(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-23
(45)【発行日】2024-01-31
(54)【発明の名称】料金収受システム及び料金収受方法
(51)【国際特許分類】
G07B 15/00 20110101AFI20240124BHJP
【FI】
G07B15/00 M
G07B15/00 510
(21)【出願番号】P 2020198359
(22)【出願日】2020-11-30
【審査請求日】2023-02-16
(73)【特許権者】
【識別番号】309036221
【氏名又は名称】三菱重工機械システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】藤原 和久
(72)【発明者】
【氏名】山中 隆幸
(72)【発明者】
【氏名】飯田 敦志
(72)【発明者】
【氏名】山本 哲也
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 大和
【審査官】中村 泰二郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-151529(JP,A)
【文献】特開2008-021255(JP,A)
【文献】特開2011-141589(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07B 11/00-17/04
G08G 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子式料金収受システムが設けられた車線を走行する車両のうち、前記電子式料金収受システムによる第1料金収受処理で通行料金が収受できない非対象車両から通行料金を収受する第2料金収受処理を実行する料金自動収受機と、
前記車線への前記非対象車両の進入を通知する通知部と、
前記通知部から前記非対象車両の進入が通知された場合に、前記料金自動収受機を遠隔から監視する収受員による操作を受け付けて、前記料金自動収受機に前記非対象車両に対する第2料金収受処理の開始を指示する第1監視盤と、
を備え
、
前記通知部は、前記料金自動収受機に設けられたカメラであり、前記料金自動収受機の設置位置に一定時間以上停車した車両を撮影した場合に、前記非対象車両の進入を前記第1監視盤に通知する、
料金収受システム。
【請求項2】
前記通知部は、前記料金自動収受機に設けられ、車両の搭乗者からの操作を受け付ける操作受付部であり、前記操作を受け付けた場合に、前記非対象車両の進入を前記第1監視盤に通知する、
請求項1に記載の料金収受システム。
【請求項3】
前記通知部は、前記第1料金収受処理の監視を行う第2監視盤であり、前記第1料金収受処理が正常に終了しなかった場合に、前記非対象車両の進入を前記第1監視盤に通知する、
請求項1に記載の料金収受システム。
【請求項4】
前記通知部は、前記非対象車両の前記車線からの退出を更に検出し、
前記第1監視盤は、前記通知部から前記非対象車両の退出が通知された場合に、前記収受員による操作を受け付けて、前記料金自動収受機に第2料金収受処理の終了を指示する、
請求項1から
3の何れか一項に記載の料金収受システム。
【請求項5】
電子式料金収受システムが設けられた車線を走行する車両のうち、前記電子式料金収受システムによる第1料金収受処理で通行料金が収受できない非対象車両から通行料金を収受する第2料金収受処理を実行する料金自動収受機と、
前記車線への前記非対象車両の進入を通知する通知部と、
前記通知部から前記非対象車両の進入が通知された場合に、前記料金自動収受機を遠隔から監視する収受員による操作を受け付けて、前記料金自動収受機に前記非対象車両に対する第2料金収受処理の開始を指示する第1監視盤と、
を備え、
前記通知部は、前記非対象車両の前記車線からの退出を更に検出し、
前記第1監視盤は、前記通知部から前記非対象車両の退出が通知された場合に、前記収受員による操作を受け付けて、前記料金自動収受機に第2料金収受処理の終了を指示する、
料金収受システム。
【請求項6】
電子式料金収受システムが設けられた車線を走行する車両のうち、前記電子式料金収受システムによる第1料金収受処理で通行料金が収受できない非対象車両から通行料金を収受する第2料金収受処理を実行する料金自動収受機を用いた料金収受方法であって、
前記車線への前記非対象車両の進入を通知するステップと、
前記非対象車両の進入が通知された場合に、前記料金自動収受機を遠隔から監視する収受員による操作を受け付けて、前記料金自動収受機に前記非対象車両に対する第2料金収受処理の開始を指示するステップと、
を有
し、
前記非対象車両の進入を通知するステップにおいて、前記料金自動収受機に設けられたカメラにより、前記料金自動収受機の設置位置に一定時間以上停車した車両を撮影した場合に、前記非対象車両の進入を通知する、
料金収受方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、料金収受システム及び料金収受方法に関する。
【背景技術】
【0002】
有料道路の料金所には、電子式料金収受システム(ETC:Electronic Toll Collection System(登録商標)、「自動料金収受システム」ともいう。)を利用して、車載器を搭載した車両(以下、「ETC車両」とも記載する。)から通行料金を自動的に収受するためのETC専用車線が設けられている。
【0003】
ETC専用車線には、車載器を搭載していない車両(以下、「非ETC車両」とも記載する。)が誤って進入する場合がある。この場合、料金所の収受員がETC専用車線まで出向いて、非ETC車両から通行料金を収受する必要があった。したがって、ETC専用車線に非ETC車両が進入すると、この非ETC車両の料金収受処理にかかるサービスタイムの長時間化や、収受員の負担が増大する等の問題が生じていた。
【0004】
また、特許文献1には、ETC車両及び非ETC車両の両方から通行料金を収受できるように、無線通信用アンテナ等のETC機器と、収受員が駐在する有人ブースとを両方設置した混在車線を運用する技術が記載されている。しかしながら、料金所の全ての車線に有人ブースを設置して、収受員が常駐させることは、人的コストが非常に大きくなるため現実的ではない。
【0005】
このため、ETC専用車線又は混在車線に、車両の搭乗者から自動的に通行料金を収受する料金自動収受機を設置することが考えられる。料金自動収受機は、車線に車両が進入したことを検出すると、車両の搭乗者による操作を受け付けて、通行料金の算出、及び、搭乗者から通行料金を収受する料金収受処理を実行する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来の料金自動収受機は、非ETC車両の進入及び退出を検出するための路側機器(例えば、料金自動収受機専用の進入側車両検知器及び退出側車両検知器)からの検出信号を、料金収受処理の開始及び終了のトリガ(指示)として使用している。したがって、ETC専用車線又は混在車線に従来の料金自動収受機を導入する場合、ETC専用車線の処理では不要な路側機器も一緒に設置する必要があるので、機器数及び機器コストが非常に大きくなってしまう。
【0008】
本開示は、このような課題に鑑みてなされたものであって、電子式料金収受システムが設けられた車線において、簡易な機器構成で、収受員が車線に出向くことなく通行料金を収受することができる料金収受システム及び料金収受方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の一態様によれば、料金収受システムは、電子式料金収受システムが設けられた車線を走行する車両のうち、前記電子式料金収受システムによる第1料金収受処理で通行料金が収受できない非対象車両から通行料金を収受する第2料金収受処理を実行する料金自動収受機と、前記車線への前記非対象車両の進入を通知する通知部と、前記通知部から前記非対象車両の進入が通知された場合に、前記料金自動収受機を遠隔から監視する収受員による操作を受け付けて、前記料金自動収受機に前記非対象車両に対する第2料金収受処理の開始を指示する第1監視盤と、を備える。
【0010】
本開示の一態様によれば、料金収受方法は、電子式料金収受システムが設けられた車線を走行する車両のうち、前記電子式料金収受システムによる第1料金収受処理で通行料金が収受できない非対象車両から通行料金を収受する第2料金収受処理を実行する料金自動収受機を用いた料金収受方法であって、前記車線への前記非対象車両の進入を通知するステップと、前記非対象車両の進入が通知された場合に、前記料金自動収受機を遠隔から監視する収受員による操作を受け付けて、前記料金自動収受機に前記非対象車両に対する第2料金収受処理の開始を指示するステップと、を有する。
【発明の効果】
【0011】
本開示に係る料金収受システム及び料金収受方法によれば、電子式料金収受システムが設けられた車線において、簡易な機器構成で、収受員が車線に出向くことなく通行料金を収受することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本開示の第1の実施形態に係る料金収受システムの全体構成を示す図である。
【
図2】本開示の第1の実施形態に係る料金収受システムの機能構成を示す図である。
【
図3】本開示の第1の実施形態に係る料金収受システムの処理の一例を示すシーケンス図である。
【
図4】本開示の第2の実施形態に係る料金収受システムの機能構成を示す図である。
【
図5】本開示の第2の実施形態に係る料金収受システムの処理の一例を示すシーケンス図である。
【
図6】本開示の第3の実施形態に係る料金収受システムの全体構成を示す図である。
【
図7】本開示の第3の実施形態に係る料金収受システムの機能構成を示す図である。
【
図8】本開示の第3の実施形態に係る料金収受システムの処理の一例を示すシーケンス図である。
【
図9】本開示の一実施形態に係る料金自動収受機、第1監視盤、及び第2監視盤のハードウェア構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<第1の実施形態>
以下、本開示の第1の実施形態に係る料金収受システム1について、
図1~
図3を参照しながら説明する。
【0014】
(全体構成)
図1は、本開示の第1の実施形態に係る料金収受システムの全体構成を示す図である。
本実施形態に係る料金収受システム1は、例えば、有料道路の料金所(入口料金所又は出口料金所)に設けられ、有料道路と一般道路とを接続する車線Lを走行するETC車両A1及び非ETC車両A2の双方から通行料金を収受する。本実施形態に係る車線Lは、電子式料金収受システム(ETC設備2)が設けられたETC専用車線である。なお、他の実施形態では、車線Lは、ETC車両A1及び非ETC車両A2の両方が走行する混在車線であってもよい。
【0015】
なお、本実施形態では、料金収受システム1が出口料金所に設けられている例について説明する。以下、車線Lの延びる方向(±X方向)を「車線方向」と記載する。また、車線方向の有料道路側(-X側)を「上流側」、一般道路側(+X側)を「下流側」とも記載する。更に、車線Lの幅方向(±Y方向)を「車線幅方向」と記載する。
【0016】
また、
図1には、料金所に一つの車線Lのみが設けられている例が示されているが、これに限られることはない。他の実施形態では、料金所に複数の車線Lが設けられていてもよい。
【0017】
図1に示すように、料金収受システム1は、ETC設備2と、料金自動収受機3と、第1監視盤4と、を備えている。
【0018】
(ETC設備の構成)
ETC設備2は、車載器αを搭載するETC車両A1から無線通信を介して通行料金を自動的に収受する第1料金収受処理を実行するための装置群である。具体的には、ETC設備2は、
図1に示すように、進入側車両検知器21と、路側アンテナ22と、通信用車両検知器23と、車線サーバ24と、発進制御機25と、退出側車両検知器26と、を備えている。
【0019】
進入側車両検知器21は、車線方向の最も上流側(-X側)の進入検出位置X1おいて、車線Lの両側に設けられたアイランドI上に設置され、車線Lへの車両の進入を検出する。進入側車両検知器21は、例えば
図1に示すように透過型の車両検知器であり、車線Lを挟んで対向設置される投光器及び受光器の対を有している。進入側車両検知器21は、投光器から投光された光を受光器が受光したか否かに基づいて、進入検出位置X1における車両の存在の有無を区別可能な検出信号を出力する。進入側車両検知器21は、受光器が光を受光している間は、進入検出位置X1に車両が存在していないことを示す検出信号を出力する。一方、進入側車両検知器21は、受光器が光を受光していない間は、進入検出位置X1に車両が存在することを示す検出信号を出力する。
【0020】
路側アンテナ22は、進入側車両検知器21よりも車線方向の下流側(+X側)の路面上空に設置される。路側アンテナ22は、進入側車両検知器21により、車線Lに車両が進入したことが検出されると、車線L上の所定の通信領域R1に向けて無線通信用の電波を放射する。通信領域R1は、例えば
図1に示すように、進入側車両検知器21から通信用車両検知器23までの範囲に設定される。路側アンテナ22は、無線通信を介して、通信領域R1内に存在するETC車両A1の車載器αと第1料金収受処理を実行するための各種命令及び情報の送受信を行う。
【0021】
通信用車両検知器23は、路側アンテナ22よりも車線方向の下流側(+X側)の通信終了位置X2においてアイランドI上に設置され、車両の通信終了位置X2の通過を検出する。通信用車両検知器23は、進入側車両検知器21と同様の機器構成を有している。通信用車両検知器23により車両が通信終了位置X2を通過したことが検出されると、路側アンテナ22は電波の放射を停止する。
【0022】
車線サーバ24は、ETC車両A1から通行料金を収受する第1料金収受処理を実行する。例えば、車線サーバ24は、路側アンテナ22を介して車載器αからETC車両A1の車種、ETC車両A1が有料道路に進入した位置(入口料金所)及び日時、通行料金の支払い方法(クレジットカード番号等)を含む情報を取得し、これらの情報に基づいてETC車両A1の車種及び走行距離に応じた通行料金の算出、決済等の処理を行う。なお、車線サーバ24は、
図1に示すようにアイランドI上に設置されてもよいし、料金所事務所内に設置されてもよい。
【0023】
発進制御機25は、料金自動収受機3よりも車線方向の下流側(+X側)のアイランドI上に設置される。発進制御機25は、車線サーバ24及び料金自動収受機3の開閉指令に従って開閉バーを上げ下げすることにより、車線Lの開放(車両の通行許可)及び閉塞(車両の通行規制)を行う。車線サーバ24は、第1料金収受処理が完了すると、発進制御機25に開指令を出力して、車両の通行を許可する。また、車線サーバ24は、後述の退出側車両検知器26により車両の車線Lからの退出が検出されると、発進制御機25に閉指令を出力して、後続車両の通行を規制する。同様に、料金自動収受機3は、第2料金収受処理において非ETC車両A2から通行料金を収受すると、発進制御機25に開指令を出力して、車両の通行を許可する。また、料金自動収受機3は、第2料金収受処理の終了指示を受け付けると、発進制御機25に閉指令を出力して、後続車両の通行を規制する。
【0024】
退出側車両検知器26は、車線方向の最も下流側(+X側)の退出検出位置X3においてアイランドI上に設置され、車両の退出検出位置X3の通過(車線Lからの退出)を検出する。退出側車両検知器26は、進入側車両検知器21と同様の機器構成を有している。
【0025】
なお、
図1には、進入側車両検知器21、通信用車両検知器23、及び退出側車両検知器26が透過型の車両検知器である例が示されているが、これに限られることはない。他の実施形態では、これらは反射型の車両検知器であってもよい。
【0026】
また、ETC設備2は、従来のETC専用車線又は混在車線に設置済みの既存の機器を利用してもよい。
【0027】
(料金自動収受機の構成)
料金自動収受機3は、ETC設備2による第1料金収受処理で通行料金を収受できない非対象車両から通行料金を収受する第2料金収受処理を実行する。非対象車両とは、車載器αを搭載していない非ETC車両A2である。また、ETC車両A1は、第1料金収受処理により通行料金を正しく収受できた正常ETC車両A1aと、第1料金収受処理により通行料金の収受ができなかった異常ETC車両A1bとが存在する。したがって、非対象車両には、異常ETC車両A1bが含まれる。ETC車両A1に対する第1料金収受処理が正常終了しないケースとしては、ETC設備2又は車載器αの故障、通信エラー、車載器αに挿入されたクレジットカードの有効期限切れ等の原因が考えられる。なお、本実施形態では、非対象車両が非ETC車両A2である態様を例として説明する。
【0028】
図1に示すように、料金自動収受機3は、車線方向において、通信用車両検知器23よりも下流側(+X側)、且つ発進制御機25よりも上流側(-X側)のアイランドI上に設置される。例えば、料金自動収受機3は、発進制御機25の開閉バーが閉じているときに、発進制御機25の手前(-X側)に停車する車両の運転席の位置と一致するように配置される。
【0029】
図2は、本開示の第1の実施形態に係る料金収受システムの機能構成を示す図である。
図2に示すように、料金自動収受機3は、カメラ31と、操作受付部32と、料金収受処理部33とを有している。また、カメラ31及び操作受付部32は、
図1に示すように、料金自動収受機3の車線L側を向く面(
図1の例では、+Y側の面)に設けられている。
【0030】
カメラ31は、非ETC車両A2の車線Lへの進入、及び車線Lからの退出を検出して、第1監視盤4に通知する通知部として機能する。カメラ31は、料金自動収受機3の設置位置を含む撮影領域R2を撮影し、撮影した映像(画像)に所定の画像処理を施すことにより、撮影領域R2における車両の存在の有無、及び車両の移動の有無を検出する。これにより、カメラ31は、料金自動収受機3の設置位置に停車する非ETC車両A2(車線Lへの進入)の検出、及び、停車していた非ETC車両A2の下流側(+X側)への移動(車線Lからの退出)の検出を行う。なお、カメラ31は、従来の料金自動収受機に設けられている監視カメラを利用したものであってもよい。
【0031】
操作受付部32は、非ETC車両A2の搭乗者による操作、通行料金の支払い等を受け付ける。例えば、操作受付部32は、通行券の挿入を受け付ける通行券挿入口、現金の支払いを受け付ける現金投入口、釣銭の払い出しを行う釣銭返却口、ICカード(クレジットカード等)の挿入を受け付けるカード挿入口等を有している。
【0032】
料金収受処理部33は、第1料金収受処理で通行料金を収受できない非ETC車両A2(第1料金収受処理の非対象車両)から、通行料金を収受する第2料金収受処理を実行する。料金収受処理部33は、第1監視盤4からの指示に従い、第2料金収受処理を開始及び終了する。また、料金収受処理部33は、非ETC車両A2から通行料金を収受すると、発進制御機25に開指令を出力して、車両の通行を許可する。また、料金自動収受機3は、第1監視盤4から第2料金収受処理の終了指示を受け付けると、発進制御機25に閉指令を出力して、後続車両の通行を規制する。
【0033】
(第1監視盤の構成)
第1監視盤4は、料金所事務所等の遠隔地に設置され、インターネット等の通信網を介して料金自動収受機3と接続される。第1監視盤4は、料金所事務所に駐在する収受員が、料金自動収受機3を遠隔から監視するために用いられる。
【0034】
図1及び
図2に示すように、第1監視盤4は、表示装置41と、入力装置42と、指示送信部43とを有している。
【0035】
表示装置41は、料金自動収受機3から受信した各種データを表示する。例えば、表示装置41は、料金自動収受機3から非ETC車両A2の進入を通知された場合に、料金自動収受機3のカメラ31が撮影した映像を表示する。また、表示装置41は、料金自動収受機3が第2料金収受処理において取得、生成した各種情報(通行券から読み取った情報、算出された通行料金等)を表示してもよい。
【0036】
入力装置42は、料金所事務所に駐在する収受員による入力操作を受け付ける。入力装置42は、表示装置41が有するタッチパネルであってもよい。入力装置42は、料金自動収受機3から、車線Lに非ETC車両A2が進入したことが通知されると、収受員による第2料金収受処理の開始及び終了を指示する操作を受け付ける。
【0037】
指示送信部43は、入力装置42を介して入力された第2料金収受処理の開始指示、及び終了指示を、料金自動収受機3に送信する。
【0038】
(料金収受システムの処理フロー)
図3は、本開示の第1の実施形態に係る料金収受システムの処理の一例を示すシーケンス図である。
以下、
図3を参照しながら、本実施形態に係る料金収受システム1の料金収受処理の流れについて説明する。なお、車線LにETC車両A1が進入した場合は、ETC設備2による料金収受処理(第1料金収受処理)が実行されるが、これは既存の処理と同様であるため、説明を省略する。ここでは、車線Lに進入した非ETC車両A2から通行料金を収受する処理の詳細について説明する。
【0039】
車線Lに非ETC車両A2が進入した場合、ETC設備2の車線サーバ24は、当該車両に対する第1料金収受処理が完了しないので、発進制御機25に開指令を出力しない。このため、非ETC車両A2は、発進制御機25の手前、すなわち、料金自動収受機3の設置位置に停車することとなる。そうすると、料金自動収受機3のカメラ31は、このように一定時間(例えば、5秒)以上、料金自動収受機の設置位置から移動しない車両が存在する場合に、非ETC車両A2(第1料金収受処理の非対象車両)が停車していることを検出する(ステップS100)。なお、一定時間は、時間帯、料金所の渋滞の有無等に応じて任意に変更してもよい。
【0040】
カメラ31は、非ETC車両A2が停車していることを検出すると、第1監視盤4に「非ETC車両の進入」を通知する(ステップS101)。
【0041】
第1監視盤4は、料金自動収受機3から「非ETC車両の進入」を通知されると、表示装置41にカメラ31が撮影した映像を表示する(ステップS102)。このとき、第1監視盤4の表示装置41には、「非ETC車両の進入」を収受員に通知するためのメッセージ等が更に表示されてもよい。
【0042】
収受員は、第1監視盤4の表示装置41の映像を参照して、車線Lに非ETC車両A2が進入したことを確認すると、第1監視盤4の入力装置42を操作して、料金自動収受機3に料金収受処理を開始するように指示する。このとき、収受員は、料金自動収受機3に設けられたインターホン(不図示)を通じて、車両の搭乗者と会話し、当該車両が非ETC車両A2であることを確認するようにしてもよい。第1監視盤4の指示送信部43は、入力装置42を介して収受員による操作を受け付けると(ステップS103)、料金自動収受機3に第2料金収受処理の開始指示を送信する(ステップS104)。
【0043】
第1監視盤4から開始指示を受信すると、料金自動収受機3の料金収受処理部33は、非ETC車両A2に対する第2料金収受処理を開始する(ステップS105、S106)。
【0044】
第2料金収受処理(ステップS106)において、料金自動収受機3の操作受付部32は、通行券挿入口のシャッターを開けて、非ETC車両A2の搭乗者による通行券挿入を受け付け可能とする。料金収受処理部33は、挿入された通行券から読み取った情報に基づいて、非ETC車両A2の車種及び走行距離に応じた通行料金を計算する。料金収受処理部33は、非ETC車両A2の搭乗者から、操作受付部32を通じて現金、クレジットカード等による通行料金の支払いを受け付ける。また、料金収受処理部33は、必要に応じて釣銭の払い出し、領収書の発行等を行う。第2料金収受処理の内容は、従来の料金自動収受機による処理と同様である。
【0045】
次に、料金収受処理部33は、非ETC車両A2の搭乗者から通行料金を収受すると、発進制御機25に開指令を出力する(ステップS107)。なお、他の実施形態では、料金自動収受機3(料金収受処理部33)ではなく、第1監視盤4が収受員の操作に応じて発進制御機25に開指令を出力してもよい。この場合、料金収受処理部33は、料金収受完了を示す通知を第1監視盤4に出力する。収受員は、この通知を受けて料金収受完了を確認すると、第1監視盤4を操作して発進制御機25に開指令を送信させる。これにより、料金収受が正しく完了したことを収受員によって確認された上で、車両を通過させることが可能となる。そうすると、発進制御機25は、開閉バーを上げて非ETC車両A2が車線Lから退出することを許可する。
【0046】
また、カメラ31は、停車していた非ETC車両A2が車線方向の下流側(+X側)に移動(発進)したことを検出し、且つ、撮影領域R2内において当該非ETC車両A2の存在が検出されなくなった場合に、非ETC車両A2が車線Lから退出したことを検出する(ステップS108)。なお、非ETC車両A2が発進制御機25を通過した(非ETC車両A2の車尾が発進制御機25よりも下流側に移動した)ことを確実に視認できるように、カメラ31の撮影領域R2は、発進制御機25の設置位置を含むように設定されてもよい。これにより、発進制御機25が開閉バーを閉じるときに、非ETC車両A2に開閉バーが接触してしまうことを抑制することができる。
【0047】
カメラ31は、非ETC車両A2が退出したことを検出すると、第1監視盤4に「非ETC車両の退出」を通知する(ステップS109)。
【0048】
第1監視盤4は、料金自動収受機3から「非ETC車両の退出」を通知されると、表示装置41にカメラ31が撮影した映像を表示する(ステップS110)。このとき、第1監視盤4の表示装置41には、「非ETC車両の退出」を収受員に通知するためのメッセージ等が更に表示されてもよい。
【0049】
収受員は、第1監視盤4の表示装置41の映像を参照して、車線Lから非ETC車両A2が退出したことを確認すると、第1監視盤4の入力装置42を操作して、料金自動収受機3に料金収受処理を終了するように指示する。第1監視盤4の指示送信部43は、入力装置42を介して収受員による操作を受け付けると(ステップS111)、料金自動収受機3に第2料金収受処理の終了指示を送信する(ステップS112)。
【0050】
第1監視盤4から終了指示を受信すると、料金自動収受機3の料金収受処理部33は、非ETC車両A2に対する第2料金収受処理を終了する(ステップS113)。また、料金収受処理部33は、発進制御機25に閉指令を出力し(ステップS114)、後続車両の車線Lからの退出を規制する。また、料金自動収受機3の操作受付部32は、通行券挿入口等のシャッターを閉じて、通行券の挿入等の操作の受け付けを禁止するようにしてもよい。なお、他の実施形態では、料金自動収受機3(料金収受処理部33)ではなく、第1監視盤4が収受員の操作に応じて発進制御機25に閉指令を出力してもよい。
【0051】
料金収受システム1は、車線Lに非ETC車両A2が進入する度に、
図3の処理を実行する。これにより、車線Lに誤って非ETC車両A2が進入してしまったとしても、料金自動収受機3を通じて通行料金を収受することができる。
【0052】
なお、
図3の例では、第1料金収受処理の非対象車両が非ETC車両A2である態様について説明したが、これに限られることはない。例えば、ETC設備2又は車載器αの故障等の原因により、第1料金収受処理による通行料金の収受が正常に行われない場合がある。この場合、車線サーバ24から発進制御機25に開指令が出力されないので、ETC車両A1は発進制御機25の手前に停車することとなる。料金自動収受機3のカメラ31は、このように、何等かの原因により第1料金収受処理が正常終了しなかったETC車両A1を、異常ETC車両A1b(第1料金収受処理の非対象車両)として検出してもよい。このとき、料金自動収受機3は、第2料金収受処理において、通行券に代えてETCカード(車種、入口料金所、有料道路への入場日時等の情報等が記録されたICカード)から必要な情報を取得する。これにより、料金収受システム1は、非ETC車両A2と同様に、異常ETC車両A1bに対する第2料金収受処理を実行することができる。
【0053】
(作用効果)
以上のように、本実施形態に係る料金収受システム1において、通知部は、ETC設備2による第1料金収受処理で通行料金を収受できない非対象車両(非ETC車両A2、異常ETC車両A1b)の車線Lへの進入を検出して、第1監視盤4に通知する。また、第1監視盤4は、収受員の操作を受け付けて、料金自動収受機3に当該非対象車両から通行料金を収受する第2料金収受処理の開始を指示する。
【0054】
このようにすることで、料金収受システム1は、例えば既存のETC専用車線に料金自動収受機3及び通知部を追加するだけの簡易な機器構成で、収受員が車線Lに出向かずに、一方で料金自動収受機3での収受が真に必要かどうかを判断して料金自動収受機を遠隔操作して、誤収受を防ぎつつ通行料金を収受することが可能となる。また、収受員が車線Lに出向いて対処する必要がなくなることにより、非対象車両に対する料金収受処理のサービスタイムの長期化、収受員の負荷増大等を抑制することができる。
【0055】
また、通知部は、料金自動収受機3に設けられたカメラ31であり、料金自動収受機3の設置位置に一定時間以上停車した車両を撮影した場合に、非対象車両の進入を第1監視盤4に通知する。
【0056】
このようにすることで、料金収受システム1は、カメラ31を料金自動収受機3に設ける簡易な構成で、非対象車両の進入を検出することができる。これにより、ETC専用車線の処理では不要な路側機器(進入側車両検知器)を追加する必要がなくなり、料金収受システム1の機器数及び機器コストを低減することができる。
【0057】
更に、収受員は、カメラ31が撮影した映像を視認した上で、料金自動収受機3に対し第2料金収受処理の開始を指示することができる。このため、例えば料金所の渋滞等により、第1料金収受処理を実行済みのETC車両A1が一時的に停車していた場合に、誤って第2料金収受処理を開始してしまうことを抑制することができる。
【0058】
また、通知部であるカメラ31は、非対象車両(非ETC車両A2、異常ETC車両A1b)の車線Lからの退出を検出して、第1監視盤4に通知する。また、第1監視盤4は、収受員の操作を受け付けて、料金自動収受機3に当該非対象車両に対する第2料金収受処理の終了を指示する。
【0059】
このようにすることで、収受員は、車線Lに出向くことなく、遠隔操作で料金自動収受機3の第2料金収受処理を終了させることができる。また、料金収受システム1は、カメラ31を料金自動収受機3に設ける簡易な構成で、非対象車両の退出を検出することができる。これにより、ETC専用車線の処理では不要な路側機器(退出側車両検知器)を追加する必要がなくなり、料金収受システム1の機器数及び機器コストを低減することができる。
【0060】
更に、収受員は、カメラ31が撮影した映像を視認した上で、料金自動収受機3に対し第2料金収受処理の終了を指示することができる。このため、非対象車両が退出する前に料金自動収受機3が第2料金収受処理を終了してしまい、発進制御機25を閉じてしまうといった誤動作を抑制することができる。
【0061】
<第2の実施形態>
次に、本開示の第2の実施形態に係る料金収受システム1について、
図4~
図5を参照しながら説明する。第1の実施形態と共通の構成要素には同一の符号を付して詳細説明を省略する。
【0062】
(料金自動収受機の構成)
図4は、本開示の第2の実施形態に係る料金収受システムの機能構成を示す図である。
図4に示すように、本実施形態に係る料金自動収受機3は、操作受付部32が通知部として機能する点において、第1の実施形態と異なっている。具体的には、操作受付部32は、決済開始ボタン321と、決済終了ボタン322とを有している。
【0063】
決済開始ボタン321は、非ETC車両A2の搭乗者が料金自動収受機3を介して通行料金の支払いを開始するときに押下される。操作受付部32は、搭乗者により決済開始ボタン321が押下されると、「非ETC車両の進入」を第1監視盤4に通知する。なお、決済開始ボタン321は、既存の料金自動収受機に設けられた収受員呼出し用のボタン又はレバーであってもよい。
【0064】
決済終了ボタン322は、非ETC車両A2の搭乗者が料金自動収受機3を介して通行料金の支払いを終了するときに押下される。操作受付部32は、搭乗者により決済終了ボタン322が押下されると、「非ETC車両の退出」を第1監視盤4に通知する。なお、決済終了ボタン322は、決済開始ボタン321と同一のボタン(例えば、収受員呼出し用のボタン又はレバー)であってもよい。この場合、操作受付部32は、1回目の操作時に「非ETC車両の進入」を、2回目の操作時に「非ETC車両の退出」を第1監視盤4に通知する。
【0065】
(料金収受システムの処理フロー)
図5は、本開示の第2の実施形態に係る料金収受システムの処理の一例を示すシーケンス図である。
以下、
図5を参照しながら、本実施形態に係る料金収受システム1の料金収受処理の流れについて説明する。なお、車線LにETC車両A1が進入した場合は、ETC設備2による料金収受処理(第1料金収受処理)が実行されるが、これは既存の処理と同様であるため、説明を省略する。ここでは、車線Lに進入した非ETC車両A2から通行料金を収受する処理の詳細について説明する。
【0066】
車線Lに非ETC車両A2が進入した場合、第1の実施形態と同様に、非ETC車両A2は、料金自動収受機3の設置位置に停車することとなる。このとき、非ETC車両A2の搭乗者は、料金自動収受機3の決済開始ボタン321を押下する(ステップS200)。
【0067】
決済開始ボタン321が押下されると、料金自動収受機3の操作受付部32は、第1監視盤4に「非ETC車両の進入」を通知する(ステップS201)。
【0068】
第1監視盤4は、料金自動収受機3からの通知を受け付けると、表示装置41に「非ETC車両の進入」を収受員に通知するためのメッセージ等を表示する(ステップS202)。また、このとき、表示装置41には、料金自動収受機3のカメラ31が撮影した映像が更に表示されてもよい。
【0069】
収受員は、第1監視盤4の表示装置41を参照して、車線Lに非ETC車両A2が進入したことを確認すると、第1監視盤4の入力装置42を操作して、料金自動収受機3に料金収受処理を開始するように指示する。第1監視盤4の指示送信部43は、入力装置42を介して収受員による操作を受け付けると(ステップS203)、料金自動収受機3に第2料金収受処理の開始指示を送信する(ステップS204)。
【0070】
第1監視盤4から開始指示を受信すると、料金自動収受機3の料金収受処理部33は、非ETC車両A2に対する第2料金収受処理を開始する(ステップS205、S206)。これらの処理は、第1の実施形態(
図3のステップS105~S106)と同様である。
【0071】
次に、搭乗者は、通行料金の支払いを完了すると、料金自動収受機3の決済終了ボタン322を押下する(ステップS207)。決済終了ボタン322が押下されると、料金収受処理部33は、発進制御機25に開指令を出力する(ステップS208)。また、他の実施形態では、第1監視盤4が収受員の操作に応じて発進制御機25に開指令を出力してもよい。そうすると、発進制御機25は、開閉バーを上げて非ETC車両A2が車線Lから退出することを許可する。
【0072】
また、決済終了ボタン322が押下されると、操作受付部32は、第1監視盤4に「非ETC車両の退出」を通知する(ステップS209)。
【0073】
第1監視盤4は、料金自動収受機3からの通知を受け付けると、表示装置41に「非ETC車両の退出」を収受員に通知するためのメッセージ等を表示する(ステップS210)。また、このとき、表示装置41には、料金自動収受機3のカメラ31が撮影した映像が更に表示されてもよい。
【0074】
収受員は、第1監視盤4の表示装置41を参照して、車線Lから非ETC車両A2が退出したことを確認すると、第1監視盤4の入力装置42を操作して、料金自動収受機3に料金収受処理を終了するように指示する。このとき、収受員は、表示装置41に表示された映像に基づいて、非ETC車両A2が発進制御機25よりも下流側(
図1の+X側)に退出したことを確認するようにしてもよい。第1監視盤4の指示送信部43は、入力装置42を介して収受員による操作を受け付けると(ステップS211)、料金自動収受機3に第2料金収受処理の終了指示を送信する(ステップS212)。
【0075】
第1監視盤4から終了指示を受信すると、料金自動収受機3の料金収受処理部33は、非ETC車両A2に対する第2料金収受処理を終了する(ステップS213)。また、料金収受処理部33は、発進制御機25に閉指令を出力し(ステップS214)、後続車両の車線Lからの退出を規制する。また、料金自動収受機3の操作受付部32は、通行券挿入口等のシャッターを閉じて、通行券の挿入等の操作の受け付けを禁止するようにしてもよい。なお、他の実施形態では、第1監視盤4が収受員の操作に応じて発進制御機25に閉指令を出力してもよい。
【0076】
料金収受システム1は、車線Lに非ETC車両A2が進入する度に、
図5の処理を実行する。これにより、車線Lに誤って非ETC車両A2が進入してしまったとしても、料金自動収受機3を通じて通行料金を収受することができる。
【0077】
なお、
図5の例では、第1料金収受処理の非対象車両が非ETC車両A2である態様について説明したが、これに限られることはない。料金収受システム1は、第1の実施形態と同様に、異常ETC車両A1bを第1料金収受処理の非対象車両として検出し、第2料金収受処理を行うようにしてもよい。
【0078】
(作用効果)
以上のように、本実施形態に係る料金収受システム1において、通知部は、料金自動収受機3に設けられた操作受付部32であり、車両の搭乗者からの操作を受け付けた場合に、非対象車両(非ETC車両A2、異常ETC車両A1b)が進入したことを第1監視盤4に通知する。
【0079】
このようにすることで、料金収受システム1は、料金自動収受機3の操作受付部32(決済開始ボタン321及び決済終了ボタン322)を利用して非対象車両の進入を検出することができる。これにより、ETC専用車線の処理では不要な路側機器(進入側車両検知器)を追加する必要がなくなり、料金収受システム1の機器数及び機器コストを低減することができる。
【0080】
また、操作受付部32が有する決済開始ボタン321及び決済終了ボタン322は、既存の料金自動収受機に設けられた収受員呼出し用のボタン又はレバーで代用してもよい。これにより、料金収受システム1の機器コストを更に低減させることができる。
【0081】
<第3の実施形態>
次に、本開示3第2の実施形態に係る料金収受システム1について、
図6~
図8を参照しながら説明する。第1及び第2の実施形態と共通の構成要素には同一の符号を付して詳細説明を省略する。
【0082】
(全体構成)
図6は、本開示の第3の実施形態に係る料金収受システムの全体構成を示す図である。
図6に示すように、本実施形態に係る料金収受システム1は、第2監視盤5を更に備えている。
【0083】
第2監視盤5は、料金所事務所等の遠隔地に設置され、インターネット等の通信網を介してETC設備2の車線サーバ24、及び第1監視盤4と接続される。第2監視盤5は、料金所事務所に駐在する収受員が、ETC設備2を遠隔から監視するために用いられる。なお、第2監視盤5は、
図6の例のように第1監視盤4と同じ場所に設置されてもよいし、異なる場所に設置されてもよい。また、第2監視盤5は、既存のETC設備の監視盤を利用してもよい。
【0084】
(第2監視盤の構成)
図7は、本開示の第3の実施形態に係る料金収受システムの機能構成を示す図である。
図7に示すように、第2監視盤5は、検出処理部51を有している。
【0085】
検出処理部51は、ETC設備2から受信した情報に基づいて、非対象車両(非ETC車両A2、異常ETC車両A1b)の車線Lへの進入、及び車線Lからの退出を検出し、第1監視盤4に通知する通知部として機能する。
【0086】
具体的には、検出処理部51は、ETC設備2の車線サーバ24から第1料金収受処理の処理結果(ETC処理結果)を受信し、第1料金収受処理が正常に終了しなかった場合は、非対象車両が車線Lに進入したことを検出する。
【0087】
また、検出処理部51は、ETC設備2の退出側車両検知器26が車両の退出を検出すると、その検出信号を、車線サーバ24を介して受信する。検出処理部51は、退出側車両検知器26の検出信号に基づいて、非対象車両が車線Lから退出したことを検出する。
【0088】
(料金収受システムの処理フロー)
図8は、本開示の第3の実施形態に係る料金収受システムの処理の一例を示すシーケンス図である。
以下、
図8を参照しながら、本実施形態に係る料金収受システム1の料金収受処理の流れについて説明する。
【0089】
まず、ETC設備2の進入側車両検知器21は、車線Lに車両が進入したことを検出する(ステップS300)。そうすると、車線サーバ24は、路側アンテナ22を介して車両に搭載された車載器αと無線通信を行い、第1料金収受処理を実行する(ステップS301)。第1料金収受処理の具体的な内容は、既存のETCを利用した料金収受処理と同様であるため、説明を省略する。
【0090】
次に、第2監視盤5の検出処理部51は、車線サーバ24からETC処理結果を受信する(ステップS302)。ETC処理結果には、車線サーバ24が車線Lに進入した車両に対して実行した第1料金収受処理の処理結果を示す情報であって、「正常終了」、「異常ETC車両」、又は「非ETC車両」の何れかの情報が含まれる。
【0091】
「正常終了」は、進入側車両検知器21により検出された車両の車載器αとの無線通信が確立し、第1料金収受処理が正常に実行された(通行料金を収受した)ことを示す。すなわち、「正常終了」とは、検出された車両が正常ETC車両A1aであることを示す。
【0092】
「異常ETC車両」は、進入側車両検知器21により検出された車両の車載器αとの無線通信は確立したが、機器の故障、通信エラー等により、第1料金収受処理が正常に実行されなかった(通行料金を収受しなかった)ことを示す。すなわち、「異常ETC車両」とは、検出された車両が異常ETC車両A1bであることを示す。
【0093】
「非ETC車両」は、進入側車両検知器21により検出された車両の車載器αとの無線通信が確立しなかったことを示す。すなわち、「非ETC車両」は、検出された車両が非ETC車両A2であることを示す。
【0094】
次に、検出処理部51は、車線サーバ24から受信したETC処理結果が「正常終了」であるか否かを判断する(ステップS303)。ETC処理結果が「正常終了」であった場合(ステップS303)、検出処理部51は、進入側車両検知器21により検出された車両(正常ETC車両A1a)に対する処理を終了する。このとき、車線サーバ24は、発進制御機25に開指令を出力して正常ETC車両A1aの退出を許可する。また、退出側車両検知器26により正常ETC車両A1aの車線Lからの退出が検出されると、車線サーバ24は、発進制御機25に閉指令を出力して、後続車両の退出を規制する。
【0095】
一方、ETC処理結果が「異常ETC車両」又は「非ETC車両」であった場合、検出処理部51は、第1監視盤4に「異常ETC車両の進入」又は「非ETC車両の進入」を通知する(ステップS304)。なお、以下では、説明を簡略化するため、ETC処理結果が「非ETC車両」であった場合について説明する。ETC処理結果が「異常ETC車両」であった場合も、同様の処理が行われる。
【0096】
第1監視盤4は、第2監視盤5からの通知を受け付けると、表示装置41に「非ETC車両の進入」を収受員に通知するためのメッセージ等を表示する(ステップS305)。また、このとき、表示装置41には、料金自動収受機3のカメラ31が撮影した映像が更に表示されてもよい。
【0097】
収受員は、第1監視盤4の表示装置41を参照して、車線Lに非ETC車両A2が進入したことを確認すると、第1監視盤4の入力装置42を操作して、料金自動収受機3に料金収受処理を開始するように指示する。第1監視盤4の指示送信部43は、入力装置42を介して収受員による操作を受け付けると(ステップS306)、料金自動収受機3に第2料金収受処理の開始指示を送信する(ステップS307)。
【0098】
第1監視盤4から開始指示を受信すると、料金自動収受機3の料金収受処理部33は、非ETC車両A2に対する第2料金収受処理を開始する(ステップS306、S307)。これらの処理は、第1の実施形態(
図3のステップS105~S106)と同様である。
【0099】
次に、料金収受処理部33は、非ETC車両A2の搭乗者から通行料金を収受すると、発進制御機25に開指令を出力する(ステップS310)。なお、他の実施形態では、監視盤4が収受員の操作に応じて発進制御機25に開指令を出力してもよい。そうすると、発進制御機25は、開閉バーを上げて非ETC車両A2が車線Lから退出することを許可する。
【0100】
また、ETC設備2の退出側車両検知器26は、車線Lから車両が退出したことを検出する(ステップS311)。この検出結果は、車線サーバ24を介して第2監視盤5にも出力される。そうすると、第2監視盤5は、「非ETC車両の退出」を第1監視盤4に通知する(ステップS314)。また、車線サーバ24は、発進制御機25に閉指令を出力して(ステップS313)、後続車両の車線Lからの退出を規制する。なお、他の実施形態では、第1監視盤4が収受員の操作に応じて発進制御機25に閉指令を出力してもよい。
【0101】
第1監視盤4は、第2監視盤5からの通知を受け付けると、表示装置41に「非ETC車両の退出」を収受員に通知するためのメッセージ等を表示する(ステップS314)。また、このとき、表示装置41には、料金自動収受機3のカメラ31が撮影した映像が更に表示されてもよい。
【0102】
収受員は、第1監視盤4の表示装置41を参照して、車線Lから非ETC車両A2が退出したことを確認すると、第1監視盤4の入力装置42を操作して、料金自動収受機3に料金収受処理を終了するように指示する。第1監視盤4の指示送信部43は、入力装置42を介して収受員による操作を受け付けると(ステップS315)、料金自動収受機3に第2料金収受処理の終了指示を送信する(ステップS316)。
【0103】
第1監視盤4から終了指示を受信すると、料金自動収受機3の料金収受処理部33は、非ETC車両A2に対する第2料金収受処理を終了する(ステップS317)。このとき、料金自動収受機3の操作受付部32は、通行券挿入口等のシャッターを閉じて、通行券の挿入等の操作の受け付けを禁止するようにしてもよい。
【0104】
料金収受システム1は、車線Lに車両が進入する度に、
図8の処理を実行する。これにより、車線Lに誤って非ETC車両A2が進入してしまった場合、又は、ETC車両A1に対する第1料金収受処理が正常に終了しなかった場合に、これらの車両から料金自動収受機3を通じて通行料金を収受することができる。
【0105】
(作用効果)
以上のように、本実施形態に係る料金収受システム1において、通知部は、ETC設備2による第1料金収受処理の監視を行う第2監視盤5であり、第1料金収受処理が正常終了しなかった場合に、非対象車両(非ETC車両A2、異常ETC車両A1b)が進入したことを第1監視盤4に通知する。
【0106】
このようにすることで、料金収受システム1は、ETC設備2による第1料金収受処理が正常終了したか否かに基づいて、非対象車両の進入を検出することができる。これにより、ETC専用車線の処理では不要な路側機器(進入側車両検知器)を追加する必要がなくなり、料金収受システム1の機器数及び機器コストを低減することができる。
【0107】
<ハードウェア構成>
図9は、本開示の一実施形態に係る料金自動収受機、第1監視盤、及び第2監視盤のハードウェア構成の一例を示す図である。
図9に示すように、コンピュータ900は、プロセッサ901、メインメモリ902、ストレージ903、インタフェース904を備える。
【0108】
上述の各実施形態に係る料金収受システム1を構成する機器(料金自動収受機3、第1監視盤4、及び第2監視盤5)は、それぞれコンピュータ900に実装される。そして、上述した各処理部の動作は、プログラムの形式でストレージ903に記憶されている。プロセッサ901は、プログラムをストレージ903から読み出してメインメモリ902に展開し、当該プログラムに従って上記処理を実行する。また、プロセッサ901は、プログラムに従って、上述した各記憶部に対応する記憶領域をメインメモリ902に確保する。
【0109】
プログラムは、コンピュータ900に発揮させる機能の一部を実現するためのものであってもよい。たとえば、プログラムは、ストレージ903に既に記憶されている他のプログラムとの組み合わせ、または他の装置に実装された他のプログラムとの組み合わせによって機能を発揮させるものであってもよい。なお、他の実施形態においては、コンピュータ900は、上記構成に加えて、または上記構成に代えてPLD(Programmable Logic Device)などのカスタムLSI(Large Scale Integrated Circuit)を備えてもよい。PLDの例としては、PAL(Programmable Array Logic)、GAL(Generic Array Logic)、CPLD(Complex Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array)が挙げられる。この場合、プロセッサ901によって実現される機能の一部または全部が当該集積回路によって実現されてよい。
【0110】
ストレージ903の例としては、磁気ディスク、光磁気ディスク、光ディスク、半導体メモリ等が挙げられる。ストレージ903は、コンピュータ900のバスに直接接続された内部メディアであってもよいし、インタフェース904または通信回線を介してコンピュータ900に接続される外部メディア910であってもよい。また、このプログラムが通信回線によってコンピュータ900に配信される場合、配信を受けたコンピュータ900が当該プログラムをメインメモリ902に展開し、上記処理を実行してもよい。少なくとも1つの実施形態において、ストレージ903は、一時的でない有形の記憶媒体である。
【0111】
また、当該プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、当該プログラムは、前述した機能をストレージ903に既に記憶されている他のプログラムとの組み合わせで実現するもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【0112】
以上、本開示の実施形態について詳細に説明したが、本発明の技術的思想を逸脱しない限り、これらに限定されることはなく、多少の設計変更等も可能である。
【0113】
例えば、上述の第3の実施形態において、第2監視盤5の検出処理部51が退出側車両検知器26の検出結果に基づいて、非対象車両の車線Lからの退出を検出する例について説明したが、これに限られることはない。例えば、ETC設備2が監視カメラを有している場合、第2監視盤5の検出処理部51は、この監視カメラの映像に基づいて、非対象車両の退出を検出するようにしてもよい。また、ETC設備2は、第1料金収受処理の処理結果が車載器αに正しく記録されたか確認するために、発進制御機25よりも車線方向の下流側(
図6の+X側)に、第2路側アンテナを有している場合がある。この場合、第2監視盤5の検出処理部51は、この第2路側アンテナの無線通信結果に基づいて、非対象車両の退出を検出するようにしてもよい。例えば、検出処理部51は、退出側車両検知器26が車両の退出を検出し、且つ、第2路側アンテナの無線通信結果が正常終了ではなかった場合、非対象車両が退出したことを検出する。
【0114】
<付記>
上述の実施形態に記載の料金収受システム及び料金収受方法は、例えば以下のように把握される。
【0115】
本開示の第1の態様によれば、料金収受システム(1)は、電子式料金収受システムが設けられた車線を走行する車両のうち、前記電子式料金収受システムによる第1料金収受処理で通行料金が収受できない非対象車両から通行料金を収受する第2料金収受処理を実行する料金自動収受機(3)と、前記車線への前記非対象車両の進入を通知する通知部(31、32、5)と、前記通知部(31、32、5)から前記非対象車両の進入が通知された場合に、前記料金自動収受機(3)を遠隔から監視する収受員による操作を受け付けて、前記料金自動収受機(3)に前記非対象車両に対する第2料金収受処理の開始を指示する第1監視盤(4)と、を備える。
【0116】
このようにすることで、料金収受システム1は、例えば既存のETC専用車線に料金自動収受機3及び通知部を追加するだけの簡易な機器構成で、収受員が車線Lに出向かずに、一方で料金自動収受機での収受が真に必要かどうかを判断して料金自動収受機を遠隔操作して、誤収受を防ぎつつ通行料金を収受することが可能となる。また、収受員が車線Lに出向いて対処する必要がなくなることにより、非対象車両に対する料金収受処理のサービスタイムの長期化、収受員の負荷増大等を抑制することができる。
【0117】
本開示の第2の態様によれば、第1の態様に係る料金収受システム1において、前記通知部は、前記料金自動収受機(3)に設けられたカメラ(31)であり、前記料金自動収受機(3)の設置位置に一定時間以上停車した車両を撮影した場合に、前記非対象車両の進入を前記第1監視盤(4)に通知する。
【0118】
このようにすることで、料金収受システム1は、カメラ31を料金自動収受機3に設ける簡易な構成で、非対象車両の進入を検出することができる。これにより、ETC専用車線の処理では不要な路側機器(進入側車両検知器)を追加する必要がなくなり、料金収受システム1の機器数及び機器コストを低減することができる。
【0119】
本開示の第3の態様によれば、第1の態様に係る料金収受システム1において、前記通知部は、前記料金自動収受機(3)に設けられ、車両の搭乗者からの操作を受け付ける操作受付部(32)であり、前記操作を受け付けた場合に、前記非対象車両の進入を前記第1監視盤(4)に通知する。
【0120】
このようにすることで、料金収受システム1は、料金自動収受機3の操作受付部32を利用して非対象車両の進入を検出することができる。これにより、ETC専用車線の処理では不要な路側機器(進入側車両検知器)を追加する必要がなくなり、料金収受システム1の機器数及び機器コストを低減することができる。
【0121】
本開示の第4の態様によれば、第1の態様に係る料金収受システム1において、前記通知部は、前記第1料金収受処理の監視を行う第2監視盤(5)であり、前記第1料金収受処理が正常に終了しなかった場合に、前記非対象車両の進入を前記第1監視盤(4)に通知する。
【0122】
このようにすることで、料金収受システム1は、ETC設備2による第1料金収受処理が正常終了したか否かに基づいて、非対象車両の進入を検出することができる。これにより、ETC専用車線の処理では不要な路側機器(進入側車両検知器)を追加する必要がなくなり、料金収受システム1の機器数及び機器コストを低減することができる。
【0123】
本開示の第5の態様によれば、第1から第4の何れか一の態様に係る料金収受システム1において、前記通知部(31、32、5)は、前記非対象車両の前記車線からの退出を更に検出し、前記第1監視盤(4)は、前記通知部(31、32、5)から前記非対象車両の退出が通知された場合に、前記収受員による操作を受け付けて、前記料金自動収受機(3)に第2料金収受処理の終了を指示する。
【0124】
このようにすることで、収受員は、車線Lに出向くことなく、また、確実に第2料金収受処理が完了したことを確認した上で、遠隔操作で料金自動収受機3の第2料金収受処理を終了させることができる。また、料金収受システム1は、通知部を設ける簡易な構成で、非対象車両の退出を検出することができる。これにより、ETC専用車線の処理では不要な路側機器(退出側車両検知器)を追加する必要がなくなり、料金収受システム1の機器数及び機器コストを低減することができる。
【0125】
本開示の第6の態様によれば、料金収受方法は、電子式料金収受システムが設けられた車線を走行する車両のうち、前記電子式料金収受システムによる第1料金収受処理で通行料金が収受できない非対象車両から通行料金を収受する第2料金収受処理を実行する料金自動収受機(3)を用いた料金収受方法であって、前記車線への前記非対象車両の進入を通知するステップと、前記非対象車両の進入が通知された場合に、前記料金自動収受機(3)を遠隔から監視する収受員による操作を受け付けて、前記料金自動収受機(3)に前記非対象車両に対する第2料金収受処理の開始を指示するステップと、を有する。
【符号の説明】
【0126】
1 料金収受システム
2 ETC設備(電子式料金収受システム)
21 進入側車両検知器
22 路側アンテナ
23 通信用車両検知器
24 車線サーバ
25 発進制御機
26 退出側車両検知器
3 料金自動収受機
31 カメラ(通知部)
32 操作受付部(通知部)
33 料金収受処理部
4 第1監視盤
41 表示装置
42 入力装置
43 指示送信部
5 第2監視盤(通知部)
51 検出処理部
900 コンピュータ
901 プロセッサ
L 車線(ETC専用車線、混在車線)