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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-23
(45)【発行日】2024-01-31
(54)【発明の名称】相分離装置
(51)【国際特許分類】
   B01D 17/04 20060101AFI20240124BHJP
   B01D 17/00 20060101ALI20240124BHJP
   B01D 17/025 20060101ALI20240124BHJP
   B01D 29/11 20060101ALI20240124BHJP
【FI】
B01D17/04 501A
B01D17/00 503B
B01D17/025 501Z
B01D29/10 510C
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020559467
(86)(22)【出願日】2019-05-13
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-09-02
(86)【国際出願番号】 EP2019062190
(87)【国際公開番号】W WO2019224033
(87)【国際公開日】2019-11-28
【審査請求日】2022-05-12
(31)【優先権主張番号】102018004096.9
(32)【優先日】2018-05-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】500563201
【氏名又は名称】ハイダック プロセス テクノロジー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 有一
(72)【発明者】
【氏名】マルクス オルショク
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアン シントラー
(72)【発明者】
【氏名】マヌエル フーバー
【審査官】瀧 恭子
(56)【参考文献】
【文献】実開平01-052512(JP,U)
【文献】米国特許第03016984(US,A)
【文献】特表2003-515707(JP,A)
【文献】米国特許第03085690(US,A)
【文献】特開昭61-011112(JP,A)
【文献】特開昭62-049915(JP,A)
【文献】特開昭51-052562(JP,A)
【文献】特開2006-255008(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 23/00-35/04;35/08-37/08
B01D 17/00-17/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのコアレッサエレメント(42)を収容する第1の装置ハウジング(2)を有する相分離装置であって、前記第1の装置ハウジング(2)が、
前記少なくとも1つのコアレッサエレメント(42)のそれぞれを前記少なくとも1つのコアレッサエレメント(42)のいくつかの構成要素の内の少なくとも2つの構成要素に分離するために貫流するエマルションを供給するための入口(38)と、
分離された構成要素のための出口(46)と、
前記分離された構成要素に比較して小さい密度をもって前記分離された構成要素上で浮遊する他の分離された構成要素のための他の出口(22、64)とを有し、
前記第1の装置ハウジング(2)内に合体分離機と重力分離機の組み合わせが存在し、
第2の装置ハウジング(4)内に粒子フィルタが配置されており、前記粒子フィルタが前記第1の装置ハウジング(2)内の前記合体分離機と重力分離機の組み合わせの前段にプレフィルタとして接続されており、
粒子濾過のために少なくとも1つのフィルタエレメント(24、68)が使用され、前記少なくとも1つのフィルタエレメント(24、68)が前記第2の装置ハウジング(4)内に収容されている、相分離装置において、
前記第2の装置ハウジング(4)の構造が前記第1の装置ハウジング(2)の構造と同一であり
前記第1の装置ハウジング(2)及び前記第2の装置ハウジング(4)は、それぞれ、閉鎖された圧力容器の形態のモジュラーハウジング構造を有し
前記分離された構成要素のための出口(46)が、前記入口(38)のすぐ下流にある、前記少なくとも1つのコアレッサエレメント(42)への入口(40)の下方において、前記装置ハウジング(2)内に形成されていることを特徴とする、相分離装置。
【請求項2】
前記エマルション用の前記入口(38)が、前記少なくとも1つのコアレッサエレメント(42)のそれぞれの内部へ連通しており、前記エマルションが前記少なくとも1つのコアレッサエレメント(42)のそれぞれの内側から外側へ向かって貫流させられる、ことを特徴とする請求項1に記載の相分離装置。
【請求項3】
前記装置ハウジング(2)が、垂直の据え付け方向に見て細長く延びた、特にいくつかの部分からなるハウジングジャケットから形成されており、前記装置ハウジングが、その基部側において、前記エマルション用の前記入口(38)と、前記分離された構成要素のための出口(46)とを有しており、かつ、その頭部側において、前記他の分離された構成要素のための他の出口(22、64)を有している、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の相分離装置。
【請求項4】
前記装置ハウジング(2)の収容容積に関して、前記分離された構成要素のために提供される容積よりも、より多くの容積が、前記他の分離された構成要素のために提供される、ことを特徴とする請求項1~のいずれか1項に記載の相分離装置。
【請求項5】
前記他の分離された構成要素のための他の出口(22、64)が、弁装置(64)及び/又は通気装置(66)を有している、ことを特徴とする請求項1~のいずれか1項に記載の相分離装置。
【請求項6】
前記少なくとも1つのコアレッサエレメント(42)の少なくとも一部に、前記少なくとも1つのコアレッサエレメント(42)の構成要素として濾過段(52)が設けられている、ことを特徴とする請求項1~のいずれか1項に記載の相分離装置。
【請求項7】
前記少なくとも1つのコアレッサエレメント(42)の少なくとも一部に流出方向において外周側に少なくとも1つの付加的な保護ジャケット(72)が設けられており、前記保護ジャケットが吸着によって、前記分離された構成要素の滴成長を支援する、ことを特徴とする請求項1~のいずれか1項に記載の相分離装置。
【請求項8】
それぞれの濾過段(52)及び/又はそれぞれの合体段(42)が流体を透過する支持ジャケット(71)内に収容されており、前記支持ジャケットが、付属の継ぎ手(80)を介して開閉可能な少なくとも2つのジャケット部分(76、78)を有しており、前記ジャケット部分(76、78)が開放された位置においてそれぞれ使用済みのコアレッサエレメント(42)を新しいコアレッサエレメント(42)に交換することを可能にする、ことを特徴とする請求項又はに記載の相分離装置。
【請求項9】
粒子濾過のためにそれぞれのフィルタエレメント(24、68)が外側から内側へ向かって貫流され、かつ他の装置ハウジング(4)の濾液出口(34)が接続箇所(36)を介して、隣接して据え付けられた装置ハウジング(2)の入口(38)に接続されている、ことを特徴とする請求項1~のいずれか1項に記載の相分離装置。
【請求項10】
エマルションが水とオイルの混合物であり、かつ、
1つの分離すべき構成要素が水であり、他の分離すべき構成要素が、オイルである油圧媒体である、ことを特徴とする請求項1~のいずれか1項に記載の相分離装置。
【請求項11】
請求項1~1のいずれか1項に記載の相分離装置の使用において、
油圧設備に関するストックタンクのタンク出口に移送ポンプが接続されており、前記移送ポンプが粒子濾過の枠内で、それぞれのフィルタエレメント(24、68)を有する他の装置ハウジング(4)から粒子浄化されたエマルションを、それぞれのコアレッサエレメント(42)を有する第1の装置ハウジング(2)へ案内し、前記第1の装置ハウジングが粒子濾過に対して並列又は直列接続において分離されたオイルをストックタンクの方向へ案内する、ことを特徴とする相分離装置の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つのコアレッサエレメントを収容する装置ハウジングを有する、相分離装置であって、その装置ハウジングは、エマルションを供給するための入口と、分離された構成要素のための出口とを有しており、エマルションはそれぞれのコアレッサエレメントのいくつかの構成要素を少なくとも2つの構成要素に分離するためにそれを貫流する、相分離装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1(独国特許出願公開第102016006509号明細書)によって、少なくとも1つのフィルタエレメントを収容するハウジングを有する流体用のフィルタ装置であって、そのハウジングが、浄化すべき流体をハウジングの未濾液室へ供給するための入口を有しており、その未濾液室はそれぞれのフィルタエレメントのフィルタ媒体によってハウジングの濾液室から分離されており、その濾液室が濾液出口を有している、フィルタ装置が知られている。このようにして相分離の意味合いで粒子状の汚れが流体流からフィルタエレメントによって濾過される。さらに既知のフィルタ装置は、未濾液室の内部に配置された、磁場を発生する装置を有しており、その装置は磁気作用によってそれに付着する強磁性粒子のための付着面を有しており、そのようにしてその粒子は相分離の枠内で他の相として流体流から分離される。
【0003】
さらに、ディスパージョンとエマルションなどの多相の粒子を合体(コアレッサ)によって成分に分けることは、従来技術である。普及している技術的適用は、オイル又は燃料内の混加物としての水性の相を、搬出すべき水性の相としての水滴の形成のように、合体作用によって形成される、コロイド粒子の一体化によって分離することにある。市場に存在する既知の相分離装置は、特にオイル相が細かく分散している場合の異オイル分離において、たとえば加工オイル、油圧オイル、切断オイル及び同種のものなどのオイルを分離する場合に、特にその効率に関してその限界に達する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】独国特許出願公開第102016006509号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、エマルションを成分に分ける場合に、細かく分散したオイルを有するエマルションであっても、特に高い効率を特徴とする、少なくとも1つの合体段を有する相分離装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、この課題は、その全体において請求項1の特徴を有する相分離装置によって解決される。
【0007】
したがって、本発明は、冒頭で挙げた種概念の装置において、分離された構成要素のための出口の他に、その構成要素に比較して小さい度をもってその構成要素上に浮遊する、他の分離された構成要素のための他の出口を有している。それによって同一の装置ハウジング内に、合体分離器と重力分離器からなる組合せが形成される。分離率の高い効率の他に、分離された相もそれぞれ専用の付属の出口へ供給されるので、構成要素が完全に成分に分かれて、たとえば上方の出口における浮遊する比較的軽いオイル相とその下に位置する出口における水性の相の形式で、搬出可能である。さらに、1つの装置ハウジング内の合体分離器と重力分離器からなる組合せが、重力分離器に比較して小さい槽容積を有する特にコンパクトな装置構造を可能にし、それによって槽を交換する場合に交換容積がより小さくなる。比較的小さいハウジング表面による少ない熱損失が、高いエネルギ効率も可能にする。
【0008】
好ましくは、配置は、エマルション用の入口がそれぞれのコアレッサエレメントの内部へ連通し、そのコアレッサエレメントが内側から外側へ貫流されるように、行われる。
【0009】
好ましい実施例において、装置ハウジングは垂直の据え付け方向に見て細長く延びた、特にいくつかに分かれたハウジングジャケットから形成されており、その装置ハウジングが基部側において、好ましくは下方のハウジング3分の1内に、エマルション用の入口と分離された構成要素のための出口とを有し、かつ頭部側において、好ましくは上方のハウジング3分の1内に、特に好ましくは装置ハウジングの一番上に配置された箇所に、他の分離された構成要素のための他の出口を有している。
【0010】
好ましくは、この配置は、第1の分離された構成要素のための出口が、入口のすぐ下流にあるコアレッサエレメントへの入口の下方において、装置ハウジング内に形成されるように、行うことができる。
【0011】
特に好ましい実施例において、装置ハウジングの収容容積から見て、他の構成要素のために、第1の構成要素のためよりも多くの容積が、好ましくは1.5倍よりも多い容積が提供される。それによって、オイルのように度の小さい構成要素のために、コアレッサエレメントの上方に比較的大きいデッドゾーンが形成されているので、オイルなどの、比較的軽い相の重力分離が特に効果的である。
【0012】
好ましくは、オイルなどの、他の分離された構成要素のための出口に、弁装置及び/又は通気装置を設けることができる。通気装置による脱気が、オイル相などの比較的軽い相の沈静化をもたらし、かつ弁装置の存在が、たとえば時間制御を用いて、比較的軽い相の自動的な搬出を可能にする。
【0013】
好ましくは挿入されたコアレッサエレメントの少なくとも一部に、エレメントの構成要素として濾過段を設けることができる。それによって合体分離に加えて、同じエレメント内でケア分離を行うことができる。
【0014】
特に好ましい実施例において、挿入されたコアレッサエレメントの少なくとも一部に、流出方向外周側に、少なくとも1つの付加的な保護ジャケットが設けられており、その保護ジャケットは好ましくは吸着によって、分離された構成要素の滴育成を支援する。支持ジャケットは、好ましくは特殊鋼から形成することができ、場合によっては多層で目盛り構造にすることができる。
【0015】
これに関して配置は、好ましくは、それぞれの濾過段及び/又はそれぞれのコアレッサエレメントが、流体を透過する支持ジャケット内に収容されるように、行うことができ、その支持ジャケットは、付属の継ぎ手によって開閉可能な少なくとも2つのジャケット部分を有しており、それらのジャケット部分は開放された位置においてそれぞれ使用済みのエレメントを新エレメントと交換することを可能にする。
【0016】
脱混合すべき流体が、汚れ物質を有している場合に、エマルションは好ましくはその相分離前に粒子濾過を通過する。
【0017】
好ましい実施例において、粒子濾過のために少なくとも1つのフィルタエレメントが挿入されており、そのフィルタエレメントは他の装置ハウジング内に収容されており、それの構造は第1の装置ハウジングにほぼ相当する。それによって、このように部分的に同じ部品によって形成されている装置全体は、特に合理的に形成することができる。
【0018】
粒子濾過のために、それぞれのフィルタエレメントは外側から内側へ向かって貫流することができ、他の装置の濾液出口が接続箇所を介して、隣接して据え付けられた第1の装置ハウジングの入口に接続されている。接続箇所は、フランジパイプによって形成することができる。
【0019】
特に好ましくは本発明は、水-オイル-混合物の形式のエマルションを脱混合するのに適しており、分離すべき1つの構成要素が水であり、分離すべき他の構成要素が、オイルなどの、油圧媒体である。
【0020】
請求項14によれば、多相の媒体を脱混合するための請求項13のいずれか1項に記載の相分離装置の使用も、本発明の対象である。
以下、図面に示す実施例を用いて本発明を詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1は、本発明に係る相分離装置の実施例を簡略化して図式的に示す縦断面図である。
図2図2は、第2の実施例の、図1に相当する表示であって、コアレッサエレメントと粒子フィルタのエレメント材料は省かれている。
図3図3は、コアレッサエレメントの外側に位置する支持ジャケットを備えた第3の実施例の、図2に相当する表示である。
図4図4は、コアレッサエレメントを取り出して示す縦断面図である。
図5図5は、コアレッサエレメント用の支持ジャケットを取り出して示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
添付図面を参照して本発明の実施例が説明され、それにおいて第1の装置ハウジング2内に合体分離器と重力分離器の組合せが存在し、かつ第2の装置ハウジング4内には粒子フィルタが配置されており、その粒子フィルタは第1の装置ハウジング2内の合体及び重力分離器の前段にプレフィルタとして接続されている。一般的に第1の装置ハウジング2内の脱混合の前に前段濾過は必要であるが、汚れ物質の堆積のない媒体の場合には、場合によっては第2の装置ハウジング4内の粒子フィルタは省くことができる。2つの装置ハウジング2と4は、閉鎖された圧力容器の形式の、実質的に等しい構造のモジュラーハウジング構造を有している。これは、ハウジング2と4において、それぞれハウジング上部分6、ハウジング中央部分8及びハウジング下部分10を有しており、それらは真円筒状であり、等しい直径を有し、かつフランジ12を介して互いに結合されている。ハウジング下部分10は、それぞれ湾曲した底14を有しており、その底は排出ねじ16へ至るまで閉鎖されている。ハウジング下部分10と同様に、深絞りによってボウルのように形成されているハウジング上部分6は、下部分10の湾曲した底14と同様に湾曲した上方の終端部18を有している。これは、第2の装置ハウジング4においては、中央に位置する通気ねじ20によって閉鎖されており、第1の装置ハウジング2の終端部18には、中央に位置する出口接続端22が配置されている。
【0023】
前段濾過のために、第2の装置ハウジング4内に2つのフィルタエレメント24が設けられており、それらは重なり合って同軸に配置され、かつそれぞれその終端キャップ26において、その内側のフィルタ中空室が段部なしで互いに移行するように、互いに接続されている。上方のフィルタエレメント24は、その上方の終端キャップ26において閉鎖カバー28によって閉鎖されており、下方のフィルタエレメント24の下方の終端キャップ26には中央に位置する開口部30が設けられている。前段濾過のために、エマルションが入口32を介して第2の装置ハウジング4内へ流入し、その入口は下方のフィルタエレメント24の下方の終端キャップ26の下方において第2の装置ハウジング4のハウジング下部分10の側壁に配置されている。エマルションは、ハウジング下部分10の内部空間から第2の装置ハウジング4内のフィルタエレメント24の外側を包囲する間隙へ達して、フィルタエレメント24のフィルタ媒体を外側から内側へフィルタエレメント24のクリーン側の内部空間へ向かって貫流する。下方のフィルタエレメント24の下方の終端キャップ26の中央の開口部30に湾曲パイプ34が接続されており、それを介して前段濾過された濾液がハウジング下部分10から出てゆく。湾曲パイプ34は、接続フランジ36を介して湾曲パイプ38と接続されており、その湾曲パイプが第1の装置ハウジング2のハウジング下部分10の内部空間内へ通じている。湾曲パイプ38はその端部をもって、第1の装置ハウジング2内に配置されたコアレッサエレメント42の内部へエマルションを供給するための入口40を形成している。図示されるように、この入口40は、コアレッサエレメント42の下方の終端キャップ44の中央の開口部に配置されている。同様に図面から読み取れるように、入口40を有する下方の終端キャップ44はハウジング下部分10の底14の上方に軸方向の距離をおいて、かつ第1の装置ハウジング2のハウジング下部分10の側方の出口46の上方に軸方向の距離をおいて配置されている。コアレッサエレメント42の上方の終端キャップ48は、第2の装置ハウジング4内の上方のフィルタエレメント24の場合と同様に、閉鎖カバー50によって閉鎖されている。
【0024】
駆動中に、脱混合すべきエマルションは下方の終端キャップ44の入口40を介してコアレッサエレメント42の内部空間内へ達し、かつそのエレメント材料52を内側から外側へ向かって、第1の装置ハウジング2内のコアレッサエレメント42の外側を包囲する空間54へ貫流する。エレメント材料52内の合体段によって、装置ハウジング2の下方の領域内に水性の相56として集まる、水性のコロイドの滴の成長による水性の相の分離によって相分離がもたらされ、かつその上に位置するオイル相58がもたらされる。図1~3から読み取ることができるように、第1の装置ハウジング2内でコアレッサエレメント42の上方にデッドルーム60が存在し、そのデッドルームはオイル除去ゾーン62として上方へ向かってオイル相58に連続し、かつ上方のハウジング終端部8の出口接続端22まで達している。水性の相の上に浮遊する、より軽いオイル相のために、水性の相の体積よりも1.5倍までの大きい容積を提供する、この軸方向に広がるデッドルーム60は、オイルなどの、より軽い相のきわめて効率的な重力分離を支援する。ハウジング上部分6の上方の端部に設けられた接続端22は、出口弁64によって制御される、分離された軽い相のための出口を形成する。接続端22にさらに接続されている、除去ゾーン66の脱気を保証する、自動的な排気装置66が、オイル相の沈静化によってさらに重力分離の効率を支援する。コアレッサエレメント42は、合体段に加えてさらに、そのエレメント材料52内に濾過段を有することができ、その濾過段はケア濾過用に設計することができる。
【0025】
図2は、変化した実施例を示しており、それが第1の実施例と異なるのは、第2の装置ハウジング4内に粒子を濾過するために2つのフィルタエレメント24から形成されたフィルタコアの変わりに一体的なフィルタエレメント68のみが挿入されていることのみである。
【0026】
図3の実施例は、コアレッサエレメント42がそのフィルタ材料52の外側において支持ジャケット72によって包囲されていることを別にして、図2の例に相当し、その支持ジャケットは図5に取り出して示されており、かつ、同様に図4に取り出して示されているコアレッサエレメント42の回りに再使用可能な構成部品として巻き付けることができる。支持ジャケット72は、特殊鋼から形成されており、パーフォレーション74からなるパターンを有している(図5には部分的に示されている)。特殊鋼の境界面エネルギが高いことに基づいて、ジャケット72は付加的に、金属表面における吸着によってオイル内の滴成長を支援する。特に合体段が、流れ方向に増大する多孔性を有する多層の目盛りづけされた構造である場合に、高い効率の分離が達成可能である。図5に示すように、ジャケット72は開閉可能なジャケット部分76、78から形成されており、それらのジャケット部分がある種の継ぎ手80によって互いに結合可能であるので、ジャケット72は何回も使用することができる。
また、本開示は以下の発明を含む。
第1の態様は、
少なくとも1つのコアレッサエレメント(42)を収容する装置ハウジング(2)を有する相分離装置において、前記装置ハウジング(2)が、
前記少なくとも1つのコアレッサエレメント(42)のそれぞれを前記少なくとも1つのコアレッサエレメント(42)のいくつかの構成要素の内の少なくとも2つの構成要素に分離するために貫流するエマルションを供給するための入口(38)と、
分離された構成要素のための出口(46)と、
前記分離された構成要素に比較して小さい密度をもって前記分離された構成要素上で浮遊する他の分離された構成要素のための他の出口(22、64)とを有する、相分離装置である。
第2の態様は、
前記エマルション用の前記入口(38)が、前記少なくとも1つのコアレッサエレメント(42)のそれぞれの内部へ連通しており、前記エマルションが前記少なくとも1つのコアレッサエレメント(42)のそれぞれの内側から外側へ向かって貫流させられる、ことを特徴とする第1の態様における相分離装置である。
第3の態様は、
前記装置ハウジング(2)が、垂直の据え付け方向に見て細長く延びた、特にいくつかの部分からなるハウジングジャケットから形成されており、前記装置ハウジングが、その基部側において、特に前記装置ハウジングの下方3分の1内において、前記エマルション用の前記入口(38)と、前記分離された構成要素のための出口(46)とを有しており、かつ、その頭部側において、好ましくは前記装置ハウジングの上方の3分の1内において、特に好ましくは装置ハウジング(2)の一番上に配置された箇所に、前記他の分離された構成要素のための他の出口(22、64)を有している、ことを特徴とする第1の態様又は第2の態様における相分離装置である。
第4の態様は、
前記分離された構成要素のための出口(46)が、前記入口(38)のすぐ下流にある、前記少なくとも1つのコアレッサエレメント(42)への入口(40)の下方において、前記装置ハウジング(2)内に形成されている、ことを特徴とする第1の態様~第3の態様のいずれか1つにおける相分離装置である。
第5の態様は、
前記装置ハウジング(2)の収容容積に関して、前記分離された構成要素のために提供される容積よりも、より多くの容積が、好ましくは1.5倍よりも大きい容積が、前記他の分離された構成要素のために提供される、ことを特徴とする第1の態様~第4の態様のいずれか1つにおける相分離装置である。
第6の態様は、
前記他の分離された構成要素のための他の出口(22、64)が、弁装置(64)及び/又は通気装置(66)を有している、ことを特徴とする第1の態様~第5の態様のいずれか1つにおける相分離装置である。
第7の態様は、
前記少なくとも1つのコアレッサエレメント(42)の少なくとも一部に、前記少なくとも1つのコアレッサエレメント(42)の構成要素として濾過段(52)が設けられている、ことを特徴とする第1の態様~第6の態様のいずれか1つにおける相分離装置である。
第8の態様は、
前記少なくとも1つのコアレッサエレメント(42)の少なくとも一部に流出方向において外周側に少なくとも1つの付加的な保護ジャケット(72)が設けられており、前記保護ジャケットが好ましくは吸着によって、前記分離された構成要素の滴成長を支援する、ことを特徴とする第1の態様~第7の態様のいずれか1つにおける相分離装置である。
第9の態様は、
それぞれの濾過段(52)及び/又はそれぞれの合体段(42)が流体を透過する支持ジャケット(71)内に収容されており、前記支持ジャケットが、付属の継ぎ手(80)を介して開閉可能な少なくとも2つのジャケット部分(76、78)を有しており、前記ジャケット部分(76、78)が開放された位置においてそれぞれ使用済みのコアレッサエレメント(42)を新しいコアレッサエレメント(42)に交換することを可能にする、ことを特徴とする第1の態様~第8の態様のいずれか1つにおける相分離装置である。
第10の態様は、
前記エマルションが、その相分離の前に粒子濾過(4)を通過する、ことを特徴とする第1の態様~第9の態様のいずれか1つにおける相分離装置である。
第11の態様は、
粒子濾過のために少なくとも1つのフィルタエレメント(24、68)が使用され、前記フィルタエレメントが他の装置ハウジング(4)内に収容されており、その構造がほぼ第1の装置ハウジング(2)に相当する、ことを特徴とする第1の態様~第10の態様のいずれか1つにおける相分離装置である。
第12の態様は、
粒子濾過のためにそれぞれのフィルタエレメント(24、68)が外側から内側へ向かって貫流され、かつ他の装置ハウジング(4)の濾液出口(34)が接続箇所(36)を介して、隣接して据え付けられた装置ハウジング(2)の入口(38)に接続されている、ことを特徴とする第1の態様~第11の態様のいずれか1つにおける相分離装置である。
第13の態様は、
エマルションが水とオイルの混合物であり、かつ、
1つの分離すべき構成要素が水であり、他の分離すべき構成要素が、オイルなどの、油圧媒体である、ことを特徴とする第1の態様~第12の態様のいずれか1つにおける相分離装置である。
第14の態様は、
第1の態様~第13の態様のいずれか1つにおける相分離装置の使用において、
油圧設備に関するストックタンクのタンク出口に移送ポンプが接続されており、前記移送ポンプが粒子濾過の枠内で、それぞれのフィルタエレメント(24、68)を有する他の装置ハウジング(4)から粒子浄化されたエマルションを、それぞれのコアレッサエレメント(42)を有する第1の装置ハウジング(2)へ案内し、前記第1の装置ハウジングが粒子濾過に対して並列又は直列接続において分離されたオイルをストックタンクの方向へ案内する、ことを特徴とする相分離装置の使用である。
図1
図2
図3
図4
図5