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特許7425752押出形材からシートプレート又は中空チャンバプレートを製造するための設備
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-23
(45)【発行日】2024-01-31
(54)【発明の名称】押出形材からシートプレート又は中空チャンバプレートを製造するための設備
(51)【国際特許分類】
   B21C 23/00 20060101AFI20240124BHJP
   B21C 23/06 20060101ALI20240124BHJP
【FI】
B21C23/00
B21C23/00 A
B21C23/06
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020566942
(86)(22)【出願日】2019-05-24
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-09-27
(86)【国際出願番号】 DE2019000150
(87)【国際公開番号】W WO2019228579
(87)【国際公開日】2019-12-05
【審査請求日】2022-05-10
(31)【優先権主張番号】102018004387.9
(32)【優先日】2018-06-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】515281824
【氏名又は名称】ブルーンケ・ウルリヒ
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 真介
(72)【発明者】
【氏名】ブルーンケ・ウルリヒ
【審査官】藤長 千香子
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-524538(JP,A)
【文献】特開平03-291114(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0045335(US,A1)
【文献】特開平06-226331(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0209909(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0205863(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0198904(US,A1)
【文献】特開2015-223631(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21C 23/00-35/00
B21D 22/22
B21D 35/05
B21D 25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軽金属、もしくはマグネシウム又はマグネシウム合金から製造された円形又はほぼ円形の押出形材(7)からシートプレート(19)又は中空チャンバプレート(20)を製造するための設備であって、縦方向に開放した押出形材(7)を発生させるための押出プレス(1)と、製造すべきシートプレート(19)もしくは中空チャンバプレート(20)の長さに応じて押出形材(7)を裁断するための分離装置(6)と、開放した押出形材(7)の縦方向間隙を拡大してU字形の形材(7)を形成するための曲げユニット(4)と、U字形の形材(7)を平坦なシートプレート(19)もしくは中空チャンバプレート(20)に拡開するための拡開ユニット(3)と、積重ねユニット(5)とを有するものにおいて、
それぞれ1つの拡開ユニット(3)が、1つの積重ねユニット(5)と共に、曲げユニット(4)の両側で押出方向に対して平行に配置されることによって、2つの拡開ユニット(3)が、押出ラインに対して平行に配置されると共に同じ押出プレス(1)に連結され、これにより、押出プロセスと拡開プロセスが互いに切離されていること、及び、曲げユニット(4)から拡開ユニット(3)へのU字形の形材(7)の引渡しが、処理装置によって行なわれること、を特徴とする設備。
【請求項2】
拡開ユニット(3)と積重ね装置(5)の間に、較正又は型押し装置が配置されていること、を特徴とする請求項1に記載の設備。
【請求項3】
較正又は型押しユニットが、互いに対して移動可能な2つの加熱された型押しプレート(24)から構成され、較正又は型押しユニットが、簡単な油圧プレスの形態で形成されていること、を特徴とする請求項に記載の設備。
【請求項4】
拡開ユニット(3)が、離間可能かつ回転可能な2つのクランプ装置(16)によって構成され、これらクランプ装置が、U字形のレールと、このレール内に配置された、少なくとも2つの油圧シリンダ(17)によって作用を受けるクランプレール(18)から成ること、を特徴とする請求項に記載の設備。
【請求項5】
拡開ユニット(3)が、3ロールユニット(25)によって構成され、この3ロールユニット(25)が、互いに平行に配置された2つの上ロール(26)と、上ロール(26)の方向に移動可能な1つの下ロール(27)から成り、3ロールユニットに送り又は搬送ユニットが付設されていること、を特徴とする請求項に記載の設備。
【請求項6】
U字形の形材(7)もしくはシートプレート(19)もしくは中空チャンバプレート(20)と接触する設備の全ての部分が、鉄材料との直接的な接触を防止するために、コーティングを備えているか、マグネシウム適合性材料から成ること、を特徴とする請求項に記載の設備。
【請求項7】
分離装置()が、平坦なシートプレート(19)を製造するために、非切削型分離装置として、もしくは楔又はバイト切断装置として形成されていること、を特徴とする請求項に記載の設備。
【請求項8】
分離装置()が、平坦な中空チャンバプレート(20)を製造するために、切削型分離装置として、もしくは切屑用の吸引装置と組み合わせた鋸として形成されていること、を特徴とする請求項に記載の設備。
【請求項9】
処理装置が、機械式又は空圧式の把持システムを備えていること、を特徴とする請求項1に記載の設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、押出プレス設備によって特にマグネシウム又はマグネシウム合金から製造された円形又はほぼ円形の薄肉の押出形材からシートプレート又は中空チャンバプレートを製造するための設備に関する。中空チャンバプレートと呼ばれるのは、対向する形材の壁に結合された内側ウェブと、共通の内側ウェブを備える互いに隣接する少なくとも2つの中空室とを備えたプレート状の押出形材であり、この押出形材は、ウェブ又は二重ウェブプレートとも呼ばれる。
【背景技術】
【0002】
一般に知られているのは、2つのロールの間で液状の合金を鋳造し、次いで多数の圧延及び熱処理プロセスによってシートを製造することである。プレート材からシート材への圧延パスの数が多いことに基づいて、この方法は、非常に高コストになる。鋳造組織から成形可能な混連組織を達成するためには複数のステップが必要である。圧延パスの数が多いことは、高コストになる。
【0003】
西独国特許第4333500号明細書は、横断面に段の付いた中実プロファイルを備える、肉厚の異なるシートを製造するための方法を開示するが、この方法の場合、まず、半製品が製造され、この半製品の横断面が、厚さ方向のシートの横断面と同様であり、半製品からシートが圧延され、半製品の製造のため、半製品の所望の肉厚経過に対応する周囲に分配された肉厚経過を備えた中空プロファイルが押出し成形され、この場合、中空プロファイルは、母線に沿って切開され、半製品に成形される。この場合、更に、2つの相補的プロファイルが重ねられ、相補的プロファイルの成形された接触側面の少なくとも一方が、分離剤を備えられ、両相補的プロファイルが、同時にシリンダ状の、即ち段のないロールによって圧延される。圧延前に、両相補的プロファイルが、対向する2つの母線にて分離される。
【0004】
このプロセスにより、それぞれ2つの部分が製造される。製造工程は、不連続であり、比較的狭い部分しか製造できない。更に、欠点であるのは、2つの異なる肉厚を有するように形成された半製品と、段のついたロール装置に基づいて、製造プロセスが、比較的複雑であることである。
【0005】
独国特許出願公開第102008048号明細書から、シート成形部品を製造するための方法と、この方法を実施するための装置が知られている。方法は、管状体を押出し成形又は連続鋳造するステップと、管状体をその縦方向に切開するステップと、管状体を平坦体に拡開するステップと、それ自体公知の製造技術によって平坦体を図面通りの部品に完成させるステップを含む。装置は、実質的に溶融ユニット、連続鋳造ユニット又は押出ユニット、縦方向切断装置、ロールスタンド、1つ又は複数の成形ユニットの連結から成る。
【0006】
独国特許出願公開第1020070002322号明細書から、軽金属、好ましくはマグネシウムから成るシート又はシート部分を製造するための方法が知られており、1つ又は複数の先行する方法ステップで、開放した構造もしくは閉鎖された構造-次いでスリットを入れた後に開放した構造にされる-の押出形材が製造され、この押出形材は、次いで1つ又は複数のステップで、複数の圧延及び曲げステップを介して矯正圧延及び矯正曲げを受けさせられる。
【0007】
英国特許出願公開第2469549号明細書には、金属の半製品を製造し、半製品を実質的に平坦なシートに成形するステップと、シートからシート部分を分離するステップと、シート部分を変形させるステップを備え、金属の半製品の製造が、押出しによって行なわれる、支持構造、好ましくはシート部品又は/及び車両シートのバックレスト用の少なくとも1つのシートシェルを備えた車両シート用の支持構造を製造するための方法が記載されている。
【0008】
米国特許第2681764号明細書には、U字形の形材を製造するための細長いU字形のスリットの形態の基部を備えたダイ要素を有し、形材が、次いで平坦化される、幅広シートを押し出すための装置が記載されている。
【0009】
米国特許第1133903号明細書には、管を縦方向に切開し、ダブルフライングブレードにより拡開し、次いで圧延することによって金属管を平坦なストリップに変換することが記載されている。
【0010】
米国特許第3002255号明細書には、連続的な金属ストリップ等を製造するための方法が記載されている。製造は、インゴットを平坦とは違う形状に連続的に押し出し、押出しに続いて段階的に平坦化し、レベリングステップ中に張力下で形状を保持し、各押出しステップ中に予め平坦化されたストリップを巻き取ることによって行なわれる。
【0011】
英国特許第556061号明細書には、鋳造により連続的に製造される管からの鉄板及び鋼板の製造における改善が記載されている。押出プレスのダイを出た後、管は、縦方向に切開され、成形ロールによって拡開及び平滑化される。
【0012】
米国特許第5829298号明細書には、ワークピースが、円形状の横断面を備えかつ内部にスリットを形成した管を形成するためのパンチに供給され、管が、反対方向の外方向曲げによってスリット領域を開放及び平坦化される、金属ストリップを連続的に製造するための方法及び装置が記載されている。
【0013】
欧州特許第2996825号明細書には、押出プレスダイから出る押出形材が、シートプレートに成形される、特にマグネシウム又はマグネシウム合金から成る薄い厚さのストランド状形材からシートプレートを製造するための方法及び設備が記載されている。設備は、押出形材を生じさせるダイを備えた押出プレスと、ダイに続く変形ユニットとから成り、変形ユニットが、製造すべきシートプレートの長さに応じて押出形材を分離するための分離ユニットと、形材をU字形に曲げるための曲げユニットと、U字形の形材をシートプレートに巻き上げるための巻上げユニットから成る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【文献】西独国特許第4333500号明細書
【文献】独国特許出願公開第102008048号明細書
【文献】独国特許出願公開第1020070002322号明細書
【文献】英国特許出願公開第2469549号明細書
【文献】米国特許第2681764号明細書
【文献】米国特許第1133903号明細書
【文献】米国特許第3002255号明細書
【文献】英国特許第556061号明細書
【文献】米国特許第5829298号明細書
【文献】欧州特許第2996825号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明の課題は、押出プレス金型から出る、好ましくは開放した押出形材が、シートプレート又は中空チャンバプレートに拡開され、拡開プロセスが、押出プロセスから切離されている、特にマグネシウム又はマグネシウム合金から成る円形またはほぼ円形の薄肉の押出形材からシートプレート又は中空チャンバプレートを製造するための設備を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明によれば、この課題は、請求項1に挙げた特徴的な特徴の適切な実行によって解決される。押出プレスの押出プレス金型から出る開放した押出形材は、製造すべきシートプレート又は中空チャンバプレートの長さに応じて分離され、開放した押出形材の縦方向間隙が拡大され、好ましくはほぼU字形の形材が形成され、次いで拡開ユニットに移送され、この拡開ユニットで、平坦なシートまたはプレートに拡開され、次いで積重ねユニット内に保管される。設備は、押出方向に対して平行に配置された少なくとも1つの、好ましくは2つの拡開ユニットを備える。製造されるのは、5.0mm未満の厚さ、好ましくは2.5mm未満、1.0~1.5mmの範囲の厚さを備えたシートプレート又は中空チャンバプレートである。
【0017】
第1のステップで、ダイから出る押出形材は、製造すべきシートプレートの長さに応じて分離され、第2のステップで、開放した押出形材の縦方向間隙が拡大され、好ましくはほぼU字形の形材が形成される。続く第3のステップで、U字形の形材は、拡開ユニットに導入され、クランプ装置によってU字形の形材の縦方向側面を把持され、外側に向かって移動するクランプ装置によってシートプレート又は中空チャンバプレートに変形される。
【0018】
開放した押出形材のシートプレート又は中空チャンバプレートへの変形は、選択的に、開放した押出形材に挿入される少なくとも1つのローラ対によって行なうことができるが、それは、個々のローラが、それぞれ縦方向側面の端領域の方向に移動されることによる。
【0019】
拡開ユニットの形成の別の可能性は、拡開ユニットが、把持要素と、U字形の形材に挿入可能な2つの可動のローラの組合せから構成されることにある。製造すべきシートプレートの表面を保護するために、ローラは、弾性的な耐熱性の表面コーティングを備えることができる。ここで使用されるローラは、ローラが表面の損傷を惹起しないように形成されている。
【0020】
開放した押出形材をシートプレート又は平坦な中空チャンバプレートに拡開するための可能性は、開放した押出形材を3ロールユニットによってシートプレート又は中空チャンバプレートに成形することにある。
【0021】
拡開ユニットの3ロールユニットは、互いに平行に配置された2つの上ロールと、縦方向に上ロールに向かって変位可能な1つの下ロールから成る。3ロールユニットを経る形材の搬送のため、送りユニット-好ましくは1つのロール対から成る-が設けられている。
【0022】
開放した押出形材を拡開するための別の可能性は、形材が、その開口を上に向かって拡開ユニットに挿入され、次いで3ロールユニットに挿入され、上ロールが、形材の内側に設けられ、下ロールが形材の外側に設けられていることにある。左及び右に向かって3ロールユニットを移動させることにより、形材は、シートプレート又は中空チャンバプレートに拡開される。
【0023】
シートプレート又は中空チャンバプレートの変形は、好ましくは200℃超の温度領域で、乾燥した、好ましくは不活性の雰囲気内で行なわれる。
【0024】
押出形材からシートプレートを製造するための設備は、実質的に押出温度に押出ビレットを加熱するための炉と、縦方向に開放した中空形材を押し出すためのダイを備えた押出プレスと、押出形材を裁断するための分離装置と、曲げユニットから成る。この曲げユニットと平行に、少なくとも1つの拡開ユニットと、この拡開ユニットに続く1つの積重ねユニットが設けられている。
【0025】
拡開されたシートプレート又は中空チャンバプレートを較正するために、拡開ユニットと積重ねユニットの間に較正及び型押しユニットを設けることができる。シートプレートが、加熱された2つの型押しプレートの間で熱間で型押し、即ち平坦化される。較正及び型押しユニットは、簡単な油圧プレスの形態で形成することができる。
【0026】
積重ねユニット内でのシートプレートの保管は、好ましくはロボットによって行なわれ、このロボットは、その吸着カップによって、シートプレート又は中空チャンバプレートを、拡開ユニットと較正及び型押しユニットのどちらかから受け取り積重ねユニット内に保管する。
【0027】
シートプレートの長さに応じて押出形材を裁断するための分離装置として、切削型又は非切削型の装置を使用することができる。切削型分離装置として、例えば鋸を使用することができるが、非切削型分離装置として環状のジェットノズル、レーザ切断装置あるいは楔又はバイトの刃を使用することができる。
【0028】
本発明の有利な発展形及び構成は、残りの従属請求項及び以下で原理的に説明する実施例からわかる。
【0029】
実施例により、本発明を詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】設備の原理的な構成
図2】設備の一部
図3a】中空形材の裁断
図3b】中空形材の裁断
図4】A-A断面
図5】U字形の形材の拡開過程
図5a】U字形の形材の拡開過程
図5b】U字形の形材の拡開過程
図5c】U字形の形材の拡開過程
図6】U字形のマルチチャンバ形材
図7】較正及び型押しユニット
図8】拡開ユニットの実施形態
図9】製造プロセスの進行
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1は、押出形材からシートプレートを製造するための設備の原理的な構成を示す。設備は、実質的に、押出ビレット8を押出温度に加熱するための炉2を上流に備えた押出形材7を製造するための押出プレス1と、押出方向で押出プレス1の下流に配置された曲げユニット4と、押出形材7-以下では中空形材7と呼ばれる-を裁断するための分離装置6と、積重ねユニット5を下流に備えた、押出方向に対して平行に配置された2つの拡開ユニット3とから成る。
【0032】
設備のすべての装置は、互いに連結され、U字形の形材7の拡開ユニット3への引渡しと、拡開された形材7の積重ねユニット5への及び場合によっては介装された較正及び型押しユニットへの引渡しは、処理装置、好ましくは産業用ロボットによって行なわれる。このため、処理装置は、機械式又は空圧式の把持システムを備えている。
【0033】
図2は、押し出された形材7からシートプレートを製造するための設備の一部を示す。炉2内で200~520℃の押出温度、好ましくは470℃に加熱された押出ビレット8は、押出プレス1の容器10内に挿入され、圧力作用によりダイ9を経て開放した形材7-即ち、形材7は、縦方向にスリットを入れられている-に押し出される。図4は、押し出された形材7を経るA-A断面を示す。
【0034】
形材7の所定の長さの押出し後、押出プレスは停止され、形材7は、分離装置6によって製造すべきシートプレートの長さに応じて裁断される。図3aは、開放した形材7を裁断するための分離装置6のバリエーションを示す。押出ストランドからの中空形材7の裁断は、1つ又は複数の楔切断ホイール14が周回するようにストランドから形材7を分離する楔切断装置14によって行なわれる。楔切断ホイールは、基礎上に位置しかつ楔状の刃の転移によって押し込まれて離間される材料を分離する。基礎は、穴開け器12の延長部によって構成される。
【0035】
ストランドからの中空形材7の裁断の別のバリエーションは、図3bに図示されている。形材7の外側に、リング状のアバットメントが当接する。内側には、楔切断装置14が挿入される。終端には、油圧により移動可能な2つの対向する楔切断ホイールが配置され、同時の回転運動時に材料を分離する。楔切断装置14の圧力作用と回転は、駆動油圧装置15によって行なわれる。
【0036】
楔又はバイトの刃は、切屑なしの分離方法として、さもなければ手間をかけて切断領域の表面から除去する必要のある切屑又は破片を形成しないとの利点を有する。
【0037】
形材7の裁断後、この形材は、押出装置内で自由に移動される、即ち、縦方向にスリットを入れられ、曲げユニット4のアングルレール11に裁置された形材7が、分離装置6の領域外に移動される。次いで、U字形への形材7の曲げ(図5)が、アングルレール11の離間によって行なわれる。
【0038】
U字形に曲げられた形材7は、詳細には図示してない処理装置によって把持され、拡開ユニット3に導入される。ここでは、U字形の形材7が完全に拡開される。このため、形材7は、その縦方向側面を、回転可能に支承されたクランプユニット16内に挿入され、形材7は、クランプユニット16の離間によって平坦なシートに変形される。図5a~5cは、形材7の平坦なシートプレート19への拡開の個々の部分を示す。
【0039】
拡開ユニット3のクランプユニット14内に挿入されるU字形に曲げられた形材7は、クランプレール18によってクランプユニット16内にクランプされる。クランプは、クランプレール18の圧力作用によって行なわれる。このため、クランプレールの外側の側面に沿ってその長さにわたって少なくとも2つの油圧シリンダ17が配置されている。
【0040】
クランプユニット16の上昇により、U字形の形材7は、平坦なシートプレート19(図5c)に拡開される。次いで、シートプレート19は、処理装置、好ましくは吸引グリッパによって把持され、積重ねユニット5内に保管される。
【0041】
拡開過程後のシートプレート19が未だ凹凸を備える場合、シートプレートは、積重ねユニット5内での保管前に、較正又は型押しユニットに引き渡される。このため、シートプレート19は、横方向側面を挟まれ、リニア駆動装置によって較正及び型押しステーション内に挿入される。較正及び型押しユニット内で、シートプレート19は、熱間で型押しされ、これにより、存在し得る凹凸が除去される。
【0042】
較正及び型押しユニットは、互いに対して移動可能な2つの加熱された型押しプレート24によって較正され、これら型押しプレート24は、簡単な油圧プレスによって開閉させることができる。
【0043】
較正及び型押しプロセス後、シートプレートは、吸引グリッパを備えた処理装置によって受け取られ、積重ねユニット5内に保管される。
【0044】
別の実施例で、中空チャンバプレート20の製造を説明する。図6は、押出プレス1によって製造された押出形材7を示し、この押出形材は、中空チャンバプレート20用の基礎を構成する。
【0045】
押出形材7は、拡開後に平坦な中空チャンバプレート20の形態を取るように形成されている。中空チャンバプレート20の下側22に関して、押出形材7は、内ウェブ23の間の下側22と上側21の部分が同じ長さを備え、これにより内ウェブ23の間の下側22の部分が弧状に形成されるように形成されている。拡開過程後、下側22と上側21の内ウェブ23の間の部分は、同じ長さを備える。
【0046】
第1のステップで押出プレス1のダイから出た押出形材7は、製造すべき中空チャンバプレート20に応じで分離される。分離装置として、ここでは好ましくは切削型分離装置、例えば鋸が使用される。これは、切屑用の吸引装置と接続されている。
【0047】
次いで、押出形材7は、曲げユニット4によってU字形の形材7に曲げられ、更に拡開ユニット3に導入される。U字形の形材7への曲げは、曲げユニット4のアングルレール11の離間によって行なわれる。
【0048】
拡開ユニット3内で、U字形の形材7は、平坦な中空チャンバプレート20に拡開される。拡開過程後、中空チャンバプレート20は、較正及び型押しユニットに導入される。
【0049】
較正及び型押しユニットは、図7に概略的に図示されている。較正及び型押しユニットは、実質的に互いに対して移動可能な2つの加熱された型押しプレート24から成り、これら型押しプレートの間に、較正及び型押し過程中に中空チャンバプレート20が配置されている。これにより、中空チャンバプレート20は、上側と下側21,22の間の間隔に関して統一的な寸法にされ、同時にまた矯正される。
【0050】
図8は、拡開ユニットの別の実施形態を示す。拡開ユニットは、実質的に3ロールユニット25、即ち、2つの上ロール26と、上ロール26の方向に移動可能な1つの下ロール27から成る。3ロールユニット25の上流に、ロール対28が配置され、このロール対により、形材7は、3ロールユニット25内へ及び3ロールユニットを経て搬送される。
【0051】
ロール対28による形材7の縦方向側面(前エッジ)の把持後、縦方向側面は、3ロールユニットの方向に押し出される。形材7の前エッジが第2の上ロール26に達すると、下ロール27は、上ロール26の方向に移動される。3ロールユニット25を経て形材7を更に押し出すことにより、形材7は、平坦なシートプレート19に整形される、即ち、U字形の形材7からシートプレート19に拡開される。これに、較正又は型押しステップを続けること、又は、シートプレート19を直ちに積重ねユニット5内に保管すること、ができる。
【0052】
図9に、製造プロセスの進行が簡略化して図示されている。押出ビレット8から始めて、押出プレス1によって管状の解放した押出形材7が製造され、分離装置6によってシートプレート19又は中空チャンバプレート20の長さに応じてストランドから分離される。次いで、押出形材7は、U字形に曲げられる。拡開ユニット3への引渡し後、押出形材7は、シートプレート19又は中空チャンバプレート20に拡開される。
【0053】
U字形の形材7もしくはシートプレート19もしくは中空チャンバプレート20と接触する設備の全ての部分が、鉄材料との直接的な接触を防止するために、コーティング-好ましくはセラミック材料を備えた-を備えているか、マグネシウム適合材料から成る。
【0054】
押出形材からシートプレート又は中空チャンバプレートを製造するための本発明による設備は、シートもしくは中空チャンバプレートへの拡開過程が、押出プロセスから切離され、これにより、製造用のサイクル数を大幅に増大させ得るとの利点を有する。
【0055】
マグネシウムシートの押出しは、更に、唯一のプロセスステップで、非常に薄いシート厚さを製造できるとの利点を有し、従って、圧延又は鋳造圧延に対する選択肢である。
【0056】
ここで、非常に薄いシート厚さだけでなく、中空形材、例えば管の押出しによって非常に幅広のシートも製造することができる。同様に、押出プロセスを介して非常に幅広の中空チャンバプレートを製造することもできる。幅は、式u=d*πに応じた押出形材の円周を介して得られる。例えば、300mmの管径の場合、約942mmの幅を備えたシートを製造することができる。
なお、本願は、特許請求の範囲に記載の発明に関するものであるが、他の態様として以下も包含し得る。
1.軽金属、好ましくはマグネシウム又はマグネシウム合金から成る薄い厚さの押出形材からシートプレート(19)又は中空チャンバプレート(20)を製造するための設備であって、その母線ラインに沿って開放した押出形材(7)を発生させるための押出プレス(1)と、製造すべきシートプレート(19)もしくは中空チャンバプレート(20)の長さに応じて押出形材(7)を裁断するための分離装置(6)と、開放した押出形材(7)の縦方向間隙を拡大するための曲げユニット(4)と、開放した押出形材(7)を平坦なシートプレート(18)もしくは中空チャンバプレート(20)に拡開するための拡開ユニット(3)と、積重ねユニット(5)とを有し、少なくとも1つの拡開ユニット(3)が、押出ラインに対して平行に配置され、これにより、押出プロセスと拡開プロセスが互いに切離されていること、を特徴とする設備。
2.拡開ユニット(3)と積重ね装置(5)の間に、較正又は型押し装置が配置されていること、を特徴とする上記1に記載の設備。
3.較正又は型押しユニットが、互いに対して移動可能な2つの加熱された型押しプレート(24)から構成され、較正又は型押しユニットが、簡単な油圧プレスの形態で形成されていること、を特徴とする上記1及び2に記載の設備。
4.拡開ユニット(3)が、離間可能かつ回転可能な2つのクランプ装置(16)によって構成され、これらクランプ装置が、U字形のレールと、このレール内に配置された、少なくとも2つの油圧シリンダ(17)によって作用を受けるクランプレール(18)から成ること、を特徴とする上記1~3に記載の設備。
5.拡開ユニット(3)が、3ロールユニット(25)によって構成され、この3ロールユニット(25)が、互いに平行に配置された2つの上ロール(26)と、上ロール(26)の方向に移動可能な1つの下ロール(27)から成り、3ロールユニットに送り又は搬送ユニットが付設されていること、を特徴とする請求項1~3に記載の設備。
6.中空チャンバ形材、開放した押出形材(7)もしくはシートプレート(19)と接触する設備の全ての部分が、鉄材料との直接的な接触を防止するために、コーティングを備えているか、マグネシウム適合性材料から成ること、を特徴とする上記1~5に記載の設備。
7.分離装置(5)が、平坦なシートプレート(18)を製造するために、非切削型分離装置として、好ましくは楔又はバイト切断装置として形成されていること、を特徴とする上記1~6に記載の設備。
8.分離装置(5)が、平坦な中空チャンバ形材(20)を製造するために、切削型分離装置として、好ましくは切屑用の吸引装置と組み合わせた鋸として形成されていること、を特徴とする上記1~6に記載の設備。
9.設備の全ての装置が、互いに連結され、U字形の中空形材(7)の拡開ユニット(3)への引渡しと、拡開された平坦なシートプレート(19)の積重ねユニット(5)への及び場合によっては介装された較正及び型押し装置への引渡しが、機械式又は空圧式の把持システムを備えた処理装置によって行なわれること、を特徴とする上記1に記載の設備。
【符号の説明】
【0057】
1 押出プレス
2 炉
3 拡開ユニット
4 曲げユニット
5 積重ねユニット
6 分離装置
7 押出形材/形材
8 押出ビレット
9 ダイ
10 容器
11 アングルレール
12 穴開け器
13 アバットメント
14 楔切断装置
15 駆動油圧ユニット
16 クランプユニット
17 油圧シリンダ
18 クランプレール
19 シートプレート
20 中空チャンバプレート
21 上側
22 下側
23 内ウェブ
24 型押しプレート
25 3ロールユニット
26 上ロール
27 下ロール
28 ロール対
図1
図2
図3a
図3b
図4
図5
図5a
図5b
図5c
図6
図7
図8
図9