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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-23
(45)【発行日】2024-01-31
(54)【発明の名称】包装袋
(51)【国際特許分類】
   B65D 75/62 20060101AFI20240124BHJP
   B65D 33/00 20060101ALI20240124BHJP
【FI】
B65D75/62 A
B65D33/00 C
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020015764
(22)【出願日】2020-01-31
(65)【公開番号】P2021123358
(43)【公開日】2021-08-30
【審査請求日】2023-01-26
(73)【特許権者】
【識別番号】591012392
【氏名又は名称】日本マタイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100154335
【弁理士】
【氏名又は名称】小松 秀彦
(74)【代理人】
【識別番号】100198605
【弁理士】
【氏名又は名称】岡地 優司
(72)【発明者】
【氏名】小林 洋宜
【審査官】宮崎 基樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-043608(JP,A)
【文献】国際公開第2014/204397(WO,A1)
【文献】特開2014-166881(JP,A)
【文献】特開2015-093691(JP,A)
【文献】特開2017-081588(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 75/62
B65D 33/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルムからなり、幅方向に沿う両端域と、奥行方向に沿う側面または一方の平面とで、フィルムが合わさって封止された包装袋であって、
幅方向に沿う両端縁間には、奥行方向に沿う一方の側端寄りに、開封をガイドするガイド線が、奥行方向に間欠的に付されており、
間欠的に付された各ガイド線は、奥行方向の一端から最も近い位置に付された別のガイド線および他端から最も近い位置に付された別のガイド線と幅方向にずれるとともに、奥行方向で重なっている部分を有するように形成され、かつ、間欠的に付された前記ガイド線が、幅方向に複数あり、
幅方向に沿う両端縁間の奥行方向距離をA、幅方向に沿う一端域の封止部分の奥行方向距離をB、幅方向に沿う他端域の封止部分の奥行方向距離をC、前記ガイド線の奥行方向距離をLとした場合に、LとA、BおよびCとの間において下記式の関係が成り立つことを特徴とする包装袋。
[式]1≦(A-B-C)/L<3
【請求項2】
奥行方向に間欠的に付された各ガイド線は、奥行方向の一端から最も近い位置に付された別の前記ガイド線および他端から最も近い位置に付された別の前記ガイド線と奥行方向で重なっている領域において、幅方向の同じ側に位置する請求項1に記載の包装袋。
【請求項3】
奥行方向に間欠的に付された前記ガイド線が、幅方向に二つある請求項1または2に記載の包装袋。
【請求項4】
奥行方向に間欠的に付された前記ガイド線が、互いに平行をなす請求項1から3のいずれかに記載の包装袋。
【請求項5】
奥行方向に沿う両側端より内方に折りこまれた一対の折込部が形成され、幅方向に沿う両端域において前記折込部および前記折込部以外の部分のいずれもが、それぞれフィルムの裏面を合わせて封止されるとともに、一方の平面にて幅方向の双方より中央側に伸びるフィルムが合わさって奥行方向に沿って封止される包装袋であって、奥行方向および幅方向の双方と垂直をなす方向を高さ方向とした場合に、折込部が存在する領域に前記ガイド線が設けられる請求項1から4のいずれかに記載の包装袋。
【請求項6】
前記ガイド線は、直線、湾曲線、両端にて折れ曲がった折れ線、および中央にて反対側に折れ曲がって対称形状をなす折れ線のいずれかからなる請求項1からのいずれかに記載の包装袋。
【請求項7】
前記ガイド線が両端にて折れ曲がった折れ線からなる場合に、両端の折れ曲がる角度が奥行方向に対して20°以下である請求項に記載の包装袋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルムからなり、幅方向に沿う両端域と、奥行方向に沿う側面または一方の平面とで、フィルムが合わさって封止された包装袋に関する。
【背景技術】
【0002】
フィルムからなり、幅方向に沿う両端域と、奥行方向に沿う側面または一方の平面とで、フィルムが合わさって封止された包装袋においては、収容された内容物を取り出す際に、袋の表面にハーフカット等の傷をつけることで開封を容易とする技術が開発されてきた。
【0003】
たとえば特許文献1の包装袋では、ガイド線とサブガイド線との組み合わせにて、開封をガイド線からサブガイド線に誘導することにより、開封を容易とすることが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-1743号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1の提案では、たとえば、炭酸ガスレーザ等を用いてフィルムにガイド線及びサブガイド線を付す場合に、サブガイド線が途切れない加工が必要となり得、その加工に高い精度を要求されるため、加工速度を低下させる問題があった。
【0006】
また、デザイン上、たとえば、ガイド線が伸びる方向が幅方向に対して平行に近づいた場合等に、奥行方向の力に弱くなり、内容物の充填工程における高速生産等の際の高張力に対応し難い問題があった。
【0007】
さらに、包装袋の開封時に開封方向が一方向に制限され、逆方向から開封すると上手く開封できないおそれがあった。
【0008】
本発明の目的は、易開封性を保ちながら、加工性および生産性の向上を図り、かつ方向を問わずに開封できる包装袋を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
<1> フィルムからなり、幅方向に沿う両端域と、奥行方向に沿う側面または一方の平面とで、フィルムが合わさって封止された包装袋であって、幅方向に沿う両端縁間には、奥行方向に沿う一方の側端寄りに、開封をガイドするガイド線が、奥行方向に間欠的に付されており、間欠的に付された各ガイド線は、奥行方向の一端から最も近い位置に付された別のガイド線および他端から最も近い位置に付された別のガイド線と幅方向にずれるとともに、奥行方向で重なっている部分を有するように形成され、かつ、間欠的に付された前記ガイド線が、幅方向に複数あることを特徴とする包装袋である。
【0010】
<2> 奥行方向に間欠的に付された各ガイド線は、奥行方向の一端から最も近い位置に付された別の前記ガイド線および他端から最も近い位置に付された別の前記ガイド線と奥行方向で重なっている領域において、幅方向の同じ側に位置する<1>に記載の包装袋である。
【0011】
<3> 奥行方向に間欠的に付された前記ガイド線が、幅方向に二つある<1>または<2>に記載の包装袋である。
【0012】
<4> 奥行方向に間欠的に付された前記ガイド線が、互いに平行をなす<1>から3のいずれかに記載の包装袋である。
【0013】
<5> 奥行方向に沿う両側端より内方に折りこまれた一対の折込部が形成され、幅方向に沿う両端域において前記折込部および前記折込部以外の部分のいずれもが、それぞれフィルムの裏面を合わせて封止されるとともに、一方の平面にて幅方向の双方より中央側に伸びるフィルムが合わさって奥行方向に沿って封止される包装袋であって、奥行方向および幅方向の双方と垂直をなす方向を高さ方向とした場合に、折込部が存在する領域に前記ガイド線が設けられる<1>から<4>のいずれかに記載の包装袋である。
【0014】
<6> 奥行方向に間欠的に付された各ガイド線は、奥行方向の一端から最も近い位置に付された別の前記ガイド線及び他端から最も近い位置に付された別の前記ガイド線と奥行方向で重なっている部分の距離が10mm以下である<1>から<5>に記載の包装袋である。
【0015】
<7> 奥行方向に間欠的に付された前記ガイド線間の幅方向の距離が2.0mm以下である<3>から<6>のいずれかに記載の包装袋である。
【0016】
<8> 幅方向に沿う両端縁間の奥行方向距離をA、幅方向に沿う一端域の封止部分の奥行方向距離をB、幅方向に沿う他端域の封止部分の奥行方向距離をC、前記ガイド線の奥行方向距離をLとした場合に、LとA、BおよびCとの間において下記式の関係が成り立つ<1>から<7>のいずれかに記載の包装袋である。
[式]1≦(A-B-C)/L<3
【0017】
<9> 前記ガイド線は、直線、湾曲線、両端にて折れ曲がった折れ線、および中央にて反対側に折れ曲がって対称形状をなす折れ線のいずれかからなる<1>から<8>のいずれかに記載の包装袋である。
【0018】
<10> 前記ガイド線が両端にて折れ曲がった折れ線からなる場合に、両端の折れ曲がる角度が奥行方向に対して20°以下である<9>に記載の包装袋である。
【0019】
なお、本発明において、「ガイド線」とは、袋を構成するフィルムやシート等に線状に設けられた脆弱化された部分を指し、具体的には傷または凹み等を意味する。つまり、フィルム等の厚さ方向の一部を削り取るなどすることにより、フィルム等に負荷を加えた際に該当部分より引き裂き易くする。
【0020】
上述の傷または凹み等は、形成時に直線状に付してもよいし、断続的に破線状に付してもよく、これらの組み合わせであってもよい。さらに、上述の傷または凹みは、目視により概ね線状と判断できればよい。
【発明の効果】
【0021】
本発明の包装袋は、開封をガイドするガイド線を奥行方向に沿って間欠的に付し、奥行方向に間欠的に付された各ガイド線は、奥行方向の一端から最も近くに位置する別のガイド線および他端から最も近くに位置する別のガイド線と幅方向にずれるようにしたので、ガイド線の加工を調整し易くなり、加工性の向上を図ることが可能となる。また、ガイド線が奥行方向に沿っているので、内容物充填等の際の高速生産等の高張力に対応でき生産性の向上を図ることが可能となるとともに、包装袋の開封時には方向を問わずに開封可能となる。
【0022】
さらに、奥行方向に間欠的に付されるガイド線間において、奥行方向で重なっている部分を設けたので、開封がガイド線に沿ってスムーズに誘導され、易開封性を保つことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1は、本発明の第1の形態の包装袋の表面図である。
図2図2は、図1の包装袋を開封した状態を示す斜視図である。
図3図3は、包装袋の各奥行方向距離の区間を説明する説明図である。
図4図4は、本発明の第2の形態の包装袋の表面図である。
図5図5は、本発明の第3の形態の包装袋の表面図である。
図6図6は、実施例における湾曲線をなすガイド線の寸法図である。
図7図7は、実施例における「く」字状をなすガイド線の寸法図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、全図において同一機能を有するものは原則として同一の名称ないし符号を付すようにし、その繰り返しの説明は可能な限り省略するようにしている。
【0025】
[第1の形態]
まず、本発明の第1の形態の包装袋について説明する。図1は本発明の第1の形態の包装袋の表面図、図2図1の包装袋を開封した状態を示す斜視図、図3は包装袋の各奥行方向距離の区間を説明する説明図である。
【0026】
図1および図2に示すように、本発明の包装袋10は、平面視で長方形状をなす、いわゆるガゼットタイプの袋であり、フィルムからなり、奥行方向に沿う両側端11a,11bより内方に折り込まれて一対の折込部12a,12bが形成されている。包装袋10の幅方向に沿う両端域13a,13bでは、折込部12a,12bおよび折込部以外のいずれもが、それぞれフィルムの裏面が合わさって熱融着により封止されている。なお、図3に示すように、包装袋10の裏面においても、その双方より伸びるフィルムの裏面を同様に熱融着にて封止した合わせ部12cを有している(図3参照)。
【0027】
包装袋10の幅方向に沿う両端縁14a,14bには、包装袋10の開封を開始するための連続したノッチ(ギザノッチ)がそれぞれ形成されており、この両端縁14a,14b間の一方の折込部12a上に、開封をガイドするためのガイド線15が付されている。
【0028】
包装袋10は、図2に示すように、PTP(Press Through Package)シート等の内容物Pを収容した状態で両端域13a,13bが封止されており、端縁14a,14bの一方より開封を開始することで、ガイド線15に沿って開封され、内容物Pが取り出せるようになっている。
【0029】
ガイド線15は、易開封がなされる線状の領域であり、図1および2において、奥行方向に間欠的に付された外側ガイド線16と内側ガイド線17の両方から構成されている。
【0030】
外側ガイド線16および内側ガイド線17は、図1および2において、中央にて凹んだ湾曲線状の線分からなり、それらが奥行方向を軸にしてデザインを反転させながら、奥行方向に間欠的に付されるとともに、外側ガイド線16と内側ガイド線17とで互いに平行をなして幅方向に並んでいる。
【0031】
また、各外側ガイド線16は、線分の一端域および他端域において、奥行方向に付された別の外側ガイド線16が、幅方向に位置がずれるように形成されている。これは、各内側ガイド線17も同様である。
【0032】
たとえば、図1では、最も端縁14a側の外側ガイド線16および内側ガイド線17に比して、図1の包装袋上方側に位置する別の外側ガイド線16および内側ガイド線17は、幅方向外側にずらして形成されており、図1の包装袋のさらに上方側に位置する外側ガイド線16および内側ガイド線17は、幅方向内側にずらして形成されている。そして、図1の包装袋のさらに上方側に位置する最も端縁14b側の外側ガイド線16および内側ガイド線17は、幅方向外側にずらして形成されている。なお、この各外側ガイド線16および内側ガイド線17同士で幅方向にずれる距離は、特に制限はないが、加工のコスト面とガイド線15としての誘導機能とを考慮すれば、通常2.0mm以下であり、0.5mm~2.0mmが好ましい。このように、各外側ガイド線16および内側ガイド線17は、その一端から最も近い位置にある奥行方向に付された(以下、「奥行方向に隣り合う」と表現する。)別の外側ガイド線16および内側ガイド線17と、その他端から最も近い位置にある奥行方向に付された別の外側ガイド線16および内側ガイド線17とを考慮した場合に、幅方向の内側と外側に交互にずれるように形成されている。そのため、奥行方向に付された外側ガイド線16と奥行方向に付された内側ガイド線17とが一定の幅に収まるようになっている。
【0033】
各外側ガイド線16および内側ガイド線17は、隣り合う外側ガイド線16、内側ガイド線17とが、両端域において奥行方向に重なっている部分を有している。両者が重なっていないと、最も端縁14a(14b)側の外側ガイド線16および内側ガイド線17から隣り合う外側ガイド線16および内側ガイド線17に開封がガイドされ難くなる。一方、隣り合う外側ガイド線16および内側ガイド線17の奥行方向に重なる距離は長いほど良いが、10mm以内が加工コストを適度に抑えられて好ましく、0.5mm~5mmがより好ましい。
【0034】
隣り合う外側ガイド線16および内側ガイド線17の両端域において奥行方向が重なることにより、外側ガイド線16または内側ガイド線17のいずれかの両端部分が奥行方向に隣り合う外側ガイド線16および内側ガイド線17に挟まれてスムーズに開封が誘導され易くなる。
【0035】
ここで、奥行方向に隣り合う外側ガイド線16における奥行方向に重なる距離とは、たとえば図1のa部のような箇所にて、奥行方向に隣り合う2本の外側ガイド線16における、一方の外側ガイド線16の一端と他方の外側ガイド線16の一端の間の奥行方向の距離を意味する。これは、内側ガイド線17の場合も同様である。また、幅方向にずれる距離とは、a部のような箇所において、一方の外側ガイド線16の一端と他方の外側ガイド線16の一端の間の幅方向の距離を意味する。なお、図1においては、各外側ガイド線16および内側ガイド線17の長さ、上述の奥行方向に重なる距離および幅方向の距離は、それぞれ同一としている。
【0036】
奥行方向に亘って外側ガイド線16および内側ガイド線17のそれぞれ全長が付される本数は、図1の外側ガイド線16および内側ガイド線17のように、奥行方向に間欠的に付されたガイド線が幅方向に2つある場合には、3本未満であることが好ましい。
【0037】
つまり、包装袋10と同タイプの図3の包装袋10Bを例として、両端縁間の奥行方向距離をA、幅方向に沿う一端域の封止された部分の奥行方向距離をB、幅方向に沿う他端域の封止された部分の奥行方向距離をCとした場合に、各ガイド線の奥行方向距離をL(図1参照)とすると、LとA、BおよびCとの間において下記式の関係が成り立つようにすることが好ましい。
[式]1≦(A-B-C)/L<3
【0038】
外側ガイド線16および内側ガイド線17の全長が付される本数が2本以下であると、包装袋の開封を極めて容易に行い易くなる。
【0039】
ただし、ガイド線15は、包装袋の全長に渡って内容物を取り出せる開封口を設けるための易開封線としての機能を発現するか、そのような機能の発現を意図して包装袋10上に設けられている限り、上述した奥行方向に重なる距離や、幅方向に並ぶ距離、さらには、このガイド線15の幅方向に並ぶ本数に関しては、原則、問わない趣旨である。
【0040】
なお、外側ガイド線16および内側ガイド線17は、加工時に、包装袋10の流れ方向に沿って付されて行くので、袋上に一部が付されて上述の本数に含まれないものが存在し得るが、そのような外側ガイド線16および内側ガイド線17の本数は端縁14a,14b付近に付されるため、通常それぞれ1本か2本である。
【0041】
ここで、奥行方向に間欠的に付されたガイド線は、図1の外側ガイド線16および内側ガイド線17のように幅方向に2つのみならず、その数を増やしてもよい。例えば、幅方向に3つの場合には、包装袋上に全長が付されるガイド線の本数は、4本未満であることが好ましい。なお、奥行方向に間欠的に付されたガイド線の幅方向の数は、加工コストを考慮すると2つか3つが好ましく、2つがより好ましい。
【0042】
外側ガイド線16および内側ガイド線17の奥行方向距離Lと、中央の幅方向への凹み深さ(図6参照)との比は、ガイド線を容易に加工可能であれば特に制限はないが、通常は20:1~50:1程度である。
【0043】
このように構成されたガイド線15は、たとえば図2に示すように、端縁14a側より開封を開始すると、内側ガイド線17に誘導され、隣り合う内側ガイド線17を順に通って開封される。また、引裂き方向が内側ガイド線17から外れた場合であっても、外側ガイド線16に誘導され、スムーズな開封が可能となる。
【0044】
なお、外側ガイド線16および内側ガイド線17は、包装袋10を端縁14a,14bのいずれか一方のみから開封し、他方から開封しないのであれば、外側ガイド線16と内側ガイド線17を必ずしも平行に形成する必要はなく、幅方向の距離を開封が進行する側ほど広くなるように形成してもよい。ただし、端縁14a,14bいずれの側からも開封を開始し得るのであれば、図示したように、外側ガイド線16と内側ガイド線17とを平行に形成することが好ましい。
【0045】
また、ガイド線15は、図1および図2に示すように、表裏面の両方に付され、かつ、奥行方向および幅方向の双方と垂直をなす方向を高さ方向とした場合に、表裏各面のガイド線15が付される領域が高さ方向で近似するように形成されることが好ましい。この際に、高さ方向から見て、表裏でガイド線15の位置や間隔が必ずしも一致していなくてもよいが、見映えや加工を容易にすることや開封性を考慮すれば、一致している、つまり、展開時に折込部12a,12bを挟んで線対称になることが、より好ましい。
【0046】
さらに、ガイド線15は、奥行方向に沿う側端寄りに形成されるのが好ましく、かつ、上述のように高さ方向に見た場合に、折込部が存在する領域に形成されるのが好ましい。ガイド線を表裏いずれかのみに付したのでは、包装袋10を容易に開封することが困難なことがある。また、たとえば、表裏のガイド線15が、包装袋の幅方向の中央を走る奥行方向の直線を挟んで互いに反対側となるように形成される等、表裏で近似しない領域にガイド線15が形成されると、同様に開封が困難なことがある。
【0047】
包装袋10を構成するフィルムは、単層であっても多層構造であってもよいが、通常は、アルミニウム等の金属やポリエステル、ナイロン、ポリオレフィン等の樹脂を含むフィルム層から構成される。多層の場合は、最表層としては、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル層またはナイロン層が好ましく、逆に最裏層は、ポリエチレン等のポリオレフィン層が好ましい。また、目的にもよるが、中間にはアルミニウム層が含まれると、バリア性が向上するために好ましい。その他、ナイロン樹脂、アクリル系樹脂等による層も好適な場合がある。さらに、中間層の金属は、汎用性の面から通常はアルミニウムが用いられるが、たとえば、銅箔、スチール箔、金箔等の他の金属を含んでもよい。
【0048】
フィルムの加工方法としては、通常、包装袋のフィルムを作製する際に用いられている方法であれば特に制限はないが、フィルムが単層の場合には、たとえば、インフレーション方式またはT型ダイス方式の樹脂溶融フィルム成形等が挙げられる。また、フィルムが多層の場合には、たとえば、押出ラミネート、ドライラミネート、多層のインフレーション方式または多層のT型ダイス方式の樹脂溶融フィルム成形等が挙げられる。
【0049】
ガイド線15は、たとえば、市販のレーザマーカにより、表面より炭酸ガスレーザを照射すれば容易に付すことができる。また、これらの線を付す加工は、包装袋10の製袋前後のいずれに行ってもよいが、通常、内容物を入れる前に付される。
【0050】
[第2の形態]
図4は、本発明の第2の形態の包装袋の表面図である。図4に示す第2の形態の包装袋20は、ガイド線25が、直線状の外側ガイド線26と内側ガイド線27とにより間欠的に付されている。
【0051】
外側ガイド線26および内側ガイド線27は、直線状であるため、加工時に包装袋20の流れ方向に沿って、そのまま付すことができることで、加工が容易なメリットがある。
【0052】
なお、第2の形態のガイド線25は、形状が異なること以外は第1の形態のガイド線15と同様であり、隣り合う外側ガイド線26および内側ガイド線27と、幅方向でずれる距離、それらとの奥行方向の距離、包装袋20上に付される本数等についても、第1の形態で説明した通りである。
【0053】
[第3の形態]
図5は、本発明の第3の形態の包装袋の表面図である。図5に示す第3の形態の包装袋30は、ガイド線35が、両端にて折れ曲がった折れ線により、角括弧の形状をなす外側ガイド線36と内側ガイド線37とにより間欠的に付されている。
【0054】
外側ガイド線36および内側ガイド線37は、両端部38以外は奥行方向に沿った直線状に形成されており、両端部38は、隣り合う外側ガイド線36が、奥行方向を軸としてデザインを反転させるように奥行方向に間欠的に付されている。これは、内側ガイド線37についても同様である。
【0055】
この両端部38の奥行方向に対して折れ曲がる角度は、20°以下であることが、包装袋30の引張強度を高くできるので、好ましい。
【0056】
なお、その他の事項については、第1の形態および第2の形態と同様である。
【0057】
また、ガイド線の形状は上述した各形態の例に限らず、たとえば、「く」の字状のように、中央にて折れ曲がって当該中央を走る直線に対して線対称をなす折れ線(図7参照)等、他の形状であってもよい。つまり、フィルムにガイド線を付す加工が容易な形状であれば、好適に付すことができる。なお、ガイド線を「く」の字状に形成した場合のガイド線の奥行方向距離と凹み深さとの比については、上述した第1の形態と同様である。
【0058】
さらに、上述した各例では、包装袋の両端縁14a,14bはギザノッチにより構成されているが、これに限らず、たとえば図3に示した包装袋10Bのように、切欠きであってもよい。切欠きの場合は、折込部12a,12bを引き裂かないように、図3のように折込部より幅方向中央側に形成することが好ましい。
【0059】
さらに、本発明の包装袋は、たとえば、三方袋、四方袋、いわゆるピロー形状をなすタイプの袋等にも適用できる。なお、これらのうち、折込部のないタイプの包装袋においては、ガイド線は奥行方向に沿う一方の側端寄りに付されていればよい。
【実施例
【0060】
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明は下記実施例に限定されない。
【0061】
〔検証1 隣り合うガイド線の間隔の検証〕
本発明の包装袋に付したガイド線の奥行方向に隣り合うガイド線との好ましい間隔を検証するため、表裏の同じ側に、図4に示した直線状のガイド線25を付した包装袋20において、その間隔ないしは重なる奥行方向距離を下記のように変更したサンプル(a)~(i)を作製した。各サンプルについて下記条件にて引張強度を測定するとともに、10人に開封してもらい易開封性を調べた。この易開封性は、開封成功者が10人全員の場合を〇、5人~9人の場合を△、4人以下の場合を×とし、さらに問題なく開封可能か否かについても確認した。また、特許文献1にて提案される包装袋についても、サンプル(j)を作成し、同様に引張強度を測定した。結果を表1に示す。
【0062】
サンプル(a)~(e)
ガイド線25の隣り合う各外側ガイド線26および内側ガイド線27同士が奥行方向に重なるようにし、その距離を、それぞれ(a)10mm、(b)5mm、(c)3mm、(d)1mm、(e)0mmとした。なお、表中では、ガイド線が重なる場合は、その距離はマイナスで表記した。
【0063】
サンプル(f)~(i)
ガイド線25の隣り合う各外側ガイド線26および内側ガイド線27同士を奥行方向に離し、その間隔を、それぞれ(f)1mm、(g)3mm、(h)5mm、(i)10mmとした。
【0064】
なお、いずれのサンプルにおいても、隣り合う各内側ガイド線および外側ガイド線同士の幅方向にずれる距離は1.0mmとした。
【0065】
-引張強度の測定条件-
JIS Z1702に準拠し、ガイド線加工後のフィルムを、測定温度23℃、引張速度300mm/分にて、流れ方向(奥行方向)に引っ張り、島津製作所製の精密万能試験機「オートグラフ」を用いて、その破断した際の強度を測定した。
ここで、各サンプルは、いずれも、ポリエチレンテレフタレート層12μm、ポリエチレン層15μm、アルミニウム層9μm、ポリエチレン層30μmとなるように、押出ラミネートにて加工したフィルムを調製した。
このフィルム内に、内容物類似体としてPTP(Press Through Package)シートを10シート、表裏を交互に重ねて入れ、ガゼットピロー形状に製袋したサイズが42mm×145mm×25mm(幅×奥行×高さ)、幅方向に層端域の距離BおよびC(図3参照)が各7mmの包装袋を、多数作製した。
各サンプルには、上述の内容物類似体を入れる前に、レーザマーカにて奥行方向を流れ方向として奥行方向距離Lが53mmのガイド線を付した。なお、レーザマーカは、パナソニックデバイスSUNX製LP-430Uを用い、条件は、レーザ出力が最大出力に対して80%、スキャン速度3,000mm/秒とした。
【0066】
【表1】
【0067】
表1の結果によれば、ガイド線を間欠的に付したサンプル(a)~(i)では、引張強度は、ガイド線と連続したサブガイド線からなるサンプル(j)に比して、いずれも高く、ガイド線の加工後に強く引っ張ってもガイド線から破れることは防止できた。
【0068】
一方、易開封性については、隣り合う各内側ガイド線および外側ガイド線同士が重なるようにしたサンプル(a)~(e)では、問題なく内側ガイド線および外側ガイド線の2本に沿って引き裂かれて開封され、10人中の全員が開封に成功し、良好な易開封性を示した。対して、隣り合う各内側ガイド線および外側ガイド線の奥行方向間隔が1mmを超えるサンプル(g)~(i)では、引裂きが、最初の内側ガイド線および外側ガイド線の組み合わせから、次の組み合わせに行かずに逸れてしまい、殆どの人が開封に失敗した。また、隣り合う各内側ガイド線および外側ガイド線の奥行方向間隔を1mm以内としたサンプル(f)では、10人中5人と、ある程度、開封に成功して開封は可能であったが、良好な易開封性を示すとは言い難かった。
【0069】
このことから、ガイド線を間欠的に付しながらも、易開封性を保持するためには、隣り合う各外側ガイド線および内側ガイド線間の奥行方向間隔が重なるようにすることが必要とわかった。これは、隣り合う各内側ガイド線および外側ガイド線を奥行方向に重ねることにより、外側ガイド線または内側ガイド線のいずれかの両端部分が隣り合う外側ガイド線および内側ガイド線に挟まれ、開封がスムーズに誘導され易くなるためと考えられる。
【0070】
〔検証2 隣り合うガイド線のずらし幅の検証〕
本発明の包装袋に付したガイド線の奥行方向に隣り合うガイド線との幅方向にずれる好ましい距離(ずらし幅)を検証するため、図5に示した直線状のガイド線25を付した包装袋20において、隣り合う各外側ガイド線26および内側ガイド線27同士の幅方向にずれる距離をずらしたサンプル(k)~(o)を、検証1と同様にして作製した。詳しくは、サンプル(k)~(o)にて、0mmから2.0mmまで0.5mmずつ、ずらした。各サンプルについて検証1と同様に引張強度を測定するとともに、易開封性を調べた。なお、いずれのサンプルも、奥行方向に重なる距離は0mmとした。そのため、サンプル(m)と検証1におけるサンプル(e)は実質的に同じ条件のサンプルとなる。これらの結果を表2に示す。また、サンプル(j)の結果についても、参考のため示す。
【0071】
【表2】
【0072】
表2の結果によれば、サンプル(k)と、本発明に該当するサンプル(l)~(o)とでは、いずれも引張強度および易開封性ともに、極めて良好であった。したがって、隣り合うガイド線の幅方向にずれる距離は2.0mm以内であれば問題なく、ガイド線の付し易さを考慮すれば、0.5mm~2.0mmの範囲でずらすことが好ましいとわかった。
【0073】
〔検証3 ガイド線の形状の違いによる検証〕
本発明の包装袋に付したガイド線の形状の違いが開封性に与える影響を検証するため、上述したサンプル(m)とともに、下記のようなガイド線の形状としたサンプル(p)~(r)を作製し、各サンプルについて検証1と同様に引張強度を測定するとともに、易開封性を調べた。これらの結果を表3に示す。また、サンプル(j)の結果についても、参考のため示す。
【0074】
サンプル(p)
ガイド線の形状を、図1に示した湾曲線状とし、図6に示すように、各外側ガイド線および内側ガイド線の奥行方向距離を65mm、中央の幅方向への凹み深さを3mmとなるように形成した。なお、隣り合うガイド線の奥行方向に重なる距離等、その他の条件については、サンプル(m)と同様とした。
【0075】
サンプル(q)
ガイド線の形状を、図7に示すように、中央にて反対側に折れ曲がって対称形状をなす「く」の字状の折れ線とし、各外側ガイド線および内側ガイド線の奥行方向距離を65mm、中央の幅方向への凹み深さを3mmとなるように形成した。なお、隣り合うガイド線の奥行方向に重なる距離等、その他の条件については、サンプル(m)と同様とした。
【0076】
サンプル(r)
ガイド線の形状を、図5に示すように、両端にて折れ曲がって角括弧の形状をなす折れ線とし、両端が奥行方向に対して折れ曲がる角度が20°となるように形成した。なお、隣り合うガイド線の奥行方向に重なる距離等、その他の条件については、サンプル(m)と同様とした。
【0077】
【表3】
【0078】
表3の結果によれば、サンプル(m)およびサンプル(p)~(r)では、いずれも引張強度および易開封性ともに、極めて良好であった。したがって、隣り合うガイド線と近接していれば、ガイド線の形状に変更を加えても、加工性に影響を与えない程度の規則的な形状であれば、高い引張強度や易開封性は保たれ、本発明の所望の効果を奏することがわかった。
【0079】
〔検証4 角括弧の形状としたガイド線における好ましい角度の検証〕
本発明の包装袋のガイド線を、図5に示した角括弧の形状に付した場合に、両端が奥行方向に対して折れ曲がる角度が、どの程度であると好ましいかを検証するため、この角度を10°から45°まで5°ずつ異ならせたサンプル(s)~(z)を作製した。各サンプルについて検証1と同様に引張強度を測定するとともに、易開封性を調べた。なお、いずれのサンプルも、隣り合うガイド線の奥行方向に重なる距離等、その他の条件については、検証3と同様とした。そのため、サンプル(u)と検証3におけるサンプル(r)は実質的に同じ条件のサンプルとなる。これらの結果を表4に示す。また、サンプル(j)の結果についても、参考のため示す。
【0080】
【表4】
【0081】
表4の結果によれば、サンプル(s)~(z)では、いずれも易開封性では極めて良好が得られた。また、引張強度も低くても60N/mmは有しており概ね良好であったが、折れ曲がる角度が小さくなるほど良好になる傾向があり、折れ曲がる角度が20°以下のサンプル(s)~(u)で特に良好であった。これらのことから、ガイド線を両端で折れ曲がる角括弧の形状に付しても易開封性に影響はないが、高い引張強度を保つには、その折れ曲がる角度は20°以下が好ましいことがわかった。
【0082】
〔検証5 全長が付されるガイド線の好ましい本数の検証〕
本発明の包装袋の奥行方向に亘って全長が付されるガイド線の好ましい本数を検証するため、その本数を変えたサンプルを作製した。より詳しくは、図3に示した包装袋10Bを参照に、両端縁間の奥行方向距離をA、幅方向に沿う一端域の封止された部分の奥行方向距離をB、幅方向に沿う他端域の封止された部分の奥行方向距離をCとする。その場合に、ガイド線の奥行方向距離L(図1図4図5参照)とすると、それぞれLがA、BおよびCにより下記式で表されるサンプル(α)~(ε)を作製した。つまり、この式では、Lのガイド線が付される本数分の倍数がA-B-Cの値となる。これらの各サンプルについて易開封性を調べた。結果を表5に示す。
サンプル(α) L=A-B-C
サンプル(β) L=(A-B-C)/2
サンプル(γ) L=(A-B-C)/3
サンプル(δ) L=(A-B-C)/4
サンプル(ε) L=(A-B-C)/5
【0083】
ここで、易開封性は、同じ奥行方向距離Lのサンプルにて、図1で示される湾曲線状のガイド線の例、図4で示される直線状のガイド線の例、図5で示される角括弧形状で両端が奥行方向に対して20°で折れ曲がる例の各10個ずつの計30個の包装袋にて、モニターに開封してもらい、30人中何人が開封に成功したかにより評価した。
【0084】
また、各サンプルは、いずれも隣り合うガイド線の奥行方向に重なる距離を0mmとし、幅方向にずれる距離を1.0mmとした。
【0085】
【表5】
【0086】
表5の結果によれば、いずれのサンプルにおいても概ね良好な易開封性を示したが、全長に亘って付されるガイド線が2本以下であるサンプル(α)および(β)にて、30人全員が開封に成功して極めて良好な易開封性を示した。このことから、確実に開封を最後まで行えて、極めて良好な易開封性とするためには、全長に亘って付されるガイド線が3本未満であることが好ましく、換言すれば下記式の関係が成り立つことが好ましいことがわかった。
[式]1≦(A-B-C)/L<3
【産業上の利用可能性】
【0087】
本発明は、PTP(Press Through Package)シート等を収容する包装袋の用途において適用可能である。
【符号の説明】
【0088】
10,10B,20,30 包装袋
11a,11b 奥行方向に沿う側端
12a,12b 折込部
12c 合わせ部
13a,13b 幅方向に沿う端域
14a,14b 幅方向に沿う端縁
15,25,35 ガイド線
16,26,36 外側ガイド線
17,27,37 内側ガイド線
38 (外側ガイド線および内側ガイド線の)両端部
P 内容物
a 外側ガイド線および内側ガイド線同士が隣り合う部分
A 両端縁間の奥行方向距離
B 幅方向に沿う一端域の奥行方向距離
C 幅方向に沿う他端域の奥行方向距離
L ガイド線の奥行方向距離
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7