(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-23
(45)【発行日】2024-01-31
(54)【発明の名称】基板搬送装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/677 20060101AFI20240124BHJP
【FI】
H01L21/68 A
(21)【出願番号】P 2020155483
(22)【出願日】2020-09-16
【審査請求日】2023-03-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000002428
【氏名又は名称】芝浦メカトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100081961
【氏名又は名称】木内 光春
(74)【代理人】
【識別番号】100112564
【氏名又は名称】大熊 考一
(74)【代理人】
【識別番号】100163500
【氏名又は名称】片桐 貞典
(74)【代理人】
【識別番号】230115598
【氏名又は名称】木内 加奈子
(72)【発明者】
【氏名】古矢 正明
【審査官】宮久保 博幸
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-029220(JP,A)
【文献】特開2003-243471(JP,A)
【文献】特開2005-319550(JP,A)
【文献】特開2006-016144(JP,A)
【文献】特開2014-159076(JP,A)
【文献】特開2015-178161(JP,A)
【文献】特開2003-197712(JP,A)
【文献】国際公開第2011/148633(WO,A1)
【文献】独国特許出願公開第10227213(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/677
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板搬送用の搬送アームと、
基体に角度不動に立設された支柱と、
一端に前記搬送アームを支持し、前記支柱に回動可能に連結され、回動に従って前記搬送アームを昇降させる上リンクと、
前記支柱における前記上リンクとの連結部分よりも下方に、前記上リンクの回動の軸と平行な軸を中心に回動可能に連結された下リンクと、
前記下リンクの回動に従って前記上リンクが回動するように、前記上リンク及び前記下リンクに回動可能に連結された接続リンクと、
前記下リンクを回動させる駆動部と、
を有することを特徴とする基板搬送装置。
【請求項2】
前記駆動部は、
駆動源により駆動され、前記上リンク及び前記下リンクの回動の軸に直交する方向に沿って、直線状に往復移動する直動部を有する直動機構と、
前記直動部と前記下リンクとを接続し、前記直動部の移動を前記下リンクの回動に変換する変換部と、
を有することを特徴とする請求項1記載の基板搬送装置。
【請求項3】
前記駆動源は、前記直動部の一対の移動端のうち、前記搬送アームから遠い側の移動端に配置されていることを特徴とする請求項2記載の基板搬送装置。
【請求項4】
前記搬送アームが下方の移動端にある場合に、前記直動部が、前記搬送アームから遠い側の移動端にあることを特徴とする請求項2又は請求項3記載の基板搬送装置。
【請求項5】
前記駆動部は、単一の駆動源によって前記直動部を駆動することを特徴とする請求項2乃至4のいずれかに記載の基板搬送装置。
【請求項6】
前記支柱、前記上リンク、前記下リンク、前記接続リンク及びこれらの連結部分を含み構成される昇降リンクの内部は、気体が流通可能となるように互いに連通しており、
前記昇降リンクの内部を、前記駆動部側から排気するための排気ポートを有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の基板搬送装置。
【請求項7】
前記駆動部は、前記基板に処理を行うチャンバの開口よりも低い位置に配置されていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の基板搬送装置。
【請求項8】
前記搬送アームは、
水平方向に回動可能に設けられ、上下に重なる位置に収容される一対の上アーム、下アームを有することを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の基板搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
基板処理装置は、半導体や液晶パネルなどの製造工程において、ウエーハや液晶基板などの基板を処理する装置である。基板の処理には、例えば、回路を形成するためのエッチング、レジスト剥離、洗浄、乾燥など、種々の処理が含まれる。このような基板処理装置においては、複数の基板に一括して処理を行う場合もあるが、各基板に対する処理の均一性や再現性の観点から、基板を1枚ずつ処理する場合がある。このように基板に対して1枚ずつ行う処理を枚葉処理と呼ぶ。
【0003】
また、基板に粉塵が付着しないように、密閉されたカセット内に複数の基板を収納して、各基板処理装置間での基板の搬送が行われている。このカセットとしては、例えば、FOUP(Front-Opening Unified Pods)がある。
【0004】
枚葉処理を行う基板処理装置では、1つのチャンバで基板を1枚ずつ処理するため、一括で処理する場合に比べて処理効率は低くなる。このため、各処理工程を実施するチャンバを、基板処理装置内に水平方向に複数並べて配置して、各チャンバにおける処理を並行して実施したり、連続して実施することにより、作業効率を向上させている。
【0005】
従って、前述の基板処理装置においては、カセットとチャンバとの間で基板を搬送する基板搬送装置が必要となる。基板搬送装置は、前工程から搬送されてきたカセットから、未処理の基板を1枚ずつ取り出してチャンバに搬入し、チャンバで処理を終了した基板をカセットに収納する。
【0006】
さらに、前述の基板処理装置には、基板を一時的に載置するバッファユニットが設けられている。そして、カセットとバッファユニットとの間で基板を搬送するカセット(搬送)用の基板搬送装置と、受渡台とチャンバとの間で基板を搬送するチャンバ(搬送)用の基板搬送装置とを分けることで、作業効率を高くしている。
【0007】
つまり、カセット用の基板搬送装置は、ダブルアームを備えた搬送ロボットを有し、一方のアームでカセットから未処理の基板を取り出すとともに、他方のアームで処理済の基板をカセットに戻す。そして、搬送ロボットは、バッファエリアに移動して、他方のアームで処理済の基板をバッファエリアから受け取るとともに、一方のアームで未処理の基板をバッファエリアに置く。
【0008】
チャンバ用の基板搬送装置は、ダブルアームを備えた搬送ロボットを有し、一方のアームでバッファエリアから未処理の基板を受け取るとともに、他方のアームで処理済の基板をバッファエリアに置く。そして、搬送ロボットは、チャンバに移動して、他方のアームで処理済みの基板をチャンバから搬出するとともに、一方のアームで未処理の基板をチャンバに搬入する。
【0009】
さらに、基板処理装置の生産性を高める方法として、チャンバを上下に積み重ねて配置することにより、装置のフットプリント、つまり占有面積を拡大させずに、チャンバ数を増やす方式がとられるようになっている。このような基板処理装置においては、チャンバ用の基板搬送装置としては、ダブルアームを水平方向へ移動させる機構に加えて、上下方向に移動させる機構が必要となる。
【0010】
このような上下方向に移動させる機構を備えた基板搬送装置としては、特許文献1に示すものが提案されている。この基板搬送装置は、重なり合った筒状の容器が軸方向に上下動することにより、装置全体が上下に伸縮するテレスコピック式の装置である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
基板処理装置の室内は、基板への塵埃の付着等を防止するために、雰囲気管理を厳重に行うことで、歩留まり向上を図っている。このため、基板処理装置の搬送室内は、天井からのダウンフローで、基板搬送の高さより低い位置で排気を行うクリーンルームとして構成されている。しかしながら、基板処理装置の搬送室内における各種の機構の動作は、気流の乱れを発生させる。気流が乱れると、安定したダウンフローでは床側に排気されていた塵埃が、上方に舞ってしまい、基板に付着する可能性がある。乱れた気流は時間の経過により元に戻るが、安定するまで待つことは処理速度を低下させる原因となる。このため、基板処理装置の搬送室内の気流の乱れは、最小限に抑えることが好ましい。
【0013】
しかしながら、例えば、テレスコピック式の基板搬送装置の場合、筒状の容器の移動により全体が伸縮すると、内部の容積が大きく変動する。すると、この筒状の容器がピストンとして機能することになり、容器が上下動する度に、容器同士の隙間からの吸気、排気が発生してしまう。つまり、全体が縮むときには内部から気体が噴き出し、全体が伸びるときには気体が内部に流入することになる。すると、ダブルアームを昇降させると、基板処理装置内の気流が大きく乱れることになり、基板への塵埃の付着の原因となる。しかも、筒状の容器は、基板処理装置内に占める体積が大きくなるため、水平方向の移動においても、上下方向の移動においても、気流の乱れが発生し易くなる。
【0014】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、その目的は、気流の乱れを抑制して、基板への塵埃の付着を低減できる基板搬送装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、基板搬送用の搬送アームと、基体に角度不動に立設された支柱と、一端に前記搬送アームを支持し、前記支柱に回動可能に連結され、回動に従って前記搬送アームを昇降させる上リンクと、前記支柱における前記上リンクとの連結部分よりも下方に、前記上リンクの回動の軸と平行な軸を中心に回動可能に連結された下リンクと、前記下リンクの回動に従って前記上リンクが回動するように、前記上リンク及び前記下リンクに回動可能に連結された接続リンクと、前記下リンクを回動させる駆動部と、を有する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、気流の乱れを抑制して、基板への塵埃の付着を低減できる基板搬送装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】実施形態の基板搬送装置が適用された基板処理装置の全体構成を示す平面図である。
【
図2】実施形態の基板搬送装置であって搬送アームが下降端にある場合の斜視図である。
【
図3】実施形態の基板搬送装置であって搬送アームが上昇端にある場合の斜視図である。
【
図4】実施形態の基板搬送装置であって搬送アームが下降端にある場合の側面図である。
【
図5】実施形態の基板搬送装置であって搬送アームが上昇端にある場合の側面図である。
【
図6】
図3のα面、β面、γ面で切断した断面図(A)~(C)である。
【
図7】把持アームの動作を示す説明図(A)~(D)である。
【
図8】チャンバへの基板の搬入、搬出動作を示す正面図である。
【
図9】チャンバへの基板の搬入、搬出動作を示す平面図である。
【
図11】基板搬送装置を2列とした態様を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
実施形態の基板搬送装置及びこれが適用される基板処理装置について、図面を参照しつつ説明する。
[基板処理装置]
まず、本実施形態の基板搬送装置1が適用される基板処理装置100の概要を、
図1及び
図2を参照して説明する。
図1は、基板処理装置100の全体構成を示す平面図である。
図2は、基板搬送装置1の斜視図である。基板処理装置100は、複数の基板処理を行うチャンバ141を備え、前工程でカセットCA(FOUP)に複数枚収容されて搬送されてきた基板Wに対して、各チャンバ141内で1枚ずつ処理を行う枚葉処理の装置である。基板Wは、例えば、円盤形状の半導体ウエーハである。処理としては、例えば、エッチング、レジスト剥離、リンス、洗浄などである。但し、基板Wは、これには限定されず、表示装置用の基板W等、枚葉処理を行う各種の基板Wを対象とすることができる。
【0019】
基板処理装置100は、直方体形状の処理室110に構成されたカセット搭載エリア120、第1の搬送エリア130、チャンバ配置エリア140、第2の搬送エリア150、付帯エリア160を有する。
【0020】
なお、以下の説明において、重力に従う方向を下方、これと反対の重力に抗する方向を上方とする。本実施形態においては、基板処理装置100は、工場等の水平な床面を下方として設置されている。また、基板処理装置100のカセット搭載エリア120側を前方、その反対側を後方とする。前方から見て、左右の水平方向を幅方向とする。
【0021】
(カセット搭載エリア)
カセット搭載エリア120は、処理室110の前面に沿って、複数のカセットCAが幅方向に一列に配置されるエリアである。カセットCAは、複数枚の水平方向の基板Wが、所定の間隔で積層された状態で収容されるケースである。カセットCAとしては、一般的なFOUPを適用できる。カセット搭載エリア120の個々のカセットCAの搭載位置には、カセットCAのドアを開閉するオープナー121が設けられている。カセットCAは、図示しない天井走行のロボットによって、カセット搭載エリア120の各オープナー121の位置に搬入、搬出される。
【0022】
(第1の搬送エリア)
第1の搬送エリア130は、バッファユニット131、搬送ロボット132、移動機構133を有し、移動機構133により移動する搬送ロボット132によって、カセットCAとバッファユニット131との間で、基板Wを搬送するエリアである。第1の搬送エリア130は、カセット搭載エリア120の後方に構成されている。
【0023】
バッファユニット131は、基板Wが一時的に置かれる台である。バッファユニット131は、正面から見て左右の位置に、間隔を空けて2つ設けられている。バッファユニット131には、それぞれ複数枚の水平方向の基板Wが、所定の間隔で積層された状態で収容される。
【0024】
搬送ロボット132は、基板Wをそれぞれ1枚ずつ把持する2本のアーム132a、132bを備えたダブルアーム構成である。アーム132aは基板Wを把持した状態で下側に位置し、アーム132bは基板Wを把持した状態で上側に位置する。搬送ロボット132は、移動機構133によってカセットCAの並び方向に沿って移動可能に設けられている。移動機構133としては、例えば、リニアガイドを用いる。
【0025】
搬送ロボット132は、下側のアーム132aがカセットCAから未処理の基板Wを取り出して旋回し、バッファユニット131まで移動して基板Wを収容する。また、上側のアーム132bは、処理済の基板Wをバッファユニット131から取り出して旋回し、カセットCAまで移動して基板Wを戻す。未処理の基板Wを下側のアーム132aが搬送し、処理済の基板Wを上側のアーム132bが搬送するのは、処理済の基板Wの上に何等かの部材が来て、塵埃等が付着することを防止するためである。
【0026】
(チャンバ配置エリア)
チャンバ配置エリア140は、各種の処理を行う複数のチャンバ141が配置されたエリアである。各チャンバ141は、シャッターにより開閉する開口141a、処理される基板Wが載置される載置台141bを有している。なお、基板Wに対して処理液の供給を行うノズル等、各チャンバ141内において処理のために必要な構成については説明を省略する。各チャンバ141は、載置台141bに載置された1枚の基板Wに対して、処理を行う。
【0027】
また、チャンバ141は、前後方向に複数並びかつ、幅方向に2列で配置され、2列の間には第2の搬送エリア150のための間隔が空いている。さらに、チャンバ141は、前面から見て左側が上下に2段、右側が上下に3段配置されている(
図8参照)。各チャンバ141は、開口141aが第2搬送エリア150に面する方向で配置されている。
【0028】
(第2の搬送エリア)
第2の搬送エリア150は、本実施形態の基板搬送装置1が配置され、バッファユニット131とチャンバ141との間、チャンバ141同士の間で、基板Wを搬送するエリアである。基板搬送装置1は、上アーム22と下アーム23を含むダブルアーム構成の搬送アーム2を備えている。搬送アーム2は、上アーム22でバッファユニット131から未処理の基板Wを搬出するとともに、下アーム23で処理済の基板Wをバッファユニット131に搬入する。また、搬送アーム2は、下アーム23で処理済みの基板Wをチャンバ141から搬出するとともに、上アーム22で未処理の基板Wをチャンバ141に搬入する。
【0029】
基板搬送装置1は、移動機構151によって、バッファユニット131とチャンバ141との間を移動可能に設けられている。移動機構151は、直線レール151aと、移動ベース151bを備えるリニアガイドである。直線レール151aは処理室110の底部に設けられ、前後方向に沿って延びるガイドレールである。移動ベース151bは、基板搬送装置1を支持し、直線レール151aに沿って、前後方向に往復移動可能に設けられている。
【0030】
(付帯エリア)
付帯エリア160は、処理室110の後部に設けられている。付帯エリア160は、液供給装置161と、制御装置162を収容する。液供給装置161は、チャンバ141に、例えば、エッチング液、レジスト剥離液、リンス液、洗浄液などの各種の処理液を供給する。制御装置162は、演算装置、記憶装置、信号送受信装置、入出力装置などからなるコンピュータである。制御装置162は、記憶装置に記憶された基板処理情報や各種プログラムなどを実行することにより、基板処理装置100の各部を制御する。
【0031】
なお、上記のような基板処理装置100の処理室110の内部は、クリーンルームとして構成されている。つまり、処理室110の天井には、図示はしないが、FFU(Fan Filter Unit)が設けられている。FFUは、ファンの下流にULPAフィルタが設置され、ULPAフィルタを介して清浄化された空気を、下方に流すダウンフローを発生させる。処理室110の底部には、第1搬送エリア130及び第2搬送エリア150の専用の排気口が設けられている。このため、処理室110内の気体は、塵埃とともに処理室110の底部の排気口から排出される。また、第1搬送エリア130及び第2搬送エリア150は、外部よりも陽圧に保持されている。
【0032】
さらに、処理室110が設置された工場内にも、FFUによるダウンフローが形成されており、床下の排気設備によって、床に設けられたグレーチングを介して工場内が排気される。
【0033】
[基板搬送装置]
本実施形態の基板搬送装置1の詳細について、
図2~
図6を参照して説明する。
図2に示すように、基板搬送装置1は、搬送アーム2、昇降リンク3、駆動部4を有する。搬送アーム2は、上記のように、バッファユニット131との間での基板Wの交換及びチャンバ141との間での基板Wの交換を行う。昇降リンク3は、チャンバ141の高さに合わせて搬送アーム2を昇降させる。駆動部4は、昇降リンク3を駆動する。以下、各部を詳述する。
【0034】
(搬送アーム)
搬送アーム2は、テーブル21、上アーム22、下アーム23、アームベース24を有する。テーブル21は、天面が水平方向となるように配置された台である。テーブル21の天面は、その外縁内に水平方向の基板Wが収まる大きさである。例えば、テーブル21の幅は、基板Wの直径と等しいか、僅かに長い程度である。僅かに長いとは、基板Wの外縁から数cm以内の長さである。また、テーブル21は、下アーム23(後述するウェットアーム)に保持され、液盛りされた状態の基板Wから液が移動機構151に落ちるのを防ぐための水受けとして機能するものである。
【0035】
上アーム22、下アーム23は、基板Wを把持するアームである。上アーム22、下アーム23は、共通の構造であり、駆動アーム25、連結部26、把持アーム27を有する。駆動アーム25は、一端がテーブル21に垂直方向の軸を中心に、水平方向に回動可能に支持されている。回動可能な範囲等の詳細については、後述する。駆動アーム25は、図示しないモータにより駆動されて回動する。連結部26は、駆動アーム25の他端に、垂直方向の軸を中心に、水平方向に回動可能に連結されている。
【0036】
把持アーム27は、連結部26に取り付けられ、連結部26とともに水平方向に回動可能に設けられている。把持アーム27は、可動押え27a、梁部27b及び固定押え27cを有する。可動押え27aは、基板Wの縁に接離する一対の爪を有する。可動押え27aは、図示しないシリンダにより、爪が基板Wの縁に接離する方向に移動する。
【0037】
梁部27bは、連結部26から、基板Wの上方を越えて反対側に延びた一対の棒状の部材である。固定押え27cは、梁部27bの先端に固定され、可動押え27aと対向する位置において、基板Wの縁に接する一対の爪を有する。可動押え27aは、その爪が基板Wの縁に接する位置まで移動することにより、固定押え27cの爪との間で基板Wを把持する把持位置となる(
図7(C)参照)。また、可動押え27aは、その爪が基板Wの縁から離れる位置まで移動することにより、基板Wを解放する解放位置となる(
図7(B)参照)。
【0038】
また、上アーム22、下アーム23は、上記のように把持アーム27が把持する基板Wが、テーブル21の天面の外縁内に収まる収容位置と、テーブル21から幅方向に外れて外部との受渡が可能となる受渡位置との間で移動する。
【0039】
つまり、
図2及び
図3に示すように、上アーム22、下アーム23は、それぞれの駆動アーム25の駆動軸が、テーブル21の前後の端部であって、幅方向の中央に配置されている。
図3に示すように、互いの駆動アーム25の長手方向が前後方向となったときには、上アーム22と下アーム23は、上アーム22が上、下アーム23が下となるように、互いに干渉しない隙間を設けて上下に重なる。このとき、上アーム22、下アーム23の駆動アーム25及び把持アーム27は、全て上下に重なり合って並ぶ。これにより、上アーム22、下アーム23は、把持アーム27が把持している基板Wが、平面視でテーブル21の外縁内に収まる収容位置となる。
【0040】
なお、上アーム22は、処理済の基板Wを搬送する搬送アーム、下アーム23は、未処理の基板Wを搬送するアームとして使用することができる。また、上アーム22は、表面が乾燥した状態の基板Wを搬送するドライアーム、下アーム23を、表面に液盛りされた状態の基板Wを搬送するウェットアームとして機能させることができる。つまり、処理後に液盛りされた状態の基板Wの液体が滴下して、未処理の基板Wに付着することを防止するためである。
【0041】
また、図示はしないが、駆動アーム25の内部には、駆動軸と同軸のプーリが固定され、連結部26の内部には、連結軸と同軸のプーリが固定されている。これらのプーリの間には、タイミングベルトが掛け渡されている。このため、収容位置にある駆動アーム25が回動すると、その回動がタイミングベルトを介して連結部26に伝達されて、連結部26とともに把持アーム27が回動する。すると、
図2に示すように、駆動アーム25及び把持アーム27は、互いの重なりが解消されるように幅方向に広がって、直線状に延びることになり、基板Wがテーブル21の外縁の内側から外れて、外部との受渡が可能となる受渡位置となる。
【0042】
なお、本実施形態の上アーム22、下アーム23は、上記のような駆動アーム25の回動により、前方から見て左方向にも右方向にも延びることが可能であり、左右の2方向に受渡位置を持つ(
図8、
図9参照)。つまり、上アーム22、下アーム23は、駆動アーム25の軸を中心として、最大で左右に180°の回動範囲を有する。
【0043】
アームベース24は、テーブル21を下方から支持する部材である。アームベース24には、上アーム22と下アーム23を一体で昇降させる昇降機構が設けられている。つまり、アームベース24には、上下方向に移動可能な昇降軸24aの上端が固定されており、この昇降軸24aを昇降機構が上下方向に移動させることにより、上アーム22と下アーム23、テーブル21を昇降させる。
【0044】
アームベース24の昇降は、バッファユニット131又はチャンバ141内において、把持アーム27が基板Wを載置する際の下降、基板Wを持ち上げる際の上昇のために必要となる。昇降機構は、図示はしないが、シリンダ、ギア機構、ボールねじ機構などを用いることができる。
【0045】
なお、上アーム22、下アーム23の収容位置と受渡位置との間の動作、把持アーム27の解放位置と把持位置との間の動作、アームベース24の昇降動作は、上記の制御装置162によって制御される。
【0046】
(昇降リンク)
昇降リンク3は、基体31、支柱32、上リンク33、下リンク34、接続リンク35を有する。基体31は、基板搬送装置1の全体を支持する部材である。基体31は、移動ベース151bに固定され、又は移動ベース115bと一体的に構成されている。支柱32は、基体31に角度不動に立設された部材である。本実施形態の支柱32は、予め決められた所定の角度で立ち上げられた角柱状の部材である。この角度は、本実施形態では、上端が後方に僅かに倒れた角度である。
【0047】
上リンク33は、一端に搬送アーム2を支持し、支柱32に回動可能に連結され、回動に従って搬送アーム2を昇降させる。上リンク33の回動の軸は、幅方向である(
図4及び
図5参照)。上リンク33は、前後方向よりも幅方向が薄い板状の長尺な部材である。上リンク33の前端は、搬送アーム2のアームベース24の後端に回動可能に連結されている。上リンク33は、支柱32との連結部分を越えて後方に延びている。
【0048】
また、上リンク33の上方には、上リンク33と平行に、補助リンク33aが設けられている。補助リンク33aは、前後方向よりも、幅方向が薄い板状の長尺な部材である。補助リンク33aの前端は、アームベース24の後端に回動可能に連結されるとともに、後端は、支柱32に回動可能に連結されている。
【0049】
下リンク34の前端は、支柱32における上リンク33との連結部分の下方に、上リンク33の回動の軸と平行な軸を中心に、回動可能に連結されている。下リンク34は、前後方向よりも、幅方向が薄い板状の長尺な部材である。下リンク34は、上リンク33と平行である。
【0050】
接続リンク35の両端は、下リンク34の回動に従って上リンク33が回動するように、上リンク33及び下リンク34の後端に回動可能に連結されている。接続リンク35は、前後方向よりも、幅方向が薄い板状の長尺な部材である。
【0051】
支柱32、上リンク33、下リンク34及び接続リンク35は、支柱32を静止節、上リンク33を従動節、下リンク34を原動節、接続リンク35を中間節とする四節リンクを構成している。本実施形態において、支柱32、上リンク33、下リンク34及び接続リンク35により構成される四節リンクは、対向する軸間が、距離が等しく平行な平行リンクである。さらに、支柱32、上リンク33、補助リンク33a及びアームベース24も平行リンクを構成している。
【0052】
以下の説明では、
図4及び
図5に示すように、原動節の下リンク34と支柱32との連結部分の軸を軸A、従動節の上リンク33と支柱32の連結部分の軸を軸Bとする。また、原動節の下リンク34と接続リンク35との連結部分の軸を軸C、従動節の上リンク33と接続リンク35との連結部分の軸を軸Dとする。また、支柱32と補助リンク33aとの連結部分の軸を軸E、上リンク33とアームベース24の連結部分の軸を軸F、補助リンク33aとアームベース24の連結部分の軸を軸Gとする。なお、これらの軸A~軸Gは、回動の中心を示すものであり、部材を示すものではない。連結部分の具体的な構成は、後述する。
【0053】
図4及び
図5に示すように、下リンク34が軸Aを中心に回動することにより、軸Cを中心に接続リンク35が回動しながら昇降するため、軸Dが昇降する。これにより、上リンク33が軸Bを中心に回動して、搬送アーム2が昇降する。例えば、
図4に示す側面から見て、下リンク34が時計回りに回動すると、
図5に示すように、搬送アーム2が上昇する。
図5の状態から、下リンク34が反時計回りに回動すると、
図4に示すように、搬送アーム2が下降する。
【0054】
上リンク33が回動することにより角度を変えても、軸Fと軸Gとの間の節、軸Bと軸Eとの間の節は、角度不動で互いの平行を維持する。このため、搬送アーム2の角度は、テーブル21の天面が水平な状態に維持される。従って、上アーム22、下アーム23によって把持、搬送される基板Wは、搬送アーム2の高さが変わっても、常に水平を維持できる。
【0055】
また、接続リンク35には、錘36が設けられている。錘36の重量は、軸Bを支点として、搬送アーム2と釣り合うように選択することが好ましい。これにより、一方の移動端から他方の移動端へ移動させる際の始動時に要求される力を軽減できる。
【0056】
さらに、
図3のα、β、γを切断面とする断面図である
図6(A)、(B)、(C)に示すように、上記の昇降リンク3の内部は、気体が流通可能となるように連通している。また、昇降リンク3には、駆動部4側、つまり下方から排気するための排気ポート37が設けられている。
【0057】
より具体的には、支柱32、上リンク33、下リンク34、接続リンク35、補助リンク33aは、内部が中空の角筒形状である。また、これらの角筒を接続し、軸A~軸Gを中心とした回動を実現するための連結部分は、連結対象の一方に固定された内部が中空の外筒38に、他方に固定された内部が中空の内筒39を、ベアリング38bを介在させて通すことにより構成されている。各外筒38及び内筒39には、支柱32、上リンク33、下リンク34、接続リンク35、補助リンク33aの内部に連通した複数の通気孔38a、39aが形成されている。また、各角筒と外筒38及び内筒39との接続部分の隙間は、段差や溝により経路が屈曲したラビリンス構造となっていて、外部と連通している。
【0058】
排気ポート37は、支柱32における軸Bの下方に、支柱32の内部に連通して設けられている。排気ポート37には、図示はしないが、フレキシブルなパイプを介して、排気を行う排気装置が接続されている。
【0059】
(駆動部)
駆動部4は、
図2、
図4及び
図5に示すように、直動機構41、変換部42を有する。直動機構41は、駆動源41aによって駆動され、上リンク33及び下リンク34の回動の軸に直交する方向に沿って、直線状に往復動する直動部41bを有する機構である。なお、駆動部4は、基板Wに処理を行うチャンバ141の開口よりも低い位置に配置されている(
図8参照)。
【0060】
本実施形態の直動機構41は、基体31に固定されたリニアガイドである。つまり、直動機構41は、駆動源41aであるモータと、ボールねじ、ナット、ガイドレール及びスライダを含み構成される。ボールねじ及びガイドレールは、前後方向に設けられ、ナットがねじ軸に螺合している。ナットには、スライダが固定されており、サーボモータでねじ軸を軸回転させることで、スライダが前後方向に延びるガイドレールに沿って移動し、スライダが前後方向に直線移動する。このスライダが、直動部41bである。なお、サーボモータは、前後方向を軸とするシャフトの回動を、ベルトによりボールねじに伝達する。
【0061】
なお、上記のように、接続リンク35に設けられた錘36によって、直動部41bの移動端からの始動時に要求される力を低減できるので、モータに要求される出力は低くて済む。従って、駆動源41aを小型化できるとともに、発塵を低減できる。
【0062】
図4に示すように、駆動源41aは、直動部41bの一対の移動端のうち、搬送アーム2から遠い側、つまり後端側に配置されている。また、搬送アーム2が下方の移動端にある場合に、直動部41bは、搬送アーム2から遠い側の移動端、つまり後端にある。さらに、駆動源41aは、直動機構41の設置面側、つまり下方に配置されている。
【0063】
変換部42は、直動部41bと下リンク34とを接続し、直動部41bの移動を下リンク34の回動に変換する。本実施形態の変換部42は、L字形の揺動アーム42aである(
図2参照)。揺動アーム42aは、下端が直動部41bに回動可能に連結され、上端が直動機構41を跨いで支柱32と下リンク34との連結部に連結されている。揺動アーム42aの下端は、直動部41bの直線移動に従って、軸Aを中心に回動可能に設けられている。
【0064】
但し、揺動アーム42aは、直動部41bとの連結部分において、直動部41bに対して回動の半径方向に伸縮可能に設けられている。このため、直動部41bが直線状に移動しながら、揺動アーム42aが回動することが可能となる。なお、揺動アーム42aが伸縮せず、揺動アーム42aと直動部41bとの連結部分における軸が、揺動アーム42aに沿って上下方向に移動する構造であってもよい。これにより、揺動アーム42aと直動部41bとの連結部分から軸Aまでの距離が、直動部41bの一対の移動端に近いほど長く、一対の移動端の中央に近づくほど短くなる。つまり、直動部41bの移動端に近いほど回動半径が長く、中央になるほど回動半径が短くなる。
【0065】
以上のような直動機構41によって、
図4に示すように、直動部41bを後端に移動させると、搬送アーム2が下降する。
図5に示すように、直動部51bが前端に移動すると、搬送アーム2が上昇する。このため、直動部41bを前端と後端のいずれの位置に移動させるかによって、搬送アーム2の高さを決定できる。
【0066】
なお、駆動部4の駆動源の起動、停止、速度、動作タイミング等は、上記の制御装置162によって制御される。つまり、制御装置162によって、搬送アーム2の高さ、昇降速度が制御される。
【0067】
[動作]
以上のような基板処理装置100及び基板搬送装置1の動作について説明する。
(搬送アームの昇降動作)
まず、上アーム22、下アーム23の高さを、チャンバ141の開口の高さに合わせるために、搬送アーム2を昇降させる動作を、以下に説明する。
図4に示すように、搬送アーム2が最下端にある場合には、直動部41bは後端にある。
【0068】
この状態から、駆動源41aが作動して直動部41bを前方に移動させると、揺動アーム42aが前方に回動することにより、下リンク34が軸Aを中心に下がるように回動する。すると、下リンク34に軸Cで連結された接続リンク35が下降するとともに、上リンク33の後端の軸Dが下降するので、上リンク33が軸Bを中心に回動して、上リンク33の前端の搬送アーム2が上昇する。直動部41bが前端に達すると、
図5に示すように搬送アーム2が上の移動端に来る。
【0069】
次に、駆動源41aが逆方向に作動して直動部41bを後方に移動させると、揺動アーム42aが後方に回動して、下リンク34が軸Aを中心に立ち上がるように回動するので、下リンク34に軸Cで連結された接続リンク35が上昇する。すると、接続リンク35とともに、上リンク33の後端の軸Dが上昇するので、上リンク33が軸Bを中心に回動して、上リンク33の前端の搬送アーム2が下降する。直動部41bが後端に達すると、
図4に示すように、搬送アーム2が下の移動端に来る。
【0070】
上下の移動端間で搬送アーム2が移動する間、補助リンク33aを含む平行リンクによって、テーブル21の上面及び上アーム22、下アーム23は水平状態が維持される。また、上記のように、直動部41bが前後の移動端に近づくときには、変換部42の回動が遅くなるため、上昇及び下降の速度が低下する。このため、チャンバ141の開口に位置を合わせる際には、速度調整をしなくても速度が低下して、位置合わせに適したゆっくりとした移動となる。
【0071】
(排気動作)
上記のような昇降動作を行っている間に、排気ポート37に接続された排気装置による排気がおこなわれる。つまり、通気孔38a、39aを介して連通している支柱32、上リンク33、下リンク34、接続リンク35、補助リンク33a、外筒38及び内筒39の内部の空気が、下方の排気ポート37から排気される。これにより、動作部分から生じる塵埃が、基板処理装置100内部に流出せずに、外部に排出される。基板処理装置100内部の空気は、複数の連結部分において、ラビリンス構造となった僅かな隙間を介して流入するため、1か所の大きな開口から集中して吸引されることがなく、気流の乱れも少ない。
【0072】
(基板の受渡動作)
次に、基板搬送装置1が、バッファユニット131とチャンバ141との間で、基板Wを受け渡す動作を説明する。まず、基板処理装置100での説明の通り、搬送ロボット132によりカセットCAから取り出された未処理の基板Wが、バッファユニット131に収容されているものとする。また、基板搬送装置1の下アーム23は、チャンバ141において処理済の基板Wを把持しているものとする。
【0073】
図1に示すように、基板搬送装置1が移動機構151によって前方に移動して、搬送アーム2がバッファユニット131の横に来る。駆動部4によって、下アーム23の高さを、バッファユニット131の未処理の基板Wを収容している高さに合わせる。下アーム23は、収容位置から受渡位置となり、
図7(A)に示すように、バッファユニット131の未処理の基板Wの上方に、把持アーム27を移動させる。
【0074】
昇降軸24aが下降することにより、可動押え27aを解放位置とした把持アーム27が下降して、
図7(B)に示すように、可動押え27aと固定押え27cとの間に、基板Wが入る。この状態で、
図7(C)に示すように、可動押え27aが移動して把持位置となることにより、可動押え27aの爪と固定押え27cの爪によって基板Wの縁部が把持される。そして、
図7(D)に示すように、昇降軸24aが上昇してから、下アーム23が収容位置に戻る。
【0075】
また、駆動部4は、上アーム22の高さを、バッファユニット131の空き位置に合わせる。そして、上アーム22が収容位置から受渡位置となることにより、
図7(D)に示すように、上アーム22が把持している処理済の基板Wを、バッファユニット131の空き位置に移動させる。
図7(C)に示すように、昇降軸24aを下降させて把持アーム27を下降させ、
図7(B)に示すように、可動押え27aを解放位置とすることにより、基板Wを解放する。そして、
図7(A)に示すように、昇降軸24aが上昇してから、上アーム22が収容位置に戻る。
【0076】
次に、
図8及び
図9に示すように、基板搬送装置1は、移動機構151によって後方に移動して、搬送アーム2が処理すべきチャンバ141の横に来る。駆動部4によって、
図8に示すように、上アーム22の高さをチャンバ141の開口141aに合わせて、
図9に示すように、上アーム22が収容位置から受渡位置となることにより、開口141aからチャンバ141内に把持アーム27を挿入する。なお、
図8は、上方のチャンバ141、下方のチャンバ141に把持アーム27を挿入した状態を全て示しているが、実際に同時に挿入できるのは、最大の2つの把持アーム27である。すると、
図7(A)に示すように、処理済の基板Wの上方に、把持アーム27が来る。その後は、
図7(B)~(D)に示すように、基板Wを把持した把持アーム27が上昇してから、上アーム22が収容位置に戻る。
【0077】
また、駆動部4は、下アーム23の高さを、チャンバ141の開口141aの位置に合わせる。そして、下アーム23が収容位置から受渡位置となることにより、
図7(D)に示すように、下アーム23が把持している未処理の基板Wを、チャンバ141内に移動させる。その後は、
図7(C)~(A)に示すように、把持アーム27が下降して、可動押え27aを解放位置とすることにより、基板Wを載置台141bに載置した後、把持アーム27が上昇し、下アーム23が収容位置に戻る。
【0078】
また、基板搬送装置1は、チャンバ141で処理を終えた基板Wを搬出した後、他のチャンバ141に搬入して、他の処理を行わせることができる。例えば、一つのチャンバ141で洗浄処理後に、他のチャンバ141で乾燥処理を行わせることができる。このような場合、上アーム22はドライアームとして、下アーム23をウェットアームとして使うことができる。例えば、ウェットアームである下アーム23で液盛りされた基板Wを乾燥させるチャンバ141に搬送し、乾燥処理が終わった基板Wをドライアームである上アーム22で搬送する。さらに、基板搬送装置1は、上アーム22、下アーム23が、それぞれ左右の2方向に受渡位置を持つため、1つのチャンバ141で処理を終えた基板Wを搬出して、向かい合う他のチャンバ141に搬入することにより、順次処理を行うこともできる。
【0079】
[効果]
(1)本実施形態の基板搬送装置1は、基板搬送用の搬送アーム2と、基体31に角度不動に立設された支柱32と、一端に搬送アーム2を支持し、支柱32に回動可能に連結され、回動に従って搬送アーム2を昇降させる上リンク33と、支柱32における上リンク33との連結部分よりも下方に、上リンク33の回動の軸と平行な軸を中心に回動可能に連結された下リンク34と、下リンク34の回動に従って上リンク33が回動するように、上リンク33及び下リンク34に回動可能に連結された接続リンク35と、下リンク34を回動させる駆動部4と、を有する。
【0080】
駆動部4は塵埃の発生源となるが、本実施形態では、この駆動部4が下方に配置されており、搬送アーム2を昇降させるための動作部分は、上方に配置された四節リンクの機構のみとなる。このため、テレスコピック式の基板搬送装置のように、昇降の度に筒状の容器同士の隙間から吸気、排気が発生することがない。従って、ダウンフローの気流の乱れによる基板Wへの塵埃の付着を低減することができる。例えば、上記のように、各リンクを幅方向が前後方向よりも薄い板状の部材とすることにより、回動による気流の乱れをより一層抑制できる。
【0081】
また、搬送アーム2を昇降させるための駆動部4は、下方の一か所のみであるため、回動する軸毎に、塵埃の発生源となるモータを設けて駆動させる場合に比べても、塵埃の発生を低減することができる。つまり、回動する軸毎にモータを設ける場合には、モータの数が多くなることにより、塵埃の発生量が多くなる。また、基板Wやチャンバ141の開口141aの近傍にも、モータが存在することになると、塵埃が基板Wに付着する可能性が高くなる。さらに、モータの重量は大きいので、上方の軸に設けたモータを支える剛性を備えるために、胴体部分を非常に太くする必要が生じるとともに、下方の軸に設けるモータは、より出力の大きな重いものを使用しなければならならない。このため、塵埃の発生量も多くなる。本実施形態では、駆動源41aの数も低減でき、必要とする出力も少なくて済むので、塵埃の発生を抑えることができる。
【0082】
さらに、上リンク33及び下リンク34の回動の軸が互いに平行な四節リンクであるため、幅方向の所要スペースを低減できる。例えば、テレスコピック式の基板搬送装置の場合には、登頂部にダブルアームを搭載した円筒形状の容器の大きさが、上方から下方までのスペースを占有する。また、回動する軸毎にモータを設ける場合には、上記のように胴体を太くする必要が生じるとともに、下方のモータを大きくする必要があるため、全体の所要スペースが大きくなる。本実施形態では、節を構成する細身の部材で四節リンクを構成できるので、所要スペースを低減できる。例えば、上記のように、各リンクを幅方向が前後方向よりも薄い板状の部材とすることにより、幅方向の所要スペースを低減することができる。
【0083】
(2)駆動部4は、駆動源41aにより駆動され、上リンク33及び下リンク34の回動の軸に直交する水平方向に沿って、直線状に往復移動する直動部41bを有する直動機構41と、直動部41bと下リンク34とを接続し、直動部41bの移動を下リンク34の回動に変換する変換部42と、を有する。
【0084】
このように、塵埃の発生源となる駆動源41aが下方に配置され、直動部41bが水平方向に移動するため、上方に向かう塵埃が発生し難い。このため、基板Wへの塵埃の付着を低減できる。直動部41bの移動による塵埃の発生も、下方の水平方向となるので、上方への影響を抑えることができる。また、直動部41bの移動方向を、上リンク33及び下リンク34の軸に直交する方向とすることにより、軸に平行な幅方向のスペースを低減できる。さらに、直線上の直動部41bの位置を制御するだけで、搬送アーム2の高さを調整できるので、制御が容易となる。
【0085】
(3)駆動源41aは、直動部41bの一対の移動端のうち、搬送アーム2から遠い側の移動端に配置されている。駆動源41aは、塵埃の最大の発生源となるが、搬送アーム2から遠い位置にあるため、基板Wへの塵埃の付着を低減できる。
【0086】
(4)搬送アーム2が下方の移動端にある場合に、直動部41bが、搬送アーム2から遠い側の移動端にある。このため、搬送アーム2が、直動部41bの移動により発生する塵埃の影響を受け難くなり、基板Wへの塵埃の付着を低減できる。
【0087】
(5)支柱32、上リンク33、下リンク34、接続リンク35及びこれらの連結部分を含み構成される昇降リンク3の内部は、気体が流通可能となるように互いに連通しており、昇降リンク3の内部を、駆動部4側から排気するための排気ポートを有する。このため、昇降リンク3における可動部分から発生する塵埃を、内部から排気することができるので、基板Wへの塵埃の付着を低減できる。
【0088】
(6)駆動部4は、基板Wに処理を行うチャンバ141の開口よりも低い位置に配置されている。このため、チャンバ141に搬入、搬出される基板Wへの塵埃の付着を低減できる。
【0089】
(7)駆動部4は、単一の駆動源41aによって直動部41bを駆動する。このため、搬送アーム2を昇降させるための駆動源41aの数を抑えて、塵埃の発生原因の数を低減することにより、基板Wへの塵埃の付着を低減できる。
【0090】
(8)搬送アーム2は、水平方向に回動可能に設けられ、上下に重なる位置に収容される一対の上アーム22、下アーム23を有する。このため、搬送アーム2の幅方向のスペースを小さくすることができ、搬送アーム2が昇降する際の気流の乱れによる塵埃の発生を抑制できる。また、搬送アーム2の幅は、基板Wが収まるスペースであればよいため、基板搬送装置1が移動するために、チャンバ141の並び方向に沿う搬送スペースを狭くすることができる。
【0091】
例えば、本実施形態では、上アーム22、下アーム23を180°移動できるようにすることにより、上アーム22、下アーム23の搭載部分を水平方向に旋回させるスペースを必要とせず、対向するチャンバ141間での基板Wの受渡が可能となる。このため、搬送アーム2を回動させる必要がなく、
図9のd1に示すように、第2の搬送エリア150の幅を狭くすることができる。一方、
図10に示したダブルアーム構成の基板搬送装置Tの場合、対向するチャンバ141間で基板Wの受渡を行う場合には、ダブルアームを搭載した部分の全体を旋回させなければならない。このため、d2に示すように、第2の搬送エリア150の幅が広くなる。
【0092】
(他の実施形態)
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、下記に示す他の実施形態も包含する。また、本発明は、上記実施形態及び下記の他の実施形態を全て又はいずれかを組み合わせた形態も包含する。さらに、これらの実施形態を発明の範囲を逸脱しない範囲で、種々の省略や置き換え、変更を行うことができ、その変形も本発明に含まれる。
【0093】
例えば、上記のように、第2の搬送エリア150の幅方向のスペースを小さくすることができるので、
図11に示すように、第2の搬送エリア150に基板搬送装置1を2列で配置しても、d3に示す幅の拡大を少なくすることができる。この場合には、各列の基板搬送装置1は、隣り合う列のチャンバ141との間での基板Wの受渡を行う。
【0094】
また、直動機構41をリニアモータにより構成してもよい。つまり、駆動源41aをリニアモータとして、直動部41bをリニアモータにより直線移動するスライダとしてもよい。これにより、摺動箇所を低減できるので、塵埃の発生をより一層低減できる。また、搬送アーム2の可動部分についても排気することにより、基板処理装置100内への塵埃の流出を防止してもよい。なお、搬送アーム2は、基板Wを把持、解放して搬送可能な構成であれば、上記の態様には限定されない。アームの数も、単一でも複数でもよい。
【符号の説明】
【0095】
1 基板搬送装置
2 搬送アーム
3 昇降リンク
4 駆動部
21 テーブル
22 上アーム
23 下アーム
24 アームベース
24a 昇降軸
25 駆動アーム
26 連結部
27 把持アーム
27a 可動押え
27b 梁部
27c 固定押え
31 基体
32 支柱
33 上リンク
33a 補助リンク
34 下リンク
35 接続リンク
36 錘
37 排気ポート
38 外筒
38a 通気孔
38b ベアリング
39 内筒
39a 通気孔
41 直動機構
41a 駆動源
41b 直動部
42 変換部
42a 揺動アーム
51b 直動部
100 基板処理装置
110 処理室
115b 移動ベース
120 カセット搭載エリア
121 オープナー
130 第1の搬送エリア
131 バッファユニット
132 搬送ロボット
132a,132b アーム
133 移動機構
140 チャンバ配置エリア
141 チャンバ
141a 開口
141b 載置台
150 第2の搬送エリア
151 移動機構
151a 直線レール
151b 移動ベース
160 付帯エリア
161 液供給装置
162 制御装置