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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-23
(45)【発行日】2024-01-31
(54)【発明の名称】合成樹脂成形材料の乾燥装置
(51)【国際特許分類】
   B29B 13/06 20060101AFI20240124BHJP
   F26B 3/04 20060101ALI20240124BHJP
   F26B 17/10 20060101ALI20240124BHJP
   F26B 21/00 20060101ALI20240124BHJP
【FI】
B29B13/06
F26B3/04
F26B17/10 C
F26B21/00 A
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2023150716
(22)【出願日】2023-09-19
【審査請求日】2023-09-19
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】398000129
【氏名又は名称】株式会社大阪冷研
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】金岡 義樹
(72)【発明者】
【氏名】長綱 康行
【審査官】今井 拓也
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-201782(JP,A)
【文献】実開昭62-189108(JP,U)
【文献】特許第7280652(JP,B1)
【文献】特開2020-012608(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第107053522(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29B 13/06
F26B 1/00 - 25/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部から導入された合成樹脂成形材料を収容し、下部から前記合成樹脂材料を排出するように構成された乾燥ホッパーと、
前記乾燥ホッパー内の合成樹脂成形材料を乾燥するための乾燥空気を生成する生成部と、
前記乾燥空気を前記乾燥ホッパーに供給するための乾燥空気供給路と、
前記乾燥ホッパー内で前記合成樹脂成形材料の乾燥に供された乾燥空気を前記乾燥ホッパーから排出するための排気空気排出路と、
前記排気空気流路を流れる排気空気の一部を前記乾燥ホッパーに供給するための排気空気供給路と、
前記排気空気排出路に設けられ、前記乾燥ホッパーに供給される前記排気空気を加熱する加熱器と、
を備え、
前記乾燥ホッパーの下部には、前記乾燥空気供給路からの前記乾燥空気を導入する乾燥空気導入部が設けられ、かつ、前記乾燥ホッパーの上部には、前記排気空気供給路からの前記排気空気を導入する排気空気導入部が設けられ、
前記乾燥ホッパーにおいて、前記排気空気導入部は前記乾燥空気導入部よりも上方に位置する、乾燥装置。
【請求項2】
前記生成部は、低露点の空気を生成する除湿装置と、前記低露点の空気を加熱して前記乾燥空気とする加熱器と、を含む、請求項1に記載の乾燥装置。
【請求項3】
前記乾燥ホッパーに供給される前記乾燥空気の温度が120℃以上130℃以下である、請求項1に記載の乾燥装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、例えば樹脂ペレットなどの合成樹脂成形材料から水分を取り除く乾燥装置に関する。
【背景技術】
【0002】
合成樹脂成形材料は、一般にペレット状に加工された状態で射出成形機などの樹脂成形機に供給される。樹脂ペレットは、大気中の水分を吸湿しており、水分を多く有する状態であると、溶融混練過程で加水分解を起こし、成形品の強度や耐衝撃性の低下を引き起こすなど、成形品の品質を著しく低下させる。そのうえ、成形品の外観的欠陥も引き起こす。そのため、樹脂ペレットは、水分が取り除かれてから射出成形機などに供給される。
【0003】
樹脂ペレットの水分を取り除く手段として、例えば、樹脂ペレットを収容した乾燥ホッパーに高温かつ低露点の乾燥空気を供給し、乾燥ホッパー内で樹脂ペレットに乾燥空気を接触させる乾燥装置が従来から知られている。乾燥装置においては、乾燥空気によって乾燥ホッパー内の樹脂ペレットが加熱され、これにより樹脂ペレットの表面に付着した水分や内部に含まれる水分が気化する。そして、気化した水分が乾燥空気に奪い去られることで、樹脂ペレットから水分が取り除かれる(例えば特許文献1を参照)。
【0004】
図5は、上述した乾燥装置について、従来例の概略構成を示す。乾燥空気は、加熱器101において低露点空気が高温に加熱されることで生成され、乾燥ホッパー100に供給される。乾燥ホッパー100には、樹脂ペレットがホッパーローダー102から供給される。乾燥ホッパー100内の樹脂ペレットは、乾燥空気により加熱されることで乾燥される。乾燥した樹脂ペレットは、電磁弁103を開放動作させることにより乾燥ホッパー100から排出され、輸送配管104を通って樹脂成形機105に供給される。
【0005】
乾燥ホッパー100内において樹脂ペレットの乾燥に供された乾燥空気は、樹脂ペレットに熱を奪われることにより温度が低下しかつ樹脂ペレットから水分を取り除くことにより湿度が高められた後、乾燥ホッパー100から排出される。乾燥ホッパー100から排出された乾燥空気(排気空気)は、集塵装置107で排気空気に含まれる異物が取り除かれ、冷却器108で冷却され、送風機109で圧縮され、冷却器110で再び冷却された後に、除湿装置106に供給される。そして、排気空気は、除湿装置106により除湿されることで低露点空気となり、再び乾燥ホッパー100内の樹脂ペレットを乾燥するための乾燥空気として用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】実公平7-19770号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
排気空気を冷却する冷却器108,110は、一般的に水冷式の冷却器が用いられる。水冷式の冷却器は、冷却水により排気空気を効率的に冷却できるが、排気空気の冷却に伴って排気空気が有する熱エネルギーを回収した冷却水はクーリングタワーで冷却される。そのため、乾燥ホッパー100から排出された排気空気は、その温度が高く、熱エネルギーを有するが、従来の乾燥装置では、排気空気が有する熱エネルギーを有効に活用できない。
【0008】
また、樹脂ペレットの乾燥は、乾燥空気の温度が高いほど乾燥時間が短くなるうえ、乾燥後の樹脂ペレットの温度が高くなるため、射出成形機などの樹脂成形機に乾燥済み樹脂ペレットを効率よくかつ高温状態で供給できる。しかし、乾燥空気の温度が高くなると、その分、樹脂ペレットの温度も高くなり、分解(加水分解、酸化分解、熱分解など)や劣化による樹脂ペレットの物性変化を引き起こしやすくなる。そのため、樹脂ペレットの乾燥中に乾燥装置に何らかの異常が発生し、樹脂ペレットが乾燥ホッパー内において高温の状態で所定の乾燥時間以上、滞留し続けると、樹脂ペレットの物性変化が生じる可能性がある。一方で、乾燥空気の温度が低いと、樹脂ペレットの乾燥時間が長くなるという課題がある。
【0009】
本開示は、上記事情に鑑みてなされ、熱エネルギーの有効活用と、樹脂ペレットなどの合成樹脂成形材料の物性変化が引き起こされにくい温度帯での合成樹脂成形材料の乾燥をより短時間で行える、合成樹脂成形材料の乾燥装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示の乾燥装置は、上記課題を解決するため、以下の項1に記載の乾燥装置を主題として包含する。
【0011】
項1.上部から導入された合成樹脂成形材料を収容し、下部から前記合成樹脂材料を排出するように構成された乾燥ホッパーと、
前記乾燥ホッパー内の合成樹脂成形材料を乾燥するための乾燥空気を生成する生成部と、
前記乾燥空気を前記乾燥ホッパーに供給するための乾燥空気供給路と、
前記乾燥ホッパー内で前記合成樹脂成形材料を乾燥させた後に前記乾燥ホッパーから排出された排気空気を移送するための排気空気排出路と、
前記排気空気流路を流れる排気空気の一部を前記乾燥ホッパーに供給するための排気空気供給路と、
前記排気空気排出路に設けられ、前記乾燥ホッパーに供給される前記排気空気を加熱する加熱器と、
を備え、
前記乾燥ホッパーの下部には、前記乾燥空気供給路からの前記乾燥空気を導入する乾燥空気導入部が設けられ、かつ、前記乾燥ホッパーの上部には、前記排気空気供給路からの前記排気空気を導入する排気空気導入部が設けられ、
前記乾燥ホッパーにおいて、前記排気空気導入部は前記乾燥空気導入部よりも上方に位置する、乾燥装置。
【0012】
また、本開示の乾燥装置は、上記項1に記載の乾燥装置の好ましい態様として、以下の項2に記載の乾燥装置を包含する。
【0013】
項2.前記生成部は、低露点空気を生成する除湿装置と、前記低露点空気を加熱して前記乾燥空気とする加熱器と、を含む、ことを特徴とする項1に記載の乾燥装置。
【0014】
また、本開示の乾燥装置は、上記項1から項2に記載の乾燥装置の好ましい態様として、以下の項3に記載の乾燥装置を包含する。
【0015】
項3.前記乾燥ホッパーに供給される前記乾燥空気の温度が110℃以上140℃以下である、ことを特徴とする項1又は項2に記載の乾燥装置。
【発明の効果】
【0016】
本開示の乾燥装置によれば、熱エネルギーの有効活用と、樹脂ペレットなどの合成樹脂成形材料の物性変化が引き起こされにくい温度帯での合成樹脂成形材料の乾燥をより短時間で行える。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は本開示の一実施形態の乾燥装置の概略構成図である。
図2図2は乾燥ホッパーの概略構成図である。
図3図3は本開示の他の一実施形態の乾燥装置の概略構成図である。
図4図4は本開示の他の一実施形態の乾燥装置の概略構成図である。
図5図5は従来例の乾燥装置の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本開示は、例えば射出成形や押出成形などでプラスチック成形品を製造する際に、原料となる合成樹脂成形材料から水分を取り除く乾燥装置に関する。合成樹脂成形材料は、吸湿性を有することで、大気中の水分を吸湿する。合成樹脂成形材料が水分を多く有する状態で樹脂成形機に供給されると、溶融混練過程で加水分解を起こし、成形品の強度や耐衝撃性の低下を引き起こすなど、成形品の品質を著しく低下させる。そのうえ、成形品の外観的欠陥も引き起こす。そのため、合成樹脂成形材料が樹脂成形機に供給されるまでに、合成樹脂成形材料から水分を取り除く必要がある。本開示の乾燥装置は、合成樹脂成形材料を乾燥して、合成樹脂成形材料から水分を取り除くための技術である。
【0019】
合成樹脂成形材料は、例えば、粉状、粒状、ペレット状などを呈するが、その形状は特に限定されない。以下に説明する実施形態では、合成樹脂成形材料が樹脂ペレットであるが、合成樹脂成形材料は樹脂ペレットに限定されない。合成樹脂成形材料は、熱可塑性樹脂を素材とする。熱可塑性樹脂は、例えば、ポリエチレンテレフタラートなどのポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ABS、ポリアミドなどを挙げることができるが、これらには限定されない。
【0020】
以下、本開示の乾燥装置の一実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0021】
図1に示すように、乾燥装置1は、樹脂ペレットを収容する乾燥ホッパー2を備える。乾燥ホッパー2は、図2に示すように、内部に樹脂ペレットを収容できる収容空間22を有する。樹脂ペレットは、乾燥ホッパー2に収容されている間に乾燥される。
【0022】
図1及び図2に示すように、乾燥ホッパー2の上部には、樹脂ペレットの導入部20が設けられている。乾燥ホッパー2の上方には、例えばローダーホッパー3が配置される。ローダーホッパー3には図示しない原材料タンクから未乾燥の樹脂ペレットが搬送され、乾燥ホッパー2には、ローダーホッパー3から未乾燥の樹脂ペレットが導入部20を通って導入される。
【0023】
図1及び図2に示すように、乾燥ホッパー2の下部において下端側の一部分は例えば円錐状又は四角錐状を呈しており、乾燥ホッパー2の下端部に樹脂ペレットの排出部21が設けられている。乾燥ホッパー2内の樹脂ペレットは、例えば電磁弁4を開放動作させることにより、排出部21を介して乾燥ホッパー2から排出され、輸送管5を通って樹脂成形機6に輸送される。なお、乾燥ホッパー2から樹脂成形機6に樹脂ペレットを輸送したり輸送を停止する手段は特に限定されず、公知の手段を用いることができる。
【0024】
図1及び図2に示すように、乾燥ホッパー2の上部において下部との境界部分は、下方に向かうにつれて括れるテーパ状を呈しており、乾燥ホッパー2内の収容空間22は、下部側の第一領域22Aと、上部側の第二領域22Bとに分かれている。乾燥ホッパー2の下部には、乾燥ホッパー2内の樹脂ペレットを乾燥するための乾燥空気を乾燥ホッパー2に導入する少なくとも一つの導入部23,24が設けられている。下方の第二導入部24の先端は、好ましくは乾燥ホッパー2の下端部の近傍まで延びる。
【0025】
乾燥空気は、上方の第一導入部23を通って乾燥ホッパー2の下部に導入されるとともに、下方の第二導入部24を通って乾燥ホッパー2の最下部に導入される。乾燥空気が乾燥ホッパー2内で樹脂ペレットと接触することで、樹脂ペレットは加熱され、含有水分率が低下する。乾燥空気が乾燥ホッパー2内を上昇することで、主に乾燥ホッパー2の下部に収容された樹脂ペレットが乾燥される。第二導入部24によって乾燥ホッパー2の最下部に乾燥空気が導入されるため、乾燥ホッパー2の下部に蓄積された樹脂ペレットの温度低下が抑制される。乾燥空気は、樹脂ペレットの水分を奪い去ることで湿度が高められるとともに樹脂ペレットに熱を奪われることで温度が低下する。
【0026】
図1及び図2に示すように、乾燥ホッパー2の上部には、樹脂ペレットの乾燥に供された乾燥空気を乾燥ホッパー2の外部に排出する排気部25が設けられている。また、乾燥ホッパー2の上部の排気部25よりも下方位置には、乾燥ホッパー2の外部に排出された乾燥空気(排気空気)の一部を乾燥ホッパー2に導入する導入部26が設けられている。排気空気の導入部26は、乾燥空気の導入部23,24よりも上方に位置する。排気空気の導入部26の先端は、好ましくは乾燥ホッパー2の下部及び上部の境界まで延びる。
【0027】
乾燥ホッパー2の形状、構造は特に限定されず、従来から公知の形状、構造の乾燥ホッパーを用いることができる。
【0028】
図1に示すように、乾燥装置1は、乾燥ホッパー2内の合成樹脂成形材料を乾燥するための乾燥空気を生成する生成部を備える。生成部は、本実施形態では、低露点空気を生成する少なくとも一つ(本実施形態では二つ)の除湿装置8と、低露点空気を加熱して乾燥空気とする第一加熱器7Aと、を含む。除湿装置8及び第一加熱器7Aについては後述する。
【0029】
図1に示すように、乾燥装置1は、乾燥ホッパー2に乾燥空気を供給するための乾燥空気供給路L1を備える。本実施形態では、乾燥空気供給路L1の一端側は二つに分岐している。乾燥空気供給路L1の一端側の一方の端は、乾燥ホッパー2の第一導入部23に接続されている。乾燥空気供給路L1の一端側の他方の端は、乾燥ホッパー2の第二導入部24に接続されている。乾燥空気は、乾燥空気供給路L1を通って導入部23,24から乾燥ホッパー2に供給される。
【0030】
本実施形態では、乾燥空気供給路L1の他端側は二つに分岐している。乾燥空気供給路L1の他端側の一方の端は、一方の除湿装置8に設けられた、低露点空気の排気部80に接続されている。乾燥空気供給路L1の他端側の他方の端は、他方の除湿装置8に設けられた、低露点空気の排気部80に接続されている。除湿装置8で生成される低露点空気は、除湿装置8の排気部80から乾燥空気供給路L1を通って、第一加熱器7Aに供給される。
【0031】
乾燥空気供給路L1には、乾燥ホッパー2と除湿装置8との間に、乾燥ホッパー2に近い順に、第一加熱器7A、第一フィルター装置9A、第一送風機10Aが設けられている。除湿装置8から排出された低露点空気は、第一送風機10A、第一フィルター装置9A、第一加熱器7Aをこの順で経由する。
【0032】
第一送風機10Aは、吸込口から低露点空気を吸い込んで、低露点空気を圧縮した後に、吹出口から圧縮された低露点空気を排出する。第一フィルター装置9Aは、低露点空気から異物を除去する。第一加熱器7Aは、低露点空気を加熱して高温かつ低露点の乾燥空気にする。第一加熱器7Aは、低露点空気の温度が例えば110℃以上180℃以下、好ましくは110℃以上140℃以下になるように低露点空気を加熱する。第一加熱器7A、第一フィルター装置9A、第一送風機10Aは、従来から公知のものを用いることができる。
【0033】
図1に示すように、乾燥装置1は、乾燥ホッパー2内で樹脂ペレットを乾燥した後の乾燥空気を乾燥ホッパー2から排出するための排気空気排出路L2を備える。排気空気排出路L2は乾燥ホッパー2から除湿装置8に排気空気を供給する。
【0034】
排気空気排出路L2の一端は、乾燥ホッパー2の上部の排気部25に接続されている。本実施形態では、排気空気排出路L2の他端側は二つに分岐している。排気空気排出路L2の他端側の一方の端は、一方の除湿装置8に設けられた、排気空気の導入部81に接続されている。排気空気排出路L2の他端側の他方の端は、他方の除湿装置8に設けられた、排気空気の導入部81に接続されている。排気空気は、排気空気排出路L2を通って導入部81から除湿装置8に供給される。
【0035】
排気空気排出路L2には、乾燥ホッパー2と除湿装置8との間に、乾燥ホッパー2に近い順に、集塵機11、第二送風機10B、冷却器12が設けられている。乾燥ホッパー2から排出された排気空気は、集塵機11、第二送風機10B、冷却器12をこの順で経由する。
【0036】
集塵機11は、排気空気排出路L2を流れる排気空気から異物を除去する。集塵機11は、例えばサイクロン式の集塵機を用いることができるが、サイクロン式には限定されず、従来から公知のものを用いることができる。
【0037】
第二送風機10Bは、吸込口から排気空気を吸い込んで、排気空気を圧縮した後に、吹出口から圧縮された排気空気を排出する。第二送風機10Bは、従来から公知のものを用いることができる。
【0038】
冷却器12は、除湿装置8に供給される排気空気を冷却して、排気空気の温度を低下させる。冷却器12は、排気空気の温度が例えば約40℃になるように排気空気を冷却する。乾燥ホッパー2から排出される排気空気が高い温度の状態で除湿装置8に供給されると、除湿装置8において排気空気を除湿する効率が低下する。そのため、冷却器12により冷却した排気空気を除湿装置8に供給することにより、除湿装置8において排気空気を除湿する効率を向上できる。これにより、除湿装置8において低露点空気を効率よく生成できる。
【0039】
冷却器12は、好ましくは空冷式の熱交換器である。冷却器12内には、排気空気の導入部120から排気空気が導入されるとともに、外気の導入部122から外気が導入され、冷却器12は、外気との熱交換で排気空気を冷却する。冷却された排気空気は、排気空気の排気部121から排出され、除湿装置8に供給される。外気は、排気空気との熱交換により排気空気の熱エネルギーを奪うことで昇温する。排気空気との熱交換により昇温した外気は、外気の排気部123から排出され、排出された外気の一部は再生ガスとして除湿装置8に供給される。
【0040】
冷却器12は、空冷式の熱交換器であれば、その形状、構造は特に限定されず、従来から公知のものを用いることができる。
【0041】
図1に示すように、乾燥装置1は、冷却器12に外気を供給するための外気供給路L3を備える。外気供給路L3には、冷却器12よりも上流側に、第二フィルター装置9B、第三送風機10Cが設けられている。外気は、第二フィルター装置9B、第三送風機10Cをこの順で経由する。
【0042】
第三送風機10Cは、吸込口から外気を吸い込んで、外気を圧縮した後に、吹出口から圧縮された外気を排出する。第二フィルター装置9Bは、外気供給路L3を流れる外気から異物を除去する。第二フィルター装置9B及び第三送風機10Cは、従来から公知のものを用いることができる。
【0043】
排気空気排出路L2において、冷却器12及び除湿装置8の間(冷却器12の下流側)には、温度センサ13が設けられている。温度センサ13は、冷却器12により冷却された後に除湿装置8に供給される排気空気の温度を計測する。本実施形態では、温度センサ13により計測される排気空気の温度は制御機器14により監視される。つまり、温度センサ13は計測した温度を電気信号に変換して制御機器14に出力する。
【0044】
制御機器14は、除湿装置8に供給される排気空気の温度を常に監視しており、排気空気の温度が一定温度、例えば40℃となるように、第三送風機10Cから冷却器12に供給する外気の風量(第三送風機10Cの送風量)を制御する。制御機器14は、例えば、排気空気の温度に応じて第三送風機10Cが内蔵するモータの回転数(回転速度)をインバータを用いて制御する。これにより、排気空気の温度に応じた風量の外気が冷却器12に供給され、除湿装置8に供給される排気空気の温度が一定の温度に調整される。なお、第三送風機10Cの送風量の制御は、ダンパーの調整で行ってもよい。
【0045】
本実施形態では、乾燥装置1は、制御機器14として温度指示調節器(TIC)を備えている。温度指示調節器は、温度センサ13から出力された電気信号と目標値を比較し、その偏差に応じて演算を行って第三送風機10Cを制御する。なお、制御機器14は、汎用のコンピュータで構成してもよい。
【0046】
図1に示すように、乾燥装置1は、除湿装置8を備える。除湿装置8は、排気空気を除湿することにより低露点空気を生成する。除湿装置8は、吸着剤を含んでいる。排気空気は、排気空気排出路L2から導入部81を通って除湿装置8に導入される。除湿装置8内で排気空気は吸着剤と接触し、排気空気に含まれる水分が吸着剤に吸着されることで、該水分は排気空気から除去される。これにより、除湿装置8において排気空気が除湿されて低露点空気が生成される。
【0047】
除湿装置8で生成された低露点空気は、排気部80を通って除湿装置8から排出され、乾燥空気供給路L1を通って第一加熱器7Aに供給される。そして、第一加熱器7Aにおいて、低露点空気が加熱されることで高温かつ低露点の乾燥空気となり、乾燥空気は乾燥空気供給路L1を通って乾燥ホッパー2に供給される。吸着剤は、気体から水分を吸着できるものであれば特に限定されず、例えば、シリカゲル、ゼオライト、活性炭、金属有機構造体(MOF)などを挙げることができる。
【0048】
また、除湿装置8は、再生ガスが再生ガス供給路L4から導入部83を通って導入される。再生ガスは、除湿装置8内で吸着剤と接触し、吸着剤が吸着した水分を脱着することで、該水分を吸着剤から除去する。これにより、除湿装置8において吸着剤が再生される。再生ガスは、特に限定されないが、例えば200℃から230℃の高温の空気である。除湿装置8で吸着剤を再生した後の再生ガス(本開示では「再生処理済ガス」という。)は、排気部82を通って除湿装置8から排出される。
【0049】
除湿装置8は、排気空気に含まれる水分を吸着剤による吸着により排気空気から除去して低露点の空気を生成し、かつ、吸着剤が吸着した水分を再生ガスによる脱着により吸着剤から除去して吸着剤を再生するように構成されていれば、その形状、構造は特に限定されない。
【0050】
例えば、除湿装置8は、ロータ回転式の連続除湿装置である。この種の除湿装置8は、回転軸を中心にして回転可能な円柱形の吸着ロータを備え、吸着ロータは例えばハニカム構造の吸着素子を備えている。吸着素子には吸着剤が担持されている。吸着ロータは回転軸周りの周方向に沿って吸着ゾーン及び脱着ゾーンに区切られており、吸着素子は、吸着ロータの回転により、吸着ゾーンと脱着ゾーンとを交互に移動する。
【0051】
排気空気は、吸着ロータの吸着ゾーンに供給され、吸着ゾーンに位置する吸着素子を通過する際に、排気空気に含まれる水分が吸着剤によって吸着される。これにより、排気空気が除湿される。再生ガスは、吸着ロータの脱着ゾーンに供給され、脱着ゾーンに位置する吸着素子を通過する際に吸着剤から水分を脱着する。これにより、吸着剤を再生する。
【0052】
なお、除湿装置8は、ロータ回転式の連続除湿装置に限定されず、その他に従来から公知のものを用いることができる。
【0053】
図1に示すように、乾燥装置1は、除湿装置8の吸着剤を再生する再生ガスを除湿装置8に供給するための再生ガス供給路L4を備える。再生ガスには、冷却器12において排気空気との熱交換により昇温した外気が用いられる。再生ガス供給路L4は、冷却器12から排出された外気を除湿装置8に供給する。
【0054】
再生ガス供給路L4の一端は、外気供給路L3の冷却器12よりも下流側に接続されている。本実施形態では、再生ガス供給路L4の他端側は二つに分岐している。再生ガス供給路L4の他端側の一方の端は、一方の除湿装置8に設けられた、再生ガスの導入部83に接続されている。再生ガス供給路L4の他端側の他方の端は、他方の除湿装置8に設けられた、再生ガスの導入部83に接続されている。冷却器12から排出された外気は、再生ガスとして再生ガス供給路L4から導入部83を通って除湿装置8に供給される。
【0055】
再生ガス供給路L4には、冷却器12と除湿装置8との間に、冷却器12に近い順に、予熱器15、第三加熱器7Cが設けられている。冷却器12から排出された外気は、予熱器15、第三加熱器7Cをこの順で経由して除湿装置8に導入される。
【0056】
第三加熱器7Cは、冷却器12から排出された外気(再生ガスとして除湿装置8に供給される外気)を加熱して、外気の温度を上昇させる。第三加熱器7Cは、外気を加熱して、外気の温度を例えば200℃から230℃にする。第三加熱器7Cは、従来から公知のものを用いることができる。
【0057】
予熱器15は、冷却器12から排出された外気(再生ガスとして除湿装置8に供給される外気)を予熱して、当該外気の温度を上昇させる。冷却器12から排出された外気の温度は、例えば51℃から56℃であり、予熱器15により外気を予熱することで、第三加熱器7Cにおいて外気に加える熱エネルギー量を少なくできる。
【0058】
予熱器15は、好ましくは空冷式の熱交換器である。予熱器15には、再生ガスの導入部150を通って冷却器12から排出された外気(再生ガスとして除湿装置8に導入される外気)が導入されるとともに、再生処理済ガスの導入部152を通って、除湿装置8から排出された再生処理済ガスが導入される。再生処理済ガスは、除湿装置8で吸着剤を再生した後の再生ガスであり、高温(例えば約160℃)である。そのため、予熱器15は、高温の再生処理済ガスとの熱交換で冷却器12から排出された外気を予熱する。加熱された外気は、例えば140℃から150℃に昇温されて再生ガスの排気部151から排出され、第三加熱器7Cによりさらに加熱される。
【0059】
再生処理済ガスは、冷却器12から排出された外気との熱交換により、例えば55℃から67℃に低下して再生処理済ガスの排気部153から系外に排出される。
【0060】
予熱器15は、空冷式の熱交換器であれば、その形状、構造は特に限定されず、従来から公知のものを用いることができる。
【0061】
図1に示すように、乾燥装置1は、除湿装置8から再生処理済ガスを排出するための再生処理済ガス排出路L5を備える。再生処理済ガス排出路L5は、除湿装置8から排出された再生処理済ガスを予熱器15に移送する。
【0062】
再生処理済ガス流路L5の一端は予熱器15に接続されている。本実施形態では、再生処理済ガス流路L5の他端側は二つに分岐している。再生処理済ガス流路L5の他端側の一方の端は、一方の除湿装置8に設けられた、再生処理済ガスの排気部82に接続されている。再生処理済ガス流路L5の他端側の他方の端は、他方の除湿装置8に設けられた、再生処理済ガスの排気部82に接続されている。再生処理済ガスは、除湿装置8から排気部82を通って再生処理済ガス流路L5を流れる。
【0063】
再生処理済ガス流路L5には、除湿装置8に近い順に、第四送風機10D、予熱器15が設けられている。除湿装置8から排出された再生処理済ガスは、第四送風機10D、予熱器15をこの順で経由する。
【0064】
第四送風機10Dは、吸込口から再生処理済ガスを吸い込んで、再生処理済ガスを圧縮した後に、吹出口から圧縮された再生処理済ガスを排出する。第四送風機10Dから排出される再生処理済ガスは、予熱器15に供給され、上述したように、冷却器12から排出された外気の予熱に用いられる。第四送風機10Dは、従来から公知のものを用いることができる。
【0065】
再生処理済ガス排出L5は、第四送風機10Dと予熱器15との間の位置に分岐路L6が接続されている。分岐路L6は、再生ガス供給路L4と接続されている。再生ガス供給路L4における分岐路L6の接続位置は、予熱器15と第三加熱器7Cとの間の位置である。
【0066】
分岐路L6は、除湿装置8から排出された再生処理済ガスの一部を、冷却器12から排出される外気(再生ガスとして除湿装置8に供給される外気)に混合する。再生処理済ガスは、高温(例えば約160℃)であるため、冷却器12から排出された外気に混合されることで、外気の温度は上昇する。これにより、第三加熱器7Cにおいて外気に加える熱エネルギー量を少なくすることができる。
【0067】
図1に示すように、乾燥装置1は、乾燥ホッパー2から排出されて排気空気排出路L2を流れる排気空気の一部を乾燥ホッパー2に供給するための排気空気供給路L7を備える。排気空気供給路L7の一端は、排気空気流路L2の集塵機11よりも下流側に接続されており、排気空気供給路L7の他端は、乾燥ホッパー2の上部の導入部26に接続されている。排気空気供給路L7は、排気空気排出路L2から乾燥ホッパー2に、乾燥ホッパー2から排出された排気空気を予熱ガスとして供給する。予熱ガスは、排気空気供給路L7から導入部26を通って乾燥ホッパー2の上部に導入される。
【0068】
乾燥ホッパー2に供給される未乾燥の樹脂ペレットの温度は例えば20℃から25℃であり、含有水分率は例えば約3000ppmである。乾燥ホッパー2から排出された排気空気は、乾燥ホッパー2内において樹脂ペレットの乾燥に供された後であるため、乾燥ホッパー2に導入される前の乾燥空気よりも低温かつ高湿度であるが、比較的に高い温度かつ低い湿度を有する。そのため、乾燥ホッパー2から排出された排気空気を乾燥ホッパー2の上部に導入することで、乾燥ホッパー2の下部において樹脂ペレットを乾燥空気により本格的に乾燥する前に、乾燥ホッパー2の上部で樹脂ペレットを予熱して樹脂ペレットの温度を予め高めることができるうえ、樹脂ペレットを初期乾燥して樹脂ペレットの含有水分率を例えば約150ppmまで予め下げることができる。これにより、乾燥ホッパー2の下部において樹脂ペレットを例えば含有水分率が約50ppm以下になるまで乾燥するために樹脂ペレットに加える熱エネルギー量を少なくできる。そのため、樹脂ペレットの乾燥に多大な熱エネルギーを必要とせず、省エネルギー化を図ることができる。
【0069】
排気空気供給路L7には、乾燥ホッパー2に近い順に、第二加熱器7B、第三フィルター装置9C、第五送風機10Eが設けられている。乾燥ホッパー2から排出された排気空気は、排気空気排出路L2から第五送風機10E、第三フィルター装置9C、第二加熱器7Bをこの順で経由する。
【0070】
第五送風機10Eは、吸込口から低露点空気を吸い込んで、排気空気を圧縮した後に、吹出口から圧縮された排気空気を排出する。第三フィルター装置9Cは、排気空気から異物を除去する。第二加熱器7Bは、排気空気を加熱する。第二加熱器7B、第三フィルター装置9C、第五送風機10Eは、従来から公知のものを用いることができる。
【0071】
なお、本実施形態では、乾燥ホッパー2から排出された排気空気の一部は、第二加熱器7Bで加熱されてから乾燥ホッパー2に戻される。しかし、乾燥ホッパー2から排出された排気空気の一部は、必ずしも第二加熱器7Bで加熱してから乾燥ホッパー2に戻す必要はなく、加熱することなく乾燥ホッパー2に戻してもよい。
【0072】
排気空気は、乾燥ホッパー2内の樹脂ペレットを予熱などした後は、乾燥ホッパー2の上部の排気部25を通って乾燥ホッパー2から排出される。
【0073】
以上に説明した図1に示す乾燥装置1では、乾燥ホッパー2の下部において、高温かつ低露点の乾燥空気が例えば樹脂ペレットなどの合成樹脂成形材料を加熱することで、合成樹脂成形材料は水分が取り除かれて、乾燥される。乾燥ホッパー2の下部の乾燥済み合成樹脂成形材料は、乾燥ホッパー2の下端部の排出部21を通って乾燥ホッパー2から排出されて樹脂成形機6に輸送され、乾燥ホッパー2の下部には、乾燥ホッパー2の上部から合成樹脂成形材料が補給される。乾燥ホッパー2の下部の乾燥済み合成樹脂成形材料は、第二導入部24によって乾燥ホッパー2の最下部に乾燥空気により、温度低下が抑制されるため、高温の状態で乾燥ホッパー2から排出されて樹脂成形機6に輸送される。よって、本実施形態の乾燥装置1によれば、樹脂成形機6に、水分が取り除かれた合成樹脂成形材料を供給できる。
【0074】
また、図1に示す乾燥装置1では、合成樹脂成形材料を乾燥させた後に乾燥ホッパー2から排出される排気空気は、その一部が排気空気排出路L2によって除湿装置8に供給され、除湿装置8において除湿された後、乾燥ホッパー2に供給されて再び合成樹脂成形材料の乾燥に供される一方で、乾燥ホッパー2から排出される排気空気の一部は、排気空気供給路L7によって乾燥ホッパー2の上部に供給される。
【0075】
乾燥ホッパー2に供給された排気空気は、乾燥ホッパー2の上部において、乾燥ホッパー2の下部から上昇する乾燥空気とともに、乾燥ホッパー2の上部に蓄積した未乾燥の合成樹脂成形材料を予熱かつ初期乾燥させる。そのため、乾燥ホッパー2の下部には、予熱かつ初期乾燥により温度が上昇しかつ含有水分率が低下した合成樹脂成形材料が乾燥ホッパー2の上部から供給される。
【0076】
このように、図1に示す乾燥装置1によれば、乾燥ホッパー2から排出された排気空気の一部を乾燥ホッパー2の上部に戻すことで、排気空気が有する熱エネルギーを捨てずに合成樹脂成形材料の予熱かつ初期乾燥に有効活用している。これにより、乾燥ホッパー2の下部においては、合成樹脂成形材料を加熱して乾燥するが、合成樹脂成形材料を乾燥するために必要な熱エネルギー量を少なくできる。そのため、合成樹脂成形材料の乾燥に多大な熱エネルギーを必要とせず、省エネルギー化を図ることができる。
【0077】
また、図1に示す乾燥装置1によれば、乾燥ホッパー2から排出された排気空気の一部を乾燥ホッパー2の上部に戻すため、冷却器12、除湿装置8及び第一加熱器7Aなどにおいて排気空気を冷却、除湿、加熱などして乾燥空気を生成する際の熱負荷を軽減できる。そのため、乾燥空気の生成に必要な熱エネルギーを低減でき、省エネルギー化を図ることができる。
【0078】
また、図1に示す乾燥装置1によれば、乾燥ホッパー2の下部において、合成樹脂成形材料の物性変化を引き起こしにくい低い温度帯(例えば110℃以上140℃以下)で合成樹脂成形材料の乾燥を行った場合においても、乾燥ホッパー2の下部には予熱かつ初期乾燥により温度が上昇しかつ含有水分率が低下した合成樹脂成形材料が乾燥ホッパー2の上部から供給されるので、合成樹脂成形材料の乾燥に要する時間を従来より短縮できる。このように、本実施形態の乾燥装置1によれば、低い温度帯(例えば110℃以上140℃以下)で合成樹脂成形材料の乾燥を行った場合でも短時間で乾燥を行うことができ、万が一、合成樹脂成形材料の乾燥中に乾燥装置1に何らかの異常が発生して、合成樹脂成形材料が乾燥ホッパー2内に滞留し続けても、合成樹脂成形材料の物性変化を生じにくくすることができる。
【0079】
また、図1に示す乾燥装置1によれば、乾燥ホッパー2の下部に供給される乾燥空気(低露点空気)を加熱する第一加熱器7Aと、乾燥ホッパー2の上部に供給される排気空気を加熱する第二加熱器7Bとが別々に存在しているため、乾燥空気の温度と排気空気の温度を独立して設定できる。これにより、乾燥ホッパー2の下部において合成樹脂成形材料の過度の乾燥を防止でき、かつ、樹脂成形機6の成形条件に応じた温度の乾燥済み合成樹脂成形材料を容易に得ることができる。
【0080】
以上、本開示の乾燥装置の実施形態について説明したが、本開示の乾燥装置は上述した図1に示す実施形態に限定されるものではなく、本開示の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変形が可能である。例えば、以下の変形が可能である。また、以下の変形例の要旨は、適宜組み合わせることができる。
【0081】
例えば上述した実施形態では、乾燥装置1は除湿装置8を二つ備えている。一変形例として、乾燥装置1が備える除湿装置8は、一つであってもよいし、三つ以上であってもよい。
【0082】
また、上述した実施形態では、乾燥装置1は第二フィルター装置9Bを備えており、外気は第二フィルター装置9Bにより異物が除去されて冷却器12に導入されている。一変形例として、乾燥装置1は第二フィルター装置9Bを備えていなくてもよい。
【0083】
また、上述した実施形態では、乾燥装置1は循環流路L6を備えており、除湿装置8から排出される再生処理済ガスの一部が、冷却器12から排出される外気(再生ガスとして除湿装置8に供給される外気)に混合されている。一変形例として、乾燥装置1は循環流路L6を備えていなくてもよく、除湿装置8から排出される再生処理済ガスは全て予熱器15に導入された後、系外に排気されてもよい。
【0084】
また、上述した実施形態では、乾燥装置1は予熱器15を備えており、冷却器12から排出される外気(再生ガスとして除湿装置8に供給される外気)は、除湿装置8から排出される再生処理済ガスとの熱交換で予熱されてから、第三加熱器7Cに供給される。一変形例として、乾燥装置1は予熱器15を備えていなくてもよく、冷却器13から排出される外気(再生ガスとして除湿装置8に供給される外気)は、予熱されることなく、第三加熱器7Cに供給されてもよい。なお、この変形例においては、除湿装置8から排出される再生処理済ガスについて、その一部を、循環流路L6を介して、冷却器12から排出される外気(再生ガスとして除湿装置8に供給される外気)に混合してもよいし、その全てを系外に排気してもよい。
【0085】
また、上述した実施形態では、冷却器12から排出された外気は、その一部が系外に排出され、その一部が再生ガスとして除湿装置8に供給される。一変形例として、冷却器12から排出された外気は、その一部が再生ガスとして除湿装置8に供給される、その一部が図3に示すように予熱ガスとして貯留ホッパー16に供給されてもよい。
【0086】
図3に示す乾燥装置1は、樹脂ペレットを一時的に貯留する貯留ホッパー16を備える。貯留ホッパー16は、乾燥ホッパー2の上方に配置されている。貯留ホッパー16は、原材料タンクから供給管162を通って供給される樹脂ペレットを貯留可能な内部空間を有する。原材料タンクから供給される樹脂ペレットは、未乾燥の樹脂ペレットである。樹脂ペレットは貯留ホッパー16の上部に設けられた供給部より貯留ホッパー16に供給される。貯留ホッパー16の下部は例えば円錐状又は四角錐状を呈しており、貯留ホッパー16の下端部に樹脂ペレットの吐出部164が設けられている。貯留ホッパー16内の樹脂ペレットは、例えば電磁弁163を開放動作させることにより吐出部164から乾燥ホッパー2に供給される。
【0087】
樹脂ペレットは、貯留ホッパー16内に貯留されている間に予熱される。貯留ホッパー16には、貯留ホッパー16内の樹脂ペレットを予熱するための予熱ガスを貯留ホッパー16に導入する導入部160が設けられている。また、貯留ホッパー16には、貯留ホッパー16内の樹脂ペレットを予熱した後の予熱ガスを貯留ホッパー16から排出する排出部161が導入部160よりも上方位置に設けられている。
【0088】
予熱ガスには、冷却器12において排気空気との熱交換により昇温した外気が用いられる。冷却器12から排出された外気の少なくとも一部は、予熱ガス流路L8を通って貯留ホッパー16に供給される。予熱ガス流路L8の一端は、外気流路L3の冷却器12よりも下流側に接続されており、予熱ガス流路L8の他端は、貯留ホッパー16の導入部160に接続されている。貯留ホッパー16内の樹脂ペレットは、予熱ガスにより予熱されて温度が上昇した状態で乾燥ホッパー2に供給される。
【0089】
このように、図3に示す乾燥装置1によれば、冷却器12から排出された外気を予熱ガスとして貯留ホッパー16に供給することで、冷却器12において排気空気の冷却に伴い排気空気から回収した熱エネルギーを捨てずに樹脂ペレットなどの合成樹脂成形材料の予熱に有効活用している。これにより、乾燥ホッパー2においては、合成樹脂成形材料を加熱して乾燥するが、合成樹脂成形材料を乾燥するために必要な熱エネルギー量を少なくできる。そのため、合成樹脂成形材料の乾燥に多大な熱エネルギーを必要とせず、省エネルギー化を図ることができる。
【0090】
なお、図3に示す乾燥装置1において、冷却器12から排出された外気の全てを予熱ガスとして貯留ホッパー16に供給し、除湿装置8には、冷却器12から排出される外気とは別の外気を再生ガスとして導入してもよい。
【0091】
また、他の変形例として、図4に示す乾燥装置1は、除湿装置8から供給される低露点空気と、乾燥ホッパー2から排出される排気空気との間で熱交換を行う熱交換器17を備えていてもよい。
【0092】
除湿装置8から供給される低露点空気の温度は、例えば約55℃であり、低露点空気は、第一加熱器7Aにおいて加熱されてから乾燥ホッパー2に供給される。乾燥ホッパー2から排出される排気空気の温度は比較的に高いため、除湿装置8から供給される低露点空気を、熱交換器17において乾燥ホッパー2から排出される排気空気との熱交換により加熱することで、低露点空気を昇温した状態で第一加熱器7Aに供給できる。
【0093】
低露点空気は排気空気との熱交換により熱エネルギーを奪うことで、例えば約60℃から70℃に昇温する。これにより、図4に示す乾燥装置1では、第一加熱器7Aにおいて低露点空気に加える熱エネルギー量を少なくすることができるうえ、乾燥ホッパー2から排出される排気空気が有する熱エネルギーを捨てずに乾燥空気の生成に有効活用することができる。よって、図4に示す乾燥装置1によれば、エネルギーロスの抑制及びエネルギーの効率化を効果的に図ることができる。
【0094】
熱交換器17に供給される排気空気は、集塵機11を通過する前の排気空気であってもよいが、好ましくは集塵機11を通過した後の排気空気である。熱交換器17に供給される低露点空気は、第一フィルター装置9Aを通過する前の低露点空気であってもよいが、好ましくは第一フィルター装置9Aを通過した後の低露点空気である。
【符号の説明】
【0095】
1 乾燥装置
2 乾燥ホッパー
7A 第一加熱器(生成部)
7B 第二加熱器
8 除湿装置(生成部)
L1 乾燥空気供給路
L2 排気空気排出路
L7 排気空気供給路
【要約】
【課題】熱エネルギーの有効活用と、樹脂ペレットなどの合成樹脂成形材料の物性変化が引き起こされにくい温度帯での合成樹脂成形材料の乾燥をより短時間で行える、合成樹脂成形材料の乾燥装置を提供することを目的とする。
【解決手段】乾燥装置1は、乾燥ホッパー2と、乾燥ホッパー2内の合成樹脂成形材料を乾燥するための乾燥空気を生成する生成部8,7Aと、乾燥空気を乾燥ホッパー2に供給するための乾燥空気供給路L1と、乾燥ホッパー2内で合成樹脂成形材料の乾燥に供された乾燥空気を乾燥ホッパー2から排出するための排気空気排出路L2と、排気空気流路L2を流れる排気空気の一部を乾燥ホッパー2に供給するための排気空気供給路L7とを備え、乾燥ホッパー2は、乾燥空気供給路L1からの乾燥空気が下部側に導入され、かつ、排気空気供給路L7からの排気空気が上部側に導入されるように構成されている。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5