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特許7425747接着剤組成物を改善するための新しい添加剤
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-23
(45)【発行日】2024-01-31
(54)【発明の名称】接着剤組成物を改善するための新しい添加剤
(51)【国際特許分類】
   C09J 103/02 20060101AFI20240124BHJP
   C09J 11/08 20060101ALI20240124BHJP
   C09J 11/04 20060101ALI20240124BHJP
   C09J 11/06 20060101ALI20240124BHJP
   C08F 20/06 20060101ALI20240124BHJP
【FI】
C09J103/02
C09J11/08
C09J11/04
C09J11/06
C08F20/06
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2020559025
(86)(22)【出願日】2019-01-15
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-05-06
(86)【国際出願番号】 EP2019050941
(87)【国際公開番号】W WO2019138135
(87)【国際公開日】2019-07-18
【審査請求日】2022-01-12
(31)【優先権主張番号】18151729.3
(32)【優先日】2018-01-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】520261231
【氏名又は名称】シー-アイピー エス・エー
【氏名又は名称原語表記】C-IP S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100173473
【弁理士】
【氏名又は名称】高井良 克己
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ クーレマンス
(72)【発明者】
【氏名】オリビエ クーレマンス
【審査官】水野 明梨
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-226011(JP,A)
【文献】特開2012-111797(JP,A)
【文献】特開2009-155434(JP,A)
【文献】国際公開第89/007633(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 1/00-201/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
デンプン及びデキストリンから選択される少なくとも1つの接着剤成分を含む接着剤組成物のための、添加剤組成物であって、添加剤組成物は、水性組成物、ドライパウダー混合物又は部品のキットの形態にあり、かつ、添加剤組成物は、架橋カルボマー及びアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属のメタシリケートを含み、カルボマー及びメタシリケートは、メタシリケートに対するカルボマーの重量比が0.50より高く、最大で2.50の添加剤組成物中に存在し、かつ、接着剤組成物がドライパウダー混合物の形態にある場合、メタシリケートは、乾燥粉末混合物中に少なくとも1.70重量%の濃度で存在する、添加剤組成物。
【請求項2】
前記メタシリケートが、2.17:1~3.87:1の範囲でシリカ(SiO)対金属酸化物(MeO)のモル比、ここで、xが1又は2に等しくてもよい、を有する、請求項1に記載の添加剤組成物。
【請求項3】
前記アルカリ金属メタシリケートが、ナトリウムメタシリケート、カリウムメタシリケート及びリチウムメタシリケートからなる群から選択される、請求項1又は2に記載の添加剤組成物。
【請求項4】
前記カルボマーが、不飽和酸に由来する水溶性ポリマーである、請求項1~3のいずれか一項に記載の添加剤組成物。
【請求項5】
前記カルボマーが、粉末、ゲル、及び溶液から選択される形態にある、請求項1~4のいずれか一項に記載の添加剤組成物。
【請求項6】
前記メタシリケートが、粉末、結晶、ゲル、及び溶液から選択される形態にある、請求項1~5のいずれか一項に記載の添加剤組成物。
【請求項7】
前記カルボマー及び前記メタシリケートが、粉末の形態にある、請求項5又は6に記載の添加剤組成物。
【請求項8】
前記メタシリケートが、少なくとも0.01重量%の範囲の濃度で存在する、ドライパウダー混合物を除く前述した形態のいずれか一つにある、請求項1~7のいずれか一項に記載の添加剤組成物。
【請求項9】
ホウ素代替化合物として、ホウ素含有化合物又はジルコニウム及び/又はハフニウム及び/又はアルミニウム含有化合物をさらに含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の添加剤組成物。
【請求項10】
ホウ素含有化合物の水性懸濁液であり、添加剤組成物が、カルボキシメチルセルロース(CMC)、セルロースガム、アラビアゴム及びキサンタンガムからなる群から選択される追加の分散剤をさらに含む、請求項9に記載の添加剤組成物。
【請求項11】
水性組成物、乾燥粉末混合物又はパーツのキットの形態にある接着剤組成物であって、接着剤組成物は、デンプン及びデキストリンから選択される少なくとも1つの接着剤成分を含み、接着剤組成物は、請求項1~10のいずれか一項に記載の添加剤組成物をさらに含む、接着剤組成物。
【請求項12】
接着剤組成物の接着性能を改善するための、請求項1~10のいずれか一項に記載の添加剤組成物の使用。
【請求項13】
前記接着剤組成物が、デンプン及びデキストリンの少なくとも1つを含む、請求項12に記載の使用。
【請求項14】
請求項11に記載の接着剤組成物の、基材との接着結合を形成して、基材と接着剤とを含む物品を製造するための使用。
【請求項15】
請求項11に記載の接着剤組成物を、繊維、布、紙、ボール紙又は波形化ボール紙のシートに適用する工程を含む、物品を製造する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、ボール紙産業において主な用途を有する接着剤組成物を改善するための新しい添加剤に関する。このような接着剤組成物は、接着剤としての天然ポリマー、典型的にはデンプン及び/又はデキストリンに基づくことが多いが、ポリビニルアルコールなどの適切な合成ポリマーを含んでもよい。本発明は、特に、食品との接触に使用するための、食品の一部としてさえ使用するための、接着剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
数十年の間、デンプンベースの接着剤組成物は、波形化ボール紙の製造に使用される主要な接着剤である。
【0003】
デンプン又はアミラムは、ほとんどすべての植物に見出される天然高分子材料である。それは、多数のグルコース単位からなる炭水化物である。それは、すべての緑色植物によって、水不溶性でグルコースよりもはるかにコンパクトな形の多糖ポリマーとしてグルコースを貯蔵するためのエネルギー貯蔵庫として生産される。デンプン分子は、植物内で半結晶性の顆粒状に配置され、各植物種は独自のデンプン顆粒サイズを有する。天然デンプンは、冷水に不溶性の粉末であるが、加熱すると水溶性の形態に転換し得る。
【0004】
多くの植物を乾燥させ、製粉又は粉砕して、デンプン含有粉を得ることができる。これは乾燥したシンプルで安価なプロセスであり、通常のグルテンや繊維などの他の成分と共にデンプンを含む粉につながる。一方、より高純度のデンプンは、通常、湿式でより複雑なプロセスによって生成され、これにより、トウモロコシ(corn)などの天然物が、通常、最初に軟化して、穀粒の個々の成分間の結合を破壊し、これは、浸漬プロセスとも呼ばれ、その後湿式粉砕又は粉砕、洗浄及びスクリーニング又はふるいにかけ、他の構成部品を比較的高純度で分離する。例えば、トウモロコシ加工は、すべての水溶性物質を含むいわゆるスティープウォーターをもたらし、さらに洗浄及び分離すると、副産物として胚芽、繊維、及びグルテンから分離されたデンプンが得られる。細菌、グルテン、繊維は、フィルター、プレス、乾燥機を使用して脱水及び乾燥される。胚芽は通常、トウモロコシ油を回収するためにさらに処理され、残りの繊維は通常、動物の飼料に戻される。
【0005】
工業用及び食品用のデンプンの製造では、通常、洗浄及び分離工程からのデンプンスラリーを遠心分離機で脱水してデンプンの「ケーキ」を生成し、これを加熱空気の流れに分散させ、フラッシュ乾燥して約10%の目的の含水率にする。ゲル化が始まるリスクがあるため、水分の存在下でデンプンが過熱しないように十分な注意を払う必要があり、そのような製品は苛性ソーダに対してもまた望ましくないほど高い感度を示し得る。
【0006】
今日、商業デンプンの主な供給源はトウモロコシ(corn)又はトウモロコシ(maize)、ジャガイモ、タピオカ及び小麦であるが、米、サツマイモ、サゴ、クズウコン及び緑豆も商業的に使用される。
【0007】
デンプンポリマーの化学的メイクアップは、それを優れた接着剤にし、このことは、古くから知られ、使用されてきた特性である。「パール」デンプンとも標識される生の未処理又は非ゼラチン化デンプンは、冷水、すなわち周囲温度以下の水に溶解しない。デンプンは、加熱すると水に可溶性となる。加熱された水中では、顆粒が膨潤して破裂し、半結晶構造が失われ、小さなアミラーゼ分子が顆粒から浸出し始め、水を保持するネットワークを形成し、混合物の粘度を高める。
【0008】
この転換は、糊化と呼ばれる。水中でのデンプンの糊化温度は、糊化点、ゲル化温度、又はゲル化点とも呼ばれ、混合物が増粘し、その結合特性を発現し始める温度である。しばしば単一の温度単位として表されるが、実際には温度範囲であり、デンプンの分子サイズと組成に依存するため、使用される原料に強く依存する。デンプンの糊化温度は、接着剤産業で非常に重要であり、これは、塗布した接着剤が糊化し、過剰な水分が蒸発した後にその接着機能を実行するために必要な温度を設定するためである。
【0009】
しかし、現代の産業用途では、300m/minを超える速度で稼働するボール紙機では、デンプン自体の接着性、すなわち「タック」の発生が遅くなり、水中での粘度も低すぎる。パールスターチの「糊化温度」は、通常77℃以上である。デンプンの糊化温度は、例えば塩基の添加により低下させることができることがわかった。苛性ソーダやソーダ灰などの十分な量の強塩基は、周囲温度以下でデンプンを完全に糊化し、冷水に可溶な形態に変換することさえできる。したがって、工業用デンプンベースの接着剤はかなり強塩基性になる。ゼラチン化温度の低下は、プロセスのエネルギー要件を低減し、処理速度を向上させるという要望によって推進されるニーズである。したがって、従来のデンプン接着剤は、通常、通常はNaOHである大量の遊離塩基を含む。
【0010】
デンプンの主な非食品用途は、紙及びボール紙産業でのそれらの使用であり、年間数百万トンのデンプンを一緒に消費している。今日製造されているボール紙のほぼすべてが、主に未変性の天然デンプンを使用して、デンプンベースの接着剤で接着される。水性及び生のデンプン含有接着剤組成物が紙又は厚紙の表面に塗布され、水が紙又は厚紙の多孔性に移行し、熱と圧力を加えることによってデンプン顆粒を同伴し、これが塩基の存在によって助けられ、膨潤及びゼラチン化し、所望の結合を提供するために必要なネットワークを形成することにより、高速かつ強力な接着剤として機能する。次に、過剰の水、すなわちデンプン粒に吸収されない水は、典型的には蒸発により除去される。
【0011】
パールスターチと水のみを含む接着剤は、苛性ソーダが含まれていても、接着剤を適切に塗布するには粘度が低すぎる。適用される接着剤組成物の粘度を高めるために種々の方法が開発されてきた。
【0012】
従来の方法はスタインホール法であり、個別に「担体」が製造される。この目的のために、典型的には、(一次)デンプンの15~20%が、かなりの量の(一次)水及び苛性ソーダの存在下で加熱され、粘稠な液体又はペーストを形成する。次に、ゼラチン化されたデンプンのこの粘性担体を、追加の、すなわち二次的な量の水で補足された水中に典型的には80~85%の二次量のパールデンプンを懸濁するための基礎として使用して、標的接着剤組成物を形成する。この水性接着剤組成物の粘度は、主に、最終的な接着剤配合物で使用される担体の量及び粘度によって設定される。通常、少量のホウ素化合物、最も頻繁には四ホウ酸二ナトリウム十水和物として化学的に知られている製品であるホウ砂が、主に苛性ソーダを緩衝するために最後に添加される。ホウ砂のアニオン構造は、既にゼラチン化されたデンプンポリマー分子間のさらなる鎖間結合を構築し、それにより接着剤組成物の粘度をさらに増加させる。典型的なスタインホール接着剤のpHは11.5~13の範囲であるが、時には13.1に達し得る。
【0013】
接着剤の粘度は、ボール紙産業で非常に重要なプロセスパラメーターである。粘度が低すぎると、水が媒体に「浸透」する傾向がある。すなわち、接着剤ラインから拡散し、パールスターチが完全に糊化するのに十分な水が残っていないため、完全な結合特性に達しない可能性がある。これは、コルゲーターから外れる乾燥したもろいボードを生成する可能性があり、接着テストに失敗する可能性がある。一方、粘度が高すぎると、媒体への浸透が遅くなり、接着剤の線が太く、接着が厚くなり、接着剤が過剰に消費され、接着剤のパンが溢れる。
【0014】
別の問題は、主にホウ素化合物と組み合わせた糊化デンプンによって提供される接着剤組成物の粘度が安定しないことである。粘度は温度に大きく依存する。したがって、接着剤組成物の厳密な温度制御は、その適用中及び保管中にも必要である。接着剤の在庫は、ダウンタイム後に再加熱する必要がある場合がある。再加熱は慎重に行う必要があるため、時間がかかる。ミキサー、ポンプ、パイプ、エルボー又はバルブ、コルゲーター、及び接着剤在庫タンクへの戻りラインで発生するような剪断は、接着剤の構造を破壊し、及び/又はさらに重要なことに、そのキャリア、そしてこれは接着剤の粘度を不可逆的に低下させる。したがって、剪断力が必然的に適用される場合、この剪断力は慎重に適用及び管理されなければならない。生産ラインは数百メートルの長さになる可能性があるため、接着剤は、それが準備される中央の「接着キッチン」から、数百メートルの距離で、生産ラインのある場所まで、適用されるべき場所でポンプで送られる必要があり得る。これらの移送システムは、多くの場合、接着剤の戻りラインも備える。ポンプは慎重に選択し、適切に設計する必要がある。デンプンベースの接着剤の粘度も、接着剤の生の部分が調理された部分から分離し始め、粘度が低下するため、時間とともに一定ではない。また、デンプンへの遊離苛性アルカリの吸着が遅いため、接着剤が保管されている時間が長いほどゲル温度が上昇する。したがって、接着剤の迅速な回転とダウン期間中の在庫の制限が推奨される。
【0015】
もう一つの問題は「スピニング」と呼ばれる現象である。接着剤が波形又はフルートの上部に塗布され、波形基板がアプリケーターロールから分離すると、接着剤は破れる前に糸を形成する。これらの糸が切れて接着剤が基材に跳ね返ると、通常、その一部が「接着剤ライン」と呼ばれる目的の場所から離れてしまう。このパーツは、目的の接着機能に関与していない。したがって、より多くの接着剤を塗布する必要がある。これにより、プロセスの消費量とエネルギー要件が増加し、望ましくない温度効果のリスクも増加する。追加の接着剤はまた、特に薄い基材の場合、奇形のリスクを高める。
【0016】
国際公開第2011/089053A1号は、従来のスタイン-ホール接着剤に対する改良を開示し、そこでは、架橋ポリアクリル酸ポリマーが、主要デンプンに基づく担体の代わりにカルボマーゲルを形成するために使用された。ホウ砂非含有及び/又は遊離苛性ソーダ非含有であるバリアントについても記載する。カルボマーゲルを導入し、デンプン及び水と混合して、高剪断力で低粘度及び低剪断力で高粘度を示す接着剤を形成し、粘度挙動も経時的にかなり安定であった。接着剤成分としてポリビニルアルコールとデキストリンを使用しても、同様の結果が得られた。
【0017】
ボール紙産業では、デンプンが導入される前は、ナトリウム(メタ)シリケートが接着剤成分として選択されていた。しばしば「ウォーターグラス」と呼ばれる化学物質のグループであるアルカリメタシリケートは、安価で、耐火性、防虫性、リサイクル可能、適用が容易で、保存期間が長く、使用される製品に優れた強度を提供する。しかしながら、アルカリメタシリケートはまた、ボール紙製造におけるそれらの使用の中止を引き起こした多くの欠点を有する。デンプンは、ナトリウムメタシリケート、又は一般に適切なシリケートのグループの置き換えに成功している。これは、主にシリケートの重合反応がかなり遅く、技術が処理速度の高速化に対する要求の高まりに対応できなかったためである。
【0018】
国際公開第93/00220及び米国特許第6,875,299B1号は、接着剤としてケイ酸ナトリウム(「水ガラス」)を使用した、紙ウェブの滑らかで波形のシートを交互に含む積層構造の製造を開示している。
【0019】
接着剤成分として水ガラスを独自に使用した接着剤で作られたボール紙の問題は、数年後に接着剤がもろくなり、すぐに壊れ、その結果、接着剤の結合が失われ、基材の繊維間の接続が失われることである。
【0020】
水ガラスのもう1つの問題は、ボール紙の製造中に接着剤の一部が通常ロールや処理装置の他の部分に付着し、これらがしばしば高温になることである。接着剤の水分が蒸発し、乾燥した残留物が残る。水ガラスの問題は、乾燥時にシリケートが固くて脆いガラスのような残留物を形成することである。この残留物は定期的に除去する必要がある。しかしながら、残留物は、非常に鋭いエッジを有する断片に容易に分解する。これらは、操作及び保守要員にとって重大な安全性及び産業衛生上の危険を表し、機器自体に損傷を与える可能性もある。ボンドのもろさは最終製品にも残り、消費者側で安全性の問題を引き起こすと報告されている。この最後の問題は、その交換の必要性をさらに説得力のあるものにした。
【0021】
デンプンは、この用途で無機シリケート技術に成功した。デンプンは、迅速な結合形成に優れ、強固な堆積物を形成しない性能特性を示す。シリケートは、ボール紙製造における処理速度の増加に対応できなかった。デンプンに対する強塩基及びホウ素化合物の影響、主にそのゲル化性能のおかげで、デンプン技術はまた、処理速度がますます高まる傾向に追随する上ではるかに柔軟であることが証明され、古いシリケートベースの接着剤ソリューションよりもはるかに優れる。
【0022】
デンプンなどの別の接着剤と組み合わせたケイ酸ナトリウムに基づく混合システムも提案された。
【0023】
米国特許第6,228,158号は、変性デンプン及び乾燥アルカリとしてナトリウムメタシリケートを含む、スタインホールタイプのボール紙用接着剤組成物のための乾燥プレブレンド担体デンプンを記載している。ナトリウムメタシリケートは、キャリアブレンドのpHを従来のプロセスの苛性アルカリと同じレベルにする。メタシリケートは、約135°Fまで適度に加熱すると、デンプンの著しいゲル化も引き起こし、苛性アルカリを必要とせずにスタインホール一次担体を調製でき、さらに優れた貯蔵と粘度安定性を示した。米国特許第6,228,158号によれば、このプロセスはまた、コルゲーターで、又はコルゲーティング接着剤が調製されるときに、苛性の必要性を排除することを可能にした。
【0024】
国際公開第98/50478号は、担体部分が修飾トウモロコシデンプンに基づくものであるスタインホール接着剤を開示する。ケイ酸ナトリウムが担体に添加され、より高い固形分を有する接着剤の調製を可能にし、異常に良好な高温安定性を示した。接着剤は、ボックスボードの製造におけるエネルギーコストを削減し、優れた結合強度とエッジクラッシュ強度を示すボール紙を提供すると述べられている。国際公開第98/50478号は、ケイ酸アルカリが、それらが乾燥されることが許容されるあらゆる表面上に、強靭で扱いにくいガラスを堆積させる傾向があることを警告している。この文書は、この問題を克服したとは主張していない。
【0025】
紙及び厚紙の接着剤における水ガラスに関するいくつかの問題は、水ガラスと上記で論じた刊行物に開示されているデンプンなどの別の接着剤成分との組み合わせを使用することによって解決された。しかし、水ガラスとデンプンの組み合わせは、機器の汚れや損傷、及び産業衛生と人員の安全の問題に依然として直面しています。ウォーターグラスはデンプンベースの接着剤の接着結合を強化することができるという認識にもかかわらず、この問題は、この用途でのウォーターガラスの現在の使用量が少ない主な理由と見なされてきた。
【0026】
したがって、ボール紙の製造には、強化された接着結合をもたらすが、メンテナンスの問題も、シリケートの使用に関連する安全及び産業衛生上の危険ももたらさない接着剤組成物の必要性が残っている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0027】
本発明は、上記の問題を未然に防ぐか、又は少なくとも軽減すること、及び/又は一般に改善を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0028】
(発明の要旨)
本発明者らは、驚くべきことに、添付の請求項のいずれかで定義された、添加剤及び接着剤組成物、それらの使用、並びにそれらの製造のための方法及びキットを、上記のニーズを満たすために提供することが可能であることを見出した。
【0029】
一実施形態では、本発明は、接着剤組成物のための添加剤組成物であって、添加剤組成物は、水性組成物、ドライパウダー混合物又は部品のキットの形態にあり、かつ、添加剤組成物は、架橋カルボマー及びアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属のメタシリケートを含み、カルボマー及びメタシリケートは、メタシリケートに対するカルボマーの重量比が0.50より高く、5.00より低い添加剤組成物中に存在し、かつ、メタシリケートは、少なくとも1.70重量%の濃度で乾燥粉末混合物中に存在する、添加剤組成物を提供する。
【0030】
別の実施形態では、本発明は、少なくとも1つのデンプン及び/又は少なくとも1つのデキストリン及び/又は少なくとも1つのポリビニルアルコールを含む接着剤組成物を提供し、組成物はさらにカルボマー及びアルカリ金属シリケート又はアルカリ土類金属シリケート、好ましくはメタシリケートを含む。接着剤組成物は、水性組成物、乾燥粉末混合物、又はパーツのキットの形態であってよい。
【0031】
別の実施形態では、本発明は、水性組成物、乾燥粉末混合物、又はパーツのキットの形態にある接着剤組成物を提供し、接着剤組成物は、デンプン、デキストリン及びポリビニルアルコールから選択される少なくとも1つの接着剤成分を含み、組成物は、本発明による添加剤組成物のある量をさらに含む。
【0032】
一実施形態では、本発明は、本発明による添加剤組成物又は接着剤組成物を調製する方法を提供し、この方法は、カルボマーとメタシリケートを混合する工程を含む。
【0033】
一実施形態では、本発明は、接着剤組成物の接着性能を改善するための本発明による添加剤組成物の使用を提供する。
【0034】
一実施形態では、本発明は、本発明による接着剤組成物を調製する方法を提供し、この方法は、カルボマーとメタシリケートを混合する工程を含む。
【0035】
一実施形態では、本発明は、基材との接着剤結合を形成して、基材と接着剤結合とを含む物品を製造するための、本発明による接着剤組成物の使用を提供する。
【0036】
一実施形態では、本発明は、本発明による接着剤組成物を繊維、布、紙、ボール紙、又はボール紙のシートに塗布する工程を含む、物品を製造する方法を提供する。
【0037】
出願人らは、驚くべきことに、カルボマーが重合したシリケートの三次元構造の形成を損なうこと、さらには防ぐように見えることさえ見出した。この理論に拘束されるつもりはないが、出願人は、この効果は一方ではシリケートの極性基とカルボマー中のカルボン酸及び/又はエステル基の極性との間の相互作用によって引き起こされると考えている。
【0038】
驚くべきことに、出願人はさらに、デンプン、デキストリン及びポリビニルアルコールから選択される接着剤化合物に基づく接着剤組成物によって形成される接着剤結合におけるシリケートの性能改善にカルボマーが影響を与えないようであることを見出した。
【0039】
したがって、本出願人は、接着剤中のカルボマーの存在がシリケートの添加を可能にし、したがって、シリケートに関連する欠点、すなわち長期間にわたる接着剤結合の脆弱性を被ることなく、改善された接着剤結合を享受できることを見出した。処理装置上に形成される残留物、特にこれは基材としての紙及び/又は厚紙との接着結合の形成を伴う。
【0040】
本発明者らはさらに、シリケートの使用、したがって本発明による添加剤組成物の使用が、接着剤組成物がそれらの「タック」、多孔質基材への浸透、通常は紙、及びそれらの保水性に関して改善されるという利点をもたらすことを見出した。本発明者らは、これらの利点が特に顕著であり、ホウ素化合物なしで及び/又は遊離苛性ソーダなしで配合された接着剤組成物で顕著であることを見出した。
【0041】
出願人らはさらに、シリケートの使用、したがって本発明による添加剤組成物の使用はまた、接着剤組成物の表面張力を低下させ、これにより接着される基材への接着剤組成物の浸透が改善されるという利点をもたらすことを見出した。これは、より高い処理速度を使用できるという利点をもたらし、最終的な接着結合はより強力であり得るがより少ない接着剤化合物しか必要としないかもしれないという利点をもたらす。
【0042】
出願人は、本発明による添加剤組成物および/または接着剤組成物中に存在するカルボマーが、低濃度であっても、粘度を構築するための強力な一因であり、デンプン及び/又はデキストリンのゲル化点を低下させるための強力な一因であることも見出した。組成物は、ホウ素化合物の追加の架橋効果を必要とせずに、及び/又は少量の糊化デンプン及び/又はデキストリンを必要とせず、苛性ソーダの必要性が少ないため、波形プロセスに容易に適する。ゲル化点の低下のため、高pHを必要としない。これは、例えば、従来のスタインホール接着剤またはその既知の変形の1つなどの、構築粘度のためだけにデンプンのかなりの部分を糊化する必要性を低減し、おそらく回避する。したがって、接着剤に存在するデンプン及び/又はデキストリンのすべてではないにしても、結合機能に参加するために利用可能なままであり、したがって、組成物はデンプンのより効果的な使用を表す。それはまた、苛性ソーダの必要性を減らし、実質的にホウ素を含まない接着剤組成物を有する可能性を開く。
【0043】
出願人は、本発明による添加剤組成物及び/又は接着剤組成物中に存在するカルボマーが、低濃度であっても、粘度を構築するための強力な一因であり、デンプン及び/又はデキストリンのゲル化点を低下させる上でも強力な一因であることを見出した。したがって、組成物は、ホウ素化合物の追加の架橋効果を必要とせずに、及び/又はより少量の糊化デンプン及び/又はデキストリンを必要とせず、苛性ソーダをあまり必要とせずに、波形形成プロセスに容易に適する。ゲル化点の低下のため、高pHを必要としない。これは、例えば、従来のスタインホール接着剤又はその既知の変形の1つなどの、粘度を構築するためだけにデンプンのかなりの部分を糊化する必要性を減らし、おそらく回避する。したがって、接着剤中に存在するデンプン及び/又はデキストリンのすべてではないにしても、結合機能に関与するために利用可能なままであり、したがって、組成物はデンプンのより効果的な使用を表す。それはまた、苛性ソーダの必要性を減らし、実質的にホウ素を非含有である接着剤組成物を有する可能性を開く。
【0044】
ポリビニルアルコールベースの接着剤と組み合わせて、出願人は、カルボマー、したがって本発明による添加剤組成物も、接着剤組成物の粘着性及び/又はスピンを改善する効果を提供すること、及びその使用がしたがって、ホウ素成分の量は少なくなり、望ましくなくなり、任意で省くことができる。したがって、本発明は、紡糸の問題が少なく、おそらくホウ砂などのホウ素含有化合物がない可能性があるポリビニルアルコールを含有する接着剤組成物も提供する。
【0045】
出願人らはさらに、デンプンおよびポリビニルアルコールの両方が本発明による接着剤組成物中に存在する場合、組成物の生物学的分解が改善されることを見出した。
【0046】
出願人は、カルボマー、したがって本発明による添加剤組成物も、組成物中の任意のデキストリン接着剤成分にホウ素と同じ効果をもたらし、したがって接着剤組成物中のホウ素濃度を、組成物がホウ素を含まなくてもよい点まで低減できることを見出した。同時に、接着剤組成物中の苛性ソーダなどの強塩基の量を、おそらくカルボマーの存在により、もはや遊離強塩基がほとんど又はまったく必要とされなくなるところまで、低減させることができる。
【0047】
さらなる利点は、本発明による接着剤組成物の粘度は、カルボマーの濃度を設定することによって容易に予測可能であり、したがって、該当する場合には、本発明による添加剤組成物についても予測可能であることである。粘度はまた、本発明による添加剤組成物のより多くのカルボマー及び/又はより多くを添加することにより上方に、そしてより多くの水を添加することにより下方に、容易に調整及び修正可能である。これにより、1つの接着剤準備工程で、ボール紙プロセスのシングルフェーサーとダブルバッカーなど、異なる物理特性を持つ接着剤を必要とするさまざまな下流ユーザーに供給する必要がある場合、大幅な簡素化が実現する。
【0048】
本発明による接着剤組成物の粘度はまた、経時的により安定であり、接着剤組成物が剪断及び/又は微生物攻撃に曝されても分解が少ない。さらに、本発明による接着剤組成物は、非ニュートンレオロジー挙動を示し、これは塗布プロセスで非常に望ましいため、アプリケーターロールと塗布プロセスにおけるドクターロールの間などの高剪断下で低粘度及び波形基材がアプリケーターロールから分離するときなどの低剪断下での高粘度の利点をもたらす。出願人は、「スピニング」現象及び「ウィッキング」現象を完全に回避できることを見出した。これは、接着剤のより効果的な使用が可能であるという利点をもたらし、機械的及び加熱エネルギーの観点からプロセスのエネルギー必要量が減少し、またより薄い基板を処理し、より高い処理速度でプロセスを操作する可能性をもたらす。
【発明を実施するための形態】
【0049】
(詳細な説明)
本発明は、特定の実施形態において、特定の図面を可能な限り参照して以下に説明されるが、本発明はそれに限定されず、特許請求の範囲によってのみ限定される。説明されている図面はすべて概略図であり、非限定的です。図面では、いくつかの要素のサイズは誇張されている場合があり、例示の目的で縮尺どおりに描かれていない場合がある。図面の寸法及び相対的な寸法は、本発明の実施に対する実際の縮小に必ずしも対応しない。
【0050】
さらに、説明及び特許請求の範囲における第1、第2、第3などの用語は、類似の要素を区別するために使用され、必ずしも連続的又は時間的順序を説明するためではない。これらの用語は適切な状況下で交換可能であり、本発明の実施形態は、本明細書で説明及び/又は例示されたもの以外の順序で動作することができる。
【0051】
さらに、説明及び特許請求の範囲における上、下、上、下などの用語は、説明の目的で使用されており、必ずしも相対的な位置を説明するものではない。そのように使用される用語は、適切な状況下で交換可能であり、本明細書で説明される本発明の実施形態は、本明細書で説明又は図示される以外の向きで動作してもよい。
【0052】
請求項で使用される用語「含む(comprising)」は、それに関連してリストされている要素に限定されると見なされるべきではない。他の要素や手順があることを排除するものではない。必要に応じて、これらの機能、整数、工程、又はコンポーネントの存在と見なす必要があるが、1つ以上の他の機能、整数、工程、コンポーネント、又はそれらのグループの存在又は追加を排除するものではない。したがって、「手段A及びBを含む物品」の量は、エージェントA及びBのみで構成されるオブジェクトに限定されない場合があります。これは、A及びBが、本発明。これに従って、用語「含む(comprise)」又は「埋め込まれる(embed)」は、「から本質的になる(consisting essentially of)」及び「からなる(consist of)」というより限定的な用語も包含する。したがって、「含む(comprise)」又は「含む(include)」を「からなる(consist of)」で置き換えることにより、これらの用語は、本発明に関するこの文書の内容の一部としても提供される、好ましいが狭められた実施形態の基礎を表す。
【0053】
特に明記しない限り、本明細書で提供されるすべての値には、与えられたエンドポイントまでが含まれ、組成物の構成成分又は成分の値は、組成物中の各成分の重量パーセント又は重量%で表される。
【0054】
さらに、本明細書で使用される各化合物は、その化学式、化学名、略語などに関して互換的に論じられる場合がある。
【0055】
また、ポリビニルアルコールは、場合によりデンプン及び/又はデキストリンなどの他の接着剤成分と組み合わせて、接着剤組成物中の接着剤成分として使用される。
【0056】
別のタイプの接着剤は、デキストリンを接着剤成分の1つとして、又は唯一の接着剤成分として使用する。デキストリンは、デンプンの加水分解により得られる低分子量炭水化物のグループである。デキストリンは、熱分解と呼ばれるプロセスで乾燥又は酸変性デンプンを加熱することにより形成される多糖類である。それらは、天然又は加工デンプンよりも高い固形分レベルで使用でき、未加工デンプンから作られたペーストよりも強い結合、より高い粘着性、及びより速い乾燥特性を生み出す。デキストリンペーストは優れた機械加工性を提供し、食品と接触する接着剤やコーティングにも使用できる。
【0057】
デンプンベースの接着剤であるデキストリン接着剤は、ホウ砂(四ホウ酸ナトリウムの略)などのホウ素化合物を配合して、適度な濃度と高い経年劣化特性を持つ粘度で高い粘着性を得る。また、接着性と機械加工性にも優れる。ホウ砂は通常、乾燥デンプン又はデキストリンを基準にして最大10%の量で添加される。水酸化ナトリウムを添加して、ホウ砂をより活性なメタホウ酸ナトリウムに変換する。用途としては、ケースのシーリング、カートンのシーリング、バッグの継ぎ目、チューブの巻き取り、ラミネートが挙げられる。
【0058】
接着剤成分として少なくとも1つのポリビニルアルコールを含む接着剤組成物において、上記で説明されるように、組成物の、タック及び/又はいわゆるスピン又はスピニング挙動及び関連する問題を改善するために、ホウ砂などのホウ素成分がしばしば組成物に添加される。
【0059】
出願人らは、接着剤成分としてポリビニルアルコール(PVA)及び/又はデキストリンを選択することにより、いわゆる「コールド」接着剤を調製することが可能になることを見出した。出願人はさらに、そのような「コールド」接着剤の性能もメタシリケートの添加、したがって本発明による添加剤組成物の添加から利益を得る可能性があることを見出した。
【0060】
本発明の一実施形態では、本発明による添加剤組成物の使用は、デキストリン及び/又はポリビニルアルコールを含むコールド接着剤組成物、好ましくは段ボールの製造に使用されるコールド接着剤組成物の接着性能を改善するためのものである。
【0061】
一実施形態では、本発明による接着剤組成物は、接着剤成分としてデキストリンを含み、デキストリンベースであってもよい。デキストリンは水溶性が向上するという利点をもたらし、非常に粘着性のある速乾性の高固形分ペーストの調製を可能にする。さらに、ペーストの粘度がはるかに安定する。多くの場合、デキストリン接着剤と多くのデンプンベースの接着剤は、ホウ砂(四ホウ酸ナトリウム)などのホウ素化合物を配合して、適度な濃度と高い経年劣化特性を持つ粘度で高い粘着性を得る。また、接着性と機械加工性にも優れる。ホウ砂は通常、乾燥デンプンを基準にして最大10%の量で添加される。ホウ砂をより活性なメタホウ酸ナトリウムに変換すると考えられている水酸化ナトリウムも添加される。用途としては、ケースのシーリング、カートンのシーリング、バッグの継ぎ目、チューブの巻き取り、ラミネートが挙げられる。
【0062】
本発明の文脈において、接着剤成分は、組成物中に存在するすべてのデンプンを含み、そのようなデンプンのいずれかが存在する場合、任意の糊化デンプンを含む。
【0063】
本発明の文脈において、冷水不溶性デンプンは、生デンプン、すなわち、加熱及び/又はNaOHなどの塩基での処理によってまだ部分的又は完全に冷水溶性形態に変換されていないデンプンとして定義される。デンプンの総量、冷水可溶性又はゼラチン化デンプンの量、及び冷水不溶性又は非ゼラチン化デンプンの量は、当技術分野でそれ自体既知の方法によって決定することができる。我々は、H.M.Blasel et al. in “Degree of starch access: An enzymatic method to determine starch degradation potential of corn grain and corn silage”, in Animal Feed Science and Technology, 128 (2006), 96-107、及びVarriano-Marston et al., “Comparison of methods to determine starch gelatinization on bakery foods, Cereal Chem. 57 (1980), 242-248などによるそれらの参考文献によって記載されているような、いわゆる酵素的方法を使用することが好ましい。
【0064】
天然デンプンは、高度な耐水性をもたらすことができ、ラベル付け、請求書送付、及びその他の用途に必要となり得る。改善された耐冷水性は、ポリビニルアルコール又はポリ酢酸ビニルブレンドで得ることができる。これらの接着剤はまた、熱水に溶解し、このことはしばしば利益となる。最適な耐湿性は、尿素ホルムアルデヒドやレゾルシノールホルムアルデヒドなどの熱硬化性樹脂を添加することで得られる。
【0065】
本発明による接着剤組成物は、デンプン、ポリビニルアルコール、エチレン酢酸ビニル(EVA)コポリマー、デキストリン、ポリウレタン接着剤からなる群から選択される少なくとも1つのさらなる接着剤成分を含み得る。組成物は、本発明の文脈では追加の接着剤成分と見なされる接着促進剤もさらに含むことができる。
【0066】
用語「カルボマー」は、カルボキシビニルポリマーを指す。カルボキシビニルポリマーは、約50,000~約600万ダルトンのおおよその分子量を有する。ポリマーは、カルボン酸官能基を有するものとして特徴付けられる。好ましいカルボキシビニルポリマーには、水溶性及び水膨潤性カルボマーが含まれる。そのようなカルボマーの多くは、ルブリゾール社からCARBOPOL(登録商標)の商品名で入手できる。カルボマーポリマーは、架橋されたアクリル酸ベースのポリマーであり得る。それらはアリルスクロース又はアリルペンタエリスリトールで架橋されていてもよい。
【0067】
本発明によるカルボマーは、好ましくは、(メタ)アクリル酸のホモポリマー及び/又はアクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸又はメタクリル酸のエステル、他のアクリルコモノマー及びアクリルアミドから選択される少なくとも2つのモノマーのコポリマーである。
【0068】
本発明の文脈において、カルボマーは、モノマーとして不飽和酸、又はその誘導体、例えば、エステル又はアミドを含む水溶性ポリマーとして定義され、これは、好ましくは、式CH=CR-CO-G又はCH=CR-COO-Aで表すことができる。この式では、RはH、一価のアルキル、アリール又はアルキルアリールラジカル及び一価のシクロアルキルラジカルのグループから選択される置換基を表すが、置換基としてはHが好ましく、CHは非常に許容できる2番目の選択肢である。それにもかかわらず、Rはまた、アルキル、アルコキシ、ハロアルキル、シアノアルキル及び1~9個の炭素原子を含む同様の基の群から選択され得る。Gは、-NHなどのアミン基-NLを表すことができ、その場合、モノマーは、好ましくはアクリルアミド又はメタクリルアミドである。A及び/又はLは、R及びGから独立して、H、一価のアルキル、アリール又はアルキルアリールラジカル、及び一価のシクロアルキルラジカルのグループから選択される置換基を表すが、置換基としてHが好ましい場合、モノマーは、不飽和カルボン酸。それにもかかわらず、A及び/又はLはまた、アルキル、アルコキシ、ハロアルキル、シアノアルキル及び1~35個の炭素原子を含有する同様の基の群から選択され得る。
【0069】
カルボマーは、好ましくは、主に又は全体的に、(メタ)アクリル酸又はメタクリル酸のホモポリマー、又はそれらの混合物のコポリマーであり、それらは架橋されていてもよい。
【0070】
必要に応じて、他のコモノマー又はコポリマーを使用することができる。モノカルボン酸及び/又はそのエステルに加えて、ポリカルボン酸及び/又はそのエステルをコモノマーとして、例えば、アクリレート又はメタクリレート、及び任意にアルキルアルコキシル化エステル、例えば、アルキルアルコキシル化アクリレート又はメタクリレートを使用することもでき、これはC15~C35アルキルアルコキシル化アクリレート又はメタクリレートであってもよい。特に、少なくとも1つの炭素-炭素オレフィン二重結合及び少なくとも1つのカルボキシル基を含むオレフィン性不飽和カルボン酸、及び/又はそのエステルが好ましい。適切な例には、アクリル酸、特にアクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、アルファ-シアノアクリル酸、ベータ-メチルアクリル酸(クロトン酸)、アルファ-フェニルアクリル酸、ベータ-アクリルオキシプロピオン酸、ケイ皮酸、p-クロロが含まれるケイ皮酸、1-カルボキシ-4-フェニル-1,3-ブタジエン、3-アクリルアミド-3-メチルブタン酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、グルタコン酸、アコニット酸、マレイン酸、フマル酸、及びトリカルボキシエチレン。適切なポリカルボン酸の例には、無水マレイン酸などの酸無水物が含まれ、無水物基は、同じカルボン酸分子上に位置する2つのカルボキシル基から1分子の水の脱離によって形成される。しかしながら、アクリル酸及びメタクリル酸が好ましい。
【0071】
アルキルアルコキシル化アクリレート又はメタクリレートは、疎水性コモノマーである。疎水性コモノマーは、通常、酸のエステル又はそれらの2つ以上の混合物であり、種々の既知の(メタ)アクリレートまたは(メタ)アクリルアミドの1つを含み得る。
【0072】
アルキルアルコキシル化(メタ)アクリレートのアルキル基は、5~30個の炭素原子、好ましくは15~30個、より好ましくは20~25個の炭素原子を含み得る。アルキル構造は、一級、二級、又は三級炭素配置を含み得る。適切なアルキルアルコキシル化アクリレートの例には、メトキシメチルアクリレート、メトキシエチルアクリレート、エトキシエチルアクリレート、ブトキシエチルアクリレート、又はエトキシプロピルアクリレートが含まれる。アルキル構造はまた、置換され得るフェニル基を含み得、そして適切なアルキル構造は、オクチルフェニル、ノニルフェニル及びドデシルフェニル構造であり、これらのアルコキシル化誘導体、例えば、1~12個のエトキシ及び/又はプロポキシ基を含むものは、容易に市販されている。
【0073】
カルボマー中のモノマーは、オクタデシルアクリレート、ベヘニルアクリレート、ドデシルアクリレート、ヘキサデシルアクリレートなどであってもよい。及びそのシアノ誘導体。メタクリル酸ステリル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸2-エチルヘキシル、メタクリル酸n-ヘキシル、メタクリル酸オクタデシル、メタクリル酸ベヘニル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸ヘキサデシルなど。2つ又は3つ以上の長鎖アクリル酸エステルの混合物は、カルボン酸及び/又はエステルモノマーの1つと首尾よく重合され得る。好ましい疎水性モノマーは、ステアリルメタクリレート、ヘキサデシルメタクリレート、及びベヘニルメタクリレートなどの、アルキル基が少なくとも12個の炭素原子を含む直鎖状長鎖疎水性モノマーである。必要に応じて、疎水性アルキル又はアルキルアリール基でキャップされたポリアルキレンオキシド分岐を含む複雑な疎水性物質を利用することができる。
【0074】
アルコキシル化アルコールの(メタ)アクリル酸エステルの場合、アルキル基は通常C~C24アルキル;オクチルフェニル及びノニルフェニルなどのアルキルフェニル基を含むアルキルアリール;又はラノリン又はコレステロールなどの多環式ヒドロカルビル化合物の残基である。適切なアルキル基には、トリデシル、ミリスチル、ペンタデシル、セチル、パルミチル、ステアリル、エイコシル、及びベヘニル又はドコシル又はそれらの混合物が含まれる。そのような適切なモノマー混合物は、例えば、ラウリル、ステアリル、セチル、及びパルミチルアルコールの混合物のアルコキシル化に由来し得る。
【0075】
カルボマー(コ)ポリマーは、好ましくは架橋されている。架橋剤として、種々の多価不飽和モノマーを利用することができ、それにより、部分的又は実質的に架橋された三次元ネットワークが得られる。適切な架橋剤としては、スクロース又はペンタエリスリトールのアリルエーテル、又は他の多不飽和モノマー、例えばジアリルエステル、ジメタリルエーテル、アリル又はメタリルアクリレート及びアクリルアミド、テトラアリルスズ、テトラビニルシラン、ポリアルケニルメタン、ジアクリレート及びジメタクリレート、ジビニルベンゼン、ジビニルグリコール、リン酸ポリアリル、ジアリルオキシ化合物、亜リン酸エステルなどのジビニル化合物が挙げられる。典型的な多価不飽和モノマーとしては、ジ、トリ、又はテトラ、ペンタ、又はヘキサアリルスクロースが含まれます。ジ、トリ、又はテトラアリルペンタエリスリトール;フタル酸ジアリル、イタコン酸ジアリル、フマル酸ジアリル、マレイン酸ジアリル、ジビニルベンゼン、メタクリル酸アリル、クエン酸アリル、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、テトラメチレンジアクリレート、テトラメチレンジアクリレート、エチレンジアクリレート、エチレンジメタクリレート、トリエチレングリコールメタクリレート、メチレンビスアクリルアミドなどが挙げられる。エチレン性不飽和カルボン酸などでエステル化されたヒマシ油又はポリオールも使用してもよい。好ましい架橋剤としては、アリルペンタエリスリトール、アリルスクロース、トリメチロールプロパンアリルエーテル、及びジビニルグリコールが挙げられる。
【0076】
本発明による好ましいカルボマーは、式(I)を有するポリマーであってもよい。
【0077】
【化1】
【0078】
別の実施形態では、本発明によるカルボマーは、式(II)を有するポリマーである。
【0079】
【化2】
【0080】
式(I)及び(II)において、zは0又は1であり得る。zが1の場合、(x+y):zは4:1~1,000:1、好ましくは6:1~250:1であってもよい。ここで、モノマー単位はランダムな順序であり得、yは好ましくは0からxの値に等しい最大値までである。nは少なくとも1である。そしてさらに
Rは、本明細書中前に特定された意味を有し;
は、1~50個の独立して選択されたアルキレンオキシ基、好ましくはエチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシド基を表し;
は、C4~C35炭化水素基を表し;好ましくは飽和アルキルであるが、おそらくフェニル基を含み、その場合、我々は、Rがオクチルフェノール、ノニルフェニル又はドデシルフェニル基を表すことが好ましく;
は水素又はC1-C4アルキル、好ましくはH又はCH3を表し;
、A及びAは、水素及びアルキル基、好ましくはC1~C4アルキル基から独立して選択される。
【0081】
式(I)及び(II)では、-O-A1、-O-A2、又は-O-A3のいずれかの基も、一般に式-NLのアミン基で置き換えることができ、Lは、本明細書中前に特定された意味を有する。
【0082】
カルボマーの製造のために、任意の適切な重合技術を使用することができる。我々は、例えばKirk-Othmer, 5th Edition, Wiley, in volume 20で開示されているような、当技術分野で知られているものなどのフリーラジカル重合技術を使用することが好ましい。
【0083】
本発明の一実施形態では、カルボマーは、20,000~5,000,000、好ましくは35,000~3,000,000、より好ましくは50,000~2,000,000、さらにより好ましくは70,000~1,000,000、さらにより好ましくは80,000~500,000の範囲の平均分子量Mnを有する。より好ましくは、GPCにより測定して、90,000~200,000、最も好ましくは、最大130,000である。カルボマーは、好ましくは架橋されている。分子量は、カルボマーをジメチルアセトアミド(DMA)に溶解したゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって、及びポリメチルメタクリレート参照標準で較正された分析システムで決定されることが好ましい。より好ましくは、そのように分析されたカルボマーはまた、常にDMAに対して、50,000~5,000,000、好ましくは100,000~3,000,000、より好ましくは130,000~2,000,000、さらにより好ましくは150,000~200,000の範囲のMwを有する。コポリマーの多分散性は、同じ方法で決定され、好ましくは1~5、より好ましくは1.1~4.0、さらにより好ましくは1.2~3.0、さらにより好ましくは1.3~2.0、さらにより好ましくは1.4~1.7、さらにより好ましくは最大1.7である。
【0084】
カルボマーの存在に関連する効果は、アクリル酸ホモポリマー、特に式(III)に対応する3~5個の炭素原子を有するα、β不飽和一塩基性アクリル酸を含むカルボマーで特に顕著である:

CH=CR-COOH (III)

式中、Rは、H、一価のアルキル、アリール又はアルキルアリール残基及び一価のシクロアルキル残基の群から選択される置換基を表すが、置換基としてのHが好ましい。それにもかかわらず、Rはまた、アルキル、好ましくはメチル、アルコキシ、ハロアルキル、シアノアルキル及び1~9個の炭素原子を有する同様の基の群から選択されてもよい。
【0085】
アクリル酸及びメタクリル酸のホモポリマーが好ましい。なぜなら、それらは経済的に許容可能な価格で容易に商業的に入手可能であり、そしてそれらは所望の粘度変化を引き起こすからである。
【0086】
カルボマーは、それが含まれる組成物に擬似塑性粘度挙動を与えることが好ましい。これは、組成物が低剪断力条件下で高粘度を有し、高剪断力条件下で低粘度を有することを意味する。本発明による組成物に圧力又は剪断力が加えられない第1の状況と、組成物が圧力又は剪断力にさらされる第2の状況との間の好ましい粘度比は、添加剤と共に得られ、ここで、ホモポリマーは、少なくとも2つの末端ビニルCH=C基を有する多官能性モノマーである架橋剤、および上記の分子量、または0.05~100の間、好ましくは0.5~10、より好ましくは1~5x10exp9ダルトンの間で架橋され、添加剤は、高い剪断力で粘度が低下し、剪断力が取り除かれるとすぐに粘度が増加するという特性を有する。
【0087】
好ましくは、ポリアルケニルポリエーテル、特にアリルペンタエリスリトールである架橋剤が使用される。他の適切な架橋剤は、例えば、ブタジエン、イソプレン、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、アクリル酸アリルなどの、少なくとも2つの末端ビニルCH=C基を有する多官能性モノマーである。好ましい架橋剤は、オレフィン性二重結合が末端メチレン基に結合しているアルケニル基を含むものである。特に好ましい架橋剤は、1分子あたり平均して2つ以上のアルケニルエーテル基を有するポリエーテルである。他の適切な架橋剤は、ジアリルエステル、ジメチルアリルエーテル、アリル又はメタリルアクリレート、アクリルアミドを含む。その例は、アリルペンタエリスリトール、アリルサッカロース、トリメチロールプロパントリアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、トリメチロールプロパンプロパンジアリルエーテル、ペンタエリスリトールトリアクリレートなどである。
【0088】
上記の効果は、コポリマーを含む添加剤でも観察され、それにより、式(III)のアクリル酸は、式(IV)を有する少なくとも1つのアルキルアクリレートと共重合される:

CH=CR’-CO-OR” (IV)

これにより、R’はH、メチル、エチル及びR”からなる群から選択され、C10~C30アルキル基、好ましくはC10~C20基であり、コポリマーは好ましくは多官能性である架橋剤で架橋され、上記のように、少なくとも2つの末端ビニルCH=C基を有するモノマーである。
【0089】
式IVの代表的なアクリレートは、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレート、メチルメタクリレート、メチルエタクリレート、オクチルアクリレート、ラウリルアクリレート、ステアリルアクリレート、ベヘニルアクリレート、及び対応するメタクリレートである。適切なコポリマーは、列挙された化合物の2つ以上の混合物と式(III)のアクリル酸とのコポリマーを含む。他のコモノマーは、アクリロニトリル、オレフィン性不飽和ニトリル、好ましくは3~10個の炭素原子を有するもの、例えばアクリロニトリル及びメタクリロニトリルを含む。モノオレフィン性不飽和アクリルアミド、例えば、アクリルアミド及びメタクリルアミド、α,β-オレフィン性不飽和カルボン酸のN-アルキロールアミド、好ましくはN-メチロール-メタクリルアミド4~10個の炭素原子を有するものを含む。
【0090】
本発明に関連してカルボマーとして使用するのに適した市販の製品は、Polygel(登録商標)という商品名で提供されている製品例えばRohm&HaasのPolygel(登録商標)CB 3V、Noveon又はLubrizolからAcusol(登録商標)の商品名で提供されている製品、たとえば、Pakon(商標)及び/又はCarbopol(登録商標)の商標で提供されている製品(Wako PureのCarbopol 674又は981、Carbopol ETD 2050、Novethix(登録商標)L-10など)日本の化学産業、又は英国のSalcare(登録商標)などの連合コロイド、又はSNF FloergerによってFlosperse(商標)の商標で提供されている製品などのSigma Chemical Companyから入手可能である。カルボマーは、Carbopol 674又はPolygel CB-3Vなどの固体粉末として取得し得るが、Polygel W400又はW301 Polygel又はPolygel DRなどの液体分散液として、又はSNF SAS(FR)社からFloset(商標)TH 505としても取得し得る。液体形態は、高剪断混合を必要としないため、処理が簡単である。これは、粉末カルボマーの溶解に強く推奨される。Novethix L-10は、国際公開第2010/103050号で詳細に説明されている。
【0091】
本発明の実施形態では、カルボマーは、式(III)に対応する3~5個の炭素原子を有するα、β不飽和一塩基性アクリル酸のホモポリマーを含み、式中、Rは、H、一価のアルキル、アリール又はアルキルアリール残基及び一価のシクロアルキル残基、アルコキシ、ハロアルキル、炭素数1~9を有するシアノアルキルの群から選択される置換基を表し、ホモポリマーは、好ましくは少なくとも2つの末端ビニルCH=Cグループを有するモノマーである架橋剤で架橋されている。
【0092】
本発明の別の実施形態では、カルボマーは、
(i)3~5個の炭素原子を持つ式(III)に対応する、α,β-不飽和一塩基性アクリル酸:

CH=CR-COOH (III)

式中、Rは、H、一価のアルキル、アリール、アルキルアリール残基、一価のシクロアルキル残基、アルコキシ、ハロアルキル、1~9個の炭素原子を有するシアノアルキル残基からなる群から選択される置換基であり、

(ii)式(IV)で表される少なくとも1つのアクリル酸アルキル

CH=CR’-CO-OR” (IV)

ここで、R’はH、メチル、エチルのグループから選択され、R”はC10~C30アルキル基であり、
コポリマーは、好ましくは少なくとも2つの末端ビニルCH=C基を有する多官能性モノマーである架橋剤で好ましくは架橋されている。
【0093】
この実施形態では、式(IV)のR”は、好ましくはC10~C20アルキル基である。
【0094】
本発明の別の実施形態では、カルボマーは、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)で測定して、20,000~5,000,000の範囲の平均分子量Mnを有する。
【0095】
好ましくは、本発明によるカルボマーはそれ自体架橋されており、好ましくは、カルボマーの架橋剤はアリルペンタエリスリトールである。
【0096】
さらに別の実施形態では、本発明による組成物中のカルボマーは、それ自体が擬似プラスチック材料である。
【0097】
用語「シリケート」は、ケイ酸又はシリカ(SiO)の塩のファミリーをカバーする。それらの特定の特性のために、本発明は、アルカリ金属及び/又は土類アルカリ金属(M SiO及びMIISiO)のメタシリケートを対象とする。これらの材料は、「液体ガラス」、「水ガラス」又は「水ガラス」という用語で呼ばれることもある。ナトリウムメタシリケート(NaSiO)は、オルトケイ酸ナトリウム(NaSiO)、ピロリン酸ナトリウム(NaSi)などと比較して、最もよく知られているファミリーメンバーである。
【0098】
それらの最も典型的な製造方法のため、これらの化合物はシリカ(SiO)及び金属酸化物(MeO)の組み合わせとして説明できる。本発明の文脈において、金属酸化物は、典型的には、酸化二ナトリウム(NaO)又は酸化二カリウム(KO)又は酸化二リチウム(LiO)である。これらの材料の多くは、水溶液及び固体の形で入手できる。金属酸化物(MeO)に対する(SiO)のモル比は、典型的には2.1:1~3.87:1の範囲、好ましくは3.2~3.4の範囲で変動し得る。これらの生成物は、(NaO)m(SiO)n又は(KO)m(SiO)nなどの単一の式としても記述できる。ここで、2つの酸化物の比率(n/m)は、記載のとおり変動し得る。このモル比が2.94:1未満のグレードはアルカリ性と呼ばれ、SiO/MeOがより高いグレードは中性と呼ばれる。ナトリウムシリケートの重量比は、1.032を掛けることによりモル比に変換できる。この換算係数は、式の金属によって変わる。
【0099】
ケイ酸塩は無水であってもよいが、好ましくは水和形態であり、その場合、それは、MeSiO.nHOと等しいか又は類似の式で表すことができる。この式では、nは、しばしば5、6、8、又は9を表す。これらの形式には、水和水を含む、離散したほぼ四面体のアニオンSiO(OH) 2-が含まれる。非常に一般的であり、本発明の文脈において好ましいのは、n=5の五水和物であり、これはNaSiO(OH).4HOとして定式化されてもよい。
【0100】
本発明の文脈において非常に適切なメタシリケートは、ナトリウムメタシリケート、NaSiOである。メタシリケートは、SiO 2-のシリコンのオキシアニオンを含む形態である。
【0101】
本発明の一実施形態では、添加剤組成物及び/又は接着剤組成物に含まれるメタシリケートは、シリカ(SiO)対金属酸化物(MeO)のモル比を有し、xは1又は2であり、2.17:1~3.87:1、好ましくは2.94:1~3.87:1、より好ましくは少なくとも3.1:1、さらにより好ましくは少なくとも3.2:1、場合により最大3.8:1、好ましくは最大3.7:1、より好ましくは最大で3.5:1、さらにより好ましくは最大で3.4:1の範囲にある。
【0102】
一実施形態では、シリケートは、最大で2.94:1のシリカ(SiO)対金属酸化物(MeO)のモル比を有し、これは、金属がナトリウムである場合、NaOに対するSiOの重量比が最大で2.85:1であることを意味する。出願人は、これがシリケートがアルカリ性であるという利点をもたらし、デンプンベースの接着剤組成物中のこのアルカリ性シリケートがデンプンのゲル化点が低下するという利点をもたらすことを見出した。これは、ゲル化が発生するためにより低い温度を必要とする接着剤組成物の利点をもたらし、それにより、波形処理のエネルギー要件を低減し、及び/又は追加のホウ素及び/又は接着剤組成物中の強塩基の必要性を回避又は低減しながら、より高い処理速度で操作できるようになる。
【0103】
添加剤組成物及び/又は接着剤組成物中のシリケートはメタシリケートである。これは、シリケートが水に容易に溶解するという利点をもたらし、それは、シリケートの水溶液への組み込みを単純化する。メタシリケートはより高い反応性も有し、そのためシリケートの有益な技術的効果がより顕著になる。好ましくは、本発明による添加剤組成物及び/又は接着剤組成物中のシリケートは、多くとも10重量%のシリケートのポリマー形態を含む、少なくとも90%純粋なメタシリケートである。
【0104】
本発明の一実施形態では、添加剤及び/又は接着剤組成物中のアルカリ金属シリケートは、ナトリウムメタシリケート、カリウムメタシリケート及びリチウムメタシリケートからなる群から選択される。出願人らは、アルカリ金属のシリケートは、アルカリ土類金属のシリケートよりも反応性が高いことを見出した。これは、シリケートの有益な技術的効果がより顕著になるという利点をもたらします。出願人らはまた、アルカリ金属シリケートが、デンプンベースの接着剤組成物においてデンプンの早期架橋を引き起こす傾向がアルカリ土類金属シリケートよりも低いことを見出し、これはアルカリ金属を含む接着剤組成物のレオロジーという利点をもたらす。シリケートは、アルカリ土類金属シリケートよりも安定している。メタケイ酸アルカリ金属は、ナトリウムメタシリケートがより多くの供給源からより豊富に入手できるため、より魅力的な経済条件であるため、ナトリウムメタシリケートが好ましい。
【0105】
本発明の一実施形態では、添加剤組成物及び/又は接着剤組成物中のカルボマーは、不飽和酸、好ましくはアクリル酸又はメタクリル酸又はそれらの混合物に由来する水溶性ポリマーであり、それによりポリマーは好ましくは架橋されている。出願人は、このタイプのカルボマーが、重合シリケートの三次元構造の形成を低減するのに非常に効果的であることを見出した。出願人はさらに、このタイプのカルボマーは、それが液体の形態にある場合、それが一部である組成物の粘度を増加させるという利点ももたらすことを見出した。これは、それが水性液体である場合、接着剤組成物にとって特に有利である。なぜなら、より高い粘度は、特に組成物が静止している場合、特に接着剤化合物がデンプンである場合、接着剤組成物中の接着剤化合物の懸濁液の安定性を増加させるからである。この安定性の改善は、他の固形物が組成物の一部である場合、例えば、接着剤組成物が組成物に完全に溶解していないホウ素化合物を含む場合にも重要である。
【0106】
出願人は、カルボマーが架橋されていることを提示する。これは、架橋されたカルボマーを含む任意の水性組成物が疑似塑性レオロジー挙動を示すという利点をもたらす。これは、水性組成物が容易にポンピングされ、それによりポンプが低エネルギー入力のみを必要とする一方で、しばしば懸濁液である水性組成物が静止状態で高い安定性を有するという利点をもたらす。このレオロジーの振る舞いにより、ナイフ又はドクターロールを使用してアプリケーターロールに塗布された場所と、波型の先端に塗布された場所との間で、波形が離れている場所と比較して、接着剤の動作に明確な違いが生じる。アプリケーターロール、したがって、回転及び他の望ましくない現象の発生が最小限に抑えられるか又は回避され得る場所。カルボマーの架橋のおかげで、従来のスタインホール接着剤と比較して、高剪断での粘度が低く、したがってより高いライン速度での操作を可能にする接着剤を準備できる。低剪断条件での望ましくない影響、主に波形がアプリケーターロールから離れている場合(スピニングや「ウィッキング」など)は回避される。
【0107】
本発明の一実施形態では、シリケートに対するカルボマーの存在の重量比は、0.01から10.0、好ましくは少なくとも0.05、より好ましくは少なくとも0.10、さらにより好ましくは少なくとも0.20、好ましくは少なくとも0.25、より好ましくは少なくとも0.30、さらにより好ましくは少なくとも0.35、好ましくは少なくとも0.40、より好ましくは少なくとも0.45、さらにより好ましくは少なくとも0.50の範囲である。好ましくは、メタシリケートに対するカルボマーの存在の重量比は、0.55~4.95の範囲、好ましくは少なくとも0.60、より好ましくは少なくとも0.65、さらにより好ましくは少なくとも0.70、好ましくは少なくとも0.75、より好ましくは少なくとも0.80、さらにより好ましくは少なくとも0.85、好ましくは少なくとも0.90、より好ましくは少なくとも0.95、さらにより好ましくは少なくとも1.00、好ましくは少なくとも1.05、より好ましくは少なくとも1.10、さらにより好ましくは少なくとも1.15、好ましくは少なくとも1.20、より好ましくは少なくとも1.25、さらにより好ましくは少なくとも1.30、好ましくは少なくとも1.35、より好ましくは少なくとも1.40、さらにより好ましくは少なくとも1.45、好ましくは少なくとも1.50、より好ましくは少なくとも1.55、さらにより好ましくは少なくとも1.60である。場合により、シリケートに対するカルボマーの存在の重量比は、最大で8.0、好ましくは最大で6.0、より好ましくは最大で5.0、さらにより好ましくは最大で3.00、好ましくは最大で2.50、より好ましくは最大で2.25、さらにより好ましくは最大で2.00、好ましくは最大で1.90、より好ましくは最大で1.80、さらにより好ましくは最大1.75、好ましくは最大1.70、より好ましくは最大1.65、さらにより好ましくは最大1.60、好ましくは最大1.50、より好ましくは最大1.40、さらにより好ましくは最大1.30、好ましくは最大1.20、より好ましくは最大1.00、さらにより好ましくは最大0.80、好ましくは最大0.70、より好ましくは最大0.60、さらにより好ましくは最大0.55、好ましくは最大0.50、さらに好ましくは最大0.45、さらにより好ましくは最大0.40、好ましくは最大0.35、より好ましくは最大0.30である。出願人は、この比率条件の遵守が、重合されたシリケートの三次元構造の形成を損なう及び/又は回避する効果がより顕著である一方で、接着剤組成物によって形成される接着剤結合上のシリケートの性能改善は影響を受けないという利点をもたらすことを見出した。
【0108】
本発明の一実施形態では、カルボマーは、粉末、ゲル、及び溶液から選択される形態にある。
【0109】
本発明の一実施形態では、メタシリケートは、粉末、結晶、ゲル、及び溶液から選択される形態にある。
【0110】
本発明の実施形態において、カルボマー及びメタシリケートは、両方とも粉末又は顆粒の形態にある。
【0111】
本発明の一実施形態では、添加剤組成物は、水性組成物又は乾燥粉末混合物である。出願人は、添加剤組成物が乾燥粉末混合物であることが好ましい。出願人は、添加剤組成物のすべての必須成分、及びその任意の成分のほとんどが、固体の形、通常は粉末、及び場合によっては顆粒の形、すなわち、すぐに乾いた状態で混合し、乾燥粉末混合製品を得るのに適した形で得られることを見出した。
【0112】
本発明の一実施形態では、カルボマーとシリケートの混合物は乾燥粉末混合物であり、好ましくは接着剤組成物は乾燥粉末混合物の形態にある。
【0113】
本発明の一実施形態では、カルボマーとメタシリケートの混合物は乾燥粉末混合物であり、好ましくは添加剤組成物は乾燥粉末混合物の形態にある。
【0114】
出願人は、乾燥粉末混合物の形態の添加剤組成物が、溶液中の高濃度でのカルボマーとシリケートの間の起こり得る相互作用の問題を回避することを見出し、これは、添加剤組成物がカルボマーとケイ酸塩を高濃度で含む水性組成物である場合に潜在的に発生し得る。出願人はさらに、乾燥粉末混合物としての添加剤が、パールスターチなどの粉末接着剤成分と容易に混合され得ることを見出した。粉末接着剤成分との混合物は、コルゲーターなどの直接塗布に適した接着剤組成物を得るために、適切な量の水に単に混合するだけでよいドライ混合物を提供することができる。したがって、そのような混合物は、本発明によるすぐに使用できる適切な接着剤組成物を得るために、ほとんどさらなる処理を必要としない。接着剤成分とのドライミックスは、より少ない量の粉末接着剤で調製して、最終的な接着剤組成物で望まれるものと比較して、添加剤の濃縮形態にある中間乾燥粉末を形成することもできる。この中間体は、それは適切な量の水に容易に混合でき、それにより起こり得る適合性の問題を回避する液体中間体を形成するが、特定の段ボール工場の「接着剤キッチン」で調製される接着剤配合に容易に投入できるという有利な能力をもたらす。
【0115】
本発明による添加剤組成物及び/又は接着剤組成物の固体乾燥プレミックス形態は、本発明による接着剤組成物について上で特定されたさらなる成分のいずれかをさらに含んでもよい。
【0116】
さらに、本発明による固体乾燥プレミックスは、固結防止剤をさらに含み、プレミックスを自由流動性固体混合物として維持するという利点をもたらす。適切な固結防止剤は、当技術分野でよく知られている。我々は、WackerHDKH15,EvonikIndustriesAerosil(登録商標)、Orasil(登録商標)m130などのシリカを使用することが好ましい。
【0117】
本発明の実施形態において、カルボマーは、少なくとも5ppm重量、好ましくは少なくとも50重量ppm、より好ましくは少なくとも500重量ppm、さらにより好ましくは少なくとも750重量ppm、さらにより好ましくは少なくとも900重量ppm、より好ましくは少なくとも0.1%wt、好ましくは少なくとも0.2%wt、より好ましくは少なくとも0.5%wt、さらにより好ましくは少なくとも1.0%wt、好ましくは少なくとも2.0%wt、より好ましくは少なくとも3%wt、さらにより好ましくは少なくとも4%wt、好ましくは少なくとも5%wt、より好ましくは少なくとも10%wt、さらにより好ましくは少なくとも15%wt、好ましくは少なくとも20%wt、より好ましくは少なくとも25%wt、及び任意で最大35%wt、好ましくは最大30%wt、より好ましくは最大25%wt、さらにより好ましくは最大20%wt、好ましくは最大15%wt、より好ましくは最大10%wt、さらにより好ましくは最大8%wt、好ましくは最大5.0%wt、より好ましくは最大4.0%wtの濃度で添加剤組成物中に存在すし、それにより濃度は、添加剤が液体である場合に懸濁状態にある可能性がある任意の化合物を除いて、添加剤組成物の総重量に対して表される。
【0118】
添加剤組成物が所定の形態のいずれかである本発明の実施形態では、添加剤組成物は、メタシリケートを、少なくとも0.01%wt、好ましくは少なくとも0.05%wt、より好ましくは少なくとも0.10%wt、好ましくは少なくとも0.2%wt、より好ましくは少なくとも0.5%wt、さらにより好ましくは少なくとも1.0%wt、好ましくは少なくとも2.0%wt、より好ましくは少なくとも3%wt、さらにより好ましくは少なくとも4%wt、好ましくは少なくとも5%wt、より好ましくは少なくとも10%wt、さらにより好ましくは少なくとも15%wt、好ましくは少なくとも20%wt、より好ましくは少なくとも25%wt、さらにより好ましくは少なくとも30%wt、好ましくは少なくとも40%wt、より好ましくは少なくとも50%wt、さらにより好ましくは少なくとも60%wt、及び任意で最大75%wt、好ましくは最大70%wt、より好ましくは最大60%wt、さらにより好ましくは最大50%wt、好ましくは最大40%wt、より好ましくは最大30%wt、さらにより好ましくは最大25%wt、好ましくは最大20%wt、より好ましくは最大15%wtの範囲の濃度で含む。
【0119】
添加剤組成物が乾燥粉末混合物の形態にある実施形態では、添加剤組成物は、少なくとも1.75%wt、好ましくは少なくとも1.80%wt、より好ましくは少なくとも2.00%wt、好ましくは少なくとも3.0%wt、より好ましくは少なくとも4.0%wt、好ましくは少なくとも5.0%wt、より好ましくは少なくとも10%wt、さらにより好ましくは少なくとも15%wt、好ましくは少なくとも20%wt、より好ましくは少なくとも25%wt、さらにより好ましくは少なくとも30%wt、好ましくは少なくとも40%wt、より好ましくは少なくとも50%wt、さらにより好ましくは、少なくとも60重量%の範囲の濃度でメタシリケートを含む。
【0120】
添加剤組成物が乾燥粉末混合物の形態にある別の実施形態では、添加剤組成物は、最大75%wt、好ましくは最大70%wt、より好ましくは最大65%wt、好ましくは最大60%wt、より好ましくは最大55%wt、好ましくは最大50%wt、より好ましくは最大45%wt、さらにより好ましくは最大で40.0%wt、好ましくは最大で35.0%wt、より好ましくは最大で30.0%wt、さらにより好ましくは最大で25.0%wt、好ましくは最大で20.0%wt、より好ましくは最大で15.0%wt、さらにより好ましくは最大で10.0%wtの範囲の濃度でメタシリケートを含む。
【0121】
出願人は、カルボマー及び/又はシリケートの所定の濃度が、ボール紙の製造における接着剤組成物の添加剤としての使用に非常に適した添加剤組成物を提供することを見出した。
【0122】
本発明の実施形態では、乾燥粉末混合物の形態にある添加剤組成物中のメタシリケート濃度について上で指定された濃度範囲は、乾燥粉末混合物以外の任意のリストされた形態である添加剤組成物及び/又は接着剤組成物にも適用される。
【0123】
本発明の一実施形態では、添加剤組成物及び/又は接着剤組成物は水性であり、最大で13.0、好ましくは最大で12.5、より好ましくは最大で12.0、さらにより好ましくは最大で11.5、より好ましくは最大で11.0、さらにより好ましくは最大で10.5、さらにより好ましくは最大で10.0、さらにより好ましくは最大で9.5、さらにより好ましくは最大で9.0、又はさらに好ましくは最大で8.5、さらにより好ましくは最大で8.0、最も好ましくは最大で7.5、そして任意に、少なくとも4、好ましくは少なくとも5、より好ましくは少なくとも6.0、さらにより好ましくは少なくとも6.5、最も好ましくは少なくとも6.8のpHを有する。pHは対数スケールであり、12.5から11.5などのpHの1単位の減少は、塩基濃度の10分の1の減少、したがって苛性ソーダ濃度の10分の1の減少になることを覚えておくことが重要である。
【0124】
出願人は、カルボマー自体がデンプン及び/又はデキストリンのゲル化点に影響を与えて低下させ、その結果、望ましいゲル化点の低下を得るために必要な塩基が少なくなることを見出した。これは、接着剤組成物及び/又は添加剤組成物に添加される塩基がより少ないか又は全くないという利点をもたらす。この利点は、カルボマー及び/又はシリケートによって導入された可能性のある酸性度を補うためにのみ塩基が使用される好ましいポイントまで使用でき、接着剤組成物、及び任意選択で添加剤組成物も、上記で指定されたより狭い範囲のいずれか、好ましくは6.8~7.2の範囲のpHを有することになる。これは、遊離苛性ソーダを実質的に含まず、したがって遊離苛性ソーダの存在に関連する毒性及び/又は健康への懸念なしに使用できる接着剤を提供できるという利点をもたらす。
【0125】
本発明の一実施形態では、添加剤組成物及び/又は接着剤組成物は、ホウ素代替化合物として、ホウ素含有化合物又はジルコニウム及び/又はハフニウム及び/又はアルミニウム含有化合物をさらに含む。出願人は、ジルコニウムおよび/またはハフニウムおよび/またはアルミニウム含有化合物が、本文書に記載されているタイプの接着剤で非常に頻繁に使用されるホウ素含有化合物の代替として適していてもよく、そしてホウ素の使用に関連する懸念を引き起こすことなくホウ素含有化合物と同様の機能を果たすことができることを見出した。
【0126】
好ましくは、ホウ素含有化合物は、ホウ酸、その水和形態又は非水和形態のポリホウ酸ナトリウム又はカリウム、無水ホウ酸、メタホウ酸ナトリウム又はカリウム、好ましくは四ホウ酸ナトリウム、五ホウ酸ナトリウム又は八ホウ酸、より好ましくは四ホウ酸ナトリウム十水和物(ホウ砂)、アミノボレート、及びそれらの混合物、より好ましくはアミノボレートからなる群から選択される。
【0127】
出願人は、ホウ素化合物は、その存在が許容可能であると見なされる場合、又はそのジルコニウム、ハフニウム及び/又はアルミニウム含有代替物である場合、デンプンとの反応による粘度効果、ゲル化点低減効果、および可塑化効果もあるという利点があることを見出した。ホウ素含有化合物又はその代替物は、乾燥粉末混合物又はプレミックスとして添加剤組成物の一部になるように、乾燥成分としてカルボマー及び/又はシリケートと混合することができる。出願人はさらに、ホウ素含有化合物又はその代替物が接着剤組成物の粘着性を高め、デンプン及び/又はデキストリン接着剤化合物の膨潤を安定化することを見出した。
【0128】
本発明者らは、粉末として同じ化合物を使用するのと比較して、ホウ素含有化合物又はその代替物を顆粒として使用することが有利であることを見出した。本発明者らは、顆粒が作業しやすく、作業場での発塵が少ないことを見出した。これにより、作業場をより清潔に保つことができ、運用担当者の良好な産業衛生を確保するための規定が簡素化される。顆粒粒子は、顆粒がより容易に懸濁状態になるように、より容易に湿潤することも見出されている。
【0129】
本発明者らは、好ましくは、ふるい分けにより、0.063mmの開口を有するふるいを通過する粒子の最大で20.00%wt、より好ましくは最大で10.00%wt、さらにより好ましくは最大で6.00%wtを示す粒子サイズ分布を有する顆粒の形態を使用する。また好ましくは最大4.00重量%。さらに好ましくは、最大で10.00%wt、好ましくは最大で6.00%wt、より好ましくは最大で4.00%wt、一般的には最大でも2.00%wt、及び必要に応じて最大1.00%wtの開口部を有する篩に保持される。好ましくは、代替として、最大0.1%wtのみが米国標準ふるいNo8(2.38mmのふるい開口部)で保持される、より好ましくは最大2.0%wtが米国標準ふるいNo20(0.841mmふるい目開き)で保持されるふるい仕様の顆粒を選択してもよい。
【0130】
商業的に入手可能な適切なホウ素含有化合物は、例えば、トルコの会社であるEtiMineWorksとしても知られているEtimineSAから、たとえばENTIMADEN(登録商標)の商標で、及びイギリスとオーストラリアに意思決定センターを持つ国際グループであるRioTintoの子会社であるBoraxCompanyから入手できる。BoraxCompanyはホウ酸にOptibor(登録商標)の商標を使用することがあり、特に原子力産業向けのホウ酸だけでなく四ホウ酸カリウムなどのSQが付加されたホウ素含有化合物を提供している。この用途では、発明者らは、米国標準ふるい8号を使用する仕様によるものなどのより大きな顆粒を使用することが好ましいが、これは、例えば重量基準で常に表現され、特にホウ酸に適用可能な、最大で3.0ppmSOおよび/または最大で0.4ppmCl、および/または最大で2.0ppmFeなどの特定の不純物の含有量が少ない。ホウ素含有化合物の他の顆粒は、必要に応じて、最大で500ppmSO,、好ましくは最大で350ppmSO、より好ましくは最大で70ppmSO、最大で50ppmCl、好ましくは最大で18ppmCl、より好ましくはせいぜい最大で常に重量基準で表される、10ppmのCl、及び/又は最大で10ppmのFe、好ましくは最大で7ppmのFe、より好ましくは最大で6ppmのFeを含んでもよい。
【0131】
ホウ素含有化合物の代替としての適切なジルコニウム及び/又はハフニウム含有化合物は、欧州特許出願公開第3272825A1号及び米国特許出願公開第2017/0114501A1号に記載されている。例えば、塩基性ジルコニウム及び/又はハフニウム塩。炭酸ジルコニウム、特に炭酸ナトリウムジルコニウム、炭酸ジルコニウムカリウム(KZC)及び炭酸ジルコニウムアンモニウム(AZC)、及びそれらの混合物、より好ましくはAZCが好ましい。これらの組成物においてこれらの化合物を使用するための適切な方法は、これらの文書に記載されている。
【0132】
ホウ素含有化合物又はその代替物は、さらにより好ましくは液体として導入される。アミノボレートの適切な形態は、例えば、Huntsman社が提供するジグリコールアミン(登録商標)又はDGA(登録商標)エージェントボレートである。ホウ素の非常に適切な液体形態は、ホウ酸アミンの水溶液である。アミンボレートの適切な形態は、レオロジー修飾システムが組み込まれているルブリゾール社からPerformax(登録商標)CB6810として入手可能である。
【0133】
本発明の一実施形態では、添加剤組成物及び/又は接着剤組成物は、カルボキシメチルセルロース(CMC)、セルロースガム、アラビアゴム及びキサンタンガムからなる群から選択される追加の分散剤をさらに含む。この化合物は、カルボマーの効果に加えて、追加の分散剤として機能し、組成物が水性組成物の形態にあるか、又は水性組成物の形態に変換されるときに、粘度をさらに変更し、及び/又は組成物を増粘することによって寄与し得る。我々は、CMCをカルボマーと組み合わせて使用できること、及びCMCを含有する本発明による添加剤及び/又は接着剤組成物が、NaOHなどの強塩基によるCMCの分解を回避するために、多くとも10.0、より好ましくは多くとも9.0のpHを有することを見出した。
【0134】
本発明の一実施形態では、添加剤及び/又は接着剤組成物は、表面張力剤、消泡剤、腐食防止剤、脱スケール剤、光学的清澄剤、殺真菌剤、殺菌剤、着色剤、湿潤剤、粘度調整剤、レオロジー調整剤、不凍液、溶媒、充填剤、及びそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの成分をさらに含む。これらの成分は、本発明のプロセスの任意の時点で、及び記載されている中間組成物のいずれか、例えば本発明による添加剤の一部として、導入されるてもよい。
【0135】
界面活性剤などの表面張力剤の添加は、接着剤の紙又は厚紙へのより良好かつより速い浸透という利点をもたらし、したがって、より高いライン速度でのプロセスの実行を可能にする。界面活性剤は、アニオン性、カチオン性、非イオン性又は両性イオン性であり得る。我々は、pHが中性又はわずかに酸性の界面活性剤を使用することが好ましい。我々は、界面活性剤は、泡の形成が少ない種類のものであることが好ましい。我々は、液体石鹸の使用が好ましい。いくつかの適切なタイプが産業で知られているが、リストにするには多すぎる。
【0136】
適切な凍結防止剤も当技術分野でよく知られている。それらは接着剤のラインが冬の間及び/又は寒い場所の氷の形成によって詰まることを防ぐ。我々は、ダウ・ケミカルから入手可能なもののような、プロピレングリコール及び/又はエチレングリコールを使用することが好ましい。脱スケール剤も当技術分野で知られている。それらは接着装置内のカルシウムベースの堆積物の堆積を防止又は低減するという利点をもたらす。我々は、Lanxessから入手可能なBaypure(登録商標)DS100を使用することが好ましい。
【0137】
多くの適切な抗菌剤が産業で知られており、リストするには多すぎる。
【0138】
本発明によって提供される固体乾燥プレミックスは、本発明による接着剤組成物について上で特定されたさらなる成分のいずれかをさらに含んでもよい。
【0139】
可塑剤は、接着剤組成物に広く使用されて、接着剤ラインの脆弱性を制御し、乾燥速度を調節する。一般的な可塑剤としては、グリセリン、グリコール、ソルビトール、グルコース、及び糖が挙げられる。これらのタイプの可塑剤は、フィルムの乾燥速度を低下させる吸湿剤として機能する。液剤、ポリグリコール、及びスルホン化油をベースにした可塑剤は、乾燥した接着剤内の層を滑らかにし、それによって柔軟性を与える。尿素、硝酸ナトリウム、サリチル酸、ホルムアルデヒドは、乾燥した接着剤で固溶体を形成し、可塑化する。
【0140】
塩化カルシウム、尿素、硝酸ナトリウム、チオ尿素、グアニジン塩などの化学品は、粘度を下げるための液化装置として、又は乾燥時間と乾燥速度を制御するための保湿剤として使用される。それらは通常、乾燥デンプン又はデキストリンに基づいて約5~20%で添加される。石鹸や塩化ナトリウムなどのコロイド安定剤は、老化の傾向を遅らせるために使用されることがある。
【0141】
さらに、本発明による固体乾燥プレミックスは、固結防止剤をさらに含み、プレミックスを自由流動性固体混合物として維持するという利点をもたらす。適切な固結防止剤は、当技術分野でよく知られている。我々は、 Wacker HDK H15、Evonik IndustriesAerosil(登録商標)、Orasil(登録商標)m130等のシリカを使用することが好ましい。
【0142】
特別な用途において、接着剤は、好ましくは、耐水性であり、この特性は、典型的には、ポリビニルアルコール(PVA)などの特定の樹脂の添加により得られる。デンプン及び/又はデキストリンベースの接着剤組成物では、通常、これらの樹脂はデンプン及び/又はデキストリン上のヒドロキシル基と反応し、デンプン又はデキストリンを水不溶性にする。これらの樹脂は、アミノプラスト、例えばケトン/ホルムアルデヒド、尿素/ホルムアルデヒド、メラミン/ホルムアルデヒド、フェノール/ホルムアルデヒド樹脂、又は同等物などのアルデヒドタイプのものであってもよい。問題は、これらの樹脂の一部が配合のホウ砂と反応し、接着剤の粘度を変化させる可能性があることである。
【0143】
優れた耐水性は、デンプンと組み合わせて、デンプンに対して1/20~1(重量比)の比率で、好ましくは1/20~1/7の比率でPVAを使用することにより得られる。 PVAの定義は、完全に鹸化されたPVA及び/又はPVA水性誘導体、例えば、PVAの部分的又は強く酢酸化された誘導体形態を含む。これらのポリマーの重合度が高いほど、ポリマーはより効果的である。
【0144】
カオリンクレー、炭酸カルシウム、二酸化チタンなどのミネラルフィラーは、デンプン及びデキストリン接着剤に5~50%の濃度でしばしば使用される。これらは、コストを削減し、多孔質基材への浸透を制御するために使用される。ベントナイト等のチキソトロープ剤も、特定の用途で粘度を制御するためにしばしば使用される。
【0145】
デンプン及びデキストリンベースの接着剤に含まれる他の添加剤には、防腐剤、漂白剤、及び消泡剤が含まれる。微生物の活動を防ぐために使用される一般的に使用される防腐剤には、0.2~1.0%のホルムアルデヒド(35%固形分)、約0.2%の硫酸銅、硫酸亜鉛、安息香酸塩、フッ化物、及びフェノールが含まれる。保存剤を選択する前に、起こり得る毒性作用を注意深く検討する必要がある。一般的な漂白剤としては、亜硫酸水素ナトリウム、過酸化水素及び過酸化ナトリウム、及び過ホウ酸ナトリウムが挙げられる。ワックスを塗った表面への接着を改善するために、有機溶剤が時々加えられる。
【0146】
本発明による接着剤組成物は、UV照射を使用して接着剤組成物の品質を制御することを可能にするために、光学的清澄剤をさらに含んでもよい。光学的清澄剤はまた、蛍光剤、おそらく青色であるが、好ましくは黄緑色のUV光蛍光剤であり得、これは、物品を作成するためにどのような素材が使用されたかに関係なく、UV光の特定の波長の下で、接着剤組成物の存在を検出し、接着剤が確実であることを確実にする。これにより、たとえば統合されたセンサーとカメラ検出メカニズムを備えた機器を使用して接着剤の塗布をリアルタイムで追跡及び調整するためのボール紙及びパッケージを可能にする。蛍光剤及びそれが含有する接着剤組成物は、食品安全要件に適合させることができる。黄緑色のUV蛍光剤は、それらの青色UV対応物とは異なり、高レベルの蛍光増白剤の存在下で容易に検出可能なままであるため、好ましい。
【0147】
本発明の一実施形態では、添加剤組成物及び/又は接着剤組成物は、界面活性剤、好ましくは非イオン性界面活性剤、より好ましくは脂肪アルコール誘導体、より好ましくは10~24の範囲の炭化水素鎖長を有する脂肪アルコールをさらに含み、好ましくは誘導体は3~20の範囲の平均アルコキシル化度を有するアルコキシレートであり、好ましくはアルコキシレートはエトキシレート又はプロポキシレートであり、より好ましくは界面活性剤は脂肪アルコールエトキシレートのリン酸エステルである。出願人は、処方された界面活性剤が、添加剤及び/又は接着剤組成物、特に添加剤が均一な水性組成物の状態に達し得るという利点をもたらすことを見出した。
【0148】
本発明の一実施形態では、添加剤組成物及び/又は接着剤組成物は、強塩基、好ましくはNaOH又はKOH、より好ましくはKOHをさらに含む。許容できると考えられる場合、強塩基の存在は、接着剤コンパウンドのゲル化点を低下させるという利点をもたらし得る。デンプン又はデキストリン。これにより、プロセスのエネルギー要件を低減したり、処理速度を上げたりすることができる。出願人らは、塩基の存在が酸性pHでのシリケートの沈殿を回避するのにも寄与し得ることを見出した。塩基はまた、例えば、脂肪アルコールエトキシレートのリン酸エステル界面活性剤に過剰なリン酸があるため、カルボマー及び/又は界面活性剤、例えば界面活性剤などによって、又はそれとともに、別の成分によって、又は一緒に導入された可能性がある任意の酸性度を中和するのに役立ち得る。
【0149】
本発明の一実施形態では、添加剤組成物及び/又は接着剤組成物は、「尿素」クラスの化合物の少なくとも1つのメンバー、例えば、カルバミド又は尿素(CO(NH)、過酸化カルバミド又は過酸化尿素(CH)、アラントイン又はグリオキシルジウレイド(C)、及びヒダントイン又はグリコリル尿素(式CH-CO-NH-CO-NHの複素環式化合物)など、より好ましくはカルバミドをさらに含む。出願人は、化学化合物の「尿素」クラスのメンバー、特にカルバミド又は尿素自体の導入が、接着剤化合物、特にデンプン、ポリビニルアルコール及び/又はデキストリンのための追加の架橋剤をもたらす利点をもたらすことを見出した。本発明の文脈において、「尿素」クラスの化学化合物は、米国特許第5858549号に列挙された化合物のファミリー全体を含む。
【0150】
本発明の一実施形態では、添加剤組成物及び/又は接着剤組成物は、「キレート剤」又は「錯化剤」とも呼ばれる隔離剤、すなわち、本発明による接着剤組成物の水性形態および/または水性形態で、Ca及び/又はMgと錯体を形成することができる化合物をさらに含む。好ましくは、隔離剤は、三リン酸ナトリウム、1-ヒドロキシエタン1,1-ジホスホン酸(HEDP)、アミノ-トリス(メチレンホスホン酸)(ATMP)、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)(EDTMP)、ヘキサメチレン、ジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)(HDTMP)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)(DTPMP)、クエン酸、グルコン酸、EDTA及びゼオライト、より好ましくはヒドロキシエタン1,1-ジホスホン酸(HEDP)からなる群から選択される。この成分は、水溶液中のより重い及び/又はより高い原子価の金属の存在によって、最も一般的には、Ca及び/又はMgによって引き起こされる可能性のある問題を緩和するという利点をもたらす。
【0151】
本発明の一実施形態では、接着剤組成物は、ある量の本発明による添加剤組成物を含む。出願人は、ある量の添加剤組成物を含めることが、接着剤組成物に所望の技術的効果をもたらすのに非常に適切で便利な方法であることを見出した。
【0152】
本発明の実施形態において、接着剤組成物は、カルボマー及びメタシリケートがキットの一部で一緒になり、任意で乾燥粉末混合物部分である、パーツのキットの形態にある。出願人は、これが、本発明が対象とする効果を得るために必要な成分を提供する非常に適切な形態にあることを見出した。
【0153】
本発明の一実施形態では、接着剤組成物は水を含む。接着剤組成物は、ドライミックスの形態で提供されてもよいが、水性組成物の形態、例えば、ドライミックス接着剤組成物を適切な量の水に混合することにより、基材に塗布するのが容易であり、接着剤組成物が基材に容易に浸透し始めて、所望の接着結合を確立するために容易に配置できるという利点をもたらす。
【0154】
本発明の一実施形態では、接着剤組成物は、5ppm重量から6.0重量%、好ましくは少なくとも50重量ppm、より好ましくは少なくとも500重量ppm、さらにより好ましくは少なくとも750重量ppm、さらにより好ましくは少なくとも900重量ppm、より好ましくは少なくとも0.1%wt、好ましくは少なくとも0.2%wt、より好ましくは少なくとも0.5%wt、さらにより好ましくは少なくとも1.0%wt、好ましくは少なくとも2.0重量%、より好ましくは少なくとも3重量%、さらにより好ましくは少なくとも4重量%、好ましくは少なくとも5重量%の範囲の濃度でカルボマーを含む。場合により、接着剤組成物は、最大で5%wt、好ましくは最大で4%wt、より好ましくは最大で3%wt、さらにより好ましくは最大で2%wt、好ましくは最大で1.0%wt、より好ましくは最大で0.75%wt、さらにより好ましくは最大で0.50%wt、好ましくは最大で0.45%wtの濃度でカルボマーを含む。出願人は、これらの濃度限界の遵守が、本発明による接着剤組成物に所望の技術的効果、特性及び性能特性を容易にもたらすことを見出した。
【0155】
組成物中のカルボマーの存在は、赤外線(IR)分光法によって決定することができ、適切な検量線を作成することにより、この方法は、組成物中に存在するカルボマーの量の定量的決定に適するようになり得る。我々は、 Perkin Elmer FT-IR Spectrometer Spectrum 100をユニバーサルATRサンプリングアクセサリとともに使用することが好ましい。
【0156】
本発明の一実施形態では、接着剤組成物は、メタシリケートを0.01重量%~15重量%の範囲の濃度で含む。好ましくは、本発明による接着剤組成物は、少なくとも好ましくは少なくとも0.05%wt又は500ppmwt、より好ましくは少なくとも0.10%wt、好ましくは少なくとも0.2%wt、より好ましくは少なくとも0.5%wt 、さらにより好ましくは少なくとも1.0%wt、及び任意で最大で12.5%wt、好ましくは最大で10.0%wt、より好ましくは最大で7.5%wt、さらにより好ましくは最大で5.0%wt、好ましくは最大で4.0%wt、より多く好ましくは最大3.0%wt、さらにより好ましくは最大2.5%wt、好ましくは最大2.0%wt、より好ましくは最大1.5%wt、好ましくは最大1.0%wt、より好ましくは最大0.90%wt、さらにより好ましくは最大0.80%wt、好ましくは最大0.70%wt、より好ましくは最大0.60%wt、さらにより好ましくは最大0.50%wt、好ましくは最大0.40%wt、より好ましくは最大0.35%wtの濃度でシリケートを含む。
【0157】
出願人は、所定の濃度のカルボマー及び/又はシリケートが、ボール紙の製造に非常に適しており、本発明に従って所望の技術的効果、特性及び性能特性をもたらす接着剤組成物を提供することを見出した。
【0158】
本発明の一実施形態では、接着剤組成物は水性組成物であり、全組成物に基づいて、少なくとも7重量%、多くとも30重量%の接着剤成分を含む。一実施形態では、本発明による接着剤組成物は、全接着剤組成物に基づいて、最大で29.5重量%、好ましくは最大で29.0重量%、より好ましくは最大で28.5重量%、さらにより好ましくは最大で最大で28重量%、さらにより好ましくは最大27.5%wt、より好ましくは最大27.0%wt、さらにより好ましくは最大26.5%wt、さらにより好ましくは最大26.0%wt、より好ましくは最大25.5%wt、さらにより好ましく最大で25.0%wt、より好ましくは最大で24.5%wt、さらにより好ましくは最大で24.0%wtを含む。出願人らは、接着剤成分の濃度がこれらの限界を下回ると、形成される接着剤結合が、特により多くの吸着性基材でより強く、より信頼できることを見出し、これは、接着剤成分の量が少ないことを考慮すると驚くべきことである。構図。出願人は、この利点は、接着剤の基材への十分な浸透と、接着剤結合からの水分の十分に速い除去との間の改善された妥協によるものであると信じている。
【0159】
別の実施形態では、本発明による接着剤組成物は、全接着剤組成物に基づいて、接着剤成分を少なくとも8.0重量%、好ましくは少なくとも10.0重量%、より好ましくは少なくとも11.0重量%、さらにより好ましくは少なくとも12.0%wt、さらにより好ましくは少なくとも13.0%wt、より好ましくは少なくとも14.0%wt、さらにより好ましくは少なくとも15.0%wt、さらにより好ましくは少なくとも16.0%wt、より好ましくは少なくとも17.0%wt、さらにより好ましく少なくとも18.0%wt、さらにより好ましくは少なくとも19.0%wt、より好ましくは少なくとも20.0%wt、さらにより好ましくは少なくとも21.0%wt、さらにより好ましくは少なくとも22.0%wt含む。出願人らは、接着剤成分の濃度がこれらの限界を超える場合、形成される接着剤結合もまた、特により吸着性の高い基材でより強く、より信頼できることを見出した。出願人は、この利点は接着剤成分のより高い存在と水の存在の減少によるものであると信じており、基板への接着剤の十分ではあるが過度ではない浸透と接着剤結合からの水の迅速な除去との間の妥協も改善するこれは、蒸発による水分の除去後、接着剤結合の所望の位置での接着剤成分のより高い存在につながる。接着剤成分のより高い存在はまた、より少ない水を蒸発させる必要があるので、プロセスの必要とされるエネルギーが減少するという利点をもたらす。
【0160】
本発明の一実施形態では、接着剤組成物は水性組成物であり、デンプンを含み、組成物中のすべてのデンプンの91.0重量%より多くが冷水不溶性形態にある。本発明による接着剤組成物において、組成物中のすべてのデンプンの少なくとも92.0重量%が冷水不溶性形態にある、すなわち非糊化及び/又は真珠デンプンとして存在することが好ましい。より好ましくは少なくとも93.0%、さらにより好ましくは94.0%、さらにより好ましくは少なくとも95.0%、より好ましくは少なくとも96.0%、さらにより好ましくは少なくとも97.0%、さらにより好ましくは少なくとも98.0%、さらにより好ましくは少なくとも99.0デンプンの重量%、最も好ましくは少なくとも99.9%がパール又は非ゼラチン化デンプンとして存在する。ゼラチン化デンプンを非含有である好ましい実施形態では、スタインホールプロセスなどの、接着剤用の粘性担体を最初に調製するプロセス工程を完全に省くことができ、これによりプロセスが大幅に簡素化される。この特徴は、デンプンを含有する本発明によるすべての接着剤組成物、したがって本質的にホウ素を非含有である組成物にも適用するのが好ましい。利点は、ゼラチン化デンプンが微生物学的に成長しやすく、不快な臭いが発生するのに対し、パールデンプンはこの望ましくない現象の影響を受けないか、ほとんど影響を受けない。全デンプンと比較して、組成物中の真珠デンプンの比率が高いほど、本発明による組成物の細菌学的安定性は高い。デンプンが本質的にゼラチン化されない組成物は、臭気を含む、粘度、接着力などの多くの特性に関して非常に高い安定性を特徴とすることがわかった。この利点は、小麦粉がデンプンの供給源として使用される場合に特に有益である。
【0161】
本発明の一実施形態では、接着剤組成物はデンプンを含み、デンプンの少なくとも一部は小麦粉として存在する。出願人は、本発明の接着剤組成物において、デンプンは、上で説明したように、天然原料の乾式処理から得られる小麦粉などの、より純粋でない形態で提供されてもよいことを見出した。小麦粉は、湿式法で製造されたデンプンに比べてはるかに安価な原料である。したがって、接着剤組成物は、純粋なデンプンに基づく従来の接着剤と比較して、より容易に入手可能であり、はるかに経済的な供給原料から製造することができる。接着剤の消費量が多いことを考慮すると、この利点は、ボール紙製造業者などの接着剤の消費者にとって非常に重要である。
【0162】
デンプンの供給源としての小麦粉の使用は、アルカリ性が強すぎない、好ましくは最大で10.0、より好ましくは最大で9.0、さらにより好ましくは最大で8.0のpHを有する組成物に特に適している。この理論に縛られず、我々は、小麦粉に含まれるタンパク質はすべて、NaOHなどの強塩基と反応する可能性があり、その結果、接着剤組成物が適切に安定せず、細菌の攻撃に対して脆弱になり得ると信じる。
【0163】
本発明の一実施形態では、接着剤組成物は水性組成物であり、以下の特徴の少なくとも1つを有する:
(i)最高70℃のゲル化点、
(ii)屈折計の%Brixで最大15%の読み取り、
(iii)スピンドル4を備えたBrookfield RV装置で150rpmの速度で150rpmの速度で測定した、25℃での200℃から2000mPa.sの範囲のBrookfield粘度、及び
(iv)スピンドル速度1rpmで(iii)として測定された粘度を、スピンドル速度150rpmで測定された粘度で少なくとも5.00で割った比。
【0164】
本発明の実施形態では、接着剤組成物は、最大で70℃、好ましくは最大で65℃、より好ましくは最大で62℃、さらにより好ましくは最大で60℃、さらにより好ましくは5℃のゲル化点を有する。最高58℃、最も好ましくは最高57℃。ゲル化点は、好ましくはさらに高く、例えば最大で55℃、好ましくは最大で53℃又はさらには52℃、さらにより好ましくは最大で52℃であってもよい。この低減されたゲル化点又はゲル化点は、結合機能を達成するためのより低い温度要件という利点をもたらし、それは適用プロセスのエネルギー要件を低減する。
【0165】
好ましくは、本発明の接着剤組成物は、最大で15%、好ましくは最大で14%、より好ましくは最大で13%、さらにより好ましくは最大で12%の%ブリックスでの屈折計読み取り値を有する。我々は、屈折計の読み取り値をできるだけ低く、好ましくは最大で10%、より好ましくは最大で7%又はさらには5%、さらにより好ましくは最大で3%又はさらには1%、最も好ましくは0%であるようにする。
【0166】
一実施形態では、本発明による接着剤組成物は、25℃で、スピンドル4を備えたブルックフィールド粘度計で毎分150回転(rpm)で測定されたスピンドル速度が200から2000mPa.s又はセンチポアズ(cP)の範囲の粘度を有する。150rpmで測定されたこの粘度は、好ましくは250~1500cPの範囲、より好ましくは370~1250cPの範囲、最も好ましくは500~1000cPの範囲である。
【0167】
好ましくは、1rpmのスピンドル速度での接着剤組成物の粘度は、3000~60000mPa.s、より好ましくは少なくとも5000mPa.s、さらにより好ましくは少なくとも10000mPa.s、さらにより好ましくは少なくとも12000mPa.s.。
【0168】
一実施形態では、本発明による接着剤組成物の粘度は、加えられる剪断応力の量が低い値に減少すると、強く増加する。このように、本発明による接着剤組成物の粘度の比は、25℃でスピンドル4を備えたブルックフィールド粘度計で測定され、mPa.s又はcPで表され、スピンドル速度1で測定される。150rpm(高剪断)のスピンドル速度で測定された粘度で割ったrpm(低剪断)は、好ましくは少なくとも5.00、好ましくは少なくとも7.0、より好ましくは少なくとも10.0、さらにより好ましくは少なくとも12.0又はさらに15.0、さらに好ましくは少なくとも20.0である。この比率が高いほど、波形の場所と比較して、接着剤の動作の違いが、ナイフ又はドクターロールを使用してアプリケーターロールに適用された場所と、波形の先端に適用された場所との間でよくなる。アプリケーターロールから分離しているため、回転やその他の望ましくない現象の発生を最小限に抑えたり、回避したりできる。高い比率では、従来のスタインホール接着剤と比較して、高剪断での粘度が低く、したがってより高いライン速度での操作を可能にする接着剤を準備できるが、低剪断での望ましくない影響のために適用する接着剤が少なくて済む紡績や「ウィッキング」など、主に波形がアプリケーターロールから離れている条件は避ける。
【0169】
出願人は、カルボマー自体がデンプン及び/又はデキストリンのゲル化点に影響を与えて低下させ、その結果、望ましいゲル化点の低下を得るために必要な塩基が少なくなることを見出した。これは、組成物に加えられる塩基がより少ないか又は全くないという利点をもたらす。この利点は、カルボマーによって導入された可能性のある酸性度を補うためにのみ塩基が使用され、接着剤組成物が上記で指定されたより狭い範囲のいずれか、好ましくは6.8~7.2の範囲である。これは、遊離苛性ソーダを実質的に含まず、したがって遊離苛性ソーダに関連する毒性及び/又は健康上の懸念なしに使用できる接着剤を提供できるという利点をもたらす。
【0170】
さらに、本発明の文脈で使用されるような低濃度であっても、カルボマーが本発明のデンプン及び/又はデキストリンベースの接着剤組成物に耐水性をもたらすことを見出した。これは、デンプン及び/又はデキストリンを含むカルボマー。これは、本発明のデンプンベースの接着剤組成物が、例えば標準的なNFQ03.042によって要求されるような耐水性接着剤の要件を満たすために、より少ない耐水性樹脂を必要とするという利点をもたらす。
【0171】
一実施形態では、本発明による接着剤組成物は、ホウ素又はホウ素含有化合物を実質的に含まず、かつ/又は遊離NaOHを実質的に非含有である。この文脈における用語「実質的に非含有である」は、これらの化合物の存在が、それが消費者及び/又は立法者にとって懸念を引き起こす可能性があるレベルを下回ることを意味する。特定の化合物の存在は、特定の懸念に関連して使用又は処方された分析方法を使用して決定することができる。ホウ素含有量及び/又は遊離NaOHを測定するための適切な分析方法は、当技術分野でよく知られている。
【0172】
本発明の一実施形態では、添加剤を調製する方法は、指定されたさらなる成分の少なくとも1つを、カルボマー及びメタシリケートの上に混合することをさらに含む。さらなる成分は、後者の2つが一緒に混合される前に、カルボマー及びメタシリケートの少なくとも1つと混合され得るか、又はさらなる成分は、カルボマーとメタシリケートの調製された混合物に混合され得る。
【0173】
本発明の一実施形態では、カルボマーとシリケートの混合物は、乾燥粉末混合物である。少なくとも1つのさらなる成分の混合は、成分を乾燥成分として、好ましくは粉末として一緒に混合することによって行われ得るが、成分のいくつかは、好ましくは、例えば、顆粒として導入され得る。ホウ素含有化合物。一部の成分は、液体として導入されてもよい。水溶液であり、混合中に他の粒状成分の粒子に完全に吸収されるため、混合によって依然として乾燥粉末混合物製品の形態が得られる可能性がある。
【0174】
本発明の実施形態では、添加剤組成物及び/又は接着剤組成物を調製する方法は、好ましくは高剪断条件下でカルボマーを水に溶解する工程をさらに含む。この工程は、カルボマーだけで実行でき、その後、後続のいくつかの工程で、シリケートと他の望ましい成分を最終製品に導入する。カルボマーを溶解する工程はまた、カルボマーと他の所望の及び/又は必須の成分の少なくとも1つとの乾燥混合物で行われてもよい。粉末としてのカルボマーの水溶液への混合は、好ましくは高剪断ミキサーを用いて高剪断条件下で行われる。適切な工業用タイプの高剪断ミキサーは産産業でよく知られている。実験室では、IKAマジックLABハイシアーミキサーの使用を選択した。カルボマーは、液体分散物として得ることもできる。カルボマーを液体分散液として別の液体に混合することは、好ましくは、高剪断を適用せずに、遅いミキサーを用いて行われ、泡の形成が最小限に抑えられ、ホイップムースを形成するリスクが低減される。
【0175】
本発明の一実施形態では、添加剤組成物及び/又は接着剤組成物を調製する方法は、ホウ素含有化合物及び/又は適切な代替物、好ましくはホウ素含有化合物及び/又はこの文書の他の場所で特定されるようなその代替物、より好ましくはアミノボレートを添加する工程をさらに含む。
【0176】
ホウ素含有化合物又はその代替物は、乾燥成分として導入されてもよく、混合されて、混合生成物として乾燥粉末ミックスを形成してもよい。ホウ素含有化合物又はその代替物はまた、本発明によるカルボマーを用いて懸濁させることができる。最も適切なのは、典型的には高剪断ミキサーを使用して、最初に0.5-6%wt、好ましくは1-5%wt、より好ましくは2-4%wtの範囲の濃度で水中にカルボマーを含むゲルを調製することである。このゲル1000kgに、ホウ素含有化合物又はその代替物、例えば、ホウ砂100~2000kg、好ましくはホウ砂400~1800kg、より好ましくはホウ砂500~1500kg、さらにより好ましくは550~1000kgのホウ砂を懸濁させることができる。ホウ素含有化合物又はその代替物は、単純な混合の間に添加されてもよく、又は高剪断ミキサーでのゲルの調製の間に添加されてもよい。シリケートを水溶液として導入することもできるが、シリケートを導入するために同じ手順を適用することができる。得られた懸濁液は、ホウ素又はその代替物を従来のスタインホール接着剤又はその変形物、ならびに本発明による接着剤組成物に添加するための添加剤として適切であり得る。
【0177】
本発明の一実施形態では、添加剤組成物の使用は、デンプン、デキストリン及びポリビニルアルコールの少なくとも1つを含む接着剤組成物の接着性能を改善するためのものである。本発明による添加剤組成物を接着剤組成物に使用するための主な標的効果は、上記で説明したように、接着剤の粘着性、多孔質基材への浸透、及びその保水性を改善することである。
【0178】
接着剤組成物を調製するための本発明による方法の実施形態では、カルボマーとシリケートの混合物は、乾燥粉末混合物である。出願人は、カルボマー及びシリケートが好ましくは濃縮形態であり、乾燥粉末として一緒に混合され、それにより乾燥粉末混合物を形成することを見出した。この動作モードは、溶液中の高濃度でのカルボマーとシリケートの間の起こり得る相互作用の問題を回避することが見出され、これは、接着剤組成物を調製する方法が、カルボマーおよびケイ酸塩を高濃度で含む水性組成物を形成する工程を含む場合に潜在的に起こり得る。
【0179】
本発明の一実施形態では、接着剤組成物を調製する方法は、本発明による添加剤組成物を添加する工程を含む。出願人は、添加剤が接着剤組成物に望まれる多くの成分の非常に適切な供給源を提供することを見出した。したがって、添加剤を加えることは、カルボマー及びシリケートを接着剤組成物に導入するための非常に便利な方法であり、必要に応じて、接着剤組成物の他の多くの任意成分も導入する。
【0180】
基材及び接着剤結合を含む物品を製造するための本発明による接着剤組成物の使用の実施形態において、物品は、積層された非波形化若しくは波形化された紙若しくはボール紙、ボール紙、波形化ボール紙、必要に応じてチューブ又は巻きチューブの形態にあるボール紙、及びボール紙又は波形化ボール紙を含む容器又は包装容器からなる群から選択される。
【0181】
本発明による物品の製造方法は、積層されたボール紙紙又はカードボードの製造をさらに含むことができ、任意で、断続的な平らな紙によって互いに接続された複数の重ねられたボール紙紙又はカードの層を含み、上記の接着剤組成物は、波形の上部に塗布され、その後、層は、圧力下で互いに接着される。
【0182】
出願人は、本発明による接着剤組成物が、基材、特にカード/板紙の波形の変形のリスクを低減することを見出した。出願人は、この利点は接着剤の基材への浸透能力の低下によってもたらされると考えている。彼の見解では、接着剤の浸透を減少させると、塗布される接着剤の量を節約できるため、基材に接触する水の量が制限され、そのようにして基材に浸透する水の量が制限される。
【0183】
出願人は、この利点が主にカルボマーによってもたらされるレオロジー挙動の改善によって得られることを見出した。これにより、塗布時の粘度が低下するため、波形に塗布する接着剤の量を減らして薄くすることができる。より薄い層が適用されると、基材に接触して浸透する水の量が減少し、したがって、積層プロセスの過程でボール紙に浸透する水を蒸発させるためのエネルギー要件が低減する。水の浸透が低減することにより、ボール紙紙/カード及びフラットライナーの変形のリスクも最小限に抑えられる。出願人はさらに、好ましくは、適用後の接着剤組成物の粘度は、良好な接着を確実にするために十分に高くあるべきであることを見出した。
【0184】
カルボマーの存在は、適用時の十分に低い粘度と接着の実行時の十分に高い粘度の両方の要件を満たすことを可能にし、これにより、疑似塑性特性がもたらされ、接着剤組成物中にのみ低濃度で存在する場合でさえ、それらを含有する接着剤組成物はに対するこの疑似塑性挙動を伝えることができる。本発明による接着剤組成物を用いると、それに加えられる剪断力によって粘度が大きく変化する。特に、本発明の接着剤組成物は、
波形化紙/カードに塗布すると粘度が低下し得るため、塗布量を最小限に抑えることができる。
接着剤組成物が波形に塗布されるとすぐに、粘度のほぼ瞬間的な増加が起こり、接着剤の流出を防ぎ、良好な接着を保証しする。紙/カードへの接着剤の浸透が最小限に抑えられる結果として、剪断力が除去されるとすぐに、低剪断応力でのより高い粘度が復元される。接着剤の浸透が減少すると、水の浸透が減少する。これにより、浸透した水を蒸発させるためのエネルギー要件が最小限に抑えられ、強度が向上した紙/カードが得られ、厚紙が長持ちする傾向が減少し、その結果、はるかに短い乾燥時間の後の処理のため、厚紙が利用可能になる。一方、粘度は、十分な水の浸透が保証され、紙/厚紙に亀裂が形成されるリスクを最小限に抑えるようなものになる。
【0185】
出願人は、接着剤組成物の粘度が可逆的に増加及び減少し得ることも観察した。したがって、アプリケータからボール紙表面に転写されずにアプリケータ上に残った接着剤は、これが接着強度又はその粘度に悪影響を与えることなくリサイクル及び再利用することができる。出願人はさらに、従来の接着剤組成物と比較して、接着剤組成物がカード/板紙に対してより良い親和性を示し、表面の改善された接着性及び改善された印刷適性を提供することを観察した。従来の先行技術の接着剤組成物は、組成物中のデンプンのゲル化を制御することにより、接着剤組成物の粘度を制御する。ただし、ゲル化は不可逆的なプロセスである。いったんゲル化すると、接着剤組成物は通常再利用できず、その接着特性を失う。本発明では、接着剤組成物の粘度は、ゲル化プロセスとは無関係に制御することができる。
本発明による少なくとも一部のキットの1つの実施形態において、一部のキット中のカルボマーは、粉末、ゲル、及び溶液からなる群から選択される形態にある。出願人らは、これらの形態のカルボマーは、キットの部品化が意図されている製品の調製に容易に使用できるため、キットの部品の部品化に非常に適していることを見出した。出願人は、カルボマーがゲル及び/又は溶液として調製されることが好ましい。なぜなら、これは、キットの使用者に、カルボマーのゲルを形成するための高剪断混合を使用する工程を必要としないという部分で利点をもたらすからである。
【0186】
本発明によるパーツの少なくとも1つのキットの実施形態において、シリケートは、粉末、結晶、溶液、及びゲルからなる群から選択される形態にある。出願人らは、シリケートのこれらの代替形態が非常に便利であり、キットを部分的に意図する製品を調製するために容易に使用できることを見出した。
【0187】
本発明によるパーツの少なくとも1つのキットの実施形態において、カルボマー及びシリケートは、乾燥粉末の形態であり、好ましくは、カルボマー及びシリケートは、乾燥粉末混合物中に一緒になっている。出願人らは、これにより、活性成分の高い存在に対して高い利便性、少ない体積の利点をもたらすと同時に、カルボマー及びシリケートが高濃度の水溶液にもたらされるときに起こり得る適合性の問題を回避することを見出した。
【実施例
【0188】
ここで、本発明は、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の特定の実施形態を説明する以下の実施例によって例示される。
【0189】
(実施例1:添加剤の準備)
以下のレシピに従って、100リットルの添加剤を準備した:
【0190】
【表1】
【0191】
ヒドロキシエタン1,1-ジホスホン酸(HEDP)は、BASF社から60%wtの水溶液として得た。脂肪アルコールエトキシレート、リン酸エステルは、同じくBASF社から液体の形でLutensit(登録商標)A-EPとして得た。ナトリウムメタシリケートは、BRENNTAG社からの固体の白い結晶性の純粋な製品の五水和物(NaSiO.5HO)として得た。そのモル比(SiO/NaO)は1.01-1.05の範囲であった。水酸化カリウム(KOH)は、BRENNTAG社から50%wt水溶液として得た。溶液の密度は約1.512kg/Lであった。尿素(別名、カルボニルジアミド)は、BRENNTAG社から白い真珠の形の純粋な固体生成物として得た。
【0192】
以下の手順に従って添加剤を得た。簡単に攪拌しながら所定量の水に混合溶解し、均一になるまでHEDPとKOH溶液とした。続いて、ルテンシットA-EPを均一になるまで撹拌しながらゆっくりと加えた。その後、尿素及びナトリウムメタシリケートを添加し、完全に溶解するまで撹拌して、添加剤を形成した。
【0193】
添加剤のpHは13.2、密度は20℃で1.185kg/dm、乾燥固形分は34.30%ブリックス、ブルックフィールドLVT(LVT=低粘度タイプ)装置、60 rpmの標準スピンドル#1で測定した粘度は20℃で1mPa.sであった。
【0194】
(実施例2:接着剤組成物の調製)
総量1000kgの接着剤組成物を、5kgのカルボマー、250kgのパールコーンスターチ、及び40kgの実施例1から得られた添加剤を含む水性ゲルを混合して調製した。
【0195】
この実施例で使用したカルボマーは、Lubrizol Active Materials(US)社からCarbopol(登録商標)691として得た。
【0196】
得られた接着剤組成物は、性能について実験室で試験され、改善された粘着性、表面張力、保水性、及び紙への浸透を与えた。
【0197】
上記のCarbopol(登録商標)691の代わりに、Carbopol(登録商標)674、941、980、981、又はFloset(商標)TH 505を使用しても、同様の結果を得ることができた。
【0198】
これで本発明を十分に説明したが、本発明は、特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲から逸脱することなく、請求される範囲内の広い範囲のパラメータ内で実行できることが当業者には理解されよう。