(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-23
(45)【発行日】2024-01-31
(54)【発明の名称】搬送装置
(51)【国際特許分類】
B65H 5/08 20060101AFI20240124BHJP
B65H 29/24 20060101ALI20240124BHJP
【FI】
B65H5/08 C
B65H29/24 D
(21)【出願番号】P 2023568629
(86)(22)【出願日】2022-09-30
(86)【国際出願番号】 JP2022036766
【審査請求日】2023-11-07
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】500564493
【氏名又は名称】株式会社イレブンインターナショナル
(74)【代理人】
【識別番号】100121603
【氏名又は名称】永田 元昭
(74)【代理人】
【識別番号】100141656
【氏名又は名称】大田 英司
(74)【代理人】
【識別番号】100067747
【氏名又は名称】永田 良昭
(72)【発明者】
【氏名】板倉 剛
(72)【発明者】
【氏名】村上 成憲
【審査官】山田 康孝
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-48926(JP,A)
【文献】特開2015-202946(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第108147197(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0310941(US,A1)
【文献】特開昭61-248849(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 5/08
B65H 29/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート材を裁断して得られた複数のパーツが載置された載置面から前記パーツをピックアップして移動させる搬送装置であって、
前記パーツを吸着する吸着部を先端に有する1つ以上のピックアップアームと、
該ピックアップアームの基部を支持する支柱部と、
略水平な搬送方向へ向けて少なくとも前記ピックアップアームを移動させる移動手段とを備え、
前記搬送方向に対して平面視で交差する方向を交差方向として、
前記ピックアップアームが、
上下方向に厚みを有する複数のリンク部材を連結したリンク機構で構成されるとともに、前記吸着部を前記交差方向に移動させるアーム本体と、
該アーム本体の前記リンク機構を動作させるアクチュエーターとを備えた
搬送装置。
【請求項2】
前記アーム本体が、
交差連結した一対の前記リンク部材を複数連結して、前記交差方向に伸縮可能なパンタグラフ状に構成された
請求項1に記載の搬送装置。
【請求項3】
前記アクチュエーターが、
一端が前記支柱部に支持され、他端が前記アーム本体における前記支柱部側の前記一対のリンク部材に連結された
請求項2に記載の搬送装置。
【請求項4】
前記ピックアップアームが、
一端が前記支柱部に支持され、他端が前記アーム本体の先端に連結されるとともに、前記交差方向に伸縮する伸縮ガイド部を備えた
請求項1に記載の搬送装置。
【請求項5】
前記ピックアップアームが、
前記支柱部と前記吸着部との間において、前記アーム本体を前記伸縮ガイド部に吊架する複数の吊架部を備え、
該吊架部が、前記伸縮ガイド部上を転動するローラーを備えた
請求項4に記載の搬送装置。
【請求項6】
前記ピックアップアームが、
前記交差方向に延びるとともに、先端に前記吸着部が設けられた腕部と、
鉛直方向を回転軸として、前記アーム本体に前記腕部を枢動自在に連結する枢動部とを備えた
請求項1に記載の搬送装置。
【請求項7】
前記吸着部が前記支柱部に最も近い位置に位置する状態において、少なくとも前記アーム本体及び前記アクチュエーターを一体的に覆うカバー部材を備えた
請求項1に記載の搬送装置。
【請求項8】
上下方向に延びる前記支柱部に支持されるとともに、前記ピックアップアームを昇降させる昇降部を備えた
請求項1に記載の搬送装置。
【請求項9】
前記パーツの位置を示すパーツ位置情報が登録された裁断データに基づいて、少なくとも前記移動手段の動作及び前記アクチュエーターの動作を制御する制御部を備えた
請求項1に記載の搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えばシート材を裁断して得られた複数のパーツが載置される載置面からパーツを吸着によってピックアップして次工程に搬送するような搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、衣服や自動車のシートに後付けで装着されるシートカバー部材などを構成する複数のパーツを、布製や革製のシート材から裁ち切る裁断装置が知られている。
例えば特許文献1には、シート材の表面にパーツの輪郭を投影しながら、パーツの向きなどを調整した裁断データを生成し、生成された裁断データに基づいてシート材を裁断することで、シート材から複数のパーツを得る裁断装置が開示されている。
【0003】
ところで、特許文献1では、シート材を裁断して得られた複数のパーツが、裁断が行われた裁断テーブルに載置されたままとなるため、裁断テーブルに隣接する載置台や、縫製工程などの次工程に送る搬送台に裁断されたパーツを移動させる必要がある。
【0004】
この際、例えばパーツを吸着する吸着部を先端に備えたロボットアームを有する搬送装置を、裁断テーブルに隣接して配置し、裁断テーブル上のパーツをロボットアームで一枚ずつピックアップして搬送台などに移動させることが考えられる(特許文献2参照)。
【0005】
このような搬送装置を用いた場合、人手で行う場合に比べて、裁断テーブル上のパーツを効率よく移動できるだけでなく、裁断テーブル上の全てのパーツを移動完了後、シート材が載置される範囲外の待機位置にロボットアームの吸着部を退避させることで、次のシート材の受け入れも容易になる。
【0006】
しかしながら、吸着部を待機位置に退避させる際、ロボットアームの腕部を折り畳むようにして吸着部を移動させる必要があるため、上下方向に大きなスペースが必要となることが多い。そうすると、従来技術では、装置の省スペース化の観点で改善の余地があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開平6-320486号公報
【文献】特開2021-48926号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上述の問題に鑑み、吸着部の位置に関わらず必要とされるスペースを抑えられる搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明は、シート材を裁断して得られた複数のパーツが載置された載置面から前記パーツをピックアップして移動させる搬送装置であって、前記パーツを吸着する吸着部を先端に有する1つ以上のピックアップアームと、該ピックアップアームの基部を支持する支柱部と、略水平な搬送方向へ向けて少なくとも前記ピックアップアームを移動させる移動手段とを備え、前記搬送方向に対して平面視で交差する方向を交差方向として、前記ピックアップアームが、上下方向に厚みを有する複数のリンク部材を連結したリンク機構で構成されるとともに、前記吸着部を前記交差方向に移動させるアーム本体と、該アーム本体の前記リンク機構を動作させるアクチュエーターとを備えたことを特徴とする。
【0010】
上記載置面とは、シート材が裁断される裁断テーブルの上面、あるいは裁断テーブルに隣接するテーブルの上面などのことをいう。
上記搬送方向とは、例えば載置面に隣接して設けられた載置台や搬送路へ向かう方向のことをいう。
【0011】
上記搬送方向へ向けてピックアップアームを移動させるとは、搬送方向に対して略平行にピックアップアームを移動させる、あるいは支柱部を中心にしてピックアップアームを搬送方向へ向けて回動させることをいう。
上記リンク機構とは、平板状のリンク部材を枢動自在に組み合わせた機構であって、例えば平行リンク機構などのことをいう。
【0012】
この発明によれば、上下方向に厚みを有する複数のリンク部材を連結して構成したアーム本体によって吸着部が交差方向に移動するため、アーム本体の上下方向の長さが吸着部の移動に伴って変化することがない。
【0013】
このため、吸着部を待機位置に退避させるためにアーム本体を折り畳んだ際、搬送装置は、例えば駆動モーターを介して腕部が連結されたロボットアームに比べて、アーム本体の上下方向の長さを短くすることができる。
【0014】
よって、搬送装置は、吸着部の位置に関わらず必要とされるスペースを抑えることができる。
加えて、ロボットアームのように腕部同士を枢動可能に連結する駆動モーターが不要なため、搬送装置は、アーム本体の軽量化を図ることができる。
【0015】
この発明の態様として、前記アーム本体が、交差連結した一対の前記リンク部材を複数連結して、前記交差方向に伸縮可能なパンタグラフ状に構成されてもよい。
この構成によれば、アーム本体が交差方向に伸縮可能なパンタグラフ状のため、アーム本体のコンパクトな折り畳みと、吸着部のより遠方への移動とを簡素かつ軽量な構成で両立することができる。
【0016】
またこの発明の態様として、前記アクチュエーターが、一端が前記支柱部に支持され、他端が前記アーム本体における前記支柱部側の前記一対のリンク部材に連結されてもよい。
上記アーム本体における支柱部側とは、アーム本体における交差方向の略中央よりも支柱部側のことをいう。
【0017】
この構成によれば、アクチュエーターがアーム本体の支柱部側に連結されるため、アクチュエーターがアーム本体の先端近傍に連結される場合に比べて、アクチュエーターの全長を短くすることができる。このため、搬送装置は、アーム本体が折り畳まれた状態において、アクチュエーターが吸着部よりも交差方向に突出することを防止できる。
【0018】
よって、搬送装置は、吸着部が待機位置に退避した状態において、上下方向に必要とされるスペースと、交差方向に必要とされるスペースとを両立して抑えられるため、装置の省スペース化を図ることができる。
【0019】
またこの発明の態様として、前記ピックアップアームが、一端が前記支柱部に支持され、他端が前記アーム本体の先端に連結されるとともに、前記交差方向に伸縮する伸縮ガイド部を備えてもよい。
この構成によれば、一端が支柱部に支持された伸縮ガイド部によってアーム本体を支持することができる。
【0020】
これにより、搬送装置は、吸着部の重さによってアーム本体の先端が垂れ下がることを、伸縮ガイド部で阻止することができる。このため、搬送装置は、吸着部の移動軌跡を安定させることができる。
よって、搬送装置は、アーム本体がリンク機構で構成された場合であっても、吸着部の位置精度を確保することができる。
【0021】
またこの発明の態様として、前記ピックアップアームが、前記支柱部と前記吸着部との間において、前記アーム本体を前記伸縮ガイド部に吊架する複数の吊架部を備え、該吊架部が、前記伸縮ガイド部上を転動するローラーを備えてもよい。
【0022】
この構成によれば、アーム本体が吊架部を介して伸縮ガイド部に吊架されるため、例えば支柱部と吸着部との間において、アーム本体が下方に撓むことを防止できる。
さらに、吊架部が伸縮ガイド部上を転動するローラーを備えているため、搬送装置は、アーム本体のリンク機構の動きが、吊架部と伸縮ガイド部との摩擦抵抗によって阻害されることを防止できる。
【0023】
これにより、搬送装置は、吸着部をスムーズに、かつ精度よく移動させることができる。
加えて、例えばローラーを樹脂製のローラーとすることで、金属製のローラーに比べてローラーの走行音を抑えられるため、搬送装置は、静寂性の向上を図ることができる。
【0024】
またこの発明の態様として、前記ピックアップアームが、前記交差方向に延びるとともに、先端に前記吸着部が固定された腕部と、鉛直方向を回転軸として、前記アーム本体に前記腕部を枢動自在に連結する枢動部とを備えてもよい。
この構成によれば、吸着部が設けられた腕部がアーム本体に枢動自在に連結されているため、載置面に載置されたパーツをより確実に移動させることができる。
【0025】
具体的には、例えば2つのピックアップアームで1つのパーツを移動させる際、吸着部がピックアップアームの先端に固定されていると、アーム本体同士の接触によって吸着部をパーツの直上に移動させらないおそれがある。
【0026】
これに対して、吸着部が固定された腕部とアーム本体とが枢動部を介して枢動自在に連結されているため、搬送装置は、アーム本体を離間させた状態で吸着部同士を容易に近づけることができる。
【0027】
これにより、搬送装置は、例えば2つのピックアップアームで1つのパーツを移動させる場合であっても、載置面に載置されたパーツをより確実に移動させることができる。
【0028】
またこの発明の態様として、前記吸着部が前記支柱部に最も近い位置に位置する状態において、少なくとも前記アーム本体及び前記アクチュエーターを一体的に覆うカバー部材を備えてもよい。
この構成によれば、吸着部が支柱部に最も近い位置に位置する状態において、少なくともアーム本体及びアクチュエーターが外部に露出することをカバー部材で防止することができる。
【0029】
このため、搬送装置は、アーム本体及びアクチュエーターの動作開始が外部からの異物によって阻害されることを防止できるとともに、吸着部が待機位置に退避した状態における見栄えの向上を図ることができる。
【0030】
またこの発明の態様として、上下方向に延びる前記支柱部に支持されるとともに、前記ピックアップアームを昇降させる昇降部を備えてもよい。
この構成によれば、搬送方向へのピックアップアームの移動だけでなく、上下方向へのピックアップアームの移動を可能にすることができる。換言すると、搬送装置は、搬送方向及び交差方向への吸着部の移動だけでなく、上下方向への吸着部の移動を可能にすることができる。
【0031】
このため、例えばピックアップアームを下降させることで、搬送装置は、載置面に載置されたパーツをより容易に吸着させることができる。これにより、搬送装置は、弱い吸引力であっても、載置面に載置されたパーツを確実にピックアップすることができる。
【0032】
さらに、昇降部が支柱部に支持されているため、搬送装置は、アーム本体の先端に吸着部を昇降させる昇降部を設けた場合に比べて、ピックアップアームの大型化及び重量増加を抑えることができる。
これにより、搬送装置は、ピックアップアームの大型化を抑えて、載置面に載置されたパーツを効率よくピックアップすることができる。
【0033】
またこの発明の態様として、前記パーツの位置を示すパーツ位置情報が登録された裁断データに基づいて、少なくとも前記移動手段の動作及び前記アクチュエーターの動作を制御する制御部を備えてもよい。
上記パーツ位置情報は、シート材を裁断するための裁断データに登録された位置情報、載置面に載置されたシート材を画像解析して得られた位置情報などのことをいう。
【0034】
この構成によれば、前工程であるシート材の裁断工程で用いられる裁断データを有効に利用して、移動手段の動作及びアクチュエーターの動作を制御することができる。
これにより、搬送装置は、コンパクトに折り畳まれたアーム本体を精度よく展開できるため、吸着部を所望させる位置に確実に移動させることができる。
【発明の効果】
【0035】
本発明により、吸着部の位置に関わらず必要とされるスペースを抑えられる搬送装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図5】ピックアップアームの外観を平面視で示す平面図。
【
図6】ピックアップアームを伸長した状態の搬送機構部を示す側面図。
【
図7】ピックアップアームの要部を側面視で示す側面図。
【
図11】3段引きスライドレールの外観を示す外観斜視図。
【
図12】搬送装置の処理動作を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0037】
この発明の一実施形態を以下図面と共に説明する。
本実施形態の搬送装置10は、前工程の裁断装置(図示省略)で裁断されたシート材Sから複数のパーツPをピックアップして次工程に搬送する装置である。このような搬送装置10について、
図1から
図11を用いて説明する。
【0038】
なお、
図1は搬送装置10の外観の平面図を示し、
図2は搬送装置10の外観の側面図を示し、
図3は搬送装置10の内部構成のブロック図を示し、
図4は搬送機構部2の外観の側面図を示し、
図5はピックアップアーム25の外観の平面図を示している。
【0039】
さらに、
図6はピックアップアーム25を伸長した状態の搬送機構部2の側面図を示し、
図7はピックアップアーム25の要部の側面図を示し、
図8はアーム本体26を平面視で説明する説明図を示し、
図9はアーム本体26の一部を分解した分解斜視図を示している。
加えて、
図10は伸縮ガイド部29を正面視で説明する説明図を示し、
図11は3段引きスライドレール29aの外観斜視図を示している。
【0040】
また、
図1中の左側から右側へ向かう方向をパーツPの搬送方向Xとし、
図2中の上側を搬送装置10の上方とし、図中の下側を搬送装置10の下方とする。さらに、図示を明確にするため、
図4、
図6及び
図10中において、カバー部材31を二点鎖線で図示している。
【0041】
本実施形態の搬送装置10は、
図1及び
図2に示すように、裁断装置(図示省略)から搬送されたシート材Sを載置したピックアップテーブル11から、載置テーブル12にシート材SのパーツPを搬送可能に構成されている。
【0042】
ここで、シート材Sは、
図1に示すように、例えば車両用シートに後付けされるシートカバー部材や車両のエアバック、あるいは衣服などの縫製品に用いられる布製や革製の生地である。
【0043】
このシート材Sを裁断装置(図示省略)で所望される形状に裁断して得られる部分をパーツPとして、一枚のシート材Sから複数のパーツPを得られるように裁断されている。
なお、シート材SにおけるパーツPを除く部分を余白部分Saとする。
【0044】
また、ピックアップテーブル11は、裁断装置に対して搬送方向Xに隣接して配置されている。このピックアップテーブル11は、
図1及び
図2に示すように、シート材Sよりも大きい平面視矩形のテーブルであって、天板部分の上面が裁断装置から搬送されたシート材Sを載置する載置面11aを構成している。
【0045】
また、載置テーブル12は、ピックアップテーブル11に対して搬送方向Xに所定間隔を隔てた位置において、次工程へ搬送されるパーツPを重ね置きする場所として設けられている。
【0046】
この載置テーブル12は、
図1及び
図2に示すように、ピックアップテーブル11よりも小さい平面視略矩形のテーブルであって、天板部分の上面がピックアップされたパーツPを載置する載置面12aを構成している。
なお、ピックアップテーブル11の載置面11aと載置テーブル12の載置面12aとは、略同じ上下方向の高さに形成されている。
【0047】
上述したパーツPをピックアップして次工程に搬送する搬送装置10は、
図1及び
図2に示すように、ピックアップテーブル11及び載置テーブル12を挟んで搬送方向Xに延びる一対のガイドレール1と、ガイドレール1上に配置された複数の搬送機構部2とを備えている。
【0048】
さらに、搬送装置10は、真空ポンプ3(
図3参照)と、真空ポンプ3を搬送機構部2に接続するエアホース4及び伸縮管5と、作業員の操作を受け付けて各部の動作を制御する操作盤6とを備えている。
加えて、詳細な図示及び説明を省略するが、搬送装置10は、裁断装置からピックアップテーブル11に搬送されたシート材Sを検知する検知センサーやカメラを備えている。
【0049】
詳述すると、一対のガイドレール1は、
図1に示すように、搬送方向Xに並置したピックアップテーブル11及び載置テーブル12よりも長い搬送方向Xの長さに形成されている。このガイドレール1は、詳細な図示を省略するが、搬送方向X及び搬送方向Xとは逆方向への搬送機構部2の移動を案内可能に構成されている。
【0050】
また、複数の搬送機構部2は、後ほど詳述するため、ここでは簡単に説明するが、
図1及び
図2に示すように、1つのガイドレール1に対して搬送方向Xに所定間隔を隔てて2つ取り付けられている。
そして、複数の搬送機構部2は、それぞれガイドレール1に沿って搬送方向X及び搬送方向Xとは逆方向に移動可能に構成されている。
【0051】
具体的には、搬送機構部2は、
図1に示すように、ピックアップテーブル11と載置テーブル12との間の位置である待機位置と、ピックアップテーブル11に隣接する位置であるピックアップ位置と、載置テーブル12に隣接する位置である搬送完了位置とに移動可能に構成されている。
【0052】
さらに、搬送機構部2は、
図2に示すように、搬送方向Xに対して平面視略直交する方向に伸縮可能なピックアップアーム25を備え、ピックアップテーブル11の載置面11a及び載置テーブル12の載置面12aの所望される位置に、ピックアップアーム25の先端を移動可能に構成されている。
【0053】
また、真空ポンプ3は、
図3に示すように、後述する操作盤6の制御部65に接続されるとともに、制御部65からの制御信号によって動作し、接続されたエアホース4から吸引した空気を外部に排出する機能を有している。
また、エアホース4は、
図2に示すように、例えば可撓性を有する蛇腹形状の樹脂チューブであって、一端が真空ポンプ3に接続され、他端が伸縮管5に接続されている。
【0054】
また、伸縮管5は、
図4及び
図6に示すように、外径の異なる複数の筒状体を伸縮可能に連結したテレスコピック構造で構成され、エアホース4と後述するピックアップアーム25のアーム先端部27とに接続されている。
【0055】
なお、伸縮管5は、最も大径の筒状体が後述する搬送機構部2の昇降機構部24に支持され、最も小径の筒状体が後述するピックアップアーム25のアーム先端部27に支持されている。
【0056】
また、操作盤6は、
図3に示すように、作業員の各種操作を受け付ける操作受付部61と、各種情報を表示する表示部62と、外部機器との間で各種情報が入出力される入出力部63と、各種情報を記憶する記憶部64と、各部の動作を制御する制御部65とを備えている。
【0057】
具体的には、操作受付部61は、例えば開始ボタン、停止ボタン、あるいは非常停止ボタンなどのボタン類やタッチパネルなどで構成され、作業員による入力操作を受け付ける機能と、受け付けた入力内容を示す信号を制御部65に出力する機能とを有している。
【0058】
表示部62は、例えば液晶ディスプレイなどで構成され、制御部65からの制御信号により各種情報を表示する機能を有している。
入出力部63は、例えばUSBなどの入出力端子などで構成され、裁断装置などの外部機器に接続する機能と、外部機器との間で各種情報を授受する機能とを有している。
【0059】
記憶部64は、ハードディスクあるいは不揮発性メモリなどで構成され、各種情報を書き込んで記憶する機能と、各種情報を読み出す機能とを有している。この記憶部64には、裁断装置がシート材Sを裁断する際に用いる裁断データ64aを記憶している。
【0060】
具体的には、裁断データ64aは、入出力部63を介して裁断装置から取得したデータであって、シート材Sの形状に対して歩留まりよく配置されたパーツPの位置を示すパーツ位置情報と、パーツPの輪郭形状を示すパーツ形状情報とが関連付けて登録されている。
【0061】
制御部65は、CPUやメモリなどのハードウェアと、制御プログラムなどのソフトウェアとで構成されている。この制御部65は、上述した各部との各種情報の授受に係る処理機能と、所定のバスを介して接続された各部の動作を制御する機能とを有している。
具体的には、制御部65は、検知センサーやカメラからの信号を処理する機能と、搬送機構部2の動作に係る処理機能と、真空ポンプ3の動作に係る処理機能とを有している。
【0062】
なお、制御部65は、検知センサーやカメラからの信号と記憶部64の裁断データ64aとに基づいて、ピックアップテーブル11の載置面11aに載置されたパーツPを、少なくとも1つの搬送機構部2でピックアップして載置テーブル12に移動させるように各部の動作を制御する。
【0063】
引き続き、上述した搬送機構部2について詳述すると、搬送機構部2は、上述した操作盤6の制御部65からの制御信号に基づいて動作し、ピックアップアーム25の先端を搬送方向X及び搬送方向Xとは逆方向に移動可能に構成されている。
【0064】
さらに、搬送機構部2は、上述した操作盤6の制御部65からの制御信号に基づいて動作し、ピックアップアーム25の先端を搬送方向Xに対して平面視略直交する方向に移動可能に構成されている。
【0065】
このような搬送機構部2は、
図2及び
図4に示すように、ガイドレール1に載置された基台部21と、ガイドレール1に沿って基台部21を移動させる移動部22と、基台部21に立設された支柱部23と、支柱部23に支持された昇降機構部24及びピックアップアーム25とを備えている。
【0066】
詳述すると、搬送機構部2の基台部21は、
図1及び
図4に示すように、搬送方向Xに短い平面視略矩形の板状であって、搬送方向X及び搬送方向Xとは逆方向へ移動可能な状態で、ガイドレール1に取り付けられている。
【0067】
また、搬送機構部2の移動部22は、
図2に示すように、基台部21の下面に固定した搬送モーター22a、及び搬送モーター22aの駆動力をガイドレール1に伝達する動力伝達機構部(図示省略)などで構成されている。
このうち、搬送モーター22aは、
図3に示すように、後述する操作盤6の制御部65に接続されるとともに、制御部65からの制御信号によって回転駆動するように構成されている。
【0068】
また、搬送機構部2の支柱部23は、
図4及び
図5に示すように、ピックアップアーム25を挟んで搬送方向Xに対向配置された一対の柱状体23aで構成され、それぞれ基台部21の上面に固定されている。
【0069】
この支柱部23は、昇降機構部24が連結されるとともに、昇降機構部24を介してピックアップアーム25を支持している。
なお、一対の柱状体23aのうち、一方の柱状体23aは、
図5に示すように、平面視において、搬送方向Xの長さが他方の柱状体23aよりも長く形成されている。
【0070】
また、搬送機構部2の昇降機構部24は、支柱部23に対してピックアップアーム25を昇降させる機構部であって、例えばボールネジを用いた直動機構で構成されている。
具体的には、昇降機構部24は、昇降モーター24aと、昇降モーター24aの回転を減速する減速機構部(図示省略)と、減速機構部に連結されるとともに、一方の柱状体23aに回転自在に支持されたボールネジと、支柱部23に沿ってスライド移動する一対のスライド体24b(
図10参照)とで構成されている。
【0071】
なお、一対のスライド体24bのうち、一方のスライド体24bは、ボールネジに螺合している。
さらに、昇降モーター24aは、
図3に示すように、操作盤6の制御部65に接続されるとともに、制御部65からの制御信号によって動作するよう構成されている。
【0072】
また、搬送機構部2のピックアップアーム25は、
図4から
図6に示すように、搬送方向Xに対して平面視略直交する伸縮方向Yへ伸縮可能な一対のアーム本体26と、アーム本体26の先端に連結されたアーム先端部27とを備えている。
【0073】
さらに、ピックアップアーム25は、一対のアーム本体26を伸縮させるアクチュエーター28と、アーム本体26の伸縮に追従してアーム先端部27の移動を案内する伸縮ガイド部29と、一対のアーム本体26を支持する複数の吊架部30と、これらを覆うカバー部材31とを備えている。
なお、伸縮方向Yは、アーム先端部27が支柱部23へ向かう方向、及びアーム先端部27が支柱部23から離間する方向のことをいう。
【0074】
具体的には、一対のアーム本体26は、
図7から
図9に示すように、伸縮方向Yに伸縮可能なアーム本体26を上下方向に対向配置するとともに、上下方向に連結して構成している。
このアーム本体26は、
図8及び
図9に示すように、上下方向に厚みを有するリンク部材を複数連結したリンク機構であって、伸縮方向Yに伸縮可能なパンタグラフ形状に構成されている。
【0075】
そして、一対のアーム本体26は、後述するアクチュエーター28によって、パンタグラフ形状が搬送方向Xに長い正面視略菱形の状態(
図8(a)参照)と、伸縮方向Yに長い正面視略菱形の状態(
図8(b)参照)とに変形する。
【0076】
より詳しくは、アーム本体26は、平面視略V字状に組付けた一対の支柱側リンク部材261及び一対の先端側リンク部材262と、平面視X字状に組付けた複数の一対の中間リンク部材263とを、支柱部23側から一対の支柱側リンク部材261、複数の一対の中間リンク部材263、一対の先端側リンク部材262の順に連結して構成している。
【0077】
なお、支柱側リンク部材261、先端側リンク部材262及び中間リンク部材263は、平面視略帯状の板状であって、支柱側リンク部材261及び先端側リンク部材262が、中間リンク部材263よりも短い長手方向の長さとなるように形成されている。
【0078】
一対の支柱側リンク部材261及び一対の先端側リンク部材262は、
図8及び
図9に示すように、長手方向の一端が上下方向で重なるように交差させるとともに、交差部分を上下方向に延びる末端軸部264で回転自在に連結して平面視略V字状を構成している。
【0079】
一方、一対の中間リンク部材263は、
図8及び
図9に示すように、長手方向の略中央が上下方向で重なるように交差させるとともに、交差部分を上下方向に延びる中間軸部265で回転自在に連結して平面視X字状を構成している。
【0080】
そして、アーム本体26は、
図8及び
図9に示すように、一対の支柱側リンク部材261における長手方向の他端と、隣接して配置した一対の中間リンク部材263における長手方向の一端とを上下方向で重なるように交差させるとともに、交差部分を上下方向に延びる連結軸部266で回転自在に連結している。
【0081】
さらに、アーム本体26は、一対の中間リンク部材263における長手方向の他端と、隣接して配置した一対の中間リンク部材263における長手方向の一端とを上下方向で重なるように交差させるとともに、交差部分を上下方向に延びる連結軸部266で回転自在に連結している。
【0082】
加えて、アーム本体26は、一対の中間リンク部材263における長手方向の他端と、隣接して配置した一対の先端側リンク部材262における長手方向の他端とを上下方向で重なるように交差させるとともに、交差部分を上下方向に延びる連結軸部266で回転自在に連結している。
【0083】
このように一対の支柱側リンク部材261、複数の一対の中間リンク部材263及び一対の先端側リンク部材262が連結軸部266で連結されることで、伸縮方向Yに伸縮可能なパンタグラフ状のアーム本体26を構成している。
【0084】
さらに、アーム本体26における末端軸部264、中間軸部265及び連結軸部266が、上下方向に対向配置した他方のアーム本体26における末端軸部264、中間軸部265及び連結軸部266と一体形成されることで、上下方向に連結された一対のアーム本体26を構成している。
【0085】
なお、一対のアーム本体26は、支柱側リンク部材261の末端軸部264が昇降機構部24のスライド体24bに連結され、先端側リンク部材262の末端軸部264が後述する伸縮ガイド部29の先端レール29bに連結されている。
このようなリンク機構により、後述するアクチュエーター28の移動距離に対して、先端側リンク部材262の末端軸部264の移動距離が14.5倍に増加する。
【0086】
また、アーム先端部27は、真空ポンプ3及び操作盤6の制御部65との協働によって、パーツPを吸着する機能と、吸着したパーツPの保持状態を解除する機能とを有している。
【0087】
このアーム先端部27は、
図4及び
図5に示すように、一対のアーム本体26の先端かつ上方に配置された連結板部271と、連結板部271の一方の主面に連結固定された第1先端腕部272とを備えている。
【0088】
さらに、アーム先端部27は、第1先端腕部272から下方に延びる旋回筒部273と、旋回筒部273の下端に連結された第2先端腕部274と、第2先端腕部274の先端に固定された吸着部275とを備えている。
【0089】
具体的には、連結板部271は、伸縮方向Yに厚みを有する略板状に形成され、支柱部23側に伸縮ガイド部29の先端が連結固定されている。さらに、連結板部271は、伸縮ガイド部29よりも上方の位置において、支柱部23とは逆側の主面に第1先端腕部272が固定されている。
なお、連結板部271は、第1先端腕部272と略同じ上下方向の位置において、伸縮管5における最も小径の筒状体を、第1先端腕部272に連通する状態で支持している。
【0090】
また、第1先端腕部272は、例えば内部中空のボックス状であって、伸縮管5の先端と旋回筒部273とを連通させる筒状体(図示省略)が内蔵されている。
さらに、第1先端腕部272の上面には、
図4に示すように、図示を省略した加圧ポンプからの空気によって、上下方向を回転軸として回転駆動するロータリーテーブル272aが固定されている。
【0091】
このロータリーテーブル272aは、
図5に示すように、平面視において、後述する吸着部275が伸縮方向Y上に位置する状態から、第2先端腕部274を平面視時計周り及び平面視反時計回りにそれぞれ90度の範囲に回動可能に構成されている。
なお、加圧ポンプは、操作盤6の制御部65からの制御信号によって、その動作が制御されるものとする。
【0092】
また、旋回筒部273は、
図4に示すように、上下方向に延びる筒状体であって、その上端がロータリーテーブル272aに連結されるとともに、第1先端腕部272に回転自在に支持されている。
なお、旋回筒部273は、その内部空間が第1先端腕部272の筒状体を介して伸縮管5に連通している。
【0093】
また、第2先端腕部274は、
図4及び
図5に示すように、伸縮方向Yに長い平面視略矩形の略ボックス状であって、伸縮方向Yの一端側の上面に旋回筒部273の下端が固定され、伸縮方向Yの他端側の下面に吸着部275が固定されている。
そして、第2先端腕部274の内部には、旋回筒部273と吸着部275とを連通させる空気流路が形成されている。
【0094】
また、吸着部275は、
図4及び
図5に示すように、上下方向に延びる略円柱状であって、真空ポンプ3の吸引力によってパーツPを吸引する吸引口(図示省略)が下面に設けられている。
さらに、吸着部275は、下面の吸引口と第2先端腕部274の空気流路とを連通する内部流路を有する形状に形成されている。
【0095】
加えて、吸着部275の内部には、吸引口と第2先端腕部274の筒状体とを連通する内部流路を開閉する開閉弁275aが設けられている。例えば開閉弁275aは、吸着部275の内部流路を遮断するシャッターあるいは弁体で構成されている。
【0096】
このような開閉弁275aは、
図3示すように、操作盤6の制御部65に接続されるとともに、制御部65からの制御信号によって吸着部275の内部流路を閉塞する閉弁状態と、流路の閉塞を開放する開弁状態とに移行可能に構成されている。
【0097】
また、アクチュエーター28は、
図7に示すように、アーム本体26を伸縮方向Yに伸縮させる駆動機構部であって、例えばボールネジを用いた直動機構で構成されている。このアクチュエーター28は、
図7に示すように、一対のアーム本体26の下方、かつ支柱部23側に配置されるとともに、伸縮方向Yの一端が昇降機構部24のスライド体24bに支持されている。
【0098】
具体的には、アクチュエーター28は、
図7に示すように、伸縮方向Yに延びるボールネジ(図示省略)に螺合したスライダー281と、ボールネジを回転自在に支持するスライドガイド282と、ボールネジを回転させるアクチュエーター用モーター283(
図3参照)などを備えている。
【0099】
スライダー281は、スライドガイド282に沿って伸縮方向Yに移動可能に構成されている。このスライダー281は、
図7に示すように、一対の中間リンク部材263の交差部分を枢支する複数の中間軸部265のうち、最も支柱部23側に位置する中間軸部265に連結されている。つまり、スライダー281は、先端側リンク部材262の交差部分を枢支する末端軸部264に最も近い位置の中間軸部265に連結されている。
【0100】
スライドガイド282は、スライダー281の移動を案内する部分であって、伸縮方向Yに長い平面視略矩形に形成されている。このスライドガイド282は、最も縮んだ状態のアーム本体26(
図8(a)参照)よりも短い伸縮方向Yの長さに形成され、伸縮方向Yの一端が昇降機構部24に支持されている。
【0101】
アクチュエーター用モーター283は、スライドガイド282の内部またはスライドガイド282における伸縮方向Yの一端に固定されるとともに、その先端にボールネジが連結されている。
このアクチュエーター用モーター283は、
図3に示すように、操作盤6の制御部65に接続されるとともに、制御部65からの制御信号によって回転駆動するように構成されている
また、一対の伸縮ガイド部29は、
図6、
図7及び
図10に示すように、アーム本体26の上方において、搬送方向Xに沿った水平方向に対向配置され、それぞれ伸縮方向Yに伸縮可能に構成されている。
【0102】
この伸縮ガイド部29は、
図10(a)及び
図11に示すように、搬送方向Xに沿った水平方向に連結した4つの3段引きスライドレール29a、及び1つの先端レール29bとで構成されている。
なお、伸縮ガイド部29は、アーム本体26と略同じ伸縮方向Yの長さだけ伸縮可能に構成されている。
【0103】
3段引きスライドレール29aは、
図10(b)及び
図11に示すように、上下方向の長さが異なるアウターレール291、中間レール292、及びインナーレール293を、搬送方向Xに沿った水平方向の一方側からこの順番で組付けて構成している。
【0104】
具体的には、アウターレール291は、
図10(b)に示すように、上下方向に長い断面略矩形の環状体における水平方向の一方側を開口した形状に形成されている。
中間レール292は、
図10(b)に示すように、
上下方向に長い断面略矩形の環状体における水平方向の一方側を開口した形状であって、アウターレール291よりも短い上下方向の長さに形成されている。
【0105】
この中間レール292は、上面とアウターレール291との間、及び下面とアウターレール291との間に複数のベアリングボール294を介在させた状態で、アウターレール291の内部に組付けられている。
【0106】
インナーレール293は、
図10(b)に示すように、
上下方向に長い断面略矩形の環状体における水平方向の他方側を開口した形状であって、中間レール292よりも短い上下方向の長さに形成されている。
【0107】
このインナーレール293は、上面と中間レール292との間、及び下面と中間レール292との間に複数のベアリングボール294を介在させた状態で、中間レール292の内部に組付けられている。
一方、伸縮ガイド部29の先端レール29bは、
図10(b)に示すように、3段引きスライドレール29aのアウターレール291で構成されている。
【0108】
そして、3段引きスライドレール29aのインナーレール293に対して、隣接して配置した3段引きスライドレール29aのアウターレール291を固定することで、4つの3段引きスライドレール29aを搬送方向Xに沿った水平方向に連結している。
【0109】
さらに、搬送方向Xに沿った水平方向で他方の伸縮ガイド部29に対向する3段引きスライドレール29aのインナーレール293に、先端レール29bを固定することで伸縮ガイド部29を構成している。
【0110】
上述した構成の伸縮ガイド部29は、他方の伸縮ガイド部29から最も水平方向に離間した3段引きスライドレール29aのアウターレール291が昇降機構部24に固定され、先端レール29bがアーム先端部27の連結板部271に固定される。
【0111】
さらに、伸縮ガイド部29は、アーム本体26における先端側リンク部材262の交差部分を枢支する末端軸部264が先端レール29bに連結されている。このため、伸縮ガイド部29は、アーム本体26の伸縮に追従して伸縮方向Yに伸縮する。
【0112】
また、複数の吊架部30は、
図7及び
図10に示すように、アーム本体26を伸縮ガイド部29のアウターレール291及び先端レール29bに吊架する部材であって、伸縮方向Yに沿って複数配置されている。
この吊架部30は、
図10(a)に示すように、アーム本体26に連結された側面視略T字状の吊架軸部30aと、吊架軸部30aに軸支された一対のローラー30bとで構成されている。
【0113】
具体的には、吊架軸部30aは、一対の中間リンク部材263の交差部分を枢支する中間軸部265に連結され、上方へ向けて延びる鉛直部分(符号省略)と、鉛直部分の上端から搬送方向Xに沿った水平方向の両方へ延びる水平部分(符号省略)とで側面視略T字状に形成されている。
【0114】
一方、一対のローラー30bは、例えば樹脂製のベアリングで構成され、吊架軸部30aにおける水平部分の先端に回転自在に取り付けられている。なお、ローラー30bの周面は、伸縮ガイド部29におけるアウターレール291の断面形状に沿った断面形状に形成されている。
【0115】
このような吊架軸部30aは、伸縮ガイド部29におけるアウターレール291の上面及び先端レール29bの上面にローラー30bを載置することで、アーム本体26を吊架状態で支持している。
【0116】
また、ピックアップアーム25のカバー部材31は、例えば所定の厚みを有する金属板などで構成されている。このカバー部材31は、
図4に示すように、アーム本体26が最も縮んだ状態において、アーム本体26、アクチュエーター28、一対の伸縮ガイド部29、複数の吊架部30及び昇降機構部24を一体的に覆う形状に形成されている。
【0117】
次に、上述した構成の搬送装置10において、パーツPをピックアップテーブル11から載置テーブル12へ移動させる際の動作について、搬送装置10の処理動作のフローチャートを示す
図12を用いて簡単に説明する。
【0118】
まず、搬送機構部2が待機位置で待機し、かつ吸着部275の開閉弁275aが開弁した状態において、操作盤6の制御部65は、
図12に示すように、裁断装置から入出力部63を介して裁断データ64aを取得したか否かを判定する(ステップS101)。
裁断装置から裁断データ64aを取得していない場合(ステップS101:No)、制御部65は、裁断データ64aを取得するまで処理を待機する。
【0119】
一方、裁断装置から裁断データ64aを取得した場合(ステップS101:Yes)、制御部65は、各パーツPの位置を示すパーツ位置情報、及び各パーツPの輪郭形状を示すパーツ形状情報を、裁断データ64aから取得して一時記憶する(ステップS102)。
【0120】
その後、制御部65は、真空ポンプ3を稼働させて吸着部275を介した吸引を開始したのち(ステップS103)、図示を省略した検知センサーやカメラからの出力信号に基づいて、ピックアップテーブル11の載置面11aにシート材Sが載置されたか否かを判定する(ステップS104)。
【0121】
ピックアップテーブル11の載置面11aにシート材Sが載置されていない場合(ステップS104:No)、制御部65は、ピックアップテーブル11の載置面11aにシート材Sが載置されるまで処理を待機する。
【0122】
一方、ピックアップテーブル11の載置面11aにシート材Sが載置された場合(ステップS104:Yes)、制御部65は、搬送モーター22aを駆動させて、待機位置で待機する搬送機構部2をピックアップ位置に移動させる(ステップS105)。
【0123】
さらに、制御部65は、アクチュエーター用モーター283を駆動させて、パーツPの直上に吸着部275が位置するようにピックアップアーム25を伸長させる(ステップS106)。
この際、制御部65は、隣接する搬送機構部2の位置及びパーツPの位置に応じて、ロータリーテーブル272aを駆動させて第2先端腕部274を旋回させることで、吸着部275をパーツPの直上に移動させる。
【0124】
ここで、アクチュエーター用モーター283が駆動した際のピックアップアーム25の動きについて説明する。アクチュエーター用モーター283が駆動すると、ピックアップアーム25のアーム本体26は、アクチュエーター28のスライダー281の移動に伴って、搬送方向Xに長い正面視略菱形の状態から伸縮方向Yに長い正面視略菱形の状態に変形することで、アーム先端部27を伸縮方向Yの一方側へ移動させる。
【0125】
この際、アーム本体26の変形に伴って伸縮ガイド部29が伸長し、吊架部30が伸縮ガイド部29上を移動することで、アーム本体26の変形が伸縮方向Yの一方側に規制される。このため、ピックアップアーム25の吸着部275は、平面視において、伸縮方向Yに沿った直線的な移動軌跡で移動する。
【0126】
図12に戻り、パーツPの直上に吸着部275が移動すると、制御部65は、
図12に示すように、昇降モーター24aを駆動させて、吸着部275の吸引口がシート材Sに近接する所定位置までピックアップアーム25を下降させる(ステップS107)。
【0127】
この際、吸着部275の開閉弁275aが開弁しているため、所定位置まで下降したピックアップアーム25の吸着部275は、裁断されたパーツPを吸引する。
ピックアップアーム25を所定位置まで下降してパーツPを吸着させると、制御部65は、昇降モーター24aを反転駆動させてピックアップアーム25を上昇させる(ステップS108)。
その後、制御部65は、搬送機構部2が搬送方向Xへ向けて移動するように搬送モーター22aを駆動させて、搬送機構部2をピックアップ位置から搬送完了位置に移動させる(ステップS109)。
【0128】
搬送機構部2が搬送完了位置まで移動すると、制御部65は、昇降モーター24aを駆動してピックアップアーム25を下降させたのち、開弁状態の開閉弁275aを閉弁状態に移行させる(ステップS110)。
これにより、ピックアップアーム25によって保持されたパーツPは、その保持状態が解除され、載置テーブル12の載置面11aに載置される。
【0129】
その後、制御部65は、処理をステップS101に戻したのち、例えば作業員によって操作盤6の停止ボタンが押下されるまでステップS101からステップS110の処理を繰り返す。
【0130】
このようにして搬送装置10は、ピックアップテーブル11に載置されたシート材SからパーツPをピックアップするとともに、ピックアップテーブル11に隣接する載置テーブル12に、ピックアップしたパーツPを移動する。
【0131】
以上のように、本実施形態の搬送装置10は、シート材Sを裁断して得られた複数のパーツPが載置されたピックアップテーブル11の載置面11aからパーツPをピックアップして移動させる装置である。
【0132】
この搬送装置10は、パーツPを吸着する吸着部275を先端に有する1つ以上のピックアップアーム25と、ピックアップアーム25の基部を支持する支柱部23と、略水平な搬送方向Xへ向けてピックアップアーム25を移動させる移動手段(移動部22及び制御部65)とを備えている。
【0133】
さらに、ピックアップアーム25が、上下方向に厚みを有する複数のリンク部材を連結したリンク機構で構成されるとともに、吸着部275を伸縮方向Yに移動させるアーム本体26と、アーム本体26のリンク機構を動作させるアクチュエーター28とを備えている。
【0134】
この構成によれば、上下方向に厚みを有する複数のリンク部材を連結して構成したアーム本体26によって吸着部275が伸縮方向Yに移動するため、アーム本体26の上下方向の長さが吸着部275の移動に伴って変化することがない。
【0135】
このため、吸着部275を待機位置に退避させるためにアーム本体26を折り畳んだ際、搬送装置10は、例えば駆動モーターを介して腕部が連結されたロボットアームに比べて、アーム本体26の上下方向の長さを短くすることができる。
【0136】
よって、搬送装置10は、吸着部275の位置に関わらず必要とされるスペースを抑えることができる。
加えて、ロボットアームのように腕部同士を枢動可能に連結する駆動モーターが不要なため、搬送装置10は、アーム本体26の軽量化を図ることができる。
【0137】
また、アーム本体26が、交差連結した一対のリンク部材(支柱側リンク部材261、先端側リンク部材262及び中間リンク部材263)を複数連結して、伸縮方向Yに伸縮可能なパンタグラフ状に構成されているため、搬送装置10は、アーム本体26のコンパクトな折り畳みと、吸着部275のより遠方への移動とを簡素かつ軽量な構成で両立することができる。
【0138】
また、アクチュエーター28が、一端が支柱部23に支持され、他端が最も支柱部23側に位置する一対の中間リンク部材263の交差部分を枢支する中間軸部265に連結されている。
この構成によれば、アクチュエーター28がアーム本体26の支柱部23側に連結されるため、アクチュエーター28がアーム本体26の先端近傍に連結される場合に比べて、アクチュエーター28の全長を短くすることができる。このため、搬送装置10は、アーム本体26が折り畳まれた状態において、アクチュエーター28が吸着部275よりも伸縮方向Yに突出することを防止できる。
【0139】
よって、搬送装置10は、吸着部275が待機位置に退避した状態において、上下方向に必要とされるスペースと、伸縮方向Yに必要とされるスペースとを両立して抑えられるため、装置の省スペース化を図ることができる。
【0140】
また、ピックアップアーム25が、一端が支柱部23に支持され、他端がアーム本体26の先端に連結されるとともに、伸縮方向Yに伸縮する伸縮ガイド部29を備えているため、搬送装置10は、伸縮ガイド部29によってアーム本体26を支持することができる。
【0141】
これにより、搬送装置10は、吸着部275の重さによってアーム本体26の先端が垂れ下がることを、伸縮ガイド部29で阻止することができる。このため、搬送装置10は、吸着部275の移動軌跡を安定させることができる。
よって、搬送装置10は、アーム本体26がリンク機構で構成された場合であっても、吸着部275の位置精度を確保することができる。
【0142】
また、ピックアップアーム25が、支柱部23と吸着部275との間において、アーム本体26を伸縮ガイド部29に吊架する複数の吊架部30を備えている。そして、吊架部30が、伸縮ガイド部29上を転動するローラー30bを備えている。
【0143】
この構成によれば、アーム本体26が吊架部30を介して伸縮ガイド部29に吊架されるため、例えば支柱部23と吸着部275との間において、アーム本体26が下方に撓むことを防止できる。
さらに、吊架部が伸縮ガイド部29上を転動するローラー30bを備えているため、搬送装置10は、アーム本体26のリンク機構の動きが、吊架部30と伸縮ガイド部29との摩擦抵抗によって阻害されることを防止できる。
【0144】
これにより、搬送装置10は、吸着部275をスムーズに、かつ精度よく移動させることができる。
加えて、ローラー30bを樹脂製のローラーとすることで、金属製のローラーに比べてローラー30bの走行音を抑えられるため、搬送装置10は、静寂性の向上を図ることができる。
【0145】
また、ピックアップアーム25が、伸縮方向Yに延びるとともに、先端に吸着部275が固定された第2先端腕部274と、鉛直方向を回転軸として、アーム本体26に第2先端腕部274を枢動自在に連結する第1先端腕部272及び旋回筒部273とを備えている。
【0146】
この構成によれば、吸着部275が設けられた第2先端腕部274がアーム本体26に枢動自在に連結されているため、ピックアップテーブル11の載置面11aに載置されたパーツPをより確実に移動させることができる。
【0147】
具体的には、例えば2つのピックアップアーム25で1つのパーツPを移動させる際、吸着部275がピックアップアーム25の先端に固定されていると、アーム本体26同士の接触によって吸着部275をパーツPの直上に移動させらないおそれがある。
【0148】
これに対して、吸着部275が固定された第2先端腕部274とアーム本体26とが第1先端腕部272及び旋回筒部273を介して枢動自在に連結されているため、搬送装置10は、アーム本体26を離間させた状態で吸着部275同士を容易に近づけることができる。
【0149】
これにより、搬送装置10は、例えば2つのピックアップアーム25で1つのパーツPを移動させる場合であっても、ピックアップテーブル11の載置面11aに載置されたパーツPをより確実に移動させることができる。
【0150】
また、搬送装置10は、吸着部275が支柱部23に最も近い位置に位置する状態において、少なくともアーム本体26及びアクチュエーター28を一体的に覆うカバー部材31を備えている。
この構成によれば、吸着部275が支柱部23に最も近い位置に位置する状態において、少なくともアーム本体26及びアクチュエーター28が外部に露出することをカバー部材31で防止することができる。
【0151】
このため、搬送装置10は、アーム本体26及びアクチュエーター28の動作開始が外部からの異物によって阻害されることを防止できるとともに、吸着部275が待機位置に退避した状態における見栄えの向上を図ることができる。
【0152】
また、上下方向に延びる支柱部23に支持されるとともに、ピックアップアーム25を昇降させる昇降機構部24を備えているため、搬送装置10は、搬送方向Xへのピックアップアーム25の移動だけでなく、上下方向へのピックアップアーム25の移動を可能にすることができる。換言すると、搬送装置10は、搬送方向X及び伸縮方向Yへの吸着部275の移動だけでなく、上下方向への吸着部275の移動を可能にすることができる。
【0153】
このため、例えばピックアップアーム25を下降させることで、搬送装置10は、ピックアップテーブル11の載置面11aに載置されたパーツPをより容易に吸着させることができる。これにより、搬送装置10は、弱い吸引力であっても、ピックアップテーブル11の載置面11aに載置されたパーツPを確実にピックアップすることができる。
【0154】
さらに、昇降機構部24が支柱部23に支持されているため、搬送装置10は、アーム本体26の先端に吸着部275を昇降させる昇降機構部を設けた場合に比べて、ピックアップアーム25の大型化及び重量増加を抑えることができる。
これにより、搬送装置10は、ピックアップアーム25の大型化を抑えて、ピックアップテーブル11の載置面11aに載置されたパーツPを効率よくピックアップすることができる。
【0155】
また、パーツPの位置を示すパーツ位置情報が登録された裁断データ64aに基づいて、少なくとも移動部22の動作及びアクチュエーター28の動作を制御する制御部65を備えている。
【0156】
この構成によれば、前工程であるシート材Sの裁断工程で用いられる裁断データ64aを有効に利用して、移動部22の動作及びアクチュエーター28の動作を制御することができる。
これにより、搬送装置10は、コンパクトに折り畳まれたアーム本体26を精度よく展開できるため、吸着部275を所望させる位置に確実に移動させることができる。
【0157】
この発明の構成と、上述の実施形態との対応において、
この発明の載置面は、実施形態のピックアップテーブル11の載置面11aに対応し、
以下同様に、
移動手段は、移動部22及び制御部65に対応し、
交差方向は、伸縮方向Yに対応し、
一対のリンク部材は、一対の支柱側リンク部材261、一対の先端側リンク部材262及び一対の中間リンク部材263に対応し、
腕部は、第2先端腕部274に対応し、
枢動部は、第1先端腕部272及び旋回筒部273に対応し、
昇降部は、昇降機構部24に対応するが、
この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施の形態を得ることができる。
【0158】
具体的には、上述した実施形態において、ピックアップテーブル11の載置面11aと載置テーブル12の載置面12aとを略同じ上下方向の高さとしたが、これに限定せず、ピックアップテーブル11の載置面11aと載置テーブル12の載置面12aとが異なる上下方向の高さにあってもよい。
【0159】
また、裁断装置に隣接するピックアップテーブル11から載置テーブル12にパーツPを移動させる搬送装置10としたが、これに限定せず、シート材Sが裁断される裁断装置の裁断テーブルから載置テーブル12にパーツPを移動させる搬送装置であってもよい。
【0160】
また、ピックアップテーブル11に載置したパーツPの搬送先として載置テーブル12を用いて説明したが、これに限定せず、載置されたパーツPを順番に搬送方向Xへ搬送するベルトコンベアなどをパーツPの搬送先としてもよい。
【0161】
また、ピックアップアーム25を搬送方向Xに移動させる移動部22としたが、これに限定せず、例えば支柱部を回転中心としてピックアップアーム25を搬送方向Xへ向けて回動させる移動部であってもよい。
また、一対のアーム本体26を備えたピックアップアーム25としたが、これに限定せず、1つのアーム本体26を備えたピックアップアーム25としてもよい。
【0162】
また、複数のリンク部材を組み合わせたパンタグラフ形状のアーム本体26としたが、これに限定せず、複数のリンク部材を組み合わせたリンク機構で構成されたアーム本体であれば、適宜の構成であってもよい。
この際、吸着部275の移動軌跡は、上述した伸縮方向Yに沿った直線的な移動軌跡に限定せず、支柱部23に近接する位置と支柱部23から離間した位置とを移動する軌跡であれば、適宜の移動軌跡であってもよい。
【0163】
また、ボールネジを用いた直動機構で構成されたアクチュエーター28としたが、これに限定せず、アーム本体26の中間軸部265を移動させる構成であれば、例えばラックギヤとピニオンギヤとを有するアクチュエーターや、エアシリンダなどの適宜の構成であってもよい。
【0164】
また、伸縮方向Yにスライド体24bが移動するアクチュエーター28によって、アーム本体26を伸縮させる構成としたが、これに限定せず、搬送方向X及び搬送方向Xとは逆方向に伸縮するアクチュエーターによって、アーム本体26を伸縮させる構成であってもよい。
【0165】
具体的には、アーム本体26における一対の支柱側リンク部材261を中間リンク部材263と同様に平面視X字状に交差連結させ、搬送方向X及び搬送方向Xとは逆方向に伸縮するアクチュエーターを、支柱側リンク部材261の自由端に連結する。この場合であっても、アクチュエーターの伸縮に伴って、アーム本体26を伸縮方向Yに伸縮させることができる。
【0166】
また、ボールネジを用いた直動機構で構成された昇降機構部24としたが、これに限定せず、ピックアップアーム25を昇降可能であれば、例えばラックギヤとピニオンギヤとを有する昇降機構部などの適宜の構成であってもよい。
【0167】
また、伸縮ガイド部29を4つの3段引きスライドレール29aと先端レール29bとで構成したが、これに限定せず、アーム本体26に追従して伸縮可能、かつアーム本体26の伸縮を案内可能であれば、適宜の構成であってもよい。
【0168】
また、最も縮んだ状態のアーム本体26及び伸縮ガイド部29を覆うカバー部材31としたが、これに限定せず、アーム本体26に追従して伸縮可能なカバー部材であってもよい。この場合、アーム本体26や伸縮ガイド部29が外部に露出しないため、見栄えの向上を図るとともに、異物の侵入をより防止することができる。
【0169】
また、真空ポンプ3の吸引力によってパーツPを吸着部275に吸着させる構成としたが、これに限定せず、例えば真空ポンプ3に替えて加圧ポンプとし、開閉弁275aに替えて吸着部275の内部にエジェクターを設けてもよい。この構成であっても、エジェクターで生じた負圧によってパーツPを吸引することができる。
【0170】
また、開閉弁275aを閉弁することで、吸着部275が保持するパーツPを載置テーブル12に載置したが、これに限定せず、例えば制御部65が真空ポンプ3の動作を停止することで、吸着部275が保持するパーツPを載置テーブル12に載置する構成であってもよい。
【0171】
あるいは、真空ポンプ3に近い流路上に設けた開閉弁を閉弁することで吸引を停止し、吸着部275が保持するパーツPを載置テーブル12に載置してもよい。
いずれの場合も吸着部275に開閉弁275aを設けることを不要にできるため、搬送装置10は、アーム先端部27の重量増加を抑えることができる。
【0172】
また、上述した搬送装置10の処理動作(ステップS101からステップS110)は一例であって、ピックアップテーブル11の載置面11aに載置されたパーツPを載置テーブル12の載置面12aに移動可能であれば、これに限定しない。
例えば裁断装置から取得した裁断データ64aに基づいて、吸着部275をパーツPの直上に移動させたが、ピックアップテーブル11の載置面11aに載置されたシート材Sを画像解析して得たパーツ位置情報に基づいて、吸着部275をパーツPの直上に移動させてもよい。
【符号の説明】
【0173】
10…搬送装置
11a…載置面
22…移動部
23…支柱部
24…昇降機構部
25…ピックアップアーム
26…アーム本体
28…アクチュエーター
29…伸縮ガイド部
30…吊架部
30b…ローラー
31…カバー部材
64a…裁断データ
65…制御部
261…支柱側リンク部材
262…先端側リンク部材
263…中間リンク部材
272…第1先端腕部
273…旋回筒部
274…第2先端腕部
275…吸着部
S…シート材
P…パーツ
X…搬送方向
Y…伸縮方向
【要約】
吸着部275の位置に関わらず必要とされるスペースを抑えられる搬送装置10を提供することを目的とする。
シート材Sを裁断して得られた複数のパーツPが載置されたピックアップテーブル11の載置面11aからパーツPをピックアップして移動させる搬送装置10であって、パーツPを吸着する吸着部275を先端に有する1つ以上のピックアップアーム25と、ピックアップアーム25の基部を支持する支柱部23と、略水平な搬送方向Xへ向けてピックアップアーム25を移動させる移動部22とを備え、ピックアップアーム25が、上下方向に厚みを有する複数のリンク部材を連結したリンク機構で構成されるとともに、吸着部275を伸縮方向Yに移動させるアーム本体26と、アーム本体26のリンク機構を動作させるアクチュエーター28とを備えたことを特徴とする。