(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-23
(45)【発行日】2024-01-31
(54)【発明の名称】車両用心電検出装置
(51)【国際特許分類】
A61B 5/318 20210101AFI20240124BHJP
A61B 5/25 20210101ALI20240124BHJP
B60N 2/90 20180101ALI20240124BHJP
B62D 1/06 20060101ALI20240124BHJP
【FI】
A61B5/318
A61B5/25
B60N2/90
B62D1/06
(21)【出願番号】P 2019105371
(22)【出願日】2019-06-05
【審査請求日】2021-11-26
【審判番号】
【審判請求日】2023-01-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000003551
【氏名又は名称】株式会社東海理化電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】原田 敦
【合議体】
【審判長】樋口 宗彦
【審判官】渡▲辺▼ 純也
【審判官】松本 隆彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-142576(JP,A)
【文献】特表2010-525915(JP,A)
【文献】特開2016-7885(JP,A)
【文献】国際公開第2018/030393(WO,A1)
【文献】特開2019-92845(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B5/05-5/0538
A61B5/24-5/398
B60N2/00-2/90
B62D1/00-1/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステアリング体に設けられた第1電極部と、
乗員が着座する座席に設けられた第2電極部と、
前記第2電極部を接地極に接続した接地状態と前記接地極に非接続の非接地状態とに切替える切替部と、
前記第2電極部の前記非接地状態において、前記第1電極部と前記第2電極部との差動電圧を検出し、前記第2電極部の前記接地状態において、前記第1電極部と前記接地極との差動電圧を検出する検出部と、
前記検出部の検出結果に応じて前記切替部を制御する際、前記第2電極部を前記接地状態として、前記検出部の検出結果から乗員の除電が終了したと判定される場合に、前記第2電極部が前記接地状態から前記非接地状態となるように制御する制御部と、を含
み、
前記第1電極部、前記第2電極部及び前記検出部を用いて心電波形の検出を行う、
車両用心電検出装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記第2電極部を前記非接地状態として、前記検出部の検出結果から乗員の除電が必要と判定される場合に、前記第2電極部が前記非接地状態から前記接地状態となるように前記切替部を制御する請求項1記載の車両用心電検出装置。
【請求項3】
前記座席に着座した乗員が帯電したか否かを判定するための帯電情報を検出する帯電情報検出部を更に含み、
前記制御部は、前記帯電情報検出部の検出結果と前記検出部の検出結果とに応じて、乗員の除電が必要か否かを判定する請求項2記載の車両用心電検出装置。
【請求項4】
前記切替部は、前記第2電極部と前記検出部との接続部を前記接地状態と前記非接地状態とに切替える請求項1から請求項3の何れか1項記載の車両用心電検出装置。
【請求項5】
前記第1電極部は、各々が帯状とされた第1導電層、第1絶縁層、第2導電層、第2絶縁層及び第3導電層が順に積層され、前記第3導電層が前記ステアリング体の基体側にされて該基体の外周に螺旋状に巻回されて設けられ、前記第3導電層が接地され、前記第1導電層及び前記第2導電層が前記検出部に接続されている請求項1から請求項4の何れか1項記載の車両用心電検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載され、乗員の心電波形を検出する車両用心電検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ステアリングホイールや車両用シートに電極を設けて、乗員の心電波形を検出する技術が知られている。
【0003】
一方、特許文献1の生体情報測定装置には、ステアリングホイール2の電極部10、20が第1電極11、21と第2電極12、22とからなる電極対として構成されており、電極11、12、21、22の各々を基準電位(GND)に接続する第1切換スイッチ32が設けられている。生体情報測定装置では、各電極部10、20において電極対を用いて接触インピーダンスZiを算出する際や心電波形の測定の際に、対象の電極対を除く電極を基準電位(GND)に接続している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1では、インピーダンス測定部から出力される検出信号が安定するのに時間が係ることから、検出信号が安定するのに要する時間が経過した後に、検出信号のサンプリングを開始する。
【0006】
しかしながら、適切な心電波形を得る際、信号が安定するのに十分な時間を確保すると、心電波形の計測開始までに時間を要し、心電波形の計測開始までの時間を短くしようとすると、信号波形が安定していない可能性が生じて計測精度が低下する懸念がある。
【0007】
本発明は、上記事実に鑑みてなされたものであり、心電計測を高精度にできる車両用心電検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための本発明の第1の態様の車両用心電検出装置は、ステアリング体に設けられた第1電極部と、乗員が着座する座席に設けられた第2電極部と、前記第2電極部を接地極に接続した接地状態と前記接地極に非接続の非接地状態とに切替える切替部と、前記第2電極部の前記非接地状態において、前記第1電極部と前記第2電極部との差動電圧を検出し、前記第2電極部の前記接地状態において、前記第1電極部と前記接地極との差動電圧を検出する検出部と、前記検出部の検出結果に応じて前記切替部を制御する制御部と、を含む。
【0009】
第2の態様の車両用心電検出装置は、第1の態様の車両用心電検出装置において、前記制御部は、前記第2電極部を前記接地状態として、前記検出部の検出結果から乗員の除電が終了したと判定される場合に、前記第2電極部が前記接地状態から前記非接地状態となるように前記切替部を制御する。
【0010】
第3の態様の車両用心電検出装置は、第1又は第2の態様の車両用心電検出装置において、前記制御部は、前記第2電極部を前記非接地状態として、前記検出部の検出結果から乗員の除電が必要と判定される場合に、前記第2電極部が前記非接地状態から前記接地状態となるように前記切替部を制御する。
【0011】
第4の態様の車両用心電検出装置は、第3の態様の車両用心電検出装置において、前記座席に着座した乗員が帯電したか否かを判定するための帯電情報を検出する帯電情報検出部を更に含み、前記制御部は、前記帯電情報検出部の検出結果と前記検出部の検出結果とに応じて、乗員の除電が必要か否かを判定する。
【0012】
第5の態様の車両用心電検出装置は、第1から第4の何れか1の態様の車両用心電検出装置において、前記切替部は、前記第2電極部と前記検出部との接続部を前記接地状態と前記非接地状態とに切替える。
【0013】
第6の態様の車両用心電検出装置は、第1から第5の何れか1の態様の車両用心電検出装置において、前記第1電極部は、各々が帯状とされた第1導電層、第1絶縁層、第2導電層、第2絶縁層及び第3導電層が順に積層され、前記第3導電層が前記ステアリング体の基体側にされて該基体の外周に螺旋状に巻回されて設けられ、前記第3導電層が接地され、前記第1導電層及び前記第2導電層が前記検出部に接続されている。
【発明の効果】
【0014】
第1の態様の車両用心電検出装置では、第1電極部がステアリング体に設けられ、第2電極部が乗員の着座する座席に設けられており、第1電極部及び第2電極部は、乗員が接触する部位に設けられている。検出部は、第1電極部と非接地状態の第2電極部との差動電圧を検出する。これにより、検出部の出力から乗員の心臓の心拍における電気活動に伴うイオン電流変化を電流信号として検出できて、心電波形を得ることができる。
【0015】
一方、切替部は、第2電極部を接地極としての車体等に接続して接地した接地状態と、接地極に非接続した非接地状態とに切替える。検出部は、切替部によって接地極に接続された接地状態とされることで、座席に着座した乗員(乗員の着衣)が接地状態とされて、乗員の着衣の静電気を除電でき、乗員の着衣に溜まった静電気に起因するノイズ(誘導雑音)を抑制できる。
【0016】
また、検出部は、第2電極部が接地状態とされていると、第1電極部と接地極との差動電圧を検出する。制御部は、検出部によって検出される差動電圧に基づいて、乗員の除電が終了したか否かを判定でき、この判定結果に基づいて第2電極部を非接地状態に切替えることで、高精度の心電波形の生成が可能となる。
【0017】
第2の態様の車両用心電検出装置では、第2電極部を接地状態として、検出部の検出結果から乗員の除電が終了したと判定される場合に、第2電極部が接地状態から非接地状態となるように切替部が制御される。これにより、適切なタイミングで第2電極部を接地状態から非接地状態に切替えて心電波形の生成を開始でき、高精度の心電波形を得ることができる。また、乗員の除電が完了するまでの時間に余裕を持って心電波形の得るようにした場合に比して、心電波形の生成開始までの時間短縮が可能になる。
【0018】
第3の態様の車両用心電検出装置では、第2電極部を非接地状態として、検出部の検出結果から乗員の除電が必要と判定される場合に、第2電極部が非接地状態から接地状態となるように切替部が制御される。このため、乗員が体動するなどして帯電した場合に、除電を行なうことができるので、乗員の体動等が心電波形に影響するのを抑制できて、高精度の心電波形を得ることができる。
【0019】
第4の態様の車両用心電検出装置では、帯電情報検出部が座席に着座した乗員が帯電したか否かを判定するための帯電情報を検出する。制御部は、帯電情報検出部の検出結果と検出部の検出結果とに応じて、乗員の除電が必要か否かを判定する。これにより、高精度の心電波形を生成するために、乗員の体動などによる単発的な検出結果の変化により、第2電極部を接地状態にしてしまうのを抑制できる。
【0020】
第5の態様の車両用心電検出装置では、切替部が第2電極部と検出部との接続部を接地状態と非接地状態とに切替えるので、検出部の入力側を第2電極部と接地極とに切替えるための構成を不要にできる。
【0021】
第6の態様の車両用心電検出装置では、第1電極部が、各々が帯状とされた第1導電層、第1絶縁層、第2導電層、第2絶縁層及び第3導電層が順に積層された五層構造とされてステアリング体に螺旋状に巻回されている。また、第3導電層が接地されて、第1導電層及び第2導電層が検出部に接続されている。このため、第1電極部が乗員の静電気の影響を受けるのを抑制できて、乗員の帯電状態の検出を適正に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】第1実施形態に係る車両用心電検出装置の概略構成図である。
【
図2】第1実施形態に係る車両用心電検出装置の主要部のブロック図である。
【
図4】第1実施形態に係る心電計測処理の流れ図である。
【
図5】差動増幅部から出力される差動信号の変化の概略を示す線図である。
【
図7】第2実施形態に係る車両用心電検出装置の概略構成図である。
【
図8】第2実施形態に係る心電計測処理の流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
〔第1実施形態〕
図1には、第1実施形態に係る車両用心電検出装置10の概略構成が示され、
図2には、車両用心電検出装置10の主要部の概略構成がブロック図にて示されている。なお、本実施形態において、接地状態は、車両の車体等を接地極GNDとし、接地極GNDに電気的に接続された状態を指す。
【0024】
図1及び
図2に示すように、車両用心電検出装置10は、ステアリング電極12、シート電極14、16、バッファ部18、及び心電波形生成装置20を備えている。ステアリング電極12及びシート電極14、16は、乗員としての運転者が接触(近接)する位置に設けられている。ステアリング電極12及びシート電極16は、各々第1電極部及び第2電極部として機能し、ステアリング電極12及びシート電極16は、運転者が近接することで、運転者との間で容量結合する静電容量結合型のコンデンサを形成する。
【0025】
ステアリング電極12は、運転者が把持して車両の操舵に用いるステアリング体としてのステアリングホイール22に設けられている。
図3には、ステアリング電極12が展開された状態の概略図にて示されている。
【0026】
図3に示すように、ステアリング電極12は、第1導電層としての電極層24A、第1絶縁層26A、第2導電層としてのドリブンシールド層24B、第2絶縁層26B及び第3電極層としてのグランドプレーン層24Cを備えている。電極層24A、第1絶縁層26A、ドリブンシールド層24B、第2絶縁層26B及びグランドプレーン層24Cは、各々帯状にされ、この順に広幅とされている。ステアリング電極12は、電極層24A、第1絶縁層26A、ドリブンシールド層24B、第2絶縁層26B及びグランドプレーン層24Cの順に積層された五層構造に形成されている。
【0027】
ステアリング電極12は、グランドプレーン層24Cが内側とされ電極層24Aが外側にされてリム部22Aの外周に巻付けられており、ステアリング電極12は、ドリブンシールド層24Bに次のグランドプレーン層24Cが重ならないようにされてステアリングホイール22の周方向全域に螺旋状に巻付けられている(図示省略)。また、ステアリングホイール22は、リム部22Aの外周部に皮革等の化粧材(図示省略)が設けられており、リム部22Aにおいてステアリング電極12は、皮革等によって被覆されている。
【0028】
ステアリング電極12は、グランドプレーン層24Cが接地され、電極層24A及びドリブンシールド層24Bが心電波形生成装置20に電気的に接続されている。これにより、運転者がステアリングホイール22を把持すると、運転者の手がステアリング電極12の電極層24Aに近接され、運転者の手とステアリング電極12の電極層24Aとの間に容量結合が生じる。
【0029】
心電波形生成装置20は、ステアリング電極12の電極層24A(又は電極層24Aとドリブンシールド層24B)から、運転者の心臓の心拍における電気的活動に伴うイオン電流変化(交流電流)の電流信号として検出する。なお、ステアリング電極12は、ドリブンシールド層24Bが省略されると共に、第1絶縁層26A又は第2絶縁層26Bが省略された三層構造等であってもよい。
【0030】
図1に示すように、シート電極14、16は、座席としての車両用シート28に着座した運転者の心臓の位置より下側の車両用シート28のシートクッション28Aに各々設けられた臀部電極とされている。シート電極14、16は、シートカバー(図示省略)に被覆されており、シート電極14、16のうちシート電極14は接地され、シート電極16は心電波形生成装置20に電気的に接続されている。シート電極14、16は、運転者が車両用シート28に着座することで、運転者の着衣及びシートカバーを介して運転者の臀部が近接する。
【0031】
心電波形生成装置20は、シート電極16から運転者の心臓の心拍における電気的活動に伴うイオン電流変化(交流電流)の電流信号として検出する。なお、
図1では、車両の幅方向(運転者の左右方向)にシート電極14、16を配列した例を示すが、配列はこれに限るものではない。シート電極14、16は、車両前後方向(運転者の前後)に配列してもよく、他の方向に配列してもよい。また、シート電極14、16は、運転者の心臓位置の下側であれば、車両用シート28のシートバック28Bに配列してもよい。
【0032】
図1及び
図2に示すように、バッファ部18には、バッファ回路30、32が設けられている。バッファ回路30は、ステアリング電極12と心電波形生成装置20との間に設けられており、バッファ回路30は、ステアリング電極12からの信号をバッファして心電波形生成装置20に出力する。また、バッファ回路32は、シート電極16と心電波形生成装置20との間に設けられており、バッファ回路32は、シート電極16からの信号をバッファして心電波形生成装置20に出力する。
【0033】
心電波形生成装置20は、検出部を構成する差動増幅器34、フィルタ増幅部36、及び信号処理部38を備えており、心電波形生成装置20は、ステアリング電極12及びシート電極16から入力される電流信号に基づいて、運転者の心電波形を生成する。
【0034】
差動増幅器34は、2つの入力端子の一方がステアリング電極12に接続され、他方がシート電極16に接続されることで、2つの入力の差動電圧(差動信号)を検出してフィルタ増幅部36に出力する。具体的には、差動増幅器34は、ステアリング電極12からの入力信号とシート電極16からの入力信号との差分を一定係数で増幅して出力する。
【0035】
フィルタ増幅部36は、差動増幅器34の出力信号(差動信号)を増幅すると共に、予め定めたフィルタを用いて予め定めた範囲の周波数の信号に変換する処理(フィルタ処理)等を行なって処理結果を信号処理部38に出力する。予め定めたフィルタとしては、例えば、ハイパスフィルタ、ローパスフィルタ、バンドパスフィルタ等のフィルタを適宜適用する。また、本実施形態では、フィルタ増幅部36にA/D変換器(図示省略)が設けられており、フィルタ増幅部36は、アナログ信号をデジタル信号に変換(A/D変換)する処理及びフィルタ処理等を行なってから信号処理部38に処理結果を出力する。
【0036】
信号処理部38は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)及びフラッシュメモリ等の不揮発性メモリを含むコンピュータで構成されている。
【0037】
信号処理部38には、波形生成部40が設けられており、信号処理部38のCPUは、メモリに予め記憶されたプログラムを実行することにより、波形生成部40の機能を実現する。波形生成部40は、フィルタ増幅部36から得られる信号を用いて、心電波形を生成して出力する。
【0038】
次に、車両用心電検出装置10に設けられたバッファ部18及び心電波形生成装置20について詳細に説明する。
図2に示すように、バッファ回路30、32は、各々オペアンプOP、抵抗R、コンデンサCを含むブートストラップ(boot-strap)と呼ばれる正帰還回路で構成されている。これにより、バッファ回路30、32は、入力インピーダンスが超高インピーダンスとなり、前段の回路の影響を抑制している。
【0039】
一方、着衣は、擦れることなどにより静電気が発生し易く、発生した静電気が溜まり易い。特に冬季などの空気が乾燥した時期では、大気中への静電気放電が生じ難く、計測対象とされる運転者の着衣にも静電気が溜まってしまう。着衣が帯電した運転者が車両用シート28に着座すると、静電気が心電波形のノイズ(誘導雑音)源となってしまう。
【0040】
そこで、バッファ部18には、切替部42が設けられている。切替部42は、一対の接点のうちの一方の接点がシート電極16とバッファ回路32(オペアンプOP)との間に接続され、一対の接点のうちの他方の接点が電気的に接地されている。切替部42は、一対の接点間の開閉によりシート電極16及びバッファ回路32の入力側を低インピーダンスの接地状態(接地極GNDに接続された状態)と、高インピーダンス(超高インピーダンス)となる非接地状態とに切替える。
【0041】
バッファ部18では、切替部42の一対の接点間が開放されることで、シート電極16及びオペアンプOPの入力側が非接地状態にされる。また、バッファ部18では、切替部42の一対の接点間が閉じられることでシート電極16が接地状態にされると共に、バッファ回路32の入力側が接地状態にされる。
【0042】
車両用心電検出装置10では、シート電極16が接地状態とされることで、車両用シート28に着座した運転者の着衣から静電気が除去(除電)される。なお、車両用心電検出装置10では、シート電極14に加えてシート電極16が接地状態にされることで、シート電極16によって運転者の着衣の除電が促進される。
【0043】
また、切替部42によりバッファ回路32の入力側が接地状態とされることで、差動増幅器34の入力側は、接地極GNDに電気的に接続された状態とされる。差動増幅器34は、切替部42によりシート電極16が接地状態とされることでステアリング電極12と接地極GNDとの差動信号を出力する。これにより、フィルタ増幅部36は、シート電極16が非接地状態とされると、ステアリング電極12とシート電極16との間の差動信号に応じた信号を出力し、シート電極16が接地状態とされると、ステアリング電極12と接地極GNDとの間の差動信号に応じた信号を出力する。
【0044】
一方、信号処理部38は、制御部44を備えている。信号処理部38では、CPUがメモリに予め記憶されたプログラムを実行することで制御部44の機能が実現される。制御部44は、フィルタ増幅部36の出力信号に基づいて切替部42を制御して、切替部42の接点を開閉して、シート電極16を接地状態と非接地状態とに切替える。
【0045】
制御部44は、フィルタ増幅部36の出力(差動増幅器34の差動信号をA/D変換した出力でもよい)から、運転者(の着衣)の除電が不要となったか否か、及び運転者が静電気により帯電して除電が必要となったか否かを判断する。また、制御部44は、運転者の除電が不要となったと判断すると、切替部42を非接地側(高インピーダンス側)に切替え、運転者の除電が必要となったと判定すると、切替部42を接地側(低インピーダンス側)に切替える。信号処理部38は、制御部44が切替部42を非接地側に切替えられると、差動増幅器34の差動信号から心電波形の検出(心電波形の生成)が可能になる。
【0046】
次に、第1実施形態に係る車両用心電検出装置10による運転者の心電波形の計測処理を説明する。
図4には、第1実施形態に係る心電計測処理が流れ図にて示されている。また、
図5には、運転者の着衣(運転者の穿いているズボン)を静電気によって帯電した状態における差動信号の変化の概略が線図にて示され、
図6には、
図5における主要部の差動信号(心電波形の生成に用いる信号)の変化の概略が示されている。なお、
図5及び
図6は、横軸が時間(sec)、縦軸が差動信号の電圧(V)とされている。
【0047】
車両用心電検出装置10における心電計測処理は、運転者が車両用シート28に着座してイグニッションスイッチ(エンジンスタートスイッチなどでもよい)がオン操作されることで処理が開始され、
図4のフローチャートが実行される。また、車両用心電検出装置10では、イグニッションスイッチがオフされることで、心電波形の計測処理(
図4のフローチャート)が終了する。なお、計測処理の開始及び終了は、これに限らず車両用心電検出装置10に対するオン/オフ指示や、予め設定されたタイミングを適用できる。
【0048】
図4では、最初のステップ100においてシート電極16を接地状態とするように切替部42が制御される。なお、切替部42は、予めシート電極16が接地状態となるように切替えられていてもよい。
【0049】
バッファ部18は、シート電極16が接地状態とされることで、バッファ回路32のオペアンプOPの入力側が接地状態とされる。このため、シート電極16(及びシート電極14)を介して運転者の着衣が接地される。これと共に、差動増幅器34は、ステアリング電極12と接地極GNDとの差動信号を出力する。これにより、
図5に示すように、運転者の着衣に溜まっている静電気の除去(除電)が促進されて、差動信号の低下(振幅の減少)が促進される。
【0050】
一方、制御部44には、第1基準値としてのしきい値th1、及び第2基準値としてのしきい値th2が予め設定されている。しきい値th1は、帯電状態を判定するための帯電状態の基準とされており、ステアリング電極12と接地極GNDとの差動信号が適用され、予め実行された実験結果に基づいて設定されている。このしきい値th1は、運転者の着衣の静電気が心電計測に影響を及ぼすことがない状態まで除電された際の差動信号(電圧値)を適用している。
【0051】
また、ステアリング電極12と接地極GNDとの差動信号の変化は、運転者の呼吸が大きく影響し、差動信号の変化には、呼吸による変化に心拍による変化及びノイズが重畳される。ここから、シート電極16の接地状態において、差動信号がしきい値th1以下となってからの経過時間が心拍に応じて設定した時間n(sec)以上となることで、運転者の着衣の静電気が心電計測に影響を及ぼすことがない状態に達したと判断できる。
【0052】
この時間nは、1回分の呼吸周期以上となる時間を適用でき、複数回の呼吸周期を適用することがより好ましい。また、時間nを短くすることで、心電計測の開始を早めることができ、時間nは、5sec~15sec(5sec≦n≦15sec)の範囲にできる。例えば、時間nとしては、n=10secを適用できる。
【0053】
また、車両用シート28に着座している運転者が体を動かすなどの姿勢変更を行なうと、運転者の体と着衣や着衣同士に擦れが生じて静電気が発生する。運転者の姿勢変更が大きくなると着衣に発生する静電気も大きくなって心電波形に現われ、心電波形の精度に低下が生じる。
【0054】
ここから、制御部44には、しきい値th2が設定されており、しきい値th2は、心電波形に静電気の影響(誘電雑音)が現われていると判断する基準として、予め実行された実験結果に基づいて設定されている。このしきい値th2は、ステアリング電極12とシート電極16の差動信号から得られる心電波形に静電気によるノイズ信号が影響を及ぼす電圧の最低値(最低電圧)に設定されている。このため、制御部44では、しきい値th2は、しきい値th1よりも低く設定されている(th2<th1)。
【0055】
図4に示すように、制御部44は、シート電極16を接地状態とすると、ステップ102~106において、運転者の着衣の除電が終了したか否かを判断するために、運転者の着衣の帯電状態(除電状態)を判定する。帯電状態の判定では、具体的には、ステップ102においてステアリング電極12と接地極GNDとの差動信号を読込み、ステップ104において差動信号がしきい値th1以下となったか否かを確認する。
【0056】
ここで、着衣に比して帯電量が少ないが運転者の手も帯電している。ステアリング電極12には、グランドプレーン層24Cが設けられており、グランドプレーン層24Cが接地されている。このため、運転者がステアリングホイール22を握ることで、運転者の手の静電気がグランドプレーン層24Cから放電される。
【0057】
また、ステアリング電極12には、電極層24Aと共にドリブンシールド層24Bが設けられており、電極層24Aと同様にドリブンシールド層24Bにも静電気に起因するノイズが混入するが、バッファ回路30では、電極層24Aとドリブンシールド層24Bを用いてステアリング電極12の電流信号を出力するので、電流信号において静電気に起因するノイズが抑制される。したがって、ステアリング電極12を用いることで、運転者の帯電状態(除電状態)の適切な判断が可能になる。
【0058】
制御部44は、ステアリング電極12と接地極GNDとの差動信号がしきい値th1以下となると、ステップ104において肯定判定してステップ106に移行する。このステップ106では、差動信号がしきい値th1以下となった状態から時間n以上経過したか否かを確認する。
【0059】
差動信号がしきい値th1以下となった状態から時間n以上が経過すると、運転者の着衣の除電が完了したと判断して、ステップ106において肯定判定してステップ108に移行する。
【0060】
ステップ108では、切替部42を制御してシート電極16を接地状態から非接地状態に切替える。
図5に示すように、シート電極16が非接地状態とされると、差動増幅器34の差動信号がステアリング電極12とシート電極16との差動信号に切替わる。これにより、
図6に示すように、差動信号からR波の検出が可能になり、高精度の心電波形の生成が可能になる。波形生成部40は、ステアリング電極12とシート電極16との差動信号に応じた心電波形の出力を開始する。
【0061】
一方、
図4に示すように、制御部44は、心電波形の生成が開始される(シート電極16が非接地状態とされる)と、運転者の除電が必要となったか否かを判断するために、ステップ110~112において、運転者の帯電状態を確認する。運転者の帯電状態の確認は、ステップ108の心電波形の生成処理と平行して実行され、具体的には、ステップ110において心電波形の生成に用いられる差動信号(ステアリング電極12とシート電極16との差動信号)を読込む。次のステップ112では、所定時間内(予め設定した時間内)に複数回、差動信号がしきい値th2以上となったか否かを確認する。この所定時間としては、運転者の複数回分の呼吸周期に対応する時間を適用でき、例えば、上記した時間nと同様の時間を適用できる。
【0062】
ここで、車両用シート28に着座している運転者が体を動かすなどの姿勢変更を行なうと、波形生成部40から出力される心電波形に現われる。また、運転者の姿勢変更が大きくなると、運転者の着衣に静電気が発生する。運転者の着衣の静電気が少ない状態では、シート電極14を介して除電できるが、運転者の姿勢変更が大きくなるとシート電極14では、除電できなくなる(除電し切れなくなる)。このため、運転者の姿勢変更が大きくて、運転者の着衣に静電気が溜まると、運転者の着衣の静電気に起因するノイズがシート電極16の電流信号に含まれ、差動信号に連続して現われる。
【0063】
ここから、所定時間内に複数回連続して差動信号の振幅(電圧)がしきい値th2以上となったことが検出されると、運転者の着衣が静電気によって帯電し、運転者の着衣の除電が必要となったと判断し、ステップ112において肯定判定してステップ100に移行する。
【0064】
これにより、切替部42によりシート電極16を非接地状態から接地状態に切替え(ステップ100)、運転者の着衣からの除電を開始する(除電の促進を開始する)。この後、ステップ102に移行することで、シート電極16を用いた運転者の着衣の除電促進を図りながら、ステアリング電極12を用いて除電状態の確認が行われる。
【0065】
このように、車両用心電検出装置10では、心電波形の生成に先立って、シート電極16を接地状態にすることで、運転者の除電を行なうので、運転者の除電を促進できて、除電に要する時間を短縮できる。また、運転者の除電の終了の確認には、ステアリング電極12と接地極GNDとの差動信号が用いられるので、除電が終了したことを的確に確認できる。しかも、予め設定したしきい値th1を用いて除電状態を判断するので、除電状態を適正に判断できる。
【0066】
さらに、除電が終了すると、切替部42によりシート電極16の接地状態から非接地状態に切替えられて、ステアリング電極12とシート電極16との差動信号に応じた心電波形の生成が開始される。これにより、適切なタイミングで心電波形の生成を開始できて、除電が終了した状態を予測して心電波形の生成を開始する場合に比べて、迅速に心電波形の生成を開始できると共に、静電気の影響を受けない高精度の心電波形を生成できる。
【0067】
一方、車両用心電検出装置10では、心電波形の生成を開始すると、ステアリング電極12とシート電極16との差動信号を用いて、運転者が除電の必要な帯電状態となったか否かを判断する。また、運転者の除電が必要となったと判断すると、切替部42によりシート電極16を非接地状態から接地状態に切替える。これにより、シート電極16が接地状態とされるので、運転者の除電を促進できる。
【0068】
また、シート電極16を接地状態とすることで、ステアリング電極12とシート電極16との差動信号を用いた心電波形の生成が中断されるので、精度の低い心電波形が生成されるのを抑制できる。また、除電が終了すると、心電波形の生成が開始されるので、高精度の心電波形を生成できる。しかも、予め設定したしきい値th2を用いて運転者の帯電状態を判断するので、運転者が帯電したことを適正に判断できる。
【0069】
一方、切替部42は、差動増幅器34の前段のバッファ回路32とシート電極16との接続部を接地状態と非接地状態とに切替える。このため、ステアリング電極12と接地極GNDとの差動信号を検出するために、差動増幅器34の入力側をシート電極16と接地極GNDとに切替えるための構成を不要にでき、かつシート電極16の非接地状態と接地状態とに合わせた的確な切替えが可能になる。
【0070】
〔第2実施形態〕
次に第2実施形態を説明する。
図7には、第2実施形態に係る車両用心電検出装置50が概略構成図にて示されている。なお、第2実施形態では、第1実施形態と同様の機能部品については、第1実施形態と同様の符号を付与して詳細な説明を省略する。
【0071】
第2実施形態において車両用心電検出装置50は、車両用心電検出装置10に替えて用いられている。車両用心電検出装置50は、帯電状態検出部としてのカメラ52、及びカメラ52の撮影画像に対して所定の画像処理を行なう画像処理部54を備える点で、車両用心電検出装置10と相違する。
【0072】
カメラ52は、運転者が除電の必要な帯電状態となったか否かを判断するために運転者を撮像する撮像手段として用いられる。なお、第2実施形態では、運転者が除電の必要な帯電状態となったか否かを判断するための帯電情報として、カメラ52の撮影画像を用いて説明するが、帯電情報は、これに限るものではない。運転者の体が動くことで静電気が発生して、発生した静電気が着衣に溜まる。ここから、帯電情報は、着衣に静電気が溜まるような動作を運転者がしたか否かを判断できる情報であればよく、例えば、帯電情報は、車両用シート28に設けて運転者の体動による圧力変化を検出する圧力センサなどを用いて取得してもよい。
【0073】
カメラ52は、車両用シート28に着座した運転者の体(衣服を着用した胴体部分)の動きの大きさを判別可能の映像の撮影が可能であればよい。また、カメラ52は、車室内において運転者が着座する車両用シート28の車両前側において運転者の腰部から上の部分(少なくとも両肩までの部分)を撮像領域に含まれるように配置されればよく、ルームミラーに設けられてもよく、インストルメントパネルやルーフのフロントウインドガラス側部分に設けられてもよい。
【0074】
信号処理部38には、画像処理部54が設けられており、画像処理部54には、カメラ52が接続されている。画像処理部54は、カメラ52の撮影画像に対して画像処理を行なって運転者の胴体の輪郭を抽出し、運転者の胴体の輪郭の変化の大きさ(移動量など)などを帯電情報として取得し、取得した帯電情報を制御部44に出力する。
【0075】
制御部44は、画像処理部54から入力される帯電情報から、運転者が帯電したと判断するか、運転者が帯電した可能性が高いと判断すると、ステアリング電極12とシート電極16との差動信号を用いて、運転者が心電波形に影響する帯電状態となったか否かを確認する。また、制御部44は、運転者が心電波形に影響する帯電状態となったことが確認されると、切替部42を制御してシート電極16を接地状態とすることで、運転者の除電を行なう。
【0076】
図8には、第2実施形態に係る車両用心電検出装置50の心電計測処理が示されている。このフローチャートは、第2実施形態において、第1実施形態の
図4のフローチャートに変えて実行される。
【0077】
図8に示すように、車両用心電検出装置50では、運転者の除電が終了したことを確認し、シート電極16を接地状態から非接地状態に切替えて心電波形の生成を開始する(ステップ108)と、運転者が除電の必要な帯電状態となったか否かの判断を開始する。この判断は、心電波形の生成処理と平行して実行される。
【0078】
運転者が除電の必要な帯電状態となったか否かの判断は、具体的には、ステップ120においてカメラ52により撮像された運転者の撮影画像を読込んで運転者の体動が検出されたか否かを確認する。運転者の体動とは、運転者の体に静電気を生じさせると共に、発生した静電気が溜まってしまうような動きをいう。
【0079】
ここで、車両用シート28に着座した運転者の体が大きく動くことで、運転者の体と着衣や着衣同士が擦れて静電気が発生して、発生した静電気が着衣に溜まってしまう。また、運転者の体が小刻みに動いた場合であっても、運転者の体と着衣や着衣同士が長い時間擦れることで静電気が発生して、発生した静電気が着衣に溜まってしまう。これらの場合、運転者の着衣に除電が必要なほどに静電気が溜まっている可能性があるとして運転者が帯電する可能性のある体動があったと判断されて、ステップ120において肯定判定してステップ122に移行する。
【0080】
運転者が体動するとステアリング電極12とシート電極16との差動信号に変化が生じ、心電波形に影響を及ぼすことがある。ここから、ステップ122では、心電波形の生成を一時中断する。次のステップ124では、カメラ52の撮影画像から運転者の体動が収まったか否かを確認し、運転者の体動が収まったと判断されると、肯定判定してステップ110に移行する。
【0081】
これにより、ステアリング電極12とシート電極16との差動信号を用いた運転者の帯電状態が判断される(ステップ110、112)。これにより、運転者が帯電して、除電が必要であると判断される(ステップ112で肯定判定)と、ステップ100に移行して、運転者の除電を開始する。
【0082】
これに対して、運転者が除電の必要な帯電状態に達していないと判断されると、ステップ112で否定判定して、ステップ126に移行する。このステップ126では、中断していた心電波形の生成を再開する。
【0083】
これにより、車両用心電検出装置50は、車両用心電検出装置10と同様の効果を奏することができる。
【0084】
一方、車両用シート28に着座している運転者が体を動かすなどの姿勢変更を行なうと、ステアリング電極12とシート電極16との差動信号に運転者の体動に起因する変化が現われる。このため、運転者の体動が波形生成部40から出力される心電波形に影響を与える。
【0085】
ここで、車両用心電検出装置50では、カメラ52によって運転者の所定以上の体動が検出されると、心電波形の生成を一時停止する。これにより、運転者の体動に起因して精度に低下が生じた心電波形が出力されてしまうのを抑制できる。
【0086】
また、運転者の体動が長くなった場合、運転者が除電の必要な帯電状態となっていないにもかかわらず、ステアリング電極12とシート電極16との差動信号が連続してしきい値th2以上となってしまうことがある。これにより、シート電極16が非接地状態から接地状態に切替えられると、シート電極16が接地状態から非接地状態に切替わるまでは、運転者の除電が必要ないにもかかわらず、心電波形の生成が中断されてしまう。
【0087】
これに対して、車両用心電検出装置50では、運転者の体動が検出されると、体動が収まるまで心電波形の生成を停止(中断)するが、運転者の体動が収まりかつ運転者に除電が必要な帯電状態となっていなければ、心電波形の生成を開始できる。
【0088】
これにより、車両用心電検出装置50では、運転者が除電の必要となるまで帯電していないにもかかわらず、運転者の除電が終了しているか否かの確認のために心電波形の生成が一時停止(中断)してしまうのを抑制できる。しかも、運転者に除電が必要な帯電状態となっていると、心電波形の生成を開始せずに、シート電極16を接地して運転者の除電を行い、運転者の除電が終了してから心電波形の生成を開始するので、高精度の心電波形を生成できる。
【0089】
なお、車両用心電検出装置50は、カメラ52の撮影画像(圧力センサなどの他の検出手段が用いられてもよい)から運転者に除電の必要な体動(姿勢変更)があったか否かを確認した。しかしながら、冬季などの空気が乾燥した時期は、大気中への静電気放電がし難く、運転者の体に静電気が溜まり易い。例えば、日射のある冬季等では、雨天などの場合に比較し運転者の体動が小さい場合であっても、運転者が帯電する可能性がある。ここから、車両の走行環境等の検出し、検出した走行環境を含めて運転者に除電が必要な帯電状態になったか否かを判断するようにしてもよい。
【0090】
なお、以上説明した第1実施形態及び第2実施形態では、検出部として差動増幅器34を設け差動増幅器34がステアリング電極12とシート電極16との差動信号及びステアリング電極12と接地極GNDとの差動信号を検出した。しかしながら、第1電極部と第2電極部との差動信号(差動電圧)を検出する検出部とは別に、第1電極部と接地極との差動信号を検出する検出部が設けられてもよい。
【符号の説明】
【0091】
10、50・・・車両用心電検出装置、12・・・ステアリング電極(第1電極部)、16・・・シート電極(第2電極部)、20・・・心電波形生成装置、22・・・ステアリングホイール(ステアリング体)、24A・・・電極層(第1導電層)、24B・・・ドリブンシールド層(第2導電層)、24C・・・グランドプレーン層(第3導電層)、26A・・・第1絶縁層、26B・・・第2絶縁層、28・・・車両用シート(座席)、34・・・差動増幅器(検出部)、42・・・切替部、44・・・制御部、52・・・カメラ(帯電情報検出部)。