(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-23
(45)【発行日】2024-01-31
(54)【発明の名称】シール機構及び当該シール機構を備えた装置
(51)【国際特許分類】
F16J 15/3204 20160101AFI20240124BHJP
F16C 33/78 20060101ALI20240124BHJP
F16J 15/3256 20160101ALI20240124BHJP
【FI】
F16J15/3204 201
F16C33/78 Z
F16J15/3256
(21)【出願番号】P 2019094704
(22)【出願日】2019-05-20
【審査請求日】2022-04-20
(31)【優先権主張番号】P 2018097477
(32)【優先日】2018-05-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】503405689
【氏名又は名称】ナブテスコ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126572
【氏名又は名称】村越 智史
(72)【発明者】
【氏名】紀平 誠人
(72)【発明者】
【氏名】片岡 佑介
(72)【発明者】
【氏名】四十 薫
(72)【発明者】
【氏名】松本 崇
【審査官】大山 広人
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-69458(JP,A)
【文献】実開昭48-111752(JP,U)
【文献】実開昭51-036749(JP,U)
【文献】実開昭62-018432(JP,U)
【文献】実開平06-014630(JP,U)
【文献】特開平02-042279(JP,A)
【文献】特開2000-337519(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2001/0054798(US,A1)
【文献】中国実用新案第203362846(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16J 15/3204
F16J 15/3232
F16J 15/3256
F16C 33/72-33/82
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャフト部材の外周面に取り付けられた筒状部と、前記筒状部から前記シャフト部材の径方向の外側に向けて突出するフランジ部と、を有するスリンガと、
前記スリンガと前記シャフト部材の少なくとも一部を収容するケースとの間に設けられたシール部材と、
前記シャフト部材の外周面から前記径方向の外側に向かって延伸
し、前記スリンガと前記シャフト部材との間に設けられた弾性部材と、
を備え、
前記シール部材は、前記シャフト部材と同軸又はほぼ同軸に配置された筒状部及び前記筒状部の一方の端部から前記径方向の内側に向かって突出する環状部を有しており、前記シャフト部材の回転軸を通る断面においてL字状を呈する基部と、前記シャフト部材の回転軸方向において前記基部と重ならない位置に配置されており前記スリンガの外周面に接するメインリップと、を有し、
前記弾性部材は、前記フランジ部の前記径方向の外側の端部と前記シール部材の前記基部の前記筒状部の内周面との間に介在
し、前記フランジ部の前記径方向の外側の端部及び前記シール部材の前記基部の前記筒状部の内周面の各々に接している、
シール機構。
【請求項2】
前記メインリップは、前記回転軸方向において前記環状部と重ならない位置に配置される、
請求項1に記載のシール機構。
【請求項3】
前記シール部材は、ダストリップを有し、
前記ダストリップは、前記回転軸方向において前記基部と重ならない位置に配置される、
請求項2に記載のシール機構。
【請求項4】
前記メインリップは、前記ダストリップに対して前記回転軸方向の一方側に配置される、
請求項3に記載のシール機構。
【請求項5】
前記ダストリップは、前記シャフト部材の径方向において前記環状部の内側に配置される、
請求項3に記載のシール機構。
【請求項6】
前記メインリップに設けられたスプリングリングと、
前記スプリングリングを前記シャフト部材の径方向外側から覆うカバー部と、
を備える請求項1から5までのいずれか1項に記載のシール機構。
【請求項7】
前記カバー部は、前記基部から前記シャフト部材の回転軸方向へ突出するように設けられる、請求項6に記載のシール機構。
【請求項8】
前記メインリップ及び前記ダストリップは、該スリンガの外周面に接する、
請求項3に記載のシール機構。
【請求項9】
前記メインリップは、前記シャフト部材の回転軸方向において、前記環状部に対して前記筒状部の反対側に配置されている
請求項1に記載のシール機構。
【請求項10】
シャフト部材と、
前記シャフト部材の少なくとも一部を収容するケースと、
前記シャフト部材の外周面に取り付けられた筒状部と、前記筒状部から前記シャフト部材の径方向の外側に向けて突出するフランジ部と、を有するスリンガと、
前記シャフト部材の外周面から前記径方向の外側に向かって延伸
し、前記スリンガと前記シャフト部材との間に設けられた弾性部材と、
前記ケースと前記スリンガとの間に設けられたシール部材を有しており、前記シャフト部材と前記ケースとの間をシールするシール機構と、を備え、
前記シール部材は、前記シャフト部材と同軸又はほぼ同軸に配置された筒状部及び前記筒状部の一方の端部から前記径方向の内側に向かって突出する環状部を有しており、前記シャフト部材の回転軸を通る断面においてL字状を呈する基部と、前記シャフト部材の回転軸方向において前記シール部材の基部とは重ならない位置に配置されたメインリップと、を有し、
前記弾性部材は、前記フランジ部の前記径方向の外側の端部と前記シール部材の前記基部の前記筒状部の内周面に介在
し、前記フランジ部の前記径方向の外側の端部及び前記シール部材の前記基部の前記筒状部の内周面の各々に接している、
装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装置内にある流体の当該装置外への流出及び当該装置内への外部からの流体の流入を防ぐためのシール機構、及び、当該シール機構を備えた装置に関する。
【背景技術】
【0002】
回転部材と該回転部材を収容するケースとの間をシールするシール機構が知られている。
【0003】
従来のシール機構が特開2016-84911号公報(特許文献1)に開示されている。同公報には、外輪と内輪との間をシールするシール機構が開示されている。このシール機構は、シール部材とシール部材に取り囲まれたスリンガとを有する。このスリンガは、シャフトを取り囲むスリーブと、当該シャフトを取り囲むハウジングに向けて折り曲げられたフランジと、を有する。当該フランジは、スリンガの剛性を向上させる。このフランジにより、当該シール機構の装置への組み込み時にシール部材の変形を防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のシール機構のシール部材は、芯金と、この芯金の径方向内側に設けられたメインリップとを有する。この芯金とメインリップとの干渉を防ぐために、引用文献1のシール機構は、その径方向の寸法を大きくする必要がある。また、シール機構の径方向の寸法が大きくなると、このシール機構が組み付けられる装置の設計自由度が低下するという問題がある。
【0006】
本発明の目的の一つは、径方向における寸法を小型化できるシール機構及び当該シール機構を備えた装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態に係るシール機構は、シャフト部材と前記シャフト部材の少なくとも一部を収容するケースとの間に設けられたシール部材を備えている。当該シール部材は、基部と、前記シャフト部材の回転軸方向において前記基部と重ならない位置に配置されたメインリップと、を有する。
【0008】
本発明の一実施形態において、前記基部は、筒状部と、環状部とを有している。一実施形態において、前記メインリップは、前記回転軸方向において前記環状部と重ならない位置に配置される。
【0009】
本発明の一実施形態において、前記シール部材は、ダストリップを有する。一実施形態において、前記ダストリップは、前記回転軸方向において前記基部と重ならない位置に配置される。一実施形態において、前記メインリップは、前記ダストリップに対して前記回転軸方向の一方側に配置される。
【0010】
本発明の一実施形態に係るシール機構は、前記メインリップに設けられたスプリングリングと、前記スプリングリングを前記シャフト部材の径方向外側から覆うカバー部と、を備える。本発明の一実施形態において、前記カバー部は、前記基部から前記シャフト部材の回転軸方向へ突出するように設けられる。
【0011】
本発明の一実施形態に係るシール機構は、前記シャフト部材の外周面に設けられたスリンガを備える。一実施形態において、前記シール部材は、前記ケースと前記スリンガとの間に設けられる。
【0012】
本発明の一実施形態において、前記シール部材は、前記ケースと前記スリンガとの間に設けられる。一実施形態において、前記メインリップ及び前記ダストリップは、前記スリンガの端面と接する。
【0013】
本発明の一実施形態に係るシール機構は、シャフト部材と前記シャフト部材の少なくとも一部を収容するケースとの間に設けられたシール部材を備える。前記シール部材は、基部と、前記シャフト部材の回転軸方向において前記基部の反対側に配置されたメインリップと、を有する。本発明の一実施形態において、前記基部は、筒状部と、環状部とを有する。一実施形態において、前記環状部は、前記メインリップと前記筒状部の間に配置される。
【0014】
本発明の一実施形態に係る装置は、シャフト部材と、前記シャフト部材の少なくとも一部を収容するケースと、前記シャフト部材と前記ケースとの間をシールするシール機構と、を備える。一実施形態において、前記シール機構は、前記ケースと前記シャフト部材との間に設けられたシール部材を有する。一実施形態において、前記シール部材は、前記シャフト部材の回転軸方向において前記シール部材の基部とは重ならない位置に配置されたメインリップを有する。
【0015】
本発明の各実施形態に係るシール機構は、様々な装置に好適に適用可能である。
【発明の効果】
【0016】
径方向における寸法を小型化可能なシール機構及び当該シール機構を備えた装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の一実施形態におけるシール機構の概略的な断面図である。
【
図2】
図1のシール機構の一部を拡大して示す概略的な拡大断面図である。
【
図3】本発明の他の実施形態におけるシール機構の概略的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、本発明の一実施形態におけるシール機構1を備えた装置10の断面図を示す。
【0019】
装置10は、シャフト部材4、ケース5、及びシール機構1を備える。本発明の一実施形態におけるシール機構1は、シャフト部材4とケース5との間をシールする。これにより、シール機構1は、装置10の内部空間を外部空間(例えば、大気)からシールする。
【0020】
装置10は、シール機構1、シャフト部材4、及びケース5を備えるが、装置10の構成要素はこれらに限られない。すなわち、当該装置10は、シール機構1、シャフト部材4及びケース5以外の構成部材を備えてもよい。
【0021】
装置10は、例えば、減速機である。装置10は、減速機以外の装置であってもよい。シャフト部材4は、例えば、減速機が作動することで回転する部材である。シャフト部材4は、これ以外の回転可能な回転部材であってもよい。シール機構1は、特定の装置にのみ設けることを意図するものではなく、回転部材を備える任意の装置に適用可能である。
【0022】
本発明の一実施形態におけるシャフト部材4は、回転軸RAX周りに回転するよう構成される。シャフト部材4は、円柱状、円筒状、又はそれ以外の形状を有する。
図1には、シャフト部材4の回転軸に平行に延びる2本の矢印を示している。その矢印のうち1本(紙面の右側を向いている矢印)は、シャフト部材4の回転軸に平行な方向であって、ケース5の内部空間の内側を向いており、その矢印のうち他方(紙面の左を向いている矢印)は、シャフト部材4の回転軸に平行な方向であって、ケース5の外部空間に向かう方向に向いている。
【0023】
本発明の一実施形態におけるケース5は、シャフト部材4と同軸又はほぼ同軸に配置されている。本発明の一実施形態におけるシャフ卜部材4及びケース5の少なくとも一方は、回転軸RAX周りに回転する。固定されたケース5に対してシャフト部材4が回転軸RAX周りに回転してもよいし、固定されたシャフト部材4に対してケース5が回転軸RAX周りに回転してもよい。
【0024】
本発明の一実施形態におけるケース5は、内部空間を有しており、この内部空間にシャフト部材4の一部が収容される。当該ケース5の内部空間には、装置10のシャフト4以外の構成部材が収容されてもよい。一例として、ケース5の内部空間には、シャフ卜部材4に連結され得る歯車ユニットが収容されてもよい。
【0025】
本発明の一実施形態におけるシール機構1は、シャフ卜部材4とケース5との間の環状の空間に設けられ、これにより、ケース5の内部空間を外部空間からシールする。
【0026】
本発明の一実施形態におけるシャフ卜部材4は、外周面(端面)14を有する。シール機構1の内周面は、このシャフト部材4の外周面14に密着する。
【0027】
本発明の一実施形態におけるケース5は、内周面15を有する。シール機構1の外周面23は、ケース5の内周面15に密着する。このように、シール機構1は、ケース5の内周面15とシャフト部材4の外周面14との間に挟まれるように配置される。
【0028】
本発明の一実施形態におけるシール機構1は、スリンガ2と、シール部材3と、を有する。シール機構1は、スリンガ2を含まなくともよい。スリンガ2は、円筒状の筒状部11と、当該筒状部11からシャフト部材4の径方向(以下、単に「径方向」ということがある。)の外側方向に突出するフランジ部12を備える。スリンガ2は、筒状部11及びフランジ部12以外の構成部材を含んでいてもよい。本発明の一実施形態において、シール部材3は、ケース5と該スリンガ2との間に設けられる。一実施形態において、シール機構1は、シール部材3に加えて、別のシール部材を有していてもよい。この別のシール部材は、シール部材3に隣接する位置に配置されてもよい。この別のシール部材は、シャフト部材4の回転軸RAX周りを取り囲むようリング形状または円筒形状を有していてもよい。この別のシール部材は、シール部材3の回転軸方向外側に配置されてもよい。
【0029】
一実施形態において、スリンガ2は、シャフト部材4の外周面14に密着するように設けられる。図示のように、スリンガ2は、弾性部材9を介してシャフト部材4の外周面14に設けられてもよい。弾性部材9は、シャフト部材4の外周面14に沿って延伸し、その端部から径方向外側に延伸している。弾性部材9は、ゴムなどの弾性変形可能な部材である。弾性部材9の材料として、弾性変形可能な公知の材料を適宜採用することができる。
【0030】
スリンガ2の筒状部11は、その一部又は全体が筒状に形成される。筒状部11の一端又は両端は、面取りされていてもよい。スリンガ2の筒状部11は、内周面21と、当該内周面21とは反対側の外周面20と、を備える。筒状部11の内周面21とシャフト部材4の外周面14との間には、弾性部材9が設けられている。この弾性部材9に代えて接着層が設けられてもよい。この接着層によって、スリンガ2がシャフト部材4の外周面14に接着される。筒状部11の内周面21とシャフト部材4の外周面14には、接着層以外の部材を設けてもよい。
【0031】
本発明の一実施形態において、シール部材3は、リング形状を有する。シール部材3は、シャフト部材4の回転軸を取り囲むように配置される。一実施形態において、シール部材3は、基部13と、主リング部24と、シャフト部材4の回転軸方向において基部13と重ならない位置に配置されたメインリップ25と、ダストリップ26と、スプリングリング27と、を有する。ダストリップ26は、外部空間で浮遊する塵挨等の異物が内部空間に侵入することを防ぐために用いられる。
【0032】
次に、
図2を参照して、シール部材3の詳細について説明する。
図2は、
図1のシール部材3を拡大して示す拡大断面図である。図示のように、本発明の一実施形態におけるシール部材3は、ケース5の内周面15に接する外周面23を有する。主リング部24は、シャフト部材4の回転軸に一致又は略一致する中心軸を有する円筒形状の第1部分241と、第1部分241の端部からシャフト部材4の径方向内側に向けて突出するリング状の第2部分と、を有する。主リング24は、第1部分241においてケース5の内周面15に接する。メインリップ25及び/又はダストリップ26は、主リング部24と一体に形成されてもよい。メインリップ25及び/又はダストリップ26は、ゴム等の弾性部材により形成されてもよい。ダストリップ26は、主リング部24に設けられてもよい。ダストリップ26は、主リング部24と一体に形成されてもよい。スプリングリング27は、シャフト部材4の径方向においてメインリップ25の外側に設けられる。一実施形態において、メインリップ25及び/又はダストリップ26は、スリンガ2の端面20と接するように配置されてもよい。
【0033】
本発明の一実施形態において、基部13は、耐食性金属、例えば、ステンレスにより形成される。図示の実施形態において、基部13は、シャフト部材4の回転軸RAXを通る断面においてL字状に形成される。基部13の形状、構造、寸法、及び材料は、本明細書において明示的に説明されたものには限定されない。本発明の一実施形態において基部13は、筒状部16と、環状部17とを有する。筒状部16は、シャフト部材4の回転軸RAXと同軸又はほぼ同軸に配置される。環状部17は、筒状部16の回転軸方向における一方の端部からシャフト部材4の内方に向かって突出している。
【0034】
一実施形態において、メインリップ25は、主リング部24の第2部分242の回転軸方向内側の端面242aよりも回転軸方向内側にある部材である。
図2には、破線Lにより、主リング24とメインリップ25との境界が示されている。
図2の破線Lは、主リング24とメインリップ25との境界の一例であり、他の位置に主リング部24とメインリップ25との境界が設けられてもよい。一実施形態において、メインリップ25は、シャフト部材4の回転軸方向において環状部17と重ならない位置に配置される。一実施形態において、メインリップ25は、回転軸方向においてダストリップ26の一方側に配置されてもよい。図示の実施形態において、メインリップ25は、ダストリップ26よりも回転軸方向内側に配置されている。メインリップ25は、ダストリップ26よりも回転軸方向外側に配置されてもよい。
【0035】
図示の実施形態において、ダストリップ26は、環状部17の径方向内側に設けられている。本発明の他の実施形態において、ダストリップ26は、シャフト部材4の回転軸方向において基部13と重ならない位置に配置されてもよい。一実施形態において、ダストリップ26は、回転軸方向において、環状部17に対し外部空間とは反対側に配置されていてもよい。つまり、ダストリップ26は、環状部17よりも回転軸方向内側に配置されていてもよい。
【0036】
本発明の一実施形態において、メインリップ25は、回転軸方向において、環状部17に対して筒状部16とは反対側に配置される。一実施形態において、環状部17は、メインリップ25と筒状部16との間に配置されてもよい。
【0037】
図示のように、ダストリップ26の先端は、筒状部11の外周面20に接する。シャフ卜部材4及びケース5のうち少なくとも一方が回転している問、ダストリップ26の先端は、シャフト部材4の端面14若しくはスリンガ2の筒状部11と擦れる。一実施形態において、スリンガ2は、シャフト部材4よりも耐摩耗性に優れた材料から形成されるので、ダストリップ26との接触によるスリンガ2の摩耗を抑制できる。
【0038】
メインリップ25は、圧接リング251と、連結リング252と、を有する。圧接リング251は、ダストリップ26と内部空間との聞において、シャフト部材4の端面14又は筒状部11の外周面20に接する。連結リング252は、圧接リング251を、主リング部24の回転軸方向内側の端部に連結させる。
【0039】
シャフト部材4の径方向においてメインリップ25の外側には、メインリップ25を取り囲むようにスプリングリング27が設けられる。スプリングリング27は、シャフト部材4の径方向内側に向かう力を、メインリップ25の圧接リング251に加える。これにより、圧接リング251は、シャフト部材4の端面14若しくは筒状部11の外周面20に密着され、圧接リング251と筒状部11の外周面20に密着する。これにより、ケース5の内部空間に収容された液体(例えば、潤滑油など)が、圧接リング251と筒状部11の外周面20との聞から外部空間への漏出することが防止される。
【0040】
次に、
図3を参照して、本発明の他の実施形態におけるシール機構を説明する。
図1と共通の部分については、説明を省略する。
図3に示されているシール機構1は、カバー部18を備える点で
図1に示されているシール機構1と異なっている。カバー部18は、スプリングリング27を前記シャフト部材4の径方向外側から覆うように構成及び配置される。
【0041】
一実施形態において、カバー部18は、基部13の環状部17又は主リング部24から回転軸RAX方向内側へ突出するように設けられる。カバー部18は、基部13又は主リング部24と一体であってもよいし、別体であってもよい。カバー部18により、スプリングリング27のメインリップ25からの脱落を防止することができる。
【0042】
続いて、本発明の実施形態が奏する作用効果について説明する。上記の各実施形態によれば、シャフト部材4の回転軸方向においてメインリップ25がシール部材3の基部13と重ならない位置に配置されているので、シャフト部材4の径方向においてメインリップ25と基部13とが重複することによるシール機構1の大型化を防止できる。これにより、シャフト部材4の径方向におけるシール機構1の寸法の小型化が可能となる。
【0043】
上記の実施形態によれば、メインリップ25が回転軸方向において環状部17と重ならない位置に配置されるので、シャフト部材4の径方向においてメインリップ25と環状部17とが重複することによるシール機構1の大型化を防止できる。これにより、シャフト部材4の径方向におけるシール機構1の寸法の小型化が可能となる。
【0044】
上記の実施形態によれば、ダストリップ26が回転軸方向において基部13と重ならない位置に配置されるので、シャフト部材4の径方向においてダストリップ26がと基部13とが重複することによるシール機構1の大型化を防止できる。これにより、シャフト部材4の径方向におけるシール機構1の寸法の小型化が可能となる。
【0045】
上記の実施形態によれば、ダストリップ26がシャフト部材4の径方向において環状部17の内側に配置される。これにより、ダストリップ26によるシール力を高めることができる。
【0046】
以上のように、シャフト部材4の径方向におけるシール機構1の寸法の小型化が可能となるため、シール機構1及び当該シール機構1を備える装置10の設計自由度を高めることができる。
【符号の説明】
【0047】
1シール機構
2スリンガ
3シール部材
4シャフト部材
5ケース
10装置
11筒状部
12フランジ部
13基部
14端面(外周面)
15端面(内周面)
16筒状部
17環状部
18カバー部
20端面
21内周面
23外周面
24主リング部
25メインリップ
26ダストリップ
27スプリングリング
RAX 回転軸