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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-23
(45)【発行日】2024-01-31
(54)【発明の名称】受電業務の補助方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/20 20230101AFI20240124BHJP
   G10L 15/22 20060101ALI20240124BHJP
   G10L 15/10 20060101ALI20240124BHJP
【FI】
G06Q10/20
G10L15/22 453
G10L15/10 500T
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020157522
(22)【出願日】2020-09-18
(65)【公開番号】P2022051182
(43)【公開日】2022-03-31
【審査請求日】2022-07-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000232955
【氏名又は名称】株式会社日立ビルシステム
(74)【代理人】
【識別番号】110002365
【氏名又は名称】弁理士法人サンネクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】井元 涼大郎
(72)【発明者】
【氏名】小川 顕康
(72)【発明者】
【氏名】熊倉 洋一
(72)【発明者】
【氏名】土井 裕介
【審査官】田上 隆一
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-181128(JP,A)
【文献】特開2018-073072(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
G10L 15/22
G10L 15/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
監視対象システムを監視するコンピュータシステムが行う、監視対象システムに関わる受電業務の補助方法であって、
前記コンピュータシステムのコール先インターフェース部が、選択可能に表示された複数の用件のうちコール先話者から用件の選択を受け付け、
前記コンピュータシステムの受信判定部が、前記監視対象システムの状況を表す状況情報を受信しているか否かの受信判定を行い、
前記コンピュータシステムの用件判定部が、前記受信判定の結果が真の場合、前記受信している状況情報から状況種類を特定し、状況種類毎に一つ以上の用件を表す状況管理情報から、特定された状況種類に対応する一つ以上の用件を特定し、特定された一つ以上の用件のうちのいずれかの用件に前記コール先話者により選択された用件が一致する否かの用件判定を行い、
前記コンピュータシステムの前記コール先インターフェース部が、前記受信判定の結果が偽の場合、又は、前記用件判定の結果が真の場合、前記複数の用件に対応しそれぞれ複数の聞き取り要事項を含む複数のトークスクリプトのうち、前記選択された用件に対応したトークスクリプトを選択して前記コール先話者向けに表示する、
受電業務補助方法。
【請求項2】
前記コール先話者の各発話について、
前記コンピュータシステムの音声処理部が、当該発話を音声テキスト化し、
前記コンピュータシステムの事項判定部が、前記選択されたトークスクリプトに含まれているいずれかの聞き取り要事項に前記音声テキスト化された当該発話が該当するか否かの事項判定を行い、
前記コンピュータシステムのステータス更新部が、当該事項判定の結果が真の場合に、該当する聞き取り要事項のステータスを聞き取り済に更新し、
前記コンピュータシステムの終話可否判定部が、前記選択されたトークスクリプトに含まれる全ての聞き取り要事項のステータスが聞き取り済であるか否かの終話可否判定を行い、
前記コンピュータシステムの前記コール先インターフェース部が、前記終話可否判定の結果が偽の場合に、終話のリクエストに対して警告を前記コール先話者向けに表示する、
請求項1に記載の受電業務補助方法。
【請求項3】
前記コンピュータシステムの要約作成部が、コール元話者と前記コール先話者との会話の音声テキストと、当該会話のどの部分がどの聞き取り要事項に対応しているかとを含んだ会話内容の要約である会話要約を生成し、
前記コンピュータシステムの要約出力部が、当該会話要約を表す情報を出力する、
請求項1に記載の受電業務補助方法。
【請求項4】
前記受信判定の結果が偽の場合、
前記コンピュータシステムの前記コール先インターフェース部が、前記選択された用件のトークスクリプトの他に、前記受信している状況情報に関連付いている用件に対応したトークスクリプトを表示する、
請求項1に記載の受電業務補助方法。
【請求項5】
コール元話者の少なくとも一つの発話について、
前記コンピュータシステムの音声処理部が、当該発話を音声テキスト化し、
前記コンピュータシステムの発話判定部が、当該発話のテキストから特定された要素が、前記受信している状況情報から特定される要素と不一致か否かの発話判定を行い、
前記コンピュータシステムの前記コール先インターフェース部が、当該発話判定の結果が偽の場合に、前記コール先話者向けに警告を表示する、
請求項1に記載の受電業務補助方法。
【請求項6】
前記監視対象システムがエレベーターであり、
前記選択されたトークスクリプトに含まれている複数の聞き取り要事項の一つが、乗りかごが位置する階床であり、
前記コール元話者の発話のテキストから特定された要素が、前記選択されたトークスクリプトに含まれている聞き取り要事項に対する回答であって、乗りかごが位置する階床であり、
前記発話判定は、前記コール元話者の発話のテキストから特定された階床と、前記受信している状況情報から特定された階床とが不一致か否かの判定である、
請求項5に記載の受電業務補助方法。
【請求項7】
コール元話者からのコールは、乗りかご内のインターホンからのコールである直話であり、
前記受信判定において参照される状況情報は、それぞれ監視対象システムである複数のエレベーターのうち、乗りかご内のインターホンからのコールから特定されたエレベーターについて受信している状況情報である、
請求項1に記載の受電業務補助方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、受電業務補助の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
受電業務が業務の一つである会社の一例として、エレベーター保守会社が知られている。一般に、エレベーター保守会社では、管制センターが、顧客先に納められたエレベーターに設置された監視端末から公共ネットワークを介いて送信(発報)された故障信号を受信することで、エレベーターの故障の発生を検知する。
【0003】
また、エレベーターの乗りかご内に設置されたインターホンを用いて、利用者が、管制センター内の管制員と会話を行うこと(以下、「直話」と記述することがある)ができるが、管制センターは、閉じ込め発生時などの緊急時に利用者からインターホンを介して直話を受ける。
【0004】
また、管制センターは、顧客や保守員が所持する携帯電話から問合せ、作業連絡又は故障連絡等(以下、「オンコール」と総称することがある)を受け付けており、オンコールに応答して、現場に作業の設定を行ったり、現地への作業員の派遣を行ったりする。以下、便宜上、オンコールを受けて行われる会話を「オンコール会話」と記述する。
【0005】
受電業務の補助に適用し得る技術として、例えば、特許文献1に開示の技術がある。当該技術によれば、システムが、音声をテキスト化してオペレータに表示し、オペレータが、テキストを確認しながら受電業務を行う。また、システムが、テキストから抽出されたキーワードに関連付いている業務群の関連情報を画面に表示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2015-156062号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
管制センターにおける受電業務の課題の一つとして、閉じ込め発生現場の復旧(救出)作業の遅延や故障発生時の長時間不稼働といった不具合の原因に、直話又はオンコール会話での管制員の聞き取り漏れがり得る点がある。
【0008】
この問題を、特許文献1に開示の技術を利用しても、解決することはできない。なぜなら、エレベーター保守会社の管制センターの受電業務においては、管制員は、エレベーターの利用者又は顧客(例えば、エレベーターの設置先ビルのオーナ)との会話の情報のみならず、エレベーターの状況(例えば、故障又は稼働の状況)を迅速に判断し、適切な応対を行わなければならないが、特許文献1に開示の音声テキスト化のみでは、エレベーターの状況を把握できないからである。
【0009】
このような課題は、エレベーター保守会社の管制センターにおける受電業務に限らず、監視対象のシステムに関わる受電業務全般、例えば、空調機器に関わる受電業務についてもあり得る。
【0010】
そこで、本発明の目的は、監視対象のシステム(例えば、エレベーター)に関わる受電業務の品質を向上することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
システムが、選択可能に表示された複数の用件のうちコール先話者から用件の選択を受け付け、監視対象システムの状況を表す状況情報を受信しているか否かの受信判定を行う。受信判定の結果が真の場合、システムが、受信している状況情報に適切な用件にコール先話者により選択された用件が一致する否かの用件判定を行う。用件判定の結果が真の場合、システムが、複数の用件に対応しそれぞれ複数の聞き取り要事項を含む複数のトークスクリプトのうち、上記選択された用件に対応したトークスクリプトを選択してコール先話者向けに表示する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、監視対象のシステム(例えば、エレベーター)に関わる受電業務の品質を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態に係るシステム全体の構成例を示すブロック図である。
図2】プロセッサにより実現される機能を示すブロック図である。
図3】本発明の一実施形態において行われる処理全体の手順を示すフローチャートである。
図4】用件選択受付の一例を示す図である。
図5】トークスクリプト表示の一例を示す図である。
図6】管制員端末のデュアルディスプレイに表示される画面の一例を示す図である。
図7】第1の変形例に係る処理全体の手順を示すフローチャートの一部である。
図8】第2の変形例に係る処理全体の手順を示すフローチャートの一部である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下の説明では、「インターフェース装置」は、一つ以上のインターフェースデバイスでよい。当該一つ以上のインターフェースデバイスは、下記のうちの少なくとも一つでよい。
・一つ以上のI/O(Input/Output)インターフェースデバイス。I/O(Input/Output)インターフェースデバイスは、I/Oデバイスと遠隔の表示用計算機とのうちの少なくとも一つに対するインターフェースデバイスである。表示用計算機に対するI/Oインターフェースデバイスは、通信インターフェースデバイスでよい。少なくとも一つのI/Oデバイスは、ユーザインターフェースデバイス、例えば、キーボード及びポインティングデバイスのような入力デバイスと、表示デバイスのような出力デバイスとのうちのいずれでもよい。
・一つ以上の通信インターフェースデバイス。一つ以上の通信インターフェースデバイスは、一つ以上の同種の通信インターフェースデバイスであってもよいし二つ以上の異種の通信インターフェースデバイスであってもよい。
【0015】
また、以下の説明では、「メモリ」は、一つ以上の記憶デバイスの一例である一つ以上のメモリデバイスであり、典型的には主記憶デバイスでよい。メモリにおける少なくとも一つのメモリデバイスは、揮発性メモリデバイスであってもよいし不揮発性メモリデバイスであってもよい。
【0016】
また、以下の説明では、「永続記憶装置」は、一つ以上の記憶デバイスの一例である一つ以上の永続記憶デバイスでよい。永続記憶デバイスは、典型的には、不揮発性の記憶デバイス(例えば補助記憶デバイス)でよく、具体的には、例えば、HDD(Hard Disk Drive)又はSSD(Solid State Drive)でよい。
【0017】
また、以下の説明では、「記憶装置」は、メモリと永続記憶装置の少なくともメモリでよい。
【0018】
また、以下の説明では、「プロセッサ」は、一つ以上のプロセッサデバイスでよい。少なくとも一つのプロセッサデバイスは、典型的には、CPU(Central Processing Unit)のようなマイクロプロセッサデバイスでよいが、GPU(Graphics Processing Unit)のような他種のプロセッサデバイスでもよい。少なくとも一つのプロセッサデバイスは、処理の一部又は全部を行うハードウェア記述言語によりゲートアレイの集合体である回路(例えばFPGA(Field-Programmable Gate Array)、CPLD(Complex Programmable Logic Device)又はASIC(Application Specific Integrated Circuit))といった広義のプロセッサデバイスでもよい。
【0019】
また、以下の説明では、「yyy部」の表現にて機能を説明することがあるが、機能は、一つ以上のコンピュータプログラムがプロセッサによって実行されることで実現されてもよいし、一つ以上のハードウェア回路(例えばFPGA又はASIC)によって実現されてもよいし、それらの組合せによって実現されてもよい。プログラムがプロセッサによって実行されることで機能が実現される場合、定められた処理が、適宜に記憶装置及び/又はインターフェース装置等を用いながら行われるため、機能はプロセッサの少なくとも一部とされてもよい。機能を主語として説明された処理は、プロセッサあるいはそのプロセッサを有する装置が行う処理としてもよい。プログラムは、プログラムソースからインストールされてもよい。プログラムソースは、例えば、プログラム配布計算機又は計算機が読み取り可能な記録媒体(例えば非一時的な記録媒体)であってもよい。各機能の説明は一例であり、複数の機能が一つの機能にまとめられたり、一つの機能が複数の機能に分割されたりしてもよい。
【0020】
また、以下の説明では、同種の要素を区別しないで説明する場合には、参照符号のうちの共通符号を使用し、同種の要素を区別する場合は、参照符号を使用することがある。
【0021】
まず、本発明の一実施形態を説明する。本実施形態は、監視対象システムとしてエレベーターが採用された実施形態である。
【0022】
図1は、本発明の一実施形態に係るシステム全体の構成例を示すブロック図である。
【0023】
図1において、符号101は、顧客ビルを表す。顧客ビル101は、エレベーターやエスカレーターなどの設備が納入されている建物である。
【0024】
符号51は、エレベーターを表す。エレベーター51は、顧客ビル101に納められている。
【0025】
符号52は、乗りかご内のインターホンを表す。乗りかご内の利用者は、インターホン52の通話ボタンを押下することで、インターホン52を介して管制センター104の管制員と音声通話を行うことができる。
【0026】
符号53は、遠隔監視装置を表す。遠隔監視装置53は、エレベーター51の稼働状況を常時監視している。遠隔監視装置53は、例えばエレベーター51毎に存在する。
【0027】
符号54は、受発信装置を表す。受発信装置54は、インターホン52を利用した音声通話や、遠隔監視装置53で検知した故障を表す故障情報を管制センター104へ送信する。
【0028】
符号102は、公共ネットワークを表す。公共ネットワーク102は、通信ネットワークの一例であり、本実施形態においては、通信事業者が提供している公衆IP(Internet Protocol)ネットワークなどが使用できる。
【0029】
符号103は、顧客(例えばオーナ)の電話端末を表す。電話端末103は、一般的には、スマートフォンや固定電話であり、ネットワーク(電話網)に接続され、音声通話を行うことができる端末を指す。
【0030】
符号104は、エレベーターの遠隔監視を行う管制センターを表す。本実施形態においては、管制センター104は、例えば、公衆IPネットワークなどの公共ネットワーク102を用いて顧客ビル101の監視端末や、保守員が携帯する保守端末(図示せず)と接続されている。
【0031】
符号140は、管制システムを表す。管制システム140は、コンピュータシステムの一例である。管制システム140は、例えば、管制センター104で受信した故障情報の管理を行い、管制センター104内に設置されている管制員端末142への故障通知の制御などを行う。管制システム140は、本実施形態では、インターフェース装置145、記憶装置146及びそれらに接続されたプロセッサ147を有する物理的なコンピュータシステムであるが、それに代えて、そのようなコンピュータシステム(例えば、クラウド基盤)に基づく論理的なコンピュータシステム(例えばクラウドコンピューティングシステム)でもよい。
【0032】
符号161は、故障管理情報161を表す。故障管理情報161は、エレベーター51の故障を表す故障情報が格納された情報であり、例えば、データベース上のテーブルである。
【0033】
符号162は、音声管理情報162を表す。音声管理情報162は、直話又はオンコール会話の録音データを含む。
【0034】
符号163は、音声テキスト管理情報を表す。音声テキスト管理情報163には、音声処理部204により、会話テキスト(直話又はオンコール会話がテキスト化された情報)が格納される。
【0035】
符号164は、要約管理情報を表す。要約管理情報164には、会話要約を表す情報である要約情報が保存される。会話要約は、コール元話者(本実施形態では利用者又は顧客)とコール先話者(本実施形態では管制員)との会話の音声テキストと、当該会話のどの部分がどの聞き取り要事項に対応しているかとを含んだ会話内容の要約である。
【0036】
符号165は、トークスクリプト管理情報を表す。トークスクリプト管理情報165は、例えば図1に示すように、データベース上のテーブルであり、複数の用件に対応した複数のトークスクリプトを表す情報を含む。用件毎に、トークスクリプトは、複数の聞き取り要事項を含む。各聞き取り要事項は、事項名と、事項詳細とを含む。事項詳細は、例えば、当該聞き取り要事項としてのスクリプト(テキスト)を含んでよく、更に、キーワードを含んでよい。
【0037】
符号166は、会話管理情報を表す。会話管理情報166は、例えば図1に示すように、データベース上のテーブルであり、トークスクリプト管理情報165から選択されたトークスクリプトについて、聞き取り要事項毎に、事項名と、事項詳細と、ステータスとを含む。事項名及び事項詳細は、トークスクリプト管理情報165から取得された情報でよく、ステータスは、聞き取り済か否かでよい。
【0038】
符号141は、社内ネットワークを表す。社内ネットワーク141は、通信ネットワークの一例である。社内ネットワーク141には、管制システム140と管制員端末142とが接続されている。
【0039】
符号142は、管制員端末を表す。管制員端末142は、例えば、管制員が業務で使用するPC(Personal Computer)である。符号143は、ヘッドセットを表す。ヘッドセット143は、管制員が会話で使用するオーディオ装置の一例である。
【0040】
管制システム140のインターフェース装置145経由で利用者又は顧客と管制員との間で音声会話が行われてよい。記憶装置146が、プログラムや情報を格納する。情報として、例えば、上述した故障管理情報161、音声管理情報162、音声テキスト管理情報163、要約管理情報164及びトークスクリプト管理情報165がある。記憶装置146におけるプログラムがプロセッサ147により実行されることで、図2に示す機能が実現される。
【0041】
図2は、プロセッサ147により実現される機能を示すブロック図である。
【0042】
記憶装置146に記憶されている一つ以上のコンピュータプログラムがプロセッサ147により実行されることにより図2に示す機能が実現される。
【0043】
符号201は、コール元インターフェース部を表す。コール元インターフェース部201は、コール(本実施形態では、直話又はオンコール)を受け付ける。
【0044】
符号202は、コール先インターフェース部を表す。コール先インターフェース部202は、管制員端末142に管制員向けのユーザインターフェース(例えばGUI(Graphical User Interface))を提供し、管制員向けのユーザインターフェースを介して情報を表示したり入力を受け付けたりする。
【0045】
符号203は、故障管理部を表す。故障管理部203は、遠隔監視装置53で検知された故障を管理する。故障管理部203は、故障情報(エレベーター51の状況を表す状況情報の一例)を遠隔監視装置53から受け付けた場合、当該故障情報を故障管理情報161に格納する。故障情報は、エレベーター51の号機の番号、顧客ビル101のビルコード、及び、エレベーター51の故障を表す情報(例えば、乗りかごの位置の階床、検出された故障の種類及び詳細)を含んでよい。
【0046】
符号204は、音声処理部を表す。音声処理部204は、直話又はオンコール会話での音声を管理したり、会話をテキスト変換したりする。
【0047】
符号205は、受信判定部を表す。受信判定部205は、故障管理情報161を参照し、エレベーター51の故障情報を受信しているか否かの受信判定を行う。
【0048】
符号206は、用件判定部を表す。用件判定部206は、受信している故障情報に適切な用件にコール先話者により選択された用件が一致する否かの用件判定を行う。用件判定部206は、用件判定の結果が真の場合、当該用件に対応するトークスクリプトの情報をトークスクリプト管理情報165から取得し、取得したトークスクリプトの情報と聞き取り事項毎のステータスとを含んだ情報を会話管理情報166に格納する。
【0049】
符号207は、事項判定部を表す。事項判定部207が、トークスクリプトに含まれているいずれかの聞き取り要事項に音声テキスト化された発話が該当するか否かの事項判定を行う。
【0050】
符号208は、ステータス更新部を表す。ステータス更新部208は、当該事項判定の結果が真の場合に、該当する聞き取り要事項のステータス(会話管理情報166におけるステータス)を聞き取り済に更新する。
【0051】
符号209は、終話可否判定部を表す。終話可否判定部209は、会話管理情報166を参照し、トークスクリプトに含まれる全ての聞き取り要事項のステータスが聞き取り済であるか否かの終話可否判定を行う。
【0052】
符号210は、要約作成部を表す。要約作成部210は、会話(直話又はオンコール会話)をテキスト化した内容をベースにした上述の会話内容の要約を表す要約情報を作成する。
【0053】
符号211は、要約出力部を表す。要約出力部211は、当該会話要約を表す要約情報を出力する。ここで言う「出力」は、要約情報を要約管理情報164に保存することでもよいし、要約情報を所定の宛先(例えば、受電業務の承認者)に送信することでもよい。
【0054】
次に、本実施形態で行われる処理全体の流れを、図3のフローチャートを用いて説明する。
【0055】
まず、顧客ビル101に納められたエレベーター51のインターホン52の通話ボタンを利用者が押下することで、受発信装置54により、公共ネットワーク102を介して、管制センター4に直話の発信が行われる。また、顧客の電話端末103からのオンコールも、公共ネットワーク102を介して管制センター4に発信される。ここで、直話又はオンコールがあると、コール元インターフェース部201が、その直話又はオンコールを受け付け、コール先インターフェース部202が、管制員端末142に受電通知画面(例えば、受電ボタンのある通知画面)を表示する。管制員が管制員端末142に対して受電操作(例えば受電ボタン押下)を行うことで、利用者又は顧客と管制員との間の音声通話が確立される。また、管制員の受電操作と同時に、コール先インターフェース部202が、管制員端末142に受電画面を表示する(手順1)。
【0056】
図4に例示するように、受電画面300は、例えばGUI(Graphical User Interface)であり、トークスクリプトエリア301とコール元管理エリア302とを有する。トークスクリプトエリア301は、複数の用件のうちのいずれの用件であるかの選択を受け付けるツール(例えば、複数の用件選択肢に対応した複数のGUIボタン)を有する。コール元管理エリア302は、コール元に関する情報を表示したりコール元に関する情報の入力を受け付けたりする。コール元インターフェース部201が受け付けたコールが直話発信の場合、コール先インターフェース部202が、コール元(例えば、エレベーター51の号機の番号、エレベーター51が設置されている顧客ビル101の情報)を同定し、同定したコール元に関する情報をコール元管理エリア302に表示してよい。コール元インターフェース部201が受け付けたコールがオンコールの場合、コール先インターフェース部202が、コール元の電話番号からコール元を同定してコール元管理エリア302にコール元に関する情報を表示してもよいし、コール元管理エリア302経由でコール元に関する情報の入力を管制員から受け付けてもよい。
【0057】
音声通話が確立した場合、管制員は、まず、用件(例えば、閉じ込め、機器故障、落とし物拾いなど)の聞きとりを行う。コール先インターフェース部202が、管制員から、選択可能な複数の用件のうちのいずれかの用件の選択(例えば、トークスクリプトエリア301に表示された複数の用件選択肢から、対応する用件の選択)を受け付ける(手順2)。
【0058】
上記手順2で、用件の選択が行われたことをトリガーに、受信判定部205は、コール元に関するエレベーター51について発報があるか否かの受信判定を行う(手順3)。「発報」とは、エレベーター51の故障情報のことである。例えば、エレベーター51Aで故障が発生した際には、遠隔監視装置53Aがその故障を検知し、受発信装置54によって、管制センター104に対して故障情報は送信され、その故障情報は、故障管理情報161にて保管される。また、顧客(ビル)名は顧客番号という単位で管理され、顧客番号の下にビルコードという単位で各エレベーター51が管理される。これにより、顧客ビル101に多台数のエレベーター51が納められても、どの遠隔監視装置53から発報が送信されたかや、どのエレベーター51からの直話なのかを特定することができる。なお、コール元インターフェース部201が受け付けたコールがオンコールの場合、顧客と会話する管制員からコール先インターフェース部202へ入力された顧客番号をキーに、受信判定部205が、当該顧客番号に紐づくビルコードを特定し、当該ビルコードを含んだ発報(故障情報)があるか否かを判定してよい。
【0059】
ここで、受信済の発報(例えば、コールを受けた時から一定時間過去の期間内に受信した発報)がある場合、用件判定部206が、管制員によって選択された用件と、受信済の発報に関連付いている用件が一致しているかの用件判定を行う(手順31)。例えば、故障管理情報161が、故障の種類毎に、当該故障種類に対応し得る一つ以上の用件を表す情報を含んでいてよく、用件判定部206が、発報から特定された故障種類に対応し得る一つ以上の用件のいずれかに、管制員により選択された用件が一致するか否かを判定してよい。手順31で一致との判定結果が得られた場合、処理が、手順4に進む。手順31の結果として、例えば、エレベーター51の機器故障に関する発報を受信済にも関わらず、管制員の選択した用件が「問合せ」であった場合、不一致との判定結果が得られる。
【0060】
上記の手順31で不一致との判定結果が得られた場合、コール先インターフェース部202が、管制員端末142の受電画面に、「選択した用件に間違いはないか?」のような確認メッセージを、受信済の発報とともに表示し、選択された用件が正しいか否かの入力を受け付ける(手順32)。選択された用件が正しいことが入力された場合、処理が手順4に進む。選択された用件が間違っていることが入力された場合、処理が手順2に戻る。
【0061】
次に手順3で受信済の発報が無い場合(又は、手順31で一致との判定結果が得られた場合)、コール先インターフェース部202が、トークスクリプトエリア301の表示を、用件選択の表示から、トークスクリプト(例えば、聞き取り要事項とチェックボックスとを含むスクリプト)の表示に変える(手順4)。具体的には、例えば、コール先インターフェース部202が、トークスクリプト管理情報165を参照し、複数のトークスクリプトのうち、上記選択された用件に対応したトークスクリプトを選択し、選択したトークスクリプトをトークスクリプトエリア301に表示する(図5参照)。用件判定部206は、上記選択された用件に対応するトークスクリプトの情報をトークスクリプト管理情報165から取得し、取得したトークスクリプトの情報と聞き取り事項毎のステータスとを含んだ情報を会話管理情報166に格納する。
【0062】
ここで、管制員は、上記手順4で表示されたトークスクリプトに従い、利用者又は顧客と会話を行う。会話は適宜に音声処理部204によりテキスト化されてコール先インターフェース部202により表示される。例えば、図6に例示するように、管制員端末142は、デュアルディスプレイを有してよく、一方のディスプレイに、受電画面(トークスクリプトが表示される画面)が表示され、他方のディスプレイに、会話テキスト画面(テキスト化された会話が表示される画面)が表示される。音声通話の確立時から、音声処理部204が、録音を介してしてよい。会話の録音データは、音声管理情報162に格納される。
【0063】
発話毎に、次の処理が行われる。音声処理部204が、利用者又は顧客、或いは、管制員の発話を検出する(手順5)。音声処理部204が、検出した発話をテキスト化し、音声テキスト管理情報163に格納する(手順6)。コール先インターフェース部202が、発話がテキスト化される都度に、テキスト表示を追加する。事項判定部207が、手順6で得られたテキストに、手順4で選択されたトークスクリプトに含まれているいずれかの聞き取り要事項に該当するか否かの事項判定を行う(手順61)。事項判定の結果が真の場合、ステータス更新部208が、該当する聞き取り要事項のステータス(会話管理情報166におけるステータス)を聞き取り済に更新し、コール先インターフェース部202が、該当する聞き取り要事項に対応したチェックボックスに自動でチェックマークを入れる(つまりステータスの更新を反映する)(手順62)。
【0064】
管制員が正常に聞き取り要事項をすべて聞き出していると、手順5~手順62が繰り返えされ、結果として、手順4で選択されたトークスクリプトに含まれている複数の聞き取り要事項に対応した複数のチェックボックスにチェックマークが増えていく。
【0065】
管制員によって図6に例示の終話ボタン501の押下(終話のリクエストの一例)が無ければ(手順7:NO)、発話の都度に、手順5以降が行われる。
【0066】
管制員によって終話ボタン501が押下されると(手順7:YES)、終話可否判定部209が、手順4で選択されたトークスクリプトに含まれている複数の聞き取り要事項に対応した複数のチェックボックスのすべてにチェックマークがつけられているか否か(すなわち、会話管理情報166を参照し、トークスクリプトに含まれる全ての聞き取り要事項のステータスが聞き取り済であるか否か)の終話可否判定を行う(手順8)。
【0067】
チェックマークの入っていないチェックボックスの事項があった場合、終話可否判定部209が終話処理を一旦保留して、コール先インターフェース部202が警告メッセージを表示する(手順81)。例えば、図6に例示の通り、項目名「人数」に属する事項「お客様、エレベーターは何名お乗りになっていますでしょうか?」に対応したチェックボックスと、項目名「階床」に属する事項「恐れ入ります、何階付近で停止しているかお分かりになりますでしょうか?」に対応したチェックボックスにチェックマークが入っていないため、警告メッセージ504として、それらの事項について確認がされていないが終話がされてよいか否かのメッセージが表示される。当該警告メッセージに応答して終話がリクエストされた場合(手順82:YES)、処理が手順9に進む。当該警告メッセージに応答して終話がキャンセルされた場合(手順82:NO)、処理が手順5に戻る。
【0068】
一方、手順8にてすべてのチェックボックスにチェックマークがある場合(又は、手順82にて、管制員によって警告メッセージ確認後に再度終話ボタンが押下された場合)、終話処理が行われる(手順9)。終話処理は、例えば、音声処理部204により会話の録音データを音声管理情報162に格納すること、及び、音声処理部204により会話のテキストデータを音声テキスト管理情報163に格納すること、を含む。
【0069】
終話処理後、要約作成部210が、手順9で格納したテキストデータを音声テキスト管理情報163から抽出し、抽出したテキストデータの要約を含む会話要約を作成し、要約出力部211が、会話要約を表す情報を要約管理情報164に格納する(手順10)。会話のテキストデータは、当該テキストデータにおけるどのテキスト部分でどの聞き取り要事項のステータスが聞き取り済みになったか(チェックボックスにチェックマークが入ったか)とを表す情報を含んでよく、会話要約の情報も、会話のテキストデータにおけるどのテキスト部分がチェックボックスの事項を聞き取ったと判定されたかを含んでよい。作成された会話要約の情報は、承認者の確認作業の際など、画面上から確認することができる。
【0070】
本実施形態を、例えば下記のように総括できる。なお、下記総括は、変形例を含んでもよい。
【0071】
管制システム140(受電業務補助システムの一例)のコール先インターフェース部202が、選択可能に表示された複数の用件のうち管制員(コール先話者の一例)から用件の選択を受け付ける。受信判定部205が、エレベーター51(監視対象システムの一例)の故障(状況の一例)を表す故障情報(状況情報の一例)を受信しているか否かの受信判定を行う。受信判定の結果が真の場合、用件判定部206が、受信している状況情報に適切な用件(例えば、状況情報から特定される状況種類に対応付けられている一つ以上の用件のうちのいずれかの用件)に管制員者により選択された用件が一致する否かの用件判定を行う。用件判定の結果が真の場合、コール先インターフェース部202が、複数の用件に対応しそれぞれ複数の聞き取り要事項を含む複数のトークスクリプトのうち、管制員により選択された用件に対応したトークスクリプトを選択して管制員向けに表示する。これにより、受電業務において、エレベーター51の状況情報に適切な用件に対応したトークスクリプトが表示され当該トークスクリプトに沿って管制員は聞き取りを行うことができるので、エレベーター51の状況を把握しながら利用者又は顧客(コール元話者の一例)と会話でき、以って、エレベーター51に関わる受電業務の品質を向上することができる。
【0072】
管制員の各発話について、音声処理部204が、当該発話を音声テキスト化し、事項判定部207が、上記選択されたトークスクリプトに含まれているいずれかの聞き取り要事項に当該テキスト化された当該発話に該当するか否かの事項判定を行い、ステータス更新部208が、当該事項判定の結果が真の場合に、該当する聞き取り要事項のステータスを聞き取り済に更新し、コール先インターフェース部202が、該当する聞き取り要事項のチェックボックスにチェックマークを入れてよい。終話可否判定部209が、選択されたトークスクリプトについて全てのチェックボックスにチェックマークが入れられたか否かの終話可否判定を行ってよい。コール先インターフェース部202が、終話可否判定の結果が偽の場合に、終話のリクエストに対して警告を管制員向けに表示してよい。このようにして、選択されたトークスクリプトに含まれる各聞き取り要事項について当該事項のチェックが会話から検出されたら自動でチェック済とされ、チェック済となっていない聞き取り要事項が残っているにも関わらず終話がされそうになったら警告を管制員に出すことができる。これにより、受電業務の品質の一層の向上が期待できる。
【0073】
要約作成部210が、コール元話者と前記コール先話者との会話の音声テキストと、当該会話のどの部分がどの聞き取り要事項に対応しているかとを含んだ会話内容の要約である会話要約を生成し、要約出力部211が、当該会話要約を表す情報を出力してよい。これにより、管制員が行った受電業務の承認者の案件承認(確認)業務を効率化することができる。なお、会話要約の情報の出力は、要約管理情報164への格納に代えて又は加えて、承認者宛に電子メール送信することであってもよいし、承認者向けに会話要約の情報を表す画面を表示することであってもよい。
【0074】
第1の変形例が行われてよい。すなわち、受信判定の結果が偽の場合(手順32:NO)、図7に例示するように、コール先インターフェース部202が、上記選択された用件のトークスクリプトの他に、上記受信している故障情報に適した用件に対応したトークスクリプトを表示してよい(手順601)。例えば、乗りかごのドアの開閉故障を表す発報を受信した場合のオンコール会話において、管制員が顧客から受けた用件が蛍光灯の交換依頼であれば、I/F部151が、手順2で用件「蛍光灯交換依頼」の選択を管制員から受け付け、用件「蛍光灯交換依頼」に対応したトークスクリプトと共に、乗りかごのドアの開閉故障を表す発報に適した用件に対応したトークスクリプトも表示してよい。
【0075】
第2の変形例が行われてよい。すなわち、音声処理部204が、利用者又は顧客の少なくとも一つの発話について、当該発話を手順6で音声テキスト化し、図8に例示するように、発話判定部212(第2の変形例においてプロセッサ147により実現される更なる機能の一例)が、当該発話のテキストから特定された乗りかご位置の階床が、受信している故障情報から特定される乗りかご位置と不一致か否かの発話判定を行い、コール先インターフェース部202が、当該発話判定の結果が偽の場合に、管制員向けに警告を表示してよい。緊急時又はその他の理由により利用者又は顧客が緊張して説明を誤ることが考えられるが、本変形例のように、発話判定部212が、故障情報を基に利用者又は顧客の説明が正しいか否かを判定するので、受電業務の品質の一層の向上が期待できる。なお、直話は、乗りかご内のインターホンからのコールであるが、発話判定(又は他の判定)において参照される故障情報は、複数のエレベーター51のうち、乗りかご内のインターホンからのコールから特定されたエレベーターについて受信している故障情報である。つまり、直話では、参照すべき状況情報を迅速に特定でき、以って、受電業務の品質の一層の向上が期待できる。
【0076】
以上、一実施形態を説明したが、これは本発明の説明のための例示であって、本発明の範囲をこの実施形態にのみ限定する趣旨ではない。本発明は、他の種々の形態でも実行することが可能である。例えば、本発明は、エレベーター51以外の監視対象システムに関わる受電業務の補助にも適用することができる。
【符号の説明】
【0077】
51・・・エレベーター、52・・・インターホン、104・・・管制センター、140・・・管制システム
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