある限り、調整装置16はどこに配置されてもよい。
【0058】
例えば、
図5に示すように、調整装置16が外部空間S2に配置され、排気管17の内側端部が内部空間S1に配置され、排気管17の外側端部が開口部O2に代えて開口部O1に連結されてもよい。なお、
図5においては、圧力計19、電磁弁20、警報装置21、差圧制御弁22、手動開閉弁23、二酸化炭素吸収体24の図示は省略されている(
図6、
図10、
図12においても同様)。
【0059】
また、
図6に示すように、排気管17を用いず、開口部O1が内部空間S1内に位置し、開口部O2が外部空間S2内に位置するように、調整装置16がキャビン13の壁部を貫通するように配置されてもよい。
【0060】
(3)飛翔体1が、気体ボンベ14及び定流量弁15を複数備えてもよい。また、飛翔体1が、調整装置16、排気管17、手動開閉弁18を複数備えてもよい。また、飛翔体1が、二酸化炭素吸収体24を複数備えてもよい。
【0061】
(4)仕切部材162が内部空間S1と外部空間S2との間の気体の移動経路を開いている状態において、その移動経路を閉じる状態に向かう方向に仕切部材162が付勢されていてもよい。
図7は、この変形例の一例に係る調整装置16の構成を示した図である。この変形例に係る調整装置16は、上述の実施形態に係る調整装置16(
図4参照)が備える構成に加えて、バネ27(付勢部材)を備える。なお、
図7に示されるバネ27の個数は1個であるが、バネ27の数は2個以上であってもよい。
【0062】
外力が加えられない状態におけるバネ27の長さは、例えば、仕切部材162が基準位置にある状態(
図7(A))の仕切部材162の+X側面と、仕切部材162の+X側面に対向する容器161の-X側面との間の距離よりも長い。従って、長手方向がX方向に沿った方向となるように閉鎖空間S4に配置されたバネ27は、仕切部材162に対し-X方向に向かう力を加える。
【0063】
図8は、この変形例の他の例に係る調整装置16の構成を示した図である。この変形例に係る調整装置16は、上述の実施形態に係る調整装置16(
図4参照)が備える構成と比較して、容器161が開口部O1側の端部から半径方向内側に延伸する鍔状部1613を備える点と、バネ28(付勢部材)を備える点が異なっている。なお、
図8に示されるバネ28の個数は2個であるが、バネ28の数は1個又は3個以上であってもよい。
【0064】
外力が加えられない状態におけるバネ28の長さは、例えば、仕切部材162が基準位置にある状態(
図8(A))の鍔状部1613の+X側面と、鍔状部1613の+X側面と対向する仕切部材162の-X側面との間の距離よりも短い。従って、長手方向がX方向に沿った方向となるように鍔状部1613と仕切部材162の間に取り付けられたバネ27は、仕切部材162に対し-X方向に向かう力を加える。
【0065】
なお、
図7又は
図8に示した調整装置16が備える付勢部材はバネであるが、バネ以外の付勢部材が採用されてもよい。例えば、バネ27又はバネ28に代えて、バネ以外の弾性体(ゴム等)が用いられてもよい。また、バネ27に代えて、X方向において互いに反発するように配置された対の磁石が採用されてもよい。また、バネ28に代えて、X方向において互いに引き合うように配置された対の磁石が採用されてもよい。
【0066】
図9は、この変形例の更に他の例に係る調整装置16の配置を示した図である。この変形例に係る調整装置16は、上述の実施形態に係る調整装置16(
図4参照)と比較し、構成は共通であるが、-X方向が鉛直下方向となるように配置されている点が異なっている。
図9の調整装置16は、
図7又は
図8の調整装置16のように他の部材から独立した付勢部材は備えないが、仕切部材162が自重により-X方向に付勢されている。
【0067】
内部空間S1の気体の圧力の上昇に伴い+X方向に移動した仕切部材162が、その後の内部空間S1の気体の圧力の低下に伴い-X方向に移動すべきときに、例えばOリング1623と容器161の内側面との間に生じる摩擦力等によってスムーズにその移動が起こらない場合が生じ得る。その場合、開口部O2を通じて内部空間S1から外部空間S2へと流出する気体の量が過多となり、内部空間S1の気体の圧力が低下し過ぎることになる。この変形例に係る調整装置16においては、仕切部材162が-X方向に付勢されているため、そのような不都合が生じにくい。
【0068】
(5)上述した実施形態に係る調整装置16は、開放空間S3と閉鎖空間S4の内外圧力差により移動する仕切部材162が開口部O2を開閉することにより、内部空間S1と外部空間S2の間の気体の移動経路を開閉する開閉機構を構成する。仕切部材の移動に伴い、内部空間S1と外部空間S2の間の気体の移動経路を開閉する限り、他の様々な構成の開閉機構が採用されてよい。
【0069】
例えば、仕切部材が直接、内部空間S1と外部空間S2の間の気体の移動経路を開閉する代わりに、内外圧力差により仕切部材に加えられる力が動力伝達機構を介して、内部空間S1と外部空間S2の間の気体の移動経路を開閉する開閉部材に伝達されることで、その移動経路が開閉される構成が採用されてもよい。
【0070】
図10は、この変形例の一例に係る調整装置26がキャビン13に取り付けられている状態を示した図である。また、
図11は、調整装置26の構成を示した図である。
【0071】
調整装置26は、まず、調整装置16が備える容器161に対応する容器261と、調整装置16が備える仕切部材162に対応する仕切部材262を備える。仕切部材262は、内外圧力差により生じる力により、
図11に示すX方向に移動する。
【0072】
仕切部材262の-X方向側(
図11の上側)にはラック263が取り付けられている。なお、仕切部材262とラック263は一体に成形されてもよい。ラック263は、内部空間S1の気体の圧力が増加すると仕切部材262と共に+X方向に移動し、内部空間S1の気体の圧力が低下すると仕切部材262と共に-X方向に移動する。
【0073】
また、調整装置26は、仕切部材262が内外圧力差により受ける力を開閉弁265に伝達する動力伝達機構264を備える。
図11の例では、動力伝達機構264は互いに噛み合う3つのピニオン、すなわち、ピニオン2641、ピニオン2642、ピニオン2643を備えている。
【0074】
この場合、内部空間S1の気体の圧力が上昇し、ラック263が+X方向に移動すると、ラック263と噛み合っているピニオン2641が+D1方向に回転し、ピニオン2641と噛み合っているピニオン2642が+D2方向に回転し、ピニオン2642と噛み合っているピニオン2643が+D3方向に回転する。
【0075】
また、内部空間S1の気体の圧力が低下し、ラック263が-X方向に移動すると、ラック263と噛み合っているピニオン2641が-D1方向に回転し、ピニオン2641と噛み合っているピニオン2642が-D2方向に回転し、ピニオン2642と噛み合っているピニオン2643が-D3方向に回転する。
【0076】
なお、動力伝達機構264の構成は上述したものに限られず、様々な構成が採用し得る。例えば、動力伝達機構264が3個以外の数のピニオンを備えてもよいし、伝達ベルトにより動力を伝達する構成が採用されてもよい。
【0077】
また、調整装置26は、ピニオン2643の回転に伴い開閉する開閉弁265を備える。開閉弁265(開閉部材の一例)は、キャビン13の壁部を貫通するように配置(又は、キャビン13の壁部を貫通する管を塞ぐように配置)されており、内部空間S1の気体の圧力が圧力PS4(D)未満の間は閉じており、内部空間S1の気体の圧力が閾値である圧力PS4(D)に達すると開く。
【0078】
(6)上述した実施形態においては、内部空間S1に対し気体ボンベ14から酸素を含む気体が供給される。気体ボンベ14に代えて、キャビンの壁体内に酸素を含む気体を収容する収容空間を形成し、その収容空間から内部空間S1に対し酸素を含む気体が供給されてもよい。
【0079】
図12は、この変形例に係るキャビン33の構成を例示した図である。キャビン33は、2重構造の壁体、すなわち、内側壁体331と外側壁体332を備える。
【0080】
内側壁体331と外側壁体332は、複数の連結部材333により連結されている。連結部材333は、内側壁体331と外側壁体332の位置関係を保ち、内側壁体331と外側壁体332の間に壁間空間S5を確保する役割を果たす。
【0081】
なお、
図12においては、壁間空間S5は連結部材333により複数の空間に区分されているように見えるが、連結部材333は壁間空間S5を分断するようには拡がっておらず、壁間空間S5は1つの連続した空間を成しているものとする。
【0082】
壁間空間S5には、酸素を含む気体が高圧に充填されている。すなわち、内側壁体331、外側壁体332、連結部材333で構成される二重構造の壁体は、酸素を含む気体を大気圧よりも高圧に収容する耐圧容器の役割を果たす。そして、内側壁体331を貫通するように配置(又は、内側壁体331を貫通する管を塞ぐように配置)されている定流量弁15を介して、壁間空間S5から内部空間S1に対し、酸素を含む気体の供給が行われる。この変形例によれば、気体ボンベをキャビン内に設置する必要がなく、内部空間S1を有効利用できるとともに、飛翔体1の重量を軽量化できる。
【0083】
(7)飛翔体1の種類はガス気球に限られない。例えば、飛翔体1が、熱気球、飛行船等の気嚢が生じる浮力により上昇する他の種類の飛翔体であってもよいし、航空機等の揚力により飛行する飛翔体であってもよい。
【0084】
(8)本発明は、上述した調整装置16(又は調整装置26)により例示される調整装置、当該調整装置と、気体ボンベ14に例示される耐圧容器と、定流量弁15に例示される定流量弁とを備えるシステム、当該システムを備える飛翔体を提供する。
【符号の説明】
【0085】
1…飛翔体、11…気嚢、12…吊り索、13…キャビン、14…気体ボンベ、15…定流量弁、16…調整装置、17…排気管、18…手動開閉弁、19…圧力計、20…電磁弁、21…警報装置、22…差圧制御弁、23…手動開閉弁、24…二酸化炭素吸収体、26…調整装置、27…バネ、28…バネ、33…キャビン、161…容器、162…仕切部材、163…逃し弁、164…キャップ、165…ストッパ、171…ソケット、261…容器、262…仕切部材、263…ラック、264…動力伝達機構、265…開閉弁、331…内側壁体、332…外側壁体、333…連結部材、1611…プラグ、1612…プラグ、1613…鍔状部、1621…円板部材、1622…円筒部材、1623…Oリング、2641…ピニオン、2642…ピニオン、2643…ピニオン。
【要約】
【課題】気密なキャビン内の気体の圧力が適正範囲内に維持されるようにその圧力を調整する手段を提供する。
【解決手段】調整装置16は、ガス気球等の飛翔体のキャビンの内部空間S1内に配置されている。調整装置16は、容器161と、容器161の内部空間を開放空間S3と閉鎖空間S4に気密に仕切る仕切部材162を備える。開放空間S3は内部空間S1に通じており、閉鎖空間S4は閉鎖されている。仕切部材162は内部空間S1の気体の圧力の上昇に伴い+X方向に移動する。仕切部材162が基準位置から距離D以上移動すると、容器161に設けられている開口部O2が開かれ、排気管17を介して内部空間S1から外部空間S2へ気体が流出する。その結果、内部空間S1の空気の圧力が低下すると、仕切部材162が-X方向に移動し、開口部O2が塞がれ、気体の流出が停止する。
【選択図】
図4