(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-23
(45)【発行日】2024-01-31
(54)【発明の名称】ねじ締め機
(51)【国際特許分類】
B23P 19/06 20060101AFI20240124BHJP
B25B 23/04 20060101ALI20240124BHJP
B25B 23/10 20060101ALI20240124BHJP
【FI】
B23P19/06 E
B25B23/04 A
B25B23/10 E
(21)【出願番号】P 2019086749
(22)【出願日】2019-04-26
【審査請求日】2022-03-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000227467
【氏名又は名称】日東精工株式会社
(72)【発明者】
【氏名】安積 慶一
【審査官】今野 聖一
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-231027(JP,A)
【文献】特開平11-309632(JP,A)
【文献】実開平06-042032(JP,U)
【文献】実開昭60-031943(JP,U)
【文献】特開平10-059529(JP,A)
【文献】特開平09-131627(JP,A)
【文献】特開2018-202566(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23P 19/00 - 21/00
B25B 23/00 - 23/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
別途供給されたねじが通過可能なねじ案内部と、このねじ案内部を通過したねじを保持する保持穴が形成されたチャックと、このチャックを移動させる駆動部と、前記チャックに保持されたねじを吸着可能なスクリューガイドと、このスクリューガイドに吸着されたねじと係合可能なドライバビットとを具備するねじ締め機において、
前記保持穴は、前記スクリューガイドの先端部外径より小さい孔径に構成され
るとともにその底には、ねじの外径より小径の空気孔が外部まで貫通しており、
前記チャックは前記駆動部の駆動により、ねじ案内部と連続可能な位置および前記スクリューガイドと連続可能な位置を移動可能に構成されており、
前記ねじ案内部は、前記チャックと連続可能な主体部と、この主体部に固定されるホース継手からなり、
前記ホース継手は、鉛直または、鉛直から20°以下の範囲で傾斜して固定されていることを特徴とするねじ締め機。
【請求項2】
チャックは、駆動部に接続される支持部材と、この支持部材に固定されるねじ保持部とから構成されることを特徴とする請求項1に記載のねじ締め機。
【請求項3】
前記ねじがスクリューガイドに吸着されたかを感知する圧力センサを備え、
前記圧力センサからの信号により前記駆動部の動作を制御することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のねじ締め機。
【請求項4】
前記ねじは、止めねじであることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のねじ締め機。
【請求項5】
前記止めねじは、その外径と軸寸法とがほぼ同寸法に構成されていることを特徴とする請求項4に記載のねじ締め機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、供給されたねじの反転を防止し、かつサイクルタイムの短いねじ締め機に関する
【背景技術】
【0002】
従来のねじ締め機のチャック内部において、ねじが供給されてくる通路と、この供給されてきたねじを締結するためのドライバビットを内包するスクリューガイドが挿通されている通路との合流部が部分的に拡大されている。そのため、供給されたねじがこの合流部で反転することが知られている。
【0003】
その解決手段として、特許文献1および
図4、
図5に示されたねじ締め機90が知られている。このねじ締め機90は、供給装置(図示せず)のホース95と連通し、ねじを挿通可能に構成されたねじ案内部91と、このねじ案内部91を通過したねじを保持するチャック92と、前記チャック92に保持されたねじと係合可能なドライバビット(図示せず)と、このドライバビットを被覆するスクリューガイド93とを具備したねじ締め機であり、前記チャック92が、ねじ案内部91と連通可能な角度からスクリューガイド93が挿通可能な角度まで回動可能に構成されている。これにより、ねじが圧送されてくる通路と、スクリューガイド93が挿通されている通路との合流部がなくその空間が拡大しないために供給されたねじの反転が防止されるよう構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に示されたねじ締め機90は、ねじの保持するチャック92内にスクリューガイド93を挿通してねじの締結を行うために、ねじの締結中に次のねじを準備することができず結果サイクルタイムが長くなるという課題があった。また、チャック92内にスクリューガイド93を挿通させて締付を行うため、チャック92の内径は、スクリューガイド93の外径以上に構成されている必要があった。このため、供給されたねじが軸寸法の短いねじ、例えばM3×3の六角穴付き止めねじ等の軸寸法と外径とが同寸法に構成されているねじを供給された場合では、ホース95を通過後に、ねじ締め機90の内部で反転するといった問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みて創生されたものであり、ねじ供給装置等から供給されたねじの反転を防止し、かつサイクルタイムが短いねじ締め機の提供を目的とする。この目的を達成するために本発明は別途供給されたねじが通過可能なねじ案内部と、このねじ案内部を通過したねじを保持する保持穴が形成されたチャックと、このチャックを移動させる駆動部と、前記チャックに保持されたねじを吸着可能なスクリューガイドと、このスクリューガイドに吸着されたねじと係合可能なドライバビットとを具備するねじ締め機において、前記保持穴は、前記スクリューガイドの先端部外径より小さい孔径に構成され、前記チャックは前記駆動部の駆動により、ねじ案内部と連続可能な位置および前記スクリューガイドと連続可能な位置を移動可能に構成されており、前記ねじ案内部は、前記チャックと連続可能な主体部と、この主体部に固定されるホース継手からなり、前記ホース継手は、鉛直または、鉛直から20°以下の範囲で傾斜して固定されていることを特徴とする。これにより、ねじ締め動作時にチャックがねじ案内部と連続することが可能となるため、ねじ締め動作中に次のねじの準備が可能となる。また、チャックは、スクリュウガイドに挿通されることがないため、チャックのねじを保持する保持穴をねじの外径より若干大経に構成することが可能となる。
【0007】
また、前記ホース継手には、ねじが通過可能な貫通孔が形成されており、前記主体部は、この貫通孔と連続する傾斜孔と、この傾斜孔に連続する鉛直孔が形成されており、ホース継手の貫通孔は、主体部の傾斜孔より小径に構成されていることが好ましい。また、前記ねじがチャックの内部に存在するかを感知するセンサが備えられており、前記センサからの信号により前記駆動部の動作を制御することが好ましい。さらに、チャックは、駆動部に接続される支持部材と、この支持部材に固定されるねじ保持部とから構成されることが好ましい。また、前記ねじがスクリューガイドに吸着されたかを感知する圧力センサを備え、前記圧力センサからの信号により前記駆動部の動作を制御することが好ましい。前記ねじは、止めねじであることが好ましい。さらに、前記止めねじは、その外径と軸寸法とがほぼ同寸法に構成されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ねじ締め動作時にチャックがねじ案内部と連続することが可能となるため、ねじ締め動作中に次のねじの準備が可能となるため、サイクルタイムが短縮される。しかも、チャックの保持穴が供給されるねじの外径より若干大経に構成可能となるため、軸寸法の短いねじであっても、反転が防止される等の利点がある。また、ホース継手の傾斜角度が鉛直から20°以下の範囲に構成されているため、ねじ案内部の穴径が過度に拡大されない。これにより、ねじ案内部の傾斜孔および鉛直孔を通過する時、ねじは、進行方向に対して大きく傾斜せず、反転がより防止される等の利点がある。しかも、ホース継手の貫通孔が傾斜孔より小径に構成されており、貫通孔を通過中にねじの進行方向に対する傾斜が小さくなるため、ねじ案内部でねじの反転がさらに防止される等の利点がある。
【0009】
また、センサにより、チャック内部のねじの有無を感知可能に構成されているため、ねじが供給される前にねじ締め動作を開始することを防止する等の利点がある。また、チャックは、駆動部に接続されるチャック固定部と、このチャック固定部に固定されるねじ保持部とから構成されるため、チャック交換時の微調整が必要なくなる等の利点がある。さらに、ねじがスクリューガイドに吸着されたかを感知する圧力センサを備えるため、チャックに保持されたねじがスクリュウガイドに吸着された後すぐに次の動作へ移行でき、サイクルタイムを短縮できる等の利点がある。また、ねじが、軸部のみで構成されているため、頭部を有するねじ、例えば皿ねじと比して傾斜し難い。しかも、ねじの軸寸法がその外径とほぼ同じ寸法に構成されているため、ホース内で反転することなく供給可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図2】本発明に係るねじ締め機の伸長動作を示す要部拡大一部切欠断面図
【
図3】本発明に係るねじ締め機の収縮動作を示す要部拡大一部切欠断面図
【
図4】従来のねじ締め機の動作を示す要部拡大一部切欠断面図
【
図5】従来のねじ締め機の動作を示す要部拡大一部切欠断面図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
図1ないし
図3において1は、供給装置(図示せず)等から供給されるねじNを被締結物(図示せず)に締結するねじ締め機である。このねじ締め機1は、任意の場所に移動するための移動手段に支持されているドライバユニット2と、このドライバユニット2より前方に配され、供給装置から供給されるねじNが通過可能なねじ案内部3と、このねじ案内部3を通過したねじNを保持するチャック4と、このチャック4を前後に水平移動させる駆動部5と、各部の駆動を制御する制御部(図示せず)を具備する。なお、本実施形態においてねじNは、軸部のみで構成されており、軸寸法が外径とほぼ同じ寸法に構成されているM3×3の六角穴付き止めねじである。
【0012】
前記供給装置(図示せず)は、ねじNが通過可能なホースHを備えており、後述するドライバビット24と係合可能な向きにねじNを1個ずつ供給する手段を備える。この供給装置のホースHの内径は、前記ねじNの外径のより若干大径に構成されており、ホースHが湾曲していてもその内部でねじNが軸方向に移動可能であり、かつその移動方向に対してねじNが反転しないように構成されている。なお、本実施形態においてホースHの内径は、ねじNの外径の1.06倍(3.18mm若しくは1/8インチ)に構成されている。
【0013】
前記移動手段は、回転駆動源の一例であるACサーボモータ(以下昇降用モータという)(図示せず)を備えた昇降機構であり、この昇降用モータの下方には、これの回転駆動を受けて回転可能なボールねじ61が連接されている。このボールねじ61には、このボールねじ61の回転に従い昇降自在な昇降部が係合しており、この昇降部には、前記ドライバユニット2が支持されている。また、前記ボールねじ61はその下端がベース部材6に回転自在に支持されている。このベース部材6には、ドライバユニット2の直下に後述するスクリューガイド22が挿通自在に構成された孔が上下方向に貫通形成されており、このスクリューガイド22より前方には前記ねじ案内部3が固定されている。なお、移動手段は、後述するスクリュウガイド22の下端が後述するねじ案内部3の下端面32と同程度の高さになるよう前記ドライバユニット2を支持しており、そのスクリュウガイド22の下端が被締結物に当接するまで昇降部を降下可能に構成されている。
【0014】
前記ドライバユニット2は、回転駆動源の一例であるモータ21を備えており、このモータ21の下方には、筒状のスクリューガイド22が配されている。このスクリューガイド22には、ねじNの係合部と係合可能なドライバビット24が回転可能かつ昇降自在に内包されており、このドライバビット24は、モータ21の駆動を受けて回転可能に構成されている。また、前記スクリューガイド22は、その上部に吸引手段の一例である真空発生器(図示せず)が接続される配管継手を備えており、スクリューガイド22は、内包するドライバビット24との隙間を通じてその下端からエア吸着可能に構成されている。このスクリューガイド22は、その下端に後述するチャック4の保持穴41の内径とほぼ同径に構成された収容部23が形成されている。
【0015】
前記ねじ案内部3の主体部31は、前記ベース部材6に取り付けられており、この主体部31の上方には、ホース継手35が前方に15度傾斜して固定されている。このホース継手35は、一端に前記供給装置のホースHが挿入されており、このホースHに連続する貫通孔36が他端まで形成されている。この貫通孔36は、ねじNの外径より若干大径に形成されており、本実施形態において、ねじNの外径より0.1mm大径に形成されている。また、このホース継手35を固定する主体部31には、貫通孔36に連続する傾斜孔33と、この傾斜孔33に連続する鉛直孔34が形成されており、鉛直孔34は、主体部31の下端面32まで貫通形成されている。この主体部31に形成された傾斜孔33、鉛直孔34は、前記貫通孔36より若干大径で形成されており、本実施形態において、ねじNの外径より0.2mm大径に形成されている。また、前記主体部31は、その下端面32が前記ベース部材6より下側に来るように構成されている。なお、前記ホース継手35の傾斜は、後述するねじ締め動作時のドライバユニット2が、このホース継手35に接続されているホースHに接触しないように構成され、なおかつ後述するねじNの供給時にねじ案内部3内で、ねじNが反転しないよう鉛直から20°以下の範囲になるよう構成されており、供給されるねじN、ドライバユニット2の形状等により決定されている。
【0016】
前記ベース部材6の下方には、駆動部5が設けられている。この駆動部5は、駆動源の一例である複動型のエアシリンダ51が備えており、このエアシリンダ51は、ピストンロッド等からなる可動部52が前方に向かって伸長するよう構成されている。この可動部52の下方には、板状部材53が前方に突き出るように取り付けられており、この板状部材53には、可動部52の伸長時に前記スクリューガイド22の直下となる箇所にスクリューガイド22が挿通可能な孔54が貫通形成されている。この板状部材53は、その前端に前記チャック4が取り付けられており、このチャック4は、可動部52と連動して水平移動可能に構成されている。このチャック4は、上端面が前記ねじ案内部3の下端面32に沿って平行に摺動するよう構成されており、その上端面には、保持穴41が設けられている。この保持穴41は、その内径がねじNの外径より若干大径に構成されており、保持穴41内でねじNが軸方向に移動可能で、なおかつねじNが傾斜しないように構成されている。この保持穴41は、その上下方向寸法がねじNの軸寸法より長く構成されており、この保持穴41の底には、ねじNの外径より小径の空気孔がチャック4の下端まで貫通形成されている。このチャック4の側面には、保持穴41と直交して光通過孔42が貫通形成されており、この光通過孔42の両端の開口部には、これを塞ぐようにセンサ43が対向して取り付けられている。このセンサ43は、対向して配置されている一方から他方に向けて光を投光する光学センサ等であり、この投光される光が保持穴41内のねじNに遮断されることで、保持穴41内にねじNが保持されていることを感知するよう構成されている。また、前記駆動部5は、動力源として前記エアシリンダ51に接続されるコンプレッサ(図示せず)と、このコンプレッサとエアシリンダ51との間に設けられ、エアシリンダ51の駆動を制御可能な電磁弁(図示せず)と、可動部52の伸長および収縮の端部を検出するシリンダスイッチ(図示せず)を備えており、これらは、前記制御部に接続されている。なお、エアシリンダ51のストロークは、可動部52が伸長した時、チャック4の保持穴41がねじ案内部3の鉛直孔34に連続し、可動部52が収縮した時、チャック4の保持穴41が前記スクリューガイド22の収容部23と連続する寸法で構成されている。
【0017】
前記制御部は、前記移動手段の昇降用モータ、前記ドライバユニット2のモータ21、前記チャック4のセンサ43、前記駆動部5の電磁弁およびシリンダスイッチ、ドライバユニット2に接続される真空発生器、駆動部5に接続されるコンプレッサ、前記供給装置等と接続されており、この制御部は、各ユニットからの各種信号を受信し、その信号に基づいて各ユニットの動作を制御するように構成されている。
【0018】
次に、上記のように構成されたねじ締め機1の作用を説明する。
前記制御部は、前記チャック4内にねじNが存在しない状態のねじ締め機1の前記駆動部5の可動部52が
図2に示すように伸長した際、前記供給装置を作動させ、ねじNを供給させる。この時、供給装置のホースHの内径が、前述の寸法に構成されているため、ねじNは、ホースH内で反転せずねじ案内部3に到達する。この時、ねじNが軸部のみで構成されているため、頭部を有するねじ、例えば皿ねじと比して進行方向に対する傾斜が小さくなる。さらに、ねじNの軸寸法がその外径以上に構成されているため、短寸なねじであってもホースH内での反転することが無い。このねじ案内部3は、傾斜孔33と鉛直孔34との接続部でねじNが進行方向を変更できるように、傾斜孔33と鉛直孔34の径が大きく構成される。しかし、ホース継手35および傾斜孔33が前述の角度に構成されているため、傾斜孔33と鉛直孔34の径を過度に大きくする必要がなく、ねじNの反転が防止される。また、ホース継手35の貫通孔36がホースHおよび傾斜孔33の内径より小径に構成されているため、貫通孔36を通過中にねじNの進行方向に対する傾斜が小さくなる。これにより、貫通孔36に連続する傾斜孔33および傾斜孔33に連続する鉛直孔34でのねじNの反転がさらに起こり難い。ねじNは、上記理由により反転することなく進行方向を鉛直下向きに変更しでき、チャック4の保持穴41まで供給される。この時、制御部は、保持穴41内のねじNによってセンサ43の一方が発する光が遮断されるため、ねじNが保持穴41に保持されたことを感知する。
【0019】
前記制御部は、ねじNが保持穴41に保持されたことを感知すると、前記駆動部5の可動部52を
図3に示すように復帰させ、保持穴41とスクリューガイド22とを連続させる。この時、可動部52の移動が水平移動であるため、ねじNが保持部41から飛び出すことが防止されている。しかも、保持穴41が前述の径で構成されているため、ねじNは、保持穴41内でほぼ傾斜しない。この時、前記移動手段によりスクリューガイド22の下端が主体部31の下端面32と同程度の高さで保持されているため、チャック4の移動後すぐに真空発生器を起動させることが可能となり、ねじNをスクリューガイド22内に収容する際の時間が短縮できる。この時、スクリューガイド22の収容部23が、チャック4の保持穴41とほぼ同径に構成されているため、ねじNは、スクリューガイド22内でも、ほぼ傾斜せずに吸着保持される。また、チャック4にスクリュウガイド2を挿入することが無いため、チャック4の保持穴を上述の寸法に構成することが可能となる。以上のように、本発明のねじ締め機1は、ホースHからスクリューガイド22に至るまで、上述の寸法に構成されるため、その内部でねじNが反転することがない。そのためホースH内で反転しないねじNであれば、被締結物への締結が可能となる。制御部は、上述のようにねじNがスクリューガイド22に吸着され、センサ43の光が再度光通過穴42を通過可能となると、保持穴41内にねじNが存在しないことを感知し、駆動部5の可動部52を伸長させる。このようにセンサ43がねじNの有無を感知するため、複数個のねじNが連続して供給されることおよびねじNが供給されていないのにねじ締め動作が行われることが防止される。また、保持穴41内のねじNの有無を感知しすぐに次の動作へ移行できるため、サイクルタイムの短縮が可能となる。
【0020】
前記制御部は、可動部52の伸長後、前記移動手段をスクリューガイド22の下端が被締結物と当接するまで降下させ、ねじ締め動作を開始する。この時、前記ホース継手35が前方に傾斜するため、下降したドライバユイット2が、ホースHに接触しない。このため、ホースHの破損、ホースHが変形することによりホースH内でねじNが詰まること等が防止される。しかも、制御部は、この移動手段による降下と同時に前記ドライバユニット2のモータ21を逆転(ねじNが被締結物に螺入しない方向に回転)させ、ねじNをドライバビット24と係合させる。これにより、ねじ締め機1は、ドライバユニット2の降下後に速やかにねじNを所定の位置に締結でき、サイクルタイムの短縮が可能となる。この移動手段による降下後、前記ドライバユニット2は、モータ21を正転(ねじNが被締結物に螺入する方向に回転)させ、所定トルクで締結する。この締結後、移動手段によりスクリューガイド22の下端が当初の高さになるまで上昇し、ねじ締め動作を終了する。一方、制御部は、ねじ締め動作の開始と同時に前記供給装置に次のねじNを供給させる。これによりねじ締め動作と同時に次のねじNの供給作業が可能となるため、サイクルタイムが短縮される。
【0021】
なお、本発明に係るねじ締め機1は、前述したものに限定するものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、チャック4は、保持穴41の底部がすり鉢状に形成されており、その保持穴41に連続する空気孔が、供給されるねじの呼び径よりも若干大径に構成されていても良い。これにより頭部を有するねじ、例えば皿ねじ等が供給された場合でもねじNの場合と同様の効果を有することが可能となる。また、チャック4は、板状部材53と接続される支持部材と、これにねじ止め固定されるねじ保持部とから構成されていても良い。この構成によれば、ねじ保持部が支持部材にねじ止め固定されているため、支持部材を板状部材53に接続したままでねじ保持部の交換が可能となり、チャック4の交換の度に取り付け位置の微調整をする必要がなく、比較的容易にチャック4の交換が可能となる。また、前記真空発生器とスクリューガイド22の配管継手との間にスクリュウガイド22内にねじNの吸着完了した際の圧力の変化を感知可能な圧力センサを設けても良い。これにより、ねじNがスクリューガイド22に吸着保持されたかをセンサ43による保持部41内のねじNの有無および圧力センサによるスクリューガイド22内のねじNの有無の2段階で判断することが可能となり、吸着完了後すぐに次の動作へ移行できるため、サイクルタイムの短縮が可能となる。また、吸着完了前にエアシリンダ51が可動部52を伸長されること等が防止されるため、吸着不十分による脱落等が防止される。
【符号の説明】
【0022】
1 ねじ締め機
22 スクリュウガイド
24 ドライバビット
3 ねじ案内部
31 主体部
35 ホース継手
4 チャック
N ねじ