(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-23
(45)【発行日】2024-01-31
(54)【発明の名称】ゲームプログラムならびにゲームシステム
(51)【国際特許分類】
A63F 13/69 20140101AFI20240124BHJP
A63F 13/533 20140101ALI20240124BHJP
A63F 13/58 20140101ALI20240124BHJP
【FI】
A63F13/69 510
A63F13/69
A63F13/533
A63F13/58
(21)【出願番号】P 2019106918
(22)【出願日】2019-06-07
【審査請求日】2020-02-27
【審判番号】
【審判請求日】2021-11-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000129149
【氏名又は名称】株式会社カプコン
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 大将
【合議体】
【審判長】藤本 義仁
【審判官】松田 直也
【審判官】古屋野 浩志
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-187400(JP,A)
【文献】特開2015-205048(JP,A)
【文献】「「LINE:ディズニー トイカンパニー」本日より事前登録スタート!」,LINE GAME BLOG [online],2019年 3月 4日,[2021年2月19日検索],URL,http://game-blog.line.me/archives/54944991.html
【文献】モンスターストライク 最強攻略BOOK X,株式会社宝島社,2017年 8月24日,p.5
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 9/24
A63F 13/00 - 13/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
サーバ装置および複数のゲーム装置にて構成されるゲームシステムを、
抽選権を有するユーザの操作に応じて、複数のゲーム媒体の中から1以上の前記ゲーム媒体を
イベントにおいて実行される抽選により選択する抽選処理、を行う抽選実行手段と、
前記ゲーム媒体を使用してゲームを実行可能なゲーム実行手段と、
前記ゲームに
おいて前記イベントの開催前に前記ユーザに対して事前告知される1以上のイベントの開催予告を報知部
から前記ユーザに対して報知させる報知制御手段と、
前記イベントの開催前における事前受付期間の間に、前記ユーザの操作に応じて
、前記報知がされた前記イベントへの参加要求を受け付ける事前受付処理が可能な受付手段と、
前記受付手段が前記事前受付処理を行った場合、前記参加要求の操作を行った前記ユーザに対し、前記事前受付処理の結果として前記抽選権を付与する付与手段と、
付与対象変化手段、
として機能させ
るゲームプログラムにおいて、
前記付与手段は、前記受付手段が前記事前受付処理を行った場合、前記参加要求の操作を行った前記ユーザに対し、前記抽選権とは別途、前記事前受付処理を行ったことに対する恩恵として特典を更に付与し、
前記付与対象変化手段は、前記ユーザごとの前記事前受付処理の実行回数に応じて、
前記抽選権のレベルと前記特典の内容の双方を前記ユーザごとに変化させるか、または前記抽選権のレベルのみを前記ユーザごとに変化させ、
前記実行回数は、前記ユーザが開催前の前記イベントに参加要求を行った回数で
あり、
前記ゲームプログラムは、前記サーバ装置を前記抽選実行手段、前記受付手段、前記付与手段、前記付与対象変化手段として機能させるとともに、前記ゲーム装置を前記ゲーム実行手段、前記報知部、前記報知制御手段として機能させる
ことを特徴とする、ゲームプログラム。
【請求項2】
前記付与手段は、前記事前受付処理の実行完了時に、前記事前受付処理の結果としての前記抽選権を付与する
ことを特徴とする、請求項1に記載のゲームプログラム。
【請求項3】
前記付与手段は、前記事前受付処理の実行完了時に、前記特典を付与する
ことを特徴とする、請求項1に記載のゲームプログラム。
【請求項4】
前記特典は、前記事前受付処理により付与された前記抽選権に基づいて前記抽選処理が行われた結果選択された前記ゲーム媒体(以下、所定ゲーム媒体
)に関するパラメータを変化させる処理内容を示した情報であって、
コンピュータを、
前記特典に基づいて、前記所定ゲーム媒体の前記パラメータを変化させるパラメータ変化手段、
として更に機能させることを特徴とする、
請求項1または請求項3に記載のゲームプログラム。
【請求項5】
前記特典は、前記事前受付処理が実行されたことによって
前記報知部に演出によって報知されることであって、
前記報知制御手段は、前記特典の付与時または付与後に、
前記演出によって前記報知部に報知させる
ことを特徴とする、請求項1または請求項3に記載のゲームプログラム。
【請求項6】
コンピュータを、
前記受付手段による前記参加要求の受け付け時期が、前記事前受付期間の開始時期に近い程、前記特典の内容を強化させる強化手段、
として更に機能させる
ことを特徴とする、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のゲームプログラム。
【請求項7】
前記付与手段は、前記特典の付与から一定期間経過後、前記特典を消去させる
ことを特徴とする、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のゲームプログラム。
【請求項8】
前記抽選権は、前記受付手段が受け付けた前記参加要求に対応する前記イベントにおいて、前記抽選実行手段が前記抽選処理を実行するための権利である
ことを特徴とする、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のゲームプログラム。
【請求項9】
サーバ装置および複数のゲーム装置を備え、
前記サーバ装置および前記複数のゲーム装置は、請求項1から請求項8のいずれかに記載のゲームプログラムを共働して実行する
ゲームシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゲームプログラムおよびゲームシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
ゲーム内では、ゲームを有利に進めるために、キャラクタやアイテムなどのゲーム媒体が使用されることがある。このゲーム媒体は、特許文献1に示すように、ユーザからの抽選要求に基づく抽選処理(いわゆるガチャ)によってユーザに付与される。
【0003】
また、ゲームでは、ガチャイベント等の、様々なイベントが開催される場合がある。イベントが開催される旨は、開催予定日時と共に事前告知される。非特許文献1には、この告知を基にユーザが通知設定を行うことで、所望するイベントが実際に開催された際にはその旨をユーザに知らせる機能が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【非特許文献】
【0005】
【文献】株式会社ミクシィ、“モンスターストライク ガチャ予約”、[令和元年5月7日検索]、インターネット<URL:https://www.monster-strike.com/news/20170420_2.html>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
非特許文献1では、ユーザは、イベント開催後のお知らせによって、イベントが開催されたことを知ることができる。そのイベントに実際に参加するのであれば、ユーザは、ゲーム装置を介してそのイベントにアクセスする必要がある。すると、事前告知の段階では興味を持ったものの、実際に開催されるまでの間に興味が失せてしまい、その結果ユーザはイベントに参加しないことが考えられる。
【0007】
また、非特許文献1では、ユーザの参加が確約されてはいないため、イベントの運営側は、実際にイベントを開催させない限りユーザの参加状況を把握することが困難である。
【0008】
本発明の目的は、イベントの開催前から、そのイベントへのユーザの興味を持続させることができるゲームプログラムおよびゲームシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の発明は、コンピュータを、
抽選権を有するユーザの操作に応じて、複数のゲーム媒体の中から1以上の前記ゲーム媒体を抽選により選択する抽選処理、を行う抽選実行手段と、
前記ゲーム媒体を使用してゲームを実行可能なゲーム実行手段と、
前記ゲームに関するイベントの開催予告を報知部に報知させる報知制御手段と、
前記イベントの開催前における事前受付期間の間に、前記ユーザの操作に応じて前記イベントへの参加要求を受け付ける事前受付処理が可能な受付手段と、
前記受付手段が前記事前受付処理を行った場合、前記参加要求の操作を行った前記ユーザに対し、前記事前受付処理の結果として前記抽選権を付与する付与手段と
として機能させることを特徴とする、ゲームプログラムである。
【0010】
また、第1の発明では、前記付与手段は、前記事前受付処理の実行完了時に、前記事前受付処理の結果としての前記抽選権を付与するか、または、前記事前受付処理の結果としての前記抽選権の付与を確約することができる。
【0011】
また、第1の発明では、前記付与手段は、前記受付手段が前記事前受付処理を行った場合、前記参加要求の操作を行った前記ユーザに対し、前記抽選権とは別途、前記事前受付処理を行ったことに対する恩恵として特典を更に付与することができる。
【0012】
また、第1の発明では、前記付与手段は、前記事前受付処理の実行完了時に、前記特典を付与するか、または、前記特典の付与を確約することができる。
【0013】
また、第1の発明では、前記特典は、前記事前受付処理により付与された前記抽選権に基づいて前記抽選処理が行われた結果選択された前記ゲーム媒体(以下、所定ゲーム媒体)、に関するパラメータを変化させる処理内容を示した情報であって、
コンピュータを、
前記特典に基づいて、前記所定ゲーム媒体の前記パラメータを変化させるパラメータ変化手段、
として更に機能させることができる。
【0014】
また、第1の発明では、前記特典は、前記事前受付処理が実行されたことによって前記報知部に報知される演出であって、
前記報知制御手段は、前記特典の付与時または付与後に、前記演出を前記報知部に報知させることができる。
【0015】
また、第1の発明では、コンピュータを、
前記事前受付処理の実行回数に応じて、前記抽選権および/または前記特典の内容を変化させる付与対象変化手段、
として更に機能させることができる。
【0016】
また、第1の発明では、コンピュータを、
前記受付手段による前記参加要求の受け付け時期が、前記事前受付期間の開始時期に近い程、前記特典の内容を強化させる強化手段、
として更に機能させることができる。
【0017】
また、第1の発明では、前記付与手段は、前記特典の付与から一定期間経過後、前記特典を消去させることができる。
【0018】
また、第1の発明では、前記抽選権は、前記受付手段が受け付けた前記参加要求に対応する前記イベントにおいて、前記抽選実行手段が前記抽選処理を実行するための権利であることができる。
【0019】
第2の発明は、第1の発明に記載のゲームプログラムを記憶した記憶部と
前記ゲームプログラムを実行するコンピュータと
を備えるゲームシステムである。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、事前受付期間の間に、ユーザの操作に応じたイベントへの参加要求に基づく事前受付処理が行われると、そのユーザに対し、事前受付処理の結果として抽選権が付与される。これにより、そのイベントへのユーザの参加が確約された状態となる。抽選権が確実にユーザに付与されることにより、ユーザのイベントへの興味が持続する。その結果、イベントへのユーザの参加率は向上する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本実施形態におけるゲームシステムのハードウェア構成および機能的構成を示すブロック図である。
【
図5】所定ゲーム媒体のパラメータが変化する前後を示す概念図である。
【
図6】事前受付処理の実行回数に応じて抽選権の内容が変化する動作の説明図である。
【
図7】参加要求が行われた時期に対する特典の強化度合を表した概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
[実施形態]
本実施形態にかかるゲームシステム1およびゲームプログラムについて、図面を参照して説明する。
【0023】
<ゲームの説明>
図1に示す本実施形態のゲームシステム1では、サーバ装置2および複数のゲーム装置5が通信ネットワーク6を介して互いに通信可能に接続されている。
【0024】
本実施形態で説明するゲームは、前記ゲームシステム1にて実行されるオンラインゲームである。前記ゲームでは、ゲーム装置5のユーザは、1または複数のキャラクタ(プレイヤキャラクタまたはノンプレイヤキャラクタ)を仮想ゲーム空間で活動させたり、キャラクタを敵キャラクタと対戦させたりする。その際、ゲーム媒体を適宜利用して、例えば提示された課題(クエスト)をクリアすることによってゲームが進められる。
【0025】
前記ゲーム媒体は、ゲームに関する要素を表した電子データであって、キャラクタ、キャラクタが仮想ゲーム空間内にて使用するアイテム(武器、防具、道具)などが含まれる。ユーザは、前記ゲーム媒体を、課金による直接購入、クエストのクリア、ガチャと呼ばれる仕組みを用いた方法によって入手することができる。入手したゲーム媒体は、そのゲーム媒体を所有することとなったユーザの識別情報と対応づけて、ユーザDB221(後述)に記憶され管理される。
【0026】
ここで、ガチャとは、サーバ装置2にて、抽選リスト222(後述)の中から、所定の選択確率に基づきゲーム媒体を抽選により選択する方法である。選択されたゲーム媒体は、ユーザに付与される。ユーザは、消費媒体の消費指示や、ガチャを引く権利の使用指示を行うことで、ガチャを引くことができる。
【0027】
消費媒体は、ゲーム内で使用可能な通貨やポイントなどであって、ゲームを進めるにあたりゲーム内で消費される媒体である。消費媒体は、クエストのクリア報酬として、また、現実社会での課金により、ユーザに付与される。
【0028】
なお、“ガチャで選択したゲーム媒体を、ユーザに付与する/ユーザが所有する”とは、「抽選処理で選択されたゲーム媒体を、ユーザの識別情報と関連づける/関連づけられている」ことと同義である。
【0029】
なお、本実施形態では、上述した“ガチャを引く権利”を「抽選権」と言う。抽選権は、例えば、ゲーム媒体「ガチャチケット」の形態にて、所有している状態をユーザが確認できるようにゲーム装置5のディスプレイ61上に表示される。抽選権を所有するユーザは、ガチャを引く操作を自ら行うことができる。
【0030】
また、前記ゲーム内では、ガチャイベントやトーナメント対戦イベント、プログラムのアップデートなどの、ゲームに関する様々なイベントが開催されるイベントの情報(開催期間、イベントの内容など)は、イベント開催前にユーザに対して事前告知される。
【0031】
しかし、事前告知から実際に開催されるまでの間には、ある程度の期間がある。すると、イベントに対し当初抱いていた興味が次第に薄れ、開催されたイベントにユーザが参加しない場合がある。また、開催予定のイベントの数が多いと、個々のイベントが開催される都度そのイベントにゲーム装置5を介して参加することを、ユーザは面倒に感じ、イベントへの参加機会が少なくなることもある。このような状況では、実際にイベントを開催させないと、ゲームへの興趣性を高めるにあたってそのイベントがどの程度効果的であるかをイベントの運営側が把握することは、困難である。
【0032】
これに対し、本実施形態のゲームシステム1およびゲームプログラムは、イベントの事前告知(開催予告)に対しユーザがゲーム装置5にて行った操作に応じて、そのイベントへの参加要求を事前に受け付けた場合、当該操作を行ったユーザに抽選権を付与する機能を有する。この機能により、ユーザのイベントへの参加は確約されるとともに、ユーザのイベントへの興味は持続する。更に、ゲームシステム1およびゲームプログラムは、イベントの開催前に参加要求の元となる操作を行ったユーザに対して、抽選権とは別途、特典を付与する機能も有する。
【0033】
このようなゲームは、プレイステーション(登録商標)などの家庭用ゲーム機、PlayStation Vita(登録商標)などの携帯ゲーム機、スマートフォン、タブレット、パーソナルコンピュータなどのゲーム装置5を用いて実行される。以下では、ゲーム装置5が、スマートフォンである場合を例示する。
【0034】
<ゲームシステム1の概要>
ゲームシステム1は、サーバ装置2および複数のゲーム装置5にて構成される。
【0035】
サーバ装置2は、ゲームプログラムおよびゲームデータを記憶しており、ゲーム装置5の(下記のアカウント情報毎の)ゲームデータの管理を行う。
【0036】
ゲーム装置5は、ユーザの操作に基づいて所定のゲームを実行する。そのために、ゲーム装置5は、通信ネットワーク6を介してサーバ装置2からゲームプログラムおよびゲームデータを受信(具体的にはダウンロードおよびインストール)する。
【0037】
なお、ゲーム装置5は、ゲームを進行するにあたり、先ずはサーバ装置2にログインする。各ユーザには、ゲーム装置5に対応づけて、ユーザ毎の識別情報(ユーザID)およびパスワードを含むアカウント情報が割り当てられている。このアカウント情報は、ログイン時、ゲーム装置5からサーバ装置2に送信され、サーバ装置2におけるユーザ認証に利用される。
【0038】
ユーザ認証を経て、サーバ装置2とゲーム装置5との相互通信が可能となる。ログイン後、ゲーム装置5は、ゲーム進行に必要なデータ(ゲーム進行状況に関するデータ)をサーバ装置2から受信すると、ユーザの操作に基づいてゲーム画像や音声をディスプレイ61およびスピーカ62に出力しながら、ゲームを進行させる。
【0039】
<ハードウェア構成>
以下、サーバ装置2およびゲーム装置5の各ハードウェア構成について説明する。
【0040】
<サーバ装置2の構成>
図1に示すように、サーバ装置2は、ネットワークインターフェース21、記憶部22および制御部23を有する。ネットワークインターフェース21および記憶部22は、バス29を介して制御部23と電気的に接続されている。
【0041】
ネットワークインターフェース21は、インターネットおよびLANなどの通信ネットワーク6を介して複数のゲーム装置5と通信可能に接続される。
【0042】
記憶部22は、HDD、SSD、RAMおよびROMなどで構成される。記憶部22には、ゲームをプレイするユーザそれぞれのアカウント情報およびログイン履歴、本実施形態にかかるゲームプログラムの一部を含む各種プログラムが格納されている。また、記憶部22には、ユーザDB221、抽選リスト222およびスケジュールDB223が格納されている。
【0043】
-ユーザDB-
図2に示すように、ユーザDB221には、ゲームをプレイするユーザの識別番号ごとに、現在の消費媒体の量(コイン数)、所有するゲーム媒体の名称、現在のステータス、特典に関する情報、予約情報、予約回数が、関連づけて記憶されている。ステータスおよび特典に関する情報は、所有するゲーム媒体ごとに1レコードとして対応づけられている。
【0044】
ステータスには、攻撃力、防御力、MP、HP、スキル、レベルなどの、ゲームの攻略に直接影響を与える戦闘用パラメータと、友好度、コミュニケーション力などの、ゲームの攻略に直接的には影響を与えにくい非戦闘用パラメータと、が含まれる。即ち、ステータスは、対応するゲーム媒体が有する、ゲームに関するパラメータである。
【0045】
特典に関する情報とは、イベントの事前受付を行った際に、抽選権とは別途ユーザに付与された特典の、名称および内容などを含んだ情報である。例えば、特典に関する情報には、戦闘用パラメータまたは非戦闘用パラメータを一時的に強化すること(戦闘用/非戦闘用ステータスUP)、イベントの事前受付を行わなければ確認できない画面や音声(セリフ)を含む演出の情報、などが含まれる。
【0046】
予約情報とは、対応するユーザが事前に参加要求を行うことで事前受付がなされた状態のイベント、すなわち、対応するユーザが参加を予約した状態にあるイベント、の名称を表した情報である。予約情報に含まれるイベントのうち、開催が終了したイベントについては、予約情報から消去される。
【0047】
予約回数とは、対応するユーザが事前に参加要求を行うことにより、事前受付をこれまでに行った回数である。
【0048】
-抽選リスト-
抽選リスト222は、抽選実行手段233(後述)が抽選処理を行う際に用いるものであって、選択対象となるゲーム媒体に関する情報を複数含む。抽選リスト222では、
図3に示すように、ゲーム媒体に関する情報(名称など)と、そのゲーム媒体の抽選による選択確率とが、1レコードとして対応づけられている。
【0049】
基本的に、希少度やステータスの初期値が比較的高いゲーム媒体ほど、選択確率は低く設定されている。
【0050】
このような抽選リスト222は、用途毎に複数存在する。複数の抽選リスト222には、イベント毎のリストと、イベントとは関係のない通常ガチャ用のリストとが含まれる。抽選リスト222毎に、抽選リスト222に含まれるゲーム媒体とその選択確率は異なっている。
【0051】
-スケジュールDB-
図4に示すように、スケジュールDB223は、各種イベントのスケジュールを例えば月単位で表した情報である。スケジュールDB223には、開催期間と、ユーザからの参加要求を開催前に受け付けることが可能な事前受付期間とが、イベント毎に対応づけて記憶されている。事前受付期間は、イベント毎に、イベント運営側の担当者によって適宜設定される。
【0052】
図4では、ガチャイベントAについて、開催期間が“4/10~4/14”、事前受付期間が“4/3~4/9”に設定されている。ガチャイベントBについて、開催期間が“4/11~4/18”、事前受付期間が“4/8~4/10”に設定されている。ガチャイベントAの終了後は、開催期間が“4/19(深夜)~22”、事前受付期間が“4/17~4/19”の、プログラムアップデートのイベントが控えている。更にその後、開催期間が“4/26~4/30”、事前受付期間が“4/23~4/25”の“トーナメント対戦イベントB”が控えている。
【0053】
ユーザは、各事前受付期間内に、該当するイベントに参加する旨をゲーム装置5を介して入力することができる。
【0054】
制御部23は、CPUおよび半導体メモリを含むマイクロコンピュータで構成され、自装置2の動作を制御する。
【0055】
<サーバ装置2における制御部23の機能的構成>
制御部23は、各種プログラムを実行することにより、
図1に示すように、情報処理手段231、照合手段232、抽選実行手段233、スケジュール管理手段234、付与手段235、パラメータ変化手段236および付与対象変化手段237として機能する。
【0056】
-情報処理手段-
情報処理手段231は、各ゲーム装置5と各種データを送受信する。
【0057】
情報処理手段231が受信する前記データとしては、ゲームプログラムのダウンロード要求情報、ユーザの操作に応じたガチャの抽選要求、クエスト実行要求、アカウント情報などが挙げられる。
【0058】
情報処理手段231が送信する前記データとしては、ゲームプログラムをゲーム装置5が受信したことを確認するための情報、ゲーム媒体に関する情報、事前受付期間を含むイベントの開催告知情報、などが挙げられる。
【0059】
ゲーム媒体に関する情報には、ユーザがガチャによって取得したゲーム媒体の名称や現在のステータスなどが含まれる。
【0060】
特に、情報処理手段231は、受付手段として機能し、イベントの事前受付期間の間に、ユーザの操作に応じてゲーム装置5からイベントへの参加要求がなされた場合、これを受け付ける事前受付処理を行う。事前受付処理とは、受信したイベントへの参加要求に付加されているユーザIDを基に、ユーザを認識し、当該ユーザが後日イベントに参加する旨をユーザDB221に書き込む処理である。この事前受付処理により、当該ユーザは、イベントへの参加が予約された状態となる。
【0061】
事前受付処理のあと、情報処理手段231は、当該事前受付処理に伴ってユーザに付与された抽選権に関する情報と特典に関する情報とを、そのユーザのゲーム装置5に送信する。
【0062】
ここで、情報処理手段231が受信するデータ“ガチャの抽選要求”について説明する。ユーザがイベントに参加してガチャを引く場合、事前受付処理がなされていれば、情報処理手段231は、その事前受付処理に伴い付与された抽選権に基づくガチャの抽選要求を受信する。事前受付処理がなされていない場合、情報処理手段231は、予約せずに開催中のイベントに直接参加した状態でのガチャの抽選要求を受信する。また、情報処理手段231は、イベントとは別途、通常のガチャの抽選要求も受信することができる。
【0063】
-照合手段-
照合手段232は、ゲーム装置5から受信したアカウント情報を用いて、ユーザの認証処理を行う。
【0064】
-抽選実行手段-
情報処理手段231がガチャの抽選要求を受信した場合、抽選実行手段233は、ユーザの操作に応じて、抽選リスト222の中から、ゲーム媒体ごとの選択確率に基づいて1以上のゲーム媒体を抽選により選択する。抽選実行手段233は、選択したゲーム媒体に関する情報と、抽選要求の送信の元となる操作を行ったユーザの識別情報とを、ユーザDB221にて関連づける。この一連の処理を、抽選処理と言う。これにより、当該ユーザには、ガチャを引いた結果当選したゲーム媒体が付与される。
【0065】
上記抽選処理の実行にあたり、抽選実行手段233は、先ず、受信したガチャの抽選要求がイベントに関するものか否か、イベントに関するものであればどのイベントかを判定する。この判定結果に応じて、抽選実行手段233は、対応する抽選リスト222を選択し、選択した抽選リスト222を用いて抽選処理を行う。
【0066】
特に、ガチャの抽選要求が、イベントの事前受付処理に伴い付与された抽選権に基づく要求の場合、抽選実行手段233は、その抽選権を有するユーザの操作に応じて、抽選処理を行う。
【0067】
-スケジュール管理手段-
スケジュール管理手段234は、スケジュールDB223の管理を行う。
【0068】
イベント運営側の担当者が開催予定のイベントの情報を入力した場合、スケジュール管理手段234は、入力されたイベントに関する情報(開催期間、事前受付期間)をスケジュールDB223に書き込む。
【0069】
スケジュール管理手段234は、現在の日時が事前受付期間内となったイベントがある場合、そのイベントの事前受付を開始したり、開催期間内となったイベントがある場合、そのイベントを開催したりする。
【0070】
-付与手段-
付与手段235は、情報処理手段231が事前受付処理を行った場合、ゲーム装置5上から参加要求の操作(入力)を行ったユーザに対し、事前受付処理の結果として抽選権を付与する。すなわち、付与手段235は、開催前のイベントに対して参加予約を行ったユーザに対し、そのイベントへの参加を確約するために抽選権を付与する。従って、抽選権は、ゲーム装置5上から入力された参加要求に対応するガチャイベントなどのイベントにおいて、抽選実行手段231が抽選処理を実行するための権利と言える。これにより、イベントの開催期間内に、当該抽選権を有するユーザがガチャを引く操作を行った場合、そのガチャにて当選したゲーム媒体は、当該ユーザに付与される。
【0071】
本実施形態では、事前受付処理の結果として抽選権を付与する動作は、事前受付処理の実行完了時に行われる。
【0072】
また、付与手段235は、情報処理手段231が事前受付処理を行った場合、ゲーム装置5上から参加要求の操作(入力)を行ったユーザに対し、上記抽選権とは別途、特典を更に付与する。特典は、事前受付処理を行ったことに対する恩恵として、当該ユーザに付与される。
【0073】
具体的に、付与手段235は、
図2のユーザDB221におけるユーザIDの中から、参加要求の操作(入力)を行ったユーザのIDと同一のIDを検索し、そのIDのレコードにおける“特典に関する情報”欄に、付与するべき特典の名称など追加する。
【0074】
特典には、事前受付期間に参加予約をしなければ取得できないようなものが含まれる。以下に、特典を例示する。
(i)事前受付処理によって付与された抽選権に基づく抽選処理にて選択されたゲーム媒体(以下、所定ゲーム媒体)について、戦闘用パラメータおよび/または非戦闘用パラメータを変化させる処理の内容を記した情報。
(ii)事前受付処理が実行されたことにより、ゲーム装置5のディスプレイ61に表示される画面やスピーカ62から出力されるキャラクタの音声などを含む演出。
【0075】
上記(i)の特典には、戦闘用パラメータのHPやMPなどを一時的に上昇(強化)させたり、非戦闘用パラメータの有効度やコミュニケーション力などを一時的に上昇させたりすることが含まれる。
【0076】
上記(ii)の特典には、事前受付処理によって付与された抽選権に基づきユーザがガチャを引いた際に、予約者でしか体験できない特殊な動画やセリフ等がゲーム装置5上に現れることが含まれる。また、上記(ii)の特典には、参加要求後からイベントが実際に開催されるまでの間、ユーザの操作するプレイヤキャラクタのそばに所定のノンプレイヤキャラクタが居る演出がディスプレイ61に表示されることが含まれる。
【0077】
本実施形態では、事前受付処理の結果として特典を付与する動作は、事前受付処理の実行完了時に行われる。
【0078】
なお、特典の効力は、付与されてから一定期間に限定される。付与手段235は、特典の付与から一定期間経過後、その特典を消去させる。上記(i)(ii)のような特典が永久に継続すると、ゲームを有利に進めるには事実上イベントの開催前に参加予約をせざるを得なかったり、参加予約をしなければゲームが楽しめなくなったりしてしまう。このようにゲームバランスが崩れることをなるべく抑えるため、特典は、付与から一定期間経過後に消去される。
【0079】
なお、上記“一定期間”は、ゲーム内での時間軸ではなく、現実社会での時間軸に従って経過した期間を言う。“一定期間”は適宜設定される。
【0080】
-パラメータ変化手段-
パラメータ変化手段236は、付与された特典が上記(i)である場合、その特典に基づいて所定ゲーム媒体のパラメータを変化させて、
図2のユーザDB221内に書き込む。パラメータを変化させる動作が行われるタイミングとしては、所定ゲーム媒体と特典とが同時にユーザに付与される時、ユーザが“特典を使用する”ための操作をゲーム装置5に行った時、などが挙げられる。つまり、パラメータを変化させる動作は、前者の場合は自動的に行われ、後者の場合はユーザの操作をトリガとして行われる。
【0081】
具体的に、パラメータ変化手段236は、所定ゲーム媒体における戦闘用パラメータの攻撃力や防御力などを、一時的に一律に2倍へと上昇させるとともに新たなスキルを付与させたり(
図5(a))、非戦闘用パラメータにおける有効度やコミュニケーション力などを、一時的に約2倍へと上昇させたりする(
図5(b))。
【0082】
なお、どのパラメータをどのように変化させるかは、予め決定されている。
【0083】
-付与対象変化手段-
付与対象変化手段237は、事前受付処理の実行回数に応じて、抽選権および/または特典の内容を変化させる。
【0084】
事前受付処理の実行回数は、
図2のユーザDB221における“予約回数”に相当する。予約回数は、情報処理手段231が事前受付処理を行う毎にインクリメントされる。
【0085】
図6は、抽選権のレベルが変化する一例を表す。
図6では、予約回数が“1回”の場合、付与対象変化手段237は、抽選権のレベルを変化させない(LV1)。予約回数が“2回”“3回”のいずれかの場合、付与対象変化手段237は、抽選権のレベルを“LV1”から“LV2”に上昇させる。予約回数が“4回”“6回”のいずれかに達する毎に、付与対象変化手段237は、抽選権のレベルの上昇度合いを“LV3”“LV4”へと変化させていく。
【0086】
予約回数が“1回”から“9回”までの間に付与される特典の内容は、上記(i)(ii)のいずれかのままである。
【0087】
予約回数が上限値である“10回”に到達した場合、抽選権のレベルは最大値である“LV5”に上昇し、更に特殊なゲーム媒体が付与される。つまり、
図6では、予約回数が上限値に達した場合、抽選権のレベルの変化に加え、特典の内容も変化する。このように、特典内容の変化後、付与対象変化手段237は、
図2のユーザDB221における該当箇所に書き込み、変化後の特典を付与する。
【0088】
ここで、「抽選権のレベル」とは、当該抽選権に基づく抽選処理が行われた場合に、希少度の比較的高いゲーム媒体が所定ゲーム媒体として当選することの期待度を表したものである。抽選権のレベルが高い程、希少度の比較的高いゲーム媒体が当選し易くなる。つまり、抽選権のレベルが高い程、抽選実行手段233は、当該抽選権に基づく抽選処理にて使用される抽選リスト222内の、希少度の高いゲーム媒体の選択確率を高くして、抽選処理を行う。
【0089】
このように、事前受付処理の実行回数(予約回数)に応じて、抽選権および/または特典の内容を変化させることにより、ユーザは、抽選権や特典の変化を目的の1つとして、様々なイベントの開催前から積極的に参加要求を行うようになる。また、抽選権や特典の変化により、ユーザは、ゲームをより有利に進行させたり、ゲームへの親しみをより感じたりすることができる。従って、ユーザの、ゲームに対する興趣性が更に向上する。
【0090】
なお、予約回数が上限値である“10回”に達した場合、付与対象変化手段237は、その予約回数をリセットする。
【0091】
また、
図7は、特典の内容が変化する他例を表す。
図7に示すように、とあるイベントに対する参加要求を情報処理手段231が受信した時期が、そのイベントの事前受付期間の開始時期に近い程、付与対象変化手段237は、その参加要求に応じて付与する特典の内容を強化させる。付与対象変化手段237は、強化後の特典の内容を、
図2のユーザDB221における“特典に関する情報”の該当箇所に書き込む。
【0092】
「特典の内容を強化」としては、例えば以下が挙げられる。
(a)特典が上記(i)の場合、ゲームがより有利に進められるように、特典の強化前よりも、パラメータの上昇幅を大きくしたり、付与されるスキルを増やしたり強くしたりする。
(b)特典が上記(ii)の場合、ゲームへの面白みをより持たせるように、特典の強化前よりも、演出の内容を更に深くしたり長くしたりする。
(c)強化前は特典が上記(i)のみまたは上記(ii)のみの場合、特典が上記(i)と上記(ii)の双方となるように、特典を増やす。
【0093】
これにより、ユーザは、特典の内容強化を目的の1つとして、イベントの事前受付期間が開始されれば、なるべく早くに参加要求を入力するようになる。
【0094】
なお、本実施形態では、抽選権および/または特典の内容の変化処理は、抽選権および/または特典をユーザに付与する直前に、これから付与しようとしている抽選権および/または特典に対して行われる場合を例示する。
【0095】
<ゲーム装置5の構成>
複数のゲーム装置5は、いずれも同様の構成を有する。
【0096】
ゲーム装置5には、ディスプレイ61、スピーカ62およびタッチパッド63が外部接続または内蔵される。また、ゲーム装置5は、ネットワークインターフェース51、グラフィック処理部52、オーディオ処理部53、操作部54、記憶部55および制御部56を有する。ネットワークインターフェース51、グラフィック処理部52、オーディオ処理部53、操作部54および記憶部55は、バス59を介して制御部56と電気的に接続されている。
【0097】
ネットワークインターフェース51は、ゲーム装置5とサーバ装置2との間で各種データを送受信するために、通信ネットワーク6に通信可能に接続される。
【0098】
グラフィック処理部52は、制御部56から出力されるゲーム画像情報に従って、キャラクタおよび仮想ゲーム空間に関する各種オブジェクトを含むゲーム画像を、動画形式で描画する。グラフィック処理部52は、例えば液晶型であるディスプレイ61と接続されており、動画形式に描画されたゲーム画像は、ゲーム画面としてディスプレイ61上に表示される。
【0099】
オーディオ処理部53は、スピーカ62と接続され、制御部56の指示に従ってゲーム音声を再生および合成すると、これをスピーカ62から出力させる。
【0100】
操作部54は、タッチパッド63と接続され、操作入力に関するデータをタッチパッド63との間で送受信する。ユーザは、タッチパッド63をタッチすることで、ゲーム装置5に操作信号を入力する。
【0101】
記憶部55は、HDD、SSD、RAMおよびROMなどで構成される。記憶部55には、サーバ装置2からダウンロードしたゲームデータ、ゲームプログラムの一部を含む各種プログラム、自装置5のアカウント情報などが格納されている。
【0102】
制御部56は、CPUおよび半導体メモリを含むマイクロコンピュータで構成され、自装置5の動作を制御する。
【0103】
<ゲーム装置5における制御部56の機能的構成>
制御部56は、各種プログラムを実行することにより、通信手段561、ゲーム実行手段562および報知制御手段563として機能する。
【0104】
-通信手段-
通信手段561は、ネットワークインターフェース51を介してサーバ装置2との通信を行う機能である。
【0105】
通信手段561は、操作部54がタッチパッド63から受信した各種操作信号に応じて、サーバ装置2が把握可能な情報を生成して送信する。例えば、通信手段561は、アカウント情報、ゲームデータのダウンロード要求情報、クエスト実行要求、ガチャの抽選要求、イベントへの参加要求などを、サーバ装置2に送信する。
【0106】
通信手段561は、ダウンロード要求情報に応じてサーバ装置2から送られてきたゲームデータ、ゲーム媒体に関する情報、イベントの開催告知情報、付与された抽選権に関する情報および特典に関する情報などを、サーバ装置2から受信する。
【0107】
-ゲーム実行手段-
ゲーム実行手段562は、自装置5のユーザによるタッチパッド63の操作に従って、ゲームデータに含まれる仮想ゲーム空間オブジェクトおよびテクスチャなどのデータを記憶部55から読み出すかまたはサーバ装置2から受信したデータを用いて、ゲームプログラムを実行しつつ、二次元または三次元のゲーム画像情報を生成する。ゲーム画像情報がグラフィック処理部52によって処理されることにより、ディスプレイ61には処理後のゲーム画像が逐次表示される。
【0108】
そして、ゲーム実行手段562は、ゲーム画像上に、自装置5のユーザの操作に従ってキャラクタを配置させ、そのユーザの操作およびゲームの進行状況に応じて仮想ゲーム空間におけるキャラクタの行動を制御する。
【0109】
ゲーム実行手段562は、ユーザが所有するゲーム媒体(所定ゲーム媒体を含む)を適宜使用して、ゲームを実行する。
【0110】
-報知制御手段-
報知制御手段563は、ゲームの実行にあたり、自装置5のユーザの操作などに応じてディスプレイ61の表示制御およびスピーカ62の音声出力制御を行う。例えば、報知制御手段563は、
図8(a)のイベント開催告知画面sc1、
図8(b)の抽選処理の実行画面sc2、
図9(c)の抽選結果お知らせ画面sc3、
図9(d)の特典演出画面sc4を、ディスプレイ61に表示させる。
【0111】
イベント開催告知画面sc1は、今後開催されるイベントそれぞれについての、事前受付期間および開催期間を表示する画面である。現在、事前受付中であるイベントについては、予約ボタンb1が選択可能に表示される。ユーザは、参加を希望するイベントの予約ボタンb1を選択することで、そのイベントへの参加要求を入力することができる。入力された参加要求は、入力したユーザのIDが付加された状態で、通信手段561を介してサーバ装置2に送信される。
【0112】
また、イベント開催告知画面sc1では、ユーザが予約ボタンb1を選択した時に、「イベントA楽しみだね」とのセリフが、スピーカ62から出力される。このセリフの出力は、予約ボタンb1が選択されたことによって事前受付処理が完了したために、ユーザに付与された特典の1つである。
【0113】
抽選処理の実行画面sc2は、抽選処理の際、ユーザによるガチャを引く操作を受け付けるために、ゲーム装置5に表示される。抽選処理が、開催中のイベントに関して行われるものの場合、実行画面sc2には、そのイベント名b2が表示されるとともに、そのイベント内にてガチャを引くためのボタンb3が選択可能に表示される。このボタンb3が選択されると、通信手段561は、イベントに対応するガチャの抽選要求をサーバ装置2に送信する。
【0114】
特に、そのイベントについて事前受付処理が行われている場合、実行画面sc2には、事前に参加予約済みのイベントである旨を表すメッセージb4が、更に表示される。
【0115】
お知らせ画面sc3は、
図8(b)の実行画面sc2を経て抽選処理が行われた後に、その抽選処理にて当選したゲーム媒体(所定ゲーム媒体)に関する情報b5を表示する画面である。お知らせ画面sc3には、特典に関する情報b6として、所定ゲーム媒体のパラメータが上昇した旨も表示されている。
【0116】
特典演出画面sc4は、特典が上記(ii)である場合に、付与手段235がユーザに特典を付与する処理を行った以降からイベント開始までの間に、ディスプレイ61に表示される画面である。
【0117】
<ゲームシステム1の動作の流れ>
主に、上述した事前受付処理を含むゲームシステム1の動作の流れについて、
図10を用いて説明する。
【0118】
サーバ装置2のスケジュール管理手段234は、スケジュールDB223を基に、イベントの開催告知情報を生成する(ステップst1)。開始告知情報には、イベント毎の、イベントの内容、事前受付期間および開催期間が含まれる。情報処理手段231は、イベントの開催告知情報を、複数のゲーム装置5にブロードキャストする。
【0119】
イベントの開催告知情報を受信したゲーム装置5の報知制御手段563は、イベント開催告知画面sc1の画面データを生成して、
図8(a)に示すようにディスプレイ61に表示させる(ステップst2)。イベント開催告知画面sc1には、既に事前受付期間中であるイベントに対応するようにして、予約ボタンb1が選択可能に表示される。
【0120】
ユーザがゲーム装置5を介して予約ボタンb1を選択すると(ステップst3)、通信手段561は、選択された予約ボタンb1に対応するイベントへの参加要求を、当該ユーザのIDを付加させた状態にてサーバ装置2に送信する。
【0121】
サーバ装置2の情報処理手段231は、イベントへの参加要求を受信すると(ステップst4)、事前受付処理を行い、ユーザDB221内の予約回数をインクリメントする(ステップst5)。情報処理手段231は、事前受付処理の結果として抽選権をユーザに付与するべく、抽選権に関する情報を、参加要求の送信元であるゲーム装置5に送信する。
【0122】
ゲーム装置5の通信手段561は、抽選権に関する情報を受信すると(ステップst6)、これを記憶部55に記憶する。
【0123】
図10では図示していないが、ステップst5の際、付与対象変化手段237は、インクリメント後の予約回数、すなわちこれまでの事前受付処理の実行回数に応じて、抽選権のレベルを変化させる。この場合、ステップst6において、ユーザには、必要に応じてレベルが変化した後の抽選権が付与される。
【0124】
ゲーム装置5のディスプレイ61には、付与された抽選権がレベルの変化したものであることが表示される。これにより、ユーザは、レベルが変化した後の抽選権を、対応するイベントにて使用すれば、希少価値の比較的高いゲーム媒体が取得できるかもしれないとの期待感を抱くことができる。
【0125】
一方、サーバ装置2の付与手段235は、特典の内容を決定して付与する。付与対象変化手段237は、事前受付期間のうちいつ頃に参加要求(ステップst4)を受信したかと、予約回数(これまでの事前受付処理の実行回数)とに応じて、必要に応じて特典の内容を変化させる。(ステップst7)。
【0126】
付与された特典が、上記(ii)で説明した演出系の特典であって(ステップst8のYes)、且つ、事前受付期間の間に有効なものである場合、情報処理手段231は、その特典に関する情報を、参加要求の送信元であるゲーム装置5に送信する(ステップst9)。この場合、ゲーム装置5の報知制御手段563は、
図9(d)の特典演出画面sc4を、ディスプレイ61に表示させる(ステップst10)。
【0127】
なお、
図10では図示していないが、予約回数(これまでの事前受付処理の実行回数)が上限値に達している場合、当該予約回数はステップst7の後リセットされ、カウントが再開される。
【0128】
一方、サーバ装置2の付与手段235は、演出系の特典についての、ステップst7の特典付与処理から一定期間が経過した場合(ステップst11のYes)、ゲーム装置5に表示中の演出を消去させる(ステップst12)。
【0129】
なお、ステップst9,ステップst10,ステップst11,ステップst12は、付与された特典が、上記(ii)で説明した演出系の特典でない場合は行われない(ステップst8のNo)。
【0130】
イベントの開催時期に至った場合(ステップst13のYes)、ゲーム装置5の報知制御手段563は、ユーザの操作を経て
図8(b)の実行画面sc2をディスプレイ61に表示させる。実行画面sc2上から、イベント中に、抽選権が付与されたユーザの操作により“ガチャを引く”ボタンb3が選択されると(ステップst14)、通信手段561は、ガチャの抽選要求に当該ユーザのIDを付加させてサーバ装置2に送信する。
【0131】
サーバ装置2の情報処理手段231は、上記ガチャの抽選要求を受信すると(ステップst15)、抽選実行手段233は、イベントに対応する抽選リスト222に基づき、抽選処理を実行する(ステップst16)。抽選実行手段233は、抽選処理にて当選したゲーム媒体を所定ゲーム媒体として、ガチャの抽選要求の元となる操作を行ったユーザのIDに関連づける。これにより、当該ユーザに、所定ゲーム媒体が付与される。
【0132】
ステップst7にてユーザに付与された特典が、上記(i)で説明したパラメータに関する特典であった場合(st17のYes)、パラメータ変化手段236は、所定ゲーム媒体のパラメータ(戦闘系パラメータおよび/または非戦闘系パラメータ)を上昇させるパラメータ変化処理を行う(ステップst18)。このパラメータ変化処理は、ステップst7で説明したように、参加要求がなされた時期に応じて行われる。
【0133】
パラメータ変化処理が行われた所定ゲーム媒体に関する情報が、サーバ装置2からゲーム装置5に送られると、ゲーム装置5の報知制御手段563は、
図9(c)のお知らせ画面sc3に示すように、所定ゲーム媒体のパラメータが上昇した旨の情報b6と、当該所定ゲーム媒体とを、ディスプレイ61上に表示させる(ステップst19)。
【0134】
なお、パラメータ変化処理による効果は、一定期間のみ有効となる。一定期間経過後、所定ゲーム媒体のパラメータは、パラメータ変化処理が行われる前の状態に戻される。
【0135】
ステップst7にてユーザに付与された特典が、上記(i)で説明したパラメータに関する特典でない場合(st17のNo)、パラメータ変化処理は行われず、当選した所定ゲーム媒体そのままに関する情報がゲーム装置5に送信される(ステップst20)。この場合、ゲーム装置5の報知制御手段563は、
図9(c)のお知らせ画面sc3から、所定ゲーム媒体のパラメータが上昇した旨の情報b6が省かれた画面(当該所定ゲーム媒体のみを知らせる画面)を、ディスプレイ61上に表示させる(ステップst19)。
【0136】
以上をまとめると、本実施形態のゲームプログラムは、サーバ装置2の制御部23(コンピュータ)を、抽選権を有するユーザの操作に応じて、複数のゲーム媒体の中から1以上のゲーム媒体を抽選により選択する抽選処理、を行う抽選実行手段233として機能させ、ゲーム装置5の制御部56(コンピュータ)を、ゲーム媒体を使用してゲームを実行可能なゲーム実行手段562と、ゲームに関するイベントの開催予告をディスプレイ61(報知部)に報知させる報知制御手段563として機能させる。そして、ゲームプログラムは、サーバ装置2の制御部23(コンピュータ)を、イベントの開催前における事前受付期間の間に、ユーザの操作に応じてイベントへの参加要求を受け付ける事前受付処理が可能な情報処理手段231(受付手段)と、情報処理手段231(受付手段)が事前受付処理を行った場合、参加要求の操作を行ったユーザに対し、事前受付処理の結果として抽選権を付与する付与手段235として機能させる。
【0137】
<発明の効果>
本実施形態では、イベントの事前受付期間の間に、ユーザの操作に応じたイベントへの参加要求に基づく事前受付処理が行われると、事前受付処理の実行完了時にそのユーザに対し、事前受付処理の結果として抽選権が付与または付与が確約される。この抽選権は、参加要求に対応するイベントにおいて、ユーザがガチャを引くことができる権利である。
【0138】
このように、抽選権が確実にユーザに付与されるため、そのイベントへのユーザの参加が確約された状態となり、ユーザのイベントへの興味が持続する。その結果、ユーザは、イベントへのユーザの参加率は向上する。また、イベントの運営側では、実際にイベントを開催させる前から、ユーザの反応および参加状況を把握することができる。
【0139】
また、本実施形態では、事前受付処理が行われた後に、参加要求の操作を行ったユーザに対し、抽選権とは別途、恩恵としての特典が付与される。特典は、事前受付完了の実行完了時に付与または付与が確約される。これにより、特典を得ることを目的として、イベントの事前受付期間に参加要求の操作が積極的に行われるようになる。従って、イベントへの参加がより積極的になる。
【0140】
具体的に、特典は、所定ゲーム媒体のパラメータを変化させる処理内容を示した情報であることができる。これにより、ユーザは、パラメータ変化後の当該所定ゲーム媒体を用いてよりゲームを有利に進めたり、よりゲームを楽しんだりすることができる。
【0141】
また、特典は、事前受付処理が実行されたことによりディスプレイ61やスピーカ62に報知される演出であることができる。特典の付与時または付与後に、当該演出が報知されることにより、ユーザの、ゲームに対する興趣性が更に向上する。
【0142】
また、本実施形態では、事前受付処理の実行回数に応じて、抽選権および/または特典の内容が変化する。これにより、ユーザは、抽選権および/または特典の変化を目的の1つとして、様々なイベントの事前受付期間に参加要求を行うようになる。その結果、ユーザは、より積極的に様々なイベントに参加するようになる。また、抽選権や特典内容の変化により、ユーザは、ゲームをより有利に進めたり、ゲームへの親しみをより感じたりすることができる。従って、ユーザの、ゲームに対する興趣性が更に向上する。
【0143】
また、本実施形態では、参加要求の受付時期が事前受付期間の開始時期に近い程、特典内容が強化される。これにより、ユーザは、特典内容の強化を目的の1つとして、事前受付期間の比較的早い段階で、イベントへの参加要求を行うようになる。
【0144】
また、本実施形態では、特典は、特典付与から一定期間経過後に消去される。これにより、特典の効果が永久に持続することでゲームバランスが崩れることを抑制できる。
【0145】
[他の実施形態]
前記実施形態において説明した各種制御手段および処理手順は一例であって、本発明、その適用物、またはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。各種制御手段および処理手順は、本発明の要旨を変更しない範囲で適宜設計変更が可能である。
【0146】
前記ゲームは、ゲーム媒体を使用するタイプのものであればよく、その種類は限定されない。
【0147】
前記実施形態では、事前受付処理の実行完了時に、抽選権が付与される場合を主に説明した。しかし、抽選権が付与されるタイミングは、事前受付処理の実行完了時でなくてもよい。事前受付処理の実行完了時は、付与が確約されるに留まり、実際の付与はその後であってもよい。
【0148】
前記実施形態では、抽選権とは別途、特典がユーザに付与されると説明した。しかし、特典の付与は、必須ではない。
【0149】
また、前記実施形態では、事前受付処理の実行完了時に、特典が付与される場合を主に説明した。しかし、特典が付与されるタイミングは、事前受付処理の実行完了時でなくてもよい。事前受付処理の実行完了時は、付与が確約されるに留まり、実際の付与はその後であってもよい。
【0150】
また、抽選権の付与のタイミングと特典の付与のタイミングとは、同じであってもよいし異なっていても良い。
【0151】
前記実施形態では、特典が、上記(i)(ii)である場合を例示した。しかし、特典の内容は、上記(i)(ii)以外であってもよい。
【0152】
また、前記実施形態における上記(i)では、抽選権の所持者であるユーザにこれから付与する所定ゲーム媒体が、パラメータの変化対象であった。しかし、パラメータの変化対象は、既にユーザに付与済みのゲーム媒体であってもよい。
【0153】
また、パラメータの変化対象は、対戦相手のゲーム媒体であってもよい。例えば、特典は、対戦相手のゲーム媒体のパラメータを一時的に弱化させるような、いわば自身のゲーム媒体ではなく相手のゲーム媒体のパラメータに作用させるものであってもよい。
【0154】
前記実施形態では、事前受付処理の実行回数に応じて、抽選権および/または特典の内容が変化すると説明したが、これは必須ではない。また、抽選権および/または特典の変化は、例えば変化させるか否かをランダム抽選によって決定されてもよい。
【0155】
また、前記実施形態では、抽選権および/または特典の内容の変化処理が、抽選権および/または特典をユーザに付与する直前に、これから付与しようとしている抽選権および/または特典に対して行われると説明した。しかし、当該変化処理は、既にユーザに付与済みの抽選権および/または特典を対象として行われてもよい。また、当該変化処理が行われるタイミングは、抽選権および/または特典をユーザに付与する直前に限定されず、所定タイミングに適宜行われても良い。
【0156】
前記実施形態では、参加要求の受付時期が、事前受付時期の開始時期に近い程、特典の内容が強化されると説明したが、これは必須ではない。特典の内容は強化されなくてもよいし、逆に弱くてもよい。例えば、事前受付時期の間でも、参加要求を受け付けた日時によって、特典内容が強化したり弱化したりしてもよい。
【0157】
前記実施形態では、特典の付与から一定期間経過後に、特典が消去されると説明したが、これは必須ではない。特典は、永久に存在してもよい。また、特典には、使用回数に上限値があり、その上限値を過ぎれば特典が消去される仕様であってもよい。
【0158】
また、前記実施形態において、ゲーム媒体ごとの選択確率は、抽選リストを用いずに、演算式によってその都度演算により決定されてもよい。
【0159】
また、イベント用の抽選リストと、通常ガチャ抽選リストとは、同じであってもよい。また、抽選権のレベルごとに、抽選リストが用意されていてもよい。
【0160】
これらの他の実施形態を採用した場合においても、本発明の作用効果は発揮される。また、本実施形態と他の実施形態、および他の実施形態同士を適宜組み合わせることも可能である。
【符号の説明】
【0161】
1 ゲームシステム
23 制御部(コンピュータ)
231 情報処理手段(受付手段)
233 抽選実行手段
235 付与手段
236 パラメータ変化手段
237 付与対象変化手段(付与対象変化手段、強化手段)
56 制御部(コンピュータ)
562 ゲーム実行手段
563 報知制御手段