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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-23
(45)【発行日】2024-01-31
(54)【発明の名称】梱包方法
(51)【国際特許分類】
   B65D 81/05 20060101AFI20240124BHJP
【FI】
B65D81/05 400
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2019079443
(22)【出願日】2019-04-18
(65)【公開番号】P2020175925
(43)【公開日】2020-10-29
【審査請求日】2022-03-23
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003403
【氏名又は名称】ホーチキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079359
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 進
(72)【発明者】
【氏名】持田 賢二
【審査官】杉田 剛謙
(56)【参考文献】
【文献】実開平07-019166(JP,U)
【文献】米国特許第04155453(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0218030(US,A1)
【文献】特表2008-517849(JP,A)
【文献】特開2011-068366(JP,A)
【文献】特開2004-075100(JP,A)
【文献】特開平10-329869(JP,A)
【文献】特開平04-215927(JP,A)
【文献】特開平01-139366(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 77/04
B65D 81/00-81/07
B65D 85/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
柔軟性の高い材料により構成され、一辺に開口部を有する矩形状の内袋と、
前記内袋の前記開口部に設けられた開閉自在な封止部と、
前記内袋内から気体を排気させ、外部から前記内袋内への通気を止める逆止弁を有し、前記内袋に配置された排気口と、
前記内袋より強度の高い柔軟性を有した材料により構成され、一辺に開口部を有し、前記封止部を除いて前記内袋を収納可能に、前記一辺側の幅が前記内袋の一辺よりも広く、外袋の一辺に直交する側辺側の長さが前記内袋の一辺に直交する側辺よりも短い矩形状の外袋と、
前記外袋内に外部から気体を充填させ、前記外袋から外部への通気を止める逆止弁を有し、前記外袋に配置された充填口と、
を備えた梱包袋を用いた梱包方法であって、
前記外袋と分離した状態の前記内袋の前記開口部から当該内袋内に物品を入れ、
前記物品が入った状態の前記内袋の前記開口部を前記封止部により閉じ、
前記排気口から前記内袋内の空気を排気して前記物品の外側に当該内袋を密着させ、
前記外袋の前記開口部から当該外袋内に、前記物品に密着した状態の前記内袋を前記封止部が当該外袋外に露出するように入れ、
前記内袋の前記開口部を前記封止部により開閉可能に、前記内袋が入った状態の前記外袋の前記開口部を封止し、
前記外袋に前記内袋を収納した状態で、当該外袋内に外部からの気体を前記充填口から充填して、前記内袋と前記外袋との間に緩衝層を形成することを特徴とする梱包方法。
【請求項2】
柔軟性を有する材料により構成され、一辺に開口部を有する矩形状の内袋と、
前記内袋の前記開口部に設けられた開閉自在な封止部と、
前記内袋内から気体を排気させ、外部から前記内袋内への通気を止める逆止弁を有し、前記内袋に配置された排気口と、
前記内袋と同じ材料により当該内袋より厚く構成され、一辺に開口部を有し、前記封止部を除いて前記内袋を収納可能に、前記一辺側の幅が前記内袋の一辺よりも広く、外袋の一辺に直交する側辺側の長さが前記内袋の一辺に直交する側辺よりも短い矩形状の外袋と、
前記外袋内に外部から気体を充填させ、前記外袋から外部への通気を止める逆止弁を有し、前記外袋に配置された充填口と、
を備えた梱包袋を用いた梱包方法であって、
前記外袋と分離した状態の前記内袋の前記開口部から前記内袋内に物品を入れ、
前記物品が入った状態の前記内袋の前記開口部を前記封止部により閉じ、
前記排気口から前記内袋内の空気を排気して前記物品の外側に当該内袋を密着させ、
前記外袋の前記開口部から当該外袋内に、前記物品に密着した状態の前記内袋を前記封止部が当該外袋外に露出するように入れ、
前記内袋の前記開口部を前記封止部により開閉可能に、前記内袋が入った状態の前記外袋の前記開口部を封止し、
前記外袋に前記内袋を収納した状態で、当該外袋内に外部からの気体を前記充填口から充填して、前記内袋と前記外袋との間に緩衝層を形成することを特徴とする梱包方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、火災感知器等のなどの物品を梱包する梱包方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、火災感知器等を設置場所に向けて出荷する場合、火災感知器のサイズに合わせて個装箱を準備し、個装箱に入れた後に、まとめ箱にまとめて出荷するようにしている。
【0003】
また、火災感知器を個装箱に入れる場合には、型紙や発泡スチロールで作られた緩衝材にセットして入れ、運搬中の衝撃に耐えられるようにしている。
【0004】
更に、火災感知器の防塵カバーを兼ねた梱包部材として、感知器収容部に火災感知器が収容された状態の梱包部材同士を嵌合して連結するものがあり、多数の梱包部材を簡単に連結し、個装箱に入れる場合に比べコストの低減と廃棄物の量を減らすことができるようにしている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2005-298035号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このような従来の梱包は、火災感知器を一つ一つ個装箱に入れているため、個数が多くなれば梱包に時間を要し、個装箱も大量に必要となり、個装箱を在庫管理するために広い保管場所をとられる問題がある。
【0007】
また、出荷先となる設置場所では、個装箱から火災感知器を取り出して設置することから、梱包に使われた個装箱や緩衝材が大量の廃棄物となり、また箱をつぶして片付けるのに手間と時間がかかる。
【0008】
また、梱包部材同士を連結するものにあっては、連結する作業に手間がかかり、また連結強度はそれほど大きくないことから、まとめ箱に収納して運搬するには緩衝材をセットする必要がある。
【0009】
本発明は、梱包作業が簡単で、緩衝性が高く運搬中に感知器を保護し、梱包を解いた場合の廃棄物の発生も少ない梱包方法を提供することを目的とする。

【課題を解決するための手段】
【0010】
(梱包袋)
本発明は、梱包袋にであって、一辺に開口部を有する矩形状の柔軟な内袋と、内袋の開口部に設けられた開閉自在な封止部と、封止部を除いて内袋を収納した矩形状の柔軟な外袋と、内袋と外袋との間に気体が充填されて形成される緩衝層と、封止部が閉鎖して内袋封止された状態で内袋内から気体を排気させ、外部から内袋内への通気を止める逆止弁を有し、内袋の開口部に対向する他辺側に配置された排気口と緩衝層に外部から気体を充填させ、緩衝層から外部への通気を止める逆止弁を有し、外袋に配置された充填口と、を備え
外袋は、内袋の排気口側となる一辺が、当該排気口への通気経路を有して内袋と共に封止され、内袋の開口部側となる他辺が、当該開口部を封止部により開閉可能に、且つ緩衝層を形成可能に封止されたことを特徴とする。
(梱包方法)
また、本発明は、上記梱包袋を用いた梱包方法であって、
所定の物品を梱包するときに、
内袋の開口部から内袋内に物品を入れて開口部を封止部により閉じ、
排気口から内袋内の空気を抜いて物品の外側に内袋を密着させ、
外袋に内袋を収納した状態で、充填口から緩衝層に空気を充填して膨らませることを特徴とする。
【0011】
(外袋と内袋開口との密着)
また、本発明は、内袋を収納するために設けられた外袋の開口及び、又は、内袋の排気口を外部に取り出すために設けられた外袋の開口を、内袋と密着固定したこと特徴とする。
【0012】
(内袋と外袋の密着又は連結)
また、本発明は、外袋は、内袋を収納するために設けられた外袋の開口及び内袋の排気口を外部に取り出すために設けられた外袋の開口以外の1又は複数個所で、内袋の外側に密着又は連結されたことを特徴とする。
【0013】
(気泡緩衝シート)
また、本発明は、外袋に気泡緩衝シートが備えられる。
【0014】
(梱包袋の透明性)
また、本発明は、内袋及び又は外袋は、透明、半透明の何れかとする。
【0015】
(袋形状)
また、本発明は、内袋及び外袋は、矩形状、巾着状、又は、梱包する物品に対応した所定形状とする。
【0016】
(内袋と外袋の厚み)
外袋の厚みに対し内袋の厚みを薄くする。
【発明の効果】
【0017】
(基本的な効果)
本発明は、梱包袋にであって、一辺に開口部を有する矩形状の柔軟な内袋と、内袋の開口部に設けられた開閉自在な封止部と、封止部を除いて内袋を収納した矩形状の柔軟な外袋と、内袋と外袋との間に気体が充填されて形成される緩衝層と、封止部が閉鎖して内袋が封止された状態で、内袋内から気体を排気させ、外部から内袋内への通気を止める逆止弁を有し、内袋の開口部に対向する他辺側に配置された排気口と、緩衝層に外部から気体を充填させ、緩衝層から外部への通気を止める逆止弁を有し、外袋に配置された充填口と、を備え、外袋は、内袋の排気口側となる一辺が、当該排気口への通気経路を有して内袋と共に封止され、内袋の開口部側となる他辺が、当該開口部を封止部により開閉可能に、且つ緩衝層を形成可能に封止されたため、内袋内に火災感知器等の物品を入れて封止部を閉じ、この状態で排気口から内袋内の空気を抜いて物品の外側に内袋を密着させ、続いて、外袋と内袋の間に空気を充填して膨らませることで緩衝層が形成され、これにより個装作業が終了し、これを複数まとめ、例えばまとめ箱に詰めて出荷することにより、火災感知器等の物品を一つ一つ緩衝材にセットして個装箱に箱詰めする場合に比べ、梱包作業が簡単となり、また、梱包袋をシート状に畳まれた状態で保管できるので、保管場所も省スペース化できる。
また、本発明の梱包方法によれば、上記梱包袋の効果と同様な効果が得られる。
【0018】
また、物品の搬送中は、内袋を覆うように形成された外袋の緩衝層がエアーバッグとして機能し、梱包している物品の損傷を確実に防止できる。
【0019】
また、搬送先で梱包を解いた場合にも、使用済みの梱包袋が廃棄物となるが、緩衝層の空気を抜けば簡単にシート状に戻り、ごみの容量が低減する。また、比較的容易に再利用可能となる。
【0020】
(外袋と内袋開口との密着固定による効果)
また、内袋を収納するために設けられた外袋の開口及び、又は、内袋の排気口を外部に取り出すために設けられた外袋の開口を、内袋と密着固定したため、外袋と内袋の間に空気を充填して膨らませることで確実に緩衝層が形成できる。
【0021】
(内袋と外袋の密着又は連結による効果)
また、外袋は、内袋を収納するために設けられた外袋の開口及び内袋の排気口を外部に取り出すために設けられた外袋の開口以外の1又は複数個所で、内袋の外側に密着又は連結されたため、外袋内に空気を充填して緩衝層として膨らませた場合、内袋と外袋の密着部分又は連結部分が窪み、その周囲が膨らんだ緩衝セルが複数形成され、外袋の中に緩衝層を介して、内袋に密着収納された物品が浮動状態で支持され、これにより高い緩衝性が得られ、物品の損傷が確実に防止できる。
【0022】
(気泡緩衝シートによる効果)
また、外袋に気泡緩衝シートを備えた場合には、気泡緩衝シートの緩衝効果が相乗し、更に高い緩衝性が得られる。
【0023】
(梱包袋の透明性による効果)
また、内袋及び又は外袋は、透明、半透明の何れかとすることにより、例えば、内袋及び外袋を透明とすることで、梱包している物品が何であるかを、また、梱包状態を外部から確認でき、また、例えば、内袋を不透明とし外袋を透明又は半透明とした場合には、まとめ箱に詰める前の状態、又は段ボール箱から出した状態での太陽光等の外光による物品の劣化を低減可能としつつ、外袋を介して内袋に密着収納された物品の梱包状態を確認できる。
【0024】
(袋形状による効果)
また、内袋及び外袋は、矩形状、巾着状、又は、梱包する物品に対応した所定形状とすることで、矩形状や巾着状とした場合は、収納する物品によらない汎用的な梱包に使用でき、また、梱包する物品に対応した所定形状の袋状とすることで、物品の形状やサイズに最適な梱包を可能とする。
【0025】
(内袋と外袋の厚みの効果)
また、外袋の厚みに対し内袋の厚みを薄くするようにしたため、内袋は薄くして柔軟性を高め、外袋は厚くして剛性を高めることができる
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】梱包袋の実施形態を示した説明図
図2】梱包袋の内袋と外袋を分離して示した説明図
図3図1の梱包袋による火災感知器の梱包状態を示した説明図
図4】内袋と外袋をストライプ密着部により連結させた梱包袋の実施形態を示した説明図
図5図4の梱包袋による火災感知器の梱包状態を示した説明図
図6】内袋と外袋をスポット密着部により連結させた梱包袋の実施形態を示した説明図
図7】外袋に気泡緩衝シートを設けた梱包袋の実施形態を示した説明図
【発明を実施するための形態】
【0027】
[梱包袋の構造]
図1は包袋の実施形態を示した説明図であり、図1(A)に外観を示し、図1(B)に断面を示す。図2は梱包袋の内袋と外袋を分離して示した説明図である。
【0028】
図1に示すように、本実施形態の梱包袋10は、内袋12と外袋14の二重袋構造としている。内袋12は一端に開口(袋口)16が形成された柔軟な矩形袋状であり、開口16には封止部18が設けられている。封止部18は2本の帯板部材の一方に二条の突起を設けると共にこれに相対する他方に二条の溝が形成され、スライダ20の閉鎖方向への移動により突起が溝に嵌合して開口16を閉鎖し、スライダ20の開放方向への移動により突起が溝から外れて開口16を開放させる。また、内袋12の底部側には逆止弁24を備えた排気口22が取り出されている。
【0029】
外袋14は、内袋12よりサイズの大きな柔軟な矩形状であり、初期の状態において側部辺には後述する充填口26を除いて開口が無く、上部辺(袋口)とそれに対向する底部辺は開口している。そして、底部開口からは逆止弁24を備えた内袋12の排気口22が取り出されている。
【0030】
外袋14の袋口からは、内袋12の開口16を外部に取出しており、一方、外袋14の底部開口からは、逆止弁24を備えた内袋の排気口22を外部に取り出すようにしている。このように内袋12を外袋14に略収容して配置した状態で、外袋の袋口辺に沿って密着部30を形成して外袋14と内袋12を帯状に密着固定すると共に、内袋12の排気口22を外部に取り出した外袋14の底部辺に沿って密着部32を形成して外袋14と内袋12を帯状に密着固定することで、外袋14の袋口と底部端が封止され、内袋12との間に気体(本実施形態では空気)の充填で膨らむ緩衝層36が形成される。
【0031】
なお、逆止弁24を備えた内袋12の排気口22の外袋14の外側への取出しは、底部以外に例えば袋口又は側部からとしても良く、この場合、密着部30に加え、外袋14から内袋12の排気口22を取り出す取出部分(外袋の側部辺)に別の密着部を形成して密着させる。更に底部辺にも密着部32を形成して良い。
【0032】
なお、外袋14から内袋12の排気口22を取り出すための外袋14の取り出し口(開口)は、これを設ける外袋14の端辺の長さより短くても良い。この場合、密着部もこれに対応して当該取り出し口を封止できる長さであれば良い。
【0033】
また、密着部は少なくとも外袋における袋口および内袋12の排気口22の取り出し口を封止できればよく、取り出し口の密着部は外袋14と内袋12を密着固定することを必須としない。
【0034】
ここで、内袋12及び外袋14の材料としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、ポリ塩化ビニールやポリ塩化ビニリデン等の薄膜シートとしており、内袋12は梱包する物品に密着させることから柔軟性の高いポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂とし、また、外袋14は強度を必要とすることから、ポリ塩化ビニールやポリ塩化ビニリデン等とする。また、例えば同じ材料の場合でも、内袋12を薄くして柔軟性を高め、外袋14は厚くして剛性を高めても良い。
【0035】
内袋12は外袋14に覆われたれた状態で、内袋14の後方から外袋14との密着部32を介して排気口22が取り出されている。排気口22は内袋12の中に火災感知器等の梱包対象物品を収納して封止部18を閉じた状態で、適宜の吸引機器を使用して内袋12内の空気を吸いだして排出させ、梱包する物品の外側に内袋12を密着させる。
【0036】
排気口22には逆止弁24が設けられており、逆止弁24は内袋12の内部から外部に対する空気の流れは通過させ、外部から内袋12の内部に対する空気の流れは遮断する。このため、排気口22に吸引機器を接続して内袋12内の空気を吸いだして排出させ、吸引後に吸引機器を排気口22から外しても内袋12の中に空気が入ることがなく、内袋12の物品に対する密着状態が維持される。
【0037】
また、外袋14は側方から充填口26が取り出されている。充填口26は外袋14内であって内袋12と外袋14との間の空間に、コンプレッサー等からの加圧ホースを接続して加圧空気を充填して膨らませることにより、緩衝層36を膨張形成させる。
【0038】
充填口26には逆止弁28が設けられており、外袋14の外部から内部に対する空気の流れは通過させ、内部から外部に対する空気の流れは遮断する。このため、充填口26に加圧ホースを接続して圧縮空気を充填し、充填後に加圧ホースを充填口26から外しても、緩衝層36の加圧空気が外部に流出することはなく、緩衝層36の膨張状態が維持される。
【0039】
逆止弁24,28としては、開閉方向を所定の一方向としたベローズ弁体を設けても良いし、例えば、排気口22や充填口26を排気、充填後に熱圧着により密閉させるものであっても良い。また、充填口26からの空気の充填は、加圧ホース等を使用した加圧空気の充填以外に、作業者が空気を吹き込んで風船のように膨らませるだけでも良い。
【0040】
図2に内袋12と外袋14を分離して示すように、外袋14は一端に開口14aが形成された柔軟な矩形袋状であり、側方に逆止弁28付きの充填口26が設けられている。内袋12は、外袋14の開口14aから内部に入れることのできる小さいサイズとなる柔軟な矩形袋状であり、開口16にスライダ20により開閉される封止部18が設けられ、また底部側に逆止弁24付きの排気口22が設けられている。
【0041】
図1に示した梱包袋10の製造にあっては、図2に示す内袋12と外袋14を個別に製造した後に、外袋14の中に内袋12を入れ、図1に示したように、袋口辺と底部辺の2箇所を帯状に熱圧着などにより密着させて密着部30,32を形成する。なお、内袋12と外袋14の二重袋構造をもつ梱包袋10の製造は、必要に応じて適宜の製造手順をとることができ、製造方法による限定はない。
【0042】
[梱包袋により火災感知器の梱包]
図3図1の梱包袋による火災感知器の梱包状態を示した説明図である。図2に示すように、図1に示した梱包袋10を使用して例えば火災感知器40を梱包する場合には、開口16から内袋12の中に火災感知器40を収納し、スライダ20により封止部18を閉じる。
【0043】
続いて、吸引機器の吸引ホースを排気口22に接続し、内袋12内の空気を吸引して排出させると、図3に示すように、火災感知器40の周囲に内袋12が密着された状態となる。
【0044】
続いて、充填口26にエアコンプレッサー等からの加圧ホースを接続して加圧空気を充填させると、内袋12と外袋14の間に加圧空気が充填されて外袋14が膨らみ、内袋12が密着された火災感知器40の周囲に緩衝層36が膨張形成され、外力に対しエアーバッグとして機能する。
【0045】
このように個装したものを複数まとめ、まとめ箱に詰めて出荷することにより、火災感知器40を一つ一つ緩衝材にセットして個装箱に箱詰めする場合に比べ、梱包作業が簡単となり、また、梱包袋をシート状に畳まれた状態で保管できるので、保管場所も省スペース化できる。
【0046】
また、火災感知器40の搬送中は、外袋14内の内袋12を覆うように形成された緩衝層36がエアーバッグとして機能し、梱包している火災感知器40の損傷を確実に防止できる。
【0047】
また、搬送先で梱包を解いた場合にも、使用済みの梱包袋が廃棄物となるが、緩衝層36の空気を抜けば簡単にシート状に戻り、ごみの容量が低減される。また、一度使用した梱包袋10は再使用が可能であり、資源の有効利用を図ることができる。
【0048】
[ストライプ密着部を備えた梱包袋の実施形態]
図4は内袋と外袋をストライプ密着部により連結させた梱包袋の実施形態を示した説明図であり、図4(A)に外観を示し、図4(B)に断面を示す。
【0049】
図4に示すように、本実施形態の梱包袋10は、内袋12と外袋14からなる二重袋構造である点は図1の実施形態と同じであるが、更に、内袋12と外袋14の袋本体同士を、例えば2本のストライプ密着部38を設けて密着固定したことを特徴とする。
【0050】
このように内袋12と外袋14の袋本体の合わせ部分にストライプ密着部38を設けた場合には、図5に示すように、内袋12内に火災感知器40を収納して吸引排気後に、内袋12と外袋14の間に充填口26から加圧空気を充填させると、外袋14はストライプ密着部38による内袋12との密着部分を除く部分が外側に膨らみ、複数の緩衝セル34をもつ緩衝層36が形成され、複数の蒲鉾状の緩衝セル34により火災感知器40を外袋14の中に浮動状態で支持させ、且つ圧縮空気で膨張している複数の緩衝セル34により分散状態で支持しており、衝撃等の外力の加わった場合に、複数の緩衝セル34が変形して外力を複数点で分散して吸収することで、緩衝性を更に高めることができる。
【0051】
[スポット密着部を備えた梱包袋の実施形態]
図6は内袋と外袋をスポット密着部により連結させた梱包袋の実施形態を示した説明図である。図6に示すように、本実施形態の梱包袋10は、内袋12と外袋14からなる二重袋構造とした点は図1の実施形態と同じであるが、更に、内袋12と外袋14の袋本体同士を、例えば複数のスポット密着部42を設けて密着固定したことを特徴とする。
【0052】
このように内袋12と外袋14を密着固定するスポット密着部42を設けた場合には、内袋12内に火災感知器40を収納して吸引排気した後に、内袋12と外袋14の間に充填口26から加圧空気を充填させると、外袋14はスポット密着部42による内袋12との密着部分を除く部分が外側に膨らみ、複数の半球状の緩衝セルが連通するように形成された緩衝層36となり、これにより火災感知器40を外袋14の中に浮動状態で支持させることができ、且つ圧縮空気で膨張している複数の緩衝セルにより分散状態で支持しており、衝撃等の外力の加わった場合に、複数の緩衝セルが変形して外力を複数点で分散して吸収することで、緩衝性を更に高めることができる。
【0053】
[発泡緩衝シートを用いた梱包袋の実施形態]
図7は外袋に気泡緩衝シートを設けた梱包袋の実施形態を示した説明図である。図7に示すように、本実施形態の梱包袋10は、内袋12と外袋14からなる二重袋構造とした点は図1の実施形態と同じであるが、更に、外袋14は内側に多数の気泡を有する気泡緩衝シート46を備えている。
【0054】
このように外袋14に気泡緩衝シート46を備えることで、内袋12と外袋14の間に加圧空気を充填しなくとも、外袋14の内側に設けた気泡緩衝シート46の緩衝機能により、衝撃等の外力の加わっても収納している火災感知器を損傷することはない。
【0055】
また、本実施形態においても、内袋12と外袋14の間に加圧空気を充填して緩衝層を形成しても良く、この場合には、強い外力が加わって外袋14が大きく凹んでも、気泡緩衝シート46による緩衝機能と加圧空気による緩衝機能が相乗して更に高い緩衝性が確保できる。
【0056】
[本発明の変形例]
(内袋と外袋を密着しない梱包袋)
本発明による梱包袋の他の実施形態として、内袋12と外袋14は、それぞれ開閉自在な封止部を設けた個別の、また内袋12には逆止弁24付きの排気口22を設け、外袋14には逆止弁28付きの充填口26を設ける。外袋14には排気口22の取り出し口を設けず、排気口22は外袋14内に収納されるようにしても良い。物品の梱包作業は、内袋12に物品を入れて封止部を閉じ、排気口22から空気を吸引して物品に密着させ、この状態で内袋12を外袋14に入れて封止部を閉じ、充填口26から加圧空気を充填して膨らませ、緩衝層を膨張形成させる。
【0057】
(梱包袋の透明性)
上記の実施形態に示した梱包袋は、内袋及び又は外袋は、透明、半透明の何れかとしても良い。例えば、内袋及び外袋を透明とすることで、梱包している物品が何であるか、また、その梱包状態を外部から確認でき、また、例えば、内袋を不透明とし外袋を透明又は半透明とした場合には、まとめ箱に詰める前の状態、又はまとめ箱から出した状態での太陽光等の外光による物品の劣化を低減可能としつつ、外袋を介して内袋に密着収納された物品の梱包状態を確認できる。
【0058】
(袋形状)
上記の実施形態は、梱包袋を構成する内袋及び外袋として矩形状とした場合を例にとっているか、これに限定されず、巾着状、又は、梱包する物品に対応した所定形状としても良い。梱包袋を構成する内袋及び外袋を、矩形状や巾着状とした場合は、比較的、物品によらない汎用的な梱包に使用でき、また、梱包する物品に対応した所定形状とすることで、物品の形状やサイズに対し最適な影響されることなく、梱包を可能とする。
【0059】
(内袋と外袋の連結)
上記の実施形態は、内袋と外袋をストライプ密着部やスポット密着部により部分的に密着固定させることで、外袋と内袋の間に空気を充填して膨らませた場合に、外袋の中に内袋を浮動状態で支持させているが、内袋と外袋の間をテープ状の連結部材で部分的に連結させるようにしても良い。また、内袋と外袋の密着固定には接着剤を用いても良い。
【0060】
10:梱包袋
12:内袋
14:外袋
16:開口
18:封止部
20:スライダ
22:排気口
24,28:逆止弁
26:充填口
30,32:密着部
36:緩衝層
38:ストライプ密着部
40:火災感知器
42:スポット密着部
46:気泡緩衝シート

【符号の説明】
【0061】
10:梱包袋
12:内袋
14:外袋
16:開口
18:封止部
20:スライダ
22:排気口
24,28:逆止弁
26:充填口
30,32:密着部
36:緩衝層
38:ストライプ密着部
40:火災感知器
42:スポット密着部
46:緩衝気泡シート
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7