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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-23
(45)【発行日】2024-01-31
(54)【発明の名称】アンテナ装置
(51)【国際特許分類】
   H01Q 9/26 20060101AFI20240124BHJP
   H01Q 1/38 20060101ALI20240124BHJP
   H01Q 5/335 20150101ALI20240124BHJP
【FI】
H01Q9/26
H01Q1/38
H01Q5/335
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019133811
(22)【出願日】2019-07-19
(65)【公開番号】P2021019283
(43)【公開日】2021-02-15
【審査請求日】2022-04-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000142067
【氏名又は名称】株式会社共和電業
(74)【代理人】
【識別番号】100082636
【弁理士】
【氏名又は名称】真田 修治
(72)【発明者】
【氏名】江川 潔
(72)【発明者】
【氏名】廣瀬 浩二
(72)【発明者】
【氏名】山口 剛
(72)【発明者】
【氏名】南 昂希
【審査官】白井 亮
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-218878(JP,A)
【文献】特開2014-150334(JP,A)
【文献】特開2002-152353(JP,A)
【文献】特開平11-136020(JP,A)
【文献】特開2006-005903(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 9/26
H01Q 1/38
H01Q 5/335
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘電体基板の主面上に設けられ、中心部に給電部を設けた第一の線状導体と、前記誘電体基板を介して、他面側に前記第一の線状導体と対向または平行するように配置された第二の線状導体の各々の両端を一対の接続導体にてそれぞれ接続した折り返しダイポールアンテナであって、
2.4GHz~2.6GHzの動作周波数帯におけるインピーダンス成分が39+j278Ω~48+j306Ωのチップアンテナを、前記給電部から所定距離以上離れた前記第一の線状導体または前記第二の線状導体の対称位置にそれぞれ1つずつ配置してなり、上端縁が前記チップアンテナから所定間隔離れて無線基板を配設してなり、金属に5mm近くまで近接して設置され得るテレメータ端末用として構成したことを特徴とするアンテナ装置。
【請求項2】
誘電体基板の主面上に設けられ中心部に給電部を設けた第一の線状導体と、前記誘電体基板を介して他面側に前記第一の線状導体と対向または平行するように配置された第二の線状導体の各々の両端を一対の接続導体にてそれぞれ接続した折り返しダイポールアンテナであって、
2.4GHz~2.6GHzの動作周波数帯におけるインピーダンス成分が39+j278Ω~48+j306Ωのチップアンテナを、前記第一の線状導体または前記第二の線状導体のいずれかの両端にそれぞれ1つずつ配置してなり、上端縁が前記チップアンテナから所定間隔離れて無線基板を配設してなり、金属に5mm近くまで近接して設置され得るテレメータ端末用として構成したことを特徴とするアンテナ装置。
【請求項3】
二層以上の多層誘電体基板上の主面上に設けられた第一の線状導体と、前記多層誘電体基板を介して他面側に前記第一の線状導体と対向または平行するように配置された第二の線状導体と、前記多層誘電体基板の中間に前記第一の線状導体と対向または平行するように配置された第三の線状導体の各々の両端を一対の接続導体にてそれぞれ接続した折り返しダイポールアンテナであって、
2.4GHz~2.6GHzの動作周波数帯におけるインピーダンス成分が39+j278Ω~48+j306Ωのチップアンテナを、前記第一の線状導体または前記第二の線状導体のいずれか一方の両端にそれぞれ1つずつ配置してなり、上端縁が前記チップアンテナから所定間隔離れて無線基板を配設してなり、金属に5mm近くまで近接して設置され得るテレメータ端末用として構成したことを特徴とするアンテナ装置。
【請求項4】
前記多層誘電体基板のうち、第一層の誘電体基板の主面上に設けられた第一の線状導体と、
前記多層誘電体のうち、第二層の誘電体基板の他面側に前記第一の線状導体と対向または平行するように配置された第二の線状導体と、
前記第一層の誘電体基板を介して他面側に前記第一の線状導体と対向または平行するように配置された第三の線状導体の各両端を一対の接続導体にそれぞれ接続した折り返しダイポールアンテナであって、
前記第一層の誘電体基板と、前記第二層の誘電体基板とを、所定の間隔をもって離間して開口部を設けたことを特徴とする請求項3に記載のアンテナ装置。
【請求項5】
2.4GHz~2.6GHzの動作周波数帯における前記インピーダンス成分が39+j278Ω~48+j306Ωの前記チップアンテナを、前記第一の線状導体または前記第二の線状導体の両端にそれぞれ1つずつ配置するように構成したことを特徴とする請求項3に記載のアンテナ装置。
【請求項6】
前記チップアンテナは、動作周波数におけるインピーダンス成分が40+j300Ω前後であることを特徴とする請求項1~請求項4のいずれか1項に記載のアンテナ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属に近接して設置されるようなテレメータ端末用として好適な小型のアンテナ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
折り返しダイポールアンテナの小型化に関する技術として、例えば、特開2013-131839号公報(以下、「特許文献1」という)および特開2014-150334号公報(以下、「特許文献2」という)に記載のもの、などがある。またアンテナの一般的な小型として、チップアンテナを用いた小型の手法として、特開2010-074842(以下、「特許文献3」という)に記載のもの、などがあり、チップアンテナは、その小型化に伴い、携帯端末の地板を放射源とするための励振源として動作させるために、インダクタ成分を持つものからキャパシタ成分を持つものまで、様々なものが、開発されてきている。
【0003】
上記特許文献1に記載の折り返しダイポールアンテナは、所定の間隔寸法をもって離間して左右対称に配設した一対の折り返しメアンダライン部を、相互に平行な第1ストレートライン部と分離部を中央に有する第2ストレートライン部から成る平行線路部にて接続して、略ループ状折り返しダイポールエレメント部を構成し、第2ストレートライン部に直交する方向に設けられ分離部の両端部に連結されると共に左右対称に形成された一対のメアンダ状給電ライン部を有する給電線路部を付設した構成とすることにより、
コンパクトな設計でありながら、広い周波数帯域で安定してVSWRを小さくできる、としている。
【0004】
また、上記特許文献2に記載の折り返しダイポールアンテナは、誘電体基板と、誘電体基板の第1の主面または内部に設けられた第1の線路状導体と、誘電体を介して第1の線路状導体と対向するように設けられているとともに、給電線路が接続された第2の線路状導体と、第1の線路状導体および第2の線路状導体の両端を接続する第1の接続導体および第2の接続導体とを有し、第1の線路状導体、第2の線路状導体および誘電体基板で構成される伝送線路の特性インピーダンスが、誘電体基板および第2の線路状導体のみで構成したダイポールアンテナの放射インピーダンスの4倍よりも小さいことを特徴としており、放射抵抗が高いダイポールアンテナを得ることができる、としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2013-131839号公報
【文献】特開2014-150334号公報
【文献】特開2010-074842号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に記載のダイポールアンテナにおいては、メアンダ構成として、共振周波数を下げることで、小型化することが可能であるが、メアンダ間の寄生容量により放射抵抗が小さくなり、帯域が狭くなったり、放射効率が低下するという課題があった。
また、特許文献2に記載のダイポールアンテナは、第一の線路状導体および第二の線路状導体の各々の中央付近にインダクタが合計4つ装荷されているが、チップインダクタや導体パターンによるインダクタでは、動作周波数により放射抵抗が小さくなり、また4つ必要とするチップインダクタは電流分布の高い給電点付近に配置されており、チップアンテナを用いた際には、インダクタンス値のばらつき等により、折り返しダイポールアンテナの入力インピーダンスのばらつき等が発生するという課題があった。
さらに特許文献3に記載のアンテナモジュールはテレメータに実装された場合、テレメータが金属に近接された際、特許文献1及び特許文献2に記載のダイポールアンテナより更に放射抵抗が小さくなり、帯域が狭くなったり、放射効率が低下するという課題があった。
【0007】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたもので、その第1の目的とするところは、金属への近接時にインピーダンスの劣化が少なく高利得なアンテナ装置を提供することにあり、第2の目的とするところは、小形化を実現し得るアンテナ装置を提供することにあり、第3の目的とするところは、構成の簡単化を図り、コストの低減化を図り得るアンテナ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載した発明に係るアンテナ装置は、上述した第1~第3の目的を達成するために、
誘電体基板の主面上に設けられ、中心部に給電部を設けた第一の線状導体と、前記誘電体基板を介して、他面側に前記第一の線状導体と対向または平行するように配置された第二の線状導体の各々の両端を一対の接続導体にてそれぞれ接続した折り返しダイポールアンテナであって、
2.4GHz~2.6GHzの動作周波数帯におけるインピーダンス成分が39+j278Ω~48+j306Ωのチップアンテナを、前記給電部から所定距離以上離れた前記第一の線状導体または前記第二の線状導体の対称位置にそれぞれ1つずつ配置してなり、上端縁が前記チップアンテナから所定間隔離れて無線基板を配設してなり、金属に5mm近くまで近接して設置され得るテレメータ端末用として構成したことを特徴としている。
【0009】
請求項2に記載した発明に係るアンテナ装置は、上述した第1~第3の目的を達成するために、
誘電体基板の主面上に設けられ中心部に給電部を設けた第一の線状導体と、前記誘電体基板を介して他面側に前記第一の線状導体と対向または平行するように配置された第二の線状導体の各々の両端を一対の接続導体にてそれぞれ接続した折り返しダイポールアンテナであって、2.4GHz~2.6GHzの動作周波数帯におけるインピーダンス成分が39+j278Ω~48+j306Ωのチップアンテナを、前記第一の線状導体または前記第二の線状導体のいずれかの両端にそれぞれ1つずつ配置してなり、上端縁が前記チップアンテナから所定間隔離れて無線基板を配設してなり、金属に5mm近くまで近接して設置され得るテレメータ端末用として構成したことを特徴としている。
【0010】
請求項3に記載した発明に係るアンテナ装置は、上述した目的を達成するために、
二層以上の多層誘電体基板上の主面上に設けられた第一の線状導体と、前記多層誘電体基板を介して他面側に前記第一の線状導体と対向または平行するように配置された第二の線状導体と、前記多層誘電体基板の中間に前記第一の線状導体と対向または平行するように配置された第三の線状導体の各々の両端を一対の接続導体にてそれぞれ接続した折り返しダイポールアンテナであって、2.4GHz~2.6GHzの動作周波数帯におけるインピーダンス成分が39+j278Ω~48+j306Ωのチップアンテナを、前記第一の線状導体または前記第二の線状導体のいずれか一方の両端にそれぞれ1つずつ配置してなり、上端縁が前記チップアンテナから所定間隔離れて無線基板を配設してなり、金属に5mm近くまで近接して設置され得るテレメータ端末用として構成したことを特徴としている。
【0011】
請求項4に記載した発明に係るアンテナ装置は、
前記多層誘電体基板のうち、第一層の誘電体基板の主面上に設けられた第一の線状導体と、
前記多層誘電体のうち、第二層の誘電体基板の他面側に前記第一の線状導体と対向または平行するように配置された第二の線状導体と、
前記第一層の誘電体基板を介して他面側に前記第一の線状導体と対向または平行するように配置された第三の線状導体の各両端を一対の接続導体にそれぞれ接続した折り返しダイポールアンテナであって、前記第一層の誘電体基板と、前記第二層の誘電体基板とを、所定の間隔を配して開口部を設けたことを特徴としている。
【0012】
請求項5に記載した発明に係るアンテナ装置は、
2.4GHz~2.6GHzの動作周波数における前記インピーダンス成分が39+j278Ω~48+j306Ωの前記チップアンテナを、前記第一の線状導体または前記第二の線状導体の両端にそれぞれ1つずつ配置するように構成したことを特徴としている。
請求項6に記載した発明に係るアンテナ装置の前記チップアンテナは、動作周波数におけるインピーダンス成分が40+j300Ω前後であることを特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、簡単且つ小型な構成で、金属に近接した状態で使用してもインピーダンス劣化が少なく、帯域、利得共に優れた特性を有するアンテナ装置を提供することができる。
すなわち、請求項1に記載の発明よれば、誘電体基板の主面上に設けられ、中心部に給電部を設けた第一の線状導体と、前記誘電体基板を介して、他面側に前記第一の線状導体と対向または平行するように配置された第二の線状導体の各々の両端を一対の接続導体にてそれぞれ接続した折り返しダイポールアンテナであって、
2.4GHz~2.6GHzの動作周波数帯におけるインピーダンスが39+j278Ω~48+j306Ωのチップアンテナを、前記給電部から所定距離以上離れた前記第一の線状導体または前記第二の線状導体の対称位置にそれぞれ1つずつ配置してなり、上端縁が前記チップアンテナから所定間隔離れて無線基板を配設してなり、金属に5mm近くまで近接して設置され得るテレメータ端末用として構成したことにより、チップアンテナは2個で足り、構成が簡単化されるのみならず、装置全体の小型化低コスト化を図ることが可能であり、特に、金属に5mm近くまで近接した状態で設置されるテレメータ端末に使用してもインピーダンスの劣化が少なく、帯域、利得共に優れた特性を有するアンテナ装置を提供することができる。
【0014】
また、請求項2に記載の発明よれば、誘電体基板の主面上に設けられ中心部に給電部を設けた第一の線状導体と、前記誘電体基板を介して他面側に前記第一の線状導体と対向または平行するように配置された第二の線状導体の各々の両端を一対の接続導体にてそれぞれ接続した折り返しダイポールアンテナであって、動作周波数におけるインピーダンス成分が39+j278Ω~48+j306Ωのチップアンテナを、前記第一の線状導体または前記第二の線状導体のいずれかの両端にそれぞれ1つずつ配置してなり、上端縁が前記チップアンテナから所定間隔離れて無線基板を配設してなり、金属に5mm近くまで近接して設置され得るテレメータ端末用として構成したことにより、チップアンテナは2個で足り、構成が簡単化されるのみならず、装置全体の小型化低コスト化を図ることが可能であり、特に、金属に5mm近くまで近接して設置されるテレメータ端末に使用してもインピーダンスの劣化が極めて少なく、帯域、利得共に優れた特性を有するアンテナ装置を提供することができる。
【0015】
また、請求項3に記載した発明によれば、二層以上の多層誘電体基板上の主面上に設けられた第一の線状導体と、前記多層誘電体基板を介して他面側に前記第一の線状導体と対向または平行するように配置された第二の線状導体と、前記多層誘電体基板の中間に前記第一の線状導体と対向または平行するように配置された第三の線状導体の各々の両端を一対の接続導体にてそれぞれ接続した折り返しダイポールアンテナであって、2.4GHz~2.6GHzの動作周波数帯におけるインピーダンス成分が39+j278Ω~48+j306Ωのチップアンテナを、前記第一の線状導体または前記第二の線状導体のいずれか一方の両端にそれぞれ1つずつ配置してなり、上端縁が前記チップアンテナから所定間隔離れて無線基板を配設してなり、金属に5mm近くまで近接して設置され得るテレメータ端末用として配置するように構成したことにより、チップアンテナは2個で足り、構成が簡単化されると共に、多層化によりステップアップ比を向上させ、より一層の小型化が実現化され、また、金属に5mm近くまで近接した状態で設置されるテレメータ端末に使用してもインピーダンスの劣化が少なく、帯域、利得共に優れた特性を有するアンテナ装置を提供することができる。
【0016】
また、請求項4に記載した発明によれば、前記多層誘電体基板のうち、第一層の誘電体基板の主面上に設けられた第一の線状導体と、
前記多層誘電体のうち、第二層の誘電体基板の他面側に前記第一の線状導体と対向または平行するように配置された第二の線状導体と、
前記第一層の誘電体基板を介して他面側に前記第一の線状導体と対向または平行するように配置された第三の線状導体の各両端を一対の接続導体にそれぞれ接続した折り返しダイポールアンテナであって、前記第一層の誘電体基板と、前記第二層の誘電体基板とを、所定の間隔をもって離間して開口部を設けた構成としたことにより、上記請求項1~請求項3に記載した発明による効果に加え、大幅に小型化し得るアンテナ装置を提供することができる。
【0017】
また、請求項5に記載した発明によれば、2.4GHz~2.6GHzの動作周波数における前記インピーダンス成分が39+j278Ω~48+j306Ωの前記チップアンテナを、前記第一の線状導体または前記第二の線状導体の両端にそれぞれ1つずつ配置するように構成したことにより、ステップアップ比を向上させ、更なる小型化を可能とし、金属に5mm近くまで近接した状態で設置されるテレメータ端末に使用してもインピーダンスの劣化が極めて少なく、帯域、利得共に優れた特性を有するアンテナ装置を提供することができる。
請求項6に記載した発明によれば、動作周波数におけるインピーダンス成分を、40+j300Ω前後の範囲に限定することで、金属に近接した状態で使用しても、インピーダンスの劣化が極めて少なく、高利得が得られるなど優れた特性を有するアンテナ装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の第1の実施の形態に係るアンテナ装置の外観構成を模式的に示す斜視図である。
図2】本発明の第2の実施の形態に係るアンテナ装置の外観構成を模式的に示す斜視図である。
図3】本発明の第2の実施の形態に係るアンテナ装置に無線基板を付加してなる外観構成を示す斜視図である。
図4図3に示すアンテナ装置の具体的な第1の実施例の構成を示す図で、(a)は、正面図、(b)は、左側面図である。
図5】本発明の第3の実施の形態に係るアンテナ装置の外観構成を模式的に示す斜視図である。
図6】本発明の第4の実施の形態に係るアンテナ装置の外観構成を模式的に示す斜視図である。
図7】本発明の第3の実施の形態の変形である第2の実施例の構成を模式的に示す斜視図である。
図8】単体のインピーダンス成分が、40+j300Ω前後となるチップアンテナ単体のインピーダンス特性図である。
図9図4に示す第1の実施例に係るアンテナ装置において、単体のインピーダンス成分が40+j300Ω前後となるチップアンテナを接続した際のインピーダンス特性図である。
図10図4に示す第1の実施例に係るアンテナ装置と給電部との間に整合回路を装荷した場合のインピーダンス特性図である。
図11図4に示す第1の実施例に示すアンテナ装置における放射特性をシミュレーションにより求めた放射特性図である。
図12図11および図13の放射特性図のx軸、y軸、z軸の各方向を示すための概略斜視図である。
図13図4に示す第1の実施例に係るアンテナ装置における放射特性を実際に計測して得た放射特性図である。
図14】第1の実施例に係るアンテナ装置の自由空間における放射特性と、アンテナ装置を金属に近接させたときの放射特性とを対比する図であり、このうち、(a)は、アンテナ装置を自由空間においた状態におけるx軸、y軸、z軸の各方向を共に示す概略斜視図であり、(b)は、第1の実施例の自由空間におけるインピーダンス特性図であり、(c)は、第1の実施例のアンテナ装置を、エポキシ樹脂でモールドし、金属板に近接(5mmの間隔)した状態を示す斜視図であり、(d)は、(c)の実施例のインピーダンス特性図、(e)~(h)は、第1の実施例のアンテナ装置を自由空間においた場合であって、周波数が異なる毎の放射特性をそれぞれ示す放射特性図であり、(i)~(l)は、上述した(c)図に示すようにアンテナ装置に金属を近接した場合であって、周波数が異なる毎の放射特性をそれぞれ示す放射特性図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態および実施例に基づき、図面を参照して、本発明のアンテナ装置について、詳細に説明する。
【0020】
〔第1の実施の形態〕
図1は、本発明の第1の実施の形態に係るアンテナ装置(請求項1に対応する)の要部の構成を示す斜視図である。
図1に示すアンテナ装置は、誘電体基板1、分割された第一の線状導体2(2a,2b)、第二の線状導体3、2つのチップアンテナ4(4a,4b)、2つの接続導体5(5a,5b)、給電部6、接地部8および無線基板(グランド基板)7を具備している。
誘電体基板1は、ガラスエポキシ樹脂からなる基板であるが、誘電体セラミックやテフロン(登録商標)を代用することもでき、特に材質を限定するものではない。
第一の線状導体2(2a,2b)は、給電部6を境に、中央で二分されており、それぞれ誘電体基板1の主面(図1において、前面側の面)に設けられている。
この第一の線状導体2(2a,2b)の長さ方向の中央に一対の給電線路が接続され、一方の線路が給電部6に接続され、他方の線路が接地部(グラウンド)8に接続されている。
【0021】
第二の線状導体3は、誘電体基板1を介して、第一の線状導体2(2a,2b)と対向または平行するように、誘電体基板1の他面側(図1における背面側)に設けられている。
第一の接続導体5(5a)は、誘電体基板1を貫通するようにスルーホール状に設けられおり、第一の線状導体2(2a)の一端(右端)および第二の線状導体3の一方端(右端)同士を接続している。
第二の接続導体5(5b)は、誘電体基板1を、貫通するように同様にスルーホール状に設けられており、第一の線状導体2(2b)の一端(左端)および第二の線状導体3の他方端(左端)同士を接続している。
【0022】
第一の線状導体2(2a,2b)、第二の線状導体3、給電線路(給電部6、接地部8)、第一および第二の接続導体5aおよび5bは、導電性の良好な種々の材料、例えば、金、銀、銅およびそれ等の合金等の良導性の金属を用いて形成することができる。
第一の線状導体2aと2bの中心部に給電部6が設けられており、この給電部6から所定距離以上離れた第一の線状導体2aおよび2bの中間の対称位置に第一のチップアンテナ4aおよび第二のチップアンテナ4bがそれぞれ回路挿入されている。
チップアンテナ4a,4bの第一の線状導体2a,2b上における配置位置は、給電部6の位置(中心)から所定距離以上離れた中間の対称の位置に設定することが条件とされる。
その理由は、給電部6と接地部8の付近は、電流分布が高く、その近傍にチップアンテナを配置した場合には、インダクタンス値のばらつき等により、折り返しダイポールアンテナの入力インピーダンスのばらつき等が発生する、という弊害が生じるため、このような弊害が生じないような所定の距離以上離れた対称位置を設定する必要があるからである。
【0023】
本実施の形態におけるアンテナ装置は、給電部6および接地部8に各端部が接続された第一の線状導体2aおよび2bの中間部に配設されたチップアンテナ4aおよび4bと、第一および第二の接続導体5aおよび5bをそれぞれ介して第二の線状導体3の両端に接続される回路構成となっている。
ダイポールアンテナが配設された誘電体基板1から所定間隔(例えば、5mm)を設けて主面側に、無線基板7が重設されている。
また、給電部6と接地部8の入力端側には、アンテナ装置単体のインピーダンスとシステム機器の定格のインピーダンスとを整合させるための整合回路を設けるのが一般的である。整合回路を装荷した場合のインピーダンス特性の改良例については、図8を参照して後述する。
上述のように構成された第1の実施の形態によれば、従来例のものよりも装荷するチップアンテナの数が2個で足り、その分且つ小型化を図ることができ、さらには、金属近接時にインピーダンスの劣化の少ないアンテナ装置を実現することができる。
【0024】
〔第2の実施の形態〕
図2図3図4は、本発明の第2の実施の形態に係るアンテナ装置の構成を示す。このうち、図2は、第2の実施の形態に係るアンテナ装置の外観構成を模式的に示す斜視図であり、図3は、図2に示すアンテナ装置に、無線基板を付加してなる外観構成を模式的に示す斜視図であり、図4は、図3に示す第2の実施の形態に係るアンテナ装置を具体的な数値をもって示す第1の実施例の構成を示すもので、図4(a)は、正面図、図4(b)は、左側面図である。
この第2の実施の形態に係るアンテナ装置は、第1の実施の形態に係るアンテナ装置に対し、第一および第二のチップアンテナの配設位置が異なっているだけで、その他の構成については、共通となっている。即ち、この第2の実施の形態に係るアンテナ装置のチップアンテナ4(4a,4b)の配設位置は、第一の線状導体2aおよび2bの両端または第二の線状導体3の両端にそれぞれ配置するように構成した点が異なっている(請求項2に対応する)。
【0025】
従って、第2の実施の形態に係るアンテナ装置のその他の構成部分については、第1の実施の形態に係るアンテナ装置について記載したところを援用し、重複した説明は、省略する。
図8中に記載されているように、インピーダンス成分が39+j278Ω~48+j306Ωのチップアンテナ4(4a,4b)を、第一の線状導体2(2a,2b)の両端または第二の線状導体3の両端に配設することで、第1の実施の形態に係るアンテナ装置に比べ、ダイポールアンテナの入力インピーダンスのばらつきがなく、金属に近接した状態で使用してもインピーダンスの劣化が少なく、帯域、利得共に優れた特性を有するアンテナ装置を実現することができる。
【0026】
〔第1の実施例〕
尚、上述した第2の実施の形態を具体的に示す第1の実施例を、図4に示すアンテナ装置について説明する(請求項4に対応する)。
図4に示すように、誘電体基板1は、ガラスエポキシ基板からなり、正面形状において、幅52mm、高さ33mm、厚さ2mmに形成されている。
第一の線状導体2(2a,2b)および第二の線状導体3は、(材質:銅箔)からなり、厚さが数10μm、線幅が、2mmに形成されている。
チップアンテナ4(4a,4b)は、インピーダンス成分が、40+j300Ω前後であり、動作周波数は、2.4GHz帯である。
接続導体5(5a,5b)の材質は、銅箔である。
また、無線基板7は、銅箔からなり、正面から見て、幅52mm、高さ26mm、厚さ2mmに形成され、無線基板7の上端縁からチップアンテナ4(4a,4b)までの間隔は、5mm程度離れている。
尚、本実施例に係るアンテナ装置の放射特性の実測においては、アンテナ装置と金属との近接距離は、5mmに設定するものとする。
【0027】
次に、本実施例に係る図4に示すアンテナ装置の各種特性について、図8図14に基づいて説明する。
図8は、単体のインピーダンス成分が、40+j300Ωとなるチップアンテナを接続した際のチップアンテナ単体のインピーダンス特性図であり、図9は、図4に示す第1の実施例に係るアンテナ装置のインピーダンス特性図であり、図10は、図4に示す第1の実施例に係るアンテナ装置と、給電部との間に整合回路を装荷した場合のインピーダンス特性図である。
これら図8図10において、動作周波数帯は、2.4GHz帯である。通常、ダイポールアンテナのインピーダンスは、73.1+j42.5Ω、その折り返し構成を有する折り返しダイポールアンテナのインピーダンス特性は、4倍の約293Ωとなるが、誘電体基板1と無線基板7とは、5mmの間隔で近接し、且つ折り返し部の開口部が2mmであることから、2つのチップアンテナ4a,4bを接続した際に、図9に示すように、約25Ω程度の折り返しダイポールアンテナとなっていることが分かる。
【0028】
しかしながら、上記構成のままのインピーダンス特性では、未だアンテナとして使えないので、実際には、50Ωに近づけるために、整合回路を通す必要がある。
アンテナのインピーダンスと、システム(例えば、アンプ)のインピーダンスの整合が取られていないと、アンテナから放射するはずの信号がシステム側に反射することになる。
通常は、ディスクリートインダクタやキャパシタと伝送線路からなる整合回路で、給電線から見たアンテナ側の特性インピーダンスのインピーダンス値を、給電線(システム側)の特性インピーダンスのインピーダンス値(同軸ケーブルは、たいてい50Ωか70Ωであるが、本実施例の場合、50Ωに一致(インピーダンスの整合)させ、給電線とアンテナ間でエネルギーの反射がないようにしている。
【0029】
そこで、図4(a)に示す、アンテナ装置の給電部6と、接地部8との間に整合回路を装荷した場合のインピーダンス特性図を示す。
上記アンテナ装置は、図10のインピーダンス特性図に示されるように、2.4~2.5GHzの周波数帯域において、インピーダンス値は、約50Ωが実現されており、VSWR(電圧定在波比)が、1.6以下の広帯域特性を有するアンテナとして動作している。電圧定在波比(Voltage Standing Ware Radio:略して、VSWRという)とは、インピーダンスの不整合等により反射信号が発生し、入力信号が影響を受けて生じる信号(定在波)の最大電圧(Vmax)と最小電圧(Vmin)との比であり、VSWR値が小さい程、反射によるロスが少ないとされる。
一般に、VSWR値は、1.5以下が理想、3以下が実用上の限界とされており、本実施例のように、VSWRが、1.6であるということは、理想状態から殆ど損失がないアンテナである、ということができる。
【0030】
次に、図11図13を参照して、本実施例のアンテナ装置における放射特性について説明する。
図11は、図4に示す第1の実施例に示すアンテナ装置におけるシミュレーションにより得た放射特性図である。
また、図13は、図4に示す第1の実施例に示すアンテナ装置における放射特性を実際に計測して得た放射特性図である。
図11図13において、細い線で描かれている直交偏波成分である水平偏波〔E(ψ)成分〕の利得は、シミュレーションと実測では、大きく異なっている。
これに対し、図11図13において、太い線で描かれている主偏波成分である〔E(θ)成分〕は、計算、実測共に良く一致しており、最大利得は、共に、+1.5dBi程度であり、比較的損失が少ないアンテナとなっている。
【0031】
次に、図14(a)~(l)を参照して、第1の実施例に係るアンテナ装置の自由空間における放射特性と、当該アンテナ装置を金属に一定距離近接したときの放射特性を対比して説明する。
図14のうち、(a)は、アンテナ装置を自由空間においた状態におけるx軸、y軸、z軸の各方向を共に示す概略斜視図であり、(b)は、第1の実施例の自由空間におけるインピーダンス特性図であり、(c)は、第1の実施例のアンテナ装置を、エポキシ樹脂でモールドし、金属板に近接(5mmの間隔)した状態を示す斜視図であり、(d)は、(c)の実施例のインピーダンス特性図、(e)~(h)は、第1の実施例のアンテナ装置を自由空間においた場合であって、周波数が異なる毎の放射特性をそれぞれ示す放射特性図であり、(i)~(l)は、上述した(c)図に示すようにアンテナ装置に金属を近接した場合であって、周波数が異なる毎の放射特性をそれぞれ示す放射特性図である。
【0032】
図14に示すように、動作周波数が、2.2GHz、2.4GHz、2.5GHzおよび2.6GHzである場合に分けて、自由空間におかれたときと、金属近接時について、それぞれ放射特性図(放射パターン)対応配列している。
折り返しダイポールアンテナは、自己平衡系のアンテナであるため、主偏波は、水平偏波H(図14においては、細線で描かれている)となる筈であるが、本実施例に係るダイポールアンテナは、自由空間における図14(e)~(h)に示すように、2.5GHz付近を境に、周波数が2.5GHz付近より低い場合は、主偏波が垂直偏波V(図14においては、太線で描かれている)となり、2.5GHz付近より高い場合は、水平偏波Hとなっており、動作モードが変化していることを示している。
即ち、2.5GHzより低い周波数の場合、アンテナエレメントと主偏波は、直交しており、主の放射源は、筐体(無線基板)となる。
【0033】
図14(i)~(l)に見られるように、2.2GHz~2.6GHzまでの間においては、垂直偏波Vの大きさが、次第に小さくなっているのに対し、水平偏波(H)の大きさが、次第に大きくなっており、これが特徴の1つとなっている。
そのため、金属に近接してアンテナ装置を配置した場合においては、図14(i)~(l)に見られるように、インピーダンス特性は、多少低くなるものの、周波数が、2.5GHzより低い場合は、主偏波がアンテナエレメントと直交している場合においても、垂直偏波成分(Vの波形成分)が大きく寄与し、水平偏波成分の不足を補うように作用している。
即ち、自己平衡作用により損失が殆どない、という現象を呈している。従って、本発明によれば、金属に近接(5mmの間隔)した状態で使用しても、インピーダンスの劣化が少なく、帯域、利得共に優れた特性を有するアンテナ装置を提供することができる。
【0034】
〔第3の実施の形態〕
図5は、本発明の第3の実施の形態に係るアンテナ装置(請求項3に対応する)の要部の構成を模式的に示す斜視図である。図5に示すアンテナ装置は、二以上の多層誘電体基板1(1a、1b)、分割された第一の線状導体2(2a、2b)、第二の線状導体3、第三の線状導体9の二つのチップアンテナ4(4a、4b)、二つの接続導体5(5a、5b)、給電部6、接地部8を具備している。多層誘電体基板1は、主面側(上面側)の誘電体基板1aと他面側(下面側)の誘電体基板1bとの二層からなるが、第三の線状導体9を添着するために薄い誘電体基板1c(図示せず)を、誘電体基板1aと1bの中間に介挿する場合があるので、その場合は、三層構造となる。これら多層誘電体基板1a、1b、1cの材質は、第1の実施の形態のものと、同じくガラスエポキシ樹脂その他、誘電体セラミックやテフロン(登録商標)であってもよい。
【0035】
第一の線状導体2(2a、2b)は、給電部6を境に、中央で二分されており、それぞれ第一の誘電体基板1aの主面(図5において、上面側の面)に設けられている。
この第一の線状導体2(2a、2b)の長さ方向の中央に一対の給電線路が接続され、一方の線路が給電部6に接続され、他方の線路が接地部(グラウンド)8に接続されている。
第二の線状導体3は、第一および第二の誘電体基板1aおよび1bを介して、第一の線状導体2(2a,2b)と対向または平行するように、第二の誘電体基板1bの他面側(図5における下面側)に設けられている。
第三の線状導体9は、第一の誘電体基板1aを介して、第一の線状導体2(2a,2b)と対向または平行するように、第一の誘電体基板1aの他面側(下面側)に設けられている。
【0036】
第一の接続導体5aは、第一および第二の誘電体基板1aおよび1bを貫通するようにスルーホール状に設けられおり、第一の線状導体2(2a)および第三の線状導体9の各一方端同士をそれぞれ接続している。
第二の接続導体5bは、第一および第二の誘電体基板1aおよび1bを、貫通するように同様にスルーホール状に設けられており、第一の線状導体2(2b)、第二の線状導体3および第三の線状導体9の他方端同士をそれぞれ接続している。
第一の線状導体2(2a,2b)、第二の線状導体3、第三の線状導体9、給電線路(給電部6、接地部8)、第一および第二の接続導体5aおよび5bは、導電性の良好な種々の材料、例えば、金、銀、銅およびそれ等の合金等の良導性の金属を用いて形成することができる。
尚、第一および第二の接続導体5aおよび5bは、誘電体基板1a,1bにスルーホール状に設けることに限らず、複数の線状導体を電気的に接続する手段であればよい。
【0037】
第一の線状導体2aと2bの中心部に給電部が設けられており、この給電部を中心としてその両端部の対称位置に、第一のチップアンテナ4aと第二のチップアンテナ4bがそれぞれ回路挿入されている。
この第3の実施の形態におけるアンテナ装置は、給電部6および接地部8に各端部が接続された第一の線状導体2aおよび2bの両端部に配設されたチップアンテナ4aおよび4bと、第一および第二の接続導体5aおよび5bをそれぞれ介して第二の線状導体3および第三の線状導体9の両端に接続される回路構成となっている。
また、給電部6と接地部8の入力端側には、アンテナ装置単体のインピーダンスとシステム機器の定格のインピーダンスとを整合させるための整合回路を設ける。
【0038】
上述のように構成された第3の実施の形態によれば、第1および第2の実施の形態のものよりも多層化された分だけステップアップ比が向上することにより、更なる小型化を実施することができ、第1、第2の実施の形態におけるアンテナ装置と同様、チップアンテナの数が少なく、帯域、利得と共に優れた特性を有するアンテナ装置を実現することができる。
【0039】
〔第4の実施の形態〕
図6は、本発明の第4の実施の形態に係るアンテナ装置の外観構成を模式的に示す斜視図である。
この第4の実施の形態に係るアンテナ装置は、第3の実施の形態に係るアンテナ装置に対し、チップアンテナの配設個数が増えた点が異なっているだけで、その他の構成については、基本的に共通となっている。即ち、この第4の実施の形態に係るアンテナ装置のチップアンテナ4の配設位置は、第一の線状導体2aおよび2bの両端および第二の線状導体3の両端にそれぞれ回路挿入するように構成した点、即ち、4個のチップアンテナを具備する点が異なっている。
従って、第4の実施の形態に係るアンテナ装置のその他の構成部分については、第3の実施の形態に係るアンテナ装置について記載したところを援用し、重複した説明は、省略する。
【0040】
上述したように、インピーダンス成分が39+j278Ω~48+j306Ωの第一、第二のチップアンテナ4(4a,4b)を、第一の線状導体2(2a,2b)の両端に配設し、第三、第四のチップアンテナ4c、4dを第二の線状導体3の両端に配設することで、第3の実施の形態に係るアンテナ装置に比べ、チップアンテナとステップアップ比との相乗効果により、更なる小型化を実現することができ、金属に近接した状態で使用してもインピーダンスの劣化が少なく、帯域、利得共に優れた特性を有するアンテナ装置を実現することができる。
【0041】
〔第2の実施例〕
図7は、図5に示した本発明の第3の実施の形態の変形である第2の実施例の構成を具体的に示す斜視図である(請求項4に対応する)。
図7に示すように、第1の誘電体基板1aは、ガラスエポキシ基板からなり、その寸法は、図示を省略したが、図4(a)、(b)に示すものと同様とする。
第1の実施例と異なる点は、第一層の誘電体基板1aと、第二層目の誘電体基板1bとの間が、第1の実施例の場合、密着されているが、第2の実施例の場合、4mmの間隔をもって離間して、開口部を設けた点が異なっている。
そして、折り返しダイポールアンテナの正面から見た長さが、第1の実施例においては、図4に示す通り、33mmであるのに対し、第2の実施例の場合、20mmに抑えられている点で異なっている。
上述したように、第2の実施例におけるダイポールアンテナの開口径を4mmと大きくしたことにより、そのエレメント長を一層の短縮化を実現することができたのである。
即ち、第1の実施例のダイポールアンテナは、正面寸法と背面寸法が33mmであり、多層誘電体基板の厚さが2mmであるので、全長は、33mm×2+2mm×2=70mmであった。
【0042】
これに対し、第2の実施例のダイポールアンテナは、正面寸法と背面寸法が20mmであり、多層誘電体の厚さが4mmであるので、全長は、20mm×2+4mm×2=48mmまで小型化が可能となった。
以上、詳述したところの各実施の形態によれば、小型化を実現しつつ、金属に近接した状態で使用しても、インピーダンス劣化がなく、帯域、利得と共に優れた特性を有するアンテナ装置を提供することができる。
【符号の説明】
【0043】
1(1a、1b) 誘電体基板
2(2a、2b) 第一の線状導体
3 第二の線状導体
4(4a、4b、4c、4d) チップアンテナ
5(5a、5b) 接続導体
6 給電部
7 無線基板
8 接地部
9 第三の線状導体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14