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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-23
(45)【発行日】2024-01-31
(54)【発明の名称】免震装置
(51)【国際特許分類】
   F16F 15/03 20060101AFI20240124BHJP
   F16F 15/02 20060101ALI20240124BHJP
   E04H 9/02 20060101ALI20240124BHJP
【FI】
F16F15/03 G
F16F15/02 L
E04H9/02 331A
E04H9/02 331D
【請求項の数】 24
(21)【出願番号】P 2020145113
(22)【出願日】2020-08-29
(65)【公開番号】P2022040420
(43)【公開日】2022-03-11
【審査請求日】2023-05-11
(73)【特許権者】
【識別番号】504242342
【氏名又は名称】株式会社免制震ディバイス
(74)【代理人】
【識別番号】100108497
【弁理士】
【氏名又は名称】小塚 敏紀
(72)【発明者】
【氏名】中南 滋樹
【審査官】田村 佳孝
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-106634(JP,A)
【文献】特開2014-222093(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16F 15/03
F16F 15/02
E04H 9/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持構造体と被支持構造との間に形成される免震層に設けられる免震装置であって、
被支持構造を支持する上部基礎構造と支持構造体に支持される下部基礎構造とを有する上下一対の基礎構造と、
前記下部基礎構造に支持され前記上部基礎構造を水平方向の相対移動自在に支持して垂直荷重を支える軸力支承機構と、
前記下部基礎構造に支持され前記上部基礎構造に水平方向の力である水平復元力を作用させる水平復元力作用機構と、
を備え、
前記水平復元力作用機構が、上下一対の複数の永久磁石である上下にわかれる複数の上部永久磁石と複数の下部永久磁石と、磁性体ででき上下一対の前記永久磁石を複数の前記上部永久磁石の下部と複数の前記下部永久磁石の上部との間に上下方向に所定の距離だけ離間させる隙間を設けて上から見て仮想の垂直軸である上下一対の磁石仮想垂直軸を中心とする仮想の円である磁石仮想円に沿って保持する永久磁石保持材とを有し、
上から見て上下一対の前記磁石仮想垂直軸を一致させたとき前記磁石仮想円に沿って配置される複数の前記上部永久磁石の位置と複数の前記下部永久磁石の位置とが互いに重なり、上から見て位置が重なる複数の前記上部永久磁石と複数の下部永久磁石とが互いに引き合う様に磁界を発生する、
ことを特徴とする免震装置。
【請求項2】
前記水平復元力作用機構が、上下一対の複数の永久磁石である上下にわかれる複数の上部永久磁石と複数の下部永久磁石と、磁性体ででき上下一対の前記永久磁石を複数の前記上部永久磁石の下部と複数の前記下部永久磁石の上部との間に上下方向に所定の距離だけ離間させる隙間を設けて上から見て仮想の垂直軸である上下一対の磁石仮想垂直軸を中心とする同心円状に並ぶ仮想の円である複数の磁石仮想円に沿って保持する永久磁石保持材とを有し、
ことを特徴とする請求項1に記載の免震装置。
【請求項3】
前記磁石仮想円に沿って配置される上下一対の複数の前記永久磁石のN極とS極とが上下方向に沿って別れており、
上から見て上下一対の複数の前記永久磁石の上方の極が前記磁石仮想円に沿って交互にN極とS極とになる様に配置される、
ことを特徴とする請求項2に記載の免震装置
【請求項4】
前記磁石仮想円に沿って配置される上下一対の複数の前記永久磁石のN極とS極とが上から見て前記磁石仮想垂直軸から放射状に延びる方向である放射方向に沿って別れており、
上から見て上下一対の複数の前記永久磁石の前記放射方向に沿った外側の極が前記磁石仮想円に沿って交互にN極とS極とになる様に配される、
ことを特徴とする請求項3に記載の免震装置
【請求項5】
上下一対の複数の前記永久磁石が上から見て中心部に内部輪郭で囲われる空隙を形成し、
前記水平復元力作用機構が、上下一対の複数の前記永久磁石と、上下一対の前記永久磁石保持材と、磁性体の材料でできるブロックである磁極ブロックであって上から見て前記内部輪郭に内側から沿う様に配される上下一対の内部磁極ブロックと、を有する、
ことを特徴とする請求項4に記載の免震装置。
【請求項6】
上から見て上下一対の複数の前記永久磁石が外側から倣う輪郭である外側輪郭をもち、
前記水平復元力作用機構が、上下一対の複数の前記永久磁石と、上下一対の前記永久磁石保持材と、磁性体の材料でできるブロックである磁極ブロックであって上から見て前記外側輪郭に外側から沿う様に配される上下一対の外部磁極ブロックと、を有する、
ことを特徴とする請求項5に記載の免震装置。
【請求項7】
前記水平復元力作用機構が、
上下一対の複数の前記永久磁石と、
上下一対の前記永久磁石保持材と、
磁性体の材料でできるブロックである磁極ブロックであって複数の前記上部永久磁石の下部と複数の前記下部永久磁石の上部との間に各に上下方向に所定の距離だけ離間させる隙間を設けて上から見て仮想の垂直軸である中間磁極ブロック仮想垂直軸を中心とする仮想の円である中間磁極ブロック仮想円に沿って配される複数の中間磁極ブロックと、を有し、
上から見て上下一対の前記磁石仮想垂直軸と前記中間磁極ブロック仮想垂直軸とを一致させたとき前記磁石仮想円に沿って配される上下一対の複数の前記永久磁石の位置と前記中間磁極ブロック仮想円に沿って配される複数の前記中間磁極ブロッの位置とが互いに重なる、
ことを特徴とする請求項6に記載の免震装置。
【請求項8】
上下一対の前記永久磁石保持材が前記磁石仮想垂直軸を中心として上下に延びる貫通穴を形成し、
前記水平復元力作用機構が、弾塑性材料ででき上下に延びる柱状形状を形作り前記貫通穴を貫通し上端を前記上部基礎構造に下端を前記下部基礎構造に水平方向の相対移動不能に支持されるプラグと、を有する、
を特徴とする請求項7に記載の免震装置。
【請求項9】
柔軟材料でできる保護材と、
を備え、
前記保護材が前記軸力支承機構また前記水平復元力作用機構の外周を覆い、
前記保護材が前記軸力支承機構また水平復元力作用機構の外周の一部を支持する、
ことを特徴とする請求項8に記載の免震装置。
【請求項10】
上下一対の前記基礎構造と、
M(M=2、3・・・)個の前記軸力支承機構と、
M個の前記水平復元力作用機構と、
(M-1)個の接続プレートと、
を備え、
1個の前記軸力支承機構と1個の前記水平復元力作用機構とが水平方向に並ぶ等に配されるものを免震装置ユニットと呼称したとき、
M個の前記免震装置ユニットのうちの2個の前記免震装置ユニットが上端部と下端部に各々に配される様にM個の前記免震装置ユニットと(M-1)個の前記接続プレートとが上下方向に沿って交互に配され、
前記上部基礎構造が上端部に支持され、
前記下部基礎構造が下端部を支持する、
ことを特徴とする請求項9に記載の免震装置。
【請求項11】
前記軸力支承機構が、複数の転動体と複数の前記転動体を上から見て仮想の垂直軸である軸受仮想垂直軸を中心とする仮想の円である軸受仮想円に沿って配置され回転自在になる様に保持する転動体保持材と複数の転動体が転動する転動面を形成する上下一対の軸力受材とを有するM(M=1、2・・・)個の軸受ユニットを有し、
前記転動体保持材が複数の前記中間磁極ブロックを支持する中間磁極ブロック支持体を兼ねる、
ことを特徴とする請求項10に記載の免震装置。
【請求項12】
前記軸力支承機構が、複数の弾塑性材でできた板材である複数の弾塑性板材と金属でできた板材である複数の金属板材とが上下方向に交互に重なる積層ゴム支承を有し、
前記金属板材が複数の前記中間磁極ブロックを支持する中間磁極ブロック支持体を兼ねる、
ことを特徴とする請求項11に記載の免震装置。
【請求項13】
上から見て前記軸力支承機構と前記水平復元力作用機構のどちらか一方が中心部に中空空間を形成し、
前記軸力支承機構と前記水平復元力作用機構のどちらか他方が前記中空空間に収まる、
ことを特徴とする請求項12に記載の免震装置。
【請求項14】
前記磁石仮想円に沿って配置される上下一対の複数の前記永久磁石のN極とS極とが上下方向に沿って別れており、
上から見て上下一対の複数の前記永久磁石の上方の極が前記磁石仮想円に沿って交互にN極とS極とになる様に配置される、
ことを特徴とする請求項1に記載の免震装置
【請求項15】
前記磁石仮想円に沿って配置される上下一対の複数の前記永久磁石のN極とS極とが上から見て前記磁石仮想垂直軸から放射状に延びる方向である放射方向に沿って別れており、
上から見て上下一対の複数の前記永久磁石の前記放射方向に沿った外側の極が前記磁石仮想円に沿って交互にN極とS極とになる様に配される、
ことを特徴とする請求項1に記載の免震装置
【請求項16】
上下一対の複数の前記永久磁石が上から見て中心部に内部輪郭で囲われる空隙を形成し、
前記水平復元力作用機構が、上下一対の複数の前記永久磁石と、上下一対の前記永久磁石保持材と、磁性体の材料でできるブロックである磁極ブロックであって上から見て前記内部輪郭に内側から沿う様に配される上下一対の内部磁極ブロックと、を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載の免震装置。
【請求項17】
上から見て上下一対の複数の前記永久磁石が外側から倣う輪郭である外側輪郭をもち、
前記水平復元力作用機構が、上下一対の複数の前記永久磁石と、上下一対の前記永久磁石保持材と、磁性体の材料でできるブロックである磁極ブロックであって上から見て前記外側輪郭に外側から沿う様に配される上下一対の外部磁極ブロックと、を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載の免震装置。
【請求項18】
前記水平復元力作用機構が、上下一対の複数の前記永久磁石と、上下一対の前記永久磁石保持材と、磁性体の材料でできるブロックである磁極ブロックであって複数の前記上部永久磁石の下部と複数の前記下部永久磁石の上部との間に各に上下方向に所定の距離だけ離間させる隙間を設けて上から見て仮想の垂直軸である中間磁極ブロック仮想垂直軸を中心とする仮想の円である中間磁極ブロック仮想円に沿って配される複数の中間磁極ブロックと、を有し、
上から見て上下一対の前記磁石仮想垂直軸と前記中間磁極ブロック仮想垂直軸とを一致させたとき前記磁石仮想円に沿って配される上下一対の複数の前記永久磁石の位置と前記中間磁極ブロック仮想円に沿って配される複数の前記中間磁極ブロッの位置とが互いに重なる、
ことを特徴とする請求項1に記載の免震装置。
【請求項19】
上下一対の前記永久磁石保持材が前記磁石仮想垂直軸を中心として上下に延びる貫通穴を形成し、
前記水平復元力作用機構が、弾塑性材料ででき上下に延びる柱状形状を形作り前記貫通穴を貫通し上端を前記上部基礎構造に下端を前記下部基礎構造に水平方向の相対移動不能に支持されるプラグと、を有する、
を特徴とする請求項1に記載の免震装置。
【請求項20】
柔軟材料でできる保護材と、
を備え、
前記保護材が前記軸力支承機構また前記水平復元力作用機構の外周を覆い、
前記保護材が前記軸力支承機構また水平復元力作用機構の外周の一部を支持する、
ことを特徴とする請求項1に記載の免震装置。
【請求項21】
上下一対の前記基礎構造と、
M(M=2、3・・・)個の前記軸力支承機構と、
M個の前記水平復元力作用機構と、
(M-1)個の接続プレートと、
を備え、
1個の前記軸力支承機構と1個の前記水平復元力作用機構とが水平方向に並ぶ等に配されるものを免震装置ユニットと呼称したとき、
M個の前記免震装置ユニットのうちの2個の前記免震装置ユニットが上端部と下端部に各々に配される様にM個の前記免震装置ユニットと(M-1)個の前記接続プレートとが上下方向に沿って交互に配され、
前記上部基礎構造が上端部に支持され、
前記下部基礎構造が下端部を支持する、
ことを特徴とする請求項1に記載の免震装置。
【請求項22】
前記軸力支承機構が、複数の転動体と複数の前記転動体を上から見て仮想の垂直軸である軸受仮想垂直軸を中心とする仮想の円である軸受仮想円に沿って配置され回転自在になる様に保持する転動体保持材と複数の転動体が転動する転動面を形成する上下一対の軸力受材とを有するM(M=1、2・・・)個の軸受ユニットを有し、
前記転動体保持材が複数の前記中間磁極ブロックを支持する中間磁極ブロック支持体を兼ねる、
ことを特徴とする請求項18に記載の免震装置。
【請求項23】
前記軸力支承機構が、複数の弾塑性材でできた板材である複数の弾塑性板材と金属でできた板材である複数の金属板材とが上下方向に交互に重なる積層ゴム支承を有し、
前記金属板材が複数の前記中間磁極ブロックを支持する中間磁極ブロック支持体を兼ねる、
ことを特徴とする請求項18に記載の免震装置。
【請求項24】
上から見て前記軸力支承機構と前記水平復元力作用機構のどちらか一方が中心部に中空空間を形成し、
前記軸力支承機構と前記水平復元力作用機構のどちらか他方が前記中空空間に収まる、
ことを特徴とする請求項1に記載の免震装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、支持構造体と被支持構造との間に形成される免震層に設けられる免震装置とその免震装置を用いた免震システムに係る。
【背景技術】
【0002】
近年、建物等を地震から守る等の目的で免震装置が用いられる。
免震システムは、複数の免震装置を組み合わせてできている。
例えば、地震が発生すると、免震装置が建物等に入力される加速度を低下させて、建物等を守る。
例えば、免震装置には、複数のゴム板と鉄板を積層した構造である積層ゴム支承、リニアガイドをXY状に交差させた転がり支承、滑りを利用した滑り支承、他が採用される。
また、建物等の基礎に引き抜き力が作用するとき、皿バネやゴム材にによる浮き上がり機構が採用される。
免震システムは、複数の構造をもつ免震装置が組み合わされることもある。
【0003】
免震装置に要求される主な機能は、軸力保持機能、水平変形性能、復元力機能、減衰機能である。さらに、対引き抜き力に対して引き抜き地からや浮き上がり機能が要求されることがある。
例えば、鉛入り積層ゴム支承は、軸力保持機能、水平変形性能、復元力機能、減衰機能を一つの機構に組み込んでいる。転がりすべり支承は、軸力保持機能、水平変形性能を一つの機構に組み込んでいる。鉛入り積層ゴム支承はや浮き上がり機能を発揮する構造を組み合わせて使用することがある。
【0004】
永久磁石と硬球を持ちいた免震装置は、先行文献1、先行文献2に開示される。
また、ボールベアリングと永久磁石を用いた免震装置が、先行文献3に開示される。
【0005】
発明者は、磁石を利用した復元力をもつ免震装置の構造を検討し、本願の発明を考案した。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は以上に述べた問題点に鑑み案出されたもので、磁石を利用した復元力をもつ免震装置を提供しようとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明に係る支持構造体と被支持構造との間に形成される免震層に設けられる免震装置を、被支持構造を支持する上部基礎構造と支持構造体に支持される下部基礎構造とを有する上下一対の基礎構造と、前記下部基礎構造に支持され前記上部基礎構造を水平方向の相対移動自在に支持して垂直荷重を支える軸力支承機構と、前記下部基礎構造に支持され前記上部基礎構造に水平方向の力である水平復元力を作用させる水平復元力作用機構と、を備え、前記水平復元力作用機構が、上下一対の複数の永久磁石である上下にわかれる複数の上部永久磁石と複数の下部永久磁石と、磁性体ででき上下一対の複数の永久磁石を複数の上部永久磁石の下部と複数の下部永久磁石の上部との間に上下方向に所定の距離だけ離間させる隙間を設けて上から見て仮想の垂直軸である上下一対の磁石仮想垂直軸を中心とする仮想の円である磁石仮想円に沿って保持する永久磁石保持材とを有し、上から見て上下一対の前記磁石仮想垂直軸を一致させたとき前記磁石仮想円に沿って配置される複数の前記上部永久磁石の位置と複数の前記下部永久磁石との位置とが互いに重なり、上から見て位置が重なる複数の前記上部永久磁石と複数の下部永久磁石とが互いに引き合う様に磁界を発生する、ものとした。
【0008】
上記本発明の構成により、上下一対の基礎構造が、被支持構造を支持する上部基礎構造と支持構造体に支持される下部基礎構造とを有する。軸力支承機構が、前記下部基礎構造に支持され前記上部基礎構造を水平方向の相対移動自在に支持して垂直荷重を支える。水平復元力作用機構が、前記下部基礎構造に支持され前記上部基礎構造に水平方向の力である水平復元力を作用させる。永久磁石保持材が、磁性体ででき上下一対の複数の前記永久磁石を上下にわかれる複数の上部永久磁石の下部と複数の下部永久磁石の上部との間に上下方向に所定の距離だけ離間させる隙間を設けて上から見て仮想の垂直軸である上下一対の磁石仮想垂直軸を中心とする仮想の円である磁石仮想円に沿って保持する。上から見て上下一対の前記磁石仮想垂直軸を一致させたとき前記磁石仮想円に沿って配置される複数の前記上部永久磁石の位置と複数の前記下部永久磁石との位置とが互いに重なり、上から見て位置が重なる複数の前記上部永久磁石と複数の前記下部永久磁石とが互いに引き合う様に磁界を発生する。
その結果、下部基礎構造を基礎として上部基礎構造を支持でき、地震等が発生して上部基礎構造と下部基礎構造との間に水平方向の相対変位が生じたとき、上から見て位置が重なる上から見て位置が重なる複数の前記上部永久磁石と複数の下部永久磁石とが互いに引き合う磁束が傾斜して、磁石仮想円に沿って並ぶ複数の永久磁石を引き合う磁束に沿った磁力の水平分力が上部基礎構造と下部基礎構造との間に水平方向の相対変位を元に戻そうとする水平復元力を生ずる。
【0009】
以下に、本発明の実施形態に係る免震装置を説明する。本発明は、以下に記載した実施形態のいずれか、またはそれらの中の二つ以上が組み合わされた態様を含む。
【0010】
本発明の実施形態に係る免震装置は、前記復元力作用機構が、上下一対の複数の永久磁石である上下にわかれる複数の上部永久磁石と複数の下部永久磁石と、磁性体ででき上下一対の複数の永久磁石を複数の前記上部永久磁石の下部と複数の前記下部永久磁石の上部との間に上下方向に所定の距離だけ離間させる隙間を設けて上から見て仮想の垂直軸である上下一対の磁石仮想垂直軸を中心とする同心円状に並ぶ仮想の円である複数の磁石仮想円に沿って保持する永久磁石保持材とを有する。
上記の実施形態の構成により、永久磁石保持材が、磁性体ででき上下一対の複数の前記永久磁石を上下に別れる複数の上部永久磁石の下部と複数の下部永久磁石の上部との間に上下方向に所定の距離だけ離間させる隙間設けて上から見て仮想の垂直軸である上下一対の磁石仮想垂直軸を中心とする同心円状に並ぶ仮想の円である複数の磁石仮想円に沿って保持する。
その結果、下部基礎構造を基礎として上部基礎構造を支持でき、地震等が発生して上部基礎構造と下部基礎構造との間に水平方向の相対変位が生じたとき、上から見て位置が重なる複数の前記永久磁石が互いに引き合う磁束が傾斜して、同心円状に並ぶ複数の磁石仮想円に沿って並ぶ複数の永久磁石を引き合う磁束に沿った磁力の水平分力が上部基礎構造と下部基礎構造との間に水平方向の相対変位を元に戻そうとする復元力を生ずる。
【0011】
前記磁石仮想円に沿って配置される上下一対の複数の前記永久磁石のN極とS極とが上下方向に沿って別れており、上から見て上下一対の複数の前記永久磁石の上方の極が前記磁石仮想円に沿っ交互にN極とS極とになる様に配置される。
上記の実施形態の構成により、前記磁石仮想円に沿って配置される上下一対の複数の前記永久磁石のN極とS極とが上下方向に沿って別れる。上から見て上下一対の複数の前記永久磁石の上方の極が前記磁石仮想円に沿って交互にN極とS極とになる様に配置される。
その結果、磁界により安定した磁束が複数の永久磁石に生じ、地震等が発生して上部基礎構造と下部基礎構造との間に水平方向の相対変位が生じたとき、上部基礎構造と下部基礎構造との間に水平方向の相対変位を元に戻そうとする復元力を生ずる。
【0012】
本発明の実施形態に係る免震装置は、前記磁石仮想円に沿って配置される上下一対の複数の前記永久磁石のN極とS極とが上から見て前記磁石仮想垂直軸から放射状に延びる方向である放射方向に沿って別れており、上から見て上下一対の複数の前記永久磁石の前記放射方向に沿った外側の極が前記磁石仮想円に沿って交互にN極とS極とになる様に配置される。
上記の実施形態の構成により、前記磁石仮想円に沿って配置される上下一対の複数の前記永久磁石のN極とS極とが上から見て前記磁石仮想垂直軸から放射状に延びる方向である放射方向に沿って別れる。上から見て上下一対の複数の前記永久磁石の前記放射方向に沿った外側の極が前記磁石仮想円に沿って交互にN極とS極とになる様に配置される。
その結果、磁界により安定した磁束が複数の永久磁石に生じ、地震等が発生して上部基礎構造と下部基礎構造との間に水平方向の相対変位が生じたとき、上部基礎構造と下部基礎構造との間に水平方向の相対変位を元に戻そうとする復元力を生ずる。
【0013】
本発明の実施形態に係る免震装置は、上下一対の複数の前記永久磁石が上から見て中心部に内部輪郭で囲われる空隙を形成し、前記水平復元力作用機構が、上下一対の複数の前記永久磁石と、上下一対の前記永久磁石保持材と、磁性体の材料でできるブロックである磁極ブロックであって上から見て前記内側輪郭に内側から沿う様に配される上下一対の内部磁極ブロックと、を有する。
上記の実施形態の構成により、上下一対の複数の前記永久磁石が上から見て中心部に内部輪郭で囲われる空隙を形成する。上下一対の内部磁極ブロックが、磁性体の材料でできるブロックである磁極ブロックであって上から見て前記内側輪郭に内側から沿う様に配される
その結果、前記永久磁石を引き合う磁束が内部磁極ブロックを通過し、地震等が発生して上部基礎構造と下部基礎構造との間に水平方向の相対変位が生じたとき、上部基礎構造と下部基礎構造との間に水平方向の相対変位を元に戻そうとする復元力がさらに発生する。
【0014】
本発明の実施形態に係る免震装置は、上から見て上下一対の複数の前記永久磁石が外側から倣う輪郭である外側輪郭をもち、前記水平復元力作用機構が、上下一対の複数の前記永久磁石と、上下一対の前記永久磁石保持材と、磁性体の材料でできるブロックである磁極ブロックであって上から見て前記外側輪郭に外側から沿う様に配される上下一対の外部磁極ブロックと、を有する。
上記の実施形態の構成により、上から見て上下一対の複数の前記永久磁石が外側から倣う輪郭である外側輪郭をもつ。上下一対の外部磁極ブロックが、磁性体の材料でできるブロックである磁極ブロックであって、上から見て前記外側輪郭に外側から沿う様に配される。
その結果、前記永久磁石を引き合う磁束が外部磁極ブロックを通過し、地震等が発生して上部基礎構造と下部基礎構造との間に水平方向の相対変位が生じたとき、上部基礎構造と下部基礎構造との間に水平方向の相対変位を元に戻そうとする復元力がさらに発生する。
【0015】
本発明の実施形態に係る免震装置は、前記水平復元力作用機構が、上下一対の複数の前記永久磁石と、上下一対の前記永久磁石保持材と、磁性体の材料でできるブロックである磁極ブロックであって複数の前記上部永久磁石の下部と複数の前記下部永久磁石の上部との間に各に上下方向に所定の距離だけ離間させる隙間を設けて上から見て仮想の垂直軸である中間磁極ブロック仮想垂直軸を中心とする仮想の円である中間磁極ブロック仮想円に沿って配される複数の中間磁極ブロックと、を有し、前記水平復元力作用機構について、上から見て上下一対の前記磁石仮想垂直軸と前記中間磁極ブロック仮想垂直軸とを一致させたとき前記磁石仮想円に沿って配される上下一対の複数の前記永久磁石の位置と前記中間磁極ブロック仮想円に沿って配される複数の前記中間磁極ブロッの位置とが互いに重なる。
上記の実施形態の構成により、複数の中間磁極ブロックは、磁性体の材料でできるブロックである磁極ブロックであって、上下一対の複数の前記永久磁石との間に各に上下方向に所定の距離だけ離間させる隙間を設けて上から見て仮想の垂直軸である中間磁極ブロック仮想垂直軸を中心とする仮想の円である中間磁極ブロック仮想円に沿って配される。前記水平復元力作用機構について、上から見て上下一対の前記磁石仮想垂直軸と前記中間磁極ブロック仮想垂直軸とを一致させたとき前記磁石仮想円に沿って配される上下一対の複数の前記永久磁石の位置と前記中間磁極ブロック仮想円に沿って配される複数の前記中間磁極ブロッの位置とが互いに重なる。
その結果、前記永久磁石を引き合う磁束が中間磁極ブロックを通過し、地震等が発生して上部基礎構造と下部基礎構造との間に水平方向の相対変位が生じたとき、上部基礎構造と下部基礎構造との間に水平方向の相対変位を元に戻そうとする復元力がさらに発生する。
【0016】
本発明の実施形態に係る免震装置は、前記水平復元力作用機構が、弾塑性材料ででき上下に延びる柱状形状を形作り上端を前記上部基礎構造に下端を前記下部基礎構造に水平方向の相対位相不能に支持されるプラグと、を有する。
上記の実施形態の構成により、プラグが、弾塑性材料ででき上下に延びる柱状形状を形作り、上端を前記上部基礎構造に下端を前記下部基礎構造に水平方向の相対移動不能に支持される。
その結果、地震等が発生して上部基礎構造と下部基礎構造との間に水平方向の相対変位が生じたとき、プラグが剪断変形て、水平方向の相対変位に応答する水平方向に抵抗力を発生する。
【0017】
本発明の実施形態に係る免震装置は、柔軟材料でできる保護材と、を備え、前記保護材が前記軸力支承機構また前記水平復元力作用機構の外周を覆い、前記保護材が前記軸力支承機構また水平復元力作用機構の外周の一部を支持する。
上記の実施形態の構成により、前記保護材が前記軸力支承機構また前記水平復元力作用機構の外周を覆う。前記保護材が前記軸力支承機構また水平復元力作用機構の外周の一部を支持する。
その結果、地震等が発生して上部基礎構造と下部基礎構造との間に水平方向の相対変位が生じたとき、保護材が前記軸力支承機構また前記水平復元力作用機構の動きを抑制できる。
【0018】
本発明の実施形態に係る免震装置は、上下一対の前記基礎構造と、M(M=2、3・・・)個の前記軸力支承機構と、M個の前記水平復元力作用機構と、(M-1)個の接続プレートと、を備え、1個の前記軸力支承機構と1個の前記水平復元力作用機構とが水平方向に並ぶ様に配されるものを免震装置ユニットと呼称したとき、M個の前記免震装置ユニットのうちの2個の前記免震装置ユニットが上端部と下端部に各々に配される様にM個の前記免震装置ユニットと(M-1)個の前記接続プレートとが上下方向に沿って交互に配され、前記上部基礎構造が上端部に支持され、前記下部基礎構造が下端部を支持する。
上記の実施形態の構成により、1個の前記軸力支承機構と1個の前記水平復元力作用機構とが水平方向に配されるものを免震装置ユニットと呼称する。M個の前記免震装置ユニットUのうちの2個の前記免震装置ユニットUが上端部と下端部に各々に配される様にM個の前記免震装置ユニットと(M-1)個の前記接続プレートとが上下方向に沿って交互に配される。前記上部基礎構造が上端部の上に配される。前記下部基礎構造が下端部の下に配される。前記免震装置ユニットは1個の前記軸力支承機構と1個の前記水平復元力作用機構とが水平に並ぶ様に配される。
その結果、地震等が発生して上部基礎構造と下部基礎構造との間に水平方向の相対変位が生じたとき、多段に重なるM個の免震装置ユニットが水平方向への相対移動を許しながら水平復元力を作用させる。
【0019】
本発明の実施形態に係る免震装置は、前記軸力支承機構が、複数の転動体と複数の前記転動体を上から見て仮想の垂直軸である軸受仮想垂直軸を中心とする仮想の円である軸受仮想円に沿って配置され回転自在になる様に保持する転動体保持材とを有するM(M=1、2・・・)個の軸受ユニットを有し、前記転動体保持材が複数の前記中間磁極ブロックを支持する前記中間磁極ブロック支持体を兼ねる。
上記の実施形態の構成により、前記軸力支承機構のM個の軸受ユニットの転動体保持材が複数の前記転動体を上から見て仮想の垂直軸である軸受仮想垂直軸を中心とする仮想の円である軸受仮想円に沿って配置され回転自在になる様に保持する。
前記転動体保持材が複数の前記中間磁極ブロックを支持する前記中間磁極ブロック支持体を兼ねる。
その結果、地震等が発生して上部基礎構造と下部基礎構造との間に水平方向の相対変位が生じたとき、軸受ユニットが水平方向の相対移動をゆるしつつ、荷重を支持する。
【0020】
本発明の実施形態に係る免震装置は、前記軸力支承機構が、複数の弾塑性材でできた板材である複数の弾塑性板材と金属でできた板材である複数の金属板材とが上下方向に交互に重なる積層ゴム支承を有し、前記金属板材が複数の前記中間磁極ブロックを支持する前記中間磁極ブロック支持体を兼ねる。
上記の実施形態の構成により、前記軸力支承機構の積層ゴム支承が、複数の弾塑性材でできた板材である複数の弾塑性板材と金属でできた板材である複数の金属板材とが上下方向に交互に重なる。前記金属板材が複数の前記中間磁極ブロックを支持する前記中間磁極ブロック支持体を兼ねる。
その結果、地震等が発生して上部基礎構造と下部基礎構造との間に水平方向の相対変位が生じたとき、積層ゴム支承が水平方向の相対移動をゆるしつつ、荷重を支持する。
【0021】
本発明の実施形態に係る免震装置は、上から見て前記軸力支承機構と前記水平復元力作用機構のどちらか一方が中心部に中空空間を形成し、前記軸力支承機構と前記水平復元力作用機構のどちらか他方が前記中空空間に収まる。
上記の実施形態の構成により、上から見て前記軸力支承機構と前記水平復元力作用機構のどちらか一方が中心部に中空空間を形成する。前記軸力支承機構と前記水平復元力作用機構のどちらか他方が前記中空空間に収まる。
その結果、永久磁石により復元力をもつコンパクトな免震装置を提供できる。
【発明の効果】
【0022】
以上説明したように、本発明に係る免震装置は、その構成により、以下の効果を有する。
前記軸力支承構造が前記下部基礎構造に支持されて前記上部基礎構造を水平方向に相対移動自在に支持して垂直荷重を支え、上下一対の前記永久磁石保持材が前記磁石仮想垂直軸を中心とする前記磁石仮想円に沿って配置される上下一対の複数の永久磁石を上から見て互いに重なり上下方向に所定の距離だけ離間する様に支える前記水平復元力作用機構が前記下部基礎構造に支持されて前記上部基礎構造に水平復元力を作用させる様にしたので、下部基礎構造を基礎として上部基礎構造を支持でき、地震等が発生して上部基礎構造と下部基礎構造との間に水平方向の相対変位が生じたとき、上から見て位置が重なる複数の前記永久磁石が互いに引き合う磁束が傾斜して、前記磁石仮想円に沿って並ぶ複数の前記永久磁石を引き合う磁束に沿った磁力の水平分力が上部基礎構造と下部基礎構造との間に水平方向の相対変位を元に戻そうとする水平復元力を生ずる。
また、上下一対の前記永久磁石保持材が前記磁石仮想垂直軸を中心とする同心円状の複数の前記磁石仮想円に沿って配置される上下一対の複数の永久磁石を上から見て互いに重なり上下方向に所定の距離だけ離間する様に支える前記水平復元力作用機構が前記下部基礎構造に支持されて前記上部基礎構造に水平復元力を作用させる様にしたので、下部基礎構造を基礎として上部基礎構造を支持でき、地震等が発生して上部基礎構造と下部基礎構造との間に水平方向の相対変位が生じたとき、上から見て位置が重なる複数の前記永久磁石が互いに引き合う磁束が傾斜して、同心円状に並ぶ複数の前記磁石仮想円に沿って並ぶ複数の永久磁石を引き合う磁束に沿った磁力の水平分力が上部基礎構造と下部基礎構造との間に水平方向の相対変位を元に戻そうとする復元力を生ずる。
また、複数の前記永久磁石のN極とS極とが上下方向に沿って別れ、上から見て複数の前記永久磁石の上方の極が前記磁石仮想円に沿って交互にN極とS極とになる様に配置される様にしたので、磁界により安定した磁束が複数の永久磁石に生じ、地震等が発生して上部基礎構造と下部基礎構造との間に水平方向の相対変位が生じたとき、上部基礎構造と下部基礎構造との間に水平方向の相対変位を元に戻そうとする復元力を生ずる。
また、複数の前記永久磁石のN極とS極とが上から見て前記磁石仮想垂直軸から放射状に延びる方向である放射方向に沿って別れ、上から見て上下一対の複数の前記永久磁石保持材の保持する複数の前記永久磁石の前記放射方向に沿った外側の極が前記磁石仮想円に沿って交互にN極とS極とになる様に配置される様にしたので、磁界により安定した磁束が複数の永久磁石に生じ、地震等が発生して上部基礎構造と下部基礎構造との間に水平方向の相対変位が生じたとき、上部基礎構造と下部基礎構造との間に水平方向の相対変位を元に戻そうとする復元力を生ずる。
また、上下一対の前記内部磁極ブロックが上下一対の複数の前記永久磁石が上から見て中心部に形成される空隙を囲う前記内側輪郭に内側から沿う様に配される様にしたので、前記永久磁石を引き合う磁束が内部磁極ブロックを通過し、地震等が発生して上部基礎構造と下部基礎構造との間に水平方向の相対変位が生じたとき、上部基礎構造と下部基礎構造との間に水平方向の相対変位を元に戻そうとする復元力がさらに発生する。
また、上下一対の外部磁極ブロックが上下一対の複数の前記永久磁石が外側から倣う輪郭である外側輪郭に外側から沿う様に配される様にしたので、前記永久磁石を引き合う磁束が外部磁極ブロックを通過し、地震等が発生して上部基礎構造と下部基礎構造との間に水平方向の相対変位が生じたとき、上部基礎構造と下部基礎構造との間に水平方向の相対変位を元に戻そうとする復元力がさらに発生する。
また、複数の前記中間磁極ブロックが、上下一対の複数の前記永久磁石である複数の前記上部永久磁石の下部と複数の前記下部永久磁石の上部との間に各々に上下方向に所定の距離だけ離間させる前記隙間を設けて上から見て仮想の垂直軸である前記中間磁極ブロック仮想垂直軸を中心とする前記中間磁極ブロック仮想円に沿って配され、上から見て上下一対の前記磁石仮想垂直軸と前記中間磁極ブロック仮想垂直軸とを一致させたとき複数の前記永久磁石の位置と複数の中間磁極ブロッの位置とが互いに重なる様にしたので、前記永久磁石を引き合う磁束が中間磁極ブロックを通過し、地震等が発生して上部基礎構造と下部基礎構造との間に水平方向の相対変位が生じたとき、上部基礎構造と下部基礎構造との間に水平方向の相対変位を元に戻そうとする復元力がさらに発生する。
また、弾塑性材料でできるプラグが上端を前記上部基礎構造に下端を前記下部基礎構造に水平方向の相対位相不能に支持される様にしたので、地震等が発生して上部基礎構造と下部基礎構造との間に水平方向の相対変位が生じたとき、プラグが剪断変形て、水平方向の相対変位に応答する水平方向に抵抗力を発生する。
また、前記保護材が前記軸力支承機構また前記水平復元力作用機構の外周を覆う様にしたので、地震等が発生して上部基礎構造と下部基礎構造との間に水平方向の相対変位が生じたとき、保護材が前記軸力支承機構また前記水平復元力作用機構の動きを抑制できる。
また、免震装置ユニットが、1個の前記軸力支承機構と1個の前記水平復元力作用機構とが上下方向に沿って各に並列に配され、M個の免震装置ユニットと(M-1)個の前記中間基礎構造とが上下方向に交互に配される様にしたので、地震等が発生して上部基礎構造と下部基礎構造との間に水平方向の相対変位が生じたとき、多段に重なるM個の免震装置ユニットが水平方向への相対移動を許しながら水平復元力を作用させる。
また、軸受ユニットの複数の軸受が被支持構造を支える様にしたので、地震等が発生して上部基礎構造と下部基礎構造との間に水平方向の相対変位が生じたとき、軸受ユニットが水平方向の相対移動をゆるしつつ、荷重を支持する。
また、積層ゴム支承が被支持構造を支える様にしたので、地震等が発生して上部基礎構造と下部基礎構造との間に水平方向の相対変位が生じたとき、積層ゴム支承が水平方向の相対移動をゆるしつつ、荷重を支持する。
また、前記軸力支承機構と前記水平復元力作用機構のどちらか他方が、上から見て一方の中心部に形成される中空空間に収まる様にしたので、前記永久磁石により復元力をもつコンパクトな免震装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の実施形態に係る免震システムの概念図である。
図2】本発明の第一の実施形態に係る免震装置の概念図その1である。
図3】本発明の第一の実施形態に係る免震装置の概念図その2である。
図4】本発明の第一の実施形態に係る免震装置の断面図である。
図5】本発明の第一の実施形態に係る免震装置の作動説明図である。
図6】本発明の第二の実施形態に係る免震装置の概念図である。
図7】本発明の第二の実施形態に係る免震装置の断面図である。
図8】本発明の第三の実施形態に係る免震装置の概念図である。
図9】本発明の第三の実施形態に係る免震装置の断面図である。
図10】本発明の第四の実施形態に係る免震装置の概念図である。
図11】本発明の第五の実施形態に係る免震装置の概念図その1である。
図12】本発明の第五の実施形態に係る免震装置の概念図その2である。
図13】本発明の第五の実施形態に係る免震装置の断面図である。
図14】本発明の第五の実施形態に係る免震装置の作動説明図である。
図15】本発明の第六の実施形態に係る免震装置の概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明を実施するための形態を、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る免震システムの概念図である。
図1は、本発明の実施形態に係る複数の免震装置10が建物Sと地盤Gとの間の免震層MEに設置される様子を示す。
図1(A)は、建物Sを支持する免震システムの正面図である。
図1(B)は、建物Sを支持する免震システムのI-I断面図である。
ボルト(図示せず)が免震装置10と建物Sとを締結する。
免震層MEは、図1に示すものと異なり、建物Sの中間層にあってもよい。
【0025】
複数の免震装置10が、碁盤目状に配されて地盤Gを基礎として建物Sを支持する。
複数の免震装置10が、建物Sの荷重を支える。
地震が発生すると、複数の免震装置10が地震の揺れを免震する。
複数の免震装置10は、異なる機構をもつ免震装置10が組み合わされてもよい。
複数の免震装置10は、本発明の実施形態に係る免震装置と他の構造の免震装置を組み合わされてもよい。
以下では、本発明の実施形態に係る免震装置を説明する。
【0026】
本発明の実施形態に係る免震装置10は、支持構造体と被支持構造との間に形成される免震層MEに設けられる装置である。
本発明の実施形態に係る免震装置10は、建物Sと地盤Gとの間に形成される免震層MEに設けられる装置であってもよい。
本発明の実施形態に係る免震装置10は、建物Sの中間に形成される免震層MEに設けられる装置であってもよい。このとき、建物Sの免震層MEより上部の構造が被支持構造体に相当し、建物Sの免震層MEより下部の構造が支持構造体に相当する。
【0027】
本発明の実施形態に係る免震装置10は、上下一対の基礎構造と軸力支承機構10aと1個の水平復元力作用機構10bとで構成される。
本発明の実施形態に係る免震装置10は、上下一対の基礎構造と軸力支承機構10aと水平復元力作用機構10bと保護材6とで構成されてもよい。
【0028】
本発明の実施形態に係る免震装置10は、上下一対の基礎構造と1個の軸力支承機構10aと1個の水平復元力作用機構10bとで構成される。
本発明の実施形態に係る免震装置10は、上下一対の基礎構造と1個の軸力支承機構10aと1個の水平復元力作用機構10bと保護材6とで構成されてもよい。
【0029】
本発明の実施形態に係る免震装置10は、上下一対の基礎構造とM(M=2、3・・・)個の軸力支承機構10aとM個の水平復元力作用機構10bと(M-1)個の接続プレート12とで構成されてもよい。
本発明の実施形態に係る免震装置10は、上下一対の基礎構造とM(M=2、3・・・)個の軸力支承機構10aとM個の水平復元力作用機構10bと(M-1)個の接続プレート12と保護材6とで構成されてもよい。
【0030】
上下一対の基礎構造は、被支持構造を支持する上部基礎構造と支持構造体に支持される下部基礎構造とで構成される。
例えば、上下一対の基礎構造は、被支持構造を支持するフランジプレート4と支持構造体に支持されるフランジプレート4とで構成される。
【0031】
1個の軸力支承機構10aと1個の水平復元力作用機構10bとが水平方向に並ぶ様に配されるものを免震装置ユニットUと呼称するとき、M個の免震装置ユニットUのうちの2個の免震装置ユニットUが上端部と下端部に各々に配される様にM個の免震装置ユニットUと(M-1)個の接続プレート12とが上下方向に沿ってに交互に配されてもよい。
上部基礎構造が上端部に支持される。
上部基礎構造が上端部の上に固定され上端部に支持されてもよい。
下部基礎構造が下端部を支持する。
下部基礎構造が下端部に固定され下端部を支持してもよい。
【0032】
上から見て軸力支承機構10aと水平復元力作用機構10bのどちらか一方が中心部に中空空間Hを形成し、軸力支承機構10aと水平復元力作用機構10bのどちらか他方が中空空間Hに収まってもよい。
例えば、上から見て軸力支承機構10aが中心部に中空空間Hを形成し、水平復元力作用機構10bが中空空間Hに収まる。
例えば、上から見て水平復元力作用機構が中心部に中空空間Hを形成し、軸力支承機構とが中空空間Hに収まってもよい。
【0033】
軸力支承機構10aは、下部基礎構造に支持され上部基礎構造を水平方向の相対移動自在に支持して垂直荷重を支える機構である。
【0034】
軸力支承機構10aは、下部基礎構造に支持され上部基礎構造を軸受の転動運転により水平方向の相対移動自在に支持して垂直荷重を支える機構であってもよい
例えば、軸力支承機構10aは、軸受ユニットで構成されてもよい。
軸受ユニットは、複数の転動体1と転動体保持材2と上下一対の軸力受材3とで構成される。
転動体1は、球体の構造材である。
転動体1は、磁性体製の球体の構造材であってもよい。
例えば、転動体1は、軸受様の鉄球である。
転動体保持材2は、複数の転動体1を上から見て軸受仮想円R1に沿って配置され回転自在になる様に保持する。
転動体保持材2は、複数の転動体1を軸受仮想円R1に沿って所定の間隔で配置され回転自在になる様に保持してもよい。
転動体保持材2は、複数の転動体1を上から見て複数の軸受仮想円R1に沿って配置され回転自在になる様に保持してもよい。
転動体保持材2は、複数の転動体1を上から見て複数の軸受仮想円R1に沿って所定の間隔で配置され回転自在になる様に保持してもよい。
転動体保持材2は、軸受においてリテーナーと呼称されるものである。
複数の転動体1は、上から見て軸受仮想円R1に沿って直列に配置されてもよい。
複数の転動体1は、上から見て軸受仮想円R1に沿って千鳥状に配置されてもよい。
複数の転動体1は、上から見て軸受仮想円R1に沿ってその他の規則に従って配置されてもよい。
【0035】
転動体保持材2が後述する複数の中間磁極ブロック11cを支持する中間磁極ブロック支持体を兼ねていてもよい。
複数の中間磁極ブロック11cと中間磁極ブロック支持体とについては、本発明の実施形態に係る免震装置で説明する。
【0036】
ここで、
軸受仮想垂直軸Z1は、仮想の垂直軸である。
軸受仮想円R1は、軸受仮想垂直軸Z1を中心とする仮想の円である。
複数の軸受仮想円R1は、軸受仮想垂直軸Z1を中心とする同心円状に並ぶ仮想の円である。
【0037】
軸力支承機構10aは、積層ゴム支承で構成されてもよい。
積層ゴム支承は、複数の弾塑性板材RPと複数の金属板材SPとが上下方向に重なる構造をもつ。
弾塑性板材RPは、弾塑性材でできた板材である。
金属板材SPは、金属製の板材である。
【0038】
水平復元力作用機構10bは、下部基礎構造に支持され上部基礎構造に水平方向の力である水平復元力を作用させる機構である。
水平復元力は、免震装置が地震のなといときの姿勢である原点姿勢から変形したときに姿勢を原点姿勢に戻そうとする水平方向の力である。
水平復元力作用機構10bは、上下一対の複数の永久磁石8と上下一対の永久磁石保持材9とで構成されてもよい。
水平復元力作用機構10bは、上下一対の複数の永久磁石8と上下一対の永久磁石保持材9と磁極ブロック11とで構成されてもよい。
磁極ブロック11は、内部磁極ブロック11aで構成されてもよい。
磁極ブロック11は、外部磁極ブロック11bで構成されてもよい。
磁極ブロック11は、中間磁極ブロック11cで構成されてもよい。
水平復元力作用機構10bは、上下一対の複数の永久磁石8と上下一対の永久磁石保持材9とプラグ6aと磁極ブロック11とで構成されてもよい。
水平復元力作用機構10bは、上下一対の複数の永久磁石8と上下一対の永久磁石保持材9とプラグ6aとで構成されてもよい。
【0039】
上下一対の複数の永久磁石8は、上下に分けられる複数の上部永久磁石8uと複数の下部永久磁石8dとで構成される。
【0040】
永久磁石保持材9は、上下一対の永久磁石8を複数の上部永久磁石8uの下部と複数の下部永久磁石6dの上部との間に上下方向に所定の距離だけ離間させる隙間Iを設けて上から見て磁石仮想円R8に沿って保持する。
永久磁石保持材9は、上下一対の永久磁石8を複数の上部永久磁石8uの下部と複数の下部永久磁石8dの上部との間に上下方向に所定の距離だけ離間させる隙間Iを設けて上から見て磁石仮想円R8に沿って所定の間隔で保持してもよい。
ここで、磁石仮想円R8は、仮想の垂直軸である上下一対の磁石仮想垂直軸Z8を中心とする仮想の円である。
永久磁石保持材9は、磁性体ででき上下一対の永久磁石8を複数の上部永久磁石8uの下部と複数の下部永久磁石8dの上部との間に上下方向に所定の距離だけ離間させる隙間Iを設けて上から見て仮想の垂直軸である上下一対の磁石仮想垂直軸Z8を中心とする同心円状に並ぶ仮想の円である複数の磁石仮想円R8に沿って保持してもよい。
永久磁石保持材9は、磁性体ででき上下一対の永久磁石8を複数の上部永久磁石8uの下部と複数の下部永久磁石8dの上部との間に上下方向に所定の距離だけ離間させる隙間Iを設けて上から見て複数の磁石仮想円に沿って所定の間隔で保持してもよい。
ここで、複数の磁石仮想円R8は、仮想の垂直軸である上下一対の磁石仮想垂直軸Z8を中心とする同心円状に並ぶ仮想の円である。
【0041】
永久磁石保持材9は、上下一対の板状の保持板状部材で構成されてもよい。
上下一対の保持板状部材が、上下一対の永久磁石8を複数の上部永久磁石8uの下部と複数の下部永久磁石8dの上部との間に上下方向に所定の距離だけ離間させる隙間Iを設けて上から見て磁石仮想円R8に沿って各々に保持してもよい。
上下一対の保持板状部材が、上下一対の永久磁石8を複数の上部永久磁石8uの下部と複数の下部永久磁石8dの上部との間に上下方向に所定の距離だけ離間させる隙間Iを設けて上から見て磁石仮想円R8に沿って所定に間隔で各々に保持してもよい。
上下一対の保持板状部材が、磁性体ででき上下一対の永久磁石8を複数の上部永久磁石8uの下部と複数の下部永久磁石8dの上部との間に上下方向に所定の距離だけ離間させる隙間Iを設けて上から見て複数の磁石仮想円R8に沿って各々に保持してもよい。
上下一対の保持板状部材が、磁性体ででき上下一対の永久磁石8を複数の上部永久磁石8uの下部と複数の下部永久磁石8dの上部との間に上下方向に所定の距離だけ離間させる隙間Iを設けて上から見て複数の磁石仮想円R8に沿って所定の間隔で各々に保持してもよい。
板状の保持板状部材は、永久磁石8を保持する面の反対側の面に空気層を保持できる窪みを形成されてもよい。
板状の保持板状部材は、永久磁石8を保持する面の反対側の面に縁部を残し空気層を保持できる窪みを形成されてもよい。
【0042】
上から見て上下一対の磁石仮想垂直軸Z8を一致させたとき、磁石仮想円R8に沿って配置される複数の上部永久磁石8uの位置と複数の下部永久磁石8dの位置とが互いに重なり、上から見て位置が重なる複数の上部永久磁石8uと複数の下部永久磁石8dとが互いに引き合う様に磁界を発生する。
【0043】
磁石仮想円R8に沿って配置される上下一対の複数の永久磁石8のN極とS極とが上下方向に沿って別れており、上から見て磁石仮想円R8に沿って並ぶ複数の永久磁石9の上方の極が磁石仮想円R8に沿って交互にN極とS極とになる様に配置されてもよい。
【0044】
磁石仮想円R8に沿って配置される上下一対の複数の永久磁石8のN極とS極とが上から見て磁石仮想垂直軸Z8から放射状に延びる方向である放射方向に沿って別れており、上から見て上下一対の磁石仮想円R8に沿って並ぶ複数の永久磁石8の放射方向に沿った外側の極が磁石仮想円R8に沿って交互にN極とS極とになる様に配置されてもよい。
【0045】
上下一対の複数の永久磁石8が上から見て中心部に内部輪郭で囲われる空隙を形成してもよい。
上下一対の内部磁極ブロック11aが、磁性体の材料でできるブロックである磁極ブロックであって、上から見て内側輪郭に内側から沿う様に配されてもよい。
上下一対の複数の内部磁極ブロック11aが、磁性体の材料でできるブロックである磁極ブロックであって、上から見て内側輪郭に内側から沿う様に配されてもよい。
【0046】
上から見て上下一対の複数の永久磁石が外側から倣う輪郭である外側輪郭をもつ。
上下一対の外部磁極ブロック11bが、磁性体の材料でできるブロックである磁極ブロックであって、上から見て外側輪郭に外側から沿う様に配されてもよい。
上下一対の複数の外部磁極ブロック11bが、磁性体の材料でできるブロックである磁極ブロックであって、上から見て外側輪郭に外側から沿う様に配されてもよい。
軸力支承機構10aの磁性体でできる部分が、外部磁極ブロック11bを兼ねてもよい。
【0047】
複数の中間磁極ブロック11cが、磁性体の材料でできるブロックである磁極ブロックであって、複数の上部永久磁石8uの下部と複数の下部永久磁石8dの上部との間に各々に上下方向に所定の距離だけ離間させる隙間Gapを設けて、上から見て仮想の垂直軸である中間磁極ブロック仮想垂直軸Z11を中心とする仮想の円である中間磁極ブロック仮想円R11に沿って配されてもよい。
複数の中間磁極ブロック11cが、磁性体の材料でできるブロックである磁極ブロックであって、複数の上部永久磁石8uの下部と複数の下部永久磁石8dの上部との間に各々に上下方向に所定の距離だけ離間させる隙間Gapを設けて、上から見て仮想の垂直軸である中間磁極ブロック仮想垂直軸Z11を中心とする仮想の円である中間磁極ブロック仮想円R11に沿って所定の間隔で配されてもよい。
ここで、中間磁極ブロック仮想円R11は、仮想の垂直軸である中間磁極ブロック仮想垂直軸Z11を中心とする仮想の円である。
複数の中間磁極ブロック11cが、磁性体の材料でできるブロックである磁極ブロックであって、複数の上部永久磁石8uの下部と複数の下部永久磁石8dの上部との間に各々に上下方向に所定の距離だけ離間させる上下一対の隙間Gapを設けて上から見て中間磁極ブロック仮想円R11に沿って配されてもよい。
複数の中間磁極ブロック11cが、磁性体の材料でできるブロックである磁極ブロックであって、複数の上部永久磁石8uの下部と複数の下部永久磁石8dの上部との間に各々に上下方向に所定の距離だけ離間させる上下一対の隙間Gapを設けて上から見て中間磁極ブロック仮想円R11に沿って所定の間隔で配されてもよい。
ここで、中間磁極ブロック仮想円R11は、仮想の垂直軸である中間磁極ブロック仮想垂直軸Z11を中心とする同心円状に並ぶ仮想の円である。
【0048】
中間磁極ブロック支持体が、複数の中間磁極ブロック11cを複数の上部永久磁石8uの下部と複数の下部永久磁石8dの上部との間に各々に上下方向に所定の距離だけ離間させる隙間Gapを設けて、上から見て中間磁極ブロック仮想円R11に沿って配される様に支持してもよい。
複数の中間磁極ブロック支持体が、複数の中間磁極ブロック11cを複数の上部永久磁石8uの下部と複数の下部永久磁石8dの上部との間に各々に上下方向に所定の距離だけ離間させる隙間Gapを設けて、上から見て複数の中間磁極ブロック仮想円R11に沿って配される様に支持してもよい。
【0049】
上から見て上下一対の磁石仮想垂直軸Z8と中間磁極ブロック仮想垂直軸Z11とを一致させたとき磁石仮想円R8に沿って配置される上下一対の複数の永久磁石8の位置と中間磁極ブロック仮想円R11に沿って配される複数の中間磁極ブロック11cの位置とが互いに重なってもよい。
【0050】
プラグ6aは、弾塑性材料ででき、上下に延びる柱状形状を形作り、上端を上部基礎構造に下端を下部基礎構造に水平方向の相対移動不能に支持されるものである。
プラグ6aは、軟金属製ででき上下に延びる柱状形状を形作るものであってもよい。
例えば、上下一対の永久磁石保持材9が磁石仮想垂直軸Z8を中心として上下に延びる貫通穴を形成し、プラグ6aは貫通穴を貫通する。
例えば、上下一対の永久磁石保持材9が磁石仮想垂直軸Z8を中心として上下に延びる貫通穴を形成し、プラグ6aは貫通穴に勘合して貫通する。
【0051】
保護材6は、柔軟材料でできるものであって、軸力支承機構また水平復元力作用機構の外周を覆う。
保護材6は、柔軟材料でできるものであって、免震装置ユニットUの外周を覆ってもよい。
保護材6が、軸力支承機構また水平復元力作用機構の外周の一部を支持してもよい。
例えば、保護材6は、ゴム製である。
例えば、保護材6は、エラストマー製である。
【0052】
以下に、本発明の複数の実施形態に係る免震装置を、図を基に、それぞれ説明する。
【0053】
最初に、本発明の第一の実施形態に係る免震装置10を、図を基に説明する。
図2は、本発明の第一の実施形態に係る免震装置の概念図その1である。図3は、本発明の第一の実施形態に係る免震装置の概念図その2である。図4は、本発明の第一の実施形態に係る免震装置の断面図である。図5は、本発明の第一の実施形態に係る免震装置の作用説明図である。
本発明の第一の実施形態に係る免震装置10は、前述した磁極ブロック8とプラグ6aとを備えない、単段の免震装置ユニットをもつものである。
【0054】
本発明の実施形態に係る免震装置10は、上下一対の基礎構造と1個の軸力支承機構10aと1個の水平復元力作用機構10bと被覆材6とで構成される。
図2は、説明の便宜上、水平復元力作用機構10bを省略している。
図2(A)は、本発明の磁石を利用した復元部を設けるにあたって基本形態となる免震装置10の断面を示す。
図2(B)は、I-I一での断面を示す。
免震装置10は、転動体1、転動体保持材2、軸力受材3、フランジプレート4、建物Sと締結するボルト穴5および保護材6で構成される。
例えば、保護材6の材質はゴムである。
図2に示す事例では、転動体1が円周上に3層配置されている。転動体1は転動体保持材2で拘束されている。建物Sの重量は軸力受材3と転動体1とで支える構造となっている。水平方向には360°転動体が移動可能である。軸力受材3はフランジプレート4とボルトで締結される。
図3(A)は、本発明の第一の実施形態に係る免震装置10の断面を示す。図2の基本形態に対しては、中心部の永久磁石8と永久磁石保持材9が備えられている。
図3(B)は、II-II位置での断面を示す。永久磁石9は、永久磁石保持材9に取り付けられている。例えば、取り付け方法は接着剤である。永久磁石8の材質は例えばネオジウム磁石であり、磁極は縦方向に形成されている。形状は円型である。 永久磁石8は、円周状に配置されおり、隣り合う永久磁石8に異なる極を対向させている。また、上下に対向する永久磁石8は、隙間Iが明いているとともに、異なる極を対向させている。図3に示す事例では、永久磁石8は円周上に1層は配置されているが複数層配置してもよい。また、永久磁石の形状は例えば6面体の角型であってもよい。
【0055】
図3には、上下一対の基礎構造と1個の軸力支承機構10aと1個の水平復元力作用機構10bと被覆材6とで構成される免震装置10が示される。
上下一対の基礎構造の主要な構造は、前述したものと同じなので、特徴的な箇所を説明する。
上下一対の基礎構造は、軸力支承機構10aの軸力受材3にボルト7で固定される上下一対のフランジプレート4である。
フランジプレート4は、接続ボルト穴を支持構造体または被支持構造にアンカーボルトABまたはスタッドボルトSBで結合される。
【0056】
軸力支承機構10aは、前述した軸受ユニットを持つ。
軸受ユニットは、複数の転動体1と1個の転動体保持材2と上下一対の軸力受材3とで構成される。
軸受ユニットは、上から見て中心部に中空空間Hが形成される。
転動体1は、磁性体でできた球体であってもよい。
転動体保持材2は、複数の転動体1を上から見て仮想の垂直軸である軸受仮想垂直軸Z1を中心とする同心円状に並ぶ仮想の円である3個の軸受仮想円R1に沿って所定の間隔で配置され回転自在になる様に保持するものである。
3個の軸受仮想円R1は、上から見て仮想の垂直軸である軸受仮想垂直軸Z1を中心とする同心円状に三重に並ぶ仮想の円である。
図2には、16個の転動体1が1個の軸受仮想円R1に沿って所定の間隔で配置される。
上下一対の軸力受材3は、複数の転動体1が転動する転動面を形成する部材である。
上から見て上下一対の軸力受材3は、軸受仮想垂直軸Z1を中心とする中空空間Hが形成される。
【0057】
水平復元力作用機構10bは、上下一対の複数の永久磁石8と永久磁石保持材9とで構成される。
上下一対の複数の永久磁石8は、複数の上部永久磁石9uと複数の下部永久磁石9dとで構成される。
永久磁石保持材9は、上下一対の板状の保持板状部材で構成される。
上下一対の板状の保持板状部材は、上下一対の複数の永久磁石8を複数の上部永久磁石9uと複数の下部永久磁石9dとを間に隙間Iを設けて1個の磁石仮想円R8に沿って所定の間隔で保持する。
隙間Iは、複数の上部永久磁石9uと複数の下部永久磁石9dとを上下方向に所定の距離だけ離間させる。
隙間Iは、複数の上部永久磁石9uと複数の下部永久磁石9dとを上下方向に所定の距離だけ離間させる空気層であってもよい。
磁石仮想円R8は、上から見て仮想の垂直軸である上下一対の磁石仮想垂直軸Z8を中心とする仮想の円である。
図3には、上下一対の板状の保持板状部材は、8個の上部永久磁石9uの下部と8個の下部永久磁石9dの上部とを上下方向に所定の距離だけ離間させる隙間Iを設けて、上下一対の永久磁石8を1個の磁石仮想円R8に沿って所定の間隔で保持する様子が示される。
【0058】
水平復元力作用機構10bは、中空空間Hに収納される。
例えば、上下一対の板状の保持板状部材の外周が、上下一対の軸力受材3の中空空間Hを形成する内壁に勘合する。
上から見て上下一対の板状の保持板状部材と上下一対の基礎構造との間には、可能なかぎり大きな面積をもつ隙間が形成される。
例えば、上下一対の板状の保持板状部材の上下一対の基礎構造に面する面に可能なかぎり大きな面積をもつくぼみが形成される。
このことにより、永久磁石8から発生した磁束が上下一対の基礎構造に漏れるのを抑制できる。
【0059】
上から見て上下一対の磁石仮想垂直軸Z8を一致させたとき磁石仮想円R8に沿って配置される複数の上部永久磁石8uの位置と複数の下部永久磁石8dの位置とが互いに重なり、上から見て位置が重なる複数の前記上部永久磁石8uと複数の下部永久磁石8dとが互いに引き合う様に磁界を発生する。
上から見て上下一対の磁石仮想垂直軸Z8を一致させたとき磁石仮想円R8に沿って配置される複数の上部永久磁石8uの位置と複数の下部永久磁石8dの位置とが互いに重なり、上から見て位置が重なる複数の前記上部永久磁石8uと複数の下部永久磁石8dとが互いに引き合う様に互いの磁極を対応させて磁界を発生する。
上部永久磁石8uの下方に向いた極がN極であれば、上から見て上部永久磁石8uに重なる下部永久磁石8dの上方に向いた極がS極である。
上部永久磁石8uの下方に向いた極がS極であれば、上から見てその上部永久磁石8uに重なる下部永久磁石8dの上方に向いた極がN極である。
【0060】
磁石仮想円R8に沿って配置される上下一対の複数の永久磁石9のN極とS極とが上下方向に沿って別れている。
上から見て、上下一対の複数の永久磁石9の上方の極が磁石仮想円R8に沿って交互にN極とS極とになる様に配置される。
【0061】
図4は、図2に示すIII-III位置での縦方向と円周方向の磁気回路を示す。
磁界はN極からS極へ向かって形成される。
図を正面に見て、上部永久磁石9uのN極から出た磁束は転動体保持材2を通り対向する下部磁石8dのS極に到達する。また、永久磁石8のN極から出た磁束は、隣り合う永久磁石8のS極に到達する。また、永久磁石保持材9を通って永久磁石8のS極に到達する。永久磁石8のN極からでた磁束は、永久磁石保持材9を通って、隣り合う永久磁石8のS極に到達する。
図4に、上から見て上下一対の磁石仮想垂直軸Z8を一致させたとき磁石仮想円R8に沿って配置される複数の上部永久磁石8uの位置と複数の下部永久磁石8dの位置とが互いに重なり、上から見て位置が重なる複数の前記上部永久磁石8uと複数の下部永久磁石8dとが互いに引き合う様に互いの磁極を対応させて磁界を発生する様子が示される。
【0062】
保護材6の主要な構造は、前述したものと同じなので、特徴的な箇所を説明する。
保護材6は、柔軟材料でできた、上端を上部基礎構造に固定され、下端を下部磁基礎構造に固定される、筒状の部材である。
【0063】
本発明の第一の実施形態に係る免震装置の作用を、図を基に、説明する。
図5(A)は、地震が発生していない時の様子を示す。
図5(A)は、本発明の第一の実施形態の免震装置が免震層MEの基礎Fに設置されている様子を示す。
免震装置10は、基礎FBとアンカーボルトABまたはスタッドボルトSBで定着されている。
図6(B)は、地震が発生している時の様子を示す。
地震発生前は、上部永久磁石9uと下部永久磁石9は、隙間Iを介して対向している、前述した磁束の影響で中立に位置している。転動体1と軸力受材3とは建物重量を支えている。
地震が発生すると、転動体1が軸力受材3の転動面を水平方向に移動することで免震効果を発揮する。地震が終了すると、磁力の吸引力の効果で転動体1が引き戻されることによって、免震装置10は、元の位置に戻る。免震装置10の水平剛性は磁界の強さに起因しており、永久磁石8の大きさや個数を選ぶことで設定的に設定できる。また、引き抜き力についても同様に調整できる。
【0064】
建物Sの荷重が、上部基礎構造、軸力受材3、転動体1、下部基礎構造を順に通過して基礎FBに伝わる。
軸受ユニット2は、建物荷重を支持するとともに、転動体1は軸力受材3の転動面を360°水平方向に移動できる。
地震が発生すると、地震による水平力が基礎FBから免震装置10通過して建物Sに伝わる。建物Sに加速度が生じ、水平に移動する。
免震装置に水平方向の専断力が生じ、上から見て上部永久磁石8uの磁石仮想垂直軸Z8、軸受仮想垂直軸Z1、下部永久磁石8dの磁石仮想垂直軸Z8にずれが生ずる。
上から見て上部永久磁石8uの磁石仮想垂直軸Z8、軸受仮想垂直軸Z1、下部永久磁石8dの磁石仮想垂直軸Z8にずれが生ずると、上下一対の複数の永久磁石8に発生する磁束が傾く。
磁束に沿って上下一対の複数の永久磁石8を引き寄せる力に上下一対の複数の永久磁石8の水平方向のずれを少なくしようとする水平分力が生じる。
その結果、建物Sに水平変位を基に戻そうとする水平復元力が作用する。
【0065】
次に、本発明の第二の実施形態に係る免震装置を、図を基に、説明する。
図6は、本発明の第二の実施形態に係る免震装置の概念図である。図7は、本発明の第二の実施形態に係る免震装置の部分断面図である。
図6(A)は、本発明の第二の実施形態に係る免震装置の断面図を示す。
本発明の第二の実施形態に係る免震装置が本発明の第一の実施形態に係る免震装置と異なる点は、永久磁石8の磁極が磁石仮想垂直軸Z8から放射状に周囲に延びる方向に沿って別れている点である。
図6(B)は、本発明の第二の実施形態に係る免震装置のIV-IV矢視での断面図である。
【0066】
本発明の実施形態に係る免震装置10は、上下一対の基礎構造と1個の軸力支承機構10aと1個の水平復元力作用機構10bと被覆材6とで構成される。
上下一対の基礎構造と1個の軸力支承機構10aと被覆材6の構成は、本発明の第一の実施形態に係る免震装置のものと同じなので、説明を省略する。
【0067】
水平復元力作用機構10bは、上下一対の複数の永久磁石8と永久磁石保持材9とで構成される。
上下一対の複数の永久磁石8と永久磁石保持材9の主要な構成は、本発明の第一の実施形態に係る免震装置のものと同じなので、特徴点のみを説明する。
【0068】
上から見て上下一対の磁石仮想垂直軸Z8を一致させたとき磁石仮想円R8に沿って配置される複数の上部永久磁石8uの位置と複数の下部永久磁石8dの位置とが互いに重なり、上から見て位置が重なる複数の上部永久磁石8uと複数の下部永久磁石8dとが互いに引き合う様に磁界を発生する。
上から見て上下一対の磁石仮想垂直軸Z9を一致させたとき磁石仮想円R8に沿って配置される複数の上部永久磁石8uの位置と複数の下部永久磁石8dの位置とが互いに重なり、上から見て位置が重なる複数の上部永久磁石8uと複数の下部永久磁石8dとが互いに引き合う様に互いの磁極を対応させて磁界を発生する。
【0069】
磁石仮想円R8に沿って配置される上下一対の複数の永久磁石8のN極とS極とが上から見て磁石仮想垂直軸Z8から放射状に延びる方向である放射方向に沿って別れている。
上から見て、上下一対の複数の永久磁石8の放射方向に沿った外側の極が磁石仮想円R8に沿って交互にN極とS極とになる様に配される。
【0070】
図7は、本発明の第二の実施形態に係る免震装置の磁気回路を示す。
本発明の第二の実施形態に係る免震装置では、本発明の第一の実施形態に係る免震装置で説明した永久磁石8の間の円周方向と縦方向の磁気回路に加えて、磁力受材3を通る円周方向の磁気回路が発生し、本発明の第一の実施形態に係る免震装置より強い磁気回路を容易に形成でき、より強い水平復元力を得られる。
【0071】
次に、本発明の第三の実施形態に係る免震装置を、図を基に、説明する。
図8は、本発明の第三の実施形態に係る免震装置の概念図である。図9は、本発明の第三の実施形態に係る免震装置の部分断面図である。
図8は、本発明の第三の実施形態に係る免震装置10の断面図を示す。
本発明の第三の実施形態に係る免震装置が、本発明の第二の実施形態に係る免震装置と異なる点は、中心部に磁極ブロック11が備えられている点である。例えば、磁極ブロック11の材質は強磁性体である。
本発明の第三の実施形態に係る免震装置10が本発明の第二の実施形態に係る免震装置10と異なる点は、水平復元力発生機構10bが磁極ブロック11を備えられている点である。
例えば、磁極ブロック11の材質は強磁性体である。
図9は、本発明の第三の実施形態に係る免震装置の半径方向の磁気回路を示す。本発明の第三の実施形態に係る免震装置は、本発明の第二の実施形態に係る免震装置で説明した磁石間と磁力受材を通る円周方向と縦方向の磁気回路に加えて、内側に備えられた磁極ブロック11を通る磁気回路が追加され、本発明の第二の実施形態に係る免震装置よりも強い磁気回路が発生し、より強い復元効果が得られる。
【0072】
磁極ブロック11は、内部磁極ブロック11aで構成される。
磁極ブロック11は、複数の内部磁極ブロック11aで構成されてもよい。
磁極ブロック11は、上下一対の内部磁極ブロック11aで構成されてもよい。
磁極ブロック11は、上下一対の複数の内部磁極ブロック11aで構成されてもよい。
磁極ブロック11は、内部磁極ブロック11aと外部磁極ブロック11bとで構成されてもよい。
磁極ブロック11は、複数の内部磁極ブロック11aと複数の外部磁極ブロック11bとで構成されてもよい。
磁極ブロック11は、上下一対の内部磁極ブロック11aと上下一対の外部磁極ブロック11bとで構成されてもよい。
磁極ブロック11は、上下一対の複数の内部磁極ブロック11aと上下一対の複数の外部磁極ブロック11bとで構成されてもよい。
【0073】
内部磁極ブロック11aは、磁性体の材料でできるブロックである磁極ブロックであって、上から見て内側輪郭に内側から沿う様に配される。
複数の内部磁極ブロック11aが、磁性体の材料でできるブロックである磁極ブロックであって、上から見て内側輪郭に内側から沿う様に配されてもよい。
ここで、内部輪郭は、上下一対の複数の永久磁石8により上から見て中心部に形成される空隙を囲う輪郭である。
すなわち、上下一対の複数の永久磁石8が上から見て中心部に内部輪郭で囲われる空隙を形成する。
【0074】
外部磁極ブロック11bは、磁性体の材料でできるブロックである磁極ブロックであって上から見て外側輪郭に外側から沿う様に配される。
複数の外部磁極ブロック11bは、磁性体の材料でできるブロックである磁極ブロックであって上から見て外側輪郭に外側から沿う様に配されてもよい。
ここで、外側輪郭は上から見て上下一対の複数の永久磁石8を外側から倣う輪郭である。
すなわち、上から見て上下一対の複数の永久磁石8が外側から倣う輪郭である外側輪郭をもつ。
軸力支承機構10aの一部分が外部磁極ブロック11bを兼ねてもよい。
図7では、軸力支承機構10aの軸受ユニットの軸力受材3が外部磁極ブロック11bを兼ねている様子を示される。
【0075】
図9は、本発明の第三の実施形態に係る免震装置の半径方向の磁気回路を示す。
本発明の第三の実施形態に係る免震装置では、本発明の第二の実施形態に係る免震装置で説明した永久磁石8の間の軸力受材3を通る円周方向と縦方向の磁気回路に加えて、内部磁極ブロック11aを通る磁気回路が追加され本発明の第二の実施形態に係る免震装置より強い磁気回路の形成が容易であり、より強い水平復元力を得やすい。
【0076】
次に、本発明の第四の実施形態に係る免震装置を、図を基に、説明する。
図10は、本発明の第四の実施形態に係る免震装置の概念図である。
図10は、本発明の第四の実施形態に係る免震装置の断面を示す。本発明の第四の実施形態に係る免震装置は、本発明の第一の実施形態に係る免震装置におけるプランジプレート4を除く部分を免震装置ユニットUと呼称したときに、接続プレート12を介して縦方向に重ね合わせて免震装置を形成する。
図10は、本発明の第四の実施形態に係る免震装置の断面を示す。本発明の第四の実施形態に係る免震装置は、フランジプレートを除く本発明の第一の実施形態に係る免震装置を免震装置ユニットUとし、接続プレート12を介して縦方向に重ね合わせて免震装置を形成した事例である。ここでは、3段重ねた事例を示す。
その他、本発明の第二、第三の実施形態に係る免震装置を多段に重ねてもよいのは勿論のことであるが、この様に多段にすることで水平方向の移動量を大きくすることが簡易になる、大きな免震効果を得ることができる。
図10では、3段に重ねた事例を示す。
本発明の第一の実施形態に係る免震装置以外の免震装置における免震装置ユニットUを多段に重ねてもよい。
多段に重ねることで水平方向の移動量を大きくすることができ、大きな免震効果を得ることができる。
【0077】
本発明の第四の実施形態に係る免震装置は、上下一対の基礎構造と3個の軸力支承機構10aと3個の水平復元力作用機構10bと2個の接続部プレート12とで構成される。
免震装置ユニットUが上端部と下端部に配される様に3個の免震装置ユニットUと2個の接続プレートとが上下方向に沿って交互に配される。
上部基礎構造が上端部に支持される。
下部基礎構造が下端部を支持するる。
ここで、1個の軸力支承機構10aと1個の水平復元力作用機構10bとが水平方向に並ぶ様に配されるものを免震装置ユニットと呼称する。
図10では、免震装置ユニットUは、上から見て中心部に中空空間Hを形成する1個の軸力支承機構10aと中空空間Hに収まる1個の水平復元力作用機構10bとで構成される様子が示される。
【0078】
次に、本発明の実施形態に係る第五の実施形態に係る免震装置10を、図を基に、説明する。
図11は、本発明の第五の実施形態に係る免震装置の概念図その1である。図12は、本発明の第五の実施形態に係る免震装置の概念図その2である。図13は、本発明の第五の実施形態に係る免震装置の断面図である。図14は、本発明の第五の実施形態に係る免震装置の作動説明図である。
本発明の実施形態に係る第五の実施形態に係る免震装置10は、本発明の実施形態に係る第一の実施形態に係る免震装置10に、中間磁極ブロック11cとプラグ6aとを追加したものである。
本発明の実施形態に係る第五の実施形態に係る免震装置10は、本発明の実施形態に係る第一の実施形態に係る免震装置10に、複数の中間磁極ブロック11cとプラグ6aとを追加したものであってもよい。
【0079】
以下に、中間磁極ブロック11cとプラグ6aとを説明する。
【0080】
中間磁極ブロック11cは、磁性体の材料でできるブロックである磁極ブロックである。
中間磁極ブロック11cは、上下一対の複数の永久磁石8である複数の上部永久磁石8uの下部と複数の下部永久磁石8dの上部との間に各々に上下方向に所定の距離だけ離間させる隙間Gapを設けて上から見て仮想の垂直軸である中間磁極ブロック仮想垂直軸Z11を中心とする仮想の円である中間磁極ブロック仮想円R11に沿って配される。
中間磁極ブロック11cは、上下一対の複数の永久磁石8である複数の上部永久磁石8uの下部と複数の下部永久磁石8dの上部との間に各々に上下方向に所定の距離だけ離間させる隙間Gapを設けて上から見て仮想の垂直軸である中間磁極ブロック仮想垂直軸Z11を中心とする同心円状に並ぶ仮想の円である複数の中間磁極ブロック仮想円R11に沿って配される。
中間磁極ブロック11cは、上下一対の複数の永久磁石8である複数の上部永久磁石8uの下部と複数の下部永久磁石6dの上部との間に各々に上下方向に所定の距離だけ離間させる隙間Gapを設けて上から見て仮想の垂直軸である中間磁極ブロック仮想垂直軸Z11を中心とする同心円状に並ぶ仮想の円である複数の中間磁極ブロック仮想円R11に沿って所定の間隔で配される。
【0081】
中間磁極ブロック支持体が、複数の中間磁極ブロック11cを上下一対の複数の永久磁石8である複数の上部永久磁石8uの下部と複数の下部永久磁石9dの上部との間に各々に上下方向に所定の距離だけ離間させる隙間Gapを設けて中間磁極ブロック仮想円R11に沿って配される様に支持してもよい。
中間磁極ブロック支持体が、複数の中間磁極ブロック11cを上下一対の複数の永久磁石8である複数の上部永久磁石8uの下部と複数の下部永久磁石8dの上部との間に各々に上下方向に所定の距離だけ離間させる隙間Gapを設けて中間磁極ブロック仮想円R11に沿って所定の間隔で配される様に支持してもよい。
中間磁極ブロック支持体が、複数の中間磁極ブロックを上下一対の複数の永久磁石8である複数の上部永久磁石8uの下部と複数の下部永久磁石8dの上部との間に各々に上下方向に所定の距離だけ離間させる隙間Gapを設けて複数の中間磁極ブロック仮想円に沿って配される様に支持してもよい。
中間磁極ブロック支持体が、複数の中間磁極ブロックを上下一対の複数の永久磁石8である複数の上部永久磁石9uの下部と複数の下部永久磁石8dの上部との間に各々に上下方向に所定の距離だけ離間させる隙間Gapを設けて複数の中間磁極ブロック仮想円に沿って所定の間隔で配される様に支持してもよい。
【0082】
上から見て上下一対の磁石仮想垂直軸Z8と中間磁極ブロック仮想垂直軸とを一致させたとき磁石仮想円R8に沿って配される上下一対の複数の永久磁石8の位置と中間磁極ブロック仮想円R11に沿って配される複数の中間磁極ブロック11cの位置とが互いに重なる。
【0083】
転動体保持材2が、中間磁極ブロック支持体を兼ねてもよい。
図11には、転動体保持材2が、中間磁極ブロック支持体を兼ねている様子が示される。
【0084】
プラグ6aは、弾塑性材料ででき上下に延びる柱状形状を形作り上端を上部基礎構造に下端を下部基礎構造に水平方向の相対位相不能に支持される部材である。
プラグ6aが、上下一対の永久磁石保持材9に磁石仮想垂直軸Z8を中心として形成される上下に延びる貫通穴を貫通していてもよい。
プラグ6aが、上下一対の永久磁石保持材9に磁石仮想垂直軸Z8を中心として形成される上下に延びる貫通穴に勘合して貫通していてもよい。
【0085】
次に、本発明の第六の実施形態に係る免震装置を、図を基に、説明する。
図15は、本発明の第六の実施形態に係る免震装置の概念図である。
図15(A)は、本発明の第六の実施形態に係る免震装置の断面を示す。
図15(B)は、本発明の第六の実施形態に係る免震装置のXI-XI断面を示す。
本発明の第六の実施形態に係る免震装置は、本発明の第一の実施形態に係る免震装置と軸力支承機構10aの構造が異なる。
本発明の第一乃至第五の実施形態に係る免震装置では、図2に示した構造を基本形態にしたが、一般的な積層ゴム支承を基本形態とし、積層ゴム支承の内側に復元部を設けてもよい。
【0086】
軸力支承機構10aは、積層ゴム支承を備える。
上下一対の永久磁石保持材9が、上下一対の永久磁石保持材基礎9aに上下から挟まれる。
永久磁石保持材基礎9aが、軸力受材3とフランジプレート4との挟まれて固定される。
積層ゴム支承は、複数の弾塑性材でできた板材である複数の弾塑性板材と金属でできた板材である複数の金属板材とが上下方向に交互に重なるものである。
金属板材が複数の中間磁極ブロック11cを支持する中間磁極ブロック支持体を兼ねていてもよい。
【0087】
以上説明したように、本発明に係る免震装置は、その構成により、以下の効果を有する。
軸力支承構造10aが下部基礎構造に支持されて上部基礎構造を水平方向に相対移動自在に支持して垂直荷重を支え、
上下一対の永久磁石保持材9が磁石仮想垂直軸Z8を中心とする磁石仮想円R8に沿って配置される上下一対の複数の永久磁石8を上から見て互いに重なり上下方向に所定の距離だけ離間する様に支える水平復元力作用機構10bが下部基礎構造に支持されて上部基礎構造に水平復元力を作用させる様にしたので、下部基礎構造を基礎として上部基礎構造を支持でき、地震等が発生して上部基礎構造と下部基礎構造との間に水平方向の相対変位が生じたとき、上から見て位置が重なる複数の永久磁石8が互いに引き合う磁束が傾斜して、磁石仮想円R8に沿って並ぶ複数の永久磁石8を引き合う磁束に沿った磁力の水平分力が上部基礎構造と下部基礎構造との間に水平方向の相対変位を元に戻そうとする水平復元力を生ずる。
また、上下一対の永久磁石保持材9が磁石仮想垂直軸Z8を中心とする同心円状の複数の磁石仮想円R8に沿って配置される上下一対の複数の永久磁石8を上から見て互いに重なり上下方向に所定の距離だけ離間する様に支える水平復元力作用機構10bが下部基礎構造に支持されて上部基礎構造に水平復元力を作用させる様にしたので、下部基礎構造を基礎として上部基礎構造を支持でき、地震等が発生して上部基礎構造と下部基礎構造との間に水平方向の相対変位が生じたとき、上から見て位置が重なる複数の永久磁石8が互いに引き合う磁束が傾斜して、同心円状に並ぶ複数の磁石仮想円R8に沿って並ぶ複数の永久磁石8を引き合う磁束に沿った磁力の水平分力が上部基礎構造と下部基礎構造との間に水平方向の相対変位を元に戻そうとする復元力を生ずる。
また、複数の永久磁石8のN極とS極とが上下方向に沿って別れ、上から見て複数の永久磁石8の上方の極が磁石仮想円R8に沿って交互にN極とS極とになる様に配置される様にしたので、磁界により安定した磁束が複数の永久磁石8に生じ、地震等が発生して上部基礎構造と下部基礎構造との間に水平方向の相対変位が生じたとき、上部基礎構造と下部基礎構造との間に水平方向の相対変位を元に戻そうとする復元力を生ずる。
また、複数の永久磁石8のN極とS極とが上から見て磁石仮想垂直軸Z8から放射状に延びる方向である放射方向に沿って別れ、上から見て上下一対の複数の永久磁石保持材9の保持する複数の永久磁石8の放射方向に沿った外側の極が磁石仮想円R8に沿って交互にN極とS極とになる様に配置される様にしたので、磁界により安定した磁束が複数の永久磁石8に生じ、地震等が発生して上部基礎構造と下部基礎構造との間に水平方向の相対変位が生じたとき、上部基礎構造と下部基礎構造との間に水平方向の相対変位を元に戻そうとする復元力を生ずる。
また、上下一対の内部磁極ブロック11aが上下一対の複数の永久磁石8が上から見て中心部に形成される空隙を囲う内側輪郭に内側から沿う様に配される様にしたので、永久磁石8を引き合う磁束が内部磁極ブロック11aを通過し、地震等が発生して上部基礎構造と下部基礎構造との間に水平方向の相対変位が生じたとき、上部基礎構造と下部基礎構造との間に水平方向の相対変位を元に戻そうとする復元力がさらに発生する。
また、上下一対の外部磁極ブロック11bが上下一対の複数の永久磁石8が外側から倣う輪郭である外側輪郭に外側から沿う様に配される様にしたので、永久磁石8を引き合う磁束が外部磁極ブロック11bを通過し、地震等が発生して上部基礎構造と下部基礎構造との間に水平方向の相対変位が生じたとき、上部基礎構造と下部基礎構造との間に水平方向の相対変位を元に戻そうとする復元力がさらに発生する。
また、複数の中間磁極ブロック11cが、上下一対の複数の永久磁石8である複数の上部永久磁石8uの下部と複数の下部永久磁石8dの上部との間に上下方向に所定の距離だけ離間させる隙間Gapを設けて上から見て仮想の垂直軸である中間磁極ブロック11c仮想垂直軸を中心とする中間磁極ブロック11c仮想円に沿って配され、上から見て上下一対の磁石仮想垂直軸Z8と中間磁極ブロック11c仮想垂直軸とを一致させたとき複数の永久磁石8の位置と複数の中間磁極ブロッの位置とが互いに重なる様にしたので、永久磁石8を引き合う磁束が中間磁極ブロック11cを通過し、地震等が発生して上部基礎構造と下部基礎構造との間に水平方向の相対変位が生じたとき、上部基礎構造と下部基礎構造との間に水平方向の相対変位を元に戻そうとする復元力がさらに発生する。
また、弾塑性材料でできるプラグ6aが上端を上部基礎構造に下端を下部基礎構造に水平方向の相対位相不能に支持される様にしたので、地震等が発生して上部基礎構造と下部基礎構造との間に水平方向の相対変位が生じたとき、プラグ6aが剪断変形て、水平方向の相対変位に応答する水平方向に抵抗力を発生する。
また、保護材6が軸力支承機構また水平復元力作用機構10bの外周を覆う様にしたので、地震等が発生して上部基礎構造と下部基礎構造との間に水平方向の相対変位が生じたとき、保護材6が軸力支承機構また水平復元力作用機構10bの動きを抑制できる。
また、免震装置ユニットが、1個の軸力支承機構と1個の水平復元力作用機構10bとが上下方向に沿って各に並列に配され、M個の免震装置ユニットと(M-1)個の中間基礎構造とが上下方向に交互に配される様にしたので、地震等が発生して上部基礎構造と下部基礎構造との間に水平方向の相対変位が生じたとき、多段に重なるM個の免震装置ユニットが水平方向への相対移動を許しながら水平復元力を作用させる。
また、軸受ユニットの複数の軸受が被支持構造を支える様にしたので、地震等が発生して上部基礎構造と下部基礎構造との間に水平方向の相対変位が生じたとき、軸受ユニットが水平方向の相対移動をゆるしつつ、荷重を支持する。
また、積層ゴム支承が被支持構造を支える様にしたので、地震等が発生して上部基礎構造と下部基礎構造との間に水平方向の相対変位が生じたとき、積層ゴム支承が水平方向の相対移動をゆるしつつ、荷重を支持する。
軸力支承機構10aと水平復元力作用機構10bのどちらか他方が、上から見て一方の中心部に形成される中空空間Hに収まる様にしたので、永久磁石8により復元力をもつコンパクトな免震装置を提供できる。
【0088】
本発明は以上に述べた実施形態に限られるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で各種の変更が可能である。
本願発明の実施形態係る免震装置は、第一乃至第六の実施形態に係る免震装置に限定されない。例えば、第一乃至第六の実施形態に係る免震装置を構成する要素を任意に組み合わせたものであってもよい。
本発明の実施形態の説明では、上から見て水平復元力発生機構10bが軸力支承機構10aの中心部に形成された中空空間Hに収まる構成を説明したがこれに限定されない。例えば、上から見て軸力支承機構10aが水平復元力発生機構10bの中心部に形成された中空空間Hに収まる構成せあってもよい、例えば、軸力支承機構10aと水平復元力発生機構10bとが隣り合って並んでいる構成であってもよい。
軸力支承機構10aが、軸受ユニット、または積層ゴム支承である例で説明したが、これに限定されない。例えば、軸力支承機構10aが空気ダンパーであってもよい。例えば、軸力支承機構10aが受けら見てX状に交差されたリニアガイドで構成されてもよい。
【符号の説明】
【0089】
ME 免震層
N 磁石のN極
S 磁石のS極
AB アンカーボルト
SB スタッドボルト
FB 基礎
U 免震装置ユニット
H 中空空間
I 隙間
G 隙間
SP 金属板材
RP 弾塑性板材
X 水平X軸
Y 水平Y軸
Z8 磁石仮想垂直軸
R8 磁石仮想円
Z1 軸受仮想垂直軸
R1 軸受仮想円
Z11 中間磁極ブロック垂直軸
R11 中間磁極ブロック仮想円
1 転動体
2 転動体保持材(リテーナ)
3 軸力受材
4 フランジプレート
5 接続ボルト穴
6 保護材
6a プラグ
7 ボルト
8 永久磁石
8u 上部永久磁石
8d 下部永久磁石
9 永久磁石保持材
9a 永久磁石保持材
10 免震装置
10a 軸力支承機構
10b 水平復元力作用機構
11 磁極ブロック
11a 内部磁極ブロック
11b 外部磁極ブロック
11c 中間磁極ブロック
12 接続プレート
【先行技術文献】
【特許文献】
【0090】
【文献】特開2000-304088号
【文献】特開平11-336756号
図1
図2
図3
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