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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-23
(45)【発行日】2024-01-31
(54)【発明の名称】情報処理システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20240124BHJP
   H04M 1/00 20060101ALI20240124BHJP
   H04Q 9/00 20060101ALI20240124BHJP
   F25D 23/00 20060101ALI20240124BHJP
【FI】
G06Q50/10
H04M1/00 U
H04Q9/00 311K
F25D23/00 301Z
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2020087383
(22)【出願日】2020-05-19
(65)【公開番号】P2021182251
(43)【公開日】2021-11-25
【審査請求日】2022-12-15
(73)【特許権者】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100205785
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼橋 史生
(74)【代理人】
【識別番号】100203297
【弁理士】
【氏名又は名称】橋口 明子
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100135301
【弁理士】
【氏名又は名称】梶井 良訓
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 浩太
【審査官】塚田 肇
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-114053(JP,A)
【文献】特開2018-179406(JP,A)
【文献】特表2016-525681(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
H04M 1/00
H04Q 9/00
F25D 23/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1家電機器の温度センサの検出結果に基づく第1情報を所定時間に亘り蓄積する情報蓄積部と、
前記情報蓄積部により前記所定時間に亘り蓄積された前記第1情報に基づき、前記第1家電機器の周囲の将来の温度を予測する予測部と、
前記予測部により予測された前記将来の温度が第1条件を満たす場合に、前記第1家電機器の報知器または端末装置に第1報知を行わせる報知部と、
前記温度センサの過去の検出結果に基づき、前記第1家電機器と同じ空間に室温を調整可能な空調機器が存在するか否かを判定する判定部と、
を備え、
前記報知部は、前記判定部により前記空調機器が存在しないと判定された場合、前記空調機器が存在すると判定された場合と比べて早い時点で前記第1報知を行わせる、
報処理システム。
【請求項2】
第1家電機器の温度センサの検出結果に基づく第1情報を所定時間に亘り蓄積する情報蓄積部と、
前記情報蓄積部により前記所定時間に亘り蓄積された前記第1情報に基づき、前記第1家電機器の周囲の将来の温度を予測する予測部と、
前記予測部により予測された前記将来の温度が第1条件を満たす場合に、前記第1家電機器の報知器または端末装置に第1報知を行わせる報知部と、
を備え、
前記予測部は、前記第1家電機器と同じ空間に配置された室温を調整可能な空調機器が運転中と判定された時間における前記第1情報と比べて、前記空調機器が運転されていないと判定された時間における前記第1情報の重み付けを相対的に大きくした情報に基づき、前記将来の温度を予測する、
報処理システム。
【請求項3】
第1家電機器の温度センサの検出結果に基づく第1情報を所定時間に亘り蓄積する情報蓄積部と、
前記情報蓄積部により前記所定時間に亘り蓄積された前記第1情報に基づき、前記第1家電機器の周囲の将来の温度を予測する予測部と、
前記予測部により予測された前記将来の温度が第1条件を満たす場合に、前記第1家電機器の報知器または端末装置に第1報知を行わせる報知部と、
を備え、
前記予測部は、前記第1家電機器と同じ空間に配置された室温を調整可能な空調機器が運転されることを想定した場合と、前記空調機器が運転されないことを想定した場合とでそれぞれ前記将来の温度を予測し、
前記報知部は、前記空調機器が運転中と判定された場合であっても、前記空調機器が運転されないことを想定した場合における前記将来の温度が前記第1条件を満たす場合、前記第1家電機器の報知器または前記端末装置に第2報知を行わせる、
報処理システム。
【請求項4】
第1家電機器の温度センサの検出結果に基づく第1情報を所定時間に亘り蓄積する情報蓄積部と、
前記情報蓄積部により前記所定時間に亘り蓄積された前記第1情報に基づき、前記第1家電機器の周囲の将来の温度を予測する予測部と、
前記予測部により予測された前記将来の温度が第1条件を満たす場合に、前記第1家電機器の報知器または端末装置に第1報知を行わせる報知部と、
前記第1家電機器と同じ空間に配置された第2家電機器の動作状態を示す第2情報を取得する第1取得部と、
を備え、
前記予測部は、前記所定時間に亘り蓄積された前記第1情報と、前記第1取得部により取得された前記第2情報とに基づき、前記将来の温度を予測する、
報処理システム。
【請求項5】
前記第1家電機器および前記第2家電機器は、調理をするための機器が設置された調理室に配置される家電機器である、
請求項に記載の情報処理システム。
【請求項6】
前記予測部は、前記所定時間に亘り蓄積された前記第1情報のなかで前記第2家電機器が動作中である特別時間における前記第1情報を除外した情報または前記特別時間における前記第1情報の重み付けを小さくした情報に基づき、前記将来の温度を予測する、
請求項または請求項に記載の情報処理システム。
【請求項7】
前記予測部は、前記第1家電機器と同じ空間に配置された室温を調整可能な空調機器が運転中と判定された場合、前記所定時間に亘り蓄積された前記第1情報のなかで前記第2家電機器が動作中である特別時間における前記第1情報を除外した情報または前記特別時間における前記第1情報の重み付けを小さくした情報に基づき前記将来の温度を予測し、前記空調機器が運転されていないと判定された場合、前記所定時間に亘り蓄積された前記第1情報を前記除外または前記重み付けを行わずに用いて前記将来の温度を予測する、
請求項から請求項のうちいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項8】
前記予測部は、監視対象日の午前の時間帯を含む前記所定時間に亘り蓄積された前記第1情報に基づき、前記監視対象日の午後の時間帯における前記将来の温度を予測する、
請求項1から請求項7のうちいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項9】
前記予測部は、監視対象日の前日の午前および午後の時間帯と前記監視対象日の午前の時間帯とを含む前記所定時間に亘り蓄積された前記第1情報に基づき、前記監視対象日の午後の時間帯における前記将来の温度を予測する、
請求項1から請求項8のうちいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項10】
前記予測部は、ニューラルネットワークを用いて前記温度センサの過去の検出結果に基づいて学習された学習モデルに基づき、前記所定時間に亘り蓄積された前記第1情報を入力情報として前記将来の温度を予測する、
請求項1から請求項9のうちいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項11】
前記予測部は、前記将来の温度が所定温度に達する予測時刻を予測し、
前記報知部は、前記予測部により予測された前記予測時刻を含む前記第1報知を前記第1家電機器の報知器または前記端末装置に行わせる、
請求項1から請求項10のうちいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項12】
前記第1家電機器の周囲に人が存在するか否かを判定するユーザ存在判定部をさらに備え、
前記報知部は、前記ユーザ存在判定部により前記第1家電機器の周囲に人が存在すると判定された場合に、前記第1家電機器の報知器に前記第1報知を行わせる、
請求項1から請求項11のうちいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項13】
前記情報蓄積部は、天気状態を示す第3情報を蓄積し、
前記予測部は、前記情報蓄積部により蓄積された前記第1情報および前記第3情報に基づき、前記第1家電機器の周囲の将来の温度を予測する、
請求項1から請求項12のうちいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項14】
前記報知部は、前記第1情報と、前記温度センサとは異なる情報源から得らえる第4情報との関係が第2条件を満たす場合、前記第1報知の内容を変更する、
請求項1から請求項13のうちいずれか1項に記載の情報処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、情報処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
周囲温度が基準温度の上限(熱中症のおそれがある温度)を超えた場合に、駆動条件などに基づいて庫外情報を取得し、取得した庫外情報を外部装置に送信する冷蔵庫が知られている。
【0003】
ところで、周囲温度が所定値に達することに応じて動作が行われる場合、利便性の観点で改善の余地があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2014-70739号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、利便性の向上を図ることができる情報処理システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の情報処理システムは、情報蓄積部と、予測部と、報知部と、判定部とを持つ。前記情報蓄積部は、第1家電機器の温度センサの検出結果に基づく第1情報を所定時間に亘り蓄積する。前記予測部は、前記情報蓄積部により前記所定時間に亘り蓄積された前記第1情報に基づき、前記第1家電機器の周囲の将来の温度を予測する。前記報知部は、前記予測部により予測された前記将来の温度が第1条件を満たす場合、前記第1家電機器の報知器または端末装置に第1報知を行わせる。前記判定部は、前記温度センサの過去の検出結果に基づき、前記第1家電機器と同じ空間に室温を調整可能な空調機器が存在するか否かを判定する。前記報知部は、前記判定部により前記空調機器が存在しないと判定された場合、前記空調機器が存在すると判定された場合と比べて早い時点で前記第1報知を行わせる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1実施形態の見守りシステムの全体構成を示す図。
図2】第1実施形態の第1家電機器の構成を示すブロック図。
図3】第1実施形態のサーバの構成を示すブロック図。
図4】第1実施形態の予測部による将来の温度の予測の一例を概念的に示す図。
図5】第1実施形態の予測部による将来の温度の予測の別の一例を概念的に示す図。
図6】第1実施形態の端末装置に表示される第1報知の一例を示す図。
図7】第1実施形態の端末装置に表示される第1報知の別の一例を示す図。
図8】第1実施形態のサーバによる処理の基本的な流れを示すフローチャート。
図9】第2実施形態のサーバの構成を示すブロック図。
図10】第2実施形態の学習モデルの一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施形態の情報処理システムを、図面を参照して説明する。以下の説明では、同一または類似の機能を有する構成に同一の符号を付す。そして、それら構成の重複する説明は省略する場合がある。「XXに基づく」とは、「少なくともXXに基づく」ことを意味し、XXに加えて別の要素に基づく場合も含み得る。「XXに基づく」とは、XXを直接に用いる場合に限定されず、XXに対して演算や加工が行われたものに基づく場合も含み得る。「XXまたはYY」とは、XXとYYのうちいずれか一方の場合に限定されず、XXとYYの両方の場合も含み得る。これは選択的要素が3つ以上の場合も同様である。「XX」および「YY」は、任意の要素(例えば任意の情報)である。
【0009】
(第1実施形態)
<1.見守りシステムの全体構成>
図1は、第1実施形態の見守りシステム1の全体構成を示す図である。見守りシステム1は、例えば、家電機器100、サーバ200、および端末装置300を含む。後述するネットワークNWは、例えば、インターネット、セルラー網、Wi-Fi網、LPWA(Low Power Wide Area)、WAN(Wide Area Network)、LAN(Local Area Network)、またはその他の公衆回線や専用回線などを状況に応じて利用すればよい。
【0010】
家電機器100は、第1ユーザU1の住居内に配置されている。家電機器100は、例えば、第1家電機器101と、第2家電機器102と、エアコン103とを含む。
【0011】
第1家電機器101は、後述する温度センサ111(図2参照)を有し、第1家電機器101の周囲の温度を検出可能な家電機器である。第1家電機器101は、例えば、外部電源であるコンセントに常時接続され、24時間に亘り周囲の温度を検出可能であると好ましい。本実施形態では、第1家電機器101は、冷蔵庫である。ただし、第1家電機器101は、冷蔵庫に限らず、電子レンジ、コンロ、室温を調整可能な空調機器(例えばエアコン)、空気清浄機、加湿器、洗濯機、テレビジョン受像機、または照明機器などでもよい。第1家電機器101は、後述する通信モジュール115(図2参照)を有し、同じ住居内に配置された無線ルータRおよびネットワークNWを介して、サーバ200と通信可能である。第1家電機器101については詳しく後述する。
【0012】
第2家電機器102は、第1家電機器101と同じ空間に配置される家電機器である。第2家電機器102は、例えば、動作時に発熱し、室温を上昇させる家電機器である。ここで、キッチンとリビングなど複数の部屋が連続している場合(例えば複数の部屋の間に扉などが無い場合)、それらは本明細書でいう「同じ空間」の一例に該当する。本実施形態では、第1家電機器101および第2家電機器102は、主としてキッチンに配置されるキッチン家電である。第2家電機器102は、例えば、電子レンジ102A、コンロ102B、または炊飯器102Cである。例えば第1家電機器101および第2家電機器102の双方がキッチン家電であると、特別な判定処理を行わなくても、これらが互いに同じ空間に配置されていると見做すことができる。キッチンは、「調理をするための機器が設置された調理室」の一例である。
【0013】
第2家電機器102は、不図示の通信モジュールを有し、無線ルータRおよびネットワークNWを介して、サーバ200と通信可能である。第2家電機器102は、第2家電機器102の動作状態を示す動作状態情報(例えば、第2家電機器102が動作中である場合、第2家電機器102が動作中であることを示す情報)をサーバ200に送信する。
【0014】
エアコン103は、例えば、第1家電機器101および第2家電機器102と同じ空間に配置され、第1家電機器101および第2家電機器102が配置された空間の冷房および暖房を行うことができる。エアコン103は、不図示の通信モジュールを有し、無線ルータRおよびネットワークNWを介して、サーバ200と通信可能であってもよいし、通信モジュールを有さず、サーバ200と通信不可能であってもよい。エアコン103は、サーバ200と通信可能である場合、エアコン103の動作状態を示す動作状態情報(例えば、エアコン103が運転中である場合、エアコン103が運転中であることを示す情報)をサーバ200に送信する。エアコン103は、「室温を調整可能な空調機器」の一例である。
【0015】
サーバ200は、1台以上のサーバ装置SD(例えばクラウドサーバ)で構成される。サーバ200は、「サーバシステム」と称されてもよい。サーバ200は、ネットワークNW中のルータに含まれる情報処理部など、エッジコンピューティングやフォグコンピューティングを行う情報処理部を含んでもよい。サーバ200は、ネットワークNWを介して気象庁のサーバ装置CSDと通信可能である。サーバ200については、詳しく後述する。
【0016】
端末装置300は、第1ユーザU1の端末装置301、および/または第2ユーザU2の端末装置302である。例えば、第1ユーザU1は、家電機器100が配置された住居に暮らす高齢者である。第2ユーザU2は、第1ユーザU1の子供などで、見守りシステム1を利用して第1ユーザU1の暮らしを見守るユーザである。以下では、第1ユーザU1と第2ユーザU2とを区別しない場合は、単に「ユーザU」と称し、第1ユーザU1の端末装置301と第2ユーザU2の端末装置302とを区別しない場合は、単に「端末装置300」と称する。端末装置300は、例えば、スマートフォンまたはタブレット端末機器のような携帯端末装置であるが、スマートスピーカのような音声対話装置などでもよい。
【0017】
<2.第1家電機器>
図2は、第1家電機器101の構成を示すブロック図である。第1家電機器101は、例えば、温度センサ(外気温センサ)111、人感センサ112、表示装置113、ブザー114、通信モジュール115、および制御部116を有する。
【0018】
温度センサ111は、例えば第1家電機器101の表面に設けられ、第1家電機器101の周囲の温度(第1家電機器101が配置された部屋の室温)を検出する。人感センサ112は、例えば赤外線に基づき、第1家電機器101の周囲に人が存在するか否かを検出する。
【0019】
表示装置113は、例えば液晶ディスプレイまたは有機ELディスプレイ(Electro Luminescence)ディスプレイであり、後述する所定の報知を表示可能な表示画面を含む。ブザー114は、後述する所定の報知を警告音として出力可能である。表示装置113およびブザー114の各々は、「報知器」の一例である。以下では、表示装置113とブザー114とを区別しない場合は、単に「報知器N」と称する。通信モジュール115は、例えば高周波回路とアンテナを含み、無線ルータRと無線通信可能である。
【0020】
制御部116は、例えば、第1家電機器101に搭載されたCPU(Central Processing Unit)のようなハードウェアプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。ただし、制御部116の全部または一部は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、PLD(Programmable Logic Device)、またはFPGA(Field Programmable Gate Array)などのハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアとの協働によって実現されてもよい。制御部116は、温度センサ111の検出結果を示す温度情報を、所定の周期(例えば10分毎)でサーバ200に送信する。制御部116は、人感センサ112により人の存在が検出された場合、第1家電機器101の周囲に人が存在することを示す情報をサーバ200に送信する。制御部116は、後述するサーバ200の報知部260から受信する制御指令に基づき、報知器Nを制御して所定の報知を行わせる。
【0021】
<3.サーバ>
<3.1 サーバの構成>
図3は、サーバ200の構成を示すブロック図である。サーバ200は、例えば、情報取得部210、判定部220、情報蓄積部230、予測モデル生成部240、予測部250、および報知部260を有する。これら機能部は、例えば、例えば、サーバ200に搭載されたCPUのようなハードウェアプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。ただし、これら機能部の全部または一部は、ASIC、PLD、またはFPGAなどのハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアとの協働によって実現されてもよい。
【0022】
さらに、サーバ200は、記憶部270を有する。記憶部270は、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、フラッシュメモリ、またはこれらのうち複数の組み合わせにより実現される。記憶部270には、蓄積情報I、予測モデルM、および後述する第1条件および第2条件を規定する閾値などを記憶している。
【0023】
本実施形態では、サーバ200は、「情報処理システム」の一例である。ここで、上述した情報取得部210、判定部220、情報蓄積部230、予測部250、報知部260、および記憶部270の一部または全部は、サーバ200に代えて、第1家電機器101に設けられてもよい。これら場合、サーバ200と第1家電機器101とが協働することで「情報処理システム」の一例が構成されてもよい。また、家電機器100が単独で「情報処理システム」の一例に該当してもよい。以下では、上記機能部がサーバ200に設けられる例について説明する。
【0024】
<3.2 情報取得部>
情報取得部210は、不図示の通信モジュールを介して通信を行い、種々の情報を取得する(受け取る)。例えば、情報取得部210は、温度情報取得部211、ユーザ存在情報取得部212、動作情報取得部213、および天気情報取得部214を含む。
【0025】
温度情報取得部211は、第1家電機器101から送信された温度情報(温度センサ111により検出された温度値を示す情報)を取得する。温度情報は、「第1情報」の一例である。温度情報は、例えば第1ユーザU1の住居内に配置された無線ルータRのIPアドレスが付加された状態で受信される。ユーザ存在情報取得部212は、第1家電機器101から送信された人感センサ112の検出結果(第1家電機器101の周囲に人が存在することを示す情報)を取得する。
【0026】
動作情報取得部213は、第2家電機器102および/またはエアコン103から送信された動作状態情報を取得する。動作状態情報は、例えば第1ユーザU1の住居内に配置された無線ルータRのIPアドレスが付加された状態で受信される。動作情報取得部213は、例えば上記IPアドレスに基づき、第1家電機器101と第2家電機器102(またはエアコン103)とが同一のサブネット内(同一の住居内)に配置された家電機器群であると判定し、同一住居内に配置された家電機器群から得た情報を互いに関連付けて管理する。なお上記に代えて、動作情報取得部213は、同一のユーザUによって第1家電機器101と第2家電機器102(またはエアコン103)とがサーバ200上で遠隔操作対象の家電機器として登録されている場合、その登録に基づき同一住居内に配置された家電機器群から得た情報を互いに関連付けて管理してもよい。動作情報取得部213は、「第1取得部」の一例である。第2家電機器102の動作状態情報は、「第2情報」の一例である。
【0027】
天気情報取得部214は、気象庁のサーバ装置CSD(図1参照)から配信された天気状態を示す天気情報を取得する。天気情報は、例えば、各地域の天気(晴れ/雨/雲りなど)、最高気温、最低気温、および温度変化の予測を含む。天気情報取得部214は、「第2取得部」の一例である。天気情報は、「第3情報」の一例である。天気情報は、第1家電機器101の温度センサ111とは異なる情報源(例えば気象庁のサーバ装置CSD)から得られる情報であり、「第4情報」の一例でもある。
【0028】
<3.3 判定部>
判定部220は、例えば、ユーザ存在判定部221と、エアコン存在判定部222と、エアコン運転判定部223とを含む。ユーザ存在判定部221は、ユーザ存在情報取得部212により取得された情報に基づき、第1家電機器101の周囲に人が存在するか否かを判定する。本実施形態では、ユーザ存在判定部221は、ユーザ存在情報取得部212により第1家電機器101の周囲に人が存在することを示す情報が取得された場合、第1家電機器101の周囲に人が存在すると判定する。一方で、ユーザ存在判定部221は、ユーザ存在情報取得部212により第1家電機器101の周囲に人が存在することを示す情報が取得されない場合、第1家電機器101の周囲に人が存在しないと判定する。ユーザ存在判定部221は、「第1判定部」の一例である。
【0029】
エアコン存在判定部222は、第1家電機器101と同じ空間にエアコン103が存在するか否かを判定する。ここで、エアコン103は、第1家電機器101と同じ住居内に配置されている場合でも、キッチン家電と異なり、冷蔵庫である第1家電機器101と同じ空間に配置されているか否かは不明である。このため、第1家電機器101と同じ空間にエアコン103が存在するか否かの判定が必要となる。この判定は、例えば後述する将来の温度の予測とは別に、事前に行われている。
【0030】
本実施形態では、エアコン存在判定部222は、温度情報取得部211により取得された第1家電機器101の温度センサ111の過去の検出結果に基づき、第1家電機器101と同じ空間にエアコン103が存在するか否かを判定する。例えば、エアコン存在判定部222は、温度センサ111の過去の検出結果(例えば過去1年間の検出結果)に所定の閾値を超える急激な温度変化が含まれる場合、第1家電機器101と同じ空間にエアコン103が存在すると判定する。「急激な温度変化」は、例えば、日中の30分の間に3℃を超える温度低下がある場合などである。
【0031】
このような急激な温度変化が存在する場合、エアコン存在判定部222は、第1家電機器101と同じ空間にエアコン103が存在すると判定する。一方で、温度センサ111の過去の検出結果に含まれる温度変化が常に穏やかな場合、エアコン存在判定部222は、第1家電機器101と同じ空間にエアコン103が存在しないと判定する。エアコン存在判定部222は、「第2判定部」の一例である。
【0032】
エアコン運転判定部223は、エアコン存在判定部222により第1家電機器101と同じ空間にエアコン103が存在すると判定された場合、温度センサ111の検出結果とエアコン103の動作状態情報との比較に基づき、第1家電機器101と同じ空間に存在するエアコン103(以下「特定エアコン103」と称する)を特定する。そして、エアコン運転判定部223は、動作情報取得部213により特定エアコン103の動作状態情報が取得された場合、特定エアコン103が動作中であると判定する。一方で、エアコン運転判定部223は、動作情報取得部213により特定エアコン103の動作状態情報が取得されない場合、特定エアコン103が動作中でないと判定する。
【0033】
<3.4 情報蓄積部>
情報蓄積部230は、温度情報取得部211により新しい温度情報が取得された場合、新しく取得された温度情報を日時情報と対応付けて記憶部270の蓄積情報Iに追加して蓄積する。例えば、情報蓄積部230は、第1家電機器101から所定の周期(例えば10分毎)で取得される温度情報を、蓄積情報Iに随時追加して蓄積する。これにより、情報蓄積部230は、第1家電機器101の周囲の温度変化の履歴を蓄積する。
【0034】
ここで1つの観点で見ると、情報蓄積部230は、温度情報取得部211により取得された温度情報を第1所定時間に亘り蓄積する。第1所定時間は、例えば数時間でもよく、12時間や24時間、36時間、48時間などでもよい。第1所定時間に亘り蓄積された温度情報は、後述する予測部250により将来の温度を予測するための入力情報として用いられる。
【0035】
一方で、別の観点で見ると、情報蓄積部230は、温度情報取得部211により取得された取得された温度情報を第2所定時間(例えば1年以上の期間)に亘り蓄積する。第2所定時間は、第1所定時間よりも長い時間である。第2所定時間に亘り蓄積された温度情報は、後述する予測モデルMを生成するために用いられる。
【0036】
本実施携帯では、情報蓄積部230は、温度情報に加えて、動作情報取得部213により取得された第2家電機器102およびエアコン103の動作状態情報や、天気情報取得部214により取得された天気情報も、日時情報と対応付けて記憶部270の蓄積情報Iに追加して蓄積する。
【0037】
<3.5 予測モデル生成部>
予測モデル生成部240は、情報蓄積部230により第2所定時間に亘り蓄積された温度情報などに基づき、将来の温度を予測するための予測モデルMを生成する。予測モデルMの生成は、後述する温度の予測とは別に、事前に行われている。ここで「予測対象時間帯」と「先行時間帯」との用語について定義する。予測対象時間帯は、温度を予測したい時間帯であり、温度変化や最高温度、最低温度などに注意すべき時間帯である。予測対象時間帯は、例えば、12時~18時や18時~翌6時などである。先行時間帯は、予測対象時間帯よりも前の時間帯であり、予測対象時間帯における温度を予測するための情報を収集して蓄積する時間帯である。
【0038】
本実施形態では、予測モデル生成部240は、例えば、先行時間帯における温度変化(および/または先行時間帯における前日の同時刻の温度に対する差分値)と、予測対象時間帯における温度変化、予測対象時間帯における最高温度、および予測対象時間帯における最低温度などとの相関関係を回帰分析または機械学習などにより求めることで、予測モデルMを生成する。すなわち、予測モデルMは、先行時間帯における温度変化、および/または先行時間帯における前日の同時刻の温度に対する差分値を入力した場合に、予測対象時間帯における温度変化、最高温度、および最低温度などを出力するモデルである。
【0039】
<3.6 予測部>
予測部250は、先行時間帯において第1所定時間に亘り蓄積された温度情報に基づき、第1家電機器101の周囲の将来の温度を予測する。本実施形態では、予測部250は、先行時間帯における温度変化、および/または、先行時間帯における前日の同時刻の温度に対する差分値に基づき、第1家電機器101の周囲の将来の温度を予測する。以下、これらについて詳しく説明する。
【0040】
<3.6.1 当日の温度変化に基づく予測>
図4は、予測部250による将来の温度の予測の一例を概念的に示す図である。本明細書では、予測部250により温度が予測される日を「監視対象日」または「当日」と称し、監視対象日の1日前を「前日」と称する。例えば、予測部250は、監視対象日の午前の時間帯を含む第1所定時間に亘り蓄積された温度情報に基づき、監視対象日の午後の時間帯における将来の温度を予測する。
【0041】
例えば、予測部250は、監視対象日の午前の時間帯における温度変化に基づき、監視対象日の午後の時間帯における温度変化および最高温度を予測する。具体的な一例では、予測部250は、先行時間帯である9時~11時の温度変化を入力情報とし、予測モデルMを用いて、監視対象日の午後の温度が基準温度範囲の上限値である所定温度(例えば35℃)に達するか否かを予測し、監視対象日の午後の温度が上記基準温度範囲の上限値に達することが予測される場合、上記上限値に達する予測時刻を予測する。
【0042】
図5は、予測部250による将来の温度の予測の別の一例を概念的に示す図である。本実施形態では、予測部250は、監視対象日の日中の時間帯(18時より前の時間帯)を含む第1所定時間に亘り蓄積された温度情報に基づき、監視対象日の夜間の時間帯(18時以降の時間帯)における将来の温度を予測する。
【0043】
例えば、予測部250は、監視対象日の日中の時間帯における温度変化に基づき、関対象日の夜間の時間帯における温度変化および最低温度を予測する。具体的な一例では、予測部250は、先行時間帯である6時~18時の温度変化を入力情報とし、予測モデルMを用いて、監視対象日の18時~翌6時の温度が夏場において熱帯夜を示す所定温度(例えば25℃)以上を維持するか否か、または冬場において基準温度範囲の下限値である所定温度(例えば5℃)に達するか否かを予測し、監視対象日の夜間の温度が上記基準温度範囲の下限値に達することが予測される場合、上記下限値に達する予測時刻を予測する。
【0044】
<3.6.2 前日の同時刻の温度に対する差分値に基づく予測>
別の例では、予測部250は、上述した当日の温度変化に代えて/加えて、前日の同時刻の温度に対する差分値に基づき、第1家電機器101の周囲の将来の温度を予測する。図4に示す例では、予測部250は、監視対象日の前日の午前および午後の時間帯と監視対象日の午前の時間帯とを含む第1所定時間に亘り蓄積された温度情報に基づき、監視対象日の午後の時間帯における将来の温度を予測する。
【0045】
例えば、予測部250は、午前の時間帯における前日と当日の温度差と、前日の午後の時間帯における温度変化とに基づき、当日の午後の時間帯における温度変化および最高温度を予測する。具体的な一例では、予測部250は、先行時間帯である9時~11時における前日と当日の温度差を入力情報とし、予測モデルMを用いて、当日の午後の温度が基準温度範囲の上限である所定温度(例えば35℃)に達するか否かを予測し、監視対象日の午後の温度が上記基準温度範囲の上限値に達することが予測される場合、上記上限値に達する予測時刻を予測する。
【0046】
同様に、図5に示す例では、予測部250は、監視対象日の前日の日中および夜間の時間帯と監視対象日の日中の時間帯とを含む第1所定時間に亘り蓄積された温度情報に基づき、監視対象日の夜間の時間帯における将来の温度を予測する。
【0047】
例えば、予測部250は、日中の時間帯における前日と当日の温度差と、前日の夜間の時間帯における温度変化とに基づき、当日の夜間の時間帯における温度変化および最低温度を予測する。具体的な一例では、予測部250は、先行時間帯である12時~18時における前日と当日の温度差を入力情報とし、予測モデルMを用いて、監視対象日の18時~翌6時の温度が夏場において熱帯夜を示す所定温度(例えば25℃)以上を維持するか否か、または冬場において基準温度範囲の下限値である所定温度(例えば5℃)に達するか否かを予測し、監視対象日の夜間の温度が上記基準温度範囲の下限値に達することが予測される場合、上記下限値に達する予測時刻を予測する。
【0048】
<3.7 報知部>
報知部260は、予測部250により予測された将来の温度が所定条件(第1条件)を満たす場合に、第1家電機器101の報知器Nまたは端末装置300に第1報知を行わせる。「第1条件を満たす」とは、例えば、将来の温度が基準温度範囲の上限値または下限値である所定温度に達する場合や、急激な温度変化(変化率が予め設定された閾値を超える温度変化)が存在する場合などである。以下では、これらを纏めて「注意事象」と称する。第1報知は、注意事象をユーザUに知らせるための報知である。
【0049】
図6は、端末装置300の表示画面に表示される第1報知の一例を示す図である。図6に示す例は、予測部250により15時近くに温度が35℃を超えることが予測される場合を示す。この場合、報知部260は、端末装置300に所定の制御指令を送信することで、端末装置300の表示画面に「午前10時時点、前日よりも2℃程度高く推移しています。今日の日中は35℃を超える可能性がありますので、ご注意ください」などのメッセージをプッシュ通知で表示させる。さらに報知部260は、予測部250により所定温度(例えば35℃)に達する予測時刻が予測された場合、予測された予測時刻を第1報知に含めてもよい。
【0050】
図7は、端末装置300の表示画面に表示される第1報知の別の一例を示す図である。図7に示す例は、予測部250により熱帯夜が予測される場合を示す。この場合、報知部260は、端末装置300に所定の制御指令を送信することで、端末装置300の表示画面に「午後6時時点、前日よりも2℃程度高く推移しています。今夜は寝苦しい夜になる可能性がありますので、ご注意ください」などのメッセージをプッシュ通知で表示させる。
【0051】
本実施形態では、報知部260は、端末装置300に代えて/加えて、第1家電機器101の報知器Nに第1報知を行わせる。報知器Nが表示装置113である場合、第1報知は、上述したような注意喚起のメッセージを表示装置113の表示画面に表示させることである。一方で、報知器Nがブザー114である場合、第1報知は、注意喚起するための警告音をブザー114から出力させることである。以下では、第1家電機器101の報知器Nまたは端末装置300に第1報知を行わせることを「第1報知を行う」と称する。
【0052】
本実施形態では、報知部260は、第1報知を行う場合であって、ユーザ存在判定部221により第1家電機器101の周囲に人が存在すると判定された場合には、少なくとも第1家電機器101の報知器Nに第1報知を行わせる。
【0053】
本実施形態では、報知部260は、エアコン存在判定部222により第1家電機器101と同じ空間にエアコン103が存在しないと判定された場合、第1家電機器101と同じ空間にエアコン103が存在すると判定された場合と比べて早い時点で第1報知を行う。例えば、報知部260は、第1家電機器101と同じ空間にエアコン103が存在すると判定された場合、温度が所定温度(例えば35℃)に達することが予測される予測時刻の3時間前に第1報知を行う。一方で、報知部260は、第1家電機器101と同じ空間にエアコン103が存在しないと判定された場合、温度が所定温度(例えば35℃)に達することが予測される予測時刻の4時間前に第1報知を行う。
【0054】
<4.本実施形態に関するいくつかの観点>
以下、本実施形態に関するいくつかの観点について説明する。
【0055】
<4.1 特定エアコンが運転しない時間のデータの取り扱い>
本実施形態では、予測モデル生成部240は、エアコン運転判定部223により第1家電機器101と同じ空間に配置されたエアコン103(特定エアコン103)が運転中と判定された時間における温度情報と比べて、エアコン運転判定部223により特定エアコン103が運転されていないと判定された時間における温度情報の重み付けを相対的に大きくした情報に基づき、予測モデルMを生成する。
【0056】
例えば、予測モデル生成部240は、特定エアコン103が運転されていないと判定された時間における温度情報に含まれる温度変化をそのまま用いるとともに、特定エアコン103が運転中と判定された時間における温度情報に含まれる温度変化を小さく補正(例えば2分の1に補正)して用いることで重み付けを行い、予測モデルMを生成する。
【0057】
そして、予測部250は、第1所定時間に亘り蓄積された温度情報のなかで特定エアコン103が運転されていないと判定された時間における温度情報に含まれる温度変化をそのまま用いるとともに、第1所定時間に亘り蓄積された温度情報のなかで特定エアコン103が運転中と判定された時間における温度情報に含まれる温度変化を小さく補正(例えば2分の1に補正)して修正温度情報を生成し、生成した修正温度情報を入力情報として予測モデルMを用いることで、将来の温度を予測する。
【0058】
<4.2 特定エアコンの運転時/非運転時のどちらの将来温度も予測する>
本実施形態では、予測モデル生成部240は、第2所定時間に亘り蓄積された温度情報のなかで、エアコン運転判定部223により特定エアコン103が運転中である判定された時間帯における温度情報と温度センサ111により実際に検出された温度とに基づき、特定エアコン103が運転される場合の予測モデルM1を生成する。一方で、予測モデル生成部240は、第2所定時間に蓄積された情報のなかで、エアコン運転判定部223により特定エアコン103が運転されていない判定された時間帯における温度情報と温度センサ111により実際に検出された温度とに基づき、特定エアコン103が運転されない場合の予測モデルM2を生成する。
【0059】
そして、予測部250は、将来の温度を予測する際、エアコン運転判定部223により特定エアコン103が運転中であると判定された場合でも、特定エアコン103が運転されることを想定した場合(例えば特定エアコン103の運転が継続されることを想定した場合)と、特定エアコン103が運転されないことを想定した場合(例えば特定エアコン103がすぐに停止されることを想定した場合)場合とでそれぞれ将来の温度を予測する。
【0060】
例えば、予測部250は、第1所定時間に蓄積された温度情報を入力情報とし、上述した特定エアコン103が運転される場合の予測モデルM1を用いることで、特定エアコン103が運転されることを想定した場合の将来の温度を予測する。一方で、予測部250は、第1所定時間に蓄積された温度情報を入力情報とし、上述した特定エアコン103が運転されない場合の予測モデルM2を用いることで、特定エアコン103が運転されないことを想定した場合の将来の温度を予測する。
【0061】
そして、報知部260は、エアコン運転判定部223により特定エアコン103が運転中と判定された場合でも、特定エアコン103が運転されないことを想定した場合における将来の温度が上記第1条件を満たす場合、第1家電機器101の報知器Nまたは端末装置300に第2報知を行わせる。第2報知は、例えば、特定エアコン103の運転の継続を促す内容(例えば、特定エアコン103の運転を停止すると、基準温度範囲の上限値を超えて温度が上昇する可能性が高いこと)をユーザUに知らせる報知である。
【0062】
このような構成によれば、特定エアコン103が運転されている場合でも、特定エアコン103の運転を停止させることのリスクをユーザUに知らせることができる。これにより、ユーザUの利便性のさらなる向上を図ることができる。
【0063】
<4.3 第2家電機器の動作状態を反映した温度予測>
本実施形態では、予測部250は、第1所定時間に亘り蓄積された温度情報と、動作情報取得部213により取得された第2家電機器102の動作状態情報とに基づき、第1家電機器101の周囲の将来の温度を予測する。
【0064】
例えば、予測モデル生成部240は、動作情報取得部213により取得された第2家電機器102の動作状態(例えば各時刻において動作中である否か)を変数として加味して予測モデルMを生成する。そして、予測部250は、第1所定時間に亘り蓄積された温度情報と、同じく第1所定時間に亘り動作情報取得部213により取得されて蓄積された第2家電機器102の動作状態情報とを入力情報として、将来の温度を予測する。以下では、より具体的ないくつかの実施例について説明する。
【0065】
<4.3.1 第1実施例>
第1実施例では、予測モデル生成部240は、第2所定時間に亘り蓄積された温度情報から第2家電機器102が動作中である特別時間における温度情報を除外した情報、または第2所定時間に亘り蓄積された温度情報において上記特別時間における温度情報の重み付けを小さくした情報(例えば特別時間における温度変化を2分の1にした補正した情報)に基づき、予測モデルMを生成する。なお本明細書で「除外」とは、その時間の温度値を削除することに限定されず、その時間の温度値を、前後の温度値に基づいて補完された温度値に置き換える場合を含む。
【0066】
そして、予測部250は、第1所定時間に亘り蓄積された温度情報から第2家電機器102が動作中である特別時間における温度情報を除外した情報、または第1所定時間に亘り蓄積された温度情報から上記特別時間における温度情報の重み付けを小さくした情報(例えば特別時間における温度変化を2分の1にした補正した情報)を入力情報として、将来の温度を予測する。
【0067】
このような構成によれば、第2家電機器102の動作により一時的に比較的大きな室温上昇が生じる場合でも、その一時的な室温上昇が将来の温度の予測に与える影響を小さくし、温度の予測の精度を高めることができる。
【0068】
<4.3.2 第2実施例>
第2実施例では、予測部250は、エアコン運転判定部223により特定エアコン103が運転されていると判定された場合、第1所定時間に亘り蓄積された温度情報のなかで第2家電機器102が動作中である特別時間における温度情報を除外した情報または上記特別時間における温度情報の重み付けを小さくした情報(例えば特別時間における温度変化を2分の1にした補正した情報)に基づき将来の温度を予測する。一方で、予測部250は、エアコン運転判定部223により特定エアコン103が運転されていないと判定された場合、第1所定時間に亘り蓄積された温度情報を上記除外または上記重み付けを行わずに用いて将来の温度を予測する。
【0069】
このような構成によれば、特定エアコン103が運転中であれば第2家電機器102の動作により一時的に比較的大きな室温上昇が生じる場合であっても、それは特定エアコン103の働きによりすぐに落ち着くため心配ないと考えられる一方で、特定エアコン103が運転されていない場合では、第2家電機器102の動作により一時的に比較的大きな室温上昇が生じると、特定エアコン103が運転されている場合と比べて室温が高温に維持される時間が長くなる可能性などがあるため、第2家電機器102の動作時に取得された温度情報を反映させて将来の温度を予測する。
【0070】
<4.4 天気情報を加味した温度予測>
本実施形態では、予測部250は、情報蓄積部230により蓄積された温度情報および天気情報に基づき、第1家電機器101の周囲の将来の温度を予測する。天気情報は、上述したとおり、各地域の天気(晴れ/雨/雲りなど)、最高気温、最低気温、および温度変化の予測などを含む。天気情報を温度の予測に取り入れることで、温度の予測の精度を高めることができる。
【0071】
<4.5 不自然な関係が検出された場合の報知>
本実施形態では、報知部260は、温度情報と、温度センサ111とは異なる情報源から得らえる情報との関係が所定条件(第2条件)を満たす場合、第1報知の内容を変更する。例えば、報知部260は、温度情報と、天気情報取得部214により取得された天気情報との関係が第2条件を満たす場合、第1報知の内容を変更する。第2条件は、予め設定された閾値を超える不自然な関係がある場合に満たされる条件である。変更後の第1報知の内容は、変更前と比べてユーザUに高い注意喚起を促す内容である。
【0072】
例えば、報知部260は、予測部250により予測された将来の温度と、天気情報に含まれる最高温度または最低温度との差異が予め設定された閾値を超えて大きい場合、第1家電機器101の周囲で異常が生じている(例えばコンロ102Bが火が付いたまま放置されている)可能性があると判定する。この場合、報知部260は、変更後の第1報知の内容として、第1家電機器101の周囲で異常が生じている可能性があることをユーザUに知らせる内容が追加する。
【0073】
また別の例では、報知部260は、天気情報に含まれる前日の天気が快晴、当日の天気が雨であるのに、予測部250により予測された将来の温度(例えば最高温度)が前日の温度(例えば最高温度)よりも高い場合、上記例と同様に、第1家電機器101の周囲で異常が生じている可能性があると判定し、第1報知の内容を変更する。
【0074】
<5.処理の流れ>
図8は、サーバ200による処理の基本的な流れを示すフローチャートである。まず、情報取得部210は、各種情報(温度情報、動作状態情報など)を取得する(S101)。次に、情報蓄積部230は、情報取得部210により取得された情報を蓄積情報Iに随時追加することで蓄積する(S102)。
【0075】
次に、予測部250は、直近の第1所定時間に亘り蓄積された情報と、予測モデルMとを用いて第1家電機器101の周囲の将来の温度を予測する(S103)。そして、報知部260は、予測部250により予測された将来の温度が第1条件を満たすか否かを判定する(S104)。
【0076】
そして、将来の温度が第1条件を満たさないと判定された場合(S104:NO)、所定の周期でS101の処理に戻り、次の時点(例えば10分後)において同様の処理を繰り返す。一方で、将来の温度が第1条件を満たすと判定された場合(S104:YES)、報知部260は、第1家電機器101または端末装置300に所定の制御指令を送信することで、第1家電機器101の報知器Nまたは端末装置300に第1報知を行わせる(S105)。この場合も次の時点(例えば10分後)においてS101の処理に戻り、同様の処理を繰り返す。
【0077】
<6.作用>
比較例として、温度センサで検出された温度値が所定温度(閾値温度)に達した場合にユーザに報知が行われるシステムについて考える。この場合、ユーザが報知によって温度が高いことを認識し、エアコンをつけたとしても、エアコンをつけてから温度が下がるまで時間がかかる。このため、高齢者などの身体にあまり負担をかけないためには、判定のための閾値温度はあまり高い温度には設定できず、熱中症などで実際に問題になる温度(例えば35℃)に対して十分に余裕を持たせた低い閾値温度を設定する必要がある。
【0078】
しかしながらこの場合、閾値温度が低いため、本来では報知しなくてもよい場合であっても、温度センサで検出された温度値が閾値温度を超えることに応じて多くの報知が行われ、ユーザにとっては煩わしく、利便性の点で改善の余地がある。
【0079】
そこで本実施形態では、情報処理システムは、第1家電機器101の温度センサ111の検出結果に基づく温度情報を所定時間に亘り蓄積する情報蓄積部230と、情報蓄積部230により所定時間に亘り蓄積された温度情報に基づき、第1家電機器101の周囲の将来の温度を予測する予測部250と、予測部250により予測された将来の温度が第1条件を満たす場合に、第1家電機器101の報知器Nまたは端末装置300に第1報知を行わせる報知部260とを有する。
【0080】
このような構成によれば、温度センサ111で検出される温度値が将来に所定温度に達するか否かを予測に基づき事前に判定することができ、温度センサ111で検出される温度値が将来に所定温度に達する可能性がある場合、その旨をユーザUに事前に報知することができる。このため、例えばユーザUが報知を確認して予めエアコン103をつけることで、高齢者などの身体に負担をかけることを抑制することができる。例えば、14時または15時において最高温度が予測される場合、11時頃に第1報知が行われることで、ユーザUは午後の温度上昇に備えることができる。また、例えば熱帯夜になる場合や、夜間に急激な温度低下が予測される場合、18時頃に第1報知が行われることで、ユーザUは熱帯夜や温度低下に備えることができる。
【0081】
言い換えると、このような構成によれば、判定のための所定温度(閾値温度)を比較的高く設定しても、高齢者などの身体に負担をかけることを抑制することができる。このため、判定のための所定温度をある程度高く設定することで、頻繁に報知が行われることの煩わしさを回避することができる。これにより、ユーザUの利便性を高めることができる。
【0082】
ところで、高齢者はキッチンで端末装置300を持っていない場合が多く想定される。このため本実施形態では、報知部260は、ユーザ存在判定部221により第1家電機器101の周囲に人が存在すると判定された場合に、第1家電機器101の報知器Nに第1報知を行わせる。これにより、ユーザUが報知により気付きやすくなり、ユーザUの利便性をさらに高めることができる。
【0083】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について説明する。第2実施形態は、予測部250がニューラルネットワークを含む学習モデルMAを用いて予測を行う点で、第1実施形態とは異なる。以下に説明する以外の構成は、第1実施形態と同様である。
【0084】
図9は、第2実施形態のサーバ200の構成を示すブロック図である。本実施形態では、サーバ200は、第1実施形態の予測モデルM、予測モデル生成部240、および予測部250に代えて、学習モデルMA、学習部240A、および予測部250Aを有する。
【0085】
図10は、本実施形態の学習モデルMAの一例を示す図である。学習モデルMAは、入力層と、隠れ層(中間層)と、出力層とを含むニューラルネットワークにより構成される。学習モデルMAは、温度センサ111の過去の検出結果に基づく温度情報などを教師データとしたディープラーニングなどによって入力層、隠れ層、および出力層に含まれるノード間の重み付け係数などが調整されることで学習が行われる。例えば、教師データは、第1所定時間に亘り蓄積された温度情報(例えば、現在、10分前、20分前、…の温度値)などである入力情報と、上記温度情報が検出された場合において実測された将来の温度値(例えば、10分後、20分後、…の温度値)である出力情報(正解データ)とがセットになったデータである。
【0086】
本実施形態では、学習部240Aは、第2所定時間(例えば1年以上の期間)に亘り蓄積された温度情報から得られる上記教師データを用いて、学習モデルMAを学習させる。本実施形態では、教師データの入力情報には、温度情報に加えて、第1実施形態の予測モデルMの生成に用いられた各種情報(第2家電機器102の動作状態情報、エアコン103の動作状態情報、天気情報)などが含まれる。学習モデルMAは、予測モデルM1に相当する学習モデルMA1と、予測モデルM2に相当する学習モデルMA2とを含む。
【0087】
本実施形態では、予測部250Aは、学習部240Aにより学習された学習モデルMAに基づき、第1所定時間に亘り蓄積された温度情報を入力情報として将来の温度を予測する。さらに言えば、予測部250Aは、第1所定時間に亘り蓄積された温度情報に加え、第1所定時間に亘り蓄積された各種情報(第2家電機器102の動作状態情報、エアコン103の動作状態情報、天気情報)などを入力情報として学習モデルMAを用いて将来の温度を予測する。
【0088】
第1実施形態のなかで説明した<4.本実施形態に関するいくつかの観点>の内容は、第2実施形態でも同様である。この場合、「予測モデルM」は「学習モデルMA」と読み替えられ、「予測モデル生成部240」は「学習部240A」と読み替えられ、「予測部250」は「予測部250A」と読み替えられる。
【0089】
このような構成によれば、第1実施形態と同様に、ユーザUの利便性を高めることができる。さらにニューラルネットワークを含む学習モデルMAを用いて予測が行われることで、予測の精度をさらに高めることができる。
【0090】
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、情報処理システムは、第1家電機器の温度センサの検出結果に基づく第1情報を所定時間に亘り蓄積する情報蓄積部と、前記情報蓄積部により前記所定時間に亘り蓄積された第1情報に基づき、前記第1家電機器の周囲の将来の温度を予測する予測部と、前記予測部により予測された前記将来の温度が第1条件を満たす場合に、前記第1家電機器の報知器または端末装置に第1報知を行わせる報知部とを持つ。このような構成によれば、快適性の向上を図ることができる情報処理システムを提供することできる。
【0091】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0092】
1…見守りシステム、100…家電機器、101…第1家電機器、102…第2家電機器、103…エアコン、111…温度センサ、200…サーバ、210…情報取得部、220…判定部、230…情報蓄積部、240…予測モデル生成部、240A…学習部、250,250A…予測部、260…報知部、300…端末装置、N…第1家電機器の報知器。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10