(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-23
(45)【発行日】2024-01-31
(54)【発明の名称】フィルタリングのための装置および方法
(51)【国際特許分類】
A61B 17/34 20060101AFI20240124BHJP
【FI】
A61B17/34
(21)【出願番号】P 2020543901
(86)(22)【出願日】2019-11-21
(86)【国際出願番号】 US2019062636
(87)【国際公開番号】W WO2020106970
(87)【国際公開日】2020-05-28
【審査請求日】2021-05-21
(32)【優先日】2018-11-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520142893
【氏名又は名称】バッファロー フィルター エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】BUFFALO FILTER LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100123652
【氏名又は名称】坂野 博行
(74)【代理人】
【識別番号】100175042
【氏名又は名称】高橋 秀明
(72)【発明者】
【氏名】シュヴェツォフ,キリーロ
(72)【発明者】
【氏名】ペペ,グレゴリー
(72)【発明者】
【氏名】ボナーノ,サマンサ
【審査官】山口 賢一
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0303964(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2008/0082084(US,A1)
【文献】特開2002-204829(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0165842(US,A1)
【文献】特表2018-519921(JP,A)
【文献】国際公開第2017/057065(WO,A1)
【文献】特表2017-502703(JP,A)
【文献】特開2018-126512(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0000459(US,A1)
【文献】特開平06-178780(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/34
A61B 17/94
A61M 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
手術部位に関する体腔の排気のための装置であって、
出口と、遠位端部に入口と、近位端部に排出ポートとを有するトロカールであって、前記入口および前記排出ポートは、管状の中空体により流体接続されており、前記管状の中空体は、前記トロカールの長手方向軸線を通って延在する空洞部を画定し、前記トロカールは、前記空洞部を通過する流れから、手術部位に関する体腔からの
(i)液体をフィルタリングするように機能可能な、前記空洞部内に保持された液体トラップと(ii)粒子状物質をフィルタリングするように機能可能な、前記空洞部内に保持された濾材とを有するフィルタを含む、トロカールと、
前記出口と流体接続され、前記入口、前記空洞部および前記出口を通して体腔からの液体および粒子のうちの少なくとも一方を引き出すように動作可能であり、前記トロカールは、真空を発生させていないときに、前記入口、前記空洞部および前記出口を通る液体および粒子のうち少なくとも一方の流れを受動的に可能にする、真空源と
を有する、排気のための装置。
【請求項2】
前記トロカールおよび前記真空源は、前記入口、前記空洞部および前記排出ポートを通る0mmHg~22mmHg(0hPa~約29hPa)の正圧流量を供給するように機能可能である、請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記フィルタは濾材膜を有する、請求項1記載の装置。
【請求項4】
前記真空源は、100mmHg~600mmHg(約133hPa~約799hPa)の圧力を供給するように動作可能である、請求項1記載の装置。
【請求項5】
前記フィルタは、繊維、ガラスおよび不織布材料のうちの少なくとも1つから成る、請求項1記載の装置。
【請求項6】
前記排出ポートは、第1のポジションでは液体および粒子のうちの少なくとも一方の流れを可能にし、第2のポジションでは液体および粒子のうちの少なくとも一方の流れを妨げるように機能可能である、請求項1記載の装置。
【請求項7】
トロカールアセンブリであって、
遠位端部と近位端部とにより画定された、長手方向軸線を有する中空体であって、前記中空体の前記長手方向軸線を通って延在する空洞部を規定する、中空体と、
出口と、
前記遠位端部に配置された入口と、
前記近位端部に配置され、前記空洞部により前記入口と流体接続されている排出ポートと、
前記空洞部内に配置され、フィルタを保持するように機能可能であり、該フィルタは、
前記空洞部を通過する流れから、手術部位に関する体腔からの(i)液体をフィルタリングするように機能可能な、前記空洞部内に保持された液体トラップと(ii)粒子状物質をフィルタリングするように機能可能な、前記空洞部内に保持された濾材とを有し、前記トロカールアセンブリは、前記出口に流体接続された真空源が真空を発生させていないときに、前記入口、前記空洞部および前記出口を通る、手術部位に関する体腔からの液体および粒子のうち少なくとも一方の流れを受動的に可能にする、フィルタホルダと
を有する、トロカールアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は、概して、排出のための装置および方法に関する。本開示の実施形態は、より詳細には、医療処置中のスモークおよび粒子を排出するための装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
医療処置中、サージカルスモーク、プルームおよび/またはエアロゾルが生成される可能性がある。これは、レーザまたは電気手術エネルギーが細胞に供給されたときに、発生する可能性がある。これが発生すると、熱が生成される。この熱によって細胞内液が気化させられ、それによって細胞内の圧力が高められる可能性がある。この圧力によって、細胞膜の破裂が引き起こされるおそれがある。細胞膜が破裂すると、水蒸気を含む気体を含有するスモークのプルームが、医療処置の場所の大気中に放出される。これと同時に、生成された熱が、細胞内のタンパク質および他の有機物を焦がす可能性がある。これによって、膜が崩壊した細胞と隣り合う細胞において熱による壊死が引き起こされるおそれがある。細胞が焦げることによって、他の有害な汚染物も大気中に放出される可能性がある。かかる汚染物の例には、炭化した細胞片およびガス状炭化水素が含まれる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
これまで述べてきたことに鑑み、本開示の課題は、排出のための方法および装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示の第1の例示的な実施形態によれば、排出のための装置が提供される。この装置は、遠位端部に入口を、近位端部に排出ポートを有するトロカールであって、この入口および排出ポートは、トロカールの長手方向軸線を通って延在する空洞部を画定する管状の中空体により流体接続されており、トロカールは、空洞部を通過する流れから、液体および粒子のうちの少なくとも一方をフィルタリングするように機能可能な、空洞部内に保持されたフィルタを含む、トロカールを含む。この装置はさらに、排出ポートと流体接続され、入口、空洞部および排出ポートを通る液体および粒子のうちの少なくとも一方を引き出すように動作可能である真空源を含む。
【0005】
本開示の第2の例示的な実施形態によれば、提供方法が提供される。この方法は、遠位端部に入口を、近位端部に排出ポートを有するトロカールを提供するステップであって、この入口および排出ポートは、トロカールの長手方向軸線を通って延在する空洞部を画定する管状の中空体により流体接続されており、トロカールは、空洞部を通過する流れから、液体および粒子のうちの少なくとも一方をフィルタリングするように機能可能な、空洞部内に保持されたフィルタを含む、ステップを含む。この方法はさらに、排出ポートと流体接続され、入口、空洞部および排出ポートを通る液体および粒子のうちの少なくとも一方を引き出すように動作可能である真空源を提供するステップを含む。
【0006】
本開示の第3の例示的な実施形態によれば、トロカールアセンブリが提供される。このトロカールアセンブリは、遠位端部と近位端部とにより画定された、長手方向軸線を有する中空体であって、この中空体の長手方向軸線を通って延在する空洞部を規定する、中空体を含む。このトロカールアセンブリはさらに、遠位端部に配置された入口と、近位端部に配置され、空洞部により入口と流体接続されている排出ポートとを含む。しかもこのトロカールアセンブリはさらに、空洞部内に配置され、濾材を保持するように機能可能なフィルタホルダを含む。
【0007】
以下では本開示の実施形態について説明するが、自明のとおり、本開示はここで説明する実施形態に限定されるものではなく、基本原理から逸脱することなく本開示の様々な変更が可能である。よって、本開示の範囲は、添付の特許請求の範囲によってのみ決定されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本開示の例示的な実施形態を実施する際に使用するために適した例示的な装置を示す斜視図である。
【
図2】本開示の例示的な実施形態を実施するための方法および装置による論理流れ図を示す図である。
【
図3】本開示の例示的な実施形態を実施する際に使用するために適した例示的な装置を示す側面図である。
【
図4】本開示の例示的な実施形態を実施する際に使用するために適した例示的な装置を示す拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示の実施形態によれば、手術領域または体腔などの腔部から気体、スモーク、液体および/または粒子を排出するように動作可能な真空源と流体接続されたトロカールアセンブリが提供される。実施形態によって提供されるのは、このトロカールアセンブリは、部分的に体腔内に配置されるように機能可能であり、真空源と接続されると、スモーク、液体および/または粒子を体腔から排出することができる、ということである。実施形態によってさらに提供されるのは、このトロカールアセンブリは、部分的に体腔内に配置されるように機能可能であり、液体、スモーク、気体および/または粒子がこのトロカールアセンブリを通過するのを受動的に可能にするように機能可能である、ということである。トロカールアセンブリの実施形態は、体腔によりもたらされる圧力および外部の真空源によりもたらされる圧力の双方によって、スモーク、液体および/または粒子を排出するように機能可能である。トロカールアセンブリの実施形態は、トロカールアセンブリ内の空洞部を通過する流れから、液体、汚染物、スモークおよび/または粒子をフィルタリングして除去するように機能可能である。実施形態によって提供されるのは、トロカールアセンブリは、0mmHg~20mmHg(0hPa~約26hPa)の正の流量圧力をもたらし、0リットル~12リットル(0m3~0.012m3)の漏れ量を許容するように動作可能である、ということである。真空源の実施形態は、100mmHg~600mmHg(約133hPa~約799hPa)の真空圧力を供給するように動作可能である。
【0010】
図1を参照すると、本開示の実施形態による例示的なトロカールアセンブリ100が示されている。トロカールアセンブリ100は、遠位端部108と近位端部110とにより画定された、空洞部104を規定する中空体102と、長手方向軸線106とを含む。中空体102は、半径方向外面126(
図3に示す)と半径方向内面103とを含む。半径方向内面103によって、空洞部104の最大半径方向外縁が規定される。トロカールアセンブリ100は、トロカールアセンブリ100の遠位端部108に配置された入口112を含む。入口112によって、外部環境から中空体102内の空洞部104への通路が提供される。トロカール100は、トロカールアセンブリ100の近位端部110に配置された排出ポート114も含む。排出ポート114によって、中空体102内の空洞部104から外部環境への通路が提供される。入口112、空洞部104および排出ポート114は、気体、液体および/または粒子が入口112、空洞部104および排出ポート114を通過することができるように、互いに流体接続されている。トロカールアセンブリ100の実施形態は出口115も含む。出口115は、気体、液体および/または粒子が入口112、空洞部104および出口115を通過することができるように、空洞部104および入口112と流体接続されている。
図1および
図3に示されているように、出口115をチューブ117と流体接続させることができる。いくつかの実施形態において、チューブ117は真空源128(
図3に示す)と機能可能に流体接続されており、このようにして真空源128は、入口112、空洞部104、出口115およびチューブ117を介して、液体、気体および/または粒子を推進、吸引および/または排出することができる。自明のとおり、真空源128の実施形態は注入の能力も含む。換言すれば、真空源128は、真空源128に向かう方向または真空源128から離れる方向で、入口112、空洞部104、出口115およびチューブ117を介した気体、液体および/または粒子の流れを引き起こすように動作可能である。
【0011】
トロカールアセンブリ100の中空体102の空洞部104内に、フィルタホルダ116が設けられている。フィルタホルダ116は、空洞部104およびフィルタ118を通過するスモークおよび他の汚染物を含む気体、液体および/または粒子を取り除くまたはフィルタリングにより除去するように機能可能な1つ以上のフィルタ118を保持するように機能可能である。
図4に示されているように、フィルタホルダ116の実施形態は、中空体102の半径方向内面103に沿って配置されたリブ、リップまたはリム132を含む。リブ、リップまたはリム132によって隆起面が提供され、この隆起面は、長手方向軸線106に関して中空体102内の同じポジションで中空体102の半径方向内面103に外接する。この点で実施形態は、フィルタ118およびフィルタホルダ116のすべての部分がそれぞれ遠位端部108から等距離で離間されていることを含む。実施形態は、フィルタ118およびフィルタホルダ116の一部分が、フィルタ118およびフィルタホルダ116の他の部分よりも遠位端部108に近づくように、長手方向軸線106に関して角度を成すフィルタ118およびフィルタホルダ116を含む。この実施形態の場合、フィルタホルダ116は、空洞部104内でフィルタ118が動くのを阻止する物理的障害物を形成する。自明のとおり、フィルタホルダ116の実施形態は、気体、液体および/または粒子の流れが空洞部104およびフィルタ118を通過するときに、フィルタ118が空洞部104内の特定の位置に固定され、それによってフィルタ118の動きが阻止されるように、1つ以上のリブ、リップまたはリムを含む。
【0012】
フィルタ118の実施形態は、相応の受け部または溝部130を含み、これはフィルタホルダ116のリブ、リップまたはリム132と相互作用して、フィルタ118とフィルタホルダ116との間に摩擦嵌めが生じるように機能可能である。自明のとおり、
図4には、トロカールアセンブリ100の部品を説明する目的で、長手方向軸線106に沿って互いに離間されたフィルタ118およびフィルタホルダ116が示されている。しかしながら実際には、受け部130を備えたフィルタ118を、受け部130がリブ132に対応するように、フィルタホルダ116およびリブ132と接触した状態で配置することができる。したがってフィルタ118の実施形態によって提供されるのは、フィルタ118および受け部またはリッジ130が、フィルタ118をフィルタホルダ116内に取り外し可能にかつ固定して配置できる程度には撓むものの、フィルタ118が使用中に動いてしまうほどには撓まないまたは動かないように機能可能である、ということである。換言すれば、実施形態によって以下のことが提供される。すなわちフィルタ118は、フィルタホルダ116内に固定的に配置することができる程度には撓むように機能可能であるものの、入口112から出口115または排出ポート114まで通過するすべての気体、液体および/または粒子を、フィルタ118の周囲ではなく、フィルタ118中を通過させるのに十分な剛性も有する。
【0013】
同様に自明のとおり、実施形態は、フィルタ118がフィルタホルダ116に取り外し可能ではなく固定的に取り付けられることを含む。この実施形態の場合、フィルタ118を、グルーまたは従来技術で公知の他の接着剤を使用することで、フィルタホルダ116および/または半径方向内面103に取り付けることができる。フィルタ118の実施形態は、フィルタ118を通過する気体の流れを可能にするように機能可能であるが、粒子、特定のタイプの気体および/または液体を捕捉するように機能可能な濾材膜を含む。濾材の実施形態は、繊維、ガラスおよび不織布材料を含む。
【0014】
トロカールアセンブリ100は、吸引器および/または注入器から空気を受け取るための入口112を備えた中空体102を含む。この点でトロカールアセンブリ100は、注入器から出口115へと送られた空気、気体および/または液体が、空洞部104を通過し入口112から出て患者の体内または手術部位101内に至るように動作可能である。また、トロカールアセンブリ100は、空気、気体、液体および/または粒子が、患者の体または手術部位101から入口112を通り空洞部104を介して出口115から出るようにも動作可能である。さらにトロカールアセンブリは、空気、気体および/または液体が排出ポート114、空洞部104および入口112を通過できるようにも動作可能である。トロカール100は、内部に一方向ガスケットが配置された器具進入ポート120を含むことができる。トロカール100は、トロカールアセンブリ100の遠位端部108に器具進出ポート122を含む。トロカールアセンブリ100の実施形態は、中空体102の半径方向外面126周囲において入口112に隣接して配置された複数の孔または通路124(
図3に示す)を含む。通路124によって、中空体102の半径方向外面126から空洞部104さらには排出ポート114までの通路が提供される。自明のとおり、本開示の実施形態は、通路124を有しておらず中空体102の長手方向軸線106を通って延在する均一な中実の半径方向外面126を有するトロカールアセンブリ100を含む。
【0015】
実際にはトロカールアセンブリ100は、患者の体内の腔部に至る経路を提供するために、医療処置中、患者に切開を行うことにより挿入される。真空源128からの注入空気は、トロカールアセンブリ100を通過して患者の腔部内に至る。器具を、排出ポート114、空洞部104および器具進出ポート122を介してトロカールアセンブリ100を通過させることもできるものの、自明のとおり実施形態は、気体の注入のみに用いられるトロカールアセンブリ100および/または手術部位からの気体の排出のみに用いられるトロカールアセンブリ100を含む。進入部位を介して実施される手術処置または診断処置のために手術領域を拡げる目的で、真空源128からの注入空気により、患者内の腔部が加圧されたまま維持される。手術器具および/または診断器具を、トロカール100を通して患者の腔部内に導入することができる。トロカール100を通して挿入されたスコープによって、腔部内の領域の撮像を提供することができる。
【0016】
ユーザが患者の腔部内部で手術処置を実施できるようにするために、トロカール100を通して電気手術装置を挿入することができる。サージカルスモークを発生させる電気手術処置の電気メスのケースでは、患者の腔部からサージカルスモークを除去することが望まれる場合がある。
【0017】
トロカールアセンブリ100の空洞部104を通して、患者の腔部からサージカルスモークを取り除くことができる。真空源128がアクティブ状態にされると、真空源128は気体、液体および/または粒子を推進または吸引して、患者内の腔部から入口112、空洞部104、出口115およびチューブ117を通過させることができる。気体、液体および/または粒子の流れが空洞部104を通過するときに、それらはフィルタ118を通過し、その際にフィルタ118は、手術可能なように、特定の気体、液体および/または粒子をフィルタリングして流れから取り除く。別の選択肢として、患者の腔部からの気体の受動的な流れを可能にする目的で、トロカールアセンブリ100の排出ポート114または出口115を開放ポジションに保持することができる。この実施形態において、気体の受動的な流れが発生する理由は、患者内部の気体と周囲大気との間に圧力差が存在し、したがって患者の腔部内からのいっそう高い圧力によって、気体、液体および/または粒子が患者の腔部からトロカールアセンブリ100を通って周囲大気へと流れるからである。
【0018】
トロカールアセンブリ100の出口115が真空源128と接続されている実施形態の場合、真空源128は、液体、スモークおよび/または粒子の流れを推進して、トロカールアセンブリ100の入口112、空洞部104および出口115を通過させる圧力を生じさせるように動作可能である。フィルタ118を、トロカールアセンブリ100の空洞部104内のフィルタホルダ116に持続的に取り付けることができ、または真空源128をアクティブ状態にする前にフィルタホルダ116に取り外し可能に取り付けることができる。かくしてフィルタ118は、汚染物、粒子および/または液体を流れから取り除くように機能可能である。トロカールアセンブリ100が真空源と接続されていない実施形態の場合、トロカールアセンブリ100は、排出ポート114のガスケットが開放ポジションにあるときに、液体および/または粒子の流れを可能にするように機能可能である。この実施形態の場合、トロカールアセンブリ100は、患者の腔部内の内部圧力が予め定められた閾値に達するまで、流れを可能にするように機能可能である。実施形態によれば、排出ポート114を、開放ポジション、閉鎖ポジション、または流れが部分的に妨げられる中間ポジションとなるように、構成することができる。
【0019】
次に、これまで述べてきた教示内容の概要を表す
図2を参照する。ブロック200には、遠位端部に入口を、近位端部に排出ポートを有するトロカールを提供するステップが示されており、この入口および排出ポートは、トロカールの長手方向軸線を通って延在する空洞部を画定する管状の中空体により流体接続されており、トロカールは、空洞部を通過する流れから、液体および粒子のうちの少なくとも一方をフィルタリングするように機能可能な、空洞部内に保持されたフィルタを含み、さらにブロック200には、(b)排出ポートと流体接続された真空源を提供するステップが示されており、この真空源は、入口、空洞部および排出ポートを通して液体および粒子のうちの少なくとも一方を引き出すように動作可能である。次いでブロック202には、トロカールおよび真空源が、入口、空洞部および排出ポートを通る0mmHg~22mmHg(0hPa~約29hPa)の正圧流量を供給するように機能可能である、ということが示されている。
【0020】
ブロック202に続いてブロック204には、フィルタが濾材膜を有する、ということが示されている。ブロック206には、フィルタが、繊維、ガラスおよび不織布材料のうちの少なくとも1つから成る、ということが示されている。次いでブロック208には、真空源が真空を発生させていないときに、トロカールが、入口、空洞部および排出ポートを通る液体および粒子のうちの少なくとも一方の流れを受動的に可能にする、ということが示されている。ブロック210には、フィルタがさらに液体トラップと濾材とを有する、ということが示されている。次いでブロック212には、排出ポートがガスケットを有する、ということが示されており、このガスケットは、第1のポジションでは液体および粒子のうちの少なくとも一方の流れを可能にし、第2のポジションでは液体および粒子のうちの少なくとも一方の流れを妨げるように機能可能である。
【0021】
図2に示した論理図は、1つの方法の工程を説明するためのものであると見なすことができる。この論理図は、ある装置が、器具、トロカールアセンブリ、真空源、あるいはこれらにおける1つ以上の部品であるのか否かにかかわらず、かかる装置の部品が提供されるように構成する特定の手法であると見なすこともできる。
【0022】
ここで理解されたいのは、いずれか1つの実施形態に関連して説明した任意の特徴を、単独でまたは本明細書で説明した他の特徴と組み合わせて使用することができるし、他の任意の実施形態の、または他の任意の実施形態の任意の組み合わせの、1つ以上の特徴と組み合わせて使用することもできる、ということである。さらに、これまで説明しなかった等価物および変更を、添付の特許請求の範囲において定義されている本発明の範囲から逸脱することなく採用することもできる。
【0023】
本開示を、現時点で好ましい1つの実施形態を特に参照しながら詳しく説明してきたが、自明のとおり、本発明の着想および範囲の中で変形および変更を行うことができる。よって、目下開示されている実施形態はあらゆる点で、限定的ではなく例示的なものと見なされる。本発明の範囲は添付の特許請求の範囲によって表されており、これと等価の趣旨および範囲に収まるすべての変更は、特許請求の範囲に包含されることが意図される。